IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-低抵抗タングステン膜および製造方法 図1
  • 特許-低抵抗タングステン膜および製造方法 図2
  • 特許-低抵抗タングステン膜および製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】低抵抗タングステン膜および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/08 20060101AFI20240924BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20240924BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240924BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240924BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240924BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
C23C16/08
H01L21/285 C
H01L21/285 301
H01L21/28 301R
H01L21/88 B
H01L21/88 M
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022542962
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 US2021042305
(87)【国際公開番号】W WO2022046320
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】17/002,220
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ワン フェイフ
(72)【発明者】
【氏名】リー ジョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ツェン シー
(72)【発明者】
【氏名】ユアン ジボ
(72)【発明者】
【氏名】レイ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー カイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ チュンミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジェボ
【審査官】安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-162534(JP,A)
【文献】特開2001-200358(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0077342(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
C03C 14/00-14/58
H01L 21/285
H01L 21/28
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にタングステンスタックを形成し、トレンチを充填する方法であって、
誘電体材料の表面および2つの側壁底部とからなるトレンチの表面にタングステンライナ層を形成するステップであって、前記タングステンライナ層は、前記2つの側壁および底部を覆い、プロセスガスとしてKrを使用する物理的気相堆積プロセスを用いて形成される、ステップと、
化学気相堆積プロセスを用いてタングステン膜を前記タングステンライナ層のすぐ上に形成するステップと
を含み
記タングステン膜の形成が前記タングステンライナ層上に核形成層を形成することを含まず、前記トレンチの幅が65nm未満である、法。
【請求項2】
前記タングステンライナ層には実質的に酸化タングステンがない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法によって形成された前記タングステンスタックがTiN層を含まない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記トレンチが、高さと幅のアスペクト比が約5:1以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記タングステンライナ層をPVDチャンバ内で形成するステップと、前記基板を前記PVDチャンバから取り出し、前記基板を周囲雰囲気に曝し、前記タングステンライナ層を処理して酸化タングステンを前記タングステンライナ層から除去するステップとをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記タングステンライナ層を処理するステップが、前記タングステンライナ層を水素ガスに曝すステップ、および前記タングステンライナ層をWF6ガスに曝すステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記タングステンライナ層をPVDチャンバ内で形成するステップと、前記基板を前記PVDチャンバから取り出すステップと、前記基板を周囲雰囲気に曝さずにCVDチャンバに配置するステップとをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記トレンチが25nm未満の幅を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記タングステンスタックがスタック抵抗を有し、
前記方法が、前記基板を物理的気相堆積チャンバ内の基板支持体上に配置し、前記基板支持体にバイアス電圧を印加しないステップをさらに含み、
前記基板支持体にバイアス電圧を印加しないステップが、前記タングステンライナ層の粒径を制御し、前記スタック抵抗を改善する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
基板上にタングステンスタックを形成し、トレンチを充填する方法であって、
前記基板を物理的気相堆積処理チャンバ内の基板支持体上に配置するステップと、
誘電体材料の表面および2つの側壁底部とからなるトレンチの表面に、ある粒径を有するタングステンライナ層を形成するステップであって、前記タングステンライナ層は、前記2つの側壁および底部を覆い、プロセスガスとしてKrを使用する物理的気相堆積プロセスを用いて形成される、ステップと、
前記タングステンライナ層の前記粒径を100オングストロームよりも大きくなるように制御するステップと、
化学気相堆積プロセスを用いてタングステン膜を前記タングステンライナ層のすぐ上に形成するステップと
を含み
記タングステン膜の形成が前記タングステンライナ層上に核形成層を形成することを含まず、前記トレンチの幅が65nm未満である、法。
【請求項11】
前記タングステンライナ層の前記粒径を制御するステップは、前記物理的気相堆積プロセス中にバイアス電圧を前記基板支持体に印加しないステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記タングステン膜が250オングストロームを超える粒径を有する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、電子デバイス製造の分野に関し、詳細には集積回路(IC)製造に関する。特に、本開示の実施形態は、低抵抗タングステン膜および低抵抗タングステン膜の製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、複雑にパターン化された材料層を基板表面に製造するプロセスによって実現可能になる。パターン化された材料を基板上に生成するには、所望の材料を堆積させるための制御された方法が必要になる。膜を1つの面に、異なる面に対して選択的に堆積させることは、パターニングおよび他の用途に有用である。
【0003】
タングステン堆積プロセスを利用する従来の充填方式では、窒化チタン(TiN)層が誘電体基板上にバリア層およびライナ層として堆積され、その後、バルクCVDタングステン(W)膜からなる核形成層すなわちシード層が堆積される。TiN層の抵抗は高く、核生成層上に成長させるバルクCVDタングステンの抵抗を低減させるのは困難である。アスペクト比(トレンチまたはビアの高さとトレンチまたはビアの幅との比)が大きくなること、および/または特徴の幅などの特徴サイズが小さくなることに伴い、従来のプロセスで生成されるタングステン膜スタックは、線抵抗またはビア接触抵抗が許容できないほどに高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、タングステン層、膜、および材料を形成するための、ならびにこのようなタングステン層、膜、および材料を含むデバイスを得るための方法の改善が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
金属膜を堆積させる装置および方法が説明される。1つの実施形態において、タングステンスタックを基板上に形成する方法は、物理的気相堆積プロセスを用いてタングステンライナ層を基板の表面に形成するステップと、化学気相堆積プロセスを用いてタングステン膜をタングステンライナ層のすぐ上に形成するステップとを含む。
【0006】
1つまたは複数の実施形態は、タングステンスタックを基板上に形成する方法を対象としており、この方法は、基板を物理的気相堆積チャンバ内の基板支持体上に配置するステップと、物理的気相堆積プロセスを用いてタングステンライナ層を基板の表面に形成するステップと、タングステンライナ層の粒径を100オングストロームよりも大きくなるように制御するステップと、化学気相堆積プロセスを用いてタングステン膜をタングステンライナ層のすぐ上に形成するステップとを含む。
【0007】
別の態様では、電子デバイスが、表面に物理的気相堆積されたタングステンライナ層と、タングステンライナ層のすぐ上の化学気相堆積された膜とを備える。
【0008】
本開示の上述の特徴が詳細に理解できるように、上で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明は、添付の図面にそのいくつかが示されている実施形態を参照することによって得られるであろう。しかし、本開示が、その他の同様に効果的な実施形態を認めることができるので、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態を示すのみであり、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきでないことに留意されたい。本明細書に記載された実施形態は、同様の参照符号が同様の要素を示す添付図面の図に、限定ではなく例として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による半導体デバイスの断面図である。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による半導体デバイスの断面図である。
図3】一実施形態による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図で、類似の構成要素および/または特徴は、同じ参照標示を有することがある。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、参照標示の後に、これら類似の構成要素の中で区別するダッシュおよび第2の標示が続くことで区別することができる。第1の参照標示だけが本明細書で使用されている場合には、その説明は、第2の標示にかかわらず、同じ第1の参照標示を有する類似の構成要素のいずれにも当てはまる。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態について説明する前に、本開示は、以下の説明で示される構造またはプロセスステップの細部に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実践されること、または実行されることも可能である。
【0012】
本明細書で使用されるように「基板」とは、製造プロセス中に膜処理が行われる基板の上に形成された、任意の基板表面または材料表面を指す。たとえば、その上で処理を実施できる基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレイドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素ドープ酸化ケイ素、非晶質シリコン、ドープシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガラス、サファイア、ならびに金属、金属窒化物、金属合金、および他の導電材料のような他の任意の材料などの材料を含む。基板には、限定なしで、半導体ウエハが含まれる。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニールおよび/または焼成するための前処理プロセスを受けることができる。基板自体の表面で直接行う膜処理に加えて、本開示では、開示される膜処理段階のいずれも、以下でより詳細に開示するように、基板上に形成された下地層の上で実施することもでき、「基板表面」という用語は、文脈で示すように、そのような下地層を含むものである。したがって、たとえば、膜/層または部分膜/層が基板表面に堆積された場合には、新たに堆積された膜/層の露出面が基板表面になる。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、用語の「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などは交換可能に用いられて、基板表面と反応することができる任意のガス種を指す。
【0014】
本明細書で使用されるように、用語の「ライナ」は、層の堆積前の開口のかなりの部分が層の堆積後に未充填のままになるように、開口部の側壁および/または下面の少なくとも一部分に沿って一致して形成された層を指す。いくつかの実施形態では、ライナは、開口部の側壁および下面の全体に沿って形成することができる。ライナはまた、平坦な基板の平坦な面に形成することもできる。
【0015】
有利には、物理的気相堆積されたタングステンライナ層のすぐ上に化学気相堆積されたタングステン膜がある、物理的気相堆積されたタングステンライナ層は、化学気相堆積(CVD)によって堆積されたタングステンが後に続くTiN層+核形成層を含む従来のデバイスと比較して、明白なスタック抵抗の利点を示している。いくつかの実施形態では、物理的気相堆積(PVD)によるタングステンライナ層の堆積とCVDによるタングステン膜の堆積との間に、空気断絶、または周囲条件への基板の暴露があり得る。しかし、特定の実施形態では、PVDプロセスによるタングステンライナ層の形成とCVDプロセスによるタングステン膜の形成との間に空気断絶が存在しない。言い換えれば、これら2つのプロセスは、真空下またはロードロック条件下で完了される。いくつかの実施形態において、基板を支持している基板支持体にバイアス電力が印加されないPVDを使用する、タングステンライナ層の堆積を含む処理の結果として、タングステンライナ層およびタングステン膜からなるタングステンスタックの積層抵抗を改善するための、粒径および配向に関しての改善された特性がもたらされる。いくつかの実施形態では、PVDプロセスは、デバイスの特性をさらに適合させるためにKrプロセスガスを使用して行われる。1つまたは複数の実施形態において、タングステンライナ層はα-Wを含み、タングステンライナ層にはβ-Wがない。
【0016】
図1図3を参照して、金属膜を堆積するための装置および方法について説明する。1つの実施形態において、方法200は、基板102上にタングステンスタックを形成するステップを含む。この方法は、物理的気相堆積プロセスを用いてタングステンライナ層106を基板102の表面に形成するステップと、次に、化学気相堆積プロセスを用いてタングステン膜108をタングステンライナ層のすぐ上に形成するステップとを含む。1つまたは複数の実施形態において、タングステンライナ層106には酸化タングステンが実質的にない。いくつかの実施形態では、この方法によって形成されたタングステンライナ層106およびタングステン膜108を含むタングステンスタックは、TiN層または核形成層を含まない。1つまたは複数の実施形態において、方法200は、タングステンライナ層106を形成するステップの前に、基板表面に誘電体層110を形成するステップを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、基板表面は特徴を備える。いくつかの実施形態では、特徴は、トレンチ、ビア、またはピークから選択される。特定の実施形態では、特徴はトレンチを含む。いくつかの実施形態において、方法200は、202でタングステンライナ層をPVDチャンバ内で形成するステップと、206で基板をPVDチャンバから取り出し、その基板を周囲雰囲気に曝し、タングステンライナ層を処理して酸化タングステンをタングステンライナ層から除去するステップとをさらに含む。本明細書で使用されるように、「周囲雰囲気」とは、真空下にない、かつ空気に曝されていない雰囲気を指す。いくつかの実施形態において、タングステンライナ層を処理するステップは、タングステンライナ層を水素ガスに曝すステップ、およびタングステンライナ層をWF6ガスに曝すステップを含む。
【0018】
他の実施形態では、方法200は、204でタングステンライナ層をPVDチャンバ内で形成するステップと、206で基板をPVDチャンバから取り出すステップと、208で基板を周囲雰囲気に曝さずにCVDチャンバに配置するステップとをさらに含む。210で、タングステン膜108をタングステンライナ層106のすぐ上に堆積させてW膜スタックを形成する。いくつかの実施形態において、トレンチは幅Wが5nm以上で65nm以下、5nm以上で55nm以下、5nm以上で45nm以下、5nm以上で35nm以下、5nm以上で32nm以下、5nm以上で25nm以下、または5nm以上で22nm以下である。
【0019】
いくつかの実施形態において、方法200は、202で基板を物理的気相堆積チャンバ内の基板支持体上に配置し、この基板支持体にバイアス電圧を印加しないステップをさらに含む。
【0020】
本開示の別の態様は、タングステンスタックを基板上に形成する方法に関し、この方法は、基板を物理的気相堆積プロセスチャンバ内の基板支持体上に配置するステップと、物理的気相堆積プロセスを用いて、タングステンライナ層を基板の表面に形成するステップと、タングステンライナ層の粒径を100オングストロームよりも大きくなるように制御するステップと、化学気相堆積プロセスを用いてタングステン膜をタングステンライナ層のすぐ上に形成するステップとを含む。いくつかの実施形態において、タングステンライナ層の粒径を制御するステップは、物理的気相堆積プロセス中にバイアス電圧を基板支持体に印加しないステップを含む。いくつかの実施形態において、CVD堆積タングステン膜は、250オングストロームを超える粒径を有する。いくつかの実施形態において、PVD堆積タングステンライナ層は100オングストロームを超える粒径を有し、タングステン膜は250オングストロームを超える粒径を有する。1つまたは複数の実施形態において、タングステンスタックは、抵抗が13μΩ・cm未満、12.5μΩ・cm未満、12μΩ・cm未満、11.5μΩ・cm未満、または11μΩ・cm未満である。いくつかの実施形態において、PVDプロセス中にKrをプロセスガスとして使用することには、タングステンライナ層の粒径を増大させることに関して有益な効果がある。実験データによれば、ArをPVDプロセスのプロセスガスとして室温(約25℃)で使用すると、Wライナ層粒径は137オングストロームになり、ArをPVDプロセスのプロセスガスとして325℃で使用すると、Wライナ層粒径は180オングストロームに増大することが示された。しかし、KrをPVDプロセスのプロセスガスとして室温(約25℃)で使用すると、Wライナ層粒径は210オングストロームに増大した。これらのライナ層のそれぞれの上にCVD堆積膜を含むタングステンスタックでは、ArをPVDプロセスのプロセスガスとして室温(約25℃)で使用すると、Wライナ層粒径は137オングストロームになり、スタック抵抗は約11μΩ・cmになった。ArをPVDプロセスのプロセスガスとして325℃で使用すると、Wライナ層粒径は180オングストロームに増大し、タングステンライナ層上にCVD堆積膜を含むスタックのスタック抵抗は約9.8μΩ・cmになった。KrをPVDプロセスのプロセスガスとして室温(約25℃)で使用すると、Wライナ層粒径が210オングストロームに増大し、タングステンライナ層上にCVD堆積膜を含むスタックのスタック抵抗が約9.6μΩ・cmになった。
【0021】
本開示の別の態様は、表面に物理的気相堆積されたタングステンライナ層と、このタングステンライナ層のすぐ上の化学気相堆積されたタングステン膜とを備える電子デバイスに関する。いくつかの実施形態において、物理的気相堆積されたタングステンライナは、100オングストロームよりも大きい粒径を有する。いくつかの実施形態において、化学気相堆積されたタングステン膜は、250オングストロームを超える粒径を有する。1つまたは複数の実施形態において、基板表面は、トレンチ、ビア、およびピークから成る群から選択された特徴を備える。1つまたは複数の実施形態において、特徴は、65nm未満の幅を有するトレンチである。
【0022】
いくつかの実施形態において、Wライナ層は、粒径が100オングストロームよりも大きいか、150オングストロームよりも大きいか、または200オングストロームよりも大きく、タングステンライナ層およびタングステン膜を含むタングステン膜スタックは、10μΩ・cm未満のスタック抵抗を有する。いくつかの実施形態において、デバイスは、幅Wが5nm以上で65nm以下、5nm以上で55nm以下、5nm以上で45nm以下、5nm以上で35nm以下、5nm以上で32nm以下、5nm以上で25nm以下、または5nm以上で22nm以下であるトレンチを備える。いくつかの実施形態において、トレンチは、深さまたは高さHと幅Wのアスペクト比が約5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1または40:1以上である。1つまたは複数の実施形態では、アスペクト比は10:1よりも大きい。
【0023】
いくつかの実施形態において、PVD堆積ライナ層上に形成されるタングステン膜は、第1のガスから形成されたプラズマに基板を曝すことによって形成される。いくつかの実施形態において、第1のガスは、タングステン前駆体ガスを含む。いくつかの実施形態において、第1のガスは、五塩化タングステン(WCl5)または六塩化タングステン(WCl6)などの、フッ素なしのハロゲン化タングステン前駆体を含む。他の実施形態では、第1のガスは、WOCl4またはWO2Cl2などの、フッ素なしのタングステンオキシハライド前駆体を含む。他の実施形態では、第1のガスは、フッ素なしのハロゲン化物前駆体、五臭化タングステン(WBr5)または六臭化タングステン(WBr6)などの塩素なしのハロゲン化タングステン前駆体から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、第1のガスは、水素(H2)またはアンモニア(NH3)またはヒドラジン(N24)のような水素含有ガスなどの反応ガスと、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、または窒素(N2)などのキャリアガスとをタングステン前駆体ガスと共にさらに含む。いくつかの実施形態において、キャリアガスは不活性ガスである。いくつかの実施形態において、第1のガスは、タングステン前駆体ガス、反応ガス、およびキャリアガスから成るか、本質的にこれらから成る。いくつかの実施形態において、第1のガスは、塩素なし、フッ素なしのハロゲン化タングステン前駆体、水素含有ガス、および不活性ガスから成るか、本質的にこれらから成る。キャリアガスは、約10sccm~約10slmの流量で供給することができる。
【0024】
本発明の方法は、任意のデバイスノードによって利用することができるが、約25nm以下、たとえば約5nm~約25nmのデバイスノードにおいて特に有利であり得る。
【0025】
図は、説明のために単一の特徴を有する基板を示すが、当業者には、複数の特徴があり得ることが理解されよう。特徴の形状は、ピーク、トレンチおよび円筒形ビアを含むが、これらに限定されない、任意の適切な形状とすることができる。特定の実施形態では、特徴はトレンチである。他の具体的な実施形態では、特徴はビアである。この関連で使用されているように、用語の「特徴」は、任意の意図的に形成された表面不規則部を意味する。特徴の適切な例としては、上部、2つの側壁および底部を有するトレンチと、上部、および表面から上方に延びる2つの側壁を有するピークと、表面から下方に延びる側壁を有し底部が開いているビアとを含むが、これらに限定されない。特徴は、任意の適切なアスペクト比(特徴の深さまたは高さHと特徴の幅の比)を有することができる。いくつかの実施形態において、アスペクト比は、約5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1または40:1以上である。1つまたは複数の実施形態では、アスペクト比は10:1よりも大きい。
【0026】
1つまたは複数の実施形態において、少なくとも1つの特徴は、基板の上面またはタングステンライナ層の上面から底面までの深さまたは高さHに延びる。少なくとも1つの特徴は、第1の側壁および第2の側壁によって画定される幅Wを有する。タングステン膜が、少なくとも1つの特徴を充填するようにタングステン層上に堆積され、タングステン層の上面の上に延びる。タングステン膜は、金属膜の上部をタングステンライナ層の上面以下の高さに低くするように凹ませて、凹んだ金属膜を形成することができる。タングステン膜は伸ばして、少なくとも1つの特徴から延びるピラーを形成することができる。
【0027】
図1および図2を参照すると、1つまたは複数の実施形態は、半導体デバイス100を形成する方法を対象としている。基板102は、タングステン膜108で充填された特徴104を備えている。図示の特徴104は、幅Wおよび深さまたは高さHを有するトレンチの形をしている。
【0028】
1つまたは複数の実施形態において、タングステン膜108は、CVD堆積タングステン膜である。1つの実施形態では、タングステン膜は間隙充填層である。図1に示すように、1つの実施形態では、タングステン膜108は、特徴104の上部114、特徴104の側壁116および誘電体層110の上部118の上の、タングステンライナ層106に堆積される。
【0029】
1つまたは複数の実施形態において、タングステン膜108はシード間隙充填層である。1つの実施形態では、シード間隙充填層は選択的成長シード膜である。図1に示すように、1つの実施形態では、タングステン膜108は、特徴104の上部114、特徴104の側壁116および誘電体層110の上部118の上の、タングステンライナ層106に堆積される。
【0030】
図2に示すように、別の実施形態では、タングステン膜108は、特徴104の上部114、特徴104の側壁116および基板102の上面120の上の、タングステンライナ層106に堆積される。
【0031】
1つまたは複数の実施形態において、タングステン膜108はタングステン層である。1つまたは複数の実施形態において、タングステン層はタングステン間隙充填層である。
【0032】
1つまたは複数の実施形態において、誘電体層110が基板102上に形成される。誘電体層は、チタンまたはシリコンの窒化物、酸化物、または炭化物を含むが、これらに限定されない、任意の適切な誘電体材料とすることができる。誘電体層110は、基板102の上にコンフォーマルに、または非コンフォーマルに形成することができる。
【0033】
1つの実施形態において、誘電体層110は、5未満のk値を有する誘電体材料を含む。1つの実施形態において、誘電体層110は、2未満のk値を有する誘電体材料を含む。少なくともいくつかの実施形態において、誘電体層110は、酸化物、炭素ドープ酸化物、多孔質二酸化ケイ素、カーバイド、オキシカーバイド、窒化物、オキシナイトライド、オキシカーボナイトライド、ポリマー、リン酸シリケートガラス、フルオロシリケート(SiOF)ガラス、有機ケイ素ガラス(SiOCH)、またはこれらの任意の組合せを含む。少なくともいくつかの実施形態において、誘電体層110は、ポリイミド、エポキシ、ベンゾシクロブテン(BCB)などの感光性材料、およびWPRシリーズ材料、またはスピンオンガラスを含むことができる。
【0034】
1つの実施形態において、誘電体層110の厚さは、おおよそ約10ナノメートル(nm)~約2マイクロメートル(μm)の範囲にある。一実施形態において、誘電体層110は、化学気相堆積プロセス(「CVD」)、物理的気相堆積プロセス(「PVD」)、分子線エピタキシ(「MBE」)、有機金属化学気相堆積プロセス(「MOCVD」)、原子層堆積(「ALD」)、スピンオン、またはマイクロ電子デバイス製造の当業者に知られている他の絶縁堆積技法などの堆積技法のうちの1つを用いるが、これらに限定されないで堆積される。
【0035】
1つの実施形態において、タングステンライナ層106は、誘電体層110上に堆積される。1つの実施形態において、タングステンライナ層106は導電性ライナである。いくつかの実施形態において、タングステンライナ層106は、PVDプロセスによって形成される。
【0036】
一実施形態において、タングステンライナ層106は、約5Å~約35Åの厚さに堆積される。一実施形態において、タングステンライナ層106は、約10Å~約30Åの範囲の厚さに堆積される。
【0037】
本明細書では本開示を特定の実施形態に関して説明したが、これらの実施形態は、本開示の原理および適用例を例示するものにすぎないことを理解されたい。当業者には、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な修正および変形を本開示の方法および装置に加えることが可能であることが明らかであろう。すなわち、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にある修正形態および変形形態を含むものである。
図1
図2
図3