(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】パターン露光装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240925BHJP
G03F 7/24 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G03F7/20 505
G03F7/24 H
(21)【出願番号】P 2022559455
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2021040344
(87)【国際公開番号】W WO2022092320
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2020183561
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正紀
(72)【発明者】
【氏名】木内 徹
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 義昭
(72)【発明者】
【氏名】中山 修一
(72)【発明者】
【氏名】林田 洋祐
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/164087(WO,A1)
【文献】特開2013-045110(JP,A)
【文献】特開2017-067823(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066159(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/049940(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/057415(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/082850(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源装置からの第1ビームによって基板上にパターンを描画する第1描画ユニットと、第2光源装置からの第2ビームによって前記基板上にパターンを描画する第2描画ユニットと、を備えたパターン露光装置であって、
前記第1光源装置から前記第1描画ユニットまでの間の前記第1ビームの光路中に設けられて、前記第1ビームの一部を第1の計測用ビームとして分割する第1光分割器と、
前記第2光源装置から前記第2描画ユニットまでの間の前記第2ビームの光路中に設けられて、前記第2ビームの一部を第2の計測用ビームとして分割する第2光分割器と、
前記第1の計測用ビームと前記第2の計測用ビームとを受光し、前記第1ビームと前記第2ビームとの相対的な位置変動又は相対的な傾き変動を検出する変動検出光学ユニットと、
前記第1光分割器から前記変動検出光学ユニットまでの前記第1の計測用ビームによる光路を形成する第1の導光系と、
前記第2光分割器から前記変動検出光学ユニットまでの前記第2の計測用ビームによる光路を形成する第2の導光系と、
を備える、パターン露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン露光装置であって、
前記変動検出光学ユニットに関して、前記第1の導光系と前記第2の導光系とを点対称又は線対称に配置した、パターン露光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパターン露光装置であって、
前記変動検出光学ユニットは、前記第1の導光系からの前記第1の計測用ビームと前記第2の導光系からの前記第2の計測用ビームとが入射する検出用レンズ系と、前記検出用レンズ系を通った前記第1の計測用ビームと前記第2の計測用ビームとを受光可能な撮像素子と、を含むパターン露光装置。
【請求項4】
請求項3に記載のパターン露光装置であって、
前記第1の導光系と前記第2の導光系の各々は、前記検出用レンズ系の光軸と平行に前記第1の計測用ビームと前記第2の計測用ビームとを前記検出用レンズ系に入射させるように導く複数のミラーを含む、パターン露光装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載のパターン露光装置であって、
前記第1の導光系は、前記第1光源装置の前記第1ビームの射出口と光学的に共役な第1の面を形成するリレー光学系を含み、前記第2の導光系は、前記第2光源装置の前記第2ビームの射出口と光学的に共役な第2の面を形成するリレー光学系を含み、前記変動検出光学ユニットの前記検出用レンズ系は、前記第1の面の共役面と前記第2の面の共役面とを同じ結像面に形成する、パターン露光装置。
【請求項6】
請求項5に記載のパターン露光装置であって、
前記撮像素子は、前記検出用レンズ系で形成される前記結像面に配置され、前記第1光源装置の射出口における前記第1ビームの横シフトの変動と、前記第2光源装置の射出口における前記第2ビームの横シフトの変動と検出する第1の撮像素子を含む、パターン露光装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のパターン露光装置であって、
前記撮像素子は、前記検出用レンズ系の瞳面の位置に形成される前記第1の計測用ビームと前記第2の計測用ビームの各々の集光スポットを受光するように配置され、前記第1光源装置の射出口における前記第1ビームの傾き変動と、前記第2光源装置の射出口における前記第2ビームの傾き変動とを検出する第2の撮像素子を含む、パターン露光装置。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載のパターン露光装置であって、
前記検出用レンズ系は、前記第1の面と前記第2の面とを前記結像面に所定の縮小倍率で結像するテレセントリックな縮小リレー光学系である、パターン露光装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のパターン露光装置であって、
前記第1光源装置の前記第1ビームの射出口から前記第1光分割器と前記第1の導光系とを介して前記変動検出光学ユニットに至る光路長と、前記第2光源装置の前記第2ビームの射出口から前記第2光分割器と前記第2の導光系とを介して前記変動検出光学ユニットに至る光路長とを同じに設定した、パターン露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に電子デバイス等のパターンを描画データに応じて変調された描画ビームによって露光するパターン露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板上に微細な電子デバイスを製造する過程では、基板上のフォトレジスト層に電子デバイスのパターン(配線層、電極層、半導体層、絶縁層等の形状を規定するパターン)に対応した露光ビーム(光ビームや電子ビーム等)を照射する露光工程と、露光後の基板を現像して、フォトレジスト層の残膜部と除去部とによるパターンを出現させる現像工程とを含むフォトリソグラフィ処理が実施されている。その露光工程で使われる露光装置としては、露光すべきパターンが固定的に形成されたフォトマスクを用いる方式と、露光すべきパターンに応じた描画データ(CADデータ)に基づいて露光ビームを動的に強度変調するマスクレス方式とが知られている。
【0003】
特開2002-196270号公報には、マスクレス方式の露光装置として、レーザ光源からのレーザ光束(ビーム)を音響光学変調器によって変調し、変調されたビームを回転するポリゴンミラーの各反射面で繰り返し一次元に偏向し、ポリゴンミラーで偏向されたビームを、fθレンズを含む結像光学系を介して走査対象面上でスポット光に結像しつつ、一次元走査するパターン描画装置が開示されている。さらに、特開2002-196270号公報には、レーザ光源から射出するビームの進行方向の傾き、又は射出するビームの横ずれといった変動を計測するための光束位置検出器と、その変動によるスポット光の走査位置のずれを補正する光学部材とを設けることも開示されている。
【0004】
特開2002-196270号公報に記載のパターン描画装置では、1つのポリゴンミラーとfθレンズとを含む1台の描画ユニットに対して、1台のレーザ光源からのビームを供給しているが、スポット光の主走査による描画ライン(走査線)で描画されるパターンが主走査の方向に継ぎ露光されるように複数の描画ユニットを並べたマルチ描画ヘッドタイプの露光装置では、複数のレーザ光源を用いることがある。その場合、複数のレーザ光源の各々から射出されるビームの個別の変動によるパターンの露光位置のずれ以外に、複数のレーザ光源の各々からのビームの相対的な位置や傾きの変動による継ぎ誤差の発生を低減させる必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様は、第1光源装置からの第1ビームによって基板上にパターンを描画する第1描画ユニットと、第2光源装置からの第2ビームによって前記基板上にパターンを描画する第2描画ユニットと、を備えたパターン露光装置であって、前記第1光源装置から前記第1描画ユニットまでの間の前記第1ビームの光路中に設けられて、前記第1ビームの一部を第1の計測用ビームとして分割する第1光分割器と、前記第2光源装置から前記第2描画ユニットまでの間の前記第2ビームの光路中に設けられて、前記第2ビームの一部を第2の計測用ビームとして分割する第2光分割器と、前記第1の計測用ビームと前記第2の計測用ビームとを受光し、前記第1ビームと前記第2ビームとの相対的な位置変動又は相対的な傾き変動を検出する変動検出光学ユニットと、前記第1光分割器から前記変動検出光学ユニットまでの前記第1の計測用ビームによる光路を形成する第1の導光系と、前記第2光分割器から前記変動検出光学ユニットまでの前記第2の計測用ビームによる光路を形成する第2の導光系と、を備える。
【0006】
本発明の第2の態様は、パターン露光装置であって、第1ビームを出射する第1の光源装置と、第2ビームを出射する第2の光源装置と、前記第1ビーム及び前記第2ビームを直列に通す複数の音響光学変調素子と、前記複数の音響光学変調素子から発生する前記第1ビーム及び前記第2ビームの回折ビームをスポット光とし、前記スポット光を一次元走査して基板上にパターンを描画する複数の描画ユニットと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施の形態によるパターン露光装置の概略的な全体構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示した描画ユニットMU1~MU6のうち、代表して描画ユニットMU1の概略的な内部構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示した回転ドラムDRに支持されるシート基板P上に設定される描画ラインSL1~SL6の配置と、アライメント系ALGn(ALG1~ALG5)の配置とを示す斜視図である。
【
図4】
図1に示したビームスイッチング部BDU内の光学構成をXY面と平行な面内で見た上面図である。
【
図5】
図4に示したレーザ光源10Bから、スイッチング用の最初の音響変調光学素子(AOM)AM6に至る光路付近の各光学部材の配置を表した斜視図である。
【
図6】
図4に示した三角ミラー33と検出ユニット34の具体的な配置関係を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示した第1の撮像素子34Cの撮像面に投射されるビームMBa、MBbの状態を模式的に表した図である。
【
図8】
図6に示した第2の撮像素子34Gの撮像面に投射されるビームMBa、MBbのスポット光の状態を模式的に表した図である。
【
図9】
図4、
図5に示した補正光学系11Bの具体的な光学構成の一例を示す斜視図である。
【
図10】
図5に示したレーザ光源10Bから初段の音響光学変調素子AM6までの光路におけるビームLBbの平行シフトの様子を説明する斜視図である。
【
図11】レーザ光源10BからのビームLBbが-Y方向に平行シフトしたときに、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々に向かう描画用のビームLB2、LB4、LB6の状態を誇張して示した図である。
【
図12】レーザ光源10BからのビームLBbが+Z方向に平行シフトしたときに、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々に向かう描画用のビームLB2、LB4、LB6の状態を誇張して示した図である。
【
図13】初段の音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが傾いているときに、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々に向かう描画用のビームLB2、LB4、LB6の状態を誇張して示した図である。
【
図14】初段の音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが、
図13で説明した方向と直交した方向に傾いているときに、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々に向かう描画用のビームLB2、LB4、LB6の状態を誇張して示した図である。
【
図15】
図15A~
図15Cは、ビームスイッチング部BDUの初段の音響光学変調素子AM6に入射するレーザ光源10BからのビームLBbの入射状態と回折効率を説明する図であり、
図15Aは、音響光学変調素子AM6を直交座標系XYZのXZ面内で見た図、
図15Bは、音響光学変調素子AM6を直交座標系XYZのXY面内で見た図、
図15Cは、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbの回折方向の入射角θz、並びに非回折方向の入射角θyに対するビームLB6(1次回折ビーム)の強度の変化を模式的に表したグラフである。
【
図16】第2の実施の形態によるビームスイッチング部BDUの初段の音響光学変調素子AM6から落射ミラーIM6までの光路における2本のビームの状態を示す斜視図である。
【
図17】
図16に示した落射ミラーIM6から光路調整部BV6を通って描画ユニットMU6内のレンズLGaに至る光路を通る2本のビームLB6a、LB6bの状態を誇張して表した図である。
【
図18】第2の実施の形態に適用される4つのレーザ光源10A1、10A2、10B1、10B2の各々からのビームを初段の音響光学変調素子AM6、AM1に導く光路の一例を示す図である。
【
図19】
図16~
図18に示した第2の実施の形態において、シート基板P上に投射される2つのスポット光SPa、SPbの走査の様子を模式的に示す図である。
【
図20】
図2に示した描画ユニットMU1(MU2~MU6も同様)の変形例を示す斜視図である。
【
図21】
図17に示した光路調整部BV6の一部の変形例を示す斜視図である。
【
図22】4台のレーザ光源を用いる場合の4本の計測用ビームの光路を模式的に表した変形例の図である。
【
図23】
図22の変形例の場合の変動光学検出系(三角ミラー33’と検出ユニット34)の配置関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の態様に係るパターン露光装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下で詳細に説明する。なお、本発明の態様は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えたものも含まれる。つまり、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれ、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0009】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態によるパターン露光装置の概略的な全体構成を示す図である。本実施の形態のパターン露光装置は、
図1に示すように、フレキシブルな長尺のシート基板P(以下、単に基板Pとも言う)上に塗工された感光層に、電子デバイス(表示デバイス、配線デバイス、センサーデバイス等)に対応した各種のパターンをスポット光の走査によりマスクレス方式で露光する。このようなパターン露光装置は、例えば、国際公開第2015/152218号、国際公開第2015/166910号、国際公開第2016/152758号、国際公開第2017/057415号等に開示されている。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態のパターン露光装置EXは、重力方向をZ軸とする直交座標系XYZのXY面と平行な設置場所(工場等)の床面に設置される。露光装置EXは、シート基板Pを安定に支持して一定速度で搬送する為の回転ドラムDRと、シート基板Pの感光層にパターンを描画する6つの描画ユニットMU1~MU6と、2つのレーザ光源10A、10Bの各々からのビームLBa、LBbを描画ユニットMU1~MU6の各々に時分割に切り換えて分配する為のビームスイッチング部BDUと、ビームスイッチング部BDUで分配されたビームLB1、LB2、・・・を描画ユニットMU1~MU6の各々に調整された角度で入射させる為の光路調整部BV1~BV6と、シート基板P上のアライメントマークを、対物レンズ系OBLを介して検出する複数のアライメント系ALGn(但し、n=1~5)と、を有する。
【0011】
回転ドラムDRは、XY面のY軸と平行な回転中心線AXoから一定半径の円筒状の外周面と、回転中心線AXoと同軸に回転ドラムDRのY方向の両端側に突出したシャフトSftとを有する。シート基板Pは、回転ドラムDRのほぼ半周分の外周面に沿って長尺方向に密着支持され、不図示の回転駆動モータからの回転トルクによる回転ドラムDRの等速回転によって長尺方向に一定の速度で搬送される。なお、シート基板Pの母材は、PET(ポリエチレン・テレフタレート)フィルム、PEN(ポリエチレン・ナフタレート)フィルム、ポリイミドフィルム等の樹脂材とするが、その他に、例えば厚さ100μm以下の極薄のシート状に形成して可撓性を持たせたガラス材、圧延等で薄くシート状に形成したステンレス等の金属材、或いはセルロースナノファイバーを含有する紙材等であっても良い。
【0012】
複数の描画ユニットMU1~MU6は、回転ドラムDRの上方空間にY方向に並ぶように配置されるが、奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5の各々と、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々とは、XZ面内で見たとき、YZ面と平行で回転中心線AXoを含む中心面Cpに対して対称に配置される。奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5の各々は、シート基板Pに投射されるビームLB1(LB3、LB5)の中心線の延長が回転中心線AXoに向かうと共に、XZ面内で見たときに中心面Cpから角度-θuだけ傾くように、装置本体のコラムフレームBFに取り付けられる。同様に、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々は、シート基板Pに投射されるビームLB2(LB4、LB6)の中心線の延長が回転中心線AXoに向かうと共に、XZ面内で見たときに中心面Cpから角度+θuだけ傾くように、装置本体のコラムフレームBFに取り付けられる。
【0013】
図1に示した描画ユニットMU1~MU6の各々のコラムフレームBFへの取り付け構造は、例えば、国際公開第2016/152758号に開示されているが、奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5の各々は回転軸LE1(LE3、LE5)の回りに微少な角度範囲(例えば、±数°以下)で回動可能に設けられ、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々は回転軸LE2(LE4、LE6)の回りに微少な角度範囲(例えば、±数°以下)で回動可能に設けられる。回転軸LE1(LE3、LE5)、LE2(LE4、LE6)の各々の延長線は、回転中心線AXoと直交するように配置されると共に、描画ユニットMU1~MU6の各々からのビームLB1~LB6の走査で形成されるシート基板P上でのスポット光による描画ラインのY方向の中点を通るように配置される。
【0014】
描画ユニットMU1~MU6の各々の内部構成は、例えば、国際公開第2016/152758号、又は国際公開第2019/082850号に開示されているように、複数のミラー、複数のレンズ、回転ポリゴンミラーPM、テレセントリックなfθレンズ系FTと、を有する。光路調整部BV1~BV6の各々から射出されて、対応する描画ユニットMU1~MU6の各々に入射するビームLB1~LB6の中心線は、それぞれ回転軸LE1~LE6と同軸になるように設定される。なお、描画ユニットMU1~MU6の内部では、回転軸LE1、LE2・・・の各々と平行に設定されるZt軸と、Zt軸と直交するXt軸、Yt軸とで規定される直交座標系XtYtZtを設定する。従って、その直交座標系XtYtZtのYt軸は、直交座標系XYZのY軸と平行であると共に、直交座標系XtYtZtは、直交座標系XYZのXY面に対してY軸の回りに角度θu(角度-θuまたは角度+θu)だけ傾いたものとなる。
【0015】
図1に示したレーザ光源10AからのビームLBaは、ビームスイッチング部BDU内で、奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5のいずれか1つに順番に時分割で分配され、レーザ光源10BからのビームLBbは、ビームスイッチング部BDU内で、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6のいずれか1つに順番に時分割で繰り返し分配される。ビームスイッチング部BDU内でビームのスイッチングは、国際公開第2016/152758号に開示されているように、音響光学変調素子(AOM)で行われる。本実施の形態では、レーザ光源10AからのビームLBaとレーザ光源10BからのビームLBbとの相対的な変動(横シフト誤差や傾き誤差)を、ビームスイッチング部BDU内で計測するが、その詳細は後述する。また、レーザ光源10A、10B、並びにビームスイッチング部BDUを構成する音響光学変調素子(AOM)と各種の光学部材(ミラーやレンズ等)は、光学定盤OBP上に取り付けられる。
【0016】
図2は、
図1に示した描画ユニットMU1~MU6のうち、代表して描画ユニットMU1の概略的な内部構成を示す斜視図である。
図2の描画ユニットMU1の構成は、国際公開第2016/152758号に開示された構成とほぼ同じなので、簡単に説明する。光路調整部BV1からのビームLB1(直径が1mm以下の平行光束)は、Zt軸と平行に延びる回転軸LE1と同軸にミラーM10に入射し、90度で反射されてレンズLGa、LGbによるビームエキスパンダーを通った後、ミラーM11で90度に反射されて偏光ビームスプリッタPBSに入射する。ビームLB1は、Zt軸方向の直線偏光(S偏光)とされるので、偏光ビームスプリッタPBSで効率的に反射されて、ミラーM12で90度に反射されて-Zt方向に進み、ミラーM13で90度に反射されて+Xt方向に進む。ミラーM13で反射されたビームLB1は、1/4波長(λ/4)板QPと、第1シリンドリカルレンズCYaを通った後、ミラーM14で反射されて、回転ポリゴンミラーPMの1つの反射面Rp1に達する。
【0017】
回転ポリゴンミラーPMの反射面Rp1で反射されたビームLB1は、回転ポリゴンミラーPMの回転によってXtYt面内で偏向され、Xt軸と平行な光軸AXf1を有するテレセントリックなfθレンズ系FTに入射する。fθレンズ系FTの直後には、光軸AXf1を90度に折り曲げるミラーM15が配置され、fθレンズ系FTから射出したビームLB1は、ミラーM15でZt軸と平行になるように90度に反射される。ミラーM15とシート基板Pとの間には、第2シリンドリカルレンズCYbが配置され、fθレンズ系FTから射出されるビームLB1は、シート基板P上でスポット光SPとして集光されると共に、そのスポット光SPは、回転ポリゴンミラーPMの回転によってYt軸(Y軸)と平行な描画ライン(走査線)SL1を成すように一次元に走査される。
【0018】
図2に示した描画ユニットMU1において、偏光ビームスプリッタPBSを挟んでミラーM12の反対側に配置されるレンズ系LGcと光電センサDTは、スポット光SPの投射によりシート基板Pから発生する反射光を受光する。光電センサDTからの光電信号の波形を解析することで、シート基板P上に既に形成されているパターンの位置情報を得ることができる。また、
図2において、面OPaは、レンズLGaの後側焦点であると共に、レンズLGbの前側焦点に設定されており、ビームLB1は面OPaの位置で数十μmの径のビームウェストに集光される。その為、レンズLGbを通ったビームLB1は、直径が数mm以上に拡大された平行光束となる。なお、第1シリンドリカルレンズCYa、第2シリンドリカルレンズCYbは、fθレンズ系FTと協働して、回転ポリゴンミラーPMの反射面毎の倒れの違いによるスポット光SP(描画ラインSL1)のXt方向の位置変動を補正する。
【0019】
図3は、回転ドラムDRに支持されるシート基板P上の描画ラインSL1~SL6の配置と、アライメント系ALGn(ALG1~ALG5)の配置とを示す斜視図である。
図3において、回転ドラムDRの両端側のシャフトSftには、回転中心線AXoと同軸に、エンコーダ計測システムのスケール円盤RSDが固定される。スケール円盤RSDの外周面には、周方向に沿って一定ピッチで格子線が刻設された目盛部SD1、SD2が形成されている。目盛部SD1、SD2の周方向の位置変化は、周方向の3ヶ所の各々に配置されたエンコーダヘッドEH1、EH2、EH3によってサブミクロンの分解能で計測される。さらに、スケール円盤RSDのXZ面と平行な側端面部には輪帯状の基準面Rstが形成され、その基準面RstのY方向の微小変位は、周方向の3ヶ所の各々に配置された変位センサYS1、YS2、YS3によってサブミクロンの分解能で計測される。
【0020】
描画ユニットMU1~MU6の各々によってシート基板P上に形成される描画ラインSL1~SL6のうち、シート基板Pの搬送方向の上流側に位置する奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5は、回転中心線AXo(Y軸)と平行に設置されると共に、Y方向に一定の間隔(ほぼ描画ラインの長さ分の寸法)を空けて配置される。同様に、シート基板Pの搬送方向の下流側に位置する偶数番の描画ラインSL2、SL4、SL6は、回転中心線AXo(Y軸)と平行に設置されると共に、Y方向に一定の間隔(ほぼ描画ラインの長さ分の寸法)を空けて配置される。描画ラインSL1~SL6の各々で描画されるパターンは、シート基板Pの搬送に伴って互いに継ぎ合せるように露光される。
【0021】
シート基板Pの搬送方向に関して、奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5の上流側には、アライメント系ALGnとして、5つのアライメント系ALG1~ALG5がY方向に所定の間隔で配置される。アライメント系ALG1は、対物レンズ系OBLと先端のミラーMRとを介して、シート基板Pの-Y方向側の端部付近に形成されるアライメントマークを検出し、アライメント系ALG5は、同様の対物レンズ系OBLと先端のミラーMRとを介して、シート基板Pの+Y方向側の端部付近に形成されるアライメントマークを検出する。アライメント系ALG1~ALG5の各々の検出領域(検出視野)はY方向に一列に配置され、その検出領域の回転中心線AXoから見た周方向の方位は、エンコーダヘッドEH3の読取り位置の回転中心線AXoから見た周方向の方位と一致するように設定される。
【0022】
さらに、奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5の回転中心線AXoから見た周方向の方位と、エンコーダヘッドEH1の読取り位置の回転中心線AXoから見た周方向の方位とは一致するように設定され、偶数番の描画ラインSL2、SL4、SL6の回転中心線AXoから見た周方向の方位と、エンコーダヘッドEH2の読取り位置の回転中心線AXoから見た周方向の方位とは一致するように設定される。また、先の
図2で示したように、描画ユニットMU1のfθレンズ系FTの光軸AXf1は、ミラーM15によって折り曲げられて、描画ラインSL1の位置でシート基板Pの表面と接する接平面に対して垂直になるように設定される。従って、光軸AXf1の延長線は回転中心線AXoに向かうと共に、光軸AXf1のシート基板Pとの交点は描画ラインSL1のY方向(主走査方向)の長さの中点になっている。
【0023】
次に、
図4、
図5を参照して、
図1で示したビームスイッチング部BDUの概略構成を説明する。本実施の形態では、2つのレーザ光源10A、10Bの各々からのビームLBa、LBbの変動を計測する機能(機構)をビームスイッチング部BDU内に設ける。
図4は、ビームスイッチング部BDU内の構成をXY面と平行な面内で見た上面図であり、
図5は、
図4中のレーザ光源10Bから、スイッチング用の最初の音響変調光学素子(AOM)AM6に至る光路付近の光学部材の配置を表した斜視図である。
図4中のレーザ光源10A、10Bを含む全ての光学部材は、
図1中に示した光学定盤OBP上に組み付けられる。レーザ光源10A、10Bは、例えば、国際公開第2015/166910号、国際公開第2018/164087号で説明されているようなファイバーアンプレーザ光源とする。その為、本実施の形態でも、描画ユニットMU1~MU6の各々からシート基板P上に投射されるビームLB1~LB6の描画データに基づいた強度変調は、レーザ光源10A、10Bの各々の赤外波長域の種光ビームを、100MHz以上、例えば400MHzのクロック信号に応答する電気光学素子(EO素子)等によって高速スイッチングすることで行われる。
【0024】
以下、レーザ光源10A、10Bの各々からのビームLBa、LBbの光路を説明するが、説明の都合上、レーザ光源10BからのビームLBbの光路から説明する。レーザ光源10BからのビームLBbは、シート基板P上の感光層を感光させる紫外波長域の波長(例えば、波長400nm以下)を有し、直径が1mm程度の平行光束として-X方向に射出される。レーザ光源10BからのビームLBbは、透過率が高く反射率が数%~10%程度と低いビームスプリッタ30Bに入射し、そこを透過したビームLBbが偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6に導かれ、ビームスプリッタ30Bで反射されたビームMBbは、詳しくは後述するが、ミラー31B、レンズGL1b、ミラー32B、レンズGL2bを介して、ビーム変動の計測に使われる。
【0025】
ビームスプリッタ30Bを透過したビームLBbは、ビームLBbの進行方向の傾きを微調整したり、ビームと垂直な面内でビームLBbを微少に横シフトさせたりする補正光学系11Bを通った後、透過率が数%以下のビームスプリッタ12Bに入射する。そのビームスプリッタ12Bを透過したビームは、レーザ光源10BからのビームLBbの強度を計測する光量モニター13Bで受光される。ビームスプリッタ12Bで-Y方向に反射されたビームLBbは、縮小リレー光学系14Bによって、ビーム径が1/2程度の0.5mmに縮小した平行光束に変換された後、ミラー系15Bで+X方向に進む光路に転換されて、初段のスイッチング用の音響光学変調素子AM6に平行光束の状態で入射する。
【0026】
音響光学変調素子AM6がオフ状態(非偏向状態)のとき、ビームLBbは音響光学変調素子AM6をそのまま透過して、集光レンズ16B、コリメータレンズ17B、ミラー18Bを介して、2段目のスイッチング用の音響光学変調素子AM4に平行光束の状態で入射する。XY面内において、集光レンズ16Bの後側焦点の位置には、反射面がXY面に対して45度傾いた落射ミラーIM6が配置される。その落射ミラーIM6は、音響光学変調素子AM6がオン状態(偏向状態)のときに発生する1次回折ビームのみを-Z方向に反射させ、回折されなかった0次ビーム(ビームLBbの一部)には照射されないように配置されている。
【0027】
ここで、
図5を参照して、レーザ光源10Bから落射ミラーIM6までの光路を更に詳細に説明する。
図5に示すように、レーザ光源10Bから射出して、補正光学系11B、縮小リレー光学系14Bを通ったビームLBbは、ミラー系15Bを構成するミラー15B1によって-Z方向に反射された後、ミラー15B2によって+X方向に反射される。ミラー15B2で反射されたビームLBbがオン状態の音響光学変調素子AM6に入射すると、音響光学変調素子AM6からは-Z方向に一定の回折角で偏向した1次回折ビームとしてのビームLB6が発生する。音響光学変調素子AM6は集光レンズ16Bの前側焦点の位置に、ブラッグ回折の条件を満たすように配置され、音響光学変調素子AM6をそのまま透過したビームLBb(又は0次ビーム)が集光レンズ16Bの光軸と同時に通るように配置される。その構成によって、集光レンズ16Bを透過した1次回折ビームとしてのビームLB6は、集光レンズ16Bの光軸と平行になって、その光軸から-Z方向に偏心した位置を通って落射ミラーIM6に達し、-Z方向に反射される。
【0028】
また、集光レンズ16Bに入射する前のビームLBb(又は0次ビーム)と1次回折ビームとしてのビームLB6は、いずれも直径が0.5mm程度の平行光束であるが、集光レンズ16Bの後側焦点の位置では共に直径が0.1~0.2mm程度のビームウェストとなって、Z方向に分離して位置する。従って、落射ミラーIM6によってビームLB6のみを-Z方向に反射させることができる。また、ビームスプリッタ30Bで反射された計測用のビームMBbを通す2つのレンズGL1b、GL2bは等倍のリレー結像系を構成し、
図4中に示したように、レンズGL2bの後側焦点の位置に、レーザ光源10BのビームLBbの射出口と光学的に共役な面Psbを形成する。なお、ミラー31B、32B、レンズGL1b、GL2bによって、計測用のビームMBbを三角ミラー33と検出ユニット34とで構成される変動検出光学ユニットに導く導光系が構成される。
【0029】
本実施の形態では、導光系をミラー31B、32B、レンズGL1b、GL2bとしたが、変動検出光学ユニットを検出ユニット34とし、ビームスプリッタ30B、ミラー31B、32B、レンズGL1b、GL2b、及び三角ミラー33の一方の反射面を含めて導光系とすることもできる。
【0030】
再び、
図4に戻って説明を続ける。集光レンズ16Bの後側焦点の位置は、後段のコリメータレンズ17Bの前側焦点の位置と一致するように設定されている。集光レンズ16Bの光軸とコリメータレンズ17Bの光軸とは同軸に設置され、集光レンズ16Bを通ったビームLBb(又は0次ビーム)は、コリメータレンズ17Bによって再び直径が0.5mm程度の平行光束に変換され、ミラー18Bで反射されて、ブラッグ回折の条件で配置された2段目の音響光学変調素子AM4に入射する。音響光学変調素子AM4に入射したビームLBbは、ミラー19Bで-X方向に反射された後、集光レンズ16Bと同様に配置される集光レンズ20B、コリメータレンズ17Bと同様に配置されるコリメータレンズ21B、及びミラー22Bを介して、ブラッグ回折の条件で配置された3段目の音響光学変調素子AM2に入射する。ここでも、集光レンズ20Bの後側焦点の位置とコリメータレンズ21Bの前側焦点の位置とは一致するように設定される。そして、集光レンズ20Bの後側焦点の位置には落射ミラーIM6と同様の落射ミラーIM4が配置され、音響光学変調素子AM4がオン状態のときに発生する1次回折ビームとしてのビームLB4のみが落射ミラーIM4によって-Z方向に反射される。
【0031】
3段目の音響光学変調素子AM2を透過したビームLBbは、ミラー23Bで+X方向に反射されて、集光レンズ24Bとコリメータレンズ25Bとを通ってビームスプリッタ26Bに入射する。ビームスプリッタ26Bは透過率が高く反射率が低く設定され、ビームスプリッタ26Bを透過したビームLBb(又は0次回折ビーム)はビームトラップ27Bで吸収される。ビームスプリッタ26Bで反射された一部のビームは光検出器28Bに受光され、3つの音響光学変調素子AM6、AM4、AM2を透過してきたビームLBb(又は0次回折ビーム)の強度や位置が計測される。集光レンズ24Bとコリメータレンズ25Bの間のビームLBbのビームウェスト位置(集光レンズ24Bの後側焦点の位置)には、落射ミラーIM6、落射ミラーIM4と同様の落射ミラーIM2が配置され、音響光学変調素子AM2がオン状態のときに発生する1次回折ビームとしてのビームLB2のみが落射ミラーIM2によって-Z方向に反射される。
【0032】
落射ミラーIM6、落射ミラーIM4、落射ミラーIM2の各々は、XY面内で見ると、偶数番の描画ユニットMU6、MU4、MU2の各々のミラーM10(
図2参照)のXY面内での配置に合ったものとなっている。従って、落射ミラーIM6、落射ミラーIM4、落射ミラーIM2の各々は、
図4に示すようにXY面内ではY軸と平行な線Kb上に一定の間隔で設置されると共に、Z方向については同じ位置に配置される。また、レーザ光源10Aはレーザ光源10Bと同じものであり、更にレーザ光源10AからのビームLBaのXY面内での光路配置(各光学部材の配置)は、レーザ光源10BからのビームLBbの光路配置(各光学部材の配置)をXY面内で180度だけ回転させた状態になっている。
【0033】
レーザ光源10AからのビームLBa(例えば、波長400nm以下のパルス光)は、直径が1mm程度の平行光束として+X方向に射出される。レーザ光源10AからのビームLBaは、透過率が高く反射率が数%~10%程度と低いビームスプリッタ30Aに入射し、そこを透過したビームLBaが奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5に導かれ、ビームスプリッタ30Aで反射されたビームMBaは、ミラー31A、レンズGL1a、ミラー32A、レンズGL2aを介して、ビーム変動の計測に使われる。ビームスプリッタ30Aを透過したビームLBaは、ビームLBaの進行方向の傾きを微調整したり、ビームと垂直な面内でビームLBaを微少に横シフトさせたりする補正光学系11Aを通った後、透過率が数%以下のビームスプリッタ12Aに入射する。そのビームスプリッタ12Aを透過したビームは、レーザ光源10AからのビームLBaの強度を計測する光量モニター13Aで受光される。
【0034】
ビームスプリッタ12Aで+Y方向に反射されたビームLBaは、縮小光学系14Aによって、ビーム径が1/2程度の0.5mmに縮小した平行光束に変換された後、ミラー系15A(
図5に示したミラー系15Bと同様に、ミラー15A1、15A2を含む)で-X方向に進む光路に転換されて、ブラッグ回折の条件で配置された初段のスイッチング用の音響光学変調素子AM1に平行光束の状態で入射する。音響光学変調素子AM1がオフ状態(非偏向状態)のとき、ビームLBaは音響光学変調素子AM1をそのまま透過して、集光レンズ16A、コリメータレンズ17A、ミラー18Aを介して、ブラッグ回折の条件で配置された2段目のスイッチング用の音響光学変調素子AM3に平行光束の状態で入射する。XY面内において、集光レンズ16Aの後側焦点の位置には、反射面がXY面に対して45度傾いた落射ミラーIM1が配置される。その落射ミラーIM1は、音響光学変調素子AM1がオン状態(偏向状態)のときに発生する1次回折ビームのみを-Z方向に反射させ、回折されなかった0次ビーム(ビームLBbの一部)には照射されないように配置されている。
【0035】
集光レンズ16Aの後側焦点の位置は、後段のコリメータレンズ17Aの前側焦点の位置と一致するように設定されている。集光レンズ16Aの光軸とコリメータレンズ17Aの光軸とは同軸に設置され、集光レンズ16Aを通ったビームLBa(又は0次ビーム)は、コリメータレンズ17Aによって再び直径が0.5mm程度の平行光束に変換され、ミラー18Aで反射されて2段目の音響光学変調素子AM3に入射する。音響光学変調素子AM3に入射したビームLBaは、ミラー19Aで+X方向に反射された後、集光レンズ16Aと同様に配置される集光レンズ20A、コリメータレンズ17Aと同様に配置されるコリメータレンズ21A、及びミラー22Aを介して、ブラッグ回折の条件で配置された3段目の音響光学変調素子AM5に入射する。
【0036】
ここでも、集光レンズ20Aの後側焦点の位置とコリメータレンズ21Aの前側焦点の位置とは一致するように設定される。そして、集光レンズ20Aの後側焦点の位置には落射ミラーIM1と同様の落射ミラーIM3が配置され、音響光学変調素子AM3がオン状態のときに発生する1次回折ビームとしてのビームLB3のみが落射ミラーIM3によって-Z方向に反射される。
【0037】
3段目の音響光学変調素子AM5を透過したビームLBaは、ミラー23Aで-X方向に反射されて、集光レンズ24Aとコリメータレンズ25Aとを通ってビームスプリッタ26Aに入射する。ビームスプリッタ26Aは透過率が高く反射率が低く設定され、ビームスプリッタ26Aを透過したビームLBa(又は0次回折ビーム)はビームトラップ27Aで吸収される。ビームスプリッタ26Aで反射された一部のビームは光検出器28Aに受光され、3つの音響光学変調素子AM1、AM3、AM5を透過してきたビームLBa(又は0次回折ビーム)の強度や位置が計測される。
【0038】
集光レンズ24Aとコリメータレンズ25Aの間のビームLBaのビームウェスト位置(集光レンズ24Aの後側焦点の位置)には、落射ミラーIM1、落射ミラーIM3と同様の落射ミラーIM5が配置され、音響光学変調素子AM5がオン状態のときに発生する1次回折ビームとしてのビームLB5のみが落射ミラーIM5によって-Z方向に反射される。そして、落射ミラーIM1、落射ミラーIM3、落射ミラーIM5の各々は、XY面内で見ると、奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5の各々のミラーM10(
図2参照)のXY面内での配置に合ったものとなっている。従って、落射ミラーIM1、落射ミラーIM3、落射ミラーIM5の各々は、
図4に示すようにXY面内ではY軸と平行な線Ka上に一定の間隔で設置されると共に、Z方向については同じ位置に配置される。
【0039】
スイッチング用の音響光学変調素子AM1~AM6は、いずれもブラッグ回折の条件を満たすように設置されている。また、ビームスプリッタ30Aで反射された計測用のビームMBaを通す2つのレンズGL1a、GL2aは等倍のリレー結像系を構成し、
図4中に示したように、レンズGL2aの後側焦点の位置に、レーザ光源10AのビームLBaの射出口と光学的に共役な面Psaを形成する。なお、ミラー31A、32A、レンズGL1a、GL2aによって、計測用のビームMBaを三角ミラー33と検出ユニット34による変動検出光学ユニットに導く導光系が構成される。本実施の形態では、レーザ光源10Aの射出口から三角ミラー33(並びに検出ユニット34)までの計測用のビームMBaの光路長と光路の折返し位置とが、レーザ光源10Bの射出口から三角ミラー33(並びに検出ユニット34)までの計測用のビームMBbの光路長と光路の折返し位置と同じになるように設定されている。
【0040】
以上の構成において、レーザ光源10Aの射出口は、補正光学系11Aと縮小光学系14Aとを介して、初段の音響光学変調素子AM1内の結晶と光学的に共役関係に設定され、レーザ光源10Bの射出口は、補正光学系11Bと縮小リレー光学系14Bとを介して、初段の音響光学変調素子AM6内の結晶と光学的に共役関係に設定されている。さらに、
図4中の落射ミラーIM1~IM6の各々の反射面の位置は、描画ユニットMU1~MU6の各々の内部に設定される面OPa(
図2参照)と光学的に共役な関係に設定される。その結果、落射ミラーIM1~IM6の各々の反射面の位置(ビームLB1~LB6の各々がビームウェストとして集光される位置)と、シート基板P上に集光されるスポット光SPの結像面とは光学的に共役な関係に設定されている。
【0041】
レーザ光源10Aからビームトラップ27A及び光検出器28AまでのXY面内での光路配置と、レーザ光源10Bからビームトラップ27B及び光検出器28BまでのXY面内での光路配置とは、互いにXY面内で180度だけ回転しているとしたが、その仮想的な回転中心点(点対称の中心点)PGは、
図4中の線Kaと線KbとのX方向の中間位置であって、最も-Y方向側に位置する落射ミラーIM1と最も+Y方向側に位置する落射ミラーIM6とのY方向の中間位置に設定される。従って、XY面内で落射ミラーIM1と落射ミラーIM6とを結ぶ仮想的な線分、落射ミラーIM2と落射ミラーIM5とを結ぶ仮想的に線分、及び落射ミラーIM3と落射ミラーIM4とを結ぶ仮想的な線分は、点対称の中心点PGで交差するように設定される。線Kaと線KbとのX方向の中間位置は、
図1、
図3に示した中心面Cpの位置と一致するので、中心点PGは中心面Cp内に位置することになる。
【0042】
図5に示したように、レーザ光源10Bから射出されるビームLBbの光軸と、初段の音響光学変調素子AM6を通るビームLBbの光軸とは、ミラー系15Bの2つのミラーによってZ方向に所定の間隔(高低差)を持つように設定されている。その為、レーザ光源10Bの直後に配置されたビームスプリッタ30Bで反射されたビームMBbは、音響光学変調素子AM1~AM6の+Z方向の上方空間を-Y方向に進み、ミラー31Bで+X方向に90度に反射され、更にミラー32Bで-Y方向に90度に反射される。
図4に示すように、レーザ光源10Aから射出されるビームLBaの光軸と、初段の音響光学変調素子AM1を通るビームLBaの光軸とは、ミラー系15Aの2つのミラーによってZ方向に所定の間隔(高低差)を持つように設定されている。その為、レーザ光源10Aの直後に配置されたビームスプリッタ30Aで反射されたビームMBaは、音響光学変調素子AM1~AM6の+Z方向の上方空間を+Y方向に進み、ミラー31Aで-X方向に90度に反射され、更にミラー32Aで+Y方向に90度に反射される。
【0043】
更に、ミラー32Bで反射された計測用のビームMBbの中心線(レンズGL1b、GL2bの光軸)と、ミラー32Aで反射された計測用のビームMBaの中心線(レンズGL1a、GL2aの光軸)とはY軸と平行に同軸となるように設定されると共に、中心点PGを通るXY面の法線と交差するように設定される。そして、中心点PGの位置には、ビームMBaとビームMBbの各々を共に+X方向に反射させる三角ミラー33が配置され、三角ミラー33で反射されて+X方向に進むビームMBa、MBb(共に平行光束)は、ビームの変動をモニターする為の検出ユニット34に入射する。なお、三角ミラー33と検出ユニット34とによって変動検出光学ユニットが構成される。また、レーザ光源10Aの射出口からビームスプリッタ30Aまでの光路長と、レーザ光源10Bの射出口からビームスプリッタ30Bまでの光路長とは同じになるように設定されている。
【0044】
図6は、
図4中の三角ミラー33と検出ユニット34の具体的な配置関係を示す斜視図であり、
図6の直交座標系XYZは
図4の直交座標系XYZと同じに設定されている。
図6において、三角ミラー33は、+Y方向に進むビームMBaを+X方向に直角に反射させる反射面33aと、-Y方向に進むビームMBbを+X方向に直角に反射させる反射面33bとを有し、反射面33aと反射面33bとはXY面内で直角(90度)に設定されている。中心点PGを通るZ軸と平行な法線は、三角ミラー33に至る前のビームMBa、MBbの中心線の延長と直交するように設定される。
【0045】
検出ユニット34は、光軸AXuに沿って配置される一対のレンズ34A、34Bで構成されるテレセントリックな縮小リレー光学系(検出用レンズ系、結像系)と、2次元の撮像素子(CCDセンサ、又はCMOSセンサ)34Cと、ビームスプリッタ(ハーフミラー)34Eと、第2の撮像素子(CCDセンサ、又はCMOSセンサ)34Gとを有する。光軸AXuはX軸と平行に設定され、その延長線は中心点PGを通るZ軸と平行な法線と直交するように設定されている。一対のレンズ34A、34B(検出用レンズ系、結像系)は、光軸AXuと平行にレンズ34Aに入射する2つのビームMBa、MBbのYZ面内での間隔や各々のビーム径を所定の縮小倍率で縮小して、第1の撮像素子34Cの撮像面に投射する。ここで、レンズ34Aの前側焦点の位置は、
図4中に示した面Psa及び面Psbと一致するように設定される。その為、撮像素子34Cの撮像面はレーザ光源10Aの射出口とレーザ光源10Bの射出口の各々と共役関係(結像関係)となるように設定される。
【0046】
一対のレンズ34A、34Bの間には、レンズ34Aに入射した2つのビームMBa、MBb(平行光束)の各々がビームウェストとして収斂すると共に、互いに交差する集光面Phが設定される。集光面Phはレンズ34Aの後側焦点の位置であると共に、レンズ34Bの前側焦点の位置(レンズ34A、34Bによる結像系の瞳面の位置)に設定される。レンズ34Aと集光面Phとの間に配置されるビームスプリッタ(ハーフミラー)34Eの反射面は、XY面に対して45°になるように設定され、レンズ34Aを透過したビームMBa、MBbの一部を-Z方向に反射させる。ビームスプリッタ(ハーフミラー)34Eで反射されたビームMBa、MBbの一部は、レンズ34Aの後側焦点の位置(即ち、集光面Phに対応した位置)に設置される第2の撮像素子34Gの撮像面上のほぼ同じ位置にスポット光として集光される。なお、
図6では図示を省略したが、撮像素子34C、34Gの撮像感度に対して計測用のビームMBa、MBbの照度が高い場合は、三角ミラー33からビームスプリッタ(ハーフミラー)34Eの間の光路中に減光フィルター(NDフィルター)を配置しても良い。
【0047】
図6の検出ユニット34の構成において、例えば、三角ミラー33の反射面33aに投射されるビームMBaが、規定の位置(設計上の位置)から+X方向にΔXaだけ平行シフトした場合、レンズ34Aに入射するビームMBaは+Y方向にΔXaと同じ量のΔYaだけ平行シフトする。その場合、集光面Phに形成されるビームMBaのビームウェストの位置は、集光面Ph内では光軸AXuの位置から変動しない。従って、第2の撮像素子34Gの撮像面上に集光されるビームMBaのスポット光の位置も変化しない。同様に、レンズ34Aに入射するビームMBaが+Y方向にΔYaだけ平行シフトした場合、集光面Ph上の中心(光軸AXuが通る位置)を通るビームMBaの中心線が、XY面内で規定の状態(設計上の状態)から傾く。その為、レンズ34A、34Bによる縮小リレー光学系の縮小倍率をβとすると、第1の撮像素子34Cの撮像面上に結像されるビームMBaの位置は、規定の位置(設計上の位置)から-Y方向にβ・ΔYa(=β・ΔXa)だけシフトする。
【0048】
また、三角ミラー33の反射面33aに投射されるビームMBaが、例えば、XY面内で規定の状態(設計上の状態)からΔθaだけ傾いた場合、レンズ34Aに入射するビームMBaも、XY面内で規定の状態(光軸AXuと平行な状態)からΔθaだけ傾く。その傾きΔθaは、レーザ光源10Aの射出口の位置でのビームLBaの傾きに対応したものである。その場合、集光面Phに形成されるビームMBaのビームウェストの位置は、集光面Ph内では光軸AXuの位置からY方向にΔYθaだけ変動し、第2の撮像素子34Gの撮像面上に結像されるビームMBaのスポット光の位置は、規定の位置(光軸AXuが通る位置)からY方向に傾きΔYθaの大きさに応じた量だけシフトする。
【0049】
一方、レンズ34A、34Bによる縮小リレー光学系は、結果的にレーザ光源10AのビームLBaの射出口と共役な面Psa(
図4参照)と、第1の撮像素子34Cの撮像面とを結像関係にしている為、レーザ光源10Aの射出口の位置でビームLBaの傾きだけが変化した場合、第1の撮像素子34Cの撮像面上に結像されるビームMBaの位置は変化しない。以上のように、第1の撮像素子34Cは、計測用のビームMBa、MBb(即ち、ビームLBa、LBb)の各々の変動のうちの平行な位置変化の成分を検出することができ、第2の撮像素子34Gは、計測用のビームMBa、MBb(即ち、ビームLBa、LBb)の各々の変動のうちの傾き変化の成分を検出することができる。
【0050】
図7は、第1の撮像素子34Cの撮像面に投射されるビームMBa、MBbの状態を模式的に表した図であり、
図8は、第2の撮像素子34Gの撮像面に投射されるビームMBa、MBbのスポット光の状態を模式的に表した図である。
図7において、撮像面上に設定したY軸とZ軸は、
図4~
図6の各々で設定した直交座標系XYZのY軸とZ軸に対応したものであり、レーザ光源10A、10Bの各々の射出口の面におけるビームLBa、LBbの各々のY方向とZ方向の位置変位方向に対応している。撮像面上に設定される基準点CFaは、レーザ光源10AからのビームLBaが平行シフトすること無く射出されたときに、計測用のビームMBaが投射される位置を表す。同様に、撮像面上に設定される基準点CFbは、レーザ光源10BからのビームLBbが平行シフトすること無く射出されたときに、計測用のビームMBbが投射される位置を表す。
【0051】
図7のように、ビームMBaは基準点CFaに対して、-Y方向と+Z方向にずれている場合、レーザ光源10Aの射出口から射出されるビームLBaが、-Y方向と+Z方向に平行にずれていることになる。同様に、基準点CFbに対するビームMBbの投射位置のずれは、レーザ光源10Bの射出口から射出されるビームLBbのY方向又はZ方向への平行ずれを表す。不図示の制御部によって、撮像素子34Cの画像情報を解析処理することによって、ビームLBa、LBbの各々の平行シフトの誤差量(基準点CFaからのビームMBaのずれ量と、基準点CFbからのビームMBbのずれ量)が求められる。求められた誤差量に基づいて、ビームLBaについては
図4に示した補正光学系11Aによって平行シフトの誤差が補正され、ビームLBbについては
図4に示した補正光学系11Bによって平行シフトの誤差が補正される。
【0052】
また、
図8において、第2の撮像素子34Gの撮像面上に設定したθy軸は、レーザ光源10A、10Bの各々の射出口におけるビームLBa、LBbの各々のXY面内でのY方向の傾き量を表し、θz軸は、レーザ光源10A、10Bの各々の射出口におけるビームLBa、LBbの各々のXZ面内でのZ方向の傾き量を表す。また、撮像面上の基準点CFgは、レーザ光源10A、10Bの各々からのビームLBa、LBbが傾き無く射出されたときに、計測用のビームMBa、MBbの各スポット光が投射される位置を表す。なお、θz方向は、レーザ光源10A、10Bがファイバーアンプレーザ光源の場合、内部に設けられる波長変換素子(2倍波、3倍波等の高調波発生結晶)のウォークオフ方位にもなっている。
【0053】
図8の例では、ビームMBaのスポット光はほぼ基準点CFgに合っており、ビームMBbのスポット光は基準点CFgから-θz方向に変位して投射されている。このことから、レーザ光源10BからのビームLBbが射出口から-θz方向に傾いて射出されていることが判る。不図示の制御部によって、撮像素子34Gの画像情報を解析処理することによって、ビームLBa、LBbの各々の傾き誤差量(基準点CFgからのビームMBaのスポット光のずれ量と、基準点CFgからのビームMBbのスポット光のずれ量)が求められる。求められた傾きの誤差量に基づいて、ビームLBaについては
図4に示した補正光学系11Aによって傾き誤差が補正され、ビームLBbについては
図4に示した補正光学系11Bによって傾き誤差が補正される。
【0054】
なお、第2の撮像素子34Gの撮像面上に投射されるビームMBa、MBbの各々のスポット光は、設計上は共に基準点CFgに位置するように設定されている為、例え、
図8のように、スポット光として互いにずれて撮像されたとしても、それらのスポット光がビームLBa由来の計測用のビームMBaのものか、ビームLBb由来の計測用のビームMBbのものかを判別することができない。そこで、シート基板P上にパターンを描画する際に、レーザ光源10AのみがビームLBaを射出する期間と、レーザ光源10BのみがビームLBbを射出する期間とが存在することを利用して、撮像素子34Gの撮像面上にビームMBa、MBbのいずれか一方が投射されるタイミングで、撮像素子34Gからの画像情報をサンプリングすれば良い。
【0055】
或いは、
図4中のビームスプリッタ30Aから三角ミラー33までの間の計測用のビームMBaの光路中と、ビームスプリッタ30Bから三角ミラー33までの間の計測用のビームMBbの光路中とのいずれか一方、又はその両方にシャッター(可動遮光板)を設けて、ビームMBa、MBbの少なくとも一方が撮像素子34Gの撮像面に投射されないように選択しても良い。
【0056】
図9は、
図4、
図5に示した補正光学系11B(
図4中の補正光学系11Aも同じ)の具体的な光学構成の一例を示す斜視図である。
図9の直交座標系XYZは、
図4~
図6の各々で設定した直交座標系XYZと同じに設定してある。ビームスプリッタ30B(
図5参照)からのビームLBb(平行光束)は、光軸AXbと直交してY軸と平行な中心線SF1の回りに傾斜可能な石英製の平行平板HV1と、光軸AXbと直交してZ軸と平行な中心線SF2の回りに傾斜可能な石英製の平行平板HV2とによるビームシフターに入射する。ビームLBbは、平行平板HV1の傾斜によってZ方向に平行にシフトされ、平行平板HV2の傾斜によってY方向に平行にシフトされる。
【0057】
平行平板HV2を透過したビームLBbは、光軸AXbの回りに回転可能な石英製のプリズム板RD1を通った後、光軸AXbの回りに回転可能な石英製のプリズム板RD2を透過する。プリズム板RD1、RD2の各々は、光軸AXbと垂直な第1面と、その第1面に対して傾いた第2面とが対向した楔状に形成されている。2つのプリズム板RD1、RD2の各々の光軸AXb回りの角度を調整することで、プリズム板RD2から射出されるビームLBbの進行方向の傾きを微調整することができる。
【0058】
平行平板HV1、HV2の各々の傾き調整、並びにプリズム板RD1、RD2の各々の回転角度の調整は、
図6で示した撮像素子34C、34Gの各々によって計測される平行シフトの誤差量と傾き誤差量とに基づいて、不図示の制御部からの指令で制御されるアクチュエータによって駆動する構成で実施しても良い。なお、
図4中に示した補正光学系11Aも、
図9に示した補正光学系11Bと同様に構成されている。
【0059】
以上、本実施の形態では、空間的に離れて配置される2つのレーザ光源10A、10Bの各々から射出されるビームLBa、LBbの各々の一部をビームスプリッタ30A、30B(30A、30Bのうちの一方が第1の光分割器、他方が第2の光分割器に相当する)で分割して、計測用のビームMBa、MBbとした後、ビームの変動を計測する検出ユニット34までのビームMBa側及びビームMBb側の光路の引き回し(ミラー等の配置)と光路長とを全く同じに設定した。また、計測用の2つのビームMBa、MBbを互いに平行に接近させた状態に合成する三角ミラー33までの光路長を長く設定することができる。その為、レーザ光源10A、10Bの各々から射出されるビームLBa、LBbの僅かな変動(平行なシフト誤差や傾き誤差)であっても、撮像素子34C、34Gの撮像面上では比較的に大きな位置ずれとして捉えることができる。
【0060】
図1~
図5の構成から明らかなように、レーザ光源10Aから射出されるビームLBaと、レーザ光源10Bから射出されるビームLBbとの相対的な位置関係や相対的な傾きが変動すると、奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5と偶数番の描画ラインSL2、SL4、SL6との相対的な位置関係に誤差が生じる場合があり、描画ラインSL1~SL6の各々で描画されるパターンの継ぎ合せ精度が低下してしまう。そこで、レーザ光源10A、10Bの各々からのビームLBa、LBbの出射状態の変化(平行シフト誤差と傾き誤差)により、描画ラインSL1~SL6の各々によって描画されるパターンがどのように位置ずれするかを、
図10~
図14を用いて説明する。
【0061】
図10は、
図5に示したレーザ光源10Bから初段の音響光学変調素子AM6までの光路において、レーザ光源10BからのビームLBbが平行シフトしたときのビームLBbのシフトの状態を説明する斜視図である。
図10において、レーザ光源10Bの射出口から出射するビームLBbが矢印Ay1のように、所定の光軸AXb(
図9参照)から-Y方向にシフト(平行移動)した場合、ビームスプリッタ30B、補正光学系11Bを通った直後のビームLBbも矢印Ay2のように、-Y方向にシフトする。従って、ビームスプリッタ12Bで反射されて-Y方向に進むビームLBbは、縮小リレー光学系14Bに入射する直前では-X方向にシフトする。縮小リレー光学系14Bは倒立反転像を形成する結像系でもあるので、縮小リレー光学系14Bから射出するビームLBbは、矢印Ay3のように、+X方向にシフトする。さらに、ミラー15B2で+X方向に折り曲げられたビームLBbは、矢印Ay4のように所定の光軸AXbから-Z方向に平行シフトした状態で音響光学変調素子AM6に入射する。
【0062】
また、レーザ光源10Bの射出口から出射するビームLBbが矢印Az1のように、所定の光軸AXb(
図9参照)から+Z方向にシフト(平行移動)した場合、ビームスプリッタ30B、補正光学系11B、ビームスプリッタ12B、及び縮小リレー光学系14Bを通ってミラー15B1で-Z方向に反射されたビームLBbは、矢印Az3のように-Y方向にシフトする。従って、ミラー15B2で+X方向に折り曲げられたビームLBbは、矢印Az4のように所定の光軸AXbから-Y方向に平行シフトした状態で音響光学変調素子AM6に入射する。なお、レーザ光源10Bの射出口から出射するビームLBbが矢印Ay1のように平行シフトした場合、ビームスプリッタ30Bで反射された測定用のビームMBbは、矢印Ay5のように-X方向にシフトし、レーザ光源10Bから出射するビームLBbが矢印Az1のように平行シフトした場合、測定用のビームMBbは矢印Az5のように+Z方向にシフトする。
【0063】
図11は、レーザ光源10BからのビームLBbが
図10中の矢印Ay1のように-Y方向に平行シフトしたときに、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々に向かう描画用のビームLB2、LB4、LB6の状態を誇張して示した図である。
図11では、理解を容易にする為、
図9に示した補正光学系11BによるビームLBaの位置や傾きの調整はされていないものとする。さらに、
図4で説明した偶数番の音響光学変調素子AM6、AM4、AM2には、レーザ光源10BからのビームLBbが直列に通されるので、
図11では、初段の音響光学変調素子AM6から集光レンズ16B、落射ミラーIM6、コリメータレンズ17Bまでの光路を上段に示し、2段目の音響光学変調素子AM4から集光レンズ20B、落射ミラーIM4、コリメータレンズ21Bまでの光路を中段に示し、3段目の音響光学変調素子AM2から集光レンズ24B、落射ミラーIM2、コリメータレンズ25Bまでの光路を下段に示す。なお、
図10の直交座標系XYZは、
図4及び
図5の直交座標系XYZと同じに設定されている。
【0064】
図11のように、初段の音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが所定の光軸AXbに対して、
図10で示した矢印Ay4のように-Z方向に平行シフトすると、オン(On)状態となっている音響光学変調素子AM6で偏向されずに直進する0次回折ビームは、集光レンズ16Bの後側焦点の位置、即ち落射ミラーIM6の位置で光軸AXbと交差した後、コリメータレンズ17Bによって再び光軸AXbと平行な平行光束となって、2段目の音響光学変調素子AM4に+Z方向に平行シフトした状態で入射する。On状態の音響光学変調素子AM6で所定の回折角で偏向された1次回折ビームは、描画用のビームLB6として落射ミラーIM6の位置でビームウェストとなるように収斂される。
【0065】
音響光学変調素子AM6が集光レンズ16Bの前側焦点の位置に配置され、落射ミラーIM6が集光レンズ16Bの後側焦点の位置に配置されているので、集光レンズ16Bから落射ミラーIM6に向かうビームLB6は、XZ面内で光軸AXbとは平行にはならずに傾いたものとなる。しかしながら、落射ミラーIM6の位置で収斂されるビームLB6のビームウェストの位置は、YZ面内では、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが矢印Ay4のように平行シフトしても変化しない。但し、落射ミラーIM6で反射されたビームLB6は、描画ユニットMU6内のレンズLGa、LGbによるビームエキスパンダー(
図2参照)の光軸の延長である光軸AX6に対して、XZ面内で-X方向に傾いたものとなる。
【0066】
初段の音響光学変調素子AM6がオフ(Off)状態で、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが矢印Ay4のように-Z方向に平行シフトしている場合、ビームLBbは、音響光学変調素子AM6、集光レンズ16B、コリメータレンズ17Bを通って、2段目の音響光学変調素子AM4にXZ面内の+Z方向に平行シフトした状態で入射する。ここでも、音響光学変調素子AM4は集光レンズ20Bの前側焦点の位置に設置され、落射ミラーIM4は集光レンズ20Bの後側焦点の位置に設置される。音響光学変調素子AM4がオン(On)状態のとき、音響光学変調素子AM4で偏向されずに直進する0次回折ビームは、集光レンズ20Bの後側焦点の位置、即ち落射ミラーIM4の位置で光軸AXbと交差した後、コリメータレンズ21Bによって再び光軸AXbと平行な平行光束となって、3段目の音響光学変調素子AM2に-Z方向に平行シフトした状態で入射する。
【0067】
また、On状態の音響光学変調素子AM4で所定の回折角で偏向された1次回折ビームは、描画用のビームLB4として落射ミラーIM4の位置でビームウェストとなるように収斂される。集光レンズ20Bから落射ミラーIM4に向かうビームLB4は、XZ面内で光軸AXbとは平行にはならずに傾いたものとなる。しかしながら、落射ミラーIM4の位置で収斂されるビームLB4のビームウェストの位置は、YZ面内では音響光学変調素子AM4に入射するビームLBbが+Z方向に平行シフトしても変化しない。但し、落射ミラーIM4で反射されたビームLB4は、描画ユニットMU4内のレンズLGa、LGbによるビームエキスパンダー(
図2参照)の光軸の延長である光軸AX4に対して、XZ面内で-X方向に傾いたものとなる。
【0068】
初段の音響光学変調素子AM6と2段目の音響光学変調素子AM4がいずれもOff状態で、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが矢印Ay4のように-Z方向に平行シフトしている場合、ビームLBbは、音響光学変調素子AM6、集光レンズ16B、コリメータレンズ17B、音響光学変調素子AM4、集光レンズ20B、コリメータレンズ21Bを通って、3段目の音響光学変調素子AM2にXZ面内の-Z方向に平行シフトした状態で入射する。ここでも、音響光学変調素子AM2は集光レンズ24Bの前側焦点の位置に設置され、落射ミラーIM2は集光レンズ24Bの後側焦点の位置に設置される。音響光学変調素子AM2がオン(On)状態のとき、音響光学変調素子AM2で偏向されずに直進する0次回折ビームは、集光レンズ24Bの後側焦点の位置、即ち落射ミラーIM4の位置で光軸AXbと交差した後、コリメータレンズ25Bによって再び光軸AXbと平行な平行光束となる。
【0069】
また、On状態の音響光学変調素子AM2で所定の回折角で偏向された1次回折ビームは、描画用のビームLB2として落射ミラーIM2の位置でビームウェストとなるように収斂される。集光レンズ24Bから落射ミラーIM2に向かうビームLB2は、XZ面内で光軸AXbとは平行にはならずに傾いたものとなる。しかしながら、落射ミラーIM2の位置で収斂されるビームLB2のビームウェストの位置は、YZ面内では音響光学変調素子AM2に入射するビームLBbが-Z方向に平行シフトしても変化しない。但し、落射ミラーIM2で反射されたビームLB2は、描画ユニットMU2内のレンズLGa、LGbによるビームエキスパンダー(
図2参照)の光軸の延長である光軸AX2に対して、XZ面内で-X方向に傾いたものとなる。
【0070】
以上のように、レーザ光源10Bから射出するビームLBbが、
図10で示した矢印Ay1のようにY方向に平行シフトするように変動した場合は、落射ミラーIM6、IM4、IM2の各々の位置に形成されるビームLB6、LB4、LB2の各ビームウェストの位置が変化しない。それらのビームウェスト(集光点)は、最終的に描画ユニットMU6、MU4、MU2の各々からシート基板P上に投射されるビームLB6、LB4、LB2の各々のシート基板P上のスポット光SPと共役関係(結像関係)になっている。従って、レーザ光源10Bから射出するビームLBbが
図10の矢印Ay1のようにY方向に平行シフトしても、偶数番の描画ラインSL6、SL4、SL2の位置は変動しないことになる。
【0071】
このことは、レーザ光源10AからのビームLBaが供給される奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5に関しても同様であり、レーザ光源10Aから射出するビームLBaが
図4中でY方向に平行シフトしても、奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5の位置は変動しないことになる。但し、
図11で示したように、落射ミラーIM1~IM6の各々から描画ユニットMU1~MU6の各々に向かうビームLB1~LB6には、XZ面内での傾きが生じる。
【0072】
それらの傾きは、いわゆるテレセン誤差と呼ばれ、シート基板Pの表面に投射されるビームLB1~LB6の中心線がシート基板Pの表面の法線に対する傾きとなる。テレセン誤差による影響(スポット光SPの副走査方向への位置ずれ)はデフォーカス時に生じるので、ビームLB1~LB6の各々がスポット光SPとして集光するフォーカス面とシート基板Pの表面とが、常に焦点深度(Depth Of Focus)の範囲内に設定されるようにするのが良い。テレセン誤差による影響が無視できないときには、
図9に示した平行平板HV2によって、レーザ光源10A、10Bの各々からのビームLBa、LBbがY方向に平行移動されるように調整することができる。
【0073】
次に、レーザ光源10Bの射出口から出射されるビームLBbが、
図10に示した矢印Az1のように+Z方向に平行シフトした場合について、
図12を参照して説明する。
図12は、レーザ光源10BからのビームLBbが
図10中の矢印Az1のように+Z方向に平行シフトしたときに、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々に向かう描画用のビームLB2、LB4、LB6の状態を誇張して示した図である。また、
図12の直交座標系XYZは
図4中の直交座標系XYZと同じである。
図10で説明したように、レーザ光源10BからのビームLBbが矢印Az1のように+Z方向に平行シフトすると、初段の音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbは、矢印Az4のように、所定の光軸AXbに対して-Y方向に平行シフトする。
【0074】
音響光学変調素子AM6、AM4、AM2の各々のOn状態のときの回折方向は、XZ面と平行な面内で-Z方向になっている為、
図12において、On状態の音響光学変調素子AM6から射出する1次回折ビームとしてのビームLB6は、XY面内では光軸AXbと平行に進んで集光レンズ16Bに入射する。集光レンズ16Bを通ったビームLB6は、落射ミラーIM6の反射面のY方向の中心(光軸AXbから-Z方向にずれた位置)でビームウェストになると共に、-Z方向に反射される。一方、音響光学変調素子AM6からの0次回折ビームは、落射ミラーIM6の上方の空間で光軸AXbと交差した後、コリメータレンズ17Bを通って、光軸AXbと平行な平行光束となって2段目の音響光学変調素子AM4に入射する。従って、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが矢印Az4のようにY方向に平行シフトしても、落射ミラーIM6の位置に集光されるビームLB6のビームウェストの位置はXY面では変化しない。
【0075】
音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが矢印Az4のようにY方向に平行シフトしていて、初段の音響光学変調素子AM6がオフ(Off)状態の場合、音響光学変調素子AM4には光軸AXbに対して-Y方向に平行シフトしたビームLBbが入射する。音響光学変調素子AM4がOn状態になると、音響光学変調素子AM4から射出する1次回折ビームとしてのビームLB4は、XY面内では光軸AXbと平行に進んで集光レンズ20Bに入射する。集光レンズ20Bを通ったビームLB4は、落射ミラーIM4の反射面のY方向の中心(光軸AXbから-Z方向にずれた位置)でビームウェストになると共に、-Z方向に反射される。
【0076】
一方、音響光学変調素子AM4からの0次回折ビームは、落射ミラーIM4の上方の空間で光軸AXbと交差した後、コリメータレンズ21Bを通って、光軸AXbと平行な平行光束となって3段目の音響光学変調素子AM2に入射する。従って、初段の音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが矢印Az4のようにY方向に平行シフトしても、落射ミラーIM4の位置に集光されるビームLB4のビームウェストの位置はXY面では変化しない。
【0077】
同様に、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが矢印Az4のようにY方向に平行シフトしていて、初段の音響光学変調素子AM6と2段目の音響光学変調素子AM4が共にオフ(Off)状態の場合、音響光学変調素子AM2には光軸AXbに対して-Y方向に平行シフトしたビームLBbが入射する。音響光学変調素子AM2がOn状態になると、音響光学変調素子AM2から射出する1次回折ビームとしてのビームLB2は、XY面内では光軸AXbと平行に進んで集光レンズ24Bに入射する。集光レンズ24Bを通ったビームLB2は、落射ミラーIM2の反射面のY方向の中心(光軸AXbから-Z方向にずれた位置)でビームウェストになると共に、-Z方向に反射される。また、音響光学変調素子AM2からの0次回折ビームは、落射ミラーIM2の上方の空間で光軸AXbと交差した後、コリメータレンズ25Bを通って、光軸AXbと平行な平行光束となって進む。従って、初段の音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが矢印Az4のようにY方向に平行シフトしても、落射ミラーIM4の位置に集光されるビームLB4のビームウェストの位置はXY面では変化しない。
【0078】
以上のように、レーザ光源10Bから射出するビームLBbが、
図10で示した矢印Az1のようにZ方向に平行シフトするように変動した場合も、落射ミラーIM6、IM4、IM2の各々の位置に形成されるビームLB6、LB4、LB2の各ビームウェストの位置が変化しない。従って、レーザ光源10Bから射出するビームLBbが
図10の矢印Az1のようにZ方向に平行シフトしても、偶数番の描画ラインSL6、SL4、SL2の位置は変動しないことになる。
【0079】
このことは、レーザ光源10AからのビームLBaが供給される奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5に関しても同様であり、レーザ光源10Aから射出するビームLBaが
図4中でZ方向に平行シフトしても、奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5の位置は変動しないことになる。但し、
図12で示したように、落射ミラーIM1~IM6の各々から描画ユニットMU1~MU6の各々に向かうビームLB1~LB6には、XZ面と平行な面に対して傾いたテレセン誤差が生じる。従って、テレセン誤差による影響が無視できないときには、
図9に示した平行平板HV1によって、レーザ光源10A、10Bの各々からのビームLBa、LBbをZ方向に平行移動させて、初段の音響光学変調素子AM6、AM1への入射状態(光軸AXbとの同軸性)を調整すれば良い。
【0080】
次に、レーザ光源10Bの射出口からビームLBbが傾いて出射された場合について説明する。レーザ光源10Bの射出口は、
図4、
図5、
図10の各々に示した補正光学系11Bと縮小リレー光学系14Bとによって、初段の音響光学変調素子AM6内の結晶と共役な関係に設定されている。縮小リレー光学系14Bの縮小率を1/Mb(Mb>1)とすると、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbの光軸AXbに対する傾き角は、レーザ光源10Bの射出口でのビームLBbの光軸AXbに対する傾き角に比べて、縮小率1/Mbの逆数に応じた比率で大きくなっている。
【0081】
図13は、初段の音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbがXZ面と平行な面内で光軸AXbに対して傾いているときに、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々に向かう描画用のビームLB2、LB4、LB6の状態を誇張して示した図である。先の
図9で示した補正光学系11B内の2つのプリズム板RD1、RD2によるビームLBbの傾斜補正を行わない状態で、レーザ光源10Bの出射口からのビームLBbがXY面と平行な面内でY方向に傾いたとき、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbは、XZ面と平行な面内で光軸AXbに対して傾く。なお、
図13の直交座標系XYZは、先の
図4、
図12の直交座標系XYZと同じに設定されている。
【0082】
図13に示すように、On状態とされた初段の音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが、XZ面と平行な面内で光軸AXbに対して反時計回りに僅かに傾いていると、音響光学変調素子AM6で回折されなかった0次回折ビームは光軸AXbに対して傾いた状態で集光レンズ16Bに入射する。その0次回折ビームは、集光レンズ16Bからコリメータレンズ17Bまでの光路を光軸AXbから+Z方向に僅かに偏心して光軸AXbと平行に進み、中間の落射ミラーIM6の上方空間でビームウェストになる。コリメータレンズ17Bから射出する0次回折ビームは、XZ面と平行な面内で光軸AXbに対して時計回りに僅かに傾いて進む。
【0083】
一方、音響光学変調素子AM6で回折された1次回折ビームとしてのビームLB6は、0次回折ビームに対して所定の回折角で偏向されて集光レンズ16Bに入射するが、集光レンズ16Bから射出するビームLB6は、光軸AXbから-Z方向に離間した光路を光軸AXbと平行に進み、落射ミラーIM6で光軸AX6と平行になるように-Z方向に反射される。しかしながら、落射ミラーIM6で反射されるビームLB6は、光軸AX6に対して-X方向に偏心することになる。従って、ビームLB6がビームウェストになる集光点が、XY面内では本来の光軸AX6の位置から-X方向にずれるので、描画ユニットMU6からシート基板P上に投射されるビームLB6のスポット光SPも、-X方向に対応した副走査方向(
図2中のXt方向)に変位する。
【0084】
さらに、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbがXZ面と平行な面内で光軸AXbに対して反時計回りに僅かに傾いていて、初段の音響光学変調素子AM6がOff状態の場合、音響光学変調素子AM4には、ビームLBbがXZ面と平行な面内で光軸AXbに対して時計回りに僅かに傾いて入射する。音響光学変調素子AM4がOn状態になると、音響光学変調素子AM4で回折されなかった0次回折ビームは光軸AXbに対して傾いた状態で集光レンズ20Bに入射する。その0次回折ビームは、集光レンズ20Bからコリメータレンズ21Bまでの光路を光軸AXbから-Z方向に僅かに偏心して光軸AXbと平行に進み、中間の落射ミラーIM4の上方空間でビームウェストになる。コリメータレンズ21Bから射出する0次回折ビームは、XZ面と平行な面内で光軸AXbに対して反時計回りに僅かに傾いて進む。
【0085】
一方、音響光学変調素子AM4で回折された1次回折ビームとしてのビームLB4は、0次回折ビームに対して所定の回折角で偏向されて集光レンズ20Bに入射するが、集光レンズ20Bから射出するビームLB4は、光軸AXbから-Z方向に離間した光路を光軸AXbと平行に進み、落射ミラーIM4で光軸AX4と平行になるように-Z方向に反射される。しかしながら、落射ミラーIM4で反射されるビームLB4は、光軸AX4に対して-X方向に偏心することになる。従って、ビームLB4がビームウェストになる集光点が、XY面内では本来の光軸AX4の位置から-X方向にずれるので、描画ユニットMU4からシート基板P上に投射されるビームLB4のスポット光SPも、-X方向に対応した副走査方向(
図2中のXt方向)に変位する。
【0086】
さらに、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbがXZ面と平行な面内で光軸AXbに対して反時計回りに僅かに傾いていて、音響光学変調素子AM6、AM4が共にOff状態の場合、音響光学変調素子AM2には、ビームLBbがXZ面と平行な面内で光軸AXbに対して反時計回りに僅かに傾いて入射する。音響光学変調素子AM2がOn状態になると、音響光学変調素子AM2で回折されなかった0次回折ビームは光軸AXbに対して傾いた状態で集光レンズ24Bに入射する。その0次回折ビームは、集光レンズ24Bからコリメータレンズ25Bまでの光路を光軸AXbから+Z方向に僅かに偏心して光軸AXbと平行に進み、中間の落射ミラーIM2の上方空間でビームウェストになる。コリメータレンズ25Bから射出する0次回折ビームは、XZ面と平行な面内で光軸AXbに対して時計回りに僅かに傾いて進む。
【0087】
一方、音響光学変調素子AM2で回折された1次回折ビームとしてのビームLB2は、0次回折ビームに対して所定の回折角で偏向されて集光レンズ24Bに入射するが、集光レンズ24Bから射出するビームLB2は、光軸AXbから-Z方向に離間した光路を光軸AXbと平行に進み、落射ミラーIM2で光軸AX2と平行になるように-Z方向に反射される。しかしながら、落射ミラーIM2で反射されるビームLB2は、光軸AX4に対して-X方向に偏心することになる。従って、ビームLB2がビームウェストになる集光点が、XY面内では本来の光軸AX2の位置から-X方向にずれるので、描画ユニットMU2からシート基板P上に投射されるビームLB2のスポット光SPも、-X方向に対応した副走査方向(
図2中のXt方向)に変位する。
【0088】
以上のように、レーザ光源10Bから射出するビームLBbが、
図5又は
図9におけるXY面と平行な面内で所定の光軸AXbに対して傾いたとき、落射ミラーIM6、IM4、IM2の各々の位置に形成されるビームLB6、LB4、LB2の各ビームウェストの位置が共に+X方向又は-X方向に変位してしまう。その為、偶数番の描画ラインSL6、SL4、SL2の位置が副走査方向(
図2中のXt方向)に変動することになる。このことは、レーザ光源10AからのビームLBaが供給される奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5に関しても同様であり、レーザ光源10Aから射出するビームLBaが、
図4におけるXY面と平行な面内で所定の光軸(設計上の光軸)に対して傾いたとき、落射ミラーIM1、IM3、IM5の各々の位置に形成されるビームLB1、LB3、LB5の各ビームウェストの位置が共に+X方向又は-X方向に変位してしまう。その為、奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5の位置が副走査方向(
図2中のXt方向)に変動することになる。
【0089】
図14は、レーザ光源10Bの射出口からのビームLBbがXZ面と平行な面内で光軸AXbに対して傾き、その結果、初段の音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbがXY面と平行な面内で光軸AXbに対して傾いているときに、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々に向かう描画用のビームLB2、LB4、LB6の状態を誇張して示した図である。先の
図9で示した補正光学系11B内の2つのプリズム板RD1、RD2によるビームLBbの傾斜補正を行わない状態で、レーザ光源10Bの出射口からのビームLBbがXZ面と平行な面内でZ方向に傾いたとき、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbは、XY面と平行な面内で光軸AXbに対して傾く。なお、
図14の直交座標系XYZは、先の
図4、
図12の直交座標系XYZと同じに設定されている。
【0090】
図14に示すように、On状態とされた初段の音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが、XY面と平行な面内で光軸AXbに対して時計回りに僅かに傾いていると、音響光学変調素子AM6で回折されなかった0次回折ビームは、XY面内では、入射するビームLBbと同じ方向に直進して集光レンズ16Bに入射する。その0次回折ビームは、集光レンズ16Bからコリメータレンズ17Bまでの光路を光軸AXbから-Y方向に僅かに偏心して光軸AXbと平行に進み、中間の落射ミラーIM6の上方空間でビームウェストになる。コリメータレンズ17Bから射出する0次回折ビームは、XY面と平行な面内で光軸AXbに対して反時計回りに僅かに傾いて進む。
【0091】
一方、音響光学変調素子AM6で回折された1次回折ビームとしてのビームLB6は、XY面内では0次回折ビームと同一の光路を通ると共に、-Z方向に所定の回折角で偏向されて集光レンズ16Bに入射する。集光レンズ16Bから射出するビームLB6は、光軸AXbから-Y方向に離間した光路を光軸AXbと平行に進み、落射ミラーIM6で光軸AX6と平行になるように-Z方向に反射される。しかしながら、落射ミラーIM6で反射されるビームLB6は、光軸AXb及び光軸AX6に対して-Y方向に偏心することになる。従って、ビームLB6がビームウェストになる集光点が、XY面内では本来の光軸AX6の位置から-Y方向にずれるので、描画ユニットMU6からシート基板P上に投射されるビームLB6のスポット光SPも、-Y方向に対応した主走査方向(
図2中のYt方向)に変位する。すなわち、ビームLB6のスポット光の走査で形成される描画ラインSL6の全体が設計上の位置から主走査方向にシフトすることになる。
【0092】
さらに、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが、
図14のようにXY面と平行な面内で光軸AXbに対して時計回りに僅かに傾いていて、音響光学変調素子AM6がOff状態の場合、音響光学変調素子AM4には、ビームLBbがXY面と平行な面内で光軸AXbに対して反時計回りに僅かに傾いて入射する。音響光学変調素子AM4がOn状態になると、音響光学変調素子AM4で回折されなかった0次回折ビームは、XY面内では、入射するビームLBbと同じ方向に直進して集光レンズ20Bに傾いた状態で入射する。その0次回折ビームは、集光レンズ20Bからコリメータレンズ21Bまでの光路を光軸AXbから-Y方向に僅かに偏心して光軸AXbと平行に進み、中間の落射ミラーIM4の上方空間でビームウェストになる。コリメータレンズ21Bから射出する0次回折ビームは、XY面と平行な面内で光軸AXbに対して反時計回りに僅かに傾いて進む。
【0093】
一方、音響光学変調素子AM4で回折された1次回折ビームとしてのビームLB4は、XY面内では0次回折ビームと同一の光路を通ると共に、0次回折ビームに対して所定の回折角で-Z方向に偏向されて集光レンズ20Bに入射する。集光レンズ20Bから射出するビームLB4は、光軸AXbから-Y方向に離間した光路を光軸AXbと平行に進み、落射ミラーIM4で光軸AX4と平行になるように-Z方向に反射される。しかしながら、落射ミラーIM2で反射されるビームLB4は、光軸AXb及び光軸AX4に対して-Y方向に偏心することになる。従って、ビームLB4がビームウェストになる集光点が、XY面内では本来の光軸AX4の位置から-Y方向にずれるので、描画ユニットMU4からシート基板P上に投射されるビームLB4のスポット光SPも、-Y方向に対応した副走査方向(
図2中のXt方向)に変位する。すなわち、ビームLB4のスポット光の走査で形成される描画ラインSL4の全体が設計上の位置から主走査方向にシフトすることになる。シート基板P上での描画ラインSL4のシフトの方向は、描画ラインSL6のシフト方向と同じになる。
【0094】
さらに、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbが、
図14のように、XY面と平行な面内で光軸AXbに対して時計回りに僅かに傾いていて、音響光学変調素子AM6、AM4が共にOff状態の場合、音響光学変調素子AM2には、ビームLBbがXY面と平行な面内で光軸AXbに対して時計回りに僅かに傾いて入射する。音響光学変調素子AM2がOn状態になると、音響光学変調素子AM2で回折されなかった0次回折ビームはXY面内で光軸AXbに対して傾いた状態で集光レンズ24Bに入射する。その0次回折ビームは、集光レンズ24Bからコリメータレンズ25Bまでの光路を光軸AXbから-Y方向に僅かに偏心して光軸AXbと平行に進み、中間の落射ミラーIM2の上方空間でビームウェストになる。コリメータレンズ25Bから射出する0次回折ビームは、XY面と平行な面内で光軸AXbに対して反時計回りに僅かに傾いて進む。
【0095】
一方、音響光学変調素子AM2で回折された1次回折ビームとしてのビームLB2は、XY面内では0次回折ビームと同一の光路を通ると共に、0次回折ビームに対して所定の回折角で-Z方向に偏向されて集光レンズ24Bに入射する。集光レンズ24Bから射出するビームLB2は、光軸AXbから-Y方向に離間した光路を光軸AXbと平行に進み、落射ミラーIM2で光軸AX2と平行になるように-Z方向に反射される。しかしながら、落射ミラーIM2で反射されるビームLB2は、光軸AXb及び光軸AX2に対して-Y方向に偏心することになる。従って、ビームLB2がビームウェストになる集光点が、XY面内では本来の光軸AX2の位置から-Y方向にずれるので、描画ユニットMU2からシート基板P上に投射されるビームLB2のスポット光SPも、-Y方向に対応した副走査方向(
図2中のXt方向)に変位する。すなわち、ビームLB2のスポット光の走査で形成される描画ラインSL2の全体が設計上の位置から主走査方向にシフトすることになる。描画ラインSL2のシフトの方向は、描画ラインSL6、SL4のシフト方向と同じになる。
【0096】
以上のことから、レーザ光源10Bの射出口からのビームLBbが、XZ面内で光軸AXbに対して傾いた場合、シート基板P上に形成される偶数番の描画ラインSL2、SL4、SL6は同時に、主走査方向(
図2のYt方向)に同じ量だけシフトする。このような状態は、レーザ光源10AからのビームLBaによって生成される奇数番のビームLB1、LB3、LB5、並びに奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5についても同様に生じる。
【0097】
但し、奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5のセットと偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6のセットとは、
図4に示した中心点PGを通る法線の回りに180°回転させた配置となっている。その為、レーザ光源10Aから射出するビームLBaとレーザ光源10Bから射出するビームLBbとが、それぞれ所定の光軸に対してXZ面内で共に+Z方向又は-Z方向に傾いた場合、奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5と偶数番の描画ラインSL2、SL4、SL6とは、シート基板P上で、Y(Yt)方向で互いに反対向きにシフトする。逆に、レーザ光源10Aから射出するビームLBaが所定の光軸に対してXZ面内で+Z方向に角度ΔθLaだけ傾き、レーザ光源10Bから射出するビームLBbが所定の光軸に対してXZ面内で-Z方向に角度ΔθLbだけ傾き、角度ΔθLaと角度ΔθLbとが等しい場合、奇数番の描画ラインSL1、SL3、SL5と偶数番の描画ラインSL2、SL4、SL6は、Y方向の同じ向きに同じ量だけシフトする。
【0098】
以上の
図11、
図12で説明したように、レーザ光源10A、10Bの各々の射出口からのビームLBa、LBbが、設計上の光軸に対して平行シフトするような変動を起こした場合、シート基板P上での描画ラインSL1~SL6の各々の位置は大きく変動しないが、テレセン誤差が生じる。一方、
図13、
図14で説明したように、レーザ光源10A、10Bの各々の射出口からのビームLBa、LBbが、設計上の光軸に対して傾くような変動を起こした場合、シート基板P上での描画ラインSL1~SL6の各々の位置は、その傾きの方向と傾き量に応じてX方向(副走査方向)やY方向(主走査方向)に位置変動する。
【0099】
本実施の形態では、
図6に示した検出ユニット34によって、レーザ光源10Aの射出口からのビームLBaと、レーザ光源10Bの射出口からのビームLBbとの相対的な平行シフトの変動量と相対的な傾き変動量とを分離して計測することができるので、描画ラインSL1~SL6の各々の位置変動による継ぎ誤差が低減されるように、
図9に示したような平行平板HV1、HV2とプリズム板RD1、RD2とを含む補正光学系11A、11Bを調整することができる。
【0100】
〔変形例1〕
図4に示した2つのレンズGL1a、GL2aによるリレー結像系と、2つのレンズGL1b、GL2bによるリレー結像系の各々の倍率は、等倍以外の拡大、或いは縮小にすることもできる。例えば、各リレー結像系の倍率を拡大倍率αとし、
図4中の面Psaと面Psbの各々に結像されるレーザ光源10A、10Bの各射出口の像がα倍に拡大されるようにしても良い。一例として、拡大倍率αを4倍(α=4)とし、
図6に示したレンズ34A、34Bによる縮小リレー光学系の縮小倍率βを1/2(β=0.5)としたとき、撮像素子34Cの撮像面上でのビームMBa、MBbの位置変位量は、レーザ光源10A、10Bの各射出口でのビームLBa、LBbの平行シフトの誤差量の2倍(=α×β)となり、計測感度を上げることができる。
【0101】
また、2つのレンズGL1a、GL2aによるリレー結像系と、2つのレンズGL1b、GL2bによるリレー結像系の各々の倍率を縮小倍率γとし、面Psaと面Psbの各々に結像されるレーザ光源10A、10Bの各射出口の像がγ倍に縮小されるようにしても良い。一例として、縮小倍率γを1/2(γ=0.5)とし、
図6に示したレンズ34A、34Bによる縮小リレー光学系の縮小倍率βも1/2(β=0.5)としたとき、レーザ光源10A、10Bの各射出口でのビームLBa、LBbの各傾きの変化量と、撮像素子34Gの撮像面上でのビームMBa、MBbの各スポット光の位置の変位量との比例定数は、レンズGL1a、GL2aによるリレー結像系とレンズGL1b、GL2bによるリレー結像系とを等倍にした場合と比べて大きくなり、計測感度を上げることができる。
【0102】
以上のことから、検出ユニット34内のレンズ34A、34Bによる縮小リレー光学系は等倍(縮小倍率β=1)とし、レンズGL1a、GL2aによるリレー結像系とレンズGL1b、GL2bによるリレー結像系との各々の倍率を、レーザ光源10A、10Bの各々から射出されるビームLBa、LBbの平行シフトの誤差を撮像素子34Cで計測するときは拡大倍率とし、ビームLBa、LBbの傾きの誤差を撮像素子34Gで計測するときは縮小倍率とするように切り換えられる構成にしても良い。
【0103】
〔第2の実施の形態〕
先の
図4~
図10の構成によるビームスイッチング部BDUをほぼそのまま利用し、
図2に示した描画ユニットMU1~MU6の各々の内部構成を少し変形させることによって、描画ユニットMU1~MU6の各々から、2つ又は3つのスポット光を同時にシート基板P上に投射しつつ、描画ラインSL1~SL6の各々に沿って走査するマルチスポット化が可能となる。
【0104】
図15A~
図15Cは、ビームスイッチング部BDUの初段の音響光学変調素子AM6に入射するレーザ光源10BからのビームLBbの入射状態と回折効率を説明する図である。
図15Aは、音響光学変調素子AM6を直交座標系XYZのXZ面内で見た図であり、レーザ光源10BからのビームLBbは、通常は光軸AXbと同軸に音響光学変調素子AM6に入射する。音響光学変調素子AM6は入射するビームLBb(平行光束)に対して、ブラッグ回折の条件を満たすように配置されるため、1次回折ビームとしてのビームLB6は光軸AXbに対して-Z方向に所定の回折角で偏向して進む。ここで、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbを、光軸AXbと同軸な状態からXZ面と平行な面内で入射角θzだけ傾けると、その入射角θzに比例して、1次回折ビームとしてのビームLB6もXZ面と平行な面内で傾く。
【0105】
また、
図15Bは、音響光学変調素子AM6を直交座標系XYZのXY面内で見た図であり、レーザ光源10BからのビームLBbは、通常は光軸AXbと同軸に音響光学変調素子AM6に入射する。音響光学変調素子AM6は入射するビームLBb(平行光束)に対して、ブラッグ回折の条件を満たすように配置されるため、1次回折ビームとしてのビームLB6は、XY面内で見ると光軸AXbと平行に進む。ここで、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbを、光軸AXbと同軸な状態からXY面と平行な面内(非回折方向の面内)で入射角θyだけ傾けると、1次回折ビームとしてのビームLB6はXY面内では、その入射角θyを保つと共に、XZ面内では-Z方向に所定の回折角で偏向して進む。
【0106】
図15Aの場合と、
図15Bの場合とを比較したとき、音響光学変調素子AM6からのビームLB6(1次回折ビーム)の強度は、
図15Cのように計測された。
図15Cは、音響光学変調素子AM6に入射するビームLBbの回折方向の入射角θz、並びに非回折方向の入射角θyに対するビームLB6(1次回折ビーム)の強度の変化を模式的に表したグラフである。
図15Cの横軸は、入射角θzと入射角θyを表し、原点(0)はビームLBbが光軸AXbと同軸に音響光学変調素子AM6に入射する状態を表し、
図15Cの縦軸は、入射するビームLBbの強度に対するビームLB6(1次回折ビーム)の強度の比率である回折効率(%)を表す。
【0107】
図15Cに示したグラフ中の特性CCzは、
図15Aの場合の回折効率の変化を表し、
図15Cに示したグラフ中の特性CCyは、
図15Bの場合の回折効率の変化を表す。この特性CCz、CCyから明らかなように、
図15Aのように入射するビームLBbが、通常の状態から音響光学変調素子AM6の回折方向に角度θzで傾く場合、ブラッグ回折の条件から外れる為、その入射角θzの変化に対して回折効率は急激に低下する。これに対して、
図15Bのように入射するビームLBbが、通常の状態から音響光学変調素子AM6の回折方向と直交した方向(非回折方向)に角度θyで傾く場合、その入射角θyの変化に対する回折効率の低下は緩やかである。
【0108】
そこで、本実施の形態では、XY面内で見たとき、初段の音響光学変調素子AM6内で2本のビーム(平行光束)を、
図15Cに示すように光軸AXbに対して角度±θyaとなるように交差させて入射する。その場合、初段の音響光学変調素子AM6に入射する2本のビームは、それぞれ同じ構成の別のレーザ光源(例えば、10B1、10B2)から供給される。
【0109】
図16は、第2の実施の形態によるビームスイッチング部BDUの初段の音響光学変調素子AM6から落射ミラーIM6までの光路における2本のビームの状態を示す斜視図である。
図16の直交座標系XYZは、
図4の直交座標系XYZと同じに設定され、初段の音響光学変調素子AM6に入射する2本のビーム(いずれも平行光束)は、それぞれ同じ構成の別のレーザ光源(例えば、10B1、10B2)から供給されビームLSa、LSbとする。
図15Cで説明したように、ビームLSaの音響光学変調素子AM6への入射角は、XY面内で光軸AXbから角度-θyaに設定され、ビームLSbの音響光学変調素子AM6への入射角は、XY面内で光軸AXbから角度+θyaに設定される。2本のビームLSa、LSbの各々は、直径が1mm~0.5mm程度の平行光束となって、音響光学変調素子AM6の結晶内で交差して進んだ後、そのまま直進する0次回折ビームLSa0、LSb0(点線)となって集光レンズ16Bに入射する。
【0110】
音響光学変調素子AM6がOn状態のとき、音響光学変調素子AM6からは、0次回折ビームLSa0に対して-Z方向に所定の回折角で偏向した1次回折ビームLSa1(実線)と、0次回折ビームLSb0に対して-Z方向に所定の回折角で偏向した1次回折ビームLSb1(実線)とが発生し、それぞれ集光レンズ16Bに入射する。集光レンズ16Bから射出する0次回折ビームLSa0、LSb0は、それぞれXY面と平行な面内で光軸AXbから+Y方向と-Y方向に同じ距離だけ平行シフトした状態で、落射ミラーIM6の上方空間を通って、次のコリメータレンズ17Bに入射する。
【0111】
一方、集光レンズ16Bから射出する1次回折ビームLSa1は、XZ面内で見ると、0次回折ビームLSa0から-Z方向に平行シフトして光軸AXbと平行に進み、落射ミラーIM6の下向きの45°の反射面で-Z方向に反射される。同様に、集光レンズ16Bから射出する1次回折ビームLSb1は、XZ面内で見ると、0次回折ビームLSb0から-Z方向に平行シフトして光軸AXbと平行に進み、落射ミラーIM6の下向きの45°の反射面で-Z方向に反射される。ここで、落射ミラーIM6の反射面で-Z方向に反射された1次回折ビームLSa1をビームLB6aとし、1次回折ビームLSb1をビームLB6bとする。
【0112】
先の
図11~
図14で説明したように、落射ミラーIM6の反射面のY方向の中心を通って光軸AXbと直交する軸線を光軸AX6としたとき、ビームLB6aは光軸AX6から+Y方向に所定距離ΔYLだけ平行シフトした状態で進み、ビームLB6bは光軸AX6から-Y方向に所定距離ΔYLだけ平行シフトした状態で進む。落射ミラーIM6の反射面は集光レンズ16Bの後側焦点の位置に設定されているので、ビームLB6a、LB6bの各々は、落射ミラーIM6の反射面の位置でビームウェストとなった後に発散するビームとなって進む。落射ミラーIM6の反射面でのビームウェストの直径は数十μm程度になっている。
【0113】
先の
図4で説明したように、2段目の音響光学変調素子AM4は、集光レンズ16Bとコリメータレンズ17Bによる等倍のリレー系によって初段の音響光学変調素子AM6と光学的に共役に設定され、3段目の音響光学変調素子AM2は、集光レンズ20Bとコリメータレンズ21Bによる等倍のリレー系によって2段目の音響光学変調素子AM4と光学的に共役に設定されている。その為、
図16に示した音響光学変調素子AM6がOff状態の場合は1次回折ビームLSa1、LSb1が発生せずに、0次回折ビームLSa0、LSb0の光路に沿って、音響光学変調素子AM6に入射したビームLSa、LSbがそのまま集光レンズ16B、コリメータレンズ17Bを通って2段目の音響光学変調素子AM4に入射する。その際、2本のビームLSa、LSbの各々の音響光学変調素子AM4への入射角度(XY面内での光軸AXbに対する傾き角)は、音響光学変調素子AM6に入射するビームLSa、LSbの入射角度と同じになる。同様に、初段の音響光学変調素子AM6と2段目の音響光学変調素子AM4が共にOff状態の場合も、2本のビームLSa、LSbの各々の3段目の音響光学変調素子AM2への入射角度(XY面内での光軸AXbに対する傾き角)は、音響光学変調素子AM6に入射するビームLSa、LSbの入射角度と同じになる。
【0114】
図16の落射ミラーIM6で-Z方向に反射された2本のビームLB6a、LB6bの各々は発散光となっているが、その主光線(中心光線)はそれぞれ光軸AX6と平行になっている。落射ミラーIM6の位置で、2本のビームLB6a、LB6bがY方向に離れている場合、
図2に示した描画ユニットMU1(MU2~MU6も同一)のミラーM10に2本のビームLB6a、LB6bが入射して、最終的にシート基板P上に投射される2つのスポット光は、互いにY(Yt)方向、即ち主走査方向に一定の間隔(
図16中の間隔2ΔYLを所定の比率で縮小した距離)でずれたものとなる。これは、先の
図14で説明した状態と符合している。
【0115】
そこで、本実施の形態では、
図1に示した光路調整部BV1~BV6の各々の光学構成を少し変形する。先の第1の実施の形態では、光路調整部BV1~BV6の各々は複数の反射ミラー、複数のレンズによるリレー光学系、傾斜可能な石英の平行平板等で構成された。本実施の形態では、光路調整部BV6(BV1~BV5も同様)内に、描画ユニットMU6(MU1~MU5も同様)の最初のミラーM10に入射する2本のビームLB6a、LB6bを光軸回りに90度回転させるローテータ機構を設ける。なお、以下の説明では、描画ユニットMU1~MU6のいずれかを表わす場合は描画ユニットMUn(n=1~6)とし、描画ユニットMUnの各々に入射する2本のビームはビームLBna、LBnb(n=1~6)と記述することもある。
【0116】
図17は、
図16に示した落射ミラーIM6から光路調整部BV6(
図1参照)を通って描画ユニットMU6内のレンズLGa(
図2参照)に至る光路を通る2本のビームLB6a、LB6bの状態を誇張して表した図である。
図17中の直交座標系XYZと描画ユニットMU6内の直交座標系XtYtZtは、それぞれ、
図1~
図6及び
図16と同じに設定されている。
図17はXZ面内で見た光路図であり、落射ミラーIM6のY方向の中心を通る光軸AX6の延長線は、描画ユニットMU6の全体を微小回転させる際の回転中心となる回転軸LE6(
図2中のLE1相当)と同軸に設定されている。
【0117】
落射ミラーIM6で-Z方向に反射された2本のビームLB6a、LB6b(発散光)は、
図17では紙面と垂直な方向(Y方向)に重なって見えるが、光軸AX6を挟んでY方向に対称的に位置して光路調整部BV6に入射する。光路調整部BV6は、XZ面内で45度に傾けて配置されたミラーM30、M31、M32、YZ面に対して45°+θu/2(θuは
図1参照)の角度で配置されたミラーM33、レンズGv1、Gv2、Gv3、及びイメージローテータ(以下、単にローテータとする)IRDで構成される。ローテータIRDは、例えば特開平8-334698号公報、国際公開第2018/164087号に開示されているように、光軸AX6と交差すると共に光軸方向に山形に配置された2つの反射面と、その2つの反射面の山形の稜線から離れて光軸AX6と平行に配置される第3の反射面とで構成される。
【0118】
図17において、落射ミラーIM6からの2本のビームLB6a、LB6bはミラーM30で+X方向に直角に反射されてレンズGv1に入射する。レンズGv1の前側焦点は、落射ミラーIM6の反射面、即ちビームLB6a、LB6bの各々のビームウェストの位置になるように設定される。その為、レンズGv1を通ったビームLB6a、LB6bは共に平行光束に変換されるが、XY面内で見るとレンズGv1の後側焦点の面Pvaで交差する。面Pvaは、
図16に示した集光レンズ16BとレンズGv1とで構成されるリレー系によって音響光学変調素子AM6と光学的に共役に設定されている。面Pvaで交差した2本のビームLB6a、LB6bは、ミラーM31で-Z方向に直角に反射されて、前側焦点が面Pvaの位置に設定されたレンズGv2に入射する。
【0119】
レンズGv2を通った2本のビームLB6a、LB6bは、それぞれ収斂光束に変換されると共に、再び、光軸AX6を挟んで光軸AX6と平行な光路を通って、ミラーM32で-X方向に直角に反射される。2本のビームLB6a、LB6bの各々は、レンズGv2の後側焦点の面Pvbの位置でビームウェストとなるように収斂した後、発散しながらローテータIRDに入射する。面Pvbは、レンズGv1、Gv2によるリレー系によって、落射ミラーIM6の反射面(又はその極近傍)と共役な関係になっている。従って、YZ面と平行な面Pvb上では、ビームLB6a、LB6bの各々のスポット光(ビームウェスト位置)が光軸AX6を挟んでY方向に対称に位置する。
【0120】
ローテータIRDは、光軸AX6と平行な第3の反射面が、XY面とXZ面の双方に対して45°傾くように光軸AX6の回りに回転して配置されている。それにより、ローテータIRDに入射した2本のビームLB6a、LB6bは、全体に光軸AX6の回りに90°回転した状態で、ローテータIRDから射出してレンズGv3に入射する。ローテータIRDから射出する2本のビームLB6a、LB6bは、共に発散光束となるが、主光線(中心光線)は光軸AX6と平行になっている。更に、レンズGv3の前側焦点は、ローテータIRDの光路長も含めて、面Pvbの位置に設定されるので、レンズGv3を通ったビームLB6a、LB6bは、それぞれ平行光束に変換されると共に、XZ面内では互いに交差するように傾く。
【0121】
ビームLB6a、LB6bは、YZ面に対して角度(45°+θu/2)だけ傾いたミラーM33で-Z方向に反射されて、XY面に対して角度θuだけ傾いた面Pvcの位置で交差した後、描画ユニットMU6内のミラーM10に入射する。ミラーM10で-Xt方向に反射されたビームLB6a、LB6b(共に平行光束)の各々は、
図2に示したビームエキスパンダーを構成する初段のレンズLGaに、それぞれレンズLGaの光軸(光軸AX6)に対してXtZt面内で傾いて入射する。レンズLGaの前側焦点は、面Pvcの位置に設定されるので、レンズLGaの後側焦点の面OPa上には、光軸を挟んでZt方向の対称的な位置にビームLB6a、LB6bの各々のスポット(ビームウェスト)SP6a、SP6bが形成される。
【0122】
面OPaは、最終的に描画ユニットMU6内のfθレンズ系FTと第2シリンドリカルレンズCYbとで設定される結像面(シート基板Pの表面)と共役な関係になっている。その為、描画ユニットMU6からシート基板P上に投射される2本のビームLB6a、LB6bの各々のスポット光は、Xt方向(副走査方向)に所定の間隔を空けて集光される。その他の描画ユニットMU1~MU5の各々についても、
図17と同様に、ローテータIRDを含む光路調整部BV1~BV5を設けることで、2本のビームLBna、LBnbの各々のスポット光をXt方向(副走査方向)に所定の間隔で集光させることができる。従って、本実施の形態では、偶数番の描画ユニットMU6、MU4、MU2の各々に供給される2本のビームLBna、LBnbの為の2つのレーザ光源10B1、10B2と、奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5の各々に供給される2本のビームLBna、LBnbの為の2つのレーザ光源10A1、10A2との計4台のレーザ光源が設置される。
【0123】
本実施の形態においても、先の
図4、
図6に示したように、レーザ光源10A1とレーザ光源10B1とを中心点PGに関して点対称に配置し、レーザ光源10A2とレーザ光源10B2とを中心点PGに関して点対称に配置することができる。また、
図6に示した三角ミラー33と検出ユニット34は、レーザ光源10A1からのビームとレーザ光源10B1からのビームとを受光するセットと、レーザ光源10A2からのビームとレーザ光源10B2からのビームとを受光するセットとの2セットに分けても良い。また、描画ユニットMUn(n=1~6)の各々からシート基板P上に投射されるビームLBna(n=1~6)によるシート基板P上のスポット光をスポット光SPaとし、ビームLBnb(n=1~6)によるシート基板P上のスポット光をスポット光SPbとしたとき、シート基板P上の2つのスポット光SPa、SPbの位置変動が正確にモニター(計測)できることが望ましい。
【0124】
図18は、本実施の形態に適用される4つのレーザ光源10A1、10A2、10B1、10B2の各々からのビームを、初段の音響光学変調素子AM6、AM1に導く光路の一例を示す図である。
図18の直交座標系XYZは先の
図4と同じに設定され、また、
図4中の部材や配置と同じものには同じ符号を付してある。Y方向に並置されたレーザ光源10A1、10A2は、それぞれビームLSA1、LSA2(平行光束)を+X方向に射出する。ビームLSA1はミラーM40aで+Y方向に斜めに反射され、ビームLSA2はミラーM40bで-Y方向に斜めに反射される。ミラーM40aで反射されたビームLSA1と、ミラーM40bで反射されたビームLSA2とは、V字ミラーM40cの2つの反射面の各々で、XY面内で所定の交差角度になるように反射される。
【0125】
V字ミラーM40cで反射された2本のビームLSA1、LSA2の各々は、先の
図15Cで説明したように、初段の音響光学変調素子AM1に適した入射角±θyaに調整するプリズムブロックVP1に入射する。プリズムブロックVP1を射出した2本のビームLSA1、LSA2(平行光束)は、XY面内で光軸AXaに対して所定の傾きを持って進み、初段の音響光学変調素子AM1の結晶内で交差する。更に、プリズムブロックVP1から初段の音響光学変調素子AM1までの光路中には、光軸AXaの回りに回転可能な1/2波長板WP1と、2本のビームLSA1、LSA2の各々の一部を計測用のビームMBa’として+Y方向に反射させる偏光ビームスプリッタPBS1とが設けられる。偏光ビームスプリッタPBS1での2本のビームLSA1、LSA2の透過強度と、計測用のビームMBa’として分岐される反射強度との比率は、1/2波長板WP1の回転角度によって調整可能である。
【0126】
計測用のビームMBa’(2本のビームLSA1、LSA2の各々の一部の強度を含む)は、先の
図6で説明した三角ミラー33と検出ユニット34によって受光され、ビームLSA1、LSA2の相対的な変動量が計測される。なお、レーザ光源10A1、10A2の各々の射出口からのビームLSA1、LSA2の位置や傾きの変動を補正する為、先の
図9に示したような補正光学系が、レーザ光源10A1とミラーM40aの間の光路中、及びレーザ光源10A2とミラーM40bの間の光路中に設けられる。また、
図18では図示を省略したが、偏光ビームスプリッタPBS1から検出ユニット34までの光路中には、必要に応じて、
図4に示したレンズGL1a、GL2a等によるリレー光学系が設けられる。
【0127】
偶数番の描画ユニットMU6、MU4、MU2の各々に供給される2本のビームLSB1、LSB2は、それぞれレーザ光源10B1、10B2から射出される。レーザ光源10B1からのビームLSB1は、ミラーM40aと同様のミラーM42a、V字ミラーM40cと同様のV字ミラーM42c、プリズムブロックVP1と同様のプリズムブロックVP2を介して、XY面内で光軸AXbに対して所定の角度で傾いて、初段の音響光学変調素子AM6に入射する。更に、レーザ光源10B2からのビームLSB2は、ミラーM40bと同様のミラーM42b、V字ミラーM42c、プリズムブロックVP2を介して、XY面内で光軸AXbに対して所定の角度で傾いて、初段の音響光学変調素子AM6に入射する。
【0128】
プリズムブロックVP2と音響光学変調素子AM6の間の光路中には、1/2波長板WP2と偏光ビームスプリッタPBS2が配置され、2本のビームLSB1、LSB2の各々の一部を分岐させた計測用のビームMBb’が三角ミラー33を介して検出ユニット34で受光される。本実施の形態でも、レーザ光源10A1、10A2、ミラーM40a、M40b、V字ミラーM40c、プリズムブロックVP1、1/2波長板WP1、及び偏光ビームスプリッタPBS1による光学配置の全体と、レーザ光源10B1、10B2、ミラーM42a、M42b、V字ミラーM42c、プリズムブロックVP2、1/2波長板WP2、及び偏光ビームスプリッタPBS2による光学配置の全体とは、XY面内で中心点PGに関して点対称の関係になっている。
【0129】
以上の
図18において、ミラーM40a、M40b、V字ミラーM40c、及びプリズムブロックVP1による光学系(或いはミラーM42a、M42b、V字ミラーM42c、及びプリズムブロックVP2による光学系)は、初段の音響光学変調素子AM1(或いはAM6)内で、2本のビームLSA1、LSA2(或いはLSB1、LSB2)が非回折方向(Y方向)に関して所定の交差角(一例として、0°<θy≦1°)で交わるように合成する合成光学系として機能する。
【0130】
なお、先の
図4のビームスイッチング部BDUの構成でも同じであるが、レーザ光源10Aから三角ミラー33(又は検出ユニット34)までの計測用のビームMBa’(MBa)の光路配置と、レーザ光源10Bから三角ミラー33(又は検出ユニット34)までの計測用のビームMBb’(MBb)の光路配置とは、必ずしも中心点PGの回りに180°回転させた点対称の関係で無くても良く、XY面内で線対称の関係にしても良い。具体的には、中心点PGの法線と直交するX軸と平行な中心線に関して線対称な配置、或いは、中心点PGの法線と直交するY軸と平行な中心線に関して線対称な配置にしても良い。
【0131】
図19は、
図16~
図18に示した構成の第2の実施の形態において、シート基板P上に投射される2つのスポット光SPa、SPbの走査の様子を模式的に示す図であり、ここでは代表して、
図17に示した描画ユニットMU6から投射される2本のビームLB6a、LB6bの各々によるスポット光SPa、SPbの主走査の様子を示す。
図17のように、2本のビームLB6a、LB6bが描画ユニットMU6に入射すると、シート基板P上には、
図19のように2つのスポット光SPa、SPbがXt方向(副走査方向)に中心間隔ΔXSで分離して位置する。ここで、スポット光SPa、SPbの各々の実効的な直径(ピーク強度値の1/e
2、又は1/2となる強度値での直径)をφs(μm)と
すると、中心間隔ΔXSは、一例としてΔXS≧1.5・φsの関係に設定される。しかしながら、光学的な諸収差の影響を小さくしたい場合、中心間隔ΔXSは、ΔXS=0.5・φs(スポット光SPa、SPbが直径φsの半分で互いにオーバーラップする状態)まで小さくすることができる。逆に、中心間隔ΔXSが直径φsの10倍以上になると、諸収差の影響でスポット光SPa、SPbの形状に歪みが生じると共にテレセン誤差が増大する。従って、αを1以上の整数としたとき、中心間隔ΔXSは、一般式として、ΔXS≧0.5・α・φs(α=1、2、3・・・)に設定可能である。
【0132】
レーザ光源10B1、10B2が発振周波数400MHzのファイバーアンプレーザ光源である場合、スポット光SPa、SPbの各々は主走査方向であるYt方向(Y方向)に2.5nS周期のクロック信号CLKに応答してパルス照射される。その為、スポット光SPa、SPbは、Yt方向に関して直径φsの1/2でオーバーラップするように設定される。即ち、スポット光SPa、SPbのYt方向の走査速度Vssが、Vss=(φs/2μm)/2.5nSとなるように、ポリゴンミラーPMの回転速度が設定される。同様に、シート基板PのXt方向の移動速度も、Xt方向に関してスポット光SPa又はSPbの直径φsの1/2でオーバーラップするように設定される。従って、描画ユニットMU6から単一のスポット光SPのみが投射される場合、シート基板P上ではスポット光SPの走査により、
図19に示すように、Xt方向にΔXT(=φs/2)のピッチで並ぶ描画ラインSL6a、SL6a’、SL6b、SL6b’、・・・、SL6f、SL6f’・・・の各々が形成されるようにシート基板Pの移動速度が設定される。
【0133】
一方、
図19のように、2つのスポット光SPa、SPbがXt方向に並べて配置される場合、スポット光SPa、SPbはポリゴンミラーPMの回転で同時に主走査方向に走査される。その為、
図19の右側に示すように、最終的にシート基板P上に打たれるスポット光を、Xt方向に関してφ/2の間隔でオーバーラップさせるには、2つのスポット光SPa、SPbの同時走査で形成される1回の描画ラインが、SL6a、SL6b、SL6c、・・・となるようにシート基板Pを移動させれば良い。従って、単一のスポット光SPの場合でも、2つのスポット光SPa、SPbの場合でも、ポリゴンミラーPMの回転速度を変えないとする(走査速度Vssを同じにする)と、
図19のように2つのスポット光SPa、SPbにした場合は、シート基板PのXt方向の移動速度を2倍にすること、即ちシート基板Pの露光処理時間を1/2にすることができる。
【0134】
本変形例では、2台のレーザ光源10A1、10A2(又は10B1、10B2)からの2本のビームLSA1、LSA2(又はLSB1、LSB2)を、ビームスイッチング部BDU内の音響光学変調素子AMnの位置で所定の交差角度となるように通すようにしたが、音響光学変調素子AMnの位置で3本のビームが交差するように、3台のレーザ光源を設けても良い。3本目のビームは、ビームスイッチング部BDU内の初段の音響光学変調素子AM1又はAM6を通る光軸AXa又はAXbと同軸に設定される。その場合、描画ユニットMUnの各々からシート基板P上に投射される3つ目のスポット光は、
図19に示した2つのスポット光SPa、SPbの間に設定される。3つのスポット光同士は、
図19中でXt方向に互いに重ならないように設定するのが好ましいが、3つのスポット光の各々のXt方向の中心間隔ΔXSを、ΔXS=0.5・φs(Xt方向に並ぶスポット光が直径φsの1/2ずつオーバーラップした状態)にしても良い。
【0135】
〔変形例2〕
図20は、先の
図2に示した描画ユニットMUn(MU1~MU6)の変形例を示す斜視図である。
図20の描画ユニットMUnの構成は、例えば、国際公開第2019/082850号に開示されているので簡単に説明するが、
図20中の部材で
図2中の部材と同じ機能のものには同じ符号を付してある。また、直交座標系XtYtZtの設定も
図2と同じである。本変形例の
図2との主な相違点は、第1シリンドリカルレンズCYaとポリゴンミラーPMとの間の光路中に、レンズLGdとレンズLGeとによる結像系を設けると共に、レンズLGeからポリゴンミラーPMの間の光路中に、光路を折り返す3つのミラーM14a、M14b、M14cを設けたことである。レンズLGd、LGeによる結像系は、第1シリンドリカルレンズCYaの後側焦点の位置とポリゴンミラーPMの反射面Rp1とを結像関係にする。
【0136】
図20の描画ユニットMUnでも、
図16~
図18で説明したように、2つのレーザ光源10A1、10A2(又は10B1、10B2)の各々からビームスイッチング部BDUの落射ミラーIMn(n=1~6)と光路調整部BVn(n=1~6)とを介して、2本のビームLBna、LBnbが供給される。但し、描画ユニットMUn内のレンズLGd、LGeによる結像系と3つのミラーM14a、M14b、M14cとによる光路折り曲げによって、
図17に示した光路調整部BVn(n=1~6)内のローテータIRDは省略される。従って、
図17では、描画ユニットMU6のミラーM10で反射されて、レンズLGaに入射する2つのビームLB6a、LB6b(平行光束)の各々は、レンズLGaの光軸を含んでXtYt面と平行な面内で光軸に対して対称に傾いたものとなる。従って、
図17に示した面OPaに形成されるスポット(ビームウェスト)SP6a、SP6bの各々は、光軸と交差してYt方向(Y方向)に延びる線上に位置する。
【0137】
以上の変形例2による描画ユニットMUn(n=1~6)を用いた場合も、
図19に示したように、2つのスポット光SPa、SPbをXt方向に一定の中心間隔ΔXSで配置することができるので、シート基板Pの露光処理時間を単一のスポット光SPによる露光処理時間の1/2に短縮することができる。なお、
図20中の光電センサDTは、シート基板P上に投射される2つのスポット光SPa、SPbと光学的に共役な位置に設置されることから、スポット光SPaの投射によるシート基板Pからの反射光と、スポット光SPbの投射によるシート基板Pからの反射光とを、個別に受光するような2分割の光電素子で構成される。
【0138】
〔変形例3〕
以上の第1の実施の形態や第2の実施の形態では、ポリゴンミラーPMとfθレンズ系とによって、被照射面であるシート基板P上に投射されるスポット光SP(又はSPa、SPb)を描画データに応答して強度変調させつつ1次元に走査するスポット走査式の描画ユニットMUn(n=1~6)を用いた。しかしながら、描画ユニットMUnの構成は、デジタル・ミラー・デバイス(DMD)や空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)での反射光で生成される可変光強度分布を投影結像系によってシート基板P上に
投射するマスクレス露光方式であっても良い。
【0139】
その場合、1つのDMD(又はSLM)と1つの投影結像系とによって1つの描画ユニットが構成され、その描画ユニットの複数がシート基板Pの幅方向(Y方向)に並べられる。複数の描画ユニットの各々に露光用のビーム(DMDやSLMへの照明光束)を供給する光源装置として、複数のレーザ光源を使う場合は、先の
図6で示したような検出ユニット34を用いて、各レーザ光源から射出されるビームの変動を正確にモニター(計測)することができる。
【0140】
〔変形例4〕
図21は、先の
図17に示した光路調整部BV6の一部の構成を変形した斜視図であり、直交座標系XYZは、
図17及び
図16と同じに設定されている。
図16で説明したように、音響光学変調素子AM6には、2本のビームLSa、LSb(平行光束)がXY面内で光軸AXbを挟んで一定の交差角となるように入射する。音響光学変調素子AM6がオン状態のときに発生するビームLSaの1次回折ビームLSa1とビームLSbの1次回折ビームLSb1とは、集光レンズ16Bによって落射ミラーIM6の反射面(XY面と平行な面から45度傾斜)の位置でビームウェストとなるように集光する。落射ミラーIM6の反射面で-Z方向に反射された2本の1次回折ビームLSa1、LSb1は、それぞれビームLB6a、LB6bとしてミラーM30aに入射する。
【0141】
ミラーM30aの反射面はXY面と平行な面から45度傾斜して配置され、ビームLB6a、LB6bは-X方向に反射される。ミラーM30aで反射されたビームLB6a、LB6bは、XZ面と平行な面から45度傾斜した反射面を有するミラーM30bで-Y方向に反射された後、反射面がXY面と平行な面から45度傾斜したミラーM30cで-Z方向に反射される。ミラーM30cで反射された2本のビームLB6a、LB6bは、
図17に示したレンズGv1に入射する。ビームLB6a、LB6bの各々の主光線(中心光線)は、落射ミラーIM6からミラーM30a、M30b、M30cを介してレンズGv1に至る光路内では、レンズGv1の光軸AX6と平行であり、光軸AX6を挟んで対称に位置する。なお、レンズGv1の前側焦点は、ミラーM30a、M30b、M30cによる光路を介して落射ミラーIM6の反射面の位置に設定されている。
【0142】
図21のように、落射ミラーIM6の後にミラーM30a、M30b、M30cを設けることにより、2本のビームLB6a、LB6b(発散光束)の各々の中心光線のレンズGv1への入射位置は、光軸AX6の位置を挟んでY方向にΔYLだけ離れる。
図21のミラーM30a、M30b、M30cは、
図17に示した光路調整部BV6内のイメージローテータIRDと同様の機能を有する。他の落射ミラーIM1~IM5の各々で-Z方向に反射された2本のビームLBna、LBnb(n=1~5)に関しても、同様に、
図21のミラーM30a、M30b、M30cを介して光路調整部BVn(n=1~5)の各々に含まれるレンズGv1に入射される。
【0143】
本変形例を用いる場合、
図17に示したローテータIRDを取り外した状態の光路調整部BVn(n=1~6)と
図20に示した描画ユニットMUn(n=1~6)とによって、
図19に示したような2つのスポット光SPa、SPbをXt方向に中心間隔ΔXSだけ離して配置した状態で、描画ラインSLn(n=1~6)に沿って主走査できる。本変形例によると、
図17に示したレンズGv1~Gv3、ミラーM31~M33、及び、
図21のミラーM30a、M30b、M30cによって光路調整部BVn(n=1~6)が構成される。
【0144】
〔変形例5〕
先の
図4、
図5に示したように、レーザ光源10A、10Bの各々からのビームLBa、LBbの光量(エネルギー)の一部を計測用ビームMBa、MBbとして分岐するビームスプリッタ30A、30Bは、偏光ビームスプリッタ(
図18で説明したPBS1、PBS2に相当)としても良い。その場合、
図4(又は
図5)に示したレーザ光源10Aとビームスプリッタ30Aの間、並びにレーザ光源10Bとビームスプリッタ30Bの間に、回転可能な1/2波長板(
図18で説明したWP1、WP2に相当)が設けられる。その1/2波長板の回転角度位置により、ビームスプリッタ30A(30B)を透過した露光用のビームLBa(LBb)とビームスプリッタ30A(30B)で反射した計測用ビームMBa(MBb)との光量比を調整できる。その為、レーザ光源10A側の1/2波長板とレーザ光源10B側の1/2波長板との各回転角度を個別に調整することで、奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5の各々からシート基板Pに投射されるスポット光SPの強度と、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6の各々からシート基板Pに投射されるスポット光SPの強度とを揃えるような調整もできる。
【0145】
〔変形例6〕
先の
図1~
図6に示した第1の実施の形態では、露光用のビームLBaを供給するレーザ光源(第1光源装置)10Aが、奇数番の3つの描画ユニットMU1、MU3、MU5に対して設けられ、露光用のビームLBbを供給するレーザ光源(第2光源装置)10Bが、偶数番の3つの描画ユニットMU2、MU4、MU6に対して設けられた。しかしながら、2つの描画ユニットの各々で描画されるパターン同士を継ぎ露光するパターン描画装置(露光装置)で、2つの描画ユニットの各々に対して1台のレーザ光源(光源装置)が設けられる装置構成の場合でも、同様の検出ユニット34を設けることができる。また、1台のレーザ光源(光源装置)からのビームが供給される3つの描画ユニットのセットが4セット設けられ、計12の描画ユニットMU1~MU12で継ぎ露光を行う場合、4台のレーザ光源が設けられる。その場合、4台のレーザ光源の各々からのビームLBa、LBb、LBc、LBdの分岐によって生成される計測用のビームMBa、MBb、MBc、MBdの光路は、例えば、
図22のように設定される。
【0146】
図22は、4台のレーザ光源10A、10B、10C、10Dの各々からのビームLBa、LBb、LBc、LBdの分岐により生成される計測用ビームMBa、MBb、MBc、MBdの光路を模式的に表した図である。
図22において、直交座標系XYZのX方向はシート基板Pが移動する副走査方向であり、Y方向は12の描画ユニットMU1~MU12の各々から投射されるスポット光の主走査方向である。本変形例において、レーザ光源10Aの射出口から+X方向に放射されるビームLBaは、ビームスプリッタ30A、12A等を介して、
図4に示したような奇数番の音響光学変調素子AM1、AM3、AM5を直列に通るように配向され、奇数番の描画ユニットMU1、MU3、MU5に供給される。また、レーザ光源10Bは、本変形例では、X方向に関してレーザ光源10Aと背中合わせに配置される。レーザ光源10Bの射出口から-X方向に放射されるビームLBbは、ビームスプリッタ30B、12B等を介して、
図4に示したような偶数番の音響光学変調素子AM2、AM4、AM6を直列に通るように配向され、偶数番の描画ユニットMU2、MU4、MU6に供給される。
【0147】
図22に示した中心点PGは、
図4中の中心点PGと同様に、12の描画ユニットMU1~MU12のXY面内での配置の点対称の中心点を表わす。残りの2つのレーザ光源10C、10Dの配置は、2つのレーザ光源10A、10Bの配置を中心点PGの回りに180°回転させた点対称の関係になっている。なお、2つのレーザ光源10A、10Bと2つのレーザ光源10C、10Dとは、中心点PGを通ってX軸と平行に設定される中心線に関して、XY面内では対称な配置関係にもなっている。
【0148】
レーザ光源10Cの射出口から+X方向に放射されるビームLBcは、ビームスプリッタ30C、12C等を介して、奇数番の音響光学変調素子AM11、AM9、AM7を直列に通るように配向され、奇数番の描画ユニットMU11、MU9、MU7に供給される。X方向に関してレーザ光源10Cと背中合わせに配置されたレーザ光源10Dの射出口から-X方向に放射されるビームLBdは、ビームスプリッタ30D、12D等を介して、偶数番の音響光学変調素子AM12、AM10、AM8を直列に通るように配向され、偶数番の描画ユニットMU12、MU10、MU8に供給される。
【0149】
レーザ光源10AからのビームLBaのビームスプリッタ30Aで分岐された計測用ビームMBaは、ミラー31Aや不図示のリレー光学系(
図4中のレンズGL1a、GL2a)を介して、中心点PGに配置された三角ミラー33’に向かう。レーザ光源10BからのビームLBbのビームスプリッタ30Bで分岐された計測用ビームMBbは、ミラー31Bや不図示のリレー光学系を介して、中心点PGに配置された三角ミラー33’に向かう。レーザ光源10CからのビームLBcのビームスプリッタ30Cで分岐された計測用ビームMBcは、ミラー31Cや不図示のリレー光学系を介して、中心点PGに配置された三角ミラー33’に向かう。同様に、レーザ光源10DからのビームLBdのビームスプリッタ30Dで分岐された計測用ビームMBdは、ミラー31Dや不図示のリレー光学系を介して、中心点PGに配置された三角ミラー33’に向かう。
【0150】
図23は、変動光学検出系を構成する三角ミラー33’と検出ユニット34との配置関係を示す斜視図であり、直交座標系XYZは
図22中の設定と同じである。
図22に示したように、三角ミラー33’に向かう4本の計測用ビームMBa、MBb、MBc、MBdは、互いにY軸と平行な光路を成すように設定される。三角ミラー33’は、稜線がX軸と平行になるようにXY面から45°傾斜した2つの反射面33a’、33b’を有する。+Y方向に進む2本の計測用ビームMBa、MBbは、三角ミラー33’の反射面33a’で、それぞれ+Z方向に反射されて、
図6と同様に構成される検出ユニット34のレンズ34Aに光軸AXuと平行な状態で入射する。同様に、-Y方向に進む2本の計測用ビームMBc、MBdは、三角ミラー33’の反射面33b’で、それぞれ+Z方向に反射されて、検出ユニット34のレンズ34Aに光軸AXuと平行な状態で入射する。
【0151】
図23の検出ユニット34も、
図6と同様に、レンズ34B、ビームスプリッタ(ハーフミラー)34E、第1の撮像素子34C、第2の撮像素子34Gを備え、撮像素子34Cの撮像面を4象限に分けたとき、それぞれの象限内に計測用ビームMBa、MBb、MBc、MBdが投射される。また、撮像素子34Gの撮像面のほぼ中央には、4つの計測用ビームMBa、MBb、MBc、MBdの各々の集光点が形成される。その為、撮像素子34Gによる変動計測の際には、4つの計測用ビームMBa、MBb、MBc、MBdのいずれか1つが供給されるタイミング、即ち4つのレーザ光源10A、10B、10C、10Dのいずれか1つがビームを発振しているタイミングで撮像される画像情報を取り込むようにすれば良い。
【0152】
本変形例のように、4つのレーザ光源(光源装置)10A、10B、10C、10Dを用いるパターン露光装置であっても、各レーザ光源から三角ミラー33’(変動検出光学ユニット)までの計測用ビームMBa、MBb、MBc、MBdの各々の光路を形成する光学部材(ミラーやレンズ)の配置や光路長を同じに設定することができる。さらに、
図22に示したように、計測用ビームMBa、MBb、MBc、MBdの各々の光路を、XY面内で見たとき、中心点PGに関して点対称な関係、或いは中心点PGを通るY軸又はX軸と平行な線に関して線対称な関係に設定できる。従って、4つのレーザ光源10A、10B、10C、10Dの各々から射出されるビームLBa、LBb、LBc、LBdの変動計測時の計測感度や計測精度を同じにすることができるので、4つのビームLBa、LBb、LBc、LBdの相対的なシフト変動や傾き変動を正確に捉えることができる。
【0153】
なお、
図22では、1台のレーザ光源が3つの描画ユニットに対してビームを供給する構成を例示したが、それに限定されるものではなく、複数台(2台以上)のレーザ光源(光源装置)を備え、1台のレーザ光源毎に、射出されるビームを2つ以上の描画ユニットに振り分けて供給する構成のパターン露光装置であっても良い。