(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G03F 1/70 20120101AFI20240920BHJP
G03F 1/00 20120101ALI20240920BHJP
【FI】
G03F1/70
G03F1/00 Z
(21)【出願番号】P 2023579753
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 CN2021123793
(87)【国際公開番号】W WO2023060505
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510232360
【氏名又は名称】中国科学院光電技術研究所
【氏名又は名称原語表記】The Institute of Optics and Electronics, The Chinese Academy of Sciences
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 350, Shuangliu, Chengdu, Sichuan 610209, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅先剛
(72)【発明者】
【氏名】徐明峰
(72)【発明者】
【氏名】蒲明博
(72)【発明者】
【氏名】桑迪
(72)【発明者】
【氏名】馬曉亮
(72)【発明者】
【氏名】李雄
(72)【発明者】
【氏名】高平
(72)【発明者】
【氏名】趙澤宇
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-125162(JP,A)
【文献】特開2006-019445(JP,A)
【文献】特開2005-353629(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108259(WO,A1)
【文献】特開2001-308002(JP,A)
【文献】特開2008-021869(JP,A)
【文献】特開2004-029748(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111381435(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/20-1/86、7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/027、21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1マスクデータを取得して、それに対してぼかし処理及び投影処理を施して、第2マスクデータを得るステップと、
前記第2マスクデータと予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件とに基づいて順方向演算を行い、結像データ及び順方向フィールドデータを得るステップと、
前記結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算するステップと、
前記第2マスクデータに対して随伴演算を行い、随伴フィールドデータを得るステップと、
前記順方向フィールドデータと前記随伴フィールドデータとに基づいて前記第1マスクデータに対する前記結像誤差の勾配行列を計算するステップと、
前記勾配行列に基づいて前記第1マスクデータを更新し、最適化されたマスクデータを取得するまで上記ステップを繰り返して反復計算を行い、最終的なマスクパターンを出力するステップと、を含む
ことを特徴とする表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項2】
前記結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算するステップは、
前記結像誤差が閾値よりも小さいか、または現在の累積反復回数が設定値よりも大きいかを判定し、YESの場合、最適化されたマスクデータとして現在のマスクデータを出力し、NOの場合、反復計算を行うことを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項3】
前記順方向演算は、
露光光源の励起源を用いてシミュレーションするステップと、
時間領域差分法により前記結像データと順方向フィールドデータを求めるステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項4】
前記随伴演算は、
随伴励起源を用いてシミュレーションするステップと、
時間領域差分法により前記随伴フィールドデータを求めるステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項5】
前記第1マスクデータを取得するステップは、
予想される結像パターンに基づいて初期マスクパターンを取得するステップと、
前記初期マスクパターンに対してピクセル化処理を施し、初期マスクデータおよび予想される結像データを得るステップと、
前記初期マスクデータ又は更新されたマスクデータを第1マスクデータとしてぼかし処理及び投影処理を施すステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項6】
前記ぼかし処理は、以下の式によって行われ、
ただし、
となり、
がぼかし半径であり、
が初期マスクデータ又は更新されたマスクデータ、即ち第1マスクデータであり、
がぼかし処理が施されたマスクデータであり、rが現在のマスクデータにおける任意の点の座標であり、
が現在のマスクデータにおけるすべての座標点r
jをr座標でトラバースして加算することを表す
ことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項7】
前記投影処理は、以下の式を用いて2値化投影処理をすることを含み、
ただし、βが2値化パラメータであり、ηが2値化閾値であり、
がぼかし処理が施されたマスクデータであり、
が投影処理が施されたマスクデータ、即ち第2マスクデータである
ことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項8】
前記結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算するステップは、以下の式を用いて前記結像誤差Fを計算することを含み、
ただし、
が予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件下における現在のマスクデータに対応する結像データであり、
が前記予想される結像データであり、(x、y)が結像データにおける座標であり、mとnが結像データに対応するx方向とy方向のサンプリングポイント数である
ことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項9】
前記順方向フィールドデータと前記随伴フィールドデータとに基づいて前記第1マスクデータに対する前記結像誤差の勾配行列を計算するステップは、以下の式を用いて前記勾配行列を計算することを含み、
が前記勾配行列であり、
が現在のマスクデータの屈折率分布であり、
が前記順方向フィールドデータであり、
が前記随伴フィールドデータである
ことを特徴とする請求項8に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項10】
前記勾配行列に基づいて前記第1マスクデータを更新するステップは、以下の式を用いて更新されたマスクデータを計算することを含み、
ただし、sが予め設定された最適化ステップサイズであり、
が現在のマスクデータであり、
が更新されたマスクデータであり、
が前記勾配行列であり、kが現在の反復回数であり、
更新されたマスクデータのすべてのピクセル値が[0,1]の範囲に限定され、1よりも大きいピクセル値が1に設定され、0よりも小さいピクセル値が0に設定され、[0,1]の範囲にあるピクセル値が変更されない
ことを特徴とする請求項9に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項11】
最終的なマスクパターンを出力するステップは、
最適化されたマスクデータとして現在のマスクデータを出力し、エッジスムージング処理によって前記最適化されたマスクデータのエッジを抽出してピクセル化されたジャギーを除去した後、最終的なマスクパターンを出力するステップを含み、
出力される前記最適化されたマスクデータは、現在の第2マスクデータである
ことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法。
【請求項12】
第1マスクデータを取得して、前記第1マスクデータに対してぼかし処理及び投影処理を施して、第2マスクデータを得るステップと、
第2マスクデータと予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件とに基づいて順方向演算を行い、結像データ及び順方向フィールドデータを得るステップと、
前記結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算するステップと、
前記第2マスクデータに対して随伴演算を行い、随伴フィールドデータを得るステップと、
前記順方向フィールドデータと前記随伴フィールドデータとに基づいて前記第1マスクデータに対する前記結像誤差の勾配行列を計算するステップと、
前記勾配行列に基づいて前記第1マスクデータを更新し、最適化されたマスクデータを取得するまで上記ステップを繰り返して反復計算を行い、最終的なマスクパターンを出力するステップと、
前記最終的なマスクパターンに基づいて表面プラズモン近接場リソグラフィを行うステップと、を含む
ことを特徴とする表面プラズモン近接場リソグラフィの方法。
【請求項13】
第1マスクデータを取得して、それに対してぼかし処理及び投影処理を施して、第2マスクデータを得るマスク処理モジュールと、
第2マスクデータと予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件とに基づいて順方向演算を行い、結像データ及び順方向フィールドデータを得る取得モジュールと、
前記結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算する結像誤差計算モジュールと、
前記第2マスクデータに対して随伴演算を行い、随伴フィールドデータを得る随伴フィールドデータ計算モジュールと、
前記順方向フィールドデータと前記随伴フィールドデータとに基づいて前記第1マスクデータに対する前記結像誤差の勾配行列を計算する勾配行列計算モジュールと、
前記勾配行列に基づいて前記第1マスクデータを更新し、最適化されたマスクデータを取得するまで
上記の各モジュールで行われる処理を繰り返して
行わせる反復計算を行い、最終的なマスクパターンを出力する反復計算モジュールと、を含む
ことを特徴とする表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化のシステム。
【請求項14】
プロセッサと、コンピュータ実行可能なプログラムを記憶しているメモリと、を含み、前記プログラムが前記プロセッサに実行されると、前記プロセッサは、請求項1~11のいずれか一項に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法を実行する
電子機器。
【請求項15】
プロセッサに実行されると、請求項1~11のいずれか一項に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法を実現するコンピュータプログラムを記憶している
ことを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項16】
プロセッサに実行されると、請求項1~11のいずれか一項に記載の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法を実現するコンピュータプログラムを含む
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集積回路の技術分野に関し、具体的に表面プラズモン近接場リソグラフィ(Surface Plasmon Lithography、SPL)におけるマスクのトポロジ最適化の方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の複雑なマイクロ電子集積回路の製造では、まず集積回路のマスクパターンを設計し、そしてフォトリソグラフィによってマスクパターンを半導体チップに転写する必要がある。現在、フォトリソグラフィ装置の主流は、波長193nmの深紫外線(Deep Ultraviolet Lithography、DUV)を用いたフォトリソグラフィであるが、表面プラズモン近接場結像リソグラフィは、高スループット、高解像力、高アスペクト比、高忠実度、ワンステップ露光などの利点を有することから、複雑で高価な現代の投影リソグラフィに代わる技術案として有望である。
【0003】
また、集積回路の製造工程において、リソグラフィの画像忠実度は、半導体デバイスの性能、効率及び生産量を高めるために、厳しく制御しなければならない。しかし、複雑な高集積化のマスクパターンの露光転写処理では、コントラストが低下したり、忠実度が低下したり、ムラが発生することがある。リソグラフィシステムの解像力及びパターンの忠実度を向上させるために、逆リソグラフィ技術(Inverse Lithography Technology, ILT)、特に光近接効果補正(Optical Proximity Correction, OPC)は、マスクを変形させることで光近接効果、迷光影響、マスクのシェーディング影響などの悪影響による画像歪を補正することに広く使用されている。非線形イメージングモデルと非線形フォトレジスト効果により、従来のOPC方法はサブ波長電磁構造を有する表面プラズモン近接場リソグラフィに適用することは困難である。
【0004】
そこで、面積誤差の要件を満たし、歩留まりを向上させるために、目標パターンを調整、補正するための効率的で高速かつ低コストの光近接効果補正方法が求められていた。ピクセルベースの逆リソグラフィ技術は、最適化の自由度を効果的に高めることができるが、膨大な量の変数によって計算が複雑になり、パターン最適化の実行時間を増加させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題に鑑みて、本開示は、表面プラズモン近接場リソグラフィにおける光近接効果補正などの技術問題を少なくとも部分的に解決するための表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法は、第1マスクデータを取得して、それに対してぼかし処理及び投影処理を施して、第2マスクデータを得るステップと、第2マスクデータと予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件とに基づいて順方向演算を行い、結像データ及び順方向フィールドデータを得るステップと、結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算するステップと、第2マスクデータに対して随伴演算を行い、随伴フィールドデータを得るステップと、順方向フィールドデータと随伴フィールドデータとに基づいて第1マスクデータに対する結像誤差の勾配行列を計算するステップと、勾配行列に基づいて第1マスクデータを更新し、最適化されたマスクデータを取得するまで上記ステップを繰り返して反復計算を行い、最終的なマスクパターンを出力するステップとを含む。
【0007】
更に、結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算するステップは、結像誤差が閾値よりも小さいか、または現在の累積反復回数が設定値よりも大きいかを判定し、YESの場合、最適化されたマスクデータとして現在のマスクデータを出力し、NOの場合、反復計算を行うことを含む。
【0008】
更に、順方向演算は、露光光源の励起源を用いてシミュレーションするステップと、時間領域差分法により結像データと順方向フィールドデータを求めるステップと、を含む。
【0009】
更に、随伴演算は、随伴励起源を用いてシミュレーションするステップと、時間領域差分法により随伴フィールドデータを求めるステップと、を含む。
【0010】
更に、第1マスクデータを取得するステップは、予想される結像パターンに基づいて初期マスクパターンを取得するステップと、初期マスクパターンに対してピクセル化処理を施し、初期マスクデータおよび予想される結像データを得るステップと、初期マスクデータ又は更新されたマスクデータを第1マスクデータとしてぼかし処理及び投影処理を施すステップと、を含む。
【0011】
更に、ぼかし処理は、以下の式によって行われ、
ただし、
となり、
がぼかし半径であり、
が初期マスクデータ又は更新されたマスクデータ、即ち第1マスクデータであり、
がぼかし処理が施されたマスクデータであり、rが現在のマスクデータにおける任意の点の座標であり、
が現在のマスクデータにおけるすべての座標点r
jをr座標でトラバースして加算することを表す。
【0012】
更に、投影処理は、以下の式を用いて2値化投影処理をすることを含み、
ただし、βが2値化パラメータであり、ηが2値化閾値であり、
がぼかし処理が施されたマスクデータであり、
が投影処理が施されたマスクデータ、即ち第2マスクデータである。
【0013】
更に、結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算するステップは、以下の式を用いて結像誤差Fを計算することを含み、
ただし、
が予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件下における現在のマスクデータに対応する結像データであり、
が予想される結像データであり、(x、y)が結像データにおける座標であり、mとnが結像データに対応するx方向とy方向のサンプリングポイント数である。
【0014】
更に、順方向フィールドデータと随伴フィールドデータとに基づいて第1マスクデータに対する結像誤差の勾配行列を計算するステップは、以下の式を用いて勾配行列を計算することを含み、
が勾配行列であり、
が現在のマスクデータの屈折率分布であり、
が順方向フィールドデータであり、
が随伴フィールドデータである。
【0015】
更に、勾配行列に基づいて第1マスクデータを更新するステップは、以下の式を用いて更新されたマスクデータを計算することを含み、
ただし、sが予め設定された最適化ステップサイズであり、
が現在のマスクデータであり、
が更新されたマスクデータであり、
が勾配行列であり、kが現在の反復回数であり、更新されたマスクデータのすべてのピクセル値が[0,1]の範囲に限定され、1よりも大きいピクセル値が1に設定され、0よりも小さいピクセル値が0に設定され、[0,1]の範囲にあるピクセル値が変更されない。
【0016】
更に、最終的なマスクパターンを出力するステップは、最適化されたマスクデータとして現在のマスクデータを出力し、エッジスムージング処理によって最適化されたマスクデータのエッジを抽出してピクセル化されたジャギーを除去した後、最終的なマスクパターンを出力するステップを含み、出力される最適化されたマスクデータは、現在の第2マスクデータである。
【0017】
本開示の別の態様による表面プラズモン近接場リソグラフィの方法は、第1マスクデータを取得して、第1マスクデータに対してぼかし処理及び投影処理を施して、第2マスクデータを得るステップと、第2マスクデータと予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件とに基づいて順方向演算を行い、結像データ及び順方向フィールドデータを得るステップと、結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算するステップと、第2マスクデータに対して随伴演算を行い、随伴フィールドデータを得るステップと、順方向フィールドデータと随伴フィールドデータとに基づいて第1マスクデータに対する結像誤差の勾配行列を計算するステップと、勾配行列に基づいて第1マスクデータを更新し、最適化されたマスクデータを取得するまで上記ステップを繰り返して反復計算を行い、最終的なマスクパターンを出力するステップと、最終的なマスクパターンに基づいて表面プラズモン近接場リソグラフィを行うステップと、を含む。
【0018】
本開示の別の態様による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化のシステムは、第1マスクデータを取得して、それに対してぼかし処理及び投影処理を施して、第2マスクデータを得るマスク処理モジュールと、第2マスクデータと予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件とに基づいて順方向演算を行い、結像データ及び順方向フィールドデータを得る取得モジュールと、結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算する結像誤差計算モジュールと、第2マスクデータに対して随伴演算を行い、随伴フィールドデータを得る随伴フィールドデータ計算モジュールと、順方向フィールドデータと随伴フィールドデータとに基づいて第1マスクデータに対する結像誤差の勾配行列を計算する勾配行列計算モジュールと、勾配行列に基づいて第1マスクデータを更新し、最適化されたマスクデータを取得するまで上記ステップを繰り返して反復計算を行い、最終的なマスクパターンを出力する反復計算モジュールと、を含む。
【0019】
本開示の別の態様による電子機器は、メモリと、プロセッサと、前記プロセッサにより実行でき、メモリに記憶されるコンピュータプログラムと、を含み、コンピュータプログラムがプロセッサに実行されると、プロセッサは、上記の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法を実行する。
【0020】
本開示の別の態様によるコンピュータ読取可能な記憶媒体は、プロセッサに実行されると、上記の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法を実現するコンピュータプログラムを記憶している。
【0021】
本開示の別の態様によるコンピュータプログラム製品は、プロセッサに実行されると、上記の表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法を実現するコンピュータプログラムを含む。
【発明の効果】
【0022】
本開示による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法及びシステムは、順方向演算のほか、随伴演算も導入し、最適化勾配を取得してマスクのトポロジを調整、補正することで、パターンの忠実度及び歩留まりを向上させる。これによって、従来の近接場リソグラフィにおけるパターンの歪みの問題を解決できるだけでなく、光近接効果、迷光影響及びマスクのシェーディング影響などのサブ波長電磁構造における強結合を補正することもできる。本開示は、マスクの最適化プロセスにおいて、ぼかし処理で設定された閾値よりも小さい加工不可能な微細構造を除去することで、マスクパターンの任意の部分の最小サイズが設定された閾値以上であることを保証し、マスクのサイズが製造可能な条件を満たすことを確保することができる。また、ピクセル化されたマスクパターンにおける加工不可能なエッジジャギーを補正することにより、マスクの製造性をさらに向上させる。
【0023】
本開示及びその利点をより完全に理解するために、以下の図面の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法の適用シーンの模式図を模式的に示す。
【
図2】本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法のフローチャートを模式的に示す。
【
図3】本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法において第1マスクデータを取得する方法のフローチャートを模式的に示す。
【
図4】本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法において随伴演算を行う方法のフローチャートを模式的に示す。
【
図5】本開示の一例示的な実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法のフローチャートを模式的に示す。
【
図6】本開示の実施例1による初期マスクデータと、ぼかし処理が施されたマスクデータと、投影処理が施されたマスクデータとに対応するパターンの模式図を模式的に示す。
【
図7】本開示の実施例1による初期マスクデータと、それに対応するフォトレジストにおける結像データとに対応するパターンの模式図を模式的に示す。
【
図8】本開示の実施例1によるマスクのトポロジ最適化プロセスにおける第2マスクデータに対応するパターンの反復処理による変化図を模式的に示す。
【
図9】本開示の実施例1による最適化により得られたマスクデータ及びそれに対応するフォトレジストにおける結像データに対応するパターンの模式図を模式的に示す。
【
図10】本開示の実施例2による構造101を用いた本方法に基づく最適化の前後のマスクデータ及びそれに対応するフォトレジストにおける結像データに対応するパターンの模式図を模式的に示す。
【
図11】本開示の実施例3による構造102を用いた本方法に基づく最適化の前後のマスクデータ及びそれに対応するフォトレジストにおける結像データに対応するパターンの模式図を模式的に示す。
【
図12】本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化のシステムのブロック図を模式的に示す。
【
図13】本開示の実施例による上記のような方法を実現するために適用する電子機器のブロック図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例を説明する。これらの説明は例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定するものではない。以下の詳細な説明では、説明を簡単にし本開示の実施例を完全に理解させるために、詳細な内容が多く記載されている。しかし、これらの詳細な内容がなくても1つまたは複数の実施例が実施可能であることも明らかである。なお、以下の説明では、本開示の記載を混同しないように、公知の構造および技術についての説明を省略する。
【0026】
本願明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものにすぎず、本開示を制限するものではない。本願明細書で使用される「有する」、「含む」といった用語などは、特徴、ステップ、操作及び/又は部品が存在することを表すものであり、1つまたは複数のその他の特徴、ステップ、操作又は部品の存在又は追加を排除することが意図されない。
【0027】
特に断りがない限り、本願明細書で使用されるすべての用語(技術的用語と科学的用語を含む)は、当業者が通常認識している意味を有する。なお、本願明細書で使用される用語は、本明細書の上下の全ての記載において同じ意味を持ち、理想又は過剰に解釈すべきではない。
【0028】
図面において、いくつかのブロック図及び/又はフローチャートを示している。ブロック図及び/又はフローチャートにおけるいくつかのもの又はこれらの組み合わせは、コンピュータプログラム命令により実現することができる。これらのコンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに適用し、上記プロセッサによって実行される場合、これらのブロック図及び/又はフローチャートに記載される機能/操作を実現するための装置を構成することができる。本開示の技術は、ハードウェア及び/又はソフトウェア(ファームウェア、マイクロコードなどを含む)により実現されてもよい。また、本開示の技術は、命令を記憶しているコンピュータ読取可能な記憶媒体を有するコンピュータプログラム製品によって実現可能である。このコンピュータプログラム製品は、命令実行システムで使用されても、命令実行システムと組み合わせて使用されてもよい。
【0029】
本開示で提供される随伴アルゴリズムに基づく表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化技術は、リソグラフィの解像力を向上させる技術として重要であり、マスクのトポロジパターンを最適化することでフォトレジストに入射する光の強度分布を変調することによって、リソグラフィシステムの解像力と画像忠実度を向上させる。また、マスクがピクセル化されたパターンで示され、高い最適化自由度を有し、グリーン関数(Green’s function)との互換性に基づき、2回のシミュレーション演算だけで、マスクのトポロジ形状の、リソグラフィ画像化の最適化方向に沿った勾配更新情報を評価することができ、演算量を大幅に削減し、最適化速度を向上させることができる。
【0030】
本開示において、説明の便宜上、予想される結像パターン、初期マスクパターン及び最終的なマスクパターンのみをパターンと称し、トポロジ最適化における計算過程及び結像過程で得られる結果がいずれもデータと称する。また、これらのデータに基づいて、いずれも対応するパターンを出力することができる。
【0031】
図1は、本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法を適用できる適用シーンの模式図を模式的に示す。また、
図1に示すのは、当業者に本開示の技術内容を理解させるための、本開示の実施例を適用可能な適用シーンの例にすぎず、本開示の実施例が他の機器、システム、環境、シーンに適用できないことを意図しない。
【0032】
図1に示すように、本開示の実施例に係る表面プラズモン近接場リソグラフィ構造は、101に示すように、マスク(SiO
2+Cr)、エアギャップ(Air)、金属層(Ag)、フォトレジスト(Pr)、金属反射層(Ag)、基板(SiO
2)を含む。表面プラズモン近接場リソグラフィの断面構造は、102、103に示すように、マスク(SiO
2+Cr)、エアギャップ(Air)、フォトレジスト(Pr)、金属反射層(Ag)、基板(SiO
2)を含むものであってもよいし(102に示す)、マスク(SiO
2+Cr)、エアギャップ(Air)、金属層(Ag)、フォトレジスト(Pr)、基板(SiO
2)を含むものであってもよい(103に示す)。つまり、表面プラズモン近接場リソグラフィ構造を実現可能なものであればよい。近接場表面プラズモンリソグラフィは、マスクのパターンを半導体チップに転写するにあたり、コントラストが低下したり、忠実度が低下したり、ムラが発生することがある。
【0033】
本開示は、随伴アルゴリズムに基づく表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化方法を提供する。具体的には、ニーズに応じてより優れた効果を有するマスクパターンを提供し、表面プラズモン近接場リソグラフィシステムにおける光近接効果、迷光影響、マスクのシェーディング影響などのサブ波長電磁の影響を補正することができる。
【0034】
図2は、本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法のフローチャートを模式的に示す。
【0035】
図2に示すように、この表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法は、以下のステップを含む。
【0036】
ステップS0は、第1マスクデータを取得して、それに対してぼかし処理及び投影処理を施して、第2マスクデータを得る。
【0037】
予想される結像パターンに基づいて初期マスクパターンを取得し、この初期マスクパターンに対してピクセル化処理を施し、初期マスクデータおよび予想される結像データを得る。次に、初期マスクデータ又は更新されたマスクデータを第1マスクデータとしてぼかし処理及び投影処理を施し、第2マスクデータを得る。
【0038】
ステップS1は、第2マスクデータと予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件とに基づいて順方向演算を行い、結像データ及び順方向フィールドデータを得る。
【0039】
このステップでは、設定された表面プラズモン近接場リソグラフィ構造に基づいてマスクの表面プラズモン近接場結像性能を評価する。このステップは、露光光源の励起源でのフォトレジストにおけるマスクパターンの結像性能を計算しながら、随伴アルゴリズムの勾配更新のための順方向フィールドデータを取得する。本開示において、この過程は、順方向演算又は順方向シミュレーションと呼ばれる。なお、結像データとは、光がマスクを通過してフォトレジストに結像され形成された光強度分布である。ここで、順方向フィールドデータとは、マスクにおけるベクトル電場のデータである。
【0040】
ステップS2は、結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算する。
【0041】
このステップは、現在結像されたマスクに対応するフォトレジストにおける結像パターンと、目標パターンの各ピクセルとの誤差を計算するためのものであり、具体的に、データの演算により実現される。本開示において設定される誤差は、パターン面積についての誤差であり、その値は、最適化されるマスクの複雑さ、ピクセルグリッドのサイズ、マスク全体のサイズなどの具体的なもの、及び予想されるパターン歪みの許容度に応じて選ばれる。一般的な集積回路のマスクに対して、最適化された結像面積の誤差を1%~3%以内に抑えることが必要である。
【0042】
ステップS3は、第2マスクデータに対して随伴演算を行い、随伴フィールドデータを得る。
【0043】
本開示による随伴アルゴリズムに基づいて、第2マスクデータに対して随伴演算を行う。このステップにおいて、順方向演算のほか、フォトレジストにおけるイメージングモニタを特定の随伴源に置き換える計算が随伴演算と称され、順方向演算と随伴演算の結果から勾配行列を得てマスクを更新する最適化アルゴリズムが随伴アルゴリズム称される。なお、随伴フィールドとは、1つの与えられた随伴励起源に基づくシミュレーション計算により得られるマスクにおけるベクトル電場のデータである。
【0044】
ステップS4は、順方向フィールドデータと随伴フィールドデータとに基づいて第1マスクデータに対する結像誤差の勾配行列を計算する。
【0045】
ステップS1における順方向演算の結果と、ステップS3における随伴演算の結果とから、各ピクセルによる結像されるパターンの品質への影響の正負及び程度を計算する。即ち、勾配行列を得る。
【0046】
ステップS5は、勾配行列に基づいて第1マスクデータを更新し、最適化されたマスクデータを取得するまで上記ステップを繰り返して反復計算を行い、最終的なマスクパターンを出力する。
【0047】
ステップS4で得られた勾配行列からピクセル化されたマスクデータを更新し、そして、ステップS2における結像性能が設計指標を満たすまで、ステップS0~S5を繰り返す。
【0048】
本開示に係る方法は、順方向シミュレーションのほか、随伴シミュレーションと、勾配計算と、マスク処理とも行い、事前の物理情報に基づいて高速に反復して収束を行う。これによって、最適化速度を向上させるとともに、表面プラズモンリソグラフィにより適切し、効果がより優れたマスクパターンを得た。
【0049】
上記実施例において、結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算するステップは、結像誤差が閾値よりも小さいか、または現在の累積反復回数が設定値よりも大きいかを判定し、YESの場合、最適化されたマスクデータとして現在のマスクデータを出力し、NOの場合、反復計算を行うことを含む。
【0050】
本開示の説明において用いられる現在のマスクデータは、現在の繰り返し周期において対応するステップで処理されたマスクデータを表し、第1マスクデータであってもよいし、第2マスクデータであってもよい。当業者は、異なる処理ステップに基づいて現在のマスクデータの意味を理解することができる。例えば、上記ステップにおいて、出力された現在のマスクデータは、実際のマスク加工のための、現在の繰り返し周期において判断基準を満たす第2マスクデータである。
【0051】
マスクパターンの結像性能が予め設定された閾値以内であるか、反復回数が最大反復回数を超えているかを判断する。本開示では、結像性能が結像誤差関数で表される。閾値よりも小さい場合又は反復回数が最大反復回数を超えている場合、現在のマスクデータを最適化されたマスクデータとして出力する。そうでない場合、ステップS0に戻って反復計算を行う。一般的な集積回路のマスクに対して、最適化された結像面積の誤差を1%~3%以内に抑えることが必要である。本開示の場合、収束して最適値に達するまでは、反復回数が100~300であればよい。
【0052】
図3は、本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法において第1マスクデータを取得する方法のフローチャートを模式的に示す。
【0053】
図3に示すように、第1マスクを取得する方法は、以下の操作を含む。
【0054】
ステップS11は、予想される結像パターンに基づいて初期マスクパターンを取得する。予想される結像パターンが目標パターンである。
【0055】
ステップS12は、初期マスクパターンに対してピクセル化処理を施し、初期マスクデータおよび予想される結像データを得る。初期マスクデータは、反復回数1回目の第1マスクデータであり、予想される結像データに対応する。
【0056】
予想される結像パターン即ち目標パターンを決定した後、この目標パターンに基づいて初期マスクパターンを決定し、この初期マスクパターンに対してピクセル化処理を施して、初期マスクデータを得る。このステップでパターンを定義するデータは、2値化、ピクセル化された行列である。
【0057】
具体的に、予想される結像データが
で、反復回数1回目の第1マスクデータである初期マスクデータが
である。プログラムに認識させやすいために、初期マスクパターンをラスタライズして等間隔でm×n個のピクセルグリッドに分割する。このとき、各ピクセルグリッドの中心座標を離散値とする。
【0058】
ステップS13は、初期マスクデータ又は更新されたマスクデータを第1マスクデータとしてぼかし処理及び投影処理を施して、第2マスクデータを得る。
【0059】
このステップでは、初期マスクデータ又は更新されたマスクデータに対してぼかし処理を施して、最低限のデザインルールを満たさなく加工できない構造を除去し、そしてぼかし処理が施されたマスクデータに対して2値化投影処理を施し、実際の物理モデルを満たす投影されたマスクデータを得、更にその次の計算を行う。このステップは、実際のマスク加工のニーズを満たすことができる。
【0060】
上記実施例において、初期マスクデータ
又は更新されたマスクデータに対して線状ぼかしを行って
を得、更に2値化投影処理を行って
を得る。
【0061】
線状ぼかし関数は以下である。
ただし、
となり、
がぼかし半径であり、
が初期マスクデータ又は更新されたマスクデータ、即ち第1マスクデータであり、
がぼかし処理が施されたマスクデータであり、rが現在のマスクデータにおける任意の点の座標であり、
が現在のマスクデータにおけるすべての座標点r
jをr座標でトラバースして加算することを表す。
【0062】
線状ぼかし処理により、ノイズが除去され、画像をより滑らかにするとともに、マスク分布もより滑らかにすることができる。これによって、実際の加工のニーズを満たすようにする。
【0063】
上記実施例において、2値化投影関数は以下である。
ただし、βが2値化パラメータであり、ηが2値化閾値であり、
がぼかし処理が施されたマスクデータであり、
が投影処理が施されたマスクデータ、即ち第2マスクデータである。
【0064】
2値化処理された第2マスクデータのマスク行列値は0または1に近くなり、実際のマスクが透明または不透明の2つの状態しか持たないという物理的な意味を満たす。
【0065】
上記実施例において、所定の表面プラズモンリソグラフィ構造に基づいてマスクパターンのSPL結像性能を評価し、現在のマスクデータのフォトレジストにおける結像データを得る。
【0066】
本開示は、任意のマスクパターンの最適化に適用可能である。複数の配向を有する複雑なマスクパターンについて、順方向演算の露光光源の励起源として2回独立に露光されるTM/TE偏光平面波を用いる。したがって、独立に露光されるTM/TE二重偏光平面波光源について、フォトレジストにおける電場は、時間領域差分法により厳密に計算される。また、全波計算でサブ波長構造間の複雑な結合や迷光による空間像への影響が考慮される。現在のマスクデータに対応するフォトレジストにおける結像結果は、電場の3つの成分強度の和である。現像過程が2値化関数
で表されるため、実際のリソグラフィの結像データは、
と表され、ただし、
がフォトレジスト閾値である。同時に、順方向フィールド
と呼ばれるマスクにおけるベクトルフィールドをモニターする。例えば、702は、光が初期マスクパターンを通過し、SPLシステムによるフォトレジストでの光強度分布データに対応する実施例1のパターンであり、703は、2値化された結像データに対応する露光パターンである。
【0067】
上記実施例において、本開示の結像誤差関数Fは、目標パターンと、現在のマスクパターンに対応するフォトレジストにおける結像パターンの各ピクセルとの差の2乗の和として定義され、具体的に、データから算出され、即ち
となる。ただし、
が予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件下におけるマスクデータに対応する結像データであり、
が予想される結像データであり、(x、y)が結像データにおける座標であり、mとnが結像データに対応するx方向とy方向のサンプリングポイント数である。
【0068】
現在算出された結像誤差関数の値が設定された閾値を満たす場合、又は反復回数が最大反復回数よりも大きい場合に、最適化されたマスクデータとして現在のマスクデータを出力し、そうでない場合に反復計算を行う。
【0069】
図4は、本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法において随伴演算を行う方法のフローチャートを模式的に示す。
【0070】
図4に示すように、第2マスクデータに対して随伴演算を行う方法は、以下のステップを含む。
【0071】
ステップS41では、随伴励起源を用いてシミュレーションする。
【0072】
グリーン関数の互換性によって、現在のマスクデータ
を変化させないまま、イメージングモニタを以下の励起源に置き換えてシミュレーションする場合、マスク上の随伴フィールド
が最適化に必要な勾配情報を持つことが分かる。この場合、イメージングモニタと励起源との位置が入れ替わるため、これを随伴演算と称する。
【0073】
【0074】
ステップS42は、時間領域差分法により随伴フィールドデータを求める。
【0075】
ただし、関数
がコーシー・リーマン条件を満たさず、勾配最適化に対して不利であるため、実際の結像パターンの
の関数に近似する
で現在の結像パターンを表し、即ち、
となる。随伴演算は、時間領域差分法により厳密に計算されることができ、マスクにおけるベクトルフィールドの成分をモニターすれば随伴フィールド
が得られる。
【0076】
上記実施例において、ステップS1による順方向フィールド
と、ステップS3による随伴フィールド
と、のベクトル電場データに基づき、第1マスクデータρ(r)に対する結像誤差関数Fの勾配行列
を計算する。ただし、
は現在のマスクデータの屈折率分布であり、得られる勾配行列は、現在のマスクデータにおける各ピクセルによる結像されるパターンの品質への影響の正負及び程度を表す。
【0077】
上記実施例において、上記ステップで計算された勾配行列にしたがって、第1マスクデータを1回更新して、更新されたマスク行列
は、現在のマスク行列
と勾配行列との組み合わせによって得られ、つまり、
となる。ただし、kが現在の反復回数であり、sが予め設定された最適化ステップサイズである。sの経験値は、一般的に0.01~0.1であり、且つアルゴリズムの収束安定性を向上させるために、反復回数の増加とともに減少させることができる。
【0078】
更新後、更新されたマスクデータのすべてのピクセル値は、マスクデータが物理的な意味に適合するように、[0,1]の範囲に限定され、1よりも大きいピクセル値が1に設定され、0よりも小さいピクセル値が0に設定され、[0,1]の範囲にあるピクセル値が変更されない。そして、ステップS1に戻る。
【0079】
上記実施例において、最適化されたマスクデータとして現在のマスクデータを出力し、そして最終的なマスクパターンを出力するステップは、最適化されたマスクデータとして現在のマスクデータを出力し、エッジスムージング処理によって最適化されたマスクデータのエッジを抽出してピクセル化されたジャギーを除去した後、最終的なマスクパターンを出力することを含む。出力される最適化されたマスクデータは、実際の加工のニーズを満たすための現在の第2マスクデータである。
【0080】
本開示は、マスクのピクセル化密度パラメータを最適化パラメータとして、トポロジ最適化によって最終的に最適化されたマスクパターンの形状を決定する。本開示に係るマスク処理部分は、マスクパターンをピクセル化されたグリッドに分割し、ピクセル化されたマスクデータを得るものであり、各ピクセルを0-1の間の値で表すことができ、0が透明なマスクを表し、1が不透明なマスクを表す。順方向演算のほか、随伴演算を導入し、最適化勾配を取得してマスクのトポロジを調整、補正することで、パターンの忠実度及び歩留まりを向上させる。順方向演算及び随伴演算の二回のシミュレーション演算で反復回数ごとの最適化勾配方向を得ることで、最適なマスク構造パラメータに素早く収束しながらサブ波長電磁の近接効果を補正することができるので、パターンの忠実度を高めることができる。更に、上記のようにして得られる最適化されたマスクは、表面プラズモン近接場リソグラフィの方法に適用可能である。
【0081】
以下、1つの具体的な実施例を基に本願方法の各ステップを更に説明する。
図5は、この方法の完全なフローチャートを示す。
【0082】
具体的に、本開示に係る方法は、以下のステップを含む。
【0083】
ステップ501:予想される結像パターン即ち目標パターンを決定した後、この目標パターンに基づいて初期マスクパターンを決定し、この初期マスクパターンに対してピクセル化処理を施し、初期マスクデータを取得して入力する。このステップで定義されたマスクデータは、2値化されたピクセル化行列である。
【0084】
初期マスクデータが反復回数1回目の第1マスクデータと定義され、次回以降の反復から得られる更新されたマスクデータは、前回の反復で得られた第1マスクデータと勾配行列とによって決定される。
【0085】
ステップ502:第1マスクデータ即ち初期マスクデータ又は更新されたマスクデータに対してぼかし処理及び投影処理を施して、第2マスクデータを得る。このステップでは、初期マスクデータ又は更新されたマスクデータに対してぼかし処理を施し、最低限のデザインルールを満たさなく加工できない構造を除去し、そして、実際の物理モデルを満たすように、ぼかし処理が施されたマスクデータに対して2値化投影処理を施し、投影処理が施されたマスクデータを得る。
【0086】
ステップ503:設定された表面プラズモン近接場リソグラフィ構造に基づいて現在のマスクデータの表面プラズモン近接場結像性能を評価する。このステップは、露光光源の励起下でのフォトレジストにおける現在のマスクデータの結像性能を計算しながら、随伴アルゴリズムの勾配更新のための順方向フィールドデータを取得する。ここで、マスクにおけるベクトル電場の分布値は、順方向フィールドである。本開示において、この過程は、順方向演算又は順方向シミュレーションと呼ばれ、上記のS1に相当する。
【0087】
ステップ504:現在のマスクデータの結像性能が予め設定された閾値以内であるか、反復回数が最大反復回数を超えているかを判断する。本開示では、結像性能は、結像誤差関数で表され、対応するフォトレジストにおける現在のマスクデータの結像パターンと、予想される結像データの各ピクセルとの差の2乗として定義される。閾値よりも小さい場合、又は反復回数が最大反復回数よりも大きい場合に、ステップ508に進み、そうでない場合にステップ505に進む。上記のS2に相当する。
【0088】
ステップ505:本開示の随伴アルゴリズムに基づいて、第2マスクデータに対して随伴演算を行う。このステップにおいて、順方向演算のほか、フォトレジストにおけるイメージングモニタを特定の随伴源に置き換える計算が、随伴演算と称される。随伴演算は、与えられた随伴励起源に基づくシミュレーション計算から仮想の随伴フィールドデータを取得することに用いられる。順方向演算と随伴演算の結果から勾配行列を取得しマスクを更新する最適化アルゴリズムが、随伴アルゴリズム称される。上記のS3に相当する。
【0089】
ステップ503、505において、順方向演算と随伴演算は、時間領域差分法を用いて高速かつ高精度に行うことができる。
【0090】
ステップ506:ステップ503における順方向演算の結果と、ステップ505における随伴演算の結果とから、各ピクセルのそれぞれによる結像されるパターンの品質への影響の正負及び程度を計算し、勾配行列を得る。上記のS4に相当する。
【0091】
ステップ507:ステップ506で得られた勾配行列からピクセル化された第1マスクデータを更新し、更新されたマスク行列を得る。そして、ステップ504における結像性能が設計指標を満たすまで、ステップ502~507を繰り返す。上記のS5に相当する。
【0092】
ステップ508:最適化終了後、最適化されたマスクデータとして現在のマスクデータを出力し、エッジスムージング処理によってエッジを抽出し、不要で加工不可能なピクセル化されたエッジジャギーを除去し、トポロジ最適化された最終的なマスクパターンを得る。
【0093】
上記のステップ501~508にしたがって、以下の3つの実施例を提供する。
【0094】
実施例1
図1における101は、マスク、エアギャップ、金属層、フォトレジスト、金属反射層、基板を含む構造である。本実施例において、マスクの厚さを50nm、エアギャップの厚さを20nm、フォトレジストの上方の金属層を20nm、下方の金属層を70nm、フォトレジストの厚さを40nmとする。
【0095】
図6において、601の初期マスクデータ
、602のぼかし処理が施されたマスクデータ
、603の2値化投影処理が施されたマスクデータ
にそれぞれ対応するパターンの模式図を順に示す。
【0096】
次に、現在のマスクデータのSPL結像性能を評価する。
図7に示すように、701は、初期マスクデータに対応するパターンであり、予想される結像パターン即ち目標パターンに対応し、白い部分が透明な部分を示し、黒い部分が非透明なマスク部分を示し、キーフィーチャサイズが70nmである。702は、701をマスクパターンとして、SPLシステムによるフォトレジストでの光強度分布データに対応するパターンを示す。703は、2値化された露光データに対応するパターンを示し、ただし、フォトレジスト露光の2値化閾値を2とする(
)。
【0097】
算出された結像誤差は9.1911%となる。結像誤差の閾値を1.5%、最適化の反復回数を250回と設定すると、設定された閾値を満たしていないことが分かる。
【0098】
ステップ502~508にしたがって、随伴フィールドデータと順方向フィールドデータに基づいて勾配行列を求め、第1マスクデータのピクセル値を更新し、反復処理を行う。第2マスクデータに対応するパターンの反復処理による変化は、
図8における801~806に示される。最終、最適化されたマスクデータが得られ、最終的なマスクパターンを出力して取得する。
【0099】
図9は、本開示に係る方法を用いた最適化により得られたマスクデータ及びそれに対応するフォトレジストにおける結像データに対応するパターンの模式図である。901は、本開示に係る方法を用いたトポロジ最適化により得られたマスクデータに対応するパターンである。902は、901をマスクパターンとして、SPLシステムによるフォトレジストでの光強度分布データに対応するパターンを示す。903は、902の光強度を2値化した露光データに対応するパターンであり、ただし、フォトレジスト露光の2値化閾値が2であり、結像誤差が1.6944%である。
【0100】
図7と
図9を比較すればわかるように、本開示に係る方法は、SPLリソグラフィシステムにおける光近接効果、迷光影響、マスクのシェーディング影響などの近接場強結合による影響を効果的に補正し、表面プラズモンリソグラフィのニーズに応じてより優れた効果を有するマスクパターンを提供できる。
【0101】
実施例2
図10は、
図1の101に示すSPLリソグラフィ構造において、本開示に係る随伴アルゴリズムに基づくマスクのトポロジ最適化方法を用いた最適化前後のマスクデータ及び対応するフォトレジストにおける結像データに対応するパターンの模式図であり、最適化前後の3つのマスクパターンを挙げる。1001、1005、1009が初期マスクパターンであり、1002、1006、1010が2値化露光処理を施して得られたフォトレジスト結像パターンであり、1003、1007、1011が反復処理終了後出力された最終的なマスクパターンであり、1004、1008、1012が最終的な結像パターンである。
【0102】
ただし、マスクの厚さを40nm、エアギャップの厚さを30nm、フォトレジストの上方の金属層を20nm、下方の金属層を50nm、フォトレジストの厚さを30nmとし、マスクのフィーチャサイズがいずれも60nmである。3種類のマスクパターンは、本開示に係る最適化により、対応する結像誤差値がそれぞれ12.3%、3%、6.8%から2.1%、2.1%、2.7%に低減された。本実施例において、結像誤差閾値がいずれも2%であり、反復回数が200回である。
【0103】
実施例3:
図11は、
図1の102に示すSPLリソグラフィ構造において、本開示に係る随伴アルゴリズムに基づくマスクのトポロジ最適化方法を用いた最適化前後のマスクデータ及び対応するフォトレジストにおける結像データに対応するパターンの模式図であり、最適化前後の3つのマスクパターンを挙げる。1101、1105、1109が初期マスクパターンであり、1102、1106、1110が2値化露光処理を施して得られたフォトレジスト結像パターンであり、1103、1107、1111が反復処理終了後出力された最終的なマスクパターンであり、1104、1108、1112が最終的な結像パターンである。
【0104】
ただし、マスクの厚さを40nm、エアギャップの厚さを20nm、フォトレジストの厚さを30nm、下方の金属層を70nmとし、マスクのフィーチャサイズがいずれも70nmである。3種類のマスクパターンは、本開示に係る最適化により、対応する結像誤差値がそれぞれ4.2%、6.1%、4.7%から0.7%、0.6%、1.4%に低減された。本実施例において、結像誤差閾値がいずれも0.5%であり、反復回数が120回である。
【0105】
図12は、本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化のシステムのブロック図を模式的に示す。
図12に示すように、この表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化のシステム1200は、マスク処理モジュール1210と、取得モジュール1220と、結像誤差計算モジュール1230と、随伴フィールドデータ計算モジュール1240と、勾配行列計算モジュール1250と、反復計算モジュール1260とを含む。
マスク処理モジュール1210は、第1マスクデータを取得して、それに対してぼかし処理及び投影処理を施して、第2マスクデータを得る。本開示の実施例によれば、マスク処理モジュール1210は、例えば上記の
図2で説明したステップS0を実行することができ、ここで説明を省略する。
【0106】
取得モジュール1220は、マスクデータと予め設定された表面プラズモン近接場リソグラフィの条件とに基づいて順方向演算を行い、結像データ及び順方向フィールドデータを得る。本開示の実施例によれば、取得モジュール1220は、例えば上記の
図1で説明したステップS1を実行することができ、ここで説明を省略する。
【0107】
結像誤差計算モジュール1230は、結像データと予想される結像データとの結像誤差を計算する。本開示の実施例によれば、結像誤差計算モジュール1230は、例えば上記の
図2で説明したステップS2を実行することができ、ここで説明を省略する。
【0108】
随伴フィールドデータ計算モジュール1240は、マスクデータに対して随伴演算を行い、随伴フィールドデータを得る。本開示の実施例によれば、随伴フィールドデータ計算モジュール1240は、例えば上記の
図2で説明したステップS3を実行することができ、ここで説明を省略する。
【0109】
勾配行列計算モジュール1250は、順方向フィールドデータと随伴フィールドデータとに基づいて第1マスクデータに対する結像誤差の勾配行列を計算する。本開示の実施例によれば、勾配行列計算モジュール1250は、例えば上記の
図2で説明したステップS4を実行することができ、ここで説明を省略する。
【0110】
反復計算モジュール1260は、勾配行列に基づいて第1マスクデータを更新し、最適化されたマスクデータを取得するまで上記ステップを繰り返して反復計算を行い、最終的なマスクパターンを出力する。本開示の実施例によれば、反復計算モジュール1260は、例えば上記の
図2で説明したステップS5を実行することができ、ここで説明を省略する。
【0111】
なお、本開示の実施例によるモジュール、サブモジュール、ユニット、サブユニットのうちの任意の複数、又はそのうちの任意の複数の少なくとも一部の機能は、1つのモジュールで実現可能である。本開示の実施例によるモジュール、サブモジュール、ユニット、サブユニットのいずれか1つまたは複数は、複数のモジュールに分けて実現可能である。本開示の実施例によるモジュール、サブモジュール、ユニット、サブユニットのいずれか1つ又は複数は、少なくとも部分的に、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、システムオンチップ、システムオンボード、システムオンパッケージ、特定用途向け集積回路(ASIC)のようなハードウェア回路として実現されてもよいし、回路を統合またはパッケージ化する他の合理的な方式によるハードウェアまたはファームウェアで実現されてもよいし、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアの3つの実現方法のいずれか1つまたは複数の適切な組み合わせで実現されてもよい。また、本開示の実施例によるモジュール、サブモジュール、ユニット、サブユニットのいずれか1つまたは複数は、少なくとも部分的に、実行されると対応する機能を実現できるコンピュータプログラムモジュールとして実現されてもよい。
【0112】
例えば、マスク処理モジュール1210、取得モジュール1220、結像誤差計算モジュール1230、随伴フィールドデータ計算モジュール1240、勾配行列計算モジュール1250、反復計算モジュール1260のうちの任意の複数は、1つのモジュールに統合されて実現してもよいし、そのうちのいずれか1つのモジュールは複数のモジュールに分けられてもよい。また、これらのモジュールのいずれか1つまたは複数のモジュールの少なくとも一部の機能は、他のモジュールの少なくとも一部の機能と結合し、1つのモジュールで実現可能である。本開示の実施例によれば、マスク処理モジュール1210、取得モジュール1220、結像誤差計算モジュール1230、随伴フィールドデータ計算モジュール1240、勾配行列計算モジュール1250、反復計算モジュール1260の少なくとも1つは、少なくとも部分的に、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、システムオンチップ、システムオンボード、システムオンパッケージ、特定用途向け集積回路(ASIC)のようなハードウェア回路として実現されてもよいし、回路を統合またはパッケージ化する他の合理的な方式によるハードウェアまたはファームウェアで実現されてもよいし、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアの3つの実現方法のいずれか1つまたは複数の適切な組み合わせで実現されてもよい。また、マスク処理モジュール1210、取得モジュール1220、結像誤差計算モジュール1230、随伴フィールドデータ計算モジュール1240、勾配行列計算モジュール1250、反復計算モジュール1260の少なくとも1つは、少なくとも部分的に、実行されると対応する機能を実行できるコンピュータプログラムモジュールとして実現されてもよい。
【0113】
図13は、本開示の実施例による上記のような方法を実現するために適用する電子機器のブロック図を模式的に示す。
図13に示す電子機器は一例にすぎず、本開示の実施例の機能と使用範囲を限定するものではない。
【0114】
図13に示すように、本実施例で説明された電子機器1300は、プロセッサ1301を含む。このプロセッサ1301は、リードオンリーメモリ(ROM)1302に記憶されているプログラム、又は記憶手段1308からランダムアクセスメモリ(RAM)1303にロードされているプログラムに基づいてさまざまな適合な動作処理を実行することができる。プロセッサ1301は、例えば、汎用マイクロプロセッサ(例えばCPU)、命令セットプロセッサ及び/又は関連チップセット及び/又は専用マイクロプロセッサ(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))などを含んでもよい。プロセッサ1301は、キャッシュ用途のオンボードメモリをさらに含んでもよい。プロセッサ1301は、本開示の実施例によるプロセスの異なる動作を実行するための1つまたは複数の処理ユニットを含んでもよい。
【0115】
RAM1303は、システム1300の動作に必要なさまざまなプログラム及びデータを記憶している。プロセッサ1301、ROM1302、RAM1303は、バス1304を介して互いに接続されている。プロセッサ1301は、ROM1302及び/又はRAM1303におけるプログラムを実行することで本開示の実施例による方法のさまざまな動作を実行する。なお、プログラムは、ROM1302及びRAM1303以外の1つまたは複数のメモリに記憶されてもよい。プロセッサ1301は、1つまたは複数のメモリに記憶されているプログラムを実行することで本開示の実施例による方法のさまざまな動作を実行してもよい。
【0116】
本開示の実施例によれば、電子機器1300は、バス1304にも接続されている入力/出力(I/O)インターフェース1305を含んでもよい。システム1300は、I/Oインターフェース1305に接続されている、キーボードや、マウスなどを含む入力手段1306と、陰極線管(CRT)や、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ、及びスピーカーなどを含む出力手段1307と、ハードディスクなどを含む記憶手段1308と、LANカードや、モデムなどのネットワークインタフェースカードを含む通信手段1309と、のうちの1つまたは複数を含んでもよい。通信手段1309は、インターネットなどのネットワークを通じて通信を行う。ドライブ1310も、必要に応じてI/Oインターフェース1305に接続される。磁気ディスクや、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル媒体1311は、必要に応じてドライブ1310と接続される。これによって、リムーバブル媒体1311から読み出されたコンピュータプログラムを記憶手段1308にインストールすることができる。
【0117】
本開示の実施例によれば、本開示の実施例によるプロセスは、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現され得る。例えば、本開示の実施例は、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶化されたコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を有し、このコンピュータプログラムは、フローチャートに示す方法を実行するためのプログラムコードを含む。このような実施例において、このコンピュータプログラムは、通信手段1309を通じてネットワークからダウンロードされ、インストールされてもよく、及び/又はリムーバブル媒体1311からインストールされてもよい。このコンピュータプログラムがプロセッサ1301に実行されると、本開示の実施例に係るシステムに限定される上記機能を実行する。本開示の実施例によれば、上記で説明されたシステム、機器、装置、モジュール、ユニットなどは、コンピュータプログラムモジュールによって実現可能である。
【0118】
本開示の実施例は、コンピュータ読取可能な記憶媒体を更に提供し、このコンピュータ読取可能な記憶媒体は、上記実施例で説明された機器/装置/システムに含まれてもよく、これらの機器/装置/システムに含まれずに独立した存在としてもよい。上記コンピュータ読取可能な記憶媒体は、実行されると本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法を実現する1つまたは複数のプログラムを記憶している。
【0119】
本開示の実施例によれば、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、不揮発性コンピュータ読取可能な記憶媒体であってもよい。例えば、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置又はそれらの任意の適切な組合せを含むが、これらに限定されない。本開示の実施例において、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、命令実行システム、装置又は機器に使用され、またはそれらに結合して使用されるプログラムを格納又は記憶する有形的な媒体であってもよい。例えば、本開示の実施例によれば、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、上記のROM1302及び/又はRAM1303及び/又はROM1302及びRAM1303以外の1つまたは複数のメモリを含んでもよい。
【0120】
本開示の実施例は、コンピュータプログラム製品を更に含み、このコンピュータプログラム製品は、フローチャートに示す方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムを含む。コンピュータプログラム製品がコンピュータシステムで実行されると、このプログラムコードは、コンピュータシステムに本開示の実施例による表面プラズモン近接場リソグラフィにおけるマスクのトポロジ最適化の方法を実現させる。
【0121】
このコンピュータプログラムがプロセッサ1301に実行されると、本開示の実施例に係るシステム/装置に限定される上記機能を実行する。本開示の実施例によれば、上記で説明されたシステム、装置、モジュール、ユニットなどは、コンピュータプログラムモジュールによって実現可能である。
【0122】
一実施例において、このコンピュータプログラムは、光記憶装置、磁気記憶装置などの有形的な記憶媒体に記憶されてもよい。別の一実施例において、このコンピュータプログラムは、信号としてネットワークで伝送され、配信されてもよく、通信手段1309を通じてダウンロードされ、インストールされてもよく、及び/又はリムーバブル媒体1311からインストールされてもよい。このコンピュータプログラムに含まれるプログラムコードは、任意の適切なネットワークで伝送されてもよい。ワイヤレス、有線など、または上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0123】
このような実施例において、このコンピュータプログラムは、通信手段1309を通じてネットワークからダウンロードされ、インストールされてもよく、及び/又はリムーバブル媒体1311からインストールされてもよい。このコンピュータプログラムがプロセッサ1301に実行されると、本開示の実施例に係るシステムに限定される上記機能を実行する。本開示の実施例によれば、上記で説明されたシステム、機器、装置、モジュール、ユニットなどは、コンピュータプログラムモジュールによって実現可能である。
【0124】
本開示の実施例によれば、本開示の実施例を実行するためのコンピュータプログラムのプログラムコードは、1つまたは複数のプログラミング言語の如何なる組み合わせで開発してもよい。具体的に、これらのコンピュータプログラムは、アドバンストプロセス及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語及び/又はアセンブリ/マシン言語で実現されてもよい。プログラミング言語は、例えばJava、C++、python、Cプログラミング言語又は類似なプログラミング言語を含むがこれらに限定されない。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータで実行してもよいし、部分的にユーザのコンピュータで実行してもよいし、部分的にリモートコンピュータで実行してもよいし、完全にリモートコンピュータ又はサーバで実行してもよい。リモートコンピュータに関する場合、リモートコンピュータは、例えば地域ネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)などの如何なるネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよいし、例えばインターネットのプロバイダが提供したインターネットを介して外部のコンピュータに接続されてもよい。
【0125】
また、本開示の各実施例における各機能モジュールは、1つの処理モジュールに統合してもよく、独立した物理的な存在としてもよく、2つ以上のモジュールを1つのモジュールに統合させてもよい。上記の集積したモジュールは、ハードウェアの方式で実現してもよく、ソフトウェアによる機能モジュールの方式で実現してもよい。集積したモジュールは、ソフトウェア機能モジュールの形式で実現され、独立した製品として販売されたり使用されたりする場合、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されることが可能である。このような理解から、本開示の技術案のそのもの、或いは従来技術に寄与できる部分、或いはこの技術案の全部又は一部は、ソフトウェア製品の形式で実現できる。
【0126】
図面におけるフローチャートとブロック図が、本開示の各実施例によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品に基づく実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を示した。ここで、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、所定の論理機能を実現するための1つまたは複数の実行可能な命令が含まれている、1つのモジュール、プログラムセグメントまたはコードの一部を表すことが可能である。そして、置き換え可能な実現方式において、ブロックに記載された機能の実現が図面に示した順序と異なってもよい。例えば、2つの連続するブロックは、実際にほぼ並行に実行してもよく、場合によって逆の順序で実行してもよい。これは、必要な機能によって決められる。そして、ブロック図及び/又はフローチャートにおける各ブロックと、ブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックとの組み合わせは、所定の機能または動作を実行する専用の、ハードウェアに基づくシステムにより実現されてもよく、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせにより実現されてもよい。
【0127】
当業者であればわかるように、本開示の各実施例及び/又は特許請求の範囲に記載されている特徴は、本開示に明示されなくてもさまざまな組み合わせ及び/又は結合を行ってもよい。特に、本開示の精神と範囲を逸脱しない限り、本開示の各実施例及び/又は特許請求の範囲に記載されている特徴は、さまざまな組み合わせ及び/又は結合を行ってもよい。これらのすべての組み合わせ及び/又は結合は、いずれも本開示の範囲に属する。
【0128】
本開示の特定の例示的な実施例を参照しながら本開示を説明したが、当業者にとって、付する特許請求の範囲及びその均等範囲によって限定される本開示の精神と範囲を逸脱しない限り、本開示の形態および詳細において様々な変更が可能である。そのため、本開示の範囲は、上記実施例に限定されるべきではなく、付する特許請求の範囲のみならず、その均等範囲によっても限定されるべきである。