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特許7561156マスクの欠陥を修復するための方法、装置、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】マスクの欠陥を修復するための方法、装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/74 20120101AFI20240926BHJP
   G03F 1/22 20120101ALI20240926BHJP
【FI】
G03F1/74
G03F1/22
【請求項の数】 31
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022052210
(22)【出願日】2022-03-28
(65)【公開番号】P2022151871
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】10 2021 203 075.0
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス シェーネベルク
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ブダッハ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ バウアー
(72)【発明者】
【氏名】イェンス オスター
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-306539(JP,A)
【文献】特開2000-347385(JP,A)
【文献】特開2004-287321(JP,A)
【文献】特開2010-109164(JP,A)
【文献】特開2018-072665(JP,A)
【文献】特開2020-160187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 1/00~1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ用マスク(10、20)、特にEUVマスクの欠陥を修復するための方法(100、200)であって、
a.第1の修復量(125)を使用して前記欠陥に対して第1の修復ステップ(120)を実行することであって、結果として前記欠陥が初期トポロジー(110)から第1の欠陥トポロジー(130)へ移行する、実行することと、
b.前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの影響を決定すること(140)と、
c.前記欠陥に対する第2の修復ステップ(150)によって達成されることが意図される、前記欠陥の第2の欠陥トポロジー(160)を決定することと、
d.前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの前記決定された影響および前記第2の欠陥トポロジーに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の修復ステップのための第2の修復量を決定することとを含み、
前記欠陥の前記トポロジーが、前記マスク上の位置に依存する前記欠陥の特徴を含
前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの前記影響を決定するステップb.が、前記第1の修復ステップの実行によって生じる前記欠陥の前記トポロジーの変化を決定すること、特に、前記第1の欠陥トポロジーと前記初期トポロジーとを比較することを含む、方法(100、200)。
【請求項2】
e.前記第2の修復量を使用して前記第2の修復ステップを実行することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の修復ステップが、調整ステップとして、所望の最終的な修復成功の50%未満が得られる調整ステップとして実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の修復ステップが、調整ステップとして、所望の最終的な修復成功の30%未満が得られる調整ステップとして実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の修復ステップが、調整ステップとして、所望の最終的な修復成功の15%未満が得られる調整ステップとして実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の修復ステップが、所望の最終的な修復成功の50%超を得ることを目標とする第1の修復量が、前記第1の修復ステップのために決定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの前記影響を決定するステップb.が、前記欠陥の前記トポロジーの前記決定された変化および前記第1の修復量に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の修復ステップの第1のプロセス速度を決定することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
リソグラフィ用マスク(10、20)、特にEUVマスクの欠陥を修復するための方法(100、200)であって、
a.第1の修復量(125)を使用して前記欠陥に対して第1の修復ステップ(120)を実行することであって、結果として前記欠陥が初期トポロジー(110)から第1の欠陥トポロジー(130)へ移行する、実行することと、
b.前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの影響を決定すること(140)と、
c.前記欠陥に対する第2の修復ステップ(150)によって達成されることが意図される、前記欠陥の第2の欠陥トポロジー(160)を決定することと、
d.前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの前記決定された影響および前記第2の欠陥トポロジーに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の修復ステップのための第2の修復量を決定することとを含み、
前記欠陥の前記トポロジーが、前記マスク上の位置に依存する前記欠陥の特徴を含み、
e.前記第2の修復量を使用して前記第2の修復ステップを実行することをさらに含み、
前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの前記影響を決定するステップb.が、前記第1の修復ステップの実行によって生じる前記欠陥の前記トポロジーの変化を決定すること、特に、前記第1の欠陥トポロジーと前記初期トポロジーとを比較することを含み、
前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの前記影響を決定するステップb.が、前記欠陥の前記トポロジーの前記決定された変化および前記第1の修復量に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の修復ステップの第1のプロセス速度を決定することを含み、
前記欠陥が複数の材料層を含み、
前記第1の修復量を使用する前記第1の修復ステップが、第1の材料を含む第1の材料層上で実行され、
前記第2の修復量を使用する前記第2の修復ステップが、前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む第2の材料層上で実行され、
前記第1の修復ステップの前記第1のプロセス速度が前記第1の材料に関連して決定され、
前記第2の修復量の決定が、前記第2の材料層の厚さと、前記第1の材料上の前記第1の修復ステップに関連する前記第2の材料上の前記第2の修復ステップのプロセス選択性とを考慮することをさらに含む、方法。
【請求項9】
前記第1の修復ステップが、調整ステップとして、所望の最終的な修復成功の50%未満が得られる調整ステップとして実行される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の修復ステップが、調整ステップとして、所望の最終的な修復成功の30%未満が得られる調整ステップとして実行される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の修復ステップが、調整ステップとして、所望の最終的な修復成功の15%未満が得られる調整ステップとして実行される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の修復ステップが、所望の最終的な修復成功の50%超を得ることを目標とする第1の修復量が、前記第1の修復ステップのために決定される、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記欠陥の前記トポロジーが、前記マスク上の位置に依存する前記欠陥の高さを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記欠陥の前記トポロジーが、以下の情報項目、すなわち、前記欠陥の横方向範囲、前記欠陥の3次元構造のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の修復ステップのための前記第2の修復量を決定するステップd.が、異なる欠陥タイプについての1つまたは複数の調整曲線をさらに考慮し、前記曲線により、前記欠陥の修復挙動を推定することができる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数の調整曲線が、前記方法の現在の反復および/または1つもしくは複数の先行する反復中に手動でまたは自動的に作成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の欠陥トポロジーが所望の最終トポロジーを表す、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の欠陥トポロジーが前記方法の中間目標を表し、前記欠陥の所望の最終トポロジーが得られるまで、前記方法がステップb.~e.を反復的に実行する、請求項2~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記得られた最終トポロジーを検証することをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の修復量および/または前記第2の修復量が、位置に依存して変動する、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の修復ステップおよび/または前記第2の修復ステップが、エッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のプロセス速度が位置に依存して決定される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が真空中で実行される、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が修復および分析の組合せ装置で実行される、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記欠陥が、1つまたは複数の調整曲線が知られている既知の欠陥タイプに対応し、前記方法が、前記欠陥の修復挙動を使用して、前記方法の安定性および/または前記方法が実行される装置の安定性に関する結論を導き出すことをさらに含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
様々な材料についての基準プロセス速度が既知であり、前記方法が、前記欠陥の修復挙動を使用して、前記欠陥の材料組成に関する結論を導き出すことをさらに含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
実行時に、リソグラフィ用マスクの欠陥を修復するための装置に、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法を実行するように促す命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項28】
実行時に、前記欠陥を修復するための前記装置に、第1の修復量を使用して前記欠陥に対して第1の修復ステップを調整ステップとして自動的に実行し、前記欠陥のトポロジーに対するこの調整ステップの影響を自動的に決定し、前記調整ステップの前記決定された影響および前記第1の修復量に少なくとも部分的に基づいて、第2の修復量を自動的に決定し、前記第2の修復量を使用して第2の修復ステップを実行して第2の欠陥トポロジーを得ることができるように促す命令をさらに含む、請求項27に記載のコンピュータプログラム。
【請求項29】
請求項1~26のいずれか1項に記載の方法(100、200)を実行するように設計されている、リソグラフィ用マスク(10、20)、特にEUVマスクの欠陥を修復するための装置(300)。
【請求項30】
a.第1の修復量を使用して前記欠陥に対して第1の修復ステップを実行するための手段(330)であって、結果として前記欠陥が初期トポロジーから第1の欠陥トポロジーへ移行する手段と、
b.前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの影響を決定するための手段(310、350)と、
c.前記欠陥に対する第2の修復ステップによって達成されることが意図される、前記欠陥の第2の欠陥トポロジーを決定するための手段と、
d.前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの前記決定された影響および前記第2の欠陥トポロジーに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の修復ステップのための第2の修復量を決定するための手段(320)とを含み、
前記欠陥の前記トポロジーが、前記マスク上の位置に依存する前記欠陥の特徴を含
前記欠陥の前記トポロジーに対する前記第1の修復ステップの前記影響を決定するための手段b.が、前記第1の修復ステップの実行によって生じる前記欠陥の前記トポロジーの変化を決定し、特に、前記第1の欠陥トポロジーと前記初期トポロジーとを比較する、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
請求項27に記載のコンピュータプログラムが格納されたメモリと、
前記メモリに含まれる命令を実行するための手段であって、前記命令の実行時に、前記欠陥を修復するための前記装置が、前記第1の修復量を使用して前記欠陥に対して前記第1の修復ステップを調整ステップとして自動的に実行し、前記欠陥の前記トポロジーに対するこの調整ステップの影響を自動的に決定し、前記調整ステップの前記決定された影響および前記第1の修復量に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の修復量を自動的に決定し、前記第2の修復量を使用して前記第2の修復ステップを実行して前記第2の欠陥トポロジーを得ることができるようにする、手段と
をさらに備える、請求項29または30に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィ用マスクの欠陥、特にEUVリソグラフィ用マスク(以下で「EUVマスク」と略す)の欠陥を修復する(repair:修理する、直す、補う、穴埋めする)ための方法、装置、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスにおいて集積密度が着実に高くなる結果として、リソグラフィマスク(以下で単に「マスク」と略すことが多い)は、よりいっそう小さい構造要素をウェハのフォトレジスト層に結像する(image)必要がある。これらの要件を満たすために、露光波長が、よりいっそう短い波長にシフトしている。現在、フッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザが主に露光用に使用されており、これらのレーザは193nmの波長で放射する。極端紫外線(EUV)波長範囲(10nm~15nm)で放射する光源、および対応するEUVマスクに関する集中的な研究が行われている。従来のバイナリリソグラフィマスクの複数の変形体を同時に開発することによって、ウェハ露光プロセスの解像力が向上している。その例として、位相マスクまたは位相シフトマスク、およびマルチ露光用マスクがある。
【0003】
構造要素の寸法がますます小さくなっているため、ウェハ上でプリント可能または視認可能な欠陥なしに、リソグラフィマスクを常に製造できるとは限らない。マスクの製造には費用がかかるため、欠陥のあるマスクは、可能な限り修復される。
【0004】
リソグラフィマスクの2つの重要な欠陥群は、第1に暗欠陥であり、第2に明欠陥である。
【0005】
暗欠陥は、吸収体材料または位相シフト材料が存在するが、この材料を含むべきではない場所である。これらの欠陥は、好ましくは局所エッチングプロセスを用いて余分な材料を除去することによって修復される。
【0006】
一方、明欠陥は、ウェハステッパまたはウェハスキャナにおける光露光時に、欠陥のない同一の基準位置よりも高い透過率を有する、マスクの欠陥である。マスク修復プロセスにおいて、適切な光学特性を有する材料を堆積させることによって、このような明欠陥をなくすことができる。理想的には、修復に使用される材料の光学特性は、吸収体材料または位相シフト材料の光学特性に対応すべきである。
【0007】
本出願人は、リソグラフィマスクを分析(analyze:解析)するための測定装置を開発し製造している。本出願人は、リソグラフィマスク用の修復装置をさらに開発し販売している。
【0008】
暗欠陥を除去する既知の方法は、修復する欠陥に直接向けられた電子ビームを使用することである。電子ビームの使用により、特に、欠陥上へのビームの正確なステアリングおよび位置決めが可能である。修復するマスクの雰囲気中に導かれ得る、プロセスガスとも呼ばれる前駆体ガスと併せて、入射電子ビームにより局所エッチング動作に似た反応を誘発することができる。この誘発された局所エッチング動作は、マスクから(欠陥の)余分な材料の一部を除去することができ、リソグラフィマスクに望まれる吸収体特性および/または位相シフト特性を発生または回復させることができるようになっている。
【0009】
あるいは、ビーム照射時に堆積プロセスを誘発することができるように、使用する前駆体ガスを選択することもできる。その結果、明欠陥に追加の材料を堆積させて、マスクの透過率を局所的に低下させ、かつ/または位相シフト特性を高めることができる。
【0010】
フォトマスク内の位相シフト欠陥を修復するための可能な方法が、例えば、米国特許第6,593,040(B2)号に記載されている。この方法は、マスクをスキャンして欠陥を探すことと、少なくとも1つの欠陥の位置を決定することとを含む。次いで、欠陥を3次元で分析し、分析の結果を使用して、集束イオンビーム(FIB)を欠陥に向け、欠陥を除去する。FIBは、3次元分析の結果に基づいて生成されたエッチングマップによって制御される。さらに、テストパターンを、FIBを使用して生成することができ、3次元で分析することができ、その後、このテストパターンを使用してエッチングマップを生成する。
【0011】
しかしながら、既知の方法の欠点は、例えば、これらの方法が修復プロセスの動力学を全く考慮していないか、または不十分な程度にしか考慮していないことである。例えば、前述の方法において、3次元分析は、エッチングプロセスの実行前に一度だけ行われる。しかしながら、例えば、現在行われている修復措置に対して欠陥が反応する仕方は、修復プロセス中に変化することがある。しかしながら、これにより、方法が実行されるときに、予め計算された修復ステップが期待される結果をもたらさないことがあり、したがって、希望通りの修復成功が生じない(またはマスクを損傷させることさえあり得る)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第6,593,040(B2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明は、既知の方法のこれらの欠点を少なくとも低減させ、またはなくし、かつ/または、マスクの欠陥のより正確で確実な修復を可能にする方法を規定するという目的に基づく。さらに、そのような方法を実行するための対応する装置、およびそのような方法を実行するための命令を含むコンピュータプログラムを提供することが意図される。
【0014】
前述の目的は、以下で説明するように、本発明の様々な態様によって少なくとも部分的に達成される。
【0015】
実施形態において、リソグラフィ用マスク、特にEUVマスクの欠陥を修復するための方法は、(a.)第1の修復量(repair dose:修復線量、修復(放射線)照射の度合い)を使用して欠陥に対して第1の修復ステップを実行するステップであって、結果として欠陥が初期トポロジー(initial topology:最初の形態)から第1の欠陥トポロジー(defect topology:欠陥形態)へ移行するステップと、(b.)欠陥のトポロジー(topology:形態)に対する第1の修復ステップの影響を決定するステップと、(c.)欠陥に対する第2の修復ステップによって達成されることが意図される、欠陥の第2の欠陥トポロジーを決定するステップと、(d.)欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップの決定された影響および第2の(意図された)欠陥トポロジーに少なくとも部分的に基づいて、第2の修復ステップのための第2の修復量を決定するステップとを含む。
【0016】
マスク処理、特にマスク修復の間、通常、1つまたは複数のガスが、エネルギー粒子(例えば、光子、電子、またはイオン)のビームを照射されることによって、意図された反応場所に導かれて、そこで反応することにより、意図された処理プロセス(例えば、最初に既に示し、以下でより詳細に説明するエッチングプロセスまたは堆積プロセス)を実行する。この場合、導入された修復量は、それぞれの修復ステップの過程に影響を与える。
【0017】
本方法によれば、第1の修復量を使用する第1の修復ステップが、修復する欠陥(例えば、最初に述べた明欠陥または暗欠陥)に対して最初に実行される。欠陥はプロセスにおいて変化し、特に欠陥は、初期トポロジーから、ここでは第1の欠陥トポロジーと呼ばれる新しいトポロジーに移行する。
【0018】
最も簡単な場合には、この場合のトポロジーは、個々の特徴または少数の特徴、例えば欠陥の高さによって単に説明される。さらに以下でより詳細に説明するように、欠陥のトポロジーは、本方法の範囲内で、例えば、欠陥の位置依存高さ、欠陥の横方向範囲、欠陥の3次元構造などによって、より詳細に説明され特徴付けられてもよく、これにより、マスク修復の精度を高めることができる。
【0019】
記載された方法によれば、欠陥に対する第1の修復ステップの影響は、前記第1の修復ステップの実行後に決定される。特に、第1の修復ステップを実行した結果、欠陥のトポロジーがどのように変化したか、または第1の修復ステップが欠陥のトポロジーにどのような影響を与えたかを決定することができる。この場合、欠陥のトポロジーまたはその変化を、原則として当業者に既知の方法で、例えば、走査型プローブ顕微鏡、特に原子間力顕微鏡、プロフィロメータ、または任意の他の適切な装置(下記参照)を使用して決定することができる。原則として、干渉測定プロセスも考えられるが、これらは通常、十分な横方向解像力を有していない。
【0020】
このステップは、一般に、特定の修復量を与えられた修復ステップの結果に影響を与え得る多くの要因が、マスク上の欠陥を修復するときに役割を果たし、したがって、欠陥の正確な挙動が必ずしも正確に予測可能なわけではないという発見に基づく。または、逆に、ある修復成功に必要な修復量は、一般に、複数の(欠陥)パラメータに依存し、これらは必ずしも常に完全に知られている必要はない。これらのパラメータは、欠陥自体のトポロジーに加えて、例えば、マスク上の欠陥付近の特性(例えば、マスクの吸収体材料に隣接する欠陥の領域が、マスクの石英材料に隣接する領域とは異なる挙動をしてもよい)、フォトマスク上の欠陥の相対位置(例えば、石英材料が多い領域は、吸収体材料が多い領域とは異なる挙動をし、著しく構造化された領域は、構造がほとんどない領域とは異なる挙動をしてもよい)、または、マスク表面の電荷および/もしくは温度であってよい。特に、除去する必要がある欠陥の場合、欠陥の材料組成も役割を果たすことができ、このような材料組成は、マスクのタイプ自体(例えば、マスクが構成される異なる材料および/もしくは材料層)によって既に本質的に生じることがあり、またはマスクもしくは欠陥上の汚染もしくは不純物によって影響を受けることがある。
【0021】
さらに、これらのすべての要因はマスク修復中に変化することがあり、したがって、必要な修復量もプロセス中に(最初に予測できない方法で)変化することがある。したがって、欠陥が希望通りに修復され、フォトマスクの損傷が最小限に抑えられるように、マスク修復プロセスが実行されている間に修復量を選択して調節しなければならない。したがって、本方法によれば、欠陥は、必要な修復量が予め決定された単一のステップで修復されるのではなく、欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップの影響が、前記第1の修復ステップの実行後に最初に決定され、そこから、さらなるマスク修復プロセスの制御に使用される情報が得られる。
【0022】
より正確には、マスクに対する第2の修復ステップを使用して得られることが意図される第2の欠陥トポロジーが、欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップの影響の決定後に最初に決定される。さらに以下でより詳細に説明するように、第2の欠陥トポロジーは、既に、得られる最終トポロジー(すなわち、所望の修復成功)であってもよく、または、第2の欠陥トポロジーは、方法の中間目標を表し、方法は、所望の最終結果に達するまで、本明細書に記載の手順をさらに反復することを含む。この場合、取得する第2の欠陥トポロジーを、自動的に、または手動入力で決定することができる。混合形式も可能である。方法の開始前に、例えば同等もしくは同様の欠陥の修復から得られた経験値から判明し得る第2の欠陥トポロジーまたは一連の欠陥トポロジー(方法が反復的に実行される場合;下記参照)が指定されていてもよく、これらはその後、方法によって順に達成されることが意図される。
【0023】
次の第2の修復ステップによって得られることが意図される第2の欠陥トポロジーが定義された後、このために必要な修復量が、欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップの影響および得られる第2の欠陥トポロジーを考慮して決定される。第2の修復ステップの過程に影響を与えるさらなる要因、例えば前述の要因も、当然、この時点で考慮され得る。
【0024】
したがって、第2の修復ステップに必要な修復量を決定することは、第1の修復ステップから得られた情報を考慮して実行されるため、本方法によれば、場合により変化する条件、現在処理中の欠陥の(変化している)特性、または他の(制御されていないおよび/もしくは制御不能な)プロセスパラメータに対するマスク修復プロセスの動的適応が可能になる。
【0025】
方法は、次に、(e.)第2の修復量を使用して第2の修復ステップを実行するステップをさらに含むことができる。
【0026】
この第2の修復ステップを実行した結果、欠陥のトポロジーが再び変化する。理想的な場合には、このようにして得られたトポロジーは、第2の修復ステップの目標として指定されたトポロジーに対応し、これを考慮して第2の修復量が決定されている。しかしながら、様々な要因により、第2の修復ステップの実行後の欠陥のトポロジーが、求められているトポロジーに正確に対応しないことがある。第2の修復ステップによって生成されたトポロジーが、いずれにしても方法の中間目標として提供されているだけではない場合、所望の修復結果を得るためには、この場合にさらなる修復措置がまだ必要であり得る。しかしながら、いずれにしても、第2の修復ステップの実行後に、欠陥は、以下で第2の(実際の)欠陥トポロジーと呼ばれるトポロジーを有することになる。
【0027】
したがって、上記の説明から、第1の修復ステップを、特に調整(calibration:較正、基準化、キャリブレーション)ステップとして実行できることが判明する。マスクの損傷を避ける例として、例えば、第1の修復ステップの予測不能な「積極的な」過程の結果として、第1の修復ステップは、特に、所望の最終的な修復成功の50%未満、好ましくは30%未満、特に好ましくは15%未満が得られる、または得られることが意図される、調整ステップとして実行されてもよい。ほとんどの場合、ここでの所望の最終的な修復成功は、マスクからの欠陥の完全な除去を表すが、他の場合も考えられ含まれる。
【0028】
特に、第1の修復ステップのための修復量は、これらの前述の百分率値を超えないように(位置に応じて任意に)選択されてよい。不確かな場合には、第1の修復ステップのための修復量としてかなり「控えめな(conservative:保守的な)」値が決定される。これは、(例えば、過剰なエッチングの結果としての)マスクの損傷を避けるための最も可能性の高い行動方針であるからである。
【0029】
あるいは、所望の最終的な修復成功の50%超を得ることを目標とする第1の修復量が、第1の修復ステップのために決定されてもよい。これにより、その後の反復の回数、したがってプロセス期間全体を最小限に抑えることができる。同時に、1つまたは複数の第2のステップによって、起こり得る逸脱に反応することができる。例として、この場合の第1の修復量の選択は、同様の修復から経験的に決定されていてもよい。
【0030】
前述したように、欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップの影響を決定するステップ(b.)は、第1の修復ステップの実行によって生じる欠陥のトポロジーの変化を決定することを含んでもよい。特に、ステップは、第1の欠陥トポロジーと初期トポロジーとを比較することを含んでもよい。
【0031】
必要に応じて、これは、第1の修復ステップの実行前に、初期トポロジーが最初に決定されることを含んでもよい。
【0032】
本方法の範囲内で、欠陥のトポロジーの変化は、ここでは原則として異なる詳細度で指定および考慮され得る。最初に既に述べたように、トポロジーは、例えば、単に欠陥の高さ/厚さの値(例えば、欠陥の表面積にわたって平均化された高さ/厚さ、欠陥の最大高さ/厚さ、または欠陥の最小高さ/厚さ)によって説明することができ、したがって、この簡単な場合には、トポロジーの変化を、単に欠陥の高さ/厚さの変化によって特徴付けることができる。しかしながら、トポロジーの変化に関するはるかに詳細な情報を、第1の欠陥トポロジーと初期トポロジーとの比較によって決定することができる。このようにして得られたより正確な情報によって、一般に、第2の修復量をより正確に決定することも可能になり(場合により位置依存方式であっても;以下参照)、この第2の修復量は、求められている第2の欠陥トポロジーを得るために必要である。しかしながら、これにより方法の分析の複雑さが増すことがあるため、これを重み付けする必要がある、または重み付けする必要があり得る。
【0033】
欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップの影響を決定するステップ(b.)は、特に、欠陥のトポロジーの決定された変化および第1の修復量に少なくとも部分的に基づいて、第1の修復ステップの第1のプロセス速度(process speed:処理スピード)を決定するステップを含んでもよい。
【0034】
したがって、第1の修復量を知った上で、欠陥のトポロジーの決定された変化を使用して、第1の修復ステップが欠陥のトポロジーをどのくらい速く変化させるか、例えば、材料を除去するまたは堆積させるかを見出すことができる。例として、エッチングプロセスの場合、したがって、実行された第1の修復ステップが、第1の修復量を使用して欠陥の材料をどのくらい強くエッチング除去するかを決定することができる。堆積プロセスの場合、第1の修復量を使用して実行された第1の修復ステップによって、どのくらい速くまたはどのくらいの量で材料がマスク上に堆積されるかを決定することができる。その後、この情報を、「すべきことがどのくらい残っているか」を決定するために使用することができ、その結果、第2の修復量の決定に組み込むことができる。第1の修復ステップの第1のプロセス速度は、現在処理中の欠陥に関連して決定されたので、その結果、プロセス速度に影響を与え得る前述のさらなる要因も自動的に考慮することができ、プロセスのさらなる過程の特に正確かつ「動的」な制御が可能になる。
【0035】
特に、欠陥のトポロジーは、マスク上の位置に依存する欠陥の高さを含むことができる。
【0036】
欠陥のそのような「高さマップ」により、例えば、欠陥に対する第1の修復ステップ(または、さらに反復的に実行される修復ステップ)の影響に関する空間分解情報を提供し、その結果、プロセスの空間依存調整を可能にするので、さらなる1つまたは複数の修復ステップのための修復量を空間分解方式で決定することも可能になる。
【0037】
例として、欠陥のトポロジーは、以下の情報項目、すなわち、欠陥の横方向範囲、欠陥の3次元構造のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。
【0038】
前述したように、欠陥のトポロジーに関するさらなる特性または情報を含むことにより、一般に、プロセスのさらに正確な制御が可能になるが、プロセスの複雑さおよびリソース消費も増加するので、この場合、方法の複雑さと精度との間の妥協点を見つけることが可能または必要である。
【0039】
第2の修復ステップのための第2の修復量を決定するステップ(d.)は、異なる欠陥タイプについての1つまたは複数の調整曲線を考慮してもよく、この曲線により、欠陥の修復挙動を推定(評価)することができる。
【0040】
現在処理中の欠陥(以下で、「現在の欠陥」と略すことが多い)のトポロジーの変化に基づく方法の「動的」調整以外に、本方法は、方法の精度および/またはその速度をさらに高めるために、参照データ/調整曲線を使用することもできる。例として、これらの調整曲線を使用して、所望のプロセス速度に達するように、さらなる1つまたは複数の修復ステップのための修復量を調節することができる。例として、第1の修復ステップ中に現在の欠陥が受けるトポロジーの変化を、現在の欠陥に対応する欠陥タイプまたは現在の欠陥と同様の欠陥タイプについての1つまたは複数の調整曲線と比較することができ、したがって、現在の修復プロセスが期待通りの挙動をしているかどうか、または基準値から逸脱しているかどうかを比較によって確認することができる。後者の場合、第2の修復ステップの第2の修復量を決定するときに、曲線からの調整データを考慮することができ、例えば、欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップの決定された実際の影響を、調整曲線からの値で平均化することができ、または期待される挙動からの逸脱を決定することができ、その後、この逸脱の大きさも、第2の修復量を決定するときに考慮される(例えば、調整曲線を考慮せずに最初に決定された第2の修復量の補正係数として)。決定された実際の影響と1つまたは複数の調整曲線からの1つまたは複数の値との加重和を考慮することもできる。さらに、そのような格納された参照データを使用して、中間ステップを保存することもでき、すなわち、所望の修復結果に「見通し無しに(blind)」「慎重に取り組む(approach:アプローチする)」必要があったとしたら可能になり得る場合よりも速く、所望の最終トポロジー(end topology:結果トポロジー)に到達することができる。
【0041】
この場合、1つまたは複数の調整曲線は、方法の現在の反復および/または1つもしくは複数の先行する反復中に手動でまたは自動的に作成されていてよい。
【0042】
方法の1つまたは複数の先行する反復において作成された調整曲線は、例えば、方法の現在の反復中にアクセス可能なデータベースに格納されてよい。当然、他のデータ格納方法も可能である。しかしながら、特に、以下でより詳細に説明するように、方法を反復的に実行する場合、調整曲線が、現在の修復プロセスにおけるこの反復プロセスの先行するステップから増大し、したがって、現在の修復プロセスの特性および特徴を特に良好にマッピングすることができる可能性もある。
【0043】
さらに、方法を、複数の材料層を含む欠陥に対して以下のように実行することができる。第1の修復量を使用する第1の修復ステップを、第1の材料を含む第1の材料層上で実行することができ、第2の修復量を使用する第2の修復ステップを、第1の材料とは異なる第2の材料を含む第2の材料層上で実行することができる。さらに、第1の修復ステップの第1のプロセス速度を第1の材料に関連して決定することができ、第2の修復量の決定は、第2の材料層の厚さと、第1の材料上の第1の修復ステップに関連する第2の材料上の第2の修復ステップのプロセス選択性とを考慮することをさらに含むことができる。
【0044】
この場合、第2の修復量を決定するときに第2の材料層の厚さを考慮することは任意である。すなわち、ここで説明する選択肢は、原則として、第2の材料層の厚さを関連する要因として含むことなく使用することもできる。
【0045】
いずれにしても、第1の材料を含む第1の材料層上の第1の修復ステップを使用して、第2の材料層に対する修復プロセスの挙動および影響を外挿することができ、その結果、この第2の材料層を第2の修復ステップで処理するための適切な第2の修復量を決定し選択することができる。この場合、特に第1の材料および第2の材料に関して起こる反応(例えば、エッチングプロセスまたは堆積プロセス)のプロセス選択性、例えば、第1の材料および第2の材料に関して普通なら同じ条件下で修復プロセスが実行されるプロセス速度またはプロセスレートが、役割を果たす。
【0046】
様々な材料に関するプロセス選択性が不明である場合、方法の現在の反復中および/または方法の1つまたは複数の先行する反復中に、プロセス選択性が修復プロセス自体から決定されていてもよい。したがって、例として、第2の修復ステップに先立って、第2の材料層を「試験する」さらなるステップ(例えば、低い修復量を使用するが、実行する第2の修復ステップと同じタイプの処理ステップ)を最初に実行することができ、これにより、第2の材料に関するプロセス選択性が決定され、その後、実際の修復が第2の修復ステップにより続けられる。
【0047】
前述したように、第2の欠陥トポロジーが所望の最終トポロジーを既に表していてもよい。すなわち、本方法は、第2の修復ステップの終了と共に(または、少なくともこの修復成功に非常に近づくと)所望の修復成功を既に得ることができ、これは、特に、第2の修復ステップが現在の欠陥自体を使用して調整されたことの結果として、具体的には、第1の修復ステップが欠陥のトポロジーに与えた影響を決定することによって可能となり得る。
【0048】
しかしながら、特に、第2の欠陥トポロジーが単に方法の中間目標を表し、方法の範囲内で、欠陥の所望の最終トポロジーが得られるまで、ステップ(b.)~(e.)が反復的に実行されることも可能である。
【0049】
すなわち、第2の修復量を使用して第2の修復ステップを実行した後、欠陥のトポロジーに対する第2の修復ステップの影響(ならびに/または第1の修復ステップおよび第2の修復ステップの平均化もしくは重み付けされた影響)が決定され、それにより、欠陥について第3の欠陥トポロジーが定義され、前記第3の欠陥トポロジーは、欠陥に対する第3の修復ステップを使用して得られることが意図され、第3の修復ステップのための第3の修復量が、欠陥のトポロジーに対する第2の修復ステップの決定された影響(および/または前述の平均化もしくは重み付けされた影響)ならびに第3の欠陥トポロジーに少なくとも部分的に基づいて決定される。それにより、第3の修復量を使用して第3の修復ステップを実行することができる。
【0050】
一般に、i番目の修復量を使用するi番目の修復ステップの実行後に、欠陥のトポロジーに対するi番目の修復ステップの影響を決定し、次に、i+1番目の修復ステップにより欠陥に対して得られることが意図される、欠陥のi+1番目の欠陥トポロジーを定義し、欠陥のトポロジーに対するi番目の修復ステップの決定された影響およびi+1番目の欠陥トポロジーに少なくとも部分的に基づいて、i+1番目の修復ステップのためのi+1番目の修復量を決定し、i+1番目の修復量を使用してi+1番目の修復ステップを実行するなどが可能である。
【0051】
i+1番目の修復ステップのためのi+1番目の修復量を決定するときに、前に実行したばかりのi番目の反復からの情報および発見、すなわち「調整入力」と、さらに前の1つまたは複数の反復から(すなわち、存在する場合には、i-1番目の反復および/またはi-2番目の反復および/またはi-3番目の反復などから)の調整入力とを使用することができるため、考慮される調整入力は各反復と共に増加し得る。例として、様々な反復からの入力を、「一般性(currentness:通用、普及、流布)」に従って平均化または重み付けすることができる。
【0052】
得られた最終トポロジーの検証も同様に、方法の一部であってよい。
【0053】
例として、この検証は、直前の修復ステップから生じる欠陥トポロジーが実際に修復ステップの目標として指定されたトポロジーに対応するかどうかについてのチェックを含むことができる。対応する場合には、方法が終了したとみなすことができ、対応しない場合には、さらなる反復が必要であってもよい。
【0054】
この場合、第1の修復量および/または第2の修復量は、位置に依存して変動し得る。前記方法の反復的な過程の場合に方法に含まれることがある、第3の修復量および/または第4の修復量などについても同様である。
【0055】
1つまたは複数の修復量の位置依存変動の結果として、欠陥の処理を極めて高い精度で制御することができ、したがって、修復プロセスの終了後に求められている欠陥トポロジーを得るために必要とされるだけの量の材料を、欠陥の各場所において除去するまたは堆積させることができる。
【0056】
第1の修復ステップおよび/または第2の修復ステップは、エッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを含むことができる。方法の反復的な過程の場合に方法に含まれることがある、第3の修復ステップおよび/または第4の修復ステップなどについても同様である。
【0057】
最初に既に述べたように、マスクの欠陥は、通常、2つのタイプのうちの1つ、具体的には、あるべきでない場所に余分な吸収体材料が存在している欠陥、または、逆に吸収体材料が不足している欠陥として分類することができる。それぞれの一般的な修復措置、具体的には、特に材料をエッチング除去することによる余分な材料の除去、または、吸収体材料が不足している場所への吸収体材料の堆積が、これら2つのタイプの欠陥に対応する。
【0058】
特に、第1のプロセス速度を位置依存方式で決定することができる。方法の反復的な過程の場合に方法に含まれることがある、第2のプロセス速度および/または第3のプロセス速度などについても同様である。
【0059】
特に、前述したように、これを使用して、次の修復ステップのための位置依存修復量を決定することができるため、修復量を極めて高い精度で制御して、意図した欠陥トポロジーを可能な限り正確に得ることができる。プロセス速度の位置依存決定のために、一般に、少なくとも直前の修復ステップにおけるトポロジーの変化の位置依存検出があってもよいが、さらに前の反復(存在する場合)からの位置分解情報も使用することができる。
【0060】
方法は不変の外部条件下で、特に真空中で進行すると有利である。
【0061】
正確には、これが当てはまらない場合、例えば、修復の進行の1つまたは複数の中間チェックが可能であり得るが、この目的で処理中のマスクを分析ツールに供給するために処理環境から取り出さなければならない、従来技術から知られている方法などの場合、マスク表面、特に欠陥表面または欠陥の組成は、そのような分析中に、例えば酸化プロセスの結果として変化することがあるため、分析前または分析中に得られた情報は、修復プロセスの再開時に既に古くなっており、その時に存在する条件を正しく反映しなくなることがある。一方、本方法は、不変の条件下で、特に真空中で行うことができるため、修復プロセスのエラーおよび不正確さにつながるおそれのある、そのような影響を避けることができる。
【0062】
特に、方法を修復および分析の組合せ装置で実行することができる。
【0063】
これは、方法を不変の条件下で実行できるようにするという前述の選択肢を伴い、マスクを装置から取り外して、例えば別個の分析装置に供給する必要がないため、そのような方法シーケンスを促す。さらに、これにより、修復プロセスを簡略化および加速することができる。
【0064】
例えば、修復および分析の組合せ装置(combined repair and analysis device:組み合わせられた修復及び分析装置)は、本出願人により販売されている修復システムと原子間力顕微鏡との組合せによって形成されてもよい。
【0065】
欠陥が、1つまたは複数の調整曲線が知られている既知の欠陥タイプに対応する場合、方法は、欠陥の修復挙動を使用して、方法の安定性および/または方法が実行される装置の安定性に関する結論を導き出すことを含んでもよい。
【0066】
この場合、調整曲線を考慮して結論を導き出すことができる。
【0067】
格納された調整データおよび調整曲線を使用して、現在実行中の修復プロセスが期待通りに挙動しているかどうかを(例えば、現在処理中の欠陥の欠陥タイプおよびそのような欠陥タイプについて記録された参照データに基づいて)チェックすることにより、さらなる修復プロセスを最適化および加速する方法について、既に前述し説明した。しかしながら、逆に、利用可能な参照データ/調整曲線とのこのような比較は、既知または未知の影響に関連して実行中の方法の安定性を調べる目的も果たすことができる。例として、現在の欠陥が十分に調べられた既知の欠陥タイプに対応し、現在の欠陥の修復挙動が1つまたは複数の調整曲線から大きく逸脱している場合、これは、実行中の方法および/または方法を実行している装置が、そのような影響に関連してエラーに対する感受性が非常に高いことを示すことができる。適切な対策(例えば、温度、真空、マスクの充電などの検証)を採用することにより、本マスクの修復成功を危険にさらさないようにしてもよい。
【0068】
様々な材料についての基準プロセス速度が既知である場合、方法は、欠陥の材料組成に関する結論を、欠陥の修復挙動から導き出すことを含んでもよい。
【0069】
この場合、基準プロセス速度を考慮して結論を導き出すことができる。
【0070】
例として、一定の修復量を使用して、欠陥に対していくつかの修復ステップまたは複数の修復ステップを実行することができ、次いで、例えば欠陥トポロジーのそれぞれの変化から、それぞれの修復ステップのプロセス速度に関する結論を導き出すことができる。その後、これは、既知の基準プロセス速度と比較することによって、(例えば、それぞれの修復ステップの場所における)欠陥の材料組成の導出を可能にする。
【0071】
さらなる態様は、実行時に、リソグラフィ用マスク、特にEUVマスクの欠陥を修復するための装置に、本明細書に記載の方法を実行するように促す命令を含むコンピュータプログラムによって形成される。
【0072】
この場合、本明細書に記載の方法の様々な態様および特徴がプログラム内で組み合わされていてもよく、所望の結果を得るために重要でなければ、個々の態様が考慮されないままであってもよい。
【0073】
特に、コンピュータプログラムは、実行時に、欠陥を修復するための装置に、第1の修復量を使用して欠陥に対して第1の修復ステップを調整ステップとして自動的に実行し、欠陥のトポロジーに対するこの調整ステップの影響を自動的に決定し、調整ステップの決定された影響および第1の修復量に少なくとも部分的に基づいて、第2の修復量を自動的に決定し、第2の修復量を使用して第2の修復ステップを実行して第2の欠陥トポロジーを得るように促す命令を含むことができる。
【0074】
したがって、ユーザの手動入力を省略することができ、これによりマスク修復を加速し、かつ/またはエラーに対する感受性を低下させることができる。これは、方法の自動化にも有利である。
【0075】
さらなる態様は、本明細書に記載の方法を実行するように設計されている、リソグラフィ用マスク、特にEUVマスクの欠陥を修復するための装置によってさらに形成される。
【0076】
この場合も、装置は、本明細書に記載の方法の様々な態様および特徴が、前記装置上で実行される構成において、互いに組み合わされるように具現化されてもよく、所望の結果を得るために重要でなければ、記載の方法の個々の態様が考慮されないままであってもよい。
【0077】
この場合、装置は、第1の修復量を使用して欠陥に対して第1の修復ステップを実行するための手段であって、結果として欠陥が初期トポロジーから第1の欠陥トポロジーへ移行する手段と、欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップの影響を決定するための手段と、欠陥に対する第2の修復ステップによって達成されることが意図される、欠陥の第2の欠陥トポロジーを決定するための手段と、欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップの決定された影響および第2の欠陥トポロジーに少なくとも部分的に基づいて、第2の修復ステップのための第2の修復量を決定するための手段とを含むことができる。
【0078】
前述したように、装置は、この場合、修復および分析の組合せ装置であってよい。特に、これにより、実行中の方法を、不変の外部条件下で、特に真空中で、完全にまたは少なくとも主に実行することができる。
【0079】
例えば、前述の手段は、本出願人によって販売されている修復システムと原子間力顕微鏡との組合せによって形成されてもよい。
【0080】
装置は、前述のコンピュータプログラムが格納されたメモリと、メモリに含まれる命令を実行するための手段であって、命令の実行時に、装置が、第1の修復量を使用して欠陥に対して第1の修復ステップを調整ステップとして自動的に実行し、欠陥のトポロジーに対するこの調整ステップの影響を自動的に決定し、調整ステップの決定された影響および第1の修復量に少なくとも部分的に基づいて、第2の修復量を自動的に決定し、第2の修復量を使用して第2の修復ステップを実行して第2の欠陥トポロジーを得るようにする、手段とをさらに備えることができる。
【0081】
このような自動化手順の選択肢の利点には既に言及したため、ここでは対応する説明に言及する。
【0082】
最後に、以下のことに注目する。これまで、本発明は、開示された教示の重要な適用を表す、マスクの欠陥を修復するという文脈内で主に説明および記述されてきた。しかしながら、開示された教示は、原則としてこれに限定されるものではなく、マイクロエレクトロニクスの分野で使用される他の物体の(表面)処理のため、例えば構造化ウェハ表面またはマイクロチップの表面などの変化および/または修復のために使用することもできることに言及する。したがって、これらのさらなる適用可能性も同様に、明記されていなくても、これらが明示的に除外されていない限り、または物理的もしくは技術的に不可能でない限り、開示された教示に常に包含される。
【0083】
以下の詳細な説明は、以下の図面を参照しながら、本発明の可能な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】余分な吸収体材料が除去される、本明細書に記載の方法の例示的な実施形態を示す図である。
図2】本明細書に記載の方法の実施形態を、ラインアンドスペース構造を有するマスク上の欠陥に適用した結果を示す図である。
図3】分析および修復の組合せ装置の構成要素によって実行可能な、本明細書に記載の方法の可能な実装形態のための考えられる方法シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
以下で、本発明の実施形態について、主にリソグラフィマスクの欠陥の修復に関して説明する。完全性のために、本発明はこれに限定されるものではなく、原則として、異なるタイプのマスク処理のために、またはさらに一般的には、マイクロエレクトロニクスの分野で使用される他の物体の表面処理のため、例えば構造化ウェハ表面またはマイクロチップの表面などの変化および/または修復のために使用することもできることに再び言及する。したがって、以下で、説明を明確かつ容易に理解可能に保つために、マスクの欠陥を修復する特定の適用に主に言及するにもかかわらず、開示された教示の他の適用の選択肢が当業者にとって最新のままである。
【0086】
さらに、本発明の個々の実施形態のみが以下でより詳細に説明され得ることに言及する。しかしながら、当業者は、これらの実施形態に関連して説明される特徴および変更の選択肢を、さらに変更することもでき、かつ/または、他の組合せまたはサブの組合せにおいて互いに組み合わせることができ、これによって本発明の範囲から逸れることがないことを理解するであろう。さらに、個々の特徴またはサブの特徴は、所望の結果を得るために重要でなければ、省略することもできる。したがって、不必要な繰り返しを避けるために、前のセクションの記述および説明に言及し、以下に続く詳細な説明についてもその有効性が保持される。
【0087】
図1は、余分な吸収体材料をエッチング除去することによってマスク10の欠陥を修復するための、記載された方法の実施形態100を概略的に示す。
【0088】
欠陥は、方法100の開始時に初期トポロジー110を有する。初期トポロジー110は、例えばマスク10の先行する分析から既に知られていてもよく、または、例えば原子間力顕微鏡を用いて、方法100の範囲内で最初に決定されてもよい。
【0089】
次いで、欠陥は、第1の修復量(単に量(dose:線量、(放射線)照射の度合い)と呼ばれることもある)125を使用して第1の修復ステップ120において処理される。この場合、第1の修復ステップ120は、エッチングプロセスであり、すなわち、例えば1つまたは複数の前駆体ガスが、欠陥が位置するマスクの領域に供給され、そこで前記ガスは、例えばエネルギー粒子のビームを照射されることによって反応し、吸収体材料をエッチング除去する。ここに示す場合、修復量125は位置に依存して変動し、すなわち、「量マップ」として知られるものに従って照射が実行される。この場合、この量マップは、欠陥の初期トポロジー110に合わせて既にある程度調節されていてもよい。
【0090】
第1の修復ステップ120の実行後、トポロジー(この場合、欠陥の空間分解高さマップによって説明され特徴付けられる)が変化し、欠陥は第1の欠陥トポロジー130を有するようになる。以下でさらに説明するように、この場合の第1の修復ステップ120は、マスク10の実際の修復に役立つだけでなく、さらなる方法シーケンスを制御および最適化するための調整ステップとしても機能する。
【0091】
これにより、第1の修復ステップ120の実行後、欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップ120の影響を調べる分析ステップ140を行う。この場合、これは、初期トポロジー110を第1の欠陥トポロジー130と比較することによって、欠陥のトポロジーの変化、特にこの場合は欠陥の高さの空間依存変化を決定し、第1の修復ステップ120に関してトポロジーの空間分解変化プロファイルをもたらすことによって実行される。利用された修復量125を考慮して、その後にさらなる方法制御のために使用されるエッチング手順の分解プロセス速度のタイプを決定することができる。
【0092】
したがって、分析ステップ140が実行されると、第2の欠陥トポロジーが最初に決定され、その意図は、矢印150で示すように、次の第2の修復ステップにおいて前記第2の欠陥トポロジーを得ることである。例として、第2の欠陥トポロジーは、最終的に所望される修復成功に既に対応していてよく、この場合、マスク10の石英レベルまで余分な吸収体材料を除去することに対応する。しかしながら、第2の欠陥トポロジーは、例えば、方法が最初から複数の反復のために設計されている場合、方法の中間目標のみを表すこともできる。
【0093】
分析ステップ140で得られた情報に基づいて、すなわち、欠陥のトポロジーに対する第1の修復ステップ120の決定された影響、特に第1の修復ステップ120の決定されたプロセス速度と、求められている第2の欠陥トポロジーとに基づいて、第2の修復ステップ150のための第2の修復量が次に決定され、それに応じて第2の修復ステップ150が実行される。
【0094】
最良のシナリオにおいて、この第2の修復ステップ150を実行することは、求められている成功を正確に(またはある受入間隔(acceptance interval:受け入れインターバル)内で)もたらし、すなわち、これにより得られる欠陥のトポロジーは、求められている第2の欠陥トポロジーに正確に対応する。図1に示すように、第2の修復ステップ150を実行するときに得られる実際の第2の欠陥トポロジー160は、求められている結果からまだ逸脱していることもあるため、後処理および/またはさらなる修復ステップがさらに必要であってもよい。
【0095】
これが当てはまるかどうかは、例えば、第2の修復ステップ150後に得られた欠陥トポロジー160を検証することにより、例えば、欠陥トポロジー160をある受入間隔などと比較することによって決定することができる。
【0096】
さらなる処理が必要な場合は、所望の修復成功が得られるまで、前述のステップを反復的に繰り返すことができる。
【0097】
図2は、ラインアンドスペース構造を有するマスク20を使用する、本明細書に開示された教示によるマスク修復方法200の結果および手順の概略説明図を示す。方法200の過程で除去された余分な吸収体材料は、スペースのうちの1つに位置する。
【0098】
この場合、方法200は、不変の外部条件下で、特に真空中で、修復および分析の組合せ装置において実行された。この装置は、走査型電子顕微鏡(SEM)を備え、SEMは、適切なエッチングガス(または混合ガス)の供給下で欠陥の場所においてエッチングステップを引き起こすのに役立つ電子ビームによって、修復ステップを実行するように機能した。同時に、SEMは欠陥部位の周囲におけるマスクの画像を記録した。SEMによって記録されたこれらの画像は各々、図2の参照符号210、220、240で示す部分図の上部に示されている。
【0099】
欠陥トポロジーのより詳細な分析のために、原子間力顕微鏡(AFM)をさらに使用し、そのそれぞれの記録が、図2の部分図210、220、240の中央および下部にそれぞれ示されている。この場合、中央の画像はそれぞれ、マスク20を(SEMの画像に類似した)平面図で、(地形ハイキングマップに類似した)等高線の形の高さプロファイルを用いて示す。図2の部分図210、220、240の下部には、切断線28に沿ってAFMにより測定された対応する高さプロファイルを通る断面が、場合ごとに示されている。
【0100】
部分図210は、SEM画像(部分図210の上部)およびAFM画像(部分図210の中央に等高線で)示すように、初期欠陥を示す。前述したように、高さプロファイルは、水平線28に沿ってAFM画像(部分図210の下部)から抽出された。参照符号21で示すマスク20の領域において、余分な吸収体材料の形の欠陥が、2本のライン25間に配置されたスペースのうちの1つにおいて認識可能である。
【0101】
プロセス速度を調整するのに役立つ所与の量マップ(修復量)を使用する第1の修復ステップを、この欠陥トポロジー上で実行した。
【0102】
この調整ステップでは、電子ビームの現在の強度を変更することによってだけでなく、代わりにまたは加えて、電子ビームが修復ステップ内である処理点に当たる回数を変えることによって、修復量を設定することができる。しかしながら、修復量を制御および変更するための他の選択肢も、本教示に明示的に含まれる。
【0103】
図2の参照符号220で示す中央部分図に示される状況は、この調整ステップ/第1の修復ステップの実行後に生じた。参照符号22によって示すマスク20の領域において、余分な吸収体材料の形の(弱い)欠陥を、関連するスペース内で認識することが依然として可能である。
【0104】
再び、1つまたは複数のAFM画像(部分図220の中央および下部参照)を記録することにより、第1の修復量による欠陥トポロジーの変化を空間分解方式で決定することができた。次に、この変化、調整ステップで使用した量マップ、および次の第2の修復ステップに関する標的トポロジーを使用して、この標的トポロジーを得る目的で新しい量マップを計算した。次に、この量マップを、図2に矢印230で示すさらなる修復ステップにおいて欠陥に適用した。
【0105】
これに関し、矢印230で示す処理は、複数の分析ステップおよび修復ステップを含むこともでき、ステップごとの量マップは、先行する1つまたは複数の量マップ、トポロジーの先行する1つまたは複数の変化、および修復標的全体(repair target overall:修復ターゲット全体)として指定されたそれぞれのまたは共通の標的トポロジーから計算することができることに言及する。
【0106】
この場合、方法200は、複数の反復にわたって実行されるように設計される可能性が必ずあり、すなわち、ある修復ステップのために求められている欠陥トポロジーは、必ずしも最終的に所望される修復成功、例えば余分な吸収体材料の完全な除去に対応する必要はない。代わりに、第1の修復ステップが行われた後でも、所与の修復ステップが、修復方法200のさらなる微細な調整および微調整(fine tuning:微細なチューニング)のための専用の方式で機能することができ、第1の修復ステップおよびこの修復ステップで得られた情報(ならびに、任意で調整に役立つさらなる修復ステップからの情報)を、次の1つまたは複数の修復ステップで最終的に使用して、マスク20の欠陥を極めて正確に修復できるようになっている。例として、これにより、欠陥のオーバエッチングを避けることができる。
【0107】
これを再び繰り返すために、それぞれの求められている欠陥トポロジー(例えば、反復方法シーケンスの場合、第2の欠陥トポロジーおよび/または第3の欠陥トポロジーおよび/または第4の欠陥トポロジーなど)は、したがって、必ずしも常に修復プロセス200の所望の最終結果に既に対応している必要はなく(ただし、当然、対応していてもよい)、単に方法の中間目標を表していてもよい。そのような場合(これは、現在説明している例示的な実施形態200だけでなく、本明細書に開示される教示に非常に一般に当てはまる)、修復ステップにおいて求められている欠陥の中間トポロジーは、例えば、修復プロセスの求められている最終結果について指定され得る場合よりも低い詳細度で指定されてもよい。例として、欠陥の求められている中間トポロジーは、マスクの損傷および/または「過剰な修復」を避けるために、残りの欠陥寸法(例えば、欠陥の高さおよび/または欠陥の幅)のある百分率以下で除去(または、堆積プロセスの場合には堆積)すべき程度に指定されるだけでよい。例として、求められている欠陥トポロジーが、優れた修復成功の50%以下、30%以下、または15%以下に達するべきであることを指定可能であってもよい。言い換えると、修復ステップを(第1の修復ステップ後でも)、(さらなる)調整ステップとして専用の方式で実行して、例えば、修復プロセスの動力学をより十分に理解し調整すると同時に、ここでも起こったように、マスクの損傷を避け、かつ/または「過剰な修復」を避けることができる。
【0108】
それぞれ利用された量マップと併せて、AFMにより実行される、各修復ステップにおける欠陥の高さの変化の空間分解測定は、この場合、エッチングプロセスの空間分解プロセス速度を決定することができる。さらに、同様にAFMを使用して空間分解方式で決定され得る、まだ残っている欠陥の残存高さと併せて、次に、外挿ステップにおいて、新しい量マップまたは修復量(例えばループ数)を決定し、次のステップでそれぞれ望まれる、かつ/または最終的に望まれる欠陥トポロジーを得ることができる。
【0109】
図2の右側の部分図240は、第2の修復ステップ(および任意のさらなる修復ステップ)230後の欠陥(または、そこからまだ残っているもの)を示す。SEM画像とAFM画像との組合せは、修復成功を検証するのに役立った。
【0110】
ここに示す場合、2つのAFM画像(図2の部分図240の中央および下部)から、欠陥の残留物がまだ存在し、さらなる修復ステップによって除去された可能性があることが明らかである。しかしながら、残留物のトポロジーが成功裏に修復するための仕様限界内にある場合、この修復は、この場合でも既に正常に終了したとみなすことができる。特に、残りの残留物がある閾値未満である(例えば、マスク20を用いたウェハの実際の照射プロセス中にウェハの欠陥を招かない)限り、残留物はマスク20上に残っていてもよい。
【0111】
図3は、本明細書に記載の方法の可能な実装形態のための考えられる方法シーケンス300を示し、これは、例えば、修復システム(例えばSEMを含む)および分析システム(例えばAFMを含む)の組合せにより実現され得る、分析および修復の組合せ装置の構成要素によって実行することができる。
【0112】
修復310の開始時に、量または修復量の決定320を、処理するマスクに対して行うことができる。この場合、標的トポロジー315、現在のトポロジー330、およびプロセス速度325が、量の決定に影響を与え得る。この場合、プロセス速度325を、特に第1の反復ステップにおいて、ユーザ入力によって設定するか、またはシステムによって(例えば、同様の修復のための基準値、調整曲線などに基づいて)標準値として指定することができる。しかしながら、特に第2の反復ステップまたはさらなる反復ステップの場合、プロセス速度を、1つ(または複数)の先行するトポロジー変化375および1つ(または複数)の先行する量365を測定することから決定する、または知ることもできる。
【0113】
この場合、量は、SEMの電子ビームが修復ステップ中に処理点に当たる回数として指定または定義されてよい。しかしながら、量の他の定義も同様に考えられる。
【0114】
次に、決定された量320を、欠陥を修復するための第1の(部分的な)修復ステップ335において適用することができ、特に、このために、利用された修復装置の一部であり得るSEMを使用することができる。この場合、1つのステップまたは複数の(例えば反復的な)ステップでマスクを修復することができる。第1の(部分的な)修復ステップ335を調整ステップとして実行してもよく、すなわち、得られる第1の欠陥トポロジー、およびそれに応じて第1の量を、マスクの損傷または「過剰な修復」を避けるために、比較的「控えめに」選択および決定することができる。修復ステップが実行された後に、後処理ステップを実行してもよい。
【0115】
修復を終了345すべきかどうか、または修復手順の次の反復350があるべきかどうかについての決定を、次のステップ340で行うことができる。
【0116】
修復手順のさらなる反復350がある場合、マスクの欠陥の新しいトポロジー355または新しい欠陥の高さを、その後に決定することができる。しかしながら、例えば、修復の最終結果をチェックするために、さらなる反復350があってはならない場合に、新しいトポロジーを決定することも可能である。新しいトポロジーが直感に反して希望通りでない場合、さらなる反復350を実行し、それに応じて進めることも可能である。
【0117】
新しいトポロジー355を、(新しい)現在のトポロジー330として格納することができる。新しいトポロジー355および1つまたは複数の先行する反復360からの情報、例えば先行するトポロジー370に基づいて、第1の反復ステップまたは修復ステップによって得られたトポロジー変化375を決定することができる。このようにして得られたトポロジー変化375に関する情報を、単独で使用して、または(1つもしくは複数の先行する反復ステップもしくは修復ステップの)先行する量365と併せて使用して、(新しい)プロセス速度325を決定することができる。
【0118】
今度は、再びステップ320において、実行するさらなる(部分的な)修復手順のための量を決定することができる。これは、(新しい)プロセス速度325、(新しい)現在のトポロジー330、および標的トポロジー315に基づいて実行することができる。システムに格納され、かつ/または動的に作成された、調整曲線などからの参照データを、この時点で考慮することができる。
【0119】
その後、次の修復ステップ335を、このように決定された量を使用して実行することができ、さらなる(部分的な)修復ステップ335を実行してもよい。
【0120】
このようにして、場合により、例えばAFMおよび/またはSEMを使用する修復結果の最終検証を含めて、所望の修復成功または標的トポロジー315が起こる(set in:始まる)まで、本方法を継続することができる。
【0121】
この場合、修復装置の構成要素は、少なくとも部分的にハードウェアおよびソフトウェアに実装されてもよく、ハードウェア型の実装およびソフトウェア型の実装の組合せが当然可能である。
【0122】
方法のさらなる有利な実装形態は、さらに、例えば欠陥の初期トポロジーの決定後に、標的トポロジーが修復プロセスの求められている最終結果として(手動でまたは自動的に)指定され、その後、方法がシステムまたは装置上で(主に)自動化方式で実行される形態であってよい。このために、システムまたは装置は、例えば、現在の欠陥と同様または同一である欠陥の種類に関連する基準曲線に基づいて、手動の介入なしで適切なプロセス制御を選択するように、特に、現在の欠陥の修復に最も有利であると最初に思われる反復回数に関する決定を行うように設計することができる。得られる中間トポロジーを、この回数に基づいて自動的に決定することができる。その後、前述したように、システムは、修復プロセスを自動的に反復することができ、システムによって最初に求められた反復回数は、所望の修復成功を得るには不十分である(または大きすぎる)可能性が必ずある。その後、システムは、さらなる修復ステップを自動的に実行する(もしくは不要になったステップを省略する)ことができ、またはシステムは、最初に修復プロセスを中断して、さらなるユーザ入力を待つことができる。いずれにしても、システムは、修復プロセスの反復中にそれ自体を調整することができ、これは、記載された方法およびシステムの特定の利点を表すことができる。
図1
図2
図3