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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】アライメント装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 47/22 20060101AFI20240927BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240927BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240927BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240927BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B24B47/22
B24B49/12
B24B27/06 M
B24B41/06 Z
B23Q17/24 A
H01L21/78 C
H01L21/78 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023189976
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2019177264の分割
【原出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2024014904
(43)【公開日】2024-02-01
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(72)【発明者】
【氏名】武田 邦義
(72)【発明者】
【氏名】對馬 健夫
(72)【発明者】
【氏名】深谷 浩則
(72)【発明者】
【氏名】新井 裕介
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-170501(JP,A)
【文献】特開2011-114070(JP,A)
【文献】特開2009-044054(JP,A)
【文献】特開2017-092362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0218648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00-3/60
B24B21/00-51/00
H01L21/301;21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの外形の測定結果に基づいて前記ワークの外縁部の一部を検出し、前記外縁部の一部の設計値からのずれに基づいて算出した前記ワークの歪から前記ワークの変形量を算出し、前記ワークの変形量に基づいて前記ワークの分割予定ラインの位置を算出し、前記分割予定ラインに沿うブレードの刃厚に対応する幅のラインが前記ワークを吸着保持する治具の治具溝に収まるように、前記ワークと前記治具とのアライメントを行う制御部を備える、アライメント装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ワークの対向する二辺に最も近い少なくとも2本の分割予定ラインに沿う前記ブレードの刃厚に対応する幅のラインがそれぞれ前記治具の治具溝に収まるように、前記ワークと前記治具とのアライメントを行う、請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ワークに設けられた複数の分割エリアの間に形成されたスリットを含む領域の画像に基づいて、前記ワークの前記分割エリアごとの歪を算出し、前記ワークの前記分割エリアごとの歪に基づいて前記ワークの分割予定ラインの位置を算出し、前記分割予定ラインに沿う前記ブレードの刃厚に対応する幅のラインが前記治具の治具溝に収まるように、前記ワークと前記治具とのアライメントを行う、請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項4】
ワークの外形の測定結果に基づいて前記ワークの外縁部の一部を検出し、
前記外縁部の一部の設計値からのずれに基づいて算出した前記ワークの歪から前記ワークの変形量を算出し、
前記ワークの変形量に基づいて前記ワークの分割予定ラインの位置を算出し、
前記分割予定ラインに沿うブレードの刃厚に対応する幅のラインが前記ワークを吸着保持する治具の治具溝に収まるように、前記ワークと前記治具とのアライメントを行う、アライメント方法。
【請求項5】
前記ワークに設けられた複数の分割エリアの間に形成されたスリットを含む領域の画像に基づいて、前記ワークの前記分割エリアごとの歪を算出し、
前記ワークの前記分割エリアごとの歪に基づいて前記ワークの分割予定ラインの位置を算出し、
前記分割予定ラインに沿う前記ブレードの刃厚に対応する幅のラインが前記治具の治具溝に収まるように、前記ワークと前記治具とのアライメントを行う、請求項4に記載のアライメント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイシング装置及び方法に係り、半導体装置又は電子部品等が形成されたウェーハ等の被加工物(以下、ワークという。)を個々のチップに分割するダイシング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置又は電子部品等が形成されたウェーハ等のワークを個々のチップに分割するダイシング装置は、スピンドルによって高速に回転されるブレードと、ワークを吸着保持するワークテーブルと、ワークテーブルとブレードとの相対的位置を変化させるX、Y、Z及びθ駆動部とを備えている。ダイシング装置では、各駆動部によりブレードとワークとを相対的に移動させながら、ブレードをワークに切り込ませることによりダイシング加工(切削加工)する。
【0003】
ワークのダイシング加工を行う場合、ワークを治具に吸着固定し、ワークの分割予定ラインと、治具の治具溝との位置合わせ(アライメント)を行う。これにより、ワークを貫通するようにブレードを深く切り込ませることにより、ワークを完全に分割することが可能になる。
【0004】
治具を用いてワークのダイシング加工を行う場合、ワークの分割予定ラインの位置と治具溝の位置がずれると、ワークの分割予定ラインを検出し加工した結果、ブレードと治具とが干渉して治具の一部が削られてしまう。治具の一部が削られると、ワークを治具に吸着するときにエアがリークし、ワークを治具に安定的に吸着することが困難になる。また、治具の寿命が短くなり、治具の交換の頻度が増加してコストの上昇を招いたり、治具の切削により発生したゴミがクリーンルームの汚染の原因となるという問題がある。
【0005】
特許文献1及び2には、ワークの分割予定ラインと治具溝との位置合わせを行う際に、ワークを治具から退避させた後に置き直すことが開示されている。具体的には、ワークを治具に載置する前後の画像から治具溝及び分割予定ラインをそれぞれ検出して、治具の治具溝の位置とワークの分割予定ラインの位置との間のずれ量を算出する。次に、ワークを治具から退避させ、ワーク又は治具を移動させてずれ量の補正を行った後に、ワークを治具に置き直す。これにより、分割予定ラインと治具溝とが位置合わせされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-065603号公報
【文献】特開2016-143861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ダイシング加工時にブレードと治具とが干渉する要因としては、以下の(1)及び(2)が考えられる。
(1)ワークを加工部に搬入(ロード)して治具に吸着保持するときの搬入誤差。
(2)ワークの歪に起因する分割予定ラインのずれ。分割予定ラインの部分的なずれが累積して生じる累積ずれ。
【0008】
特許文献1及び2では、治具の治具溝の位置とワークの分割予定ラインの位置との間のずれ量を算出し、ワークを治具から退避させて置き直すことにより位置合わせを行っている。特許文献1及び2によれば、ワークを治具に載置する前後の画像から(1)の搬入誤差に起因するずれ量を算出し、置き直しによりずれ量の補正を行うことが可能になる。しかしながら、特許文献1及び2では、ワークを治具から退避させて置き直すために手間がかかり、時間のロスにつながる。このため、ダイシング装置のスループットが低下するという問題があった。
【0009】
さらに、特許文献1及び2では、(2)のワークの歪に起因する分割予定ラインの部分的なずれの累積ずれが考慮されておらず、分割予定ラインの部分的なずれの累積ずれに起因するブレードと治具との干渉を防止することは困難であった。ダイシング加工時にブレードと治具との干渉が発生した場合、干渉が検出されるとエラーが発生し、ダイシング装置が停止することになる。エラーの発生によりダイシング装置が停止すると、スループットがさらに低下するという問題があった。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ダイシング加工時におけるワークのアライメントエラーの発生を防止することができ、かつ、ブレードと治具との干渉を防止することが可能なダイシング装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るダイシング装置は、ワークを保持して搬送するハンドラと、ワークをハンドラに保持した状態でワークの外形を測定するためのセンサーと、ワークを吸着保持するための治具と、治具により吸着保持されたワークに対して分割予定ラインに沿ってダイシング加工を行って分割するためのブレードとを含む加工部と、ワークの外形の測定結果に基づいてワークの分割予定ラインの位置を算出し、分割予定ラインに沿うブレードの刃厚に対応する太さのラインが治具の治具溝に収まるように、ワークと治具とのアライメントを行う制御部とを備える。
【0012】
本発明の第2の態様に係るダイシング装置は、第1の態様において、制御部は、ワークの対向する二辺に最も近い少なくとも2本の分割予定ラインに沿うブレードの刃厚に対応する太さのラインがそれぞれ治具の治具溝に収まるように、ワークと治具とのアライメントを行う。
【0013】
本発明の第3の態様に係るダイシング装置は、第1の態様において、制御部は、ワークに設けられた複数の分割エリアに含まれる分割予定ラインに沿うブレードの刃厚に対応する太さのラインが治具の治具溝に収まるように、ワークと治具とのアライメントを行う。
【0014】
本発明の第4の態様に係るダイシング装置は、第3の態様において、制御部は、分割エリアにおいて対向する二辺に最も近い少なくとも2本の分割予定ラインに沿うブレードの刃厚に対応する太さのラインがそれぞれ治具の治具溝に収まるように、ワークと治具とのアライメントを行う。
【0015】
本発明の第5の態様に係るダイシング方法は、ワークをハンドラに保持した状態でワークの外形を測定するステップと、ワークの外形の測定結果に基づいてワークの分割予定ラインの位置を算出し、ワークの分割予定ラインに沿うラインであって、ワークのダイシング加工を行うためのブレードの刃厚に対応する太さのラインが治具の治具溝に収まるように、ワークと治具とのアライメントを行うステップと、ワークを治具により吸着保持して、ワークに対して分割予定ラインに沿ってダイシング加工を行うステップとを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ワークの歪に起因する分割予定ラインのずれが発生している場合であっても、ワークの外形を予め測定して分割予定ラインの位置を算出することにより、アライメントエラーの発生を防止することができ、ブレードと治具との干渉を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るダイシング装置を示す平面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るダイシング装置の制御系を示すブロック図である。
図3図3は、センサーの例を示す斜視図である。
図4図4は、図3に示すセンサーを用いたワークの外形の測定方法を説明するための平面図である。
図5図5は、非接触式センサーの例を示す斜視図である。
図6図6は、加工ステージとワークを示す平面図(アライメント前)である。
図7図7は、加工ステージとワークを示す平面図(アライメント後)である。
図8図8は、加工ステージの表面に設けられた治具を拡大して示す斜視図である。
図9図9は、ワークの切削状況を示す平面図である。
図10図10は、図9のX-X断面図である。
図11図11は、比較例を示す平面図である。
図12図12は、本発明の第1の実施形態に係るダイシング方法を示すフローチャートである。
図13図13は、本発明の第2の実施形態に係るダイシング方法を説明するための平面図である。
図14図14は、本発明の第2の実施形態に係るダイシング方法を示すフローチャートである。
図15図15は、図14における分割エリアごとのダイシング工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に従って本発明に係るダイシング装置及び方法の実施の形態について説明する。
【0019】
[ダイシング装置]
図1は、本発明の一実施形態に係るダイシング装置を示す平面図であり、図2は、本発明の一実施形態に係るダイシング装置の制御系を示すブロック図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るダイシング装置1は、ワークWのダイシング加工を行う加工部20と、ハンドラ50とを含んでいる。本実施形態に係るダイシング装置1では、ダイシング加工の前に、ワークWをハンドラ50に保持した状態でワークWの外形の測定を行い、ワークWの外形の測定の測定結果に基づいて、加工部20におけるワークWと治具J1の治具溝G1(図6から図10参照)とのアライメントを行う。
【0021】
加工部20へのワークWの搬入、及び加工部20からのワークWの搬出は、ハンドラ50を用いて行われる。ハンドラ50は、ハンドラ軸52、ハンドラアーム54及びハンドラ駆動部56を含んでいる。ハンドラ軸52は、Y方向に伸びており、ハンドラアーム54をY方向及びZ方向に沿って移動可能に保持する。ハンドラアーム54は、ワークWを吸着して保持する。ハンドラ駆動部56は、ハンドラアーム54をY方向及びZ方向に移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。ハンドラアーム54をY方向及びZ方向に移動させるための機構としては、ハンドラ軸52にボールねじを設けて、ハンドラアーム54にボールねじと螺合するナット等を設けたボールねじ機構、又はラックアンドピニオン機構等の往復直線運動が可能な機構を用いることが可能である。
【0022】
図2に示すように、本実施形態に係るダイシング装置1の制御系は、制御部100、入力部102及び表示部104を含んでいる。ダイシング装置1の制御系は、例えば、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ等の汎用のコンピュータによって実現可能である。
【0023】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージデバイス(例えば、ハードディスク等)等を含んでいる。制御部100では、ROMに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることにより、ダイシング装置1の各部の機能が実現される。
【0024】
入力部102は、ユーザからの操作入力を受け付けるための操作部材(例えば、キーボード、ポインティングデバイス等)を含んでいる。
【0025】
表示部104は、ダイシング装置1の操作のためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイを含んでいる。
【0026】
(ワークの外形の測定)
図2に示すように、本実施形態に係るダイシング装置1は、センサー10及びセンサー制御部12を含んでいる。
【0027】
センサー10は、ワークWをハンドラ50に保持した状態で、ワークWの外形(例えば、外縁部、4隅の点等)を検出する。センサー10としては、ワークWを図中下方(-Z側)から撮影するカメラ、又はレーザー光を利用する非接触式センサーを用いることが可能である。
【0028】
センサー制御部12は、センサー10によるワークWの外形の検出結果を検出信号に変換して制御部100に送信する処理部と、センサー10をXY方向に移動させるための駆動部とを含んでいる。センサー10の駆動部としては、例えば、上記のような往復直線運動が可能な機構を用いることが可能である。
【0029】
制御部100は、センサー制御部12から受信したワークWの外形の検出結果を含む検出信号から、ワークWの歪を推定する。具体的には、制御部100は、ワークWの外形の検出結果の設計値からのずれに基づいてワークWの歪を推定する。
【0030】
例えば、図1等に示す矩形のワークWの場合には、センサー10を用いて、ワークWの4隅の点P1からP4(図4参照)を検出する。そして、ワークWの4隅の点P1からP4の設計値からのずれに基づいて、ワークWのXY方向及び回転方向(θ方向)の歪を算出し、ワークWの歪に基づいて、ワークWの分割予定ラインCL1の位置を算出する。分割予定ラインCL1の位置の算出は、例えば、ワークWがXYθ方向にリニアに変形したと仮定して、ワークWの変形量に基づいて、分割予定ラインCL1の位置の設計値からのずれを推定する。
【0031】
加工部20では、この分割予定ラインCL1の位置に基づいて、ワークWとステージST1又はST2のアライメントを行う。
【0032】
図3は、センサーの例を示す斜視図であり、図4は、図3に示すセンサーを用いたワークの外形の測定方法を説明するための平面図である。
【0033】
図3に示すセンサー10は、撮像素子がライン状(Y方向)に配列されたラインセンサーである。センサー10における撮像素子が配列された領域の長さは、ワークWのY方向長さよりも長くなっている。したがって、ワークWを保持したハンドラアーム54とセンサー10とをX方向に相対移動させながらワークWの画像を撮影することにより、ワークWの-Z側の面の画像を撮影することができる。制御部100は、ワークWの-Z側の面の画像からワークWの外形を測定する。
【0034】
ワークWの-Z側の面の画像を撮影するときには、ワークWを保持したハンドラアーム54とセンサー10とをX方向に相対移動させながらワークWの画像を撮影し、撮影した画像をつなぎ合わせることにより、ワークWの全面の画像を作成するようにしてもよい。この場合、ワークWの全面の歪(例えば、設計値からのずれ)を算出することが可能になる。
【0035】
また、ワークWを保持したハンドラアーム54とセンサー10とをX方向に相対移動させながら、ワークWのX方向の両端部V1及びV2の画像を撮影し、両端部V1及びV2の画像からワークWの4隅の点P1からP4を検出するようにしてもよい。この場合、ワークWの4隅の点P1からP4の位置から、線形補間又は最小二乗近似によりワークWの外形を算出して、ワークWの外形からワークWの歪を算出することができる。
【0036】
また、両端部V1及びV2の画像に加えて、両端部V1及びV2の間の中間部V3の画像を撮影してもよい。この場合も、ワークWの4隅の点P1からP4及び中間部V3の端部の位置から、線形補間又は最小二乗近似によりワークWの外形を算出して、ワークWの外形からワークWの歪を算出することができる。
【0037】
また、図4に示すように、ワークWが複数の分割エリア(図4に示す例では、A1からA4の4つ)に分かれている場合、各分割エリアの間にスリット(SL1からSL3)が形成される場合がある。この場合、両端部V1及びV2の画像に加えて、スリットSL1からSL4のいずれかを含む領域を撮影するようにしてもよい。この場合、ワークWの分割エリアごとに歪を算出することが可能になる。
【0038】
なお、本実施形態では、センサー10としてワークWよりも長いラインセンサーを用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ワークWよりも短いラインセンサーを用いる場合には、センサー10をXY方向に走査して撮影した画像をつなぎ合わせればよい。
【0039】
また、本実施形態では、センサー10としてラインセンサーを用いたが、本発明はこれに限定されない。センサー10としては、例えば、撮像素子が2次元に配列されたエリアセンサー、カメラ又は非接触式センサーを用いることも可能である。
【0040】
図5は、非接触式センサーの例を示す斜視図である。図5に示す非接触式センサー10-1は、投光部14及び受光部16を含んでいる。投光部14は、レーザー光L1を発振する素子を備えており、受光部16は、レーザー光L1を受光する受光素子を備えている。投光部14及び受光部16は、それぞれワークWの-Z側と+Z側に配置されており、投光部14が+Z方向に発振したレーザー光L1を受光部16が受光する。センサー制御部12は、このレーザー光L1がワークWによって遮光されたときの位置を示す検出信号を制御部100に送信し、制御部100は、このレーザー光L1がワークWによって遮光されたときの位置に基づいて、ワークWの外形を測定する。
【0041】
なお、図5に示す非接触式センサー10-1を用いる場合には、ワークWの4隅に対応して4つの非接触式センサーを設けてもよい。この場合、非接触式センサー10-1とワークWとを相対移動させることなく、ワークWの4隅の点を検出可能にしてもよい。
【0042】
また、図5に示す例では、ワークWを挟んで投光部14及び受光部16を配置されている非接触式センサー10-1について説明したが、例えば、TOF(Time of Flight)方式又は位相差検出方式の非接触式センサーを用いてもよい。
【0043】
(加工部)
加工部20では、ワークWの形状の測定の測定結果に基づいて、ワークWのアライメントが行われ、ブレードダイシングが行われる。図1及び図2に示すように、加工部20は、第1ステージST1、第2ステージST2、第1ステージ駆動部22-1、第2ステージ駆動部22-2、加工駆動部26、顕微鏡MS、MS駆動部28、第1スピンドル30-1、第2スピンドル30-2、第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2を含んでいる。
【0044】
センサー10を用いて外形の測定が行われたワークWは、ハンドラアーム54により吸着保持されて加工部20に搬入され、第1ステージST1又は第2ステージST2に載置される。第1ステージST1又は第2ステージST2の表面には、ワークWを吸着保持するための治具が設けられている。なお、以下の説明では、搬送中のワークをW、第1ステージST1及び第2のステージST2に吸着保持されたワークをそれぞれW1及びW2と記載する。
【0045】
第1ステージ駆動部22-1は、第1ステージST1をθ1方向に回転させるモータと、空気を吸引してワークWを第1ステージST1に吸着するためのポンプとを含んでいる。第2ステージ駆動部22-2は、第2ステージST2をθ2方向に回転させるモータと、空気を吸引してワークWを第2ステージST2に吸着するためのポンプとを含んでいる。
【0046】
なお、本実施形態では、加工部20に2つのステージ(第1ステージST1及び第2ステージST2)を設けたが、加工部20のステージは1つであってもよい。
【0047】
第1スピンドル30-1及び第2スピンドル30-2には、それぞれ第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2が取り付けられている。第1スピンドル30-1及び第2スピンドル30-2は、それぞれ第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2を高速回転させるための高周波モータを含んでいる。
【0048】
第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2は、例えば、円盤状の切削刃である。第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2としては、例えば、ダイヤモンド砥粒又はCBN(Cubic Boron Nitride)砥粒をニッケルで電着した電着ブレード、あるいは樹脂で結合したレジンブレード等を用いることが可能である。第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2は、加工対象のワークWの種類及びサイズ並びに加工内容等に応じて交換可能である。
【0049】
上記の通り、第1ステージST1及び第2ステージST2は、同様の構成を有している。このため、以下の説明では、第1ステージ駆動部22-1及び第2ステージ駆動部22-2を加工ステージ駆動部22、第1スピンドル30-1及び第2スピンドル30-2をスピンドル30、第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2をブレード32と総称する場合がある。
【0050】
加工駆動部26は、第1スピンドル30-1及び第2スピンドル30-2を加工軸(Y軸)に沿って移動させるためのモータを含んでいる。
【0051】
MS駆動部28は、顕微鏡MSをX1軸、X2軸及びMS軸に沿って移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。顕微鏡MSを移動させるための機構としては、例えば、ボールねじ又はラックアンドピニオン機構等の往復直線運動が可能な機構を用いることが可能である。
【0052】
顕微鏡MSは、第1ステージST1及び第2ステージST2に吸着保持されたワークW1及びW2の表面の画像を撮影する。顕微鏡MSによって撮影されたワークW1及びW2の表面画像は、制御部100に送信される。
【0053】
なお、本実施形態では、顕微鏡MSをX1軸、X2軸及びMS軸に沿って移動させるようにしたが、第1ステージST1及び第2ステージST2を移動させるようにしてもよいし、顕微鏡MS、第1ステージST1及び第2ステージST2を移動させるようにしてもよい。以下の説明では、第1ステージST1及び第2ステージST2を加工ステージSTと記載する場合がある。
【0054】
制御部100は、顕微鏡MSから受信したワークW1及びW2の表面画像に対して画像処理を行って、ワークW1及びW2の分割予定ラインと、第1ステージST1及び第2ステージST2の表面に設けられた治具とのアライメントを行う。
【0055】
なお、本実施形態では、簡単のため、X1軸及びX2軸をX軸に平行とし、ハンドラ軸52、MS軸及び加工軸をY軸と平行としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、加工部20のX1軸及びX2軸並びにMS軸は、それぞれ独立に設けることが可能である。
【0056】
(アライメント)
まず、ワークWを吸着するための加工ステージST及び治具J1の構成について説明する。
【0057】
図6及び図7は、加工ステージとワークを示す平面図である。図6及び図7は、加工ステージSTとワークWとのアライメントが行われる前後の状態をそれぞれ示している。また、図8は、加工ステージの表面に設けられた治具を拡大して示す斜視図である。
【0058】
図6に示すように、ワークWの表面には、ワークWに形成された半導体装置又は電子部品等を個別のチップに分割するための分割予定ラインCL1が設けられている。加工ステージSTの表面には、ワークWのチップと一対一対応となるように治具(吸着パッド)J1が設けられている。治具J1は、加工ステージSTの表面に、所定の間隔Wを空けて、XY方向に沿って並べて取り付けられている(接着されている)。以下の説明では、治具J1の間のスペースを治具溝G1という。ここで、治具J1は、加工対象のワークWの種類及びサイズ並びに加工内容等に応じて交換され、治具溝G1の幅Wがブレード32の幅(刃厚)Wよりも広いものが用いられる。
【0059】
治具J1の平面形状は、図6及び図7に示す例では略矩形であるが、チップの形状に対応して変更することが可能である。図7に示すように、治具J1の平面視のサイズは、チップのサイズよりも小さくなっている。
【0060】
治具J1は、例えば、ラバー(ゴム)製であり、図8に示すように、上方(+Z側)が開放され、底部が閉じた筒状(角筒状)である。治具J1の底面には、吸引孔H1が形成されており、第1ステージ駆動部22-1又は第2ステージ駆動部22-2のポンプを用いて、ワークWと治具J1との間の空気を吸引することにより、ワークWが加工ステージSTに吸着保持される。
【0061】
なお、治具J1の形状は、筒状に限定されるものではない。治具J1は、例えば、吸引孔H1が複数形成された板状のラバーをダイシング加工することにより作成するようにしてもよい。
【0062】
ワークWを加工ステージSTにロードする場合には、図7に示すように、制御部100により算出された分割予定ラインCL1の位置に基づいてアライメントが行われる。具体的には、制御部100は、制御部100により算出された分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインがすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなワークWのX、Y座標及び加工ステージSTの回転角(θ1又はθ2)を算出する。そして、制御部100は、算出したX、Y座標及び回転角(θ1又はθ2)に基づいてハンドラアーム54と加工ステージSTとの相対位置を調整して、ワークWと治具溝G1とのアライメントを行って、ワークWを治具J1に吸着させる。
【0063】
なお、本実施形態では、分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインがすべて対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行うようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、分割予定ラインCL1の一部のみ(例えば、ワークWのX方向両端の対向する2辺に最も近い2本の分割予定ラインCLX11及びCLX42、ワークWのY方向両端の対向する2辺に最も近い2本の分割予定ライン(図7に示す例では、ワークWは、4つの分割エリアA1からA4に分かれているため、合計8本の分割予定ラインCLY11、CLY12、CLY21、CLY22、CLY31、CLY32、CLY41及びCLY42)、又はこれらを含む複数本)についてその位置を算出し、算出した分割予定ラインが対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行ってもよい。
【0064】
一般に、ワークWは、均一な材料により形成されるため、ワークWの変形は略リニアに発生すると考えられる。この場合、分割予定ラインCL1は、ワークWの歪にしたがって略リニアに分布する。したがって、ワークWのY方向両端の対向する2辺に最も近い2本分割予定ラインCL1が対応する治具溝G1に収まるようにアライメントを行うだけでも、ほかの分割予定ラインCL1が対応する治具溝G1に収まるようにすることが可能である。
【0065】
図9は、ワークの切削状況を示す平面図であり、図10は、図9のX-X断面図である。図11は、比較例を示す平面図である。
【0066】
図9に示す例では、分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントが行われている。この場合、図10に示すように、ブレード32によりワークWのダイシング加工を行うと、ブレード32が治具J1に干渉しない。
【0067】
一方、図11に示す例では、分割予定ラインCL2に沿う太さWのラインCT2の一部が対応する治具溝G1の外に達している。この場合、ブレード32によりワークWのダイシング加工を行うと、図中の領域E1においてブレード32が治具J1と干渉する。このため、ブレード32が治具J1に切り込んで治具J1が破損する。
【0068】
本実施形態によれば、ワークWの外形の検出結果に基づいて分割予定ラインCL1の位置を予め算出しておき、この分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1が対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行う。これにより、ブレード32と治具J1との干渉を防止することができる。
【0069】
[ダイシング方法]
(第1の実施形態)
図12は、本発明の第1の実施形態に係るダイシング方法を示すフローチャートである。
【0070】
まず、制御部100は、ハンドラ50を制御して、ハンドラアーム54にワークWを吸着保持させる(ステップS10)。そして、ハンドラアーム54にワークWを保持した状態で、センサー10を用いてワークWの外形を検出する(ステップS12)。
【0071】
次に、制御部100は、ワークWの外形の検出結果に基づいて、ワークWの歪を算出する。そして、制御部100は、ワークWの歪の算出結果に基づいて、アライメントが可能であるか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14における判定は、例えば、下記の(A)から(C)のいずれかにより行う。
【0072】
(A)制御部100は、ワークWの歪の算出結果に基づいて、例えば、線形補間又は最小二乗近似により、ワークWのすべての分割予定ラインCL1の位置を算出する。次に、制御部100は、分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントが可能か否かを判定する。
【0073】
(B)制御部100は、ワークWの歪の算出結果に基づいて、例えば、線形補間又は最小二乗近似により、(B1)ワークWのX方向両端の対向する2辺に最も近い2本の分割予定ラインCLX11及びCLX42図7参照)、又は(B2)ワークWのY方向両端の対向する2辺に最も近い分割予定ライン(図7に示す例では、ワークWは、4つの分割エリアA1からA4に分かれているため、合計8本の分割予定ラインCLY11、CLY12、CLY21、CLY22、CLY31、CLY32、CLY41及びCLY42)の位置を算出する。次に、制御部100は、算出した分割予定ライン(CLX11及びCLX42、若しくはCLY11、CLY12、CLY21、CLY22、CLY31、CLY32、CLY41及びCLY42)に沿う太さWのラインCT1が対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントが可能か否かを判定する。なお、分割予定ラインCLY11、CLY21、CLY31及びCLY41と、分割予定ラインCLY12、CLY22、CLY32及びCLY42とは、それぞれ1回の走査で切削されるため、それぞれ1本の分割予定ラインとして扱ってもよい。
【0074】
(C)制御部100は、ワークWの歪の算出結果に基づいて、例えば、線形補間又は最小二乗近似により、一部の分割予定ラインCL1の位置を算出する。次に、制御部100は、上記の一部の分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントが可能か否かを判定する。ここで、一部の分割予定ラインCL1とは、例えば、(C1)ワークWの四辺に最も近い分割予定ライン(CLX11及びCLX42並びにCLY11、CLY12、CLY21、CLY22、CLY31、CLY32、CLY41及びCLY42、(C2)ワークWのX方向両端の対向する2辺に最も近い2本の分割予定ラインCLX11及びCLX42を含む複数本の分割予定ラインCL1、若しくは(C3)ワークWのY方向両端の対向する2辺に最も近い分割予定ラインCLY11、CLY12、CLY21、CLY22、CLY31、CLY32、CLY41及びCLY42を含む複数本の分割予定ラインCL1である。
【0075】
次に、制御部100は、ステップS14においてアライメントが可能と判定した場合、ハンドラアーム54を制御して、加工部20の加工ステージSTにワークWをロードする。このとき、制御部100は、ステップS14におけるワークWの判定結果に基づいてアライメントを行い、加工ステージ駆動部22を制御して、加工ステージSTにワークWを吸着保持させる(ステップS16)。そして、制御部100は、加工ステージSTに吸着保持されたワークWの分割予定ラインCL1に沿ってブレード32を移動させてダイシング加工を行う(ステップS18)。
【0076】
一方、制御部100は、ステップS14においてアライメントが不可能と判定した場合、ハンドラアーム54からワークWを取り外して(アンロード)、ダイシング加工の対象から除外する(ステップS20)。この場合、引き続き、別のワークWに対して上記のステップを繰り返すようにしてもよい。
【0077】
本実施形態によれば、ワークWの歪に起因する分割予定ラインCL1のずれが発生している場合であっても、ワークWの外形を予め測定して分割予定ラインの位置を算出することができる。これにより、アライメントエラーの発生を防止することができ、かつ、ブレード32と治具J1との干渉を防止することができる。
【0078】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、1回のアライメントでワークWの分割予定ラインCL1と治具溝G1の位置合わせが可能か否かを判定した。これに対して、本実施形態では、ワークWのエリアごとに(例えば、分割エリアA1からA4ごとに)アライメントが可能な場合にもダイシング加工を行うようにしたものである。
【0079】
図13は、本発明の第2の実施形態に係るダイシング方法を説明するための平面図である。
【0080】
図13に示す例では、分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントを行うことができない。このため、ワークWを複数の分割エリアA1からA4に分け、分割エリアA1からA4ごとに、アライメントとダイシング加工を行う。
【0081】
具体的には、まず、図13に示すように、分割エリアA1に含まれる分割予定ラインCL1について、分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具群JG1の治具溝G1の中に収まるようなアライメントを行う。このとき、分割エリアA2からA4では、分割予定ラインCL1nに沿う太さWのラインCT1の一部が治具J1と干渉している。そして、分割エリアA1に含まれる分割予定ラインCL1に対してダイシング加工を行う。これにより、分割エリアA1に含まれるチップがワークWから切り離される。
【0082】
次に、ワークWの吸着状態を解除して、分割エリアA2からA4からなるワークWをハンドラアーム54により引き上げて吸着保持する。そして、分割エリアA2に含まれる分割予定ラインCL1について、分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具群JG2の治具溝G1の中に収まるようなアライメントを行う。そして、分割エリアA2に含まれる分割予定ラインCL1に対してダイシング加工を行う。これにより、分割エリアA2に含まれるチップがワークWから切り離される。
【0083】
以下、分割エリアA3及びA4についても順次アライメントとダイシング加工を行う。これにより、分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントを行うことができない場合であっても、ブレード32と治具J1との干渉を防止しながら、ダイシング加工を行うことができる。
【0084】
ここで、加工ステージ駆動部22は、例えば、分割エリアA1からA4ごとに吸着状態を解除可能としてもよい。例えば、分割エリアA1のダイシング加工が完了した場合に、分割エリアA1に対応する治具群JG1については、チップを吸着保持したままにしておく。一方、分割エリアA2からA4に対応する治具群JG2からJG4については、吸着状態を解除して、分割エリアA2からA4からなるワークWをハンドラアーム54により加工ステージSTから引き上げる。そして、残りの分割エリアA2からA4についても同様の手順でダイシング加工を行い、すべての分割領域A1からA4のダイシング加工が完了した場合に、チップを回収するようにしてもよい。
【0085】
また、この方法によると、ワークWの歪が大きい場合に、分割エリアA2からA4を個別にアライメントし、冶具J1に合わせた位置調整を行うことになる。このことは、ワークWの歪の矯正を実施していることになり、湾曲した分割予定ラインCL1の修正を実施することになる。その結果、加工精度の向上につながる二次的な効果も得ることができる。
【0086】
また、各分割エリアA1からA4のダイシング加工が完了するごとに、ダイシング加工によりワークWから切り離されたチップを回収するようにしてもよい。
【0087】
なお、本実施形態では、分割エリアを4つとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるような最大の領域にワークWを分割するようにしてもよい。また、ワークWをX方向に沿って分割するようにしたが、Y方向又はX方向及びY方向の両方向に分割するようにしてもよい。ワークWを分割エリアに分割する場合には、例えば、歪がより大きい方向に分割するようにしてもよい。
【0088】
図14は、本発明の第2の実施形態に係るダイシング方法を示すフローチャートである。図15は、図14における分割エリアごとのダイシング工程を示すフローチャートである。
【0089】
まず、制御部100は、ハンドラ50を制御して、ハンドラアーム54にワークWを吸着保持させる(ステップS50)。そして、ハンドラアーム54にワークWを保持した状態で、センサー10を用いてワークWの外形を検出する(ステップS52)。
【0090】
次に、制御部100は、ワークWの外形の検出結果に基づいて、ワークWの歪を算出する。そして、制御部100は、ワークWの歪の算出結果に基づいて、ワークW全体のアライメントが可能であるか否かを判定する(ステップS54)。ステップS54における判定は、ステップS14と同様に行うことが可能である(図7参照)。
【0091】
次に、制御部100は、ステップS54においてアライメントが可能と判定した場合、ハンドラアーム54を制御して、加工部20の加工ステージSTにワークWをロードする。このとき、制御部100は、ステップS54におけるワークWの判定結果に基づいてアライメントを行い、加工ステージ駆動部22を制御して、加工ステージSTにワークWを吸着保持させる(ステップS56)。そして、制御部100は、加工ステージSTに吸着保持されたワークWの分割予定ラインCL1に沿ってブレード32を移動させてダイシング加工を行う(ステップS58)。
【0092】
一方、制御部100は、ステップS14においてアライメントが不可能と判定した場合、分割エリアA1からA4ごとのアライメントが可能か否かを判定する(ステップS60)。ステップS60では、ステップS14及びS54と同様に、分割エリアA1からA4ごとに、分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1が対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントが可能か否かを判定する。具体的には、下記の<A>から<C>により行う。なお、分割エリアA1からA4における分割予定ラインCL1の位置は、例えば、スリットSL1からSL3(図4参照)の検出位置を利用して算出することが可能である。
【0093】
<A>分割エリアA1からA4ごとに、分割エリアA1からA4内のすべての分割予定ラインCL1に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントが可能か否かを判定する。
【0094】
<B>分割エリアA1からA4ごとに、<B1>X方向の両端の2本の分割予定ラインCLX11及びCLX12、CLX21及びCLX22、CLX31及びCLX32並びにCLX41及びCLX42、若しくは<B2>Y方向の両端の2本の分割予定ラインCLY11及びCLY12、CLY21及びCLY22、CLY31及びCLY32並びにCLY41及びCLY42に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントが可能か否かを判定する。
【0095】
<C>分割エリアA1からA4ごとに、一部の分割予定ラインCL1を含む複数本の分割予定ラインCL1)に沿う太さWのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントが可能か否かを判定する。ここで、一部の分割予定ラインCL1とは、例えば、<C1>分割エリアA1からA4において、四辺に最も近い各4本の分割予定ライン(CLX11、CLX12、CLY11及びCLY12、CLX21、CLX22、CLY21及びCLY22、CLX31、CLX32、CLY31及びCLY32並びにCLX41、CLX42、CLY41及びCLY42)、<C2>分割エリアA1からA4において、X方向両端の対向する2辺に最も近い分割予定ライン(CLX11及びCLX12、CLX21及びCLX22、CLX31及びCLX32並びにCLX41及びCLX42)を含む複数本の分割予定ラインCL1、若しくは<C3>分割エリアA1からA4において、Y方向両端の対向する2辺に最も近い分割予定ライン(CLY11及びCLY12、CLY21及びCLY22、CLY31及びCLY32並びにCLY41及びCLY42)を含む複数本の分割予定ラインCL1である。
【0096】
次に、制御部100は、ステップS60において、分割エリアA1からA4ごとのアライメントが可能と判定した場合、分割エリアA1からA4ごとにダイシングを行う(ステップS62)。
【0097】
一方、制御部100は、ステップS60において、分割エリアA1からA4ごとのアライメントも不可能と判定した場合、ハンドラアーム54からワークWをアンロードする(ステップS64)。
【0098】
ステップS62において、分割エリアごとにダイシング加工を行う場合、まず、制御部100は、i=1(ステップS70)から、分割エリアAiごとにアライメント(ステップS72)及びダイシング(ステップS74)を繰り返し行う(ステップS76及びS78)。そして、i=Nとなり(ステップS76)、すべての分割エリアAiのダイシング加工が完了すると、処理を終了する。
【0099】
本実施形態によれば、ワークWの全体のアライメントを行うことができない場合であっても、複数の分割エリアごとにアライメントとダイシング加工とを繰り返し行うことにより、ブレード32と治具J1との干渉を防止しながら、ダイシング加工を行うことができる。
【符号の説明】
【0100】
1…ダイシング装置、10…センサー、12…センサー制御部、20…加工部、22-1…第1ステージ駆動部、22-2…第2ステージ駆動部、26…加工駆動部、28…MS駆動部、30-1…第1スピンドル、30-2…第2スピンドル、32-1…第1ブレード、32-2…第2ブレード、50…ハンドラ、52…ハンドラ軸、54…ハンドラアーム、56…ハンドラ駆動部、ST1…第1ステージ、ST2…第2ステージ、MS…顕微鏡、100…制御部、102…入力部、104…表示部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
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