(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】薬液容器の展示体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/36 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
B65D75/36
(21)【出願番号】P 2019210279
(22)【出願日】2019-11-21
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】井實 勇人
(72)【発明者】
【氏名】中須賀 洋平
(72)【発明者】
【氏名】石山 龍太郎
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-091254(JP,A)
【文献】実開昭59-159559(JP,U)
【文献】特開2003-54629(JP,A)
【文献】特開2002-12259(JP,A)
【文献】特開2005-22668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液容器を展示するための展示体であって、
正面及び裏面を有するシート状の台紙と、
前記台紙に固定される合成樹脂製のブリスター部品と
を備え、
前記ブリスター部品は、
全体が前記台紙の前記正面から前方へ膨出し、内部に前記薬液容器を収容するための第1空間を規定する第1膨出部と、
全体が前記台紙の前記正面から前方へ膨出し、前記第1空間の下方において前記第1空間に連通しており、前記第1空間に収容されている前記薬液容器が侵入できない形状に構成されている第2空間を規定する第2膨出部と
を含み、
前記第1膨出部と前記第2膨出部とは、接触して
おり、
前記第1膨出部および前記第2膨出部は、後方の全体に開口が形成されている
展示体。
【請求項2】
前記台紙は、開口部が形成され、
前記第1膨出部及び前記第2膨出部は、前記台紙の前記裏面から前記開口部に挿入されることによって前記第1空間及び前記第2空間が規定され、
前記第1空間及び前記第2空間を閉じるシート状のシート部材をさらに備える
請求項1に記載の展示体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の展示体と、
前記第1空間に収容された前記薬液容器と
を備える、
パッケージ製品。
【請求項4】
前記第2空間に収容された付属品
をさらに備える、
請求項3に記載のパッケージ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液容器を展示するための展示体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、芳香剤等の薬液容器を店頭で展示するべく包装した各種の展示体が知られている。典型的には、薬液容器を合成樹脂製のブリスター容器に収容し、これを台紙に取り付ける。ブリスター容器は、透明に形成されており、薬液容器を外部から視認することを可能にする。一方で、台紙は、そこに印刷されている文字や図案等により、薬液容器を宣伝広告し、装飾する役割を果たす。また、このような展示体は、薬液容器を保護する役割も果たす。特許文献1は、この種の展示体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、店頭でのいたずら等により薬液容器が開封されてしまうと、周囲の温度や湿度等の環境条件によっては、薬液が薬液容器から漏れ出す虞がある。そして、ブリスター容器において薬液容器が収容された空間の下部と、薬液容器とが接していると、薬液が薬液容器から漏れ出したことに気が付かずに放置され、展示体が陳列されている周囲環境が汚染される虞がある。また、ブリスター容器がシェルパックのような複雑な構造の場合、合成樹脂の使用量が増えてしまう。なお、ここでいうシェルパックとは、2枚の合成樹脂製のシート(少なくとも一方が、内部に商品を収容することができる膨出部を有する)を端縁で連結し、両シートを対面させるように当該端縁に沿って折り返したブリスター容器を意味する。
【0005】
本発明は、薬液が漏れ出したことを確認し易い展示体及びこれを備えるパッケージ製品を提供することを目的とする。また、例えば、ブリスター部品にシェルパックのような複雑な構造を使用しない場合は、薬液が漏れ出したことを確認し易く、合成樹脂の使用量が低減された環境に優しい展示体及びこれを備えるパッケージ製品を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る展示体は、薬液容器を展示するための展示体であって、正面及び裏面を有するシート状の台紙と、前記台紙に固定される合成樹脂製のブリスター部品とを備える。前記ブリスター部品は、前記台紙の前記正面から前方へ膨出し、内部に前記薬液容器を収容するための第1空間を規定する第1膨出部と、前記台紙の前記正面から前方へ膨出し、前記第1空間の下方において前記第1空間に連通しており、前記第1空間に収容されている前記薬液容器が侵入できない大きさに構成されている第2空間を規定する第2膨出部とを含む。
【0007】
本発明の第2観点に係るパッケージ製品は、第1観点に係る展示体と、前記第1空間に収容された前記薬液容器とを備える。
【0008】
本発明の第2観点に係るパッケージ製品は、前記第2空間に収容された付属品をさらに備える。
【発明の効果】
【0009】
上記の観点によれば、ブリスター部品は、台紙の正面から前方へ膨出し、内部に薬液容器を収容するための第1空間を規定する第1膨出部と、同じく台紙の正面から前方へ膨出し、第1空間の下方において第1空間に連通する第2空間を規定する第2膨出部とを含む。第2空間は、第1空間に収容されている薬液容器が侵入できない形状に構成されている。そのため、展示体に薬液容器が収容されたとき、薬液容器の下方には、空間(第2空間)が確保される。当該空間(第2空間)は、薬液容器から薬液が漏れ出した場合に、当該薬液を溜める液溜まり部として機能し得る。従って、使用者は、第2空間の状態を目視することにより、薬液が漏れ出したことを容易に確認することができる。また、例えば、ブリスター部品にシェルパックのような複雑な構造を使用しない場合は、合成樹脂の使用量が低減されるため、環境に優しい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る展示体及びこれを備えるパッケージ製品を正面左側から視た外観斜視図。
【
図2】パッケージ製品を背面右側から視た外観斜視図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る商品(薬液容器)の正面図。
【
図6】カバー部材を開いた状態の薬液容器の正面図。
【
図7】クリップが取り付けられた状態の薬液容器の左側面図。
【
図9】ブリスター部品を正面左側から視た外観斜視図。
【
図10】ブリスター部品を背面右側から視た外観斜視図。
【
図11】
図2の状態からシール部材を剥がしたときの様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る展示体及びこれを備えるパッケージ製品について説明する。
【0012】
<1.パッケージ製品の概略構成>
図1~
図3に、本実施形態に係る展示体1及びこれを備えるパッケージ製品100の外観図を示す。
図1は、パッケージ製品100を正面左側から視た斜視図であり、
図2は、パッケージ製品100を背面右側から視た斜視図であり、
図3は、パッケージ製品100の左側面図である。なお、特に断らない限り、パッケージ製品100の説明において、上、下、左、右、前(正面)及び後(背面、裏面)は、
図1~
図3に示す通りに定義される。
【0013】
パッケージ製品100は、商品2と、商品2を展示するべく包装する展示体1とを備え、店頭に設置される陳列棚等に陳列される。展示体1は、シート状の台紙4と、台紙4に固定される合成樹脂製のブリスター部品3とを有する。本実施形態の展示体1は、自立型であり、ブリスター部品3の下部には、展示体1を起立させるように、後方へ突出する脚部32が配置される。また、ブリスター部品3の正面には、前方へ膨出する膨出部33が配置されており、膨出部33は、内部に商品2を収容するための空間S1(
図11参照)を規定する。本実施形態では、ブリスター部品3は、透明の樹脂材料から構成されている。そのため、膨出部33により規定される空間S1に収容された商品2は、本来であれば外部から視認可能であるが、
図1及び
図3では、商品2の図示は省略されている。以下、商品2及び展示体1の構造を詳細に説明する。
【0014】
<2.各部の構成>
<2-1.商品(薬液容器)>
本実施形態では、展示体1には、商品2として、薬液容器が収容される。以下、薬液容器にも、同じく参照符号2を付すことがある。
図4及び
図5に、それぞれ、薬液容器2の正面図及び背面図を示す。薬液容器2は、周囲の空間に薬液を揮散させることにより、薬液が有する様々な効能を周囲の空間に提供する装置である。
【0015】
ここで使用される薬液は、特にその種類は限定されないが、典型的には芳香剤、消臭剤又は防虫剤、或いはこれらの混合物であり、使用目的に応じて、香料、消臭成分、防虫成分、着色料等の添加剤が含有される。薬液に含まれる溶媒は、使用される添加剤の種類に応じて適宜選択され、親水性溶媒又は親油性溶媒、或いはこれらの混合物とすることができる。薬液が香料を含む場合には、その香り強度を高めるために、溶媒として少なくとも親油性溶媒を含むことが好ましい。親水性溶媒としては、例えば、水又はエタノール、或いはこれらの混合物を使用することができる。親油性溶媒としては、例えば、グリコールエーテル又はイソパラフィン系溶媒、或いはこれらの混合物を使用することができる。また、薬液には、香料、消臭成分、防虫成分、着色料等の機能性成分を可溶化させるために、溶解剤が含まれていてもよい。
【0016】
図4及び
図5に示されるように、薬液容器2は、薬液が収容された容器20と、容器20の上部を覆うカバー部材21とを有する。カバー部材21は、開閉式に構成されており、
図6に、カバー部材21を開いた状態の薬液容器2の正面図を示す。
図6に示すように、容器20は、その上部に口部201を有し、口部201には、上下に延びるように吸液芯22が差し込まれている。吸液芯22は、薬液を吸い上げる部材である。口部201には、口部201とともに、吸液芯22において口部201から上方へ突出する部分を覆うキャップ23が着脱自在に取り付けられる。なお、
図6において、容器20及びキャップ23により覆われている口部201及び吸液芯22の位置は、点線で示されている。また、本実施形態では、容器20は透明に構成されており、本来であればその内部を外部から視認可能であるが、
図4、
図5及び
図7では、容器20内の様子の図示は省略されている。
【0017】
口部201にキャップ23が装着された状態では、吸液芯22において口部201から上方へ露出した部分は、キャップ23により概ね密閉され、外部空間から遮断される。従って、この状態では、吸液芯22からの薬液の揮散が生じない。そのため、キャップ23は、薬液容器2の非使用時において容器20に取り付けられ、使用時に取り外される。薬液容器2の使用時には、上述したカバー部材21を開き、キャップ23を取り外した後、カバー部材21を再度閉じる。
図5に示すように、キャップ23の背面及び上面には、揮散口211が多数形成されている。従って、キャップ23が取り外されると、カバー部材21が閉じられた状態であっても、以上の揮散口211を介して、薬液の含浸した吸液芯22から薬液が周囲の空間に揮散し始め、薬液の効能を発揮する。
【0018】
これに限定されないが、本実施形態の薬液容器2は、自動車用であり、車内に設置される。より詳細には、薬液容器2は、車載のエアコンの空気の吹出口に配置されるルーバーに取り付けられる。これにより、薬液容器2は、エアコンの吹出口から吹き出される気流に乗せて、車内に薬液を効率的に行き渡らせることができる。これを効率的に実現するために、パッケージ製品100には、薬液容器2とともに、薬液容器2の付属品として、
図7に示すクリップ24が収容されている。クリップ24は、上述のカバー部材21に対し着脱自在であり、
図7は、カバー部材21にクリップ24が取り付けられた状態の薬液容器2の左側面図を示す。より具体的には、
図5に示すように、カバー部材21の背面の略中央には、クリップ24の基部241を挿入することができる挿入口212が形成されている。クリップ24の基部241及びカバー部材21の挿入口212は、前者が後者に挿入されたときに、クリップ24がカバー部材21に対し強固に固定されるように構成されている。クリップ24は、基部241から上下に分かれて後方へ延びる一対の突出片242及び243を有し、これらの突出片242及び243の間の隙間にルーバーを差し込むことにより、薬液容器2が空気の吹出口の近傍に固定される。この状態で、エアコンの吹出口から吹き出される気流は、上述した揮散口211を介してカバー部材21の内部に入り込み、再び揮散口211を介して、薬液を乗せた状態で、カバー部材21の内部から周囲の空間へと送り出される。
【0019】
<2-2.展示体>
次に、展示体1について説明する。展示体1は、合成樹脂製のブリスター部品3と、ブリスター部品3に支持される台紙4とを有する。
図8は、台紙4単体の正面図であり、
図9及び
図10は、ブリスター部品3をそれぞれ正面左側及び背面右側から視た外観斜視図である。ブリスター部品3を構成する樹脂材料の種類は、特に限定されないが、好ましい例を挙げると、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成することができる。本実施形態のブリスター部品3は、同じ樹脂材料から一体的に構成されている。
【0020】
台紙4は、1枚の厚紙から構成されており、略矩形状の平らなシート状に形成されている。一方、ブリスター部品3は、前後方向に凹凸形状を有する。より具体的には、ブリスター部品3は、平らなシート状の基面部31と、基面部31の上部近傍から前方へ向かって立ち上がり、前方へ膨出する膨出部33とを有する。本実施形態の基面部31は、単層構造のシート状に構成されている。膨出部33は、上記の通り、内部に薬液容器2を収容するための空間S1を規定する。
【0021】
また、ブリスター部品3は、基面部31の下部近傍から後方へ向かって立ち上がり、後方へ延びる脚部32をさらに有する。
図2に示す通り、台紙4にブリスター部品3を固定したとき、脚部32は、台紙4の下部と概ね同じ高さ位置に配置され、台紙4の下部とともに、展示体1の下部を構成する。従って、脚部32は、台紙4の下部近傍において台紙4の裏面から後方へ延びており、パッケージ製品100をしっかりと起立させることができる。また、本実施形態では、脚部32も、膨出部33と同様に、基面部31から膨出しており、内部に空間S3が形成される。よって、脚部32は、膨らみを有しており、少ない合成樹脂量にも関わらず全体として大きく構成され、その結果、パッケージ製品100をより安定して起立させることができる。
【0022】
また、
図2及び
図10に示す通り、本実施形態の脚部32は、基面部31の左右の端部近傍からそれぞれ後方へ長く延びる2本の長脚321及び321を有する。パッケージ製品100の起立姿勢では、台紙4及び基面部31は、上方へ向かう程、後に傾く後傾姿勢となり、長脚321及び321の後端部が展示面に接する。
図3に示す通り、長脚321はいずれも、側面視において略台形状であり、水平に延びる底面部321aと、基面部31から後方へ離れるにつれて下方へ傾斜する上面部321bと、底面部321a及び上面部321bの後縁どうしを連結するように上下方向に延びる後面部321cとを有する。底面部321a及び上面部321bは、いずれも平面状の基面を有し、当該基面上において、それぞれ、左右方向の略中央部を前後方向に延びるリブ322a及び322bをさらに有する。なお、後面部321cにも、左右方向の略中央部を上下方向に延びるリブ322cが形成されており、後面部321c上のリブ322cは、底面部321a上のリブ322aと上面部321b上のリブ322bとを連結するように延びている。本実施形態では、リブ322a~322cの長手方向に直交する断面は、半円状であるが、三角形状や四角形状等、様々な形状に構成することができる。以上のリブ322a~322cは、特にパッケージ製品100の重量が加わる長脚321及び321の強度を向上させ、パッケージ製品100をより安定して起立させることができる。
【0023】
ブリスター部品3は、基面部31から前方へ膨出する膨出部33の他、
図1及び
図3に示す通り、同じく基面部31から前方へ膨出するもう1つの膨出部34を有する。以下、これらの膨出部33及び34を区別して、前者を第1膨出部と呼び、後者を第2膨出部と呼ぶことがある。第2膨出部34は、第1膨出部33により規定される空間S1の下方において、同空間S1に連通する空間S2(
図11参照)を規定する。以下、これらの空間S1及びS2を区別して、前者を第1空間と呼び、後者を第2空間と呼ぶことがある。
【0024】
本実施形態では、薬液容器2の前後、左右及び上下の幅は、それぞれ第1空間S1の前後、左右及び上下の幅に略等しい。また、第1空間S1の下方に連通する第2空間S2は、
図3に示す通り、第1空間S1よりも前後の厚みが小さく、また、
図1に示す通り、左右の幅も第1空間S1よりも僅かに狭い。以上の結果、第2空間S2は、第1空間S1に収容されている薬液容器2が侵入できない形状に構成されており、薬液容器2は、空間S1内で概ね移動することができない。
【0025】
ところで、店頭でのいたずら等の何らかの理由により、例えば、キャップ23が取り外される等して、薬液容器2が開封されてしまうと、周囲の温度や湿度等の環境条件によっては、薬液が薬液容器2から漏れ出す虞がある。そして、仮にブリスター部品3において薬液容器2が収容された空間の下部と、薬液容器2とが接していると、薬液容器2が視界を遮り、薬液が薬液容器2から漏れ出したことに気が付かずに放置され、展示体1が陳列されている周囲環境が汚染される虞がある。これに対し、本実施形態では、空間S1に薬液容器2が収容されたときに、薬液容器2の下方には、空間S2が確保される。そして、当該空間S2は、薬液容器2から薬液が漏れ出した場合に、当該薬液を溜める液溜まり部として機能し得る。従って、使用者は、第2空間S2の状態を目視することにより、薬液が漏れ出したことを容易に確認することができる。
【0026】
以上の通り、第2空間S2の横断面の面積A2は、第1空間S1の横断面の面積A1よりも小さい。ここで、第2空間S2の横断面の面積A2が小さい程、薬液容器2から薬液が漏れ出したときに、第2空間S2に溜まる薬液の液面が上昇し易くなり、薬液が漏れ出していることの確認がより容易になる。同観点からは、A2≦(3/4)・A1であることが好ましく、A2≦(2/3)・A1であることがより好ましく、A2≦(1/2)・A1であることがより好ましい。また、A2≧(1/10)・A1であることが好ましく、A2≧(1/8)・A1であることがより好ましく、A2≧(1/5)・A1であることがより好ましい。
【0027】
本実施形態では、第2空間S2には、薬液容器2の付属品としてのクリップ24が収容される。なお、第2空間S2内のクリップ24の存在は、薬液容器2から薬液が漏れ出したときに、第2空間S2に溜まる薬液の液面をさらに上昇させるのに寄与する。従って、本実施形態では、薬液が漏れ出していることの確認がさらに容易になる。
【0028】
図8に示す通り、台紙4の略中央部には、開口部40が形成されている。開口部40は、略矩形状であり、第1空間S1及び第2空間S2を組み合わせた空間の正面視形状と略一致する。そして、ブリスター部品3を台紙4に取り付けるときに、膨出部33及び34は、台紙4の裏面側から開口部40に挿入され、台紙4の正面から前方へ膨出する。このとき、ブリスター部品3の基面部31は、台紙4の裏面に対面し、接触するように配置される。
【0029】
ブリスター部品3の膨出部33及び34が台紙4の開口部40に挿入されたとき、膨出部33及び34により規定される空間S1及びS2は、後方が開口している。そして、当該開口を介して、空間S1及びS2に、それぞれ薬液容器2及びクリップ24が収容される。また、当該開口は、空間S1及びS2から薬液容器2及びクリップ24を取り出すための取出口にもなる。
【0030】
図2及び
図11に示すように、空間S1及びS2は、シート状のシール部材5により閉じられる。
図11は、
図2の状態からシール部材5を剥がしたときの様子を示している。なお、
図11では、クリップ24の図示は省略されている。より具体的には、シール部材5は、空間S1及びS2の後方の取出口を閉じるように、台紙4の開口部40の周辺において台紙4の裏面に貼着される。このとき、本実施形態では、シール部材5は、ブリスター部品3に含まれるフランジ部311にも貼着される。フランジ部311とは、基面部31の一部であり、空間S1及びS2の取出口を囲むように基面部31の上部に配置される略角環状の部位である。フランジ部311は、台紙4の裏面に対面する。上述の膨出部33及び34は、フランジ部311の内側縁から前方へ立ち上がる。
【0031】
シール部材5は、台紙4の裏面及びフランジ部311から剥離可能であり、本実施形態では、特に台紙4の裏面及びフランジ部311に対し再封可能に貼着される。シール部材5は、一枚のシート本体の片面上の所定の領域に、接着剤からなる接着層を積層した部材である。本実施形態では、略矩形状のシート本体の片面の外周部に沿って、接着剤が塗布されている。シール部材5に含まれるシート本体の材質は、適宜選択することができ、例えば、紙製や布製、合成樹脂製とすることができる。
【0032】
図2に示すように、シール部材5は、接着性のない中央領域51と、中央領域51を囲み、以上の接着層が形成されており、接着性を有する周辺領域52とを有する。周辺領域52は、フランジ部311と、台紙4の裏面上においてフランジ部311の近傍であってフランジ部311を囲む領域とに対面し、これらに接着される。これにより、シール部材5は、薬液容器2及びクリップ24が収容された空間S1及びS2を閉じるとともに、台紙4との間にブリスター部品3のフランジ部311を挟み込むことにより、台紙4に対するブリスター部品3の位置を固定する。一方、空間S1及びS2の取出口を覆う中央領域51には、接着層が形成されていないため、薬液容器2及びクリップ24に接着剤が付着することがない。
【0033】
脚部32により規定される空間S3は、前方において開口している(
図9参照)。そして、ブリスター部品3を台紙4に取り付けるべく、膨出部33及び34が開口部40に挿入されたときに、空間S3の当該開口は、前方において台紙4に覆われる。このとき、フランジ部312は、台紙4の裏面に接触する。なお、フランジ部312とは、基面部31の一部であり、空間S3の前方の開口を囲むように基面部31の下部に配置される略角環状の部位である。
【0034】
図8に示す通り、台紙4の下部において左右方向の略中央部には、逆U字型の切込み41が形成されている。一方、ブリスター部品3のフランジ部312において長脚321及び321の間に挟まれる部位312a(
図1及び
図9参照)は、以上の切込み41に上方から挿入される挿入片として機能する。そして、部位312aが切込み41に挿入されることにより、脚部32が台紙4の裏面から離間することが防止され、台紙4とブリスター部品3との組み立て性が向上する。また、ブリスター部品3の部位312aが切込み41に挿入されることにより、ブリスター部品3を台紙4に取り付けるときの両者の位置合わせが容易になる。
【0035】
台紙4の上部において左右方向の略中央部には、略円形状の孔42が形成されている。これにより、パッケージ製品100は、陳列棚等の展示面上に起立させる態様の他、陳列棚等のフックに孔42を引っ掛けることにより、宙吊りの態様で展示することもできる。
【0036】
台紙4の正面には、薬液容器2を宣伝広告し、説明し、装飾する文字や図案等が適宜印刷される。本実施形態では、脚部32が台紙4の裏面側に配置されるため、台紙4の正面の印刷面積を十分に確保することができる。なお、台紙4の正面だけでなく、台紙4の裏面にも、適当な文字や図案等を印刷することができる。
【0037】
<3.特徴>
<3-1>
上記実施形態のブリスター部品3では、その基面部31が単層構造のシート状に構成されている。従って、使用される合成樹脂量が少なくなるため、コスト安であるとともに、環境負荷が低減される。また、基面部31に使用される合成樹脂量が少なくなるため、基面部31全体の厚みは比較的薄くなるものの、基面部31には、前方上部及び後方下部に分かれて、それぞれ膨出部33及び脚部32が連続している。従って、パッケージ製品100は、略水平に延びる展示面上に脚部32を配置したときに、前後方向及び上下方向にバランスを保つことができ、パッケージ製品100を安定して起立させることができる。また、上記実施形態では、基面部31に対面しつつ、後傾姿勢で配置される台紙4も、パッケージ製品100の安定した起立に寄与する。
【0038】
<3-2>
従来、しばしば、ブリスター容器は、台紙に対し熱溶着の態様により取り付けられてきた。しかし、台紙表面に付着しているインクやコーティング剤等の種類によっては、合成樹脂製のブリスター容器との間で溶着不良が生じ得るため、台紙表面の仕様が制限されてきた。この点、上記実施形態では、台紙4に貼着されるシール部材5により、薬液容器2及びクリップ24を収容するための空間S1及びS2が閉じられるとともに、台紙4に対しブリスター部品3が固定される。よって、熱溶着によらずとも(あるいは、熱溶着する箇所を減らしつつも)、展示体1を適切に組み立てることができる。また、上記実施形態では、脚部32が台紙4の裏面側に配置されるため、脚部32の存在が台紙4の正面の仕様を制限することがない。従って、台紙4の構成の自由度が増す。
【0039】
<3-3>
上記実施形態では、展示体1に収容された薬液容器2の下方には、薬液を溜める空間(第2空間S2)が確保される。従って、使用者は、第2空間S2の状態を目視することにより、薬液容器2から薬液が漏れ出した場合に、そのことを容易に確認することができる。
【0040】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0041】
<4-1>
第2空間S2に収容される付属品は、商品2の種類に応じて適宜選択することができる。あるいは、空間S2には、何も収容されなくてもよい。
【0042】
<4-2>
上記実施形態では、台紙4の下部に、切込み41が形成され、ブリスター部品3における脚部32の近傍に、切込み41に挿入される挿入片(部位312a)が形成された。しかしながら、台紙4の下部に挿入片を形成し、ブリスター部品3における脚部32の近傍にこれが挿入される切込みを形成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 パッケージ製品
1 展示体
2 商品(薬液容器)
24 クリップ(付属品)
3 ブリスター部品
31 基面部
311 フランジ部
32 脚部
33 膨出部(第1膨出部)
34 膨出部(第2膨出部)
4 台紙
5 シール部材
51 中央領域
52 周辺領域
S1 空間(第1空間)
S2 空間(第2空間)