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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】比較ホログラフィックイメージング
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20240925BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20240925BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N27/62 E
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020205623
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2021096471
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】16/717,748
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アラン,バーム
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-504318(JP,A)
【文献】米国特許第5200618(US,A)
【文献】米国特許第5095207(US,A)
【文献】石井 秀司ほか,“光電子スペクトロホログラフィー”,表面科学,2001年,第22巻,第12号,PP.774-780
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
G01N 27/60-27/70
G01N 1/00- 1/44
H01J 37/00-37/36
G03H 1/00- 1/34
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
電子ビームを用いて、サンプルの複数のホログラムを取得することであって、前記複数のホログラムの各ホログラムを異なる電子ビームエネルギーで取得することと、
前記複数のホログラムのうちの、異なる電子ビームエネルギーで取得された少なくとも2つのホログラムの比較に少なくとも基づいて、前記サンプルの原子的情報および構造的情報の両方を決定することであって、前記原子的情報は前記サンプルを形成する原子についての情報及び結合エネルギーに関する情報を提供する、ことと、
前記電子ビームエネルギーを変更するように、前記複数のホログラムの各ホログラムの取得の間に電子エミッタを調整すること、を含み、
サンプルの複数のホログラムを取得することが、少なくとも、
前記サンプルを前記電子ビームに複数回曝露することであって、前記電子ビームのエネルギーが、前記複数のホログラムのうちのホログラムの各取得に対して異なること、を含む、方法。
【請求項2】
前記構造的情報が、前記サンプルの構成要素に対する深さ情報を含み、前記深さ情報が、電子ビーム経路の方向である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプルの前記構成要素が、前記サンプルを形成する原子および複合体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のホログラムの各ホログラムに対する前記サンプルの再構成された画像を形成して、複数の再構成された画像を取得する、ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の再構成された画像のうちの2つの前記再構成された画像の比較に少なくとも基づいて、前記サンプルの原子的情報および構造的情報を決定することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記原子的情報は前記サンプルを形成する原子についての情報及び結合情報を提供する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記構造的情報は前記サンプルの構成要素に対する深さ情報を含み、前記深さ情報は電子ビーム経路の方向である、
請求項5記載の方法。
【請求項8】
サンプルの複数のホログラムを取得することが、さらに
検出器によって、各曝露に応答して干渉パターンを検出することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電子ビームの前記エネルギーが、50eVから250eVまで変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記検出器が、直接電子検出器またはマイクロチャネル板検出器のいずれかである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のホログラムの前記ホログラムの比較に少なくとも基づいて、前記サンプルの原子的情報および構造的情報を決定することが、
前記原子的情報および構造的情報を決定するように、前記複数のホログラムを、平均、コンボリューション、デコンボリューション、減算、加算、乗算、除算、またはそれらの組み合わせを行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
装置であって、
電子ビームをサンプルに向けて放射するように結合されたエミッタと、
前記サンプルと相互作用した後、前記電子ビームを受信するように結合された検出器と、
前記エミッタおよび検出器に結合されたコントローラと、を備え、前記コントローラは、コードを含み、前記コードは、実行されると前記コントローラに、
電子ビームを用いて、サンプルの複数のホログラムを取得させ、前記複数のホログラムの各ホログラムを異なる電子ビームエネルギーで取得させ、
前記複数のホログラムのうちの少なくとも2つのホログラムの比較に少なくとも基づいて、前記サンプルの原子的情報および構造的情報の両方を決定させ、前記原子的情報は前記サンプルを形成する原子についての情報及び結合エネルギーに関する情報を提供させ、
前記電子ビームエネルギーを変更するように、前記複数のホログラムの各ホログラムの取得の間に電子エミッタを調整させ、
前記サンプルを前記電子ビームに複数回曝露させ、前記電子ビームのエネルギーが、前記複数のホログラムのうちのホログラムの各取得に対して異なる、
装置。
【請求項13】
前記構造的情報が、前記サンプルの構成要素に対する深さ情報を含み、前記深さ情報が、電子ビーム経路の方向である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記複数のホログラムの前記ホログラムの比較に少なくとも基づいて、前記サンプルの原子的情報および構造的情報を決定するための前記コードが、前記コントローラによって実行されると前記コントローラに、
前記原子的情報および構造的情報を決定するように、前記複数のホログラムのうちの前記少なくとも2つのホログラムを、平均、コンボリューション、デコンボリューション、減算、加算、乗算、除算、またはそれらの組み合わせを行わせる、コードをさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
コードであって、前記コントローラによって実行されると前記コントローラに、
前記複数のホログラムの各ホログラムに対する前記サンプルの再構成された画像を形成させて、複数の再構成された画像を取得させる、コードをさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
コードであって、前記コントローラによって実行されると前記コントローラに、
前記複数の再構成された画像のうちの2つの前記再構成された画像の比較に少なくとも基づいて、前記サンプルの原子的情報および構造的情報を決定させる、コードをさらに含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
コードであって、前記コントローラによって実行されると前記コントローラに、
各曝露に応答して干渉パターンを検出させる、コードをさらに含む、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ホログラフィ、具体的には、向上したホログラフィックベースの分析に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のホログラフィック技術は、しばらくの間、材料の撮像および研究のために使用されている。しかしながら、イメージングハードウェアにおける進歩は改善されたが、ホログラムから得ることができる情報の質および量は同様に進歩していない。生物学の分野では、タンパク質などの軟らかい材料の研究が最も重要であるが、軟らかい材料の性質は、分析技術を制限する。ホログラフィは、損傷の少ない分析およびイメージング技術を提供するが、生じるホログラムおよび/または再構築から利用可能な、制限された情報が、ホログラフィの有用性を制限する。したがって、少なくとも生物学の調査の分野では、ホログラフィ、特に低エネルギーホログラフィから利用可能な情報を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
再構築の構造的および分子情報を改善するための比較ホログラフィックイメージングのための装置および方法が、本明細書に開示される。例示的な方法は、少なくとも、サンプルの複数のホログラムを取得することであって、複数のホログラムの各ホログラムが、異なる電子ビームエネルギーで取得される、取得することと、複数のホログラムのうちの少なくとも2つのホログラムの比較に少なくとも基づいて、サンプルの原子的および構造的情報を決定することと、を含む。
【0004】
例示的な装置は、少なくとも、電子ビームをサンプルに向けて放射するように結合されたエミッタと、サンプルと相互作用した後、電子ビームを受信するように結合された検出器と、エミッタおよび検出器に結合されたコントローラと、を含む。コントローラは、コードであって、実行されるとコントローラに、電子ビームを用いて、サンプルの複数のホログラムを取得させ、複数のホログラムの各ホログラムが、異なる電子ビームエネルギーで取得され、複数のホログラムのうちの少なくとも2つのホログラムの比較に少なくとも基づいて、サンプルの原子的および構造的情報を決定させる、コードを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の実施形態に係る、例示的なサンプル準備および分析システムである。
図2】本開示の実施形態に係る、サンプルのホログラムを取得するための例示的な分析サブシステムである。
図3】例示的な画像を含む。
図4】本開示の実施形態に係る、ホログラムを取得し、サンプルの構造的および原子的情報を決定するための例示的な方法である。
図5】本開示の実施形態に係る、例示的な画像シーケンスである。
図6】本開示の実施形態に係る、例示的な機能的ブロック図である。
【0006】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態は、電子ホログラフィシステムの文脈で以下に記載される。特に、実施形態は、サンプルの複数のホログラムを取得して、ホログラムのうちの少なくとも2つの比較に基づいてサンプルの分子および/または構造的情報を決定することができる、電子ホログラフィシステムを対象とする。そのような実施形態では、各ホログラムは、異なる照射エネルギーで取得される。弾性散乱および非弾性散乱は、エネルギーに依存するため、異なる照射エネルギーでのホログラムは、異なるホログラフィック情報を提供し、それは、比較すると、サンプルのより詳細な構造的および分子情報を提供する。
【0008】
本出願および特許請求の範囲において使用される、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含む。加えて、「含む」という用語は、「備える」を意味する。さらに、「結合された」という用語は、結合されたアイテム間の中間要素の存在を排除するものではない。
【0009】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、多少なりとも制限的なものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、ならびに相互の様々な組み合わせおよび部分的な組み合わせにおいて、様々な開示された実施形態のすべての新規性および非自明性を有する特徴および態様を対象とする。開示されたシステム、方法、および装置は、任意の特定の態様または特徴もしくはそれらの組み合わせに限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つ以上の特定の利点が存在する、または問題が解決されることも必要としない。いずれの動作理論も説明を容易にするためであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作理論に限定されない。
【0010】
開示された方法のいくつかの動作は、便宜的な提示のため、特定の順番で記載されているが、以下に記載される具体的な用語によって特定の順序が要求されない限り、この説明様式が並び替えを包含することを理解されるものとする。例えば、順に記載される動作は、いくつかの場合では、並び替えられるかまたは同時に実施されてもよい。さらに、単純化のために、添付の図面は、開示されたシステム、方法、および装置が、他のシステム、方法、および装置とともに使用され得る様々な方式を示さないことがある。加えて、説明は、開示された方法を説明するために、「製造する」および「提供する」のような用語を使用することがある。これらの用語は、実施される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施に応じて、様々であり、当業者には容易に認識できる。
いくつかの例では、値、手順、または装置は、「最低」、「最良」、「最小」などと呼ばれる。そのような記載は、多くの使用された機能的選択肢からの選択が可能であることを示すことを意図しており、そのような選択は、他の選択よりも優れている(better)、小さい(smaller)、または他の点で望ましい(otherwise preferable)必要はないことが理解されよう。
【0011】
サンプルのホログラムを取得するために、電子のビームを使用する直接電子イメージングが使用され得る。ビーム内の電子は、干渉する対象の物体(例えば、タンパク質)から参照波および散乱波を形成する。次いで、光軸のさらに下の検出器上で、干渉パターンが捕捉され得る。本配置はまた、インラインホログラフィとして知られている。検出されたホログラムから出て行く波を数値的に再構築し、物体の一種の「シルエット」をもたらすために、既知のデジタルホログラフィ技術が使用され得る。原子に対する弾性散乱および非弾性散乱断面はすべて、エネルギー依存性を示しており、それは、撮像されているサンプルに対する追加の洞察を得るために活かされ得る。しかしながら、単一のホログラムは、所望の追加の洞察を提供しない場合がある。
【0012】
2つ以上の波長(例えば、エネルギー)でホログラムを捕捉することによって、ホログラムおよび/またはそれらの再構築間の比較によって、情報、個々のホログラム/再構築だけから利用可能である情報よりも多くの情報が物体に関して推測され得ることが可能である。例えば、あるタイプのデコンボリューションを適用することによって、より高い解像度が利用可能であり得、および/または原子の違いが検出可能であり得る。一部のエネルギーで、エネルギー依存の散乱断面のため、物体は、コヒーレント電子ビームに対してより不透明になる。その結果、物体の異なる深さが、異なるエネルギーによって調べられる。ここで、「深さ」は、光軸と同じ方向である。ホログラムまたは再構築での違いに適用される既知のデコンボリューション技術により、サンプルを形成する原子のz深さ情報が明らかになるはずである。加えて、原子の弾性散乱断面は、エネルギーに依存し、いくつかの違いが種(例えば、HおよびC)の間に存在することが知られており、それにより、サンプルを形成する個々の原子の識別が可能になり得る。ホログラムの再構築された強度の比較によって、材料の違いが観測され得ることが可能である。
【0013】
図1は、本開示の実施形態に係る、例示的なサンプル準備および分析システム100である。システム100は、ホログラフィック分析技術を含む、次の分析のために様々なサンプルを準備することができる。少なくとも分析態様は、任意の所望のサンプルタイプで使用され得るが、サンプル準備および送達態様は、繊細である傾向があるソフトサンプルタイプ、例えば、生体材料に、より適用可能であり得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、本来のような状態で分析されることが望ましいタンパク質または生体分子である。そのような実施形態では、システム100は、タンパク質をイオン化し、イオン化されたサンプル供給から所望のタンパク質を濾過し、タンパク質が分析のために基板上に堆積される分析領域にイオン化されたタンパク質を輸送する。堆積は、サンプル材料に対する任意の損傷を低減または排除するように実施され得る。考察は、例示的なサンプルとして生体材料を使用するが、他のサンプルタイプもまた、本開示の範囲内にある。
【0014】
システム100は、少なくとも、サンプル準備および選択サブシステム102と、サンプル輸送および堆積サブシステム106と、分析サブシステム104と、コントローラ107と、を含み得る。図示されていないが、様々な真空ポンプおよび電力供給が、所望の動作環境を提供するためにサブシステムおよび構成要素の少なくともいくつかに結合され得る。いくつかの実施形態では、3つのサブシステム102、104、および106は、サンプルを撮像するためのモノリシックサンプル準備および分析システムを形成し得、モノリシックシステムは、サンプル導入から撮像/分析までの連続経路を含む。しかしながら、他の実施形態では、サブシステム102および106は、サンプルを準備して基板に送達するためのモノリシックシステムを形成し得、次いで、それは、自立型ホログラフィックシステムなどの任意の所望の手段によって選択された分析ツールに送達され得る。実施形態に関係なく、本明細書で考察されるホログラフィック技術は、一般的なホログラフィック分析よりも詳細なサンプル情報を得るために実装され得る。
【0015】
サブシステム102は、所望のサンプルを提供するために、入力サンプル供給に対して様々な機能を実施する。いくつかの実施形態では、サンプルは、いくつか例を挙げると、リゾチーム、カルモジュリン、タンパク質A/G、OmpFポリン(大腸菌(1)の外膜タンパク質)、モノクローナル抗体免疫グロブリン(IgG)、C反応性タンパク質(CRP)、ストレプトアビジン、およびヒト血清アルブミンなどのタンパク質である。もちろん、タンパク質の前のリストは例として含まれており、本開示に限定されない。サブシステム102によって提供される様々な機能は、少なくとも、入力サンプル供給のイオン化、およびサンプル供給からのターゲットサンプルタイプの濾過または選択を含む。例示的なサブシステム102は、Thermo Scientific(商標)Q Exactive(商標)質量分析計であり得る。いくつかの実施形態では、濾過され、イオン化されたサンプルは、サンプルの全体的な運動エネルギーを低減するために動的に冷却され得る。冷却後、サンプルは、サブシステム106に提供される。サンプルがタンパク質である実施形態では、準備および濾過後、タンパク質が所望の本来のような状態にあることが望ましい場合があり、それは、いくつかの実施形態で有効にされ得る。もちろん、他の実施形態では、タンパク質は、所望の本来のような状態にある必要はなく、また、サンプルは、タンパク質である必要はない。タンパク質で形成されているサンプルの考察は、システムの例示の目的のためだけであり、多少なりとも制限することを意図していない。
【0016】
サブシステム104は、少なくともエミッタおよび検出器を含む、インラインまたは反射ホログラフィックイメージングシステムなどの直接イメージングシステムを備え得る。直接イメージングシステムは、荷電粒子ビームエミッタ、例えば、電子エミッタ、または光エミッタ、例えば、レーザーを含み得る。エミッタタイプに関係なく、サブシステム104は、生じる照射ビームが所望のエネルギー/波長/周波数の荷電粒子または光子を含むように、放射されたエネルギーを調整することができる。検出器は、ピクセルベースの固体状態検出器またはマイクロチャネル位相板検出器であり得るが、エミッタと互換性のある任意の検出器が本明細書で意図される。いくつかの実施形態では、サンプルは、インラインホログラフィのためにエミッタと検出器との間に置かれ得る。他の実施形態では、エミッタ、サンプル、および検出器は、反射ホログラフィのために配置され得る。もちろん、他の配置もまた、本明細書で意図されており、本開示の範囲内にある。
【0017】
いくつかの実施形態では、サブシステム104は、サンプルの電子干渉画像を生成する直接電子イメージングシステムである。そのような実施形態では、電子干渉画像、例えば、ホログラムは、サンプルの再構築された画像を形成するために使用され得る。サブシステム104は、サンプルの複数のホログラムが、異なるエネルギーで各々取得され得るように、異なるエネルギーの照射を使用してホログラムを生成する。サンプルとの照射エネルギーの相互作用の性質により、各ホログラムは、サンプルに関して異なる質の情報を提供し得る。その結果、サンプルの取得される2つ以上のホログラムがあると、ホログラム(またはそれに基づく再構築された画像)は、単一のホログラムに基づいて利用可能でない場合がある、サンプルの構造的および/または原子的情報などのサンプルのより詳細な情報を得るために比較され得る。構造的情報は、サンプルを形成する原子および複合体の深さであり得、深さは、照射の方向であり、原子的情報は、サンプルを形成する原子の識別および/または結合エネルギーを含み得る。一般に、サブシステム104は、他のサブシステムによって制限されず、サブシステム102および106は、任意の最終分析技術のためのサンプルを選択および堆積するために使用され得る。
【0018】
サブシステム106は、サブシステム102によって提供される準備されたサンプルのためのサンプル輸送および堆積プロセスを提供する。いくつかの実施形態では、サンプルは、サブシステム102によってイオン化され得、そのような実施形態では、サブシステム106は、堆積場所で終了する、一緒に結合された複数のイオン輸送ステージを含み得る。輸送ステージの終了は、サンプルイオンの移動を遅くするように構成されたイオン光学系を含み得、その結果、それらは、損傷なしに、または少なくとも最小の損傷で基板上に堆積され得る。例えば、いくつかの実施形態では、次の分析のためにタンパク質が変性するのを低減または防止するエネルギーでタンパク質を堆積することが望ましい場合がある。好ましくは、イオンエネルギーは、堆積時に30eV/電荷、またはより好ましくは10eV/電荷を超えない。
【0019】
加えてまたは代替的に、システム100のいくつかの実施形態は、サブシステム106を介してサブシステム104に結合されたサブシステム102を有さない場合がある。そのような実施形態では、サンプルは、例えば、手動で、サブシステム106からサブシステム104にユーザによって輸送され得る。例えば、イオン化されたタンパク質サンプルは、基板上に堆積され、次いで、それは、サブシステム104に挿入される前にサブシステム106から除去される。いくつかの実施形態では、サブシステム106の基板は、分析位置に配置されている。そのような実施形態では、サンプルは、基板上に堆積され、その場所で分析する準備ができている。しかしながら、他の実施形態では、基板は、堆積位置から分析位置に移動される。
【0020】
コントローラ107は、システム100の他のサブシステムに結合されて、それらの個々の計画された動作を制御および/または開始する。コントローラ107は、1つ以上の処理コアまたはマイクロコントローラ、ならびに実行可能コードを記憶するための関連メモリおよびストレージであり得る。システム100の動作を制御することに加えて、コントローラ107はまた、分析サブシステム104によって生成されるデータを処理し得る。もちろん、代替的にまたは加えて、このデータの処理は、オフラインコンピュータによって実施され得る。データの処理は、サブシステム104によって取得される1つ以上のホログラムから、再構築された画像を生成すること、および/またはサンプルの構造的および/または原子的情報を決定するためのサンプルの2つ以上のホログラムの比較または再構築を含み得る。構造的情報は、サンプルを形成する構成要素、例えば、原子および分子の深さおよび/または場所情報であり得、原子的情報は、個々の原子の識別および/またはサンプルを形成する構成要素の結合情報を含み得る。比較は、デコンボリューション、コンボリューション、加算、減算、除算、乗算、平均、およびそれらの組み合わせなど、様々な数学演算を含み得る。一般に、異なるエネルギーのホログラムを得て、次いで、それらのホログラムを比較することにより、単一のホログラムが提供し得るよりも詳細なサンプルの情報が提供され得る。
【0021】
動作中、サンプル供給は、サブシステム102に提供される。固体または液体の形式であり得るサンプル供給は、例えば、他のキャリア物質および/または不純物とともにターゲットタンパク質を含む。サブシステム102は、最初に、電子スプレーイオン化などによって、濾過の準備をするためにサンプル供給をイオン化し得る。次いで、サンプル供給からターゲットタンパク質を抽出するために、濾過が実施され得る。例えば、ターゲットタンパク質は、質量分析計などによって質量電荷比技術を使用して濾過され得る。イオン化されたタンパク質が準備されると、イオン化されたタンパク質は、動的に冷却され、次いで、サブシステム106を介して基板に輸送される。イオン化されたタンパク質がその本来のような状態に維持されることを確実にするために、例えば、ソフトランディング技術が、イオン化されたタンパク質を基板上に堆積するために採用される。堆積後、サンプルの1つ以上のホログラムは、サブシステム104によって形成され得る。例えば、サンプルの複数のホログラムは、異なる照射エネルギーを使用して形成される各ホログラムで形成され得る。少なくとも2つのホログラムが得られると、コントローラ107は、サンプルを形成する構成要素の深さおよび原子的同一性などの、サンプルに関するより詳細な構造的および/または原子的情報を得るために、ホログラムを比較し得る。各々が異なるエネルギーで複数のホログラムを取得し、次いで、ホログラムを比較することにより、単一のホログラムが提供し得るよりも詳細なサンプルの情報が提供される。前述のように、原子に対する弾性散乱および非弾性散乱へのエネルギー依存性により、異なるエネルギーのホログラム間の違いが可能になり、サンプルの内部構造および構成に対する洞察が提供される。
【0022】
図2は、本開示の実施形態に係る、サンプルのホログラムを取得するための例示的な分析サブシステム204である。分析サブシステム104の単なる一例である分析サブシステム204は、異なる照射エネルギーでサンプルのホログラムを得るために使用され得る。前述のように、異なる照射エネルギーでホログラムを得ると、サンプルに関する構造的および原子的情報が、異なるホログラムの比較を介して決定可能である。比較は、デコンボリューション、コンボリューション、乗算、除算、加算、減算平均、およびそれらの組み合わせを含み得る。構造的および原子的情報は、少なくとも、サンプルを形成する構成要素の深さ情報、原子的同一性、および結合情報を含み得る。サンプルを形成する構成要素は、原子、分子、および/またはサンプルを構成する他の複合体を含む。
【0023】
サブシステム204は、少なくとも、エミッタ208および検出器210を含む。サンプル212は、検出器の表面上にホログラム220を形成するために、エミッタ208と検出器210との間に配置され得る。そのような配置はインラインホログラフィシステムを形成するが、他の配置が、本開示によってカバーされる。エミッタ208は、荷電粒子エミッタ(例えば、電子もしくはイオン)、または光子ベースのエミッタ(例えば、レーザー)などの所望の任意のタイプのエミッタであり得る。いくつかの実施形態では、エミッタ208は、50~500eVのエネルギーを有するコヒーレント電子ビームを提供することができる電子エミッタである。電子ビームのエネルギーに言及するとき、ビームを形成する各電子が所望のエネルギーを有することを理解されるものとする。エミッタタイプに関係なく、照射波面214は、サンプル212に向かって伝播する。波面214がサンプル212に到達すると、弾性および非弾性相互作用が、サンプル、例えば、サンプルを形成する構成要素で発生し、検出器210で相互作用してホログラム220を形成する非回折波216および回折波218を生じる。ホログラム220はまた、干渉パターンと呼ばれ得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、エミッタ208は、異なるエネルギーの照射ビームを提供するように調整され得る。例えば、エミッタ208は、任意の所望のエネルギーまで、50eV、75eV、100eVなどの電子の電子ビームを提供し得る。しかしながら、エネルギーレベルは、サンプル212の材料タイプによって制限され得る。例えば、タンパク質などの生体材料は、電子エネルギーを250eV以下に制限し得る。各照射が異なるエネルギーであると、生じるホログラム220は、異なり得る。しかしながら、違いにより、サンプルの構造的および/または原子的情報の決定が可能になり得る。これは、少なくとも部分的には、サンプル212を形成する原子/分子の非弾性散乱および弾性散乱断面のエネルギー依存性によるものである。各々異なる照射エネルギーで複数のホログラム220を取得し、複数のホログラム220を比較することによって、構造的および原子的情報の決定が、ホログラムから引き出され得、したがって、サンプル212のより深い/洗練された情報を生じる。
【0025】
図3は、例示的な画像301および303を含む。画像301は、検出器210などの検出器によって取得されるような例示的なホログラムであり、画像303は、画像301でのホログラムの例示的な再構築である。画像301は、サブシステム204を使用して得られ得、タンパク質ベースのサンプルのホログラム220を表す。サブシステム204に結合された、またはサブシステム204に含まれるコントローラ(図示せず)は、ホログラム301に基づいて再構築画像303を提供した。コントローラ107などのコントローラは、任意の既知の再構築技術を使用して再構築を生成する。画像303での暗い領域は、撮像されたサンプルを形成する構成要素の場所を示す。これは、単一のホログラム/再構築であるため、サンプルを形成する構成要素の相対的な2次元情報などの制限された情報が、ホログラムまたは再構築によって提供される。しかしながら、そのような情報は、本明細書に開示される技術を使用することで改善され得る、すなわち、(照射ビームの方向の)追加の深さ情報および原子的情報が得られ得る。
【0026】
図4は、本開示の実施形態に係る、ホログラムを取得し、サンプルの構造的および原子的情報を決定するための例示的な方法405である。方法405は、任意の直接イメージングシステムによって実施され得る。いくつかの例では、システム100などの直接電子ホログラフィシステムは、方法405を実装するために使用され得る。
【0027】
方法405は、プロセスブロック407で開始し得、それは、サンプルの複数のホログラムを取得することを含み、各ホログラムは、異なる照射エネルギーを使用して取得される。いくつかの実施形態では、照射は、50eV~500eV以上などの様々なエネルギーで提供され得る電子ビームである。他の実施形態では、照射エネルギーは、レーザーである。
【0028】
プロセスブロック407は、プロセスブロック415および417などの2つの別個のプロセスに分解され得る。プロセスブロック415は、サンプルを照射エネルギーに複数回曝露することを含み、各曝露は、異なる照射エネルギーを伴う。プロセスブロック415の後に、複数のホログラムの各ホログラムを取得するためにサンプルの各曝露を検出することを含む、プロセス417が続く。
【0029】
プロセスブロック407の後に、少なくとも、複数のホログラムのうちのホログラムの比較に基づいて、サンプルの分子および原子的情報を決定することを含む、プロセスブロック411が続き得る。比較は、デコンボリューション、コンボリューション、加算、減算、乗算、除算、平均、およびそれらの組み合わせなどの、プロセスブロック413に示されるような任意の既知の数学演算を使用して実施され得る。比較の最終結果は、サンプルを形成する原子または複合体の深さ情報を提供し得、深さは、照射伝播の方向にある。加えてまたは代替的に、比較は、材料を形成する特定の原子を、それらの異なる弾性散乱および非弾性散乱断面、および/またはそれらの結合エネルギーに関する情報により識別し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、代替的にまたは加えて、プロセスブロック407の後に、任意選択的に、複数のホログラムの各ホログラムに対してサンプルの再構築された画像を形成することを含む、プロセスブロック409が続き得る。各ホログラムの再構築は、近軸近似を使用する非反復再構築、非近軸アルゴリズムを使用する非反復再構築などの任意の既知の再構築アルゴリズムを使用して実施され得る。
【0031】
プロセスブロック409の後に、少なくとも、再構築された画像の各々の比較に基づいて、サンプルの分子および原子的情報を決定することを含む、プロセスブロック419が続き得る。比較は、プロセスブロック413に示される動作のいずれかまたは組み合わせを使用して実施され得る。
【0032】
図5は、本開示の実施形態に係る、例示的な画像シーケンスである。画像シーケンスは、サンプルの構造的情報を決定するために引かれるホログラムのシーケンスを示す画像501、503および404を含む。画像501は、第1のエネルギーで取得される第1のホログラムであり、画像503は、第2のエネルギーで取得される第2のホログラムであり、画像505は、画像501および503の減算に基づくホログラムである。すべての画像は、同じサンプルである。見られ得るように、画像501および503は、サンプルの様々な情報を提供し、画像505に示されるそれらの違いは、画像501および505のいずれにも見えない追加の詳細を提供する。例えば、画像505での各ドットは、他の2つの画像のいずれにも見られない、中央の特徴の周りのリングを示す。
【0033】
図6は、本開示の実施形態に係る、例示的な機能的ブロック図600である。図6は、本発明の実施形態が含み得るコンピュータシステム600を例示するブロック図である。コンピューティングシステム600は、コントローラ107、サブシステム102、104、106、および/または結合されたサーバ(図示せず)などのシステム100に含まれるコンピューティングハードウェアの例であり得る。コンピュータシステム600は、少なくとも、情報を通信するためのバス640または他の通信機構と、情報を処理するためにバス640と結合されたハードウェアプロセッサ642とを含む。ハードウェアプロセッサ642は、例えば、汎用マイクロプロセッサであり得る。コンピューティングシステム600は、方法301および401などの、本明細書に開示される方法および技術を実装するために使用され得、また、画像を取得して、1つ以上のクラスを有する当該画像を分けるために使用され得る。
【0034】
コンピュータシステム600はまた、プロセッサ642によって実行される情報および命令を記憶するためにバス640に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスなどのメインメモリ644を含む。メインメモリ644は、プロセッサ642によって実行される命令の実行中、一時的変数または他の中間情報を記憶するためにも使用され得る。そのような命令は、プロセッサ642にアクセス可能な非一時的記憶媒体に記憶されると、コンピュータシステム600を、命令で指定された動作を実施するようにカスタマイズされた専用マシンにする。
【0035】
コンピュータシステム600は、静的情報およびプロセッサ642に対する命令を記憶するために、バス640に結合された読み取り専用メモリ(ROM)646または他の静的記憶デバイスをさらに含む。磁気ディスクまたは光学ディスクなどの記憶デバイス648が提供され、情報および命令を記憶するためにバス640に結合されている。
【0036】
コンピュータシステム600は、コンピュータユーザに情報を表示するために、陰極線管(CRT)などのディスプレイ650にバス640を介して結合され得る。英数字および他のキーを含む入力デバイス652が、プロセッサ642に情報およびコマンド選択を通信するためにバス640に結合されている。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ642に通信し、ディスプレイ650上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御654である。この入力装置は一般的に、装置が平面内の位置を指定することを可能にする、二つの軸、すなわち、第1の軸(例えば「x」)および第2の軸(例えば「y」)における二方向の自由度を有する。
【0037】
コンピュータシステム600は、カスタマイズされたハードワイヤードロジック、1つ以上のASICもしくはFPGA、ファームウェア、および/またはコンピュータシステムと組み合わせてコンピュータシステム600を専用マシンにするかもしくはそのようにプログラムするプログラムロジックを使用して、本明細書に記載の技術を実装してもよい。一実施形態によれば、本明細書の技術は、メインメモリ644に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ642に応答して、コンピュータシステム600によって実施される。そのような命令は、記憶デバイス648などの別の記憶媒体からメインメモリ644に読み込まれてもよい。メインメモリ644に含まれる命令のシーケンスの実行により、プロセッサ642は、本明細書に記載される処理ステップを実施する。代替的な実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用してもよい。
【0038】
本明細書で使用される「記憶媒体(storage media)」という用語は、マシンを特定の方法で動作させるデータおよび/または命令を記憶する任意の非一時的媒体を指す。そのような記憶媒体は、不揮発性媒体および/または揮発性媒体を含み得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス648のような、光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ644のような動的メモリを含む。記憶媒体の一般的な形式は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、または他の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、他の光学データ記憶媒体、穴のパターンを持つ物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、NVRAM、他のメモリチップもしくはカートリッジ、連想メモリ(CAM)、および三値連想メモリ(TCAM)を含む。
【0039】
記憶媒体は、伝送媒体とは異なるが、伝送媒体と組み合わせて使用してもよい。伝送媒体は、記憶媒体間の情報の転送に関与する。例えば、伝送媒体には、バス640を含むワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバが含まれる。伝送媒体は、電波および赤外線データ通信中に生成されるものなど、音響波または光波の形を取ることもできる。
【0040】
様々な形態の媒体が、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行のためにプロセッサ642に搬送するのに関与してもよい。例えば、命令は、最初は遠隔コンピュータの磁気ディスクまたはソリッドステートドライブ上で搬送されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリにロードして、モデムを使用して電話回線を介して命令を送信することができる。コンピュータシステム600に対してローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信して、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。赤外線検出器が、赤外線信号内で搬送されているデータを受信することができ、適切な回路が、データをバス640上に置くことができる。バス640は、データをメインメモリ644に搬送し、プロセッサ642は、そこから命令を取り出し実行する。メインメモリ644によって受信される命令は任意選択的に、プロセッサ642による実行の前または後のいずれかに、記憶デバイス648に記憶されてもよい。
【0041】
コンピュータシステム600は、バス640に結合された通信インターフェース656も含む。通信インターフェース656は、ローカルネットワーク660に接続されたネットワークリンク658に結合する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース656は、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、または対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を提供するモデムであり得る。別の例として、通信インターフェース656は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。無線リンクの実装であってもよい。そのような実装では、通信インターフェース656は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを運ぶ電気信号、電磁信号、または光信号を送受信する。
【0042】
ネットワークリンク658は通常、1つ以上のネットワークを介して他のデータデバイスへのデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク658は、ローカルネットワーク660を介して、ホストコンピュータ662またはインターネットサービスプロバイダ(ISP)664によって運用されるデータ機器への接続を提供することができる。また、ISP664は、現在一般的に「インターネット」666と称される世界的なパケットデータ通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク660およびインターネット666は両方とも、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を使用する。コンピュータシステム600との間でデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号ならびにネットワークリンク658上の信号および通信インターフェース656を通る信号は、伝送媒体の例示的な形態である。
【0043】
コンピュータシステム600は、ネットワーク(複数可)、ネットワークリンク658、および通信インターフェース656を介して、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバ668は、インターネット666、ISP664、ローカルネットワーク660、および通信インターフェース656を介して、アプリケーションプログラムのために要求されたコードを送信し得る。
【0044】
受信されたコードは、受信されたときにプロセッサ642によって実行されてもよく、かつ/または後で実行するために記憶デバイス648もしくは他の不揮発性記憶デバイスに記憶されてもよい。
【0045】
開示された技術を例示するために本明細書で考察された実施形態は、限定するものと見なされるべきではなく、実装の例を提供するだけのものである。当業者は、本明細書で意図され、本開示の範囲内にある、開示された技術を実装し得る他の無数の方式を理解するであろう。
【0046】
比較ホログラフィックイメージングを実施するための例示的な方法は、少なくとも、電子ビームを用いて、サンプルの複数のホログラムを取得することであって、複数のホログラムの各ホログラムが、異なる電子ビームエネルギーで取得される、取得することと、複数のホログラムのうちの少なくとも2つのホログラムの比較に少なくとも基づいて、サンプルの原子的および構造的情報を決定することと、を含む。
【0047】
原子的情報が、サンプルを形成する原子に関する情報および結合情報を提供することをさらに特徴とする、上記の例示的な方法。
【0048】
構造的情報が、サンプルの構成要素に対する深さ情報を含み、深さ情報が、電子ビーム経路の方向であることをさらに特徴とする、上記の例示的な方法。
【0049】
サンプルの構成要素が、サンプルを形成する原子および複合体を含むことをさらに特徴とする、上記の例示的な方法。
【0050】
複数のホログラムの各ホログラムに対するサンプルの再構築された画像を形成して、複数の再構築された画像を取得することをさらに含む、上記の例示的な方法。
【0051】
複数の再構築された画像のうちの2つの再構築された画像の比較に少なくとも基づいて、サンプルの原子的および構造的情報を決定することをさらに含む、上記の例示的な方法。
【0052】
原子的情報が、サンプルを形成する原子に関する情報および結合情報を提供することをさらに特徴とする、上記の例示的な方法。
【0053】
構造的情報が、サンプルの構成要素に対する深さ情報を含み、深さ情報が、電子ビーム経路の方向であることをさらに特徴とする、上記の例示的な方法。
【0054】
電子ビームのエネルギーを変更するように、複数のホログラムの各ホログラムの取得の間に電子エミッタを調整することをさらに含む、上記の例示的な方法。
【0055】
サンプルの複数のホログラムを取得することが、少なくとも、サンプルを電子ビームに複数回曝露することであって、電子ビームのエネルギーが、複数のホログラムのうちのホログラムの各取得に対して異なる、曝露することと、検出器によって、各曝露に応答して干渉パターンを検出することと、を含むことをさらに特徴とする、上記の例示的な方法。
【0056】
電子ビームのエネルギーが、50eVから250eVまで変化することをさらに特徴とする、上記の例示的な方法。
【0057】
検出器が、直接電子検出器またはマイクロチャネル板検出器のいずれかであることをさらに特徴とする、上記の例示的な方法。
【0058】
複数のホログラムのうちのホログラムの比較に少なくとも基づいて、サンプルの原子的および構造的情報を決定することが、原子的および構造的情報を決定するように、複数のホログラムを、平均、コンボリューション、デコンボリューション、減算、加算、乗算、除算、またはそれらの組み合わせを行うことを含むことをさらに特徴とする、上記の例示的な方法。
【0059】
差分ホログラフィックイメージングを実装するための例示的な装置は、少なくとも、電子ビームをサンプルに向けて放射するように結合されたエミッタと、サンプルと相互作用した後、電子ビームを受信するように結合された検出器と、エミッタおよび検出器に結合されたコントローラと、を含み得る。コードであって、実行されるとコントローラに、電子ビームを用いて、サンプルの複数のホログラムを取得させ、複数のホログラムの各ホログラムが、異なる電子ビームエネルギーで取得され、複数のホログラムのうちの少なくとも2つのホログラムの比較に少なくとも基づいて、サンプルの原子的および構造的情報を決定させる、コードを含む、コントローラ。
【0060】
原子的情報が、サンプルを形成する原子に関する情報および結合情報を提供することをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
【0061】
構造的情報が、サンプルの構成要素に対する深さ情報を含み、深さ情報が、電子ビーム経路の方向であることをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
【0062】
複数のホログラムのうちのホログラムの比較に少なくとも基づいて、サンプルの原子的および構造的情報を決定するためのコードが、コントローラによって実行されるとコントローラに、原子的および構造的情報を決定するように、複数のホログラムのうちの少なくとも2つのホログラムを、平均、コンボリューション、デコンボリューション、減算、加算、乗算、除算、またはそれらの組み合わせを行わせる、コードをさらに含む、例示的な装置。
【0063】
コードであって、コントローラによって実行されるとコントローラに、複数のホログラムの各ホログラムに対するサンプルの再構築された画像を形成して、複数の再構築された画像を取得させる、コードをさらに含む、上記の例示的な装置。
【0064】
コードであって、コントローラによって実行されるとコントローラに、複数の再構築された画像のうちの2つの再構築された画像の比較に少なくとも基づいて、サンプルの原子的および構造的情報を決定させる、コードをさらに含む、上記の例示的な装置。
【0065】
コードであって、コントローラによって実行されるとコントローラに、サンプルを電子ビームに複数回曝露させ、電子ビームのエネルギーが、複数のホログラムのうちのホログラムの各取得に対して異なり、各曝露に応答して干渉パターンを検出させる、コードをさらに含む、上記の例示的な装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6