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特許7560452骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む成形品
(51)【国際特許分類】
   C01B 37/02 20060101AFI20240925BHJP
   B01J 29/035 20060101ALI20240925BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
C01B37/02
B01J29/035 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021519721
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2019077372
(87)【国際公開番号】W WO2020074586
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】18199428.6
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】パルフレスク,アンドレイ-ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】リュッツェル,ハンス-ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】リーデル,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】テレス,ジョアキム ヘンリケ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー,マルクス
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-531691(JP,A)
【文献】中国特許第1132699(CN,C)
【文献】特表2016-535718(JP,A)
【文献】特表2016-529190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 37/02
B01J 29/035
C07B 61/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格型MFIを有すると共に中空のTS-1を含むゼオライト材料を含む成形品であって、前記ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、そして前記骨格型MFIを有するゼオライト材料がタイプIVの吸着/脱着を示し、前記成形品がシリカバインダーをさらに含み、前記成形品が水銀圧入ポロシメトリーを介して決定して0.8mL/g~1.5mL/gの範囲の細孔容積を有し、
前記成形品において、前記骨格型MFIを有するゼオライト材料の、SiO として計算される前記シリカバインダーに対する質量比、MFI:SiO が、1:1~5:1の範囲であり、
前記骨格型MFIを有するゼオライト材料が、元素Tiとして計算されるTi含有量を、前記ゼオライト材料の質量に基づいて1.3~2.1質量%の範囲で有する、成形品。
【請求項2】
前記骨格型MFIを有するゼオライト材料が、TEMにより決定して、5.5オングストロームより大きい直径を有する中空の空隙を含む、請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
前記骨格型MFIを有するゼオライト材料の99~100質量%が、Ti、Si、O、およびHからなる、請求項1または2に記載の成形品。
【請求項4】
前記骨格型MFIを有するゼオライト材料が、元素Tiとして計算されるTi含有量を、前記ゼオライト材料の質量に基づいて1.5~1.9質量%の範囲で有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項5】
前記細孔容積が、0.9~1.4mL/gの範囲である、請求項1から4のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項6】
前記成形品において、前記骨格型MFIを有するゼオライト材料の、SiOとして計算される前記シリカバインダーに対する質量比、MFI:SiOが、1.5:1~4:1の範囲である、請求項1から5のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項7】
前記成形品の99~100質量%が、前記骨格型MFIを有するゼオライト材料と前記シリカバインダーとからなる、請求項1から6のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項8】
骨格型MFIを有すると共に中空のTS-1を含むゼオライト材料とシリカバインダーとを含む成形品を調製するための方法であって、
(i) シリカバインダー前駆体と骨格型MFIを有すると共に中空のTS-1を含むゼオライト材料とを含む混合物を提供することであって、前記ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、そして前記骨格型MFIを有するゼオライト材料がタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示す混合物を、提供すること、
(ii) (i)から得られた混合物を造形して前記成形品の前駆体を得ること、
(iii) (ii)から得られた成形品の前駆体と水とを含む混合物を調製し、そして前記混合物を水熱条件下における水処理に供して、水処理した前記成形品の前駆体を得ること、
(iv) 前記水処理した前記成形品の前記前駆体をガス雰囲気中でか焼して前記成形品を得ること
を含み、
前記成形品が水銀圧入ポロシメトリーを介して決定して0.8mL/g~1.5mL/gの範囲の細孔容積を有し、
前記成形品において、前記骨格型MFIを有するゼオライト材料の、SiO として計算される前記シリカバインダーに対する質量比、MFI:SiO が、1:1~5:1の範囲であり、
前記骨格型MFIを有するゼオライト材料が、元素Tiとして計算されるTi含有量を、前記ゼオライト材料の質量に基づいて1.3~2.1質量%の範囲で有する、
方法。
【請求項9】
前記シリカバインダー前駆体が、シリカゾル、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカ、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(i)により調製した混合物が1種以上の粘度変性剤および/またはメソ細孔形成剤をさらに含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
(ii)において、前記混合物をストランドに造形することを含む、請求項8から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
(ii)による造形が、前記成形品の前記前駆体をガス雰囲気中で乾燥させること、および乾燥させた前記成形品の前記前駆体をガス雰囲気中で、450~530℃の範囲の前記ガス雰囲気の温度でか焼することをさらに含む、請求項8から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
(iii)による水処理が、100~200℃の範囲の前記混合物の温度を含む、請求項8から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
吸着剤、吸収剤、触媒または触媒成分としての、異性化触媒としてのまたは異性化触媒成分としての、酸化触媒としてのまたは酸化触媒成分としての、アルドール縮合触媒としてのまたはアルドール縮合触媒成分としての、またはプリンズ反応触媒としてのまたはプリンズ反応触媒成分としての、請求項1から7のいずれか1項に記載の成形品の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨格型MFIを有するゼオライト材料含む成形品、その調製方法およびその使用方法に関するものであり、前記ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなる。
【背景技術】
【0002】
構造型MFIのチタン含有ゼオライト材料は、例えば、エポキシ化反応を含む効率的な触媒であることが知られている。典型的には連続モードで行われる工業規模のプロセスでは、このゼオライト材料は通常、触媒活性のあるゼオライト材料に加えて、好適なバインダーを含む成形品の形で採用される。
【0003】
M.Liuらは、「Green and efficient preparation of hollow titanium silicalite-1 by using recycled mother liquid」において、合成の後処理にリサイクルした母液を使用することによる、中空チタンシリカライト-1(中空のTS-1、HTS-1)の調製を開示している。これに関して、チタンシリカライト-1の出発材料が異なる塩基で水熱的に処理され、材料中に中空の空隙が形成された。得られた中空のTS-1は、プロピレンのエポキシ化において、出発材料よりも良好な触媒活性を示した。
【0004】
J.Xuらは、「Effect of triethylamine treatment of titanium silicalite-1 on propylene epoxidation」,Frontiers of Chemical Science and Engineeringにおいて、異なる条件下、トリエチルアミン溶液で処理したチタンシリカライト-1を開示している。TS-1の結晶中には、骨格シリコンが無作為に溶解していることにより、不規則な中空が多数生じていることが示されている。改変されたTS-1の試料は、固定床反応器でプロピレンのエポキシ化に使用した場合、程度の差こそあれ、触媒寿命の改善を示した。
【0005】
M.Liuらは、「Highly Selective Epoxidation of Propylene in a Low-Pressure Continuous Slurry Reactor and the Regeneration of Catalyst」において、中空構造を有するミクロンサイズのTS-1触媒を使用した、過酸化水素によるプロピレンのプロピレンオキシドへのエポキシ化を開示している。
【0006】
CN108250161Aは、チタンシリカライトを触媒として使用するアリルアルコールの酸化方法に関するものである。チタンシリカライトは、少なくとも部分的に改変されたチタンシリカライトであり、改変処理は、原材料としてのチタンシリコン分子篩を、硝酸と過酸化物とを含む液体と接触させることを含む。
【0007】
CN103708493Aは、骨格構造MFIを有するチタンシリコン分子篩およびその調製方法に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】CN108250161A
【文献】CN103708493A
【非特許文献】
【0009】
【文献】M.Liuら、「Green and efficient preparation of hollow titanium silicalite-1 by using recycled mother liquid」
【文献】J.Xuら、「Effect of triethylamine treatment of titanium silicalite-1 on propylene epoxidation」,Frontiers of Chemical Science and Engineering
【文献】M.Liuら、「Highly Selective Epoxidation of Propylene in a Low-Pressure Continuous Slurry Reactor and the Regeneration of Catalyst」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む新規成形品、特に中空のTS-1ゼオライトを含む新規成形品であって、触媒または触媒成分として、特にプロペンからプロピレンオキシドへのエポキシ化反応において使用するときに、有利な特性、特に改善されたプロピレンオキシド選択性を有する、新規成形品を提供することである。本発明のさらなる目的は、そのような成形品を調製するための方法を提供することであり、特に、好ましくは触媒または触媒成分として、具体的には酸化またはエポキシ化反応において使用するときに、有利な特性を有する成形品が得られる方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、過酸化水素を酸化剤とするプロペンのエポキシ化のための改善された方法であって、エポキシ化反応の副生成物および副産物に関して非常に低い選択性を示すと同時に、非常に高いプロピレン選択性を可能にする方法を提供することである。
【0011】
驚くべきことに、前記有利な特性を示すそのような成形品は、中空のTS-1ゼオライトを含む所与の成形品を特定の後処理に供し、その結果として、とりわけ、本明細書に記載のように水銀圧入ポロシメトリーにより決定される特定の最小細孔容積を示す成形品を得た場合、提供できることが分かった。特に、驚くべきことに、プロペンからプロピレンオキシドへのエポキシ化反応における触媒として使用する場合、そしてHTS-1またはTS-1を含む先行技術の成形品と比較した場合、プロピレンオキシドの選択性および収率の著しい向上を示し、且つ優れた寿命特性をさらに示す成形品を提供できることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って本発明は、骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む成形品に関するものであり、ここでこのゼオライト材料の98~100質量%はTi、Si、O、およびHからなり、そして骨格型MFIを有するゼオライト材料は参照実施例1に記載のように決定してタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示し、成形品はシリカバインダーをさらに含み、成形品は参照実施例2に記載のようにHgポロシメトリーにより決定して少なくとも0.8mL/gの細孔容積を有する。
【0013】
さらに、本発明は、骨格型MFIを有するゼオライト材料とシリカバインダーとを含む成形品、好ましくは上記の成形品を調製するための方法に関するものであり、この方法は、
(i) シリカバインダー前駆体と骨格型MFIを有するゼオライト材料とを含む混合物を提供することであって、ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、そして骨格型MFIを有するゼオライト材料が参照実施例1に記載のように決定してタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示す混合物を、提供すること、
(ii) (i)から得られた混合物を造形して(shaping)成形品の前駆体を得ること、
(iii) (ii)から得られた成形品の前駆体と水とを含む混合物を調製し、そして混合物を水熱条件下における水処理に供して、水処理した成形品の前駆体を得ること、
(iv) 水処理した成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼して成形品を得ること
を含む。
【0014】
さらになお、本発明は、上記の方法によって得ることができる、または得られる、成形品、好ましくは上記の成形品に関するものである。
【0015】
さらになお、本発明は、吸着剤、吸収剤、触媒または触媒成分としての、好ましくは触媒としてのまたは触媒成分としての、前記成形品の使用方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施例1.2による本発明の成形品の触媒性能(実線)を、比較例3の成形品(点線)に対して示す。
図2図2は、実施例1.2による本発明の成形品の触媒性能(実線)を、比較例3の成形品(点線)に対して示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例3に記載のTEMにより決定して、5.5オングストロームより大きい、好ましくは5.5オングストロームより大きくゼオライト材料の結晶子のサイズよりも小さい範囲の直径を有する中空の空隙を含むことが好ましい。
【0018】
骨格型MFIを有するゼオライト材料の99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Ti、Si、O、およびHからなることが好ましい。
【0019】
骨格型MFIを有するゼオライト材料は、NaOとして計算されるナトリウム含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて0~0.1質量%の範囲、より好ましくは0~0.07質量%の範囲、より好ましくは0~0.05質量%の範囲で有することが好ましい。骨格型MFIを有するゼオライト材料が、Feとして計算される鉄含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて0~0.1質量%の範囲、より好ましくは0~0.07質量%の範囲、より好ましくは0~0.05質量%の範囲で有することも好ましい。
【0020】
典型的には、本発明の成形品に含まれるゼオライト材料は、粉末であって、その粒度分布に関して、例えば、所望の粒度分布をもたらす特定の合成プロセスによって、または所与のゼオライト材料を粉砕することによって、またはゼオライト材料を含む懸濁液を噴霧乾燥することによって、またはゼオライト材料を含む懸濁液を噴霧造粒することによって、またはゼオライト材料を含む懸濁液をフラッシュ乾燥することによって、またはゼオライト材料を含む懸濁液をマイクロ波乾燥することによって調製することができる粉末の形態である。
【0021】
骨格型MFIを有するゼオライト材料は、好ましくは、参照実施例5に記載のように決定して、80~200マイクロメートルの範囲、より好ましくは90~175マイクロメートルの範囲、より好ましくは100~150マイクロメートルの範囲の、Dv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有していてよい。さらに、骨格型MFIを有するゼオライト材料は、好ましくは、参照実施例5に記載のように決定して、30~75マイクロメートルの範囲、より好ましくは35~65マイクロメートルの範囲、より好ましくは40~55マイクロメートルの範囲の、Dv50値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有していてよい。さらに、骨格型MFIを有するゼオライト材料は、好ましくは、参照実施例5に記載のように決定して、1~25マイクロメートルの範囲、好ましくは3~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~15マイクロメートルの範囲の、Dv10値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有していてよい。
【0022】
骨格型MFIを有するゼオライト材料のTi含有量に関して、特定の制限は存在しない。骨格型MFIを有するゼオライト材料は、元素Tiとして計算されるTi含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて1.3~2.1質量%の範囲、より好ましくは1.5~1.9質量%の範囲、より好ましくは1.6~1.8質量%の範囲で有することが好ましい。
【0023】
骨格型MFIを有するゼオライト材料は、参照実施例9に記載のように決定され、-108~-120ppmの範囲に主な共鳴を有し、そしてより好ましくは-95~-107ppmの範囲に小さな共鳴を有する、29Si固体NMRスペクトルを示すことが好ましい。
【0024】
少なくとも0.8mL/gである成形品の全細孔容積について、これが0.8~1.5mL/gの範囲、より好ましくは0.9~1.4mL/gの範囲、より好ましくは1.0~1.3mL/gの範囲であることが好ましい。
【0025】
さらに、成形品の造形形状に関して、特に制限は適用されない。成形品はストランドの形態であることが好ましく、より好ましくはストランドは六角形の、長方形の、二次曲線の(quadratic)、三角形の、楕円形の、または円形の断面、より好ましくは円形の断面を有する。好ましくは、断面は0.1~10mmの範囲、より好ましくは0.2~7mmの範囲、より好ましくは0.5~5mmの範囲、より好ましくは1~3mmの範囲、より好ましくは1.5~2mmの範囲、より好ましくは1.6~1.8mmの範囲の直径を有する。
【0026】
成形品は、参照実施例4に記載のように決定して、少なくとも4N、より好ましくは4~20Nの範囲、より好ましくは6~15Nの範囲、より好ましくは8~10Nの範囲の硬度を示すことが好ましい。
【0027】
成形品中の、骨格型MFIを有するゼオライト材料の、シリカバインダーに対する質量比に関して、特に制限は存在しない。骨格型MFIを有するゼオライト材料の、SiOとして計算されるシリカバインダーに対する質量比、MFI:SiOが、0.5:1~10:1の範囲、より好ましくは1:1~5:1の範囲、より好ましくは1.5:1~4:1の範囲、より好ましくは2:1~3:1の範囲であることが好ましい。
【0028】
一般に、本発明の成形品は、ゼオライト材料およびシリカバインダーに加えて、1種以上のさらなる成分、例えば、骨格型MFIを有するゼオライト材料以外の1種以上のゼオライト材料、および/または、シリカバインダー以外の1種以上のバインダー、例えば、アルミナバインダー、ジルコニウムバインダー、セリアバインダー、チタニアバインダーなどを含んでもよい。成形品の99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、骨格型MFIを有するゼオライト材料とシリカバインダーとからなることが好ましい。
【0029】
成形品が、参照実施例6に記載のように決定して、300~400m/gの範囲、より好ましくは325~365m/gの範囲、より好ましくは340~350m/gの範囲のBET比表面積を有することが好ましい。
【0030】
成形品の50~100質量%、より好ましくは60~100質量%が結晶の形態で存在することが好ましい。
【0031】
特に、本明細書に開示する成形品は、具体的には参照実施例10に記載の、プロピレンの触媒によるエポキシ化に使用すると、特定の特性を示す。成形品が、参照実施例10に記載のように決定して、0.012~0.030バール(abs)/minの範囲、より好ましくは0.015~0.025バール(abs)/minの範囲、より好ましくは0.016~0.020バール(abs)/minの範囲の圧力低下率を示すことが好ましい。さらに、成形品が、参照実施例10に記載のように決定して、少なくとも4.5質量%、より好ましくは4.5~7質量%の範囲、より好ましくは5~6質量%の範囲のプロピレンオキシド活性を示すことが好ましい。
【0032】
さらに、成形品は、具体的には参照実施例11に記載の、プロピレンの触媒によるエポキシ化に使用すると、特定の特性を示す。成形品が、参照実施例11に記載のように連続エポキシ化反応において決定して、96~100%の範囲、好ましくは96.5~100%の範囲、より好ましくは97~100%の範囲の、プロピレンに対するプロピレンオキシド選択性を示すことが好ましい。これに関して、成形品は、過酸化水素転化率が85~95%の範囲、より好ましくは87~93%の範囲、より好ましくは88~92%の範囲で前記選択性を示すことが好ましく、より好ましくは、前記選択性は、200時間のタイムオンストリームで、好ましくは200および300時間のタイムオンストリームで、より好ましくは、200、300および400時間のタイムオンストリームで、より好ましくは、200、300、400および500時間のタイムオンストリームで、より好ましくは、200、300、400、500および600時間のタイムオンストリームで、より好ましくは、200、300、400、500、600および700時間のタイムオンストリームで決定され、ここで、「タイムオンストリーム」という用語は、触媒を再生しない連続エポキシ化反応の継続時間を指す。
【0033】
さらに、本発明は、骨格型MFIを有するゼオライト材料とシリカバインダーとを含む成形品、好ましくは本明細書に開示する成形品を調製するための方法に関するものであり、この方法は、
(i) シリカバインダー前駆体と骨格型MFIを有するゼオライト材料とを含む混合物を提供することであって、ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、そして骨格型MFIを有するゼオライト材料が参照実施例1に記載のように決定してタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示す混合物を、提供すること、
(ii) (i)から得られた混合物を造形して成形品の前駆体を得ること、
(iii) (ii)から得られた成形品の前駆体と水とを含む混合物を調製し、そして混合物を水熱条件下における水処理に供して、水処理した成形品の前駆体を得ること、
(iv) 水処理した成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼して成形品を得ること
を含む。
【0034】
骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例3に記載のTEMにより決定して、5.5オングストロームより大きい、より好ましくは5.5オングストロームより大きくゼオライト材料の結晶子のサイズよりも小さい範囲の直径を有する中空の空隙を含むことが好ましい。
【0035】
(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料の調製に関して、特定の制限は存在しない。(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料を調製するための好ましい方法は、以下の工程を含んでよい:
(a) 骨格型MFIを有するゼオライト材料を提供する工程であって、ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、骨格型MFIを有するゼオライト材料が参照実施例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示す、提供する工程、
(b) (i)で提供されたゼオライト材料と、ゼオライト骨格型MFI構造指示剤とを含む、水性混合物を調製する工程、
(c) 工程(b)から得られた混合物を、自己圧力下、好ましくはオートクレーブで水熱条件に供し、(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料の前駆体を含む懸濁液を得て、懸濁液から前記前駆体を分離する工程、
(d) 任意に、前駆体をガス雰囲気中でか焼する工程、
(e) 工程(c)または(d)から得られた前駆体を酸処理に供し、そして好ましくは酸処理した前駆体をガス雰囲気中で乾燥させる工程、
(f) 酸処理した前駆体をか焼し、(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料を得る工程。
【0036】
好ましくは、工程(a)によるゼオライト骨格型MFI構造指示剤は、テトラアルキルアンモニウム塩、好ましくはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを含む。工程(b)による混合物において、ゼオライト骨格型MFI構造指示剤の、(i)で提供されるゼオライト材料に対する質量比、SDA:MFIは、1:4~3:1の範囲、より好ましくは1:2~1.5:1の範囲、より好ましくは0.8:1~0.9:1の範囲である。好ましくは、工程(c)による水熱条件は、150~190℃の範囲、より好ましくは160~180℃の範囲、より好ましくは165~175℃の範囲の混合物の温度を含む。工程(b)から得られた混合物を工程(c)により水熱条件に供することは、好ましくは、5~50時間、好ましくは10~30時間、より好ましくは20~25時間行ってよい。好ましくは、工程(c)による分離は、懸濁液を濾過または遠心分離に供することを含み、より好ましくは、分離は、骨格型MFIを有するゼオライト材料を液体溶媒系で少なくとも1回洗浄することをさらに含み、液体溶媒系は、好ましくは、水、アルコール、およびそれらの2種以上の混合物のうちの1種以上、より好ましくは水を含む。好ましくは、工程(c)による分離は、前駆体、好ましくは洗浄された前駆体を、ガス雰囲気中で乾燥させることをさらに含む。好ましくは、乾燥は、40~80℃の範囲、より好ましくは50~70℃の範囲、より好ましくは55~65℃の範囲のガス雰囲気の温度で行う。好ましくは、ガス雰囲気は、窒素、酸素、またはそれらの混合物を含み、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気、または希薄空気である。実施する場合、工程(d)による前駆体のか焼は、好ましくは、450~550℃の範囲、より好ましくは475~525℃の範囲、より好ましくは490~510℃の範囲のガス雰囲気の温度で実施する。好ましくは、ガス雰囲気は、窒素、酸素、またはそれらの混合物を含み、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気、または希薄空気である。
【0037】
好ましくは、工程(e)による酸処理は、工程(c)または(d)から得られた前駆体と酸との水性混合物を調製し、それぞれ得られた混合物を加熱することを含む。酸の化学的性質に関して、特定の制限は存在しない。好ましくは、酸は、1種以上の硝酸、硫酸、および酢酸であり、より好ましくは、ニトリル酸である。この水性混合物において、酸の、工程(c)または(d)から得られた前駆体に対する質量比は、好ましくは1:2~5:1の範囲、好ましくは1:1~3:1の範囲、より好ましくは1.5:1~2.5:1の範囲である。好ましくは、水性混合物は、還流下で、好ましくは、例えば、0.5~1.5時間、より好ましくは、0.75~1.25時間加熱する。工程(d)により、酸処理した前駆体をガス雰囲気中で乾燥させる場合、乾燥は、好ましくは、100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行う。好ましくは、乾燥に使用するガス雰囲気は、窒素、酸素、またはそれらの混合物を含み、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気、または希薄空気である。好ましくは、乾燥は2~6時間、より好ましくは3~5時間行ってよい。工程(f)によれば、か焼は、好ましくは、450~550℃の範囲、より好ましくは475~525℃の範囲、より好ましくは490~520℃の範囲のガス雰囲気の温度で行う。か焼は、好ましくは、3~10時間、より好ましくは5~8時間行ってよい。好ましくは、か焼に使用するガス雰囲気は、窒素、酸素、またはそれらの混合物を含み、ガス雰囲気は、より好ましくは、酸素、空気、または希薄空気である。
【0038】
本発明はまた、骨格型MFIを有するゼオライト材料であって、ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、そして骨格型MFIを有するゼオライト材料が参照実施例1に記載のように決定してタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示し、工程(a)~(f)を含む、好ましくは工程(a)~(f)からなる方法によって得ることができるまたは得られる、ゼオライト材料に関するものでもある。
【0039】
従って、本発明は、上記の成形品を調製するための方法に関するものでもあり、前記方法は、骨格型MFIを有するゼオライト材料を調製するための方法を含み、このゼオライト材料の98~100質量%はTi、Si、O、およびHからなり、そして骨格型MFIを有するゼオライト材料は参照実施例1に記載のように決定してタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示し、該方法は、以下の工程、
(a) 骨格型MFIを有するゼオライト材料を提供する工程であって、ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、骨格型MFIを有するゼオライト材料が参照実施例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示す、提供する工程、
(b) (i)で提供されたゼオライト材料と、ゼオライト骨格型MFI構造指示剤とを含む、水性混合物を調製する工程、
(c) 工程(b)から得られた混合物を、自己圧力下、好ましくはオートクレーブで水熱条件に供し、(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料の前駆体を含む懸濁液を得て、懸濁液から前記前駆体を分離する工程、
(d) 任意に、前駆体をガス雰囲気中でか焼する工程、
(e) 工程(c)または(d)から得られた前駆体を酸処理に供し、そして好ましくは酸処理した前駆体を乾燥させる工程、
(f) 酸処理した前駆体をか焼し、(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料を得る工程
を含み、前記方法はさらに、
(i) シリカバインダー前駆体と、工程(f)から得られたゼオライト材料、または工程(a)~(c)を含む方法により得ることができるまたは得られるゼオライト材料とを含む混合物を調製すること、
(ii) (i)から得られた混合物を造形して成形品の前駆体を得ること、
(iii) (ii)から得られた成形品の前駆体と水とを含む混合物を調製し、そして混合物を水熱条件下における水処理に供して、水処理した成形品の前駆体を得ること、
(iv) 水処理した成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼して成形品を得ること
を含む。
【0040】
上記のように、(i)で提供される混合物に含まれる骨格型MFIを有するゼオライト材料の98~100質量%は、Ti、Si、O、およびHからなる。よってゼオライト材料は一般的に、元素周期系の1種以上のさらなる元素を含んでよい。骨格型MFIを有するゼオライト材料の99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Ti、Si、O、およびHからなることが好ましい。
【0041】
(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料は、NaOとして計算されるナトリウム含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて0~0.1質量%の範囲、より好ましくは0~0.07質量%の範囲、より好ましくは0~0.05質量%の範囲で有することが好ましい。骨格型MFIを有するゼオライト材料が、Feとして計算される鉄含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて0~0.1質量%の範囲、より好ましくは0~0.07質量%の範囲、より好ましくは0~0.05質量%の範囲で有することが好ましい。
【0042】
典型的には、(i)によるゼオライト材料は、粉末であって、その粒度分布に関して、例えば、所望の粒度分布をもたらす特定の合成プロセスによって、または所与のゼオライト材料を粉砕することによって、またはゼオライト材料を含む懸濁液を噴霧乾燥することによって、またはゼオライト材料を含む懸濁液を噴霧造粒することによって、またはゼオライト材料を含む懸濁液をフラッシュ乾燥することによって、またはゼオライト材料を含む懸濁液をマイクロ波乾燥することによって調製することができる粉末の形態である。
【0043】
(i)によるゼオライト材料は、好ましくは、参照実施例5に記載のように決定して、80~200マイクロメートルの範囲、より好ましくは90~175マイクロメートルの範囲、より好ましくは100~150マイクロメートルの範囲の、Dv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有していてよい。さらに、骨格型MFIを有するゼオライト材料は、好ましくは、参照実施例5に記載のように決定して、30~75マイクロメートルの範囲、より好ましくは35~65マイクロメートルの範囲、より好ましくは40~55マイクロメートルの範囲の、Dv50値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有していてよい。さらに、骨格型MFIを有するゼオライト材料は、好ましくは、参照実施例5に記載のように決定して、1~25マイクロメートルの範囲、好ましくは3~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~15マイクロメートルの範囲の、Dv10値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有していてよい。
【0044】
(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料のTi含有量に関して、特定の制限は存在しない。骨格型MFIを有するゼオライト材料は、元素Tiとして計算されるTi含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて1.3~2.1質量%の範囲、より好ましくは1.5~1.9質量%の範囲、より好ましくは1.6~1.8質量%の範囲で有することが好ましい。
【0045】
(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例9に記載のように決定され、-108~-120ppmの範囲に主な共鳴を有し、そしてより好ましくは-95~-107ppmの範囲に小さな共鳴を有する、29Si固体NMRスペクトルを示すことが好ましい。
【0046】
好ましくは、(i)によるゼオライト材料は、参照実施例6に記載のように決定して、少なくとも300m/g、より好ましくは350~500m/gの範囲、好ましくは375~450m/gの範囲、より好ましくは390~410m/gの範囲のBET比表面積を有する。
【0047】
シリカバインダー前駆体は、シリカゾル、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカ、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、シリカバインダー前駆体は、より好ましくはコロイダルシリカである。この文脈において、コロイダルシリカ、およびいわゆる「湿式法」シリカ、およびいわゆる「乾式法」シリカの両方を使用することができる。コロイダルシリカは、好ましくはアルカリ性溶液および/またはアンモニア性溶液として、より好ましくはアンモニア性溶液として市販されており、とりわけ、例えばLudox(登録商標)、Syton(登録商標)、Nalco(登録商標)またはSnowtex(登録商標)として入手可能である。「湿式法」シリカは市販されており、とりわけ、例えばHi-Sil(登録商標)、Ultrasil(登録商標)、Vulcasil(登録商標)、Santocel(登録商標)、Valron-Estersil(登録商標)、Tokusil(登録商標)またはNipsil(登録商標)として入手可能である。「乾式法」シリカは市販されており、とりわけ、例えばAerosil(登録商標)、Reolosil(登録商標)、Cab-O-Sil(登録商標)、Fransil(登録商標)またはArcSilica(登録商標)として入手可能である。本発明によれば、コロイダルシリカのアンモニア性溶液が好ましい。
【0048】
(i)で提供される混合物の物理的または化学的性質に関して、特に制限は適用されない。(i)による混合物において、ゼオライト材料の、SiOとして計算されるシリカバインダー前駆体に含まれるSiに対する質量比が、0.5:1~10:1の範囲、より好ましくは1:1~5:1の範囲、より好ましくは1.5:1~4:1の範囲、より好ましくは2:1~3:1の範囲であることが好ましい。
【0049】
好ましくは、(i)において提供される混合物は、ゼオライト材料およびシリカバインダー前駆体に加えて、1種以上のさらなる成分を含む。より好ましくは、(i)による混合物は、1種以上の粘度変性剤、または1種以上の細孔形成剤、好ましくはより多くのメソ細孔形成剤、または1種以上の粘度変性剤および1種以上の細孔形成剤、好ましくはメソ細孔形成剤をさらに含む。
【0050】
1種以上の薬剤は、水、アルコール、有機ポリマー、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、ここで有機ポリマーは、より好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ここで有機ポリマーは、より好ましくは、セルロース誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ここで有機ポリマーは、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ここでより好ましくは、1種以上の薬剤は、水、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、およびポリスチレンを含む。より好ましくは、1種以上の薬剤は、水、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、およびポリスチレンからなる。
【0051】
(i)により調製した混合物が1種以上の粘度変性剤および/またはメソ細孔形成剤を含む場合、ゼオライト材料の、1種以上の薬剤、すなわちこれらのあらゆる薬剤に対する質量比は、好ましくは、1:1~5:1の範囲、好ましくは2.5:1~4:1の範囲、より好ましくは3:1~3.5:1の範囲である。
【0052】
(i)の混合物の提供、すなわち混合物を調製する方法に関して、特に制限は存在しない。各成分を好適に混合することによって、好ましくはニーダーまたは混合マラー(mix-muller)で混合することによって、混合物を調製することが好ましい。
【0053】
混合物の質量に応じて、混合または混練の時間を調整するべきである。単なる例示として、混合物を15~60分、好ましくは30~55分、より好ましくは40~50分、混合または混練してよい。
【0054】
(i)で得られた混合物を(ii)により造形することに関して、成形品の前駆体を得ることができる限り、特に制限は適用されない。よって、(i)から得られた混合物を任意の考えられる形態に造形することができる。(ii)において混合物をストランドに、より好ましくは円形断面を有するストランドに造形することが好ましい。
【0055】
混合物を(ii)により円形断面を有するストランドに造形する場合、円形断面の直径に関して、特に制限は適用されない。円形断面を有するストランドは、0.1~10mmの範囲、より好ましくは0.2~7mmの範囲、より好ましくは0.5~5mmの範囲、より好ましくは1~3mmの範囲、より好ましくは1.5~2mmの範囲、より好ましくは1.6~1.8mmの範囲の直径を有することが好ましい。
【0056】
(ii)の造形に関して特に制限はなく、任意の考えられる手段で造形を行ってよい。(ii)において、造形は混合物を押出すことを含むのが好ましい。
【0057】
好適な押出し装置は、例えば、「Ullmann’s Enzyklopaedie der Technischen Chemie」、第4版、第2巻、第295頁以降、1972年に記載されている。成形品の調製には、押出機の使用に加えて、押出プレスを使用することもできる。必要な場合、押出プロセス中に押出機を好適に冷却することができる。押出機のダイヘッドを介して押出機を離れたストランドは、機械的に好適なワイヤー、または連続していないガス流で切断することができる。
【0058】
(ii)の造形に関して特に制限はなく、(ii)がさらなる工程を含んでいてもよい。(ii)がガス雰囲気における成形品の前駆体の乾燥をさらに含むことが好ましい。
【0059】
成形品の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させる場合、乾燥条件に関して特に制限は適用されない。乾燥は、80~160℃の範囲、より好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行うことが好ましい。
【0060】
乾燥させる成形品の前駆体の質量に応じて、乾燥の継続時間を調整するべきである。単なる例示として、成形品の前駆体を例えばガス雰囲気中で2~6時間、好ましくは3~5時間、より好ましくは3.5~4.5時間乾燥させてよい。
【0061】
さらに、成形品の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させる場合、乾燥のためのガス雰囲気に関して特に制限は適用されない。ガス雰囲気は、窒素、酸素、またはそれらの混合物を含むことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素、空気、または希薄空気である。
【0062】
上記開示のように、(ii)の造形に関して特に制限は適用されず、(ii)はさらなる工程を含んでよい。(ii)が、ガス雰囲気中で成形品の前駆体、好ましくは乾燥させた成形品の前駆体を、か焼することをさらに含むのが好ましい。
【0063】
成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼する場合、か焼の条件に関して特に制限は適用されない。か焼を450~530℃の範囲、より好ましくは470~510℃の範囲、より好ましくは480~500℃の範囲のガス雰囲気の温度で行うことが好ましい。
【0064】
か焼する成形品の前駆体の質量に応じて、か焼の継続時間を調整するべきである。単なる例示として、成形品の前駆体を例えばガス雰囲気中で3~7時間、好ましくは4~6時間、より好ましくは4.5~5.5時間か焼してよい。
【0065】
さらに、成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼する場合、か焼のためのガス雰囲気に関して特に制限は適用されない。ガス雰囲気が窒素、酸素、またはそれらの混合物を含むことが好ましく、ガス雰囲気は、好ましくは酸素、空気、または希薄空気である。
【0066】
(iii)の水処理の条件に関して、水処理が水熱条件を含み、そして水処理した成形品の前駆体を得ることができる限り、特に制限は適用されず、任意の考えられる条件を適用してよい。(iii)による水処理は、100~200℃の範囲、より好ましくは125~175℃の範囲、より好ましくは130~160℃の範囲、より好ましくは135~155℃の範囲、より好ましくは140~150℃の範囲の混合物の温度を含むことが好ましい。
【0067】
上記開示のように、(iii)による水処理の条件に関して、特に制限は適用されない。(iii)による水処理は、自己圧力下で行うことが好ましい。(iii)による水処理をオートクレーブで行うことが特に好ましい。
【0068】
上記開示のように、(iii)による水処理の条件に関して、特に制限は適用されない。(iii)による水処理は、6~10時間、より好ましくは7~9時間、より好ましくは7.5~8.5時間行うことが好ましい。
【0069】
(iii)で調製した混合物の物理的または化学的性質に関して、特に制限は適用されない。(iii)で調製した混合物において、ゼオライト材料の水に対する質量比が、1:1~1:10の範囲、より好ましくは1:3~1:7の範囲、より好ましくは1:4~1:6の範囲であることが好ましい。
【0070】
本明細書に開示する(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含む方法に関して、2つの工程の間に特に行われ得るさらなる方法工程に関して、特に制限は適用されない。(iii)の後且つ(iv)の前に、水処理した成形品の前駆体を(iii)から得られた混合物から分離することが好ましく、分離は、好ましくは、(iii)から得られた混合物を濾過または遠心分離に供することを含み、より好ましくは、分離は、水処理した成形品の前駆体を液体溶媒系で少なくとも1回洗浄することをさらに含み、液体溶媒系は、好ましくは、水、アルコール、およびそれらの2種以上の混合物のうちの1種以上を含み、水処理した成形品の前駆体を、より好ましくは、水で洗浄する。
【0071】
上記開示のように、本工程はさらなる工程を含んでよい。(iii)の後且つ(iv)の前に、水処理した成形品の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることが好ましく、ここで、水処理した成形品の前駆体は、上記に従い好ましくは分離する。乾燥については、乾燥条件に関して特に制限は適用されない。乾燥は、80~160℃の範囲、より好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行うことが好ましい。
【0072】
乾燥させる水処理した成形品の前駆体の質量に応じて、乾燥の継続時間を調整するべきである。単なる例示として、成形品の前駆体を例えばガス雰囲気中で2~6時間、好ましくは3~5時間、より好ましくは3.5~4.5時間乾燥させてよい
さらに、水処理した成形品の前駆体、または分離された水処理した成形品の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させる場合、乾燥のためのガス雰囲気に関して特に制限は適用されない。ガス雰囲気が窒素、酸素、またはそれらの混合物を含むことが好ましく、ガス雰囲気は、好ましくは酸素、空気、または希薄空気である。
【0073】
(iv)におけるか焼の条件に関して、特に制限は適用されない。(iv)におけるか焼を、400~490℃の範囲、より好ましくは420~470℃の範囲、より好ましくは440~460℃の範囲のガス雰囲気の温度で行うことが好ましい。
【0074】
か焼する水処理した成形品の前駆体の質量に応じて、か焼の継続時間を調整するべきである。単なる例示として、成形品の前駆体を例えばガス雰囲気中で0.5~5時間、好ましくは1~3時間、より好ましくは1.5~2.5時間か焼してよい。
【0075】
さらに、か焼のためのガス雰囲気に関して特に制限は適用されない。(iv)によるガス雰囲気は、窒素、酸素、またはそれらの混合物を含むことが好ましく、ガス雰囲気は、好ましくは酸素、空気、または希薄空気である。
【0076】
か焼は、マッフル炉、ロータリーキルンおよび/またはベルト式か焼炉で行うことが特に好ましい。
【0077】
さらに、本発明は、骨格型MFIを有するゼオライト材料とシリカバインダーとを含む成形品であって、本明細書中上記に記載の方法によって得ることができるまたは得られる成形品に関する。
【0078】
さらに、本発明は、吸着剤、吸収剤、触媒または触媒成分としての、好ましくは触媒としてのまたは触媒成分としての、より好ましくはルイス酸触媒またはルイス酸触媒成分としての、異性化触媒としてのまたは異性化触媒成分としての、酸化触媒としてのまたは酸化触媒成分としての、アルドール縮合触媒としてのまたはアルドール縮合触媒成分としての、またはプリンズ反応触媒としてのまたはプリンズ反応触媒成分としての、より好ましくは酸化触媒としてのまたは酸化触媒成分としての、より好ましくはエポキシ化触媒としての、またはエポキシ化触媒成分としての、より好ましくはエポキシ化触媒としての、本明細書に開示する実施形態のいずれか1項に記載の成形品の使用方法に関するものである。
【0079】
本発明は、触媒または触媒成分としての、好ましくは溶媒としてのメタノール中で過酸化水素を酸化剤とする、プロペンからプロピレンオキシドを調製するための触媒成分としての、前記成形品の使用方法に関するものでもある。
【0080】
本発明によれば、過酸化水素を酸化剤として使用する場合、過酸化水素は、水素と酸素から、または他の好適な前駆体から、反応中にその場で形成されることが考えられる。より好ましくは、本発明の文脈で使用する「過酸化水素を酸化剤として使用する」という用語は、過酸化水素がその場で形成されないが、出発物質として、好ましくは溶液、好ましくは少なくとも部分的に水溶液、より好ましくは水溶液の形態で採用される実施形態に関するものであり、前記好ましくは水溶液は、溶液の総質量に基づいて、20~60質量%、より好ましくは25~55質量%の範囲の好ましい過酸化水素濃度を有する。
【0081】
上記に加えて、本発明は、本発明の成形品を触媒種として使用する、プロピレンオキシドの調製方法に関するものである。本方法によれば、本明細書に開示する成形品の存在下で、プロペンをメタノール溶液中で過酸化水素と反応させて、プロピレンオキシドを得る。本発明の連続エポキシ化プロセスが行われる少なくとも1つの反応器に導入される反応供給物(reaction feed)は、プロペン、メタノールおよび過酸化水素を含む。さらに、この反応供給物は、特定量のカリウムカチオン、およびさらに、少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態のリンを含む。
【0082】
エポキシ化反応の転化率および選択性は、例えば、エポキシ化反応の温度、エポキシ化反応混合物のpH、および/または反応物であるプロペンと過酸化水素以外の反応混合物へ1種以上の化合物を添加することによって、影響を与えることができる。
【0083】
成形品をエポキシ化触媒として、または有機化合物のエポキシ化反応のエポキシ化触媒成分として使用する場合、有機化合物に関して特に制限は適用されない。有機化合物が少なくとも1つのC-C二重結合を有することが好ましく、有機化合物はより好ましくはC2~C10アルケン、より好ましくはC2~C5アルケン、より好ましくはC2~C4アルケン、より好ましくはC2またはC3アルケン、より好ましくはプロペンである。成形品は、エポキシ化触媒またはエポキシ化触媒成分として、プロペンのエポキシ化に、より好ましくは過酸化水素を酸化剤とするプロペンのエポキシ化に、より好ましくはアルコール、好ましくはメタノールを含む溶媒中で過酸化水素を酸化剤とするプロペンのエポキシ化に、使用することが特に好ましい。
【0084】
本発明によれば、過酸化水素を酸化剤として使用する場合、過酸化水素は、水素と酸素から、または他の好適な前駆体から、反応中にその場で形成されることが考えられる。しかし最も好ましくは、本発明の文脈で使用する「過酸化水素を酸化剤として使用する」という用語は、過酸化水素がその場で形成されないが、出発物質として、好ましくは溶液、好ましくは少なくとも部分的に水溶液、より好ましくは水溶液の形態で採用される実施形態に関するものであり、前記好ましくは水溶液は、溶液の総質量に基づいて、20~60質量%、より好ましくは25~55質量%の範囲の好ましい過酸化水素濃度を有する。
【0085】
さらに、本発明は、有機化合物を酸化するための方法に関するものであり、この方法は、有機化合物と、本明細書に開示する実施形態のいずれか1つに記載の成形品を含む触媒とを接触させることを含み、好ましくは、少なくとも1つのC-C二重結合を有する有機化合物、好ましくはC2~C10アルケン、より好ましくはC2~C5アルケン、より好ましくはC2~C4アルケン、より好ましくはC2またはC3アルケン、より好ましくはプロペンのエポキシ化反応のためのものである。
【0086】
有機化合物を酸化するための方法の条件に関して、特に制限は適用されず、1種以上の薬剤をそこで使用してよい。方法が酸化剤の使用を含むことが好ましく、より好ましくは過酸化水素を酸化剤として使用し、より好ましくは酸化反応を溶媒中で、より好ましくは、アルコール、好ましくはメタノールを含む溶媒中で行う。
【0087】
さらに、本発明は、本明細書に開示する実施形態のいずれか1項に記載の成形品を含む触媒の存在下で、メタノール溶液中でプロペンと過酸化水素とを反応させてプロピレンオキシドを得ることを含む、プロピレンオキシドの調製方法に関するものである。
【0088】
典型的には、プロピレンオキシドを調製するための方法は、反応器で行う。プロペン、メタノールおよび過酸化水素を反応器内に供給する手段に関して、特に制限は適用されない。プロペン、メタノールおよび過酸化水素を含む反応供給物を反応器内に導入することが好ましく、前記反応供給物は、反応供給物に含有される過酸化水素1モルに対して、100~160マイクロモルの量のカリウムカチオン(K)を含有し、さらに、少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態でリン(P)を含有する。
【0089】
反応供給物の物理的または化学的性質に関して、特に制限は適用されず、それは1種以上のさらなる成分を含んでもよい。反応供給物は、反応供給物に含有される過酸化水素1モルに対して、100~155マイクロモル、より好ましくは120~150マイクロモルの量のKを含有することが好ましい。
【0090】
上記開示のように、反応供給物の物理的・化学的性質に関して特に制限は適用されない。反応供給物において、KのPに対するモル比は、1.5:1~2.5:1の範囲、より好ましくは1.9:1~2.1:1の範囲であることが好ましい。
【0091】
上記開示のように、反応供給物の物理的・化学的性質に関して特に制限は適用されない。反応供給物は、過酸化水素供給物、メタノール供給物、およびプロペン供給物から得られることが好ましい。
【0092】
反応供給物が過酸化水素供給物、メタノール供給物、およびプロペン供給物から得られる場合、過酸化水素供給物の物理的または化学的性質に関して特に制限は適用されない。過酸化水素供給物が、過酸化水素供給物に含有される過酸化水素1モルに対して、110マイクロモル未満、より好ましくは70マイクロモル未満、より好ましくは30マイクロモル未満、特に5マイクロモル未満の量のKを含有することが好ましい。
【0093】
過酸化水素供給物が110マイクロモル未満のKを含有する場合、過酸化水素供給物の物理的または化学的性質に関して、やはり特に制限は適用されない。Kと少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態のPとを含有する少なくとも1種の溶液を、本明細書に開示する各実施形態のいずれか1つで定義する量のKと少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態のPとを反応供給物が含有するような量で、過酸化水素供給物に、またはプロペン供給物に、またはメタノール供給物に、またはそれらの2種または3種の混合供給物に、添加することが好ましい。
【0094】
と少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態のPとを含有する少なくとも1種の溶液を、本明細書に開示する各実施形態のいずれか1つで定義する量のKと少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態のPとを反応供給物が含有するような量で、過酸化水素供給物に、またはプロペン供給物に、またはメタノール供給物に、またはそれらの2種または3種の混合供給物に、添加する場合、少なくとも1種の溶液の物理的または化学的性質に関して特に制限は適用されない。少なくとも1種の溶液は、リン酸水素二カリウムの水溶液であることが好ましい。
【0095】
反応供給物が、過酸化水素供給物、メタノール供給物、およびプロペン供給物から得られる場合、過酸化水素供給物の物理的または化学的性質に関して特に制限は適用されない。過酸化水素供給物は、水性またはメタノール性または水性/メタノール性、より好ましくは水性の過酸化水素供給物であり、過酸化水素を好ましくは25~75質量%、より好ましくは30~50質量%の量で含有することが好ましい。
【0096】
反応供給物が、過酸化水素供給物、メタノール供給物、およびプロペン供給物から得られる場合、プロペン供給物の物理的または化学的性質に関して特に制限は適用されない。プロペン供給物がプロパンをさらに含有することが好ましく、プロペンのプロパンに対する体積比は、好ましくは99.99:0.01~95:5の範囲である。
【0097】
反応供給物の物理的または化学的性質に関して、特に制限は適用されない。よって反応供給物は1つ以上の相からなっていてよい。反応器内に導入された反応供給物は、1つの液相からなることが好ましい。
【0098】
成形品を含む触媒の存在下、メタノール溶液中でプロペンと過酸化水素とを反応させることを含む、プロピレンオキシドを調製するための方法を行う条件に関して、特に制限は適用されない。成形品を含む触媒の存在下、メタノール溶液中でプロペンと過酸化水素との反応を反応器で行う圧力は、少なくとも10バール(abs)、より好ましくは少なくとも15バール(abs)、より好ましくは少なくとも20バール(abs)、より好ましくは20~40バール(abs)の範囲であることが好ましい。
【0099】
上記開示のように、成形品を含む触媒の存在下、メタノール溶液中でプロペンと過酸化水素とを反応させることを含む、プロピレンオキシドを調製するための方法を行う条件に関して、特に制限は適用されない。反応器中の反応混合物を外部からおよび/または内部から冷却して、反応器中の反応混合物の最高温度が30~70℃の範囲であるようにすることが好ましい。
【0100】
成形品を含む触媒の存在下、メタノール溶液中でプロペンと過酸化水素とを反応させる方法に関して、特に制限は適用されない。成形品を含む触媒の存在下、メタノール溶液中でのプロペンと過酸化水素との反応は、以下、
(a) 成形品を含む触媒の存在下、メタノール溶液中でプロペンと過酸化水素とを、好ましくは等温モードで操作される少なくとも1つの反応器R1において反応させることであって、ここでプロペン、メタノールおよび過酸化水素を含む反応供給物をR1に導入し、前記反応供給物が、反応供給物に含有される過酸化水素1モルに対して100~160マイクロモルの量のカリウムカチオン(K)を含有し、そして少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態でリン(P)をさらに含有する、反応させること、
(b) (a)から得られ、R1から取り出された反応混合物から、反応していない過酸化水素を含有する流れ(stream)を分離することであって、前記分離が好ましくは少なくとも1つ、好ましくは1つの蒸留カラムK1における蒸留によって行われる、分離すること、
(c) 反応していない過酸化水素を含有する流れをプロペンの流れと混合し、成形品を含む触媒を含有しそして好ましくは断熱モードで操作される少なくとも1つ、好ましくは1つの反応器R2に、混合した流れを入れ、R2でプロペンと過酸化水素とを反応させること、
を含む方法で行うことが好ましく、ここでR1における過酸化水素の転化率は、好ましくは85~95%の範囲、より好ましくは87~93%の範囲である。
【0101】
単位バール(abs)は10Paの絶対圧を指し、単位オングストロームは10-10mの長さを指す。
【0102】
本発明を、以下の一連の実施形態および示すような従属関係および後方参照から生じる実施形態の組み合わせによって、さらに説明する。特に、実施形態の範囲が言及される各例において、例えば「実施形態1から4のいずれか1項に記載の成形品」などの用語の文脈では、この範囲内のすべての実施形態が当業者に明示的に開示されることが意味され、すなわち、この用語の文言は、「実施形態1、2、3および4のいずれか1項に記載の成形品」と同義であると当業者に理解されることに留意されたい。
【0103】
1. 骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む成形品であって、前記ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、そして前記骨格型MFIを有するゼオライト材料が参照実施例1に記載のように決定してタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示し、前記成形品がシリカバインダーをさらに含み、前記成形品が参照実施例2に記載のようにHgポロシメトリーにより決定して少なくとも0.8mL/gの細孔容積を有する、成形品。
【0104】
2. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例3に記載のTEMにより決定して、5.5オングストロームより大きい、好ましくは5.5オングストロームより大きくゼオライト材料の結晶子のサイズよりも小さい範囲の直径を有する中空の空隙を含む、実施形態1に記載の成形品。
【0105】
3. 骨格型MFIを有するゼオライト材料の99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Ti、Si、O、およびHからなる、実施形態1または2に記載の成形品。
【0106】
4. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、NaOとして計算されるナトリウム含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて0~0.1質量%の範囲、好ましくは0~0.07質量%の範囲、より好ましくは0~0.05質量%の範囲で有する、実施形態1から3のいずれか1項に記載の成形品。
【0107】
5. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、Feとして計算される鉄含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて0~0.1質量%の範囲、好ましくは0~0.07質量%の範囲、より好ましくは0~0.05質量%の範囲で有する、実施形態1から4のいずれか1項に記載の成形品。
【0108】
6. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、好ましくは、参照実施例5に記載のように決定して、80~200マイクロメートルの範囲、好ましくは90~175マイクロメートルの範囲、より好ましくは100~150マイクロメートルの範囲の、Dv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有する、実施形態1から5のいずれか1項に記載の成形品。
【0109】
7. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例5に記載のように決定して、30~75マイクロメートルの範囲、好ましくは35~65マイクロメートルの範囲、より好ましくは40~55マイクロメートルの範囲の、Dv50値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有する、実施形態1から6のいずれか1項に記載の成形品。
【0110】
8. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例5に記載のように決定して、1~25マイクロメートルの範囲、好ましくは3~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~15マイクロメートルの範囲の、Dv10値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有する、実施形態1から7のいずれか1項に記載の成形品。
【0111】
9. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、元素Tiとして計算されるTi含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて1.3~2.1質量%の範囲、好ましくは1.5~1.9質量%の範囲、より好ましくは1.6~1.8質量%の範囲で有する、実施形態1から8のいずれか1項に記載の成形品。
【0112】
10. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例9に記載のように決定され、-108~-120ppmの範囲に主な共鳴を有し、そして好ましくは-95~-107ppmの範囲に小さな共鳴を有する、29Si固体NMRスペクトルを示す、実施形態1から9のいずれか1項に記載の成形品。
【0113】
11. 細孔容積が、0.8~1.5mL/gの範囲、好ましくは0.9~1.4mL/gの範囲、より好ましくは1.0~1.3mL/gの範囲である、実施形態1から10のいずれか1項に記載の成形品。
【0114】
12. 好ましくは、六角形の、長方形の、二次曲線の、三角形の、楕円形の、または円形の断面、より好ましくは円形の断面を有するストランドであって、断面が好ましくは0.5~5mmの範囲、より好ましくは1~3mmの範囲、より好ましくは1.5~2mmの範囲、より好ましくは1.6~1.8mmの範囲の直径を有するストランドである、実施形態1から11のいずれか1項に記載の成形品。
【0115】
13. 参照実施例4に記載のように決定して、少なくとも4N、好ましくは4~20Nの範囲、より好ましくは6~15Nの範囲、より好ましくは8~10Nの範囲の硬度を示す、実施形態1から12のいずれか1項に記載の成形品。
【0116】
14. 成形品において、骨格型MFIを有するゼオライト材料の、SiOとして計算されるシリカバインダーに対する質量比、MFI:SiOが1:1~5:1の範囲、好ましくは1.5:1~4:1の範囲、より好ましくは2:1~3:1の範囲である、実施形態1から13のいずれか1項に記載の成形品。
【0117】
15. 成形品の99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、骨格型MFIを有するゼオライト材料とシリカバインダーとからなる、実施形態1から14のいずれか1項に記載の成形品。
【0118】
16. 参照実施例6に記載のように決定して、300~400m/gの範囲、好ましくは325~365m/gの範囲、より好ましくは340~350m/gの範囲のBET比表面積を有する、実施形態1から15のいずれか1項に記載の成形品。
【0119】
17. 成形品の50~100質量%、好ましくは60~100質量%が結晶の形態で存在する、実施形態1から16のいずれか1項に記載の成形品。
【0120】
18. 参照実施例10に記載のように決定して、0.012~0.030バール(abs)/minの範囲、好ましくは0.015~0.025バール(abs)/minの範囲、より好ましくは0.016~0.020バール(abs)/minの範囲の圧力低下率を示す、実施形態1から17のいずれか1項に記載の成形品。
【0121】
19. 参照実施例10に記載のように決定して、少なくとも4.5質量%、好ましくは4.5~7質量%の範囲、より好ましくは5~6質量%の範囲のプロピレンオキシド活性を示す、実施形態1から18のいずれか1項に記載の成形品。
【0122】
20. 参照実施例11に記載のように連続エポキシ化反応において決定して、96~100%の範囲、好ましくは96.5~100%の範囲、より好ましくは97~100%の範囲の、プロピレンに対するプロピレンオキシド選択性を示す、実施形態1から19のいずれか1項に記載の成形品。
【0123】
21. 過酸化水素転化率が85~95%の範囲、好ましくは87~93%の範囲、より好ましくは88~92%の範囲で前記選択性を示し、より好ましくは、前記選択性が、200時間のタイムオンストリームで、好ましくは200および300時間のタイムオンストリームで、より好ましくは、200、300および400時間のタイムオンストリームで、より好ましくは、200、300、400および500時間のタイムオンストリームで、より好ましくは、200、300、400、500および600時間のタイムオンストリームで、より好ましくは、200、300、400、500、600および700時間のタイムオンストリームで決定され、ここで、「タイムオンストリーム」という用語が、触媒を再生しない連続エポキシ化反応の継続時間を指す、実施形態20に記載の成形品。
【0124】
22. 骨格型MFIを有するゼオライト材料とシリカバインダーとを含む成形品、好ましくは実施形態1から21のいずれか1項に記載の成形品を調製するための方法であって、
(i) シリカバインダー前駆体と骨格型MFIを有するゼオライト材料とを含む混合物を提供することであって、ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、そして骨格型MFIを有するゼオライト材料が参照実施例1に記載のように決定してタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示す混合物を、提供すること、
(ii) (i)から得られた混合物を造形して成形品の前駆体を得ること、
(iii) (ii)から得られた成形品の前駆体と水とを含む混合物を調製し、そして混合物を水熱条件下における水処理に供して、水処理した成形品の前駆体を得ること、
(iv) 水処理した成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼して成形品を得ること
を含む方法。
【0125】
23. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例3に記載のTEMにより決定して、5.5オングストロームより大きい、好ましくは5.5オングストロームより大きくゼオライト材料の結晶子のサイズよりも小さい範囲の直径を有する中空の空隙を含む、実施形態22に記載の方法。
【0126】
24. 骨格型MFIを有するゼオライト材料の99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Ti、Si、O、およびHからなる、実施形態22または23に記載の方法。
【0127】
25. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、NaOとして計算されるナトリウム含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて0~0.1質量%の範囲、好ましくは0~0.07質量%の範囲、より好ましくは0~0.05質量%の範囲で有する、実施形態22から24のいずれか1項に記載の方法。
【0128】
26. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、Feとして計算される鉄含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて0~0.1質量%の範囲、好ましくは0~0.07質量%の範囲、より好ましくは0~0.05質量%の範囲で有する、実施形態22から25のいずれか1項に記載の方法。
【0129】
27. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、好ましくは、参照実施例5に記載のように決定して、80~200マイクロメートルの範囲、好ましくは90~175マイクロメートルの範囲、より好ましくは100~150マイクロメートルの範囲の、Dv90値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有する、実施形態22から26のいずれか1項に記載の方法。
【0130】
28. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例5に記載のように決定して、30~75マイクロメートルの範囲、好ましくは35~65マイクロメートルの範囲、より好ましくは40~55マイクロメートルの範囲の、Dv50値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有する、実施形態22から27のいずれか1項に記載の方法。
【0131】
29. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例5に記載のように決定して、1~25マイクロメートルの範囲、好ましくは3~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~15マイクロメートルの範囲の、Dv10値によって特徴付けられる体積ベースの粒度分布を有する、実施形態22から28のいずれか1項に記載の方法。
【0132】
30. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、元素Tiとして計算されるTi含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて1.3~2.1質量%の範囲、好ましくは1.5~1.9質量%の範囲、より好ましくは1.6~1.8質量%の範囲で有する、実施形態22から29のいずれか1項に記載の方法。
【0133】
31. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例9に記載のように決定され、-108~-120ppmの範囲に主な共鳴を有し、そして好ましくは-95~-107ppmの範囲に小さな共鳴を有する、29Si固体NMRスペクトルを示す、実施形態22から30のいずれか1項に記載の方法。
【0134】
32. 骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例6に記載のように決定して、少なくとも300m/g、好ましくは350~500m/gの範囲、好ましくは375~450m/gの範囲、より好ましくは390~410m/gの範囲のBET比表面積を有する、実施形態22から31のいずれか1項に記載の方法。
【0135】
33. シリカバインダー前駆体が、シリカゾル、コロイダルシリカ、湿式法シリカ、乾式法シリカ、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、シリカバインダー前駆体が好ましくはコロイダルシリカである、実施形態22から32のいずれか1項に記載の方法。
【0136】
34. (i)による混合物において、ゼオライト材料の、SiOとして計算されるシリカバインダー前駆体に含まれるSiに対する質量比が、1:1~5:1の範囲、好ましくは1.5:1~4:1の範囲、より好ましくは2:1~3:1の範囲である、実施形態22から33のいずれか1項に記載の方法。
【0137】
35. (i)により調製した混合物が1種以上の粘度変性剤および/またはメソ細孔形成剤をさらに含む、実施形態22から34のいずれか1項に記載の方法。
【0138】
36. 1種以上の薬剤が、水、アルコール、有機ポリマー、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ここで有機ポリマーが、好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ここで有機ポリマーが、より好ましくは、セルロース誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ここで有機ポリマーが、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ここでより好ましくは、1種以上の薬剤が、水、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、およびポリスチレンを含む、実施形態35に記載の方法。
【0139】
37. (i)により調製した混合物において、ゼオライト材料の、1種以上の薬剤に対する質量比が、1:1~5:1の範囲、好ましくは2.5:1~4:1の範囲、より好ましくは3:1~3.5:1の範囲である、実施形態35または36に記載の方法。
【0140】
38. 混合物をニーダーまたは混合マラーで混合する、実施形態22から37のいずれか1項に記載の方法。
【0141】
39. (ii)において、混合物をストランドに、好ましくは円形断面を有するストランドに造形する、実施形態22から38のいずれか1項に記載の方法。
【0142】
40. 円形の断面を有するストランドが、0.2~10mmの範囲、好ましくは0.5~5mmの範囲、より好ましくは1~3mmの範囲、より好ましくは1.5~2mmの範囲、より好ましくは1.6~1.8mmの範囲の直径を有する、実施形態39に記載の方法。
【0143】
41. (ii)において、造形が混合物を押出すことを含む、実施形態22から40のいずれか1項に記載の方法。
【0144】
42. (ii)による造形が、成形品の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることをさらに含む、実施形態22から41のいずれか1項に記載の方法。
【0145】
43. 乾燥を、80~160℃の範囲、好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行う、実施形態42に記載の方法。
【0146】
44. ガス雰囲気が窒素、酸素、またはそれらの混合物を含み、ガス雰囲気が、好ましくは酸素、空気、または希薄空気である、実施形態42または43に記載の方法。
【0147】
45. (ii)による造形が、好ましくは乾燥させた成形品の前駆体をガス雰囲気中でか焼することをさらに含む、実施形態22から44のいずれか1項に記載の、好ましくは実施形態37から39のいずれか1項に記載の方法。
【0148】
46. か焼を、450~530℃の範囲、好ましくは470~510℃の範囲、より好ましくは480~500℃の範囲のガス雰囲気の温度で行う、実施形態45に記載の方法。
【0149】
47. ガス雰囲気が窒素、酸素、またはそれらの混合物を含み、ガス雰囲気が、好ましくは酸素、空気、または希薄空気である、実施形態45または46に記載の方法。
【0150】
48. (iii)による水処理が、100~200℃の範囲、好ましくは125~175℃の範囲、より好ましくは130~160℃の範囲、より好ましくは135~155℃の範囲、より好ましくは140~150℃の範囲の混合物の温度を含む、実施形態22から47のいずれか1項に記載の方法。
【0151】
49. (iii)による水処理を自己圧力下で、好ましくはオートクレーブで行う、実施形態22から48のいずれか1項に記載の方法。
【0152】
50. (iii)による水処理を、6~10時間、好ましくは7~9時間、より好ましくは7.5~8.5時間行う、実施形態22から49のいずれか1項に記載の方法。
【0153】
51. (iii)で調製した混合物において、ゼオライト材料の水に対する質量比が、1:1~1:10の範囲、好ましくは1:3~1:7の範囲、より好ましくは1:4~1:6の範囲である、実施形態22から50のいずれか1項に記載の方法。
【0154】
52. (iii)の後且つ(iv)の前に、水処理した成形品の前駆体を(iii)から得られた混合物から分離し、分離が、好ましくは、(iii)から得られた混合物を濾過または遠心分離に供することを含み、より好ましくは、分離が、水処理した成形品の前駆体を液体溶媒系で少なくとも1回洗浄することをさらに含み、液体溶媒系が、好ましくは、水、アルコール、およびそれらの2種以上の混合物のうちの1種以上を含み、水処理した成形品の前駆体を、より好ましくは、水で洗浄する、実施形態22から51のいずれか1項に記載の方法。
【0155】
53. (iii)の後且つ(iv)の前に、好ましくは分離された水処理した成形品の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させ、ここで、乾燥を好ましくは、80~160℃の範囲、より好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行い、ガス雰囲気が好ましくは窒素、酸素、またはそれらの混合物を含み、またはガス雰囲気が、より好ましくは酸素、空気、または希薄空気である、実施形態22から52のいずれか1項に記載の方法。
【0156】
54. (iv)におけるか焼を、400~490℃の範囲、好ましくは420~470℃の範囲、より好ましくは440~460℃の範囲のガス雰囲気の温度で行う、実施形態22から53のいずれか1項に記載の方法。
【0157】
55. (iv)によるガス雰囲気が、窒素、酸素、またはそれらの混合物を含み、ガス雰囲気が好ましくは酸素、空気、または希薄空気である、実施形態22から54のいずれか1項に記載の方法。
【0158】
56. 以下の工程:
(a) 骨格型MFIを有するゼオライト材料を提供する工程であって、ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、骨格型MFIを有するゼオライト材料が参照実施例1に記載のように決定してタイプIの窒素吸着/脱着等温線を示す、提供する工程、
(b) (i)で提供されたゼオライト材料と、ゼオライト骨格型MFI構造指示剤とを含む、水性混合物を調製する工程、
(c) 工程(b)から得られた混合物を、自己圧力下、好ましくはオートクレーブで水熱条件に供し、(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料の前駆体を含む懸濁液を得て、懸濁液から前記前駆体を分離する工程、
(d) 任意に、前駆体をガス雰囲気中でか焼する工程、
(e) 工程(c)または(d)から得られた前駆体を酸処理に供し、そして好ましくは酸処理した前駆体を乾燥させる工程、
(f) 酸処理した前駆体をか焼し、(i)による骨格型MFIを有するゼオライト材料を得る工程
を含む、好ましくはこれらの工程からなる方法による、(i)のゼオライト材料の調製を含む、実施形態22から55のいずれか1項に記載の方法。
【0159】
57. 骨格型MFIを有するゼオライト材料とシリカバインダーとを含む成形品であって、実施形態22から56のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるまたは得られる成形品。
【0160】
58. 吸着剤、吸収剤、触媒または触媒成分としての、好ましくは触媒としてのまたは触媒成分としての、より好ましくはルイス酸触媒またはルイス酸触媒成分としての、異性化触媒としてのまたは異性化触媒成分としての、酸化触媒としてのまたは酸化触媒成分としての、アルドール縮合触媒としてのまたはアルドール縮合触媒成分としての、またはプリンズ反応触媒としてのまたはプリンズ反応触媒成分としての、より好ましくは酸化触媒としてのまたは酸化触媒成分としての、より好ましくはエポキシ化触媒としての、またはエポキシ化触媒成分としての、より好ましくはエポキシ化触媒としての、実施形態1から21のいずれか1項に記載のまたは実施形態57に記載の成形品の使用方法。
【0161】
59. 少なくとも1つのC-C二重結合を有する有機化合物、好ましくはC2~C10アルケン、より好ましくはC2~C5アルケン、より好ましくはC2~C4アルケン、より好ましくはC2またはC3アルケン、より好ましくはプロペンのエポキシ化反応のための、より好ましくは過酸化水素を酸化剤とするプロペンのエポキシ化に、より好ましくは、アルコール、好ましくはメタノールを含む溶媒中で過酸化水素を酸化剤とするプロペンのエポキシ化に使用する、実施形態58に記載の使用方法。
【0162】
60. 有機化合物を酸化するための方法であって、有機化合物と、実施形態1から21のいずれか1項または実施形態57に記載の成形品を含む触媒とを接触させることを含む、好ましくは有機化合物のエポキシ化のための、より好ましくは少なくとも1つのC-C二重結合を有する有機化合物、好ましくはC2~C10アルケン、より好ましくはC2~C5アルケン、より好ましくはC2~C4アルケン、より好ましくはC2またはC3アルケン、より好ましくはプロペンのエポキシ化反応のための、方法。
【0163】
61. 過酸化水素を酸化剤として使用し、好ましくは酸化反応を溶媒中で、より好ましくは、アルコール、好ましくはメタノールを含む溶媒中で行う、実施形態60に記載の方法。
【0164】
62. 実施形態1から21のいずれか1項又は実施形態57に記載の成形品を含む触媒の存在下で、メタノール溶液中でプロペンと過酸化水素とを反応させてプロピレンオキシドを得ることを含む、プロピレンオキシドの調製方法。
【0165】
63. プロペン、メタノールおよび過酸化水素を含む反応供給物を反応器に導入し、前記反応供給物が、反応供給物に含有される過酸化水素1モルに対して、100~160マイクロモルの量のカリウムカチオン(K)を含有し、さらに、少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態でリン(P)を含有する、実施形態62に記載の方法。
【0166】
64. 反応供給物が、反応供給物に含有される過酸化水素1モルに対して、100~155マイクロモル、好ましくは120~150マイクロモルの量のKを含有する、実施形態63に記載の方法。
【0167】
65. 反応供給物において、KのPに対するモル比が、1.5:1~2.5:1の範囲、好ましくは1.9:1~2.1:1の範囲である、実施形態63または64に記載の方法。
【0168】
66. 反応供給物が過酸化水素供給物、メタノール供給物、およびプロペン供給物から得られる、実施形態63から65のいずれか1項に記載の方法。
【0169】
67. 過酸化水素供給物が、過酸化水素供給物に含有される過酸化水素1モルに対して、110マイクロモル未満、好ましくは70マイクロモル未満、より好ましくは30マイクロモル未満、特に5マイクロモル未満の量のKを含有する、実施形態66に記載の方法。
【0170】
68. Kと少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態のPとを含有する少なくとも1種の溶液を、実施形態63から65のいずれか1項に定義する量のKと少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態のPとを反応供給物が含有するような量で、過酸化水素供給物に、またはプロペン供給物に、またはメタノール供給物に、またはそれらの2種または3種の混合供給物に添加する、実施形態67に記載の方法。
【0171】
69. 少なくとも1種の溶液が、リン酸水素二カリウムの水溶液である、実施形態68に記載の方法。
【0172】
70. 過酸化水素供給物が、水性のまたはメタノール性の、または水性/メタノール性の、好ましくは水性の過酸化水素供給物であり、過酸化水素を好ましくは25~75質量%、より好ましくは30~50質量%の量で含有する、実施形態66から69のいずれか1項に記載の方法。
【0173】
71. プロペン供給物がプロパンをさらに含有し、プロペンのプロパンに対する体積比が、好ましくは99.99:0.01~95:5の範囲である、実施形態66から70のいずれか1項に記載の方法。
【0174】
72. 反応器内に導入されるときに反応供給物が1つの相からなる、実施形態63から71のいずれか1項に記載の方法。
【0175】
73. 成形品を含む触媒の存在下、メタノール溶液中でプロペンと過酸化水素との反応を反応器で行う圧力が、少なくとも10バール(abs)、好ましくは少なくとも15バール(abs)、より好ましくは少なくとも20バール(abs)、より好ましくは20~40バール(abs)の範囲である、実施形態62から72のいずれか1項に記載の方法。
【0176】
74. 反応器中の反応混合物を外部からおよび/または内部から冷却して、反応器中の反応混合物の最高温度が30~70℃の範囲であるようにする、実施形態62から73のいずれか1項に記載の方法。
【0177】
75. 成形品を含む触媒の存在下、メタノール溶液中でプロペンと過酸化水素とを反応させることが、以下、
(i) 成形品を含む触媒の存在下、メタノール溶液中でプロペンと過酸化水素とを、好ましくは等温モードで操作される少なくとも1つの反応器R1において反応させることであって、ここでプロペン、メタノールおよび過酸化水素を含む反応供給物をR1に導入し、前記反応供給物が、反応供給物に含有される過酸化水素1モルに対して100~160マイクロモルの量のカリウムカチオン(K)を含有し、そして少なくとも1種のリンオキシ酸のアニオンの形態でリン(P)をさらに含有する、反応させること、
(ii) (i)から得られ、R1から取り出された反応混合物から、反応していない過酸化水素を含有する流れを分離することであって、前記分離が好ましくは少なくとも1つ、好ましくは1つの蒸留カラムK1における蒸留によって行われる、分離すること、
(iii) 反応していない過酸化水素を含有する流れをプロペンの流れと混合し、成形品を含む触媒を含有しそして好ましくは断熱モードで操作される少なくとも1つ、好ましくは1つの反応器R2に、混合した流れを入れ、R2でプロペンと過酸化水素とを反応させること、
を含む、実施形態62から74のいずれか1項に記載の方法。
【0178】
さらなる態様によれば、本発明は、骨格型MFIを有するゼオライト材料であって、ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、P、およびHからなり、骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例1に記載のように決定してタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示す、ゼオライト材料に関する。従って本発明を、以下の一連の実施形態および示すような従属関係および後方参照から生じる実施形態の組み合わせによって、さらに説明する。特に、実施形態の範囲が言及される各例において、例えば「実施形態1’から4’のいずれか1項に記載のゼオライト材料」などの用語の文脈では、この範囲内のすべての実施形態が当業者に明示的に開示されることが意味され、すなわち、この用語の文言は、「実施形態1’、2’、3’、および4’のいずれか1項に記載の成形品」と同義であると当業者に理解されることに留意されたい。
【0179】
1’. 骨格型MFIを有するP含有のゼオライト材料であって、ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、P、およびHからなり、骨格型MFIを有するゼオライト材料が、参照実施例1に記載のように決定してタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示す、P含有のゼオライト材料。
【0180】
2’. ゼオライト材料の99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Ti、Si、O、およびHからなる、実施形態1’に記載のゼオライト材料。
【0181】
3’. Ti含有量を、元素Tiとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて0.5~3.0質量%の範囲、好ましくは1.0~2.0質量%の範囲、より好ましくは1.2~1.8質量%の範囲で有する、実施形態1’または2’に記載のゼオライト材料。
【0182】
4’. P含有量を、元素Pとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて0.5~6.0質量%の範囲、好ましくは1~5質量%の範囲、より好ましくは2~4質量%の範囲で有する、実施形態1’から3’のいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【0183】
5’. 参照実施例6に記載のように決定して、少なくとも250m/gの、好ましくは250~500m/gの範囲、より好ましくは300~450m/gの範囲のBET比表面積を有する、実施形態1’から4’のいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【0184】
6’. (74.5±3x)%、(23.5±2x)%、および(2.0±x)%の面積を有する3つの共鳴を含む29Si直接励起固体NMRスペクトルを示し、式中、xは2、好ましくは1、より好ましくは0.5である、実施形態1’から5’のいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【0185】
7’. 面積Iを有する-108~-120ppmの範囲のピークを有する主な共鳴を含み、好ましくは、面積Iを有する-95~-108ppmの範囲のピークを有する小さな共鳴を有する29Si交差偏光固体NMRスペクトルを示し、比率I:Iが、好ましくは0.7:1~1.3:1の範囲、より好ましくは0.85:1~1.15:1の範囲、より好ましくは0.9:1~1.1:1の範囲である。実施形態1’から6’のいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【0186】
8’. (-2±0.2)ppm、(-11±0.2)ppm、(-23±0.2)ppm、(-31±0.2)ppm、および(-44±0.2)ppmをピークとする5つの共鳴、および任意にさらなる共鳴を含む31P直接励起固体NMRスペクトルを示し、スペクトルにおいて、+7~-23ppmの範囲にわたる積分Iの、-23~-53ppmの範囲にわたる積分Iに対する比が、好ましくは0.5:1~1.1:1の範囲、より好ましくは0.65:1~0.95:1の範囲、より好ましくは0.7:1~0.9:1の範囲である、実施形態1’~7’のいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【0187】
9’. (-2±0.2)ppm、(-11±0.2)ppm、(-23±0.2)ppm、(-31±0.2)ppm、および(-44±0.2)ppmをピークとする5つの共鳴。および任意にさらなる共鳴を含む31P交差偏光固体NMRスペクトルを示し、スペクトルにおいて、+7~-23ppmの範囲にわたる積分Iの、-23~-53ppmの範囲にわたる積分Iに対する比が、好ましくは0.5:1~1.1:1の範囲、より好ましくは0.65:1~0.95:1の範囲、より好ましくは0.7:1~0.9:1の範囲である、実施形態1’から8’のいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【0188】
10’. 実施形態1’から9’のいずれか1項に記載のP含有ゼオライト材料を調製するための方法であって、以下、
(i’) 骨格型MFIを有するゼオライト材料を含む水性混合物を調製することであって、ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなり、骨格型MFIを有するゼオライト材料が参照実施例1に記載のように決定してタイプIVの窒素吸着/脱着等温線を示し、前記混合物がPの源をさらに含む、調製すること
(ii’) (i’)で調製した混合物をガス雰囲気中で乾燥させて、P含有ゼオライト材料の前駆体を得ること、
(iii’) 乾燥させたP含有ゼオライト材料の前駆体をか焼して、P含有ゼオライト材料を得ること
を含む方法。
【0189】
11. (i’)によるゼオライト材料が、参照実施例3に記載のTEMにより決定して、5.5オングストロームより大きい、好ましくは5.5オングストロームより大きくゼオライト材料の結晶子のサイズよりも小さい範囲の直径を有する中空の空隙を含む、実施形態10’に記載の方法。
【0190】
12’. (i’)によるゼオライト材料の99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、Ti、Si、O、およびHからなる、実施形態10’または11’に記載の方法。
【0191】
13’. (i’)によるゼオライト材料が、NaOとして計算されるナトリウム含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて0~0.1質量%の範囲、好ましくは0~0.07質量%の範囲、より好ましくは0~0.05質量%の範囲で有する、実施形態10’から12’のいずれか1項に記載の方法。
【0192】
14’. (i’)によるゼオライト材料が、Feとして計算される鉄含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて0~0.1質量%の範囲、好ましくは0~0.07質量%の範囲、より好ましくは0~0.05質量%の範囲で有する、実施形態10’から13’のいずれか1項に記載の方法。
【0193】
15’. (i’)によるゼオライト材料が、元素Tiとして計算されるTi含有量を、ゼオライト材料の質量に基づいて1.3~2.1質量%の範囲、好ましくは1.5~1.9質量%の範囲、より好ましくは1.6~1.8質量%の範囲で有する、実施形態10’から14’のいずれか1項に記載の方法。
【0194】
16’. Pの源が、1種以上のリンオキソ酸、好ましくは次リン酸、次亜リン酸、リン酸、亜リン酸、ピロリン酸、および三リン酸のうちの1種以上、より好ましくはリン酸(HPO)を含む、実施形態10’から15’のいずれか1項に記載の方法。
【0195】
17’. (ii’)による乾燥を、50~150℃の範囲、好ましくは70~140℃の範囲、より好ましくは90~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行い、ガス雰囲気が好ましくは窒素、酸素、またはそれらの混合物を含み、ガス雰囲気がより好ましくは酸素、空気、または希薄空気である、実施形態10’から16’のいずれか1項に記載の方法。
【0196】
18’. (iii’)によるか焼を、400~600℃の範囲、好ましくは450~550℃の範囲、より好ましくは475~525℃の範囲のガス雰囲気の温度で行い、ガス雰囲気が、好ましくは窒素、酸素、またはそれらの混合物を含み、ガス雰囲気が、より好ましくは酸素、空気、または希薄空気である、実施形態10’から17’のいずれか1項に記載の方法。
【0197】
19’. 実施形態10’から18’のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるまたは得られる、P含有ゼオライト材料、好ましくは、実施形態1’から9’のいずれか1項に記載の、P含有ゼオライト材料。
【0198】
20’. 実施形態1’から9’のいずれか1項に記載のゼオライト材料と、酸性バインダーとを含む成形品であって、前記成形品が実施形態22から56のいずれか1項に記載の方法により任意に得ることができ、(i)によるゼオライト材料の代わりに、実施形態1’から9’のいずれか1項に記載のゼオライト材料が採用される、成形品。
【0199】
21’. 実施形態1’から9’のいずれか1項または実施形態19’に記載のゼオライト材料の、または実施形態20’に記載の成形品の、吸着剤としての、吸収剤としての、触媒としての、または触媒成分としての使用方法。
【0200】
本発明を、以下の実施例および参照実施例によってさらに説明する。
【実施例
【0201】
参照実施例1: N吸着/脱着等温線の決定
窒素吸着/脱着等温線は、DIN66131に開示の方法に従い77Kで決定した。
【0202】
参照実施例2: 全細孔容積の決定
全細孔容積は、DIN66133に従い水銀圧入ポロシメトリーを介して決定した。
【0203】
参照実施例3: ゼオライト材料の中空空隙サイズの決定
ゼオライト材料の中空空隙のサイズは、TEMにより決定した。透過型電子顕微鏡(TEM)用の試料を、極薄のカーボン製TEM担体上に用意した。そのため,粉末をエタノール中に分散させた。この分散液の1滴を2枚の対物ガラスの間に適用し、穏やかに分散させた。続いてTEM担体フィルムを、得られた薄膜上に浸した。明視野および高角環状暗視野走査型TEM(HAADF-STEM)条件で、200keVで操作されるTecnai Osiris機(FEI Company,Hillsboro、米国)を使用し、試料をTEMによって画像化した。化学組成マップは、エネルギー分散型X線分光法(EDXS)で取得した。画像および元素マップは、iTEM(オリンパス、東京、日本、バージョン:5.2.3554)およびEsprit(Bruker,Billerica、米国、バージョン1.9)のソフトウェアパッケージを使用して評価した。
【0204】
参照実施例4: 硬度の決定
本発明において言及されている粉砕強度とは、粉砕強度試験機Z2.5/TS1S(供給者Zwick GmbH&Co.社、D-89079 Ulm、ドイツ)により決定したものであると理解される。この機械の原理およびその操作については、Zwick GmbH&Co. Technische Dokumentation,August-Nagel-Strasse11,D-89079 Ulm、ドイツによるそれぞれの説明書ハンドブック「Register1:Betriebsanleitung/Sicherheitshandbuch fuer die Material-Pruefmaschine Z2.5/TS1S」、バージョン1.5、2001年12月、を参照されたい。この機械は、ストランドがその上に配置されている水平に固定されたテーブルを備えていた。垂直方向に自由に動かせる直径3mmのプランジャーにより、ストランドを固定テーブルに対して作動させた。装置は、0.5Nの予備力、予備力下でのせん断速度10mm/min、および後続の試験速度1.6mm/minで操作された。垂直方向に動かせるプランジャーは、力を拾うためのロードセルに接続されており、測定中は、調査対象の成形品(ストランド)が配置されている固定ターンテーブルに向かって動き、このようにしてストランドをテーブルに対して作動させた。プランジャーは、ストランドの長手方向の軸に垂直に適用した。前記機械を用いて、後述する所与のストランドに、プランジャーを介して、ストランドが粉砕されるまで増大する力を加えた。ストランドを粉砕する力を、ストランドの粉砕強度と呼ぶ。実験の制御にはコンピュータを使用し、測定結果の登録と評価を行った。得られた値は、各場合とも10本のストランドの測定の平均値である。
【0205】
参照実施例5: Dv10値、Dv50値、およびDv90値の決定
試料の用意:
1.0gの試料を100gの脱イオン水に懸濁し、1分間撹拌した。
使用した装置およびそれぞれのパラメータ:
- マスターサイザーSロングベッドバージョン2.15、ser.No.33544-325;供給者:Malvern Instruments GmbH,Herrenberg、ドイツ
- 焦点幅: 300RFmm
- ビーム長: 10.00mm
- モジュール: MS17
- シャドーイング: 16.9%
- 分散モデル: 3$$D
- 分析モデル: 多分散
- 補正: なし
【0206】
参照実施例6: BET比表面積の決定
BET比表面積は、DIN66131に開示の方法に従い、77Kで窒素物理吸着によって決定した。BET比表面積の決定のために、Micrometrics ASAP2020MおよびTristarシステムを使用して、液体窒素の温度におけるN収着等温線を測定した。
【0207】
参照実施例7: ラングミュア表面積の決定
ラングミュア表面積は、DIN66131に開示の方法に従い、77Kで窒素物理吸着によって決定した。
【0208】
参照実施例8: 粉末X線回折および結晶化度の決定
粉末X線回折(PXRD)データは、40kVおよび40mAで作動する銅陽極X線管で操作されるLYNXEYE検出器を備えた回折計(D8Advance Series II,Bruker AXS GmbH)を使用して収集した。形状はブラッグ-ブレンターノ法で、および空気散乱シールドを使用して空気散乱を低減した。
【0209】
結晶性の計算:試料の結晶化度は、Bruker AXS GmbH,Karlsruheが提供するソフトウェアDIFFRAC.EVAを使用して決定した。この方法は、ユーザーマニュアルの121ページに記載されている。計算にはデフォルトのパラメータを使用した。
【0210】
相組成の計算:相組成は、Bruker AXS GmbH,Karlsruheが提供するモデリングソフトウェアDIFFRAC.TOPASを使用して、生データに対して計算した。識別された相の結晶構造、装置のパラメータおよび個々の相の結晶子サイズを使用して、回折パターンをシミュレートした。これをデータに当てはめ、さらにバックグラウンド強度をモデル化する関数を加えた。
【0211】
データ収集:試料は乳鉢で均質化した後、ブラッグ-ブレンターノ法の形状データ収集のためにBruker-AXS GmbH社が提供する標準の平坦な試料ホルダーに押し込んだ。試料粉末を圧縮して平らにするため、ガラス板を使用して平坦な表面を達成した。データは、2~70°の2θの角度範囲で、0.02°の2θの工程サイズで収集し、可変発散スリットは0.1°の角度に設定した。結晶含有率は、全散乱強度に対する結晶信号の強度を表す(DIFFRAC.EVAのユーザーマニュアル、Bruker AXS GmbH,Karlsruhe)。
【0212】
参照実施例9: 29Si固体NMRの決定
29Si固体NMRの直接励起は、5μsの90°パルス、30msの自由誘導減衰(FID)取得、50kHzのHニューテーション周波数での異種核無線周波数デカップリング(HPPD)、少なくとも128スキャンの平均化、120sのリサイクル遅延で行った。スペクトルはPure Appl.Chem.,Vol.80,No.1,pp.59-84,2008に従って統一尺度を基準にしており、29Siの周波数はCDCl(1%体積分率)中のMeSi(テトラメチルシラン、TMS)の29Siに対する周波数比19.867187%を統一尺度でppmで示した。スペクトルの直接積分はBruker Topspin3を使用して行った。
【0213】
参照実施例10: プロピレンオキシドの活性および圧力低下率の決定(PO試験)
プロペンのエポキシ化触媒としての成形品の可能な適合性を評価するための予備的な試験手順であるPO試験において、プロペンを過酸化水素水溶液(30質量%)と反応させてプロピレンオキシドを得ることによって、ガラスオートクレーブ中で成形品を試験した。特に、0.5gの成形品を45mLのメタノールと共に、-25℃に冷却したガラスオートクレーブに導入した。20mLの液体プロペンをガラスオートクレーブに押し込み、ガラスオートクレーブを0℃に加熱した。この温度で、18gの過酸化水素水(水中30質量%)をガラスオートクレーブに導入した。0℃で5時間反応させた後、混合物を室温に加熱し、ガスクロマトグラフィーで液相のプロピレンオキシド含有量に関して分析した。液相のプロピレンオキシド含有量(質量%単位)は、PO試験の結果、すなわち成形品のプロピレンオキシド活性である。
【0214】
圧力低下率は、上記PO試験中の圧力進行に続いて決定した。オートクレーブの圧力ラインに配置されたS-11送信機(Wika Alexander Wiegand SE&Co.KG社)およびグラフィックプロッタBuddeberg6100Aを使用して、圧力の進行を記録した。それぞれ得られたデータを読み出し、圧力上昇曲線を描写した。圧力低下率(PDR)は、次の式で求めた。
PDR=[p(max)-p(min)]/デルタt
式中、
PDR/(バール/min)=圧力低下率
p(max)/バール=反応開始時の最大圧力
p(min)/バール=反応中に観察された最低圧力
デルタt/min=反応開始時からp(min)が観察された時点までの時間差
【0215】
参照実施例11: プロピレンのエポキシ化触媒の性能の決定
連続的なエポキシ化反応設定において、熱安定化のためのジャケットを備えた垂直に配置された管状反応器(長さ:1.4m、外径10mm、内径:7mm)に、以下の各実施例に記載のようなストランドの形の成形品15gを充填した。残りの反応器の容積は、反応器の下端では約5cmの高さまで、および反応器の上端では残りを、不活性物質(直径2mmのステアタイト球)で満たした。反応器には、出発物質を以下の流量で通した:メタノール(49g/h)、過酸化水素(9g/h、過酸化水素含有量40質量%の過酸化水素水溶液として採用した)、プロピレン(7g/h、ポリマーグレード)。冷却媒体を冷却ジャケットに通して、反応混合物の温度を調整し、反応器から出る反応混合物に基づいて決定された過酸化水素の転化率が90%で本質的に一定となるようにした。反応器内の圧力は20バール(abs)で一定に保たれ、固定床触媒を除いた反応混合物は、単一の液相からなっていた。
【0216】
圧力制御弁の下流にある反応器の流出流を回収し、秤量して分析した。有機成分は2台の別々のガスクロマトグラフで分析した。過酸化水素の含有量は、硫酸チタニル法を使用して比色分析で決定した。所与のプロピレンオキシドに対する選択性は、プロペンおよび過酸化水素に対して決定し、流出流中のプロピレンオキシドのモルを供給物中のプロペンまたは過酸化水素のモルで割った比の100倍として計算した。
【0217】
参照実施例12: 骨格型MFIを有するゼオライト材料の調製(中空のTS-1(HTS-1))
参照実施例12.1: ゼオライト材料の98~100質量%がTi、Si、O、およびHからなる、骨格型MFIを有するゼオライト材料の調製(チタンシリカライト-1(TS-1)
以下のレシピに従って、チタンシリカライト-1(TS-1)粉末を調製した。TEOS(テトラエチルオルトシリケート)(300kg)を室温で撹拌槽反応器に投入し、撹拌(100r.p.m.)を開始した。第2の容器では、まず60kgのTEOSおよび13.5kgのTEOT(テトラエチルオルトチタネート)を混合し、次に第1の容器のTEOSに加えた。その後、さらに360kgのTEOSを第1の容器内の混合物に加えた。次に、第1の容器の内容物を10分間攪拌した後、950gのTPAOH(テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド)を加えた。撹拌は60分間続けた。加水分解によって放出されたエタノールは、底部温度95℃で蒸留して分離した。その後、第1の容器の内容物に水300kgを加え、留出物の量に相当する量の水をさらに加えた。得られた混合物を1時間攪拌した。175℃で12時間以内に自己圧力で結晶化を行った。得られたチタンシリカライト-1結晶を分離し、乾燥させ、空気中500℃の温度で6時間か焼した。
【0218】
参照実施例12.2: 中空のTS-1(HTS-1)の調製
1072gの脱イオン水をビーカーに入れた。次に、424gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(40質量%のテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドを含む水溶液として)を撹拌しながら加えた。その後、参照実施例12.1により調製したTS-1粉末200gを加えた。この混合物を30分間均質化した。次に、混合物をオートクレーブに移した。混合物を170℃で24時間水熱処理した。得られた懸濁液を濾過し、得られた固形残留物を脱イオン水で洗浄した。得られた固体を室温で一晩乾燥させた。収量は150gであった。
【0219】
3000gの硝酸水溶液(水中10質量%HNO)をガラスビーカーに入れた。150gの乾燥固体を撹拌しながらそれに加えた。得られた懸濁液(250rpmで撹拌しながら)を100℃で1時間還流した。後処理のために、懸濁液を濾過し、固形残留物を脱イオン水で洗浄した。得られた固体を空気中で乾燥させ、続いて以下の手順によってオーブン内で空気中でか焼した。
1.1時間以内に120℃まで加熱
2.120℃で4時間乾燥
3.190分以内に500℃まで加熱
4.500℃で5時間か焼。
【0220】
次に固体を粉砕した。収量は121gであった。得られた粉末は、0.1g/100g未満のTOC、44g/100gのSi含有量、および1.7g/100gのTi含有量を有し、85%の相対湿度で8.5未満の水吸着/脱着、453m/gのBET比表面積、および601m/gのラングミュア表面積を示した(各々本明細書中上記に記載のように決定した)。X線回折分析によって決定されたように、試料は本質的にHTS-1(1質量%の結晶アナターゼおよび99質量%の結晶HTS-1)からなっていた。
【0221】
実施例1: 本発明による成形品の調製
実施例1.1: HTS-1粉末の造形
参照実施例12.2のゼオライト材料50gおよびWalocel(商標)(Walocel MW15000GB、Wolff Cellulosics GmbH&Co.KG、ドイツ)2gをニーダーに入れ、5分間混練した。次に、25質量%のポリスチレンおよび25質量%のシリカ(コロイダルLudox(登録商標)AS40を分散液のベースとして使用した)を含む水性分散液50.4gを加えた。10分後、0.67gのポリエチレンオキシド(PEO、Union Carbide、PolyOX Coagulant)を加え、混合物を混練した。さらに10分後、41.65gのコロイダルシリカ(Ludox(登録商標)AS40)を加えた。その後、10分ごとに10mlずつの脱イオン水の添加を開始し、合計で100mlの水を加えた。合計混練時間は45分であった。水の添加が完了した後、混練した塊を造形に供した。造形のために、混練した塊を150バール(abs)の圧力で押出して、直径1.7mmの円形断面を有するストランドを得た。次に、このストランドを以下のプログラムによって空気中で乾燥およびか焼した。
1.60分以内に120℃の温度に加熱
2.120℃の温度を4時間維持
3.185分以内に490℃の温度に加熱
4.490℃の温度を5時間維持。
【0222】
収量は55gであった。
【0223】
実施例1.2: 造形したHTS-1の水処理
実施例1.1により調製したストランド36gを、各9gの4つの部分に分けて、1つの部分につき180gの脱イオン水と混合した。得られた混合物をオートクレーブで8時間、145℃の温度に加熱した。その後、得られた水処理されたストランドを分離し、0.8mmのふるいにかけた。次に、得られたストランドを脱イオン水で洗浄し、周囲温度の窒素流中で予備乾燥させた。続いて、洗浄および予備乾燥したストランドを、以下のプログラムによって空気中で乾燥およびか焼した。
1.60分以内に120℃まで加熱
2.120℃の温度を4時間維持
3.165分以内に450℃まで加熱
4.450℃の温度を2時間維持。
【0224】
収量は36.2gであった。得られた材料は0.1g/100g未満のTOC、45g/100gのSi含有量、および1.3g/100gのTi含有量を有していた(各々本明細書中上記に記載のように決定した)。本明細書中上記に記載のように決定したストランドの硬度は4.3Nであり、本明細書中上記に記載のように決定した細孔容積は0.82ml/gであった。
【0225】
実施例2: 本発明による成形品の調製
実施例2.1: HTS-1粉末の造形
市販のHTS-1粉末(Zhejiang TWRD New Material Co.,Ltd.、中国のCNチタンシリケートRT-03)79gおよびWalocel(商標)(Walocel MW15000GB、Wolff Cellulosics GmbH&Co.KG、ドイツ)3gをニーダーに入れ、5分間混練した。次に、25質量%のポリスチレンおよび25質量%のコロイダルシリカ(分散液のベースとしてLudox(登録商標)AS40を使用した)を含む75.5gの水性分散液を加えた。10分後、1.0gのポリエチレンオキシド(PEO、Union Carbide,PolyOX Coagulant)を加え、混合物を混練した。さらに10分後、70gのコロイダルシリカ(Ludox(登録商標)AS40)を加えた。この塊をさらに10分間混練した。合計混練時間は35分であった。混練した塊を120バール(abs)の圧力で押出して、直径1.9mmの円形断面を有するストランドを得た。次に、押出されたストランドを以下のプログラムによって空気中で乾燥およびか焼した。
1.60分以内に120℃の温度まで加熱
2.120℃の温度を4時間維持
3.185分以内に490℃の温度に加熱
4.490℃の温度を5時間維持。
【0226】
収量は90gであった。得られた材料は、0.1g/100g未満のTOC、45g/100gのSi含有量、1.2g/100gのTi含有量を有していた(各々本明細書中上記に記載のように決定した)。本明細書中上記に記載のように決定したストランドの硬度は0.85Nであり、本明細書中上記に記載のように決定した細孔容積は0.76ml/gであった。本明細書中上記に記載のように決定した結晶化度は78%であった。
【0227】
実施例2.2: 造形したHTS-1の水処理
実施例2.1により調製した材料36gを、各9gの4つの部分に分けて、1つの部分につき180gの脱イオン水と混合した。得られた混合物をオートクレーブで145℃の温度で8時間加熱した。その後、ストランドを0.8mmのふるいにかけた。ストランドを脱イオン水で洗浄し、周囲温度の窒素流中で予備乾燥させた。続いて、洗浄および予備乾燥したストランドを、以下のプログラムによって空気中で乾燥およびか焼した。
1.60分以内に120℃まで加熱
2.120℃の温度を4時間維持
3.165分以内に450℃まで加熱
4.450℃の温度を2時間維持。
【0228】
収量は34.9gであった。得られた材料は、0.1g/100g未満のTOC、44g/100gのSi含有量、および1.3g/100gのTi含有量を有し、345m/gのBET比表面積を示した(各々本明細書中上記に記載のように決定した)。本明細書中上記に記載のように決定したストランドの硬度は8.4Nであり、本明細書中上記に記載のように決定した細孔容積は1.0ml/gであった。
【0229】
比較例: 従来技術による成形品の調製
以下の比較例は、HTS-1を含む先行技術の成形品と本発明による成形品との比較を、特にエポキシ化反応における触媒性能に関して可能にするため、調製したものである。上述の引用したXuらの先行技術に関し、特にセスバニア(Sesbania cannbina Pers.)粉末を使用して、比較例1による成形品を調製した。比較例2の成形品は、海泡石が調製プロセスで採用されるLiuらの先行技術に基づいて調製した。従って比較例は、先行技術を特に考慮して実施されている。
【0230】
比較例1: HTS-1粉末の造形
J.Xuら:「Effect of triethylamine treatment of titanium silicalite-1 on propylene epoxidation」の一般的な教示に基づいて、150gの市販のHTS-1粉末(Zhejiang TWRD New Material Co.,Ltd.、中国のチタンシリカライトRT-03)および6gのセスバニア粉末をニーダーに入れ、5分間混練した。次に、75gのコロイダルシリカ(Ludox(登録商標)AS40)を加えた。この塊をさらに10分間混練した。次いで、40mLの水を加えて、混合物を5分間さらに混練した。その後、さらに20mLの水を加えて、混合物をさらに10分間混練した。合計混練時間は30分であった。混練した塊の一部を150バール(abs)の圧力で押出して、直径1.7mmの円形断面を有するストランドを得た。残りの混練した塊は、205バール(abs)の圧力で押出した。その後、押出したストランドを乾燥させ、以下のプログラムによって空気中でか焼した。
1.60分以内に120℃の温度まで加熱
2.120℃の温度を6時間維持
3.165分以内に550℃の温度に加熱
4.550℃の温度を6時間維持。
【0231】
収量は63.2gであった。得られた材料は、1.3g/100gのTi含有量、369m/gのBET比表面積、および495m/gのラングミュア表面積を有していた(各々本明細書中上記に記載のように決定した)。本明細書中上記に記載のように決定したストランドの硬度は5.2Nであり、本明細書中上記に記載のように決定した細孔容積は0.45ml/gであった。本明細書中上記に記載のように決定した結晶化度は79%であった。
【0232】
比較例2: HTS-1粉末の造形
M.Liuらの「Highly Selective Epoxidation of Propylene in a Low-Pressure Continuous Slurry Reactor and the Regeneration of Catalyst」の一般的な教示に基づいて、54gの市販のゼオライトHTS-1(Zhejiang TWRD New Material Co,Ltd.、中国のチタンシリカライトRT-03)、約13質量%のMg含有量を有する海泡石36g(CAS63800-37-3、Aldrich)、およびメチルセルロース10g(Walocel MW15000GB,Wolff Cellulosics GmbH&Co.KG、ドイツ)をニーダーに入れ、5分間混練した。次に、水40mLを加えて、混合物をさらに15分間混練した。その後、さらに25mLの水を加えて、混合物をさらに10分間混練した。合計混練時間は30分であった。混練した塊を150バール(abs)の圧力で押出して、直径1.7mmの円形断面を有するストランドを得た。その後、押出したストランドを乾燥させ、以下のプログラムによって空気中でか焼した。
1.40分以内に80℃の温度まで加熱
2.80℃の温度を6時間維持
3.265分以内に650℃の温度に加熱
4.650℃の温度を6時間維持。
【0233】
収量は77.9gであった。得られた材料は、0.1g/100g未満のTOC、40g/100gのSi含有量、5.8g/100gのMg含有量、および1.1g/100gのTi含有量を有し、314m/gのBET比表面積を示した(各々本明細書中上記に記載のように決定した)。本明細書中上記に記載のように決定したストランドの硬度は10Nであり、本明細書中上記に記載のように決定した細孔容積は0.5ml/gであった。
【0234】
より良い概略のために、HTS-1を含む本発明の成形品の細孔容積およびHTS-1を含む先行技術の成形品の細孔容積を、以下の表1に示す。
【0235】
【表1】
【0236】
比較例3: TS-1粉末の造形
実施例1.1および1.2を繰り返したが、実施例1.1では、参照実施例12.2によるHTS-1粉末の代わりに、参照実施例12.1による(非中空の)TS-1粉末をゼオライト材料として採用した。それぞれ得られたTS-1を含むストランドを、実施例1.2に記載のようにさらに処理(水処理)した。
【0237】
実施例3: 触媒試験
実施例3.1: 予備試験-PO試験
実施例の成形品を、エポキシ化触媒としての一般的な適合性に関して、参照実施例10に記載のPO試験により予備的に試験した。プロピレンオキシド活性のそれぞれの結果値を以下の表2に示す。
【0238】
【表2】
【0239】
明らかに、PO試験によれば、本発明による成形品は非常に良好なプロピレンオキシド活性を示し、工業的な連続エポキシ化反応における触媒の有望な候補である。
【0240】
実施例3.2: 連続エポキシ化反応における成形品の触媒的特性
参照実施例11に記載のような連続エポキシ化反応において、本発明の成形品の特性を先行技術の成形品と比較した。200時間の有意なタイムオンストリーム(TOS)の後、本発明の実施例2.2による成形品のプロピレンオキシド選択性(過酸化水素に対する)を、先行技術によるそれぞれの成形品(比較例1および2)と比較した。全体像を把握するために、(非中空の)TS-1ゼオライト材料を含む成形品を参照実施例11による全く同じ連続エポキシ化反応条件に供し、さらなる比較試験を実施した(比較例3)。表3による以下の結果が得られた。
【0241】
【表3】
【0242】
明らかに、本発明による成形品は、比較例1および2によるHTS-1ゼオライトを含む先行技術の成形品と比較すると、並びに(非中空の)TS-1ゼオライトを含む成形品と比較すると、過酸化水素およびプロペンの両方に対する最高の選択性値を示す。特に、これらの結果は実施例1.2による成形品に基づいて得られており、この実施例は、上述の実施例3.による予備的なPO試験結果によれば、実施例2.2による本発明の成形品と比較して触媒活性がやや劣るように見え得ることに留意されたい。本発明の成形品の優れた特性が、より一層示されている。
【0243】
さらになお、本発明の成形品は、プロピレンオキシドの選択性に関して優れた安定性を示すことがわかった。この点について、本発明の成形品(実施例1.2による)および比較例3の成形品を、参照実施例11による連続エポキシ化反応条件に750時間を超えるTOSで供したところ、過酸化水素およびプロペンに対する高い選択性は、経時的に増加する傾向さえ示すことが分かった。さらに、このような非常に有利な特性は、エポキシ化反応の貴重な生成物(プロピレンオキシド)に対してのみ観察されるのではなく、同時に、本発明の成形品は、酸素、ヒドロペルオキシド、およびメトキシプロパノールなどのエポキシ化反応の望ましくない副生成物に対しても、著しく低い選択性を示すことが分かった。それぞれの結果を図1および2に示し、図から抽出した値を以下の表4に示す。
【0244】
【表4】
【0245】
明らかに、本発明の成形品は、連続エポキシ化反応において非常に有利な改善された寿命特性を示した。この連続モードは、工業規模のエポキシ化プロセスの標準モードである。
【0246】
実施例A: P-処理されたHTS-1の調製
市販のHTS-1粉末(Zhejiang TWRD New Material Co.,Ltd.、中国のCNチタンシリケートRT-03)20gを容器に入れた。このゼオライト材料に、2.31gのオルトリン酸(水溶液、85質量%のHPO)を加え、均質化した。得られた混合物を空気中110℃の温度で12時間乾燥させた。得られた乾燥固形材料をふるいにかけ(メッシュサイズ1.6mm)、得られた材料を500℃の空気中で2K/minの加熱傾斜(ramp)で5時間か焼した。収量は20.9g(スプリット:2.8g、小粒子:18.1g)であった。得られた材料は、0.1g/100g未満のTOC、42g/100gのSi含有量、1.4g/100gのTi含有量、および2.7g/100gのP含有量を有していた。
【0247】
図面の簡単な説明
図1: 実施例1.2による本発明の成形品の触媒性能(実線)を、比較例3の成形品(点線)に対して示し、特にプロピレン選択性を過酸化水素に対して(濃い灰色)およびプロペンに対して(薄い灰色)示す。下の黒色実線は過酸化水素転化率を示し、上の黒色実線は反応器のジャケットを通って流れる冷却媒体の温度を示す。
【0248】
図2: 実施例1.2による本発明の成形品の触媒性能(実線)を、比較例3の成形品(点線)に対して示し、特に酸素、ヒドロキシアセトン、ヒドロペルオキシド、1-メトキシ-2-プロパノールおよび2-メトキシ-1-プロパノールに対する選択性を示す。
【0249】
引用した文献
- M.Liuら:「Green and efficient preparation of hollow titanium silicalite-1 by using recycled mother liquid」、Chemical Engineering Journal2018年、第331巻、第194~202頁
- J.Xuら:「Effect of triethylamine treatment of titanium silicalite-1 on propylene epoxidation」、Frontiers of Chemical Science and Engineering2014年、第8(4)巻、第478~487頁
- M.Liuら「Highly Selective Epoxidation of Propylene in a Low-Pressure Continuous Slurry Reactor and the Regeneration of Catalyst」、Industrial+Engineering Chemistry Research2015年、第54(20)巻、第5416~5426頁
- CN108250161A
- CN103708493A
図1
図2