IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特許7559314印刷ジョブのための動的スキャン品質制御管理
<>
  • 特許-印刷ジョブのための動的スキャン品質制御管理 図1
  • 特許-印刷ジョブのための動的スキャン品質制御管理 図2
  • 特許-印刷ジョブのための動的スキャン品質制御管理 図3
  • 特許-印刷ジョブのための動的スキャン品質制御管理 図4
  • 特許-印刷ジョブのための動的スキャン品質制御管理 図5
  • 特許-印刷ジョブのための動的スキャン品質制御管理 図6
  • 特許-印刷ジョブのための動的スキャン品質制御管理 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】印刷ジョブのための動的スキャン品質制御管理
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240925BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240925BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J21/00 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022025160
(22)【出願日】2022-02-21
(65)【公開番号】P2022128595
(43)【公開日】2022-09-02
【審査請求日】2022-02-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】17/183087
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】スコット アール ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド ゴドフロア
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】門 良成
【審判官】嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0102270(US,A1)
【文献】特開2007-43489(JP,A)
【文献】特開2014-202923(JP,A)
【文献】特開2019-142187(JP,A)
【文献】特開2007-54970(JP,A)
【文献】特開2007-7961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01- 2/215
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷検査デバイスを含むシステムであって、
前記印刷検査デバイスは、
プリンタによってマーキングされる印刷媒体の幅に沿った領域がフラグ付けされているか否かを示すデータを記憶するメモリと、
前記プリンタが印刷するときに画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像に基づいて、前記印刷媒体の前記幅に沿った前記領域内の印刷ヘッド状態を決定し、各印刷ヘッド状態を対応する領域に関連付け、フラグ付けされていない各領域内の印刷ヘッド状態の通知を有するレポートを生成し、フラグ付けされている領域内の印刷ヘッド状態の通知を抑制するように構成されたコントローラと
を含み、
前記印刷ヘッド状態は、印刷ヘッドが前記印刷媒体上にインクを射出する能力に関する、システム。
【請求項2】
前記画像キャプチャデバイスは、前記プリンタが印刷するときにリアルタイムで画像を繰り返しキャプチャするように構成され、
前記コントローラは、前記プリンタが印刷するときにリアルタイムでレポートを生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
フラグ付けされていない各領域及びフラグ付けされている各領域は、複数の色平面のそれぞれについて決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
ラグ付けされた領域において、前記コントローラは、前記決定された印刷ヘッド状態を問わず、前記プリンタに印刷を停止させないという制御を行う、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、テストパターンの画像上の二次元領域として各領域を示すように構成されたユーザインタフェースを生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
印刷ヘッド状態は、前記コントローラによって、前記プリンタの印刷ヘッドにおける少なくとも10個のノズルの幅を有する位置に関連付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記印刷ヘッド状態のそれぞれは、当該印刷ヘッド状態の位置の領域へのマッピングに基づいて、領域に関連付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記印刷媒体をマーキングするように構成された前記プリンタを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
プリンタによってマーキングされる印刷媒体の幅に沿った領域がフラグ付けされているか否かを示すデータを記憶するステップと、
前記プリンタが印刷するときに画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像に基づいて、前記印刷媒体の前記幅に沿った前記領域内の印刷ヘッド状態を決定するステップと、
各印刷ヘッド状態を対応する領域に関連付けるステップと、
フラグ付けされていない各領域内の印刷ヘッド状態の通知を有するレポートを生成し、フラグ付けされている領域内の印刷ヘッド状態の通知を抑制するステップと
を含み、
前記印刷ヘッド状態は、印刷ヘッドが前記印刷媒体上にインクを射出する能力に関する、方法。
【請求項10】
前記プリンタが印刷するときにリアルタイムで前記印刷媒体の画像を繰り返しキャプチャするステップを更に含み、
前記レポートの生成は、前記プリンタが印刷するときにリアルタイムで実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
フラグ付けされていない各領域及びフラグ付けされている各領域は、複数の色平面のそれぞれについて決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ラグ付けされた領域において、前決定された印刷ヘッド状態を問わず、前記プリンタに印刷を停止させないという制御を行うステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
テストパターンの画像上の二次元領域として各領域を示すように構成されたユーザインタフェースを生成するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
印刷ヘッド状態を、前記プリンタの印刷ヘッドにおける少なくとも10個のノズルの幅を有する位置に関連付けるステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記プリンタを介して前記印刷媒体にマーキングするステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
プロセッサによって実行されると、方法を実行するように動作可能なプログラム命令を具現する非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体であって、
前記方法は、
プリンタによってマーキングされる印刷媒体の幅に沿った領域がフラグ付けされているか否かを示すデータを記憶するステップと、
前記プリンタが印刷するときに画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像に基づいて、前記印刷媒体の前記幅に沿った前記領域内の印刷ヘッド状態を決定するステップと、
各印刷ヘッド状態を対応する領域に関連付けるステップと、
フラグ付けされていない各領域内の印刷ヘッド状態の通知を有するレポートを生成し、フラグ付けされている領域内の印刷ヘッド状態の通知を抑制するステップと
を含み、
前記印刷ヘッド状態は、印刷ヘッドが前記印刷媒体上にインクを射出する能力に関する、媒体。
【請求項17】
前記方法は、
前記プリンタが印刷するときにリアルタイムで前記印刷媒体の画像を繰り返しキャプチャするステップを更に含み、
前記レポートの生成は、前記プリンタが印刷するときにリアルタイムで実行される、請求項16に記載の媒体。
【請求項18】
フラグ付けされていない各領域及びフラグ付けされている各領域は、複数の色平面のそれぞれについて決定される、請求項16に記載の媒体。
【請求項19】
前記方法は、
ラグ付けされた領域において、前決定された印刷ヘッド状態を問わず、前記プリンタに印刷を停止させないという制御を行うステップを更に含む、請求項16に記載の媒体。
【請求項20】
前記印刷ヘッド状態のそれぞれは、当該印刷ヘッド状態の位置の領域へのマッピングに基づいて、領域に関連付けられる、請求項16に記載の媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、印刷の分野に関し、特に印刷出力の分析に関する。
【背景技術】
【0002】
相当な印刷需要を有する事業体は、典型的にはプロダクションプリンタを使用する。プロダクションプリンタは、大型ロールに蓄積された印刷媒体のウェブ上に印刷する連続式プリンタのような、ボリューム印刷に使用される高速プリンタである。プロダクションプリンタは、典型的には、プリンタの全体的な動作を管理するローカル印刷コントローラと、1つ以上のマーキングエンジン(場合によっては「イメージングエンジン」又は「印刷エンジン」と呼ばれる)とを含む。マーキングエンジンは、1つ以上の印刷ヘッドの配列を含む。
【0003】
印刷ジョブを受信すると、印刷コントローラは、(例えば、ジョブの各ページを表すビットマップを作成するために)ジョブの論理ページをラスタライズし、マーキングエンジンは、ラスタライズされた論理ページに基づいてウェブをマーキングするように個々の印刷ヘッドを動作させる。したがって、プリンタは、印刷ジョブのデジタル情報に基づいて物理ページをマーキングする。
【0004】
印刷ジョブが所望の品質レベルで印刷されていることを確保するために、印刷ジョブの出力がスキャンされることは珍しいことではない。しかし、数千ページを含む印刷ジョブについては、技術者がこれらのページのスキャンを手動で検査することは実現可能ではない。さらに、スキャナは、それ自体のメンテナンス及び保守を必要とすることがある。
【0005】
したがって、印刷所(print shop)を運営する人は、印刷ジョブを検査することが効率的かつ正確な方式で達成されることを可能にする強化されたシステム及び方法を探し続けている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載の実施形態は、マーキングされた印刷媒体上のテストパターンの特定の部分に沿ったエラー状態についての検査及び/又は報告を差し控えることを動的に選択する。これは、エラーによって引き起こされる印刷品質の低下が再印刷を必要とするほど重大でない場合に、印刷所のオペレータが入力する印刷ジョブを印刷し続けることを可能にする。例えば、このプロセスは、印刷所のオペレータが希望する場合に、印刷ヘッドのジェットアウト(jetout)状態が選択的に無視されることを可能にし、これは、ジェットアウトが印刷ジョブによって使用されない位置(例えば、印刷媒体の境界又は余白の近く)にある場合に印刷が続行することを可能にするという利点を提供する。
【0007】
一実施形態は、印刷検査デバイスを含むシステムである。印刷検査デバイスは、プリンタによってマーキングされる印刷媒体の幅に沿った領域がバイパス可能としてフラグ付けされているか否かを示すデータを記憶するメモリと、印刷媒体の幅に沿った印刷ヘッド状態を決定し、各印刷ヘッド状態を対応する領域に関連付け、フラグ付けされていない各領域内の印刷ヘッド状態の通知を有するレポートを生成し、フラグ付けされている領域内の印刷ヘッド状態の通知を抑制するように構成されたコントローラとを含む。
【0008】
更なる実施形態は方法である。当該方法は、プリンタによってマーキングされる印刷媒体の幅に沿った領域がバイパス可能としてフラグ付けされているか否かを示すデータを記憶するステップと、印刷媒体の幅に沿った印刷ヘッド状態を決定するステップと、各印刷ヘッド状態を対応する領域に関連付けるステップと、フラグ付けされていない各領域内の印刷ヘッド状態の通知を有するレポートを生成し、フラグ付けされている領域内の印刷ヘッド状態の通知を抑制するステップとを含む。
【0009】
更に他の実施形態は、プロセッサによって実行されると、方法を実行するように動作可能なプログラム命令を具現する非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体である。当該方法は、プリンタによってマーキングされる印刷媒体の幅に沿った領域がバイパス可能としてフラグ付けされているか否かを示すデータを記憶するステップと、印刷媒体の幅に沿った印刷ヘッド状態を決定するステップと、各印刷ヘッド状態を対応する領域に関連付けるステップと、フラグ付けされていない各領域内の印刷ヘッド状態の通知を有するレポートを生成し、フラグ付けされている領域内の印刷ヘッド状態の通知を抑制するステップとを含む。
【0010】
他の例示的な実施形態(例えば、上記の実施形態に関連する方法及びコンピュータ読み取り可能媒体)は、以下に記載され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
ここで、本発明のいくつかの実施形態について、単なる例として添付の図面を参照して説明する。全ての図面において、同じ参照符号は同じ要素又は同じ種類の要素を表す。
図1】例示的な実施形態における印刷検査システムのブロック図である。
図2】例示的な実施形態において印刷ヘッド状態の検出及び/又は報告を動的に抑制するように印刷検査システムを動作させるための方法を示すフローチャートである。
図3】例示的な実施形態における印刷所のブロック図である。
図4】例示的な実施形態においてテストパターンを印刷媒体のウェブに適用するマーキングエンジンを示す。
図5】例示的な実施形態において印刷媒体のウェブを撮像するスキャナによって取得されたテストパターンの画像を示す。
図6】例示的な実施形態において印刷ヘッド状態を検査するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI, Graphical User Interface)を示す。
図7】例示的な実施形態において所望の機能を実行するためのプログラム命令を具現するコンピュータ読み取り可能媒体を実行するように動作可能な処理システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面及び以下の説明は、本発明の具体的で例示的な実施形態を示す。したがって、当業者は、本明細書に明示的に記載又は図示されていないが、本発明の原理を具体化し且つ本発明の範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが認識される。さらに、本明細書に記載のいずれかの例は、本発明の原理の理解を助けることを意図するものであり、このように具体的に記載された例及び状態に限定されるものではないと解釈されるべきである。結果として、本発明は、以下に記載の具体的な実施形態又は例に限定されず、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。
【0013】
図1は、例示的な実施形態における印刷検査システム100のブロック図である。印刷検査システム100は、印刷ジョブにおける印刷データに従ってマーキングされた印刷媒体の画像を分析するように動作可能ないずれかのシステム、デバイス又はコンポーネントを含む。この実施形態では、印刷検査システム100は、プリンタ110によってマーキングされた印刷媒体の画像を生成するように画像キャプチャデバイス132を動作させ、印刷媒体の画像に基づいて印刷ヘッド状態を検出するコントローラ134を動作させ、GUIを介した検査のためにユーザに対して印刷ヘッド状態の通知を提示するディスプレイ136を動作させる印刷検査デバイス130を含む。印刷検査デバイス130に組み込まれるように示されているが、画像キャプチャデバイス132、コントローラ134及びディスプレイ136は、別個の接続されたデバイスとして実装されてもよい。したがって、様々な実施形態において、コントローラ134の部分は別々に実装され(例えば、画像キャプチャデバイス132に含まれているいくつかの部分及び他のコンポーネントは、別々の物理的に別個のコンポーネント又はデバイスとして実装されてもよい)、通信可能に接続されてもよい。
【0014】
この実施形態では、印刷検査デバイス130は、印刷媒体のウェブの画像の幅方向領域の分析に基づいて決定された印刷媒体のウェブの特定の幅方向領域に沿った印刷ヘッド状態の分析及び/又は報告を選択的にバイパスするように強化されている。各領域は、印刷ヘッドの少なくとも一部によって占有される印刷媒体の幅方向部分に対応する。したがって、領域は、それ自体がプリンタのマーキングエンジンの幅の一部に対応するテストパターンの特定の幅方向部分に対応する。テストパターンは、印刷ヘッド(又はそのノズル)における状態の分析を容易にするために、印刷前、印刷中又は印刷後に印刷媒体に適用されるマークを含み、したがって、印刷ジョブの一部として含まれてもよい。印刷ヘッド状態のこの選択的な領域に基づく分析及び/又は報告は、エラー(例えば、ジェットアウト)が印刷ジョブに関連しない領域(例えば、ページの余白)で検出された場合に印刷を続行させることを可能にする。この技術はまた、処理負荷を低減し、リアルタイムでの印刷ヘッド状態の検出及び報告を容易にする。本明細書で使用されるとき、印刷ヘッド状態は、印刷ヘッド又はその一部に関するいずれかの物理的な、電気的な又はファームウェアの状態を含み、これは、提供された命令に従って印刷ヘッドが印刷媒体上にインクを射出する能力に影響を有する。印刷ヘッド状態の例は、「ジェットアウト」、「完全稼働可能」、「低インク」等を含む。印刷ヘッド状態データは、位置情報及び印刷ヘッド状態の記述情報を含んでもよい。印刷ヘッド状態は、印刷ヘッド状態データにおいて示される位置(例えば、ウェブに沿った位置、又はウェブの画像内の画素位置)を領域にマッピングすることによって、領域に関連付けられてもよい(また、その逆が行われてもよい)。印刷ヘッド状態データはまた、マッピングによって、印刷ヘッド又はノズルに関連付けられてもよい(或いは、その逆が行われてもよい)。マッピングは、対応する印刷ヘッド位置情報、印刷テストパターンの画像、テストパターン印刷命令、及びプリンタ110の構成情報(例えば、印刷ヘッド、ノズル、印刷コントローラ、色平面等のようなプリンタ110内のデバイスの物理的/電気的配置及び相互接続)に基づいてもよい。
【0015】
プリンタ110は、印刷ジョブのための印刷データにおける受信命令に従って、印刷媒体(例えば、紙、カードストック、板紙、段ボール紙、フィルム、プラスチック、合成物質、布、ガラス、複合材料又は印刷に適したいずれかの他の有形媒体)にマーキングするように動作可能ないずれかのシステム、デバイス又はコンポーネントを含む。この実施形態では、プリンタ110は、プリンタ110をウェブ方向(「プロセス方向」とも呼ばれる)に進む印刷媒体のウェブをマーキングする連続式プリンタを含む。具体的には、プリンタ110は、印刷ヘッド114の1つ以上の配列をそれぞれ含む1つ以上のマーキングエンジン112の動作を指示する印刷コントローラ116を含む。印刷ヘッド114は、印刷媒体が進むにつれて、印刷コントローラ116からの命令に従って、インク又は他のマーキング材料を印刷媒体に射出するようにノズルを動作させる。更なる実施形態では、プリンタ110は、印刷媒体のシート又はストリップにマーキングするカットシートプリンタを含む。
【0016】
印刷検査デバイス130は、プリンタ110の印刷出力を画像化及び/又は検査することができるいずれかのデバイスを含む。この実施形態では、印刷検査デバイス130は、プリンタ110に統合される。更なる実施形態では、印刷検査デバイス130は、ウェブが進行するウェブ方向に関してプリンタ110の下流の位置において、印刷媒体のウェブに統合される、又はつながる。画像キャプチャデバイス132は、いずれかの適切な画像キャプチャデバイス(例えば、光学スキャナ、カメラ、濃度計等)を含み、印刷後の印刷媒体の画像をキャプチャする(例えば、取得する)。画像キャプチャデバイス132は、単一のカメラ又はカメラの配列を介して、印刷媒体の画像を周期的に取得してもよい。カメラの配列が使用される実施形態では、画像キャプチャデバイス132は、印刷媒体の幅(すなわち、印刷媒体のウェブのプロセス方向に垂直な方向)に延在する合成画像を生成するために、配列内のカメラからの画像を一緒に繋ぎ合わせてもよい。
【0017】
一実施形態では、画像キャプチャデバイス132は、プリンタ110が印刷媒体にマーキングし続けて印刷媒体が進むにつれて、周期的に及び/又はリアルタイムで印刷媒体をスキャンする/画像を取得する。例えば、画像キャプチャデバイス132は、画像が、プリンタ110によって印刷媒体上に周期的に(例えば、1ページ毎、10ページ毎、100ページ毎等)印刷されるテストパターンの各インスタンスを描画するように、画像の取得を時間調整してもよい。一実施形態では、プリンタは、スキャナよりも大きい数のDPI(Dots Per Inch)で印刷することができる(例えば、スキャンされるときの600DPIと比較して、印刷されるときの1200DPI)。このような実施形態では、テストパターンを物理的に異なるセクションに分割して印刷してもよく、各セクションは、スキャナによってサポートされるDPIレートで印刷するために、ノズルの異なる組み合わせを利用し、正確な検査及び分析を可能にする。更なる実施形態では、画像キャプチャデバイス132によって取得される画像の解像度は、画像内の各画素が、印刷ヘッドにおいてノズルによって適用されるインクの液滴のサイズ以下のサイズに対応するように選択される。
【0018】
画像キャプチャデバイス132によって取得された画像は、メモリ133に記憶され、コントローラ134によって分析されてもよい。コントローラ134は、プリンタ110によってマーキングされた印刷媒体のウェブの画像を特徴付けるいずれかのシステム、コンポーネント又はデバイスを含む。この動作を実行するために、コントローラ134は、画像を、印刷ジョブについての命令に従って正確にマーキングされた印刷媒体の理想的な画像を表す対応するターゲットデータ(例えば、メモリ133に記憶されたもの)と比較してもよい。他の実施形態では、コントローラ134は、命令又は設定を画像キャプチャデバイス132に通信することによって、画像キャプチャデバイス132を動作させる。コントローラ134は、カスタム回路、プログラム命令等を実行するハードウェアプロセッサ等として実装されてもよい。
【0019】
印刷媒体の画像のターゲットデータとの比較に基づいて、コントローラ134は、印刷ヘッド状態を検出及び/又は報告することができる。例えば、コントローラ134は、2019年12月12日に出願された「ENHANCED PRINT DEFECT DETECTION」という名称の米国特許出願第16/712,985号に記載の技術に従って、ジェットアウト(すなわち、インクを印刷媒体に適用することができない状態)のようなプリンタ110の印刷ヘッドにおける欠陥又は他の状態の存在を検出してもよい。当該米国特許出願を参照することにより援用する。一実施形態では、コントローラ134は、プリンタ110のコントローラから、ファームウェア更新が利用可能であるという通知のような通知を更に受信する。一実施形態では、コントローラ134は、検出された印刷ヘッド状態を更に分類する。例えば、コントローラ134は、情報通知、警告通知及びエラー通知を含むタイプ/カテゴリに通知を割り当ててもよい。
【0020】
コントローラ134は、印刷ヘッド状態を印刷所のオペレータに通知するGUIを生成し、GUIをユーザに提示するようにディスプレイ136に指示する。ディスプレイ136は、デジタル情報を視覚的に表示するためのいずれかの適切なデバイスを含み、モニタ、プロジェクタ、タッチスクリーン等を含んでもよい。この実施形態では、有利なことに、コントローラ134は、領域毎に、印刷ヘッド状態の検出及び/又は報告を選択的にバイパスするように強化されている。
【0021】
本明細書に記載のコンポーネントの特定の配置、数及び構成は、例示的であり、非限定的である。印刷検査システム100の動作の例示的な詳細は、図2に関して議論される。この実施形態では、プリンタ110が印刷ジョブの印刷データ(例えば、ジョブ定義フォーマット(JDF, Job Definition Format)ジョブチケットを伴うポータブルドキュメントフォーマット(PDF, Portable Document Format)データ)を受信し、印刷媒体のウェブ上への印刷ジョブの印刷を開始したと仮定する。これは、プリンタ110がテストパターン(例えば、印刷ヘッド114からのインクでマーキングされた一連のストライプ又は他のパターン)を印刷媒体上に印刷することを含む。印刷媒体がプリンタ110から進むにつれて、画像キャプチャデバイス132の視野に向けて下流に進む。
【0022】
図2は、例示的な実施形態において、印刷媒体の特定の領域における印刷ヘッド状態の検出及び/又は報告を動的に抑制するための方法200を示すフローチャートである。方法200のステップについて、図1の印刷検査システム100を参照して説明するが、当業者は、方法200が他のシステムで実行されてもよいことを認識する。本明細書に記載のフローチャートのステップは、必ずしも包含的ではなく、図示しない他のステップを含んでもよい。本明細書に記載のステップはまた、別の順序で実行されてもよい。
【0023】
この実施形態では、当該方法は、初期設定段階及び動作段階に細分化される。ステップ202~210は、初期設定段階の例示的なステップを記載する。しかし、必要に応じて、他の初期設定技術が利用されてもよい。初期設定段階の終了時に、メモリ133は、印刷ヘッド状態を決定又は報告する目的で、印刷媒体のどの領域がバイパス可能であるかを示すデータを含む。したがって、動作段階が開始すると、印刷検査デバイス130は、バイパス可能領域において、印刷ヘッド状態の検出及び/又は報告の抑制を動的に実行することができる。
【0024】
この実施形態では、初期設定段階はステップ202を含み、ステップ202において、画像キャプチャデバイス132は、プリンタ110によってマーキングされた印刷媒体の初期設定スキャンを実行する。初期設定スキャンは、プリンタ110が電源オンにされた後、プリンタ110が新たな構成で設定された後、新たな印刷ジョブの開始時、手動コマンドに応答して、或いは他の基準に基づいて実行されてもよい。初期設定スキャンの間に、画像キャプチャデバイス132は、印刷媒体におけるテストパターンの画像のような、印刷媒体の画像を生成するように進む。画像は静止画(例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、GIF(Graphics Interchange Format)、PNG(Portable Network Graphics)等のようなフォーマットのデジタル画像)、ビデオ映像のフレーム又は他のコンテンツを含んでもよい。画像は、マーキングされた印刷メディアの品質が正確に分析されることを可能にする解像度で取得される。例えば、画像は、現在のジョブの印刷品質に等しい解像度(例えば、600DPI(Dots Per Inch)、1200DPI等)で取得されてもよく、或いは、プリンタ110の印刷ヘッドの各ノズルからの出力を表す少なくとも1つの画素が存在するような解像度で取得されてもよい。
【0025】
印刷検査デバイス130のメモリ133は、印刷媒体の画像を記憶し、これらの画像はコントローラ134によって検査される。一実施形態では、コントローラ134は、印刷検査デバイス130に統合され、画像キャプチャデバイス132から画像を直接受信し、一方で、更なる実施形態では、コントローラ134は遠隔で(例えば、印刷所を管理する印刷サーバにおいて)実装され、ネットワーク又はファイルシステムを介して画像を受信する。
【0026】
ステップ204において、コントローラ134(又は他のコンポーネント)は、初期設定スキャンをメモリ133に記憶されたターゲットデータと比較することによって、プリンタ110における印刷ヘッド状態を検出する。一実施形態において、この動作は、画像に描画されたテストパターンを検査し、テストパターンをターゲットデータと比較することを含む。印刷媒体の幅に沿った特定の位置においてテストパターンがターゲットデータと一致しない場合、これは、印刷ヘッド又はノズルにおける欠陥の形式の印刷ヘッド状態を示してもよい。更なる分析は、印刷に関連する欠陥を識別するために、米国特許出願第16/712,985号に記載の技術に従って実行されてもよい。それぞれの欠陥は、特定の印刷ヘッド状態を示してもよい。他の実施形態では、ステップ204は、代わりに、他のデバイス又はコンポーネントによって検出された印刷ヘッド状態を示すメモリ133に記憶されたデータを読み取ることによって実行されてもよい。
【0027】
ステップ206において、コントローラ134は、対応する印刷ヘッドによって占有される印刷媒体の幅に沿った領域に各印刷ヘッド状態を関連付ける。したがって、第1の印刷ヘッドによって占有された領域内で検出された印刷ヘッド状態は、第1の印刷ヘッドの領域に関連付けられる。更なる実施形態では、コントローラ134は、特定のノズルに関する印刷ヘッド状態が、対応する印刷ヘッド114の領域に関連付けられることに加えて、領域内の特定の幅方向位置にも関連付けられるような粒度で動作する。
【0028】
ステップ208において、コントローラ134は、領域における印刷ヘッド状態に基づいて、領域のうち1つ以上をバイパス可能として選択的にフラグ付けする。一実施形態では、これは、各領域内の印刷ヘッド状態のタイプを示すレポートを自動的に生成し、その領域がバイパス可能であることを示す手動入力を待機することを含む。これは、印刷ジョブが望ましくない印刷ヘッド状態を有する領域内で印刷可能なコンテンツを含まないときに有益になり得る。また、望ましくない印刷ヘッド状態が顧客への配達の前に印刷ジョブから切り取られる領域内に見つかった場合にも有益である。更なる実施形態では、コントローラ134は、検出された印刷ヘッド状態に基づいて領域をバイパス可能として自動的にフラグ付けする。更なる実施形態では、各ノズルを独立して評価し、いずれかのノズルが回復不能になっているか否かを決定するために、初期設定検査パターンと呼ばれるテストパターンが利用される。次いで、この情報は、どの領域をバイパスするかを動的に決定するために、印刷中のテストパターンに関連付けられる。
【0029】
一実施形態では、領域をバイパス可能としてフラグ付けしたデータは、プリンタ110の印刷コントローラに提供される。このような実施形態では、プリンタ110は、バイパス可能としてフラグ付けされた領域において、グローバルなエラー処理設定(例えば、プリンタの停止、警告メッセージの送信、及び/又は回復アクションの開始等)を差し控える。したがって、印刷ヘッド状態がバイパス可能としてフラグ付けされた領域にある場合、通常では印刷を停止させる印刷ヘッド状態の検出は、印刷を停止させない。
【0030】
領域をバイパス可能としてフラグ付けすることは、印刷ヘッド状態が選択的に無視されることを可能にするので、顕著な技術的利点をもたらす。これは、ジェットアウトが検出される毎に、印刷所のオペレータが、印刷ジョブへの影響が低いかあるは全くないジョブの印刷を手動で再開する必要性を除去する。また、別法では印刷ヘッド状態が印刷を停止させ、印刷ジョブの再印刷を必要とする場合であっても、これは、印刷を続行させることを可能にすることによって、紙の無駄を低減する。
【0031】
ステップ210において、印刷媒体の幅に沿った領域がバイパス可能であるか否かを示すデータは、コントローラ134によってメモリ133に記憶される。一実施形態では、これは、各領域についてのデータを有するテーブルを形成し、バイパス可能な各領域にテーブル内のフラグを適用することを含む。更なる実施形態では、フラグ付けは、或る粒度で実行される。すなわち、印刷ヘッド114内の特定の位置における印刷ヘッド状態(例えば、印刷ヘッドにおける10~15個のノズルの幅又はそれ以上に対応する位置に沿った状態)は、全体の領域の代わりに、その特定の位置にフラグが割り当てられることを生じてもよい。更なる実施形態では、バイパスフラグは、全体の色平面/チャネル(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及びキーブラック)に割り当てられてもよく、及び/又はバイパスフラグは、領域内の特定の色平面に割り当てられてもよい。例えば、バイパスフラグは、C、M、Y及びKの印刷ヘッドからのマークを受け取る幅方向領域に割り当てられてもよく、印刷ヘッドの全て、印刷ヘッドによって設定された色のいずれかの組み合わせ等について印刷ヘッド状態をバイパスする(例えば、CはバイパスするがKはしない)ように設定されてもよい。
【0032】
初期設定段階が完了すると、印刷検査システム100は、(特定の印刷ヘッドに対応する)印刷媒体のどの領域がバイパス可能としてフラグ付けされているかを示すデータを含む。したがって、処理は動作段階に進み、そこで、印刷が続行する、及び/又は更なるテストパターンが生成される。動作段階の間に、初期設定段階で作成されたデータは、印刷ヘッド状態の決定及び/又は報告を選択的にバイパスするために利用されてもよい。
【0033】
ステップ212において、画像キャプチャデバイス132は、マーキングされた印刷媒体の1つ以上の画像をキャプチャする(例えば、スキャンする)。一実施形態では、画像キャプチャデバイス132は、プリンタ110で印刷が行われるときに、マーキングされた印刷媒体でテストパターンをスキャンし、リアルタイムで画像を生成する。更なる実施形態では、画像キャプチャデバイス132は、印刷ジョブの開始の検出、特定数のページのコンテンツ又は新たなテストパターンの通過に応答して動的に、或いは、プリンタ110の印刷コントローラからのトリガ命令に応答して、印刷ジョブの開始時にスキャンを実行する。画像キャプチャデバイス132によって生成された画像は、コントローラ134又は他のコンポーネントによる分析のためにメモリに記憶される。実行されるスキャンの品質及びタイプは、ステップ202と同様の方式で実装されてもよい。
【0034】
ステップ214において、コントローラ134は、マーキングされた印刷媒体の幅に沿った印刷ヘッド状態を決定する。これは、ステップ204と同様の方式で実行されてもよく、或いは、他のデバイス又はコンポーネントによって検出された印刷ヘッド状態を示すメモリ133に記憶されたデータを読み取ることによって実行されてもよい。バイパス可能な領域を記述するデータは、印刷媒体の幅に沿った特定の領域の分析を抑制するために利用できる。これは、印刷が続行するときに、画像キャプチャデバイス132及び/又はコントローラ134への負荷を低減することにより、技術的利点を提供する。
【0035】
ステップ216において分析の抑制が起動された場合、印刷検査デバイス130は、ステップ218において、フラグ付けされた領域における印刷ヘッド状態の決定を差し控える。したがって、コントローラ134(又は画像分析を実行するいずれかの他のコンポーネント)は、フラグ付けされた領域内の分析探索法をバイパスしてもよく、これは、コントローラ134における処理能力を節約する。更なる実施形態では、画像キャプチャデバイス132は、フラグ付けされた領域内の画像の取得を選択的に防止するか、或いはフラグ付けされた領域の画像データを省略する。
【0036】
ステップ220において、それぞれの決定された印刷ヘッド状態は、対応する領域に関連付けられる。ステップ220は、ステップ214~218と統合されるように実行されてもよい。すなわち、多くの実施形態では、印刷ヘッド状態を特定の領域に関連付ける動作は、印刷ヘッド状態が検出された時点で実行されてもよい。ステップ220は、上記のステップ206と同様の方式で実行されてもよい。
【0037】
ステップ222において、コントローラ134は、決定された印刷ヘッド状態の通知を有するレポートを生成する。検出された印刷ヘッド状態の位置及びタイプに基づいて、米国特許出願第16/712,985号に記載の技術で発見された異なる印刷ヘッド状態(例えば、欠陥)に対して、異なる通知が準備されてもよい。レポートはまた、印刷ヘッド状態タイプ、印刷ヘッド状態位置、印刷ヘッド状態に関連する印刷ヘッド、印刷ヘッド状態に関連するノズル、印刷ヘッド状態に関連する領域、関連する色平面、プリンタ状態、システム設定、通知及び/又は現在フラグ付けされた領域のうちいずれかの組み合わせを含んでもよい。レポートは、信号、テキストデータ及び/又はグラフィックデータの形式でもよい。レポートは、メモリ134に記憶されてもよく或いは送信されてもよい。
【0038】
ステップ224において、コントローラ134は、報告の抑制が活性化されているか否かを決定する。報告の抑制は、ステップ216における分析の抑制の代替である。報告の抑制は、既に検出された印刷ヘッド状態が、生成されるレポートから省略されることを可能にする。報告の抑制が活性化されている場合、ステップ226において、コントローラ134は、レポートからの通知を抑制する。具体的には、コントローラ134は、フラグ付けされた領域内の印刷ヘッド状態の通知を抑制する。これは、印刷所のオペレータがレポートを読み取る際の視覚的な混乱を低減する。
【0039】
一実施形態では、コントローラ134は、ディスプレイ136を介してレポートを提示するGUIを生成する。更なる実施形態では、コントローラ134は、プリンタ110が印刷媒体をマーキングするときに、GUI 140においてリアルタイムで複数のレポートを生成するように構成される。レポートは、画像キャプチャデバイス132が印刷中に印刷媒体をリアルタイムでスキャンするときに、画像キャプチャデバイス132からの入力に基づいて生成される。これらの動作をリアルタイムで実行することは、印刷所のオペレータが印刷ジョブの印刷品質に影響を与える可能性のある問題を迅速に特定して修正することを可能にすることによって、技術的利点を提供する。
【0040】
図3は、例示的な実施形態における印刷所300のブロック図である。具体的には、図3は、印刷媒体が検査され得る印刷所環境を示す。図3によれば、印刷所300における印刷サーバ304は、1つ以上のクライアントデバイス302から(例えば、インターネットのようなネットワーク303を介して)印刷ジョブを受信する。印刷ジョブは、ジョブチケットを伴う印刷データを含んでもよい。印刷サーバ304は、1つ以上のプリンタ310で印刷するために印刷ジョブをスケジューリングする。個々の印刷ジョブの印刷を開始するために、印刷サーバ304は印刷ジョブをプリンタ310に送信する。プリンタ310における印刷コントローラ312は、印刷ジョブのジョブチケットに従ってジョブの印刷データを処理し(例えば、ラスタライズし)、プリンタ310におけるマーキングエンジン314のための命令を生成する。マーキングエンジン314は、巻出機306から印刷媒体308のウェブ316を受け取り、ウェブ316にインク又は他のマーキング材料(例えば、印刷に適した流体、液体、粉末等)を適用する印刷ヘッド315を使用してウェブ316にマーキングする。マーキングされたウェブ316の部分は、印刷検査デバイス330までウェブ方向の下流に進む。ウェブ316のこれらの部分がスキャナ332を通過すると、スキャナ332はウェブ316の画像を取得する。これらの画像は、テストパターンが認識される毎に、新たなテストパターンがスキャナ332を通過するときに周期的に、或いは、リアルタイムで連続的に取得されてもよい。ウェブ316のこれらの部分は、ローラ318を介してカッター340に進む。カッター340は、トレイ350に積み重ねるために、これらの部分をページ319に切断する。他の実施形態では、ウェブ316のこれらの部分は、スキャナ332から出て、カッター340を置き換える巻取デバイスに向かって進む(例えば、ロール・ツー・ロール構成)。
【0041】
スキャナ332を介して取得された画像は、コントローラ334によってアクセスされ、コントローラ334は、印刷プロセスに関する通知を検出するために画像を検査する。この実施形態では、コントローラ334は、プリンタ310の印刷コントローラ312、ネットワーク303及び/又は印刷サーバ304と通信するために接続される。このような実施形態では、コントローラ334は、プリンタの印刷コントローラ312との通信に基づいて更なる通知を検出し、更なる通知をGUIに含めるように構成される。このような通知の例は、プリンタ310自体の状態(例えば、必要なファームウェア更新の存在、紙詰まりの問題等に関するもの)を含む。この実施形態では、スキャナ332はまた、印刷ジョブに直接関連しない通知を提供する。例えば、スキャナ332は、スキャナ332のカメラが機能停止したこと、スキャナ332がウェブ316上のテストパターンを見つけることができなかったこと等を報告してもよい。
【0042】
一実施形態では、コントローラ334は、ディスプレイ336を介してGUIに提示するために、様々な受信通知を一緒に組み合わせる。コントローラ334はまた、内部ロジックに基づいて、印刷ヘッド状態の検出及び/又は報告を動的に抑制及び/又はバイパスする。次いで、印刷ヘッド状態の通知は、入力デバイス338(例えば、キーボード及びマウス、入力ボタンのカスタムセット、タッチスクリーン等)を介して検査されてもよい。
【0043】
図4は、例示的な実施形態においてテストパターン430及び440を印刷媒体のウェブ316に適用するマーキングエンジン402を示す。この実施形態では、テストパターン430及び440は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びキーブラック(K)の色平面のバンド432及び442を含む。バンド432及び442は、マーキングエンジン402の動作を介して生成される。具体的には、色平面416の印刷ヘッド412の1つ以上の配列410は、インク又は他のマーキング材料を印刷媒体のウェブ316上に射出するようにノズル414を動作させる。印刷ヘッド412及び/又はノズル414は、対応するマーキング材料(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、キーブラック、プロテクタコーティング、クリア等)を射出するために、色平面/チャネル(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、キーブラック、プロテクタコーティング、クリア等)に割り当てられてもよい。この実施形態では、印刷ヘッド412は、印刷媒体のウェブ316の幅に沿って固定された領域420を占有する。すなわち、各領域420は、特定の印刷ヘッド412によって占有されるウェブ316の幅の一部を表す。一実施形態では、領域420は位置422を含み、位置422は、10~15個(又はそれ以上)のノズル414のグループにそれぞれ対応するが、この数は、プリンタ及び/又はスキャナのDPIに応じて変化してもよい。図4に示すテストパターンは、ジェットアウト、ミスアライメント及び/又は他の印刷ヘッド状態の検出を容易にすることができ、各印刷ジョブの開始時、各ページの後、ウェブ316に沿った所定の直線距離の後等に、定期的に印刷されてもよい。
【0044】
図4に示すテストパターンの理解と共に、議論は図5に進む。
図5は、例示的な実施形態において印刷媒体のウェブを撮像するスキャナよって取得されたテストパターンの画像を示す。具体的には、図5において、ディスプレイ136を介して提示されたウィンドウ500は、テストパターンの画像520を示す。この実施形態では、画像520に沿った全ての垂直位置(例えば、列)を占有するバイパス領域510は、これらの領域における印刷ヘッド状態の分析及び/又は報告を抑制するために定義される。各バイパス領域510は、図4における1つ以上の領域420に対応する。この実施形態では、バイパス領域530も示されている。バイパス領域530は、画像520の所定の二次元部分(例えば、画像520の垂直次元の全体を包含しない画像520の部分)内の印刷ヘッド状態の分析及び/又は報告を抑制するために利用される。これは、テストパターン440に対して報告及び/又は分析を行うことなく、テストパターン430の報告及び/又は分析の抑制を可能にする。単一の色平面(この場合では、Cの色平面)に制限される更なるバイパス領域540も示されている。このようなバイパス領域は、色平面が印刷ジョブに利用されない場合、或いは、他の色平面よりはるかに少ない程度(例えば、半分未満)で利用される場合に有利になり得る。バイパス領域のそれぞれは、1つ以上の色平面、画像520に沿った垂直位置、及び/又は画像520の二次元部分の組み合わせに対応してもよい。
【0045】
ウィンドウ500は、印刷所のオペレータによって、どの領域がバイパスされたかを決定するために使用されてもよく、いくつかの実施形態では、印刷所のオペレータによって、特定の領域をバイパス可能として手動でフラグ付けする(例えば、選択する)ために利用されてもよい。これは、新たなバイパス領域510を追加するために、オペレータが画像520の部分をクリック及びドラッグすること、バイパス領域510の位置を調整すること等によって達成されてもよい。
【0046】
図6は、例示的な実施形態において印刷ヘッド状態を検査するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI, Graphical User Interface)600を示す。図4に示すこの実施形態では、GUI600は、印刷ジョブの状態を報告する様々な要素を提示するために、カスケーディングスタイルシート(CSS, Cascading Style Sheet)データと組み合わせたハイパーテキストマークアップ言語(HTML, Hypertext Markup Language)に従ってフォーマットされる。GUI600は、各印刷ヘッド状態並びに領域及び/又は位置を示すメモリに記憶されたデータにアクセスし、この情報を、印刷媒体をスキャンすることによって取得された画像の上に重ね合わせてグラフィカルに提示する。すなわち、GUI600は、各領域をテストパターンの画像上の二次元領域として示す。この実施形態の目的のために、主なGUI要素は、プリンタ状態領域640及び650を含む。これらのプリンタ状態領域640及び650のそれぞれは、色平面652に細分化される。プリンタ状態領域640及び650は、印刷ヘッド毎に(或いは、いくつかの実施形態ではノズル毎に)、プリンタの各印刷ヘッドが受ける印刷ヘッド状態を示す。例えば、プリンタ状態領域640及び650は、ジェットアウト状態を受けている印刷ヘッドの位置を示してもよい。この実施形態では、完全稼働可能な印刷ヘッドはシンボル644及び654で示され、1つ以上のノズルにおいてジェットアウトを受けている印刷ヘッドはシンボル646及び656で示され、低インク状態を受けている印刷ヘッドはシンボル648及び658で示される。印刷ヘッド状態のこのグラフィカル表示は、印刷所の技術者がプリンタ110で問題がある印刷ヘッド及び/又はノズルを迅速且つ直感的に特定することを可能にする。
【0047】
GUI600はまた、カルーセル630を含む。カルーセル630は、プリンタ110及び/又は印刷検査デバイス130に関する通知を示す。例えば、カルーセル630における通知は、ファームウェア更新の利用可能性、キャリブレーションの問題の存在等を示してもよい。
【0048】
GUIの要素は、プリンタ110の印刷コントローラ又は印刷サーバによって示されるように、プリンタ110の現在の状態を報告するプリンタ状態部610を更に含む。設定部620は、印刷検査デバイス130の設定を示す。設定部620は、エラーが示される前或いは印刷が停止される前に、プリンタ110の印刷ヘッドで許容される許容ジェットアウトの数の表示を含む。設定部620はまた、ジェットアウト問題を報告する前に印刷ヘッドに対して実行するクリーニング試行の最大回数、及び印刷ジョブの開始前に印刷ヘッドがクリーニングされるか否かを示す。この実施形態では、印刷ヘッドがクリーニングされないと報告される前に試みられるクリーニングの回数は、プリンタが印刷を準備するときにユーザによって選択可能であり、印刷ヘッドが故障していると識別する前にクリーニングを試みる回数は別である。一実施形態では、5回の連続したクリーニング試行が、特定のノズルを回復するために許容される。更なる実施形態では、検出された印刷ヘッドの故障は、バイパスされた領域を画定するために使用される。
【0049】
[例]
以下の例では、印刷ヘッド状態の動的な検査を実行する印刷所に関して、更なるプロセス、システム及び方法が記載される。
【0050】
ここに開示の実施形態は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はこれらの様々な組み合わせの形式をとることができる。1つの特定の実施形態では、ソフトウェアは、ここに開示の様々な動作を実行するように印刷検査システム100の処理システムを指示するために使用される。図7は、例示的な実施形態において所望の機能を実行するようにプログラム命令を具現するコンピュータ読み取り可能媒体を実行するように動作可能な処理システム500を示す。処理システム500は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体512上に実体的に具現されたプログラム命令を実行することにより、上記の動作を実行するように動作可能である。この点に関して、本発明の実施形態は、コンピュータ又はいずれかの他の命令実行システムによって使用されるプログラムコードを提供するコンピュータ読み取り可能媒体512を介してアクセス可能なコンピュータプログラムの形式をとることができる。この説明の目的のため、コンピュータ読み取り可能記憶媒体512は、コンピュータにより使用されるプログラムを包含又は記憶できるいずれかのものとすることができる。
【0051】
コンピュータ読み取り可能記憶媒体512は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線又は半導体デバイスとすることができる。コンピュータ読み取り可能記憶媒体512の例は、ソリッドステートメモリ、磁気テープ、取り外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、リジッド磁気ディスク及び光ディスクを含む。光ディスクの現在の例は、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、読み書き用コンパクトディスク(CD-R/W)及びDVDを含む。
【0052】
処理システム500は、プログラムコードを記憶及び/又は実行するのに適しており、システムバス550を通じてプログラム及びデータメモリ504に接続された少なくとも1つのプロセッサ502を含む。プログラム及びデータメモリ504は、プログラムコードの実際の実行中に使用されるローカルメモリと、バルクストレージと、キャッシュメモリとを含むことができ、これらのメモリは、コード及び/又はデータが実行中にバルクストレージから取得される回数を低減するために、少なくともいくつかのプログラムコード及び/又はデータの一時的なストレージを提供する。
【0053】
入力/出力又はI/Oデバイス506(キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイス等を含むが、これらに限定されない)は、直接的に或いは介在するI/Oコントローラを通じて接続できる。ネットワークアダプタインタフェース508もまた、処理システム500が介在するプライベート又はパブリックネットワークを通じて他のデータ処理システム又は記憶デバイスに接続されることを可能にするために、システムと統合されてもよい。モデム、ケーブルモデム、IBMチャネルアタッチメント、SCSI、ファイバチャネル及びイーサネットカードは、現在利用可能な種類のネットワーク又はホストインタフェースアダプタのうち単なる数個に過ぎない。ディスプレイデバイスインタフェース510は、プロセッサ502により生成されたデータの提示のための印刷システム及びスクリーンのような1つ以上のディスプレイデバイスとインタフェース接続するために、システムと統合されてもよい。
【0054】
ここでは、特定の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、これらの特定の実施形態に限定されない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそのいずれかの均等物により定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7