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特許7559371画像読取装置、画像形成装置及び画像読取方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像形成装置及び画像読取方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240925BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H04N1/04 101
H04N1/04 D
G03B27/54 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020104787
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021197693
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】井上 恵太
(72)【発明者】
【氏名】小山 忠明
(72)【発明者】
【氏名】中澤 政元
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-174984(JP,A)
【文献】特開2008-271198(JP,A)
【文献】特開2014-116650(JP,A)
【文献】特開2019-168423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
G03B 27/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原稿を順に読取部に搬送することで、原稿の連続読み取りを可能とする自動原稿搬送機構を備えた画像読取装置であって、
原稿の可視情報を読み取るための第1の光源、及び、原稿の不可視情報を読み取るための第2の光源を備えた光源部と、
前記第1の光源及び前記第2の光源が原稿に照射されることで生ずる反射光を受光して画像データを形成して出力するイメージセンサと
原稿の読み取りと画像データの出力を制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記第1の光源及び前記第2の光源が同時に点灯するように前記光源部を制御し、
前記イメージセンサは、可視情報を読み取るためのフィルタを有する第1のラインセンサで読み取った第1の画像データを出力し、不可視情報を読み取るためのフィルタを有する第2のラインセンサで読み取った第2の画像データを出力し、
前記制御部は、前記第1の画像データと前記第2の画像データを、原稿の連続読み取り枚数に応じて切り替えて出力することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記自動原稿搬送機構で読み取りが行われた原稿のページ数をカウントするカウンタ部を、備え、
前記カウンタ部でカウントされる原稿の連続読み取り枚数に応じて、前記第1の画像データと、前記第2の画像データを切り替えて出力すること
を特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第2の画像データの読み取りを開始するページ数を示す開始ページ情報を記憶する記憶部を、さらに備え、
前記制御部は、前記カウンタ部のカウント値が、前記開始ページ情報で示されるページ数に対応するカウント値となるまでの間は、前記第1の画像データの読み取りを行うように、前記光源部及び前記イメージセンサを制御し、前記カウンタ部のカウント値が、前記開始ページ情報で示されるページ数に対応するカウント値となった際に、前記第2の画像データの読み取りを行うように、前記光源部及び前記イメージセンサを制御すること
を特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第2の画像データの読み取りを開始するページ数を示す開始ページ情報を記憶する記憶部を、さらに備え、
前記制御部は、前記カウンタ部のカウント値が、前記開始ページ情報で示されるページ数に対応するカウント値となるまでの間は、前記第2の画像データの読み取りを行うように、前記光源部及び前記イメージセンサを制御し、前記カウンタ部のカウント値が、前記開始ページ情報で示されるページ数に対応するカウント値となった際に、前記第1の画像データの読み取りを行うように、前記光源部及び前記イメージセンサを制御すること
を特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記記憶部には、前記第2の画像データの読み取りを行う一つ又は複数のページ数を示すページ情報が記憶されており、
前記制御部は、前記ページ情報で示されるページ数が、前記カウンタ部でカウントされた際に、前記第2の画像データの読み取りを行うように、前記光源部及び前記イメージセンサを制御し、前記カウンタ部でカウントされるページ数が、前記ページ情報で示されるページ数以外のページ数である場合は、前記第1の画像データの読み取りを行うように、前記光源部及び前記イメージセンサを制御すること
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記記憶部には、前記第2の画像データの読み取りを行うページとして、偶数ページ又は奇数ページを示す選択情報が記憶されており、
前記制御部は、前記選択情報で示されるページが偶数ページであった場合、前記カウンタ部で偶数ページがカウントされた際に、前記第2の画像データの読み取りを行うように、前記光源部及び前記イメージセンサを制御し、前記カウンタ部で奇数ページがカウントされた際に、前記第1の画像データの読み取りを行うように、前記光源部及び前記イメージセンサを制御し、前記選択情報で示されるページが奇数ページであった場合、前記カウンタ部で奇数ページがカウントされた際に、前記第2の画像データの読み取りを行うように、前記光源部及び前記イメージセンサを制御し、前記カウンタ部で偶数ページがカウントされた際に、前記第1の画像データの読み取りを行うように、前記光源部及び前記イメージセンサを制御すること
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記イメージセンサからの画像データに対してシェーディング補正処理を施す画像処理部を、さらに備えること
を特徴とする請求項1から請求項6のうち、いずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、所定の間隔で間欠的に前記シェーディング補正処理を実行すること
を特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうち、いずれか一項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置からの画像データに基づいて、所定の画像を形成する画像形成部と
を有する画像形成装置。
【請求項10】
複数の原稿を順に読取部に搬送することで、原稿の連続読み取りを可能とする自動原稿搬送機構を備えた画像読取装置の画像読取方法であって、
光源部が、原稿の可視情報を読み取るための第1の光源、及び、原稿の不可視情報を読み取るための第2の光源を発光する光源ステップと、
イメージセンサが、前記第1の光源及び前記第2の光源が原稿に照射されることで生ずる反射光を受光して画像データを形成して出力する画像形成ステップと、
原稿の読み取りと画像データの出力を制御する制御ステップと
を有し、
前記制御ステップは、前記第1の光源及び前記第2の光源が同時に点灯するように前記光源ステップを制御し、
前記画像形成ステップは、可視情報を読み取るためのフィルタを有する第1のラインセンサで読み取った第1の画像データを出力し、不可視情報を読み取るためのフィルタを有する第2のラインセンサで読み取った第2の画像データを出力し、
前記制御ステップは、前記第1の画像データと前記第2の画像データを、原稿の連続読み取り枚数に応じて切り替えて出力することを特徴とする画像読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像形成装置及び画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、白色光による可視波長領域情報の読み取り、及び、赤外光による赤外波長領域情報の読み取りが可能な画像読取装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平05-334489号公報)には、帳票上の背景色及び地紋等を除去して、黒文字のみを抽出する光学的文字認識装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている技術を含め、従来の画像読取装置は、原稿の連続読み取り時における白色光及び赤外光の切り替え処理が困難であったため、読み取りを行うべき画像又は文字等が読み取られることなく消失した状態の出力画像が形成される不都合を生じていた。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、原稿の連続読み取り時において、異なる波長域の光源でそれぞれ読み取りを行う情報を、消失させることなく読み取り可能とした画像読取装置、画像形成装置及び画像読取方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の原稿を順に読取部に搬送することで、原稿の連続読み取りを可能とする自動原稿搬送機構を備えた画像読取装置であって、原稿の可視情報を読み取るための第1の光源、及び、原稿の不可視情報を読み取るための第2の光源を備えた光源部と、第1の光源及び第2の光源が原稿に照射されることで生ずる反射光を受光して画像データを形成して出力するイメージセンサと、原稿の読み取りと画像データの出力を制御する制御部とを有し、制御部は、第1の光源及び第2の光源が同時に点灯するように光源部を制御し、イメージセンサは、可視情報を読み取るためのフィルタを有する第1のラインセンサで読み取った第1の画像データを出力し、不可視情報を読み取るためのフィルタを有する第2のラインセンサで読み取った第2の画像データを出力し、制御部は、第1の画像データと第2の画像データを、原稿の連続読み取り枚数に応じて切り替えて出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、原稿の連続読み取り時において、異なる波長域の光源でそれぞれ読み取りを行う情報を、消失させることなく読み取ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、可視光及び赤外光を用いた情報の読み取り動作を説明するための図である。
図2図2は、赤外光で読み取りを行った際に、消失する情報を説明するための図である。
図3図3は、赤外光の読み取り原理について説明するための図である。
図4図4は、第1の実施の形態の画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、第1の実施の形態の画像形成装置の機械構成を示す断面図である。
図6図6は、第1の実施の形態の画像形成装置に設けられている画像読取装置の断面図である。
図7図7は、画像読取装置のブロック図である。
図8図8は、画像読取装置のイメージセンサの構成を示す図である。
図9図9は、証明書の一例を示す図である。
図10図10は、証明書の裏面の花柄の画像を可視光で読み取った場合に得られる読取画像、及び、証明書の裏面の花柄の画像を赤外光で読み取った場合に得られる読取画像の一例を示す図である。
図11図11は、埋め込み画像の原理について説明するための図である。
図12図12は、送付状及び証明書を、電子メールに添付して送信、又は、ファクシミリ送信する例を説明するための図である。
図13図13は、第1の実施の形態の画像形成装置における原稿の読取動作の流れを示すフローチャートである。
図14図14は、第1の実施の形態の画像形成装置における、赤外読取を開始するページ数の入力操作を説明するための操作部の模式図である。
図15図15は、光源の点灯制御の詳細な流れを示すフローチャートである。
図16図16は、図15のフローチャートのステップS12~ステップS14の動作の詳細な流れを示すフローチャートである。
図17図17は、第2の実施の形態の画像形成装置における操作部の模式図である。
図18図18は、第2の実施の形態の原稿の読取動作の流れを示すフローチャートである。
図19図19は、第3の実施の形態の画像形成装置における操作部の模式図である。
図20図20は、第3の実施の形態の原稿の読取動作の流れを示すフローチャートである。
図21図21は、第4の実施の形態の画像形成装置に設けられている画像読取装置のブロック図である。
図22図22は、第4の実施の形態の画像形成装置の原稿の読取動作の流れを示すフローチャートである。
図23図23は、第4の実施の形態の画像形成装置の光源の点灯制御の詳細な流れを示すフローチャートである。
図24図24は、図22のフローチャートのステップS12~ステップS14の動作の詳細な流れを示すフローチャートである。
図25図25は、第5の実施の形態の画像形成装置の間欠シェーディング補正動作を説明するためのフローチャートである。
図26図26は、第6の実施の形態の画像形成装置の間欠シェーディング補正動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施の形態となる画像形成装置の説明をする。
【0010】
(概要)
実施の形態の画像形成装置は、例えばデジタル複写機、デジタル複合機、ファクシミリ装置等となっている。この実施の形態の画像形成装置は、原稿の連続読み取り時において、可視光(第1の光源の一例)を用いた情報の読み取り制御、及び、赤外光(第2の光源の一例)を用いた情報の読み取り制御を、ユーザの設定情報に基づいて切り替える。これにより、連続読み取り時において、読み取るべき情報を欠損させることなく読み取り可能としている。
【0011】
(異なる波長域の光を用いた情報の読み取り)
まず、図1を用いて、可視光及び赤外光を用いた情報の読み取り動作を説明する。図1(a)は、証明書原稿の一例である。この証明書原稿を、白色光を用いてモノクロコピーすると、地肌及び地紋により、図1(b)に示すように所々情報がつぶれた読取画像が得られる。これに対して、不可視光源の一例である赤外光を用いて証明書原稿の読み取りを行った場合、図1(c)に示すように黒字の情報だけが抽出された読取画像が得られる。
【0012】
このように、白色光及び赤外光の両方の光源を備えた画像形成装置では、白色光を用いた通常の読み取りの他、原稿の地肌色及び地紋を読み取ることなく、黒部分だけを抽出した読取画像を得ることができる。また、画像形成装置が自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えていれば、原稿の地肌色及び地紋を読み取ることなく、黒部分だけを抽出した読取画像を連続して得ることができる。
【0013】
(赤外線光の読取による情報の消失)
図2は、赤外光を用いて原稿の読み取りを行った際に、情報の消失が発生する様子を示す図である。赤外光を用いて原稿の読み取りを行った場合、上述のように、黒部分だけを抽出した読取画像を得ることができる。しかし、これは、原稿の地肌色及び地紋等の、黒部分以外の部分の読み取りは、行われないことを意味している。
【0014】
例えば、図2(a)は、「¥10,000」の文字に赤線が引かれ、朱肉で訂正印が押された状態の原稿である。この場合、赤外光で読み取りを行うと、黒以外の部分の読み取りは行われないため、赤線及び訂正印が消失した読取画像となる。また、図2(b)は、黒の文字と枠線が、黒のトナー又はインクではなく、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを混合して形成された黒色で印刷されていた場合、赤外光で読み取りを行うと、黒の文字と枠線が消失した読取画像となる。また、図2(c)は、ノンカーボンインク又はトナーによる黒の文字で「¥10,000」の文字が記載された原稿を示している。この場合、「¥10,000」の文字は、カーボン成分を含まないインク又はトナーで記載されているため、赤外光で読み取りを行うと、「¥10,000」の文字が消失した読取画像となる。
【0015】
(赤外光の読み取り原理)
図3は、赤外光の読み取り原理について説明する図である。この図3に示すグラフは、白紙の原稿と、K(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)及びC(シアン)の各トナーの波長と反射率の特性の違いを示すグラフである。この図3において、780nm未満の波長領域が可視波長領域であり、780nm以上の波長領域が赤外波長領域である。
【0016】
Kトナーで印刷された黒画像は、可視波長領域及び赤外波長領域で特性は変わらず、反射率が低いまま(=光を吸収する)である。このため、白色光で読み取りが行われた場合、及び、赤外光で読み取りが行われた場合の、いずれの場合も原稿上の黒の文字及び画像等が再現可能となる。
【0017】
しかし、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のトナーを混合して印刷された文字又は画像等は、可視波長領域では読み取り可能であるが、赤外波長領域では3色とも反射率が高くなる(=光を透過する)ため、白紙の原稿の反射光として処理される。このため、赤外光を用いて読み取りを行った際に、図1及び図2を用いて説明したように、読取画像から欠損する不都合を生ずる。
【0018】
[第1の実施の形態]
(画像形成装置の機能構成)
図4は、第1の実施の形態の画像形成装置100の機能構成を示すブロック図である。一例ではあるが、第1の実施の形態の画像形成装置100は、この図4に示すようにファクシミリ通信部(FAX部)201、スキャナ部202、及び、印刷部203の各機能(画像形成部の一例)を有している。FAX部201は、ネットワークNWを介して通信先との間でファクシミリ通信を行う。スキャナ部202は、原稿の読み取りを行う。印刷部203は、スキャナ部202で読み取られた原稿等を印刷して出力する。ユーザは、操作部200を操作することで、所望の印刷枚数、印刷の開始指定等を指定する。
【0019】
(画像形成装置の機械構成)
図5は、画像形成装置100の機械構成を示す断面図である。この図5に示すように、画像形成装置100は、給紙部103、画像形成装置本体104、画像読取装置101及び自動原稿搬送装置(ADF)102を有している。
【0020】
画像形成装置本体104内には、タンデム方式の作像部105、この作像部105に給紙部103から搬送路107を介して記録紙を供給するレジストローラ108、光書き込み装置109、定着搬送部110、及び、両面トレイ111が設けられている。
【0021】
作像部105には、YMCKの4色のトナーに対応して4本の感光体ドラム112が並設されている。各感光体ドラム112の回りには、帯電器、現像器106、転写器、クリーナ、及び除電器を含む作像要素が配置されている。また、転写器と感光体ドラム112との間には、両者のニップに挟持された状態で駆動ローラと従動ローラとの間に張架された中間転写ベルト113が設けられている。
【0022】
このように構成されたタンデム方式の画像形成装置100は、YMCKの各色に対応する感光体ドラム112に光書き込みを行い、現像器106で各色のトナー毎に現像し、中間転写ベルト113上に例えばY,M,C,Kの順で1次転写する。そして、1次転写により4色重畳されたフルカラーの画像を記録紙に2次転写した後に定着させることで、フルカラーの画像を記録紙上に形成して排紙する。
【0023】
(画像読み取り部の構成)
図6は、第1の実施の形態の画像形成装置100に設けられている画像読取装置の断面図である。この図6に示す画像読取部は、光源2からの光を原稿に照射することで得られる反射光を、イメージセンサ9で受光することで、原稿の画像又は文字等の読み取りを行う。
【0024】
画像読取装置は、原稿を載置するコンタクトガラス1、原稿露光用の光源2及び第1の反射ミラー3を備えた第1のキャリッジ6を有している。また、画像読取装置は、第2の反射ミラー4及び第3の反射ミラー5を備えた第2のキャリッジ7を有している。また、画像読取装置は、イメージセンサ9に対して結像を行うレンズユニット8、及び、イメージセンサ9が設置されたセンサボード10を有している。また、画像読取装置は、読取光学系等による各種のばらつきの補正等に用いられる基準部材11、及び、シートスルー読取位置のガラスであるスリットガラス13を有している。
【0025】
画像読取装置の上部には、自動原稿搬送機構(ADE:Auto Document Feeder)102が設けられている。このADF102は、コンタクトガラス1に対して開閉可能となるように、ヒンジ等を介して画像読取装置の本体に接続されている。また、ADF102は、複数枚の原稿を載置可能な原稿トレイ14を有している。また、原稿トレイ14に載置された複数の原稿を、1枚ずつ分離してスリットガラス13へ向けて自動給搬送する原稿給搬送ローラ15を備えた分離給搬送機構を有している。
【0026】
このような画像読取装置は、原稿の画像面をスキャンして原稿の画像の読み取りを行うフラットベッド読み取りモード(以下、「圧板読取」と記載)時には、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7が、ステッピングモータによって矢印A方向(副走査方向)に移動制御されて原稿を走査する。このとき、コンタクトガラス1からイメージセンサ9までの光路長を一定に維持するために、第2のキャリッジ7は、第1キャリッジ6の1/2の速度で移動制御される。
【0027】
同時に、コンタクトガラス1上に載置された原稿の下面である画像面が、第1のキャリッジ6の光源2によって照明(露光)される。これにより、原稿の画像面からの反射光像が、第1のキャリッジ6の第1の反射ミラー3,第2のキャリッジ7の第2の反射ミラー4、及び、第3の反射ミラー5、及び、レンズユニット8を介して、イメージセンサ9に結像される。イメージセンサ9は、決像された原稿の反射光像に対応する画像データを形成する。
【0028】
一方、ADF102を用いて自動給搬送して原稿の画像を読み取るシートスルー読み取りモード(以下、「原稿搬送読取」と記載)時には、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7が、スリットガラス13の下側へ移動する。その後、原稿トレイ14に載置された原稿給搬送ローラ15によって矢印B方向(副走査方向)へ自動給搬送され、スリットガラス13の位置で原稿が走査される。
【0029】
このとき、自動給搬送される原稿の下面(画像面)に、第1のキャリッジ6の光源2からの光が照射される。これにより、原稿の画像面からの反射光像が、第1のキャリッジ6の第1の反射ミラー3、第2のキャリッジ7の第2の反射ミラー4、第3の反射ミラー5、及び、レンズユニット8を介してイメージセンサ9に結像される。イメージセンサ9は、決像された原稿の反射光像に対応する画像データを形成する。
【0030】
なお、このような原稿搬送読取で原稿の両面読取を行う場合、表面の読み取りを行った後に、ADF102の反転機構により、原稿を表裏反転させ、スリットガラス13の位置で裏面の読み取りを行う。これ以外であっても、ADF102にセンサを1つ追加して設置し、1回の原稿搬送で原稿の両面を読み取る構成としてもよい。
【0031】
また、画像読取装置には、イメージセンサ9で形成された画像データに対して所定の画像処理を施して後段の回路に送信する画像処理部、ユーザの設定情報に基づいて、画像読取装置の制御を行う制御部も設けられている。画像処理部及び制御部は、画像読取装置内に設けられていてもよいし、画像読取装置外に設けられていてもよい。また、第一キャリッジ6、第2キャリッジ7、レンズ8、及び、センサボード10が一体で動作する構成でもよい。
【0032】
(画像形成装置の回路構成)
図7は、画像読取装置101の電気構成を示すブロック図である。この図7に示すように、画像読取装置101は、読取部250、画像処理部251及び制御部252を有している。
【0033】
第1の実施の形態の画像形成装置100は、可視波長領域情報及び不可視波長領域情報の読み取りが可能となっている。また、ADF102を用いた原稿の連続読み取り時においても、可視波長領域情報及び不可視波長領域情報を切り替えて読み取り可能となっている。このため、図5に示す画像読取装置101の読取部250は、白色光を発光する第1の光源261、及び、赤外光を発光する第2の光源262を有している。第1の光源261及び第2の光源262は、光源部の一例である。
【0034】
なお、一例として、可視波長領域情報の読み取り用の光源として「白色光」を用い、不可視波長領域情報の読み取り用の光源として「赤外光」を用いることとした。しかし、可視波長の光の領域の読み取りが可能な光源、及び、不可視波長の領域の読み取りが可能な光源であれば、どのような波長の光源を用いてもよい。
【0035】
また、読取部250は、各光源261、262が原稿に照射されることで生ずる反射光を受光して電気信号(画像データ)に変換するイメージセンサ263を有している。なお、以降の説明において、可視波長領域情報の読み取りを「通常読取」と記載し、不可視波長領域情報の読み取りを「赤外読取」と記載することもある。
【0036】
画像処理部251は、イメージセンサ250からの画像データに対して所定の画像処理を施して出力する。
【0037】
制御部252は、カウンタ部264、メモリ265(記憶部の一例)及び光源制御部266を備える。光源制御部266は、各光源261、262を発光制御する。カウンタ部264には、読取部250から、例えばADF12を用いた連続読み取り時において、原稿1枚毎に発生するゲート信号等の、1スキャンで1回発生する信号である枚数情報が供給される。カウンタ部264は、読み取られた原稿に対応する枚数情報をカウントする。制御部252は、カウンタ部264のカウント値に基づいて、画像処理部251から出力される画像データを切り替え制御する。
【0038】
なお、制御部252は、読取部250から供給される枚数情報をカウンタ部264でカウントすることとしたが、読み取られた原稿の枚数を検出できれば、どのような手法を用いてもよい。また、制御部252がカウンタ部264を有することとして説明したが、カウンタ部264は、制御部252外等の、どこに設けてもよい。
【0039】
制御部252のメモリ265は、ユーザ読取設定情報、画像読取装置101の各種調整値(光量情報、ゲイン情報及び主走査基準レベル情報等)を記憶する。これらの各情報は、例えば原稿の読み取り時にイメージセンサ263、又は、画像処理部251に供給される。
【0040】
(イメージセンサの構成)
図8は、イメージセンサ263の構成を示す図である。この図8の例は、赤色(R)用、緑色(G)用、及び、青色(B)用のラインセンサ263R,263G,263Bを設けた例である。図8の例の場合、光源制御部266は、白色光を発光する第1の光源261及び赤外光を発光する第2の光源262のうち、いずれか一方を選択して発光制御する(排他的に発光制御する)。
【0041】
RGBの各ラインセンサ263R,263G,263Bは、第1の光源261が発光制御された場合、原稿により反射された白色光の反射光を受光し、RGBの各色の画像データを出力する(通常読取)。また、RGBの各ラインセンサ263R,263G,263Bは、第2の光源262が発光制御された場合、原稿により反射された赤外光(NIR)の反射光を受光し、赤外光で読み取られた画像データをそれぞれ出力する(赤外読取)。
【0042】
画像処理部251は、通常読取による画像データ、又は、赤外読取による画像データに対して所定の画像処理を施す。制御部252は、カウンタ部264のカウント値に基づいて点灯制御された光源に応じて、画像処理部251を切り替え制御することで、通常読取による画像データ、又は、赤外読取による画像データを選択的に出力制御する。
【0043】
(赤外読取の利点)
ここで、赤外読取の利点について説明する。赤外読取を行うことで、原稿の地肌及び地紋を、読み取った画像から消去できる他、証明書類等の真贋判定を行うことができる。例えば、証明書の中には、偽造防止のための埋め込み画像が存在するものがある。図9は、このような証明書の具体例であり、図9(a)に示すように、表面は証明書記載部分であるが、裏面には、図9(b)に示すように花柄の画像が印刷されており、この花柄の画像の下に、埋め込み画像が印刷されている。
【0044】
図10は、原本となる証明書の裏面の花柄の画像を可視光で読み取った場合に得られる読取画像(図10(a))、及び、証明書の裏面の花柄の画像を赤外光で読み取った場合に得られる読取画像(図10(b))の一例を示す図である。原本の証明書の裏面の花柄の画像を可視光で読み取ると、図10(a)に示すように、花柄の画像の読取画像が得られる。また、原本の証明書の裏面の花柄の画像を赤外光で読み取ると、図10(b)に示すように「証」の文字の読取画像が得られる。
【0045】
これに対して、コピーした証明書の場合、赤外光で読み取りを行うと、図10(b)に示したような、「証」の文字の読取画像は得ることができない。このため、赤外光で読み取りを行い、「証」の文字の有無を判別することで、証明書の真贋判定を行うことができる。
【0046】
図11は、上述の「証」の文字のような埋め込み画像の原理について説明するための図である。この図11に示すように、最初に黒色のKトナーで埋め込み画像(この例の場合、「証」の文字)を印刷し、その上から、CMYの3色のトナーで画像(この例の場合、花柄の画像)を印刷する。これにより、「証」の文字の埋め込み画像は、3色のトナーで印刷された花柄の画像により、通常では視認できない状態となる。
【0047】
しかし、赤外光は、3色のトナーで印刷された花柄の画像を透過する。このため、赤外光を照射することで、Kトナーで印刷された「証」の文字の埋め込み画像を得ることができる。
【0048】
このように、原稿の地肌及び地紋除去、埋め込み画像の読み取り等の用途により、「赤外読取」が行われる機会は多い。例えば、各種証明書を取り扱う機関又は会社は、顧客が持参した証明書の真贋判定が必要となる。従来は、赤外カメラ装置又は専用機器を用いて、埋め込み画像の有無を判断していた。
【0049】
しかし、赤外カメラ装置又は専用機器を用いて証明書の真贋判定を行うと、大量の証明書の真贋判定を行う際に、手間及び時間を要し、効率的ではない。このため、ADF102を用いて大量の証明書を自動搬送しながら赤外読取を行うことで、簡単かつ短時間で大量の証明書の真贋判定を可能とすることができる。
【0050】
図12は、送付状及び証明書を、電子メールに添付して送信、又は、ファクシミリ送信する例を説明するための図である。この場合、送付状の表面及び裏面は「通常読取」を行う。また、証明書の表面及び裏面は「赤外読取」を行う。これにより、送付状の表面及び裏面、証明書の表面及び裏面の情報を消失させることなく読み取って送信できる。また、多数の送付状及び証明書を送信する場合、ADF102に送付状及び証明書をセットし、連続して読み取りを行う。この際、送付状は通常読取を行い、証明書は赤外読取を行う。これにより、簡単かつ短時間で多数の送付状及び証明書を送信できる。
【0051】
(第1の実施の形態の連続読取動作)
図13は、第1の実施の形態の画像形成装置における、ADF102を用いた原稿の連続読取動作の流れを示すフローチャートである。この図13のフローチャートにおいて、まず、図7に示す制御部252は、カウンタ部264のカウント値を、初期値の「1」とする(p_count=1)(ステップS1)。この「1」のカウント値は、原稿の第1ページ目の読み取りを行うことを意味している。
【0052】
次に、第1の実施の形態の画像形成装置においては、図14に示すように、赤外読取を開始するページ数を、ユーザが操作部200を介して、予め入力するようになっている。図14は、第3ページ目から赤外読取の開始を指定(設定)した例を示している。ユーザは、所望の赤外読取ページ数を入力操作して、OKボタンを操作する。これにより、赤外読取を開始するページ数を示す開始ページ情報がメモリ265に記憶される。なお、この開始ページ情報は、解除ボタンが操作された際に、メモリ265上から消去される。
【0053】
次に、ADF102により原稿の自動搬送が開始されると、読取部250は、これから読み取りを行う原稿のページ数を示す読取ページ数情報を、制御部252に通知する。制御部252は、ステップS2において、読取ページ数情報(p_count)で示される、これから読み取りが行われるページ数と、開始ページ情報(p_set)で示される、赤外読取を開始するページ数とを比較する(p_count≧p_set)。
【0054】
読取ページ数情報(p_count)が開始ページ情報(p_set)以上である場合(ステップS2:Yes)、処理はステップS3に進む。読取ページ数情報(p_count)が開始ページ情報(p_set)未満である場合(ステップS2:No)、処理はステップS4に進む。
【0055】
読取ページ数情報(p_count)が開始ページ情報(p_set)以上になったということは、ユーザにより赤外読取が指定されたページ数の読み取りが開始されることを意味する。このため、光源制御部266は、ステップS3において、通常読取用の第1の光源(白色光)261を消灯制御し、赤外読取用の第2の光源(赤外光)262を点灯制御する。
【0056】
これに対して、読取ページ数情報(p_count)が開始ページ情報(p_set)未満であるということは、これから読み取りが行われるページは、ユーザにより赤外読取が指定されたページではないことを意味する。このため、光源制御部266は、ステップS4において、通常読取用の第1の光源(白色光)261を点灯制御し、赤外読取用の第2の光源(赤外光)262を消灯制御する。
【0057】
図15は、このような各光源261、262の点灯制御の詳細な流れを示すフローチャートである。この図15のフローチャートにおいて、読取ページ数情報(p_count)が開始ページ情報(p_set)以上になったと判別された場合(ステップS2:Yes)、ステップS41及びステップS42に処理が進む。光源制御部266は、ステップS41において、赤外光の光量の設定を行い、ステップS42において、赤外光のゲインを設定する。そして、光源制御部266は、ステップS3において、第1の光源(白色光)261を消灯制御すると共に、赤外読取用の第2の光源(赤外光)262を、設定した光量及びゲインで点灯制御して、ステップS5に処理を進める。
【0058】
これに対して、読取ページ数情報(p_count)が開始ページ情報(p_set)未満であると判別された場合(ステップS2:No)、ステップS43及びステップS44に処理が進む。光源制御部266は、ステップS43において、白色光(第1の光源261)の光量の設定を行い、ステップS44において、白色光(第1の光源261)のゲインを設定する。そして、光源制御部266は、ステップS4において、第2の光源(赤外光)262を消灯制御すると共に、通常読取用の第1の光源(白色光)261を、設定した光量及びゲインで点灯制御して、ステップS5に処理を進める。
【0059】
次に、ステップS5では、制御部252が、ADF102に対する原稿のセットの有無、及び、原稿載置台上(フラットベッド読取用のコンタクトガラス上)の原稿の有無等の検出出力に基づいて、フラットベッド読取用のコンタクトガラス上の原稿の読み取りを行う「圧板読取」を行うか、ADF102で複数の原稿を自動搬送して連続的に読み取りを行う「原稿搬送読取」を行うかを判別する。
【0060】
「圧板読取」を行う場合、制御部252は、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7を、図6に示した矢印A方向(副走査方向)に移動制御する(ステップS6:往路)。この間、読取部250は、基準白板11を読み取ることで、白主走査分布データを取得した後(ステップS7)、白色色又は赤外光が照射されているフラットベッド読取用のコンタクトガラス上の原稿の読み取りを行う(ステップS8)。白基準板11の主走査データである白主走査分布データは、光源のばらつきを補正する白シェーディング補正に用いるデータであり、メモリ265に記憶される。
【0061】
原稿の読み取りが完了すると、画像処理部251は、白主走査分布データを用いて分布の正規化を行い、画像ムラを補正して出力する(白シェーディング補正処理)。画像処理部251は、このような白シェーディング補正処理を、画素毎に随時行う。また、画像処理部251は、原稿の読み取りが完了すると、白色光を用いた通常読取時用の第1の黒主走査分布データ(後述する図16のステップS67を参照)を用いて、光を照射しない暗時の黒主走査分布データを読み取りデータから減算処理してノイズを除去する黒シェーディング補正処理を行う。
【0062】
また、原稿の読み取りが完了すると、制御部252は、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7を、図6に示した矢印A方向に対して反対方向に移動制御し(ステップS9:復路)、初期位置で停止制御する(ステップS10)。原稿の読み取りが完了すると、光源制御部266は、両方の光源261、262を消灯制御して(ステップS11)、図13のフローチャートに示す原稿の読取動作を終了する。
【0063】
これに対して、「原稿搬送読取」を行う場合、制御部252は、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7を、基準白板11の下に移動制御する(ステップS12)。これにより、読取部250は、基準白板11の読み取りを行い、白主走査分布データを取得する(ステップS13)。
【0064】
次に、制御部252は、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7を、図6に示すスリットガラス13の下である、ADF用の原稿搬送読み取り位置に移動制御する(ステップS14)。
【0065】
図16のフローチャートは、このようなステップS12~ステップS14の動作の詳細な流れを示している。すなわち、ステップS12で、制御部252により、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7が基準白板11の下に移動されると、光源制御部266が、第1の光源(白色光)261を点灯制御する(ステップS61)。読取部250は、基準白板11の読み取りを行うことで、RGBの各色用のラインセンサ263R,263G、263B及び赤外光用のラインセンサ263NIRの白シェーディング補正用の白主走査分布データを取得し、メモリ265に記憶される。
【0066】
また、光源制御部266は、白色光の光量調整を行い(ステップS62)、調整した光量を示す白色光量情報をメモリ265に記憶制御する(ステップS63)。また、光源制御部266は、第1の光源261のゲイン調整を行い(ステップS64)、調整したゲインを示すゲイン情報をメモリ265に記憶制御する(ステップS65)。
【0067】
光量調整は、基準白板11に光を照射して読み取った読み取りレベルに応じて、光源光量の強弱を調整し、所望の読み取りレベルとする調整である。ゲイン調整は、基準白板11に光を照射して読み取った読み取りレベルに応じて、各イメージセンサ263R、263G、263Bを所定の読み取りレベルとして、ダイナミックレンジを広げる調整である。
【0068】
このような光量及びゲインの調整を行うと、光源制御部266は、第1の光源(白色光)261を消灯制御する(ステップS66)。読取部250は、白色光の消灯時おける黒主走査分布データを取得することで、通常読取時におけるRGBの各イメージセンサ263R、263G、263Bの黒シェーディング補正用の第1の黒主走査分布データを形成して、メモリ265に記憶制御する(ステップS67)。黒主走査分布データは、画素の信号伝送内で起こるランダムノイズ抑制のための黒シェーディング補正に用いられるデータである。
【0069】
次に、光源制御部266が、第2の光源(赤外光)262を点灯制御する(ステップS68)。また、光源制御部266は、赤外光の光量調整を行い(ステップS69)、調整した光量を示す赤外光量情報をメモリ265に記憶制御する(ステップS70)。また、光源制御部266は、第2の光源262のゲイン調整を行い(ステップS71)、調整したゲインを示すゲイン情報をメモリ265に記憶制御する(ステップS72)。
【0070】
このような赤外光の光量及びゲインの調整を行うと、光源制御部266は、第2の光源(赤外光)262を消灯制御する(ステップS73)。読取部250は、赤外光の消灯時における黒主走査分布データを取得することで、赤外光で読み取った画像の黒シェーディング補正用の第2の黒主走査分布データを形成して、メモリ265に記憶制御する(ステップS74)。
【0071】
このような黒主走査分布データの取得が完了すると、制御部252は、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7を、図6に示すスリットガラス13の下である、ADF用の原稿搬送読み取り位置に移動制御する(ステップS14)。
【0072】
次に、制御部252は、セットされている原稿を自動搬送するようにADF102を制御する(ステップS15)。読み取り部250は、自動搬送される原稿を、スリットガラス13を介して読み取る(ステップS16)。
【0073】
画像処理部251は、原稿の読み取りが完了すると、読み取られた原稿の画像データに対して、白主走査分布データを用いて分布の正規化を行い、画像ムラを補正する白シェーディング補正処理を施す。また、画像処理部251は、赤外読取用の第2の黒主走査分布データを読み取りデータから減算処理してノイズを除去する黒シェーディング補正処理を行う。
【0074】
次に、制御部252は、ADF102にセットされている原稿の有無を判別することで、次に読み取りを行う原稿の有無を判別する(ステップS17)。次に読み取りを行う原稿が存在しないと判別された場合(ステップS17:No)、ステップS11に処理が進み、光源制御部266により、両方の光源261、262が消灯制御され、図13のフローチャートに示す原稿の読取動作が終了する。
【0075】
これに対して、次に読み取りを行う原稿が存在すると判別された場合(ステップS17:Yes)、ステップS18に処理が進み、読取部250が、読取ページ数情報(p_count)を「1」インクリメントして(ステップS18)、処理をステップS2に戻す。
【0076】
ステップS2では、上述のように制御部252が、読取ページ数情報(p_count)で示されるページ数が、赤外読取を開始する開始ページ情報(p_set)以上のページ数になったか否かを判別する。図14の例では、3ページ目以降の赤外読取が、ユーザにより指定されている。このため、制御部252は、カウンタ部264のカウント値が、「3(ページ)」になったか否かを判別する。カウンタ部264のカウント値が、「3(ページ)」未満の場合は、白色光(第1の光源261)を用いた通常読取を行う(ステップS4)。
【0077】
また、カウンタ部264のカウント値が、「3(ページ)」以上となった場合、光源制御部266は、赤外光(第2の光源262)を点灯制御し(ステップS3)、赤外読取を行う。また、図14の例は、赤外読取ページの指定形態を、「3ページ目から」としているため、この3ページ以降の第4ページ、第5ページ・・・は、赤外読取で原稿の読み取りが行われる。これにより、ユーザにより指定された原稿を赤外読取できるため、原稿搬送読取(連続読取)を行った場合でも、必要な情報を消失させることなく読取可能とすることができる。
【0078】
なお、この例では、カウンタ部264のカウント値が、「3(ページ)」未満の場合は、白色光(第1の光源261)を用いた通常読取を行い、カウント値が、「3(ページ)」以上となった場合、赤外光(第2の光源262)を用いた赤外読取を行うこととした。しかし、カウンタ部264のカウント値が、「3(ページ)」未満の場合は、赤外光(第2の光源262)を用いた通常読取を行い、カウント値が、「3(ページ)」以上となった場合、白色光(第1の光源261)を用いた赤外読取を行ってもよい。
【0079】
(第1の実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、第1の実施の形態の画像形成装置は、原稿の連続読取時において、ユーザにより指定されたページよりも前のページは、白色光で通常読取を行う。また、ユーザにより指定されたページ及びユーザにより指定されたページ以降のページは、赤外読取を行う。
【0080】
これにより、ユーザにより指定された原稿を赤外読取できるため、原稿搬送読取(連続読取)を行った場合でも、必要な情報を消失させることなく読取可能とすることができる。
【0081】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態の画像形成装置の説明をする。上述の第1の実施の形態では、図14を用いて説明したように、赤外読取を行うページを「3ページ目から」等のように、通常読取と赤外読取の境となるページを指定することとした。これに対して、第2の実施の形態は、赤外読取を行うページを指定する例である。なお、上述の第1の実施の形態と以下に説明する第2の実施の形態では、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0082】
図17は、第2の実施の形態の画像形成装置における操作部200の模式図である。第2の実施の形態の場合、この図17に示すように、赤外読取を行うページを、例えば「3、4ページのみ」等のように、赤外読取を行うページ自体を指定する。
【0083】
図18は、第2の実施の形態の原稿の読取動作の流れを示すフローチャートである。この第2の実施の形態の場合、ステップS2において、制御部252は、読取ページ数情報(p_count)で示されるページ数が、赤外読取を開始する開始ページ情報(p_set)になったか否かを判別する(p_count=p_set_n)。
【0084】
制御部252及び光源制御部266は、原稿の連続読取時において、ユーザにより指定されたページの読み取り時となると、赤外光を点灯制御して赤外読取を行う。これにより、ユーザにより指定された原稿のみを赤外読取でき、原稿搬送読取(連続読取)を行った場合でも、必要な情報を消失させることなく読取可能とすることができる。
【0085】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態の画像形成装置の説明をする。この第3の実施の形態は、奇数ページ又は偶数ページを、赤外読取を行うページとして指定可能とした例である。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第3の実施の形態では、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0086】
図19は、第3の実施の形態の画像形成装置における操作部200の模式図である。第3の実施の形態の場合、この図17に示すように、「偶数ページ」又は「奇数ページ」を、赤外読取を行うページとして指定する。
【0087】
図20は、第3の実施の形態の原稿の読取動作の流れを示すフローチャートである。この図20のフローチャートは、「偶数ページ」が、赤外読取を行うページとして指定されている例である。この図20のフローチャートのステップS2において、制御部252は、連続読取を行うことで、読取ページ数情報(p_count)で示されるページ数が、赤外読取を行う「偶数ページ」になったか否かを判別する(p_count=偶数)。
【0088】
制御部252及び光源制御部266は、原稿の連続読取を行うページが偶数ページとなった場合、赤外光を点灯制御して赤外読取を行う。なお、この例の場合、奇数ページは、通常読取を行う。これにより、ユーザにより指定された偶数ページの原稿のみを赤外読取でき、原稿搬送読取(連続読取)を行った場合でも、必要な情報を消失させることなく読取可能とすることができる。
【0089】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態の画像形成装置の説明をする。上述の第1の実施の形態の説明では、RGBの各ラインセンサ263R、263G、263Bが可視光及び赤外光の両方を受光することとした。これに対して、第4の実施の形態の画像形成装置は、RGBの各ラインセンサ263R、263G、263Bと共に、赤外光専用のラインセンサを設けた例である。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第4の実施の形態では、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0090】
図21は、第4の実施の形態の画像形成装置に設けられている画像読取装置101のブロック図である。この図21に示すように、画像読取装置101は、イメージセンサ263として、RGBの各ラインセンサ263R,263G,263Bと共に、赤外読取専用のラインセンサ263NIRを備えている。通常読取及び赤外読取は、時間差で行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0091】
時間差で通常読取及び赤外読取を行う場合、画像処理部251は、通常読取時には、RGBの各ラインセンサ263R,263G,263Bの画像データを選択して画像処理を施して出力する。また、画像処理部251は、赤外読取時には、赤外光用のラインセンサ263NIRの画像データを選択して画像処理を施して出力する。また、通常読取及び赤外読取が同時に行われた場合、画像処理部251は、RGBの各ラインセンサ263R,263G,263Bの画像データ、及び、赤外光用のラインセンサ263NIRの画像データに対してそれぞれ画像処理を施して出力する。
【0092】
図22は、第4の実施の形態の画像形成装置の原稿の読取動作の流れを示すフローチャートである。図13のフローチャートと異なる処理は、ステップS20の処理のみとなる。すなわち、この第4の実施の形態の画像形成装置の場合、原稿の読み取りが開始されると、光源制御部266が、ステップS20で第1の光源(白色光)261及び第2の光源(赤外光)262を同時に点灯制御する。
【0093】
原稿に照射された白色光の反射光は、RGBの各ラインセンサ263R,263G,263Bで受光される。また、原稿に照射された赤外光の反射光は、赤外光用のラインセンサ263NIRで受光される。画像処理部251は、RGBの各ラインセンサ263R,263G,263Bの画像データ、及び、赤外光用のラインセンサ263NIRの画像データに対して、それぞれ所定の画像処理を施して出力する。なお、これ以外の動作は、図13を用いて説明した第1の実施の形態の画像形成装置の原稿の読取動作と同じ動作である。
【0094】
図23は、第4の実施の形態の画像形成装置の光源の点灯制御の詳細な流れを示すフローチャートである。この図23のフローチャートに示すように、第4の実施の形態の画像形成装置の場合、原稿の読み取りが開始されると、光源制御部266が、第1の光源(白色光)261の光量及びゲインを設定すると共に、第2の光源(赤外光)262の光量及びゲインを設定する(ステップS51、ステップS52)。そして、光源制御部266は、ステップS20において、第1の光源(白色光)261及び第2の光源(赤外光)262を同時に点灯制御する。これにより、白色光及び赤外光による同時読取が可能となる。
【0095】
また、図24は、図22のフローチャートのステップS12~ステップS14の動作の詳細な流れを示すフローチャートである。この図24のフローチャートにおいて、ステップS12で、制御部252により、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7が基準白板11の下に移動されると、光源制御部266が、第1の光源(白色光)261及び第2の光源(赤外光)262を同時に点灯制御する(ステップS71)。また、光源制御部266は、白色光及び赤外光の光量調整を行い(ステップS72)、調整した光量を示す白色光量情報及び赤外光量情報をメモリ265に記憶制御する(ステップS73)。また、光源制御部266は、第1の光源261及び第2の光源262のゲイン調整を行い(ステップS74)、調整したゲインを示すゲイン情報を、それぞれメモリ265に記憶制御する(ステップS75)。
【0096】
このような光量及びゲインの調整を行うと、光源制御部266は、第1の光源(白色光)261及び第2の光源(赤外光)262を消灯制御し(ステップS76)、制御部252は、第1、第2の黒主走査分布データを取得する(ステップS77)。
【0097】
第1及び第2の黒主走査分布データを取得すると、制御部252は、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7を、図6に示すスリットガラス13の下である、ADF用の原稿搬送読み取り位置に移動制御する(ステップS14)。
【0098】
このように第4の実施の形態の画像形成装置は、可視光をRGBの各イメージセンサ263R、263G、263Bで受光し、赤外光を専用のイメージセンサ263NIRで受光する。これにより、可視光及び赤外光による原稿の同時読み取りを可能とすることができ、原稿の読み取りに要する時間を短縮化できる他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0099】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態の画像形成装置の説明をする。上述の各実施の形態の画像形成装置の場合、白シェーディング補正用の白主走査分布データを取得するために、連続読み取りを1ページ行う毎に、第1のキャリッジ6及び第2のキャリッジ7を白基準板11まで移動させ、白主走査分布データを取得して、毎回、シェーディング補正を行っていた。
【0100】
これに対して、第5の実施の形態の画像形成装置は、所定の枚数毎(又は、所定時間毎)に、間欠的なシェーディング補正を行うようにした例である。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第5の実施の形態では、この点のみが異なる。このため、以下、差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0101】
図25は、第5の実施の形態の画像形成装置の読み取り動作の流れを示すフローチャートである。この図25のフローチャートは、図8を用いて説明した、白色光及び赤外光を排他的に点灯制御する画像形成装置における読み取り動作の流れを示すフローチャートである。
【0102】
この第5の実施の形態の画像形成装置の場合、ユーザは、操作部200を介して、シェーディング補正を連続的に行うか、又は、間欠的に行うか、を予め設定する。この設定情報は、メモリ265に記憶される。制御部252は、メモリ265に記憶されている設定情報に基づいて、シェーディング補正を連続的に行うか、又は、間欠的に行うかを認識して以下の制御を行う。
【0103】
また、この第5の実施の形態の画像形成装置の場合、ユーザは、間欠的なシェーディング補正を実行する枚数間隔又は時間間隔を、操作部200を介して設定する。この間隔情報は、メモリ265に記憶される。制御部252は、メモリ265に記憶されている間隔情報に基づいて、間欠的なシェーディング補正を実行制御する。
【0104】
具体的には、原稿搬送読取時(連続読取時)において、例えば1枚置きにシェーディング補正を行うことを指定したとする。ステップS21は、これから画像形成を行うページが「1ページ目(p_count=1)」で、通常読取から赤外読取、又は、赤外読取から通常読取に切り替えた後のページのカウント値が「1ページ目(p_count_sw=1)」であることを示している。
【0105】
この場合において、ステップS2では、上述のように、これから画像形成を行うページが、ユーザにより指定されている赤外読取を行うページとなったか否かを判別する(p_count≧p_set)。赤外読取を行うページの画像を形成するまでの間は、ステップS4で第1の光源(白色光)261を点灯制御して、第2の光源(赤外光)262を消灯制御する。
【0106】
これに対して、赤外読取を行うページの画像の形成時となると、制御部252は、白色光及び赤外光の間で光源を切り替えた後において、これから画像形成を行うページは、1ページ目であるか否かを判別する(ステップS22)。
【0107】
これから画像形成を行うページが1ページ目である場合、制御部252は、通常読取から赤外読取、又は、赤外読取から通常読取に切り替えた後のページのカウント値を「1ページ(p_count_sw=1)」にセットして、第2の光源(赤外光)262を点灯制御すると共に、第1の光源(白色光)261を消灯制御する(ステップS3)。
【0108】
これに対して、これから画像形成を行うページが1ページ目以降のページである場合、制御部252は、ステップS3において、第2の光源(赤外光)262の点灯制御、及び、第1の光源(白色光)261の消灯制御を行う。
【0109】
次に、ステップS5で、これから原稿搬送読取(連続読取)を行うものと判別されてステップS24に進むと、制御部252は、メモリ265に記憶されている設定情報を参照することで、シェーディング補正を連続的に行うか、又は、間欠的に行うかを判別する。設定情報により、シェーディング補正を連続的に行うことが指定されている場合(ステップS24:Yes)、制御部252は、ステップS12~ステップS15で、図16等を用いて説明したように、白主走査分布データ及び黒主走査分布データを取得し、読み取られた原稿の画像データに対して、白色及び黒色のシェーディング補正処理を施す。
【0110】
これに対して、シェーディング補正を間欠的に行うことが指定されている場合(ステップS24:No)、制御部252は、これから読み取りを行う原稿は、連続読取を行う複数の原稿のうち、1ページ目の原稿であるか否かを判別する(p_count_sw=1?)。
【0111】
これから読み取りを行う原稿が、1ページ目の原稿であるということは(ステップS25:Yes)、光源の切り替え後、最初の原稿の読み取りであることを意味する。このため、制御部252は、ステップS12~ステップS15で、図16等を用いて説明したように、白主走査分布データ及び黒主走査分布データを取得し、読み取られた原稿の画像データに対して、白色及び黒色のシェーディング補正処理を施す。
【0112】
これに対して、これから読み取りを行う原稿が、1ページ目以降の原稿である場合(ステップS25:No)、ステップS26に処理が進む。ステップS26では、制御部252が、メモリ265に記憶されている間隔情報に基づいて、シェーディング補正を行う間隔を認識する。例えば2ページ毎にシェーディング補正を行うように、ユーザにより指定された場合、メモリ265に記憶されている間隔情報は、「sh_count=2」となっている。このため、制御部252は、これから読み取りを行う原稿のページ数(p_count_sw)は、間隔情報で示される「sh_count=2」、又は、間隔情報で示される「sh_count=2」の倍数となったか否かを判別する(ステップS26)。
【0113】
すなわち、この例は、原稿の読み取りを2ページ行う毎にシェーディング補正を実行する例である(sh_count=2)。このため、制御部252は、光源の切り替えを実行後の、これから読み取りを行う原稿のページ数(p_count_sw)が、「p_count_sw=2」となった際、及び、「p_count_sw=4」又は「p_count_sw=6」等の、「p_count_swの倍数」となったか否かを判別する(ステップS26)。
【0114】
光源の切り替えを実行後に、これから読み取りを行う原稿のページ数(p_count_sw)が、間隔情報で示される「sh_count=2」の倍数になっていないということは(ステップS26:No)、シェーディング補正を実行するタイミングでは無いことを意味する。この場合、ステップS15及びステップS16で読み取られた原稿の画像データには、シェーディング補正処理が施されることなく出力される。制御部252は、ステップS27において、画像形成を行うページ(p_count=1)」、及び、光源の切り替えを実行後に、これから読み取りを行う原稿のページ数(p_count_sw)を、それぞれ「1」インクリメントして、ステップS2に処理を戻す。
【0115】
これに対して、光源の切り替えを実行後に、これから読み取りを行う原稿のページ数(p_count_sw)が、間隔情報で示される「sh_count=2」の倍数になったということは(ステップS26:Yes)、シェーディング補正を実行するタイミングになったことを意味する。この場合、制御部252は、ステップS12~ステップS15で白主走査分布データ及び黒主走査分布データを取得する。そして、制御部252は、読み取られた原稿の画像データに対して、白色及び黒色のシェーディング補正処理を施す。
【0116】
これにより、原稿の連続読取時において、ユーザが指定した間隔(読み取り枚数毎)で、シェーディング補正処理を間欠的に実行できる。このため、複数の原稿の読み取りを完了するまでに要する時間を、シェーディング補正処理を間欠的に行う分、短縮化することができ、画像の生産性の向上を図ることができる。
【0117】
[第6の実施の形態]
次に、第6の実施の形態の画像形成装置の説明をする。上述の第5の実施の形態は、第1の光源(白色光)261及び第2の光源(赤外光)262を排他的に点灯制御して間欠的なシェーディング補正を実行する例であった。これに対して、第6の実施の形態の画像形成装置は、第1の光源(白色光)261及び第2の光源(赤外光)262を同時に点灯制御して間欠的なシェーディング補正を実行する例である。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第6の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、差異の説明のみ行い、重複説明を省略する。
【0118】
この例の場合、まず、制御部252は、第1の光源(白色光)261及び第2の光源(赤外光)262を同時に点灯制御する。原稿搬送読取(連続読取)を行う場合、制御部252は、処理をステップS24に進め、メモリ265に記憶されている設定情報に基づいて、シェーディング補正を連続的に行うか、又は、間欠的に行うかを判別する。設定情報により、シェーディング補正を連続的に行うことが指定されている場合(ステップS24:Yes)、制御部252は、ステップS12~ステップS15で、図16等を用いて説明したように、白主走査分布データ及び黒主走査分布データを取得し、読み取られた原稿の画像データに対して、白色及び黒色のシェーディング補正処理を施す。
【0119】
これに対して、シェーディング補正を間欠的に行うことが指定されている場合(ステップS24:No)、制御部252は、これから読み取りを行う原稿は、連続読取を行う複数の原稿のうち、1ページ目の原稿であるか否かを判別する(p_count_sw=1?)。
【0120】
これから読み取りを行う原稿が、1ページ目の原稿である場合、制御部252は、ステップS12~ステップS15で、図16等を用いて説明したように、白主走査分布データ及び黒主走査分布データを取得し、読み取られた原稿の画像データに対して、白色及び黒色のシェーディング補正処理を施す。
【0121】
これに対して、これから読み取りを行う原稿が、1ページ目以降の原稿である場合(ステップS25:No)、ステップS26に処理が進む。ステップS26では、制御部252が、メモリ265に記憶されている間隔情報に基づいて、シェーディング補正を行う間隔を認識する。例えば2ページ毎にシェーディング補正を行うように、ユーザにより指定された場合、メモリ265に記憶されている間隔情報は、「sh_count=2」となっている。このため、制御部252は、これから読み取りを行う原稿のページ数(p_count_sw)は、間隔情報で示される「sh_count=2」、又は、間隔情報で示される「sh_count=2」の倍数となったか否かを判別する(ステップS26)。
【0122】
すなわち、この例は、原稿の読み取りを2ページ行う毎にシェーディング補正を実行する例である(sh_count=2)。このため、制御部252は、光源の切り替えを実行後の、これから読み取りを行う原稿のページ数(p_count_sw)が、「p_count_sw=2」となった際、及び、「p_count_sw=4」又は「p_count_sw=6」等の、「p_count_swの倍数」となったか否かを判別する(ステップS26)。
【0123】
これから読み取りを行う原稿のページ数(p_count_sw)が、間隔情報で示される「sh_count=2」の倍数になっていないということは(ステップS26:No)、シェーディング補正を実行するタイミングでは無いことを意味する。この場合、ステップS15及びステップS16で読み取られた原稿の画像データには、シェーディング補正処理が施されることなく出力される。制御部252は、ステップS27において、画像形成を行うページ(p_count=1)」、及び、これから読み取りを行う原稿のページ数(p_count_sw)を、それぞれ「1」インクリメントして、ステップS2に処理を戻す。
【0124】
これに対して、光源の切り替えを実行後に、これから読み取りを行う原稿のページ数(p_count_sw)が、間隔情報で示される「sh_count=2」の倍数になったということは(ステップS26:Yes)、シェーディング補正を実行するタイミングになったことを意味する。この場合、制御部252は、ステップS12~ステップS15で白主走査分布データ及び黒主走査分布データを取得する。そして、制御部252は、読み取られた原稿の画像データに対して、白色及び黒色のシェーディング補正処理を施す。
【0125】
これにより、光源の同時点灯及び原稿の連続読取時において、ユーザが指定した間隔(読み取り枚数毎)で、シェーディング補正処理を間欠的に実行できる。このため、複数の原稿の読み取りを完了するまでに要する時間を、シェーディング補正処理を間欠的に行う分、短縮化することができ、画像の生産性の向上を図ることができる。
【0126】
最後に、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。
【0127】
例えば、上述の実施の形態の説明では、光源として、可視光及び赤外光を設けると共に、可視光用のラインセンサ263R、263G、263B及び赤外光用のラインセンサ263NIRを設けることとした。しかし、赤外光の代りに紫外光を用い、赤外光用のラインセンサ263NIRの代りに、1nm~400nmの波長の紫外光を受光可能な紫外光用のラインセンサを設けてもよい。また、例えば赤色光(R)及び青色光(B)等のように、それぞれ異なる波長域の2つの可視光を用いてもよい。
【0128】
このような実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0129】
1 コンタクトガラス
2 光源
6 第1のキャリッジ
7 第2のキャリッジ
9 イメージセンサ
11 基準部材
13 スリットガラス
101 画像読取装置
102 自動原稿搬送装置(ADF)
103 給紙部
104 画像形成装置本体
105 作像部
109 光書き込み装置
110 定着搬送部
111 両面トレイ
112 感光体ドラム
113 中間転写ベルト
200 操作部
201 ファクシミリ通信部(FAX部)
202 スキャナ部
203 印刷部
250 読取部
251 画像処理部
252 制御部
261 第1の光源(白色光)
262 第2の光源(赤外光)
264 カウンタ部
265 メモリ
266 光源制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【文献】特開平05-334489号公報
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