(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】エッチング処理後シリコンウェハの表面改質の方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/268 20060101AFI20240924BHJP
B23K 26/354 20140101ALI20240924BHJP
H01L 21/304 20060101ALN20240924BHJP
【FI】
H01L21/268 F
B23K26/354
H01L21/304 601Z
(21)【出願番号】P 2020034796
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【氏名又は名称】金山 義信
(72)【発明者】
【氏名】津留 太良
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-260315(JP,A)
【文献】特開2013-065586(JP,A)
【文献】特開2011-233709(JP,A)
【文献】特開2015-018980(JP,A)
【文献】特開2015-069975(JP,A)
【文献】特開2005-317767(JP,A)
【文献】特開2014-175421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/268
B23K 26/354
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ熱処理を用いたシリコンウエハの表面改質方法であって、
前記シリコンウエハのエッチング後、シリコンウエハ表面のSiO
2に対してCWレーザを照射して、加熱された前記SiO
2の熱を前記SiO
2より下層部分に伝熱させ、
その後、ナノ秒パルスレーザを照射し、
前記ナノ秒パルスレーザの照射は、エッチング処理を施した前記シリコンウエハ表面の前記SiO
2の膜の厚さ、表面粗さに応じて波長が
355、532、785nmのいずれか一つから選択され、前記シリコンウエハ表面の形状に対応して、少なくとも入射角、エネルギ密度、スキャンピッチ、走査速度のいずれか一つを変化させて照射されることを特徴とするシリコンウエハの表面改質方法。
【請求項2】
レーザ熱処理を用いたシリコンウエハの表面改質方法であって、
前記シリコンウエハのエッチング後、シリコンウエハ表面のSiO
2に対してCWレーザを照射して、加熱された前記SiO
2の熱を前記SiO
2より下層部分に伝熱させ、
その後、ナノ秒パルスレーザを照射し、
前記ナノ秒パルスレーザは、波長が532nmで、パルス照射時間が3ナノ秒から4ナノ秒の範囲内、パルス幅1パルス当たりのエネルギは、0.5μジュールから30μジュール、エネルギ密度が0.125J/cm
2から7.5J/cm
2で、前記シリコンウエハ表面の形状に対応して、少なくとも入射角、エネルギ密度、スキャンピッチ、走査速度のいずれか一つを変化させて照射されることを特徴とするシリコンウエハの表面改質方法。
【請求項3】
前記CWレーザ(連続レーザ)の波長が1080nmとされることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコンウエハの表面改質方法。
【請求項4】
前記ナノ秒パルスレーザは、スキャニング光学系とし、前記シリコンウエハ表面の形状に対応して入射角
が15°以下となるようにして照射されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコンウエハの表面改質方法。
【請求項5】
前記CWレーザ(連続レーザ)の波長が1080nmとされ、
前記ナノ秒パルスレーザは、スキャニング光学系とし、前記シリコンウエハ表面の形状に対応して入射角
が15°以下となるようにして照射されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコンウエハの表面改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハの表面の加工変質層である表面欠陥の修復に係り、特に、レーザ熱処理を用いたシリコンウエハの表面改質及び表面の平坦化を行うシリコンウエハの表面改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の作製に使用されるシリコンウエハ等の半導体ウエハは、切削・研削・ラッピング・ポッリシングなどの機械加工プロセスによって表面加工が行われている。しかし、その表面及び内部は、加工変質層が形成され、一部の加工変質層には、マイクロクラック(微小亀裂)が含まれる。この内部クラック等の除去は、主にエッチングや化学機械研磨(CMP)等の化学的・機械的方法により行われている。
【0003】
例えば、特許文献1は、半導体ウエハをワークとしてこれの外周部の研磨品質を向上させるため、研磨具の表面の各部位における端面に対する押し付け力が均一として、端面を高品質に研磨加工することを記載している。
【0004】
また、特許文献2は、レーザ照射を使用することで、シリコンウエハの酸素排除処理及び結晶性の向上が可能であること、単結晶ウエハの表面の加工変質層である表面欠陥の修復方法において、単結晶表面にパルスレーザを照射することを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-297842号公報
【文献】特開2008-147639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術において、特許文献1及び2に記載のものでは、特に、エッチング、化学機械研磨(CMP)は、シリコンウエハ表面に凹部(ファセット)が生じ、エッチング後のウエハ表面に凹凸が残る。ウエハ表面の凹凸が大きい(表面粗度が大きい)ことは、デバイス製造工程でパーティクル発生の原因となり、生産性の低下を招く。
【0007】
また、MOSデバイスの微細化・高集積化に伴い、ウエハの表面状態は最終製品であるデバイスの性能に大きく影響する。特に、スイッチング特性や耐電圧などは、界面の原子オーダーの凹凸によってデバイス特性が強く影響される。
【0008】
さらに、エッチング後の化学機械研磨(CMP)は、元の形状(設計値)からの変化を伴い品質管理が困難であり、前工程でウエハ表面の平坦度を良くしても、低下させてしまう可能性がある。そして、化学機械研磨(CMP)は、砥粒、研磨糸、洗浄液等の消耗材を使用するので、コストが掛かり環境負荷も大きい。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、エッチング処理後のシリコンウエハ表面にレーザを用いた好適な熱処理を行うことで、表面を平坦化する。そして、デバイスの高性能化と共に、後工程における歩留りを向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、レーザ熱処理を用いたシリコンウエハの表面改質方法であって、前記シリコンウエハのエッチング後、シリコンウエハ表面にCWレーザ(連続レーザ)、又はフェムト秒レーザを照射し、その後、ナノ秒パルスレーザを照射するものである。
【0011】
また、上記において、前記ナノ秒パルスレーザは、c-Si(炭化ケイ素)に対して、吸収率が高い波長とすることが望ましい。
【0012】
さらに、上記において、前記ナノ秒パルスレーザは、波長が355、532、785nmのいずれか一つを選択して照射することが望ましい。
【0013】
さらに、上記において、前記シリコンウエハ表面に、前記CWレーザ(連続レーザ)を照射するものであり、前記CWレーザ(連続レーザ)の波長が1080nmとされることが望ましい。
【0014】
さらに、上記において、前記シリコンウエハ表面に、フェムト秒レーザを照射するものであり、前記シリコンウエハ表面をa-Si(アモルファスシリコン)化させることが望ましい。
【0015】
さらに、上記において、前記フェムト秒レーザは、波長がλ=800nmとされることが望ましい。
【0016】
さらに、上記において、前記フェムト秒レーザは、シングルショットとされること
ことが望ましい。
【0017】
さらに、上記において、前記フェムト秒レーザは、c-Si(炭化ケイ素)層の加工閾値以下の低強度とされることが望ましい。
【0018】
さらに、上記において、前記フェムト秒レーザは、c-Si(炭化ケイ素)層の加工閾値以下の低強度とされることが望ましい。
【0019】
さらに、上記において、前記フェムト秒レーザのフルーエンス(単位面積当たりのエネルギ)は、シリコンウエハの表面にアブレーションが発生する前記フルーエンスよりも低くされることが望ましい。
【0020】
さらに、上記において、前記ナノ秒パルスレーザは、スキャニング光学系とし、前記シリコンウエハ表面の形状に対応して入射角が略垂直となるように照射することが望ましい。
【0021】
さらに、上記において、前記CWレーザ(連続レーザ)、ナノ秒パルスレーザ、フェムト秒レーザは、前記シリコンウエハ表面の形状に対応して、少なくとも入射角、エネルギ密度、スキャンピッチ、走査速度のいずれか一つを変化させて照射することが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シリコンウエハのエッチング後、シリコンウエハ表面にCWレーザ(連続レーザ)、又はフェムト秒レーザで照射し、その後、ナノ秒パルスレーザを照射するので、エッチング処理後のシリコンウエハ表面にレーザを用いた好適な熱処理を行うことで、表面を平坦化することができる。したがって、デバイスの微細化・高集積化が進展しても、最終製品である性能を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るレーザ照射方法を示す説明図
【
図2】本発明の第1実施形態に係る装置構成を示すブロック図
【
図3】第1実施形態におけるCWレーザとナノ秒パルスレーザ照射のタイミングを示すグラフ
【
図4】本発明の第2実施形態に係るレーザ照射方法を示す説明図
【
図5】本発明の第2実施形態に係る装置構成を示すブロック図
【
図6】本発明の第2実施形態におけるフェムト秒レーザとナノ秒パルスレーザ照射のタイミングを示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0024】
通常、シリコンウエハのエッチング処理は、表面変質層のうち、最も表面に近い破砕層を除去する。そして、エッチング処理は、シリコンウエハ表面に残存するマイクロクラックの溝幅が所定の範囲内に入ると終了する。その結果、エッチング処理は、残留応力層を除去できず、半導体ウエハとしての品位を向上するうえで、十分とは言い難かった。
【0025】
また、エッチング処理を施した表面は、表面近傍がSiO2(ケイ素の酸化膜)で構成されており、この加工変質層は極めて薄いものであるが、機械的・電気的・光学的性能に大きな影響を及ぼす。例えば、MOSデバイスの微細化・高集積化は、ゲート酸化膜の薄膜化として進展し、その膜厚は2nm以下にまで到達している。
【0026】
したがって、シリコンウエハの表面状態は、最終製品であるデバイスの性能に大きく影響する。特に、シリコンウエハの表面の凹凸は、デバイスのスイッチング特性や耐電圧などの特性に大きく影響する。これらの問題は、より平坦なシリコンウエハ表面を作製することが不可欠である。
【0027】
表面近傍がSiO2(ケイ素の酸化膜)で構成されているので、本発明の第1実施形態は、レーザ熱処理として、SiO2対して吸収率が高い波長である1080nmのCWレーザ(連続レーザ)を照射する。そして、第1実施形態は、照射された部分を熱し、下層のc-Si(炭化ケイ素)部分に伝熱させる。その後、c-Si(炭化ケイ素)に対して、吸収率が高い波長である355、532、785nmのナノ秒パルスレーザのいずれか一つを選択してエッチング後の表面形状(粗さ)に応じて照射する。
【0028】
また、第2実施形態は、レーザ熱処理として、シリコンウエハ表面を一度フェムト秒レーザで照射してa-Si(アモルファスシリコン)化させる。フェムト秒レーザは、時間単位を「フェムト」(千兆分の一)単位で扱い、数フェムト秒から数百フェムト秒の間だけ発光する光レーザである。そして、a-Si(アモルファスシリコン)化部分に、a-Si(アモルファスシリコン)に対して吸収率の高い波長である355、532、785nmのパルスレーザを選択して照射し、溶融させエピタキシャル成長させて結晶方位が揃った単結晶とする。
【0029】
なお、第1実施形態、第2実施形態は、エッチング後、シリコンウエハ表面にCWレーザ(連続レーザ)、又はフェムト秒レーザで照射し、その後、ナノ秒パルスレーザを照射することで共通する。特に、ナノ秒パルスレーザは、波長が355、532、785nmのいずれか一つを選択して照射することが特徴である。
【0030】
図1は、第1実施形態によるシリコンウエハ表面へのレーザ照射方法を示す説明図、
図2は、装置構成を示すブロック図である。エッチング処理を施した表面は、
図1(1)に示すように、表面近傍がSiO2(ケイ素の酸化膜)、その下層のc-Si(炭化ケイ素)で構成されている。
【0031】
そこで、レーザの照射は、(1)として、励起を連続して行うCWレーザ(連続レーザ)、波長λ=1080nmで行う。これにより、表面のSiO2(ケイ素の酸化膜)は、加熱され、伝熱によりc-Si(炭化ケイ素)も加熱される。
【0032】
次に、
図1(2)に示すように、レーザの照射は、SiO2(ケイ素の酸化膜)の厚さ、表面粗さ及び表面形状に応じて波長λ=355、532、785nmのナノ秒パルスレーザのいずれか一つを選択して行う。波長λ=355、532、785nmは、c-Si(炭化ケイ素)に対して、吸収率が高い波長である。
【0033】
パルスレーザ条件は、波長が532nmで、パルス照射時間が3ナノ秒から4ナノ秒の範囲内が良い。そして、パルス幅1パルス当たりのエネルギは、0.5μジュールから30μジュール、エネルギ密度が0.125J/cm2から7.5J/cm2であることが良いとされている。
【0034】
ナノ秒パルスレーザの照射は、c-Si(炭化ケイ素)を
図1(3)に示すように溶融固化し、平坦化を促進する。
【0035】
図2において、シリコンウエハは時計方向に回転している。そして、CWレーザ発振器1は、波長λ=1080nmであり、プリズム系10、集光光学系11を介してシリコンウエハの表面a点を加熱する。パルスレーザ発振器2は、波長λ=355、532、785nmのいずれか、例えば、波長λ=532nmとされる。
【0036】
パルスレーザ発振器2は、プリズム系20、集光光学系21を介してb点にナノ秒パルスレーザを照射する。シリコンウエハの回転方向が時計方向であれば、シリコンウエハの外周表面は、a点で加熱され、その後、b点でc-Si(炭化ケイ素)が溶融して固化される。
【0037】
図3は、CWレーザとナノ秒パルスレーザ照射のタイミングを示すグラフである。横軸は、時間tである。シリコンウエハの外周表面は、先にCWレーザ発振器1で波長λ=1080nmのCWレーザ(連続レーザ)が照射され、a点とb点の距離及びシリコンウエハの回転数で定まる時間後、ナノ秒パルスレーザが1ショットされる。
【0038】
図4は、第2実施形態による表面へのレーザ照射方法を示す説明図、
図5は、装置構成を示すブロック図である。エッチング処理を施した表面のc-Si(炭化ケイ素)層は、フェムト秒レーザでa-Si(アモルファスシリコン)化させる。フェムト秒レーザは、時間単位を「フェムト」(千兆分の一)単位で扱い、数フェムト秒から数百フェムト秒の間だけ発光する光レーザである。
【0039】
図4(1)に示すように、照射するフェムト秒レーザは、波長がλ=800nmのシングルショットとして、c-Si(炭化ケイ素)層の加工閾値以下の低強度とする。フェムト秒レーザのフルーエンス(単位面積当たりのエネルギ)は、シリコンウエハの表面にアブレーションが発生するフルーエンスよりも低くする。
【0040】
c-Si(炭化ケイ素)層は、固有の加工閾値があり、パルス幅が十分に短いフェムト秒であれば、通常の吸収特性とは異なる特殊な吸収が起こり、シリコンウエハの外周表面は、a-Si(アモルファスシリコン)化される。
【0041】
なお、通常、アブレーションが起こるレーザーフルーエンスのフェムト秒レーザ照射は、レーザ光の偏光と垂直方向にナノ周期構造が自己組織的に形成される。また、ナノ周期構造の周期は、入射レーザのフルーエンス、波長、入射パルス数によって変化する。一方、アブレーション閾値よりも低いフルーエンスのフェムト秒レーザ照射は、上記とは異なる機構で縞状のナノ構造が形成されることが知られている。
【0042】
次に、
図4(2)に示すように、レーザの照射は、a-Si(アモルファスシリコン)化部分に、a-Si(アモルファスシリコン)に対して吸収率の高い波長である355、532、785nmのパルスレーザを選択して照射する。この時は、SiO2(ケイ素の酸化膜)の厚さ、表面粗さ及び表面形状に応じて波長λ=355、532、785nmのナノ秒パルスレーザのいずれか一つを選択して行う。
【0043】
ナノ秒パルスレーザ照射は、a-Si(アモルファスシリコン)化されたc-Si(炭化ケイ素)を
図1(3)に示すように溶融固化し、平坦化を促進する。パルスレーザ条件は、第1実施形態と同様であり、波長が532nmで、パルス照射時間が3ナノ秒から4ナノ秒の範囲内が良い。
【0044】
図5において、フェムト秒レーザ発振器3は、波長λ=800nmであり、プリズム系30、集光光学系31を介してシリコンウエハの表面a点に照射される。照射されるフェムト秒レーザは、シングルショットとして、c-Si(炭化ケイ素)層の加工閾値以下の低強度とする。
【0045】
また、プリズム系30は、走査方向に偏向が平行となるようにλ/2波長板等の偏光子も使用される。シリコンウエハの表面a点は、通常の吸収特性とは異なる特殊な吸収が起こり、a-Si(アモルファスシリコン)化される。
【0046】
パルスレーザ発振器4は、プリズム系40、集光光学系41を介してb点にナノ秒パルスレーザを照射する。ナノ秒パルスレーザは、波長λ=355、532、785nmのいずれか、例えば、波長λ=532nmとされる。シリコンウエハの回転方向が時計方向であれば、シリコンウエハの外周表面は、a点でa-Si(アモルファスシリコン)化され、b点で溶融してエピタキシャル成長し、固化される。
【0047】
図6は、フェムト秒レーザとナノ秒パルスレーザ照射のタイミングを示すグラフである。横軸は、時間tである。シリコンウエハの外周表面は、先にフェムト秒レーザ発振器3で数フェムト秒から数百フェムト秒の間だけ照射され、a点とb点の距離及びシリコンウエハの回転数で定まる時間後、ナノ秒パルスレーザが1ショットされる。
【0048】
第1実施形態、第2実施形態のいずれにおいても、ノッチ部のようにシリコンウエハ表面が複雑な形状の場合、CWレーザ(連続レーザ)、ナノ秒パルスレーザ、フェムト秒レーザは、シリコンウエハ表面の形状に対応して、少なくとも入射角、エネルギ密度、スキャンピッチ、走査速度のいずれか一つを変化させて照射されることが望ましい。これにより、デバイスの微細化・高集積化が進展しても、最終製品である性能を損なうことがない。
【0049】
CWレーザ(連続レーザ)、ナノ秒パルスレーザは、照射方向が可変できるスキャニング光学系として構成することが容易である。したがって、CWレーザ(連続レーザ)、ナノ秒パルスレーザは、スキャニング光学系とし、表面形状に対応して入射角が略垂直となるように照射することが、材料に有効にエネルギが供給できる点で好ましい。
【0050】
ただし、入射角が10~15°以下は、実質的な差は小さく、入射角が10~15°以下になるようにすれば良い。したがって、構成の容易さからは、ナノ秒パルスレーザをスキャニング光学系とし、表面形状に対応して略垂直、具体的には入射角が10~15°以下となるように照射することが好ましい。
【0051】
また、フェムト秒レーザの照射の場合は、アモルファス化する目的で偏光子を使用するので、照射方向を一定にし、表面形状に対応した入射角の変化に合わせて、偏光子によってs偏光、p偏光の成分を調整しても良い。
【符号の説明】
【0052】
1…CWレーザ発振器(CWレーザ)
2、4…パルスレーザ発振器(ナノ秒パルスレーザ)
3…フェムト秒レーザ発振器(フェムト秒レーザ)
10、20、30、40…プリズム系
11、21、31、41…集光光学系