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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】侵入検知システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 13/181 20060101AFI20240924BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G08B13/181
G08B25/04 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020212143
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098637
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】渡部 大介
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-163094(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00082729(EP,A2)
【文献】特開昭58-019991(JP,A)
【文献】特開2018-142094(JP,A)
【文献】特開2009-282641(JP,A)
【文献】特開2019-144952(JP,A)
【文献】米国特許第07075427(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00-15/02
G08B 21/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視エリアに侵入する物体を検知する侵入検知システムであって、
ケーブルが収容される収容空間を有し、前記収容空間の上部に設けられた開口部が蓋体によって閉鎖される収容容器と、
前記収容空間に設けられ、前記収容空間から前記蓋体の上方に向けて送信波を送信するとともに、反射波を受信し、この反射波を処理することにより物体に関する情報を検出する物体検出センサと、
前記物体検出センサの検出結果に基づいて前記監視エリアに物体の侵入があるか否かを判定する判定部を有する管理装置と、を備える
侵入検知システム。
【請求項2】
前記物体検出センサは、物体の移動速度、前記物体検出センサに対する物体の接近または離反の移動方向、前記物体検出センサから物体までの距離、前記物体検出センサに対する物体の位置する角度のうち、少なくとも1つを検出する
請求項1に記載の侵入検知システム。
【請求項3】
前記物体検出センサは、前記物体に関する情報と共に固有の識別データを前記管理装置に送信する
請求項1または2に記載の侵入検知システム。
【請求項4】
前記収容容器は、複数の容器本体を前記ケーブルの延伸方向に並べることによって形成され、
前記複数の容器本体によって形成される前記収容容器の前記収容空間には、前記収容空間の延伸方向に間隔をおいて複数の前記物体検出センサが配設され、
前記管理装置は、複数の前記物体検出センサのそれぞれの設置位置に関する情報である設置位置情報を含み、前記判定部が前記監視エリアに物体の侵入があると判定した場合に、前記設置位置情報及び物体を検出した前記物体検出センサから送信された識別データに基づいて前記監視エリアに侵入する物体の位置を特定する位置特定部を有する
請求項3に記載の侵入検知システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記位置特定部によって特定した前記監視エリアに侵入する物体の位置に関する情報を他の機器に通知する通知部を有する
請求項4に記載の侵入検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視エリアに侵入する人等の物体を検知するための侵入検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の侵入検知システムは、カメラ、赤外線センサ等、監視エリアに侵入する人等の物体を検知するための物体検出センサと、物体検出センサの検知結果に基づいて監視エリアに侵入する物体の有無を判定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-185115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の侵入検知システムは、物体検出センサを、地面から上方に張り出すポールや建築物等の構造物に取り付ける必要があるため、車両が走行する道路の路面等、地面から上方に張り出す構造物の設置に制限がある場所に適用することは困難である。また、従来の侵入検知システムは、地面から上方に張り出すポールや建築物等の構造物に物体検出センサが取り付けられているため、侵入者にとって物体検出センサの発見が容易であり、物体検出センサが侵入者を検出できなくなるような対策が行われる可能性がある。
【0005】
本発明の目的とするところは、物体検出センサの存在を視覚的に認識させることなく、監視エリアに侵入する物体を検知することのできる侵入検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る侵入検知システムは、監視エリアに侵入する物体を検知する侵入検知システムであって、ケーブルが収容される収容空間を有し、前記収容空間の上部に設けられた開口部が蓋体によって閉鎖される収容容器と、前記収容空間に設けられ、前記収容空間から前記蓋体の上方に向けて送信波を送信するとともに、反射波を受信し、この反射波を処理することにより物体に関する情報を検出する物体検出センサと、前記物体検出センサの検出結果に基づいて前記監視エリアに物体の侵入があるか否かを判定する判定部を有する管理装置と、を備える。
【0007】
また、本発明に係る侵入検知システムは、前記物体検出センサが、物体の移動速度、前記物体検出センサに対する物体の接近または離反の移動方向、前記物体検出センサから物体までの距離、前記物体検出センサに対する物体の位置する角度のうち、少なくとも1つを検出する。
【0008】
また、本発明に係る侵入検知システムは、前記物体検出センサが、前記物体に関する情報と共に固有の識別データを前記管理装置に送信する。
【0009】
また、本発明に係る侵入検知システムは、前記収容容器が、複数の容器本体を前記ケーブルの延伸方向に並べることによって形成され、前記複数の容器本体によって形成される前記収容容器の前記収容空間には、前記収容空間の延伸方向に間隔をおいて複数の前記物体検出センサが配設され、前記管理装置は、複数の前記物体センサのそれぞれの設置位置に関する情報である設置位置情報を含み、前記判定部が前記監視エリアに侵入する物体を検知した場合に、前記設置位置情報及び物体を検出した前記物体検出センサから送信された識別情報に基づいて前記監視エリアに侵入する物体の位置を特定する位置特定部を有する。
【0010】
また、本発明に係る侵入検知システムは、前記管理装置が、前記位置特定部によって特定した前記監視エリアに侵入する物体の位置に関する情報を他の機器に通知する通知部を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、物体検出センサを地面から上方に張り出す構造物に取り付けることなく、監視エリアに侵入する物体を検知することができるので、地面から上方に張り出す構造物の設置に制限がある場所に適用することが可能である。また、侵入者にとって物体検出センサの発見が困難であるため、物体検出センサが侵入者を検出できなくするような対策が困難であり、侵入者を確実に検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示す侵入検知システムが適用される収容容器の概略図である。
図2】一実施形態を示す収容容器の横断面図である。
図3】一実施形態を示す侵入検知システムのブロック図である。
図4】一実施形態を示す侵入検知システムを説明するための平面図である。
図5】一実施形態を示す物体侵入検知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図5は、本発明の一実施形態を示すものである。図1は本発明の第1実施形態に係る侵入検知システムを説明する概略図であり、図2は収容容器の横断面図であり、図3は侵入検知システムのブロック図であり、図4は侵入検知システムを説明するための平面図であり、図5は物体侵入検知処理のフローチャートである。
【0014】
本実施形態の侵入検知システム1は、私有地等の監視エリアに侵入する物体としての侵入者Mを検知するとともに、管理者及び侵入者Mに対して警告を通知するものである。
【0015】
本実施形態の侵入検知システム1は、図1に示すように、ケーブル2が収容される収容空間10aを有する収容容器10と、収容空間10aに設けられ、収容空間10aから上方に向けて送信波を送信するとともに、反射波を受信し、この反射波を処理することにより、収容空間10aの近傍の地面G上の監視エリアに侵入する物体に関する情報を検出するための複数の物体検出センサ20と、図3に示すように、複数の物体検出センサ20のそれぞれから送信された検出結果を管理するための管理装置30と、を備えている。
【0016】
収容容器10は、図1及び図2に示すように、ケーブル2及び物体検出センサ20を収容するためのものである。
【0017】
ケーブル2は、発電所から供給される電力を各需要設備に対して送る送電線または配電線等の電力線2a、及び、複数の無線基地局装置と交換局との間で送受信される信号を送るための通信線2bである。
【0018】
収容容器10は、ケーブル2及び物体検出センサ20が収容される収容空間10aが、私有地の境界線に沿って延びるとともに、地面Gよりも下方となる地中に形成されている。本発明は、収容空間10aが私有地の境界線に沿って延びるものに限られるものではない。収容空間10aは、例えば、車両が走行する道路または鉄道の線路に沿って形成してもよい。
【0019】
収容容器10は、図2に示すように、上面に開口部10bを有し、収容空間10aの下方側及び側方側を区画する複数の容器本体11と、開口部10bを閉鎖するための複数の蓋体12と、容器本体11に対して蓋体12の高さ位置を調整するための複数のスペーサ13と、を備えている。
【0020】
容器本体11は、樹脂製の部材からなる。容器本体11は、底面部11aと、底面部11aの幅方向両側からそれぞれ上方に延びる幅方向一対の側面部11bと、を有し、前後方向に直線状に延びる部材である。即ち、容器本体11は、横断面形状がU字型に形成された所謂U字溝である。収容空間10aは、複数の容器本体11のそれぞれを、監視エリアの縁部の延伸方向、且つ、ケーブル2の延伸方向に隙間なく並べることによって形成される。複数の容器本体11は、それぞれ、開口部10bの高さが地面Gの近傍に位置するように地中に埋設される。また、容器本体11の一対の側面部11bのそれぞれの上端面には、側面部11bの上端面に沿って水平方向に延びるとともに、幅方向外側の端部から上方に延びる一対のL型アングル11cが固定される。L型アングル11cは、例えば、ステンレス等の金属製の部材からなる。
【0021】
蓋体12は、幅方向及び前後方向の大きさが、容器本体11の幅方向及び前後方向の大きさと同一に形成された板状部材である。蓋体12は、物体検出センサ20から送信される送信波を透過可能な樹脂製の部材で構成される。複数の蓋体12は、並べられた複数の容器本体11の上端にスペーサ13を介して架け渡すことにより隙間なく並べられる。蓋体12は、例えば、専用の工具のみで着脱の操作が可能な特殊ネジ等の締結部材によってスペーサ13に対して固定される。
【0022】
スペーサ13は、ステンレス等の金属製の角筒状の部材である。スペーサ13は、L型アングル11cを介して、容器本体11の一対の側面部11bのそれぞれの上端部に沿って配置される。スペーサ13は、ボルト等の図示しない締結部材によってL型アングル11cに締結することによって、容器本体11に対して固定される。また、スペーサ13は、容器本体11に取り付けられた状態における幅方向内側の側面に、物体検出センサ20を係止するための係止部13aが設けられている。
【0023】
物体検出センサ20は、図1及び図2に示すように、収容容器10の近傍の地面G上において、収容容器10の物体検出方向A側から侵入する侵入者を検出するものである。
【0024】
物体検出センサ20は、送信波を送信するとともに、送信波が物体によって反射された反射波を受信し、この反射波を処理することにより、物体に関する情報を検出する。物体に関する情報とは、物体の相対速度、相対距離、角度などに関する情報である。この物体に関する情報により、物体を検出したか否か、物体を検出した場合における、物体の移動速度、物体検出センサ20に対する物体の接近または離反の移動方向、物体検出センサ20から物体までの距離、物体検出センサ20に対する物体の位置する角度等を得ることができる。本発明における物体検出センサは、物体を検出した場合における、物体の移動速度、物体検出センサに対する物体の接近または離反の移動方向、物体検出センサから物体までの距離、物体検出センサに対する物体の位置する角度のうち、少なくとも1つを検出するものであればよい。物体検出センサ20は、例えば、ドップラーセンサまたはミリ波レーダである。
【0025】
物体検出センサ20は、送信波を送信する送信アンテナと反射波を受信する受信アンテナとが搭載されたセンサ基板20aを有し、送信波を透過可能なセンサ収納箱20bに収納された状態で収容空間10aの上部側に位置するスペーサ13の係止部13aに係止される。このとき、物体検出センサ20は、センサ収納箱20bの内部において、収容空間10aの外側における蓋体12の水平方向の移動体を検出する方向である物体検出方向A側の斜め上方に送信波を送信すると共に物体検出方向A側からの反射波を受信する姿勢で収納されるとともに、収容空間10aの上部側における物体検出方向A側に位置する側壁に対向する側壁側に配置される。
【0026】
物体検出センサ20は、送信波を送信する送信アンテナと反射波を受信する受信アンテナとからなる送受信部21と、物体検出センサ20の固有の識別データが記憶されている記憶部22と、送受信部21から送信された検出信号に基づいて、物体を検出したか否か、物体を検出した場合における、物体の移動速度、物体検出センサ20に対する物体の接近または離反の移動方向、物体検出センサ20から物体までの距離、物体検出センサ20に対する物体の位置する角度を含む物体に関する情報を算出する処理部23と、管理装置30にデータを送信するための通信部24と、を備えている。
【0027】
送受信部21は、例えば、周波数が24GHzの送信波を送信するとともに、反射する反射波を受信するものであり、受信した反射波に関する検出信号を処理部23に送信する。
【0028】
記憶部22は、複数の物体検出センサ20のそれぞれに割り当てられている固有の識別データが記憶されており、処理部23からの送信を指示する信号に基づいて識別データを処理部23に送信する。
【0029】
処理部23は、送受信部21から送信された検出信号に基づいて、物体を検出したか否か、物体を検出した場合における、物体の移動速度、物体検出センサ20に対する物体の接近または離反の移動方向、物体までの距離、物体検出センサ20に対する物体の位置する角度を含む物体に関する情報を算出し、算出した物体に関する情報を記憶部22に記憶されている識別データと共に通信部24に送信する。
【0030】
通信部24は、処理部23から送信された物体に関する情報及び識別データを管理装置30に送信する。ここで、通信部24と管理装置30との間の通信は、有線通信であっても無線通信であってもよい。また、通信部24と管理装置30との間の通信は、通信部24と管理装置30との間に中継機を配設し、通信部24から送信されたデータを、中継機を介して管理装置30に送信してもよい。
【0031】
管理装置30は、複数の物体検出センサ20のそれぞれから送信されるデータを受信するためのデータ取得部31と、監視エリアに物体が侵入しているか否か、監視エリアに侵入した物体が物体検出センサ20に接近する方向に移動しているか離反する方向に移動しているかを判定するための判定部32と、監視エリアにおける物体の位置を特定するための位置特定部33と、警告を通知するための通知部34と、を備えている。
【0032】
データ取得部31は、複数の物体検出センサ20のそれぞれから送信される物体に関する情報及び識別データを取得し、物体に関する情報を判定部32に送信し、識別データを位置特定部33に送信する。
【0033】
判定部32は、各物体検出センサ20から送信された物体に関する情報に基づいて、監視エリアに物体が侵入しているか否か、監視エリアに物体が侵入している場合に物体が物体検出センサ20に接近する方向に移動しているか離反する方向に移動しているかを判定し、判定結果を通知部34に送信する。
【0034】
位置特定部33は、複数の物体検出センサ20のそれぞれの設置位置に関する情報である設置位置情報を有し、設置位置情報及び物体を検出した物体検出センサ20から送信された識別データに基づいて、監視エリアに侵入する物体の位置を特定する。
【0035】
通知部34は、監視エリアに物体が侵入したことについての警告情報と監視エリアにおける物体の位置情報とを管理装置30に接続されたスマートフォン等の他の機器としての端末装置35に送信するとともに、物体検出センサ20の近傍に設置された警告用の照明やスピーカ等の警告装置36に対して警告を通知する信号を送信する。
【0036】
以上のように構成された侵入検知システム1において、物体検出センサ20の送受信部21から送信される送信波は、蓋体12の水平方向の物体検出方向A側に位置する側壁の外側の土壌によって遮られることなく、蓋体12を透過して収容空間10aの外側の物体検出方向A側に向けて送信される。蓋体12の水平方向の物体検出方向A側の地面上の監視エリアに物体としての侵入者Mが侵入した場合には、図4に示すように、物体検出センサ20の送受信部21から送信された送信波が、侵入者Mによって反射されて送受信部21が受信し、物体検出センサ20によって侵入者Mが検出される。
【0037】
管理装置30は、複数の物体検出センサ20のそれぞれから送信された信号を受信することによって、監視エリアに侵入する物体(侵入者M)を検知する物体侵入検知処理を行う。このときの管理装置30の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
(ステップS1)
ステップS1において管理装置30は、複数の物体検出センサ20のそれぞれから送信された検出データ及び識別データを取得し、ステップS2に処理を移す。
【0039】
(ステップS2)
ステップS2において管理装置30は、複数の物体検出センサ20のそれぞれから受信した検出データに基づいて、監視エリアに侵入する物体(侵入者M)があるか否かを判定する。監視エリアに侵入する物体(侵入者M)があると判定した場合にはステップS3に処理を移し、監視エリアに侵入する物体(侵入者M)があると判定しなかった場合には物体侵入検知処理を終了する。
【0040】
(ステップS3)
ステップS2において監視エリアに侵入する物体(侵入者M)があると判定した場合に、ステップS3において管理装置30は、検出された物体(侵入者M)の移動方向が物体検出センサ20から離反する方向であるか否かを判定する。検出された物体(侵入者M)の移動方向が物体検出センサ20から離反する方向であると判定した場合には、物体侵入検知処理を終了し、検出された物体(侵入者M)の移動方向が物体検出センサ20から離反する方向であると判定しなかった場合には、ステップS4に処理を移す。
【0041】
(ステップS4)
ステップS3において検出された物体(侵入者M)の移動方向が物体検出センサ20から離反する方向であると判定しなかった場合に、ステップS4において管理装置30は、位置特定部33において設置位置情報及び物体を検出した物体検出センサ20から送信された識別データに基づいて、監視エリアに侵入する物体の位置を特定し、ステップS5に処理を移す。
【0042】
(ステップS5)
ステップS5において管理装置30は、特定した物体検出センサ20に関する情報を端末装置35に送信するとともに、侵入者Mを検出した物体検出センサ20の近傍に位置する警告装置36に対して侵入者Mに対して警告を出力させるための信号を送信する警告通知を行い、ステップS6に処理を移す。
【0043】
(ステップS6)
ステップS6において管理装置30は、警告通知を停止する条件が成立したが否かを判定する。警告通知を停止する条件が成立したと判定した場合には、ステップS7に処理を移し、警告通知を停止する条件が成立したと判定しなかった場合には、ステップS5に処理を移す。
【0044】
ここで、警告通知を停止する条件は、端末装置35に警告通知を停止する旨の操作がなされた場合、検出した物体(侵入者M)が物体検出センサ20から離反する方向に移動している状態を検出した場合、検出した物体(侵入者M)が物体検出センサ20によって検出されない状態となった場合、の少なくとも1つを満たす場合である。
【0045】
(ステップS7)
ステップS6において警告通知を停止する条件が成立したと判定した場合に、ステップS7において管理装置30は、警告通知を停止し、物体侵入検知処理を終了する。
【0046】
このように、本実施形態の侵入検知システムによれば、監視エリアに侵入する物体(侵入者M)を検知する侵入検知システムであって、ケーブル2が収容される収容空間10aを有し、収容空間10aの上部に設けられた開口部10bが蓋体12によって閉鎖される収容容器10と、収容空間10aに設けられ、収容空間10aから蓋体12の上方に向けて送信波を送信するとともに、反射波を受信し、この反射波を処理することにより物体に関する情報を検出する物体検出センサ20と、物体検出センサ20の検出結果に基づいて監視エリアに物体の侵入があるか否かを判定する判定部32を有する管理装置30と、を備える。
【0047】
これにより、物体検出センサを地面から上方に張り出す構造物に取り付けることなく、監視エリアに侵入する物体を検知することができるので、地面から上方に張り出す構造物の設置に制限がある場所に適用することが可能である。また、侵入者Mにとって物体検出センサ20の発見が困難であるため、物体検出センサ20が侵入者Mを検出できなくするような対策が困難であり、侵入者Mを確実に検知することが可能となる。
【0048】
また、物体検出センサ20は、物体の移動速度、物体検出センサ20に対する物体の接近及び離反の移動方向、物体検出センサ20から物体までの距離、物体検出センサ20に対する物体の位置する角度のうち、少なくとも1つを検出する、ことが好ましい。
【0049】
これにより、監視エリアに侵入する物体の有無の検出だけでなく、様々な物体に関する情報の検出が可能となるので、検出すべき物体としての侵入者Mを確実に検知することが可能となる。
【0050】
また、物体検出センサ20は、物体に関する情報と共に固有の識別データを管理装置30に送信する、ことが好ましい。
【0051】
これにより、管理装置30によって複数の物体検出センサ20の検出状態を管理する場合において、物体を検出した物体検出センサ20を確実に特定することが可能となる。
【0052】
また、収容容器10は、複数の容器本体11をケーブル2の延伸方向に並べることによって形成され、複数の容器本体11によって形成される収容容器10の収容空間10aには、収容空間10aの延伸方向に間隔をおいて複数の物体検出センサ20が配設され、管理装置30は、複数の物体検出センサ20のそれぞれの設置位置に関する情報である設置位置情報を含み、判定部32が監視エリアへの物体の侵入があると判定した場合に、設置位置情報及び物体を検出した物体検出センサ20から送信された識別データに基づいて監視エリアに侵入する物体の位置を特定する位置特定部33を有する、ことが好ましい。
【0053】
これにより、物体を検出した物体検出センサ20の設置位置に基づいて監視エリアに侵入する物体の位置を特定することが可能となるので、侵入者Mに対する対応を迅速に行うことが可能となり、監視エリアの監視を効率的に行うことが可能となる。
【0054】
また、管理装置30は、位置特定部33によって特定した監視エリアに侵入する物体の位置に関する情報を端末装置35に通知する通知部34を有する。
【0055】
これにより、侵入検知システム1の管理者が、監視エリアに侵入する物体の位置を速やかに把握することが可能となるので、監視エリアの監視をより効率的に行うことが可能となる。
【0056】
尚、前記実施形態では、収容空間10aを、地面Gよりも下方となる地中に形成されている収容容器10を示したが、これに限られるものではな。例えば、収容空間の一部または全部が地面G上に露出している収容容器に対して本発明を適用することも可能である。
【0057】
また、前記実施形態では、複数の物体検出センサ20のそれぞれを、監視エリアの縁部に沿って配置し、監視エリアの外側から内側に侵入する物体(侵入者M)を検出するために、物体検出方向Aを監視エリアの外側に向けたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、複数の物体検出センサの一部を、物体検出方向Aを監視エリアの内側に向けて設置し、監視エリアに侵入した後の物体(侵入者M)の移動状況を検出するようにしてもよい。
【0058】
また、前記実施形態では、物体を検出した場合における、物体の移動速度、物体検出センサ20に対する物体の接近または離反の移動方向、物体までの距離、物体検出センサ20に対する物体の位置する角度を含む物体に関する情報を、物体検出センサ20の処理部23において算出するものを示したが、これに限られるものではない。物体に関する情報の算出は、管理装置30において行ってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 侵入検知システム
2 ケーブル
10 収容容器
10a 収容空間
10b 開口部
12 蓋体
20 物体検出センサ
21 送受信部
22 記憶部
23 処理部
24 通信部
30 管理装置
31 データ取得部
32 判定部
33 位置特定部
34 通知部
35 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5