(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】モジュラーマイクロ波プラズマ源
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240920BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H05H1/46 B
H05H1/46 R
H01L21/302 101D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023135363
(22)【出願日】2023-08-23
(62)【分割の表示】P 2022043272の分割
【原出願日】2017-01-18
【審査請求日】2023-09-22
(32)【優先日】2016-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クラウス, フィリップ アレン
(72)【発明者】
【氏名】チョア, タイ チョン
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-087227(JP,A)
【文献】特開2010-157511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01J 37/32
H01L 21/3065
C23C 16/511
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理ツールであって、
基板を処理するための処理チャンバと、
前記処理チャンバをシールする誘電体蓋と、
前記誘電体蓋の外側表面にわたって
前記基板全面を覆うように配置された
複数のアプリケータのアレイであって、
前記複数のアプリケータの各アプリケータが異なるマイクロ波増幅モジュールに結合されている、アプリケータのアレイと、
前記誘電体蓋に取り付けられた、前記処理チャンバ内の複数のセンサであって、前記プラズマ処理ツールにフィードバック制御を提供するために前記マイクロ波増幅モジュールに通信可能に結合されている、複数のセンサと
を備え
、
前記複数のセンサの各センサが、前記各アプリケータと対になるように、前記基板の表面にわたって配置される、プラズマ処理ツール。
【請求項2】
前記複数のセンサ
の各センサが
プラズマセンサ
であり、各マイクロ波増幅モジュールについてのフィードバック制御データが、前記
プラズマセンサの1つまたは複数によって提供される、請求項1に記載のプラズマ処理ツール。
【請求項3】
前記マイクロ波増幅モジュールのフィードバック制御が多入力他出力(MIMO)制御を含む、請求項2に記載のプラズマ処理ツール。
【請求項4】
前記マイクロ波増幅モジュールがさらに位相シフタを備える、請求項1に記載のプラズマ処理ツール。
【請求項5】
前記マイクロ波増幅モジュールがパルスモードで動作する、請求項1に記載のプラズマ処理ツール。
【請求項6】
前記
各アプリケータの断面が円形である、請求項1に記載のプラズマ処理ツール。
【請求項7】
前記
各アプリケータの断面が長方形である、請求項1に記載のプラズマ処理ツール。
【請求項8】
前記
各アプリケータの断面が対称的な多角形である、請求項1に記載のプラズマ処理ツール。
【請求項9】
インピーダンス調整バックショートを更に備える、請求項1に記載のプラズマ処理ツール。
【請求項10】
前記
各アプリケータが誘電体共振器であり、当該誘電体共振器が、
上面、外側の側壁表面、及び前記上面と向かい合う底面を備えた誘電体共振キャビティと、
前記誘電体共振キャビティの前記外側の側壁表面
のまわりに形成されたアプリケータハウジングと
を備え、
前記バックショートと前記誘電体共振キャビティの間に空間が画定されるように、前記バックショートが、前記誘電体共振キャビティの前記上面と少なくとも部分的に対面する上面を有し、
前記バックショートが、前記アプリケータハウジングの少なくとも一部の周囲に配置され、且つ前記バックショートの前記上面と前記誘電体共振キャビティの前記上面の間の距離を変更して前記空間を調整することにより前記アプリケータのインピーダンスを変更するために前記アプリケータハウジングに沿って再配置されるように構成されている、請求項9に記載のプラズマ処理ツール。
【請求項11】
前記複数のアプリケータのうちの1つ又は複数が、独立して制御可能である、請求項1に記載のプラズマ処理ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年8月16日に出願された、「モジュラーマイクロ波プラズマ源(MODULAR MICROWAVE PLASMA SOURCE)」と題され、全ての目的のためにその全体が参考されることによって本明細書中に組み込まれる米国仮特許出願第15/283,695号の利益を主張する。
【0002】
実施形態は、マイクロ波プラズマ源の分野に関し、特に、固体エレクトロニクスと、マイクロ波放射をガスに結合してプラズマを形成するためのアプリケータとを含むモジュラーマイクロ波プラズマ源に関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマ処理は、半導体産業における技術、ディスプレイ技術、微小電気機械システム(MEMS)などといった多くの異なる技術の製造において広く使用される。現在、高周波(RF)発生プラズマが最も頻繁に使用される。しかしながら、マイクロ波源で生成されたプラズマは、より高密度のプラズマ及び/又は高濃度の励起中性種を有するプラズマを可能にする。残念なことに、マイクロ波源を用いて生成されたプラズマもまた、それら自身の欠点を抱えている。
【0004】
典型的なマイクロ波プラズマシステムは、単一の大きなマイクロ波放射源(典型的にはマグネトロン)と、そのマイクロ波放射をマグネトロンから処理チャンバに案内するための伝送経路とを使用する。半導体産業における典型的な高電力用途では、伝送経路はマイクロ波導波管である。導波管が使用されるのは、マイクロ波源の特定の周波数を搬送するように設計された導波管の外側では、マイクロ波電力が距離と共に急速に減衰するからである。マイクロ波放射を処理チャンバに伝送するために、チューナ、カプラ、モード変圧器などの追加の構成要素も必要とされる。これらの構成要素は、構造を大きなシステム(すなわち、少なくとも導波管及び関連する構成要素の合計と同じ大きさ)に限定し、設計を厳しく制限する。このように、プラズマの形状寸法が導波管の形状に似ているので、生成されうるプラズマの形状寸法が制約される。したがって、プラズマの形状寸法を処理されている基板の形状寸法に合わせることは困難である。特に、プラズマがより大きな基板のウエハ(例えば、300mm以上のウエハ)の表面全体にわたって生成されるマイクロ波プラズマを生成することは困難である。いくつかのマイクロ波生成プラズマは、マイクロ波エネルギーを広い表面にわたって広げられるように、スロットラインアンテナを使用することがある。しかしながら、そのようなシステムは複雑であり、特定の形状寸法が必要とされ、プラズマに結合することができる電力密度が制限される。
【0005】
更に、マイクロ波源は通常、高度に均一ではない及び/又は空間的に調整可能な密度を有することができないプラズマを生成する。処理されている基板のサイズが大きくなり続けるにつれて、エッジ効果を説明することがますます困難になっている。更に、プラズマを調整することができないと、入ってくる基板の不均一性を考慮して処理レシピを修正し、処理システムの設計を補償するために(例えば、いくつかの処理チャンバ内で回転するウエハの不均一な半径方向速度に対応するために)不均一性が要求される処理システムのプラズマ密度を調整する能力が制限される。
【発明の概要】
【0006】
実施形態は、モジュラーマイクロ波源を含む。実施形態では、モジュラーマイクロ波源は、電圧制御回路、及び電圧制御発振器を備え、電圧制御回路からの出力電圧が電圧制御発振器における発振を駆動する。モジュラーマイクロ波源はまた、電圧制御発振器に結合された固体マイクロ波増幅モジュールを含みうる。実施形態では、固体マイクロ波増幅モジュールは、電圧制御発振器からの出力を増幅する。モジュラーマイクロ波源はまた、固体マイクロ波増幅モジュールに結合され、誘電体共振器であるアプリケータを含みうる。
【0007】
追加の実施形態は、処理チャンバ、及び処理チャンバに結合される複数のモジュラーマイクロ波源を備えるプラズマ処理ツールを含みうる。複数のモジュラーマイクロ波源は、1つ又は複数の基板が処理される処理チャンバのチャックの反対側に位置決めされるアプリケータのアレイと、各マイクロ波増幅モジュールがアプリケータのアレイ内のアプリケータのうちの異なる1つに結合されるマイクロ波増幅モジュールのアレイとを含みうる。
【0008】
上記の概要は、すべての実施形態の網羅的な列挙を含んでいない。上記に要約された様々な実施形態、更には以下の詳細な説明に開示され、特に本出願と共に提出される特許請求の範囲において指摘される様々な実施形態のすべての適切な組み合わせから実施することができる、すべてのシステム及び方法が含まれることが企図される。そのような組合せは、上記要約に特筆されない特定の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態による、モジュラーマイクロ波プラズマ源を含むプラズマ処理ツールの概略図である。
【
図2】実施形態による、固体マイクロ波プラズマ源の概略ブロック図である。
【
図3A】実施形態による、マイクロ波放射を処理チャンバに結合するために使用されうるアプリケータの断面図である。
【
図3B】実施形態による、処理チャンバの一部である誘電体シートの上に位置決めされたアプリケータのアレイの断面図である。
【
図4A】実施形態による、マイクロ波放射を処理チャンバに結合するために使用されうるアプリケータのアレイの平面図である。
【
図4B】追加の実施形態による、マイクロ波放射を処理チャンバに結合するために使用されうるアプリケータのアレイの平面図である。
【
図4C】実施形態による、アプリケータのアレイ及びプラズマの状態を検出するための複数のセンサの平面図である。
【
図4D】実施形態による、マルチゾーン処理ツールの1つのゾーン内に形成されるアプリケータのアレイの平面図である。
【
図5】実施形態による、モジュラーマイクロ波放射源と併用されうる例示的コンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つ又は複数のモジュラーマイクロ波プラズマ源を含むデバイスが、様々な実施形態に従って説明される。以下の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が説明される。実施形態がこれらの特定の詳細なく実施されうることが、当業者には明らかであろう。他の例では、実施形態を不必要に不明瞭にしないために、周知の態様を詳細には説明しない。更に、添付の図面に示される様々な実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないと理解すべきである。
【0011】
実施形態は、1つ又は複数のマイクロ波モジュールを備えるマイクロ波源を含む。実施形態によれば、各マイクロ波モジュールは、マイクロ波固体エレクトロニクス部分とアプリケータ部分とを備える。実施形態では、アプリケータ部分は、誘電体共振器でありうる。
【0012】
マグネトロンの代わりに固体エレクトロニクスを使用することにより、プラズマ源のサイズ及び複雑さを大幅に低減することが可能になる。特に、固体構成要素は、上記のマグネトロンハードウエアよりもはるかに小さい。更に、固体構成要素を使用することにより、マイクロ波放射を処理チャンバに伝送するのに必要とされる大きな導波管を排除することが可能になる。代わりに、マイクロ波放射は、同軸ケーブルで伝送されてもよい。導波管を排除することにより、形成されるプラズマのサイズが導波管のサイズによって制限されない大面積マイクロ波源の構成も可能になる。代わりに、マイクロ波モジュールのアレイは、任意の基板の形状と一致するように任意の大きさ(及び任意の形状)のプラズマを形成可能にする所与のパターンで構成されてもよい。更に、アプリケータの断面形状は、アプリケータのアレイができるだけ密にパッキングされうる(すなわち、最密充填アレイ)ように選択されうる。
【0013】
マイクロ波モジュールのアレイの使用はまた、各マイクロ波モジュールの電力設定を独立して変えることによって、プラズマ密度を局所的に変える能力により大きな柔軟性を提供する。これにより、プラズマ処理中の均一性の最適化、例えばウエハエッジ効果に対して行われる調整、進入するウエハの不均一性に対して行われる調整、及び処理システムの設計を補償する(例えば、いくつかの処理チャンバ内で回転するウエハの不均一な半径方向速度に対応する)ために不均一性が必要とされる処理システムのプラズマ密度を調整する能力などが可能になる。
【0014】
追加の実施形態はまた、1つ又は複数のプラズマモニタリングセンサを含みうる。そのような実施形態は、各アプリケータによって局所的にプラズマの密度(又は他の任意のプラズマ特性)を測定し、その測定値をフィードバックループの一部として使用して、各マイクロ波モジュールに印加される電力を制御する方法を提供する。したがって、各マイクロ波モジュールは、独立したフィードバックを有し、又はアレイ内のマイクロ波モジュールのサブセットは、フィードバックループがゾーン内のマイクロ波モジュールのサブセットを制御する制御ゾーンにグループ化されうる。
【0015】
プラズマの調整能力の向上に加えて、個々のマイクロ波モジュールの使用は、現在利用可能なプラズマ源よりも高い電力密度を提供する。例えば、マイクロ波モジュールは、典型的なRFプラズマ処理システムよりも約5倍以上大きい電力密度を可能にしうる。例えば、プラズマ化学気相堆積プロセスへの典型的な電力は、約3000Wであり、直径300mmのウエハに対して約4W/cm2の電力密度を提供する。対照的に、実施形態によるマイクロ波モジュールは、約24W/cm2の電力密度を提供するために、直径4cmのアプリケータを備えた300Wの電力増幅器を使用しうる。
【0016】
図1を参照すると、処理ツール100の断面図が、実施形態にしたがって示される。処理ツール100は、プラズマを利用する任意の種類の処理動作に適した処理ツールでありうる。例えば、プラズマ処理ツール100は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、プラズマ原子層堆積(PEALD)、エッチング及び選択的除去、並びにプラズマ洗浄に使用される処理ツールでありうる。本明細書で詳細に説明される実施形態はプラズマ処理ツールを対象としているが、更なる実施形態がマイクロ波放射を利用する任意のツールを含む処理ツール100を含みうると理解すべきである。例えば、プラズマの形成を必要とせずにマイクロ波放射を利用する処理ツール100は、工業用加熱及び/又は硬化処理ツール100を含みうる。
【0017】
一般に、実施形態は、チャンバ178を含む処理ツール100を含む。プラズマ処理に使用される処理ツール100では、チャンバ178は、真空チャンバでありうる。真空チャンバは、チャンバからガスを除去して所望の真空を提供するためのポンプ(図示せず)を含みうる。追加の実施形態は、チャンバ178内に処理ガスを供給するための1つ又は複数のガスライン170と、チャンバ178から副生成物を除去するための排気ライン172とを含むチャンバ178を含みうる。図示されないが、処理ツールは、処理ガスを基板174上に均一に分配するためのシャワーヘッドを含みうると理解すべきである。
【0018】
実施形態では、基板174は、チャック176上で支持されうる。例えば、チャック176は、静電チャックなどの任意の適切なチャックでありうる。チャックはまた、処理中に基板174に温度制御を提供するために冷却ライン及び/又はヒータを含みうる。本明細書に記載のマイクロ波モジュールのモジュール構成により、実施形態は、処理ツール100が任意のサイズの基板174を収容することを可能にする。例えば、基板174は、半導体ウエハ(例えば、200mm、300mm、450mm、又はそれ以上)でありうる。代替的な実施形態はまた、半導体ウエハ以外の基板174を含む。例えば、実施形態は、(例えばディスプレイ技術のために)ガラス基板を処理するように構成された処理ツール100を含みうる。
【0019】
実施形態によれば、処理ツール100は、1つ又は複数のモジュラーマイクロ波源105を含む。モジュラーマイクロ波源105は、固体マイクロ波増幅回路130及びアプリケータ142を含みうる。実施形態では、各モジュラーマイクロ波源105の固体マイクロ波増幅回路130に伝送される所望の周波数のマイクロ波放射を生成するために、電圧制御回路110が電圧制御発振器120に入力電圧を供給する。マイクロ波増幅回路130による処理の後で、マイクロ波放射は、アプリケータ142に伝送される。実施形態によれば、アプリケータ142のアレイ140は、チャンバ178に結合され、プラズマを生成するためにチャンバ178内の処理ガスにマイクロ波放射を結合するためのアンテナとして各々が機能する。
【0020】
ここで
図2を参照すると、実施形態によるモジュラーマイクロ波源内の電子機器の概略ブロック図が、より詳細に図示及び説明される。上述のように、電圧制御回路110は、入力電圧を電圧制御発振器120に供給する。実施形態は、約1Vから10Vの間のDCの入力電圧を含みうる。電圧制御発振器120は、入力電圧によって発振周波数が制御される電子発振器である。実施形態によれば、電圧制御回路110からの入力電圧により、電圧制御発振器120は所望の周波数で発振する。実施形態では、マイクロ波放射は、約2.3GHzから2.6GHzの間の周波数を有しうる。
【0021】
実施形態によれば、マイクロ波放射は、電圧制御発振器120からマイクロ波増幅回路130に伝送される。図示された実施形態では、マイクロ波増幅回路130の単一の例が示される。しかしながら、実施形態は、マイクロ波増幅回路130の任意の数の例を含みうる。特に、マイクロ波増幅回路130の例の数は、アプリケータ142のアレイ140に必要なアプリケータ142の数に等しくてもよい。したがって、各アプリケータ142は、各アプリケータ142に供給される電力の個々の制御を提供するために、マイクロ波増幅回路130の様々な例に結合されうる。実施形態によれば、プロセスツール100において2つ以上のモジュラーマイクロ波源105が使用されるとき、マイクロ波増幅回路130は、位相シフタ232を含みうる。単一のアプリケータのみが使用されるとき、位相シフタ232は、省略されうる。マイクロ波増幅回路130はまた、各々が電源239に結合されるドライバ/プレ増幅器234、及び主マイクロ波電力増幅器236を含みうる。実施形態によれば、マイクロ波増幅回路130は、パルスモードで動作しうる。例えば、マイクロ波増幅回路130は、1%から99%の間のデューティサイクルを有しうる。より具体的な実施形態では、マイクロ波増幅回路130は、約15%から30%の間のデューティサイクルを有しうる。
【0022】
実施形態では、マイクロ波放射は、増幅された後にアプリケータ142に伝送されうる。しかしながら、アプリケータ142に伝送された電力の一部は、出力インピーダンスの不整合のために反射して戻りうる。したがって、いくつかの実施形態はまた、反射電力のレベルを電圧制御回路110にフィードバックできるフィードバックライン286を含む。反射電力Vfeedbackのレベルは、電力増幅器236とアプリケータ142との間のサーキュレータ238を使用することによって、フィードバックライン286に方向付けられうる。サーキュレータ238は、反射電力をダミー負荷282及び接地284に方向付け、反射電力Vfeedbackのレベルがダミー負荷282の前に読み取られる。実施形態では、反射電力Vfeedbackのレベルは、電圧制御発振器120に送られる出力電圧を調整するために電圧制御回路110によって使用されてもよく、次にマイクロ波増幅回路130に伝送されるマイクロ波放射の出力周波数が変化する。そのようなフィードバックループの存在により、実施形態が電圧制御発振器120の入力電圧の連続的な制御を提供することができ、ひいては反射電力Vfeedbackのレベルを下げることができる。実施形態では、電圧制御発振器120のフィードバック制御により、反射電力のレベルは、進行波電力(forward power)の約5%未満となりうる。いくつかの実施形態において、電圧制御発振器120のフィードバック制御により、反射電力のレベルは、進行波電力の約2%未満となりうる。したがって、実施形態により、割合が増加した進行波電力を処理チャンバ178内に結合することができ、プラズマに結合された利用可能な電力密度が増加する。更に、フィードバックライン286を使用するインピーダンス調整は、典型的なスロットプレートアンテナにおけるインピーダンス調整よりも優れている。スロットプレートアンテナでは、インピーダンス調整は、アプリケータ内に形成された2つの誘電体スラグを動かすことを含む。これは、アプリケータ内の2つの別々の構成要素の機械的運動を含み、アプリケータの複雑さが増大する。更に、機械的運動は、電圧制御発振器120によって提供されうる周波数の変化ほど正確ではない可能性がある。
【0023】
ここで
図3Aを参照すると、実施形態によるアプリケータ142の破断図が示される。実施形態では、マイクロ波放射は、アプリケータ142を通って軸方向に延びるモノポール357に結合する同軸ケーブル351によってアプリケータ142に伝送される。モノポール357はまた、誘電体共振キャビティ353の中心に形成されたチャネル358内に延びうる。誘電体共振キャビティ353は、石英、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの誘電体材料でありうる。追加の実施形態はまた、材料を含まない共振キャビティ353も含みうる(すなわち、誘電体共振キャビティ353は、空気又は真空でありうる)。実施形態によれば、誘電体共振器は、誘電体共振器がマイクロ波放射の共振を支持するように寸法決めされる。一般に、誘電体共振キャビティ353のサイズは、誘電体共振キャビティ353を形成するのに使用される材料の誘電率及びマイクロ波放射の周波数に依存する。例えば、より高い誘電率を有する材料により、より小さい共振キャビティ353が形成可能になるだろう。誘電体共振キャビティ353が円形断面を含む実施形態では、誘電体共振キャビティ353の直径は、約1cmから15cmの間でありうる。実施形態では、モノポール357に垂直な平面に沿った誘電体共振キャビティ353の断面は、誘電体共振キャビティ353が共振を支持するように寸法決めされている限り、任意の形状でありうる。図示の実施形態では、モノポール357に垂直な平面に沿った断面は円形であるが、多角形(例えば、三角形、長方形など)、対称多角形(例えば、正方形、五角形、六角形など)、楕円形など)といった他の形状が使用されてもよい。
【0024】
実施形態では、誘電体共振キャビティ353の断面は、モノポール357に垂直なすべての平面で同一でなくてもよい。例えば、アプリケータハウジング355の開口端に近接する底部延長部分の断面は、チャネル358に近接する誘電体共振キャビティの断面よりも広い。異なる寸法の断面を有することに加えて、誘電体共振キャビティ353は、異なる形状を有する断面を有してもよい。例えば、チャネル358に近接した誘電体共振キャビティ353の部分が、円形の断面を有しうるのに対して、アプリケータハウジング355の開口端に近接した誘電体共振キャビティ353の部分は、対称多角形(例えば、五角形、六角形など)でありうる。しかし、実施形態はまた、モノポール357に垂直なすべての平面において均一な断面を有する誘電体共振キャビティ353も含みうると理解すべきである。
【0025】
実施形態によれば、アプリケータ353はまた、インピーダンス調整バックショート356も含みうる。バックショート356は、アプリケータハウジング355の外面上をスライドする移動可能なエンクロージャでありうる。インピーダンスを調整する必要があるとき、アクチュエータ(図示せず)は、バックショート356をアプリケータハウジング355の外面に沿ってスライドさせ、バックショート356の表面と誘電体共振キャビティ353の上面との間の距離Dを変更してもよい。したがって、実施形態は、システム内のインピーダンスを調整するための複数の方法を提供する。実施形態によれば、インピーダンス不整合を考慮するために、インピーダンス調整バックショート356を上述のフィードバックプロセスと共に使用してもよい。代替的には、フィードバックプロセス又はインピーダンス調整バックショート356を単独で使用して、インピーダンス不整合を調整してもよい。
【0026】
実施形態によれば、アプリケータ142は、マイクロ波電磁場を処理チャンバ178内に直接結合する誘電体アンテナとして機能する。誘電体共振キャビティ353に進入するモノポール357の特定の軸方向配置は、TM01δモード励起を生じさせることがある。しかしながら、異なるアプリケータ配置によって異なる励起モードが可能でありうる。例えば、軸方向配置が
図3に示されているが、モノポール357は他の配向から誘電体共振キャビティ353に進入してもよいと理解すべきである。1つのそのような実施形態では、モノポール357は、横方向に(すなわち、誘電体共振キャビティ353の側壁を通って)誘電体共振キャビティ353に進入しうる。
【0027】
ここで
図3Bを参照すると、アプリケータ142のアレイ140がチャンバ178に結合された処理ツール100の一部の図が、実施形態にしたがって示される。図示された実施形態では、アプリケータ142からのマイクロ波放射は、誘電体プレート350に近接して配置されることによって、チャンバ178内に結合される。アプリケータ142が誘電体プレート350に近接していることにより、誘電体共振キャビティ353(
図3Bには図示せず)内で共振するマイクロ波放射が誘電体プレート350と結合し、次にチャンバ内の処理ガスと結合してプラズマが発生しうる。1つの実施形態では、誘電体共振キャビティ353は、誘電体プレート350と直接接触しうる。追加の実施形態では、マイクロ波放射を依然として誘電体プレート350に伝達することができる限り、誘電体共振キャビティ353は、誘電体プレート350の表面から離間されうる。
【0028】
実施形態によると、アプリケータ142のアレイ140は、チャンバ178からの誘電体プレート350を取り外す必要なしに、(例えば、メンテナンスのために、異なる寸法の基板を収容するためにアプリケータのアレイを再配置するために、又は任意の他の理由で)誘電体プレート350から取り外し可能でありうる。したがって、アプリケータ142は、チャンバ178内の真空を解放する必要なしに、処理ツール100から取り外されうる。追加の実施形態によれば、誘電体プレート350はまた、ガス注入プレート又はシャワーヘッドとしても機能しうる。
【0029】
上述のように、アプリケータ140のアレイは、それらが任意の形状の基板174を覆うように配置されてもよい。
図4Aは、円形基板174と一致するパターンで配置されたアプリケータ142のアレイ140の平面図である。基板174の形状とほぼ一致するパターンで複数のアプリケータ142を形成することによって、プラズマは、基板174の表面全体にわたって調整可能になる。例えば、アプリケータ142の各々は、基板174の表面全体にわたって均一なプラズマ密度を有するプラズマが形成されるように制御されうる。代替的には、アプリケータ142のうちの1つ又は複数は、基板174の表面にわたって変化可能であるプラズマ密度を提供するために、独立して制御されうる。そのようにして、基板上に存在する進入する不均一性が修正されうる。例えば、基板174の外周に近接するアプリケータ142は、基板174の中心に近接するアプリケータとは異なる電力密度を有するように制御されうる。
【0030】
図4Aでは、アレイ140内のアプリケータ142は、基板174の中心から延びる一連の同心円状のリングに一緒にパッキングされる。しかし、実施形態はそのような構成に限定されず、処理ツール100の必要性に応じて、任意の適切な間隔及び/又はパターンが使用されうる。更に、実施形態は、上述のように、任意の対称的な断面を有するアプリケータ142を可能にする。したがって、アプリケータ用に選択された断面形状は、パッキング効率を高めるように選択されうる。
【0031】
ここで
図4Bを参照すると、非円形断面を有するアプリケータ142のアレイ140の平面図が、実施形態にしたがって図示される。図示された実施形態は、六角形の断面を有するアプリケータ142を含む。このようなアプリケータの使用は、各アプリケータ142の周囲が隣接するアプリケータ142とほぼ完全に嵌合しうるので、パッキング効率を改善可能にしうる。したがって、各アプリケータ142同士の間隔が最小化されるので、プラズマの均一性が更にもっと高められうる。
図4Bは側壁面を共有する隣接アプリケータ142を示しているが、実施形態はまた、隣接アプリケータ142同士の間隔を含む非円形対称形状のアプリケータを含んでもよいと理解すべきである。
【0032】
ここで
図4Cを参照すると、アプリケータ142のアレイ140の追加の平面図が、実施形態に従って示される。
図4Cのアレイ140は、複数のセンサ490も含まれることを除いて、
図4Aに関して上述したアレイ140と実質的に類似である。複数のセンサは、モジュラーマイクロ波源105の各々の追加的フィードバック制御を提供するために使用されうる改善されたプロセスモニタリング能力を提供する。実施形態では、センサ490は、プラズマ密度センサ、プラズマ放出センサなどの1つ又は複数の異なるセンサタイプ490を含みうる。基板174の表面にわたってセンサを配置することにより、処理チャンバ100の所与の位置におけるプラズマ特性をモニタすることが可能になる。
【0033】
実施形態によれば、すべてのアプリケータ142は、異なるセンサ490と対になりうる。そのような実施形態では、センサ490が対になっているそれぞれのアプリケータ142にフィードバック制御を提供するために、各センサ490からの出力が使用されうる。追加の実施形態は、各センサ490を複数のアプリケータ142と対にすることを含みうる。例えば、各センサ490は、センサ490が近接して配置される複数のアプリケータ142に対してフィードバック制御を提供しうる。更に別の実施形態では、複数のセンサ490からのフィードバックは、多入力多出力(MEVIO)制御システムの一部として使用されうる。そのような実施形態では、各アプリケータ142は、複数のセンサ490からのフィードバックに基づいて調整されうる。例えば、第1のアプリケータ142に直接隣接する第1のセンサ490は、第1のセンサ490よりも第1のアプリケータ142から離れて配置される第2のセンサ490によって、第1のアプリケータ142に及ぼされる制御努力よりも大きい制御努力を第1のアプリケータ142に提供するように重み付けされうる。
【0034】
ここで
図4Dを参照すると、マルチゾーン処理ツール100内に位置決めされたアプリケータ142のアレイ140の追加の平面図が、実施形態にしたがって示される。実施形態では、マルチゾーン処理ツール100は、任意の数のゾーンを含みうる。例えば、図示された実施形態は、ゾーン475
1-475
nを含む。各ゾーン475は、異なるゾーン475を通って回転する基板174に対して異なる処理動作を実行するように構成されうる。図示されたように、単一のアレイ140がゾーン475
n内に位置決めされる。しかしながら、実施形態は、デバイスの必要性に応じて、異なるゾーン475のうちの1つ又は複数内にアプリケータ142のアレイ140を有するマルチゾーン処理ツール100を含みうる。実施形態によって提供されるプラズマの空間的に調整可能な密度により、回転基板174が異なるゾーン475を通過する際に、回転基板174の不均一な半径方向速度が調節可能になる。
【0035】
ここで
図5を参照すると、処理ツール100の例示的なコンピュータシステム560のブロック図が実施形態に従って示される。実施形態では、コンピュータシステム560は、処理ツール100に結合され、処理ツール100内の処理を制御する。コンピュータシステム560は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネット内の他のマシンに接続(例えばネットワーク接続)されうる。コンピュータシステム560は、クライアント-サーバネットワーク環境内のサーバ又はクライアントマシンの容量で、又はピアツーピア(又は分散型)ネットワーク環境内のピアマシンとして動作しうる。コンピュータシステム560は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又はそのマシンによって行われる動作を特定する(連続した又は別様な)1セットの命令を実行可能な任意のマシンでありうる。更に、コンピュータシステム560に対する単一のマシンのみが示されているが、「マシン」という用語は、本明細書に記載の方法のうちの任意の1つ又は複数を実行するために、1セット(又は複数のセット)の命令を個々に又は連携的に実行するマシン(例えばコンピュータ)の任意の集合体を含むとも解釈されよう。
【0036】
コンピュータシステム560は、コンピュータシステム560(又は他の電子デバイス)が実施形態に従ったプロセスを実行するようプログラムするために使用されうる命令を記憶した持続的なマシン可読媒体を有するコンピュータプログラム製品又はソフトウエア522を含みうる。マシン可読媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)により可読な形態で情報を保存又は送信するための任意の機構を含む。例えば、マシン可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体(例えば、読み出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)、マシン(例えば、コンピュータ)可読送信媒体(電気的、光学的、音響的又は伝播される信号の他の形態(例えば、赤外線信号、デジタル信号など))などを含む。
【0037】
実施形態において、コンピュータシステム560は、バス530を介して互いに通信する、システムプロセッサ502、メインメモリ504(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)(同期DRAM(SDRAM)又はランバスDRAM(RDRAM)など)、スタティックメモリ506(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及び二次メモリ518(例えば、データ記憶デバイス)を含む。
【0038】
システムプロセッサ502は、マイクロシステムプロセッサ、中央処理ユニットなどのような1つ又は複数の汎用処理デバイスを表す。より詳細には、システムプロセッサは、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロシステムプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロシステムプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロシステムプロセッサ、他の命令セットを実装するシステムプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するシステムプロセッサでありうる。システムプロセッサ502はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号システムプロセッサ(DSP)、ネットワークシステムプロセッサなどのなどの1つ又は複数の特殊用途処理デバイスであってもよい。システムプロセッサ502は、本明細書に記載の動作を実行するための処理ロジック526を実行するように構成される。
【0039】
コンピュータシステム560は、他のデバイス又はマシンと通信するためのシステムネットワークインターフェースデバイス508を更に含みうる。コンピュータシステム560はまた、ビデオディスプレイユニット510(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又はブラウン管(CRT))、英数字入力デバイス512(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス514(例えば、マウス)、及び信号生成デバイス516(例えば、スピーカ)を含みうる。
【0040】
二次メモリ818は、本明細書に記載の方法又は機能のうちの任意の1つ又は複数を実施する、1つ又は複数のセットの命令(例えば、ソフトウエア522)が記憶される、マシンアクセス可能記憶媒体531(又はより具体的にはコンピュータ可読記憶媒体)を含みうる。ソフトウエア522はまた、コンピュータシステム560によって実行されている間、完全に又は少なくとも部分的に、メインメモリ504及び/又はシステムプロセッサ502内に常駐してもよく、メインメモリ504及びシステムプロセッサ502も、マシン可読記憶媒体を構成しうる。ソフトウエア522は、システムネットワークインターフェースデバイス508を介してネットワーク520上で更に送信又は受信されうる。
【0041】
マシンアクセス可能記憶媒体531は例示的実施形態では単一の媒体であるように図示されるが、「マシン可読記憶媒体」という用語は、1つ又は複数の組の命令を記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型データベース若しくは分散型データベース、並びに/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むと解釈されるべきである。「マシン可読記憶媒体」という用語はまた、マシンによる実行のために一組の命令を記憶又は符号化することができ、かつマシンに方法論のうちの任意の1つ又は複数を実行させる任意の媒体を含むと解釈されよう。したがって、「マシン可読記憶媒体」という用語は、固体メモリ、光媒体及び磁気媒体を含むが、これらに限定されないと解釈されよう。
【0042】
前述の明細書中では、特定の例示的な実施形態について説明してきた。以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な変更例が可能であることが明らかであろう。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味であるとみなされるべきである。