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  • 特許-自動分析装置の制御方法、自動分析装置 図1
  • 特許-自動分析装置の制御方法、自動分析装置 図2A
  • 特許-自動分析装置の制御方法、自動分析装置 図2B
  • 特許-自動分析装置の制御方法、自動分析装置 図2C
  • 特許-自動分析装置の制御方法、自動分析装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】自動分析装置の制御方法、自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023533465
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 JP2022022249
(87)【国際公開番号】W WO2023281940
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2021113307
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 昌平
(72)【発明者】
【氏名】松岡 晋弥
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 巌
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-002099(JP,A)
【文献】特開平10-260118(JP,A)
【文献】特開平11-316235(JP,A)
【文献】特開平02-307060(JP,A)
【文献】国際公開第2019/176136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-37/00
B01L1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を分析する自動分析装置を制御する制御方法であって、
前記試料を収容する反応容器に収容される液体のなかの有機溶媒の量および基準値ついての情報を取得するステップ、
前記情報にしたがって、前記反応容器内に含まれている有機溶媒の濃度を計算するステップ、
前記計算に基づき前記反応容器内に有機溶媒が前記基準値以上含まれるか否かを判定するステップ、
前記反応容器内に有機溶媒が前記基準値以上含まれると判定した場合は、前記反応容器内に残っている残液を前記反応容器から吸引し、含まれないと判定した場合は吸引しないステップ、
廃棄する反応容器を保持する廃棄容器保持部へ前記反応容器を移動させるステップ、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記制御方法はさらに、前記試料を分析する際の分析項目、前記試料の種別、のうち少なくともいずれかと、前記液体に含まれる有機溶媒の量との間の対応関係を記述したデータを取得するステップを有し、
前記情報を取得するステップにおいては、前記試料を分析する際の分析項目、前記試料の種別、のうち少なくともいずれかを用いて前記データを参照することにより、前記情報を取得する
ことを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項3】
前記制御方法はさらに、
前記試料を含む試料液を第1の前記反応容器に対して分注するステップ、
前記第1の前記反応容器内の液体を第2の前記反応容器へ移し替えるステップ、
を有し、
前記判定するステップにおいては、前記第1の前記反応容器内に有機溶媒が前記基準値以上含まれるか否かを判定し、
前記残液を吸引しまたは吸引しないステップにおいては、前記第1の前記反応容器内に有機溶媒が前記基準値以上含まれると判定した場合は前記第1の前記反応容器内の残液を吸引し、含まれないと判定した場合は吸引せず、
前記反応容器を移動させるステップにおいては、前記第1の前記反応容器を前記廃棄容器保持部へ移動させる
ことを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項4】
前記制御方法はさらに、
前記試料を含む試料液を第1の前記反応容器に対して分注するステップ、
前記第1の前記反応容器内の液体を第2の前記反応容器へ移し替えるステップ、
前記第2の前記反応容器が収容している液体に対して分析を実施するステップ、
を有し、
前記判定するステップにおいては、前記分析が完了した後に前記第2の前記反応容器内に有機溶媒が前記基準値以上含まれるか否かを判定し、
前記残液を吸引しまたは吸引しないステップにおいては、前記第2の前記反応容器内に有機溶媒が前記基準値以上含まれると判定した場合は前記第2の前記反応容器内の残液を吸引し、含まれないと判定した場合は吸引せず、
前記反応容器を移動させるステップにおいては、前記第2の前記反応容器を前記廃棄容器保持部へ移動させる
ことを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項5】
前記液体は、
前記試料を含む試料液、
前記試料と反応させる試薬を含む試薬液、
前記反応容器が収容している不要成分を洗浄するために用いる洗浄液、
前記試料を溶出させる溶出液、
前記試料の成分を分析する分析装置に対して供給する試料液の組成を調整することにより生成した組成調整液、
のうち少なくともいずれかである
ことを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項6】
前記自動分析装置は、前記残液を収容する残液タンクを備え、
前記制御方法はさらに、前記反応容器から前記残液を吸引した場合はその吸引した残液を前記残液タンクへ吐出し、吸引しなかった場合は吐出しないステップを有する
ことを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項7】
前記自動分析装置は、前記残液を前記反応容器から吸引する残液吸引機構を備え、
前記制御方法はさらに、前記反応容器内に有機溶媒が基準値以上含まれると判定した場合は、分析実施後に前記残液を吸引するように前記残液吸引機構を駆動し、含まれないと判定した場合は駆動しない
ことを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項8】
試料を分析する自動分析装置であって、
請求項1記載の制御方法を実施することにより前記自動分析装置を制御するコントローラを備えることを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の成分を分析する自動分析装置は、反応容器内に試料液を分注するとともに、試薬液や溶媒などその他必要な液体を同じ反応容器内に分注する。このとき、例えば有機溶媒などのように、法律上の理由やその他の理由により廃棄量を厳密に管理することが求められる溶媒を使用することがある。この場合は典型的には、反応容器と溶媒を分けて廃棄する必要がある。
【0003】
下記特許文献1は、有機溶媒を使用する自動分析装置について記載している。同文献においては、遠沈管14内へ酢酸エチル(有機溶媒)を分注し(同文献の0084参照)、使用済みの遠沈管14を投棄ポット73へ廃棄する(同文献の0087参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-108688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来技術においては、全ての反応容器から残液を吸引することによってその残液を回収した後、反応容器を廃棄するのが通常である。すなわち従来の自動分析装置においては、反応容器が有機溶媒を収容しているか否かに関わらず全ての反応容器から残液を回収する。したがって、廃液量が増加するとともに、廃液処理のスループットが低下する可能性がある。
【0006】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、有機溶媒などのように廃棄量を厳密に管理する溶媒の廃液量を抑制するとともに、廃液処理のスループットを向上することができる、自動分析装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る自動分析装置の制御方法は、反応容器に対して導入する液体に含まれる有機溶媒の量についての情報を取得し、その情報にしたがって、反応容器内の残液を吸引するか否かを決定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る自動分析装置の制御方法によれば、有機溶媒の廃液量を抑制するとともに、廃液処理のスループットを向上することができる。本開示のその他特徴、利点、構成などについては、以下の詳細説明を参照することにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る自動分析装置1の構成図である。
図2A】自動分析装置1が試料を分析する動作を説明するフローチャートである。
図2B】自動分析装置1が試料を分析する動作を説明するフローチャートである。
図2C】自動分析装置1が試料を分析する動作を説明するフローチャートである。
図3図2のフローチャートを図式化した処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、本開示の実施形態1に係る自動分析装置1の構成図である。自動分析装置1は試料に含まれる成分を分析する装置である。自動分析装置1は、反応容器12を載置する反応ディスク11、試料液分注プローブ131、試薬液分注プローブ132、残液吸引プローブ133(残液吸引機構)、残液タンク14、反応容器移動機構151、廃棄ポット152(廃棄容器保持部)、コントローラ161、記憶部162を備える。
【0011】
試料液分注プローブ131は、試料液を反応容器12内へ分注する。試薬液分注プローブ132は、試薬液を反応容器12内へ分注する。残液吸引プローブ133は、反応容器12内の残液を吸引して残液タンク14へ吐出する。これらプローブの動作手順については後述する。
【0012】
反応容器移動機構151は、反応容器12を反応ディスク11と廃棄ポット152との間で移動させる。廃棄ポット152は、使用済の反応容器12を収容する。ユーザは廃棄ポット152内の使用済の反応容器12を適宜廃棄する。
【0013】
コントローラ161は、自動分析装置1が備える各部(反応ディスク11、各プローブ、反応容器移動機構151)を制御する。記憶部162は、コントローラ161が用いるデータを格納する記憶装置である。コントローラ161の動作については、各プローブおよび反応容器移動機構151の動作と併せて後述する。
【0014】
図2A図2Cは、自動分析装置1が試料を分析する動作を説明するフローチャートである。以下各ステップについて説明する。
【0015】
図2A:ステップS201)
ユーザは、試料の種別についての情報、分析項目についての情報、などをコントローラ161に対して入力する。コントローラ161はその情報を用いて記憶部162を参照する。記憶部162は、試料の種別と分析項目ごとに、分析工程において反応容器12に収容される有機溶媒の量についての情報をあらかじめ格納している。コントローラ161はその情報を参照することにより、以後のステップにおいて反応容器12に収容される有機溶媒の量を判断する。具体例は後述のステップで説明する。
【0016】
図2A:ステップS202~S203)
反応容器移動機構151は、1つ目の反応容器12(第1反応容器)を反応ディスク11上に載置する(S202)。試料液分注プローブ131は、試料液を第1反応容器内に分注する(S203)。S203の後、希釈液を第1反応容器へ投入することによって試料液を希釈してもよい(後述のS203’)。
【0017】
図2A:ステップS204)
試薬液分注プローブ132は、試薬液を第1反応容器内に分注する。このとき、試料成分を吸着するための磁性粒子を併せて第1反応容器へ投入する。例えば磁性粒子を含む液体を試薬液分注プローブ132が第1反応容器へ分注すればよい。試薬液と磁性粒子は同時に分注してもよいし、個別に分注してもよい。
【0018】
図2A:ステップS205)
試料と試薬を反応させるインキュベート工程を実施する。例えば第1反応容器を37℃に維持して所定時間待機する。これにより試料と試薬との間の化学反応を促進する。
【0019】
図2A:ステップS206)
磁性粒子に付着した試料成分以外の余分な成分を洗浄する。具体的には、洗浄のために用いる溶媒を試薬液分注プローブ132が第1反応容器内に分注する。試薬液分注プローブ132は、洗浄が完了すると、洗浄のために用いた溶媒を吸引して廃棄する。試料種別や分析項目によっては、この溶媒が有機溶媒である場合がある。さらに分析項目によっては、本ステップを実施せずにS207を実施する場合もある。
【0020】
図2A:ステップS207)
試薬液分注プローブ132は、磁性粒子に付着した試料成分を溶出するための溶媒を第1反応容器へ分注する。試料種別や分析項目によっては、この溶媒が有機溶媒である場合がある。磁性粒子は周囲に配した磁石により第1反応容器の壁面へ吸着される。
【0021】
図2A:ステップS208)
試薬液分注プローブ132は、第1反応容器内の溶出液(S207によって試料成分が溶出した液体)を吸引し、その溶出液を2つ目の反応容器12(第2反応容器)に分注する。磁性粒子は第1反応容器内に残す。第2反応容器内の溶出液(試料)は、後述の成分分析工程に供される。
【0022】
図2A:ステップS208:補足)
質量分析装置などの分析装置は、液体を分析することを想定して構成されているのが一般的である。したがって試料液のなかに磁性粒子が混在していると、分析装置が故障する可能性がある。そこで本ステップにおいて、溶出液を第2反応容器へ移し替えることとした。このような不要な粒子類が液体内に含まれない試料種別や分析項目を用いる場合は、本ステップを省略してもよい。
【0023】
図2B:ステップS209)
コントローラ161は、S201において取得した情報を参照することにより、第1反応容器内に含まれている特定の有機溶媒の濃度を計算する。ここでいう有機溶媒は、例えば法令によって廃棄量を厳密に管理することが求められているものである。本ステップ時点において第1反応容器内に有機溶媒が含まれているか否かおよびその濃度は、試料種別や分析項目によって定まる。その有機溶媒を含む試料液・試薬液・洗浄液・溶出液などの種別、濃度、液量、導入順序などは、試料種別や分析項目にしたがってあらかじめ規定されているからである。有機溶媒が全く含まれない場合は、濃度=0となる。
【0024】
図2B:ステップS210)
コントローラ161は、S209において計算した第1反応容器内の有機溶媒濃度が基準値以上であるか否かを判断する。基準値は例えば有機溶媒の種別ごとに記憶部162内にあらかじめ格納しておけばよい。基準値以上である場合はS211へ進み、それ以外であればS212へスキップする。
【0025】
図2B:ステップS211)
残液吸引プローブ133は、第1反応容器内の残液を吸引し、残液タンク14へ吐出する。本ステップはS210において第1反応容器内に有機溶媒濃度が基準値以上含まれている場合のみ実施される。すなわち残液タンク14と残液吸引プローブ133が本ステップにおいて使用されるのは、S210において「Yes」であった場合のみである。
【0026】
図2B:ステップS212~S214)
反応容器移動機構151は、第1反応容器を廃棄ポット152へ廃棄する(S212)。試薬液分注プローブ132は、第2反応容器内の溶媒組成を必要に応じて調整する(S213)。第2反応容器を質量分析装置へ供することにより、成分分析を実施する(S214)。S213は、質量分析装置が分析を実施するのに適した溶媒組成を得るためのものである。
【0027】
図2C:ステップS215)
反応ディスク11は、第2反応容器を所定の廃棄位置へ移動させる。ここでいう廃棄位置は例えば、反応ディスク11上において試料に対する分析を実施しない任意の空き位置とすればよい。
【0028】
図2C:ステップS216)
コントローラ161は、S201において取得した情報を参照することにより、第2反応容器内に含まれている特定の有機溶媒の濃度を計算する。計算手順と有機溶媒の意義はS209と同じである。
【0029】
図2C:ステップS217)
コントローラ161は、S216において計算した第2反応容器内の有機溶媒濃度が基準値以上であるか否かを判断する。本ステップにおける基準値は、S209における基準値と同じでもよいし異なる値でもよい。
【0030】
図2C:ステップS218)
残液吸引プローブ133は、第2反応容器内の残液を吸引し、残液タンク14へ吐出する。本ステップはS211と同様に、S217において第2反応容器内に有機溶媒濃度が基準値以上含まれている場合のみ実施される。
【0031】
図2C:ステップS219)
反応容器移動機構151は、第2反応容器を廃棄ポット152へ廃棄する。
【0032】
図3は、図2のフローチャートを図式化した処理フロー図である。S205(インキュベート)に続いて、S206(洗浄)を実施した後に溶媒を入れ替えてS207へ進む場合と、S206を実施せずそのままS207へ進む(すなわち溶媒を入れ替えず溶出液を追加的に導入する)場合とがある。いずれの場合においても、溶出液を第1反応容器から第2反応容器へ移し替えた後、第1反応容器を廃棄する前に、第1反応容器から残液を回収するか否かを判定する。
【0033】
S206(洗浄)を実施する場合は、洗浄のために用いる溶媒を第1反応容器から取り出した後、S207(溶出)のための溶媒を第1反応容器へ導入する。したがってS209において第1反応容器内に存在する有機溶媒濃度は、溶出溶媒に含まれる有機溶媒濃度の影響が最も大きい。これに対してS206を実施しない場合は、試料液・試薬液・溶出液それぞれに含まれる有機溶媒がS209において第1反応容器内に十分残っている可能性がある。S206を実施するか否かは、試料種別や分析項目によってあらかじめ規定されている。
【0034】
したがってコントローラ161は、S209において、このような試料種別や分析項目ごとに、第1反応容器内の有機溶媒濃度を計算する必要がある。各ステップにおいて用いる試料液・試薬液・洗浄液・溶出液・組成調整液の種別・濃度・液量によってその有機溶媒濃度が定まる。したがってコントローラ161は、これらについての情報を用いて、S209を実施することができる。第2反応容器(S215)についても同様である。
【0035】
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態1に係る自動分析装置1は、反応容器12に対して導入する液体(例えば試薬液・試料液・洗浄液・溶出液・組成調整液)が含む有機溶媒の量についての情報を取得し、その情報にしたがって、反応容器12内に有機溶媒が含まれるか否かを判定し、含まれる場合は反応容器12から残液を吸引した上で廃棄する。これにより、全ての反応容器12から残液を回収する必要がなくなる。例えば自動分析装置1を初期化する際に、従来であれば全ての反応容器12から残液を回収するので、これにともなって多大な時間を要する。これに対して本実施形態1によれば、回収時間を短縮することにより、初期化処理時間を短縮できる。初期化処理以外においても、残液を回収するのにともなう時間を短縮する効果は同様である。
【0036】
本実施形態1に係る自動分析装置1は、第1反応容器から第2反応容器へ試料を移し替えた後、第1反応容器内に有機溶媒が基準値以上含まれているか否かを判定する。これにより、第1反応容器を廃棄する機会において、残液を吸引するか否かを判定することになるので、第1反応容器を廃棄する工程の効率を向上できる。さらに第2反応容器についても同様の判定を実施するので、第2反応容器を廃棄する工程の効率も向上できる。
【0037】
本実施形態1に係る自動分析装置1は、反応容器12内に有機溶媒が含まれていると判定した場合のみ、残液吸引プローブ133を駆動して反応容器12から残液を吸引する。これにより、残液吸引プローブ133の使用頻度を抑制することになるので、残液吸引プローブ133のメンテナンス頻度を削減することができる。
【0038】
本実施形態1に係る自動分析装置1は、反応容器12内に有機溶媒が含まれていると判定した場合のみ、反応容器12内の残液を吸引して残液タンク14へ吐出する。これにより、残液タンク14が収容する残液量を抑制することになるので、残液タンク14の交換頻度を削減することができる。
【0039】
<実施の形態2>
実施形態1において、S203を実施した後、S204へ進む前に、試料液を希釈液によって希釈してもよい(図3のS203’)。希釈した試料液を別の反応容器へ移し替える場合は、移し替え前の反応容器を廃棄する必要がある。この時点において、S209~S211と同様に有機溶媒濃度を判定して残液を吸引してもよい。
【0040】
実施形態1において、反応容器12内に有機溶媒が含まれるか否かは、試料種別が同じであっても、分析項目に依拠する場合もある。例えば試料の種別が同じであっても、使用する試薬が分析項目ごとに異なる場合があるからである。したがって記憶部162は、分析項目または試料種別のうち少なくともいずれかと、反応容器12内に有機溶媒が含まれるか否かとの間の関係を記述した情報を、あらかじめ保持しておいてもよい。コントローラ161は、その情報を読み取ることにより、反応容器12内に有機溶媒が含まれるか否かを判定できる。
【0041】
<本開示の変形例について>
本開示は、上述した実施形態に限定されるものでなく、様々な変形例を含んでいる。例えば、上述した実施形態は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要はない。また、ある実施形態の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成の一部を追加、削除または置換することもできる。
【0042】
以上の実施形態において、コントローラ161は、その機能を実装した回路デバイスなどのハードウェアによって構成することもできるし、その機能を実装したソフトウェアを演算装置(例えばCentral Processing Unit:CPU)が実行することによって構成することもできる。
【0043】
本開示は、有機溶媒以外の物質の廃棄量を厳密に管理する必要がある場合においても適用することができる。例えば分析過程において有害物質を用いる場合、その廃棄量と基準値を本開示にしたがって比較することにより、反応容器内の有害物質を吸引するか否かを判定することができる。例えば、安全ではないと考えられている有機物を含む液体一般に対して本開示を適用することもできる。例えばギ酸、アンモニアなどの有機物がこれに当たる。
【符号の説明】
【0044】
1:自動分析装置
11:反応ディスク
12:反応容器
131:試料液分注プローブ
132:試薬液分注プローブ
133:残液吸引プローブ
14:残液タンク
151:反応容器移動機構
152:廃棄ポット
161:コントローラ
162:記憶部
図1
図2A
図2B
図2C
図3