(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】搬送装置、塗布装置、印刷装置、装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240925BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20240925BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240925BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
B65H5/38
B65H5/06
B41J11/42
(21)【出願番号】P 2020128923
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019203604
(32)【優先日】2019-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】下島 一浩
(72)【発明者】
【氏名】松島 功
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-327170(JP,A)
【文献】特開2015-190990(JP,A)
【文献】特開2018-081269(JP,A)
【文献】特開2009-139438(JP,A)
【文献】特開2011-195277(JP,A)
【文献】特開平09-301602(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0274995(US,A1)
【文献】特開平08-245062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 5/38
B65H 31/00-31/40
B41J 11/00-11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の上面に、シート材を受けるトレイ部が設けられ、
前記トレイ部の下方に前記シート材が搬送される搬送路が配置され、
前記トレイ部と前記搬送路を構成する上案内部材とは一体で移動可能であり、
前記トレイ部と前記上案内部材を一体で移動することで前記搬送路が開放され
、
前記トレイ部と前記上案内部材を一体にしたトレイユニットを備え、
前記トレイユニットは、後側を回動支点として前側を上下方向に移動可能であり、
前記トレイユニットの後方には、装置の後方側フレームが配置され、
前記トレイユニットの後面と前記後方側フレームとの間に隙間が設けられ、
前記トレイユニットの前側を持ち上げたときに前記後方側フレームとの間に段差が形成される
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記トレイ部と前記上案内部材とは上方に回動可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記トレイ部と前記上案内部材とを上方に回動した状態を保持する手段を備えている
ことを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記シート材のジャムを検知する検知手段を備え、
前記検知手段でジャムが検知されたとき、前記搬送路にある前記シート材の搬送を停止し、前記搬送路よりも下流側にある前記シート材を前記トレイ部に排出する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし
4のいずれかに記載の搬送装置と、
前記シート材に対して塗布液を塗布する塗布手段と、を備えている
ことを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
請求項1ないし
4のいずれかに記載の搬送装置、又は、請求項
5に記載の塗布装置を備えている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
装置本体の上面に、シート材を受けるトレイ部が設けられ、
前記トレイ部の下方に前記シート材が搬送される搬送路が配置され、
前記トレイ部と前記搬送路を構成する上案内部材とは一体で移動可能であり、
前記トレイ部と前記上案内部材を一体で移動することで前記搬送路が開放される搬送装置と、
前記搬送装置に前記シート材を送り込む上流側の装置と、を備え、
前記上流側の装置の上面が前記トレイ部を延長する延長トレイ部を構成している
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
前記上流側の装置は、前記延長トレイ部の下方に前記シート材が搬送される搬送路が配置され、
前記延長トレイ部と前記延長トレイ部の下方の前記搬送路を構成する上案内部材とは一体で移動可能であり、
前記延長トレイ部の前記上案内部材を移動することで前記延長トレイ部の下方の搬送路が開放される
ことを特徴とする請求項
7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は 搬送装置、塗布装置、印刷装置、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート材を搬送する装置において、装置内でシート材のジャムが発生したときに、装置内に残存するシート材の内のジャムを生じていないシート材をパージ用のトレイ部に排出する装置がある。
【0003】
従来、装置の上面などに複数のパージ先を有し、ユーザによって指定されたパージ先にシート材を搬送するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、搬送路内に残存するシート材を取り除くための構成が大型化するという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、搬送路内に残存するシート材を容易に除去できるようにすることを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る搬送装置は、
装置本体の上面に、シート材を受けるトレイ部が設けられ、
前記トレイ部の下方に前記シート材が搬送される搬送路が配置され、
前記トレイ部と前記搬送路を構成する上案内部材とは一体で移動可能であり、
前記トレイ部と前記上案内部材を一体で移動することで前記搬送路が開放され、
前記トレイ部と前記上案内部材を一体にしたトレイユニットを備え、
前記トレイユニットは、後側を回動支点として前側を上下方向に移動可能であり、
前記トレイユニットの後方には、装置の後方側フレームが配置され、
前記トレイユニットの後面と前記後方側フレームとの間に隙間が設けられ、
前記トレイユニットの前側を持ち上げたときに前記後方側フレームとの間に段差が形成される
構成とした。
【0008】
本発明によれば、搬送路内に残存するシート材を容易に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の概略説明図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における本発明に係る搬送装置を含む塗布装置の側面説明図である。
【
図4】同塗布装置の作用説明に供する斜視説明図である。
【
図5】比較例1に係る塗布装置の外観斜視説明図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る装置の説明図である。
【
図9】同じくトレイユニットを開いた状態の斜視説明図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る搬送装置の説明図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係る塗布装置の外観斜視説明図である。
【
図13】本発明の第5実施形態に係る塗布装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る印刷装置について
図1を参照して説明する。
図1は同印刷装置の概略説明図である。
【0011】
印刷装置1は、シート材Pを搬入する搬入部10と、前処理部20と、印刷部30と、乾燥部40と、搬出部50と、反転機構部60を備えている。前処理部20は本発明に係る搬送装置を含む本発明に係る塗布装置で構成している。
【0012】
印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Pに対し、前処理手段である前処理部20で必要に応じて前処理液を付与(塗布)し、印刷部30で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部40でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、シート材Pを搬出部50に排出する。
【0013】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。
【0014】
前処理部20は、例えばインクの色材を凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液(塗布液)をシート材Pの印刷面に付与(塗布)する塗布手段としての塗布部201などを備えている。
【0015】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転体)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0016】
また、印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0017】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0018】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0019】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0020】
液体吐出部32は、液体吐出手段である吐出ユニット33(33A~33D)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出を行う吐出ユニットを使用することもできる。
【0021】
吐出ユニット33は、例えば、
図2に示すように、複数のノズル104を配列したノズル列を複数列有する複数の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)100をベース部材331に千鳥状に配置したフルライン型ヘッドである。
【0022】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0023】
乾燥部40は、印刷部30でシート材P上に付着した液体を乾燥させる。これにより、液体中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールが抑制される。
【0024】
反転機構部60は、乾燥部40を通過したシート材Pに対して両面印刷をおこなうときに、スイッチバック方式で、シート材Pを反転する機構であり、反転されたシート材Pは印刷部30の搬送経路61を通じて渡し胴34よりも上流側に逆送される。
【0025】
搬出部50は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ51を備えている。乾燥部40から反転機構部60を介して搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ51上に順次積み重ねられて保持される。
【0026】
なお、本実施形態では印刷手段が液体吐出手段を備える例で説明しているが、液体吐出以外の手段、例えば電子写真方式で印刷を行う印刷装置にも適用できる。
【0027】
次に、本発明の第1実施形態における本発明に係る搬送装置を含む塗布装置について
図2を参照して説明する。
図2は印刷装置の塗布部を構成している同塗布装置の側面説明図である。
【0028】
塗布装置200は、シート材Pに塗布液である処理液211を塗布して付与する塗布手段としての塗布部201と、上流側搬送経路202と、下流側搬送経路203と、反転搬送経路204と、直進搬送経路205などを備えている。
【0029】
塗布部201は、処理液211を収容した処理液収容槽(供給パン)212と、処理液211を汲み上げる汲み上げローラ213と、シート材Pに処理液211を塗布する塗布ローラ214を備えている。また、塗布部201は、塗布ローラ214に対向する加圧ローラ215を備えている。
【0030】
この塗布部201は、汲み上げローラ213で処理液211を汲み上げ、塗布ローラ214の周面に液膜を形成する。そして、上流側搬送ローラ対223と下流側搬送ローラ対231で搬送されるシート材Pが塗布ローラ214と加圧ローラ215のニップ部を通過することで、シート材Pに処理液211を塗布する。
【0031】
上流側搬送経路202は、塗布装置200に送られてきたシート材Pを塗布部201に向けて搬送する経路である。上流側搬送経路202には、シート材Pを搬送する複数の搬送ローラ対221と、複数の搬送ローラ対222とが配置され、塗布部201の手前の上流側搬送ローラ対223にシート材Pを送り込む。
【0032】
下流側搬送経路203は、塗布部201で処理液211が塗布されたシート材Pを下流側の印刷部30に向けて搬送する経路である。下流側搬送経路203には、塗布部201の直後の下流側搬送ローラ対231から送り出されるシート材Pを搬送する複数のローラ対232と、下段の装置(本実施形態では印刷部30)に搬送する複数の搬送ローラ対233が配置されている。
【0033】
反転搬送経路204は、シート材Pの両面に処理液211を塗布するときに、分岐爪206を介して、下流側搬送経路203の途中から、一面に処理液211が塗布されたシート材Pを受け入れる。そして、反転搬送経路204は、シート材Pを反転して、再度、上流側搬送ローラ対223に向けて送る経路である。
【0034】
反転搬送経路204には、複数の搬送ローラ対241と、複数の搬送ローラ242と、パージを行うときの排出ローラ対243が配置されている。
【0035】
直進搬送経路205は、搬入部10から送られてくるシート材Pに塗布部201で処理液211を塗布しないでそのまま下流側搬送経路203の途中で合流させる経路である。なお、塗布部201として、塗布しない状態をとれるときには、直進搬送経路205を別途設けないで、上流側搬送経路202から下流側搬送経路203を通じて処理液211を付与しないシート材Pを搬送する構成とすることもできる。
【0036】
また、上流側搬送経路202、塗布部201の入口側及び出口側、下流側搬送経路203、反転搬送経路204、排出ローラ243の近傍などには、それぞれシート材Pを検知する検知手段280(一部の符号の付記は省略している。)が配置されている。
【0037】
これらの検知手段280によって所定のタイミングでシート材Pが滞留していること、あるいは、シート材Pが到達しないことを検知したときにシート材Pのジャムが発生したと判断する。
【0038】
次に、本実施形態に係る塗布装置におけるパージに関する構成について
図3も参照して説明する。
図3は同塗布装置の外観斜視説明図である。
【0039】
塗布装置200の装置本体(筐体)250の上面には、シート材Pを受けるトレイ部251を設けている。トレイ部251には、装置本体250の開口部252を通じて排出ローラ243から例えばパージされるシート材Pが排出される。なお、トレイ部251には、反転を行うときにシート材Pの一部を排出する構成とすることもできる。
【0040】
トレイ部251の下方には、前述した上流側搬送経路202を構成する一部の搬送路202aが配置されている。この搬送路202aは、複数の搬送ローラ対221で構成される。搬送ローラ対221は、上案内部材である上ローラ221aと下案内部材である下ローラ221bで構成される。
【0041】
ここで、トレイ部251と下方の搬送路202aの上案内部材である搬送ローラ対221の各上ローラ221aとは一体のトレイユニット260として構成している。
【0042】
なお、
図3では上ローラ221aがトレイユニット260の前面に見える状態で図示しているが、これは説明のためであって、上ローラ221aはトレイユニット260内に収容されている。
【0043】
そして、トレイユニット260は、装置本体250に対して、後側を支持側として、前側を上方向に移動可能に設けている。ここでは、トレイユニット260の後側が装置本体250に回動可能に支持されている。
【0044】
また、トレイユニット260の開放状態を保持する手段としてのダンパ261を装置本体250との間に介装している。
【0045】
装置本体250の前面には、左前扉271と右前扉272とが開閉可能に設けられている。左前扉271には表示パネル273が設けられている。
【0046】
次に、塗布装置200の作用について
図4も参照して説明する。
図4は同作用説明に供する塗布装置の斜視説明図である。
【0047】
塗布装置200の搬送路202aでシート材Pのジャムが発生したときには、塗布装置200の制御部は、例えば、搬送路202aのシート材Pはそのまま停止し、他の位置にあるシート材P(塗布部201を通過済みのシート材P)は、
図3に示すように、トレイ部251上にまとめて排出させる制御をする。
【0048】
その後、制御部は、塗布装置200の左前扉271に設けられている表示パネル273等によりユーザにジャムの発生を通知する。
【0049】
このとき、ユーザは、
図4(a)に示すように、トレイ部251上に排出されたシート材Pを取り除いた後、トレイユニット260の前側を矢印A方向に持ち上げて回動(移動)することで、搬送路202aを開放できる。これにより、搬送路202aで停止しているシート材Pを取り除いてジャムを解消する。
【0050】
このように、トレイユニット260(トレイ部251と上ローラ221aを一体にした部材)を回動(移動)操作するだけで、トレイ部251の下方の搬送路202aを開放することができ、ジャム処理が容易になる。
【0051】
また、本実施形態では、ジャム発生後にトレイ部251及び直下の搬送路202aにすべてのシート材Pが集約されており、トレイ部251(トレイユニット260)を回動操作するだけで、ジャム除去処理を行うことができる。これにより、シート材Pを除去する作業を容易に行うことができる。
【0052】
ここで、比較例1について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は同比較例1に係る塗布装置の外観斜視説明図、
図6は同じく斜視説明図である。
【0053】
この比較例1では、トレイ部251の下方の搬送路202aの下ローラ221bをユニット290として矢印B方向に移動可能としている。
【0054】
これにより、ジャムが発生したときには、例えば
図6(a)に示す状態から
図6(b)に示すように、ユニット290の前側を下方向(矢印B方向)に下げることで、搬送路202aを開放する構成としている。
【0055】
このような構成では、搬送路202aの下側にユニット290を移動させるためのスペース291を確保しなければならず、装置が大型化し、また、搬送路202a内の視認性が悪くなる。
【0056】
これに対し、本実施形態では、
図4(b)に示すように、搬送路202aの下側に不要なスペースを確保する必要がなく、大型化を抑制することができ、また、
図4(a)に示すように、トレイユニット260が上方に移動することで、開放された搬送路202aの視認性も良くなる。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態について
図7ないし
図9を参照して説明する。
図7は同実施形態に係る装置の説明図、
図8は同じく外観斜視説明図、
図9はトレイユニットを開いた状態の斜視説明図である。
【0058】
本実施形態の装置800は、前記第1実施形態で説明した塗布装置200(前処理部20)と、塗布装置200にシート材Pを送る上流の装置である搬入装置100(搬入部10に相当する)とで構成されている。
【0059】
塗布装置200は、搬送路202aの搬送ローラ対221を2つにしている点を除いて前記第1実施形態と同様である。
【0060】
搬入装置100は、塗布装置200のトレイ部251を延長する延長トレイ部151を有し、延長トレイ部151の下方にシート材Pが搬送される搬送路102が配置されている。
【0061】
搬送路102には搬送ローラ対121が配置され、搬送ローラ対121は上案内部材となる上ローラ121aと下案内部材となる下ローラ121bとで構成されている。
【0062】
そして、延長トレイ部151と下方の搬送路102の上ローラ121aとは一体にしてトレイユニット160を構成し、装置本体150に移動(回動)可能に保持されている。
【0063】
これにより、トレイユニット160を回動操作することで、延長トレイ部151と下方の搬送路102を開放できる。
【0064】
このように構成したので、
図8に示すように塗布装置200をはみ出すシート材Pもトレイ部251と延長トレイ部151上に排出できる。
【0065】
また、前記第1実施形態と同様に、
図9に示すように、搬送路202aと搬送路102に跨がって残存するジャムを生じたシート材Pを容易に除去できる。
【0066】
次に、本発明の第3実施形態について
図10を参照して説明する。
図10は同実施形態に係る搬送装置の説明図である。
【0067】
搬送装置900は、装置本体950の上面にシート材Pを受けるトレイ部951を備えている。トレイ部951の下方にはシート材Pを矢印方向に搬送する搬送路902が配置されている。
【0068】
搬送路902には搬送ローラ対921が配置され、搬送ローラ対921は上案内部材となる上ローラ921aと下案内部材となる下ローラ921bとで構成されている。
【0069】
そして、トレイ部951と下方の搬送路902の上ローラ921aとは一体にしてトレイユニット960を構成し、装置本体950に移動(回動)可能に保持されている。
【0070】
また、搬送路902からシート材Pをトレイ部951に搬送する搬送路905を有している。
【0071】
これにより、トレイユニット960を回動操作することで、下方の搬送路902を開放できるので、前記第1実施形態と同様に、搬送路902に残存するシート材Pを容易に除去できる。
【0072】
次に、本発明の第4実施形態について
図11及び
図12を参照して説明する。
図11は同実施形態に係る塗布装置の外観斜視説明図、
図12は同じく作用説明に供する説明図である。
【0073】
本実施形態において、トレイ部と上案内部材を一体にしたトレイユニット260の前側には、外装となる前カバー262を備えている。前カバー262は、右前扉272と前面側を面一にするカバーであるとともに、上ローラ221aなどを覆っている。
【0074】
トレイユニット260のトレイ部251のリア面(後面)260a側にはトレイユニット260を回動自在に支持するヒンジ部263を備えている。これにより、トレイユニット260はヒンジ部263を回動支点として前側を上下方向に移動可能となり、トレイユニット260の前側を持ち上げることで搬送路を開放する。
【0075】
そして、トレイユニット260の後方側にはリア側フレーム(後側フレーム)275が配置される。このとき、トレイユニット260のリア面260aとリア側フレーム275との間には、隙間276を設けている。
【0076】
このように構成したので、
図12(a)に示す状態から
図11及び
図12(b)に示すように、トレイユニット260の前側を矢印A方向に持ち上げて、ヒンジ部263を支点として回動させることで、搬送路202aを開放することができる。
【0077】
このとき、トレイユニット260のトレイ部251は、
図11及び
図12(b)に示すように、ヒンジ部263側が下になるように傾斜することになる。そのため、トレイ部Pにシート材Pが載ったままであると、シート材Pはリア側に滑ることになる。
【0078】
ここで、
図12(b)で示すように、隙間276があることで、滑るシート材Pの後端がトレイユニット260のリア面260aとリア側フレーム275との間の段差部277当たり、シート材Pは落下しない。
【0079】
このようにして、トレイユニット260を開けたときに、シート材Pがトレイ部251に残っていても、トレイ部251から脱落することを防止できる。
【0080】
次に、本発明の第5実施形態について
図13及び
図14を参照して説明する。
図13は同実施形態に係る塗布装置の説明図、
図14は同じく作用説明に供する説明図である。
【0081】
本実施形態では、トレイユニット260の前カバー262は、断面L字形状をなし、ヒンジ部264にて、実線図示の開位置と破線図示の閉位置との間で上下方向に移動可能(回動可能)に支持している。
【0082】
また、トレイユニット260の前面側に操作部材としてラッチ解除/セット用の操作ハンドル265を設けている。ここで、操作ハンドル265の長さ(トレイユニット260のトレイ部251のフロント面260bからの突き出し量)は、前カバー262を閉じた状態で前カバー262内に収容される長さとしている。
【0083】
このように、前カバー262を開閉可能とすることにより、操作ハンドル265の長さを前カバー260内に収まる長さにすることができ、操作ハンドル265の長さを短くできる。
【0084】
ここで、比較例2について
図15を参照して説明する。
図15は同比較例2の説明図である。
【0085】
比較例2では、前カバー262をトレイ部251と一体化している。
【0086】
この場合、操作ハンドル265の長さは前カバー262から突き出す長さにしなければならない。そのため、比較例2では、本実施形態に比べて、操作ハンドル265の長さが長くなり、また、その結果、操作ハンドル265が撓んで解除/セットができなくなるおそれがある。
【0087】
また、本実施形態では、
図14に示すように、トレイユニット260を上方に回動させて搬送路202aを開放するとき、前カバー262も上方に開放することができる。つまり、トレイユニット260も前カバー262もいずれも上下方向に移動可能としている。
【0088】
これにより、前カバー262がトレイユニット260と一体である比較例2においては視線bまでしか視認できないのに対し、本実施形態では視線aまで視認することができ、より奥まで搬送路202aを視認することができる。したがって、ジャムしたシート材Pを取り除き易くなる。
【符号の説明】
【0089】
1 印刷装置
10 搬入部
20 前処理部
30 印刷部
40 乾燥部
50 搬出部
31 ドラム
32 液体付与部
100 搬入装置(上流の装置)
102 搬送路
121a 上ローラ(上案内部材)
150 装置本体
151 延長トレイ部
160 トレイユニット
200 塗布装置
201 塗布部
202 上流側搬送経路
202a 搬送路
203 下流側搬送経路
204 反転搬送経路
221 搬送ローラ対
221a 上ローラ(上案内部材)
250 装置本体
251 トレイ部
260 トレイユニット
275 リア側フレーム
800 装置
900 搬送装置
902 搬送路
950 装置本体
951 トレイ部
960 トレイユニット