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特許7561320粉体用収容ケース、現像装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】粉体用収容ケース、現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240927BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G03G15/08 390
G03G21/16 176
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020133259
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2022029770
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 隆介
(72)【発明者】
【氏名】押川 雄樹
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-060187(JP,A)
【文献】特開2001-100529(JP,A)
【文献】特開2016-142871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材と第二部材とがケース開口の縁部を構成するように接合した粉体用収容ケースにおいて、
前記第一部材は、前記ケース開口と一辺を共有し、異なる向きに開口した第一部材開口を備え、前記第二部材は、前記第一部材開口を塞ぐように設け、
前記ケース開口の縁部に端部が位置するように前記第一部材と前記第二部材との主たる接合部を設けるとともに、前記端部に隣接させて前記第一部材と前記第二部材との追加の接合部を設け、
前記主たる接合部は、前記端部に至る直線状の部分を有し、
前記追加の接合部は、前記主たる接合部における前記直線状の箇所から分岐し、前記第一部材開口の縁に対して前記主たる接合部よりも離れた箇所に延在し、
前記ケース開口の縁部における前記主たる接合部の端部とは異なる箇所に前記追加の接合部の端部が位置することを特徴とする粉体用収容ケース。
【請求項2】
第一部材と第二部材とがケース開口の縁部を構成するように接合した粉体用収容ケースにおいて、
前記第一部材は、前記ケース開口と一辺を共有し、異なる向きに開口した第一部材開口を備え、前記第二部材は、前記第一部材開口を塞ぐように設け、
前記ケース開口の縁部に端部が位置するように前記第一部材と前記第二部材との主たる接合部を設けるとともに、前記端部に隣接させて前記第一部材と前記第二部材との追加の接合部を設け、
前記主たる接合部は、前記端部に至る直線状の部分を有し、
前記追加の接合部は、前記主たる接合部の前記端部から前記第一部材開口の縁に対して前記主たる接合部よりも離れた箇所に、前記ケース開口における前記縁部に平行に延在するように形成したことを特徴とする粉体用収容ケース。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粉体用収容ケースにおいて、
前記第一部材と前記第二部材との接合部は、一端が前記一辺の両端それぞれの縁部に位置し、前記第一部材開口の周囲の互いに異なる側を回って延在する一対の線状の接合部であり、前記一辺に対向する辺の中央部で他端側が所定量だけ重なるように設けたことを特徴とする粉体用収容ケース。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一に記載の粉体用収容ケースにおいて、
前記接合部の端部が前記ケース開口の縁部に位置するとは、接合した前記第一部材と前記第二部材の間から前記端部が可視可能であることを特徴とする粉体用収容ケース。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一に記載の粉体用収容ケースにおいて、
前記接合部は溶着接合部であることを特徴とする粉体用収容ケース。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一に記載の粉体用収容ケースにおいて、
前記接合部の端部が位置する前記ケース開口の縁部には、前記端部を覆い、かつ前記第一部材と前記第二部材とに接触するようにシール部材を設けたことを特徴とする粉体用収容ケース。
【請求項7】
開口を備えた粉体用収容ケース内に、前記ケース開口から一部を露出させるように現像剤担持体を設けた現像装置において、
前記粉体用収容ケースとして、請求項1乃至6の何れか一に記載の粉体用収容ケースを用いた現像装置。
【請求項8】
ケース開口を備えた粉体用収容ケース内に、前記ケース開口から一部を露出させるように現像剤担持体を設けた現像装置において、
現像剤層厚規制部材と、前記現像剤層厚規制部材が取り付けられる現像剤層厚規制部材取付部材を更に有し、
前記粉体用収容ケースは、第一部材と第二部材とが前記ケース開口の縁部を構成するように接合し、
前記第一部材は、前記ケース開口と一辺を共有し、異なる向きに開口した第一部材開口を備え、前記第二部材は、前記第一部材開口を塞ぐように設け、
前記ケース開口の縁部に端部が位置するように前記第一部材と前記第二部材との主たる接合部を設けるとともに、前記端部に隣接させて前記第一部材と前記第二部材との追加の接合部を設けたものであり、
前記接合部の端部が位置する前記ケース開口の縁部には、前記端部を覆い、かつ前記第一部材と前記第二部材とに接触するようにシール部材を設け、
前記第一部材は前記第一部材開口よりも両端部側に一対の前記現像剤層厚規制部材取付部材の位置決め部を有し、
前記位置決め部よりもさらに両端部側に前記現像剤層厚規制部材取付部材を固定するためのネジが嵌合する一対のネジ穴を有し、
前記一対のネジ穴が形成される面は、前記一対の前記現像剤層厚規制部材取付部材の位置決め部が形成される面よりも所定量だけ突出しており、
前記所定量は前記シール部材の厚みよりも小さいこと、を特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項7又は8の現像装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体用収容ケース、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、第一部材と第二部材とがケース開口の縁部を構成するように接合した粉体用収容ケースが知られている。
例えば、特許文献1には係る粉体用収容ケース内に、ケース開口から一部を露出させるように現像ローラを設けた現像装置が開示されている。接合は超音波溶着よってなされる。接合前の第一部材と第二部材の少なくとも一方における接合予定面には、溶着によって接合部を形成するリブ状の凸部を設けている。ケース開口の向きの方向と現像ローラの軸方向との何れにも直交する方向から見たとき次のように見えるよう、リブ状の凸部を設けている。ケース開口を一辺とする四角形のケース開口を除く他の三辺にわたる突条に見えるように設けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、ケース開口の縁部に位置する第一部材と第二部材との接触面の間から収容粉体が漏れでる虞が残っていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、第一部材と第二部材とがケース開口の縁部を構成するように接合した粉体用収容ケースにおいて、前記第一部材は、前記ケース開口と一辺を共有し、異なる向きに開口した第一部材開口を備え、前記第二部材は、前記第一部材開口を塞ぐように設け、前記ケース開口の縁部に端部が位置するように前記第一部材と前記第二部材との主たる接合部を設けるとともに、前記端部に隣接させて前記第一部材と前記第二部材との追加の接合部を設け、前記主たる接合部は、前記端部に至る直線状の部分を有し、前記追加の接合部は、前記主たる接合部における前記直線状の箇所から分岐し、前記第一部材開口の縁に対して前記主たる接合部よりも離れた箇所に延在し、前記ケース開口の縁部における前記主たる接合部の端部とは異なる箇所に前記追加の接合部の端部が位置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ケース開口の縁部に位置する第一部材と第二部材との接触面の間から収容粉体が漏れるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明を適用できる現像装置の一例の分解斜視図。
図2】同現像装置の現像ケースの説明図。
図3】同ケースの取り付けた状態の断面。
図4】同ケースの接合からドクタの取り付けまで工程の説明図。
図5】超音波溶着の説明図。
図6】追加の接合部の構成例の説明図。
図7】追加の接合部の他の構成例の説明図。
図8】追加の接合部の更に他の構成例の説明図。
図9】変形例の説明図。
図10図1の現像装置の細部を示す分解斜視図。
図11】変形例に係る現像装置の断面図。
図12】同現像装置の現像ケースの接合からドクタの取り付けまで工程の説明図。
図13】同現像装置の現像ケースの接合からドクタの取り付けまで工程の変形の説明図。
図14】画像形成装置の一例の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を、粉体用収容ケース内に、ケース開口から一部を露出させるように現像剤担持体たる現像ローラを設けた現像装置に適用した実施形態について説明する。図1は本発明を適用できる現像装置150の一例の分解斜視図である。粉体用収容ケースとしての現像ケース150aは、第一部材である下ケース10と第二部材である上カバー20とからなる。
【0008】
下ケース10は、手前側板部11と奥側板部12と後側板部13と底板部14とを備える。後側板部13に対向する前側の側板部が無く、現像ローラ40の表面の一部を露出させるケース開口としての現像ケース開口30になっている。また、下ケース10は、図中上方が開口し下ケース上部開口15になっている。この下ケース上部開口15は現像ケース開口30の上辺に連なっている。つまり、現像ケース開口30と一辺を共有し、異なる向きである図中上方に開口した第一部材開口に相当する。
【0009】
下ケース10の内部には、現像ローラ40と平行に延びる仕切板部16を形成している。仕切板部16で仕切った各空間に後述する一対の撹拌部材を備える。一対の撹拌部材の幅は現像ローラ40よりも広い。幅方向の両端部を収容するために手前循環ケース部17と奥側循環ケース部18とを設ける。この循環ケース部は、仕切板部16が存在しない連通部を形成する。
【0010】
また、下ケース10の内部の下ケース上部開口15の各側板部11,12,13の内面から内側に突出するように形成したカバー載置部11b、12b、13aの内側の縁が開口の縁になっている。上カバー20は、これらのカバー載置部11b、12b、13aによって下面の3辺の周辺部を載置する形で下ケース上部開口15を塞ぐように設ける。
【0011】
このように上カバー20で設けた状態で、上カバー開口端面21が、下ケース10の、手前側板部開口端面11a、奥側板部開口端面12a及び底板部開口端面14aとともに、現像ケース開口30の縁部を構成する。図2は、この状態の現像ケース150aを、現像ケース開口30側から見た図である。縁部を構成する各部の端面21、11a、12a、14aにハッチングを付している。つまり、下ケース10と上カバー20とがケース開口である現像ケース開口30の縁部を構成する。このような状態を固定するため、後述する接合手段によって下ケースに対して上カバーを接合する。
【0012】
図1に戻り、上カバー20を接合した後にスポンジシールなどのシール部材52を挟んで、例えば金属からなるドクタ取付部材51に固定したドクタ50を、現像ケース開口30の上部を塞ぐように取り付ける。図3はこれらを取り付けた状態の断面である。断面の位置は図2のA-A線の位置である。シール部材52は奥側板部12のカバー載置部12bと、これに接触する上カバー20の下面との接触部が露出するこれらの端面部を覆い、かつ下ケース10と上カバー20とに接触する。断面の反対側(11b側)についても同様に、シール部材52は手前側板部11のカバー載置部11bと、これに接触する上カバー20の下面との接触部が露出するこれらの端面部を覆い、かつ下ケース10と上カバー20とに接触する。シール部材52の幅は、これが可能なように図2に幅Wで示すような幅を有している。
【0013】
図3では、仕切板部16の両側面側にそれぞれ設けた第一撹拌部材61と第二撹拌部材62も示している。現像ローラ40の周面と奥側板部12の現像ローラ周面対向部との間にシール部材12Cも設けている。手前側板部11も同様の構成になっている。現像ケース開口30から露出する現像ローラ40表面が対向しているのが、潜像担持体としての感光体160である。
【0014】
図4は上カバー20の接合から現像剤層厚規制部材としてのドクタ50の取り付けまで工程の説明図である。図4(a)は、上カバー20を取り付ける前の下ケース10の平面図である。図4(b)は上カバー20を接合した状態を示す。図4(c)は現像剤層厚規制部材取付部材としてのドクタ取付部材51の取り付けまで完了した状態を示す。ドクタ取付部材51と下ケース10のカバー載置部11b、12b、上カバー20の間にはシール部材52(不図視)が設けられている。ドクタ50の強度が十分にある場合には、ドクタ取付部材51を省いてドクタ50を取り付けることも可能である。この場合にも、ドクタ50と下ケース10のカバー載置部11b、12b、上カバー20の間にはシール部材52(不図視)が設けられる。
【0015】
図5(a)は接合前の上カバー20の下面側を示す斜視図である。この例では超音波溶着を行うためのエネルギーダイレクターになるリブ状の凸部を3辺にわたる突条70に設けている。具体的には、上カバー20が下ケース10におけるカバー載置部11b、12b、13aに載置したとき、これらカバー載置部と接触する周囲3辺の載置面部22に突条70を設ける。突条70は手前部分71と奥側部分72と、これらの部分の端をつなぐ後側部分73とからなる(全体としてコの字)。図5(b)は図5(a)のB-B断面図、図5(c)は図5(a)のC-C断面図である。リブ状の凸部を上カバー20側ではなく、下ケース10のカバー載置部11b、12b、13a側に設けても良い。
【0016】
突条70は、図5(c)に示すように長い方向に直交する断面の形状が例えば高さHの三角形状である。このような突条70が下ケース10のカバー載置部11bに接触するように載置した状態で図中矢印Dに示す向きに圧を掛けながら超音波振動を与える。これにより、突条70を溶融させて溶着させる。突条70はカバー20側に設けるのに代え、または、加え、下ケース10のカバー載置部側に設けてもよい。
【0017】
図5(b)に示すように突条70の上カバー開口端面21側の端部71aを、この端面21に一致する位置まで形成していると、図5(d)に示すように突条70の溶融によって形成した接合部75(溶着接合部)の端部75aがカバー開口端面21から飛び出す。この飛び出し部分が、図3に示すようなシール部材53によるシール性を阻害する虞がある場合には、バリ取りの作業を行うことが望ましい。このようなバリ取り作業を回避するためには、図5(e)に示すように、接合部75の端部75aがカバー開口端面21に一致するか、図5(f)に示すように多少退避した位置を取るか、端部の突条70の高さを他の部分よりも低くする(溶融量を減らす)等、することが好ましい。このような端部75aの位置になるように、突条70を形成しておくのである。
【0018】
本実施形態は、このような3辺にわたる突条70による接合部75を、現像ケース開口30の縁部に端部75aが位置する主たる接合部として設けるとともに、端部75aに隣接させて下ケース10と上カバー20との追加の接合部を設けたものである。
【0019】
このような追加の接合部を設けた理由は次の通りである。密閉性を担保するためや自動組み立て化によるバラツキ防止のために熱溶着によりケースを組み立てが好ましい。熱溶着による組立では、ユニットの寸法などのバラツキを考慮して溶解部のはみ出しによるバリなく溶着しようとすると、終点では端部まで溶着することが難しく手前までの溶着となってしまい部品を端部ギリギリまで十分に接着することが出来ない。そのため、端部(接合部75とシール部材の間)に隙間が生じ、ユニットを傾けた際に、ケース内部の現像剤が漏れてしまう虞がある。そこで、漏れが生じやすい。そこで、現像ケース開口30の縁部に位置する主たる接合部75の端部75aに隣接させて設けた追加の接合部により、漏れの確率を小さくするものである。1箇所だと1%の確率で外部に現像剤が漏れるような隙間が生じる場合、2箇所にすることで単純に考えても外部に現像剤が漏れる確率は0.01%に低減できる。2箇所目では1箇所目で漏れた微量の現像剤だけを防げればよいので、「剤圧」もほとんど加わらず、漏れる確率は0.01%よりもさらに低くできる。
【0020】
[追加接合部の構成例1]
図6は追加の接合部の構成例の説明図である。図6(a)は図4(c)相当の平面図であり、カバー載置部11b、12b、カバー載置部13aを図示上で幅広に表すとともに、の輪郭を実線で示した。主たる接合部は、もとなる突条70の符号で示した。この構成例では、主たる整合部を構成する突条70における端部75aとは異なる箇所から分岐して延在する分岐追加突条81である。図6(b)は、シール部材52乃至ドクタ50を取り付け前の状態の現像ケース150aの現像ケース開口30の縁部の説明図である。図6(b)に示すように、この縁部では、主たる接合部の端部75aとは異なる箇所に分岐追加突条81の端部81aが位置する。
【0021】
[追加接合部の構成例2]
図7は追加の接合部の他の構成例の説明図である。図7(a)は図6(a)相当の平面図である。この構成例の追加の接合部は、現像ケース開口30における縁部に平行に延在するように形成した平行追加突条82である。図7(b)は図6(b)に対応する説明図である。この図7(b)に示すように、平行追加突条82の端部82aは主たる接合部の端部75aに連なり接合面に沿って幅方向に延びる。図7(c)は接合前の上カバー20の下面の説明図である。図7(d)は図7(c)のE-E線による断面である。
【0022】
[追加接合部の構成例共通の説明]
以上の各構成例では、追加接合部を、下ケース上部開口15の縁(カバー載置部11b、12b、13aの内側の縁)に対し、主たる整合部を構成する突条70よりも離れた箇所に設けた。図8はこれとは逆に、下ケース上部開口15の縁に対し、主たる整合部を構成する突条70よりも接近した箇所に設けた例を示す。図示の例は分岐追加突条83の例である。これでもトナー漏れの防止効果は期待できるが、図中ハッチング83aで示す、下ケース10のカバー載置部11b、12b、13a上面と上カバー20と下面との隙間に入り込んだ粉体がそのまま挟まって移動できなくなるデッドスペースが生じてしまう。この隙間に入り込み凝集体となり画像に影響する虞がある。このようなデッドスペースを生じないという点でも図6図7の構成例の配置が好ましい。
【0023】
また、現像ケース150aは、接合部の端部が現像ケース開口30の縁部に位置するとは、図5(e)に示すように厳密に一致することは要さず、たとえば、接合した下ケース10と上カバー20の間から接合部の端部が可視可能である程度の位置を取ればよい。無論シール部材などを取り外した状態での目視である。
【0024】
[変形例]
図9は変形例の説明図である。この変形例では、現像ケース150aは、下ケース10は、現像ケース開口30と一辺を共有し、異なる角度の開口面を有する下ケース上部開口15を備え、上カバー20は、下ケース上部開口15を塞ぐように設けるという基本構成は、図6図7に示す構成例と共通である。異なる点は、主たる整合部を構成する突条70が次の一対の線状の接合部で構成した点である。この接合部は、一端が現像ケース開口30の両端それぞれの縁部に位置し、下ケース上部開口15の周囲の互いに異なる側(カバー載置部11b側とカバー載置部12b側)を回ってカバー載置部13a側に延在する一対の線状の接合部である。一辺に対向する辺(カバー載置部13a上の辺)の中央部で他端側が所定量84aだけ重なるように設けた。
【0025】
この変形例では、コの字形状をL字の組み合わせにし、L字の終点をオーバーラップさせることにより終点に隙間が出来ることを防止する。この変形例でも、現像ケース開口30の縁部に端部を位置させる。また、図6図7に示すような追加の接合部を設けることが好ましい。
【0026】
図10図1に示す現像装置の細部を示した斜視図である。細部につき、表現を変えつつ説明する。仕切板部16によって仕切られた複数の現像剤搬送経路を有する現像器の現像剤収容ケースは下ケース10と上カバー20を含む複数の部品で構成される。前記下ケース10は前記複数の現像剤搬送経路が露出するように形成された略コの字形状の開口部を有し、上カバー20は下ケース10の前記略コの字形状の開口部に嵌まるように形成されており、下ケース10と上カバー20は前記略コの字形状の開口部よりも外側にある略コの字状の溶着部にて互いに溶着することで固定され、略コの字の先端部分からは溶着部が下ケース10と上カバー20の間から可視可能に露出しており、下ケース10から上カバー20にかけては略コの字の先端部分を含んだ範囲でシール部材52が当接している。
【0027】
溶着部は図6の構成の場合には、略コの字の先端部分から複数の溶着部が可視可能に構成され、図7の構成の場合には、略コの字の先端部分から可視可能な溶接部は長手方向に延在している。下ケース10は長手方向でカバー載置部11b、12bの位置でドクタ取付部材51がシール部材52を介して取り付く面にドクタ取付部材51の位置を決めるための位置決めボス91,92を有している。位置決めボス91,92が一対の位置決め部に相当する。
【0028】
シール部材52は位置決めボスに対応する位置に穴が開いており、この穴が位置決めボスに嵌まることでシール部材も位置決めされる。また、シール部材52は、下ケース10と上カバー20の溶着後に上カバー20に対して両面テープにより貼付けして固定されるが、両端部のカバー載置部11b、12bの位置には両面テープを設けていない。両面テープを設けないことで、下ケース10と上カバー20の接合部が(両面テープではなく)シール部材52と対抗することとなり、隙間を生じ難くすることができる。シール部材52はスポンジ材質であり、(接合部との隙間が微々たる量であれば)ドクタ取付部材51を取り付けた際に隙間に追従して変形することで隙間が塞がれるからである。
【0029】
下ケース10のカバー載置部11b、12bの外側(長手方向の端部側)にはドクタ取付部材51を固定するためのネジ穴93、94を有している。2つのネジ穴93、94が一対のネジ穴に相当する。両端の2つのネジ穴93、94と2つの位置決めボス91,92は長手方向で略一直線上に位置している。そして、ネジ穴93、94のある面であるドクタ取付部材取付面93a、94aは下ケース10と上カバー20の接合部の先端がある面よりも一段高い場所になるように高低差をもって形成されている。このようにすることで、接合部からドクタ取付部材51側に溶融部がはみ出していた場合であってもドクタ取付部材51が溶融部を挟み込むことが無く、ドクタ取付部材の位置を高精度に取り付けることができる。
【0030】
シール部材52の両端部はそれぞれの位置決めボス91,92とドクタ取付部材取付面の間になるように設けられている。このようにすることで、ドクタ取付部材51と下ケース10の間にシール部材52を挟み込むことが無く、ドクタ取付部材51の位置を高精度に取り付けることができる。この際、上述したようにシール部材52は位置決めボスに嵌まって両端部で位置決めされているため、シール部材の公差がばらついたとしてもドクタ取付部材取付面93a、94aに乗り上げないようになっている。高低差はシール部材52であるスポンジの厚みよりも小さく設定してあるため、ドクタ取付部材51と下ケース10、上カバー20との間でスポンジが所定量潰された状態となりシール性を発揮している。
【0031】
図11は変形例に係る現像装置の断面図、図12は同現像装置の現像ケースの接合からドクタの取り付けまで工程の説明図。図12(a)、(b)、(c)は図4(a)、(b)、(c)の工程に対応する。この変形例に係る現像装置は図12(a)に示すように左右の側板部11,12が、第一撹拌部材61及び第二撹拌部材62の両端を支持する位置にあり、左右の側板部11,12の上面11c、12c及び後側板部13の上面13bが上カバー20の載置面になっている。
【0032】
そして、図12(a)に示すように、図6に示すのと同様の追加接合部が構成される。主たる整合部を構成する突条70における端部75aとは異なる箇所から分岐して延在する分岐追加突条81である。シール部材52乃至ドクタ50を取り付け前の状態の現像ケース150aの現像ケース開口30の縁部では、主たる接合部の端部75aとは異なる箇所に分岐追加突条81の端部81aが位置する。
【0033】
図13図7と同様の追加接合部を構成した変形例の説明である。現像ケース開口30における縁部に平行に延在するように形成した平行追加突条82である。図13(a)、(b)、(c)は図12(a)、(b)、(c)の工程に対応する。図13(a)に示すように、平行追加突条82の端部82aは主たる接合部の端部75aに連なり接合面に沿って幅方向に延びる。
【0034】
図14は、以上の現像ケースを備えた現像装置150を備えた画像形成装置100の一例の概略構成図である。画像形成装置100は、画像形成に同時に使用できる4つの現像装置150それぞれを備えた4つの作像ユニット101を搭載している。これらの4つの作像ユニットは、現像装置150に加え、感光体,クリーニング装置なども備えている。4つの作像ユニット101K~101Yの下方に書込ユニット152を備える。この書込ユニットによる光書込で形成した感光体上の潜像を現像装置150で現像することにより、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック(以下、Y、M、C、Kと略記する。)の各色のトナー像を形成する。
【0035】
4つの作像ユニット101K~101Yの上方に、中間転写体である中間転写ベルト102を備える。各作像ユニット101K~101Yに対応するベルト内の箇所には一次転写器103を備える。中間転写ベルト102の表面に対向する二次転写器104も備える。この中間転写ベルト102と二次転写器104との間に転写紙を送り込む給紙装置105、二次転写器104で中間転写ベルト102からトナー像が転写された転写紙にトナー像を定着させる定着装置106、トナー像が定着された転写紙を機外に排紙する排紙ローラ107も備えている。
【0036】
画像形成装置100の上部に、トナー容器であるトナーボトル(108K、108C、108M、108Y)を備えている。これらのトナーボトルは各現像装置150に補給するトナーを収容する。
【0037】
以上の実施形態は、接合手段として超音波溶着を用いる例であるが、エネルギーダイレクターになるリブ状の凸部は一体成型によって形成すれば、形状や位置の精度を高められる。溶着用突起を一体成型するのに代え、接合させたいワーク間に超音波、あるいは、他の手段による熱発生よって溶融する設着用部材を配置して溶着してもよい。さらに、溶着ではなく、接着剤による接合部の形成にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
10 :下ケース
11 :手前側板部
11a :手前側板部開口端面
11b :カバー載置部
11c :上面
12 :奥側板部
12C :シール部材
12a :奥側板部開口端面
12b :カバー載置部
12c :上面
13 :側板部
13a :カバー載置部
13a :カバー載置部
13b :上面
14 :底板部
14a :底板部開口端面
15 :下ケース上部開口
16 :仕切板部
17 :手前循環ケース部
18 :奥側循環ケース部
20 :上カバー
21 :上カバー開口端面
22 :載置面部
30 :現像ケース開口
40 :現像ローラ
50 :ドクタ
51 :ドクタ取付部材
52 :シール部材
53 :シール部材
61 :第一撹拌部材
62 :第二撹拌部材
70 :突条
71 :手前部分
71a :端部
72 :奥側部分
73 :後側部分
75 :接合部
75a :端部
81 :分岐追加突条
81a :端部
82 :平行追加突条
82a :端部
83 :分岐追加突条
83a :ハッチング
84a :所定量
91 :位置決めボス
92 :位置決めボス
93 :ネジ穴
93a :ドクタ取付部材取付面
94 :ネジ穴
94a :ドクタ取付部材取付面
100 :画像形成装置
101 :作像ユニット
101K :作像ユニット
101L :作像ユニット
101M :作像ユニット
101N :作像ユニット
101O :作像ユニット
101P :作像ユニット
101Q :作像ユニット
101R :作像ユニット
101S :作像ユニット
101T :作像ユニット
101U :作像ユニット
101V :作像ユニット
101W :作像ユニット
101X :作像ユニット
101Y :作像ユニット
102 :中間転写ベルト
103 :一次転写器
104 :二次転写器
105 :給紙装置
106 :定着装置
107 :排紙ローラ
150 :現像装置
150a :現像ケース
152 :書込ユニット
160 :感光体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【文献】特開2001-100529号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14