(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】配線部材の接続構造および光学装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240924BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20240924BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20240924BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K1/02 C
H01S5/022
H01L31/02 B
G02F1/01 F
(21)【出願番号】P 2020152942
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有賀 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】長島 和哉
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-192476(JP,A)
【文献】特開2000-174410(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203774(WO,A1)
【文献】特開2007-294561(JP,A)
【文献】特開平09-312453(JP,A)
【文献】特開2003-086913(JP,A)
【文献】特開2017-126659(JP,A)
【文献】中国実用新案第204217202(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/14
H05K 3/36
H01S 5/022
H01L 31/02
G02F 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向と交差して広がりそれぞれ前記第一方向に貫通する複数の貫通孔が設けられた第一絶縁体と、それぞれ前記貫通孔に沿って前記第一絶縁体を貫通するとともに当該第一絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第一導体と、を有した配線部材と、
前記配線部材と前記第一方向に重なり、第二絶縁体と、それぞれ前記第一導体と電気的に接続されるとともに前記第二絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第二導体と、を有したベースと、
それぞれ前記貫通孔内で前記第一導体を前記第一方向に貫通するとともに前記第一導体と前記第二導体との間に介在して前記第一導体と前記第二導体とを電気的に接続する複数の接続材と、を備え、
前記複数の第一導体のうち
前記第一方向と交差した第二方向に間隔をあけて隣接した二つの第一導体は、
それぞれ、前記配線部材の前記ベースとは反対側
で当該二つの第一導体のうちの他の第一導体から離れる方向に延びた第一延部を有し、
前記
二つの第一導体
のそれぞれと電気的に接続された前記接続材は、前記第一延部に沿って当該他の第一導体から離れる方向に延びた、配線部材の接続構造。
【請求項2】
前記第一延部が、前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向に延びた、請求項1に記載の配線部材の接続構造。
【請求項3】
第一方向と交差して広がった第一絶縁体と、それぞれ当該第一絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第一導体と、を有した配線部材と、
前記配線部材と前記第一方向に重なり、第二絶縁体と、それぞれ前記第一導体と電気的に接続されるとともに前記第二絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第二導体と、を有したベースと、
それぞれ前記第一導体と前記第二導体との間に介在して前記第一導体と前記第二導体とを電気的に接続する複数の接続材と、を備え、
前記第二絶縁体には、前記複数の第二導体のうちの少なくとも一つの第二導体に対して前記第一方向と交差した第二方向に間隔をあけて隣接した他の第二導体とは反対側で前記配線部材に向けて開口した開口が設けられ、
前記少なくとも一つの第二導体は、当該開口の内面に沿った第二延部を有し、
前記少なくとも一つの第二導体と電気的に接続された前記接続材の一部は、前記第二延部に沿って前記開口内に収容され
、
前記配線部材は、前記ベースと面し前記第一方向と交差して広がった面を有し、
前記第一導体は、前記面の前記第二方向および前記第二方向の反対方向の端部から離れた位置に設けられた、配線部材の接続構造。
【請求項4】
前記開口は、前記ベースの前記第一方向における前記第一導体との対向領域に対して、前記第二方向と交差した第三方向にずれた位置に設けられた、請求項3に記載の配線部材の接続構造。
【請求項5】
第一方向と交差して広がった第一絶縁体と、それぞれ当該第一絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第一導体と、を有した配線部材と、
前記配線部材と前記第一方向に重なり、第二絶縁体と、それぞれ前記第一導体と電気的に接続されるとともに前記第二絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第二導体と、を有したベースと、
それぞれ前記第一導体と前記第二導体との間に介在して前記第一導体と前記第二導体とを電気的に接続する複数の接続材と、を備え、
前記第二絶縁体には、前記複数の第二導体のうちの少なくとも一つの第二導体に対して前記第一方向と交差した第二方向に間隔をあけて隣接した他の第二導体から離れる方向に延びるとともに前記配線部材に向けて開口し
、少なくとも一部が前記第一方向において前記第一導体と外れて位置した開口が設けられ、
前記少なくとも一つの第二導体は、当該開口の内面に沿った第二延部を有し、
前記少なくとも一つの第二導体と電気的に接続された前記接続材の一部は、前記第二延部に沿って前記開口内に収容され
、
前記配線部材は、前記ベースと面し前記第一方向と交差して広がった面を有し、
前記第一導体は、前記面の前記第二方向および前記第二方向の反対方向の端部から離れた位置に設けられた、配線部材の接続構造。
【請求項6】
前記開口が、前記ベースの前記第一方向における前記第一導体との対向領域から前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向に延びた、請求項5に記載の配線部材の接続構造。
【請求項7】
前記配線部材は、フレキシブルプリント配線板である、請求項1~6のうちいずれか一つに記載の配線部材の接続構造。
【請求項8】
前記接続材は、はんだである、請求項1~7のうちいずれか一つに記載の配線部材の接続構造。
【請求項9】
前記第一絶縁体は、合成樹脂材料で作られた、請求項1~8のうちいずれか一つに記載の配線部材の接続構造。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一つに記載の配線部材の接続構造に含まれる前記ベースを有したハウジングと、
前記ハウジング内に収容された光学部品と、
を備えた、光学装置。
【請求項11】
前記光学部品として、半導体レーザ素子、半導体変調器、半導体光増幅器、および受光素子のうち少なくとも一つを備えた、請求項10に記載の光学装置。
【請求項12】
前記配線部材の接続構造に含まれ前記ハウジングに固定された前記配線部材を備えた、請求項10または11に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線部材の接続構造および光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の導体を有したフレキシブルプリント配線板のような配線部材が接続された光学装置が、知られている(例えば、特許文献1や特許文献2)。この種の光学装置では、通信容量の増大に伴う導体数の増加や、光学モジュールの小型化に伴って、光学装置と配線との接続部分において、隣接する導体間の間隔が、狭まっている。間隔が狭まることは、狭ピッチ化と称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/129277号
【文献】国際公開第2016/129278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学装置と配線部材との接続部分において、隣接する導体間の間隔が狭くなると、それら導体間を電気的に接続する接続材が、所定位置から外れ、本来電気的に絶縁されるべき導体間を電気的に接続してしまう状態、すなわち短絡が生じ易くなる、という問題がある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、短絡を抑制することが可能な新規な配線の接続構造および光学装置を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の配線部材の接続構造は、例えば、第一方向と交差して広がりそれぞれ前記第一方向に貫通する複数の貫通孔が設けられた第一絶縁体と、それぞれ前記貫通孔に沿って前記第一絶縁体を貫通するとともに当該第一絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第一導体と、を有した配線部材と、前記配線部材と前記第一方向に重なり、第二絶縁体と、それぞれ前記第一導体と電気的に接続されるとともに前記第二絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第二導体と、を有したベースと、それぞれ前記貫通孔内で前記第一導体を前記第一方向に貫通するとともに前記第一導体と前記第二導体との間に介在して前記第一導体と前記第二導体とを電気的に接続する複数の接続材と、を備え、前記複数の第一導体のうちの少なくとも一つの第一導体は、前記配線部材の前記ベースとは反対側で前記第一方向と交差した第二方向に間隔をあけて隣接した他の第一導体から離れる方向に延びた第一延部を有し、前記少なくとも一つの第一導体と電気的に接続された前記接続材は、前記第一延部に沿って当該他の第一導体から離れる方向に延びている。
【0007】
前記配線部材の接続構造では、例えば、前記第一延部が、前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向に延びている。
【0008】
また、本発明の配線部材の接続構造は、例えば、 第一方向と交差して広がった第一絶縁体と、それぞれ当該第一絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第一導体と、を有した配線部材と、前記配線部材と前記第一方向に重なり、第二絶縁体と、それぞれ前記第一導体と電気的に接続されるとともに前記第二絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第二導体と、を有したベースと、それぞれ前記第一導体と前記第二導体との間に介在して前記第一導体と前記第二導体とを電気的に接続する複数の接続材と、を備え、前記第二絶縁体には、前記複数の第二導体のうちの少なくとも一つの第二導体に対して前記第一方向と交差した第二方向に間隔をあけて隣接した他の第二導体とは反対側で前記配線部材に向けて開口した開口が設けられ、前記少なくとも一つの第二導体は、当該開口の内面に沿った第二延部を有し、前記少なくとも一つの第二導体と電気的に接続された前記接続材の一部は、前記第二延部に沿って前記開口内に収容されている。
【0009】
前記配線部材の接続構造では、例えば、前記開口は、前記ベースの前記第一方向における前記第一導体との対向領域に対して、前記第二方向と交差した第三方向にずれた位置に設けられている。
【0010】
また、本発明の配線部材の接続構造は、例えば、第一方向と交差して広がった第一絶縁体と、それぞれ当該第一絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第一導体と、を有した配線部材と、前記配線部材と前記第一方向に重なり、第二絶縁体と、それぞれ前記第一導体と電気的に接続されるとともに前記第二絶縁体を介して電気的に絶縁された複数の第二導体と、を有したベースと、それぞれ前記第一導体と前記第二導体との間に介在して前記第一導体と前記第二導体とを電気的に接続する複数の接続材と、を備え、前記第二絶縁体には、前記複数の第二導体のうちの少なくとも一つの第二導体に対して前記第一方向と交差した第二方向に間隔をあけて隣接した他の第二導体から離れる方向に延びるとともに前記配線部材に向けて開口した開口が設けられ、前記少なくとも一つの第二導体は、当該開口の内面に沿った第二延部を有し、前記少なくとも一つの第二導体と電気的に接続された前記接続材の一部は、前記第二延部に沿って前記開口内に収容されている。
【0011】
前記配線部材の接続構造では、例えば、前記開口が、前記ベースの前記第一方向における前記第一導体との対向領域から前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向に延びている。
【0012】
前記配線部材の接続構造では、例えば、前記配線部材は、フレキシブルプリント配線板である。
【0013】
前記配線部材の接続構造では、例えば、前記接続材は、はんだである。
【0014】
前記配線部材の接続構造では、例えば、前記絶縁体は、合成樹脂材料で作られている。
【0015】
また、本発明の光学装置は、例えば、前記配線部材の接続構造に含まれる前記ベースを有したハウジングと、前記ハウジング内に収容された光学部品と、を備えている。
【0016】
前記光学装置は、例えば、前記光学部品として、半導体レーザ素子、半導体変調器、半導体光増幅器、および受光素子のうち少なくとも一つを備えている。
【0017】
前記光学装置は、例えば、前記配線部材の接続構造に含まれ前記ハウジングに固定された前記配線部材を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば、短絡を抑制することが可能な新規な配線の接続構造および光学装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態の光学装置の内部構成を示す例示的かつ模式的な側面図(一部断面図)である。
【
図3】
図3は、実施形態の配線部材の接続構造の例示的かつ模式的な側面図である。
【
図4】
図4は、第1変形例の配線部材の接続構造の例示的かつ模式的な側面図である。
【
図5】
図5は、第2変形例の配線部材の接続構造の例示的かつ模式的な側面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の配線部材の接続構造の
図2と同等位置での例示的かつ模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態の配線部材の接続構造の
図2と同等位置での例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0021】
以下に示される実施形態および変形例は、同様の構成を備えている。各実施形態および変形例の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0022】
本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0023】
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。なお、X方向は、配線部材の厚さ方向や積層方向と称され、Y方向は、配線部材の幅方向と称され、Z方向は、配線部材の延び方向と称されうる。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の光学装置1の内部構成を示す側面図である。
図1に示されるように、光学装置1は、ハウジング10と、当該ハウジング10内に収容された温調装置20、発光素子41、レンズ42、キャリア43、光アイソレータ51、ビームスプリッタ52、および受光素子53のような部品と、を備えている。受光素子53は、例えば、フォトダイオードである。
【0025】
ハウジング10は、壁として、底壁11と、頂壁12と、二つの端壁13と、二つの側壁14と、を有している。ハウジング10は、例えば、直方体状かつ箱状の形状を有している。ハウジング10内には、これら底壁11、頂壁12、二つの側壁14、および二つの端壁13によって囲まれた収容室Rが形成されている。
【0026】
底壁11は、Z方向と交差して広がっている。本実施形態では、底壁11は、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向と直交している。
【0027】
収容室R内において、底壁11上には、温調装置20を介して光学部品が取り付けられている。光学部品は酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)のようなセラミックなどのベース板を介して温調装置20上に取り付けられている場合もある。底壁11は、支持部や支持壁とも称されうる。
【0028】
頂壁12は、Z方向と交差して広がっている。本実施形態では、頂壁12は、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向と直交している。
【0029】
端壁13は、それぞれ、X方向と交差して広がっている。本実施形態では、端壁13は、Y方向およびZ方向に延びるとともに、X方向と直交している。端壁13は、ハウジング10のX方向(長手方向)の端部にそれぞれ位置されている。
【0030】
端壁13のうちの一つには、光学窓15が設けられている。
【0031】
また、光学窓15が設けられないもう一つの端壁13には、当該端壁13を厚さ方向(X方向)に貫通するフィードスルー16が設けられている。フィードスルー16も、ハウジング10の一部を構成していると言うことができる。なお、フィードスルー16は、側壁14を貫通する部位を有してもよい。
【0032】
側壁14は、Y方向と交差して広がっている。本実施形態では、側壁14は、X方向およびZ方向に延びるとともに、Y方向と直交している。側壁14は、ハウジング10の幅方向の端部に位置されている。なお、底壁11、頂壁12、および側壁14は、周壁とも称されうる。
【0033】
底壁11は、例えば、銅タングステン(CuW)や、銅モリブデン(CuMo)、銅(Cu)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)のような、熱伝導率の高い材料によって作られうる。また、頂壁12、端壁13、および側壁14は、例えば、Fe-Ni-Co合金や、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)のような、熱膨張係数の低い材料によって作られうる。また、フィードスルー16は、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)のようなセラミックで作られている。
【0034】
温調装置20は、上側基板21Uと、下側基板21Lと、複数の熱電素子22とを有している。上側基板21Uおよび下側基板21Lは、底壁11に沿っている。熱電素子22は、それぞれ、上側基板21Uと下側基板21Lとの間に介在している。
【0035】
上側基板21Uは、Z方向と交差して広がっている。本実施形態では、上側基板21Uは、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向と直交している。上側基板21Uは、上面20aと当該上面20aの裏側の下面21bとを有している。上側基板21Uは、例えばセラミックのような熱伝導性が高い絶縁性の材料により作られうる。発光素子41、レンズ42、光アイソレータ51、ビームスプリッタ52、および受光素子53のような光学部品は、上面20a上に、直接的にあるいはベース板などの他の部品を介して間接的に、取り付けられている。上側基板21Uは、第一基板や実装基板とも称され、上面20aは、実装面とも称されうる。
【0036】
下側基板21Lは、Z方向と交差して広がっている。本実施形態では、下側基板21Lは、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向と直交している。下側基板21Lは、上面21aと当該上面21aの裏側の下面20bとを有している。下側基板21Lは、例えばセラミックのような熱伝導性が高い絶縁性の材料により作られうる。下側基板21Lは、ハウジング10の底壁11と熱的に接続された状態で、当該底壁11に取り付けられている。下側基板21Lは、第二基板や取付基板とも称され、下面20bは、接触面や取付面とも称されうる。
【0037】
熱電素子22は、半導体素子の一例であり、例えば、ビスマステルル系の半導体のような、P型半導体またはN型半導体によって、作られうる。
【0038】
上側基板21Uの下面21bおよび下側基板21Lの上面21aには配線パターン(不図示)が設けられている。熱電素子22は、それぞれ、これら二つの配線パターンの間に介在している。配線パターンは、例えば、銅系金属のような、導電性の高い金属材料によって、作られうる。
【0039】
複数の熱電素子22は、配線パターンを介してPN接合を構成するよう、直列に接続されている。複数の熱電素子22は、配線パターンを介した温調装置20外からの電力の供給により、発熱または吸熱する。熱電素子22における発熱と吸熱とは、複数の熱電素子22に流れる電流の向きにより、切り替わる。配線パターンは、導体あるいは導体層とも称されうる。
【0040】
このように、温調装置20は、光学部品の土台として機能するとともに、光学部品を加熱したり冷却したりすることにより、当該光学部品の温度調整を行う。温調装置20は、ペルチェモジュールや、熱電モジュールとも称されうる。
【0041】
光機能素子である発光素子41は、例えば、半導体レーザ素子であり、このとき光学装置1は波長可変レーザモジュールである。また、光学素子が光変調器素子であって光学装置が光変調器モジュールである場合や、光学素子がフォトダイオードであって光学装置が光受信機モジュールである場合や、半導体レーザ素子とフォトダイオード素子、光変調器素子が集積されているIC-TROSA(integrated coherent-transmitter receiver optical sub-assembly)の場合もある。発光素子41は、キャリア43を介して温調装置20の上面20a上に実装されている。キャリア43は、発光素子41と線膨張係数が近い絶縁性の材料または熱伝導性が高い絶縁性の材料によって作られ、発光素子41が発生する熱を温調装置20に伝達する。キャリア43は、サブマウントとも称されうる。
【0042】
発光素子41は、レーザ光をレンズ42に向けて出力する。レーザ光の波長は、例えば、光通信の波長として好適な900nm以上1650nm以下である。発光素子41は、レーザ光を出力している間は素子温度が上昇し、発熱体として機能する。発光素子41は、例えば、半導体レーザ素子である。
【0043】
レンズ42は、キャリア43に取り付けられている。レンズ42は、発光素子41からのレーザ光に、屈折率による作用を及ぼしてコリメートする。レンズ42から出力されたレーザ光は、光アイソレータ51に入力される。
【0044】
光アイソレータ51は、磁石51aと、磁気光学素子および偏光板を含む光学素子部51bと、を有している。光アイソレータ51は、光学素子部51bからのレーザ光を偏光するとともに、光学素子部51bからのレーザ光に、磁気光学作用を及ぼす。光アイソレータ51から出力されたレーザ光は、ビームスプリッタ52に入力される。光アイソレータ51は、ビームスプリッタ52からの光が発光素子41に向けて通過するのを阻止する。
【0045】
ビームスプリッタ52は、光アイソレータ51からのレーザ光を光学装置1外に出力するとともに、光アイソレータ51からのレーザ光を分光して受光素子53に入力する。
【0046】
ハウジング10は、気密封止されており、これにより、ハウジング10内に収容された発光素子41、レンズ42、光アイソレータ51、ビームスプリッタ52、および受光素子53のような光学部品に、空気や水が作用するのが防止されている。光学装置1は、例えば、製造時にハウジング10内に充填された窒素ガスのような不活性ガスがハウジング10外に漏れないよう、構成されている。
【0047】
図1に示されるように、光学装置1には、フレキシブルプリント配線板30が接続されている。本実施形態では、フレキシブルプリント配線板30は、フィードスルー16に固定されている。フレキシブルプリント配線板30のフィードスルー16またはハウジング10への固定には、ねじのような固定具(不図示)や接着剤が用いられてもよい。
【0048】
フレキシブルプリント配線板30内の導体を介して、上位装置(不図示)から、発光素子41や温調装置20へ、駆動電力や制御信号が供給される。また、フレキシブルプリント配線板30内の導体を介して、収容室R内のセンサ(不図示)から、上位装置へ、検出信号が送られる。
【0049】
図2は、
図1のII-II断面図である。配線部材の接続構造100A(以下、単に接続構造と称する)は、フレキシブルプリント配線板30と、フィードスルー16と、接続材60と、を有している。フレキシブルプリント配線板30は、配線部材の一例である。フィードスルー16は、ベースの一例である。
【0050】
フレキシブルプリント配線板30は、絶縁層31と、導体33,34,35と、を有している。絶縁層31は、例えばポリイミドのような、絶縁性かつ可撓性を有した合成樹脂材料によって作られうる。導体33,34,35は、いずれも、例えば銅(銅系金属)のような、導電性を有した金属材料で作られうる。導体33-1(33)、導体34-1(34)、および導体35-1(35)は、電気的に接続され、導電経路を構成している。また、導体33-2(33)、導体34-2(34)、および導体35-2(35)は、電気的に接続され、導電経路を構成している。導体33-1、導体34-1、および導体35-1と、導体33-2、導体34-2、および導体35-2とは、絶縁層31を介して電気的に絶縁されている。すなわち、フレキシブルプリント配線板30は、絶縁層31を介して電気的に絶縁された複数の導電経路(導体)を有している。また、
図2には、隣接した二つの導電経路のみが示されているが、フレキシブルプリント配線板30には、絶縁層31によって絶縁された三つ以上の導電経路が含まれている。また、導電経路は、それぞれフレキシブルプリント配線板30の長手方向に沿って平行に延びた帯状部分(不図示)を有している。フレキシブルプリント配線板30が有する互いに絶縁された複数の導電経路は、複数の第一導体の一例である。絶縁層31は、第一絶縁体の一例である。
【0051】
接続構造100Aにおいて、絶縁層31は、X方向と交差して広がるとともに、Y方向およびZ方向に延びている。X方向は、絶縁層31の厚さ方向であり、Y方向は、絶縁層31の幅方向であり、Z方向は、絶縁層31の長手方向である。絶縁層31は、端面30b,30cを有している。端面30bは、X方向の反対方向の端面であり、フィードスルー16とは反対側に位置している。端面30cは、X方向の端面であり、フィードスルー16と面している。端面30b,30cは、X方向と交差して広がるとともに、Y方向およびZ方向に延びている。また、絶縁層31には、X方向に貫通する貫通孔30a(30a1,30a2)が設けられている。X方向は、第一方向の一例である。
【0052】
貫通孔30a(30a1,30a2)の内側には、それぞれ、当該貫通孔30aの内周に沿って環状(筒状)の導体33(33-1,33-2)が設けられている。導体33は、一例としては、円筒状の形状を有している。
【0053】
端面30b上には、貫通孔30aの縁の近傍において、層状の導体34(34-1,34-2)が設けられている。導体34は、一例として、X方向に見た場合に円形状または四角形状の外観を呈している。
【0054】
また、端面30c上には、貫通孔30aの縁の近傍において、層状の導体35(35-1,35-2)が設けられている。導体35は、一例として、X方向に見た場合に円形状または四角形状の外観を呈している。
【0055】
フィードスルー16とフレキシブルプリント配線板30とはX方向に重なっている。フィードスルー16は、絶縁層16cと電極パッド17とを有している。絶縁層16cは多層のセラミックで形成されている。各セラミック層には金属による電気回路パターンが形成されており、それぞれのセラミック層は打ち抜いたビアに金属ペーストを充填するなどによって、各層の導体が電気的に接続されている。絶縁層16cは、第二絶縁体の一例である。
【0056】
図1に示されるように、フィードスルー16のZ方向の端面には電気回路端となる金属パッド19が形成されている。金属パッド19は例えば金属ワイヤなどの導体18を介して、収容室R内の光電部品や、電気部品、回路基板等の端子(不図示)と電気的に接続されている。なお、
図1には、簡単のため、一つの導体18のみが示されているが、光学装置1は、図示しない他の導体18も有している。
【0057】
フィードスルー16のX方向の反対方向の端面16aは、ハウジング10外に露出している。端面16aは、X方向と交差するとともに、Y方向およびZ方向に延びている。端面16aは、絶縁層31と面している。
【0058】
図2に示されるように、フィードスルー16の端面16a上には、層状の電極パッド17(17-1,17-2)が設けられている。電極パッド17は、フィードスルー16内の導体(不図示)を介して金属パッド19と電気的に接続されている。電極パッド17はモジュール外の電気回路と接続するための電極である。電極パッド17は、一例として、X方向に見た場合に円形状または四角形状の外観を呈している。電極パッド17は、第二導体の一例である。
【0059】
電極パッド17-1は、導体35-1と面し、電極パッド17-2は、導体35-2と面している。
【0060】
接続材60(60-1,60-2)は、電極パッド17と導体35との間から、貫通孔30a内(筒状の導体33内)を経て、導体34と接する位置まで延びている。接続材60は、加熱され、流動性を有した状態で、例えば、フィードスルー16とは反対側から貫通孔30a1内に注入され、冷却されることにより固化される。接続材60は、例えば、はんだである。
【0061】
流動性を有している状態では、接続材60は、合成樹脂材料よりも金属材料との親和性(濡れ性)が高いため、電極パッド17および導体33,34,35の表面に選択的に付着するとともに、当該表面を伝って流動する。
【0062】
接続材60-1は、電極パッド17-1と、導体33-1,34-1,35-1とを電気的に接続し、これにより、接続部100-1が構成されている。また、接続材60-2は、電極パッド17-2と、導体33-2,34-2,35-2とを電気的に接続し、これにより、接続部100-2が構成されている。
【0063】
図3は、接続構造100AのX方向に見た側面図である。なお、
図2は、
図3におけるII-II線での断面図である。
図2,3に示されるように、本実施形態では、電極パッド17および導体33,34の設けられている位置が、X方向に沿う断面においてずれている。
【0064】
図2に示されるように、互いに対応する電極パッド17と導体35とは、X方向に略並んでいる。すなわち、接続材60-1を介して電気的に接続される電極パッド17-1と導体35-1とがX方向に略並び、接続材60-2を介して電気的に接続される電極パッド17-2と導体35-2とがX方向に略並んでいる。そして、電極パッド17-1および導体35-1と、電極パッド17-2および導体35-2とは、Y方向に間隔をあけて設けられている。狭ピッチ化すると、電極パッド17-1および導体35-1と、電極パッド17-2および導体35-2との設置間隔が、狭まる。Y方向は、第二方向の一例である。
【0065】
また、本実施形態では、貫通孔30a1および導体33-1が、導体35-1に対して導体35-2よりも遠い位置にずれて設けられるとともに、貫通孔30a2および導体33-2が、導体35-2に対して導体35-1よりも遠い位置にずれて設けられている。
【0066】
さらに、本実施形態では、導体34-1が、導体35-1に対して導体35-2よりも遠い位置にずれて設けられるとともに、導体34-2が、導体35-2に対して導体35-1よりも遠い位置にずれて設けられている。導体34-1は、導体33-1,34-1,35-1のうち、フィードスルー16とは反対側で導体33-2,34-2,35-2から離れる方向に延びた部分であり、導体34-2は、導体33-2,34-2,35-2のうち、フィードスルー16とは反対側で導体33-1,34-1,35-1から離れる方向に延びた部分である。導体34-1,34-2は、第一延部の一例である。また、導体33-1,34-1,35-1に対して、導体33-2,34-2,35-2は、他の第一導体の一例であり、導体33-2,34-2,35-2に対して、導体33-1,34-1,35-1は、他の第一導体の一例である。
【0067】
上述したように、接続材60-1は、流動性を有した状態では、導体33-1,34-1,35-1に沿って濡れ広がる。ここで、本実施形態では、上述した第一延部としての導体34-1が設けられているため、流動性を有した接続材60-1は、当該導体34-1に沿って延びる。よって、流動性を有した接続材60-1には、当該導体34-1が延びる方向、すなわち、導体33-2,34-2,35-2から離れる方向に界面張力が作用する。これにより、流動性を有した状態の接続材60-1のうち導体35-1と電極パッド17-1との間に存在する部位には、電極パッド17-2、導体35-2、および接続材60-2から離れる方向に界面張力が作用することになる。接続材60-1は、この状態で固化されるため、接続材60-1と、電極パッド17-2、導体35-2、または接続材60-2との接触、すなわち短絡が、抑制される。
【0068】
また、同様に、接続材60-2は、流動性を有した状態では、導体33-2,34-2,35-2に沿って濡れ広がる。ここで、本実施形態では、上述した第一延部としての導体34-2が設けられているため、流動性を有した接続材60-2は、当該導体34-2に沿って延びる。よって、流動性を有した接続材60-2には、当該導体34-2が延びる方向、すなわち、導体33-1,34-1,35-1から離れる方向に界面張力が作用する。これにより、流動性を有した状態の接続材60-2のうち導体35-2と電極パッド17-2との間に存在する部位には、電極パッド17-1、導体35-1、および接続材60-1から離れる方向に界面張力が作用することになる。接続材60-2は、この状態で固化されるため、接続材60-2と、電極パッド17-1、導体35-1、または接続材60-1との接触、すなわち短絡が、抑制される。
【0069】
また、
図2,3に示されるように、導体33,35および電極パッド17は、それぞれ、Y方向に並んでいる。すなわち、接続部100-1,100-2は、Y方向に略並んでいる。また、
図3に示されるように、導体34-1は、Y方向とZ方向の反対方向との間のD1方向に延びるとともに、導体34-2は、Y方向の反対方向とZ方向との間のD2方向に延びている。D1方向およびD2方向は、いずれもY方向と交差した方向であり、第三方向の一例である。仮に、導体34が、Y方向に沿って、Y方向またはY方向の反対方向に延びていると、接続部100-1,100-2のY方向の長さが長くなり、ひいては当該接続部100-1,100-2間の隙間が小さくなって、接続部100-1,100-2のY方向のピッチ(設置間隔)が狭く設定され難くなる。この点、本実施形態では、導体34がY方向と交差したD1方向またはD2方向に延びているため、接続部100-1,100-2のY方向の長さをより短くすることができる。よって、接続部100-1,100-2のY方向のピッチを狭くすることができ、狭ピッチ化に対応しやすくなる。
【0070】
以上、説明したように、本実施形態では、導体34-1(第一延部)は、フレキシブルプリント配線板30(配線部材)のフィードスルー16(ベース)とは反対側で、導体33-2,34-2,35-2(他の第一導体)から離れる方向に延びている。また、導体33-1,34-1,35-1(第一導体)と電気的に接続された接続材60-1は、導体34-1に沿って当該導体33-2,34-2,35-2から離れる方向に延びている。
【0071】
また、導体34-2(第一延部)は、フレキシブルプリント配線板30のフィードスルー16とは反対側で、導体33-1,34-1,35-1(他の第一導体)から離れる方向に延びている。また、導体33-2,34-2,35-2(第一導体)と電気的に接続された接続材60-2は、導体34-2に沿って当該導体33-1,34-1,35-1から離れる方向に延びている。
【0072】
このような構成によれば、接続材60-1を、電極パッド17-2、導体35-2、および接続材60-2から離れる方向に界面張力が作用した状態で固化することができるとともに、接続材60-2を、電極パッド17-1、導体35-1、および接続材60-1から離れる方向に界面張力が作用した状態で固化することができる。このため、接続材60-1と、電極パッド17-2、導体35-2、または接続材60-2との接触による短絡を抑制できるとともに、接続材60-2と、電極パッド17-1、導体35-1、または接続材60-1との接触による短絡を抑制できる。したがって、所謂狭ピッチ化によって、複数の導電経路(導体33,34,35)間の間隔および複数の電極パッド17間の間隔が狭くなった場合にあっても、接続材60を介した短絡を抑制することができる。なお、導体34は、必要な箇所に適宜に設けられればよく、複数の導体33,35の全てに対応して導体34を設けなくてもよい。
【0073】
[第1変形例]
図4は、第1変形例の接続構造100A-1の一部の側面図である。
図4に示されるように、本変形例では、接続部100-1と接続部100-2とが、互いにZ方向にずれており、Y方向に対して千鳥状、すなわちジグザグに配置されている。このような配置によれば、複数の電極パッド17、および複数の導体33,34,35を、Y方向により密に配置することができ、接続構造100A-1、ひいてはフレキシブルプリント配線板30および光学装置1を、Y方向により小型化しやすい。
【0074】
[第2変形例]
図5は、第2変形例の接続構造100A-2の一部の側面図である。
図5に示されるように、本変形例では、接続部100-1がY方向に並ぶ行と、接続部100-2がY方向に並ぶ行とが、Z方向に間隔をあけて配置されている。このような配置によれば、複数の電極パッド17、および複数の導体33,34,35を、Y方向により一層密に配置することができ、接続構造100A-1、ひいてはフレキシブルプリント配線板30および光学装置1を、Y方向により一層小型化しやすい。
【0075】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態の接続構造100Bの
図2と同等位置での断面図であり、
図7は、
図6のVII-VII断面図である。なお、
図6は、
図7のVI-VI位置での断面図である。
【0076】
図6に示されるように、接続構造100Bは、フィードスルー16Bと、フレキシブルプリント配線板30Bとを備えている。ただし、本実施形態では、フレキシブルプリント配線板30Bには、上記第1実施形態のような絶縁層31の貫通孔30a(
図2参照)が設けられず、導体33,34も設けられていない。本実施形態では、導体35のみが第一導体の一例である。
【0077】
他方、フィードスルー16Bでは、端面16aにおいてフレキシブルプリント配線板30Bに向けて開口する有底筒状の開口16b(16b1,16b2)が設けられ、当該開口16bの内面に沿って、それぞれ、有底筒状の導体18(18-1,18-2)が設けられている。導体18は、電極パッド17と隣接し、電気的に接続されている。導体18-1は、電極パッド17-1と隣接するとともに電気的に接続され、導体18-2は、電極パッド17-2と隣接するとともに電気的に接続されている。本実施形態では、電極パッド17および導体18が、第二導体の一例である。また、電極パッド17-1および導体18-1に対して、電極パッド17-2および導体18-2は、他の第二導体の一例であり、また、電極パッド17-2および導体18-2に対して、電極パッド17-1および導体18-1は、他の第二導体の一例である。なお、開口16bおよび導体18は、有底円筒状の形状を有しているが、これには限定されない。開口16bは、凹部とも称されうる。
【0078】
そして、
図6,7に示されるように、本実施形態では、電極パッド17および導体18(開口16b)の設けられている位置が、X方向に沿う断面においてずれている。
【0079】
図6に示されるように、本実施形態でも、互いに対応する電極パッド17と導体35とは、X方向に略並んでいる。すなわち、接続材60-1を介して電気的に接続される電極パッド17-1と導体35-1とがX方向に略並び、接続材60-2を介して電気的に接続される電極パッド17-2と導体35-2とがX方向に略並んでいる。そして、電極パッド17-1および導体35-1と、電極パッド17-2および導体35-2とは、Y方向に間隔をあけて設けられている。
【0080】
また、本実施形態では、開口16b1が、電極パッド17-1に対して電極パッド17-2とは反対側にずれて設けられるとともに、開口16b2が、電極パッド17-2に対して電極パッド17-1とは反対側にずれて設けられている。電極パッド17-1は、導体35-1に対するX方向における対向領域の一例であり、電極パッド17-2は、導体35-2に対するX方向における対向領域の一例である。また、開口16b1の内面に沿った導体18-1、および開口16b2の内面に沿った導体18-2は、第二延部の一例である。
【0081】
本実施形態では、接続材60-1は、流動性を有した状態では、電極パッド17-1および導体18-1に沿って濡れ広がり、開口16b1内に進入する。よって、流動性を有した接続材60-1には、電極パッド17-1に対して当該導体18-1が存在している方向、言い換えると電極パッド17-1に対して当該導体18-1が延びる方向に、界面張力が作用する。電極パッド17-1に対して導体18-1が延びる方向は、電極パッド17-2から離れる方向でもある。したがって、流動性を有した状態の接続材60-1のうち導体35-1と電極パッド17-1との間に存在する部位には、電極パッド17-2、導体35-2、および接続材60-2から離れる方向に界面張力が作用することになる。接続材60-1は、この状態で固化されるため、接続材60-1と、電極パッド17-2、導体35-2、または接続材60-2との接触、すなわち短絡が、抑制される。なお、固化された状態において、接続材60-1の一部は、導体18-1に沿って開口16b1内に収容された状態となる。
【0082】
また、同様に、接続材60-2は、流動性を有した状態では、電極パッド17-2および導体18-2に沿って濡れ広がり、開口16b2内に進入する。よって、流動性を有した接続材60-2には、電極パッド17-2に対して当該導体18-2が存在している方向、言い換えると電極パッド17-2に対して当該導体18-2が延びる方向に、界面張力が作用する。電極パッド17-2に対して導体18-2が延びる方向は、電極パッド17-1から離れる方向でもある。したがって、流動性を有した状態の接続材60-2のうち導体35-2と電極パッド17-2との間に存在する部位には、電極パッド17-1、導体35-1、および接続材60-1から離れる方向に界面張力が作用することになる。接続材60-2は、この状態で固化されるため、接続材60-2と、電極パッド17-1、導体35-1、または接続材60-1との接触、すなわち短絡が、抑制される。なお、固化された状態において、接続材60-2の一部は、導体18-2に沿って開口16b2内に収容された状態となる。
【0083】
また、
図6,7に示されるように、導体35および電極パッド17は、Y方向に並んでいる。すなわち、接続部100-1,100-2は、Y方向に略並んでいる。これに対し、
図7に示されるように、開口16b1および導体18-1は、電極パッド17-1に対してY方向とZ方向の反対方向との間のD1方向にずれて位置されるとともに、開口16b2および導体18-2は、電極パッド17-2に対してY方向の反対方向とZ方向との間のD2方向にずれて位置されている。D1方向およびD2方向は、いずれもY方向と交差した方向であり、第三方向の一例である。仮に、開口16bおよび導体18が、電極パッド17に対してY方向に沿って、Y方向またはY方向の反対方向にずれていると、接続部100-1,100-2のY方向の長さが長くなり、ひいては当該接続部100-1,100-2間の隙間が小さくなって、接続部100-1,100-2のY方向のピッチ(設置間隔)が狭く設定され難くなる。この点、本実施形態では、開口16bおよび導体18が電極パッド17に対してY方向と交差したD1方向またはD2方向にずれているため、接続部100-1,100-2のY方向の長さをより短くすることができる。よって、接続部100-1,100-2のY方向のピッチを狭くすることができ、狭ピッチ化に対応しやすくなる。
【0084】
以上の本実施形態によっても、接続材60-1と、電極パッド17-2、導体35-2、または接続材60-2との接触による短絡を抑制できるとともに、接続材60-2と、電極パッド17-1、導体35-1、または接続材60-1との接触による短絡を抑制できる。したがって、所謂狭ピッチ化によって、複数の導電経路(導体35)間の間隔および複数の電極パッド17間の間隔が狭くなった場合にあっても、接続材60を介した短絡を抑制することができる。なお、開口16bおよび導体18は、必要な箇所に適宜に設けられればよく、複数の電極パッド17の全てに対応して開口16bおよび導体18を設けなくてもよい。
【0085】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の接続構造100Cの
図2と同等位置での断面図であり、
図9は、
図8のIX-IX断面図である。なお、
図8は、
図9のVIII-VIII位置での断面図である。
【0086】
図8を
図6と比較すれば明らかとなるように、本実施形態の接続構造100Cは、第2実施形態の接続構造100Bと同様の構成を備えている。ただし、本実施形態では、開口16b、電極パッド17、および導体18の配置や形状が、第2実施形態と相違している。フレキシブルプリント配線板30Cの構成は、第2実施形態のフレキシブルプリント配線板30Bと同様である。
【0087】
開口16b1は、端面16a上の、導体35-1との対向領域から、電極パッド17-2から離れる方向に延びるとともに、開口16b2は、端面16a上の、導体35-2との対向領域から、電極パッド17-1から離れる方向に延びている。また、導体18-1は、開口16b1の内面に沿って、導体35-1との対向領域から、電極パッド17-2から離れる方向に延びるとともに、導体18-1は、開口16b1の内面に沿って、導体35-2との対向領域から、電極パッド17-1から離れる方向に延びている。
図9に示されるように、開口16bおよび導体18の形状は、一例として長円状(長穴状)であるが、これには限定されない。
【0088】
本実施形態でも、接続材60-1は、流動性を有した状態では、電極パッド17-1および導体18-1に沿って濡れ広がり、開口16b1内に進入する。よって、流動性を有した接続材60-1には、導体18-1が延びている方向に、界面張力が作用する。導体18-1が延びる方向は、電極パッド17-2から離れる方向である。したがって、流動性を有した状態の接続材60-1のうち導体35-1と電極パッド17-1との間に存在する部位には、電極パッド17-2、導体35-2、および接続材60-2から離れる方向に界面張力が作用することになる。接続材60-1は、この状態で固化されるため、接続材60-1と、電極パッド17-2、導体35-2、または接続材60-2との接触、すなわち短絡が、抑制される。固化された状態において、接続材60-1の一部は、導体18-1に沿って開口16b1内に収容される。
【0089】
また、同様に、接続材60-2は、流動性を有した状態では、電極パッド17-2および導体18-2に沿って濡れ広がり、開口16b2内に進入する。よって、流動性を有した接続材60-2には、導体18-2が延びている方向に、界面張力が作用する。導体18-2が延びる方向は、電極パッド17-1から離れる方向である。したがって、流動性を有した状態の接続材60-2のうち導体35-2と電極パッド17-2との間に存在する部位には、電極パッド17-1、導体35-1、および接続材60-1から離れる方向に界面張力が作用することになる。接続材60-2は、この状態で固化されるため、接続材60-2と、電極パッド17-1、導体35-1、または接続材60-1との接触、すなわち短絡が、抑制される。なお、固化された状態において、接続材60-2の一部は、導体18-2に沿って開口16b2内に収容された状態となる。
【0090】
また、
図8,9に示されるように、導体35は、Y方向に並んでいる。すなわち、接続部100-1,100-2は、Y方向に略並んでいる。これに対し、
図9に示されるように、開口16b1および導体18-1は、フィードスルー16Cの導体35-1とのX方向における対向領域からY方向とZ方向の反対方向との間のD1方向に延びるとともに、開口16b2および導体18-2は、フィードスルー16Cの導体35-2とのX方向における対向領域からY方向の反対方向とZ方向との間のD2方向に延びている。D1方向およびD2方向は、いずれもY方向と交差した方向であり、第三方向の一例である。仮に、開口16bおよび導体18が、電極パッド17に対してY方向に沿って、Y方向またはY方向の反対方向に延びていると、接続部100-1,100-2のY方向の長さが長くなり、ひいては当該接続部100-1,100-2間の隙間が小さくなって、接続部100-1,100-2のY方向のピッチ(設置間隔)が狭く設定され難くなる。この点、本実施形態では、開口16bおよび導体18がY方向と交差したD1方向またはD2方向に延びているため、接続部100-1,100-2のY方向の長さをより短くすることができる。よって、接続部100-1,100-2のY方向のピッチを狭くすることができ、狭ピッチ化に対応しやすくなる。
【0091】
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0092】
例えば、光学装置は、光学部品として、半導体レーザ素子や、受光素子の他に、半導体変調器や、半導体光増幅器等を備えてもよい。光学装置は、光学部品として、これら半導体レーザ素子、受光素子、半導体変調器、および半導体光増幅器のうち少なくとも一つを備えればよい。
【0093】
また、光学装置は、配線部材を含むアッセンブリとして構成されていてもよい。言い換えると、光学装置は、その構成要素として配線部材を含んでもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…光学装置
10…ハウジング
11…底壁
12…頂壁
13…端壁
14…側壁
15…光学窓
16,16B,16C…フィードスルー(ベース、ハウジング)
16a…端面
16b,16b1,16b2…開口
16c…絶縁層(第二絶縁体)
17,17-1,17-2…電極パッド(第二導体、対向領域)
18,18-1,18-2…導体(第二導体、第二延部)
19…金属パッド
20…温調装置
20a…上面
20b…下面
21U…上側基板
21L…下側基板
21a…上面
21b…下面
22…熱電素子
30,30B,30C…フレキシブルプリント配線板(配線部材)
31…絶縁層
30a,30a1,30a2…貫通孔
30b…端面
30c…端面
33,33-1,33-2…導体(第一導体)
34,34-1,34-2…導体(第一導体、第一延部)
35,35-1,35-2…導体(第一導体)
41…発光素子
42…レンズ
43…キャリア
51…光アイソレータ
51a…磁石
51b…光学素子部
52…ビームスプリッタ
53…受光素子
60,60-1,60-2…接続材
100-1,100-2…接続部
100A,100A-1,100A-2,100B,100C…接続構造
D1,D2…方向(第三方向)
R…収容室
X…方向(第一方向)
Y…方向(第二方向)
Z…方向