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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240925BHJP
   H05K 3/22 20060101ALI20240925BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240925BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 B
H05K3/22 B
H01L23/12 F
H01L21/92 602J
H01L21/92 604R
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023076685
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2019085970の分割
【原出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2023095979
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 輝
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-261228(JP,A)
【文献】特開2017-152646(JP,A)
【文献】特開2014-107427(JP,A)
【文献】特開平06-053660(JP,A)
【文献】国際公開第2010/038559(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 3/22
H01L 23/12
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と、
前記配線層を被覆するとともに、前記配線層まで貫通する第1開口部及び前記第1開口部よりも大径の第2開口部を備える絶縁層と、
前記第1開口部及び前記第2開口部に形成され、前記第1開口部よりも前記第2開口部において深い凹部を有する第1金属層と、
前記第1金属層に重ねて形成され、前記第2開口部において一部が前記第1金属層の凹部に格納される第2金属層と、
前記第1金属層と前記第2金属層との間に介在し、前記第2金属層よりも融点が高く、前記第1金属層の表面に沿って層状に形成され、前記第2開口部において一部が前記第1金属層の凹部に格納される第3金属層と
を有し、
前記第1開口部における前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第3金属層によって第1接続端子が形成され、
前記第2開口部における前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第3金属層によって前記第1接続端子よりも大径の第2接続端子が形成され、
前記絶縁層の表面から前記第1接続端子及び前記第2接続端子の頂部までの高さが、所定範囲の高さで揃えられる
ことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記第1金属層は、
前記第1開口部よりも前記第2開口部において、前記絶縁層からの高さが低いことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記第2金属層は、
前記第1金属層から遠い側の面が球面状に突出することを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1金属層は、
前記絶縁層の表面よりも前記配線層から遠くに位置する面を有することを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1金属層は、
前記第1開口部において平坦な面を介して前記第2金属層と重なることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項6】
前記第1金属層の凹部は、
前記第2開口部において前記絶縁層の表面よりも前記配線層に近づく底面を有し、
前記底面の最深部は、前記絶縁層の表面よりも下方に位置することを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項7】
前記第1金属層は、
前記第2金属層を形成する金属よりも融点が高い金属から形成されることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項8】
前記第1金属層は、
前記第1開口部及び前記第1開口部周囲の前記絶縁層の上面に形成された第1部分と、
前記第2開口部及び前記第2開口部周囲の前記絶縁層の上面に形成された第2部分と
を含み、
前記第1開口部周囲の前記絶縁層の上面における前記第1部分の厚さが、前記第2開口部周囲の前記絶縁層の上面における前記第2部分の厚さよりも厚い
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項9】
前記第1開口部の径よりも前記第1接続端子の径が大きく、
前記第2開口部の径よりも前記第2接続端子の径が大きい
ことを特徴とする請求項記載の配線基板。
【請求項10】
配線層を形成し、
前記配線層を被覆するとともに、前記配線層まで貫通する第1開口部及び前記第1開口部よりも大径の第2開口部を備える絶縁層を形成し、
めっきにより、前記第1開口部及び前記第2開口部に、前記第1開口部よりも前記第2開口部において深い凹部を有する第1金属層を形成し、
めっきにより、前記第1金属層に重ねて第2金属層を形成し、
前記第2金属層を溶融した後に固化する
工程を有し、
前記第2金属層を形成する工程において、前記第1金属層と前記第2金属層との間に、前記第2金属層よりも融点が高く、前記第1金属層の表面に沿って層状に形成され、前記第2開口部において一部が前記第1金属層の凹部に格納される第3金属層を介在させ
前記第2金属層を溶融した後に固化する工程において、前記第1開口部における前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第3金属層によって第1接続端子を形成するとともに、前記第2開口部における前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第3金属層によって前記第1接続端子よりも大径の第2接続端子を形成し、
前記絶縁層の表面から前記第1接続端子及び前記第2接続端子の頂部までの高さが、所定範囲の高さで揃えられる
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1金属層の凹部に重なることによって前記第2金属層に形成される凹部にレジストを充填し、
前記レジストとともに前記第2金属層を研磨し、
研磨後に残存する前記レジストを剥離する
工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載の配線基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1金属層の凹部は、
前記第2開口部において前記絶縁層の表面よりも前記配線層に近づく底面を有し、
前記底面の最深部は、前記絶縁層の表面よりも下方に位置することを特徴とする請求項1記載の配線基板の製造方法。
【請求項13】
前記第1金属層は、
前記第1開口部及び前記第1開口部周囲の前記絶縁層の上面に形成された第1部分と、
前記第2開口部及び前記第2開口部周囲の前記絶縁層の上面に形成された第2部分と
を含み、
前記第1開口部周囲の前記絶縁層の上面における前記第1部分の厚さが、前記第2開口部周囲の前記絶縁層の上面における前記第2部分の厚さよりも厚い
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記第1開口部の径よりも前記第1接続端子の径が大きく、
前記第2開口部の径よりも前記第2接続端子の径が大きい
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体チップが搭載される配線基板には、半導体チップとの接続端子としてバンプが形成されることがある。バンプは、配線基板の導体層に接続する金属の突起であり、導体層を被覆するソルダーレジスト層に設けられる開口部から外方へ突出する。このようなバンプは、例えば異なる2種類の金属のめっきによって形成される2層構造を採ることがある。
【0003】
具体的には、ソルダーレジスト層に設けられる開口部及びその周囲において、例えば銅などの第1金属層のめっきが施され、第1金属層の上層に例えば錫又ははんだなどの第2金属層のめっきが施される。そして、リフロープロセスにより、第2金属層のみを溶融させて固化することにより、表面が球面状のバンプが形成される。すなわち、第1金属層よりも第2金属層の融点が低いため、適切なリフロー温度が設定されることにより、第1金属層を溶融させずに第2金属層のみを溶融させてバンプを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-103878号公報
【文献】特開2017-152646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配線基板と半導体チップは、複数のバンプを介して接続されることがある。すなわち、例えば電気信号の入出力のための接続端子と、電源電圧の印加のための接続端子とが、別々に設けられることがある。このような場合、接続端子としてのバンプの径は、すべて同一であるとは限らず、径が異なるバンプが設けられることがある。具体的には、例えば電気信号の入出力のためのバンプの径は比較的小径である一方、電源電圧の印加のためのバンプの径は比較的大径であるなどのように、小径と大径のバンプが混在する。
【0006】
これらのバンプが上述した2層構造のめっきによって形成されると、小径のバンプよりも大径のバンプの方が高くなる。すなわち、第1金属層及び第2金属層のめっきの工程では、小径及び大径のバンプにおいて同一の厚さのめっきが施されるため、大径のバンプにおける第2金属層の体積の方が、小径のバンプにおける第2金属層の体積よりも大きい。そして、これらの第2金属層が溶融されて固化されると、表面が球面状となる。この状態では、大径のバンプの方が小径のバンプよりも高く突出する。
【0007】
このように高さが異なるバンプが混在する場合には、配線基板と半導体チップの接続信頼性が低下するという問題がある。具体的には、高さが低い小径のバンプでは、バンプ頂部と半導体チップの電極とが十分に接触せずにオープン不良が発生することがある。また、高さが高い大径のバンプでは、半導体チップ搭載時にバンプ頂部が押圧されて横方向へ伸張し、近隣のバンプと接触するショート不良が発生することがある。
【0008】
このような接続信頼性の低下は、配線基板に半導体チップが搭載される場合にのみ発生するものではなく、他の電子部品が複数のバンプを介して配線基板に搭載される場合にも同様に発生し得る。
【0009】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、電子部品との接続信頼性を向上することができる配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願が開示する配線基板は、1つの態様において、配線層と、前記配線層を被覆するとともに、前記配線層まで貫通する第1開口部及び前記第1開口部よりも大径の第2開口部を備える絶縁層と、前記第1開口部及び前記第2開口部に形成され、前記第1開口部よりも前記第2開口部において深い凹部を有する第1金属層と、前記第1金属層に重ねて形成され、前記第2開口部において一部が前記第1金属層の凹部に格納される第2金属層とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本願が開示する配線基板及び配線基板の製造方法の1つの態様によれば、電子部品との接続信頼性を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施の形態にかかる配線基板の構成を示す図である。
図2図2は、一実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法を示すフロー図である。
図3図3は、コア基板形成の具体例を示す図である。
図4図4は、ビルドアップの具体例を示す図である。
図5図5は、ソルダーレジスト層形成の具体例を示す図である。
図6図6は、端子形成の具体例を示す図である。
図7図7は、半導体チップ搭載の具体例を示す図である。
図8図8は、端子形成工程を示すフロー図である。
図9図9は、ソルダーレジスト層の開口部を示す図である。
図10図10は、シード層形成を説明する図である。
図11図11は、パターニングを説明する図である。
図12図12は、第1金属層形成を説明する図である。
図13図13は、第2金属層形成を説明する図である。
図14図14は、ラミネートを説明する図である。
図15図15は、研磨を説明する図である。
図16図16は、レジスト剥離を説明する図である。
図17図17は、リフローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願が開示する配線基板及び配線基板の製造方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
図1は、一実施の形態に係る配線基板100の構成を示す図である。図1においては、配線基板100の断面を模式的に示している。図1に示す配線基板100は、例えば半導体チップを搭載する半導体パッケージの基板として利用することが可能である。
【0015】
配線基板100は、積層構造となっており、コア基板110、多層配線構造120及びソルダーレジスト層130、140を有する。以下においては、図1に示すように、ソルダーレジスト層140が最下層であり、ソルダーレジスト層130が最上層であるものとして説明するが、配線基板100は、例えば上下反転して用いられても良く、任意の姿勢で用いられて良い。
【0016】
コア基板110は、板状の絶縁体である基材111の両面に、めっきにより配線層113が形成されたものである。両面の配線層113は、必要に応じてビア112によって接続される。
【0017】
多層配線構造120は、絶縁性の絶縁層121と導電性の配線層122とを備える層が積層されたものである。図1においては、コア基板110の上方の多層配線構造120内に2層が積層され、コア基板110の下方の多層配線構造120内に2層が積層されているが、積層される層の数は1層又は3層以上であっても良い。
【0018】
ソルダーレジスト層130は、多層配線構造120の表面の配線層122を被覆し、配線を保護する層である。ソルダーレジスト層130は、例えばアクリル樹脂及びポリイミド樹脂等の絶縁性の感光性樹脂からなる層であり、絶縁層の1つである。なお、ソルダーレジスト層130は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性の非感光性樹脂を用いて形成されても良い。
【0019】
配線基板100のソルダーレジスト層130側は、例えば半導体チップなどの電子部品が搭載される面である。半導体チップが搭載される位置においては、ソルダーレジスト層130に開口部131、132が穿設される。すなわち、半導体チップの電極と多層配線構造120の配線層122とを接続するために、ソルダーレジスト層130に開口部131、132が設けられる。開口部131、132の径は異なっており、開口部131よりも開口部132の方が大径である。ソルダーレジスト層130が感光性樹脂を用いて形成される場合には、露光・現像により開口部131、132を形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層130が非感光性樹脂を用いて形成される場合には、レーザ加工により開口部131、132を形成することが可能である。
【0020】
開口部131、132には、多層配線構造120の配線層122と半導体チップの電極とを接続する接続端子であるバンプ150、160が形成される。開口部131、132の径が異なるため、バンプ150、160の径も異なる。すなわち、小径の開口部131には小径のバンプ150が形成され、大径の開口部132には大径のバンプ160が形成される。
【0021】
バンプ150、160は、異なる2種類の金属の2層構造となっている。具体的には、バンプ150は、例えば銅などの第1金属層151と錫などの第2金属層152とを有し、第1金属層151と第2金属層152の接合面には、例えばニッケルの層が介在する。小径のバンプ150においては、第1金属層151の上面が平坦であり、この平坦な上面から第2金属層152が球面状に上方へ突出している。一方、バンプ160も、例えば銅などの第1金属層161と錫などの第2金属層162とを有し、第1金属層161と第2金属層162の接合面には、例えばニッケルの層が介在する。大径のバンプ160においては、第1金属層161の上面の中央に凹部が形成され、第1金属層161の上面の中央が周囲よりも低くなっており、この上面から第2金属層162が球面状に上方へ突出している。
【0022】
バンプ150よりもバンプ160の方が大径であるため、第2金属層152よりも第2金属層162の方が体積が大きいが、第2金属層162の一部が第1金属層161に形成された凹部に格納される。このため、第2金属層162の頂部のソルダーレジスト層130の表面からの高さが低くなる。さらに、第1金属層161の上面の凹部周囲の高さは、第1金属層151の上面の高さよりも低い。換言すれば、第2金属層162の下面が第2金属層152の下面よりも低い位置にある。このため、第2金属層152に比べて体積が大きい第2金属層162が大きく上方へ突出しても、バンプ150の頂部とバンプ160の頂部との高さが等しくなる。そして、例えば半導体チップがバンプ150、160の上方に搭載される場合、バンプ150、160の頂部と半導体チップの電極とが確実に接触し、接続信頼性を向上することができる。
【0023】
ソルダーレジスト層140は、ソルダーレジスト層130と同様に、多層配線構造120の表面の配線層122を被覆し、配線を保護する層である。ソルダーレジスト層140は、例えばアクリル樹脂及びポリイミド樹脂等の絶縁性の感光性樹脂からなる層であり、絶縁層の1つである。なお、ソルダーレジスト層140は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性の非感光性樹脂を用いて形成されても良い。
【0024】
配線基板100のソルダーレジスト層140側は、外部の部品や機器などに接続される面である。外部の部品や機器と電気的に接続する外部接続端子が形成される位置においては、ソルダーレジスト層140に開口部141が穿設され、開口部141から多層配線構造120の配線層122が露出する。開口部141には、例えばはんだボールなどの外部接続端子が形成される。ソルダーレジスト層140が感光性樹脂を用いて形成される場合には、露光・現像により開口部141を形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層140が非感光性樹脂を用いて形成される場合には、レーザ加工により開口部141を形成することが可能である。
【0025】
次いで、上記のように構成された配線基板100を有する半導体パッケージの製造方法について、具体的に例を挙げながら、図2のフロー図を参照して説明する。
【0026】
まず、配線基板100の支持部材となるコア基板110が形成される(ステップS101)。具体的には、例えば図3に示すように、板状の絶縁体である基材111に、基材111を貫通するビア112が形成されるとともに、基材111の両面に例えば銅などの金属の配線層113が例えば銅箔又は銅めっきにより形成される。基材111の両面の配線層113は、必要に応じて、例えば銅などの金属のめっきによって形成されたビア112によって接続されている。基材111としては、例えばガラス織布等の補強材にエポキシ樹脂等の絶縁樹脂を含浸させたものを用いることが可能である。補強材としては、ガラス織布の他にも、ガラス不織布、アラミド織布又はアラミド不織布などを用いることができる。また、絶縁樹脂としては、エポキシ樹脂の他にも、ポリイミド樹脂又はシアネート樹脂などを用いることができる。
【0027】
そして、コア基板110の上面及び下面にビルドアップ法によって多層配線構造120が形成される(ステップS102)。具体的には、例えば図4に示すように、コア基板110の上面及び下面に絶縁層121が形成され、絶縁層121の表面に配線層122が形成される。絶縁層121は、例えばエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂を用いて形成される。また、配線層122は、例えば銅などの金属のめっきによって形成される。
【0028】
コア基板110の配線層113と配線層122との間、又は隣接する層の配線層122の間は、必要に応じて、例えば銅などの金属のめっきによって形成されたビア123によって接続される。絶縁層121及び配線層122は、コア基板110の上面及び下面にそれぞれ複数積層されても良い。
【0029】
多層配線構造120が形成されると、多層配線構造120の表面の配線層122がソルダーレジスト層130、140によって被覆される(ステップS103)。例えば、コア基板110の上面に積層された多層配線構造120の表面の配線層122がソルダーレジスト層130によって被覆され、コア基板110の下面に積層された多層配線構造120の表面の配線層122がソルダーレジスト層140によって被覆される。
【0030】
そして、例えば図5に示すように、半導体チップが搭載される側のソルダーレジスト層130には、半導体チップとの接続端子が設けられる位置に開口部131、132が穿設される。このとき、例えば半導体チップの電極の種類によって接続端子の大きさが異なるため、開口部131の径と開口部132の径とは異なる。すなわち、例えば電気信号の入出力のための接続端子が形成される開口部131は比較的小径であるのに対し、電源電圧の印加のための接続端子が形成される開口部132は比較的大径である。開口部131、132の底には、多層配線構造120の表面の配線層122が露出する。
【0031】
一方、外部の部品や機器と接続される側のソルダーレジスト層140には、外部接続端子が設けられる位置に開口部141が穿設される。開口部141の底には、多層配線構造120の表面の配線層122が露出する。ソルダーレジスト層130、140として感光性樹脂が用いられる場合には、露光・現像によって開口部131、132、141を形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層130、140として非感光性樹脂が用いられる場合には、レーザ加工によって開口部131、132、141を形成することが可能である。
【0032】
そして、ソルダーレジスト層130の開口部131、132に、半導体チップを接続するための接続端子が形成される(ステップS104)。すなわち、例えば図6に示すように、開口部131には小径のバンプ150が形成され、開口部132には大径のバンプ160が形成される。バンプ150、160は、いずれも2層構造であり、第1金属層151、161に重なる第2金属層152、162が球面状に上方へ突出している。第1金属層151、161及び第2金属層152、162は、いずれもめっきによって形成される。
【0033】
第1金属層151は、開口部131及びその周囲に例えば銅めっきを施すことによって形成され、開口部131内を充填するとともに開口部131よりも上方に平坦な上面を形成する。すなわち、第1金属層151の上面は、ソルダーレジスト層130の上面よりも配線層122から遠くに位置する平坦な面である。そして、第1金属層151の平坦な上面に、例えばニッケル層を介して錫めっきを施すことによって、第2金属層152が形成される。第2金属層152は、リフロープロセスを経ることにより溶融されて固化し、上方へ球面状に突出する。
【0034】
一方、第1金属層161は、開口部132及びその周囲に例えば銅めっきを施すことによって形成され、中央に凹部を有する上面を形成する。第1金属層161の上面は、凹部の周囲においては、ソルダーレジスト層130の上面よりも配線層122から遠くに形成される。開口部131、132の銅めっきは同時に行われるが、めっきに用いられる硫酸銅めっき液の組成及び電解銅めっき条件を調整することにより、小径の開口部131と大径の開口部132とでは、異なる形状の第1金属層151、161が形成される。すなわち、第1金属層151の上面が平坦であるのに対し、第1金属層161の上面は凹部を有する。そして、第1金属層161の凹部を有する上面に、例えばニッケル層を介して錫めっきを施すことによって、第2金属層162が形成される。第2金属層162は、リフロープロセスを経ることにより溶融されて固化し、上方へ球面状に突出する。
【0035】
第2金属層162の一部が第1金属層161の凹部に格納されるため、開口部132よりも上方の平坦な面上に第2金属層162が形成される場合と比べて、第2金属層162の頂部の高さは低くなる。さらに、第1金属層161の凹部の周囲の高さは、第1金属層151の上面の高さよりも低い。このため、第1金属層151の上面と同じ高さの面上に第2金属層162が形成される場合と比べて、第2金属層162の頂部の高さは低くなる。以上から、小径のバンプ150の第2金属層152よりも大径のバンプ160の第2金属層162の方が体積が大きくても、ソルダーレジスト層130の表面からバンプ150、160の頂部までの高さは等しくなる。なお、バンプ150、160の形成工程に関しては、後に詳述する。
【0036】
ソルダーレジスト層130側にバンプ150、160が形成されると、ソルダーレジスト層140側には、外部接続端子が形成される(ステップS105)。そして、ソルダーレジスト層130側には半導体チップが搭載され(ステップS106)、バンプ150、160と半導体チップの電極とが接続される。具体的には、例えば図7に示すように、ソルダーレジスト層140の開口部141にはんだボール170などの外部接続端子が形成される。また、半導体チップ200がバンプ150、160の上方に搭載され、半導体チップ200の電極210がバンプ150に接合されるとともに、電極220がバンプ160に接合される。このとき、半導体チップ200の電極210、220に設けられたバンプ210a、220aとバンプ150、160とがリフローにより溶融及び固化される。このため、電極210、220とバンプ150、160との接合部においては、バンプ210a、220aとバンプ150、160とが相互に混じり合って溶融・固化されている。
【0037】
そして、電極210、220とバンプ150、160との接合部は、アンダーフィル樹脂230によって封止され、配線基板100に半導体チップ200が実装された半導体パッケージとなる。なお、上述した外部接続端子を形成する工程と半導体チップを搭載する工程とは順序が逆であっても良い。すなわち、配線基板100に半導体チップ200が搭載された後に、ソルダーレジスト層140の開口部141にはんだボール170などの外部接続端子が形成されても良い。
【0038】
次に、半導体チップ200との接続端子となるバンプ150、160の形成工程について、より具体的に図8に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0039】
コア基板110の上面に多層配線構造120が積層されると、多層配線構造120の配線層122がソルダーレジスト層130によって被覆される。ソルダーレジスト層130には、例えば図9に示すように、開口部131、132が穿設される。開口部131よりも開口部132が大径であり、各開口部131、132の底には、配線層122が露出する。開口部131の開口径は例えば20~30μm程度であり、深さは13~23μm程度である。また、開口部132の開口径は例えば30~40μm程度であり、深さは開口部131と同じく13~23μm程度である。
【0040】
この状態において、ソルダーレジスト層130の表面にシード層が形成される(ステップS201)。すなわち、例えば図10に示すように、例えば無電解銅めっき又は銅のスパッタリングなどにより、ソルダーレジスト層130の表面と開口部131、132において露出する配線層122との全面にシード層301が形成される。シード層301の厚さは例えば0.40~0.60μm程度であり、例えば浴温34±2℃で15分の無電解銅めっきを施すことによって形成することが可能である。
【0041】
そして、配線基板100の表面に回路パターンを形成するパターニングが行われる(ステップS202)。具体的には、例えば図11に示すように、ドライフィルムレジスト302が配線基板100の表面に貼付された後に回路パターンの露光・現像が行われ、開口部131、132を含む配線部分からドライフィルムレジストが除去される。開口部131の周囲におけるドライフィルムレジスト302の開口径は例えば27~47μm程度であり、開口部132の周囲におけるドライフィルムレジスト302の開口径は例えば60~80μm程度である。また、ドライフィルムレジスト302の厚さは、例えば30~40μm程度である。
【0042】
そして、例えば銅めっきが施されることにより、開口部131、132に第1金属層151、161が形成される(ステップS203)。このとき、銅めっきに用いられる硫酸銅めっき液の組成は、例えば以下のようなものである。
硫酸銅: 100~200g/L
硫酸: 100~200g/L
塩化物イオン: 1~20ppm
ポリマー(抑制剤): 1~10mL/L
ブライトナー(促進剤): 1.0~5.0mL/L
レベラー: 0.1~3.0mL/L
【0043】
なお、ポリマー(抑制剤)としては、例えばポリエチレングリコール(ポリエーテル化合物)等の非イオン界面活性剤を用いることができ、ブライトナー(促進剤)としては、例えばビス(3-スルホポロビル)ジスルフィド等の有機硫黄系化合物を用いることができる。また、レベラーとしては、例えば四級アミン化合物を用いることができる。
【0044】
上記のような組成の硫酸銅めっき液によって、例えば電流密度を0.1~1.0ASD(A/dm2)、めっき時間を40~80分とする電解銅めっき条件で銅めっきが施される。これにより、例えば図12に示すように、小径の開口部131においては上面が平坦な第1金属層151が形成され、大径の開口部132においては中央に凹部161aを有する第1金属層161が形成される。第1金属層161の凹部161aの底面は曲面状であり、最深部はソルダーレジスト層130の上面よりも下方に位置する。換言すれば、凹部161aは、ソルダーレジスト層130の表面よりも配線層122に近づく底面を有する。
【0045】
また、ソルダーレジスト層130の上面から第1金属層151の上面までの第1金属層151の厚さaは例えば5~15μm程度であるのに対し、ソルダーレジスト層130の上面から第1金属層161の上面までの第1金属層161の厚さbは例えば3~12μm程度であり、第1金属層151に比べて第1金属層161が薄くなる。このように大径の開口部132において、第1金属層151よりも薄く凹部161aを有する第1金属層161が形成される理由は以下のようなものである。
【0046】
すなわち、めっき析出作用を抑制するポリマーは、開口部131、132の周囲と比較して、開口部131、132内に吸着し難い。一方、めっき析出作用を促進するブライトナーは、開口部131、132の周囲と開口部131、132内とに均一に吸着する。この結果、開口部131、132の周囲と比較して、開口部131、132内でのめっき析出量が増加し、例えば開口部131においては、開口部131内を充填する第1金属層151が形成される。また、開口部132においても、開口部132周囲と比較して、開口部132内のめっき析出量が多く、開口部132周囲よりも開口部132内において厚い第1金属層161が形成される。
【0047】
ところで、開口部131が小径であり、開口部132が大径であることから、ポリマーの吸着量は開口部131内よりも開口部132内で多くなる。このため、開口部131よりも開口部132においてめっき析出作用が強く抑制され、第1金属層161が第1金属層151よりも薄くなる。同時に、開口部131よりも開口部132の中央付近においてめっき析出作用が強く抑制されることから、第1金属層151の上面は平坦になるのに対し、第1金属層161の中央には凹部161aが形成される。なお、第1金属層151の上面は必ずしも平坦でなくても良く、第1金属層151の中央にも凹部が形成されて良いが、この凹部は凹部161aよりも浅い。これは、開口部の径が大きいほどめっき析出作用が強く抑制され、中央に形成される凹部が深くなるためである。
【0048】
また、開口部132周囲の第1金属層161の厚さは、開口部131周囲の第1金属層151の厚さより薄くなる。したがって、ソルダーレジスト層130の表面から第1金属層161の上面までの高さは、ソルダーレジスト層130の表面から第1金属層151の上面までの高さよりも低くなる。これは、第2金属層152が形成される面よりも、第2金属層162が形成される面の方が低い位置にあることを意味する。
【0049】
銅めっきによる第1金属層151、161が形成された後、例えば錫めっきが施されることにより、開口部131、132に第2金属層152、162が形成される(ステップS204)。このとき、例えば図13に示すように、第1金属層151、161と第2金属層152、162との間にニッケル層303、304を介在させても良い。ニッケル層303、304は、第1金属層151、161の表面に沿って均一の厚さに形成される。ニッケル層303、304を介在させることにより、第1金属層151、161の銅が第2金属層152、162の錫へ溶出したり拡散したりすることを防止することができる。ニッケル層303、304の厚さは例えば1~5μm程度であり、例えば電流密度を1.0ASD、めっき時間を17.2分とする電解ニッケルめっき条件を適用したニッケルめっきを施すことにより形成可能である。なお、第1金属層151、161の銅の溶出及び拡散を防止するためには、第2金属層152、162の金属よりも融点が高いニッケル以外の金属の層を第1金属層151、161と第2金属層152、162との間に介在させても良い。
【0050】
第2金属層152、162の形成では、開口部131、132において均一の厚さのめっきが施される。このため、第2金属層152の上面は、第1金属層151の上面と同様に平坦であり、第2金属層162の上面は、第1金属層161の上面と同様に、凹部162aを有する。第2金属層152、162の厚さは例えば10~20μm程度であり、例えば電流密度を1.5ASD、めっき時間を23.3分とする電解錫めっき条件を適用した錫めっきを施すことにより形成可能である。第2金属層152、162は、錫以外にも、例えば錫-銀系合金、錫-銀-銅系合金及び錫-ビスマス系合金等の各種はんだ金属を用いて形成されても良い。第2金属層152、162の厚さは均一であるが、開口部131よりも開口部132の方が大径であるため、第2金属層152よりも第2金属層162の方が体積が大きい。
【0051】
第2金属層152、162が形成された後、例えば図14に示すように、全体の表面がドライフィルムレジストなどの水溶性レジスト305によってラミネートされる(ステップS205)。この水溶性レジスト305は、第2金属層162の凹部162aにも充填され、凹部162aの周囲の金属(例えば錫)が凹部162aへ流れ込んで凹部162aが変形することを防止する。
【0052】
そして、水溶性レジスト305の上面から全体が研磨され(ステップS206)、例えば図15に示すように、第2金属層152が露出するとともに、凹部162aの周囲で第2金属層162が露出する。凹部162aには、水溶性レジスト305が充填されており、凹部162aの形状が維持される。研磨の工程では、第2金属層152、162も研磨されるが、残留する第2金属層152、162の体積が適切な大きさとなる時点で研磨が完了する。例えばドライフィルムレジスト302の高さが10~15μm程度低くなるまで、第2金属層152、162、ドライフィルムレジスト302及び水溶性レジスト305が研磨される。
【0053】
そして、ドライフィルムレジスト302及び水溶性レジスト305が剥離される(ステップS207)。剥離には、例えば苛性ソーダやアミン系のアルカリ剥離液が用いられる。また、フラッシュエッチングが行われ、めっきが施されていない部分のシード層301が除去される。これにより、例えば図16に示すように、開口部131においては、シード層301、第1金属層151、ニッケル層303及び第2金属層152が積層され、ソルダーレジスト層130の表面から突出する導体部が形成される。また、開口部132においては、シード層301、第1金属層161、ニッケル層304及び第2金属層162が積層され、ソルダーレジスト層130の表面から突出する導体部が形成される。開口部132の第2金属層162の中央には、凹部162aが残存する。
【0054】
この状態で、第2金属層152、162を溶融するリフロー温度によるリフローが実行される(ステップS208)。すなわち、高温で第2金属層152、162を溶融させた後、冷却することにより第2金属層152、162を固化させる。このとき、第1金属層151、161を形成する金属(例えば銅)の融点が第2金属層152、162を形成する金属(例えば錫)の融点よりも高いため、第1金属層151、161は溶融せずに第2金属層152、162のみが溶融及び固化する。
【0055】
これにより、例えば図17に示すように、第2金属層152、162の上面が球面状に突出し、バンプ150、160が形成される。ここで、第1金属層161に形成された凹部161aに第2金属層162の一部が格納されるとともに、第1金属層151の上面よりも第1金属層161の上面が低い位置にある。このため、第2金属層152よりも第2金属層162の体積が大きくても、第2金属層152、162の頂部が同じ高さになる。すなわち、ソルダーレジスト層130の表面からバンプ150、160の頂部までが、例えば25~35μmの範囲の高さで等しくなる。この結果、半導体チップ200を搭載する際に、バンプ150、160と半導体チップ200の電極210、220とを確実に接触させてオープン不良を回避することができる。また、バンプ150、160のいずれか一方の頂部のみが半導体チップ200によって過剰に押圧されて横方向へ伸張することがなく、隣接するバンプが互いに接触するショート不良を回避することができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態によれば、配線基板のソルダーレジスト層の開口部に、めっきによって2層構造のバンプを形成する際、めっき液の組成及び電解めっき条件を調整して、開口部の径が大きいほど第1金属層の中央に深い凹部が形成されるようにする。また、開口部周囲のソルダーレジスト層表面において、開口部の径が大きいほど第1金属層が薄くなるようにする。これにより、第1金属層に重なる第2金属層を溶融させて固化した場合、大径の開口部においては、第2金属層の一部が第1金属層の凹部に格納されるとともに、ソルダーレジスト層表面からの高さが低い位置に第2金属層が形成される。結果として、複数の開口部の径が異なり第2金属層の体積が異なっていても、ソルダーレジスト層表面から各開口部に形成されるバンプの頂部までの高さを等しくすることができ、配線基板のバンプに接続して搭載される電子部品との接続信頼性を向上することができる。
【符号の説明】
【0057】
100 配線基板
110 コア基板
111 基材
112 ビア
113、122 配線層
120 多層配線構造
121 絶縁層
130、140 ソルダーレジスト層
131、132、141 開口部
150、160 バンプ
151、161 第1金属層
152、162 第2金属層
161a、162a 凹部
170 はんだボール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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