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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】水酸化リチウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01D 15/02 20060101AFI20240924BHJP
   B01J 20/06 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
C01D15/02
B01J20/06 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019100890
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020193130
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-01-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】浅野 聡
(72)【発明者】
【氏名】池田 修
(72)【発明者】
【氏名】松岡 いつみ
(72)【発明者】
【氏名】松本 伸也
(72)【発明者】
【氏名】工藤 陽平
【合議体】
【審判長】井上 猛
【審判官】土屋 知久
【審判官】相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-518257(JP,A)
【文献】特開2009-269810(JP,A)
【文献】特開昭61-278347(JP,A)
【文献】特開2017-36478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01D15/00-15/02
B01J20/06
C22B 3/20,26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程(1)~(4):
(1)リチウム吸着工程:第1リチウム含有溶液とリチウム選択吸着剤とを接触させて、前記リチウム選択吸着剤にリチウムを吸着させる工程、
(2)リチウム溶離工程:リチウムが吸着された前記リチウム選択吸着剤からリチウムを溶離し、第2リチウム含有溶液を得る工程、
(3)不純物除去工程:前記第2リチウム含有溶液から金属イオンの一部を除去し、第3リチウム含有溶液を得る工程、
(4)転換工程:前記第3リチウム含有溶液に含まれるリチウム塩を水酸化リチウムに転換し、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム含有溶液を得る工程、
を包含し、
前記不純物除去工程が、
第2リチウム含有溶液にマンガンを酸化することができる酸化剤を添加し、酸化後液を得る酸化工程と、
前記酸化後液にpHを上昇させるようにアルカリを添加し、中和後液を得る中和工程と、
前記中和後液とイオン交換樹脂とを接触させて前記第3リチウム含有溶液を得るイオン交換工程と、
を包含し、
前記リチウム選択吸着剤は、マンガン酸リチウムと酸とを接触させ、前記マンガン酸リチウム中のリチウムを脱離したマンガン酸化物である、
ことを特徴とする水酸化リチウムの製造方法。
【請求項2】
前記転換工程の後に、前記水酸化リチウム含有溶液に溶解している前記水酸化リチウムを固形化する晶析工程が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の水酸化リチウムの製造方法。
【請求項3】
前記中和工程後の中和後液のpHは、8.5以上12以下である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の水酸化リチウムの製造方法。
【請求項4】
前記リチウム吸着工程での溶液のpHは、3以上10以下である、
ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の水酸化リチウムの製造方法。
【請求項5】
前記リチウム溶離工程で使用される酸の水素イオン濃度は、
0.3mol/L以上2.0mol/L以下である、
ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の水酸化リチウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水酸化リチウムの製造方法に関する。さらに詳しくは、塩湖かん水などリチウム以外の金属不純物が含有するリチウム含有溶液から、安価に水酸化リチウムを製造することが可能な水酸化リチウムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムは、陶器またはガラスの添加剤、鉄鋼連続鋳造用のガラスフラックス、グリース、医薬品、電池など、産業界において広く利用されている。特に二次電池であるリチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いという利点、および電圧が高いという利点から、最近ではノートパソコンなどの電子機器のバッテリーだけでなく電気自動車、ハイブリッド車の車載バッテリーとしての用途が拡大し、その需要が急増している。このため、この需要の急増に伴い、原料であるリチウムの需要も急増している。
【0003】
リチウムは、水酸化リチウムまたは炭酸リチウムという形で、塩湖かん水、またはリシア鉱石(LiO・Al・2SiO)などリチウムを含む鉱石を原料とし、これらを精製して生産されてきた。この際リチウム含有量は他の成分に比べて低いため、最初にリチウムの濃度を上げる濃縮工程が行われた後、炭酸リチウムに転換する転換工程が行われる。
【0004】
例えば塩湖かん水を原料とする場合、チリ、アルゼンチンなどの主要なリチウム生産国では天日濃縮法が主に用いられている。この方法では、まず濃縮工程で、ソーラーポンドと呼ばれる濃縮池で塩湖かん水が濃縮され、主要成分となるナトリウム、カリウムなどが、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩類として析出除去され、これにより溶解度の高い塩化リチウムが水溶液中に濃縮される。濃縮後、必要に応じて不純物が浄液工程で除去され、その次の転換工程において、炭酸ナトリウムが添加されることで、塩化リチウムが、溶解度の低い炭酸リチウムに転換される。この転換工程では、炭酸リチウムは溶解度が低いため固形物として沈殿する。このような方法で炭酸リチウムを回収することが可能となる。
【0005】
天日濃縮法は、浄液工程と、転換工程と、において薬剤と設備が必要になるが、比較的必要となる薬剤および設備は少ないというメリットがある。また濃縮工程では池を利用する点、およびエネルギー源が太陽光であるという点により、設備費およびエネルギーコストが非常に低いというメリットもある。しかし、ソーラーポンドによる濃縮は、数年程度の期間がかかるというデメリットがあり、これにより急な増産には容易に対応することはできない。また、この方法は、天候に左右されるというデメリットがあり、南米の高地のような降雨量が非常に少ない場所でしか採用されない。さらに塩湖かん水に硫酸イオンが多く含まれる場合、濃縮工程において塩化リチウムより溶解度の低い硫酸リチウムが、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムと一緒に沈殿してしまい、原理的に採用することが困難になるというデメリットも存在する。塩湖かん水の多くには、硫酸イオンが含まれるため天日濃縮法は幅広く適用できる方法とはなりえない。
【0006】
上記の天日濃縮法とは異なり、気候条件または塩湖かん水の液性に左右されない水酸化リチウム等の製造方法としては溶媒抽出法、イオン交換法、クロマト分離法などが多く用いられてきた。しかし、リチウムが多く含まれる塩湖かん水には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の不純物が、リチウムと比較して圧倒的に多く含まれている。このため濃縮工程において、溶媒抽出法が用いられた場合、抽出剤のリチウムの選択性が低いという問題がある。すなわち、不純物が多く含まれる液体から、まずこの不純物を大量の薬剤を用いて除去する必要があり、全体としてコストが大きくなるという問題がある。イオン交換法についても、イオン交換樹脂のリチウムの選択性が低いという問題があり、溶媒抽出法と同様、濃縮工程においてコストが大きくなるという問題がある。
【0007】
クロマト分離法は、液体中のリチウムと、リチウム以外の不純物との間の溶離速度差を利用してリチウムを分別回収する方法である(特許文献1)。この方法においても濃縮工程において、薬剤の使用量が多くなるとともに、工程数が多く必要になることによる設備コストが大きくなるという問題がある。
【0008】
上記の方法に対して、非特許文献1では「かん水からのリチウム回収システム」として、リチウム選択吸着剤を使用した方法が開示されている。この非特許文献1では、炭酸リチウムを最終目的物とし、濃縮工程でリチウム選択吸着剤を使用してリチウムを吸着したあと、転換工程でアルカリ炭酸塩を加えて不純物を除去し、加熱・濃縮し、最後に炭酸塩を加えて炭酸リチウムを沈殿させ炭酸リチウムの粉末を得ている。
【0009】
なお、近年では、車載バッテリー用の正極材料は、ニッケル系正極材料であるNCAの需要が拡大しており、この用途で使用される場合、リチウムは水酸化リチウムとして供給されることが経済的に好ましい。この水酸化リチウムは、上記の炭酸リチウムから消石灰を添加されるなどして製造されていたが、炭酸リチウムから水酸化リチウムを製造する工程にコストがかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2012/163791号
【非特許文献】
【0011】
【文献】湯 衛平、“かん水からのリチウム回収システム”、[online]、平成22年6月11日、公益財団法人かがわ産業支援財団、[平成30年11月22日]、インターネット(www.kagawa-isf.jp/rist/seika-happyou/21tang.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
濃縮工程において、従来の溶媒抽出法などで水酸化リチウムを製造する場合、不純物の多い液体からリチウムを得るためにはコストが大きくなるという問題がある。また、非特許文献1においては、転換工程において、リチウム選択吸着剤を使用して炭酸リチウムを得る方法は開示されているが、転換工程において、炭酸リチウム等の他のリチウム化合物を経ずに水酸化リチウムを製造する方法については開示されていない。
【0013】
本発明は上記事情に鑑み、水酸化リチウムを低コストで得ることができる水酸化リチウムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明の水酸化リチウムの製造方法は、次の工程(1)~(4):(1)リチウム吸着工程:第1リチウム含有溶液とリチウム選択吸着剤とを接触させて、前記リチウム選択吸着剤にリチウムを吸着させる工程、(2)リチウム溶離工程:リチウムが吸着された前記リチウム選択吸着剤からリチウムを溶離し、第2リチウム含有溶液を得る工程、(3)不純物除去工程:前記第2リチウム含有溶液から金属イオンの一部を除去し、第3リチウム含有溶液を得る工程、(4)転換工程:前記第3リチウム含有溶液に含まれるリチウム塩を水酸化リチウムに転換し、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム含有溶液を得る工程、を包含し、前記不純物除去工程が、第2リチウム含有溶液にマンガンを酸化することができる酸化剤を添加し、酸化後液を得る酸化工程と、前記酸化後液にpHを上昇させるようにアルカリを添加し、中和後液を得る中和工程と、前記中和後液とイオン交換樹脂とを接触させて前記第3リチウム含有溶液を得るイオン交換工程と、を包含し、
前記リチウム選択吸着剤は、マンガン酸リチウムと酸とを接触させ、前記マンガン酸リチウム中のリチウムを脱離したマンガン酸化物であることを特徴とする。
第2発明の水酸化リチウムの製造方法は、第1発明において、前記転換工程の後に、前記水酸化リチウム含有溶液に溶解している前記水酸化リチウムを固形化する晶析工程が設けられていることを特徴とする。
第3発明の水酸化リチウムの製造方法は、第1発明または第2発明において、前記中和工程後の中和後液のpHは、8.5以上12以下であることを特徴とする。
発明の水酸化リチウムの製造方法は、第1発明から第発明のいずれかにおいて、前記リチウム吸着工程での溶液のpHは、3以上10以下であることを特徴とする。
発明の水酸化リチウムの製造方法は、第1発明から第発明のいずれかにおいて、前記リチウム溶離工程で使用される酸の水素イオン濃度は、0.3mol/L以上2.0mol/L以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明によれば、リチウム吸着工程およびリチウム溶離工程があることにより、液体に含まれるリチウムを高濃度に濃縮することができる。そしてこの後に、転換工程があることにより、リチウム塩が分解され、リチウムイオンが水酸化物イオンと結びつくことができるので、炭酸リチウムなど他のリチウム化合物を介さずに、直接水酸化リチウムを製造することができる。加えて、リチウム溶離工程と転換工程との間に不純物除去工程があることにより、転換工程で用いられる膜に不具合を生じさせることなくリチウムなどのアルカリ金属を選択的に水酸化物とすることができる。
また、不純物除去工程が、酸化工程と、中和工程と、イオン交換工程と、を包含することにより、アルカリ金属とホウ素以外の金属イオンを高水準で除去することができる。酸化工程があることで、中和工程を行う前にマンガンを除去することが可能となり、中和工程における負荷を低減できる。
また、リチウム選択吸着剤が所定のマンガン酸化物であることにより、リチウムの高濃度の濃縮が容易になる。
第2発明によれば、転換工程の後に晶析工程があることにより、溶解度の違いを利用して、水酸化リチウムを高純度に固形化することができる。
第3発明によれば、中和工程後の中和後液のpHは、8.5以上12以下であることにより、中和工程での不純物の除去がより確実に行われる。
発明によれば、リチウム吸着工程での溶液のpHが3以上10以下であることにより、リチウムの吸着がより確実になる。
発明によれば、リチウム溶離工程で使用される酸の水素イオン濃度が0.3mol/L以上2.0mol/L以下であることにより、リチウム選択吸着剤を構成するマンガンの溶出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法を示すフロー図である。
図2図1の製造方法内の不純物除去工程の構成を示すフロー図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法内の不純物除去工程の構成を示すフロー図である。
図4】実施例1における、カラムを流出した後の第1リチウム含有溶液のリチウム濃度と、通液量との関係を示すグラフである。
図5】実施例1における、カラムを流出した後の第2リチウム含有溶液のリチウム濃度と、通液量との関係を示すグラフである。
図6】実施例1における、水酸化リチウム含有溶液内のリチウム濃度と通電時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具現化するための水酸化リチウムの製造方法を例示するものであって、本発明は水酸化リチウムの製造方法を以下のものに特定しない。
【0018】
本発明に係る水酸化リチウムの製造方法は、以下の(1)~(4)の工程を包含する。
(1)リチウム吸着工程:第1リチウム含有溶液とリチウム選択吸着剤とを接触させて、前記リチウム選択吸着剤にリチウムを吸着させる工程。
(2)リチウム溶離工程:リチウムが吸着された前記リチウム選択吸着剤からリチウムを溶離し、第2リチウム含有溶液を得る工程。
(3)不純物除去工程:前記第2リチウム含有溶液から金属イオンの一部を除去し、第3リチウム含有溶液を得る工程。
(4)転換工程:前記第3リチウム含有溶液に含まれるリチウム塩を水酸化リチウムに転換し、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム溶液を得る工程。
【0019】
水酸化リチウムの製造方法において、リチウム吸着工程およびリチウム溶離工程があることにより、液体に含まれるリチウムを高濃度に濃縮することができる。そしてこの後に、転換工程があることにより、炭酸リチウムなど他のリチウム化合物を介さずに、直接水酸化リチウムを製造することができる。加えて、リチウム溶離工程と転換工程との間に不純物除去工程があることにより、転換工程で用いられる膜に不具合を生じさせることなくリチウムなどのアルカリ金属を選択的に水酸化物とすることができる。
【0020】
また、水酸化リチウムの製造方法においては、前記転換工程の後に、前記水酸化リチウム含有溶液に溶解している前記水酸化リチウムを固形化する晶析工程が設けられていることが好ましい。これにより、溶解度の違いを利用して、水酸化リチウムを高純度に固形化することができる。
【0021】
また、水酸化リチウムの製造方法においては、前記不純物除去工程が、第2リチウム含有溶液にアルカリを添加し、中和後液を得る中和工程と、前記中和後液とイオン交換樹脂とを接触させて前記第3リチウム含有溶液を得るイオン交換工程と、を包含することが好ましい。これにより、アルカリ金属とホウ素以外の金属イオンを高水準で除去することができる。
【0022】
また、水酸化リチウムの製造方法においては、前記不純物除去工程が、第2リチウム含有溶液に酸化剤を添加し、酸化後液を得る工程と、前記酸化後液にアルカリを添加し、中和後液を得る中和工程と、前記中和後液とイオン交換樹脂とを接触させて前記第3リチウム含有溶液を得るイオン交換工程と、を包含することが好ましい。これにより、アルカリ金属とホウ素以外の金属イオンを高水準で除去することができる。酸化工程があることで、中和工程を行う前にマンガンを除去することが可能となり、中和工程における負荷を低減できる。
【0023】
また、水酸化リチウムの製造方法においては、前記中和工程後の中和後液のpHは、8.5以上12以下であることが好ましい。これにより、中和工程での不純物の除去がより確実に行われる。
【0024】
また、水酸化リチウムの製造方法においては、前記リチウム選択吸着剤は、マンガン酸リチウムと酸とを接触させ、前記マンガン酸リチウム中のリチウムを脱離したマンガン酸化物であることが好ましい。これにより、リチウムの高濃度の濃縮が容易になる。
【0025】
また、水酸化リチウムの製造方法においては、前記リチウム吸着工程での溶液のpHは、3以上10以下であることが好ましい。これによりリチウムの吸着がより確実になる。
【0026】
また、水酸化リチウムの製造方法においては、前記リチウム溶離工程で使用される酸の水素イオン濃度は、0.3mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましい。 これにより、リチウム選択吸着剤を構成するマンガンの溶出を抑制することができる。
【0027】
(第1実施形態)
<リチウム吸着工程>
図1には、本発明の第1実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法を示す。図1に示すように、リチウム吸着工程は、リチウム選択吸着剤と、塩湖かん水などリチウム濃度が比較的低い第1リチウム含有溶液と、を接触させ、この第1リチウム含有溶液からリチウムをリチウム選択吸着剤に、選択的に吸着させる工程である。リチウム吸着工程での反応式を数1に示す。ここではリチウム選択吸着剤としてH1.6Mn1.6が用いられた反応式が示されているが、特にこれに限定されるものではない。例えばスピネル構造を持つマンガン酸リチウムから得られたリチウム選択吸着剤を用いることも可能である。また、これらのリチウム選択吸着剤は、マンガン酸リチウムと酸とを接触させ、このマンガン酸リチウム中のリチウムを脱離したマンガン酸化物が好ましい。
【0028】
[数1]
1.6Mn1.6+1.6LiCl → Li1.6Mn1.6+1.6HCl
【0029】
これらを接触させる方法は特に限定されない。例えば接触させる方式としては、カラム方式、バッチ混合方式が該当する。カラム方式において、リチウム選択吸着剤が微粉末として使用された場合、通液抵抗が高く、連続した通液が困難になることが多い。このためリチウム選択吸着剤(リチウム選択吸着剤となる前の前駆体である場合を含む)と、アルミナバインダーなどのバインダーと、を混錬し、これを焼結して作成されたペレットが用いられることが好ましい。
【0030】
リチウム吸着工程での、第1リチウム含有溶液のpHは、3以上10以下が好ましい。リチウム吸着工程での反応は、リチウムを吸着して酸を生成する反応であるため、水溶液のpHが低いと反応速度が遅くなったり、反応自体が生じなかったりする場合がある。このため、第1リチウム含有溶液とリチウム選択吸着剤とを接触させる前に、第1リチウム含有溶液のpHを高くすることが望ましい。ただし、第1リチウム含有溶液にマグネシウムが含まれている場合pHが高くなりすぎると水酸化マグネシウムが沈殿し、この水酸化マグネシウムがリチウム選択吸着剤表面を覆うことで、リチウムの吸着反応が物理的に阻害される。特に接触させる方法としてカラム方式が採用された場合、水酸化マグネシウムによりカラム内に閉塞が発生することが多くなる。これらから、第1リチウム含有溶液のpHは10以下が好ましい。
【0031】
また、カラムに通液した後、pHが3以下である場合、カラムの下部がリチウムを効率よく吸着できない可能性がある。なお循環方式では、カラム通液後の流出液に中和剤を添加して、上記のpH範囲に調整した後、カラムに戻すことが好ましい。カラム方式を用いる場合、通液速度は要求される処理量に応じて変えればよい。中和後に沈殿物が発生する場合は、適宜フィルタープレスまたはチェックフィルタのようなろ過装置を用いることで、カラム通液を円滑に行うことができる。吸着操作後、次工程のリチウム溶離工程を行うために、必要に応じてリチウム吸着後のリチウム選択吸着剤の水洗を行う。カラム通液であれば、第1リチウム含有溶液の通液後、比較的純度の高い蒸留水などをカラムに通液して、内部に残存する第1リチウム含有溶液を押出洗浄する。バッチ混合であれば、固液分離後、リチウム吸着後のリチウム選択吸着剤に水をかけることで、付着する第1リチウム含有溶液が除去される。
【0032】
<リチウム溶離工程>
図2に示すように、リチウム溶離工程では、リチウムを吸着したリチウム選択吸着剤と、塩酸などの鉱酸と、を接触させ、第2リチウム含有溶液を得る。リチウム吸着後のリチウム選択吸着剤は、例えば、マンガン酸リチウムの形態になっており、このリチウム吸着後のリチウム選択吸着剤と、塩酸などの鉱酸と、が接触することで、リチウムが溶離される。接触させる方法はカラム方式が一般的であるが、バッチ混合方式でもよく、接触の方法は問わない。リチウム溶離時の反応式を数2に示す。
【0033】
[数2]
Li1.6Mn1.6+1.6HCl → H1.6Mn1.6+1.6LiCl
【0034】
ここでは、マンガン酸リチウムとしてLi1.6Mn1.6を示しているが、特にこれに限定されるものではない。例えばスピネル構造を持つマンガン酸リチウムから得られたリチウム選択吸着剤を用いることも可能である。鉱酸の濃度はリチウムを溶離するのに十分な量があれば良いが、濃度が高すぎるとマンガン酸リチウムが溶解して損耗する。また、濃度が低すぎるとリチウムが溶離しない。鉱酸は、塩酸、硫酸または硝酸を用いることができる。これらのいずれの酸を用いる場合でも、酸濃度は、0.3mol/L以上2.0mol/L以下が好ましい。カラム方式を用いる場合、通液速度は要求される処理量に応じて変えればよい。
【0035】
本工程で得られる溶離液、すなわち第2リチウム含有溶液には、リチウム吸着工程で若干随伴するナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムが含まれる。また、リチウム選択吸着剤から溶出されるマンガンも含まれる。加えて、アルミナバインダーを用いた造粒体がリチウム選択吸着剤として使用されている場合、第2リチウム含有溶液には、アルミニウムが含有する。これらの不純物のうち、ナトリウムとカリウム以外の多価金属は、後段の転換工程で膜の寿命を短くするなど、不具合を生じさせるため、不純物除去工程において除去する。なお、溶離操作により、リチウム吸着後のリチウム選択吸着剤は、リチウム選択吸着剤に戻り、再度リチウムを吸着できる状態となっている。このため、リチウム吸着工程において再度使用することが可能である。再使用する場合リチウム選択吸着剤は水洗されることが好ましい。
【0036】
<不純物除去工程>
図1に示すように、不純物除去工程では、第2リチウム含有溶液から金属イオンの一部を除去して第3リチウム含有溶液を得る。また図2には、本実施形態に係る不純物除去工程の構成を示すフロー図を示す。本実施形態では、不純物除去工程は、中和工程と、イオン交換工程と、を包含する。なお、不純物除去工程は、ここで示す構成に限定されない。不純物除去工程は、転換工程の膜に影響を与える金属の一部または全部を取り除く工程であれば問題ない。
【0037】
<不純物除去工程中の中和工程>
図2に示すように、中和工程では、第2リチウム含有溶液にアルカリが添加されることにより、中和後液が得られるとともに、不純物を含んだ中和澱物が得られる。中和工程では、添加されたアルカリにより、pHが上昇し、主にマグネシウムが水酸化物となり、中和澱物として沈殿する。また、同時にマンガンも水酸化物として除去される。マグネシウムとマンガンを沈殿除去するには、アルカリ性であれば良いが、pHが高すぎる場合、中和剤コストが増加し、好ましくない。このため中和工程後の中和後液のpHは8.5以上12以下とすることが好ましい。
【0038】
<不純物除去工程中のイオン交換工程>
図2に示すように、イオン交換工程では、中和後液とイオン交換樹脂とを接触させることで、不純物の一部が取り除かれた第3リチウム含有溶液が得られる。イオン交換工程では、中和工程で除去できないカルシウム、中和工程のpHに応じて残留するアルミニウム、および中和工程で除去しきれなかった極微量に残留するマンガン、マグネシウムが除去される。
【0039】
用いるイオン交換樹脂はキレート樹脂が好ましい。例えばイミノニ酢酸型の樹脂を用いることができる。イオン交換工程における中和後液のpHは、イオン交換樹脂により好ましい値が決定される。ただし、中和工程で得られた中和後液に対して、そのままイオン交換工程を行うのが好ましい。イオン交換樹脂と、中和後液との接触方法は、カラム方式が好ましい。ただし、バッチ混合方式が採用される場合もある。
【0040】
<転換工程>
図1に示すように、転換工程では、第3リチウム含有溶液に含まれるリチウム塩を水酸化リチウムに転換し、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム含有溶液を得る。第3リチウム含有溶液内には、溶離に用いた鉱酸によって、塩化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウムなどのリチウム塩が溶解している。本工程では、例えばバイポーラ膜を用いた電気透析でこれらの水溶液を、水酸化リチウムを含有する水酸化リチウム含有溶液と、塩酸、硫酸または硝酸などの鉱酸とに転換する。すなわち、電気透析を行うことにより、第3リチウム含有溶液中のリチウム塩が分解され、リチウム塩のリチウムイオンが、カチオン膜を通過して、水酸化物イオンと結びつき、水酸化リチウムとなり、例えば塩化物イオンが、アニオン膜を通過して塩酸となる。回収した鉱酸は溶離工程にリサイクルすることが可能である。これにより鉱酸の使用量を減らすことができる。
【0041】
なお、転換工程には、バイポーラ膜を用いた電気透析以外に、例えばイオン交換膜を用いた電気透析が該当する。イオン交換膜として陽イオン交換膜が用いられた場合、陰極室に水酸化リチウムが生成される。
【0042】
<晶析工程>
転換工程で得られた水酸化リチウム含有溶液を蒸発乾固すると水酸化リチウムが得られる。しかし、この水酸化リチウム含有溶液には、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属が存在しており、そのまま蒸発乾固すると、そこから得られる固形物は、水酸化リチウム以外の水酸化物を多く含むこととなる。このため、転換工程のあとに、水酸化リチウム含有溶液に溶解している水酸化リチウムを固形化する晶析工程が設けられることが好ましい。
【0043】
晶析工程では、水酸化リチウム含有溶液に溶解している水酸化リチウムを固形化することで、固体水酸化リチウムが得られる。この固体水酸化リチウムと合わせて、晶析母液が得られる。転換工程では、リチウムが水酸化リチウムになるとともに、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属も水酸化物となる。よってこれらも転換工程で得られる水酸化リチウム含有溶液に含まれる。さらに、アニオンである塩素イオンも膜を通して、水酸化リチウム含有溶液に含まれる。晶析工程では各水酸化物の溶解度の違いを利用し、水酸化リチウムの固形化を行うとともに、含有する不純物を分離する。
【0044】
晶析工程では水酸化リチウム含有溶液が加熱濃縮される。この際液中に含有する金属イオン濃度が上昇し、最初に比較的溶解度の低い水酸化リチウムが析出固化する。この析出した水酸化リチウムは、固体水酸化リチウムとして回収される。この際、比較的溶解度の高い水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムは、析出させずに水溶液中に残存させる。これにより回収された水酸化リチウムの純度が上がる。
【0045】
例えば60℃における、水酸化リチウムの溶解度は13.2g/100g-水であり、水酸化ナトリウムの174g/100g-水、水酸化カリウムの154g/100g-水と比較すると、水酸化リチウムの溶解度が極めて低いことがわかる。塩素イオンは加熱濃縮操作を行っている際も2g/Lであることから、アルカリ金属の塩化物として水酸化リチウム中に析出することはない。
【0046】
この工程は、工業的には晶析缶を用いた連続晶析で行うことが可能である。また、バッチ晶析で行うこともできる。晶析工程で発生する晶析母液は濃いアルカリ水溶液である。なおこの晶析母液には、溶解度分の水酸化リチウムが含まれるため、リチウム吸着工程に繰り返すことで、リチウムの回収率が上がる。加えて中和剤のコストが下がる。
【0047】
(第2実施形態)
図3に、本発明の第2実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法内の不純物除去工程の構成を示すフロー図を示す。本実施形態の、第1実施形態との相違点は、不純物除去工程に、酸化工程が含まれる点である。他の点は第1実施形態と同じである。以下に、相違点である酸化工程について説明する。
【0048】
<不純物除去工程中の酸化工程>
酸化工程は、リチウム溶離工程で得られた第2リチウム含有溶液に、空気、酸素、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を添加し、第2リチウム含有溶液中のマンガンを酸化し、不溶性の二酸化マンガンにすることで液中に溶解しているマンガンを沈殿除去する工程である。マンガンは中和工程でも除去可能であるが、酸化工程が設けられることにより、マンガンが中和工程前に除去されるので、中和工程でのマンガンが除去される負荷を低減できる。また、酸化工程で沈殿除去されたマンガンは再利用することも可能である。酸化工程で用いられる酸化剤の種類は、空気、酸素、次亜塩素酸ナトリウムなどを採用することができる。第2リチウム含有溶液の酸化還元電位は電位pH図で二酸化マンガンの領域になっている、pHと電位に設定する。
【実施例
【0049】
以下に本発明に係る水酸化リチウムの製造方法の具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
<リチウム吸着工程>
リチウム選択吸着剤として、H1.6Mn1.6が用いられた。このリチウム選択吸着剤、容量600mL(嵩密度:1.0)が容量1Lのカラム(内径50mm)に充てんされた。そして、pH8の第1リチウム含有溶液がこのカラム内に通液された。第1リチウム含有溶液には、表1に示すように、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、およびカルシウムの塩化物または硫酸塩とホウ酸が含まれている。金属濃度の分析はICP-AESで行われた。
【0051】
【表1】
【0052】
この第1リチウム含有溶液は、カラム内に通液速度100mL/minで90L通液された。図4には、カラムを流出した後の第1リチウム含有溶液のリチウム濃度と、通液量との関係を示す。なおグラフのX軸でのBVは、Bed Volumeの略であり、カラム内のリチウム選択吸着剤の体積の何倍かを表す単位である。本実施例では、リチウム選択吸着剤の容量が600mLであるので、90Lは、150BVとなる。合わせて、通液速度についてもSVと表示される場合がある。SVはSpace Velocityの略であり、単位時間(1時間)あたりの通液量BVを表している。本実施例では、100mL/minであるので、6L/hとなるので、SV10となる。
【0053】
図4に示すように、カラムを流出した後の第1リチウム含有溶液内のリチウム量が、100BV、すなわち60Lが通液されたあたりで、元々の第1リチウム含有溶液に含まれていたリチウム量と同じ程度となっており、この時点でリチウム選択吸着剤にリチウムが十分に吸着されているのがわかる。
【0054】
第1リチウム含有溶液が90L通液された後、カラム内部に残存する第1リチウム含有溶液を押し出すために蒸留水を100L/min(SV10)で15L(BV25)通液して、カラム内部の洗浄が行われた。
【0055】
<リチウム溶離工程>
鉱酸として、濃度0.5mol/Lの塩酸水溶液が、カラム内に通液速度100mL/min(SV10)で9L(BV15)だけ通液された。図5には、カラムを流出した後の第2リチウム含有溶液のリチウム濃度と、通液量との関係を示す。図5より、0.6L(BV1)以前、および4.8L(BV8)以降の第2リチウム含有溶液にはほとんどリチウムが含まれていないことがわかる。この結果からBV2~7の第2リチウム含有溶液を以降の工程で使用するようにした。この以降の工程で使用する第2リチウム含有溶液の金属濃度を表2に示す。金属濃度の分析はICP-AESで行われた。
【0056】
【表2】
【0057】
リチウム吸着工程とリチウム溶離工程が行わることで、溶液内のリチウムが濃縮されるとともに、第1リチウム含有溶液内ではリチウムと比較して濃度が非常に高かったナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウムが少なくなっており、リチウムが選択的に回収できていることがわかる。
【0058】
<中和工程(不純物除去工程)>
リチウム溶離工程で得られた第2リチウム含有溶液6.5L(pH0.6)を容量20Lのプラスチック製のタンクに入れ、常温で攪拌混合しながら、8mol/LのNaOH水溶液を66mL添加した。その後、30分間攪拌混合しながら、溶液のpHが10になるように調整された。生成された澱物と水溶液とを5Cろ紙で固液分離した。固液分離した後の水溶液は、中和後液である。この金属濃度を表3に示す。金属濃度の分析はICP-AESで行われた。
【0059】
【表3】
【0060】
表3より、中和後液のマグネシウムおよびアルミニウムの濃度は0.002g/Lまで低減し、マンガン濃度は<0.001g/Lと検出下限未満であった。本工程で中和後液内のマグネシウムとマンガンが除去できたことがわかった。
【0061】
<イオン交換工程(不純物除去工程)>
中和後液5Lとキレート樹脂(三菱ケミカル社製:ダイヤイオンCR11)500mLとが容量20Lのプラスチック製に入れられた。そして常温で30分間攪拌混合された。攪拌混合後5Cろ紙で、内容物が固液分離された。固液分離した後の液体である第3リチウム含有溶液の金属濃度を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
イオン交換工程により、アルカリ金属とホウ素以外の多価金属イオンは極微量にまで低減することができた。金属濃度の分析は、Li、Na、K、BはICP-AESで行われ、Mg、Ca、Mn、AlICP-MSで行われた。
【0064】
<転換工程>
不純物除去工程で得られた第3リチウム含有溶液5Lがバイポーラ膜電気透析装置(アストム社製:アシライザーEX3B)に導入され、塩化リチウムが水酸化リチウムに転換された。転換後の水酸化リチウム含有溶液の液量は0.8Lであった。通電時間と水酸化リチウム水溶液中のリチウム濃度の関係を図6に示す。水酸化リチウム含有溶液中の初期リチウム濃度は1.0g/Lになるように、試験者が設定した。通電とともに水酸化リチウム含有溶液中のリチウム濃度が増加し、最終的に11~12g/Lまで濃縮した。転換後の金属濃度を表5に示す。金属濃度の分析はICP-AESで行われた。
【0065】
【表5】
【0066】
上記の工程を経ることにより、塩湖かん水のようにリチウムに比較してナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の不純物を圧倒的に多く含む水溶液系から選択的にリチウムが回収され、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム含有溶液を得ることができた。
【0067】
<晶析工程>
転換工程で得られた水酸化リチウム含有溶液0.8LをSUS製のビーカーに入れ、緩攪拌しながら加熱し、90~100℃の温度を保持しながら、0.2Lまで濃縮操作を行い、析出した水酸化リチウムを回収した。水酸化リチウムの分析値を表6に示す。不純物濃度の低い水酸化リチウムを回収できることが確認できた。
【0068】
【表6】
図1
図2
図3
図4
図5
図6