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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】シロキサンポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/18 20060101AFI20240925BHJP
   C08G 77/44 20060101ALI20240925BHJP
   C08G 77/50 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C08G77/18
C08G77/44
C08G77/50
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020199317
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087402
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 和也
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-116462(JP,A)
【文献】特開平08-012761(JP,A)
【文献】特開2017-014320(JP,A)
【文献】特開2014-208615(JP,A)
【文献】特開2020-090572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)および(2)で表される繰り返し単位を有し、左右両末端が(3L’)および(3R’)、(4L)および(4R)、または(4L’)および(4R’)で表される末端基の組み合わせである、シロキサンポリマー。




3L’)、(4L)および(4L’)は、シロキサンポリマー全体を構造式で表した場合に、式(1)または式(2)で表される繰り返し単位の左側に結合する末端基を表し、式3R’)、(4R)および(4R’)は、同様に式(1)または式(2)で表される繰り返し単位の右側に結合する末端基を表し;
式中、Rは、独立して、炭素数6~20のアリール又は炭素数5~6のシクロアルキルを表し
およびRは、独立して、素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、は炭素数1~40のアルキルを表し
は、独立して、素数1~40のアルキルを表し;
は、炭素数1~40のアルキレン表し
は、独立して、炭素数1~40のアルキルを表し;
aおよびbはそれぞれ独立して1以上の実数を表し;
*は結合位置を表す。)
【請求項2】
が独立してフェニル又は、シクロヘキシルである請求項1に記載のシロキサンポリマー。
【請求項3】
が独立してメチル又は、フェニルである請求項1または2に記載のシロキサンポリマー。
【請求項4】
が独立してメチル又は、フェニルである請求項1~3のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【請求項5】
下記式6)で表される、請求項1に記載のシロキサンポリマー。


式中は、独立して、素数1~40のアルキルを表し;
mは1以上の実数を表し、nおよびn’はそれぞれ独立して0以上の実数を表すが、nおよびn’の少なくとも1つは1以上の実数である。
【請求項6】
下記式(5’)または(6’)で表される、請求項1~4のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー


式中、Rは、独立して、素数1~40のアルキルを表し;
は、独立して、素数1~40のアルキルを表し;
mは1以上の実数を表し、nおよびn’はそれぞれ独立して0以上の実数を表すが、nおよびn’の少なくとも1つは1以上の実数である。
【請求項7】
が独立してメチル又はエチルである、請求項1~6のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【請求項8】
9が独立してメチル又はエチルである、請求項1~4、6およびのいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【請求項9】
nが1~30の実数であり、n’が0~30の実数であり、mがシロキサンポリマーの重量平均分子量2,000~10,000,000を満たす数字である、請求項1~のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサンポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
籠型構造を有するシルセスキオキサンを含むポリマーは、特異な構造を有し、またそれによる特異な効果が期待されるため、様々な分野から注目されている。このようなシルセスキオキサン骨格を含むポリマーには、シルセスキオキサン骨格を主鎖に含むケイ素系重合体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、籠型構造を有するシルセスキオキサン骨格を主鎖に含むケイ素化合物に架橋性官能基を導入して架橋ポリマーとすることにより耐熱性に優れるシリコーン膜が開発されている(特許文献2)。
【0003】
シランカップリング剤は、基材の表面の親撥液性を変化させ、両基材の相溶性や接着性を高めたり、有機成分と無機成分のハイブリッド材料を形成し、各種特性を向上させたり、有機樹脂中への無機成分の分散性を向上させることができるため、幅広い分野で応用されている。しかし、従来のシランカップリング剤では耐熱性が不足しており、使用用途が限られていた。そこで、高温で使用できる耐熱性シランカップリング剤が待望されていた。耐熱性シランカップリング剤として、例えば、重合性液晶化合物から誘導したエポキシ樹脂(特許文献3)、シアヌル酸骨格を有する化合物(特許文献4)、ビフェニルアルキル鎖を有する化合物(特許文献5)が提案されている。しかし、これらのシランカップリング剤では、絶縁材料や高温プロセスを必要とする電子材料等の場合には耐熱性が不十分であった。そのため高温(特に400℃以上)で使用できる耐熱性シランカップリング剤が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-33307号公報
【文献】特開2010-116464号公報
【文献】特開2017-155009号公報
【文献】特公表2012-509979号公報
【文献】国際公開2008/108438号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、シランカップリング剤として極めて高い耐熱性を有するシルセスキオキサン構造含有高分子化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、かご状シルセスキオキサンと鎖状シロキサンを交互に結合した共重合体の末端部にトリアルコキシシリル基を有するシロキサンポリマーが極めて高い耐熱性を有するデュアルサイト型シランカップリング剤として使用できることを見いだし、本発明を完成させた。本発明は、以下の構成を含む。
【0007】
[1] 式(1)および(2)で表される繰り返し単位を有し、左右両末端が、式(3L)および(3R)、(3L’)および(3R’)、(4L)および(4R)、または(4L’)および(4R’)で表される末端基の組み合わせである、シロキサンポリマー。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
式(3L)、(3L’)、(4L)および(4L’)は、シロキサンポリマー全体を構造式で表した場合に、式(1)または式(2)で表される繰り返し単位の左側に結合する末端基を表し、式(3R)、(3R’)、(4R)および(4R’)は、同様に式(1)または式(2)で表される繰り返し単位の右側に結合する末端基を表し;
式中、Rは、独立して、炭素数6~20のアリール又は炭素数5~6のシクロアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール及び前記炭素数5~6のシクロアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく;
およびRは、独立して、水素原子、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し、
前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキル及び前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、
前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、任意の水素原子がフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-、-CH=CH-、又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、
前記炭素数1~40のアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数2~40のアルキルを表し;
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
は、炭素数1~40のアルキレンまたは炭素数6~20のアリーレンを表し、前記炭素数1~40のアルキレンは、任意の-CH-が独立して-O-、フェニレン又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
aおよびbはそれぞれ独立して1以上の実数を表し;
*は結合位置を表す。)
【0014】
[2] Rが独立してフェニル又は、シクロヘキシルである上記[1]項に記載のシロキサンポリマー。
【0015】
[3] Rが独立してメチル又は、フェニルである上記[1]または[2]項に記載のシロキサンポリマー。
【0016】
[4] Rが独立してメチル又は、フェニルである上記[1]~[3]項のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【0017】
[5] 下記式(5)または(6)で表される、上記[1]項に記載のシロキサンポリマー。
【0018】
【0019】
【0020】
式中、Rは、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数2~40のアルキルを表し;
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
mは1以上の実数を表し、nおよびn’はそれぞれ独立して0以上の実数を表すが、nおよびn’の少なくとも1つは1以上の実数である。
【0021】
[6] 下記式(5’)または(6’)で表される、上記[1]~[4]項のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。に記載のシロキサンポリマー。
【0022】
【0023】
【0024】
式中、Rは、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
mは1以上の実数を表し、nおよびn’はそれぞれ独立して0以上の実数を表すが、nおよびn’の少なくとも1つは1以上の実数である。
【0025】
[7] Rが独立してエチルである、上記[1]~[5]項のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【0026】
[8] Rが独立してメチル又はエチルである、上記[1]~[6]項のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【0027】
[9] R9が独立してメチル又はエチルである、上記[1]~[4]、[6]および[8]項のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【0028】
[10] nが1~30の実数であり、n’が0~30の実数であり、mがシロキサンポリマーの重量平均分子量2,000~10,000,000を満たす数字である、上記[1]~[9]項のいずれか1項に記載のシロキサンポリマー。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、極めて高い耐熱性を有するデュアルサイト型シロキサンポリマーを提供することができる。また該シロキサンポリマーをシランカップリング剤として提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に何ら限定されない。また、本発明の実施態様は適宜組み合わせることもできる。
【0031】
なお、本明細書で用いる用語は、次のように定義される。アルキルおよびアルキレンは、いずれの場合も直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。このことは、これらの基において任意の水素がハロゲンや環式の基などと置き換えられた場合も、任意の-CH-が-O-、-CH=CH-、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、フェニレンなどで置き換えられた場合も同様である。本発明で用いる「任意の」は、位置のみならず個数も任意であることを示す。そして、個数が複数であるときには、それぞれ異なる基で置き換えられてもよい。例えば、アルキルにおいて2個の-CH-が-O-と-CH=CH-で置き換えられる場合には、アルコキシアルケニル又はアルケニルオキシアルキルを示すことになる。この場合のアルコキシ、アルケニレン、アルケニルおよびアルキレンのいずれの基も、直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。但し、任意の-CH-が-O-で置き換えられると記述するときには、連続する複数の-CH-が-O-で置き換えられることはない。すなわち、例えば、-CH-CH-が-O-O-に置き換えられることはない。
【0032】
次に、本発明の一実施形態に係るシロキサンポリマーは、式(1)および(2)で表される繰り返し単位を有し、左右両末端が(3L)および(3R)、(3L’)および(3R’)、(4L)および(4R)、(4L’)および(4R’)で表される末端基の組み合わせである。なお、「左右両末端」とは、本発明のシロキサンポリマーを構造式で表した場合の表現である。
【0033】
【0034】

【0035】
【0036】
【0037】
式(3L)、(3L’)、(4L)および(4L’)は、式の左側に結合する末端基を表し、式(3R)、(3R’)、(4R)および(4R’)は右側に結合する末端基を表し;
式中、Rは、独立して、炭素数6~20のアリール又は炭素数5~6のシクロアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール及び前記炭素数5~6のシクロアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく;
、RおよびRは、独立して、水素原子、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し、
前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキル及び前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、
前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、任意の水素原子がフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-、-CH=CH-、又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、
前記炭素数1~40のアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数2~40のアルキルを表し;
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
は、炭素数1~40のアルキレンまたは炭素数6~20 のアリーレンを表し、前記炭素数1~40のアルキレンは、任意の-CH-が独立して-O-、フェニレン又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
は、独立して、水素原子、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
aは1以上の実数、bは2以上の実数を表し;
*は結合位置を表す。)
【0038】
(Rの好ましい例)
は、独立して、炭素数6~20のアリール又は炭素数5~6のシクロアルキルを表す。
炭素数6~20のアリールとしては、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニルなどがあげられる。これらの中では、フェニル、ナフチル、アントリル、およびフェナントリルが好ましく、フェニル、ナフチルおよびアントリルがより好ましい。
炭素数5~6のシクロアルキルとしては、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
前記炭素数6~20のアリール及び前記炭素数5~6のシクロアルキルは、任意の水素原子が独立してハロゲン原子フッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよい。ハロゲン原子としては、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、より好ましくは、フッ素原子である。
は、好ましくは、フェニル又はシクロヘキシルである。
【0039】
(R、R、Rの好ましい例)
、RおよびRは、独立して、水素原子、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表す。炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキルは、Rで説明したものと同様のものが挙げられる。
炭素数7~40のアリールアルキルとしては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチルが挙げられる。
炭素数1~40のアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、iso-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、オクタデシルが挙げられる。
前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキル及び前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、任意の水素原子が独立してハロゲン原子フッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、任意の水素原子がハロゲン原子フッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-、-CH=CH-、又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、前記炭素数1~40のアルキルは、任意の水素原子が独立してハロゲン原子フッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。
、RおよびRは、好ましくは、水素原子、フェニル、シクロヘキシル、及び炭素数1~5のアルキルから選ばれ、より好ましくは、炭素数1~5のアルキルから選ばれる。
【0040】
(Rの好ましい例)
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数2~40のアルキルを表し;
炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキルは、Rで説明したものと同様のものが挙げられる。
炭素数7~40のアリールアルキルとしては、R、RおよびRで説明したものと同様のものが挙げられる。
炭素数2~40のアルキルとしては、例えば、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、iso-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、オクタデシルが挙げられる。
は、好ましくは、エチルである。
【0041】
(Rの好ましい例)
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキルは、Rで説明したものと同様のものが挙げられる。
炭素数7~40のアリールアルキルとしては、R、RおよびRで説明したものと同様のものが挙げられる。
炭素数1~40のアルキルとしては、R、RおよびRで説明したものと同様のものが挙げられる。
は、好ましくは、メチルまたはエチルである。
【0042】
(Rの好ましい例)
は、炭素数1~40のアルキレンまたは炭素数6~20 のアリーレンを表し、前記炭素数1~40のアルキレンは、任意の-CH-が独立して-O-、フェニレン又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
は、好ましくは、エチレン、フェニレンである。
【0043】
(Rの好ましい例)
は、独立して、水素原子、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキルは、Rで説明したものと同様のものが挙げられる。
炭素数7~40のアリールアルキルとしては、R、RおよびRで説明したものと同様のものが挙げられる。
炭素数1~40のアルキルとしては、R、RおよびRで説明したものと同様のものが挙げられる。
は、好ましくは、メチル、エチルである。
【0044】
本発明のかご状シロキサン化合物としては、下記式(5)、(6)、(5’)および(6’)を例示することができる。式中、Meはメチルを表す。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
(n、n’ の好ましい例)
nおよびn’はそれぞれ独立して0以上の実数を表し平均数を表すが、nおよびn’の少なくとも1つは1以上の実数である。製造、取り扱いの観点から、好ましくは、nおよびn’のいずれも1以上20以下であり、より好ましくは1以上10以下であり、平均値として観測される値は、一般に2以上10以下である。
【0050】
(mの好ましい例)
mは、1以上の実数を表す。
式(1)で表される繰り返し単位を含むシロキサンポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは2,000~10,000,000であり、より好ましくは、10,000~1,000,000である。重量平均分子量は、後述の実施例に記載されるように、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて得られたクロマトグラムを、分子量標準サンプルにて得られた検量線により計算して求める。
【0051】
式(5)および式(6)で表される繰り返し単位を含むシロキサンポリマーとして、より具体的には、以下のポリマー(5a)~(5e)、および(6a)~(6j)を例示出来る。式中、Phはフェニル基を、Meはメチル基、Etはエチル基を表す。なお、以下の例ではn=n’となる場合(nもn’も、平均値であるがゆえに見かけ上はn=n’となる)を例示するが、実際のnとn’は異なる数である場合を含み得る。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】

【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
式(5’)および式(6’)で表される繰り返し単位を含むシロキサンポリマーとして、より具体的には、以下のポリマー(5a’)~(5e’)、および(6a)~(6e’)を例示出来る。式中、Phはフェニルを、Meはメチル、Etはエチルを表す。
【0068】
【0069】
【0070】
次に、本発明のシロキサンポリマーの製造方法について説明する。式(1)および(2)で表される繰り返し単位を有し、左右両末端が式(3L)および(3R)、(3L’)および(3R’)、(4L)および(4R)または(4L’)および(4R’)で表される末端基である、シロキサンポリマー。は、次に説明する方法により、好適に製造することができる。
【0071】
本発明のシロキサンポリマー(5)は、特開2017-014320に記載の製造方法で得られるシラノール末端のシロキサンポリマー(7)とトリアルコキシシラン(8)を反応させることで製造できる。
【0072】
【0073】
【0074】
上述の製造方法の反応式は、以下の通りである。
【0075】
【0076】
本発明のシロキサンポリマー(6)は、特開2020-090593に記載の製造のヒドロシラン末端のシロキサンポリマー(9)と末端アルケニルを有するトリアルコキシシラン(10)を反応させることで製造できる。
【0077】
【0078】
【0079】
上述の製造方法の反応式は、以下の通りである。
【0080】
【0081】
本発明のシロキサンポリマー(5’)は、特開2017-014320に記載の製造方法で得られるシラノール末端のシロキサンポリマー(7)とアルコキシシラン(11)を反応させることで製造できる。
【0082】
【0083】
【0084】
上述の製造方法の反応式は、以下の通りである。
【0085】
【0086】
本発明のシロキサンポリマー(6’)は、特開2020-090593に記載の製造のヒドロシラン末端のシロキサンポリマー(9)と末端アルケニルを有するアルコキシシラン(12)を反応させることで製造できる。
【0087】
【0088】
上述の製造方法の反応式は、以下の通りである。
【0089】
【0090】
上記式中、Rは、独立して、炭素数6~20のアリール又は炭素数5~6のシクロアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール及び前記炭素数5~6のシクロアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく;
、R、Rは、独立して、水素原子、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し、
前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキル及び前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、任意の水素原子が独立してフッ素原子又は炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、
前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、任意の水素原子がフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-、-CH=CH-、又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、
前記炭素数1~40のアルキルは、任意の水素原子が独立してフッ素原子で置き換えられてもよく、任意の-CH-が独立して-O-又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数2~40のアルキルを表し;
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
は、炭素数1~40のアルキレンまたは炭素数6~20 のアリーレンを表し、前記炭素数1~40のアルキレンは、任意の-CH-が独立して-O-、フェニレン又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
は、独立して、ハロゲン原子を表し;
は、炭素数0~40のアルキレンを表し、前記炭素数0~40のアルキレンは、任意の-CH2-が独立して-O-又は炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、又は炭素数1~40のアルキルを表し;
nは、1~30の実数を表し、n’は、0~30の実数を表し、n、n’は平均数を表し;
mは1以上の実数を表す。
【0091】
以下、式(7)~(10)で表される化合物について説明する。
(式(7)で表される化合物)
シロキサンポリマー(5)は式(7)で表される化合物に由来する。式(7)で表される化合物は、例えば特開2017-014320で示された方法で製造することができる。
【0092】

上記式中、R、RおよびRは式(1)で表される化合物のR、RおよびRと同様に定義される。nは、1~30の実数を表し、n’は、0~30の実数を表し、nおよびn’は平均数を表し、mは1以上の実数を表す。
【0093】
式(7)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式の化合物等が挙げられる。
【0094】

【0095】
(式(8)で表される化合物)
式(8)で表される化合物により、式(7)で表されるシロキサンポリマーの末端にトリアルコキシシリル基を導入することができる。
【0096】
【0097】
上記式中、Rは式(1)で表される化合物のRと同様に定義される。
は独立して、ハロゲン原子を表す。
【0098】
式(8)で表される化合物の具体例としては、例えば、トリエトキシクロロシラン、クロロトリプロポキシシラン、クロロトリイソプロポキシシラン、トリブトキシクロロシラン、クロロトリイソブトキシシラン、トリ-tert-ブトキシクロロシシラン、ブロモトリエトキシシラン、ブロモロロトリプロポキシシラン、ブロモトリイソプロポキシシラン、ブロモトリブトキシロシラン、ブロモトリイソブトキシシシラン、ブロモトリ-tert-ブトキシシラン、トリエトキシヨードシラン、ヨードトリプロポキシシラン、ヨードトリイソプロポキシシラン、トリブトキシヨードロロシラン、ヨードトリイソブトキシシシラン、ヨードトリ-tert-ブトキシシラン、等が挙げられる。
中でも、以下の化合物が特に好ましく挙げられる。
【0099】
【0100】
(式(9)で表される化合物)
シロキサンポリマー(6)は式(9)で表される化合物に由来する。式(9)で表される化合物は、例えば(7)にクロロジメチルシランを反応させることで製造することができる。
【0101】
【0102】
上記式中、R、R、R、Rは式(1)で表される化合物のR、R、R、Rと同様に定義される。nは、1~30の実数を表し、n’は、0~30の実数を表し、n、n’は平均数を表し、mは1以上の実数を表す。
【0103】
式(9)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式の化合物等が挙げられる。
【0104】
【0105】
【0106】
(式(10)で表される化合物)
式(10)で表される化合物により、式(9)で表されるシロキサンポリマーの末端にトリアルコキシシリルアルキル基を導入することができる。
【0107】

上記式中、Rは式(1)で表される化合物のRと同様に定義される。
は独立して、炭素数0~40のアルキレンを表す。
【0108】
式(10)で表される化合物の具体例としては、例えば、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリプロポキシビニルシラン、トリイソプロポキシビニルシラン、トリブトキシビニルシラン、トリイソブトキシビニルシラン、トリ-tert-ブトキシビニルシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、アリルトリイソプロポキシシラン、アリルトリブトキシシラン、アリルトリイソブトキシシラン、アリルトリ-tert-ブトキシシラン、3-ブテニルトリメトキシシラン、トリエトキシ-3-ブテニルシラン、3-ブテニルトリプロポキシシラン、3-ブテニルトリイソプロポキシシラン、3-ブテニルトリブトキシシラン、3-ブテニルトリイソブトキシシラン、3-ブテニルトリ-tert-ブトキシシラン、4-ペンテニルトリメトキシシラン、トリエトキシ-4-ペンテニルシラン、4-ペンテニルトリプロポキシシラン、4-ペンテニルトリイソプロポキシシラン、4-ペンテニルトリブトキシシラン、4-ペンテニルトリイソブトキシシラン、4-ペンテニルトリ-tert-ブトキシシラン、等が挙げられる。
中でも、以下の化合物が特に好ましく挙げられる。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
(式(11)で表される化合物)
式(11)で表される化合物により、式(7)で表されるシロキサンポリマーの末端にトリアルコキシシリル基を導入することができる。
【0114】
【0115】
上記式中Rは、(3L’)、式(3R’)、式(4L)、式(4R)、式(4L’)または式(4R’)で表される化合物のRと同様に定義される。R9は式(3L’)、式(3R’)、式(4L’)または式(4R’)で表される化合物のR9と同様に定義される。
は独立して、ハロゲン原子を表す。
【0116】
式(11)で表される化合物の具体例としては、例えば、クロロジメトキシメチルシラン、ブロモジメトキシメチルシラン、ヨードジメトキシメチルシラン、クロロエチルジメトキシシラン、ブロモエチルジメトキシシラン、エチルヨードジメトキシシラン、クロロジメトキシプロピルシラン、ブロモジメトキシプロピルシラン、ヨードジメトキシプロピルシラン、クロロイソプロピルジメトキシシラン、ブロモイソプロピルジメトキシシラン、ヨードイソプロピルジメトキシシラン、ブチルクロロジメトキシシラン、ブロモブチルジメトキシシラン、ブチルヨードジメトキシシラン、クロロジメトキシ-tert-ブチルシラン、ブロモジメトキシ-tert-ブチルシラン、ヨードジメトキシ-tert-ブチルシラン、クロロジエトキシメチルシラン、ブロモジエトキシメチルシラン、ヨードジエトキシメチルシラン、クロロジエトキシエチルシラン、ブロモジエトキシエチルシラン、ジエトキシエチルヨードシラン、クロロジエトキシプロピルシラン、ブロモジエトキシプロピルシラン、ジエトキシヨードプロピルシラン、クロロジエトキシイソプロピルシラン、ブロモジエトキシイソプロピルシラン、ジエトキシヨードイソプロピルシラン、ブチルクロロジエトキシシラン、ブロモブチルジエトキシシラン、ブチルジエトキシヨードシラン、クロロジエトキシ-tert-ブチルシラン、ブロモジエトキシ-tert-ブチルシラン、ジエトキシヨード-tert-ブチルシラン、等が挙げられる。中でも、以下の化合物が特に好ましく挙げられる。
【0117】
【0118】
(式(12)で表される化合物)
式(12)で表される化合物により、式(9)で表されるシロキサンポリマーの末端にアルコキシシリルアルキル基を導入することができる。
【0119】
【0120】
上記式中Rは、(3L’)、式(3R’)、式(4L)、式(4R)、式(4L’)または式(4R’)で表される化合物のRと同様に定義される。Rは式(3L’)、式(3R’)、式(4L’)または式(4R’)で表される化合物のRと同様に定義される。
は独立して、炭素数0~40のアルキレンを表す。
【0121】
式(12)で表される化合物の具体例としては、例えば、ジメトキシメチルビニルシラン、エチルジメトキシビニルシラン、ジメトキシプロピルビニルシラン、イソプロピルジメトキシビニルシラン、ブチルジメトキシビニルシラン、ジメトキシ-tert-ブチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシエチルビニルシラン、ジエトキシプロピルビニルシラン、ジエトキシイソプロピルビニルシラン、ブチルジエトキシビニルシラン、ジエトキシ-tert-ブチルビニルシラン、アリルジメトキシメチルシラン、アリルエチルジメトキシシラン、アリルジメトキシプロピルシラン、アリルイソプロピルジメトキシシラン、アリルブチルジメトキシシラン、アリルジメトキシ-tert-ブチルシラン、アリルジエトキシメチルシラン、アリルジエトキシエチルシラン、アリルジエトキシプロピルシラン、ジエトキシイソプロピルビニルシラン、アリルブチルジエトキシシラン、アリルジエトキシ-tert-ブチルシラン、等が挙げられる。中でも、以下の化合物が特に好ましく挙げられる。
【0122】
【0123】
【実施例
【0124】
以下において、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、これらの記載により本発明の範囲が限定されることはない。
【0125】
実施例で用いた試薬を以下に示す。
脱水テトラヒドロフラン:商品名:テトラヒドロフラン(超脱水)、富士フィルム和光純薬(株)製
トリエチルアミン:富士フィルム和光純薬(株)製
脱水トルエン:商品名:トルエン(超脱水)富士フィルム和光純薬(株)製
クロロトリエトキシシラン: 東京化成工業(株)製
メタノール:富士フィルム和光純薬(株)製
エタノール:富士フィルム和光純薬(株)製
トリメトキシビニルシラン:東京化成工業(株)製
トリエトキシビニルシラン:東京化成工業(株)製
脱水酢酸エチル:商品名:酢酸エチル(超脱水)富士フィルム和光純薬(株)製
カルステッド触媒(Pt-VTSC-3.0):ユミコアジャパン(株)製
【0126】
GPC測定の測定条件を以下に示す。
<測定条件>
カラム:Shodex KF-804L 300×8.0mm
Shodex KF-805L 300×8.0mm 2本直列
移動相:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
検出器:RI
分子量標準サンプル:分子量既知のPMMA(ポリメタクリル酸メチル)
【0127】
NMR測定はVarian NMR system 500MHzを使用した。
耐熱性測定は、TG-DTAとして(株)リガク製 TG-DTA8120/Sを使用し、空気雰囲気下、昇温速度10℃/minで測定し、5%重量減少温度を熱分解温度とした。
【0128】
[実施例1]
(シロキサンポリマー(A)の合成)
窒素置換した200mLの3つ口フラスコに共重合体α(重量平均分子量22,700、多分散度1.7)45g、脱水テトラヒドロフラン75gを加え、温度計をセットしマグネチックスターラーで撹拌し溶解した。溶液を氷冷し、クロロトリエトキシシラン3.3gを加え、トリエチルアミン1.7gを滴下した。滴下終了後、室温で19時間熟成した。反応液を脱水テトラヒドロフランで薄め、エタノールで再沈殿した。沈殿物をエタノールで数回洗浄し、50℃で減圧乾燥し、シロキサンポリマー(A)の白色固体38.2gを得た。この反応式は、以下の通りである。
【0129】
得られたシロキサンポリマー(A)の分子量をGPCで測定した。重量平均分子量Mwは27,400、多分散度 Mw/Mn=1.7であった。H-NMR測定より、nおよびn’は平均2.8であった。さらにSi―OH基の消失とエトキシ基の導入を確認した。29Si-NMR測定より末端Si-OH基由来のDのシグナル(-13ppm付近)の消失とエトキシ基3つが結合したケイ素由来のQのシグナル(-88ppm付近)の出現を確認した。TG-DTAによる熱重量分析で5%重量減少温度は487℃であった。
【0130】
H-NMR測定結果)
H-NMR(500MHz, CO(CD)δ(ppm): 7.07~7.69(Ph)、3.69~3.82(-OC CH)、1.00~1.21(-OCH )、0.25~0.42(OSiMe)、-0.06~0.11(OSiMe)。
29Si-NMR測定結果)
29Si-NMR(99MHz, THF-d)δ(ppm): -21.9~-18.5、-65.0~-64.6、-79.4~-78.6、-88.7~-88.2。
【0131】
[実施例2]
(シロキサンポリマー(B)の合成)
【0132】
窒素置換した200mLの3つ口フラスコに共重合体β(重量平均分子量28,200、多分散度1.6)30g、トリメトキシビニルシラン2.2g、脱水酢酸エチル59gを加え、オイルバス、還流管、マグネチックスターラー、温度計をセットし窒素をフローした。70℃で撹拌し、カルステッド触媒(Pt-VTSC-3.0X、ユミコアジャパン製)を3.8μL添加した。その後還流温度まで昇温し、3時間熟成した。1H-NMRよりSi-H基のシグナルが消失したことを確認し、加熱、撹拌を停止した。反応液を放冷後、活性炭素を加え終夜撹拌した。セライトを使用して吸引ろ過をし、ろ液を濃縮後、メタノールで再沈殿した。得られた沈澱を数回メタノールで洗浄後、40℃で減圧乾燥し、シロキサンポリマー(B)の白色固体28.2gを得た。この反応式は、以下の通りである。
【0133】
【0134】
得られたシロキサンポリマー(B)の分子量をGPCで測定した。重量平均分子量Mwは25,000、多分散度Mw/Mn=1.7であった。H-NMR測定より、nおよびn’は平均3.0であった。さらにSi―H基の消失とメトキシ基、エチレン基の導入を確認した。29Si-NMR測定より末端Si-H基由来のMのシグナル(-7ppm付近)の消失とメチル基2つとエチレンが結合したケイ素由来のMのシグナル(9ppm付近)およびメトキシ基3つとエチレンが結合したケイ素由来のTのシグナル(-42ppm付近)の出現を確認した。TG-DTAによる熱重量分析で5%重量減少温度は443℃であった。
【0135】
H-NMR測定結果)
H-NMR(500MHz,CO(CD)δ(ppm): 7.06~7.64(Ph)、3.41~3.52(-OCH)、0.52~0.58(-CHCH-)、0.25~0.39(OSiMe)、-0.07~0.12(OSiMe)。
29Si-NMR測定結果)
29Si-NMR(99MHz,THF-d)δ(ppm): 8.3~10.6、-21.9~-18.5、-42.4、-65.1~-64.1、-79.5~-78.6。
【0136】
[実施例3]
(シロキサンポリマー(C)の合成)
窒素置換した200mLの3つ口フラスコに共重合体β(重量平均分子量28,200、多分散度1.6)35g、トリエトキシビニルシラン2.3g、脱水酢酸エチル56gを加え、オイルバス、還流管、マグネチックスターラー、温度計をセットし窒素をフローした。70℃で撹拌し、カルステッド触媒(Pt-VTSC-3.0X、ユミコア社製)を3.0μL添加した。その後還流温度まで昇温し、3時間熟成した。H-NMRよりSi-H基のシグナルが消失したことを確認し、加熱、撹拌を停止した。反応液を放冷後、活性炭素を加え終夜撹拌した。セライトを使用して吸引ろ過をし、ろ液を濃縮後、エタノールで再沈殿した。得られた沈澱を数回エタノールで洗浄後、80℃で減圧乾燥し、シロキサンポリマー(C)の白色固体33.7gを得た。この反応式は、以下の通りである。
【0137】
【0138】
得られたシロキサンポリマー(C)の分子量をGPCで測定した。重量平均分子量Mwは30,600、多分散度Mw/Mn=1.5であった。H-NMR測定より、nおよびn’は平均2.9。さらにSi―H基の消失とエトキシ基、エチレン基の導入を確認した。29Si-NMR測定より末端Si-H基由来のMのシグナル(-7ppm付近)の消失とメチル基2つとエチレンが結合したケイ素由来のMのシグナル(9ppm付近)およびエトキシ基3つとエチレンが結合したケイ素由来のTのシグナル(-46ppm付近)の出現を確認した。TG-DTAによる熱重量分析で5%重量減少温度は481℃であった。
【0139】
H-NMR測定結果)
H-NMR(500MHz, CO(CD)δ(ppm): 7.08~7.64(Ph)、3.71~3.83(-OC CH)、1.10~1.21(-OCH )、0.51~0.63(-CHCH-)、0.27~0.41(OSiMe)、-0.04~0.15(OSiMe)。
29Si-NMR測定結果)
29Si-NMR(99MHz, THF-d)δ(ppm): 8.4~9.0、-21.9~-18.5、-45.8、-65.0~-64.1、-79.8~-78.6。
【0140】
[実施例4]
(シロキサンポリマー(D)の合成)
窒素置換した200mLの3つ口フラスコに共重合体γ(重量平均分子量41,500、多分散度2.0)30g、脱水テトラヒドロフラン48gを加え、温度計をセットしマグネチックスターラーで撹拌し溶解した。溶液を氷冷し、クロロジメトキシメチルシラン1.0gを加え、トリエチルアミン0.7gを滴下した。滴下終了後、室温で16時間熟成した。反応液をメタノールで再沈殿した。沈殿物をメタノールで数回洗浄し、50℃で減圧乾燥し、シロキサンポリマー(D)の白色固体28gを得た。この反応式は、以下の通りである。
【0141】
【0142】
得られたシロキサンポリマー(A)の分子量をGPCで測定した。重量平均分子量Mwは42,500、多分散度Mw/Mn=1.8であった。H-NMR測定より、nおよびn’は平均3.0であった。さらにSi―OH基の消失とメトキシ基の導入を確認した。29Si-NMR測定より末端Si-OH基由来のD1のシグナル(-13ppm付近)の消失とメチル基1つとメトキシ基2つが結合したケイ素由来のTのシグナル(-50ppm付近)の出現を確認した。TG-DTAによる熱重量分析で5%重量減少温度は490℃であった。
【0143】
H-NMR測定結果)
H-NMR(500MHz, CO(CD)δ(ppm): 7.07~7.65(Ph)、3.44~3.52(-OC )、0.26~0.41(OSiMe)、-0.05~0.16(OSiMe、-SiMe(OMe))。
29Si-NMR測定結果)
29Si-NMR(99MHz, THF-d)δ(ppm): -21.8~-18.5、-48.5、-65.0~-64.6、-79.1~-78.9。
【0144】
[比較例]
実施例3と同様の方法で、サイラプレーン FM-1126 (JNC(株)製;両末端ジメチルヒドロシラン基を有する重量平均分子量 20,000のジメチルシロキサン)をトリエトキシビニルシランとカルステッド触媒(PT‐VTSC‐3.0X)存在下でヒドロシリル化反応を行い、化合物(E)を得た。TG-DTAによる熱重量分析で5%重量減少温度は376℃であった。
【0145】
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明によれば、ポリマー原料となり得る、シルセスキオキサンユニット及び鎖状シロキサンユニットを主鎖に含み末端にトリメトキシシリル基を有する様々な新規なシロキサンポリマーが提供される。このポリマーは電材用途、接着用途等、特に耐熱を必要とする部材に好適に利用することができる。