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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】搬送装置、及び、搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240924BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240924BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 631
B23Q17/20 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020137557
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033583
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】小林 真
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/102868(WO,A1)
【文献】特開2020-102573(JP,A)
【文献】特開2013-022673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/304
B23Q 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面上に載置された板状物を搬出、または板状物を載置面上に搬入し載置する搬送装置であって、
該板状物を保持する保持面を含む保持プレートと、
該保持プレートの該保持面の反対側となる背面を支持し、該保持プレートを相対移動可能に支持する支持機構と、
該支持機構を該載置面の上方に移動させるとともに、該支持機構を昇降させる移動機構と、を備え、
該支持機構を規定高さ位置に位置づけて該保持プレートの該保持面を該板状物に当接させた際における、該背面の高さ位置の変化を検出することで、該板状物の厚みを検出する厚み検出機構を更に備えた、搬送装置。
【請求項2】
該保持プレートは、弾性部材を介して該支持機構に接続され、
該弾性部材は、該保持プレートの該保持面が該板状物に当接した際に弾性変形する、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
載置面上に載置された板状物の搬送方法であって、
該板状物を保持する保持面を含む保持プレートと、
該保持プレートの該保持面の反対側となる背面を支持し、該保持プレートを相対移動可能に支持する支持機構と、
該支持機構を該載置面の上方に移動させるとともに、該支持機構を昇降させる移動機構と、
該板状物の厚みを検出する厚み検出機構と、
を備える搬送装置を用い、
該支持機構を規定高さ位置に位置づけて該保持プレートの該保持面を該板状物に当接させた際における、該背面の高さ位置の変化を検出することで、搬送の際に該板状物の厚みを検出する、搬送方法。
【請求項4】
該保持プレートは、弾性部材を介して該支持機構に接続され、
該弾性部材は、該保持プレートの該保持面が該板状物に当接した際に弾性変形する、
ことを特徴とする請求項3に記載の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハなどの板状物を加工装置の所定の載置面に搬入、又は、載置面から搬出するための搬送装置、及び、搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェーハなどの板状物をバイトで切削し、所定の厚みに加工する加工装置が知られている。例えば、特許文献1では、単結晶ダイヤモンドからなる切り刃を有したバイトホイールを回転させつつ被加工物を保持したチャックテーブルをバイトホイールに対して相対的に水平移動させることで被加工物の上面を切削し、被加工物を設定厚みに形成するバイト切削装置が開示されている。
【0003】
加工後には、板状物の厚みを測定することで、板状物が設定厚みに加工されたことを確認することが行われる。特許文献1では、加工後にチャックテーブルを移動して被加工物を被加工物高さ位置検出器の下方に位置づけ、検出器の接触部を被加工物の上面に接触させることで、被加工物の厚みを測定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-22673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される構成では、被加工物の厚みを測定するために、チャックテーブルを被加工物高さ位置検出器の下方にまで移動させた後に厚み測定が行われ、厚み測定後に搬出装置によって洗浄装置へと被加工物が搬送されるものである。
【0006】
このため、加工後から洗浄装置への搬送の過程において厚み測定のための時間を確保する必要があり、厚み測定を終了するまでの間は搬出装置が待機していることとなる。
【0007】
この点に着目し、厚み測定に要する時間短縮をすることによれば、搬出装置の待機時間を削減することができ、さらなる生産性の向上を図ることが可能となることを見出した。
【0008】
本願発明は、以上に鑑み、加工後の板状物の厚み測定を可能とする新規な搬送装置、及び、搬送方法を提案するものであり、これにより、さらなる生産性の向上を可能とする技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
本発明の一態様によれば、
載置面上に載置された板状物を搬出、または板状物を載置面上に搬入し載置する搬送装置であって、
該板状物を保持する保持面を含む保持プレートと、
該保持プレートの該保持面の反対側となる背面を支持し、該保持プレートを相対移動可能に支持する支持機構と、
該支持機構を該載置面の上方に移動させるとともに、該支持機構を昇降させる移動機構と、を備え、
該支持機構を規定高さ位置に位置づけて該保持プレートの該保持面を該板状物に当接させた際における、該背面の高さ位置の変化を検出することで、該板状物の厚みを検出する厚み検出機構を更に備えた、搬送装置とするものである。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、
該保持プレートは、弾性部材を介して該支持機構に接続され、
該弾性部材は、該保持プレートの該保持面が該板状物に当接した際に弾性変形する、
搬送装置とするものである。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、
載置面上に載置された板状物の搬送方法であって、
該板状物を保持する保持面を含む保持プレートと、
該保持プレートの該保持面の反対側となる背面を支持し、該保持プレートを相対移動可能に支持する支持機構と、
該支持機構を該載置面の上方に移動させるとともに、該支持機構を昇降させる移動機構と、
該板状物の厚みを検出する厚み検出機構と、
を備える搬送装置を用い、
該支持機構を規定高さ位置に位置づけて該保持プレートの該保持面を該板状物に当接させた際における、該背面の高さ位置の変化を検出することで、搬送の際に該板状物の厚みを検出する、搬送方法とするものである。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、
該保持プレートは、弾性部材を介して該支持機構に接続され、
該弾性部材は、該保持プレートの該保持面が該板状物に当接した際に弾性変形する、
搬送方法とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、保持テーブルに載置された板状物を保持プレートで保持する過程で板状物の厚みを検出することができ、厚み測定のための時間を確保する必要がなく、生産性の向上を実現することができる。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、保持プレートの保持面によって板状物を上から押さえつけることができ、板状物に反りが生じている場合の反りが解消され、板状物の厚みを正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明にかかる搬送装置を備えるバイト切削装置の構成例について示す図。
図2】搬送装置の構成について説明する斜視図。
図3】搬送装置の構成について説明する側面一部断面図。
図4】(A)実施例1において保持プレートを保持テーブル上の板状物に対向させた状態について示す図。(B)実施例1において板状物の厚みが測定される状態を示す図。
図5】(A)実施例2において保持プレートを保持テーブル上の板状物に対向させた状態について示す図。(B)実施例2において板状物の厚みが測定される状態を示す図。
図6】(A)実施例3において保持プレートを保持テーブル上の板状物に対向させた状態について示す図。(B)実施例3において板状物の厚みが測定される状態を示す図。
図7】(A)実施例4において保持プレートを保持テーブル上の板状物に対向させた状態について示す図。(B)実施例4において板状物の厚みが測定される状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明にかかる搬送装置を備えるバイト切削装置の構成例について示す図である。
図1に示すように、バイト切削装置10は、半導体ウェーハなどの板状の被加工物が保持テーブル40に保持され、その被加工物に対して切削手段60によって切削加工を施す装置であり、Y軸方向に延びる直方体形状の基台11と、当該基台11の上面の一端に立設され鉛直方向(Z軸方向)に延びる立設基台15とを備えている。基台11の上面前部には、切削加工前の被加工物を収容する供給カセット12と、切削加工後の被加工物を収容する回収カセット18とを備えている。
【0018】
供給カセット12及び回収カセット18の近傍には、供給カセット12からの被加工物の搬出及び回収カセット18への被加工物の搬入を行う搬送機構13が配設されている。搬送機構13は、屈曲可能なアーム13aと、アーム13aの先端部に備えたハンド13bとを備えている。また、ハンド13bの可動範囲には、切削加工後の被加工物を洗浄する洗浄装置17が配設されている。
【0019】
ハンド13bの可動範囲には、搬送機構13によって供給カセット12から搬出された被加工物を所定の位置に位置あわせする位置決め手段14が配設されている。
【0020】
位置決め手段14と被加工物を保持する保持テーブル40との間の位置には、被加工物を位置決め手段14から保持テーブル40へ搬送する搬送装置21が配設されている。また、保持テーブル40と洗浄装置17との間の位置には、被加工物を保持テーブル40から洗浄装置17へ搬送する搬送装置22が配設されている。
【0021】
保持テーブル40は、図示せぬY軸方向移動機構によりY軸方向に移動可能に構成されており、搬出入位置P1と、加工位置P2と、に位置づけられる。保持テーブル40の周囲はカバー48で覆われる。
【0022】
加工位置P2に位置づけられた保持テーブル40の上方となる位置に、切削手段60が配設されている。切削手段60は、Z軸方向に延びるスピンドルハウジング61と、スピンドルハウジング61によって回転可能に支持されたスピンドル62と、スピンドル62の上端に連結されたサーボモータ63と、スピンドル62の下端に連結されたバイトホイール64と、バイトホイール64の下面側に着脱可能に装着された切削刃であるバイト65とを備える。
【0023】
切削手段60は、立設基台15の側部において送り手段70を介して支持されている。送り手段70は、Z軸方向に延びるボールスクリュー71と、ボールスクリュー71と平行に配設された一対のガイドレール72と、ボールスクリュー71の一端に接続されたモータ73と、バイト65の高さ位置を制御するための昇降基台74とを備える。昇降基台74の一方の面には、一対のガイドレール72が摺接し、中央部分に図示しないナット構造が形成されており、当該ナット構造にボールスクリュー71が螺合している。そして、サーボモータ73によって回転駆動されたボールスクリュー71が回動することにより、昇降基台74がガイドレール72にガイドされてZ軸方向に移動し、併せて切削手段60をZ軸方向に昇降させることができる。
【0024】
次に、図2に示す搬送装置22の構成について説明する。
なお、この搬送装置22は、図1に示すように、被加工物を保持テーブル40から洗浄装置17へ搬送するためのものである。以下の説明では、保持テーブル40から被加工物を搬出する場合に厚みが測定される例を用いることとするが、被加工物を保持テーブル40へ搬入する搬送装置21についても同様の構成を適用することができ、この場合、被加工物を保持テーブル40へ搬入する際に厚み測定を行うことが可能となる。
【0025】
図2及び図3に示すように、搬送装置22は、被加工物となる板状物3を保持する保持プレート24と、保持プレート24を支持する支持機構26と、支持機構26を旋回移動、昇降させる移動機構28と、板状物3の厚みを検出する厚み検出機構30と、を備える。
【0026】
移動機構28は、一端側に支持機構26が配設される旋回アーム28aと、旋回アーム28aの他端側に設けられる昇降軸部28bと、を有している。
【0027】
昇降軸部28bは、駆動機構28cにより上下移動、及び、回転するように構成される。この昇降軸部28bの上下移動、回転に伴って、旋回アーム28aが上下移動や旋回動作する。駆動機構28cは、バイト切削装置10(図1)のコントローラ100による制御される。
【0028】
旋回アーム28aにおいて昇降軸部28bと反対側の端部には、支持機構26が設けられる。支持機構26は、円盤状の支持部材26aを有して構成され、その下方に配置される円盤状の保持プレート24を上側から支持するものである。
【0029】
本実施例では、図3に示すように、支持部材26aの複数箇所に上下方向の貫通穴26bが形成され、貫通穴26bに保持プレート24の背面24aに立設される支持軸24bが貫装される。支持軸24bの先端には、支持部材26aの上方に位置し貫通穴26bよりも大径の係止部24cが設けられ、係止部24cの下面が支持部材26aの上面に当接することによって、保持プレート24が支持部材26aに吊り下げられるようにして支持される。
【0030】
図3に示すように、各支持軸24bの周囲には弾性部材24dが配設され、保持プレート24が支持部材26aに対し弾性部材24dを介して支持されるようになっている。この構成により、保持プレート24に下側から上向きの反力F(図4(B))が作用すると、弾性部材24dが弾性変形により圧縮し、保持プレート24が上昇する。なお、弾性部材24dは省略することとしてもよい。
【0031】
図3に示すように、支持軸24bは、例えば保持プレート24の上面側に形成される雌ネジに螺挿されるボルトにて構成することができ、弾性部材24dは、例えばボルトを貫通させるコイルバネにて構成することができる。
【0032】
図3に示すように、保持プレート24は、上側に位置する面が背面24aとして構成され、下側に位置する面が板状物3を保持する保持面24fとして構成される。保持プレート24は、厚みW2を有して構成される。
【0033】
なお、円盤状に構成される保持プレート24は、同じく円盤状の板状物3の直径よりも小さいこととする他、大きいものであってもよく、また、円盤状に限らず四角形状などとしてもよく、特に限定されるものではない。
【0034】
図3に示すように、保持プレート24は、保持面24fが保持テーブル40の載置面41に対向するように配置される。保持面24fには、保持テーブル40に載置された板状物3を吸引保持するための吸引孔24gが複数箇所に形成される。各吸引孔24gは、保持プレート24内部の吸引路24h、及び、外部の電磁弁25aを介して吸引源25bに接続され、保持面24fに生じる負圧によって板状物3が吸引保持される。
【0035】
図3に示すように、支持部材26aの下面26dには、当該下面26dから保持プレート24の背面24aまでの距離を検出するための距離検出器31が設けられる。距離検出器31は、例えばレーザ距離センサ、超音波センサ、光学式センサ等の非接触式センサで構成することができる。なお、距離検出器31は、接触式センサで構成してもよい。
【0036】
図3に示すように、距離検出器31で検出される第1の距離H1は、バイト切削装置10(図1)のコントローラ100に出力され、コントローラ100では第1の距離H1に基づいて板状物3の厚みW1を検出する。
【0037】
なお、距離検出器31については、複数箇所に配設する構成とすることとしてもよい。複数箇所に配設することで、板状物の厚みのばらつきを検出することや、例えば、距離H1の平均値を取得し、この平均値を利用して板状物の厚みを算出するといったことが可能となる。
【0038】
以上のように、距離検出器31とコントローラ100によって、板状物3の厚みW1を検出するための厚み検出機構30が構成される。なお、バイト切削装置10(図1)のコントローラ100とは別の専用コントローラを設け、当該専用コントローラと距離検出器31により厚み検出機構30を構成することとしてもよい。
【0039】
なお、図3に示すように、距離検出器31は、支持部材26aの下面26dに設けることとする他、保持プレート24の背面24aに設けることで、当該背面24aから支持部材26aの下面26dまでの第1の距離H1を検出する構成としてもよい。
【0040】
次に、以上の装置構成を用いた板状物の厚みの検出方法について説明する。
以下の例では、保持テーブルに載置された板状物を吸着保持する過程で板状物の厚みを検出する例を用いて説明する。
【実施例1】
【0041】
図4(A)に示すように、保持プレート24の厚みW2は、事前にコントローラ100に設定、記憶される。
【0042】
図4(A)に示すように、旋回アーム28aを旋回させることによって、支持部材26a、及び、保持プレート24が保持テーブル40の載置面41の上方に位置づけられる。保持テーブル40の載置面41には、加工を終えた板状物3が保持された状態となっている。支持部材26aは、旋回移動高さ位置Z1に位置づけられている。
【0043】
図4(B)に示すように、移動機構28(図2)によって旋回アーム28aを下降させることで、支持部材26aが旋回移動高さ位置Z1(図4(A))から、規定高さ位置Z2まで下降される。この規定高さ位置Z2における、保持テーブル40の載置面41と、支持部材26aの下面26dと、の間の距離は一定距離H2として規定され、事前にコントローラ100に設定、記憶される。これにより、支持部材26aが規定高さ位置Z2に位置づけられた際には、常に一定距離H2が実現されるようになっている。
【0044】
図4(B)に示すように、支持部材26aが旋回移動高さ位置Z1(図4(A))から、規定高さ位置Z2まで下降する過程において、保持プレート24の保持面24fが板状物3の上面3fに当接するとともに、板状物3からの反力Fを受けて弾性部材24dが収縮する。これにより、保持プレート24の背面24aと、支持部材26aの下面26dと、の間隔が狭まる。
【0045】
図4(B)に示すように、弾性部材24dが収縮することで、保持プレート24を下側に押圧する反力が生じ、これにより、保持プレート24の保持面24fによって板状物3を上から押さえつけることができ、板状物3に反りが生じている場合の反りが解消され、板状物3の厚みW1を正確に測定することができる。
【0046】
図4(B)に示すように、保持プレート24が板状物3に当接した状態で、電磁弁25aを開き吸引を開始することで、保持プレート24の保持面24fに負圧が生じ、板状物3が保持プレート24に保持される。
【0047】
保持後は、支持部材26aが旋回移動高さ位置Z1(図4(A))に戻されることで、保持テーブル40の載置面41から板状物3が浮上し、搬出される。
【0048】
図4(B)に示すように、距離検出器31は、支持部材26aの下面26dと、保持プレート24の背面24aとの間の第1の距離H1を検出する。第1の距離H1は、コントローラ100に出力され記憶される。
【0049】
そして、コントローラ100は、図4(B)の状態において、以下の式(1)により、板状物3の厚みW1を算出する。
W1=H2-W2-H1 ・・・式(1)
W1:板状物3の厚み
H1:第1の距離
H2:一定距離
W2:保持プレート24の厚み
【0050】
以上のようにして、板状物3の厚みW1を検出することができる。そして、この検出は、保持テーブル40に載置された板状物3を保持プレート24で保持する過程で行われるため、厚み測定のための時間を確保する必要がなく、生産性の向上を実現することができる。
【実施例2】
【0051】
以上の実施形態において、図5(A)(B)に示すように、距離検出器31を旋回アーム28aに設けることとしてもよい。この場合、まず、旋回アーム28aの下面28mから保持プレート24の背面24aとの間の第1の距離H3を検出する。また、旋回アーム28aの下面28mから保持テーブル40の載置面41までの距離を一定距離H4として予め規定する。旋回アーム28aは下降時に一定距離H4を実現する規定高さ位置Z3に設定される。
【0052】
そして、図5(A)の状態において、以下の式(2)により、板状物3の厚みW1を算出することができる。
W1=H4-W2-H3 ・・・式(2)
W1:板状物3の厚み
H3:第1の距離
H4:一定距離
W2:保持プレートの厚み
【実施例3】
【0053】
また、上記とは別の方法により、板状物3の厚みW1を算出することも可能である。即ち、板状物が保持テーブルの載置面上にないときの状況をもとに算出をするものである。
【0054】
具体的には、図6(A)に示すように、板状物が載置されていない保持テーブル40の載置面41に対し、支持部材26aを下降させ、保持プレート24が保持テーブル40の載置面41に当接した際における、第3の距離H5を距離検出器31により検出する。この第3の距離H5は、支持部材26aの下面26dと、保持プレート24の背面24aとの間の距離である。第3の距離H5は、コントローラ100に出力され記憶される。また、コントローラ100は、保持プレート24が保持テーブル40の載置面41に当接した際における支持部材26aの高さ位置を、規定高さ位置Z4として記憶する。
【0055】
そして、図6(B)に示すように、保持テーブル40の載置面41に板状物3が載置された状態において、支持部材26aを規定高さ位置Z4に位置づけ、保持プレート24が板状物3に当接した状態とする。この状態で、距離検出器31は、支持部材26aの下面26dと、保持プレート24の背面24aとの間の第1の距離H6を検出する。第1の距離H6は、コントローラ100に出力され記憶される。
【0056】
そして、コントローラ100は、以下の式(3)により、板状物3の厚みW1を算出する。
W1=H5-H6 ・・・式(3)
W1:板状物3の厚み
H6:第1の距離
H5:第3の距離
【実施例4】
【0057】
図7(A)(B)は、別形態の距離検出器35を使用した実施例について示すものである。
図7(A)(B)に示すように、距離検出器35は、支持部材26aに固定される接触式の厚み計で構成され、接触ピン37が保持プレート24の背面24aに接触して押し込まれた際の移動量を計測するものである。
【0058】
図7(A)に示すように、板状物が載置されていない保持テーブル40の載置面41に対し、支持部材26aを下降させ、保持プレート24が保持テーブル40の載置面41に当接した際における、接触ピン37の位置が距離検出器35により検出される。この接触ピン37の位置は、基準位置としてコントローラ100に出力され記憶される。
【0059】
また、コントローラ100は、保持プレート24が保持テーブル40の載置面41に当接した際における支持部材26aの高さ位置を、規定高さ位置Z5として記憶する。
【0060】
図7(B)に示すように、保持テーブル40の載置面41に板状物3が載置された状態において、支持部材26aを規定高さ位置Z5に位置づけ、保持プレート24が板状物3に当接した状態とする。この状態で、距離検出器35は、接触ピン37の基準位置からの移動量を計測し、コントローラ100に出力され記憶される。
【0061】
この移動量は、板状物3の厚みW1に対応するものである。このようにして、接触式の厚み計を用いる構成により、板状物3の厚みW1を計測することできる。
【0062】
以上のようにして本発明を実現することができる。
即ち、図2乃至図4(A)(B)に示すように、
載置面41上に載置された板状物3を搬出、または板状物3を載置面41上に搬入し載置する搬送装置22であって、
板状物3を保持する保持面24fを含む保持プレート24と、
保持プレート24の保持面24fの反対側となる背面24aを支持し、保持プレート24を相対移動可能に支持する支持機構26と、
支持機構26を載置面41の上方に移動させるとともに、支持機構26を昇降させる移動機構28と、を備え、
支持機構26を規定高さ位置に位置づけて保持プレート24の保持面24fを板状物3に当接させた際における、背面24aの高さ位置の変化を検出することで、板状物3の厚みを検出する厚み検出機構30を更に備えた、搬送装置22とするものである。
【0063】
これによれば、保持テーブル40に載置された板状物3を保持プレート24で保持する過程で板状物3の厚みW1を検出することができ、厚み測定のための時間を確保する必要がなく、生産性の向上を実現することができる。
【0064】
また、図3及び図4(A)(B)に示すように、
保持プレート24は、弾性部材24dを介して支持機構26に接続され、
弾性部材24dは、保持プレート24の保持面24fが板状物3に当接した際に弾性変形する、こととするものである。
【0065】
これによれば、保持プレート24の保持面24fによって板状物3を上から押さえつけることができ、板状物3に反りが生じている場合の反りが解消され、板状物3の厚みW1を正確に測定することができる。
【0066】
また、図2乃至図4(A)(B)に示すように、
載置面41上に載置された板状物3の搬送方法であって、
板状物3を保持する保持面24fを含む保持プレート24と、
保持プレート24の保持面24fの反対側となる背面24aを支持し、保持プレート24を相対移動可能に支持する支持機構26と、
支持機構26を載置面41の上方に移動させるとともに、支持機構26を昇降させる移動機構28と、
板状物3の厚みを検出する厚み検出機構30と、
を備える搬送装置22を用い、
支持機構26を規定高さ位置に位置づけて保持プレート24の保持面24fを板状物3に当接させた際における、背面24aの高さ位置の変化を検出することで、搬送の際に板状物3の厚みを検出する、搬送方法とするものである。
【0067】
これによれば、保持テーブル40に載置された板状物3を保持プレート24で保持する過程で板状物3の厚みW1を検出することができ、厚み測定のための時間を確保する必要がなく、生産性の向上を実現することができる。
【符号の説明】
【0068】
3 板状物
3f 上面
10 バイト切削装置
17 洗浄装置
21 搬送装置
22 搬送装置
24 保持プレート
24a 背面
24b 支持軸
24c 係止部
24d 弾性部材
24f 保持面
24g 吸引孔
26 支持機構
26a 支持部材
28 移動機構
28a 旋回アーム
30 厚み検出機構
31 距離検出器
40 保持テーブル
41 載置面
100 コントローラ
F 反力
H1 距離
H2 一定距離
W2 保持プレートの厚み
Z1 旋回移動高さ位置
Z2 規定高さ位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7