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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ノイズ・フィルタ及びノイズ低減方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20240924BHJP
   G01R 13/20 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
H03H7/01 A
G01R13/20 P
G01R13/20 K
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019018895
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2019146163
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】62/626,622
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/116,677
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーン・ジェイ・ピカード
(72)【発明者】
【氏名】カン・タン
(72)【発明者】
【氏名】ピルーズ・ホジャブリ
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0288392(US,A1)
【文献】特開2018-009971(JP,A)
【文献】特開昭54-027341(JP,A)
【文献】特開2001-217669(JP,A)
【文献】特開2010-177954(JP,A)
【文献】特開2016-025662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H1/00-7/13
G01R13/00-13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験測定装置の特定のチャンネルによって入力信号に加えられるノイズを低減するノイズ・フィルタであって、
上記入力信号を受けて、該入力信号を少なくとも第1スプリット信号及び第2スプリット信号にスプリットするよう構成されるスプリッタと、
可変減衰器と、
可変遅延ラインと
を有し、上記第1スプリット信号を受けるよう構成される第1パスと、
上記第2スプリット信号を受けるよう構成される第2パスと、
上記第1パスからの信号と上記第2パスからの信号とを合成信号に合成するよう構成される合成部と、
上記合成信号を受けて、該合成信号を表すデジタル信号を出力するよう構成されるアナログ・デジタル・コンバータと、
上記デジタル信号を受けて、上記特定のチャンネルの周波数応答に対応した特定の時間線形イコライザ形状の応答と合致するフィルタ処理デジタル信号を出力するよう構成される再成形フィルタと
を具えるノイズ・フィルタ。
【請求項2】
上記入力信号を受けて、該入力信号を高周波数帯域信号及び低周波数帯域信号に分離するよう構成されるマルチプレクサを更に具え、
上記スプリッタで受ける上記信号が上記低周波数帯域信号である請求項のノイズ・フィルタ。
【請求項3】
上記マルチプレクサは第1マルチプレクサであり、上記合成信号は第1合成信号であって、上記ノイズ・フィルタが、上記第1合成信号及び上記高周波数帯域信号を受けて、第2合成信号を出力するよう構成される第2マルチプレクサを更に具える請求項のノイズ・フィルタ。
【請求項4】
試験測定装置の特定のチャンネルによって差動信号対に加えられるノイズを低減するノイズ・フィルタであって、
上記差動信号対のポジティブ信号を受けて、該ポジティブ信号の全帯域幅を実質的に夫々含む少なくとも第1スプリット信号及び第2スプリット信号に上記ポジティブ信号をスプリットするよう構成される第1スプリッタと、
上記差動信号対のネガティブ信号を受けて、該ネガティブ信号の全帯域幅を実質的に夫々含む少なくとも第3スプリット信号及び第4スプリット信号に上記ネガティブ信号をスプリットするよう構成される第2スプリッタと、
第1可変減衰器及び第1可変遅延ラインを有し、上記第1スプリット信号を受けるよう構成される第1パスと、
上記第2スプリット信号を受けるよう構成される第2パスと、
第2可変減衰器及び第2可変遅延ラインを有し、上記第3スプリット信号を受けるよう構成される第3パスと、
上記第4スプリット信号を受けるよう構成される第4パスと、
上記第1パスからの信号と上記第4パスからの信号とを第1合成信号に合成するよう構成される第1合成部と、
上記第2パスからの信号と上記第3パスからの信号とを第2合成信号に合成するよう構成される第2合成部と、
上記第1合成信号及び上記第2合成信号を第3合成信号に合成するよう構成される第3合成部と、
上記第3合成信号を受けて、該第3合成信号を表すデジタル信号を出力するよう構成されるアナログ・デジタル・コンバータと、
上記デジタル信号を受けて、上記特定のチャンネルの周波数応答に対応した特定の時間線形イコライザ形状の応答と合致するフィルタ処理デジタル信号を出力するよう構成される再成形フィルタと
を具えるノイズ・フィルタ。
【請求項5】
試験測定装置の特定のチャンネルによって差動信号対に加えられるノイズを低減するノイズ・フィルタであって、
上記差動信号対のポジティブ信号を受けて、該ポジティブ信号の全帯域幅を実質的に夫々含む少なくとも第1スプリット信号及び第2スプリット信号に上記ポジティブ信号をスプリットするよう構成される第1スプリッタと、
上記差動信号対のネガティブ信号を受けて、該ネガティブ信号の全帯域幅を実質的に夫々含む少なくとも第3スプリット信号及び第4スプリット信号に上記ネガティブ信号をスプリットするよう構成される第2スプリッタと、
第1可変減衰器及び第1可変遅延ラインを有し、上記第1スプリット信号を受けるよう構成される第1パスと、
上記第2スプリット信号を受けるよう構成される第2パスと、
第2可変減衰器及び第2可変遅延ラインを有し、上記第3スプリット信号を受けるよう構成される第3パスと、
上記第4スプリット信号を受けるよう構成される第4パスと、
上記第1パスからの信号と上記第2パスからの信号とを第1合成信号に合成するよう構成される第1合成部と、
上記第3パスからの信号と上記第4パスからの信号とを第2合成信号に合成するよう構成される第2合成部と、
上記第1合成信号及び上記第2合成信号を第3合成信号に合成するよう構成される第3合成部と、
上記第3合成信号を受けて、該第3合成信号を表すデジタル信号を出力するよう構成されるアナログ・デジタル・コンバータと、
上記デジタル信号を受けて、上記特定のチャンネルの周波数応答に対応した特定の時間線形イコライザ形状の応答と合致するフィルタ処理デジタル信号を出力するよう構成される再成形フィルタと
を具えるノイズ・フィルタ。
【請求項6】
試験測定装置の特定のチャンネルによって差動信号対に加えられるノイズを低減するノイズ・フィルタであって、
差動信号対のポジティブ信号を受けて、該ポジティブ信号をポジティブ高周波数帯域信号及びポジティブ低周波数帯域信号に分離するように構成される第1マルチプレクサと、
上記差動信号対のネガティブ信号を受けて、該ネガティブ信号をネガティブ高周波数帯域信号及びネガティブ低周波数帯域信号に分離するように構成される第2マルチプレクサと、
第1可変減衰器及び第1可変遅延ラインを有し、上記ネガティブ高周波数帯域信号を受けるよう構成される第1パスと、
上記ポジティブ高周波数帯域信号を受けるよう構成される第2パスと、
第2可変減衰器及び第2可変遅延ラインを有し、上記ネガティブ低周波数帯域信号を受けるよう構成される第3パスと、
上記ネガティブ低周波数帯域信号を受けるよう構成される第4パスと、
上記第1パスからの信号と上記第2パスからの信号とを第1合成信号に合成するよう構成される第1合成部と、
上記第3パスからの信号と上記第4パスからの信号とを第2合成信号に合成するよう構成される第2合成部と、
上記第1合成信号及び上記第2合成信号を第3合成信号に合成するよう構成される第3マルチプレクサと、
上記第3合成信号を受けて、該第3合成信号を表すデジタル信号を出力するよう構成されるアナログ・デジタル・コンバータと、
上記デジタル信号を受けて、上記特定のチャンネルの周波数応答に対応した特定の時間線形イコライザ形状の応答と合致するフィルタ処理デジタル信号を出力するよう構成される再成形フィルタと
を具えるノイズ・フィルタ。
【請求項7】
試験測定装置の特定のチャンネルによって入力信号に加えられるノイズを低減するノイズ低減方法であって、
上記入力信号を、少なくとも第1スプリット信号及び第2スプリット信号にスプリットする処理と、
可変減衰器に減衰量を設定する処理と、
可変遅延ラインに遅延量を設定する処理と、
上記可変減衰器により上記減衰量だけ上記第1スプリット信号を減衰する処理と、
上記可変遅延ラインにより上記遅延量だけ減衰された上記第1スプリット信号を遅延する処理と、
減衰及び遅延された上記第1スプリット信号と上記第2スプリット信号とを合成信号に合成する処理と、
上記合成信号を、該合成信号を表すデジタル信号に変換する処理と、
上記デジタル信号を受けて、上記特定のチャンネルの周波数応答に対応した特定の時間線形イコライザ形状の応答と合致するフィルタ処理デジタル信号を出力するためのフィルタ処理と
を具えるノイズ低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験測定システムの態様に関連するノイズ・フィルタ及びノイズ低減方法に関し、特に、試験測定システムにおいてノイズと周波数の減衰を制御するためのノイズ・フィルタ及びノイズ低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試験測定システムは、例えば、被試験デバイス(DUT)からの信号入力を受け、その信号をサンプルし、その結果を波形として表示するように設計されている。試験測定システムの入力チャンネルは、DUTからの信号にノイズを加えることがある。時として、試験測定システムによって信号に加えられたノイズをフィルタ処理で除去するために、個々に合わせた(個別化した)固定パッシブ・ノイズ・フィルタを構築することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-009971号公報
【文献】特開2018-014718号公報
【文献】特開2018-074587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ノイズ・フィルタは、DUTから受けた信号の形式に加えて、試験測定装置のチャンネル特性によって決まる。個々に合わせた固定ノイズ・フィルタが効果を生むためには、ユーザは、DUTを試験するのに使用するチャンネルの損失とデータ・レートに最も適合する多数の様々な固定ノイズ・フィルタが手元に必要となろう。これら種々の異なる固定ノイズ・フィルタは、高価であり、ある試験の状況について、どのノイズ・フィルタが必要であるかを把握するのは、困難なことがある。
【0005】
アクティブ・ノイズ・フィルタの中には、プログマブルのものがあり、個別化した固定パッシブ・ノイズ・フィルタの代わりに使うことができる。しかし、これらプログマブル・アクティブ・ノイズ・フィルタは、広く多種多様な状況で効果的に利用するには、多くの場合、ノイズを多く生成し過ぎる。更に、これらプログマブル・アクティブ・ノイズ・フィルタは、多くの場合、70GHzのような、高い帯域幅まで拡張できない。
【0006】
実現できる帯域幅を最大化することに加えて、多数の部品の使用を最小化する広帯域幅のノイズ・フィルタが必要となっている。本発明の実施形態は、従来技術のこれらや他の欠点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願で開示されるのは、DUTから受ける信号から試験測定装置のチャンネルによって加えられるノイズを除去するための、連続的又は段階的可変パッシブ・ノイズ・フィルタである。このノイズ・フィルタは、少なくとも第1スプリット信号及び第2スプリット信号の夫々に信号をスプリットするよう構成されるスプリッタを有していても良い。第1パスは、第1スプリット信号を受けると共に、可変減衰器や可変遅延ラインを有し、これらは、DUTが接続される試験測定装置のチャンネルに基づいて設定されても良い。可変減衰器や可変遅延ラインは、詳しくは後述のように、連続的又は段階的であっても良い。第2スプリット信号を受ける第2パスが更にあっても良く、そして、合成部は、第1パスからの信号と第2パスからの信号とを合成信号に合成する。
【0008】
第2パスには、固定遅延ラインがあっても良く、また、場合によっては、基準信号があっても良い。第1パス中の信号は、試験測定装置で加えられるノイズを調整するように遅延及び減衰され、次いで、第1パス中の信号は、試験測定装置のチャンネルで加えられたノイズのない入力信号を求めるために、第2パス上の基準信号から引き算される。こうしたノイズ・フィルタの様々な実施形態が、図1~6に関連して説明される。
【0009】
本発明の実施形態は、試験測定装置のチャンネルが連続時間線形イコライザ(continuous time linear equalizer:CTLE)形状の応答という周波数応答を有することが可能になるのに加えて、試験測定装置のノイズを低減するという改善をもたらす。このノイズの低減は、複数の異なるCTLEフィルタを手元に保持して、特定の試験状況に基づいて、これらフィルタを交換する必要なしに実現でき、更に言えば、試験のニーズに基づいて、可変減衰器や可変遅延ラインをプログラムするか又は設定できる。本発明の実施形態は、更に、70GHz以上のような、高周波数帯域幅においても実現できる。
【0010】
本発明の実施形態の態様、特徴及び効果は、添付の図面を参照し、以下の実施形態の説明を読むことで明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明のある実施形態による、可変減衰器や可変遅延ラインを有するノイズ・フィルタの例示的なブロック図を示す。
図2図2は、本発明の別の実施形態による、可変減衰器や可変遅延ラインを有するノイズ・フィルタの別の例示的なブロック図を示す。
図3図3は、本発明の別の実施形態による、入力信号を高周波数帯域信号と低周波数帯域信号にスプリットするマルチプレクサを有し、更に、可変減衰器や可変遅延ラインも有するノイズ・フィルタの別の例示的なブロック図を示す。
図4図4は、本発明の別の実施形態による、ポジティブ及びネガティブ信号のクロス結合処理を用いる差動信号用のノイズ・フィルタの別の例示的なブロック図を示す。
図5図5は、本発明の別の実施形態による、クロス結合処理のない差動信号用のノイズ・フィルタの別の例示的なブロック図を示す。
図6図6は、本発明の別の実施形態による、ポジティブ入力信号及びネガティブ入力信号を高周波数帯域信号と低周波数帯域信号にスプリットするマルチプレクサを有する差動信号用のノイズ・フィルタの別の例示的なブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明のある実施形態による例示的なノイズ・フィルタ100のブロック図を示す。このノイズ・フィルタ100は、例えば、CTLEフィルタであっても良い。ノイズ・フィルタ100には、被試験デバイス(図示せず)からの信号のような入力信号を受けるよう構成されたオプションの直流(DC)ブロック102がある。DCブロック102は、例えば、無線周波数(RF)信号が通過可能である一方で、オーディオ及びDC周波数の干渉は、阻止(ブロック)するよう構成されても良い。ノイズ・フィルタ100には、更に、DCブロック102からの出力信号を受けるか、又は、もしDCブロック102が省略された場合には入力信号を受けるスプリッタ104があっても良い。スプリッタ104は、例えば、ウィルキンソン(Wilkinson)スプリッタであっても良く、これは、3デシベル(dB)の信号損失がある。なお、ウィルキンソン・スプリッタは、一般にDC付近で動作しないので、この場合には、DCブロック102を設けると良い。しかし、本発明の実施形態は、こうしたスプリッタに限定されず、信号をスプリット信号にスプリットする任意のスプリッタを含むことができる。いくつかの実施例では、各スプリット信号が入力信号の全帯域幅を実質的に含むように信号をスプリット(分岐)するようスプリッタが構成されても良い。例えば、使用しても良い別の形式のスプリッタとしては、3抵抗パワー・スプリッタ又はマルチプレクサがある。
【0013】
スプリッタ104の出力信号は、2つの信号パスに供給される。第信号パスには、固定遅延ライン106がある。第信号パスには、可変減衰器(可変アッテネータ)108と、可変遅延ライン110とがある。この例示的な実施形態では、可変減衰器108及び可変遅延ライン110は、連続的に可変である。減衰器108及び遅延ライン110の両方は、連続的に可変として示されるが、実施形態は、こうした組み合わせに限定されない。逆に、減衰器108及び遅延110のいずれかだけが可変であっても良い。他の変形が、図2~6に関して以下で詳細に説明される。更に、実施形態は、第信号パスの信号が、遅延ライン110で遅延される前に減衰器108で減衰されることに限定されない。当業者であれば理解されるように、実施形態によっては、図示しないが、第信号パスの信号が、減衰器108で減衰される前に遅延ライン110で遅延されても良い。
【0014】
可変減衰器108や可変遅延ライン110は、手動又はコントローラ112によって調整されても良い。コントローラ112について説明するが、本発明の実施形態は、この実現形態に限定されない。それどころか、可変減衰器108や可変遅延ライン110は、ユーザによって手動で調整されても良い。
【0015】
可変減衰器108は、低周波数と高周波数間のマグニチュードの差をデシベル単位で制御しても良い。可変減衰器108の調整は、ノイズ・フィルタ100全体のポール(pole:極)の位置を動かさない。即ち、減衰器108は、周波数応答のピークの高さを変更するだけで、周波数に関しては、周波数応答のピークを動かさない。このように、所与のデータ・レートについて、異なるDUTチャンネルの損失に適したものとなる(accommodate)ように調整されても良い。一方、可変遅延ライン110は、高及び低周波数間の大きさのレンジを変更することなく、周波数に関してノイズ・フィルタ100のポールの位置を動かす。このように、可変遅延ライン110は、異なるデータ・レートの信号に適したものとなるように調整されても良い。即ち、可変減衰器108又は可変遅延ライン110は、DUTからの信号を受けたのが試験測定装置のどのチャンネルであるかに基づいて、そのチャンネルによって加えられた全てのノイズを除去できるように、手動又はコントローラのいずれかによって調整されても良い。例えば、詳しくは後述するように、ユーザは、所望の減衰量や遅延量を求めることができ、可変減衰器108の設定を設定したり、遅延ライン110の長さを所望量に変更したりできる。別の実施形態では、ユーザは、所望量を試験測定装置に設定できるようにしても良く、試験測定装置は、次いで、可変減衰器108や可変遅延ライン110を調整するための命令をコントローラへ送信する。更に、実施形態によっては、試験測定装置が、その各チャンネルに関してメモリに保存された特定の減衰量や遅延を有し、どのチャンネルにDUTが接続されたかに基づいて、コントローラに指示しても良い。
【0016】
合成部114は、第1信号パス及び第2信号パスの両方から信号を受け、これら2つの信号を1つに組み合わせ(合成し)、ネガティブ・ブランチ(分岐)和信号を得る。合成部114は、第1信号パスと第2信号パスからの信号を引き算するか、又は、一方のパスを反転させる場合には、第1信号パスと第2信号パスからの信号を結合するかのいずれかで、ネガティブ・ブランチ和信号を実現すると良い。例えば、実施形態によっては、合成部114は、バラン(balun)であっても良く、これには、反転入力と非反転入力があり、ノイズ・フィルタ周波数応答に関して所望の形状を提供する。実施形態によっては、バランは、6dB損失バランであっても良い。別の例としては、実施形態によっては、合成部114がアクティブ差動増幅器であっても良く、これは、利得を提供するのに加えて、ゼロ周波数までずっと動作できる。
【0017】
合成信号は、アナログ・デジタル・コンバータ116によって、アナログ信号からデジタル信号へと変換されても良い。デジタル信号は、メモリに保存されるか、又は、試験測定装置において、更に処理されても良い。実施形態によっては、ノイズ・フィルタ100内にフィルタ118が更に用意されても良く、これは、メモリに蓄積される前か、又は、オシロスコープ(図示せず)のような試験測定システムによって更に処理する前に、デジタル信号を更にフィルタ処理するローパス・フィルタ、ディエンベッド・フィルタ、又は再形成(reshaping)フィルタであっても良い。ローパス・フィルタは、もし使用する場合には、デジタル信号の第1スロープとピークだけを含むように、デジタル化信号の帯域幅を制限できる。例えば、ノイズ・フィルタ100の応答(レスポンス)は、形状が正弦曲線的であっても良く、第1スロープのみ使用される。ディエンベッド・フィルタは、もし使用する場合には、試験測定装置のチャンネルの周波数応答をフラットな応答に戻るよう再形成する(作り直す)ことができる。そうするときに、ノイズ・フィルタ100によって導入されるノイズは、DUTのノイズを低減することなく、低減される。最後に、ノイズ・フィルタ100の出力信号ができるだけ所望の応答に近くなるように、減衰器108や遅延ライン110を調整できる。もし再成形フィルタを使う場合には、この再成形フィルタは、出力信号が所望の応答であるように更に再形成する。例えば、試験測定装置のチャンネルが、特定の工業規格のCTLE形状応答を有する周波数応答を有することが必要な場合には常に、再成形フィルタを使っても良い。
【0018】
ADC116又はフィルタ118の出力信号は、入力信号と実質的に同様であるが、試験測定装置のチャンネルが原因で生じる周波数減衰の変動は、DUTに接続された試験測定装置のチャンネルに基づいて遅延及び減衰された第1パスの信号と、既知の固定遅延量だけ遅延された第2パスの信号とを合成部114によって合成することにより除去される。
【0019】
図2は、本発明のある実施形態による別の例示的なノイズ・フィルタ200のブロック図を示す。図1と同様に、ノイズ・フィルタ200には、DCブロック102、スプリッタ104、固定遅延106、合成部114、ADC116及びフィルタ118があり、上述したこれら及びこれらの変形と同様のものである。このため、これらコンポーネントについては、図2に関して、再度、詳細には説明しない。ノイズ・フィルタ200は、図1のノイズ・フィルタ100のような連続的な制御ではなく、後述のように、ノイズ・フィルタの周波数応答の段階的な制御(stepped control)を提供する。
【0020】
図2のノイズ・フィルタ200には、更に、図1と同様に、可変減衰器202や可変遅延ライン210がある。しかし、可変減衰器202や可変遅延ライン210のいずれか又は両方は、多数の固定コンポーネントから構成され、これらは、第信号パスに切り替わったり、第信号パスから切り離されたりする。
【0021】
例えば、可変減衰器202には、多数の固定減衰器204があっても良く、これらが減衰量を変更する。固定減衰器204として様々な減衰量を列挙しているが、こうしたものは、説明の都合上で示しているだけで、当業者であれば、本発明は、これら特定の固定減衰量に限定されないことが理解されよう。それどころか、これら固定減衰器204は、図2に示したものと異なる減衰量を有していても良い。選択された減衰量に第信号パスを切り替えるのに、単極多投スイッチ(single pole multi throw switch)206を用意しても良い。スイッチは、ユーザによって手動で切り替えられても良いし、又は、コントローラ112によって操作されて切り替えられても良い。
【0022】
実施形態によっては、可変遅延ライン210も、多数の固定遅延ライン212があっても良く、これらが遅延量を変更する。選択された遅延量に第信号パスを切り替えるのに、単極多投スイッチ214を用意しても良い。可変減衰器202と同様に、スイッチは、ユーザによって手動で切り替えられても良いし、又は、コントローラ112によって操作されて切り替えられても良い。実施形態によっては、可変減衰器202及び可変遅延ライン210の夫々用に、別々のコントローラ112が用意されても良い。
【0023】
図2は、可変減衰器202及び可変遅延ライン210の両方が、複数の固定コンポーネント及びスイッチを有することを図示しているが、実施形態によっては、当業者には理解されるように、減衰器200及び遅延ライン210の一方だけが複数の固定コンポーネント及び複数のスイッチを有する一方で、他方は、単一の固定コンポーネントであるか又は上述した可変減衰器108又は可変遅延ライン110である。即ち、可変減衰器108及び200並びに可変遅延ライン110及び210が、減衰器108及び200又は遅延ライン110及び210のいずれかを固定にすることも含めて、任意の組み合わせで用意されても良い。
【0024】
図2に示す実施形態では、4つの固定減衰器204と3つの固定遅延ライン212に基づいて、12個の可能な周波数応答設定が用意される。しかし、実施形態は、こうした実現形態に限定されない。むしろ、任意の個数の固定遅延ライン212に加えて、任意の個数の固定減衰器204が存在し、第信号パスに切り替えられても良い。
【0025】
図3は、本発明のある実施形態による別の例示的なノイズ・フィルタ300を示す。図1及び2と同様に、ノイズ・フィルタ300には、スプリッタ104、固定遅延106、コントローラ112、合成部114、ADC116及びフィルタ118があっても良く、上述したこれら及びこれらの変形と同様のものである。このため、これらコンポーネントについては、図3に関して、再度、詳細には説明しない。
【0026】
ノイズ・フィルタ300には、DUTからの入力信号を受けるマルチプレクサ302があっても良い。マルチプレクサ302は、パッシブ・デバイスであり、周波数領域の多重化処理(multiplexing)を実現する。マルチプレクサ302は、入力信号のような、広い周波数レンジの信号を、互いに排他的な周波数レンジを有する2つ以上の信号帯域に変換する。信号を2つの周波数帯域に変換するマルチプレクサ302は、デプレクサと呼んでも良く、信号を3つの周波数帯域に変換するマルチプレクサは、トリプレクサと呼んでも良い、等である。例えば、マルチプレクサ302は、高周波数帯域及び低周波数帯域を含む複数の周波数帯域に入力信号を分離するように構成されている。高周波数帯域及び低周波数帯域は、次いで、高周波数チャンネル及び低周波数チャンネルに沿って夫々送られても良い。
【0027】
低周波数帯域は、上述した図1及び2と同様に、スプリッタ10で受けるとしても良い。図3に示す実施形態では、可変減衰器108及び可変遅延ライン110、第信号パスにおいて示されている。しかし、本発明の実施形態は、この実現形態に限定されない。当業者であれば理解されるように、可変減衰器202や可変遅延ライン210が、図2に示される実施形態と同様にして、第信号パスに設けられても良い。更に、可変減衰器108若しくは202又は可変遅延ライン110若しくは210のいずれか1つだけを用意して、他のコンポーネントは固定としても良い。
【0028】
合成部114からの合成信号は、マルチプレクサ304で受けるが、これは、低周波数帯域と高周波数帯域をまとめてフル帯域幅の信号に合成する合成部として機能し、フル帯域幅は、ADC116がある場合には、ADC116で変換され、フィルタ118がある場合には、フィルタ118でフィルタ処理されても良い。
【0029】
マルチプレクサ302及び304は、スプリッタ102よりも損失が低い。マルチプレクサ302及び304は、入力信号の帯域幅がどの程度広いかに依存して、例えば、低周波数帯域では数十デジベルの損失があり、高帯域では1.5から3デシベルの損失がある。このため、ノイズ・フィルタ300は、損失の大きい部分が入力信号の低帯域の周波数にある場合には、有益なものとなろう。ノイズ・フィルタ300は、低帯域の周波数における信号をより良く形成し、SNRをより良くするのに利用でき、同時に、より良い分解能で捕捉されるようにシステムの高帯域における損失を低くできる。更に、ノイズ・フィルタ300の別の利点は、可変減衰器108又は202や、可変遅延ライン110又は210が、システムの帯域幅の半分についてだけ動作することである。例えば、50GHz帯域幅のシステムについては、可変コンポーネントは、25GHzの帯域幅についてだけ動作すれば良い。
【0030】
図4は、本発明のある実施形態による別の例示的なノイズ・フィルタ400を示す。ノイズ・フィルタ400は、DUTから差動信号対を受ける場合に使用されても良い。スプリッタ402は、スプリッタ10と同様に、差動信号対のポジティブ信号を受けて、第1ポジティブ信号パス上の信号と第2ポジティブ信号パス上の信号とにスプリット(分岐)する一方で、スプリッタ404は、スプリッタ10と同様に、差動信号対のネガティブ信号を受けて、第1ネガティブ信号パス上の信号と第2ネガティブ信号パス上の信号とにスプリットする。
【0031】
ポジティブ信号パス及び第ネガティブ信号パスの両方には、図4に示すように、固定遅延106がある。第ポジティブ信号パス及び第1ネガティブ信号パスは、夫々、可変減衰器108又は202や、可変遅延ライン110又は210を有している。図4の実施形態は、図2に関して詳細に上述したような、可変減衰器202及び可変遅延ライン210の使用が示されている。しかし、当業者であれば理解されるように、可変減衰器108又は202及び可変遅延ライン110又は210を任意に組み合わせつつ、これらコンポーネントのいずれかを固定にして使用しても良い。
【0032】
合成部406は、第1ポジティブ信号パスからの信号と、第2ネガティブ信号パスからの信号とを受けて、これら信号を第1合成信号に合成する。第2合成部408は、第2ポジティブ信号パスからの信号と、第1ネガティブ信号パスからの信号とを受けて、これら信号を第2合成信号に合成する。こうした実施形態では、ポジティブ及びネガティブ信号が合成されるので、合成部406及び408は、例えば、パワー合成部(power combiner)であっても良い。次いで、第1及び第2合成信号は、図1に関して上述したものと同様の合成部114が受ける。合成部114は、第1及び第2合成信号を単一の差動信号出力に変換し、これをADC116が受ける。即ち、ノイズ・フィルタ400は、差動信号対を巧みに利用してポジティブ信号及びネガティブ信号をクロス結合し、試験測定装置のチャンネルに由来する減衰を除去する。
【0033】
図5は、本発明のある実施形態による別の例示的なノイズ・フィルタ500を示す。ノイズ・フィルタ500は、図4に示すような差動信号対のポジティブ信号及びネガティブ信号のクロス結合がないことを除けば、ノイズ・フィルタ400と同様である。このため、図4と5において同様のコンポーネントについては、図5に関して更なる説明は行わない。ポジティブ信号及びネガティブ信号のクロス結合で組み合わせる単純な2つの合成部406及び408を設けるのではなく、例えば上述したバラン又は差動増幅器のいずれかである、2つの合成部114を用意して、スプリットされたポジティブ信号の夫々と、スプリットされたネガティブ信号の夫々とを結合しても良い。合成されたポジティブ信号と、合成されたネガティブ信号は、次いで、合成部502によって、更に合成されても良い。
【0034】
更に、図4と同様に、可変減衰器108又は200と、可変遅延ライン110又は210とが、これらコンポーネントのいずれかを固定にすることも含めて、任意の組み合わせで使用されても良い。
【0035】
ノイズ・フィルタ500の代替としては、図5に示すものと類似するが、図5に示すようにポジティブとネガティブの分岐信号を単一の差動信号に合成するのではなく、ポジティブとネガティブの信号パスを夫々のADC116及びフィルタ118によって別々に処理して、更なる処理又はメモリへの記憶のために、合成差動信号ではなく、差動信号として試験測定装置へ送るノイズ・フィルタを用意しても良い。
【0036】
図6は、本発明のある実施形態による差動信号用の別の例示的なノイズ・フィルタ600を示す。ノイズ・フィルタ600では、マルチプレクサ602及び604を用いて、差動入力信号対のポジティブ信号及びネガティブ信号を夫々低帯域周波数信号及び高帯域周波数信号にスプリット(分岐)しても良い。ポジティブ低周波数帯域及びポジティブ高周波数帯域の両方は、固定遅延ライン106によって遅延される。ネガティブ低周波数帯域及びネガティブ高周波数帯域は、可変減衰器108又は202や可変遅延ライン110又は210を含むパスが受ける。図6の実施形態は、図2に関して詳細に説明したような可変減衰器202及び可変遅延ライン210を使用することを示している。しかし、当業者であれば理解されるように、可変減衰器108又は200と、可変遅延ライン110又は210とが、これらコンポーネントのいずれかを固定にすることも含めて、任意の組み合わせで使用されても良い。
【0037】
ポジティブ及びネガティブ低周波数パス上の信号は、合成部606で合成され、また、ポジティブ及びネガティブ高周波数パス上の信号は、合成部608で合成されて、合成低周波数帯域信号及び合成高周波数帯域信号が出力されても良い。これら信号は、次いで、別個のマルチプレクサ610によって、フル周波数帯域合成信号に合成されても良い。
【0038】
当然ながら、このマルチプレクサの構成は、図1~3の2チャンネルの構成に組み入れることが可能である。
【0039】
先に開示された本発明の実施形態は、信号パスに可変減衰器や可変遅延ラインのいずれかを設け、基準信号から引き算して試験測定装置のチャンネルによって加えられたノイズを除去することで、70GHz以上の周波数帯域幅のような高周波数帯域幅にわたるノイズ・フィルタの周波数応答を調整する方法を提供する。本発明の実施形態によれば、様々な異なる試験状況にに合わせてプログラム又は設定ができる可変ノイズ・フィルタが可能となり、これら試験状況の夫々に合わせて新しいノイズ・フィルタに切り替える必要はない。更に、本発明の実施形態によれば、特定の規格に対する試験のために、ノイズ・フィルタの設定を調整できる。
【0040】
本発明の実施例は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本発明の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、FPGAなどのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本発明の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0041】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含むことができる。
【0042】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は排除される。
【0043】
通信媒体は、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含むことができる。
【0044】
複数の実施例
以下では、本願で開示される技術の説明に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0045】
実施例1は、ノイズ・フィルタであって、信号を受けて、該信号を少なくとも第1スプリット信号及び第2スプリット信号にスプリットするよう構成されるスプリッタと、可変減衰器及び可変遅延ラインを有し、上記第1スプリット信号を受けるよう構成される第1パスと、上記第2スプリット信号を受けるよう構成される第2パスと、上記第1パスからの信号と上記第2パスからの信号とを合成信号に合成するよう構成される合成部とを具えている。
【0046】
実施例2は、実施例1のノイズ・フィルタであって、このとき、上記第2パスには、固定遅延ラインがある。
【0047】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記可変減衰器及び上記可変遅延ラインの少なくとも1つは、コントローラによって調整される。
【0048】
実施例4は、実施例1~3のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記可変減衰器には、夫々異なる減衰量を有する複数の減衰器と、複数のスイッチとがあり、上記可変減衰器は、複数の上記減衰器のいずれかを上記第1パスへ切り替えることによって調整される。
【0049】
実施例5は、実施例1~4のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記可変遅延ラインには、夫々異なる遅延量を有する複数の遅延ラインと、複数のスイッチとがあり、上記可変遅延ラインは、複数の上記遅延ラインのいずれかを上記第1パスへ切り替えることによって調整される。
【0050】
実施例6は、実施例1~5のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記合成部は、反転入力端子と非反転入力端子を有するバラン(balun)である。
【0051】
実施例7は、実施例1~6のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記合成部は、差動増幅器である。
【0052】
実施例8は、実施例1~7のいずれかのノイズ・フィルタであって、入力信号を受けて該入力信号を高周波数帯域信号及び低周波数帯域信号に分離するよう構成されるマルチプレクサを更に具え、このとき、上記スプリッタで受ける上記信号は、上記低周波数帯域信号である。
【0053】
実施例9は、実施例8のノイズ・フィルタであって、このとき、上記マルチプレクサは第1マルチプレクサであり、上記合成信号は第1合成信号であって、上記ノイズ・フィルタが、上記第1合成信号及び上記高周波数帯域信号を受けて、第2合成信号を出力するよう構成される第2マルチプレクサを更に具えている。
【0054】
実施例10は、実施例1~9のいずれかのノイズ・フィルタであって、上記合成信号を受けて、該合成信号を表すデジタル信号を出力するよう構成されるアナログ・デジタル・コンバータと、上記デジタル信号を受けて、特定の時間線形イコライザ(continuous time linear equalizer)形状の応答と合致するフィルタ処理デジタル信号を出力するよう構成される再成形フィルタとを具えている。
【0055】
実施例11は、ノイズ・フィルタであって、差動信号対のポジティブ信号を受けて、該ポジティブ信号の全帯域幅を実質的に夫々含む少なくとも第1スプリット信号及び第2スプリット信号に上記ポジティブ信号をスプリットするよう構成される第1スプリッタと、上記差動信号対のネガティブ信号を受けて、該ネガティブ信号の全帯域幅を実質的に夫々含む少なくとも第3スプリット信号及び第4スプリット信号に上記ネガティブ信号をスプリットするよう構成される第2スプリッタと、第1可変減衰器及び第1可変遅延ラインを有し、上記第1スプリット信号を受けるよう構成される第1パスと、上記第2スプリット信号を受けるよう構成される第2パスと、第2可変減衰器及び第2可変遅延ラインを有し、上記第3スプリット信号を受けるよう構成される第3パスと、上記第4スプリット信号を受けるよう構成される第4パスと、上記第1パスからの信号と上記第4パスからの信号とを第1合成信号に合成するよう構成される第1合成部と、上記第2パスからの信号と上記第3パスからの信号とを第2合成信号に合成するよう構成される第2合成部と、上記第1合成信号及び上記第2合成信号を第3合成信号に合成するよう構成される第3合成部とを具えている。
【0056】
実施例12は、実施例11のノイズ・フィルタであって、このとき、上記第2パス及び上記第4パスの夫々が、固定遅延ラインを有している。
【0057】
実施例13は、実施例11又は12のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記第1可変減衰器、上記第1可変遅延ライン、上記第2可変減衰器及び上記第2可変遅延ラインの中の少なくとも1つが、コントローラによって調整される。
【0058】
実施例14は、実施例11~13のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記第1可変減衰器及び上記第2可変減衰器の中の少なくとも1つが、夫々異なる減衰量を有する複数の減衰器と、複数のスイッチとを有し、複数の上記減衰器の1つを上記第1パスに切り替えることによって調整される。
【0059】
実施例15は、実施例11~14のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記第1可変遅延ライン及び上記第2可変遅延の中の少なくとも1つが、夫々異なる遅延量を有する複数の遅延ラインと、複数のスイッチとを有し、複数の上記遅延ラインの1つを上記第1パスに切り替えることによって調整される。
【0060】
実施例16は、実施例11~15のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記第3合成部は、反転入力端子と非反転入力端子を有するバラン(balun)である。
【0061】
実施例17は、実施例11~16のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記第1合成部、上記第2合成部及び上記第3合成部の中の少なくとも1つが、マルチプレクサである。
【0062】
実施例18は、実施例11~17のいずれかのノイズ・フィルタであって、上記第3合成信号を受けて、該第3合成信号を表すデジタル信号を出力するよう構成されるアナログ・デジタル・コンバータと、上記デジタル信号を受けて、フィルタ処理されたデジタル信号を出力するよう構成されるフィルタとを更に具えている。
【0063】
実施例19は、実施例11~18のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記第1及び第2スプリット信号の夫々は、実質的に上記ポジティブ信号の全帯域幅を含み、上記第3及び第4スプリット信号の夫々は、実質的に上記ネガティブ信号の全帯域幅を含む。
【0064】
実施例20は、ノイズ・フィルタであって、差動信号対のポジティブ信号を受けて、該ポジティブ信号をポジティブ高周波数帯域信号及びポジティブ低周波数帯域信号に分離するように構成される第1マルチプレクサと、上記差動信号対のネガティブ信号を受けて、該ネガティブ信号をネガティブ高周波数帯域信号及びネガティブ低周波数帯域信号に分離するように構成される第2マルチプレクサと、第1可変減衰器及び第1可変遅延ラインを有し、上記ネガティブ高周波数帯域信号を受けるよう構成される第1パスと、上記ポジティブ高周波数帯域信号を受けるよう構成される第2パスと、第2可変減衰器及び第2可変遅延ラインを有し、上記ネガティブ低周波数帯域信号を受けるよう構成される第3パスと、上記ネガティブ低周波数帯域信号を受けるよう構成される第4パスと、上記第1パスからの信号と上記第2パスからの信号とを第1合成信号に合成するよう構成される第1合成部と、上記第3パスからの信号と上記第4パスからの信号とを第2合成信号に合成するよう構成される第2合成部と、上記第1合成信号及び上記第2合成信号を第3合成信号に合成するよう構成される第3マルチプレクサとを具えている。
【0065】
実施例21は、実施例20のノイズ・フィルタであって、このとき、上記第2パス及び上記第4パスの夫々が、固定遅延ラインを有している。
【0066】
実施例22は、実施例20又は21のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記第1可変減衰器、上記第1可変遅延ライン、上記第2可変減衰器及び上記第2可変遅延ラインの少なくとも1つが、コントローラによって調整される。
【0067】
実施例23は、実施例20~22のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記第1可変減衰器及び上記第2可変減衰器の中の少なくとも1つが、夫々異なる減衰量を有する複数の減衰器と、複数のスイッチとを有し、複数の上記減衰器の1つを上記第1パスに切り替えることによって調整される。
【0068】
実施例24は、実施例20~23のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記第1可変遅延ライン及び上記第2可変遅延の中の少なくとも1つが、夫々異なる遅延量を有する複数の遅延ラインと、複数のスイッチとを有し、複数の上記遅延ラインの1つを上記第1パスに切り替えることによって調整される。
【0069】
実施例25は、実施例20~24のいずれかのノイズ・フィルタであって、このとき、上記第3合成信号を受けて、該第3合成信号を表すデジタル信号を出力するよう構成されるアナログ・デジタル・コンバータと、上記デジタル信号を受けて、フィルタ処理されたデジタル信号を出力するよう構成されるフィルタとを更に具えている。
【0070】
実施例26は、方法であって、信号を、該入力信号の全帯域幅を実質的に夫々含む少なくとも第1スプリット信号及び第2スプリット信号にスプリットする処理と、可変減衰器に減衰量を設定する処理と、可変遅延ラインに遅延量を設定する処理と、上記可変減衰器により上記減衰量だけ上記第1スプリット信号を減衰する処理と、上記可変遅延ラインにより上記遅延量だけ減衰された第1スプリット信号を遅延する処理と、減衰及び遅延された上記第1スプリット信号と上記第2スプリット信号とを合成信号に合成する処理とを具えている。
【0071】
実施例27は、実施例26の方法であって、上記第2スプリット信号と減衰及び遅延された上記第1スプリット信号とを合成する処理の前に、固定遅延ラインにより上記第2スプリット信号を遅延する処理を更に具えている。
【0072】
実施例28は、実施例26又は27のいずれかの方法であって、このとき、上記可変減衰器に上記減衰量を設定する処理は、複数の異なる減衰器の中の1つに切り替える処理を含む。
【0073】
実施例29は、実施例26~28のいずれかの方法であって、このとき、上記可変遅延ラインに上記遅延量を設定する処理は、複数の異なる遅延ラインの中の1つに切り替える処理を含む。
【0074】
実施例30は、実施例26~29のいずれかの方法であって、このとき、上記信号が第1信号であって、上記方法が、入力信号を高周波数帯域信号及び低周波数帯域信号にスプリットする処理を更に具え、このとき、上記第1信号が上記低周波数帯域信号である。
【0075】
実施例31は、実施例30の方法であって、このとき、上記合成信号は、第1合成信号であって、上記方法が、上記第1合成信号及び上記高周波数帯域信号を第2合成信号に合成する処理を更に具える。
【0076】
実施例32は、実施例26~31のいずれかの方法であって、上記合成信号を、該合成信号を表すデジタル信号に変換する処理と、試験測定装置によって加えられたノイズを入力信号から低減するために上記デジタル信号にフィルタをかける処理とを更に具えている。
【0077】
実施例33は、コンピュータ・プログラムであって、これは、ノイズ・フィルタの1つ以上のプロセッサで実行されると、上記ノイズ・フィルタに、信号を、該入力信号の全帯域幅を実質的に夫々含む少なくとも第1スプリット信号及び第2スプリット信号にスプリットさせ、可変減衰器に減衰量を設定させ、可変遅延ラインに遅延量を設定させ、上記可変減衰器により上記第1スプリット信号を減衰させ、上記可変遅延ラインにより第1スプリット信号を遅延させ、減衰及び遅延された上記第1スプリット信号と上記第2スプリット信号とを合成信号に合成させる。
【0078】
実施例34は、実施例33のコンピュータ・プログラムであって、このとき、その命令は、更に、上記ノイズ・フィルタに、上記第2スプリット信号と減衰及び遅延された上記第1スプリット信号とを合成する処理の前に、固定遅延ラインにより上記第2スプリット信号を遅延させる。
【0079】
実施例35は、実施例33又は34のいずれかのコンピュータ・プログラムであって、このとき、上記可変減衰器に上記減衰量を設定する処理は、複数の異なる減衰器の中の1つに切り替える処理を含む。
【0080】
実施例36は、実施例33~35のいずれかのコンピュータ・プログラムであって、このとき、上記可変遅延ラインに上記遅延量を設定する処理は、複数の異なる遅延ラインの中の1つに切り替える処理を含む。
【0081】
開示された主題の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0082】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例の状況において開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例の状況においても利用できる。
【0083】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0084】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除いて限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0085】
100 ノイズ・フィルタ
102 直流(DC)ブロック
104 スプリッタ
106 固定遅延ライン
108 可変減衰器
110 可変遅延ライン
112 コントローラ
114 合成部
116 アナログ・デジタル・コンバータ
118 フィルタ
200 ノイズ・フィルタ
202 可変減衰器
204 固定減衰器
206 単極多投スイッチ
210 可変遅延ライン
212 固定遅延ライン
214 単極多投スイッチ
300 ノイズ・フィルタ
302 マルチプレクサ
304 マルチプレクサ
400 ノイズ・フィルタ
402 スプリッタ
404 スプリッタ
406 合成部
408 合成部
500 ノイズ・フィルタ
502 合成部
600 ノイズ・フィルタ
602 マルチプレクサ
604 マルチプレクサ
606 合成部
608 合成部
610 マルチプレクサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6