(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】止水装置、止水構造
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20240924BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20240924BHJP
E02B 7/22 20060101ALN20240924BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
E02B7/22
(21)【出願番号】P 2022048265
(22)【出願日】2022-03-24
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】飯田 英邦
(72)【発明者】
【氏名】代田 敏二
(72)【発明者】
【氏名】秀島 有
(72)【発明者】
【氏名】川西 洋太
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-325621(JP,A)
【文献】実開昭60-055679(JP,U)
【文献】特開2011-140786(JP,A)
【文献】特開2012-241431(JP,A)
【文献】特開2016-145504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E04H 9/14
E02B 7/22,7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸水を防ぐために使用可能な止水装置であって、
設置面に設置する設置部材と、
前記設置部材に対してヒンジ部を介して開閉可能な起立部材と、
一端側が前記設置部材に固定され、他端側が前記起立部材に固定され、前記設置部材に対して前記起立部材が開いた状態を維持する斜材と、
を具備し、
前記斜材は、複数の連結部材からなり、前記連結部材同士が連結された連結部において折り畳みが可能であり、
前記連結部には、前記連結部材
同士が伸ばされた状態から折り畳まれることを規制する固定機構が設けられ
、
前記連結部材は、底部と両側の側部とからなる断面略コの字状であり、前記連結部において前記連結部材同士が前記側部を貫通するピンで連結されており、
前記固定機構は、長孔を有する固定部材を有し、前記連結部材の内部において前記長孔に前記ピンが挿通されており、
前記固定部材は、前記長孔に対して一方の側への突出量が、他方の側への突出量よりも大きく、
前記固定部材の前記一方の側を前記設置部材側に向けて、前記設置部材側の前記連結部材に退避させた状態では、前記固定部材が前記起立部材側の前記連結部材と干渉せずに、前記連結部材同士を折り畳むことが可能であり、
前記固定部材を反転させて、前記一方の側を前記起立部材側に向けた状態で前記設置部材側の前記連結部材に移動させた状態では、前記固定部材の前記一方の側の突出部が前記起立部材側の前記連結部材に突出し、前記固定部材とそれぞれの前記連結部材の前記底部とが干渉して、前記連結部材同士の折り畳みを規制可能であることを特徴とする止水装置。
【請求項2】
前記固定部材の前記一方の側を前記
起立部材側に向けた際に、前記固定部材の上面には確認孔が形成され、前記固定部材を前記設置部材側に移動させて前記連結部材同士の折り畳みを規制した状態においては、前記確認孔から前記ピンを視認可能であり、前記固定部材を前記起立部材側に移動させて前記連結部材同士の折り畳みを規制されていない状態では前記確認孔から前記ピンを視認できないことを特徴とする請求項
1に記載の止水装置。
【請求項3】
前記斜材が折り畳み可能な状態及び折り畳みを規制した状態のいずれにおいても、前記固定部材は、自重によって前記設置部材側にスライド移動可能であることを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載の止水装置。
【請求項4】
浸水を防ぐために使用可能な止水装置であって、
設置面に設置する設置部材と、
前記設置部材に対してヒンジ部を介して開閉可能な起立部材と、
一端側が前記設置部材に固定され、他端側が前記起立部材に固定され、前記設置部材に対して前記起立部材が開いた状態を維持する斜材と、
を具備し、
前記斜材は、複数の連結部材からなり、前記連結部材同士が連結された連結部において折り畳みが可能であり、
前記連結部には、前記連結部材
同士が伸ばされた状態から折り畳まれることを規制する固定機構が設けられ
、
前記連結部材は、底部と両側の側部とからなる断面略コの字状であり、前記連結部において前記連結部材同士が前記側部を貫通するピンで連結されており、
前記固定機構は、固定部材と、前記固定部材を前記連結部材に対して固定可能なねじ部材とを有し、前記ねじ部材と前記固定部材とが起立部材側の前記連結部材の前記底部を挟み込むように配置され、
前記固定部材を、前記起立部材側に移動させた状態で前記ねじ部材により固定した状態では、前記固定部材が前記設置部材側の前記連結部材と干渉せずに、前記連結部材同士を折り畳むことが可能であり、
前記ねじ部材を緩め、前記固定部材を、前記設置部材側に移動させた状態では、前記固定部材が、前記設置部材側の前記連結部材の前記底部と前記ピンとの間に挿入されて、前記固定部材が前記底部と前記ピンとに接触することで、前記連結部材同士の折り畳みを規制可能であることを特徴とする止水装置。
【請求項5】
浸水を防ぐために使用可能な止水装置であって、
設置面に設置する設置部材と、
前記設置部材に対してヒンジ部を介して開閉可能な起立部材と、
一端側が前記設置部材に固定され、他端側が前記起立部材に固定され、前記設置部材に対して前記起立部材が開いた状態を維持する斜材と、
を具備し、
前記斜材は、複数の連結部材からなり、前記連結部材同士が連結された連結部において折り畳みが可能であり、
前記連結部には、前記連結部材
同士が伸ばされた状態から折り畳まれることを規制する固定機構が設けられ
、
前記連結部材は、底部と両側の側部とからなる断面略コの字状であり、前記連結部において前記連結部材同士が前記側部を貫通するピンで連結されており、
前記固定機構は、第1固定部材と、第2固定部材と、前記第1固定部材及び前記第2固定部材を前記連結部材に対して固定可能なねじ部材とを有し、前記第1固定部材と前記第2固定部材とが前記起立部材側の前記連結部材の前記底部を挟み込むように配置されて前記ねじ部材で固定可能であり、
前記第1固定部材及び前記第2固定部材を、前記起立部材側に移動した状態で前記ねじ部材により固定した状態では、前記第1固定部材及び前記第2固定部材が前記設置部材側の前記連結部材と干渉せずに、前記連結部材同士を折り畳むことが可能であり、
前記ねじ部材を緩め、前記第1固定部材及び前記第2固定部材を、前記設置部材側に移動させた状態では、前記第1固定部材及び前記第2固定部材が、前記連結部を挟んでそれぞれの前記連結部材にまたがるように配置され、前記ねじ部材により固定することで、前記連結部材同士の折り畳みを規制可能であることを特徴とする止水装置。
【請求項6】
浸水を防ぐために使用可能な止水装置であって、
設置面に設置する設置部材と、
前記設置部材に対してヒンジ部を介して開閉可能な起立部材と、
一端側が前記設置部材に固定され、他端側が前記起立部材に固定され、前記設置部材に対して前記起立部材が開いた状態を維持する斜材と、
を具備し、
前記斜材は、複数の連結部材からなり、前記連結部材同士が連結された連結部において折り畳みが可能であり、
前記連結部には、前記連結部材
同士が伸ばされた状態から折り畳まれることを規制する固定機構が設けられ
、
前記設置部材の一方の端部側には、第1設置部材連結部が設けられ、前記設置部材の他方の端部側には第2設置部材連結部が設けられ、
前記起立部材の一方の端部側には、第1起立部材連結部が設けられ、前記起立部材の他方の端部側には第2起立部材連結部が設けられ、
前記第2設置部材連結部は、隣り合う他の止水装置の前記第1設置部材連結部に対して下方に向けて連結させることが可能であるとともに、前記第2起立部材連結部は、隣り合う他の止水装置の前記第1起立部材連結部に対して、前記起立部材の開方向へ向けて連結させることが可能であり、
前記第1設置部材連結部と前記第2設置部材連結部との連結部、及び、前記第1起立部材連結部と前記第2起立部材連結部との連結部には、それぞれ、連結部止水部材が配置され、
前記第1設置部材連結部と前記第2設置部材連結部は、互いの溝部及び爪部が互いに噛み合うことで連結可能であり、
前記第1起立部材連結部と前記第2起立部材連結部は、互いの溝部及び爪部が互いに噛み合うことで連結可能であり、
それぞれの連結部において、前記溝部と前記爪部との間にはクリアランスが形成されており、連結方向の連結長さ及び連結角度を調整可能であり、
前記溝部及び前記爪部が互いに噛み合ったときに、前記連結部止水部材がそれぞれの連結部と密着して変形し、
既設の止水装置の隣の所定位置に、止水装置を配置するのみで、前記設置部材同士の連結が完了することを特徴とする止水装置。
【請求項7】
前記斜材は、前記ヒンジ部の折り曲げ方向と同一の方向で折り畳み可能であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の止水装置。
【請求項8】
前記斜材は、前記ヒンジ部の折り曲げ方向とは逆方向で折り畳み可能であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水害の発生時における浸水対策を行うための止水装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水害が発生した際に、建物などへの浸水を防止する方法として、種々の浸水防止用設備が提案されている。例えば、建物の入り口に、開閉式やスライド式の防水シャッターや防水扉を設けて、必要な際にはシャッターや扉を閉じる方法がある。このような防水用設備は建物と一体で設置される。このため、設備が大掛かりであり、特定の場所でしか利用することができない。
【0003】
これに対し、簡易的ではあるが、必要な際に特定の場所に運搬して設置する持ち運び式の止水部材がある。例えば、水害の発生時に、土嚢を所定の場所に設置して水をせき止めることで、浸水を防止することができる。しかし、土嚢は重量があり、所定の範囲の浸水を防止するためには、数多くの土嚢が必要となるため、より設置作業性に優れた方法が望まれる。
【0004】
より設置作業が良好な方法として、略L字状の止水板を用いて止水を行う方法が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1の方法では、L字状の一体型パネルを連結フレームで連結することで、所定の範囲の止水を行うことができる。
【0005】
しかし、特許文献1の止水部材は略L字状であるため、運搬時や保管時にかさばるという問題がある。
【0006】
これに対し、折り畳みが可能な略L字状の止水装置が提案されている(特許文献2)。特許文献2の止水装置によれば、運搬時や保管時には折り畳んだ状態とすることができるため、場所をとることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-223183号公報
【文献】特許第6748317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
折り畳み可能な特許文献2は、組み立てる際に、保持部によって設置部と止水部とが略垂直に固定される。しかし、止水部は水圧によって変形するため、連結部の止水性を確保することが困難である。このため、特許文献2では隣り合う止水板同士を設置した後に、別部材であるクリップで連結する必要があり、部品点数が多く作業性も悪い。また、全体として板状であるため剛性が低く、水圧による変形を十分に抑制することは困難である。
【0009】
これに対し、特許文献2のような一枚の板状部材ではなく、より剛性の高い部材を用いることで、変形を抑制する方法が考えられる。例えば、箱型の設置部と止水部とを折り畳み可能とし、閉じた際には、内部に所定の剛性の棒状の保持部材を収容可能とし、使用時には保持部材を設置部と止水部との間に斜めに組み立てて固定することで、設置部と止水部とを略垂直に固定することができる。
【0010】
しかし、この場合には、保持部材の長さが設置部と止水部とに収容可能なサイズに限定される。この結果、止水部と設置部との間に斜めに保持部材を配置すると、保持部材の長さが十分ではなく、例えば、保持部材と止水部との連結位置が止水部の上端から離れた低い位置となる。この結果、止水部の上端部近傍を保持部で十分に固定することができず、止水部の上端部近傍にわずかな変形が生じるおそれがある。このため、止水部の変形をより確実に抑制可能な止水装置が望まれる。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、設置作業性及び止水性能が良好な止水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、浸水を防ぐために使用可能な止水装置であって、設置面に設置する設置部材と、前記設置部材に対してヒンジ部を介して開閉可能な起立部材と、一端側が前記設置部材に固定され、他端側が前記起立部材に固定され、前記設置部材に対して前記起立部材が開いた状態を維持する斜材と、を具備し、前記斜材は、複数の連結部材からなり、前記連結部材同士が連結された連結部において折り畳みが可能であり、前記連結部には、前記連結部材同士が伸ばされた状態から折り畳まれることを規制する固定機構が設けられ、前記連結部材は、底部と両側の側部とからなる断面略コの字状であり、前記連結部において前記連結部材同士が前記側部を貫通するピンで連結されており、前記固定機構は、長孔を有する固定部材を有し、前記連結部材の内部において前記長孔に前記ピンが挿通されており、前記固定部材は、前記長孔に対して一方の側への突出量が、他方の側への突出量よりも大きく、前記固定部材の前記一方の側を前記設置部材側に向けて、前記設置部材側の前記連結部材に退避させた状態では、前記固定部材が前記起立部材側の前記連結部材と干渉せずに、前記連結部材同士を折り畳むことが可能であり、前記固定部材を反転させて、前記一方の側を前記起立部材側に向けた状態で前記設置部材側の前記連結部材に移動させた状態では、前記固定部材の前記一方の側の突出部が前記起立部材側の前記連結部材に突出し、前記固定部材とそれぞれの前記連結部材の前記底部とが干渉して、前記連結部材同士の折り畳みを規制可能であることを特徴とする止水装置である。
【0014】
前記固定部材の前記一方の側を前記起立部材側に向けた際に、前記固定部材の上面には確認孔が形成され、前記固定部材を前記設置部材側に移動させて前記連結部材同士の折り畳みを規制した状態においては、前記確認孔から前記ピンを視認可能であり、前記固定部材を前記起立部材側に移動させて前記連結部材同士の折り畳みを規制されていない状態では前記確認孔から前記ピンを視認できなくてもよい。
【0015】
前記斜材が折り畳み可能な状態及び折り畳みを規制した状態のいずれにおいても、前記固定部材は、自重によって前記設置部材側にスライド移動可能であってもよい。
【0016】
第2の発明は、浸水を防ぐために使用可能な止水装置であって、設置面に設置する設置部材と、前記設置部材に対してヒンジ部を介して開閉可能な起立部材と、一端側が前記設置部材に固定され、他端側が前記起立部材に固定され、前記設置部材に対して前記起立部材が開いた状態を維持する斜材と、を具備し、前記斜材は、複数の連結部材からなり、前記連結部材同士が連結された連結部において折り畳みが可能であり、前記連結部には、前記連結部材同士が伸ばされた状態から折り畳まれることを規制する固定機構が設けられ、前記連結部材は、底部と両側の側部とからなる断面略コの字状であり、前記連結部において前記連結部材同士が前記側部を貫通するピンで連結されており、前記固定機構は、固定部材と、前記固定部材を前記連結部材に対して固定可能なねじ部材とを有し、前記ねじ部材と前記固定部材とが起立部材側の前記連結部材の前記底部を挟み込むように配置され、前記固定部材を、前記起立部材側に移動させた状態で前記ねじ部材により固定した状態では、前記固定部材が前記設置部材側の前記連結部材と干渉せずに、前記連結部材同士を折り畳むことが可能であり、前記ねじ部材を緩め、前記固定部材を、前記設置部材側に移動させた状態では、前記固定部材が、前記設置部材側の前記連結部材の前記底部と前記ピンとの間に挿入されて、前記固定部材が前記底部と前記ピンとに接触することで、前記連結部材同士の折り畳みを規制可能であることを特徴とする止水装置である。
【0017】
第3の発明は、浸水を防ぐために使用可能な止水装置であって、設置面に設置する設置部材と、前記設置部材に対してヒンジ部を介して開閉可能な起立部材と、一端側が前記設置部材に固定され、他端側が前記起立部材に固定され、前記設置部材に対して前記起立部材が開いた状態を維持する斜材と、を具備し、前記斜材は、複数の連結部材からなり、前記連結部材同士が連結された連結部において折り畳みが可能であり、前記連結部には、前記連結部材同士が伸ばされた状態から折り畳まれることを規制する固定機構が設けられ、前記連結部材は、底部と両側の側部とからなる断面略コの字状であり、前記連結部において前記連結部材同士が前記側部を貫通するピンで連結されており、前記固定機構は、第1固定部材と、第2固定部材と、前記第1固定部材及び前記第2固定部材を前記連結部材に対して固定可能なねじ部材とを有し、前記第1固定部材と前記第2固定部材とが前記起立部材側の前記連結部材の前記底部を挟み込むように配置されて前記ねじ部材で固定可能であり、前記第1固定部材及び前記第2固定部材を、前記起立部材側に移動した状態で前記ねじ部材により固定した状態では、前記第1固定部材及び前記第2固定部材が前記設置部材側の前記連結部材と干渉せずに、前記連結部材同士を折り畳むことが可能であり、前記ねじ部材を緩め、前記第1固定部材及び前記第2固定部材を、前記設置部材側に移動させた状態では、前記第1固定部材及び前記第2固定部材が、前記連結部を挟んでそれぞれの前記連結部材にまたがるように配置され、前記ねじ部材により固定することで、前記連結部材同士の折り畳みを規制可能であることを特徴とする止水装置である。
第4の発明は、浸水を防ぐために使用可能な止水装置であって、設置面に設置する設置部材と、前記設置部材に対してヒンジ部を介して開閉可能な起立部材と、一端側が前記設置部材に固定され、他端側が前記起立部材に固定され、前記設置部材に対して前記起立部材が開いた状態を維持する斜材と、を具備し、前記斜材は、複数の連結部材からなり、前記連結部材同士が連結された連結部において折り畳みが可能であり、前記連結部には、前記連結部材同士が伸ばされた状態から折り畳まれることを規制する固定機構が設けられ、前記設置部材の一方の端部側には、第1設置部材連結部が設けられ、前記設置部材の他方の端部側には第2設置部材連結部が設けられ、前記起立部材の一方の端部側には、第1起立部材連結部が設けられ、前記起立部材の他方の端部側には第2起立部材連結部が設けられ、前記第2設置部材連結部は、隣り合う他の止水装置の前記第1設置部材連結部に対して下方に向けて連結させることが可能であるとともに、前記第2起立部材連結部は、隣り合う他の止水装置の前記第1起立部材連結部に対して、前記起立部材の開方向へ向けて連結させることが可能であり、前記第1設置部材連結部と前記第2設置部材連結部との連結部、及び、前記第1起立部材連結部と前記第2起立部材連結部との連結部には、それぞれ、連結部止水部材が配置され、前記第1設置部材連結部と前記第2設置部材連結部は、互いの溝部及び爪部が互いに噛み合うことで連結可能であり、前記第1起立部材連結部と前記第2起立部材連結部は、互いの溝部及び爪部が互いに噛み合うことで連結可能であり、それぞれの連結部において、前記溝部と前記爪部との間にはクリアランスが形成されており、連結方向の連結長さ及び連結角度を調整可能であり、前記溝部及び前記爪部が互いに噛み合ったときに、前記連結部止水部材がそれぞれの連結部と密着して変形し、既設の止水装置の隣の所定位置に、止水装置を配置するのみで、前記設置部材同士の連結が完了することを特徴とする止水装置である。
【0018】
前記斜材は、前記ヒンジ部の折り曲げ方向と同一の方向で折り畳み可能であってもよい。
【0019】
前記斜材は、前記ヒンジ部の折り曲げ方向とは逆方向で折り畳み可能であってもよい。
【0020】
本発明によれば、設置部材と起立部材とがヒンジ部を介して開閉可能であるため、運搬時や保管時には折り畳んだ状態とすることができ、使用時には設置部材と起立部材とを開き、斜材によって固定することで略L字状を保持することができる。この際、斜材を折り畳み式とすることで、斜材の全長を設置部材及び起立部材のサイズよりも長くすることができる。このため、斜材を起立部材の上部近傍に連結することができ、起立部材の水圧による変形をより確実に抑制することができる。また、斜材は伸ばされた状態を保持する固定機構を有するため、確実に設置部材と起立部材とを所定の角度で保持することができる。
【0021】
また、固定機構として反転可能な固定部材を用い、折り畳む際と伸ばした状態を固定する際とで、固定部材を反転する方法であれば、作業が容易である。すなわち、固定部材の向きを折り畳む際と伸ばした状態を固定する際とで逆向きにすることで、ねじ固定等を行うことなく斜材を固定可能である。
【0022】
この際、折り畳み可能な状態と折り畳みが規制された状態を確認孔におけるピンの視認の可否で把握することで、容易に、斜材が固定されていることを把握することができる。
【0023】
また、固定部材が、自重で下方にスライド移動可能であれば、折り畳み可能な状態も折り畳みが規制された状態も、いずれの場合も固定部材を別途の固定手段で固定することなく保持することができる。
【0024】
また、固定機構として、ねじ部材を用いれば、ねじによる固定で容易に斜材を固定することができる。この際、固定部材を設置部材側の連結部材の底部とピンとの間に挿入し、固定部材が底部とピンとに接触した状態で固定することで、連結部同士の折り畳みを規制することができる。
【0025】
また、第1固定部材と第2固定部材を、連結部を挟んでそれぞれの連結部材にまたがるように配置して、ねじ部材により固定することによっても、連結部材同士の折り畳みを規制することができる。
【0026】
なお、斜材の折り曲げ方法をヒンジ部の折り曲げ方向と同一方向(すなわち、屈曲させた際に、斜材の連結部がヒンジ部に近づく方向)とすることで、連結部が起立部材の先端から露出することがなく、確実に起立部材と設置部材との内部に収容可能である。
【0027】
逆に、斜材の折り曲げ方法をヒンジ部の折り曲げ方向と逆方向(すなわち、屈曲させた際に、斜材の連結部がヒンジ部から離れる方向)とすることで、設置部材と起立部材とを開いた際に、上方から斜材の連結部を軽く押すだけで斜材を伸ばすことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、設置作業性及び止水性能が良好な止水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図4】(a)は、閉じた状態の止水装置1の側面図、(b)は、(a)のヒンジ部7近傍の拡大図。
【
図5】(a)は、開いた状態の止水装置1の側面図、(b)は、(a)のヒンジ部7近傍の拡大図。
【
図6】(a)は、水を貯留した状態の止水装置1の平面図、(b)は(a)のE-E線断面図。
【
図7】(a)、(b)は、止水装置1、1aの設置方法を示す図。
【
図8】(a)は、
図7(a)のF部における断面図、(b)は、
図7(b)のH部における断面図、(c)は(b)に対して、連結方向等の調整を行っている状態を示す図。
【
図9】(a)、(b)は、止水装置1、1aの設置方法を示す図。
【
図10】(a)、(b)は、
図9(b)のL部における断面図、(c)は(b)に対して、連結方向等の調整を行っている状態を示す図。
【
図13】斜材の構造を示す図で、(a)は折り畳んだ状態の平面図、(b)は(a)のO-O線断面図、(c)は伸ばした状態の平面図、(d)は(c)のP-P線断面図。
【
図15】(a)~(c)は、固定機構の固定工程を示す図。
【
図16】(a)~(c)は、他の固定機構の固定工程を示す図。
【
図18】斜材の構造を示す図で、(a)は折り畳んだ状態の平面図、(b)は(a)のU-U線断面図、(c)は伸ばした状態の断面図。
【
図20】(a)は、固定機構の拡大断面図、(b)は(a)のV-V線断面図。
【
図21】(a)~(c)は、固定機構の固定工程を示す図。
【
図22】(a)は
図21(b)の状態の固定機構の正面図、(b)は(a)のY-Y線断面図、(c)は
図21(c)の状態の固定機構の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、閉じた状態の止水装置1を示す斜視図、
図2は、開いた状態の止水装置1の斜視図である。止水装置1は、浸水を防ぐために使用可能な部材であり、保管時や運搬時には、
図1に示すように折り畳んでおき、使用時には
図2に示すように開いて使用することができる。
【0031】
止水装置1は、主に地面などの設置面に設置される設置部材3と、設置部材3に対してヒンジ部7(
図2参照)を介して開閉可能な起立部材5等からなる。なお、以下の説明において、起立部材5を開く側(図中A方向)を止水装置の前方とし、ヒンジ部7側(図中B方向)を止水装置1の後方とする。また、止水装置1の前後方向に直交する方向(図中C、D方向)を止水装置1の幅方向とする。
【0032】
設置部材3の幅方向の一方の端部側(図中C方向の端部側)には、第1の設置部材連結部である設置部材連結部9aが設けられる。また、設置部材3の幅方向の他方の端部側(図中D方向の端部側)には第2の設置部材連結部である設置部材連結部9bが設けられる。止水装置1を併設した際には、隣り合う止水装置1の設置部材連結部9aと設置部材連結部9bを連結することができる。なお、設置部材連結部9aと設置部材連結部9bの詳細については後述する。
【0033】
また、起立部材5の幅方向の一方の端部側(図中C方向の端部側)には、第1の起立部材連結部である起立部材連結部11a(
図2参照)が設けられる。また起立部材5の幅方向の他方の端部側(図中D方向の端部側)には第2の起立部材連結部である起立部材連結部11bが設けられる。止水装置1を併設した際には、隣り合う止水装置1の起立部材連結部11aと起立部材連結部11bを連結することができる。なお、起立部材連結部11aと起立部材連結部11bの詳細については後述する。
【0034】
図2に示すように、起立部材5を開いた状態では、斜材19が、一端側が設置部材3に固定され、他端側が起立部材5に固定される。すなわち、設置部材3と起立部材5は、一対の斜材19によって固定されて、設置部材3に対して起立部材5が開いて略L字状の状態を維持することができる。なお、伸ばした状態の斜材19の全長は、起立部材5の長さよりも長く、設置部材3よりは短い。例えば、斜材19の一端は、起立部材5の上端近傍(例えば起立部材5の全高の75%以上の高さ位置)に連結される。
【0035】
なお、斜材19は、複数の連結部材13a、13bと固定機構20からなり、連結部材13a、13b同士が連結された連結部において折り畳みが可能である。斜材19は、起立部材5を折り畳んだ状態では、設置部材3と起立部材5の内部に収容可能である。なお、起立部材5を閉じる際にも、斜材19の両端部を取り外す必要はなく、連結した状態のまま折り畳むことができる。また、固定機構20は、連結部材13a、13b同士の連結部に設けられ、連結部材13a、13b同士が伸ばされた状態を保持し、折り畳まれることを規制することができる。なお、固定機構20については、詳細を後述する。
【0036】
図3は、設置部材3の下面を示す図である。設置部材3の下面において、設置部材3の前端側には下面止水部材23が配置される。下面止水部材23は、設置部材3の幅方向の全体に配置される。なお、下面止水部材23の幅方向の端部には、隣り合う止水装置1の下面止水部材23同士が互いに噛み合うように、一部に切り欠き部が形成される。下面止水部材23は、例えばゴム製など圧縮変形可能な部材で構成される。
【0037】
また、設置部材3の幅方向の端部側には、下面止水部材23とつながるように、下面止水部材24が配置される。下面止水部材24は、止水装置1の前後方向に対して全体に配置される。下面止水部材24は、例えばゴム製など圧縮変形可能な部材で構成される。なお、下面止水部材24は、必ずしもすべての止水装置1に対して必須ではなく、詳細は後述するが、止水装置1を併設した際に、両端部に位置する止水装置1にのみ配置してもよい。
【0038】
また、設置部材3の下面止水部材23の後方には、排水溝25が設けられる。排水溝25は、設置部材3の幅方向の略中央であって、下面止水部材23の後方から、設置部材3の後端まで連続する。排水溝25は設置部材3の下面に設けられた溝であり、下面止水部材23を超えて設置部材3の下方に浸入した水を止水装置1の後方へ排出するための部位である。このように設置部材3の下面に排水溝25を設けることで、設置部材3の下方の水による水圧によって、止水装置1を持ち上げようとする力が生じることを抑制することができる。
【0039】
設置部材3の下面止水部材23の後方であって、排水溝25の両側には、滑り防止部材27が配置される。滑り防止部材27は、止水装置1を地面等の設置面に設置した際に、止水装置1のずれや意図しない移動を抑制するための部材である。滑り防止部材27は、例えばゴム製など圧縮変形可能な部材で構成される。
【0040】
次に、各部の構造についてより詳細に説明する。
図4(a)は、閉じた状態の止水装置1の側面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のヒンジ部7近傍の拡大図である。また、
図5(a)は、開いた状態の止水装置1の側面図であり、
図5(b)は、
図5(a)のヒンジ部7近傍の拡大図である。
【0041】
前述したように、設置部材3に対して、ヒンジ部7を介して起立部材5を開くことができる。この際、ヒンジ部7の後方には溝31が形成され、溝31には、ヒンジ部止水部材29が配置される。ヒンジ部止水部材29は、例えばゴム製など圧縮変形可能な部材で構成される。
【0042】
図5(b)に示すように、起立部材5を設置部材3に対して起立させた状態において、設置部材3と起立部材5とでヒンジ部止水部材29が挟み込まれる。より詳細には、起立部材5の後端面と設置部材3の上面がヒンジ部止水部材29と密着する。このため、ヒンジ部7の後方において、設置部材3と起立部材5との間の隙間を、ヒンジ部止水部材29によって止水することができる。
【0043】
次に、設置部材3についてより詳細に説明する。
図6(a)は止水装置1を設置した状態を示す平面図であり、
図6(b)は
図6(a)のE-E線断面図である。設置部材3は、全周にわたって周縁部が起立した側壁が形成される。すなわち、設置部材3の上面は、升形状である。このため、設置部材3の上面は、水32を貯留することが可能な貯水部となる。
【0044】
このように設置部材3の上部に水32を貯留可能とすることで、止水装置1を設置した後に、水32によって重量を増加させ、止水装置1の錘とすることができる。このため、風などによる止水装置1のずれや移動を抑制することができる。なお、設置部材3の上面に形成される貯水部としては、升形状ではなく、タンク形状であってもよい。
【0045】
次に、止水装置の設置方法を説明する。
図7(a)は、設置部材3の連結前の状態を示す正面図であり、
図7(b)は、設置部材3同士を連結した状態を示す図である。なお、以下の説明において、隣り合う止水装置を区別するため、既設の止水装置1の隣に、新たに止水装置1aを設置するものとして説明するが、止水装置1aは止水装置1と全く同一の構成である。
【0046】
図7(a)に示すように、止水装置1を設置面である地面に載置して、起立部材5を開き、斜材19で設置部材3と起立部材5とを固定することで、止水装置1が設置される。次に、既設の止水装置1に対して、止水装置1aを設置する。この際、止水装置1aは、起立部材5を折り畳んだ状態で、止水装置1に隣接するように配置する。
【0047】
図8(a)は、
図7(a)の状態におけるF部の拡大断面図である。前述したように、止水装置1の一方の端部側(図中左側の端部)には、設置部材連結部9aが設けられる。設置部材連結部9aは、上方に開口した溝部15aを有する。また、溝部15aの外側の側壁部が、上方に向けて突出する凸部15cとなる。
【0048】
また、止水装置1aの他方の端部側(図中右側の端部)には、設置部材連結部9bが設けられる。設置部材連結部9bは、下方に向けて突出する爪部15bを有する。また、爪部15bの内側には、下方に向けて露出する連結部止水部材21bが設けられる。連結部止水部材21bは、例えばゴム製など圧縮変形可能な部材で構成される。
【0049】
図7(b)は、設置部材3同士が連結された状態を示す正面図であり、
図8(b)は、
図7(b)のH部における拡大断面図である。止水装置1aを止水装置1の隣に配置する際には、止水装置1aの設置部材連結部9bの爪部15bを、止水装置1の設置部材連結部9aの溝部15aへ挿入する(図中矢印G)。爪部15bを溝部15aへ挿入すると、設置部材連結部9aの凸部15cが、設置部材連結部9bの連結部止水部材21bと密着する。なお、図示した例では、連結部止水部材21bが大きく変形している例を示すが、連結部止水部材21bと凸部15cとが密着できれば、連結部止水部材21bの変形はわずかでよい。
【0050】
このように、止水装置1aの設置部材連結部9bは、隣り合う他の止水装置1の設置部材連結部9aに対して、下方に向けて連結させることが可能である。このため、既設の止水装置1の隣の所定の位置に、止水装置1aを配置するのみで、設置部材3同士の連結が完了する。この際、設置部材連結部9aと設置部材連結部9bとの連結部には、連結部止水部材21bが配置されるため、連結部における止水性も確保することができる。
【0051】
ここで、前述したように、設置部材連結部9aと設置部材連結部9bは、溝部15aと爪部15bとを有し、互いの溝部15aと爪部15bが互いに噛み合うことで連結可能である。この際、
図8(c)に示すように、溝部15aと爪部15bとの間にはクリアランス33が形成される。このため、止水装置1、1aの連結方向の連結長さ(図中J)及び連結角度(図中I)を調整可能である。このようにすることで、止水装置同士の連結長さの調整が可能であるとともに、地面が平らでない場合にも確実に止水装置同士を連結して止水性を確保することができる。
【0052】
次に、止水装置1aの起立部材5を開いて、設置部材3に対して起立させる。
図9(a)は、止水装置1aの起立部材5を開く前の平面図であり、
図9(b)は、起立部材5を開いて起立させた状態を示す平面図である。前述したように、起立部材5を起立させて斜材19を伸ばした後に、後述する固定機構によって斜材が伸びた状態が保持される。この際、隣り合う止水装置1、1aの設置部材3の端部が連結して重なり合っているため、起立部材5を開くと(図中矢印K)、起立部材5同士にも重なり部が形成される。
【0053】
図10(a)は、
図9(b)のL部における連結前の状態を示す拡大断面図であり、
図10(b)は、
図9(b)のL部における連結後の状態を示す拡大断面図である。前述したように、止水装置1の一方の端部側(図中左側の端部)には、起立部材連結部11aが設けられる。起立部材連結部11aは、起立させた際の前方(閉じた際の下面側)に開口した溝部17aを有する。また、溝部17aの側壁部が、前方(閉じた際の下面側)に向けて突出する凸部17cとなる。
【0054】
また、止水装置1aの他方の端部側(図中右側の端部)には、起立部材連結部11bが設けられる。起立部材連結部11bは、起立させた際の後方(閉じた際の上面側)に向けて突出する爪部17bを有する。また、爪部17bの内側には爪部17bの突出方向に露出する連結部止水部材21aが設けられる。連結部止水部材21aは、例えばゴム製など圧縮変形可能な部材で構成される。
【0055】
止水装置1aの起立部材5を開くと、止水装置1aの起立部材連結部11bの爪部17bが、止水装置1の起立部材連結部11aの溝部17aへ挿入される。爪部17bが溝部17aへ挿入されると、起立部材連結部11aの凸部17cが、起立部材連結部11bの連結部止水部材21aと密着する。以上により、起立部材5同士が連結される。
【0056】
このように、止水装置1aの起立部材連結部11bは、隣り合う他の止水装置1の起立部材連結部11aに対して、起立部材5の開方向へ向けて連結させることが可能である。このため、既設の止水装置1の隣の所定の位置に、止水装置1aを配置して設置部材3同士が連結し、止水装置1aの起立部材5を開くだけで、起立部材5同士の連結が完了する。この際、起立部材連結部11aと起立部材連結部11bとの連結部には、連結部止水部材21aが配置されるため、連結部における止水性も確保することができる。
【0057】
ここで、設置部材3同士の連結部と同様に、起立部材連結部11aと起立部材連結部11bは、溝部17aと爪部17bとを有し、互いの溝部17aと爪部17bが互いに噛み合うことで連結可能である。この際、
図10(c)に示すように、溝部17aと爪部17bとの間にはクリアランス35が形成される。このため、止水装置1、1aの連結方向の連結長さ(図中M)及び連結角度(図中L)を調整可能である。このようにすることで、止水装置同士の連結長さ調整が可能であるとともに、止水装置同士を所定の角度で曲げて連結することができる。
【0058】
なお、上述した例では、設置部材連結部9bに連結部止水部材21aを配置したが、設置部材連結部9a側に設けてもよい。同様に、起立部材連結部11bに連結部止水部材21aを配置したが、起立部材連結部11a側に設けてもよい。また、設置部材連結部9aに溝部15aを設け、設置部材連結部9bに爪部15bを設けたが、設置部材連結部9aに爪部15bを設け、設置部材連結部9bに溝部15aを設けてもよい。同様に、起立部材連結部11aに溝部17aを設け、起立部材連結部11bに爪部17bを設けたが、起立部材連結部11aに爪部17bを設け、起立部材連結部11bに溝部17aを設けてもよい。
【0059】
図11は、複数の止水装置を連結して形成した止水構造30を示す概念図である。止水装置1を幅方向(図中C、D方向)に複数連結し、所定の長さに形成することで、止水装置1の前方側(図中A方向)からの水を、止水装置1(起立部材5)によってせき止めることができる。
【0060】
なお、起立部材5の前面側には水圧がかかるが、設置部材3の上方にも水圧がかかるため、止水装置1が倒れることがない。また、設置部材3の上方からの水圧によって、下面止水部材23(
図3参照)が地面に押し付けられるため、下面止水部材23、24が地面に密着し、設置部材3の下面への水の流出を抑制することができる。また、設置部材3の上方からの水圧によって、滑り防止部材27(
図3参照)が地面に押し付けられるため、滑り防止部材27が地面に密着し、止水装置1がずれることを抑制することができる。
【0061】
また、前述したように、ヒンジ部7の後方にヒンジ部止水部材29が配置されるため、設置部材3と起立部材5との隙間からの水の流出を抑制することができる。また、起立部材連結部11a、11bの連結部、及び、設置部材連結部9a、9bの連結部に、それぞれ、連結部止水部材21a、21bが配置されるため、止水装置同士の隙間からの水の流出を抑制することができる。また、斜材19が起立部材5の上端部近傍に連結されるため、水圧による起立部材5の上端部近傍の変形を抑制することができ、クリップ等を用いることなく、止水装置同士の隙間からの水の流出を抑制することができる。このように止水構造30によれば、止水装置1の後方(図中B方向)への水の流出を抑制することができる。
【0062】
次に、使用時における設置部材3と起立部材5を固定する斜材19について詳細に説明する。
図12は、止水装置1の開閉途中の状態を示す図であり、開く際(図中N1方向)には、斜材19が折り畳まれた状態から伸び、閉じる際(図中N2方向)には、斜材19が折り畳まれる。
【0063】
なお、図示した例では、斜材19は、ヒンジ部7の折り曲げ方向とは逆方向で折り畳み可能である。ここで、折り畳み方向が逆とは、例えば、止水装置1を閉じる際には、設置部材3と起立部材5とのヒンジ部7における屈曲方向(回転方向)と、連結部材13a、13bの連結部における屈曲方向(回転方向)が逆方向であり、連結部がヒンジ部7から離れる方向に移動することを意味する。
【0064】
図13(a)は、折り畳まれた状態の斜材19の平面図であり、
図13(b)は、
図13(a)のO-O線断面図である。連結部材13a、13bは、底部59と両側の側部61とからなる断面略コの字状である。例えば、図示した例では、連結部材13aは、連結部材13bよりもわずかに大きく、折り畳んだ状態では、連結部材13bは連結部材13aの内側に収容されるが、連結部材13aを、連結部材13bよりもわずかに小さくして、折り畳んだ状態では、連結部材13aが連結部材13bの内側に収容されてもよい。なお、以下の説明では、連結部材13aが起立部材5側に配置され、連結部材13bが設置部材3側に配置されるものとして説明する。
【0065】
連結部材13a、13b同士は、側部61を貫通する連結ピン53で連結される。すなわち、連結部材13a、13bの一方の端部は連結部で連結される。また、連結部材13a、13bの他方の端部には、それぞれ起立部材5及び設置部材3にそれぞれ接続される接続孔51が形成される。なお、止水装置1においては、連結部材13a、13bは、底部59は、外側に向けて配置される。前述したように、連結部には、連結部材13a、13bが伸ばされた状態から折り畳まれることを規制する固定機構20が設けられる。
【0066】
図14は、固定機構20の分解斜視図である。固定機構20は、第1固定部材47と、第2固定部材49と、ねじ部材45からなる。第1固定部材47は例えば板状部材であり、中央に孔46を有する。第2固定部材49は、板状部材に対して一方の側に突出するストッパ57と、ストッパ57とは逆側に突出する雄ねじ部48を有する。なお、第1固定部材47と第2固定部材49の形状は特に限定されない。ねじ部材45は、第2固定部材49の雄ねじ部48へ固定可能である。なお、ねじ部材45を雄ねじとして、第2固定部材49の雄ねじ部48を雌ねじ部に代えてもよい。
【0067】
図13(a)に示すように、連結部材13aの連結部側の端部の底部59にはスリット55が形成される。また、
図13(b)に示すように、第2固定部材49は連結部材13aの内面側に配置され、雄ねじ部48がスリット55に挿通される。また、第1固定部材47は連結部材13aの外面側に配置され中央の孔46に第2固定部材49の雄ねじ部48が挿通される。また、雄ねじ部48にはねじ部材45が固定される。すなわち、第1固定部材47と第2固定部材49とが起立部材5側の連結部材13aの底部59を挟み込むように配置されて、ねじ部材45によって、第1固定部材47及び第2固定部材49を連結部材13aに対して固定可能である。
【0068】
図13(a)、
図13(b)に示すように、第1固定部材47及び第2固定部材49を、起立部材5側(連結部材13a側)に移動した状態でねじ部材45により固定した状態では、第1固定部材47及び第2固定部材49は、設置部材3側の連結部材13bとは干渉しない。このため、連結部材13a、13b同士を折り畳むことが可能である。
【0069】
図13(c)は、この状態から連結部材13a、13bを伸ばした状態を示す平面図であり、
図13(d)は、
図13(c)のP-P線断面図である。前述したように、第1固定部材47及び第2固定部材49を、第1固定部材47及び第2固定部材49は連結部材13bと干渉しないため、起立部材5側(連結部材13a側)に移動した状態では、連結部材13a、13bを自由に伸ばすことが可能である。
【0070】
この状態から、次に、
図15(a)に示すように、ねじ部材45を緩める。ねじ部材45を緩めることで、第1固定部材47及び第2固定部材49をスリット55に沿って設置部材3側の連結部材13b側に移動させることができる(
図15(b)の矢印R)。この際、ストッパ57が連結ピン53と接触するまで第1固定部材47及び第2固定部材49を移動させる。ストッパ57によって、折り畳んだ状態であっても、第1固定部材47及び第2固定部材49が、連結部材13aから抜け落ちることはない。
【0071】
第1固定部材47及び第2固定部材49を、設置部材3側(連結部材13b側)に完全に移動させた状態では、第1固定部材47及び第2固定部材49が、連結部を挟んでそれぞれの連結部材13a、13bにまたがるように配置される。この状態で、
図15(c)に示すように、ねじ部材45を締め込み固定することで、連結部材13a、13bの連結部が内外面から第1固定部材47及び第2固定部材49とで挟み込まれて固定される。したがって、連結部材13a、13bが屈曲することができず連結部材13a、13b同士の折り畳みを規制することができる。
【0072】
このように、本実施形態に係る固定機構20によれば、斜材19に対して、折り畳み可能な状態と折り畳みが規制された状態のいずれの状態も、ねじ部材45によって保持することができる。したがって、意図せずに連結部材13a、13bが折り畳まれてしまうことや、折り畳まれた状態から伸ばせなくなるということがない。
【0073】
次に、他の固定機構について説明する。
図16(a)は、固定機構20aを示す断面図である。なお、以下の説明では、固定機構20と同様の構成については
図13~
図15と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0074】
固定機構20aでは、固定部材63が用いられる。すなわち、固定機構20aは、固定部材63と、固定部材63を連結部材13aに対して固定可能なねじ部材45とからなる。固定部材63は、第1固定部材47と略同様に、雄ねじ部を有する部材であるが、ストッパは不要である。なお、ねじ部材45を雄ねじとして、固定部材63に雌ねじ部を形成してもよい。また、スリット55は、連結部材13aの端部まで形成されるのではなく、端部からわずかに手前まで形成される。すなわち、本実施形態では、スリット55は連結部材13aの端部に開口しない。
【0075】
固定機構20と同様に、ねじ部材45と固定部材63とが起立部材5側の連結部材13aの底部59を挟み込むように配置される。また、固定部材63を、起立部材5側(連結部材13a側)に移動させた状態で、ねじ部材45を締めこんで固定した状態では、固定部材63が設置部材3側の連結部材13bとは干渉しない。このため、連結部材13a、13b同士を折り畳むことが可能である。
【0076】
連結部材13a、13bを伸ばした状態から、
図16(b)に示すように、ねじ部材を緩めることで、固定部材63をスリット55に沿って移動させることができる。
図16(c)に示すように、固定部材63を、設置部材3側(連結部材13b側)に移動させた状態では(図中矢印S)、固定部材63が、設置部材3側の連結部材13bの底部59と連結ピン53との間に挿入される。すなわち、固定部材63は、連結部材13a、13bのそれぞれの底部59にまたがるように配置される。
【0077】
この際、固定部材63が底部59と連結ピン53とに接触することで、連結部材13a、13b同士の折り畳みを規制することが可能である。この状態で、
図16(d)に示すように、ねじ部材45を締めこむことで、連結部材13a、13b同士の折り畳みを規制した状態を保持することができる。
【0078】
次に、さらに他の固定機構について説明する。
図17は、止水装置1bの開閉途中の状態を示す図であり、開く際(図中T1方向)には、斜材19が折り畳まれた状態から伸び、閉じる際(図中T2方向)には、斜材19が折り畳まれる。なお、本実施形態では、斜材19は、ヒンジ部7の折り曲げ方向と同一方向で折り畳み可能である。ここで、折り畳み方向が同一とは、例えば、止水装置1を閉じる際には、設置部材3と起立部材5とのヒンジ部7における屈曲方向(回転方向)と、連結部材13a、13bの連結部における屈曲方向(回転方向)が同一方向であり、連結部がヒンジ部7に近づく方向に移動することを意味する。
【0079】
図18(a)は、折り畳まれた状態の斜材19の平面図であり、
図18(b)は、
図18(a)のU-U線断面図である。図示した例では、折り畳んだ状態で、連結部材13bは連結部材13aの内側に収容されるが、前述したように、連結部材13aを、連結部材13bよりもわずかに小さくして、折り畳んだ状態では、連結部材13aが連結部材13bの内側に収容されてもよい。なお、止水装置1bにおいては、連結部材13a、13bは、底部59が内側に向けて配置される。連結部材13a、13bの連結部には、連結部材13a、13bが伸ばされた状態から折り畳まれることを規制する固定機構20bが設けられる。固定機構20bには、固定部材65が用いられる。
【0080】
図19は、固定部材65の斜視図である。固定部材65は、連結部材13a、13bと同様に、一対の側壁部71と、側壁部71を連結する連結部73を有する断面略コの字状の部材である。側壁部71には長孔67が形成される。固定部材65は、長孔67に対して一方の側への突出量(図中Z1)が、他方の側への突出量(図中Z2)よりも大きい。なお、長孔67からの突出量の大きな側を突出部75とする。
【0081】
また、連結部73には確認孔69が設けられる。確認孔69は長孔67の突出部75側の端部から所定の範囲のみと重なる位置に形成される。すなわち、長孔67の突出部75側の端部近傍のみが連結部73の内外が連通し、長孔67の突出部75側の端部近傍以外の部位においては、連結部73によって塞がれる。
【0082】
図18(a)、
図18(b)に示すように、連結部材13a、13bの内部において、固定部材65の長孔67には、連結ピン53が挿通される。この状態においては、固定部材65の突出部75側が連結部材13a、13bの接続孔51側に向けて配置される。また、連結部材13bの端部においては、底部59の一部が折り曲げられてストッパ68が形成される。固定部材65の連結部73は、連結部材13bの底部59と重なるように配置されるため、連結部材13bの端部において、固定部材65の連結部73がストッパ68と接触する。このため、固定部材65は、それ以上連結部材13bの外側に移動することがない。このため、固定部材65は、連結部材13a、13bの開閉には干渉しない。
【0083】
図18(c)は、この状態から連結部材13a、13bを伸ばした状態を示す断面図である。前述したように、固定部材65は、連結部材13a、13bの開閉には干渉しないため、連結部材13a、13bを自由に伸ばすことが可能であるとともに、連結部材13a、13b同士を折り畳むことが可能である。
【0084】
図20(a)は、連結部材13a、13bを伸ばした状態における連結部近傍を示す図であり、
図20(b)は、
図20(a)のV-V線断面図である。前述したように、連結部材13aは起立部材5と接続され、連結部材13bは設置部材3と接続される。このため、連結部材13a、13bは、斜めに配置され、連結部材13aが上方に位置し、連結部材13bが下方に位置する。この際、固定部材65は、自重で下方(連結部材13b側)に移動する。このため、連結ピン53は、固定部材65の長孔67内において、突出部75とは逆側の端部に位置する。
【0085】
すなわち、固定部材65の一方の側(突出部75側)を設置部材3側(連結部材13b側)に向けて、設置部材3側の連結部材13bに退避させた状態では、固定部材65が起立部材5側の連結部材13aと干渉せずに、連結部材13a、13b同士を折り畳むことが可能である。なお、固定部材65の突出部75側を連結部材13b側に退避させた状態では、
図20(b)に示すように、固定部材65は、連結部73が連結部材13a、13bの底部59と重なるように配置される。すなわち、固定部材65は、連結部材13a、13bと同様に外方に向けて開口する。
【0086】
この状態から、
図21(a)、
図21(b)に示すように、連結ピン53を回転軸として固定部材65を反転させて、固定部材65の一方の側(突出部75側)を起立部材5側(連結部材13a側)に向ける。また、
図21(c)に示すように、固定部材65の一方の側(突出部75側)を起立部材5側(連結部材13a側)に向けた状態で、固定部材65を設置部材3側の連結部材13bに移動させる(図中矢印X方向)。
【0087】
図22(a)は、固定部材65を連結部材13b側に移動させる前の状態を示す正面図であり、
図22(b)は、
図22(a)のY-Y線断面図である。前述したように、固定部材65の連結部73には、確認孔69が形成される。また、固定部材65を反転させて、突出部75側を
起立部材5側に向けた際には、固定部材65の上面に確認孔69が形成される。確認孔69は、長孔67の突出部75側の端部近傍とのみ重なり合う。また、固定部材65を連結部材13b側に移動させる前の状態では、連結ピン53は、長孔67の、突出部75とは逆側の端部近傍に位置する。このため、確認孔69から連結ピン53を視認することはできない。
【0088】
図22(c)は、固定部材65を連結部材13b側に移動させた後の状態を示す正面図である。この状態では、固定部材65の一方の側の突出部75が、起立部材5側の連結部材13aに突出する。また、
図22(b)に示すように、固定部材65の側壁部71の先端が、連結部材13a、13bの底部59と接触する。このため、固定部材65とそれぞれの連結部材13a、13bの底部59とが干渉して、連結部材13a、13b同士の折り畳みを規制することができる。
【0089】
また、
図22(c)に示すように、固定部材65を連結部材13b側に移動させた後の状態では、連結ピン53は、長孔67の、突出部75側の端部近傍に位置する。このため、確認孔69から連結ピン53を視認することができる。
【0090】
このように、固定部材65を設置部材3側に移動させて連結部材13a、13b同士の折り畳みを規制した状態においては、確認孔69から連結ピン53を視認可能である。一方、固定部材65を起立部材5側に移動させて連結部材13a、13b同士の折り畳みを規制されていない状態では確認孔69から連結ピン53を視認することができない。このため、容易に、折り畳みが可能な状態であるか、折り畳みが規制された状態であるかを把握することができる。
【0091】
また、
図21(b)のように、固定部材65が連結部材13a側に反転した状態から、
図21(c)のように、固定部材65が連結部材13b側に移動した状態へは、固定部材65の自重によって移行する。すなわち、斜材19が折り畳み可能な状態(
図20(a))と、折り畳みを規制した状態(
図22(c))のいずれにおいても、固定部材65は、自重によって設置部材3側にスライド移動可能である。したがって、使用者は固定部材65を反転させるだけで、折り畳み可能な状態と、折り畳みを規制した状態とを変更することができる。
【0092】
以上、本実施の形態によれば、止水装置1等は、使用時以外は折り畳むことができるため、保管時や運搬時に場所をとることがない。また、設置部材3と起立部材5を固定する斜材19が折り畳み可能であるため、全長を長くすることができる。このため、設置部材3と起立部材5の端部(ヒンジ部7と逆側の端部)に近い位置でそれぞれ連結可能である。この結果、より高い剛性を得ることができ、水圧によっても起立部材5の変形をより確実に抑制することができる。
【0093】
なお、斜材19の長さを伸縮等によって変えることができてもよい。又は、斜材19と設置部材3又は起立部材5の連結位置を変えることができてもよい。このようにすることで、設置部材3と起立部材5との固定角度を変更することが可能である。
【0094】
また、固定機構として、ねじ部材45を用いる場合には、折り畳み可能な状態及び折り畳みが規制された状態をねじ部材45によって保持することができるため、意図しない動作を抑制することができる。また、斜材19を伸ばした際に、確実に折り畳みを規制することができる。
【0095】
また、反転可能な固定部材65を用いれば、ねじ部材による固定が不要となる。また、固定部材65を反転させることで、固定部材65が自重でスライド動作可能で得るため、使用者は固定部材65を反転させるだけで、折り畳み可能な状態と、折り畳みを規制した状態とを変更することができる。
【0096】
また、固定部材65によって斜材19の折り畳みが規制された状態においては、確認孔69に連結ピン53を視認可能であるため、確認孔69における連結ピン53の有無によって状態を把握することができる。
【0097】
なお、斜材19の折り畳み方向は、
図12に示す方向であっても、
図17に示す方向であってもよいが、
図17に示すように内側に向けて折り畳むことで、連結部材13a、13bの折り畳みの際の挟み込みや、折り畳んだ状態における連結部材の外部への露出(
図1参照)を抑制することができる。
【0098】
また、設置部材連結部9bの爪部15bを、上方から設置部材連結部9aの溝部15aに挿入するだけで設置部材3同士を連結することができるため、既設の止水装置の隣の所定の位置に、止水装置を次々に配置するだけで設置部材3同士を連結することができる。このため、連結のために他の部材を用いる必要がなく、また、連結部材を別途取り付ける作業も不要である。
【0099】
また、既設の止水装置の隣に設置した止水装置の起立部材5を起立させるだけで、起立部材連結部11bの爪部17bを、起立部材連結部11aの溝部17aに挿入して、両者を連結することができる。このため、設置部材3と同様に、連結のために他の部材を用いる必要がなく、また、連結部材を別途取り付ける作業も不要である。このように、止水装置同士を次々に隣り合わせに配置して、起立部材5を起こすだけで止水装置同士の連結作業が完了するため、作業性が良好である。
【0100】
また、それぞれの連結部には、連結部止水部材21a、21bが配置されているため、設置部材3同士及び起立部材5同士を連結するだけで、それぞれの連結部の止水性を確保することができる。
【0101】
また、それぞれの連結部において、爪部と溝部との間にクリアランスを設けることで、隣り合う止水装置同士の間隔や角度を任意に調整することができる。このため、地面が平坦でない場合や止水範囲が湾曲している場合にも適用が可能である。
【0102】
また、設置部材3には水を貯留することができる。このため、設置した後に雨水等を設置部材3の上部に貯めることで、止水装置の重量が増加し、風などで止水装置が飛ばされることを抑制することができる。
【0103】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0104】
例えば、設置部材3及び起立部材5同士の連結構造や止水構造は、上述した実施形態には限られず、他の構造であってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1、1a、1b……止水装置
3………設置部材
5………起立部材
7………ヒンジ部
9a、9b………設置部材連結部
11a、11b………起立部材連結部
13a、13b………連結部材
15a、17a………溝部
15b、17b………爪部
15c、17c………凸部
19………斜材
20、20a、20b………固定機構
21a、21b………連結部止水部材
23、24………下面止水部材
25………排水溝
27………滑り防止部材
29………ヒンジ部止水部材
30………止水構造
31………溝
32………水
33、35………クリアランス
45………ねじ部材
46………孔
47………第1固定部材
48………雄ねじ部
49………第2固定部材
51………接続孔
53………連結ピン
55………スリット
57………ストッパ
59………底部
61………側部
63、65………固定部材
67………長孔
68………ストッパ
69………確認孔
71………側壁部
73………連結部
75………突出部