(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】基板検査方法、基板検査プログラム、及び基板検査装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/54 20200101AFI20240925BHJP
G01R 31/08 20200101ALI20240925BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240925BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G01R31/54
G01R31/08
G01R31/00
G06F3/041 660
(21)【出願番号】P 2021553529
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 JP2020039741
(87)【国際公開番号】W WO2021079945
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2019194401
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】ニデックアドバンステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】久保 清文
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-26320(JP,A)
【文献】国際公開第2011/121862(WO,A1)
【文献】特開2001-201753(JP,A)
【文献】特開平7-270477(JP,A)
【文献】特開2009-121894(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0092523(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/54
G01R 31/50
G01R 31/00
G01R 27/26
G01R 27/02
H05K 1/02
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第一方向に沿って延びる複数の第一電極と、前記第一方向と交差する第二方向に沿って延びる第二電極とが互いに対向するように形成された基板を検査する基板検査方法であって、
一方の前記第一電極と他方の前記第一電極とに挟まれた前記第一電極の数を電極間数とし、前記複数の第一電極のうち一つを第一選択電極として選択し、前記第一選択電極との間の前記電極間数が一以上の前記第一電極を第二選択電極として選択する第一選択工程と、
前記第一及び第二選択電極以外の前記第一電極と、前記第二電極とをグラウンドに接続する第一グラウンド工程と、
前記第一選択電極に交流電圧を供給し、前記第二選択電極で測定される電流値に基づいて第一容量を測定する第一測定工程と、
前記第一容量に基づいて、前記第一選択電極及び前記第二選択電極の間の領域における前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方の断線の有無を判定する判定工程とを含む基板検査方法。
【請求項2】
前記電極間数が前記第一及び第二選択電極間と等しい一対の前記第一電極を第三及び第四選択電極として選択し、前記第四選択電極は、前記第一選択電極と前記第二選択電極との間の前記第一電極である第二選択工程と、
前記第三、及び第四選択電極以外の前記第一電極と、前記第二電極とをグラウンドに接続する第二グラウンド工程と、
前記第三選択電極に交流電圧を供給し、前記第四選択電極で測定される電流値に基づいて第二容量を測定する第二測定工程と、
前記第一容量と前記第二容量との差を測定差分として算出する差分工程とをさらに含み、
前記判定工程は、前記測定差分に基づいて、前記第一選択電極と第二選択電極との間の領域における前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方の断線の有無を判定する請求項1に記載の基板検査方法。
【請求項3】
前記第二電極は、
前記複数の第一電極に対して交差する位置で対向する幅狭部と、
前記複数の第一電極と対向しない位置で前記幅狭部よりも幅が広い幅広部とを含み、
前記判定工程は、
前記測定差分に基づいて、前記第一選択電極及び前記第二選択電極の間の前記第一電極の少なくとも一つと対向する位置における前記第二電極の断線の有無を判定する請求項2に記載の基板検査方法。
【請求項4】
前記複数の第一電極は、それぞれ、前記第一方向に沿って延びる複数の子電極が並列接続されたものであり、
前記第二電極は、
前記複数の子電極に対して交差する位置で対向する幅狭部と、
前記複数の子電極と対向しない位置で前記幅狭部よりも幅が広い幅広部とを含み、
前記判定工程は、
前記測定差分に基づいて、前記第一選択電極及び前記第二選択電極の間の前記第一電極の少なくとも一つにおける、前記複数の子電極の少なくとも一つと対向する位置での前記第二電極の断線の有無を判定する請求項2に記載の基板検査方法。
【請求項5】
前記第一選択工程、前記第一グラウンド工程、前記第一測定工程、前記第二選択工程、前記第二グラウンド工程、前記第二測定工程、及び前記差分工程を含む一連の組工程を、前記第一及び第二選択工程において選択される前記第一、第二、第三、及び第四選択電極を前記電極間数ずつずらしながら繰り返し実行し、
前記判定工程は、前記組工程のそれぞれに対応する前記測定差分に基づいて、前記各工程における前記第一選択電極及び前記第二選択電極の間の領域における前記第二電極の断線の有無を判定する請求項2~4のいずれか1項に記載の基板検査方法。
【請求項6】
前記各第一電極には、配線が接続され、
前記第一測定工程は、前記配線を介して前記第一容量を測定し、
前記第二測定工程は、前記配線を介して前記第二容量を測定し、
前記基板は、前記第二電極が断線していない場合に、前記第一、第二、第三、及び第四選択電極の位置が、前記第二方向の一方側から他方側へ向かう方向に移動するほど前記第一及び第二容量が減少し、
前記第一選択電極は前記第三選択電極よりも前記他方側に位置し、前記第二選択電極は前記第四選択電極よりも前記他方側に位置する請求項2~5のいずれか1項に記載の基板検査方法。
【請求項7】
前記電極間数は一である請求項1~6のいずれか一項に記載の基板検査方法。
【請求項8】
前記第二電極は複数であり、
前記各第二電極の断線の有無を検出する断線電極特定工程をさらに含む請求項1~7のいずれか一項に記載の基板検査方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の基板検査方法を実行するための基板検査プログラムであって、
コンピュータに、
前記第一選択工程、前記第一グラウンド工程、前記第一測定工程、及び前記判定工程を実行させる基板検査プログラム。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の基板検査方法を実行する基板検査装置であって、
前記第一選択工程、前記第一グラウンド工程、及び前記第一測定工程を実行する測定処理部と、
前記判定工程を実行する判定処理部とを備える基板検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を検査する基板検査方法、基板検査プログラム、及び基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレットを始めとした電子機器の急速な普及に伴い、人間の指やスタイラスペンがタッチした位置を検出するタッチパネル(TSP:Touch Screen Panel)の需要が特に高まっている。このようなタッチパネルとして、格子状に配置した透明電極をタッチ面に配置し、ユーザがパネルを指でタッチしたときに生じる静電容量に基づき、タッチ位置を検出する静電容量方式のタッチパネルが広く用いられている。
【0003】
静電容量方式のタッチパネルは、パネル表面にX-Yの二次元座標が設定され、X-Y座標に対応するように、例えばガラス等の透明基板上にX方向に延びる複数の透明電極(X電極)と、Y方向に延びる複数の透明電極(Y電極)とが互いに絶縁されて対向配置されている。
【0004】
このようなタッチパネルの検査方法として、X座標の各X電極と、Y座標の各Y電極との間の静電容量を測定し、測定された静電容量を予め記憶された判定値と比較することによって検査する検査方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の検査方法では、一本のY電極が一箇所で断線していた場合、断線箇所の前後のX電極で静電容量が大きく変化するため、Y電極の断線箇所が推定できる。しかしながら、一本のY電極が複数箇所で断線していた場合、測定部に最も近い位置の断線箇所は特定できるものの、測定部からみて二番目以降の断線箇所では、その前後のX電極に対して測定される静電容量に大きな差が生じない。そのため、測定部からみて二番目以降の断線箇所を特定することが難しい。
【0007】
本発明の目的は、一本の電極が複数箇所で断線している場合であっても断線位置を判定することが容易な基板検査方法、基板検査プログラム、及び基板検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一例に係る基板検査方法は、所定の第一方向に沿って延びる複数の第一電極と、前記第一方向と交差する第二方向に沿って延びる第二電極とが互いに対向するように形成された基板を検査する基板検査方法であって、一方の前記第一電極と他方の前記第一電極とに挟まれた前記第一電極の数を電極間数とし、前記複数の第一電極のうち一つを第一選択電極として選択し、前記第一選択電極との間の前記電極間数が一以上の前記第一電極を第二選択電極として選択する第一選択工程と、前記第一及び第二選択電極以外の前記第一電極と、前記第二電極とをグラウンドに接続する第一グラウンド工程と、前記第一選択電極に交流電圧を供給し、前記第二選択電極で測定される電流値に基づいて第一容量を測定する第一測定工程と、前記第一容量に基づいて、前記第一選択電極及び前記第二選択電極の間の領域における前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方の断線の有無を判定する判定工程とを含む。
【0009】
また、本発明の一例に係る基板検査プログラムは、上述の基板検査方法を実行するための基板検査プログラムであって、コンピュータに、前記第一選択工程、前記第一グラウンド工程、前記第一測定工程、及び前記判定工程を実行させる。
【0010】
また、本発明の一例に係る基板検査装置は、上述の基板検査方法を実行する基板検査装置であって、前記第一選択工程、前記第一グラウンド工程、及び前記第一測定工程を実行する測定処理部と、前記判定工程を実行する判定処理部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
このような構成の基板検査方法、基板検査プログラム、及び基板検査装置は、一本の電極が複数箇所で断線している場合であっても断線位置を判定することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る基板検査方法を実行する基板検査装置の構成の一例を概念的に示すブロック図である。
【
図2】断線電極特定工程の一例を示すフローチャートである。
【
図3】第一選択工程、第一グラウンド工程、第一測定工程、第二選択工程、第二グラウンド工程、第二測定工程、及び差分工程の一例を示すフローチャートである。
【
図4】判定工程の一例を示すフローチャートである。
【
図5】変数iが0、第一選択電極がY電極Y0、第二選択電極がY電極Y2の場合について、ステップS14におけるX電極X及びY電極Yと、交流電源2、電流計3、及びグラウンドとの接続関係を概略的に示した説明図である。
【
図6】第一容量の測定方法を概略的に示す説明図である。
【
図7】
図6に示すX電極X3に断線部Fが生じている場合を概略的に示す説明図である。
【
図8】第一及び第二測定工程で測定される静電容量の一例を示すグラフである。
【
図9】測定差分D0~D16の一例を示すグラフである。
【
図10】グラフG1~G4に対応する状態、すなわち電極X3が、Y電極Y6と交差して対向する位置、及びY電極Y17と交差して対向する位置の二箇所で断線している状態を説明するための説明図である。
【
図11】電極間数が2の場合について、
図3の変形例を示すフローチャートである。
【
図12】電極間数が2の場合について、
図4の変形例を示すフローチャートである。
【
図13】
図1に示すタッチパネル基板Pの変形例を示す説明図である。
【
図14】
図13に示すタッチパネル基板P’を検査対象とした場合の測定方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1に示す基板検査装置1は、交流電源2、電流計3、制御部4、表示部5、操作部6、接続端子Ty0~Ty19(第一接続端子)、接続端子Tx0~Tx3(第二接続端子)、及び切替スイッチSW1,SW2を備える。
【0014】
図1に示す基板検査装置1には、検査対象のタッチパネル基板P(基板)が接続されている。
図1に示すタッチパネル基板Pには、X-Y座標が設定されており、
図1に示す例では横方向がX軸、縦方向がY軸とされている。
【0015】
タッチパネル基板Pには、板状の例えばガラス等の透明な基材Paの表面に、複数のY電極Y0~Y19(第一電極)と、複数のX電極X0~X3(第二電極)とが形成されている。Y電極Y0~Y19は、互いに離間してX軸方向(第一方向)に沿って延びる。X電極X0~X3は、互いに離間してX軸方向と垂直に交差するY軸方向(第二方向)に沿って延びる。Y電極Y0~Y19と、X電極X0~X3とは、タッチパネル基板Pの厚み方向(紙面奥行き方向)に互いに対向するように形成されている。これにより、X電極X0~X3がX座標に対応し、Y電極Y0~Y19がY座標に対応する。
【0016】
すなわち、X電極X1とY電極Y1の組み合わせは、タッチパネル基板Pにおける座標位置(X1,Y1)と対応し、X電極XmとY電極Ynの組み合わせは、タッチパネル基板Pにおける座標位置(Xm,Yn)と対応している(m、nは任意の整数)。
【0017】
なお、基板は、必ずしもタッチパネル用の基板でなくてもよく、例えばプリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板であってもよい。
【0018】
なお、
図1に示す例では説明を簡単にするため便宜上、X電極が四つ、Y電極が二十個の例を示したが、電極の数は、タッチパネル基板Pの大きさや位置検出精度に応じて適宜設定される。
【0019】
X電極X0~X3及びY電極Y0~Y19は、いわゆる透明電極であり、例えば酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)や、酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide、IZO)等により構成されている。なお、X電極X0~X3及びY電極Y0~Y19としては種々の材料を用いることができ、必ずしも透明電極でなくてもよい。
【0020】
X電極X0~X3とY電極Y0~Y19とが交差する位置には、X電極X0~X3とY電極Y0~Y19との間に絶縁被膜が形成され、互いに電気的に絶縁されている。また、絶縁被膜の厚みによって、X電極X0~X3とY電極Y0~Y19との間に微少な間隔が生じている。その結果、X電極X0~X3とY電極Y0~Y19とが交差する位置、すなわち座標位置(Xm,Yn)で、X電極XmとY電極Ynとの間に静電容量が生じる。
【0021】
X電極X0~X3、及びY電極Y0~Y19は、一定の大きさの小さな複数の幅広部Wを串刺ししたようなパターン形状を有している。X電極X0~X3、及びY電極Y0~Y19には、幅狭部Nと、幅狭部Nよりも幅が広い幅広部Wとが長手方向で繰返し交互に配置されている。X電極X0~X3、及びY電極Y0~Y19は、互いの幅狭部Nの部分において、平面視で互いに交差し、対向している。これにより、X電極X0~X3、及びY電極Y0~Y19のうち何れかによって、タッチ位置検出可能な領域(以下、タッチ領域と称する)のほぼ全体が覆われている。
【0022】
タッチパネル基板Pには、X電極X0~X3と導通接続された配線Px0~Px3と、Y電極Y0~Y19と導通接続された配線Py0~Py19とが形成されている。配線Px0~Px3及び配線Py0~Py19は、例えば銀ペーストや銅ペースト等の導電性を有するペースト材料を用いて、スクリーン印刷により形成されている。
【0023】
配線Px0~Px3,Py0~Py19は、X電極X0~X3,Y電極Y0~Y19と、接続端子Tx0~Tx3,Ty0~Ty19とを導通接続させるものであればよく、上述の例に限らない。また、配線Px0~Px3,Py0~Py19を設けず、X電極X0~X3,Y電極Y0~Y19と、接続端子Tx0~Tx3,Ty0~Ty19とを直接導通接続させる構成としてもよい。
【0024】
以下、X電極X0~X3,Y電極Y0~Y19を総称してそれぞれX電極X、Y電極Yと称し、配線Px0~Px3,Py0~Py19を総称してそれぞれ配線Px,Pyと称し、接続端子Tx0~Tx3,Ty0~Ty19を総称してそれぞれ接続端子Tx,Tyと称する場合がある。
【0025】
図13を参照して、検査対象となる基板は、タッチパネル基板P’であってもよい。タッチパネル基板P’は、タッチパネル基板Pとは、下記の点で異なる。
【0026】
すなわち、タッチパネル基板P’は、Y電極Y0が子電極Ya0,Yb0、Y電極Y1が子電極Ya1,Yb1、・・・Y電極Y19が子電極Ya19,Yb19によって構成されている。以下、子電極Ya0~Ya19,Yb0~Yb19を総称して、子電極Ya,Ybと称する。なお、各Y電極Yの子電極は、複数であればよく、三つ以上であってもよい。
【0027】
タッチパネル基板P’のY電極Yは、子電極Yaと子電極Ybとが並列接続されて構成されている。子電極Ya,Ybは、タッチパネル基板PのY電極Yと略同様の形状を有している。子電極Ya,Ybには、幅狭部Nと、幅狭部Nよりも幅が広い幅広部Wとが長手方向で繰返し交互に配置されている。X電極X、及び子電極Ya,Ybは、互いの幅狭部Nの部分において、平面視で互いに交差し、対向している。
【0028】
また、タッチパネル基板P’は、配線Py’0~Py’19をさらに備えていてもよい。以下、配線Py’0~Py’19を総称して、配線Py’と称する。配線Py’は、配線Pyとは反対側で、Y電極Yと接続されている。
【0029】
接続端子Tx,Tyは、配線Px,Pyの端部と接続可能に構成された接続端子である。配線Px,Pyの端部は、例えばパッド、基板エッジコネクタ等とされ、接続端子Tx,Tyと電気的に接続可能になっている。
【0030】
例えばユーザが検査対象のタッチパネル基板P,P’を基板検査装置1の所定の取り付け位置に取り付けることによって、接続端子Tx0~Tx3,Ty0~Ty19と、配線Px0~Px3,Py0~Py19とが接続される。その結果、接続端子Tx0~Tx3及び接続端子Ty0~Ty19と、X電極X0~X3及びY電極Y0~Y19とが導通する。
【0031】
切替スイッチSW1は、制御部4からの制御信号に応じて、接続端子Ty0~Ty19の接続先を、それぞれ、交流電源2、電流計3、及び回路グラウンド(以下グラウンドと称する)のいずれか一つとの間で切り替える。切替スイッチSW2は、制御部4からの制御信号に応じて、接続端子Tx0~Tx3の接続先を、それぞれ、電流計3と回路グラウンドとの間で切り替える。
【0032】
なお、基板検査装置1は、配線Py’の端部と接続可能な接続端子Ty’0~Ty’19をさらに備え、切替スイッチSW1は、さらに、接続端子Ty’0~Ty’19の接続先を、それぞれ、交流電源2、電流計3、及びグラウンドのいずれか一つとの間で切り替え可能であってもよい。
【0033】
交流電源2は、切替スイッチSW1によって選択された接続端子Tyへ例えば実効値で電圧Vの交流電圧SAを供給する。交流電圧SAは、例えば周波数fの正弦波にされている。
【0034】
電流計3は、切替スイッチSW2によって選択された接続端子Txに流れる電流を検出し、その実効値の電流値Iを示す情報を制御部4へ出力する。
【0035】
表示部5は、例えば液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。操作部6は、ユーザの操作入力を受け付ける操作装置である。操作部6としては、例えば操作スイッチやキーボード、タッチパネル等が用いられる。
【0036】
制御部4は、いわゆるコンピュータであり、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、所定の基板検査プログラムを記憶する不揮発性のフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶部44、及びこれらの周辺回路等から構成されている。
【0037】
そして、制御部4は、例えば記憶部44に記憶された、基板検査プログラムを実行することによって、断線電極特定処理部41、測定処理部42、及び判定処理部43として機能する。記憶部44には、X電極X0~X3及びY電極Y0~Y19に断線が無いことが判っているタッチパネル基板Pに基づいて得られた後述の基準差分Dc(0)~Dc(16)が予め記憶されている。
【0038】
断線電極特定処理部41は、X電極X0~X3のそれぞれについて、断線の有無を検出する断線電極特定工程を実行する。断線電極特定処理部41は、断線の有無を検出する方法として、例えば特許文献1に記載されているような、種々の公知の断線検出方法を用いることができる。
【0039】
具体的には、例えばX電極X0の断線の有無を検出する場合、断線電極特定処理部41は、切替スイッチSW1によって配線Py0に交流電源2を接続させ、切替スイッチSW2によってX電極X0に電流計3を接続させる。そして、断線電極特定処理部41は、交流電源2からY電極Y0へ交流電圧SAを供給させる。
【0040】
X電極X0に断線がなければ座標位置(X0,Y0)で、X電極X0とY電極Y0とは、静電容量C(0,0)で容量結合されている。従って、Y電極Y0に交流電圧SAが供給されると、Y電極Y0から静電容量C(0,0)を介してX電極X0に電流が流れ、その電流が電流計3によって検出される。
【0041】
一方、X電極X0が断線していれば、Y電極Y0から静電容量C(0,0)を介してX電極X0に流れた電流は、断線箇所で止まり、微小な漏れ電流を除いて電流計3では検出されない。
【0042】
従って、断線電極特定処理部41は、電流計3で検出された電流値Iを予め設定された断線判定値Irefと比較し、電流値Iが断線判定値Irefを超えていればX電極X0には断線無と判定することができる。一方、電流値Iが断線判定値Iref以下であれば断線電極特定処理部41は、X電極X0に断線有と判定することができる。同様にして、断線電極特定処理部41は、他のX電極X1~X3についても、その断線の有無を判定することができる。
【0043】
ここで、交流電源2から電流計3に至る測定経路全体の静電容量をCとすると、静電容量Cは、下記の式(1)で近似できる。
C=I/(2πfV) ・・・(1)
【0044】
従って、電流値Iに基づき静電容量Cを算出することができる。また、交流電圧SAの実効値電圧Vと、周波数fとは固定値である。式(1)から、電流値Iと静電容量Cとは比例関係を有している。従って、電流値Iは、そのまま静電容量Cを表す情報としての意義を有している。従って、電流値Iを検出することは、静電容量Cを測定することに他ならない。
【0045】
測定処理部42は、後述する第一選択工程、第一グラウンド工程、第一測定工程、第二選択工程、第二グラウンド工程、第二測定工程を実行する。判定処理部43は、後述する差分工程、及び判定工程を実行する。
【0046】
次に、上述のように構成された基板検査装置1が実行する基板検査方法の一例について、
図2~
図4を参照しつつ説明する。以下のフローチャートにおいて、同一の処理には同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0047】
断線電極特定処理部41は、まず、X電極X0~X3の断線の有無を検査するべく、ステップS1~S9の断線電極特定工程を実行する。具体的には、断線電極特定処理部41は、変数iを0に初期化する(ステップS1)。
【0048】
次に、断線電極特定処理部41は、切替スイッチSW2によって電流計3を接続端子Txiと接続させる(ステップS2)。次に、断線電極特定処理部41は、切替スイッチSW1によって接続端子Ty0に交流電源2を接続させ、交流電源2からY電極Y0へ交流電圧SAを供給させる(ステップS3)。このとき、断線電極特定処理部41は、接続端子Txi以外の接続端子Tx、及び接続端子Ty0以外の接続端子Ty1~Ty19をグラウンドに接続してもよい。
【0049】
次に、断線電極特定処理部41は、電流計3で検出された電流値Iを断線判定値Irefと比較する(ステップS4)。電流値Iが断線判定値Irefに満たなければ(ステップS4でYES)、断線電極特定処理部41は、X電極Xiに断線有として記憶部44に記憶させる(ステップS5)。これにより、断線が生じているX電極Xを特定することができる。
【0050】
一方、電流値Iが断線判定値Iref以上であれば(ステップS4でNO)、X電極Xiは断線していないと判断できるので、断線電極特定処理部41はステップS6へ処理を移行する。
【0051】
次に、断線電極特定処理部41は、変数iが3と等しいか、すなわち全てのX電極X0~X3について断線の検査が終了したか否かを判断する(ステップS6)。変数iが3と等しくなければ、断線電極特定処理部41は、変数iに1を加算し(ステップS7)、再びステップS2~S6を繰り返す。
【0052】
そして、変数iが3と等しくなったとき(ステップS6でYES)、断線電極特定処理部41は、記憶部44を参照し、X電極X0~X3のいずれかに断線が有ったか否かをチェックする(ステップS8)。そして、断線有とされたX電極Xが記憶部44に記憶されていなければ(ステップS8でNO)、断線電極特定処理部41は、X電極X0~X3に断線無と判定し(ステップS9)、処理を終了する。
【0053】
一方、断線有とされたX電極Xが記憶部44に記憶されていた場合(ステップS8でYES)、X電極Xに断線が生じているY軸方向の位置を判定するべくステップS11へ移行する。
【0054】
ステップS11において、測定処理部42は、変数iを0に初期化する(ステップS11)。次に、測定処理部42は、Y電極Yiを第三選択電極、Y電極Y(i+2)を第四選択電極として選択する(ステップS12:第二選択工程)。この場合、Y電極Yiと、Y電極Y(i+2)とに挟まれたY電極Yは、Y電極Y(i+1)のみであり、電極間数は1である。
【0055】
次に、測定処理部42は、Y電極Yi,Y(i+2)以外のY電極Y、すなわち第三、第四選択電極以外のY電極Yを、切替スイッチSW1によってグラウンドに接続させ、さらに全てのX電極X0~X3を、切替スイッチSW2によってグラウンドに接続させる(ステップS13:第二グラウンド工程)。
【0056】
次に、測定処理部42は、第三選択電極に対応する接続端子Tyiに交流電圧SAを供給したときに、第四選択電極に対応する接続端子Ty(i+2)の電流を電流値Iとして測定し、電流値Iに基づいて第二容量Cbを測定する(ステップS14:第二測定工程)。具体的には、測定処理部42は、切替スイッチSW1によって交流電源2を接続端子Tyiに接続させ、切替スイッチSW1によって電流計3を接続端子Ty(i+2)に接続させる。測定処理部42は、電流計3で検出された電流値Iに基づいて、例えば式(1)を用いることによって、第二容量Cbを算出する。なお、断線電極特定処理部41と同様、電流値Iを、そのまま第二容量Cbを表す情報として用いてもよい。
【0057】
図5を参照して、変数iが0のとき、ステップS14において交流電源2が接続端子Ty0に接続され、電流計3が接続端子Ty2に接続される。そうすると、交流電源2からY電極Y0とY電極Y2の間に交流電圧SAが供給される。
【0058】
そうすると、X電極X0~X3が、Y電極Y0とY電極Y2の間で断線していなければ、X電極X0~X3と、Y電極Y0,Y2との間の静電結合を介して、電流経路A0~A3が形成される。
【0059】
従って、電流経路A0~A3を流れた電流の合計が、電流値Iの電流として電流計3で検出される。測定処理部42は、このようにして得られた電流値Iに基づいて、接続端子Tyiと、接続端子Ty(i+2)との間の第二容量Cbを取得することができる。
【0060】
ここで、
図1に示す配線Py0~Py19には、それぞれ寄生容量が生じている。それらの寄生容量値は、切替スイッチSW1と各Y電極Yとの間の配線長に概ね比例する。そのため、ステップS14で測定される第二容量Cbには、上記配線長に応じた寄生容量が含まれる。
【0061】
なお、検査対象がタッチパネル基板P’であった場合、ステップS14において測定処理部42は、切替スイッチSW1によって交流電源2を接続端子Tyi,Ty’iに接続させ、切替スイッチSW1によって電流計3を接続端子Ty(i+2),Ty’(i+2)に接続させてもよい。これにより、
図14に示すように、交流電圧SAをY電極Yiの両端に供給し、Y電極Y(i+2)の両端から流れ出る電流を、電流値Iとして測定してもよい。また、検査対象がタッチパネル基板P’であっても、接続端子Ty’を開放したままとし、上述のステップS14をそのまま実行してもよい。
【0062】
以下、ステップS17,S14a,S17aにおいても、交流電源2と電流計3とを、
図14と同様に接続してもよい。
【0063】
次に、測定処理部42は、Y電極Y(i+1)を第一選択電極、Y電極Y(i+3)を第二選択電極として選択する(ステップS15:第一選択工程)。第一選択電極であるY電極Y(i+1)と第二選択電極であるY電極Y(i+3)の電極間数は、第三選択電極であるY電極Yiと第四選択電極であるY電極Y(i+2)の電極間数と等しく、1である。
【0064】
次に、測定処理部42は、Y電極Y(i+1),Y(i+3)以外のY電極Y、すなわち第一、第二選択電極以外のY電極Yを、切替スイッチSW1によってグラウンドに接続させ、さらに全てのX電極X0~X3を、切替スイッチSW2によってグラウンドに接続させる(ステップS16:第一グラウンド工程)。
【0065】
次に、測定処理部42は、第一選択電極に対応する接続端子Ty(i+1)に交流電圧SAを供給したときに、第二選択電極に対応する接続端子Ty(i+3)の電流を電流値Iとして測定し、電流値Iに基づいて第一容量Caを測定する(ステップS17:第一測定工程)。測定処理部42は、切替スイッチSW1によって交流電源2を接続端子Ty(i+1)に接続させ、切替スイッチSW2によって電流計3を接続端子Ty(i+3)に接続させる。
【0066】
図6を参照して、変数i=0のとき、接続端子Ty(i+1)はY電極Y1と接続されているから、交流電源2がY電極Y1と接続され、接続端子Ty(i+3)はY電極Y3と接続されているから、電流計3がY電極Y3と接続される。
【0067】
測定処理部42は、ステップS17において、電流計3で検出された電流値Iに基づいてステップS14の第二容量Cbと同様にして、第一容量Caを測定する。
【0068】
なお、測定処理部42は、ステップS14,S17において、配線Pyを介して、配線Pyの寄生容量を含む第二容量Cb、第一容量Caを測定する例を示した。しかしながら、例えば接続端子Tx,Tyを直接接続端子Tyの端部に接触させるなどすることによって、配線Pyを介さず、配線Pyの寄生容量を含まない第二容量Cb、第一容量Caを測定してもよい。
【0069】
また、測定処理部42は、ステップS14,S17において、第二容量Cb、第一容量Caを測定することができればよく、その測定方法は、上述の方法に限らない。測定処理部42は、ステップS14,S17において、種々の静電容量の測定方法を用いることができる。
【0070】
次に、判定処理部43は、第二容量Cbから第一容量Caを減算し、第一容量Caと第二容量Cbの差を測定差分Diとして算出する(ステップS18:差分工程)。
【0071】
次に、判定処理部43は、記憶部44から基準差分Dc(i)を読み出して、測定差分Diから基準差分Dc(i)を減算することによって、判定対象差分DDiを算出する(ステップS20:判定工程)。
【0072】
次に、判定処理部43は、予め設定された判定基準値Drefと判定対象差分DDiとを比較する(ステップS21:判定工程)。そして、判定対象差分DDiが判定基準値Drefを超えた場合(ステップS21でYES)、判定処理部43は、第一選択電極であるY電極Y(i+1)と第二選択電極であるY電極Y(i+3)との間に配置されたY電極Y(i+2)と交差して対向する位置で、X電極Xの少なくとも一つに断線有と判定する(ステップS22:判定工程)。「第一選択電極であるY電極Y(i+1)と第二選択電極であるY電極Y(i+3)との間」には、第一選択電極及び第二選択電極そのものも含まれる。
【0073】
ここで、判定対象差分DDiは、ステップS17,S18,S20によって第一容量Caに基づき得られた値であるから、ステップS21,S22は、第一容量Caに基づいて、第一選択電極及び第二選択電極の間の領域における第二電極の断線の有無を判定する判定工程に他ならない。
【0074】
次に、判定処理部43は、ステップS22で判定された断線位置を、記憶部44に記憶させる(ステップS23)。
【0075】
一方、ステップS21において、判定対象差分DDiが判定基準値Dref以下の場合(ステップS21でNO)、判定処理部43は、第一選択電極であるY電極Y(i+1)と、第二選択電極であるY電極Y(i+3)との間ではX電極Xのいずれも断線していないと判定できるので、ステップS22,S23を実行することなくステップS24へ移行する。
【0076】
ステップS24において、判定処理部43は、変数iを、19-3=16と比較する(ステップS24)。そして、変数i=16であれば、判定処理部43は、断線位置の検査を終了したと判断し、処理を終了する。一方、変数i=16でなければ、変数iに電極間数である1を加算して(ステップS25)、再びステップS12~S24を繰り返す。
【0077】
なお、
図2~
図4のフローチャートは、
図1に記載のY電極Y0~Y19を備えたタッチパネル基板Pを検査対象とする場合と例示している。そのため、ステップS24では、Y電極Yの最大の番号である19に基づいて処理の終了条件を判断している。ステップS24の終了条件は、検査対象のY電極Yの数に応じて適宜設定すればよい。
【0078】
これにより、ステップS15(第一選択工程)、ステップS16(第一グラウンド工程)、ステップS17(第一測定工程)、ステップS12(第二選択工程)、ステップS13(第二グラウンド工程)、ステップS14(第二測定工程)、及びステップS18(差分工程)を含む一連の組工程が、電極間数(=1)ずつ第一~第四選択電極をずらしながら繰り返し実行され、X電極Xの断線位置が検査される。
【0079】
図8を参照して、縦軸は静電容量(fF)を示し、横軸は静電容量の測定位置を示している。横軸の”Ty0-Ty2”は接続端子Ty0,Ty2間を示し、”Ty1-Ty3”は接続端子Ty1,Ty3間を示し、以下同様に、接続端子Ty2,Ty4間から、接続端子Ty17,Ty19間までの測定位置を示している。
【0080】
図8では、X電極X0~X3に断線が無い正常時の静電容量を破線のグラフG1で、X電極X3に断線が有る場合の静電容量を実線のグラフG2で示している。グラフG2は、電極X3が、Y電極Y6と交差して対向する位置、及びY電極Y17と交差して対向する位置の二箇所で断線している場合の例を示している。
【0081】
なお、
図8及び
図9のデータは、検査対象として
図13に記載のタッチパネル基板P’を用いて測定されたデータである。しかしながら、検査対象がタッチパネル基板P,P’の何れであっても、基本的に同一の検査方法が適用できるので、以下、主に
図5~7、及び
図10に基づいて説明し、適宜
図13を参照しつつ説明する。
【0082】
図1を参照して、配線Py0~Py19は、配線Py0が最も長く、配線Py19に近づくに従って短くなる。その結果、配線Py0の寄生容量が最も大きく、配線Py19の寄生容量が最も小さい。そのため、
図8に示すグラフG1,G2は、接続端子Ty0,Ty2間で最も静電容量が大きく、接続端子Ty17,Ty19間に近づくに従って静電容量が小さくなっている。
【0083】
また、X電極Xに断線が有ると、グラウンドに接続されているX電極Xの端部からみて断線箇所から先の部分は、浮島になる。浮島に電位が供給されている場合には浮島で生じる静電容量が増大する。浮島に電位が供給されていない場合はその静電容量を無視できる。
図10の不良サンプルと、良品サンプルに対して、ステップS12~S14と同様の測定方法によって、変数iを0~17まで変化させつつ静電容量を測定した。その結果、
図8に示すように、良品サンプルのグラフG1より、不良サンプルのグラフG2のほうが、全体的に静電容量が大きくなる結果が得られた。
【0084】
グラフG2は、全体的に略直線的に変化しているが、部分的に非線形に静電容量が低下している箇所がある。以下、グラフG2が得られる理由について、考えられる原因を説明する。
【0085】
Ty0-Ty2~Ty3-Ty5の場合、不良サンプルはY17、Y6の電極位置で断線しているので、Y0~Y6の区間でX電極X3が浮島FI1になっている。この浮島FI1に交流電圧SAが供給されているので、浮島FI1のメタル分の寄生容量分が、良品サンプルに比べて増加していると考えられる。
【0086】
Ty4-Ty6の場合、不良サンプルはY17、Y6の電極位置で断線しているので、Y0~Y6が浮島FI1になっている。この浮島FI1に交流電圧SAが供給されているので、浮島FI1のメタル分の寄生容量分が、良品サンプルに比べて増加している。X電極X3は、Y電極Y6と交差する位置で断線しているので、その交差位置におけるX電極X3とY電極Y6との間の静電容量は減少すると考えられる。しかしながら、X電極X3とY電極Y6とは断線しつつも、ある程度容量結合していると考えられる。その結果、Y0~Y6の浮島FI1の寄生容量が良品サンプルの静電容量に上乗せされ、不良サンプルにおけるTy4-Ty6の静電容量が、良品サンプルの静電容量よりも大きくなっていると考えられる。
【0087】
Ty5-Ty7の場合、座標位置(X3,Y5)、(X2,Y5)、(X2,Y6)、(X3,Y7)におけるX電極XとY電極Yとの間の静電容量は良品サンプルと同様である。このとき、座標位置(X3,Y6)におけるX電極XとY電極Yとの間の静電容量は測定されない。Y6~Y17の浮島FI2に電流計3が接続されるが、Y6~Y17の浮島FI2には交流電源2が接続されないためにフローティング状態となり、Y6~Y17の浮島FI2が静電容量に与える影響は小さい。このため、Ty5-Ty7の場合の方が、Ty4-Ty6の場合よりも、静電容量が良品サンプルに近くなると考えられる。
【0088】
Ty7-Ty9~Ty14-Ty16の場合、交流電源2は、Y6-Y17の浮島FI2に相当する部分に電位を供給する。この浮島FI2に相当する部分の寄生容量により、静電容量が良品サンプルの静電容量よりも大きくなっていると考えられる。
【0089】
Ty6-Ty8の場合については
図13に示すタッチパネル基板P’を参照しつつ説明する。
図8及び
図9のデータが測定されたタッチパネル基板P’は、Y電極Y6に含まれる子電極Ya6,Yb6のうち、子電極Ya6とX電極X3とが交差する位置で、X電極X3が断線している。
図13では図示していないが、タッチパネル基板P’のX電極X3は、Y6~Y17の区間で
図10に示す浮島FI2と同様の浮島になっている。交流電源2は、Y6~Y17の浮島FI2に相当する部分に電位を供給する。この浮島FI2に相当する部分の寄生容量により、Ty6-Ty8の静電容量が良品サンプルの静電容量よりも大きくなっていると考えられる。
【0090】
このように、X電極Xのどこかに断線が生じた場合、断線していない位置で測定された静電容量も正常時の値から変化する場合がある。そのため、ステップS14で測定された第二容量Cbを単純に基準値と比較するといった判定方法よりも、判定対象差分DDiを判定基準値Drefと比較する方が、断線の有無を判定することが容易となる。
【0091】
そこで、ステップS14,S17で第二容量Cb、第一容量Caを測定し、ステップS18で測定差分Diを算出し、ステップS20で判定対象差分DDiを算出し、ステップS21で判定対象差分DDiを判定基準値Drefと比較することによって、変数iに対応する位置におけるX電極Xの断線の有無を判定する。
【0092】
以下、測定差分D0~D16を総称して測定差分Dと称する。
図9を参照して、破線で示すグラフG3は、X電極X0~X3に断線が無い正常時の測定差分Dを示し、実線で示すグラフG4は、電極X3が、Y電極Y6と交差して対向する位置、及びY電極Y17と交差して対向する位置の二箇所で断線している場合の測定差分Dを示している。
【0093】
図8に示すグラフG1,G2の間では、全体的に静電容量に差が生じるのに対し、
図9に示すグラフG3,G4の間では、電極X3の断線の影響を受けたD3,D4,D6,及びD14~D16以外、測定差分Dの値に大きな差が生じない。
【0094】
そこで、X電極X0~X3に断線が無いタッチパネル基板Pについて、予め実験的にステップS11~S18,S24,S25を実行し、得られた測定差分D0~D16を基準差分Dc(0)~Dc(16)として記憶部44に記憶しておく。例えば、
図9に示すグラフG3の測定差分D0~D16に対応する静電容量を、基準差分Dc(0)~Dc(16)として用いることができる。
【0095】
そして、X電極Xに断線が生じた場合に生じる測定差分Dの増加と、バラツキ等による測定差分Dの増加とを区別できるように、判定基準値Drefを予め設定すればよい。例えば
図9に示す例では、判定基準値Drefを20fFとすることができる。
【0096】
例えば、
図9に示すグラフG3の測定差分D0~D16に対応する静電容量を基準差分Dc(0)~Dc(16)とし、判定基準値Drefを20fFとする。
図9によれば、グラフG4から、測定差分D4,D15は、80fF,78fFとなり、グラフG3から、測定差分D4,D15に対応する基準差分Dc(4),Dc(15)は、45fF,45fFとなる。
【0097】
そうすると、ステップS20において、判定対象差分DD4=D4-Dc(4)=80-45=35、判定対象差分DD15=D15-Dc(15)=78-45=33となる。従って、判定対象差分DD4,DD15は、いずれも判定基準値Dref=20fFよりも大きい(ステップS21でYES)。従って、判定処理部43は、ステップS22において、Y電極Y(4+1)とY電極Y(4+3)との間にあるY電極Y(4+2)と対向する位置と、Y電極Y(15+1)とY電極Y(15+3)との間にあるY電極Y(15+2)と対向する位置とで、X電極Xに断線有と判定される。すなわち、Y電極Y(6),Y(17)と対向する二箇所でX電極Xが断線していると判定することができる。
【0098】
なお、検査対象がタッチパネル基板P’の場合であっても、判定処理部43は、ステップS22において、Y電極Y(i+2)と対向する位置で、X電極Xに断線有と判定することができる。この場合、判定処理部43は、Y電極Y(i+2)と対向する位置、すなわち子電極Ya(i+2),Yb(i+2)のうち少なくとも一つと対向する位置でX電極Xが断線していると判定することができる。
【0099】
さらに、ステップS1~S9によれば、ステップS5において断線が生じているX電極Xが特定され、断線が生じているX電極Xを示す情報が記憶部44に記憶されている。従って、ステップS5で得られた情報と、ステップS22で得られた断線位置を示す情報とを合わせることで、どのX電極Xが、どの位置で断線しているかが判る。
【0100】
以上、ステップS11~S25によれば、
図10に示すように、一本のX電極Xが複数箇所で断線している場合であっても、それぞれの断線位置を判定することが容易である。
【0101】
また、
図8に示す例では、タッチパネル基板PにおいてX電極X(第二電極)が断線していない場合に、第一~第四選択電極に対応する接続端子Tyi~Ty(i+3)の位置が、Y座標0(第二方向の一方側)から座標値の大きいY座標19(第二方向の他方側)へ向かう方向に移動するほど静電容量(第一及び第二容量)が減少する。すなわち、グラフG1は、
図8の左から右に向かって下がるように傾斜する。
【0102】
そして、ステップS15においてY電極Y(i+1)が第一選択電極、Y電極Y(i+3)が第二選択電極として選択され、ステップS12においてY電極Yiが第三選択電極、Y電極Y(i+2)が第四選択電極として選択されるから、第一選択電極は第三選択電極よりも座標値が大きい他方側に位置し、第二選択電極は第四選択電極よりも座標値が大きい他方側に位置している。
【0103】
その結果、グラフG1の傾斜に伴い静電容量が大きい位置で第二容量Cbが測定され(ステップS14)、グラフG1の傾斜に伴い静電容量が小さい位置で第一容量Caが測定される(ステップS17)から、ステップS18で算出される測定差分Diには、断線の有無に伴う第一容量Caの減少量と、グラフG1の傾きに伴う静電容量の減少量とが加算されて含まれる。
【0104】
一方、もし仮に、第一選択電極が第三選択電極よりも座標値が小さい一方側に位置し、第二選択電極が第四選択電極よりも座標値が小さい一方側に位置していた場合、ステップS18で算出される測定差分Diは、断線の有無に伴う第一容量Caの減少量に対し、グラフG1の傾きに伴う静電容量の増加量が加算される。すなわち第一容量Caの減少量がグラフG1の傾きに伴う静電容量の増加量で相殺されてしまう。そのため、測定差分Diの値が小さくなり、測定差分Diに基づく断線の有無の判定を行う難易度が増大する。
【0105】
従って、
図8に示すように、第一~第四選択電極に対応する接続端子Tyi~Ty(i+3)の位置が、Y座標0(第二方向の一方側)から座標値の大きいY座標19(第二方向の他方側)へ向かう方向に移動するほど静電容量(第一及び第二容量)が減少する場合、第一選択電極は第三選択電極よりも座標値が大きい他方側に位置し、第二選択電極は第四選択電極よりも座標値が大きい他方側に位置することがより好ましい。
【0106】
なお、電極間数が一である例を示したが、電極間数は2以上であってもよい。
図11、
図12を参照して、電極間数が2の場合、ステップS12aにおいて、Y電極Yiを第三選択電極とし、Y電極Y(i+3)を第四選択電極として選択し、このY電極Yi,Y(i+3)を第三、第四選択電極としてステップS13a,S14aを実行する。
【0107】
また、ステップS15aにおいて、Y電極Y(i+2)を第一選択電極とし、Y電極Y(i+5)を第二選択電極として選択し、このY電極Y(i+2),Y(i+5)を第一、第二選択電極としてステップS16a,S17a,S22aを実行する。さらに、ステップS24aにおいて、変数iを19-4と比較し、ステップS25aにおいて、変数iに電極間数である2を加算する。
【0108】
このようにしても、X電極Xの断線位置を検査することができる。第一選択電極を電極間数分シフトして選択、測定を繰り返しているため、電極間数を2倍にすれば、測定回数を約半分に削減できる。測定回数を削減することにより、検査時間を短縮できる。なお、第一選択電極を選択するときのシフト量は、電極間数と同じでなくてもよい。
【0109】
なお、
図11,
図12のフローチャートは、
図1に記載のY電極Y0~Y19を備えたタッチパネル基板Pを検査対象とし、電極間数が2の場合を例示している。ため、ステップS24aでは、Y電極Yの最大の番号である19と、電極間数に2を加算した4とに基づいて処理の終了条件を判断している。ステップS24aの終了条件は、検査対象のY電極Yの数及び電極間数に応じて適宜設定すればよい。
【0110】
なお、第一選択電極が第三選択電極よりも座標値が小さい一方側に位置し、第二選択電極が第四選択電極よりも座標値が小さい一方側に位置する構成としてもよい。
【0111】
また、Y電極Yを第一電極、X電極Xを第二電極とする例を示したが、Y電極Yを第二電極、X電極Xを第一電極としてもよい。
【0112】
また、断線電極特定処理部41を備えず、ステップS1~S9の断線電極特定工程を実行しなくてもよい。
【0113】
また、ステップS24(S24a),S25(S25a)を実行せず、ステップS11において検査箇所を示す変数iを適宜設定し、ステップS12(S12a)~S23を一回実行するだけでもよい。このような場合であっても、変数iに応じた箇所におけるX電極Xの断線の有無を検査することができる。
【0114】
また、ステップS22で断線箇所をY電極Y(i+2)と対向する位置に特定せず、断線位置を、「Y電極Y(i+1)(第一選択電極)と、Y電極Y(i+3)(第二選択電極)との間」としてもよい。X電極Xが、
図1に示すように幅狭部Nと幅広部Wとを備える形状を有している場合、幅広部Wは断線しにくいので、Y電極Yと交差する幅狭部Nで断線している可能性が高い。そのため、ステップS22で断線箇所をY電極Y(i+2)と対向する位置に特定することができる。
【0115】
しかしながら、幅狭部Nで断線する可能性も低いながら存在する。また、X電極Xは、幅狭部Nと幅広部Wとを備えず、幅が略一定の帯状形状であってもよい。
【0116】
従って、ステップS22では、断線位置をY電極Y(i+2)と対向する位置に特定せず、「Y電極Y(i+1)(第一選択電極)と、Y電極Y(i+3)(第二選択電極)との間」としてもよい。ステップS22aについても同様に、断線位置をY電極Y(i+3),(i+4)と対向する位置に特定せず、「Y電極Y(i+2)(第一選択電極)と、Y電極Y(i+5)(第二選択電極)との間」としてもよい。
【0117】
また、ステップS11において検査箇所を示す変数iを適宜設定し、ステップS15~S17(ステップS15a~S17a)のみを実行し、得られた第一容量Caのみに基づいて、第一選択電極及び第二選択電極の間の領域における第二電極の断線の有無を判定してもよい。
【0118】
図8のグラフG2に示すように、第一容量Caとして測定される、”Ty6-Ty8”,”Ty16-Ty18”の静電容量は、断線が無い箇所と比べて非線形に低下する。従って、第一容量Caのみに基づいて、第一選択電極及び第二選択電極の間の領域における第二電極の断線の有無を判定することも可能である。
【0119】
すなわち、本発明の一例に係る基板検査方法は、所定の第一方向に沿って延びる複数の第一電極と、前記第一方向と交差する第二方向に沿って延びる第二電極とが互いに対向するように形成された基板を検査する基板検査方法であって、一方の前記第一電極と他方の前記第一電極とに挟まれた前記第一電極の数を電極間数とし、前記複数の第一電極のうち一つを第一選択電極として選択し、前記第一選択電極との間の前記電極間数が一以上の前記第一電極を第二選択電極として選択する第一選択工程と、前記第一及び第二選択電極以外の前記第一電極と、前記第二電極とをグラウンドに接続する第一グラウンド工程と、前記第一選択電極に交流電圧を供給し、前記第二選択電極で測定される電流値に基づいて第一容量を測定する第一測定工程と、前記第一容量に基づいて、前記第一選択電極及び前記第二選択電極の間の領域における前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方の断線の有無を判定する判定工程とを含む。
【0120】
この方法によれば、第一測定工程で測定された第一容量は、第一選択電極から第二電極を介して第二選択電極に至る経路の静電容量となる。第一選択電極及び第二選択電極の間の領域で第二電極が断線していた場合、この経路の静電容量が断線していない場合に対して大きく変化する。従って、第一選択電極及び第二選択電極の間の領域における第二電極の断線の有無を判定することができる。この場合、第一選択電極及び第二選択電極の間の領域以外の領域で第二電極が断線していたとしても、第一容量には影響が及びにくい。その結果、一本の第二電極が複数箇所で断線している場合であっても断線位置を判定することが容易となる。
【0121】
また、前記電極間数が前記第一及び第二選択電極間と等しい一対の前記第一電極を第三及び第四選択電極として選択し、前記第四選択電極は、前記第一選択電極と前記第二選択電極との間の前記第一電極である第二選択工程と、前記第三、及び第四選択電極以外の前記第一電極と、前記第二電極とをグラウンドに接続する第二グラウンド工程と、前記第三選択電極に交流電圧を供給し、前記第四選択電極で測定される電流値に基づいて第二容量を測定する第二測定工程と、前記第一容量と前記第二容量との差を測定差分として算出する差分工程とをさらに含み、前記判定工程は、前記測定差分に基づいて、前記第一選択電極と第二選択電極との間の領域における前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方の断線の有無を判定することが好ましい。
【0122】
第一容量は、測定位置や断線の有無によって変動する場合がある。このような場合、第一容量のみに基づいて第一選択電極及び第二選択電極の間の領域における第一及び第二電極の少なくとも一方の断線の有無を判定することの難易度が高まるおそれがある。しかしながら、断線が無い領域における第一容量と第二容量の差である測定差分は、測定位置や断線の有無による変動が第一容量のみの変動よりも小さい。そこで、測定差分に基づいて、第一選択電極と第二選択電極との間の領域において断線の有無を判定するようにすれば、第一容量のみに基づいて断線の有無を判定するよりも、判定の難易度が低下する。
【0123】
また、前記第二電極は、前記複数の第一電極に対して交差する位置で対向する幅狭部と、前記複数の第一電極と対向しない位置で前記幅狭部よりも幅が広い幅広部とを含み、前記判定工程は、前記測定差分に基づいて、前記第一選択電極及び前記第二選択電極の間の前記第一電極の少なくとも一つと対向する位置における前記第二電極の断線の有無を判定することが好ましい。
【0124】
第二電極が幅狭部と幅広部とを含んでいる場合、幅広部よりも幅狭部の方が、断線の可能性が高い。従って、判定工程において、測定差分に基づいて、第一選択電極及び前記第二選択電極の間の第一電極の少なくとも一つと対向する位置における、第二電極の断線の有無を判定することができる。
【0125】
また、前記複数の第一電極は、それぞれ、前記第一方向に沿って延びる複数の子電極が並列接続されたものであり、前記第二電極は、前記複数の子電極に対して交差する位置で対向する幅狭部と、前記複数の子電極と対向しない位置で前記幅狭部よりも幅が広い幅広部とを含み、前記判定工程は、前記測定差分に基づいて、前記第一選択電極及び前記第二選択電極の間の前記第一電極の少なくとも一つにおける、前記複数の子電極の少なくとも一つと対向する位置での前記第二電極の断線の有無を判定してもよい。
【0126】
この構成によれば、第一電極が、第一方向に沿って延びる複数の子電極が並列接続された構造を有する基板を検査することができる。
【0127】
また、前記第一選択工程、前記第一グラウンド工程、前記第一測定工程、前記第二選択工程、前記第二グラウンド工程、前記第二測定工程、及び前記差分工程を含む一連の組工程を、前記第一及び第二選択工程において選択される前記第一、第二、第三、及び第四選択電極を前記電極間数ずつずらしながら繰り返し実行し、前記判定工程は、前記組工程のそれぞれに対応する前記測定差分に基づいて、前記各工程における前記第一選択電極及び前記第二選択電極の間の領域における前記第二電極の断線の有無を判定することができる。
【0128】
この構成によれば、第一、第二、第三、及び第四選択電極を電極間数ずつずらしながら、すなわち検査位置を変化させながら第二電極の断線位置が探索されるので、第二電極の複数箇所の断線位置を探索することができる。
【0129】
また、前記各第一電極には、配線が接続され、前記第一測定工程は、前記配線を介して前記第一容量を測定し、前記第二測定工程は、前記配線を介して前記第二容量を測定し、前記基板は、前記第二電極が断線していない場合に、前記第一、第二、第三、及び第四選択電極の位置が、前記第二方向の一方側から他方側へ向かう方向に移動するほど前記第一及び第二容量が減少し、前記第一選択電極は前記第三選択電極よりも前記他方側に位置し、前記第二選択電極は前記第四選択電極よりも前記他方側に位置することが好ましい。
【0130】
この構成によれば、検査対象の基板が、第二電極が断線していないときに第一、第二、第三、及び第四選択電極の位置が、第二方向の一方側から他方側へ向かう方向に移動するほど第一及び第二容量が減少する特性を有している場合に、判定対象差分に基づく断線の有無の判定が容易となる。
【0131】
また、前記電極間数は一であってもよい。
【0132】
この構成によれば、第一選択電極と第二選択電極の間に位置する第一電極が一本だけなので、第一選択電極及び第二選択電極の間の領域が狭くなる。その結果、第二電極の断線位置の特定精度が向上する。
【0133】
また、前記第二電極は複数であり、前記各第二電極の断線の有無を検出する断線電極特定工程をさらに含むことが好ましい。
【0134】
この構成によれば、判定工程の判定結果と、断線電極特定工程による各第二電極の断線の検出結果とを組み合わせることによって、断線している第二電極と、その第二電極における断線位置とを特定することが容易になる。
【0135】
また、本発明の一例に係る基板検査プログラムは、上述の基板検査方法を実行するための基板検査プログラムであって、コンピュータに、前記第一選択工程、前記第一グラウンド工程、前記第一測定工程、及び前記判定工程を実行させる。
【0136】
このプログラムによれば、コンピュータに、上述の基板検査方法を実行させることができる。
【0137】
また、本発明の一例に係る基板検査装置は、上述の基板検査方法を実行する基板検査装置であって、前記第一選択工程、前記第一グラウンド工程、及び前記第一測定工程を実行する測定処理部と、前記判定工程を実行する判定処理部とを備える。
【0138】
この構成によれば、上述の基板検査方法を実行することができる。
【符号の説明】
【0139】
1:基板検査装置、2:交流電源、3:電流計、4:制御部、5:表示部、6:操作部、41:断線電極特定処理部、42:測定処理部、43:判定処理部、44:記憶部、A0~A3:電流経路、C:静電容量、Ca:第一容量、Cb:第二容量、D,D0~D16,DD,DDi,DD1~DD16:判定対象差分、Dc,Dc(i),Dc(0)~Dc(16):基準差分、Di,D1~D16:測定差分、Dref:判定基準値、F:断線部、FI1,FI2:浮島、I:電流値、Iref:断線判定値、N:幅狭部、P,P’:タッチパネル基板(基板)、Pa:基材、Px,Py,Px0~Px3,Py0~Py19,Py’0~Py’19:配線、SA:交流電圧、SW1,SW2:切替スイッチ、Tx,Ty,Txi,Tx0~Tx3,Ty0~Ty19,Ty’0~Ty’19:接続端子、V:電圧、W:幅広部、X,Xi,X0~X3:X電極(第二電極)、Y,Yi,Y0~Y19:Y電極(第一電極)、Ya,Ya0~Ya19,Yb,Yb0~Yb19:子電極、f:周波数