(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】被加工物の撮像方法、及び、加工装置
(51)【国際特許分類】
B24B 49/12 20060101AFI20240924BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240924BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240924BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
B24B49/12
B24B27/06 M
B24B41/06 L
H01L21/78 F
(21)【出願番号】P 2020028854
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】名嘉眞 惇
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 芳昌
(72)【発明者】
【氏名】久保 敦嗣
(72)【発明者】
【氏名】山本 直子
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-025583(JP,A)
【文献】特開平11-330013(JP,A)
【文献】特開2010-087141(JP,A)
【文献】特開2012-232316(JP,A)
【文献】特開平07-058176(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0196939(US,A1)
【文献】特開2016-197702(JP,A)
【文献】特開2002-289628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/12
B24B 27/06
B24B 41/06
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光に対して透過性を有するテープが被加工物に貼着される貼着ステップと、
透明部材からなる透明部を少なくとも一部に有した保持部材を備える保持テーブルにより該テープを介して被加工物を保持する保持ステップと、
被加工物に対し該テープに至る溝を加工ユニットにより形成する溝加工ステップと、
該透明部の範囲内にある該溝を該保持部材に対し一側に配設された撮像カメラが撮像する第一撮像ステップと、を備え、
該第一撮像ステップでは、該保持部材に対し他側に配置された第一光源が光を投光し、該保持部材に対し前記一側に配設された該撮像カメラが撮像する、被加工物の撮像方法。
【請求項2】
該第一撮像ステップとは別に、該第一光源による光の投光をしない状態において、
該被加工物に対して該撮像カメラが配設された前記一側から第二光源にて光を投光しつつ、
該撮像カメラが該溝を撮像する第二撮像ステップ、
を更に有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の被加工物の撮像方法。
【請求項3】
該撮像カメラは該透明部と該テープを介して被加工物の被保持面側の該溝を撮像する、
ことを特徴とする請求項2に記載の被加工物の撮像方法。
【請求項4】
該保持部材に対し前記他側となる露出面側の該溝を、該露出面側に配設される第二撮像カメラが撮像する第三撮像ステップであって、
該第一撮像ステップ及び該第二撮像ステップとは別に、
該第二撮像カメラが配置された前記他側から
該第一光源及び該第二光源とは別の第三光源にて光を投光しつつ、
該第二撮像カメラが該溝を撮像する第三撮像ステップ、
を更に有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の被加工物の撮像方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の被加工物の撮像方法に用いられる加工装置であって、
透明な保持部材からなる透明部を少なくとも一部に有する保持テーブルと、
該保持テーブルで保持された被加工物に溝を形成する加工ユニットと、
被加工物を撮像する撮像カメラと、
該保持部材を挟んで該撮像カメラと反対側に配設された光源と、を備えた加工装置。
【請求項6】
該撮像カメラが配設された側から該被加工物に対して光を投光する第二光源を更に備え、
該第二光源から光を投光しつつ該撮像カメラにて該溝を撮像する、
ことを特徴とする請求項5に記載の加工装置。
【請求項7】
該撮像カメラは該透明部と該テープを介して被加工物の被保持面側の該溝を撮像する、
ことを特徴とする請求項6に記載の加工装置。
【請求項8】
該被加工物の該被保持面側と反対側の露出面側の該溝を撮像するための第二撮像カメラをさらに備えることとし、
該第二撮像カメラの撮像の際に、該第二光源から光が投光される、
ことを特徴とする請求項7に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも保持面の一部に透明部を有した保持テーブルを有する加工装置による撮像方法、及び、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されるように、半導体ウェーハ等の被加工物を切削する切削装置において、チャックテーブル上に保持された被加工物を撮像して、切削すべき領域(分割予定ライン)を検出するための撮像カメラ(光学手段)を備える構成が知られている。
【0003】
撮像カメラは、切削溝が形成された位置と加工予定位置との位置ずれや、切削溝の幅や、切削溝に生じるチッピングの有無などを検出するための、所謂カーフチェックの実施にも利用されるものである。
【0004】
撮像カメラは、ウェーハの上方に配置され、上方からウェーハや切削溝を撮像することで、カーフチェックのための画像を取得することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
撮像カメラは、その周囲からウェーハに光を投光し、その反射光によってウェーハや切削溝を撮像するものであるが、切削溝の周囲に存在するパターンや、TEG(Test Element Group)が映り込むことによって、切削溝が誤検出される場合があり、改善が切望されていた。
【0007】
以上に鑑み、本願発明は撮像カメラに取得した撮像画像によるカーフチェックにおいて、誤検出の防止を可能とする新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、
可視光に対して透過性を有するテープを被加工物に貼着する貼着ステップと、
透明部材からなる透明部を少なくとも一部に有した保持部材を備える保持テーブルで該テープを介して被加工物を保持する保持ステップと、
被加工物に対し該テープに至る溝を形成する溝加工ステップと、
該透明部に位置する該溝を撮像カメラで撮像して該溝の状態を確認する溝確認ステップと、を備え、
該溝確認ステップでは、該保持部材を挟んで該撮像カメラと反対側に配設された光源から光を投光しつつ撮像する、被加工物の撮像方法とする。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、
該被加工物に対して該撮像カメラが配設された側から光を投光しつつ、
該撮像カメラで該溝を撮像する第二撮像ステップ、
を更に有する、こととする。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、
該撮像カメラは該透明部と該テープを介して被加工物の被保持面側の該溝を撮像する、こととする。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、
該被加工物の該被保持面側と反対側の露出面側の該溝を、該露出面側に配設される第二撮像カメラにより撮像する第三撮像ステップ、を更に有する、こととする。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、
透明な保持部材からなる透明部を少なくとも一部に有する保持テーブルと、
該保持テーブルで保持された被加工物に溝を形成する加工ユニットと、
被加工物を撮像する撮像カメラと、
該保持部材を挟んで該撮像カメラと反対側に配設された光源と、を備えた加工装置、とする。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、
該撮像カメラが配設された側から該被加工物に対して光を投光する第二光源を更に備え、
該第二光源から光を投光しつつ該撮像カメラにて該溝を撮像する、こととする。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、
該撮像カメラは該透明部と該テープを介して被加工物の被保持面側の該溝を撮像する、こととする。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、
該被加工物の該被保持面側と反対側の露出面側の該溝を撮像するための第二撮像カメラをさらに備える、こととする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、撮像カメラの反対側から投光されて被加工物を透過した光が撮像されるため、仮に、分割予定ラインの近くにパターンやTEGが存在した場合であっても、これらが撮像画像に映り込むことがなく、切削溝の誤検出を防ぐことができる。また、撮像画像に現れる溝の幅に基づいて、溝が先細り形状(溝底が狭い)となっていることや、溝が傾斜している(斜め切れ)ことなども検出することができる。また、撮像画像に現れる影の状況から、チッピングやクラックなども検出することができる。このように切削溝の誤検出を防ぎつつ、カーフチェックを実施することができる。
【0017】
また、本発明の一態様によれば、被加工物の被保持面側において、分割予定ラインの近くにパターンやTEGが存在した場合であっても、これらが撮像画像に映り込むことがなく、溝の誤検出を防ぐことができる。
【0018】
また、本発明の一態様によれば、2つの撮像画像を比較することにより、溝が先細り形状(溝底が狭い)となっていることや、溝が傾斜している(斜め切れ)ことなどを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施に使用される切削装置の一実施形態の斜視図である。
【
図2】支持ボックス及び保持テーブル部分の分解斜視図である。
【
図3】(A)は支持ボックス上に搭載された保持テーブルの斜視図である。(B)は下方撮像機構及びその支持構造の斜視図である。
【
図4】保持テーブルの断面形状等について示す図である。
【
図5】(A)は、下方撮像機構の構成について示す側面概要図である。(B)は、プリズム本体の別実施形態について示す図である。
【
図6】下方撮像機構の構成について示す正面概要図である。
【
図7】(A)は被加工物の一例であるウェーハの表面を表す図である。(B)は被加工物の一例であるウェーハの裏面を表す図である。
【
図8】保持テーブルと下方撮像機構の位置関係について説明する図である。
【
図10】溝確認ステップについて説明する図である。
【
図11】(A)は撮像画像について説明する図である。(B)はウェーハの断面について説明する図である。
【
図12】上方撮像機構の一実施例について説明する図である。
【
図13】第二撮像ステップについて説明する図である。
【
図14】(A)は2つの撮像画像を比較する例について説明する図である。(B)は2つの撮像画像を比較する他の例について説明する図である。
【
図15】(A)は上方撮像機構にて下方光源から投光される光を受光して撮像する例について説明する図である。(B)は下方撮像機構にて反射光を受光して撮像する例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る切削装置2について示す斜視図である。なお、本発明は以下に説明される切削装置の他、レーザーにて被加工物を加工する加工ユニットであって、レーザービームを発生させる発振器とレーザービームを被加工物に集光する集光器とを備えた加工ユニットを有するレーザー加工装置においても適用できる。
【0021】
図1に示すように、切削装置2の基台4には、保持テーブル27が移動機構23(
図3(A))によりX軸方向に往復動可能に配設されている。保持テーブル27の周囲にはウォーターカバー14が配設されており、このウォーターカバー14と基台4にわたり蛇腹16が連結されている。
【0022】
図1に示すように、基台4の前側角部には、後述する被加工物を収容するカセット20を載置するためのカセット載置台21が設けられる。
【0023】
図1に示すように、基台4上には門型形状のコラム24が立設されており、コラム24にはY軸方向に伸長する一対のガイドレール26が固定されている。ガイドレール26には、Y軸移動ブロック28が移動可能に設けられており、ボールねじ30とパルスモータ32とからなるY軸移動機構34によって、Y軸移動ブロック28がガイドレール26に案内されてY軸方向に移動する。
【0024】
図1に示すように、Y軸移動ブロック28にはZ軸方向に伸長する一対のガイドレール36が固定されている。ガイドレール36に対しZ軸移動ブロック38が移動可能に設けられており、ボールねじ40とパルスモータ42とからなるZ軸移動機構44によって、Z軸移動ブロック38がガイドレール36に案内されてZ軸方向に移動する。
【0025】
図1に示すように、Z軸移動ブロック38には切削ユニット46及び上方撮像機構52が取付けられている。切削ユニット46は、
図9に示すように、図示せぬモータにより回転駆動されるスピンドル48の先端部に切削ブレードB1を着脱可能に装着して構成されている。
【0026】
図1に示すように、保持テーブル27の上方となる位置には、上方光源6Uが設けられ、保持テーブル27に向けて上方から光を投光できるようになっている。上方光源6Uは図示せぬブラケットを介してコラム24、あるいは、図示しない天井等に固定されることで配設することができる。
【0027】
図1に示すように、基台4上には、スピンナーテーブル56を有するスピンナー洗浄ユニット54が設けられており、切削加工後の被加工物をスピンナーテーブル56で吸引保持してスピンナー洗浄するとともに、スピン乾燥できるようになっている。
【0028】
図1に示すように、切削装置2はコントローラ80を備え、各種の駆動部の動作制御が行われる。また、タッチパネル等からなる表示モニター60が設けられ、後述する撮像画像等の各種情報が表示される。
【0029】
図2は、保持テーブル27の構成について説明する図である。
保持テーブル27は環状ベース62と、円盤状の保持部材74とを有する。環状ベース62は、嵌合部64と、嵌合部64より大径のベルト巻回部66と、嵌合部64軸方向に貫通する貫通部65と、貫通部65を塞ぐ透明部材68と、を有する。
【0030】
図2に示すように、環状ベース62の上面には、円盤状の保持部材74の枠部74bを載置して固定するための被装着領域70が設けられる。
【0031】
図2に示すように、保持部材74は、円盤状の保持部74aと、その周囲を取り囲む枠部74bを有して構成される。保持部74aは、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム等の透明部材にて構成されている。なお、透明部材の「透明」とは、「可視光の少なくとも一部の波長の光を透過し、吸収、散乱しない」ことをいうものであり、後述する外周凸部検出ステップや、分割予定ライン検出ステップの実行を可能とするものであればよく、着色されたものであってもよい。また、保持部材74の一部の必要な範囲にのみ透明領域を構成することとしてもよい。
【0032】
図4に示すように、保持部74aの上面は、ウェーハ10を保持する保持面74cを形成する。保持面74cにおいて、保持部74aの外周縁に近い箇所には、環状の吸引溝76が同心状に複数設けられており(本実施例では3列)、この吸引溝76にテープTが吸着保持される。吸引溝76は、保持部材74が環状ベース62に取付けられた状態で吸引源89に接続される。保持部材74の保持部74aにおいて、環状の吸引溝76が形成されていない領域が透明部として構成される。
【0033】
図2及び
図4に示すように、環状ベース62の上面には、保持部材74の周囲を取り囲むように、ウェーハユニット8の環状フレームFを下側から支持するフレーム支持部72が4箇所に設けられる。
【0034】
図2及び
図4に示すように、フレーム支持部72は、環状フレームFを支持する支持面を構成する支持ブロック72aと、環状フレームFの下側から吸着保持する吸着部72bと、を有し、吸着部72bは、吸引源89に接続される。
【0035】
図2及び
図4に示すように、保持テーブル27の環状ベース62には、保持部材74の保持部74aとほぼ同径の貫通部65が形成されており、貫通部65の下部が透明部材68(例えば、ガラス)にて閉鎖される。これにより、下側から順に、透明部材68、貫通部65、保持部材74の保持部74aが配置され、これらの部位において光が透過することで、詳しくは後述するように、保持テーブル27の下方からの撮像が可能となる。なお、透明部材68は省略することとしてもよい。
【0036】
図2に示すように、保持部材74を環状ベース62の被装着領域70上に搭載し、環状ベース62から下方に突設される環状の嵌合部64を支持ボックス15の円形開口15aに嵌合させることで、
図3(A)に示すように保持テーブル27が支持ボックス15に回転可能に搭載された状態となる。
【0037】
図3(A)に示すように、支持ボックス15の連結板15bにはモータ17が取り付けられており、モータ17の出力軸に連結されたプーリー17aと環状ベース62のベルト巻回部66に渡りベルト29が巻回される。モータ17を駆動すると、ベルト29を介して保持テーブル27が回転される。
【0038】
図3(A)に示すモータ17は、例えばパルスモータから構成され、アライメント遂行時にモータ17を所定パルスで駆動すると、保持テーブル27が所定量回転(θ回転)されて、
図7(A)に示すウェーハ10の分割予定ライン(ストリート)13のアライメントを行うことができる。
【0039】
図3(A)に示すように、支持ボックス15は、X軸方向に固定的に延在する一対のガイドレール31にスライド可能に載置されており、移動機構23によりX軸方向に移動される。移動機構23は、ガイドレール31の間に平行に配置されるボールネジ23aと、パルスモータ23bを有して構成される。
【0040】
図3(A)に示すように、ボールネジ23aは支持ボックス15の下板15eの下面に設けた雌ネジ部に螺合され、パルスモータ23bを駆動してボールネジ23aを回転させることで、支持ボックス15がX軸方向に移動する。
【0041】
図3(A)に示すように、保持テーブル27の支持ボックス15の近傍には、保持テーブル27に保持された半導体ウェーハ等の被加工物を保持部材74の下側から撮像する下方撮像機構82が設けられている。
【0042】
図10に示すように、支持ボックス15は、上板15c、下板15e、及び、連結板15bにて側面視において略コ字をなしており、連結板15bの反対側には、上板15cと下板15eの間の空間に下方撮像機構82の進入を可能とする開口部15gが形成される。
【0043】
図3(A)、及び、
図3(B)に示すように、下方撮像機構82は、Y軸移動ブロック83に立設されるコラム96に設けられる。Y軸移動ブロック83は、Y軸方向に固定的に延在する一対のガイドレール81にスライド可能に載置されており、駆動手段87によりY軸方向に移動される。駆動手段87は、ガイドレール81の間に平行に配置されるボールネジ87aと、パルスモータ87bを有して構成される。
【0044】
図3(A)に示すように、ボールネジ87aはY軸移動ブロック83の下面に設けた雌ネジ部に螺合され、パルスモータ87bを駆動してボールネジ87aを回転させることで、Y軸移動ブロック83がY軸方向に移動する。
【0045】
図3(B)に示すように、下方撮像機構82は、プリズム機構Pと、撮像カメラCと、を有して構成される。
【0046】
図5(A)、及び、
図6に示すように、プリズム機構Pは、プリズム本体90と、光源92と、プリズム本体90、及び、光源92を収容する筐体84と、を有して構成される。
【0047】
図5(A)に示すように、プリズム機構Pのプリズム本体90は、側面視において約45度の角度の傾斜をなす反射面90aを有するいわゆる直角プリズム(側面視直角三角形)にて構成される。
【0048】
図5(A)に示すように、筐体84において、反射面90aに対して斜め45度上方の位置、即ち、プリズム本体90に対して上方となる位置には、第一通過口85aが形成されている。反射面90aは第一通過口85aを通じて保持テーブル27に対向する。
【0049】
図5(A)に示すように、筐体84において、反射面90aに対し斜め45度下方の位置、即ち、プリズム本体90に対して側方となる位置には、第二通過口85bが形成されている。
【0050】
以上のようにして、
図5(A)に示すように、第一通過口85aから進入する光H1が、反射面90aで反射して90度屈折し、第二通過口85bから出射される。
【0051】
なお、
図5(A)に示すプリズム本体90のように、反射面90aで光H1を直接反射させる他、
図5(B)に示すプリズム本体90Aのように、プリズム本体90A内に光H1を透過させて反射面90bで光H1を屈折させることとしてもよい。この場合、光路長を長く形成することができ、各部品の干渉を避けるなどの設計が可能となる。
【0052】
図5(A)及び
図6に示すように、筐体84内には、例えばLEDからなる光源92が収容されており、筐体84の上面には、光源92の光を透過させるための光透過口86が形成されている。本実施例では、プリズム本体90を挟んで両側に3個づつ光源92が配置され、各光源92に対応する位置に光透過口86が形成される。
【0053】
図6に示すように、光源92から照射される光H2は、上方に配置される保持テーブル27に保持されたウェーハ10の下面に向けて照射され、その反射した光H1がプリズム本体90に入射する。なお、光源92は、照射される光H2が撮像カメラC(
図5(A))の焦点位置を照らすように傾斜して配置され、光H2の光軸が傾斜するように構成される。
【0054】
図5(A)に示すように、撮像カメラCは、鏡筒91と、鏡筒91の一端側に設けられる対物レンズ93と、鏡筒91の他端側に設けられる撮像素子95と、を有して構成される。
【0055】
図5(A)に示すように、鏡筒91は、第二通過口88bに接続されるように設けられ、対物レンズ93がプリズム本体90の反射面90aに対向するように配置される。
【0056】
図5(A)に示すように、対物レンズ93を通過した光H1は撮像素子95にて受光され、図示せぬ画像処理装置により画像データ化される。
【0057】
図3(B)に示すように、下方撮像機構82を構成するプリズム機構Pや撮像カメラCは、支持プレート94により支持され、支持プレート94の基端部はZ軸移動ブロック98に固定されている。Y軸移動ブロック83(
図3(A))に立設されるコラム96には、ボールねじ100及びパルスモータ102から構成されるZ軸移動手段104が設けられ、Z軸移動ブロック98が一対のガイドレール106に沿ってZ軸方向(上下方向)に移動され、これに伴って、下方撮像機構82もZ軸方向(上下方向)に移動される。
【0058】
次に、以上の装置構成を用いた加工例について説明する。
<被加工物準備ステップ>
可視光に対して透過性を有するテープを被加工物の表面に貼着するステップである。
図7(A)(B)は、被加工物の一例であるウェーハ10を示すものである。
【0059】
ウェーハ10の表面10aには、デバイス11が格子状に配列され、分割予定ライン13(ストリート)に沿って溝加工が施されることにより、チップに分割されるものである。ウェーハ10は、例えば、厚さが100μmのシリコンウェーハであるが、特に限定されるものではない。
【0060】
図7(B)に示すように、ウェーハ10の裏面10b側を上側にして露出させるとともに、ウェーハ10の表面10aをテープTに貼着し、テープTを介して環状フレームFとウェーハ10を一体とするウェーハユニット8が構成される。
【0061】
以上のようなウェーハユニット8を構成することで、表面10aのデバイス11をテープTにて保護しつつ、ウェーハ10がハンドリング可能な状態とされる。なお、環状フレームFを用いずに、ウェーハ10の表面10aにテープを貼着して保護することとしてもよい。
【0062】
また、
図7(B)において、テープTは透明、即ち、「可視光の少なくとも一部の波長の光を透過し、吸収、散乱しない」特性を有することとし、後述する分割予定ライン検出ステップや溝確認ステップの実行を可能とするものである。また、テープTは着色されたもであってもよく、伸縮性のある樹脂製のテープにて構成することができる。また、テープTを用いる代わりに、ガラスや樹脂等からなる板状のハードプレートにてウェーハ10の表面10aを保護してハンドリングすることとしてもよい。
【0063】
<保持ステップ>
図8に示すように、少なくとも一部が透明な保持部材74を有した保持テーブル27でテープTを介して被加工物(ウェーハ10)の表面10a側を保持するステップである。
【0064】
ウェーハ10は、テープTを介して保持テーブル27の保持部材74に吸引保持される。テープTと保持部材74は、上述したように透明にて構成されるものである。
【0065】
<分割予定ライン検出ステップ>
図8に示すように、保持ステップを実施した後、保持部材74とテープTとを介して保持テーブル27で保持された被加工物(ウェーハ10)の表面10aを撮像カメラC(
図5(A))で撮像して分割予定ライン13(
図7(A))の位置を検出するステップである。
【0066】
具体的には、
図8に示すように、Y軸移動ブロック83を移動させることで、下方撮像機構82をウェーハ10の下方に位置付け、保持テーブル27の保持部材74、テープTを介して、ウェーハ10の表面10aを撮像するとともに、撮像画像をもとにウェーハ10の分割予定ライン13(
図7(A))が検出される。なお、
図6に示すように、保持部材74において、環状の吸引溝76(
図4)が形成されていない領域が透明部として構成され、この透明部を透過することで撮像が可能となる。また、保持部材74は全部が透明ではなく、透明部を確保しつつ他の部位は不透明なものとしてもよい。
【0067】
<溝加工ステップ>
図9に示すように、切削ユニット46の切削ブレードB1の位置を、分割予定ライン検出ステップで検出された分割予定ライン13(
図7(A))の位置に合わせるとともに、切削ユニット46を所定の高さに位置付け、保持テーブル27を加工送り方向(X軸方向)に移動させることで、切削ブレードで被加工物を切削し、テープに至る溝を形成する溝加工が行われる。
【0068】
図9に示すように、一つの分割予定ライン13(
図7(A))について溝加工を行った後、切削ブレードB1をY軸方向にインデックス送りを行って、隣の分割予定ラインについて同様に溝加工を行う。
【0069】
図7(A)において、第一の方向(例えば、X軸方向)に伸びる全ての分割予定ライン13について溝加工を行った後、保持テーブル27(
図9)を90度回転させ、
図7(A)において第二の方向(例えば、Y軸方向)について、同様の溝加工が実施される。
【0070】
<溝確認ステップ(第一撮像ステップ)>
図10及び
図11(A)に示すように、保持部材74を介して溝Mを撮像カメラで撮像して溝Mの状態を確認するステップであり、これによりカーフチェックが行われるものである。
【0071】
この溝確認ステップは、溝加工ステップにおける加工途中や、特定の溝加工を終了した段階、あるいは、実施されるべき全ての溝加工を終了した段階において、
図11(A)に示すように、ウェーハ10を撮像することで行われる。
【0072】
具体的には、
図10、及び、
図11(A)に示すように、Y軸移動ブロック83を移動させることで、下方撮像機構82をウェーハ10の下方の所定の位置に位置付ける。次いで、上方光源6Uから光L1を投光するとともに、ウェーハ10及び保持部材74を透過した光L1を下方撮像機構82にて撮像するものである。
【0073】
これにより、
図11(A)に示すように、光が透過する溝Mの部分が明るく表示される撮像画像S1が得られる。この撮像画像S1は、
図11(B)に示すように、ウェーハ10の下側に配置される表面10a(被保持面)に近い溝底Mdの様子が現れるものであり、
図11(A)に示す撮像画像S1に現れる溝Mの幅D1が測定される。
【0074】
ここで、
図11(A)に示す撮像画像S1は、
図11(B)に示すように、溝底Mdを透過した光L1が撮像されるため、仮に、ウェーハ10の表面10a(被保持面)において、分割予定ラインの近くにパターンやTEGが存在した場合であっても、これらが画像に映り込むことがなく、溝Mの誤検出を防ぐことができる。
【0075】
なお、本明細書にいう『溝の誤検出』とは、例えば、パターンやTEGを溝の一部分として検出してしまうことにより、溝Mの幅D1(
図11(A))の測定値が実際の寸法と大きく相違してしまうこと、などを含むものである。
【0076】
また、
図11(A)に示す溝Mの幅D1が、切削ブレードB1(
図9)のブレード幅と比較して極端に狭い場合には、溝が先細り形状(溝底が狭い)となっていることや、溝が傾斜していることなどを検出することができる。このようにして撮像画像S1に基づき、特に溝の底に近い側の状態を確認するカーフチェックを実施することができる。
【0077】
なお、
図11(A)に示すように、下方撮像機構82では上方光源6Uから投光され、保持部材74等を透過する光L1を撮像するものであり、
図6に示される下方撮像機構82の光源92からの光H2の照射は行われないこととする。
【0078】
また、
図11(A)に示すように上方光源6Uから光L1を照射することとする他、
図12に示すように、上方撮像機構52に備えられる光源52Uから光を照射し、この光を下方撮像機構82(
図11(A))で受光して撮像することとしてもよい。なお、上方撮像機構52は、撮像素子52Sと、対物レンズ52Lと、光源52Uと、を有する構成により実現できる。
【0079】
<第二撮像ステップ>
さらに、以上のように透過光を利用してウェーハ10の表面10a(被保持面)側の溝底Md(
図11(B))の撮像画像S1(
図11(A))を取得する他、
図15(B)に示すように、反射光L4を利用して表面10a(被保持面)の溝底Md(
図11(B))の撮像画像S4(
図15(B))を取得して溝の状態を確認する、第二撮像ステップを実施することとしてもよい。
【0080】
この
図15(B)の例では、下方撮像機構82を用い、ウェーハ10の下側に配置されることになる第二光源(光源92(
図6))から光L4を照射して反射光を撮像することで、撮像画像S4を取得するものである。このように、反射光を利用することによっても、表面10a(被保持面)の溝底Md(
図11(B))の状態を検出することができる。
【0081】
なお、上述した溝確認ステップ(第一撮像ステップ)では、
図11(A)に示されるように、透過する光L1(透過光)を利用して表面10a(被保持面)側における溝Mの状態を撮像するものであるが、この場合、撮像画像S1において溝Mの縁に生じたチッピングは、影となって正確に検出され難くなる。この点、上述した第二撮像ステップにおいて、
図15(B)に示すように、反射光L4を用いた撮像を行うことによれば、溝Mの周囲の表面10a(被保持面)をクリアに撮像することができ、溝Mの縁に生じるチッピングを確実に検出できる。
【0082】
<第三撮像ステップ>
さらに、以上に説明したウェーハ10の表面10a(被保持面)側の溝底Md(
図11(B))の撮像画像S1(
図11(A))に加え、
図13に示すように、ウェーハ10の裏面10b側の溝開口部Mu(
図11(B))の撮像画像S2(
図13)を取得して露出面側の溝の状態を確認する、第三撮像ステップを実施することとしてもよい。
【0083】
この
図13の例では、上方撮像機構52(
図12)を用い、上側に露出するウェーハ10の裏面10bに対し光L2を照射するとともに、その反射光を上方撮像機構52にて受光して撮像画像S2を取得するものである。このような反射光の利用による撮像画像S2の取得は、ウェーハ10の露出面(裏面10b)にパターンが形成されない場合に特に好適である。撮像画像S2にパターンが写り込むことがなく、溝幅や溝の位置を正確に検出できるからである。
【0084】
また、この第三撮像ステップにおいて、
図15(A)に示すように、上側に露出するウェーハ10の裏面10bを、下側から透過させる光L3(透過光)により撮像し、露出面側の溝の状態を確認することとしてもよい。このような透過光の利用による撮像画像S3(
図5(A))の取得は、ウェーハ10の露出面(裏面10b)にパターンが形成される場合に特に好適である。透過光であるため、撮像画像S3にパターンが写り込むことがなく、溝幅や溝の位置を正確に検出できるからである。
【0085】
撮像画像S2では、
図11(B)に示すウェーハ10の裏面10b側の溝開口部Muの様子が現れるものであり、
図13に示す撮像画像S2に現れる溝Mの幅D2が測定される。
【0086】
そして、得られた幅D2の測定値が、切削ブレードB1(
図9)のブレード幅と比較して極端に広い場合や狭い場合には、溝の先細りや溝が斜めに形成されている等を含む加工不良を検出することができ、また、撮像画像S2に現れる影の状況から、チッピングやクラックなども検出することができる。このようにして撮像画像S2に基づき、特に溝の開口部に近い側の状態を確認するカーフチェックを実施することができる。
【0087】
さらに、
図14(A)に示すように、2つの撮像画像S1,S2を比較することによるカーフチェックを行うことができる。例えば、同じ撮像位置において撮像画像S1,S2を取得した場合において、撮像画像S1に現れる溝Mの幅方向の中心線G1と、撮像画像S2に現れる溝Mの幅方向の中心線G2が大きくズレている場合には、露出面側の溝の位置と被保持面側の溝の位置にズレが生じており、溝が傾斜していることを検出することができる。
【0088】
同様に、
図14(B)に示すように、撮像画像S1に現れる溝Mの幅方向の中心と、撮像画像S2に現れる溝Mの幅方向の中心が一致しているが、撮像画像S1に現れる溝Mの幅D1が、撮像画像S2に現れる溝Mの幅D2と比較して狭い場合には、溝底の幅が狭い先細りの形状となっていることが検出できる。
【0089】
また、以上の実施形態ではウェーハの被保持面側を透過光で撮像し、被保持面の反対側である露出面側を反射光で撮像したが、本発明はこの形態に限定されない。すなわち、ウェーハを保持テーブルで保持した際に露出面側を透過光で撮像し、被保持面側を反射光で撮像してもよいし、被保持面側と露出面側をともに透過光で撮像してもよい。
【0090】
具体的には、前述の実施形態に加え、
図15(A)に示すように、下方光源6Dを設け、光L3を保持部材74等を透過させ、上方撮像機構52にて受光して撮像画像S3を取得することとしてもよい。なお、下方光源6Dは、例えば、支持ボックス15の下板15e(
図10)に設けることができる。また、光L3を照射するための下方光源6Dを設けることとする他、
図6に示される下方撮像機構82の光源92を利用して光を照射することとしてもよい。
【0091】
さらに、以上に説明した例では、
図11(A)に示すように、ウェーハ10の表面10a(おもて面)側を保持部材74で保持し、ウェーハ10の裏面10bを露出させ、裏面10b側に溝加工がされる例を用いて説明したが、この逆に、ウェーハ10の表面10a(おもて面)を露出させ、裏面10b側を保持部材74で保持する加工形態を採用する場合においても、上述した撮像方法を利用してカーフチェックを行うことができる。
【0092】
以上のようにして本発明を実施することができる。
即ち、
図10、及び、
図11(A)(B)に示すように、
可視光に対して透過性を有するテープTを被加工物(ウェーハ10)に貼着する貼着ステップと、
透明部材からなる透明部を少なくとも一部に有した保持部材74を備える保持テーブル27でテープTを介して被加工物を保持する保持ステップと、
被加工物に対しテープTに至る溝Mを形成する溝加工ステップと、
該透明部に位置する溝Mを撮像カメラ(下方撮像機構82又は上方撮像機構52)で撮像して溝Mの状態を確認する溝確認ステップと、を備え、
溝確認ステップでは、保持部材74を挟んで撮像カメラ(下方撮像機構82又は上方撮像機構52)と反対側に配設された光源(上方光源6U又は下方光源6D)から光を投光しつつ撮像する、被加工物の撮像方法とするものである。
【0093】
これによれば、
図11(A)の例のように、撮像カメラ(下方撮像機構82)の反対側から投光されて被加工物を透過した光が撮像されるため、仮に、分割予定ラインの近くにパターンやTEGが存在した場合であっても、これらが撮像画像S1に映り込むことがなく、溝Mの誤検出を防ぐことができる。また、撮像画像S1に現れる溝Mの幅D1に基づいて、溝が先細り形状(溝底が狭い)となっていることや、溝が傾斜している(斜め切れ)ことなども検出することができる。また、撮像画像S1に現れる影の状況から、チッピングやクラックなども検出することができる。このように溝の誤検出を防ぎつつ、カーフチェックを実施することができる。
【0094】
また、
図15(B)に示すように、
被加工物であるウェーハ10に対して撮像カメラ(下方撮像機構82)が配設された側から光を投光しつつ、
撮像カメラ(下方撮像機構82)で溝を撮像する第二撮像ステップ、を実施するものである。
【0095】
これによれば、反射光を撮像することで、被加工物の被保持面側(表面10a)の溝Mを撮像することができる。また、反射光を撮像することで、溝の周囲の表面をクリアに撮像することができ、溝の縁に生じるチッピングを確実に検出することができる。
【0096】
また、
図10、及び、
図11(A)に示すように、
撮像カメラ(下方撮像機構82)は透明部(保持部材74)とテープTを介して被加工物の被保持面側(表面10a)の溝Mを撮像する、こととするものである。
【0097】
これによれば、ウェーハ10の被保持面(表面10a)側において、分割予定ラインの近くにパターンやTEGが存在した場合であっても、これらが撮像画像S1に映り込むことがなく、溝Mの誤検出を防ぐことができる。
【0098】
また、
図13に示すように、
被加工物であるウェーハの被保持面(表面10a)側とは反対側の露出面(裏面10b)側に溝Mを、露出面側に配設される第二撮像カメラ(上方撮像機構52)により撮像する第三撮像ステップ、を更に有する、こととするものである。
【0099】
これによれば、2つの撮像画像S1,S2を比較することにより、溝が先細り形状(溝底が狭い)となっていることや、溝が傾斜している(斜め切れ)ことなどを検出することができる。また、反射光を撮像することで、溝の周囲の表面をクリアに撮像することができ、溝の縁に生じるチッピングを確実に検出することができる。
【0100】
また、
図10、及び、
図11(A)(B)に示すように、
透明な保持部材74からなる透明部を少なくとも一部に有する保持テーブル27と、
保持部材74で保持された被加工物に溝Mを形成する加工ユニットとしての切削ユニット46と、
被加工物を撮像する撮像カメラ(下方撮像機構82、又は、上方撮像機構52)と、
保持部材74を挟んで撮像カメラ(下方撮像機構82、又は、上方撮像機構52)と反対側に配設された光源(上方光源6U又は下方光源6D)と、を備えた加工装置(切削装置2)とするものである。
【0101】
これによれば、加工ユニットにより形成された溝Mについて、正確なカーフチェックを実施することが可能となる。
【0102】
また、
図15(B)に示すように、
撮像カメラ(下方撮像機構82)が配設された側から被加工物に対して光を投光する第二光源(光源92(
図6))を更に備え、
第二光源(光源92(
図6))から光を投光しつつ撮像カメラ(下方撮像機構82)にて溝を撮像する、こととするものである。
【0103】
これによれば、反射光を撮像することで、被加工物の被保持面側(表面10a)の溝Mを撮像することができる。また、反射光を撮像することで、溝の周囲の表面をクリアに撮像することができ、溝の縁に生じるチッピングを確実に検出することができる。
【0104】
また、
図13に示すように、
被加工物の該被保持面側と反対側の露出面側の溝Mを撮像するための第二撮像カメラ(上方撮像機構52)を更に備える、こととするものである。
【0105】
これによれば、2つの撮像画像S1,S2を比較することにより、溝が先細り形状(溝底が狭い)となっていることや、溝が傾斜している(斜め切れ)ことなどを検出することができる。また、反射光を撮像することで、溝の周囲の表面をクリアに撮像することができ、溝の縁に生じるチッピングを確実に検出することができる。
【符号の説明】
【0106】
2 切削装置
6U 上方光源
10 ウェーハ
10a 表面
10a 裏面
27 保持テーブル
46 切削ユニット
52 上方撮像機構
74 保持部材
82 下方撮像機構
92 光源(第二光源)
C 撮像カメラ
D1 幅
L2 光
M 溝
S1 撮像画像
S2 撮像画像
T テープ