(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】搬送システムおよび搬送方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240925BHJP
【FI】
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2020212894
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020020966
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】堀田 周平
(72)【発明者】
【氏名】鈴本 悠輝
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-534829(JP,A)
【文献】特開平04-160412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/87
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物台と、前記荷物台に載置された物体を搬送する走行体と、を備える搬送システムであって、
前記荷物台は、指標を備え、
前記走行体は、
前記荷物台の位置を含む地図情報と、前記走行体の位置を示す自己位置情報と、を記憶する記憶部と、
前記指標を検出して、前記指標と前記走行体との相対位置を示すデータを取得する環境認識部と、
前記相対位置と前記地図情報とに基づいて、前記自己位置情報を更新する自己位置更新部と、を備え
、
前記荷物台に載置された物体の下方に、前記走行体が走行可能な空間が形成され、
前記指標は、前記空間に接する位置に設けられる、
搬送システム。
【請求項2】
前記指標は、光を反射する素材から形成され、
前記環境認識部は、光を射出して、前記指標から反射された光を検出して、前記指標との間の距離を測定する、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
情報処理装置をさらに備え、
前記情報処理装置は、
前記地図情報に基づいて、走行する経路を示す経路情報を生成し、生成された経路情報を前記走行体に送信し、
前記走行体は、
前記経路情報を受信する通信部と、
前記経路情報に基づいて走行する駆動制御部と、をさらに備える、
請求項1または2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記荷物台は、
前記荷物台に載置された物体を検出するセンサと、
前記物体が検出されたことを示す信号を前記情報処理装置に送信する通信器と、を備える、
請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
荷物台に載置された物体を搬送する走行体が、
前記荷物台の位置を含む地図情報と、前記走行体の位置を示す自己位置情報と、を記憶し、
前記荷物台に備えられた指標を検出して、前記指標と前記走行体との相対位置を示すデータを取得し、
前記相対位置と前記地図情報とに基づいて、前記自己位置情報を更新
し、
前記荷物台に載置された物体の下方に、前記走行体が走行可能な空間が形成され、
前記指標は、前記空間に接する位置に設けられる、
搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムおよび搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物流倉庫等において、コンベアや、決められた軌道に沿って走行する無人搬送車等を使って、棚に保管された物品を出庫場所まで移動させる方法が知られている。
【0003】
例えば、回収指示を受けてウェハを回収して、回収したウェアキャリアBOXをステーションまで配送する無人搬送車が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、コンベアや無人搬送車の決められた軌道を確保するため、レイアウトの制限が大きく、レイアウトの変更が困難であった。
【0005】
開示の技術は、レイアウトを簡単に変更できる搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、荷物台と、前記荷物台に載置された物体を搬送する走行体と、を備える搬送システムであって、前記荷物台は、指標を備え、前記走行体は、前記荷物台の位置を含む地図情報と、前記走行体の位置を示す自己位置情報と、を記憶する記憶部と、前記指標を検出して、前記指標と前記走行体との相対位置を示すデータを取得する環境認識部と、前記相対位置と前記地図情報とに基づいて、前記自己位置情報を更新する自己位置更新部と、を備え、前記荷物台に載置された物体の下方に、前記走行体が走行可能な空間が形成され、前記指標は、前記空間に接する位置に設けられる、搬送システムである。
【発明の効果】
【0007】
搬送システムのレイアウトを簡単に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】搬送システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図3】無人搬送車のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】バケットステーションの外観の一例を示す図である。
【
図5】バケットステーションのバケットの設置状態の一例を示す図である。
【
図6】バケットステーションのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】運行管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図9】運行管理サーバの機能の一例を示す図である。
【
図10】走行制御サーバの機能の一例を示す図である。
【
図11】ウェイポイント情報の一例を示す図である。
【
図17】バケット搬送処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図18】自己位置推定処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図19】自己位置更新処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図20】自己位置更新処理の処理フローの一例を示す図である。
【
図21】進行方向の横方向および回転方向の自己位置の更新方法を説明するための図である。
【
図22】進行方向の自己位置の更新方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、本発明に係る搬送システムの実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、搬送システムの全体構成の一例を示す図である。
【0011】
搬送システム1は、運行管理サーバ10と、走行制御サーバ20と、無人搬送車(AGV;Automated Guided Vehicle)30と、バケットステーション40と、オートレータ50と、を備える。
【0012】
運行管理サーバ10は、バケットステーション40と通信可能に接続されている。なお、バケットステーション40のレイアウトの自由度を上げるため、無線通信が望ましいが、有線通信であっても良い。また、運行管理サーバ10は、走行制御サーバ20と通信可能に接続されている。
【0013】
運行管理サーバ10は、無人搬送車30の運行を管理する。具体的には、バケットステーション40からバケット(荷物かご)が載置されたことを示す信号を受信すると、バケットを搬送する無人搬送車30を選定する。そして、運行管理サーバ10は、移動要求を示す信号を走行制御サーバ20に送信する。移動要求を示す信号は、選定された無人搬送車30を識別する識別子と、バケットが載置されたバケットステーション40を識別子と、を含む。
【0014】
走行制御サーバ20は、無人搬送車30の走行を制御する。具体的には、走行制御サーバ20は、無線通信によって無人搬送車30と通信可能に接続されている。走行制御サーバ20は、運行管理サーバ10から移動要求を示す信号を受信すると、選定された無人搬送車30の現在の位置と、移動先の位置と、に基づいて移動経路を決定する。そして、無人搬送車30に、移動経路を示す情報を送信する。
【0015】
無人搬送車30は、バケットを搬送する走行体である。無人搬送車30は、走行制御サーバ20から移動経路を示す情報を受信すると、移動経路に沿って走行する。そして、無人搬送車30は、バケットステーション40に載置されたバケットを、オートレータ50まで搬送する。なお、本実施形態において、無人搬送車30は、複数存在しても良い。
【0016】
バケットステーション40は、バケットを載せるための荷物台である。バケットステーション40は、センサによって載置されたバケットを検出して、バケットが検出されたことを示す信号を運行管理サーバ10に送信する。なお、本実施形態において、バケットステーション40は、複数存在しても良い。
【0017】
オートレータ50は、バケットの搬送機である。本実施形態においては、オートレータ50は、無人搬送車30がバケットを搬送する搬送先である。以下では、オートレータ50が1つである例を示す。
【0018】
次に、各機器の外観およびハードウェア構成について説明する。
【0019】
【0020】
無人搬送車30は、車輪301と、コンベア302と、LRF(Laser Range Finder)303と、光電センサ304と、を備える。
【0021】
無人搬送車30は、車輪301を駆動して走行し、バケットステーション40に到達すると、コンベア302を駆動してバケットを載せる。さらに、無人搬送車30は、LRF303および光電センサ304によって、バケットステーション40に張り付けられたマーカを検出する。具体的なマーカの検出方法については後述するが、無人搬送車30は、検出されたマーカによって、バケットステーション40の正確な位置を把握することができる。
【0022】
図3は、無人搬送車のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0023】
無人搬送車30は、前述した構成要素の他に、無線通信器305と、CPU306と、メモリ307と、エンコーダ308と、車輪用モータ309と、コンベア用モータ310と、D/A変換器311と、を備える。
【0024】
無線通信器305は、走行制御サーバ20と無線通信によって通信する機器である。
【0025】
CPU306は、後述する各種処理を実行する演算処理装置である。
【0026】
メモリ307は、揮発性または不揮発性の記憶媒体であって、各種情報を記憶し、CPU306の作業領域として機能する。
【0027】
エンコーダ308は、車輪301の回転角度を検出するセンサ(ロータリーエンコーダ)である。エンコーダ308は、検出した車輪301の回転角度を示すデータをCPU306に送信する。
【0028】
車輪用モータ309は、車輪301を回転させる駆動装置である。車輪用モータ309は、D/A(デジタルアナログ)変換器311を介して、CPU306による制御を受けて駆動する。
【0029】
コンベア用モータ310は、コンベア302を回転させる駆動装置である。コンベア用モータ310は、D/A(デジタルアナログ)変換器311を介して、CPU306による制御を受けて駆動する。
【0030】
図4は、バケットステーションの外観の一例を示す図である。
【0031】
バケットステーション40は、バケットを載置するための台である。載置されたバケットの下には、無人搬送車30が走行するための空間がある。
【0032】
具体的には、バケットステーション40は、電装410と、反射テープ420と、反射板430と、を備える。
【0033】
電装410は、後述する電子装置を含む。例えば、電装410は、光電センサ414を備える。
【0034】
光電センサ414は、載置されたバケットを検出するための反射型の光電センサである。
【0035】
反射テープ420および反射板430は、無人搬送車30が走行する空間に接する位置にそれぞれ張り付けられている。反射テープ420および反射板430は、それぞれマーカ(指標)の一例である。
【0036】
反射テープ420は、無人搬送車30の進行方向に沿って直線状に張り付けられている。すなわち、反射テープ420の、無人搬送車30の進行方向に沿った長さは、バケットステーション40の向きを検出するために十分な長さとなっている。
【0037】
反射板430は、無人搬送車30の進行方向に沿って複数張り付けられている。それぞれの反射板430の、無人搬送車30の進行方向に沿った長さは、進行方向の位置を明確にするために、短くなっている。また、反射板430は、反射テープ420と区別できるように、反射テープ420と異なる反射率の素材によって形成されている。
【0038】
図5は、バケットステーションのバケットの設置状態の一例を示す図である。
【0039】
バケット60は、設置状態において、光電センサ414の検出範囲に入る。
【0040】
図6は、バケットステーションのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0041】
バケットステーション40の電装410は、前述した構成要素の他に、無線通信器411と、CPU412と、メモリ413と、を備える。
【0042】
無線通信器411は、運行管理サーバ10と無線通信によって通信する機器である。
【0043】
CPU412は、各種処理を実行する演算処理装置である。具体的には、CPU412は、光電センサ414がバケット60を検出すると、無線通信器411を制御して、バケット60が検出されたことを示す信号を運行管理サーバ10に送信させる。
【0044】
メモリ413は、揮発性または不揮発性の記憶媒体であって、各種情報を記憶し、CPU412の作業領域として機能する。具体的には、メモリ413には、バケットステーション40の地図上の位置を示す情報(後述するウェイポイントID)が格納されている。
【0045】
図7は、運行管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0046】
運行管理サーバ10は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置101、出力装置102、ドライブ装置103、補助記憶装置104、メモリ装置105、演算処理装置106及びインターフェース装置107を含む。
【0047】
入力装置101は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス等により実現される。出力装置102は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置107は、LANカード等を含み、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0048】
本実施形態の情報処理プログラムは、運行管理サーバ10を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。情報処理プログラムは例えば記録媒体108の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。情報処理プログラムを記録した記録媒体108は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
【0049】
また、情報処理プログラムは、情報処理プログラムを記録した記録媒体108がドライブ装置103にセットされると、記録媒体108からドライブ装置103を介して補助記憶装置104にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた情報処理プログラムは、インターフェース装置107を介して補助記憶装置104にインストールされる。
【0050】
補助記憶装置104は、インストールされた情報処理プログラムを格納すると共に、上述した各データベース等の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置105は、運行管理サーバ10の起動時に補助記憶装置104から情報処理プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置106はメモリ装置105に格納された情報処理プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0051】
なお、走行制御サーバ20のハードウェア構成も、運行管理サーバのハードウェア構成と同様である。
【0052】
次に、各機器の機能構成について説明する。
【0053】
【0054】
無人搬送車30は、記憶部31と、通信部32と、環境認識部33と、自己位置更新部34と、駆動制御部35と、コンベア制御部36と、自己位置推定部37と、走行状態取得部38と、を備える。
【0055】
記憶部31は、各種の情報を記憶する。具体的には、記憶部31は、地図情報901と、走行状態情報902と、自己位置情報903と、を記憶する。前述のメモリ307は、記憶部31として機能する。
【0056】
地図情報901は、無人搬送車30が走行する領域の地図を示す情報である。地図情報901の詳細については後述する。
【0057】
走行状態情報902は、無人搬送車30の走行状態を示す情報である。具体的には、走行状態情報902は、無人搬送車30が移動中か停止中かを示す情報と、停止中の場合の停止理由を示す情報と、を含む。
【0058】
自己位置情報903は、無人搬送車30の位置を示す情報である。具体的には、自己位置情報903は、地図情報901の地図に設定されたxy座標値と、x軸正方向を基準とする角度と、を含む。
【0059】
通信部32は、走行制御サーバ20と通信する。具体的には、通信部32は、走行制御サーバ20から経路情報を受信する。また、通信部32は、定期的に、例えば10秒ごとに、走行状態情報902および自己位置情報903を、走行制御サーバ20に送信する。前述の無線通信器305は、通信部32として機能する。
【0060】
環境認識部33は、周囲の環境を認識する。具体的には、環境認識部33は、LRF303および光電センサ304によって、バケットステーション40に張り付けられたマーカを検出する。
【0061】
自己位置更新部34は、環境認識部33が取得したデータに基づいて、自己位置情報903を更新する。具体的には、自己位置更新部34は、LRF303および光電センサ304による測定データから、無人搬送車30とバケットステーション40との距離および相対角度を示す値を算出する。
【0062】
そして、自己位置更新部34は、算出した距離および相対角度を示す値と、地図情報901に含まれるバケットステーション40の位置および角度と、に基づいて、無人搬送車30の座標値と向きとを示す値を算出する。
【0063】
このようにして、自己位置更新部34は、自己位置情報903を算出された値で更新する。
【0064】
駆動制御部35は、通信部32が受信した経路情報に基づいて、無人搬送車30を駆動する制御を実行する。具体的には、駆動制御部35は、CPU306によって実現され、D/A変換器311を介して車輪用モータ309を駆動する。
【0065】
コンベア制御部36は、自己位置更新部34が自己位置を更新後に、バケットステーション40からバケット60を受け取るために、コンベア302を駆動する制御を実行する。具体的には、コンベア制御部36は、CPU306によって実現され、D/A変換器311を介してコンベア用モータ310を駆動する。
【0066】
自己位置推定部37は、自己位置を推定する。具体的には、自己位置推定部37は、エンコーダ308から取得した車輪301の回転数と向きとに基づいて、無人搬送車30の座標と向きの差分を示す値を算出する。そして、自己位置推定部37は、自己位置情報903の示す値に、算出された差分を示す値を加算することによって、自己位置情報903を、最新の自己位置を示す値に更新する。なお、自己位置推定部37は、定期的に、例えば10秒ごとに、自己位置を推定する。
【0067】
また、自己位置の推定方法は他でも良い。例えば、環境認識部33がカメラを備え、自己位置推定部37は、カメラの撮影した画像を解析することによって、自己位置を推定しても良い。あるいは、環境認識部33が超音波センサを備え、自己位置推定部37は、著音波センサによって得られた周囲の壁、柱等を認識して、地図情報901と照合することによって、自己位置を推定しても良い。その場合、地図情報901には、壁、柱等の位置を示す情報が含まれる。
【0068】
走行状態取得部38は、走行状態を示す情報を取得する。具体的には、走行状態取得部38は、エンコーダ308から車輪301の回転数に基づいて、無人搬送車30が移動中であるか停止中であるかを判定する。例えば、走行状態取得部38は、あらかじめ決められた閾値Th1以下の回転数であれば、停止中であると判定しても良い。走行状態取得部38は、判定した結果を走行状態情報902に反映する。
【0069】
図9は、運行管理サーバの機能の一例を示す図である。
【0070】
運行管理サーバ10は、記憶部11と、通信部12と、無人搬送車選択部13と、移動指示情報生成部14と、を備える。
【0071】
記憶部11は、各種情報を記憶する。具体的には、記憶部11は、地図情報901を記憶する。地図情報901については、後述する。
【0072】
通信部12は、走行制御サーバ20またはバケットステーション40と通信する。
【0073】
無人搬送車選択部13は、移動させる無人搬送車30を選択する。具体的には、無人搬送車選択部13は、走行制御サーバ20から無人搬送車情報を取得して、取得した無人搬送車情報に基づいて、無人搬送車30を選択する。例えば、無人搬送車選択部13は、バケットステーション40に載置されたバケット60を搬送するための無人搬送車30を、移動中でない無人搬送車30の中から選択する。なお、複数の無人搬送車30が該当する場合は、無人搬送車選択部13は、地図情報901に基づいて、バケットステーション40との間の経路上の移動距離が最も短い無人搬送車30を選択する。
【0074】
移動指示情報生成部14は、選択された無人搬送車30への移動の指示を示す情報(移動指示情報)を生成する。具体的には、移動指示情報は、無人搬送車30を識別するための無人搬送車IDと、移動先の位置を示す情報(後述するウェイポイントID)と、を含む。生成された移動指示情報は、通信部12によって走行制御サーバ20に送信される。
【0075】
図10は、走行制御サーバの機能の一例を示す図である。
【0076】
走行制御サーバ20は、記憶部21と、通信部22と、交通整理部23と、走行経路生成部24と、を備える。
【0077】
記憶部21は、各種の情報を記憶する。具体的には、記憶部21は、地図情報901と、無人搬送車情報904と、排他ロック情報905と、を記憶する。
【0078】
無人搬送車情報904は、無人搬送車30についての走行状態等を示す情報である。無人搬送車情報904は、無人搬送車30から受信した自己位置情報および走行状態情報に基づいて、定期的に更新される。
【0079】
排他ロック情報905は、地図上の排他区間についての情報である。排他区間は、1つの無人搬送車30しか通れない区間である。排他区間は、例えば、道幅が狭く、複数の無人搬送車30がすれ違うことができない場所に対して、地図情報901に設定される。
【0080】
通信部22は、運行管理サーバ10または無人搬送車30と通信する。
【0081】
交通整理部23は、排他区間に複数の無人搬送車30が通らないように、各無人搬送車30の交通を整理する。
【0082】
走行経路生成部24は、運行管理サーバ10から移動要求信号を受信すると、地図情報901に基づいて、無人搬送車30が自己位置から目的地まで最短で移動できる経路を決定し、決定した経路を示す経路情報を生成する。
【0083】
次に、各種の情報について、図面を参照して説明する。
【0084】
地図情報901は、ウェイポイント情報と進行方向情報とを含む。
【0085】
図11は、ウェイポイント情報の一例を示す図である。
【0086】
ウェイポイント情報901Aは、項目として、「ウェイポイントID」と、「座標」と、「排他区間フラグ」と、「バケットステーションフラグ」と、「バケットステーションの向き」と、「オートレータフラグ」と、を有する。
【0087】
項目「ウェイポイントID」の値は、ウェイポイントを識別するための識別子である。ウェイポイントは、地図上の地点を示す概念である。
【0088】
項目「座標」の値は、各ウェイポイントの地図上のxy座標値である。xy座標値は、実際の搬送経路の長さで、例えばcm単位で表される。
【0089】
項目「排他区間フラグ」の値は、各ウェイポイントが排他区間であるか否かを示す値である。
【0090】
項目「バケットステーションフラグ」の値は、各ウェイポイントがバケットステーション40の設置された地点であるか否かを示す値である。
【0091】
項目「バケットステーションの向き」の値は、各ウェイポイントがバケットステーション40の設置された地点である場合に、バケットステーション40の向きを示す値である。具体的には、バケットステーションの向きは、上方から見て、地図上のx軸正方向を基準にしたバケットステーション40の正面方向の角度である。
【0092】
なお、バケットステーション40には、正面方向が規定されていて、例えば、無人搬送車30が通過する際の進行方向を正面方向とする。
【0093】
項目「オートレータフラグ」の値は、各ウェイポイントがオートレータ50の設置された地点であるか否かを示す値である。本実施形態においては、オートレータ50の設置された地点が、バケット60の搬送先である。
【0094】
【0095】
進行方向情報901Bは、無人搬送車30が進行可能な経路を示す情報である。具体的には、進行方向情報901Bは、項目として、「始点のウェイポイントID」と、「終点のウェイポイントID」と、を有する。
【0096】
項目「始点のウェイポイントID」の値は、無人搬送車30が進行可能な経路の始点を示すウェイポイントIDである。
【0097】
項目「終点のウェイポイントID」の値は、無人搬送車30が進行可能な経路の終点を示すウェイポイントIDである。
【0098】
【0099】
例えば、ウェイポイントID「1」とウェイポイントID「2」の間は、
図12に示した第1レコードによって、ウェイポイントID「1」からウェイポイントID「2」に進行することが可能である。
【0100】
これに対して、進行方向情報901Bに、項目「始点のウェイポイントID」の値が「2」、項目「終点のウェイポイントID」の値が「1」というレコードが存在しない場合には、ウェイポイントID「2」からウェイポイントID「1」に進行することはできない。
【0101】
また、例えば、ウェイポイントID「2」とウェイポイントID「4」の間は、
図12に示した第3レコードと第4レコードによって、双方向に進行することが可能である。
【0102】
このように、進行方向情報901Bは、各ウェイポイント間を無人搬送車30がどのように進行できるかを規定している。
【0103】
【0104】
地図情報901は、ウェイポイント情報901Aと進行方向情報901Bとを統合した情報である。具体的には、ウェイポイント情報901Aと進行方向情報901Bによって、各ウェイポイントの座標と、進行可能な経路が規定されるため、これらの情報に基づいて図示すれば、
図14に示すように、各ウェイポイントをxy空間にプロットした地図となる。
【0105】
【0106】
無人搬送車情報904は、項目として、「無人搬送車ID」と、「現在地のウェイポイントID」と、「走行状態」と、「停止理由」と、「目的地のウェイポイントID」と、を有する。
【0107】
項目「無人搬送車ID」の値は、無人搬送車30を識別するための識別子である。
【0108】
項目「現在地のウェイポイントID」の値は、無人搬送車30の現在(最新)の位置に相当するウェイポイントIDである。
【0109】
項目「走行状態」の値は、無人搬送車30の現在(最新)の走行状態を示すテキストである。具体的には、項目「走行状態」の値は、「停止中」および「移動中」のいずれかである。
【0110】
項目「停止理由」の値は、項目「走行状態」の値が「停止中」の場合の停止した理由を示すテキストである。項目「停止理由」の値には、「排他区間待ち」、「荷積み完了」等が含まれる。
【0111】
項目「停止理由」の値が「排他区間待ち」となっている場合は、排他区間を他の無人搬送車30が使用(ロック)している場合に、交通整理部23によって排他区間のロックが解放されるのを待つように指示された状態であることを示す。
【0112】
また、項目「停止理由」の値が「荷積み完了」となっている場合は、バケットステーション40においてバケット60を回収して、次の指示を待っている状態であることを示す。
【0113】
項目「目的地のウェイポイントID」の値は、無人搬送車30が移動指示を受けて、向かっている目的地のウェイポイントIDである。
【0114】
【0115】
排他ロック情報905は、排他区間を使用(ロック)している無人搬送車30を示す情報である。具体的には、排他ロック情報905は、項目として、「無人搬送車ID」と、「排他ロックウェイポイントID」と、を有する。
【0116】
項目「無人搬送車ID」の値は、無人搬送車30を識別するための識別子である。
【0117】
項目「排他ロックウェイポイントID」の値は、ロックしている排他区間のウェイポイントIDである。なお、具体的には後述するが、複数のウェイポイントIDがロックされている場合もある。
【0118】
次に、本実施形態に係る搬送システム1の動作について説明する。
【0119】
図17は、バケット搬送処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0120】
バケットステーション40にバケット60が置かれると、バケットステーション40の光電センサ414は、バケット60を検知する(ステップS101)。
【0121】
そして、バケットステーション40の無線通信器411は、運行管理サーバ10に移動要求信号を送信する(ステップS102)。移動要求信号は、移動先ウェイポイントIDを含む。移動先ウェイポイントIDは、バケットステーション40のメモリ413に格納されたバケットステーション40(自己)のウェイポイントIDである。
【0122】
運行管理サーバ10の通信部12は、移動要求信号を受信すると、無人搬送車情報の送信を要求する信号(無人搬送車情報要求信号)を、走行制御サーバ20に送信する(ステップS103)。
【0123】
走行制御サーバ20の通信部22は、無人搬送車情報要求信号を受信すると、記憶部21に格納されている無人搬送車情報904を運行管理サーバ10に送信する(ステップS104)。なお、無人搬送車情報904には、後述する自己位置推定処理および自己位置更新処理によって、最新の無人搬送車30の位置および走行状態が反映されている。
【0124】
次に、運行管理サーバ10の無人搬送車選択部13は、バケット60を搬送する無人搬送車30を選択する(ステップS105)。具体的には、無人搬送車選択部13は、ステップS104で受信した無人搬送車情報904を参照して、移動中でない無人搬送車30の中から搬送する無人搬送車30を選択する。
【0125】
さらに、複数の無人搬送車30が該当する場合は、無人搬送車選択部13は、地図情報901に基づいて、バケットステーション40との間の経路上の移動距離が最も短い無人搬送車30を選択する。
【0126】
次に、移動指示情報生成部14は、移動指示情報を生成する。移動指示情報は、移動先のウェイポイントIDと、無人搬送車IDと、を含む。
【0127】
通信部12は、移動指示情報を走行制御サーバ20に送信する(ステップS106)。走行制御サーバ20の通信部22が移動指示情報を受信すると、走行経路生成部24は、経路を決定する(ステップS107)。
【0128】
具体的には、走行経路生成部24は、地図情報901に基づいて、無人搬送車30が自己位置から目的地まで最短で移動できる経路を決定する。そして、走行経路生成部24は、決定した経路を示す経路情報を生成する。
【0129】
経路情報は、現在地から目的地までのウェイポイントIDを示す情報である。例えば、現在地のウェイポイントIDが3、目的地のウェイポイントIDが10である場合の経路情報は、(3,4,8,12,10)のように、現在地から目的地までの間に通過するウェイポイントIDを順に示すデータ列である。
【0130】
通信部22は、経路情報を無人搬送車30に送信する(ステップS108)。無人搬送車30の通信部32が経路情報を受信すると、駆動制御部35は、車輪用モータ309を駆動する制御を実行する。そして、無人搬送車30は、目的地として設定されたバケットステーション40に移動する(ステップS109)。
【0131】
無人搬送車30は、バケットステーション40に到達すると、自己位置更新処理を実行する(ステップS110)。自己位置更新処理は、バケットステーション40に張り付けられたマーカを読み取って、記憶部31に格納された自己位置情報903を更新する処理である。自己位置更新処理の詳細については、後述する。
【0132】
続いて、無人搬送車30は、荷積みを行う(ステップS111)。具体的には、コンベア制御部36は、コンベア用モータ310を駆動する制御を実行する。これによって、バケットステーション40に載置されたバケット60が無人搬送車30に回収される。
【0133】
通信部32は、荷積みの完了を通知する信号を走行制御サーバ20に送信する(ステップS112)。そして、無人搬送車30は、記憶部11の走行状態情報902を、「走行状態:停止中」と「停止理由:荷積み完了」とを示す情報に更新する。
【0134】
運行管理サーバ10の通信部12は、定期的に、無人搬送車情報要求信号を走行制御サーバ20に送信する(ステップS113)。走行制御サーバ20の通信部22は、無人搬送車情報要求信号を受信すると、記憶部21に格納されている無人搬送車情報904を運行管理サーバ10に送信する(ステップS114)。
【0135】
なお、走行制御サーバ20の記憶部21に格納された無人搬送車情報904は、後述する自己位置推定処理によって、定期的に、最新の走行状態が反映されるため、ステップS112の後に更新された「走行状態:停止中」と「停止理由:荷積み完了」が反映される。
【0136】
運行管理サーバ10の無人搬送車選択部13は、「走行状態:停止中」と「停止理由:荷積み完了」となっている無人搬送車30を選択する(ステップS115)。そして、移動指示情報生成部14は、移動先ポイントIDがオートレータ50のウェイポイントIDであって、無人搬送車IDが選択された無人搬送車30のIDである移動指示情報を生成する。
【0137】
通信部12は、生成された移動指示情報を走行制御サーバ20に送信する(ステップS116)。走行制御サーバ20の通信部22が移動指示情報を受信すると、走行経路生成部24は、経路を決定する(ステップS117)。
【0138】
通信部22は、経路情報を無人搬送車30に送信する(ステップS118)。無人搬送車30の通信部32が経路情報を受信すると、駆動制御部35は、車輪用モータ309を駆動する制御を実行する。そして、無人搬送車30は、目的地として設定されたオートレータ50に移動する(ステップS119)。
【0139】
次に、無人搬送車30は、荷おろしを行う(ステップS120)。具体的には、コンベア制御部36は、コンベア用モータ310を駆動する制御を実行する。これによって、無人搬送車30は、バケット60を送り出して、送り出したバケット60をオートレータ50に回収させる。
【0140】
無人搬送車30の通信部32は、荷おろしが完了したことを通知する信号を、走行制御サーバ20に送信する(ステップS121)。
【0141】
このようにして、搬送システム1は、バケットステーション40におかれたバケット60は、オートレータ50まで搬送する。
【0142】
次に、定期的に実行される自己位置推定処理について説明する。
【0143】
図18は、自己位置推定処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0144】
無人搬送車30の自己位置推定部37は、自己位置を推定する(ステップS201)。具体的には、自己位置推定部37は、エンコーダ308から取得した車輪301の回転数と向きとに基づいて、無人搬送車30の座標と向きの差分を示す値を算出する。そして、自己位置推定部37は、自己位置情報903の示す値に、算出された差分を示す値を加算することによって、自己位置情報903を、最新の自己位置を示す値に更新する。
【0145】
次に、走行状態取得部38は、走行状態を示す情報を取得する(ステップS202)。具体的には、走行状態取得部38は、エンコーダ308から車輪301の回転数に基づいて、無人搬送車30が移動中であるか停止中であるかを判定する。走行状態取得部38は、判定した結果を走行状態情報902に反映する。
【0146】
次に、通信部32は、自己位置情報903と走行状態情報902とを走行制御サーバ20に送信する(ステップS203)。走行制御サーバ20の通信部22が、自己位置情報903と走行状態情報902とを受信すると、走行制御サーバ20は、記憶部21に格納された無人搬送車情報904に反映して更新する(ステップS204)。
【0147】
次に、交通整理部23は、排他ロック処理を実行する(ステップS205)。具体的には、交通整理部23は、更新された無人搬送車情報904に基づいて、排他区間に閾値Th2以上の距離まで近づいた無人搬送車30を抽出する。閾値Th2は、予め記憶部21に設定情報として格納されている。
【0148】
交通整理部23は、抽出された無人搬送車30が近づいた排他区間を示すレコードが、排他ロック情報905にすでに含まれているか否かを判定し、含まれていないと判定した場合は、排他ロック情報905にレコードを挿入する。
【0149】
また、交通整理部23は、抽出された無人搬送車30が近づいた排他区間を示すレコードが、すでに含まれていると判定した場合には、通信部22を介して、移動停止を要求する信号を無人搬送車30に送信する(ステップS206)。
【0150】
また、ステップS205の排他ロック処理において、交通整理部23は、排他ロック情報905に含まれているレコードのうち、排他区間を通過した無人搬送車30を抽出する。そして、交通整理部23は、抽出された無人搬送車30が通過した排他区間を示すレコードを排他ロック情報905から削除する。
【0151】
交通整理部23は、さらに、削除したレコードに示される排他区間に対して、「排他区間待ち」の停止理由で停止している無人搬送車30を、無人搬送車情報904から抽出して、続くステップS206において、移動再開を要求する信号を、抽出された無人搬送車30に送信する。
【0152】
続いて、無人搬送車30は、通信部32が受信した信号に応じて、移動停止または移動再開を行う。
【0153】
なお、交通整理部23は、地図上の連続した排他区間のウェイポイントIDを、グループ化した一群の排他区間として扱っても良い。例えば、ウェイポイントID3と4がともに排他区間であって、地図上で連続している場合、交通整理部23は、ウェイポイントID3と4をまとめて、ロックまたは解放しても良い。
【0154】
次に、
図17に示したバケット搬送処理のステップS110において実行される自己位置更新処理について説明する。
【0155】
図19は、自己位置更新処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0156】
無人搬送車30の環境認識部33は、バケットステーション40に張り付けられたマーカを検知する(ステップS301)。そして、自己位置更新部34は、検知の結果に基づいて、自己位置情報903を更新する(ステップS302)。
【0157】
続いて、通信部32は、更新された自己位置情報903を走行制御サーバ20に送信する(ステップS303)。走行制御サーバ20は、通信部22が自己位置情報903を受信すると、無人搬送車情報904を更新する(ステップS304)。
【0158】
次に、自己位置更新処理における無人搬送車30の実行する処理について、具体的に説明する。
【0159】
図20は、自己位置更新処理の処理フローの一例を示す図である。
【0160】
図17に示したバケット搬送処理のステップS110において、環境認識部33は、LRF303により、バケットステーション40に張り付けられた反射テープ420を検知する(ステップS401)。そして、自己位置更新部34は、進行方向の横方向および回転方向の自己位置を更新する(ステップS402)。
【0161】
図21は、進行方向の横方向および回転方向の自己位置の更新方法を説明するための図である。
【0162】
LRF303は、光を射出して、射出した光が反射テープ420に当たって反射した光を検知する。環境認識部33は、検知した光の強度によって、反射テープ420であるか否かを判定する。例えば、環境認識部33は、閾値Th3以上かつ閾値Th4未満の強度の光を反射テープ420に当たって反射した光であると判定する。閾値Th3および閾値Th4を示すデータは、あらかじめメモリ307に格納されている。
【0163】
環境認識部33は、反射強度の高い物体の連続した点群を1つの反射テープ420と認識し、反射テープ420の形状または反射テープ420の間の距離によって、左右いずれの反射テープ420であるかを判別する。また、環境認識部33は、地図情報901および自己位置情報903を参照して、自己位置に最も近いバケットステーション40を、検出した反射テープ420を備えるバケットステーション40であると判別する。
【0164】
環境認識部33は、バケットステーション40を判別すると、反射テープ420との間の距離に基づいて、反射テープ420と無人搬送車30との相対位置を示すデータを取得する。具体的には、環境認識部33は、反射テープ420を示す点群の回帰分析を行って近似直線を算出し、
図21に示されるd1、d2、d3およびd4の長さを算出する。また、環境認識部33は、反射テープ420と無人搬送車30の進行方向との間の相対的な角度θを算出する。
【0165】
次に、自己位置更新部34は、d1、d2、d3およびd4の長さに基づいて、進行方向の横方向の自己位置を更新する。また、自己位置更新部34は、角度θに基づいて、回転方向の自己位置を更新する。
【0166】
なお、
図21には、進行方向の前方に、LRF303が設置されている例が示されているが、左右それぞれ一つずつ設置されていても良い。また、環境認識部33は、進行方向に沿って無人搬送車30が移動しながら、LRF303が複数回検知したデータを使用しても良い。
【0167】
図20に戻り、次に、環境認識部33は、光電センサ304により、反射板430を検知する(ステップS403)。そして、自己位置更新部34は、進行方向の自己位置を更新する(ステップS404)。
【0168】
図22は、進行方向の自己位置の更新方法を説明するための図である。
【0169】
光電センサ304は、光を射出して、射出した光が反射板430に当たって反射した光を検知する。環境認識部33は、検知した光の強度によって、反射板430であるか否かを判定する。例えば、環境認識部33は、閾値Th4以上の強度の光を反射板430に当たって反射した光であると判定する。
【0170】
なお、バケットステーション40に反射板430が張り付けられた位置を示すデータは、あらかじめメモリ307に格納されている。これによって、環境認識部33は、地図情報901におけるバケットステーション40の位置(ウェイポイントの座標値)から、反射板430を検知すると想定される位置を算出する。そして、環境認識部33は、反射板430を実際に検知した位置と、地図情報901から想定される検知位置との進行方向の差分の長さt1を算出する。
【0171】
自己位置更新部34は、長さt1に基づいて、進行方向の自己位置を更新する。
【0172】
なお、
図22は、1つの反射板430を検知した場合の例を示したが、環境認識部33は、左右それぞれ複数の反射板430を検知した複数のデータの統計値を使用しても良い。このようにすれば、高い精度で自己位置を更新できる。
【0173】
図20に戻り、次に、通信部32は、更新された自己位置情報を走行制御サーバ20に送信する(ステップS405)。
【0174】
上述した実施形態に係る搬送システム1によれば、バケットステーション40に張り付けられたマーカ(指標)を検知することによって、無人搬送車30は自己位置情報903を更新する。これによって、無人搬送車30の自己位置情報903は、バケットステーション40の位置に合わせて補正されるため、バケットステーション40の位置が地図情報901と厳密に合っていなくても、バケットステーション40との相対位置の精度が高くなるため、バケット60の回収をより正確に行うことができる。
【0175】
したがって、バケットステーション40は、例えば床、壁等に固定されていなくても良い。バケットステーション40を普段は別の場所に置き、使うときだけ地図情報901に合わせた位置に設置することも可能である。また、各装置の地図情報901を更新すれば良いため、簡単にレイアウトを変更できる。
【0176】
上述した実施形態において、マーカ(指標)をLRFまたは光電センサによって検知する例を示したが、他の方法によって検知しても良い。例えば、環境認識部33は、カメラで撮像した画像を解析して、バケットステーション40との相対位置を算出しても良い。
【0177】
バケット60の搬送先が1つである例を示したが、複数の搬送先から選択できるようにしても良い。その場合、バケット60に搬送先を示す情報を埋め込んだバーコード等を張り付け、バケットステーション40が張り付けられたバーコードを読み取って、搬送先を示す情報を取得し、運行管理サーバ10に送信するようにしても良い。
【0178】
上述した実施形態において、エンコーダ308が車輪301の回転数と角度を示すデータを取得して、自己位置を推定する例を示したが、他の方法によって自己位置を推定しても良い。例えば、カメラの撮影した画像を解析しても良いし、超音波センサによって壁や柱等を検知しても良い。
【0179】
上述した実施形態に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。
【0180】
ある実施形態では、運行管理サーバ10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、走行制御サーバ20は、互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0181】
さらに、運行管理サーバ10および走行制御サーバ20は、開示された処理ステップ、例えば
図17の処理を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、運行管理サーバ10の無人搬送車選択部13によって実行されるプロセスは、走行制御サーバ20によって実行され得る。同様に、走行制御サーバ20の交通整理部23の機能は、運行管理サーバ10によって実行することができる。また、運行管理サーバ10と走行制御サーバ20の各要素は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。なお、運行管理サーバ10および走行制御サーバ20は、情報処理装置の一例である。
【0182】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGAや従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0183】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0184】
10 運行管理サーバ
11 記憶部
12 通信部
13 無人搬送車選択部
14 移動指示情報生成部
20 走行制御サーバ
21 記憶部
22 通信部
23 交通整理部
24 走行経路生成部
30 無人搬送車
31 記憶部
32 通信部
33 環境認識部
34 自己位置更新部
35 駆動制御部
36 コンベア制御部
37 自己位置推定部
38 走行状態取得部
40 バケットステーション
50 オートレータ
301 車輪
302 コンベア
303 LRF
304 光電センサ
305 無線通信器
306 CPU
307 メモリ
308 エンコーダ
309 車輪用モータ
310 コンベア用モータ
410 電装
411 無線通信器
412 CPU
413 メモリ
414 光電センサ
420 反射テープ
430 反射板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0185】