(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】リングフレームの保持機構
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240925BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/78 M
(21)【出願番号】P 2019166308
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 昌大
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 奈王久
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-139284(JP,A)
【文献】特開2018-026375(JP,A)
【文献】特開2018-015825(JP,A)
【文献】特開2014-150233(JP,A)
【文献】特開2002-016127(JP,A)
【文献】特開2006-212718(JP,A)
【文献】特開2019-135072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引保持具を用いてリングフレームの下面を吸引することにより、該リングフレームを保持するリングフレーム保持機構であって、
テーブルと、
該テーブルの上面に形成された開口を有する凹部に配置された該吸引保持具と、
該吸引保持具を吸引源に連通する吸引路と、
該吸引路に配設される吸引バルブと、
該吸引保持具をエア供給源に連通するエア供給路と、を備え、
該吸引保持具は、
吸盤と、
該吸盤の下端に連結された筒蛇腹と、
該筒蛇腹の内部に配設され、該吸盤の上端より下方に位置付けられ、かつ、該テーブルの上面より下方に位置付けられた上端を有する筒と、を備え、
該筒の下開口を吸引源に連通して、該吸盤の上端に該リングフレームを接触させて、該リングフレームが該吸盤の上端に接触している状態で密室となった該筒蛇腹の内部を負圧にすることにより、該吸盤が該リングフレームを保持するとともに、該筒蛇腹の内部にかかる負圧と該
筒蛇腹外の大気圧との間に圧力差が発生して、大気圧によって該筒の外側面側によって内側面側が支持されている該筒蛇腹が該筒の外側面にガイドされて収縮して該筒蛇腹の収縮方向に該吸盤を移動させて該吸盤が該凹部内に収容されていき、該筒が該リングフレームに非接触の状態で、該テーブルの上面によって該リングフレームを保持する、リングフレームの保持機構。
【請求項2】
該リングフレームは、平行に向かい合った第1平坦面及び第2平坦面と、該第1平坦面及び該第2平坦面の向かい合う方向に対して直交する方向に向かい合った第3平坦面及び第4平坦面とを備え、
該第1平坦面及び該第2平坦面を挟む第1固定位置決め部及び第1可動位置決め部と、
該第3平坦面及び該第4平坦面を挟む第2固定位置決め部及び第2可動位置決め部と、を備え、
位置決めされている該リングフレームを保持した該吸盤を該テーブルの上面に垂直な方向に下降させ該凹部に収容させ、該テーブルの上面によって該リングフレームを支持する、
請求項1記載のリングフレームの保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングフレームの保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
リングフレームとウェーハとにダイシングテープを貼着して一体化するテープマウンタは、ウェーハの直径よりも大きい内径のリングフレームを保持するリングフレーム保持機構と、リングフレームの開口部分でウェーハを保持するウェーハ保持手段と、リングフレームとウェーハとに円形のダイシングテープを貼着する貼着手段とを備える。
リングフレーム保持機構は、リングフレームの下面を吸引保持する吸盤と、リングフレームの下面を支持する支持テーブルと、を備える。
ウェーハ保持手段は、ウェーハの下面を吸引保持する保持面を有する保持テーブルを備える。
【0003】
ウェーハの中心とリングフレームの開口の中心とを一致させるために、リングフレーム保持機構は、特許文献1に開示のように、位置決め手段等を用いてリングフレームの外周に対向して形成されている平坦面を挟むことにより、リングフレームを目標位置に位置決めしている。リングフレームは、吸盤から噴出されるエアによって浮上して所定の位置に位置決めされてから、吸盤の上に保持されることで、支持テーブルで支持している。
吸盤を使用している理由は、リングフレームの下面に傷をつけないようにするため、および、リングフレームに僅かな歪みがあっても吸引保持することを可能にするためである。吸盤は、歪みに対応するため、筒状の蛇腹を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、吸盤の上にリングフレームを吸引保持し、支持テーブルにリングフレームを支持させている際に、吸盤とリングフレームとの間に作用する吸引力によって蛇腹が内側に凹んでしまい、リングフレームの吸引保持を止めても凹みが回復しないため、蛇腹に凹みが形作られる。すると、他の吸盤と高さが変わってしまい、その後にリングフレームを浮上させることができなくなってしまう。
したがって、吸盤を用いてリングフレームを吸引保持するリングフレームの保持機構には、リングフレームを吸引保持しているときに、蛇腹を不適切な形に変形させないようにするという解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸引保持具を用いてリングフレームの下面を吸引することにより、該リングフレームを保持するリングフレーム保持機構であって、テーブルと、該テーブルの上面に形成された開口を有する凹部に配置された該吸引保持具と、該吸引保持具を吸引源に連通する吸引路と、該吸引路に配設される吸引バルブと、該吸引保持具をエア供給源に連通するエア供給路と、を備え、該吸引保持具は、吸盤と、該吸盤の下端に連結された筒蛇腹と、該筒蛇腹の内部に配設され、該吸盤の上端より下方に位置付けられ、かつ、該テーブルの上面より下方に位置付けられた上端を有する筒と、を備え、該筒の下開口を吸引源に連通して、該吸盤の上端に該リングフレームを接触させて、該リングフレームが該吸盤の上端に接触している状態で密室となった該筒蛇腹の内部を負圧にすることにより、該吸盤が該リングフレームを保持するとともに、該筒蛇腹の内部にかかる負圧と該筒蛇腹外の大気圧との間に圧力差が発生して、大気圧によって該筒の外側面側によって内側面側が支持されている該筒蛇腹が該筒の外側面にガイドされて収縮して該筒蛇腹の収縮方向に該吸盤を移動させて該吸盤が該凹部内に収容されていき、該筒が該リングフレームに非接触の状態で、該テーブルの上面によって該リングフレームを支持する。
このリングフレームの保持機構において、該リングフレームは、平行に向かい合った第1平坦面及び第2平坦面と、該第1平坦面及び該第2平坦面の向かい合う方向に対して直交する方向に向かい合った第3平坦面及び第4平坦面とを備え、該第1平坦面及び該第2平坦面を挟む第1固定位置決め部及び第1可動位置決め部と、該第3平坦面及び該第4平坦面を挟む第2固定位置決め部及び第2可動位置決め部とを備え、位置決めされている該リングフレームを保持した該吸盤を該テーブルの上面に垂直な方向に下降させ該凹部に収容させ、該テーブルの上面によって該リングフレームを支持するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、筒蛇腹の内部に筒が配設されているため、筒蛇腹が凹もうとするときに筒蛇腹が筒に支持されて、筒蛇腹が不適切な形に変形するのを抑制することができる。これによって、複数備えられている吸盤の各々の高さが変わることなく、リングフレームを浮上させることが可能になり、位置決めを行うことができるようになった。そして、位置決めされたリングフレームを吸引保持することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】リングフレーム保持機構の全体を表す斜視図である。
【
図2】リングフレーム保持機構を側方から見た断面図である。
【
図3】搬送機構を用いてリングフレームをリングフレーム保持機構に搬送する様子を側方から見た断面図である。
【
図4】リングフレームと吸盤との間にエア層が形成されている様子を側方から見た断面図である。
【
図5】リングフレームが吸盤の上に吸引保持されている様子を側方から見た断面図である。
【
図6】リングフレーム保持機構に配設されている吸引保持具が、吸盤と筒蛇腹とが一体化したベローズパッドであり、筒蛇腹の内部に備える筒がつば部を有するものである場合のリングフレーム保持機構を側方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 リングフレーム保持機構の構成
図1に示すように、リングフレーム保持機構10は、リングフレーム1を保持する保持機構である。リングフレーム1は、例えば、図示しないウェーハ等とともに図示しない貼着テープに貼着して、リングフレーム1とウェーハ等とが一体化することにより、ウェーハ等のハンドリング性能を向上させることができる。
リングフレーム1は、平行に向かい合った第1平坦面31及び第2平坦面32、第1平坦面31及び第2平坦面32の向かい合う方向に対して直交する方向に向かい合った第3平坦面33及び第4平坦面34を備えている。これら4つの平坦面31~34は、リングフレーム1の外周に備えられている。
以下、リングフレーム保持機構10について説明する。
【0010】
図1に示すように、リングフレーム保持機構10は、保持テーブル12を備えている。保持テーブル12の上面はウェーハ等が保持される保持面12aとなっている。
リングフレーム保持機構10は、環状テーブル11を備えている。環状テーブル11は保持テーブル12を囲繞しており、環状テーブル11の上面11aには開口を有する複数(
図1においては4つ)の凹部11cが形成されている。
【0011】
リングフレーム保持機構10は、例えば、互いに向かい合う第1固定位置決め部51及び第1可動位置決め部53と、互いに向かい合う第2固定位置決め部55及び第2可動位置決め部57と、を備えている。例えば、第1固定位置決め部51と第1可動位置決め部53とが向かい合う方向と、第2固定位置決め部55と第2可動位置決め部57とが向かい合う方向とは、互いに直交している。
【0012】
第1固定位置決め部51は、環状テーブル11に固定された第1固定部材51B、および、第1固定部材51Bに取り付けられた2本の第1固定ピン51Pを備えている。
第1固定位置決め部51に対向する第1可動位置決め部53は、第1可動部材53Bと、第1可動部材53Bに取り付けられた1本の第1可動ピン53Pと、第1可動部材53Bを環状テーブル11の径方向に貫通する第1シャフト53Sを備えている。第1可動部材53Bは、第1シャフト53Sに沿って環状テーブル11の径方向に移動可能である。
【0013】
同様に、第2固定位置決め部55は、環状テーブル11に固定された第2固定部材55Bと、第2固定部材55Bに取り付けられた2本の第2固定ピン55Pとを備えている。
第2固定位置決め部55に対向する第2可動位置決め部57は、第2可動部材57Bと第2可動部材57Bに取り付けられた1本の第2可動ピン57Pと第2可動部材57Bを環状テーブル11の径方向に貫通する第2シャフト57Sとを備えている。第2可動部材57Bは、第2シャフト57Sに沿って環状テーブル11の径方向に移動可能である。
【0014】
第1可動位置決め部53においては、例えば、第1可動部材53Bの内部に例えば図示しないバネ機構等が配設されている。例えば、第1可動ピン53Pを+Z方向側から押圧すると、係るバネ機構等により、第1可動ピン53Pが-Z方向に降下して第1可動部材53Bの内部に収容される。また、第1可動ピン53Pに+Z方向側からかけられている押圧力を解くことにより、第1可動部材53Bの内部に収容されていた第1可動ピン53Pが+Z方向に上昇して再び環状テーブル11の上に突出することとなる。
図1においては、第1可動ピン53Pには上記のような押圧力がかけられておらず、第1可動ピン53Pは環状テーブル11の上に突出している。
【0015】
第2可動位置決め部57においても同様に、例えば、第2可動部材57Bの内部に配設されている図示しないバネ機構等によって第2可動ピン57Pが昇降移動可能となっている。
環状テーブル11の上面11aにリングフレーム1が載置された状態で、例えば、第1固定位置決め部51と第1可動位置決め部53とによって、リングフレーム1の第1平坦面31と第2平坦面32とを挟むことにより、リングフレーム1は環状テーブル11の上面11aにおいて位置決めされ、固定されることとなる。
【0016】
図2に示すように、環状テーブル11に形成されている凹部11cの底面には、凹部11cよりも小さな孔110bを形成している。
【0017】
凹部11cには、吸引保持具40が配設されている。
吸引保持具40は吸盤41を備えている。吸盤41の上にはリングフレーム1を載置することができる。
【0018】
吸引保持具40はZ軸方向に伸縮可能な筒蛇腹42を備えている。筒蛇腹42は、吸盤41の下端41bに連結されている。
【0019】
吸引保持具40は中空円筒状の筒43を備えている。筒43は、筒蛇腹42の内部に配設されており、筒43の下開口43bは、孔110bに連結されている。
また、筒43の上端43aは、環状テーブル11の上面11aより下方に位置付けられている。筒43の上端43aの高さ位置と吸盤41の上端41aの高さ位置との位置関係は、例えば、吸盤41の上にリングフレーム1を吸引保持することにより筒蛇腹42が収縮しても、筒43の上端43aの高さ位置が吸盤41の上端41aの高さ位置よりも上にならない位置関係である。
【0020】
保持テーブル12の下方には、吸引源61と、吸引源61に接続された吸引路63と、吸引源61と吸引路63との連通状態を切り替える吸引バルブ62とが配設されている。
また、保持テーブル12の下方には、エア供給源64と、エア供給源64に接続されたエア供給路66と、エア供給源64とエア供給路66との連通状態を切り替えるエアバルブ65とが配設されている。
吸引路63とエア供給路66とは、合流点aにおいて合流しており、共通路67に接続されている。共通路67は、孔110bに接続されている。
【0021】
例えば、吸引バルブ62が開いている状態、かつ、エアバルブ65が閉じている状態において、吸引源61により吸引力を発揮すると、生み出された吸引力が吸引路63を通じて共通路67に伝達され、さらに共通路67を通って、孔110bへと伝達される。そして、孔110bに連結されている筒43の下開口43bから筒43の内部へと伝わり、筒43の上端43aから、環状テーブル11の上方へと伝達されることとなる。
また、例えば、吸引バルブ62が閉じている状態、かつ、エアバルブ65が開いている状態において、エア供給源64を作動させてエアの供給を行うと、供給されたエアがエア供給路66を通じて共通路67に伝達され、さらに共通路67を通って孔110bへと伝達される。そして、孔110bに連結されている筒43の下開口43bから筒43の内部へと伝わり、環状テーブル11の上方へとエアが供給されることとなる。
【0022】
図3に示すように、リングフレーム保持機構10は、例えば、第1固定位置決め部51、第1可動位置決め部53、第2固定位置決め部55、及び第2可動位置決め部57に代えて、第1ブロック71及び第2ブロック72を備えていてもよい。
第1ブロック71は、シリンダ機構8に接続されており、第1ブロック71と第2ブロック72とシリンダ機構8とはリングフレーム1の位置決めを行う機能を有している。
例えば、リングフレーム1が環状テーブル11に載置された状態で、シリンダ機構8を用いて第1ブロック71をリングフレーム1の径方向(+Y方向)に向けて移動させることによって、第1ブロック71の側面71cを第1平坦面31に、第2ブロック72の側面72cを第2平坦面32にそれぞれ接触させて、第1平坦面31と第2平坦面32とを外側から挟み込むことができる。この状態で、シリンダ機構8を用いて第1ブロック71の位置を適宜調整して、環状テーブル11の上におけるリングフレーム1の位置決めをすることができる。
なお、例えば、第1ブロック71と第2ブロック72とが向かい合う方向に直交する方向にも、同様にリングフレーム1の位置決めの機能を有する2つのブロックやシリンダ機構等が配設されていてもよい。
【0023】
リングフレーム保持機構10の近傍には、例えばリングフレーム1を環状テーブル11の上へと搬入したり、環状テーブル11の上から搬出したりする機能を有する搬送機構2が配設されている。搬送機構2は、例えばリングフレーム1を吸着する複数の吸着部21と、複数の吸着部21をそれぞれ保持する保持部材22と、複数の保持部材22を支持する支持部23と、駆動源(図示せず)に連結されたアーム部24と、支持部23とアーム部24とを連結する連結部材25とを備えている。吸着部21の内部には、連通路27が形成されており、連通路27は搬送吸引源26に接続されている。
吸着部21の下面とリングフレーム1の上面1aとが接触している状態で、搬送吸引源26を作動させて、搬送吸引源26が吸引力を発揮すると、生み出された吸引力が連通路27を通じて吸着部21の下面に伝達される。これにより吸着部21においてリングフレーム1を吸引保持することができる。
吸着部21にリングフレーム1が吸引保持された状態で、図示しない移動手段等がアーム部24を移動させることによって、搬送機構2がリングフレーム1を環状テーブル11の上面11aに搬入したり、環状テーブル11の上面11aから搬出したりすることが可能となっている。
【0024】
2 リングフレーム保持機構の動作
上記のリングフレーム保持機構10を用いてリングフレーム1を保持する際のリングフレーム保持機構10の動作について説明する。
【0025】
まず、
図3に示すように、搬送機構2を用いてリングフレーム1を環状テーブル11の上に搬送して、リングフレーム1を環状テーブル11の上に載置する。リングフレーム1が環状テーブル11の上に載置されている状態においては、リングフレーム1の下面1bは、環状テーブル11の凹部11cから突出している吸盤41の上端41aに接触している。
【0026】
そして、
図4に示すように、吸引バルブ62を閉めてエアバルブ65を開くとともに、エア供給源64を作動する。これにより、エア供給源64から供給されたエアが、エア供給路66から共通路67に伝達され、孔110bへと伝達される。孔110bに伝達されたエアは、孔110bに連結されている筒43の下開口43bから筒43の内部へと供給されて、吸盤41の上方に供給されることとなる。
吸盤41の上方にエアが供給されると、リングフレーム1がその下面1b側から上方へと付勢されて、吸盤41の上端41aとリングフレーム1の下面1bとの間にエア層Aが形成される。
【0027】
吸盤41の上端41aとリングフレーム1の下面1bとの間にエア層Aが形成されている状態で、例えば、シリンダ機構8を用いて第1ブロック71をリングフレーム1の径方向(+Y方向)に向けて移動させる。これにより、第1ブロック71の側面71cが第1平坦面31に接触する。さらに、第1ブロック71を+Y方向に横滑りさせることによって、第2ブロック72の側面72cを第2平坦面32に接触させて、第1平坦面31と第2平坦面32とを外側から挟み込む。この状態で、シリンダ機構8を用いて第1ブロック71の位置を適宜調整することにより、環状テーブル11の上におけるリングフレーム1の位置決めがなされる。
【0028】
次いで、エア供給源64の動作を停止させて、吸盤41の上方へのエアの供給を停止する。これにより、吸盤41の上端41aとリングフレーム1の下面1bとの間に形成されていたエア層Aがなくなり、
図5に示すように、リングフレーム1の下面1bと吸盤41の上端41aとが当接する。
その後、エアバルブ65を閉じて吸引バルブ62を開くとともに、吸引源61を作動させて吸引力を発揮させる。これにより、吸引源61によって生み出された吸引力が吸引路63を通じて共通路67に伝達され、孔110bへと伝達される。そして、孔110bに連結されている筒43の下開口43bから筒43の内部へと伝わり、筒43の上端43aからリングフレーム1の下面1bへと伝達される。
【0029】
このようにして、リングフレーム1の下面1bが吸盤41の上端41aに接触している状態で筒蛇腹42の内部を負圧にすることにより、筒蛇腹42の内部にかかる圧力と筒蛇腹42の外部の大気圧との間に圧力差が発生する。これにより、リングフレーム1が吸盤41に吸引保持されるとともに、大気圧によって筒蛇腹42が収縮して吸盤41が凹部11cの内部に収容される。
【0030】
筒蛇腹42が収縮していく際、筒蛇腹42の内部に配設されている筒43によって筒蛇腹42がガイドされて、筒蛇腹42の収縮方向に直交する方向に筒蛇腹42が変形するのが防止される。したがって、複数備えられている吸盤41の各々の高さが変わることなく、リングフレーム1を浮上させることが可能になり、位置決めを行うことができるようになる。そして、位置決めされたリングフレーム1を吸引保持することが可能となる。
【0031】
なお、リングフレーム保持機構10に備える吸引保持具40は、
図6に示すように、例えば、吸盤41と筒蛇腹42とが一体化している、いわゆるベローズパッドでもよい。
筒蛇腹42の内部には、略円柱状の筒43が配設されており、筒43の側面の下部には雄ねじ431が形成されている。孔110bには、雄ねじ431に対応する雌ねじ110cが形成されており、筒43の雄ねじ431が雌ねじ110cに螺合して、筒43が孔110bに固定されている。
例えば、筒43の側面には、筒43の径方向に向かって張り出すようにつば部430が形成されている。
筒43の雄ねじ431が雌ねじ110cに螺合して、つば部430と凹部11cの底部とで筒蛇腹42を挟み、筒蛇腹42を凹部11cに固定する。また、上記のように、リングフレーム1が吸盤41に載置された状態で、吸引源61を用いて筒蛇腹42の内部を負圧にすると、吸盤41の上にリングフレーム1が吸引保持されて筒蛇腹42が収縮する。このとき、つば部430で固定される筒蛇腹42の内部の壁を筒の上端43a(筒43)で押さえ、大気圧によって筒蛇腹42が筒蛇腹42の収縮方向に直交する方向に変形するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0032】
1:リングフレーム 1a:リングフレームの上面 1b:リングフレームの下面
10:リングフレーム保持機構 11:環状テーブル 11a:環状テーブルの上面
11c:凹部 110b:孔 110c:雌ねじ
12:保持テーブル 12a:保持面
2:搬送機構 21:吸着部 22:保持部材 23:支持部 24:アーム部
25:連結部材 26:搬送吸引源 27:連通路
31:第1平坦面 32:第2平坦面 33:第3平坦面 34:第4平坦面
40:吸引保持具 41:吸盤 41a:吸盤の上端 41b:吸盤の下端
42:筒蛇腹 43:筒 43a:筒の上端 43b:筒の下開口
430:つば部 431:雄ねじ
51:第1固定位置決め部 51B:第1固定部材 51P:第1固定ピン
53:第1可動位置決め部 53B:第1可動部材 53P:第1可動ピン
53S:第1シャフト
55:第2固定位置決め部 55B:第2固定部材 55P:第2固定ピン
57:第2可動位置決め部 57B:第2可動部材 57P:第2可動ピン
57S:第2シャフト
61:吸引源 62:吸引バルブ 63:吸引路 64:エア供給源
65:エアバルブ 66:エア供給路 a:合流点 67:共通路
71:第1ブロック 72:第2ブロック