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特許7560814超伝導誘導回転機、流体駆動システム、超伝導駆動力発生システム、及び航空機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】超伝導誘導回転機、流体駆動システム、超伝導駆動力発生システム、及び航空機
(51)【国際特許分類】
   H02K 55/00 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
H02K55/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021516270
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2020017730
(87)【国際公開番号】W WO2020218525
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】62/838,061
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/革新的航空機用電気推進システムの研究開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩熊 成卓
(72)【発明者】
【氏名】和泉 輝郎
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-217166(JP,A)
【文献】特開2008-005655(JP,A)
【文献】特開2015-061978(JP,A)
【文献】特表2018-534473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の超伝導体電機子コイルが周方向に沿って配置されてなる固定子と、
前記固定子と所定の隙間を介して対向した状態で、中心軸線回りに回転可能に設けられた回転子と
を有し、
前記固定子は、
複数の超伝導体電機子コイルを保持する固定子本体を有し、
この固定子本体は、低温下で機械的強度を維持し非導電性の材料で形成されているものであり、
前記超伝導体電機子コイルは、高透磁率材料を有するコアを用いないものであり、
前記回転子は、
内部に円柱状の空間を区画する薄厚の周壁を有する円筒部材として構成され、
前記周壁は、前記固定子に対向する側に配置されこの固定子と所定の隙間を介して対向する導電材料層と、この導電材料層の前記固定子に対向する側と反対側の面に配置された磁性体層とからなる複合部材として構成され、
前記固定子に設けた超伝導体電機子コイルを超伝導状態に冷却した状態で、この電機子コイルが生成した回転磁界により、前記回転子に回転トルクを発生させて回転駆動する
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項2】
請求項1記載の超伝導誘導回転機において、
前記回転子の内周面若しくは外周面に、推進力を生じさせる推進力発生体を固定し、上記回転子の回転駆動により推進力発生体を駆動し、推進力を生じさせる
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項3】
請求項2記載の超伝導誘導回転機において、
前記推進力発生体は、前記回転子の、前記固定子に対向する側と反対側の内周面若しくは外周面に固定されたプロペラブレードである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項4】
請求項2記載の超伝導誘導回転機において、
前記推進力発生体は、前記回転子の、前記固定子に対向する側と反対側の内周面若しくは外周面に固定されたプロペラブレードである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項5】
請求項2記載の超伝導誘導回転機において、
前記推進力発生体は、前記回転子の、前記固定子に対向する側と反対側の内周面若しくは外周面に固定され、対象物との摩擦によりこの回転機からの駆動力を伝達させるトレッド体である
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項6】
請求項1記載の超伝導誘導回転機において、
前記回転子はこの回転機のアウターロータであり、
前記導電材料層がこの固定子の内径側に、磁性体層が外径側に設けられている
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項7】
請求項1記載の超伝導誘導回転機において、
前記回転子はこの回転機のインナーロータであり、
前記導電材料層が前記固定子の前記周壁の外径側に、磁性体層が内径側に設けられている
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項8】
請求項1記載の超伝導誘導回転機において、
前記回転子に放熱フィンを設けたことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項9】
請求項1記載の超伝導誘導回転機において、
前記回転子は、導電体層に帯状の超伝導線材を埋込み、その中心軸線に沿う両端に短絡環を固定して成るものである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項10】
請求項9記載の超伝導誘導回転機において、
前記超伝導線材の両端部は曲成されているものである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項11】
請求項9記載の超伝導誘導回転機において、
前記、導電体層は、上記超伝導線材を埋め込むための溝が形成されているものである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項12】
請求項1記載の超伝導誘導回転機において、
前記回転子は、導電体層の表面に超伝導線材を周方向及びそれと交差する方向に所定の間隔で配置して成るものである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項13】
請求項1記載の超伝導誘導回転機において、
前記回転子の内径部に送液プロペラブレードを固定し、この内径部を流通する流体をこの回転子の軸線に沿ってポンプ駆動することを特徴とする超伝導誘導回転機。
【請求項14】
請求項13記載の超伝導回転機の固定子及び回転子を、それぞれ、前記固定子が円管状の流体流通パイプの中途部に中心軸を一致させて取り付けると共に、上記流体流通パイプ内に露出するように上記回転子を配置することで、上記流体流通パイプ内を流通する流体をポンプ駆動することを特徴とする流体駆動システム。
【請求項15】
請求項14記載の流体駆動システムにおいて、
前記ポンプ駆動される流体は冷媒であり、
この冷媒で前記超伝導電機子コイルを冷却するものである
ことを特徴とする流体駆動システム。
【請求項16】
請求項15記載の流体駆動システムにおいて、
前記超伝導誘導回転機は、上記流体流通パイプに沿って所定間隔で設けられていることを特徴とする流体駆動システム。
【請求項17】
請求項1記載の超伝導誘導回転機と、この回転機に給電するための超伝導発電機と、この発電機と回転機を接続する超伝導ケーブルとを有することを特徴とする超伝導駆動力発生システム。
【請求項18】
請求項17記載の超伝導駆動力発生システムにおいて、
前記超伝導誘導回転機、超伝導発電機、超伝導ケーブルを、冷却する共通の冷凍系統を有することを特徴とする超伝導駆動力発生システム。
【請求項19】
請求項17記載の超伝導駆動力発生システムにおいて、
さらに、上記超伝導発電機を駆動するためのガスタービンエンジンを有し、
このガスタービンエンジンは冷媒機能を有するLNG若しくは液体水素を冷凍シスステムで処理したガスである
ことを特徴とする超伝導駆動力発生システム。
【請求項20】
請求項11記載の超伝導駆動力発生システムを航空機に適用した航空機であり、
超伝導誘導回転機を、主翼の上面に並列に設置したものである
ことを特徴とする航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導を利用した誘導誘導回転機及びそれを用いた超伝導駆動力発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体窒素温度近傍(77K)で超伝導に転移する高温酸化物超伝導体(イットリウム系(Y系)、ビスマス系(B i系)の出現、開発に伴い、電動機の分野でも小型、軽量化、高効率化を目指し、さまざまな研究、開発が進められている。
【0003】
電動機への超伝導体の適用については、回転子を超伝導化して固定子は常電導とするものや、回転子、固定子を共に超伝導化するものなどが考えられるが、 交流電動機では電機子コイルに交流を流す必要があるため、電機子コイルに採用する超伝導体には交流損失が発生する問題があり、かつそのコイル形状も複雑になってしまう問題があり、このことから、現在では回転子に超伝導体を適用する電動機の開発が主流になっており、 既に公表されている研究開発の事例として次記のような先行技術文献が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表平8-505515号公報
【文献】再公表特許2009/116219号公報
【文献】特開2013‐240147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のうち、特許文献1の電動機は、 回転子を高温超伝導体と常電導材のトルクシールドとの積層体で構成しており、常温での起動時には固定子に配した電機子コイル(1次巻線)の通電により生成した交番磁界(回転磁界)の印加を受けて回転子のトルクシールドに誘起する誘導電流と前記交番磁界との相互作用による誘導トルクで回転機を誘導モードで始動し、 起動開始から回転子が所定回転速度に達したところで超伝導体を臨界温度以下の超伝導状態に冷却して前記交番磁界を超伝導体に磁束捕捉させて同期回転させるようにしている。
【0006】
この超伝導回転機によれば、 回転子に外部から電力を供給すること無しに運転することが可能で、その分構造が簡略化できる。
【0007】
しかし、回転機の起動時における誘導モードから同期運転に移行させるには超伝導体の臨界温度を判定して超伝導体を臨界温度以下に冷却させる必要があり、その温度昇降のプロセスには比較的長い時間を要するので、電動機の運転応答性が低下する問題がある。このために、 例えば電気自動車のように起動と停止を頻繁に繰り返す用途に適用する回転機では、 トルクシールドに大きなジュール熱(銅損)が発生するため超伝導体を臨界温度以下に保持することが困難と考えられるほか、 銅損が増加すること自体により回転機の効率が低下する要因となる。
【0008】
一方、 前記特許文献1に内在する問題を改善するようにした電動機が特許文献2で提案されている。この超伝導回転機は、かご形誘導回転機のロータコアに常電導線材で作られたロータバー(rotor bar)、およびその両端にエンドリングを接続した常電導かご形巻線と 超伝導線材で作られたロータバーにエンドリングを接続した超伝導かご形巻線とを組み合わせてロータコアの周面に形成したスロットに収容した構成を提供する。
【0009】
この電動機によれば、 常電導状態では常電導かご形巻線に流れる誘導電流と固定子側に配した電機子コイルの通電により生成した回転磁界との相互作用による誘導トルクの主導で起動・運転することができ、 超伝導状態では超伝導かご形巻線が固定子の電機子コイルから印加される回転磁界の磁束を捕捉して同期運転させるようにして、 超伝導の臨界温度に依存しない運転が行えるようにしている。
【0010】
しかしながら、 この特許文献2の電動機においても、 実用化には以下のような課題がある。すなわち、特許文献2の電動機では、 その回転子コアに常電導かご形巻線と超伝導かご形巻線を併設したかご形回転子で構成したことから、超伝導かご形巻線の臨界温度以上の常温で回転機を起動する際には、特許文献1の超伝導回転機におけるトルクシールドと同様に常電導かご形巻線に誘導電流が流れて大きなジュール熱、銅損が発生する。 また、超伝導かご形巻線についても、そのローターバーの両端とエンドリングとを電気的に接続する必要があって巻線構造が複雑化する。 さらにローターバーとエンドリングとの電気的接続には半田付けによる接続法が一般的であるがその接合強度に問題が生じることが多く、耐遠心荷重、長期間使用に対して高い信頼性を確保することが困難である。 そのほか、前記の常電導、超伝導のかご形巻線を重量の重い回転子コアのスロットに収容した構成を採用しているため、超伝導回転機の軽量、小型化が困難である。
【0011】
特許文献3には回転子に組み込んだ超伝導体に外部から電力を供給する必要が無く、かつ回転子には特許文献1におけるトルクシールド、特許文献2における常電導かご形巻線などのジュール発熱を伴う常電導金属体、および重量物である回転子コアを併設せずに、超伝導体の超伝導特性を巧みに利用して小型、軽量化に加えて高効率の回転機能が発揮できるように構成した新規超伝導回転機が開示されている。 すなわち、特許文献3における超伝導回転機は、固定子側に設けた電機子コイルと、平板状の超伝導体を有する超伝導回転子とを備え、前記電機子コイルからの磁界を前記平板状の超伝導体に印加することによって超伝導体に誘起される遮蔽電流と前記磁界との相互作用によって生じる電磁力に基づいて、前記超伝導回転子に回転力を発生させるように構成されている。しかしながら平板状の超伝導体を有する超伝導回転子は、回転死の小型・軽量化には貢献するが、超伝導回転子に回転力を発生させるトルクカの改善が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より小型、で且つ省電力で動作でき、非常に効率的に駆動力を生み出すことのできる超伝導誘導回転機を提供することにある。
【0013】
また、本発明の更なる目的は、簡素な構造で推進力発生システムとして応用範囲の広い超伝導誘導回転機を提供することにある。
【0014】
すなわち、本発明の第1の主要な観点によれば、以下の発明が提供される。
【0015】
(1) 複数の超伝導体電機子コイルが周方向に沿って配置されてなる固定子と、
前記固定子と所定の隙間を介して対向した状態で、中心軸線回りに回転可能に設けられた回転子と
を有し、
前記回転子は、前記固定子に対向する側に配置された円筒状の導電材料層と、この導電材料層の前記固定子に対向する側と反対側面に配置された磁性体層とからなる複合体で構成され、
前記固定子に設けた超伝導体電機子コイルを超伝導状態に冷却した状態で、この電機子コイルが生成した回転磁界により、前記回転子に回転トルクを発生させて回転駆動する
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0016】
(2) 前記(1)の超伝導誘導回転機において、
前記回転子の内周面若しくは外周面に、推進力を生じさせる推進力発生体を固定し、上記回転子の回転駆動により推進力発生体を駆動し、推進力を生じさせる
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0017】
(3) 前記(2)の超伝導誘導回転機において、
前記推進力発生体は、前記回転子の、前記固定子に対向する側と反対側の内周面若しくは外周面に固定されたプロペラブレードである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0018】
(4) 前記(2)の超伝導誘導回転機において、
前記推進力発生体は、前記回転子の、前記固定子に対向する側と反対側の内周面若しくは外周面に固定されたプロペラブレードである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0019】
(5) 前記(2)の超伝導誘導回転機において、
前記推進力発生体は、前記回転子の、前記固定子に対向する側と反対側の内周面若しくは外周面に固定され、対象物との摩擦によりこの回転機からの駆動力を伝達させるトレッド体である
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0020】
(6) 前記(1)の超伝導誘導回転機において、
前記固定子は、複数の超伝導体電機子コイルを保持する固定子本体を有し、
この固定子本体は、低温下で機械的強度を維持し非導電性の材料で形成されているものである
ことを特徴とする超電動誘導回転機。
【0021】
(7) 前記(1)の超伝導誘導回転機において、
前記回転子はこの回転機のアウターロータであり、
前記導電性材料層がこの固定子の内径側に、磁性体層が外径側に設けられている
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0022】
(8) 前記(1)の超伝導誘導回転機において、
前記回転子はこの回転機のインナーロータであり、
前記導電性材料層がこの固定子の外径側に、磁性体層が内径側に設けられている
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0023】
(9) 前記(1)の超伝導誘導回転機において、
前記回転子に放熱フィンを設けたことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0024】
(10) 前記(1)の超伝導誘導回転機において、
前記回転子は、導電体層に帯状の超伝導線材を埋込み、その中心軸線に沿う両端に短絡環を固定して成るものである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0025】
(11) 前記(10)の超伝導誘導回転機において、
前記超伝導線材の両端部は曲成されているものである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0026】
(12) 前記(10)の超伝導誘導回転機において、
前記、導電体層は、上記超伝導線材を埋め込むための溝が形成されているものである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0027】
(13) 前記(1)のの超伝導誘導回転機において、
前記回転子は、導電体層の表面に超伝導線材を周方向及びそれと交差する方向に所定の間隔で配置して成るものである
ことを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0028】
(14) 前記(1)の超伝導誘導回転機において、
前記回転子の内径部に送液プロペラブレードを固定し、この内径部を流通する流体をこの回転子の軸線に沿ってポンプ駆動することを特徴とする超伝導誘導回転機。
【0029】
(15) 前記(14)の超伝導回転機の固定子及び回転子を、それぞれ、前記固定子が円管状の流体流通パイプの中途部に中心軸を一致させて取り付けると共に、上記流体流通パイプ内に露出するように上記回転子を配置することで、上記流体流通パイプ内を流通する流体をポンプ駆動することを特徴とする流体駆動システム。
【0030】
(16) 前記(15)の流体駆動システムにおいて、
前記ポンプ駆動される流体は冷媒であり、
この冷媒で前記超電導電機子コイルを冷却するものである
ことを特徴とする流体駆動システム。
【0031】
(17) 前記(16)の流体駆動システムにおいて、
前記超伝導誘導回転機は、上記液体流通パイプに沿って所定間隔で設けられていることを特徴とする流体駆動システム。
【0032】
(18) 前記(1)の超伝導誘導回転機、この回転機に給電するための超伝導発電機、この発電機と回転機を接続する超伝導ケーブルを有することと特徴とする超伝導駆動力発生システム。
【0033】
(19) 前記(18)の超伝導駆動力発生システムにおいて、
前記超伝導誘導回転機、超伝導発電機、超伝導ケーブルを、冷却する共通の冷凍系統を有することを特徴とする超伝導駆動力発生システム。
【0034】
(20) 前記(18)の超伝導駆動力発生システムにおいて、
さらに、上記超伝導発電機を駆動するためのガスタービンエンジンを有し、
このガスタービンエンジンは冷媒機能を有するLNG若しくは液体水素を冷凍シスステムで処理したガスである
ことを特徴とする超伝導駆動力発生システム。
【0035】
(21) 前記(12)の超伝導駆動力発生システムを航空機に適用した航空機であり、
超伝導誘導回転機を、主翼の上面に並列に設置したものである
ことを特徴とする航空機。
【発明の効果】
【0036】
本発明の構成によれば、回転子を薄厚・軽量の筒状体で構成することができ、高効率且つ高出力の超伝導誘導回転機を得ることができる。
【0037】
また、本発明によれば、回転子を巻線等を有しない単純な円筒体で構成でき、全体構成を小型化、軽量化でき、低コストであるとともに、耐久性、信頼性に優れた回転機を得ることができる。
【0038】
また、上記円筒状の回転子の内面若しくは外面にフィンやプロペラあるいはタイヤなどの推進力発生体を直接取り付ける等することが可能になり、構成が簡単で駆動力伝達損失の少ない推進力発生システムを得ることができる。
【0039】
なお、上記した以外の本発明の特徴は、以下の発明の実施形態において当業者に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る超伝導駆動力発生システムの模式図である。
【0041】
図2図2は、同じく、アルターロータ型の超伝導誘導電動機を示す概略構成図である。
【0042】
図3図3は、同じく、インナーロータ型の超伝導誘導電動機を示す概略構成図である。
【0043】
図4図4は、同じく、固定子を示す上面図である。
【0044】
図5図5は、同じく、固定子を示す斜視図である。
【0045】
図6図6は、同じく、超伝導体電機子コイルを示す上面図及び正面図である。
【0046】
図7図7A,Bは、同じく、超伝導巻線材の一部を示す側面図及び正面図である。
【0047】
図8図8は、同じく、回転子を示す斜視図である。
【0048】
図9図9は、同じく、回転子を示す斜視図である。
【0049】
図10図10は、同じく、固定子と回転子とを組み合わせた状態を示す斜視図である。
【0050】
図11図11A,Bは、別の実施形態に係る固定子を示す上面図及び斜視図である。
【0051】
図12図12は、更なる別の実施形態に係る回転子を示す斜視図である。
【0052】
図13図13は、同じく、回転子の組み立てを示す斜視図である。
【0053】
図14図14は、同じく、回転子の組み立てを示す斜視図である。
【0054】
図15図15は、別の実施形態に係る回転子を示す模式図である。
【0055】
図16図16A,Bは、別の実施形態に係る送液システムを示す模式図である。
【0056】
図17図17は、更なる別の実施形態に係るタイヤシステムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、この発明の最良の実施形態を図面を参照して説明する。
【0058】
(全超伝導推進力発生システム)
図1は、本実施形態にかかる超伝導誘導電動機1を含む全超伝導システム2の構成概念を示す模式図である。
【0059】
このシステム2は、基本的に高効率のガスタービンエンジン3、超伝導発電機4、超伝導インバーター・超伝導ケーブル5、前記超伝導誘導電動機1を有する。このシステム2では、上記ガスタービンエンジン3の燃料として冷媒機能を有するLNG若しくは液体水素を用い、超伝導体を冷却するための冷媒としては液体窒素を用いる。そして、上記燃料及び冷媒を共通の冷凍機6で処理することで、全体的な消費電力を抑えることができるように構成されている。
【0060】
また、この全超伝導システム2では、前記発電機4、超伝導インバータ・ケーブル5、超伝導誘導電動機1を室温を介さずに連結することで、これらを冷却するための冷媒の流路を共通・一体化している。このことで、さらに冷媒負荷の軽減を図ることができ、消費電力を軽減できるように構成されている。
【0061】
この全超伝導システム2は、たとえば、航空機(図にAで示す)に搭載されることが想定されている。
【0062】
現在航空機のジェットエンジンは片翼に1~2基を搭載されているものであるが、この全超伝導推進システムを用いる場合、図1に示すように、例えば4つの超伝導誘導電動機を航空機の上部に翼長方向に所定間隔で分散させて配置する。
【0063】
現行のジェットエンジンは出力が5kW/kgであるが、この全超伝導システムでは理論上20kW/kgの出力を達成することも可能である。そのため、このシステムを航空機に搭載すれば、現行の航空機の半分以下の出力で離陸できるようになる。
【0064】
なお、航空機に適用する場合、電動機の個数や個々の出力は適宜選択可能である。また、航空機に適用する場合、個々の電動機を個別に制御して上下左右への操舵を行えるように構成することも可能である。
【0065】
(アウターロータ型超伝導誘導電動機)
図2は、前記全超伝導システム2に用いる超伝導誘導電動機1として、アウターロータ型電動機1’の実証システム10の概念図を示すものである。この実証システム10は、超伝導誘導電動機1’から十分な出力を得られるかを検証するために構成されたものであり、十分な出力が得られた場合、後述する回転子に取り付けられたプロペラブレード11によって上方向(矢印Bで示す)に駆動され浮上可能なように構成されているものである。
【0066】
以下このアウターロータ型超伝導誘導電動機1’の実証システム10の構成について説明する。
【0067】
図2に12で示すのは基台である。この基台12は円板状に形成され、その中心部の上面には、一対のポール状リニアガイド13が一定の距離離間して平行に立設されている。このリニアガイド13は、上記アウターロータ型誘導電動機1’がプロペラブレード11の推進力によって上方向(矢印B)に駆動された際、上記誘導電動機1’を垂直方向にガイドする役割を果たすものである。
【0068】
このリニアガイド13には、固定子14が上下方向にスライド自在に保持されている。この固定子14は、上下開口部が閉塞されてなる円筒部材によって形成されており、その外周壁部の内面には超伝導体電機子コイル15が配置されている。この固定子14は、超伝導体電機子コイル15の冷却温度を保持するために、所定真空度(例えば10-5~10-6Torr程度)の真空容器を構成している。そして、前記超伝導体電機子コイル15には、前記発電機4(図1)からの電力を供給するための給電リード17が接続され、固定子14の下部から外部に導出されている。
【0069】
また、この固定子14には、筒状の本体を有する回転子18が、上記固定子14との間に所定寸法の隙間を介して外挿されている。固定子14と回転子18との間には、上端部及び下端部に図に19、20で示すベアリングが挿設されている。
【0070】
この回転子18は、固定子14に対向する面に配置された銅やアルミ等の高導電率の非磁性体からなる高導電体層22と、この高導電材料層22のすぐ外側に配置された磁束リタ ーンのための高透磁率の鉄等からなる磁性体層23とからなる薄厚の複合体で構成され、極めて軽量に構成されている。すなわち、この磁性体層23により、高導電性体層22を交差する磁束が増え、これによって、上記高導電体層に誘起される電流が増え、トルクを向上させやすくなりる。
【0071】
ただし、磁性体層23を厚くすると、重量が増えることになるので留意が必要である。
【0072】
また、この回転子18の外周面には、前記プロペラブレード11が設けられている。各プロペラブレード11は、その基部11aをこの回転子18の外周面に例えば溶接によって固定され且つ遠端部11bは上記回転子18の直径方向に沿って外側に延出された状態で、この回転子18の外周に沿って一定の間隔で設けられている。
【0073】
このような構成において、前記固定子14に設けた超伝導体電機子コイル15に給電すると、この電機子コイル15が生成した回転磁界により、回転子18に回転トルクを発生させて回転子18を回転駆動することができる。そして、これにより、上記プロペラブレード11を矢印Cで示す方向に回転させ上記誘導電動機1’を浮上させることができる。
【0074】
なお、上記の構成では上記回転子18の昇温が懸念されるが、上記構成でのプロペラブレード11は放熱フィンとしても機能し、この問題を解決することができる。
【0075】
発明者らは、このような実証実験により、有効な出力効率が得られることを確認し、鋭意実験を継続することで本発明を完成するに至ったものである。
【0076】
(インナーローター型超伝導誘導電動機)
図3は、インナーロータ型超伝導誘導電動機1"を示す模式図である。
【0077】
この誘導電動機1"は、固定子枠26と、この固定子枠26内に固定され、超伝導体電機子コイル27を保持する固定子28と、この電機子コイル27の上部に接続されこのコイル27に給電するための電源リード29と、このコイル27の対向面間に垂直軸回りに回転自在に保持された回転子30と、この回転子30から固定子28上方向に延出され前記固定子枠26の上壁中央部に回転自在に保持された中心軸31と、この軸31の上端部に設置されたプロペラブレード32とを有する。
【0078】
上記固定子枠26は任意の素材、好ましくは断熱機能を奏する素材で形成されたものである。そして、この固定子枠16は、円筒状(若しくは矩形状)の外周壁26aと、この外周壁26aの上方開口及び下方開口を閉塞する上壁部26b及び下壁部26cを有する。この固定子枠26内には、液体窒素を保持するための容器33が固定されている。そして、この固定子枠26は、前記容器33に満たされた超伝導体の冷却温度を保持するために、所定真空度(例えば10-5~10-6Torr程度)の真空空間を構成できるようになっている。
【0079】
ここで、前記容器33は、渦電流損が発生しない絶縁体で且つ低温機械的強度を有する素材、例えばFRPで形成されている。ただし、材料はFRPに限定されているものではなく、同様の性能を有する素材であれば他のものであっても良い。
【0080】
図4は、前記固定子枠26内の容器33に固定される固定子28の上面図、図5は、同じく、固定子28の斜視図を示すものである。
【0081】
この固定子28は、筒状の本体35と、この本体35に装着された超伝導体電機子コイル36とを有する。
【0082】
前記本体35はFRPで形成され、その断面形状は、図4に示すように、6角形の外形を有し、且つ中心部に円形の貫通孔を有する形状となっている。これにより、この本体35は、図5に示すように、内周面は一定の直径を有する管状に形成され、外周面は周方向に沿って矩形状に6面に分割された形状を有するものとして構成されている。
【0083】
そして、この本体35の外周に沿う各面に合計6個の超伝導体電機子コイル36が固定されている。
【0084】
図6は、上記超伝導体電機子コイル36を示す上面図(FIG6A)及び平面図(FIG6B)を示すものである。この実施例の超伝導体電機子コイル36は、鉄などの高透磁率材料のコアを用いず、FRP製のコア37とこれに巻かれた超伝導巻線材38のみで構成されこれにより界磁磁束密度を高くすることが可能な構成となっている。この超伝導巻線材38は、図7(FIG7A、FI7B)に示すように薄厚、細幅のリボン状RE(イットリウム系)系高温超伝導線材である。ただし、超伝導線材は、この形状および素材に限定されるものではなく、他の超伝導材料、例えばビスマス系超伝導材料であっても良い。
【0085】
上記超伝導体電機子コイル36が装着された固定子28は、図3に示すように上記容器33の中央部に固定される。この容器33には、冷媒が満たされ、上記超伝導機子コイル36の冷却は冷媒浸漬冷却法を用いて行われるようになっている。
【0086】
なお、前記電機子コイル36は直列に接続されても良いし並列に接続されていても良い。
【0087】
また、固定子28の内径部内に配置された前記回転子30は、図8に示すように円筒状の部材であり、上記固定子28(本体35)の内周径よりも小さい外径を有する。この回転子30は、図1の例と同様に、固定子28に対向する面に配置されたアルミや銅等の導電材料層39と、この導電層39の内側の面に積層された磁束リタ ーンのための高透磁率の磁性体層40とからなる複合体で構成され、極めて軽量に構成されている。
【0088】
そして、図9に示すように回転子30の上下には蓋体42、43が装着され、この蓋にはこの回転子30をその中心軸に沿って上下に貫通する中心軸31が取り付けられている。
【0089】
図10は、上記固定子28に、回転子30を挿入し、インナーロータ型の誘導電動機ユニットを組み立て状態を示す模式図である。
【0090】
(固定子の他の実施形態)
上記のインナーロータ型誘導電動機1"の固定子28は、本体35の外面に電機子コイル36を6個取り付けた例であったが、この構成に限定されるものではない。
【0091】
図11のFIG11A,FIG11Bに示す例では、上記本体35’を大型化し、12個の電機子コイル36’を本体35’の内面側に固定した例である。このような構成によればより大きな出力を得ることができる。
【0092】
(回転子の他の実施形態)
上記した実施形態は、固定子28側を超伝導化し、回転子30は超伝導化せずに軽量な円筒体で構成した例であったが、図12以下に符号30’で示すような回転子であれば、本発明の作用効果を奏しつつ、回転子30を超伝導化することができ、誘導電動機の高効率化・高出力化を図ることができる。
【0093】
この回転子30’は、外側の導電体層39’(銅で形成された層)に超伝導線材45を上下方向に亘って埋込み、上下に短絡環46,47を取り付けて、上記超伝導線材45同士を接続させてなるものである。超伝導線材45の回転子30’への埋込みは、回転子30’に鎖交する磁束によって誘起される遮蔽電流の密度を向上させる(遮蔽電流を増やす)ことができ、回転子30’が薄厚でも、この回転子30’に大電流を誘起させることができるものである。これにより、トルクが向上し、超伝導誘導機の出力密度を向上させることができる。
【0094】
また、この実施形態では、上記超伝導線材45は銅製の導電体層39’に設けた溝39aにはめ込まれており、かつ、上記溝は上下において一方向に曲成されている。これにより、遮蔽電流をループとして流れるように構成でき、かつ、超伝導線材の特性劣化(臨界電流値の低下)を防止することができる。
【0095】
図12及び図13は、上記溝39aを有する導電体層39’を組み立てるための構成及び工程を説明する図である。
【0096】
この実施形態では、前記回転子(導電体層39’)は上記上下の曲成溝39b、39cを有するリング状の部品50、51と中間部を構成する部品52とを別々に成形して組み立てるものである。なお、この溝39a~39cの深さ方向は、直径に沿う方向に対して若干角度を成すように設けられ、スキューが施されている。高調波トルクや電磁加振力などを抑制できるように構成されている。
【0097】
そして、図13に示すように、上記溝39a~39cの形状に合わせて上下端を曲成したリボン状の超伝導線材45をこの溝39a~39cに嵌め込んで、最後に前記短絡環46,47を上下端に取り付けることにより回転子30’が完成する。
【0098】
なお、前記短絡環46,47は、上記線材45の幅と同じ厚さを有する銅製リング材52の外周部にリボン状の超伝導線材53を水平方向に巻いて上記本体の厚さと同じ幅を有するリング状に構成したものである。
【0099】
なお、上記超伝導線材は上記回転子に埋め込むものでなくても良く、表面に張り付けるものであっても良い。この場合、図15に符号54で示すように、上記超伝導線材は、外周方向に亘って設けるものと、中心軸線と並行する方向に設けるものとを交差させて且つ、所定間隔で設けて網状にし、回転子の導電体層の表面全体を覆うようにすることが好ましい。
【0100】
(超伝導誘導回転機の他の適用例)
図16は、本発明の超伝導体誘導回転機を液体窒素や液体水素用の送液ポンプに適用した例である。
【0101】
すなわち、図16のFIG16A、Bに示すように、この実施形態の送液ポンプ55は、送液パイプ56の中途部に配置されている。
【0102】
この例では、送液ポンプ55としての誘導回転機の固定子57は前記送液パイプ56に固定され、円筒状の回転子58は送液パイプ内に配置され、上記固定子57によって図示しないベアリングを介して超伝導体電機子コイル59と対向する状態で保持されている。
【0103】
前記回転子58は、上述した実施形態と同様に複合体で形成されたものであるが、その内径部を送液パイプを流通する液体が通過するようになっている。そしてこの回転子58の内径部にプロペラフィン60が固定されている。
【0104】
この例では、上記送液パイプ56内を流する液体窒素を上記超伝導電機子コイル59の冷却に使用するように構成されている。このことで、誘導電動機の固定子の構成を簡略化することができる。
【0105】
また、送液パイプ56が長尺に亘る場合には、上記送液ポンプ55は、所定の間隔で複数配置される。この場合でも送液パイプ内を流通する冷媒を上記超伝導電機子コイル59の冷却に使用するものであるから、別に冷却手段を設ける必要がない。
【0106】
したがって、この送液ポンプを図1に示した全超伝導システムの冷媒供給システムに使用することが有効である。
【0107】
図17は、この発明の超伝導誘導電動機を小型の乗用車に組み込んだ例を示すものである。
【0108】
この場合、図2に示したようなアウターロータ型超電導誘導電動機1’を使用し、回転子18の外周面に直接、図17に示すようなタイヤ(トレッド体)61を装着した構成とする。このことで自走するタイヤ61を構成することが可能になる。
【0109】
そして、このタイヤ61を複数取り付けた乗用車62によれば、非常に簡単な構成の小型モビリティーを提供することが可能になる。
【0110】
このような構成によれば、前記回転子が回転駆動されると、この実施形態の誘導回転機は送液パイプ内の液体を送液駆動することができる。
【0111】
以上、本発明の様々な実施形態を説明したが、この発明は上述したものに限定されるものではなく、この発明の趣旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0112】
例えば、上記一実施形態では、図1に示すシステムは、航空機に適用されるものであったが、これに限定されるものではなく、推進力を必要としている適用対象であればどのようなものであっても良い。例えば、乗用車(図17)や列車に適用するようにしても良い。
【0113】
また、上記一実施形態では、推進力を発生させるための方法として、プロペラブレード/フィンを用いたが、回転子の回転によって推進力を生じさせる手段であればどのようなものであっても良い。さらに、これらブレードやフィンを放熱手段として用いる場合、表面積を増大させる手段であればどのような構成であっても良く、例えばハニカム構造体であっても良い。
【0114】
また、地面等の対象物と接触してこの発明の超伝導誘導電動機の駆動力を伝達する場合、図17に示したようななタイヤに限定されるものではなく、キャタピラや歯車のようなものを推進力発生体として装着するものであっても良い。
【参照符号の説明】
【0115】
1…超伝導誘導電動機
2…全超伝導システム
3…ガスタービンエンジン
4…超伝導発電機
5…超伝導インバーター・超伝導ケーブル
6…冷凍機
10…実証システム
11…プロペラブレード
11a…基部
11b…遠端部
12…基台
13…リニアガイド
14…固定子
15…超伝導体電機子コイル
16…固定子枠
17…給電リード
18…回転子
22…高導電体層
23…磁性体層
25…電機子コイル
26…固定子枠
26a…外周壁
26b…上壁部
26c…下壁部
27…超伝導電機子コイル
28…固定子
29…電源リード
30…回転子
31…中心軸
32…プロペラブレード
33…容器
35…本体
36…超伝導電機子コイル
37…コア
38…超伝導巻線材
39…導電体層
40…磁性体層
42、43…蓋体
45…超伝導線材
46、47…短絡環
52…銅製リング材
53…超伝導体線材
54…超伝導体線材
55…送液ポンプ
56…送液パイプ
57…固定子
58…回転子
59…超伝導電機子コイル
60…プロペラフィン
61…タイヤ
62…乗用車(小型モビリティー)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17