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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】レシピ更新方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020183470
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073471
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦川 理史
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-102041(JP,A)
【文献】特開2003-017471(JP,A)
【文献】特開2019-091880(JP,A)
【文献】特開2020-115498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/302
H01L 21/365
H01L 21/461
H05H 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置のレシピ更新方法であって、
プラズマ生成用の高周波電力の印加タイミングを含む第1レシピを用いて、載置台に載置された基板に対してプラズマ処理を施す工程と、
前記第1レシピに対応付けて、前記載置台の温度が最小値まで降下する基準タイミングと、前記載置台の温度の第1最大値とを計測する工程と、
前記第1レシピの前記印加タイミングを前記基準タイミングに変更して得られる第2レシピを用いて、前記基板に対してプラズマ処理を施す工程と、
前記第2レシピに対応付けて、前記載置台の温度の第2最大値を計測する工程と、
前記第2最大値が前記第1最大値よりも小さい場合に、前記第1レシピを前記第2レシピに更新する工程と
を含む、レシピ更新方法。
【請求項2】
前記第1レシピを更新する工程の後、第(n-1)レシピ(nは3以上の自然数)の前記印加タイミングを早めて得られる第nレシピを用いて前記基板に対してプラズマ処理を施す工程と、
前記第nレシピに対応付けて、前記載置台の温度の第n最大値を計測する工程と、
前記第n最大値が前記第(n-1)レシピに対応付けて計測された第(n-1)最大値よりも小さい場合に、前記第(n-1)レシピを前記第nレシピに更新する工程と
をさらに含む、請求項1に記載のレシピ更新方法。
【請求項3】
前記第nレシピを用いてプラズマ処理を施す工程と、前記第n最大値を計測する工程と、前記第(n-1)レシピを更新する工程とは、前記第n最大値が前記第(n-1)最大値以上となるまで、繰り返され、
前記第(n-1)レシピを更新する工程は、前記第n最大値が前記第(n-1)最大値以上となる場合に、前記第(n-1)レシピの更新を中止する、請求項2に記載のレシピ更新方法。
【請求項4】
前記第2レシピを用いてプラズマ処理を施す工程は、変更後の前記印加タイミングにおいて、前記載置台に設けられたヒータへの供給電力を設定された設定電力から下げる、請求項1~3のいずれか一つに記載のレシピ更新方法。
【請求項5】
前記第2レシピを用いてプラズマ処理を施す工程は、変更後の前記印加タイミングの後、前記載置台の温度が設定された設定温度に到達する時点で、前記ヒータへの供給電力を前記設定電力に戻す、請求項4に記載のレシピ更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レシピ更新方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等の基板を載置する載置台に高周波電力を印加してプラズマを生成することにより、載置台に載置された基板に対してプラズマ処理を施す技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-11169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、高周波電力の印加後に載置台の温度が安定するまでの時間を短縮することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるレシピ更新方法は、プラズマ生成用の高周波電力の印加タイミングを含む第1レシピを用いて、載置台に載置された基板に対してプラズマ処理を施す工程と、前記第1レシピに対応付けて、前記載置台の温度が最小値まで降下する基準タイミングと、前記載置台の温度の第1最大値とを計測する工程と、前記第1レシピの前記印加タイミングを前記基準タイミングに変更して得られる第2レシピを用いて、前記基板に対してプラズマ処理を施す工程と、前記第2レシピに対応付けて、前記載置台の温度の第2最大値を計測する工程と、前記第2最大値が前記第1最大値よりも小さい場合に、前記第1レシピを前記第2レシピに更新する工程とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、高周波電力の印加後に載置台の温度が安定するまでの時間を短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置のレシピ更新方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図2図2は、実施形態に係るレシピ更新方法による載置台の温度の安定時間の短縮について説明するための図である。
図3図3は、実施形態に係るレシピ更新方法の実行に用いられるプラズマ処理装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
ところで、載置台に載置された基板に対してプラズマ処理を施す場合、プラズマを生成するステップの間の中断期間において、載置台の温度が設定された設定温度に調整され、印加タイミングが到来した場合に、載置台にプラズマ生成用の高周波電力が印加される。このため、設定温度に調整された載置台が印加タイミングにおいて生成されるプラズマにより加熱され、結果として、載置台の温度が設定温度から大幅に上昇するオーバーシュートが発生する。高周波電力の印加後にオーバーシュートが発生すると、載置台の温度が再び設定温度に安定するまでの時間が長くなる。
【0010】
そこで、高周波電力の印加後に載置台の温度が安定するまでの時間を短縮することが期待されている。
【0011】
(実施形態に係るプラズマ処理装置のレシピ更新方法の流れの一例)
図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置のレシピ更新方法の流れの一例を示すフローチャートである。実施形態に係るレシピ更新方法は、プラズマ生成用の高周波電力の印加タイミングを含むレシピを更新することにより、基板が載置される載置台の温度が安定するまでの時間を短縮する。
【0012】
まず、プラズマ生成用の高周波電力の印加タイミングを含む第1レシピを用いて、載置台に載置された基板に対してプラズマ処理を施す(ステップS101)。第1レシピは、例えば、プラズマ処理装置が有する記憶部に格納されている。基板に対して施されるプラズマ処理は、プラズマを生成する複数のステップと、ステップの間の、プラズマを生成しない中断期間とからなる。中断期間においては、プラズマの消失に伴う抜熱によって、載置台の温度が設定温度から降下する。中断期間においては、例えば、載置台に設けられたヒータを用いて、載置台の温度が設定温度に調整される。第1レシピの印加タイミングは、例えば、中断期間の次のステップを開始するタイミングに設定されている。
【0013】
次に、第1レシピに対応付けて、載置台の温度が最小値まで降下する「基準タイミング」と、載置台の温度の「第1最大値」とを計測する(ステップS102)。基準タイミングは、中断期間に含まれる。載置台の温度は、高周波電力の印加タイミングにおいて生成されるプラズマにより載置台が加熱されることによって、第1最大値まで上昇する。載置台の温度は、第1レシピに対応する第1最大値まで上昇する。
【0014】
次に、第1レシピの印加タイミングを基準タイミングに変更して第2レシピを生成する(ステップS103)。
【0015】
次に、第2レシピを用いて、載置台に載置された基板に対してプラズマ処理を施す(ステップS104)。第2レシピの印加タイミングは、載置台の温度が最小値まで降下する基準タイミングと一致するため、載置台の温度が設定温度から大幅に上昇するオーバーシュートが抑制され得る。
【0016】
次に、第2レシピに対応付けて、載置台の温度の「第2最大値」を計測する(ステップS105)。載置台の温度は、高周波電力の印加タイミングにおいて生成されるプラズマにより載置台が加熱されることによって、第2最大値まで上昇する。載置台の温度は、第2レシピに対応する第2最大値まで上昇する。
【0017】
次に、第2最大値が第1最大値よりも小さいか否かを判定する(ステップS106)。第2最大値が第1最大値以上であると判定した場合(ステップS106、No)、第1レシピの更新を中止し(ステップS107)、処理は終了する。
【0018】
一方、第2最大値が第1最大値よりも小さいと判定した場合(ステップS106、Yes)、第1レシピを第2レシピに更新する(ステップS108)。第2レシピの印加タイミングを基準タイミングよりもさらに早めると、載置台の温度の最大値をより小さくできる可能性がある。このため、以降では、第2レシピよりも印加タイミングが早い他のレシピを生成する処理を繰り返す。図1中、第2レシピとは異なる他のレシピを識別する変数を「n」(nは3以上の自然数)で示し、ステップS108の第1レシピの更新時に「n=3」と設定されるものとする。
【0019】
第1レシピを更新する工程(ステップS108)の後、第(n-1)レシピの印加タイミングを早めて第nレシピを生成する(ステップS109)。例えば、第2レシピの印加タイミングを基準タイミングから所定時間早めることによって、第3レシピが生成される。
【0020】
次に、第nレシピを用いて、載置台に載置された基板に対してプラズマ処理を施す(ステップS110)。第nレシピの印加タイミングは、載置台の温度が最小値まで降下する基準タイミングよりも早いため、載置台の温度が設定温度から大幅に上昇するオーバーシュートが抑制され得る。
【0021】
次に、第nレシピに対応付けて、載置台の温度の「第n最大値」を計測する(ステップS111)。載置台の温度は、高周波電力の印加タイミングにおいて生成されるプラズマにより載置台が加熱されることによって、第n最大値まで上昇する。載置台の温度は、第nレシピに対応する第n最大値まで上昇する。例えば、載置台の温度は、第3レシピに対応する第3最大値まで上昇する。
【0022】
次に、第n最大値が第(n-1)レシピに対応付けて計測された第(n-1)最大値よりも小さいか否かを判定する(ステップS112)。例えば、第3最大値が第2最大値よりも小さいか否かを判定する。第n最大値が第(n-1)最大値よりも小さいと判定した場合(ステップS112、Yes)、第(n-1)レシピを第nレシピに更新する(ステップS113)。例えば、第2レシピを第3レシピに更新する。第nレシピの印加タイミングをさらに早めると、載置台の温度の最大値をより小さくできる可能性がある。このため、第(n-1)レシピを更新する工程(ステップS113)の後、変数nを更新して(ステップS114、n=n+1)ステップS109に戻り、第nレシピを生成する。例えば、第2レシピを第3レシピに更新した後、第3レシピの印加タイミングを所定時間早めることによって、第4レシピが生成される。第4レシピが生成されると、ステップS110において、第4レシピを用いてプラズマ処理が施され、ステップS111において、第4レシピに対応付けて、載置台の温度の第4最大値が計測される。
【0023】
その後、第n最大値が第(n-1)最大値以上となるまでステップS109~S114の処理が繰り返される。第n最大値が第(n-1)最大値以上となると(ステップS112、No)、第(n-1)レシピの更新を中止し、処理は終了する。
【0024】
(載置台の温度の安定時間の短縮)
図2は、実施形態に係るレシピ更新方法による載置台の温度の安定時間の短縮について説明するための図である。図2は、第1レシピを第2レシピに更新した場合の実験結果を示している。
【0025】
図2の「第1レシピ」は、第1レシピを用いて載置台に載置された基板に対してプラズマ処理を施した結果を示す。第1レシピを用いる場合、プラズマを生成するステップS1、S2の間の中断期間において載置台の温度が設定温度(一例として、50℃)から降下し、印加タイミングの後に載置台の温度が第1レシピに対応する第1最大値である約52℃まで上昇している。載置台の温度が再び設定温度の50℃に安定するまでの時間は27secである。
【0026】
図2の「第2レシピ」は、第2レシピを用いて載置台に載置された基板に対してプラズマ処理を施した結果を示す。第2レシピの印加タイミングは、載置台の温度が最小値まで降下する基準タイミングに変更されている。第2レシピを用いる場合、印加タイミングの後に載置台の温度が第2レシピに対応する第2最大値である約51.4℃まで上昇している。載置台の温度が再び設定温度の50℃に安定するまでの時間は約16secまで短縮されている。
【0027】
第1レシピによりプラズマ処理を施す場合、設定温度に調整された載置台が印加タイミングにおいて生成されるプラズマにより加熱される。このため、載置台の温度が設定温度から大幅に上昇し、第1レシピに対応する第1最大値が増大する。これに対して、第2レシピによりプラズマ処理を施す場合、載置台の温度が最小値まで降下する基準タイミングと印加タイミングとが一致するため、印加タイミングにおいて生成されるプラズマから載置台への入熱の影響が抑制される。このため、載置台の温度が設定温度に対してそれほど上昇せず、第2レシピに対応する第2最大値の増大が抑制される。結果として、載置台への高周波電力の印加後に発生するオーバーシュートが抑制され、載置台の温度の安定時間を短縮できる。
【0028】
(プラズマ処理装置の一例)
図3は、実施形態に係るレシピ更新方法の実行に用いられるプラズマ処理装置の一例を示す図である。図3に示すプラズマ処理装置1は、チャンバ10、ガス供給部20、高周波(RF:Radio Frequency)電力供給部30、排気システム40、及び制御部50を含む。
【0029】
本実施形態において、チャンバ10は、支持部11(載置台とも呼ぶ)及び上部電極シャワーヘッドアセンブリ12を含む。支持部11は、チャンバ10内の処理空間10sの下部領域に配置される。上部電極シャワーヘッドアセンブリ12は、支持部11の上方に配置され、チャンバ10の天板の一部として機能し得る。
【0030】
支持部11は、処理空間10sにおいて基板Wを支持するように構成される。本実施形態において、支持部11は、下部電極111、静電チャック112、及びエッジリング113を含む。静電チャック112は、下部電極111上に配置され、静電チャック112の上面で基板Wを支持するように構成される。エッジリング113は、下部電極111の周縁部上面において基板Wを囲むように配置される。支持部11の内部にはヒータ111aが設けられる。ヒータ111aは、ヒータ電源111bに接続される。ヒータ電源111bは、制御部50からの制御の下で、ヒータ111aに調整された電力を供給する。これにより、ヒータ111aが発する熱が制御され、支持部11の温度が調整される。
【0031】
上部電極シャワーヘッドアセンブリ12は、ガス供給部20からの1又はそれ以上の処理ガスを処理空間10sに供給するように構成される。本実施形態において、上部電極シャワーヘッドアセンブリ12は、ガス入口12a、ガス拡散室12b、及び複数のガス出口12cを含む。ガス入口12aは、ガス供給部20及びガス拡散室12bと流体連通される。複数のガス出口12cは、ガス拡散室12b及び処理空間10sと流体連通される。本実施形態において、上部電極シャワーヘッドアセンブリ12は、1又はそれ以上の処理ガスをガス入口12aからガス拡散室12b及び複数のガス出口12cを介して処理空間10sに供給するように構成される。
【0032】
ガス供給部20は、1又はそれ以上のガスソース21及び1又はそれ以上の流量制御器22を含んでもよい。本実施形態において、ガス供給部20は、1又はそれ以上の処理ガスを、各々のガスソース21から各々の流量制御器22を介してガス入口12aに供給するように構成される。流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。更に、ガス供給部20は、1又はそれ以上の処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0033】
RF電力供給部30は、RF電力、例えば1又はそれ以上のRF信号を、下部電極111、上部電極シャワーヘッドアセンブリ12、又は、下部電極111及び上部電極シャワーヘッドアセンブリ12の双方のような1又はそれ以上の電極に供給するように構成される。本実施形態において、RF電力供給部30は、2つのRF生成部31a,31b及び2つの整合回路32a,32bを含む。本実施形態において示されたRF電力供給部30は、第1のRF信号を第1のRF生成部31aから第1の整合回路32aを介して下部電極111に供給するように構成される。RFスペクトルは、3Hz~3000GHzの範囲の電磁スペクトルの一部を包含する。半導体プロセスのような電子材料プロセスに関して、プラズマ生成のために用いられるRFスペクトルは、好ましくは100kHz~3GHz、より好ましくは200kHz~150MHzの範囲内である。例えば、第1のRF信号は、27MHz~100MHzの範囲内の周波数を有してもよい。また、本実施形態において示されたRF電力供給部30は、第2のRF信号を第2のRF生成部31bから第2の整合回路32bを介して下部電極111に供給するように構成される。例えば、第2のRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有してもよい。代わりに、第2のRF生成部31bに代えて、DC(Direct Current)パルス生成部を用いてもよい。更に、図示は省略するが、ここでは他の実施形態が考慮される。例えば、代替実施形態において、RF電力供給部30は、第1のRF信号をRF生成部から下部電極111に供給し、第2のRF信号を他のRF生成部から下部電極111に供給し、第3のRF信号を更に他のRF生成部から下部電極111に供給するように構成されてもよい。加えて、他の代替実施形態において、DC電圧が上部電極シャワーヘッドアセンブリ12に印加されてもよい。また更に、種々の実施形態において、1又はそれ以上のRF信号(即ち、第1のRF信号、第2のRF信号等)の振幅がパルス化又は変調されてもよい。振幅変調は、オン状態とオフ状態との間、あるいは、2又はそれ以上の異なるオン状態の間でRF信号振幅をパルス化することを含んでもよい。RF信号の位相整合が制御されてもよく、2又はそれ以上のRF信号の振幅変調の位相整合は、同期化されてもよく、非同期であってもよい。
【0034】
排気システム40は、例えばチャンバ10の底部に設けられた排気口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力弁や、ターボ分子ポンプ、粗引きポンプ又はこれらの組み合わせのような真空ポンプを含んでもよい。
【0035】
本実施形態において、制御部50は、ここで述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な指示を処理する。制御部50は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。制御部50は、例えばコンピュータ51を含んでもよい。コンピュータ51は、例えば、処理部(CPU; Central Processing Unit)511、記憶部512、及び通信インターフェース513を含む。処理部511は、記憶部512に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部512は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のような補助記憶装置からなるグループから選択される少なくとも1つのメモリタイプを含んでもよい。通信インターフェース513は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0036】
(実施形態の効果)
上記実施形態に係るレシピ更新方法は、プラズマ処理装置のレシピ更新方法である。実施形態に係るレシピ更新方法は、第1レシピを用いてプラズマ処理を施す工程と、基準タイミングと第1最大値とを計測する工程と、第2レシピを用いてプラズマ処理を施す工程と、第2最大値を計測する工程と、第1レシピを更新する工程とを含む。第1レシピを用いてプラズマ処理を施す工程は、プラズマ生成用の高周波電力の印加タイミングを含む第1レシピを用いて、載置台に載置された基板に対してプラズマ処理を施す。基準タイミングと第1最大値とを計測する工程は、第1レシピに対応付けて、載置台の温度が最小値まで降下する基準タイミングと、載置台の温度の第1最大値とを計測する。第2レシピを用いてプラズマ処理を施す工程は、第1レシピの印加タイミングを基準タイミングに変更して得られる第2レシピを用いて、基板に対してプラズマ処理を施す。第2最大値を計測する工程は、第2レシピに対応付けて、載置台の温度の第2最大値を計測する。第1レシピを更新する工程は、第2最大値が前記第1最大値よりも小さい場合に、前記第1レシピを前記第2レシピに更新する。これにより、実施形態に係るレシピ更新方法によれば、載置台への高周波電力の印加後に発生するオーバーシュートを抑制することができるため、高周波電力の印加後に載置台の温度が安定するまでの時間を短縮することができる。
【0037】
また、実施形態に係るレシピ更新方法は、第nレシピ(nは3以上の自然数)を用いてプラズマ処理を施す工程と、第n最大値を計測する工程と、第(n-1)レシピを更新する工程とをさらに含む。第nレシピを用いてプラズマ処理を施す工程は、第1レシピを更新する工程の後、第(n-1)レシピの印加タイミングを早めて得られる第nレシピを用いて基板に対してプラズマ処理を施す。第n最大値を計測する工程は、第nレシピに対応付けて、載置台の温度の第n最大値を計測する。第(n-1)レシピを更新する工程は、第n最大値が第(n-1)レシピに対応付けて計測された第(n-1)最大値よりも小さい場合に、第(n-1)レシピを第nレシピに更新する。これにより、実施形態に係るレシピ更新方法によれば、第2レシピの印加タイミングをさらに早めて載置台の温度の最大値を小さくすることができ、載置台の温度が安定するまでの時間をより短縮することができる。
【0038】
また、実施形態において、第nレシピを用いてプラズマ処理を施す工程と、第n最大値を計測する工程と、第(n-1)レシピを更新する工程とは、第n最大値が第(n-1)最大値以上となるまで、繰り返される。そして、第(n-1)レシピを更新する工程は、第n最大値が第(n-1)最大値以上となる場合に、第(n-1)レシピの更新を中止する。これにより、実施形態に係るレシピ更新方法によれば、載置台の温度の最大値を最小化することができ、載置台の温度が安定するまでの時間をより短縮することができる。
【0039】
以上、実施形態について説明してきたが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は、多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0040】
例えば、上記の実施形態では、第1レシピの印加タイミングを基準タイミングに変更して得られる第2レシピを用いて載置台上の基板に対してプラズマ処理を施す場合を例に説明したが、開示の技術はこれに限定されない。例えば、第2レシピを用いてプラズマ処理を施す工程において、変更後の印加タイミングが到来した場合に、載置台に設けられたヒータへの供給電力を設定された設定電力から一時的に下げてもよい。これにより、載置台への高周波電力の印加時にヒータの加熱による温度上昇を抑制することができ、載置台の温度が安定するまでの時間をより短縮することができる。また、印加タイミングの後、載置台の温度が設定された設定温度に到達する時点で、ヒータへの供給電力を設定電力に戻してもよい。これにより、載置台への高周波電力の印加後に載置台の温度を設定温度に維持することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 プラズマ処理装置
11 支持部(載置台)
30 RF電力供給部
111a ヒータ
111b ヒータ電源
50 制御部
51 コンピュータ
511 処理部
512 記憶部
513 通信インターフェース
W 基板
図1
図2
図3