IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特許-加工装置 図1
  • 特許-加工装置 図2
  • 特許-加工装置 図3
  • 特許-加工装置 図4
  • 特許-加工装置 図5
  • 特許-加工装置 図6
  • 特許-加工装置 図7
  • 特許-加工装置 図8
  • 特許-加工装置 図9
  • 特許-加工装置 図10
  • 特許-加工装置 図11
  • 特許-加工装置 図12
  • 特許-加工装置 図13
  • 特許-加工装置 図14
  • 特許-加工装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240925BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240925BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240925BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240925BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240925BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 M
H01L21/304 622L
B24B41/06 A
B24B49/12
B25J13/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020005230
(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公開番号】P2021114493
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 聡
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134527(JP,A)
【文献】特開平05-291383(JP,A)
【文献】特開2009-123790(JP,A)
【文献】特開2019-192854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0310137(US,A1)
【文献】特開2019-000933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/68
H01L 21/304
B24B 41/06
B24B 49/12
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に配置された複数の棚を有するカセットと、該カセットが載置されるカセットステージと、保持面によって被加工物を保持するチャックテーブルと、該カセットに収納された被加工物を保持し、該カセットから該チャックテーブルに被加工物を搬送する搬送手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、を備える加工装置であって、
該搬送手段は、被加工物を保持するロボットハンドを装着しており、該カセットから被加工物を取り出して該チャックテーブルに搬送して該保持面に載置するロボットを備え、
該ロボットハンドによって保持されている被加工物を撮像する撮像手段と、
該撮像手段による撮像によって取得された撮像画に基づいて、被加工物の中心座標を認識する中心座標認識手段と、
該中心座標認識手段により認識された該中心座標に基づいて、該ロボットを制御して、該ロボットによって保持されている被加工物の中心と、該チャックテーブルの該保持面の中心とが一致するように、該保持面に被加工物を保持させる制御手段と、をさらに備え、
該制御手段は、該被加工物の中心座標に基づいて、被加工物の中心と予め認識している該ロボットハンドの中心との水平方向の位置関係を算出し、この位置関係に基づいて被加工物を保持している該ロボットハンドの水平方向における位置を調整することにより、被加工物の中心と該チャックテーブルの該保持面の中心とが一致するように、該保持面に被加工物を保持させる、
加工装置。
【請求項2】
上下方向に配置された複数の棚を有するカセットと、該カセットが載置されるカセットステージと、保持面によって被加工物を保持するチャックテーブルと、該カセットに収納された被加工物を保持し、該カセットから該チャックテーブルに被加工物を搬送する搬送手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、を備える加工装置であって、
該搬送手段は、該カセットに収納された被加工物を保持するロボットハンドを装着したロボットと、搬送パッドを備え、該ロボットハンドに保持されている被加工物を、該ロボットハンドから該搬送パッドによって受け取り、該チャックテーブルの該保持面に搬入する搬入機構とを備え、
該ロボットハンドによって保持されている被加工物を撮像する撮像手段と、
該撮像手段による撮像によって取得された撮像画に基づいて、被加工物の中心座標を認識する中心座標認識手段と、
該中心座標認識手段によって認識された該中心座標に基づいて、該搬入機構によって、該保持面の中心と被加工物の中心とが一致するように、該保持面に被加工物を保持させる制御手段と、をさらに備える、
加工装置。
【請求項3】
該制御手段は、該被加工物の中心座標に基づいて、被加工物の中心と予め認識している該ロボットハンドの中心との水平方向の位置関係を算出し、この位置関係に基づいて、被加工物の中心と該搬送パッドの中心とが一致するように該ロボットハンドの水平方向における位置を調整することにより、被加工物の中心と該搬送パッドの中心とが一致した状態で、被加工物を該搬送パッドに保持させる、
請求項に記載の加工装置。
【請求項4】
被加工物は、結晶方位を示すマークとしてのノッチまたはオリエンテーションフラットを備え、
該保持面は、被加工物を転写した形状を有し、該マークに対応したマーク対応部を備えており、
該撮像手段による撮像によって得られた該撮像画から該マークの位置を認識するマーク認識手段と、
該保持面の中心を軸に該チャックテーブルを回転させる回転手段と、
該保持面の該マーク対応部と、該搬送手段によって保持されている被加工物の該マークとを一致させるように、該回転手段を制御する、マーク位置合わせ制御手段と、をさらに備える、
請求項1~3のいずれかに記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2に開示されている全自動研削装置では、チャックテーブルに吸引保持された被加工物を、研削砥石で研削している。
【0003】
全自動研削装置では、カセットに収納されている被加工物を、ロボットによって仮置きテーブルに搬送して仮置きする。仮置きテーブルに仮置きされた被加工物を、搬入手段の搬送パッドを用いて保持し、チャックテーブルに搬送する。チャックテーブルに吸引保持された被加工物を、研削砥石で研削する。また、研削された被加工物を、搬出手段の搬送パッドによって保持し、チャックテーブルからスピンナ洗浄手段に搬送する。スピンナ洗浄手段によって洗浄された被加工物を、ロボットによってカセットに収納する。これにより、研削加工が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-027594号公報
【文献】特開2019-084646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の全自動研削装置では、上記のように、仮置きテーブルで被加工物を持ち替えているため、持ち替え時間が発生している。また、被加工物を持ち替えることにより、被加工物と仮置きテーブルとが接触するので、被加工物にゴミが付着したり、被加工物が破損したりすることがある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、カセットからチャックテーブルに被加工物を搬送する際に、被加工物を持ち替える回数を少なくして、被加工物へのゴミの付着、および、被加工物の破損を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加工装置は、上下方向に配置された複数の棚を有するカセットと、該カセットが載置されるカセットステージと、保持面によって被加工物を保持するチャックテーブルと、該カセットに収納された被加工物を保持し、該カセットから該チャックテーブルに被加工物を搬送する搬送手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、を備える加工装置であって、該搬送手段は、被加工物を保持するロボットハンドを装着しており、該カセットから被加工物を取り出して該チャックテーブルに搬送して該保持面に載置するロボットを備え、該ロボットハンドによって保持されている被加工物を撮像する撮像手段と、該撮像手段による撮像によって取得された撮像画に基づいて、被加工物の中心座標を認識する中心座標認識手段と、該中心座標認識手段により認識された該中心座標に基づいて、該ロボットを制御して、該ロボットによって保持されている被加工物の中心と、該チャックテーブルの該保持面の中心とが一致するように、該保持面に被加工物を保持させる制御手段と、をさらに備える。
該制御手段は、該被加工物の中心座標に基づいて、被加工物の中心と予め認識している該ロボットハンドの中心との水平方向の位置関係を算出し、この位置関係に基づいて被加工物を保持している該ロボットハンドの水平方向における位置を調整することにより、被加工物の中心と該チャックテーブルの該保持面の中心とが一致するように、該保持面に被加工物を保持させる
【0008】
本発明の他の加工装置は、上下方向に配置された複数の棚を有するカセットと、該カセットが載置されるカセットステージと、保持面によって被加工物を保持するチャックテーブルと、該カセットに収納された被加工物を保持し、該カセットから該チャックテーブルに被加工物を搬送する搬送手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、を備える加工装置であって、該搬送手段は、該カセットに収納された被加工物を保持するロボットハンドを装着したロボットと、搬送パッドを備え、該ロボットハンドに保持されている被加工物を、該ロボットハンドから該搬送パッドによって受け取り、該チャックテーブルの該保持面に搬入する搬入機構とを備え、該ロボットハンドによって保持されている被加工物を撮像する撮像手段と、該撮像手段による撮像によって取得された撮像画に基づいて、被加工物の中心座標を認識する中心座標認識手段と、該中心座標認識手段によって認識された該中心座標に基づいて、該搬入機構によって、該保持面の中心と被加工物の中心とが一致するように、該保持面に被加工物を保持させる制御手段と、をさらに備える。
該制御手段は、該被加工物の中心座標に基づいて、被加工物の中心と予め認識している該ロボットハンドの中心との水平方向の位置関係を算出し、この位置関係に基づいて、被加工物の中心と該搬送パッドの中心とが一致するように該ロボットハンドの水平方向における位置を調整することにより、被加工物の中心と該搬送パッドの中心とが一致した状態で、被加工物を該搬送パッドに保持させてもよい。
【0009】
また、本加工装置では、被加工物は、結晶方位を示すマークとしてのノッチまたはオリエンテーションフラットを備えていてもよく、該保持面は、被加工物を転写した形状を有し、該マークに対応したマーク対応部を備えていてもよい。この場合、本加工装置は、該撮像手段による撮像によって得られた該撮像画から該マークの位置を認識するマーク認識手段と、該保持面の中心を軸に該チャックテーブルを回転させる回転手段と、 該保持面の該マーク対応部と、該搬送手段によって保持されている被加工物の該マークとを一致させるように、該回転手段を制御する、マーク位置合わせ制御手段と、をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本加工装置では、制御手段が、中心座標認識手段により認識された被加工物の中心座標に基づいて、搬送手段を制御して、搬送手段によって保持されている被加工物の中心と、チャックテーブルの保持面の中心とが一致するように、保持面に被加工物を保持させている。このように、本加工装置では、仮置きテーブルを用いることなく、保持面に被加工物を適切に保持させることができる。したがって、仮置きテーブルを用いない分だけ、被加工物を持ち替える回数を減らせるので、被加工物にゴミが付着して汚染されたり、被加工物が破損したりするリスクを少なくすることができる。さらに、被加工物をカセットから取り出して保持面に載置するまでの時間を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態にかかる研削装置の構成を示す斜視図である。
図2】加工前のウェーハが収容される第1のカセットを示す正面図である。
図3】ロボットハンドに保持されているウェーハを撮像する様子を示す説明図である。
図4】撮像エリアを示す説明図である。
図5】チャックテーブル上に搬送されたウェーハを示す説明図である。
図6】ウェーハの中心とチャックテーブルの保持面の中心とが一致している状態を示す説明図である。
図7】他の実施形態にかかる研削装置の構成を示す斜視図である。
図8】ロボットハンドに保持されているウェーハを撮像する様子を示す説明図である。
図9】撮像エリアを示す説明図である。
図10】ウェーハを保持しているロボットハンド上に搬送パッドが配置された状態を示す説明図である。
図11】ウェーハの中心と搬送パッドの中心とが一致している状態を示す説明図である。
図12】ウェーハがロボットハンドに保持されている状態を示す説明図である。
図13】ウェーハを保持しているロボットハンド上に搬送パッドが配置された状態を示す説明図である。
図14】ウェーハが搬送パッドに保持され、ロボットが退避した状態を示す説明図である。
図15】ウェーハが、搬送パッドによって保持面に搬送され、保持面によって保持されている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態1]
図1に示す本実施形態にかかる加工装置である研削装置1は、ウェーハ100に対して、搬入処理、研削処理、洗浄処理および搬出処理を含む一連の処理を実施するように構成されている。
【0013】
図1に示すウェーハ100は、被加工物の一例であり、たとえば、円形の半導体ウェーハである。ウェーハ100の表面101には、図示しないデバイスが形成されている。ウェーハ100の表面101は、図1においては下方を向いており、保護テープ103が貼着されることによって保護されている。ウェーハ100の裏面102は、研削処理が施される被研削面である。
【0014】
研削装置1は、略矩形の第1の装置ベース11、第1の装置ベース11の後方(+Y方向側)に連結された第2の装置ベース12、および、上方に延びるコラム13、を備えている。
【0015】
第1の装置ベース11の正面側(-Y方向側)には、第2のカセットステージ152が設けられている。第2のカセットステージ152には、加工後のウェーハ100が収容される第2のカセット154が載置されている。また、第2のカセットステージ152の+X側には、第2のカセットステージ152に隣接して、第1のカセットステージ151が取り付けられている。第1のカセットステージ151には、加工前のウェーハ100が収容される第1のカセット153が載置されている。
【0016】
図2に、第1のカセット153を、+Y方向から示す。図2に示すように、第1のカセット153は、+Y方向に向く開口511を有している。また、第1のカセット153は、その内部に、上下方向であるZ軸方向に所定の間隔をあけて配置された、複数の棚513を備えている。棚513は、第1のカセット153の側壁512の内面に形成されている。棚513は、その中央領域が円形状または矩形状に切り欠かれた平板から構成されている。したがって、各棚513は、1枚のウェーハ100を、その外周領域を支持した状態で収容する。また、第2のカセット154も、第1のカセット153と同様の構成を有している。
なお、図2に示す例では、ウェーハ100は、その裏面102が下を向くように、第1のカセット153に収容されている。
【0017】
また、図1に示すように、第1のカセット153および第2のカセット154の+Y方向側には、ロボット155が配設されている。
【0018】
ロボット155は、搬送手段の一例であり、第1のカセット153に収納されたウェーハ100を保持するロボットハンド156を装着している。ロボット155は、ロボットハンド156に保持されたウェーハ100を搬送する。ロボットハンド156は、ウェーハ100を吸着保持するための吸着面を備えている。
【0019】
また、ロボット155は、ロボットハンド156を駆動する駆動部157を有している。駆動部157は、ロボットハンド156の位置を制御(調整)する。詳細には、駆動部157は、上下移動手段158および水平移動手段159を備えている。上下移動手段158は、ロボットハンド156をZ軸方向に沿って上下方向に移動させる。水平移動手段159は、ロボットハンド156を水平方向に移動させる。
【0020】
ロボット155は、ロボットハンド156に保持された加工後のウェーハ100を、第2のカセット154に搬入する。また、ロボット155は、ロボットハンド156によって、第1のカセット153の棚513に収容されている加工前のウェーハ100を、裏面102を吸着するように保持し、第1のカセット153から取り出す。さらに、ロボット155は、ウェーハ100の裏面102が上向きとなるように、ロボットハンド156を反転させる。その後、ロボット155は、ウェーハ100を、ロボット155の+Y側に配置されているチャックテーブル30上に搬送する。そして、ロボット155は、チャックテーブル30の保持面32に、裏面102を上にして、ウェーハ100を載置する。
【0021】
第2の装置ベース12の上面側には、開口部14が設けられている。そして、開口部14内には、チャックテーブル30が配置されている。チャックテーブル30は、保持面32によってウェーハ100を保持するように構成されている。保持面32は、吸引源(図示せず)に連通されており、保護テープ103を介してウェーハ100を吸引保持する。チャックテーブル30は、回転手段としてのモータ34(図12参照)により、保持面32によってウェーハ100を保持した状態で、保持面32の中心を通るZ軸方向に延在する中心軸を中心として回転可能である。
【0022】
チャックテーブル30の周囲は、カバー39によって囲まれている。このカバー39には、Y軸方向に伸縮する蛇腹カバー40が連結されている。そして、カバー39および蛇腹カバー40の下方には、図示しないY軸方向移動手段が配設されている。チャックテーブル30は、このY軸方向移動手段によって、Y軸方向に往復移動することが可能となっている。
【0023】
本実施形態では、チャックテーブル30は、大まかにいえば、保持面32にウェーハ100を載置するための-Y方向側のウェーハ載置領域と、ウェーハ100が研削される+Y方向側の研削領域との間を移動する。
【0024】
第2の装置ベース12上の後方(+Y方向側)には、コラム13が立設されている。コラム13の前面には、ウェーハ100を研削する研削手段5、および、研削手段5を研削送り方向であるZ軸方向に移動させる研削送り手段2が設けられている。
【0025】
研削送り手段2は、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール21、このZ軸ガイドレール21上をスライドするZ軸移動テーブル23、Z軸ガイドレール21と平行なZ軸ボールネジ20、Z軸サーボモータ22、および、Z軸移動テーブル23の前面(表面)に取り付けられたホルダ24を備えている。ホルダ24は、研削手段5を保持している。
【0026】
Z軸移動テーブル23は、Z軸ガイドレール21にスライド可能に設置されている。図示しないナット部が、Z軸移動テーブル23の後面側(裏面側)に固定されている。このナット部には、Z軸ボールネジ20が螺合されている。Z軸サーボモータ22は、Z軸ボールネジ20の一端部に連結されている。
【0027】
研削送り手段2では、Z軸サーボモータ22がZ軸ボールネジ20を回転させることにより、Z軸移動テーブル23が、Z軸ガイドレール21に沿って、Z軸方向に移動する。これにより、Z軸移動テーブル23に取り付けられたホルダ24、および、ホルダ24に保持された研削手段5も、Z軸移動テーブル23とともにZ軸方向に移動する。
【0028】
研削手段5は、加工手段の一例であり、チャックテーブル30に保持されたウェーハ100を加工する。研削手段5は、ホルダ24に固定されたスピンドルハウジング51、スピンドルハウジング51に回転可能に保持されたスピンドル50、スピンドル50を回転駆動するモータ52、スピンドル50の下端に取り付けられたホイールマウント53、および、ホイールマウント53に支持された研削ホイール54を備えている。
【0029】
スピンドルハウジング51は、Z軸方向に延びるようにホルダ24に保持されている。スピンドル50は、チャックテーブル30の保持面32と直交するようにZ軸方向に延び、スピンドルハウジング51に回転可能に支持されている。
【0030】
モータ52は、スピンドル50の上端側に連結されている。このモータ52により、スピンドル50は、Z軸方向に延びる回転軸を中心として回転する。
【0031】
ホイールマウント53は、円板状に形成されており、スピンドル50の下端(先端)に固定されている。ホイールマウント53は、研削ホイール54を支持する。
【0032】
研削ホイール54は、ホイールマウント53と略同径を有するように形成されている。研削ホイール54は、ステンレス等の金属材料から形成された円環状のホイール基台(環状基台)540を含む。ホイール基台540の下面には、全周にわたって、環状に配置された複数の研削砥石541が固定されている。研削砥石541は、チャックテーブル30に保持されたウェーハ100の裏面102を研削する。
【0033】
チャックテーブル30に隣接する位置には、厚み測定器38が配設されている。厚み測定器38は、研削中に、ウェーハ100の厚みを、たとえば接触式にて測定することができる。
【0034】
研削後のウェーハ100は、ロボット155によって搬出される。すなわち、ロボット155は、チャックテーブル30に載置されている研削処理後のウェーハ100の裏面102を吸引保持し、チャックテーブル30から搬出して、枚葉式のスピンナ洗浄ユニット26のスピンナテーブル27に搬送する。
【0035】
スピンナ洗浄ユニット26は、スピンナ洗浄手段の一例である。スピンナ洗浄ユニット26は、ウェーハ100を保持するスピンナテーブル27、および、スピンナテーブル27に向けて洗浄水を噴射するノズル25を備えている。
【0036】
スピンナ洗浄ユニット26では、図示しない回転機構によって、スピンナテーブル27が高速回転される。それとともに、スピンナテーブル27に保持されているウェーハ100の裏面102に向けて洗浄水が噴射されて、ウェーハ100の裏面102がスピンナ洗浄される。その後、ウェーハ100に乾燥エアが吹き付けられて、ウェーハ100が乾燥される。
【0037】
スピンナ洗浄ユニット26によってウェーハ100が洗浄された後、ロボット155は、ロボットハンド156によって、スピンナテーブル27に保持されているウェーハ100を吸引保持し、スピンナ洗浄ユニット26から搬出して、第2のカセット154に搬入する。
【0038】
また、ロボット155の上方には、第1カメラ41が設置されている。第1カメラ41は、撮像手段の一例であり、ロボット155のロボットハンド156によって保持されているウェーハ100を撮像する。
【0039】
また、研削装置1は、研削装置1の各部材を制御する制御手段70を備えている。制御手段70は、上述した研削装置1の各部材を制御して、ウェーハ100に対して、作業者の所望する研削加工を実施する。また、制御手段70は、中心座標認識手段72を備えている。
【0040】
以下に、中心座標認識手段72の機能とともに、制御手段70によって制御される研削装置1の動作について説明する。
【0041】
本実施形態では、制御手段70は、ロボット155を制御して、ロボットハンド156によって、第1のカセット153に収容されているウェーハ100を、裏面102を吸着するように保持し、第1のカセット153から取り出す。その後、制御手段70は、第1カメラ41によって、図3に示すように、ロボットハンド156に保持されているウェーハ100を撮像する。
【0042】
図3に示すように、ロボットハンド156の中心202を通る直線302と、ロボットハンド156に保持されているウェーハ100の中心201を通る直線301とは、ずれていることがある。
ロボット155は、ウェーハ100を保持した後、ロボットハンド156の中心202を通る直線302上に第1カメラ41が配置されるように、水平移動手段159によってロボットハンド156が移動されるように構成されている。この状態で、第1カメラ41は、ロボットハンド156に保持されたウェーハ100を撮像する。これにより、図4に示すような撮像エリア110に対応する撮像画が取得される。
【0043】
そして、制御手段70の中心座標認識手段72が、第1カメラ41による撮像によって取得された撮像画に基づいて、ウェーハ100の中心201の座標である中心座標を認識する。
たとえば、中心座標認識手段72は、撮像画からウェーハ100の外周における3点の座標を取得し、これら3点の座標に基づいて、ウェーハ100の中心201の座標である中心座標を取得する。
【0044】
制御手段70は、撮像時におけるロボットハンド156の中心202の座標を、予め認識している。そして、制御手段70は、中心座標認識手段72によって取得されたウェーハ100の中心座標に基づいて、ロボットハンド156の中心202とウェーハ100の中心201との位置関係(ずれの量および方向)を算出する。
【0045】
その後、制御手段70は、ウェーハ100が下側に配置される(ウェーハ100の裏面102が上向きとなる)ように、ロボットハンド156を反転させる。そして、制御手段70は、中心座標認識手段72により認識されたウェーハ100の中心座標に基づいて、ロボット155を制御して、ロボットハンド156によって保持されているウェーハ100の中心201と、チャックテーブル30の保持面32の中心とが一致するように、保持面32にウェーハ100を保持させる。
【0046】
すなわち、研削装置1では、ウェーハ100を保持しているロボットハンド156は、初期設定において、図5に示すように、その中心202を通る直線302と、チャックテーブル30の保持面32の中心203を通る直線303とが一致するように、チャックテーブル30に向けて移動するように構成されている。
【0047】
このようにロボットハンド156が移動された後、制御手段70は、上記のように算出したロボットハンド156の中心202とウェーハ100の中心201との位置関係(ずれの量および方向)に基づいてロボット155の水平移動手段159を制御して、図6に示すように、ウェーハ100の中心201を通る直線301と、保持面32の中心203を通る直線303とが一致するように、ロボットハンド156の水平方向における位置を、僅かに調整する。この図に示す例では、制御手段70は、ロボットハンド156を、矢印120の方向に僅かにずらす。
【0048】
その後、制御手段70は、ロボット155の上下移動手段158を制御して、ロボットハンド156を降下させて、ウェーハ100を保持面32に受け渡し、保持させる。これにより、ウェーハ100の中心201と、チャックテーブル30の保持面32の中心203とが一致した状態で、保持面32によってウェーハ100を保持することができる。
【0049】
以上のように、本実施形態では、制御手段70が、中心座標認識手段72により認識されたウェーハ100の中心座標に基づいて、ロボット155を制御して、ロボット155によって保持されているウェーハ100の中心201と、チャックテーブル30の保持面32の中心203とが一致するように、保持面32にウェーハ100を保持させている。このように、本実施形態では、仮置きテーブルを用いることなく、保持面32にウェーハ100を適切に保持させることができる。したがって、仮置きテーブルを用いない分だけ、ウェーハ100を持ち替える回数を減らせるので、ウェーハ100にゴミが付着して汚染されたりウェーハ100が破損したりするリスクを少なくすることができるとともに、ウェーハ100を第1のカセット153から取り出して保持面32に載置するまでの時間を低減することが可能となる。
なお、ロボットハンド156を撮像する第1カメラ41は、ロボットハンド156の上に配置されていてもよいし、下に配置されていてもよい。
【0050】
[実施形態2]
図7に示すように、本実施形態にかかる加工装置である研削装置10は、図1に示した研削装置1の構成において、搬入機構60および搬出機構65をさらに有しているとともに、第1カメラ41に代えて第2カメラ42を備えている。
なお、第1カメラ41と、第2カメラ42との両方を備えていてもよい。
なお、第1カメラ41は、スピンナテーブル27からロボットハンド156が受け取ったウェーハ100の中心と、ロボットハンド156の中心との位置関係を認識するのに用いて、カセットにウェーハ100を収納できないくらいウェーハ100がずれていたら作業者に通知するようにしてもよい。
また、研削装置10では、制御手段70が、中心座標認識手段72に加えて、マーク認識手段73およびマーク位置合わせ制御手段74を備えている。
【0051】
搬入機構60は、ロボット155とともに搬送手段を構成する。搬入機構60は、ロボットハンド156に保持されたウェーハ100を受け取り、チャックテーブル30の保持面32に搬入する。
搬入機構60は、搬送パッド61、および、搬送パッド61を水平方向および上下方向に移動させる移動手段62を有している。搬入機構60は、ロボット155に保持されているウェーハ100を、搬送パッド61によって吸引保持して、チャックテーブル30に搬送し、その保持面32に、裏面102を上にして載置する。
【0052】
また、研削装置10では、研削後のウェーハ100は、搬出機構65によって、チャックテーブル30の保持面32から搬出される。搬出機構65は、搬出パッド66、および、搬出パッド66を水平方向および上下方向に移動させる移動手段67を有している。搬出機構65は、保持面32に載置されている研削処理後のウェーハ100の裏面102を、搬出パッド66によって吸引保持し、チャックテーブル30から搬出して、枚葉式のスピンナ洗浄ユニット26のスピンナテーブル27に搬送する。
【0053】
第2カメラ42は、ロボット155と搬入機構60との間の上方に、支持柱43を介して配置されている。第2カメラ42は、撮像手段の一例であり、ロボット155によって保持されているウェーハ100を撮像する。
以下に、マーク認識手段73およびマーク位置合わせ制御手段74の機能とともに、制御手段70によって制御される研削装置10の動作について説明する。
【0054】
本実施形態では、ウェーハ100は、たとえば表面101が下を向くように、第1のカセット153(図2参照)に収容されている。制御手段70は、ロボット155を制御して、ロボットハンド156によって、第1のカセット153の棚513に収容されている加工前のウェーハ100を、表面101を吸着するように保持し、第1のカセット153から取り出す。その後、制御手段70は、第2カメラ42によって、図8に示すように、ロボットハンド156によって保持されているウェーハ100を撮像する。
【0055】
なお、本実施形態においても、図8に示すように、ロボットハンド156の中心202を通る直線302と、ロボットハンド156に保持されているウェーハ100の中心201を通る直線301とは、ずれていることがある。
ロボット155は、ウェーハ100を保持した後、ロボットハンド156の中心202を通る直線302上に第2カメラ42が配置されるように、水平移動手段159によってロボットハンド156が移動されるように構成されている。この状態で、第2カメラ42は、ロボットハンド156に保持されたウェーハ100を撮像する。これにより、図9に示すような撮像エリア111に対応する撮像画が取得される。
【0056】
そして、制御手段70の中心座標認識手段72が、第2カメラ42による撮像によって取得された撮像画に基づいて、ウェーハ100の中心201の座標である中心座標を、たとえば、実施形態1に示した方法と同様の方法により認識する。
【0057】
制御手段70は、撮像時におけるロボットハンド156の中心202の座標を、予め認識している。そして、制御手段70は、中心座標認識手段72によって取得されたウェーハ100の中心座標に基づいて、ロボットハンド156の中心202とウェーハ100の中心201との位置関係(ずれの量および方向)を算出する。
【0058】
その後、制御手段70は、中心座標認識手段72により認識されたウェーハ100の中心座標に基づいて、搬入機構60によって、保持面32の中心203とウェーハ100の中心201とが一致するように、保持面32にウェーハ100を保持させる。
【0059】
すなわち、まず、制御手段70は、搬入機構60の移動手段62を制御して、搬送パッド61を、ロボット155のロボットハンド156上に配置する。搬送パッド61は、図10に示すように、ロボットハンド156の中心202を通る直線302と、搬入機構60の搬送パッド61の中心204を通る直線304とが一致するように、ロボット155上に配置されるように構成されている。
【0060】
このように搬送パッド61が配置された後、制御手段70は、上記のように算出したロボットハンド156の中心202とウェーハ100の中心201との位置関係(ずれの量および方向)に基づいてロボット155の水平移動手段159を制御して、図11に示すように、ウェーハ100の中心201を通る直線301と、搬送パッド61の中心204を通る直線304とが一致するように、ロボットハンド156の水平方向における位置を、僅かに調整する。この図に示す例では、制御手段70は、ロボットハンド156を、矢印121の方向に僅かにずらす。
【0061】
その後、制御手段70は、たとえば搬入機構60の移動手段62を制御して搬送パッド61を降下させて、ロボットハンド156上のウェーハ100を、搬送パッド61に受け渡して保持させる。これにより、ウェーハ100の中心201と、搬送パッド61の中心204とが一致した状態で、搬送パッド61によってウェーハ100を保持することができる。
【0062】
その後、制御手段70は、搬入機構60の移動手段62を制御して、ウェーハ100を保持している搬送パッド61を移動させ、チャックテーブル30の保持面32上に配置する。搬送パッド61は、搬送パッド61の中心204を通る直線304と、チャックテーブル30の保持面32の中心203を通る直線303(図6参照)とが一致するように、チャックテーブル30に向けて移動するように構成されている。
【0063】
したがって、制御手段70は、この状態で、搬入機構60の移動手段62を制御して、搬送パッド61を降下させて、ウェーハ100を保持面32に受け渡して保持させることにより、ウェーハ100の中心201と、チャックテーブル30の保持面32の中心203とが一致した状態で、保持面32によってウェーハ100を保持することができる。
【0064】
以上のように、本実施形態では、制御手段70が、中心座標認識手段72により認識されたウェーハ100の中心座標に基づいて、ロボット155から搬入機構60にウェーハ100を受け渡す。そして、制御手段70が、搬入機構60によって、保持面32の中心203とウェーハ100の中心201とが一致するように、保持面32にウェーハ100を保持させる。したがって、本実施形態でも、仮置きテーブルを用いることなく、保持面32にウェーハ100を適切に保持させることができる。したがって、ウェーハ100の汚染および破損のリスク、および、ウェーハ100を保持面32に保持させるまでにかかる時間を低減することができる。
【0065】
なお、ウェーハ100は、その結晶方位を示すマークとしてのノッチまたはオリエンテーションフラットを備えている場合もある。この場合、本実施形態では、保持面32によって、ウェーハ100を、そのマークに対応する向きに保持することができる。
【0066】
図12に示す例では、ロボット155のロボットハンド156によって保持されているウェーハ100に、ノッチ105が備えられている。また、チャックテーブル30の保持面32は、ウェーハ100を転写した形状を有しており、ノッチ105に対応する形状のマーク対応部33を備えている。
【0067】
この場合も、第2カメラ42により、図12に示すような撮像エリア111に対応する撮像画が取得され、制御手段70の中心座標認識手段72(図7参照)が、上記したようにウェーハ100の中心201の座標を取得する。さらに、制御手段70のマーク認識手段73が、撮像画に基づいて、ウェーハ100のノッチ105の位置(座標)を認識する。
【0068】
その後、図13に示すように、制御手段70は、上述した手法により、ウェーハ100の中心201と、搬送パッド61の中心204とが一致した状態で、搬送パッド61によってウェーハ100を保持する。さらに、制御手段70は、図14に示すように、ロボット155を退避させる。
【0069】
次に、制御手段70のマーク位置合わせ制御手段74(図7参照)が、マーク認識手段73によって認識されたノッチ105の位置に基づいて、保持面32のマーク対応部33と、搬送パッド61によって保持されているウェーハ100のノッチ105とを一致させるように、チャックテーブル30を回転させるモータ34を制御する。すなわち、マーク位置合わせ制御手段74は、搬送パッド61によって保持面32に搬送されたウェーハ100のノッチ105の位置に、保持面32のマーク対応部33が配置されるように、モータ34を制御して、チャックテーブル30を回転させる。
【0070】
これにより、制御手段70は、ウェーハ100の中心201と、チャックテーブル30の保持面32の中心203とが一致した状態であって、かつ、図15に示すように、ウェーハ100のノッチ105と保持面32のマーク対応部33とが一致した状態で、保持面32によってウェーハ100を保持することができる。
【0071】
なお、図1に示した研削装置1においても、制御手段70が、図7に示したマーク認識手段73およびマーク位置合わせ制御手段74を備えるとともに、保持面32がマーク対応部33を備えてもよい。そして、制御手段70が、ウェーハ100の中心201と、チャックテーブル30の保持面32の中心203とが一致した状態、かつ、ウェーハ100のノッチ105と保持面32のマーク対応部33とが一致した状態で、保持面32にウェーハ100を保持させてもよい。
【0072】
また、ウェーハ100が、ノッチ105に代えてオリエンテーションフラットを有している場合もある。この場合、チャックテーブル30の保持面32は、たとえば、ウェーハ100を保持する際、そのオリエンテーションフラットに対応する部分からの吸引を切断するように構成される。
すなわち、この構成では、保持面32におけるウェーハ100を吸引する部分が、ウェーハ100を転写した形状を有する。そして、保持面32における吸引が切断される部分が、オリエンテーションフラットに対応したマーク対応部となる。マーク位置合わせ制御手段74は、搬送パッド61によって保持面32に搬送されたウェーハ100のオリエンテーションフラットの位置に、保持面32における吸引が切断される部分が配置されるように、モータ34を制御して、チャックテーブル30を回転させる。
【0073】
また、実施形態1および2にかかる技術は、研削装置1および研削装置10に限らず、被加工物を搬送手段によってチャックテーブルに搬送する加工装置全般に対して、好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1:研削装置、10:研削装置、
151:第1のカセットステージ、153:第1のカセット、
155:ロボット、156:ロボットハンド、
157:駆動部、158:上下移動手段、159:水平移動手段、
60:搬入機構、61:搬送パッド、62:移動手段、
30:チャックテーブル、32:保持面、33:マーク対応部、34:モータ、
65:搬出機構、66:搬出パッド、67:移動手段、
70:制御手段、72:中心座標認識手段、
73:マーク認識手段、74:マーク位置合わせ制御手段、
41:第1カメラ、42:第2カメラ、110:撮像エリア、111:撮像エリア、
100:ウェーハ、101:表面、102:裏面、105:ノッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15