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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】品質評価方法および製造方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240925BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240925BHJP
   G01N 27/90 20210101ALI20240925BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B23/02 R
G01N27/90
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021021073
(22)【出願日】2021-02-12
(65)【公開番号】P2022123640
(43)【公開日】2022-08-24
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤戸 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】辻 隆之
(72)【発明者】
【氏名】湊 一能
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 亘
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-317216(JP,A)
【文献】特開2006-118902(JP,A)
【文献】特開2000-210846(JP,A)
【文献】実開平06-075002(JP,U)
【文献】特表2020-519475(JP,A)
【文献】特開平06-195349(JP,A)
【文献】米国特許第04954777(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/02
G01N 27/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して製造される部材の製造方法であって、
前記部材を連続して製造する加工ステップと、
渦流探傷器を用いて、製造された前記部材の長手方向にわたって渦電流を連続して測定する検査ステップと、
前記渦流探傷器から出力される部材測定情報を取得する情報取得ステップと、
連続する前記部材を複数のロットに分割し、前記複数のロットにおける隣接する前記ロットの境目に対応する切替信号を取得する信号取得ステップと、
前記切替信号に基づいて、前記部材測定情報を前記ロットごとに対応して分割したロット測定情報を作成する情報分割ステップと、
前記ロット測定情報に含まれる複数の前記部材測定情報の値の大きさに基づく指標値を算出し、算出した前記指標値に基づいて前記ロットの品質を判定する判定ステップと、を有する製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に製造される部材の品質評価方法および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続的に製造される部材として、圧延などにより製造される部材や鋳造などにより製造される部材が知られている。例えば伸線材は、ダイスを用いた伸線工程やロールを用いた圧延工程で太径の線材を細径化することにより製造される。
【0003】
また伸線材は、つなぎ合わせた太径の線材に対して、伸線工程や圧延工程などで連続的に加工を加えて細径化し、所定の長さに切り分けられる。このようにすることで、伸線材は安定して低コストで製造される。
【0004】
その一方で、製造された伸線材に対して、連続する長手方向の品質が安定するように品質管理が行われることが求められている。ここで伸線材の品質には、伸線材の表面における傷の有無などが含まれる。
【0005】
伸線材の品質を管理する手法として、渦電流を使用した渦流探傷器を用いる手法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。渦流探傷器は、管理対象である伸線材における傷の有無を検知するものである。例えば、渦流探傷器から出力される信号(以下「出力信号」とも表記する。)の値は、伸線材に傷の大きさに応じて変化する。この出力信号の値の変化に基づいて伸線材の品質が管理される。
【0006】
これまでに、渦流探傷器を用いた品質管理手法として、例えば、出力信号の値が予め定められた閾値を超えた回数に基づいて評価する方法、出力信号の値の時間変化を、連続的にチャート紙に記録してグラフ化して評価する方法が用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平8-166372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の出力信号は、値が連続して変化するアナログデータである。伸線材の品質の管理にコンピュータを用いる場合、アナログの出力信号をコンピュータでの処理が可能な値が離散的に変化するデジタルデータに変換する(デジタルの出力信号に変換する)処理が行われる。
【0009】
デジタルデータに変換する処理において、サンプリングレートの設定が適切でないと、次に説明する問題が発生するおそれがあった。サンプリングレートが長い場合には、アナログの出力信号に含まれる傷に関連するデータがデジタルの出力信号から欠落し、品質の管理が適切に行えないおそれがあった。サンプリングレートが短い場合には、デジタルの出力信号のデータ量が過大となりやすく、品質管理に用いられるデータの整理が困難になるおそれがあった。
【0010】
また、出力信号の値が予め定められた閾値を超えた回数をカウントして品質の管理を行う場合、伸線材の長さが一定でないため、品質の良否の判定が難しくなるという問題があった。
【0011】
つまり、製品である伸線材の長さは、顧客の要望に応じて定められるため、長い場合もあれば、短い場合もある。伸線材が長い場合には、閾値を超えた回数が多くなりやすく、短い場合には閾値を超えた回数が少なくなりやすい。このように、閾値を超えた信号の数をカウントするだけでは、製品である伸線材の定量的な評価が困難となり、品質の良否の判定が難しいという問題があった。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、連続的に製造される部材における品質の良否の判定を行いやすくし、所定の品質を満たす部材の製造を行いやすくする品質評価方法および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の第1の態様に係る品質評価方法は、連続して製造される部材の長手方向にわたって渦電流を連続して測定することで得られる部材測定情報を取得する情報取得ステップと、ロットによって複数に分割された前記部材から、複数の前記ロットにおける隣接する前記ロットの境目に対応する切替信号を取得する信号取得ステップと、前記切替信号に基づいて、前記部材測定情報を前記ロットごとに対応して分割したロット測定情報を作成する情報分割ステップと、前記ロット測定情報に含まれる複数の前記部材測定情報の値の大きさに基づく指標値を算出し、算出した前記指標値に基づいて前記ロットの品質を判定する判定ステップと、を有する。
【0014】
本発明の第2の態様に係る製造方法は、連続して製造される部材の製造方法であって、前記部材を連続して製造する加工ステップと、渦流探傷器を用いて、製造された前記部材の長手方向にわたって渦電流を連続して測定する検査ステップと、前記渦流探傷器から出力される部材測定情報を取得する情報取得ステップと、連続する前記部材を複数のロットに分割し、前記複数のロットにおける隣接する前記ロットの境目に対応する切替信号を取得する信号取得ステップと、前記切替信号に基づいて、前記部材測定情報を前記ロットごとに対応して分割したロット測定情報を作成する情報分割ステップと、前記ロット測定情報に含まれる複数の前記部材測定情報の値の大きさに基づく指標値を算出し、算出した前記指標値に基づいて前記ロットの品質を判定する判定ステップと、を有する。
【0015】
本発明の第1の態様に係る品質評価方法および第2の態様に係る製造方法によれば、ロットに対応して分割したロット測定情報を作成し、ロット測定情報に含まれる離散化された複数の部材測定情報の値の大きさに基づく指標値を用いて品質の判定が行われる。例えば、データ量がより大きな部材測定情報を用いて品質の判定を行う場合と比較すると、分割によりデータ量が小さくなったロット測定情報を用いるため、デジタルデータ化を行う際のサンプリングレートの設定を行いやすくなる。
【0016】
離散化された複数の部材測定情報の値の大きさに基づく指標値を用いて品質の判定を行うため、閾値を超えた回数をカウントして評価する場合と比較して、ロットの長さによる影響を排除して定量的な判定を行いやすくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の品質評価方法および製造方法によれば、ロットに対応して分割したロット測定情報を作成し、ロット測定情報に含まれる離散化された複数の部材測定情報の値の大きさに基づく指標値を用いて品質の判定を行うため、連続的に製造される部材における品質の良否の判定を行いやすくなり、所定の品質を満たす部材の製造を行いやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る伸線材の製造方法の工程を説明する模式図である。
図2図1の渦流探傷器における構成の概略を説明する模式図である。
図3図1の品質評価装置の構成を説明するブロック図である。
図4】伸線材の製造方法を説明するフローチャートである。
図5】伸線材に傷が有る場合を説明する模式図である。
図6】伸線材の製品ロットの品質評価方法を説明するフローチャートである。
図7】伸線材の材料ロットの品質評価方法を説明するフローチャートである。
図8】デジタルの測定信号の演算処理の内容を説明するグラフである。
図9】材料ロットごとに作成された品質データの例を示す図である。
図10】製品ロットごとに作成された品質データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の一実施形態に係る伸線材の製造方法および品質評価方法について、図1から図10を参照しながら説明する。本実施形態では、製造および品質評価される対象物が伸線材DM(部材に相当する。)である例に適用して説明するが、連続的に製造される部材が対象であってもよく、伸線材に限定されるものではない。連続的に製造される部材には、ダイスを用いた伸線工程や、ロールを用いた圧延工程や、鋳造工程などの少なくとも一つを用いて製造される部材などが含まれる。
【0020】
まず、伸線材DMの製造に用いられる製造ライン1および品質評価装置50の構成について説明し、その後に製造方法および品質評価方法について説明する。なお、品質評価装置50は、製造ライン1に含まれてもよいし、含まれなくてもよい。図1は、本実施形態に係る伸線材の製造工程を説明する模式図である。
【0021】
製造ライン1は、相対的に径が太い線材(例えば、外径が6mm以上15mm以下)であるワイヤロッドWR(素材線に相当する。)から、相対的に細い所望の径の線材(例えば、外径が0.5mm以上3.0mm以下)である伸線材DMを連続的に製造するものである。本実施形態では、ワイヤロッドWRおよび伸線材DMは銅線材である例に適用して説明するが、鉄やアルミニウムなど導電性材料であれば銅に限定するものではない。ワイヤロッドWRは、製造ライン1とは異なる上流工程にて製造され、製造ライン1に供給されるものである。
【0022】
製造ライン1には、図1に示すように、送り出し部10と、伸線部20と、渦流探傷器30と、巻き取り部40と、品質評価装置50と、が主に設けられている。本実施形態では、製造ライン1に品質評価装置50が含まれる例に適用して説明する。
【0023】
送り出し部10は、上流工程にて製造されたワイヤロッドWRが配置され、ワイヤロッドWRを伸線部20に供給するものである。ワイヤロッドWRが配置される部分の構成や、ワイヤロッドWRを伸線部20に供給する部分の構成については、公知の構成を用いることができ、具体的な構成を限定するものではない。
【0024】
送り出し部10には、例えば、連続する線材の単位である材料ロットごとにワイヤロッドWRが配置されてもよいし、複数の材料ロットを接続したワイヤロッドWRが配置されてもよい。ワイヤロッドWRは、同じ上流工程で製造された材料ロット同士で接続されてもよいし、異なる上流工程で製造された材料ロットの間で接続されてもよい。
【0025】
送り出し部10に材料ロットの接続を可能とする構成が設けられ、送り出し部10において材料ロットの接続が行われてもよいし、送り出し部10とは異なる場所で材料ロットの接続が行われてもよい。材料ロットの接続は、溶接などの公知の接続方法を用いることができ、具体的な接続方法を限定するものではない。
【0026】
伸線部20は、送り出し部10から供給されたワイヤロッドWRを伸線材DMとするものである。具体的には、ワイヤロッドWRの径を小さくして伸線材DMとする加工を行うものである。伸線部20は、ダイスを用いた伸線工程、ロールを用いた圧延工程の少なくとも一つを行うものであってもよい。更に伸線部20は、それ以外の工程を含むものであってもよい。
【0027】
渦流探傷器30は、伸線部20において所望の径に加工された伸線材DMについて、品質の検査を行うものである。具体的には、伸線部20で加工された伸線材DMに傷が有るか無いかを測定するものである。
【0028】
図2は、図1の渦流探傷器における構成の概略を説明する模式図である。渦流探傷器30には、図2に示すように、コイル31と、探傷部32と、が主に設けられている。本実施形態では、渦流探傷器30が、単独のコイル31を用いる単一方式であって、励磁と検出を同じ1つのコイル31で行う自己誘導方式である例に適用して説明する。
【0029】
なお、渦流探傷器30の使用方式は、単一方式であってもよいし、自己比較式であってもよいし、標準比較式であってもよい。また、渦流探傷器30の誘導方式は、自己誘導方式であってもよいし、相互誘導方式であってもよい。
【0030】
コイル31は、導線がらせん状に配置されたものである。コイル31には交流電流を供給するとともに、伸線材DMの傷を検知する探傷部32が電気的に接続されている。本実施形態では、コイル31の内部を伸線材DMが通り抜けるように配置されている例に適用して説明する。
【0031】
言い換えると、渦流探傷器30が貫通型である例に適用して説明する。なお、コイル31は、貫通型であってもよいし、複数(例えば2つや4つ)のコイル31が伸線材DMの周囲を回転する回転型であってもよい。
【0032】
探傷部32は、コイル31に交流電流を供給する電源としての機能、および、伸線材DMの測定信号(部材測定情報に相当する。)を品質評価装置50へ出力する機能を有するものである。本実施形態では、測定信号が、傷の有無や傷の大きさ等に応じて値が変化する電圧である例に適用して説明する。
【0033】
なお測定信号は、電圧の値であってもよいし、電流の値であってもよいし、インピーダンスの値であってもよく、特に限定するものではない。また探傷部32の構成としては、公知の構成を用いることができ、その形式等を限定するものではない。
【0034】
巻き取り部40は、渦流探傷器30により検査された後の伸線材DMが巻き取られるものである。巻き取り部40の構成としては、公知の構成を用いることができ、具体的な構成を限定するものではない。
【0035】
品質評価装置50は、渦流探傷器30から出力された測定信号に基づいて、伸線材DMの品質の評価を行うものである。具体的には伸線材DMの傷の有無や大小に関する品質評価を行うものである。
【0036】
品質評価装置50は、渦流探傷器30と情報通信可能に接続されたものである。本実施形態では、有線または無線の情報通信機器を用いて逐次測定信号の送受信が行われる例に適用して説明する。なお、測定信号は可搬式の情報記憶媒体を用いて、渦流探傷器30から品質評価装置50に移してもよい。
【0037】
図3は、品質評価装置の構成を説明するブロック図である。
品質評価装置50は、図3に示すように、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するコンピュータやサーバ等の情報処理装置である。上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて、少なくとも情報取得部51と、信号取得部52と、情報分割部53と、判定部54と、データ作成部55と、条件比較部56と、して機能させるものである。
【0038】
情報取得部51は、伸線材DMの長手方向にわたって渦電流を連続して測定した渦流探傷器30から出力される測定信号を取得するものである。本実施形態では、渦流探傷器30からアナログの測定信号が出力され、情報取得部51においてデジタルの測定信号に変換される例に適用して説明する。なお、アナログの測定信号をデジタルの測定信号に変換する位置は、上述のように情報取得部51であってもよいし、渦流探傷器30であってもよく、その位置を限定するものではない。すなわち、情報取得部51は、渦流探傷器30から出力されるデジタルの測定信号を取得することでもよい。
【0039】
信号取得部52は、複数のロットのうち、隣接するロット同士の間に位置する境目に対応する切替信号を取得するものである。ロットは長尺材である伸線材DM(またはワイヤロッドWR)を長さ方向に複数に分割する単位である。境目は、隣接するロットの境界であり、例えば、n番目のロットからn+1番目のロット(以下、nは1以上の整数である。)に切り替わる部分である。
【0040】
信号取得部52で取得する切替信号には、製品切替信号および材料切替信号が含まれる。切替信号は、隣接するロットの境目を検知することで得られる信号である。本実施形態では、伸線材DMの径、単位体積当たりの重さ、および、ロットの長さから求められるロット毎の重さに基づいて、隣接するロットの境目を検知する方法に適用して説明する。
【0041】
また、隣接するロットの境目を検知する方法は、伸線材DMに存在する線材をつなぎ合わせた痕跡を隣接するロットの境目として検知する方法であってもよい。送り出される伸線材DMの長さ、および、ロットの長さに基づいて隣接するロットの境目を検知する方法であってもよい。伸線材DMに設けられたマーキングなどの物理的な目印を隣接するロットの境目として検知する方法であってもよい。
【0042】
製品切替信号は、製品切替信号出力部45から出力される信号であって、複数の製品ロットにおける隣接する製品ロットの境目に対応する信号である。製品ロットは連続する伸線材DMを長さ方向に複数に分割する単位である。製品ロットは、製品として販売される一単位でもある。製品切替信号は、複数の製品ロットにおける隣接する製品ロットの境目を検知することで得られる信号である。例えば、n番目の製品ロットからn+1番目の製品ロットに切り替わる部分を検知することで得られる信号である。
【0043】
材料切替信号は、材料切替信号出力部15から出力される信号であって、複数の材料ロットにおける隣接する材料ロットの境目に対応する信号である。材料ロットは伸線材DMを長さ方向に複数に分割する単位であり、伸線材DMの形成に用いられた複数のワイヤロッドWRに対応するものである。材料切替信号は、複数の材料ロットにおける隣接する材料ロットの境目を検知することで得られる信号である。例えば、n番目の材料ロットからn+1番目の材料ロットに切り替わる部分を検知することで得られる信号である。
【0044】
製品切替信号出力部45は、巻き取り部40の近傍に配置されるとともに、品質評価装置50と信号の通信が可能に接続されたものである。また、製品切替信号出力部45は、隣接する製品ロット同士の境目に対応する信号である製品切替信号を出力するものである。
【0045】
なお、製品切替信号出力部45が配置される位置は、上述のように巻き取り部40の近傍であってもよいし、製品切替信号の出力が可能であれば巻き取り部40から離れた位置であってもよい。
【0046】
本実施形態では、製品切替信号出力部45が巻き取り部40に巻き取られた伸線材DMの重さに基づいて製品切替信号を出力する例に適用して説明する。具体的には、伸線材DMの径、単位体積当たりの重さ、および、製品ロットの長さから求められる製品ロット毎の重さに基づいて、製品ロットが切り替わったことを製品切替信号として出力される。例えば、n番目の製品ロットからn+1番目の製品ロットに切り替わったことを製品切替信号として出力される。
【0047】
なお、製品切替信号出力部45が製品切替信号を出力する方法としては、上述の方法に限られるものではなく、製品切替信号の出力が可能なその他の種々の方法を用いてもよい。
【0048】
材料切替信号出力部15は、送り出し部10の近傍に配置されるとともに、品質評価装置50と信号の通信が可能に接続されたものである。また、材料切替信号出力部15は、材料ロット同士の境目に対応する信号である材料切替信号を出力するものである。
【0049】
本実施形態では、材料切替信号出力部15が、ワイヤロッドWRにおける隣接する材料ロットの境目であるジョイントを検出するとともに、材料ロットが切り替わったことを材料切替信号として出力する例に適用して説明する。なお、材料切替信号出力部15が材料切替信号を出力する方法としては、上述の方法に限られるものではなく、材料切替信号の出力が可能なその他の種々の方法を用いてもよい。
【0050】
情報分割部53は、製品切替信号に基づいて、情報取得部51で取得した複数の測定信号(部材測定情報に相当する。)を各製品ロットに対応して分割することにより、製品ロット測定情報(ロット測定情報に相当する。)を作成するものである。言い換えると、製品切替信号に基づいて複数の測定信号における製品ロットの境目の部分を定め、複数の測定信号を製品ロットの境目で分割して製品ロット測定情報を作成するものである。具体的な演算処理については後述する。
【0051】
例えば、n番目の製品ロットに対応する製品ロット測定情報には、n-1番目の製品ロットとn番目の製品ロットとの境目から、n番目の製品ロットとn+1番目の製品ロットとの境目までに測定された複数の測定信号が含まれる。
【0052】
また、情報分割部53は、材料切替信号に基づいて、情報取得部51で取得した複数の測定信号(部材測定情報に相当する。)を各材料ロットに対応して分割することにより、材料ロット測定情報(ロット測定情報に相当する。)を作成するものである。言い換えると、材料切替信号に基づいて複数の測定信号における材料ロットの境目の部分を定め、複数の測定信号を材料ロットの境目で分割して材料ロット測定情報を作成するものである。具体的な演算処理については後述する。
【0053】
例えば、n番目の材料ロットに対応する材料ロット測定情報には、n-1番目の材料ロットとn番目の材料ロットとの境目から、n番目の材料ロットとn+1番目の材料ロットとの境目までに測定された複数の測定信号が含まれる。
【0054】
判定部54は、製品ロット測定情報および材料ロット測定情報に含まれる離散化された複数の測定信号の値(以下「出力値」とも表記する。)の大きさに基づいて指標値を算出する演算処理を行うものである。また、算出した指標値に基づいて製品ロットおよび材料ロットの品質を判定する演算処理を行うものでもある。判定部54における演算処理の内容については後述する。
【0055】
本実施形態では、指標値が複数の出力値の大きさのバラつきを示す値である例に適用して説明する。より具体的には指標値が標準偏差である例に適用して説明する。なお、指標値は標準偏差であってもよいし、分散などの他のバラつきを示す値であってもよい。
【0056】
さらに指標値は、標準偏差等の複数の出力値の大きさのバラつきを示す値であってもよいし、出力値の大きさの平均値や中央値などの複数の出力値における値の大きさを代表する値であってもよい。
【0057】
データ作成部55は、判定部54における判定結果に基づいて伸線材DMの製品ロットごとの品質データを作成するものである。また、判定部54における判定結果に基づいて伸線材DMの材料ロットごとの品質データを作成するものである。
【0058】
条件比較部56は、データ作成部55により作製された材料ロットごとの品質データに基づいて、ワイヤロッドWRを製造する上流工程における製造条件の比較を行うものである。データ作成部55および条件比較部56における処理内容については後述する。
【0059】
次に、本実施形態における伸線材DMの製造方法および品質評価方法について説明する。伸線材DMは、図1に示す製造ライン1においてワイヤロッドWRから製造される。図4は伸線材DMの製造方法を説明するフローチャートである。
【0060】
まず、図1および図4に示すように、上流工程で製造されたワイヤロッドWRが製造ライン1に供給される(供給ステップS10)。具体的には、上流工程で製造されたワイヤロッドWRが送り出し部10に配置される。予め複数の材料ロットを接続したワイヤロッドWRを送り出し部10に配置してもよいし、材料ロットごとに送り出し部10に供給して送り出し部10に既に配置されている他の材料ロットと接続してもよい。
【0061】
次に、送り出し部10から送り出されたワイヤロッドWRを伸線材DMとする加工が行われる(加工ステップS20)が行われる。具体的には、伸線部20において、ワイヤロッドWRの径を小さくする加工が行われ伸線材DMが製造される。径を小さくする加工としては、ダイスを用いた伸線工程、および、ロールを用いた圧延工程の少なくとも一つが用いられる。
【0062】
次に、伸線部20において製造された伸線材DMに対して、渦流探傷器30を用いた検査(渦電流の測定に相当する。)が行われる(検査ステップS30)。具体的には、図2に示すように、渦流探傷器30のコイル31に伸線材DMが通される。
【0063】
コイル31には探傷部32から交流電流が印加されている。コイル31に通された伸線材DMの表面には、交流電流が印加されたコイル31から発生する磁場によって渦電流ECが生じる。さらに、渦電流ECによって生じた磁場をコイル31および探傷部32により検知し、探傷部32は渦電流ECに応じた電圧の測定信号を出力する。
【0064】
図5に示すように伸線材DMの表面に傷SHが存在する場合、渦電流ECは傷SHを迂回して流れ、渦電流ECの大きさが変化する。渦電流ECの大きさの変化はコイル31および探傷部32に検知され、探傷部32から出力される測定信号の電圧も変化する。本実施形態では、伸線材DMの表面に傷SHが存在する場合、測定信号の電圧が高くなる例に適用して説明する。
【0065】
渦流探傷器30を用いた検査の後、伸線材DMは巻き取り部40に巻き取られる(巻取りステップS40)。以上で製造ライン1における伸線材DMの製造は終了する。巻き取り部40に巻き取られた伸線材DMは、その後、製品ロットごとに切り離される。
【0066】
また検査ステップS30において渦流探傷器30から出力された測定信号に基づいて伸線材DMの品質を評価する処理が行われる(品質評価ステップS100)。品質を評価する処理は、品質評価装置50において行われる。
【0067】
図6は、伸線材DMの製品ロットの品質評価方法を説明するフローチャートである。図7は、伸線材DMの材料ロットの品質評価方法を説明するフローチャートである。まず、図6を参照しながら製品ロットの品質を評価する演算処理について説明する。その後、図7を参照しながら材料ロットの品質を評価する演算処理について説明する。
【0068】
本実施形態では、製品ロットの品質を評価する演算処理、および、材料ロットの品質を評価する演算処理は並行して行われる演算処理である例に適用して説明する。説明を容易にするために、図6および図7を用いて両者を別々に説明するが、両者を統合したフローチャートに基づいて演算処理を行ってもよい。
【0069】
図6に示すように、品質評価装置50は、渦流探傷器30から出力される連続データである測定信号を取得する処理を行う(情報取得ステップS101)。具体的には、品質評価装置50の情報取得部51が、渦流探傷器30の探傷部32から出力されるアナログの測定信号を取得する。情報取得部51は、取得したアナログの測定信号をデジタルの測定信号に変換する処理を行う。
【0070】
また、品質評価装置50は、製品切替信号を取得する処理を行う(信号取得ステップS102)。具体的には、品質評価装置50の信号取得部52は、製品切替信号出力部45から出力される製品切替信号を取得する。
【0071】
その後、品質評価装置50は、デジタルの測定信号と製品切替信号とを照合する演算処理を行う(S103)。具体的には、品質評価装置50の情報分割部53は、デジタルの測定信号および製品切替信号に含まれる時間情報に基づいて、デジタルの測定信号と製品切替信号とを照合する演算処理を行う。
【0072】
さらに、情報分割部53は、デジタルの測定信号における製品ロットの境目である接続部を判定する演算処理を行う。接続部の判定処理においては、伸線材DMが渦流探傷器30により検査されてから、製品切替信号出力部45により製品ロット同士の境目が検出されるまでの時間差が考慮されることが好ましい。
【0073】
照合処理を行った後、品質評価装置50は、デジタルの測定信号を製品ロットに対応して分割した製品ロット測定情報を作成する演算処理を行う(情報分割ステップS104)。具体的には、情報分割部53は、S103において判定されたデジタルの測定信号における製品ロットの境目である接続部で、デジタルの測定信号を分割する演算処理を行う。
【0074】
製品ロット測定情報を作成すると、品質評価装置50は、製品ロットごと(言い換えると製品ロット測定情報ごと)の品質を判定する演算処理を行う(判定ステップS105)。本実施形態では、品質評価装置50の判定部54が、製品ロット測定情報ごとに閾値に基づく品質の判定処理と、標準偏差を指標値とした品質の判定処理を行う例に適用して説明する。
【0075】
閾値に基づく品質の判定処理では、判定部54は、製品ロット測定情報における電圧の値が予め定められた閾値を超えたか否かを判定する。製品ロット測定情報における電圧の値が予め定められた閾値を超えた回数は、当該製品ロット測定情報に紐付けされて記憶される。ここで製品ロット測定情報における電圧の値は、伸線材DMの傷SHの大きさに応じて大きくなる値である。
【0076】
また、判定に用いる閾値は、1つであってもよいし、複数であってもよい。本実施形態では、小さな傷SHに対応する閾値(小)と、大きな傷SHに対応する閾値(大)の2つが用いられる例に適用して説明する。
【0077】
標準偏差を指標値とした品質の判定処理では、判定部54は、製品ロット測定情報における電圧の値を母集団とした標準偏差を求める演算処理を行う。演算処理により求められた標準偏差の値は、演算処理の対象となった製品ロット測定情報と紐付けされて記憶される。なお、標準偏差を求める計算手法については公知の手法を用いることができ、具体的な計算手法を限定するものではない。
【0078】
製品ロットごとの品質判定の演算処理が行われると、品質評価装置50は、伸線材DMの製品ロットごとの品質データを作成する演算処理を行う(S106)。具体的には、品質評価装置50のデータ作成部55は、製品ロットごと(言い換えると製品ロット測定情報ごと)に、電圧の値が予め定められた閾値を超えた回数や、標準偏差の値をまとめた品質データを作成する。
【0079】
作成された品質データは、品質評価装置50に設けられたディスプレイなどの表示機器に表示されてもよいし、記憶装置に出力されてもよいし、情報通信可能に接続された他の情報処理機器へ出力されてもよい。
【0080】
次に材料ロットの品質を評価する演算処理について説明する。図7に示すように、品質評価装置50は、渦流探傷器30から出力される連続データである測定信号を取得する処理を行う(S101)。処理の具体的な内容は、製品ロットの品質を評価する演算処理と同様であるため説明を省略する。
【0081】
また、品質評価装置50は、材料切替信号を取得する処理を行う(信号取得ステップS112)。具体的には、品質評価装置50の信号取得部52は、材料切替信号出力部15から出力される材料切替信号を取得する。
【0082】
その後、品質評価装置50は、デジタルの測定信号と材料切替信号とを照合する演算処理を行う(S113)。具体的には、品質評価装置50の情報分割部53は、デジタルの測定信号および材料切替信号に含まれる時間情報に基づいて、デジタルの測定信号と材料切替信号とを照合し、デジタルの測定信号における材料ロットの境目である接続部を判定する演算処理を行う。
【0083】
接続部の判定処理においては、材料切替信号出力部15により材料ロット同士の境目が検出されてから、伸線材DMが渦流探傷器30により検査されるまでの時間差が考慮されることが好ましい。
【0084】
照合処理を行った後、品質評価装置50は、デジタルの測定信号を材料ロットに対応して分割した材料ロット測定情報を作成する演算処理を行う(情報分割ステップS114)。具体的には、情報分割部53は、S113において判定されたデジタルの測定信号における材料ロットの境目である接続部で、デジタルの測定信号を分割する演算処理を行う。
【0085】
材料ロット測定情報を作成すると、品質評価装置50は、材料ロットごと(言い換えると材料ロット測定情報ごと)の品質を判定する演算処理を行う(判定ステップS115)。
【0086】
本実施形態では、品質評価装置50の判定部54が、材料ロット測定情報ごとに閾値に基づく品質の判定処理と、標準偏差を指標値とした品質の判定処理を行う例に適用して説明する。なお、閾値に基づく品質の判定処理、および、標準偏差を指標値とした品質の判定処理の処理内容は、S105における処理内容と同様であるため、その説明を省略する。
【0087】
材料ロットごとの品質判定の演算処理が行われると、品質評価装置50は、伸線材DMの材料ロットごとの品質データを作成する演算処理を行う(S116)。具体的には、品質評価装置50のデータ作成部55は、材料ロットごと(言い換えると材料ロット測定情報ごと)に、電圧の値が予め定められた閾値を超えた回数や、標準偏差の値をまとめた品質データを作成する。
【0088】
品質データを作成する演算処理が行われると、品質評価装置50は、上流工程の製造条件を比較する演算処理を行う(S117)。具体的には、品質評価装置50の条件比較部56は、材料ロットごとの品質データに基づいて、ワイヤロッドWRを製造する上流工程における製造条件の比較を行う。
【0089】
製造条件の比較結果は、品質評価装置50に設けられたディスプレイなどの表示機器に表示されてもよいし、記憶装置に出力されてもよいし、情報通信可能に接続された他の情報処理機器へ出力されてもよい。
【0090】
次に、品質評価装置50におけるデジタルの測定信号の演算処理例を説明する。図8は、デジタルの測定信号の演算処理の内容を説明するグラフである。図8に示すグラフにおける横軸は伸線材DMの長さであり、縦軸は傷SHの大きさを示すレベルである。なお、傷SHのレベルは、測定信号における電圧の大きさでもある。図8では、ワイヤロッドWRは外径が8mmの銅線材であり、伸線材DMは外径が2.6mmの銅線材である例に適用して説明する。
【0091】
図8に示すグラフには、縦に延びる点線で示される製品切替信号が図示されている。製品ロットは、製品切替信号の間に挟まれた部分として図示されている。図8では(1)から(13)までの製品ロットが図示されている。
【0092】
さらに、図8に示すグラフの上端には複数の材料ロットが図示されている。図8では、材料A-1から材料A-4まで、材料B-1および材料B-2の材料ロットが図示されている。なお、材料ロットの境目は材料切替信号に対応している。
【0093】
材料ロットの材料A-1から材料A-4までは、同じアルファベットが付されているため、同じ上流工程で製造されたロットであることが判る。また、数字により製造されたロットが異なっていることを示している。材料ロットの材料B-1および材料B-2は、材料A-1から材料A-4までとはアルファベットが異なるため、異なる上流工程で製造されたロットであることが判る。
【0094】
その他に、図8に示すグラフには、品質の判定に用いられる閾値(小)および閾値(大)が図示されている。なお、閾値(小)および閾値(大)の値は適宜設定することができ、その値を限定するものではない。また、閾値の数も2つに限定されるものではなく、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0095】
次に、品質評価装置50により作成された品質データについて説明する。図9は、材料ロットごとに作成された品質データの例を示し、図10は、製品ロットごとに作成された品質データの例を示す。
【0096】
図9に示すように、材料ロットごとに作成された品質データにおいて、傷(大)および傷(小)の数に着目すると、材料A-1から材料A-4では、1つ以上の傷(大)および傷(小)がある一方で、材料B-1および材料B-2では、傷(大)および傷(小)ともに0である。また、標準偏差に着目すると、材料A-1から材料A-4では、0.096以上であるのに対して、材料B-1および材料B-2では、0.018以下である。
【0097】
つまり、材料A-1から材料A-4と、材料B-1および材料B-2との間で、伸線材DMの表面の傷SHの発生状況が異なっていることが、傷(大)および傷(小)の数や、標準偏差に明確に表れていることが判る。
【0098】
図10に示すように、製品ロットごとに作成された品質データにおいて、傷(大)および傷(小)の数に着目すると、突発的な傷SHの有無をつかめるが、傷SHの発生頻度などの全体的な傾向をつかむのが難しいことが判る。その一方で、標準偏差に着目すると、傷SHの発生頻度などの全体的な傾向を比較的つかみやすいことが判る。
【0099】
上記の製造方法および品質評価方法によれば、製品ロットに対応して分割した製品ロット測定情報を作成し、製品ロット測定情報に含まれる出力値の大きさに基づく指標値である標準偏差を用いて製品ロットの品質判定が行われる。また、材料ロットに対応して分割した材料ロット測定情報を作成し、材料ロット測定情報に含まれる出力値の大きさに基づく指標値である標準偏差を用いて材料ロットの品質判定が行われる。
【0100】
これにより、例えば、データ量がより大きくなる伸線材DMの測定信号を用いて品質の判定を行う場合と比較すると、伸線材DMの測定信号を分割してデータ量が小さくなった製品ロット測定情報や、材料ロット測定情報を用いるため、アナログデータをデジタルデータに変換する際のサンプリングレートの設定を行いやすくなる。例えば、伸線材DMの移動速度、製品ロットや材料ロットの長さに基づく適切なサンプリングレートを設定しやすくなる。また、製品ロット測定情報や、材料ロット測定情報における傷の有無を示す情報が欠落しない範囲で、これらの情報を適宜圧縮することも可能となる。
【0101】
標準偏差を用いて伸線材DMの品質判定を行うため、閾値を超えた回数をカウントして評価するのみの場合と比較して、ロットの長さによる影響を排除して定量的な判定を行いやすくなる。また、閾値を超えた回数をカウントして評価する方法を組みわせることにより、定量的な判定が更に行いやすくなる。そのため、所定の品質を満たす伸線材DMの製造が行いやすくなる。
【0102】
伸線材DMの製品ロット同士の境目に対応する製品切替信号を用いることにより、製品ロットごとの品質を数値化、可視化でき、品質の判定を行いやすくなる。また、判定した品質を伸線材DMの製造工程にフィードバックすることができ、所定の品質を満たした伸線材DMを製造しやすくなる。
【0103】
伸線材DMの材料ロット同士の境目に対応する材料切替信号を用いることにより、伸線材DMになる前のワイヤロッドWRの品質を数値化、可視化でき、品質の判定を行いやすくなる。また、判定した品質をワイヤロッドWRの製造工程にフィードバックすることができ、所定の品質を満たした伸線材DMを製造しやすくなる。
【0104】
品質の判定にバラつきを示す標準偏差を用いることにより、閾値の値を超えた回数を用いる場合と比較して、製品ロットや材料ロットの品質を定量的に判定しやすくなる。言い換えると、判定を行う際に製品ロットや材料ロットの長さの影響を排除しやすくなる。
【0105】
なお、品質の判定に出力値の大きさの平均値または中央値を用いた場合、バラつきを示す標準偏差や分散などを用いる場合と比較して、判定に要する演算量を少なくしやすい。そのため、製品ロットや材料ロット品質評価をより迅速に行いやすい。
【0106】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の実施の形態においては、製品ロットおよび材料ロットについて品質評価が行われる例に適用して説明したが、製品ロットおよび材料ロットのいずれか一方について品質評価が行われてもよい。
【符号の説明】
【0107】
30…渦流探傷器、 DM…伸線材(部材)、 WR…ワイヤロッド(素線材)、 S20…加工ステップ、 S30…検査ステップ、 S40…巻取りステップ、 S100…品質評価ステップ、 S101…情報取得ステップ、 S102,S112…信号取得ステップ、 S104,S114…情報分割ステップ、 S105,S115…判定ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10