(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】基板加熱装置および基板加熱方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240927BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240927BHJP
H05B 3/74 20060101ALI20240927BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20240927BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20240927BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
H05B3/74
C23C16/46
C23C14/50 E
H02N13/00 D
(21)【出願番号】P 2021021481
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】波多野 達夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直樹
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-009064(JP,A)
【文献】特表2018-518833(JP,A)
【文献】特開平11-265931(JP,A)
【文献】特開2017-063011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/3065
H01L 21/683
H05B 3/74
C23C 16/46
C23C 14/50
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理を行う処理容器内において基板を加熱する基板加熱装置であって、
基板を載置する載置面を有し、ヒータにより前記載置面に載置された基板を加熱する基板加熱部と、
冷却空間を介して前記基板加熱部の底部を覆うように設けられたジャケット部と、
前記冷却空間に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部と、
を有
し、
前記ジャケット部は、前記基板加熱部の中央部に複数のねじによりねじ止めされる、基板加熱装置。
【請求項2】
前記処理容器内での基板の処理はプラズマ処理である、請求項1に記載の基板加熱装置。
【請求項3】
前記基板加熱部は、
基材と、
前記基材の上面に設けられ、絶縁体および該絶縁体内部に設けられた吸着電極を有し、該吸着電極に直流電圧を印加することにより前記載置面に前記基板を静電吸着する静電チャックと、
を有する、請求項2に記載の基板加熱装置。
【請求項4】
前記静電チャックの前記絶縁体および前記吸着電極は、膜として構成される、請求項3に記載の基板加熱装置。
【請求項5】
前記ヒータは、前記静電チャックの前記絶縁体の内部に設けられる、請求項3または請求項4に記載の基板加熱装置。
【請求項6】
前記ヒータは、膜として構成される、請求項5に記載の基板加熱装置。
【請求項7】
前記基材は、快削性セラミックス、グラファイト、アルミニウム、および銅のいずれかで構成される、請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項8】
前記基板加熱部は、前記基材の側面および底面に設けられた、耐食性材料で構成された被覆層をさらに有する、請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項9】
前記ジャケット部の上面の外周部には、前記冷却空間を規定するための、上方に突出する円環状をなす外周突出部が形成されており、前記外周突出部と、前記基板加熱部の下面外周部との間は、シールリングにより気密にシールされている、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項10】
前記ジャケット部は、内部に液体状の冷媒を通流する冷媒流路を有する、請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項11】
前記ジャケット部は、中央部分から下方へ突出するように設けられたシャフトを有し、前記シャフトの下端は前記処理容器の底部に取り付けられる、請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項12】
基板の処理を行う処理容器内において基板加熱装置により基板を加熱する基板加熱方法であって、
前記基板加熱装置は、基板を載置する載置面を有し、ヒータにより前記載置面に載置された基板を加熱する基板加熱部と、冷却空間を介して前記基板加熱部の底部を覆うように設けられ
、前記基板加熱部の中央部に複数のねじによりねじ止めされたジャケット部と、前記冷却空間に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部と、を有し、
前記基板加熱部の前記載置面に基板を載置することと、
基板の処理に際して、前記基板加熱部の前記ヒータにより前記基板を加熱することと、
前記冷却空間に前記冷却ガスを供給して前記基板加熱部を冷却することと、
を有する、基板加熱方法。
【請求項13】
前記処理容器内での基板の処理はプラズマ処理である、請求項
12に記載の基板加熱方法。
【請求項14】
前記基板加熱装置は、前記載置面に基板を静電吸着する静電チャックを有し、前記載置面に前記基板が載置された際に、前記基板を静電吸着する、請求項
13に記載の基板加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板加熱装置および基板加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハのような基板に対して加熱をともなう処理を行う場合には、基板を載置して加熱する基板加熱装置(ヒータ)が用いられる。例えば、特許文献1には、抵抗発熱体が埋設された窒化アルミニウム製の基板載置台と、基板載置台の裏面に接合されたシャフトとを有する基板加熱装置(ヒータ)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、温度制御性が良好で、熱衝撃による損傷が生じ難い基板加熱装置および基板加熱方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る基板加熱装置は、基板の処理を行う処理容器内において基板を加熱する基板加熱装置であって、基板を載置する載置面を有し、ヒータにより前記載置面に載置された基板を加熱する基板加熱部と、冷却空間を介して前記基板加熱部の底部を覆うように設けられたジャケット部と、前記冷却空間に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部と、を有し、前記ジャケット部は、前記基板加熱部の中央部に複数のねじによりねじ止めされる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、温度制御性が良好で、熱衝撃による損傷が生じ難い基板加熱装置および基板加熱方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る基板加熱装置を示す断面図である。
【
図3】
図1の基板加熱装置のIII-III線による断面図である。
【
図4】従来の基板加熱装置における冷却手法を説明するための断面図である。
【
図5】基板加熱部の製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。
【
図6】
図5に示す製造方法で得られた基板加熱部を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態について説明する。
図1は一実施形態に係る基板加熱装置を示す断面図である。
【0009】
本実施形態において基板加熱装置100は、基板W、例えば半導体ウエハを加熱するためのものであり、成膜処理(CVD、CVD)やエッチング処理等の基板処理を行うための処理容器内に設けられる。本実施形態の基板加熱装置100は、特に、基板処理としてプラズマ処理を行う場合に好適である。
【0010】
基板加熱装置100は、基板Wを載置する載置面11を有し、載置面11に載置された基板Wを加熱する基板加熱部10と、冷却空間30を介して基板加熱部10の底部を覆うように設けられたジャケット部20とを有する。
【0011】
基板加熱部10は略円板状をなし、内部にはヒータ12が埋設されている。ヒータ12は抵抗発熱体として構成され、例えばタングステン(W)またはモリブデン(Mo)で形成されており、ヒータ電源41から給電線を介して給電されることにより発熱する。基板加熱部10は、基材13と、基材13上に設けられた静電チャック14とを有する。基材13は、本体部の下面中央部に、下方に突出するようにフランジ状をなす突出部13aが形成された、段付き形状となっている。フランジ部13bには、周方向に沿って複数のネジ挿通穴が形成され、本体部とフランジ部13bとの間には円環状のねじ止め部材51が嵌め込まれて、後述するようにジャケット20がねじ止め可能となっている。
【0012】
基材13を構成する材料としては、快削性セラミックスを好適に用いることができる。快削性セラミックスは耐熱性が高く基板Wを300℃以上に加熱する用途に好適であり、しかも、従来用いられている窒化アルミニウム(AlN)やアルミナ(Al2O3)よりも耐熱衝撃性が高く、加工が容易である。さらに、比較的高い耐食性を有する。快削性セラミックスとしては、SiC、SiO、これらの混合体等のSi系のものや、BN系のものを好適に用いることができる。基材13を構成する材料としては、グラファイト、アルミニウム(Al)、銅(Cu)も好適に用いることができる。これらは、熱伝導性が高く、温度制御性が高い。ただし、グラファイトは適用が非酸化性雰囲気に限定され、Al、Cuは200℃程度以下の比較的低温に加熱される用途に限定される。基材13は、AlNやAl2O3等の耐食性の高い材料で構成された被覆層で被覆されていてもよい。
【0013】
静電チャック14は、プラズマ処理の際に基板Wを静電吸着するものであり、絶縁体15と、その内部に埋設された吸着電極16とを有する。絶縁体15としてはAl2O3、AlN、BN、SiN等のセラミックスが用いられ、吸着電極16としてはヒータと同様、WやMo等を用いることができる。また、吸着電極16としてはメッシュ構造のものを用いることができる。そして、直流電源44から給電線を介して吸着電極16に直流電圧が印加されることにより、プラズマを介してクーロン力等の静電吸着力により基板Wを吸着する。本実施形態では加熱処理のためのヒータ12が静電チャック14の絶縁体15内の吸着電極16の下方位置に設けられている。
【0014】
静電チャック14を構成する絶縁体15および吸着電極16、ならびにヒータ12は、例えば、CVD、ALD、溶射のような膜形成技術で形成された膜として構成することができる。
【0015】
静電チャック14の載置面11近傍には、温度センサとしての熱電対42が設けられている。熱電対42の信号は信号線を介して温調器43に送られ、温調器43からヒータ電源41に温度を制御する制御信号が送られる。
【0016】
本実施形態では、基板加熱部10においてヒータ12を静電チャック14内に設けた例を示しているが、
図2に示すように、基材13内に形成してもよい。ただし、基材13が導電性の場合は、ヒータ12を絶縁体で覆う必要がある。
【0017】
ジャケット20は金属製をなし、冷却空間30を介して基板加熱部10の底部のほぼ全体を覆うように設けられ、基板加熱部10の基材13の中央部に複数のねじ52によりねじ止めされる。複数のねじ52は突出部13aのフランジ部13bに周方向に沿って設けられたねじ挿通穴に挿通され、
図3に示す
図1のIII-III断面図のように、ねじ止め部材51に螺合される。このような締結方法は、基材13がセラミックスの場合に特に有効である。基材13が金属製の場合は、基材13にねじ52を直接螺合させてもよい。
【0018】
ジャケット20は、基板加熱部10に締結された際に中央部分から下方へ突出するように設けられたシャフト22を有し、シャフト22内には、給電線および信号線が挿通される。シャフト22の下端にはフランジ22aが形成され、フランジ22aは処理容器(図示せず)の底面に取り付けられる。
【0019】
ジャケット20の上面の外周部には、冷却空間30を規定するための、上方に突出する円環状をなす外周突出部20aが形成されており、外周突出部20aと基材13の下面外周部との間はシールリング53により気密にシールされている。また、ジャケット20のシャフト22は、冷却空間30を規定するための、上方に突出する内周突出部22bを有しており、内周突出部22bと基材13の突出部13aとの間はシールリング54により気密にシールされている。基板加熱部10は200℃以上に加熱されるため、シールリング53,54としては耐熱性を有するカルレッツ(登録商標)またはカルレッツ(登録商標)相当の耐熱性を有するものであることが好ましい。
【0020】
ジャケット20は基材13に対応した段付き形状となっており、ジャケット20と基材13との間の冷却空間30も同様に段付き形状となっている。
【0021】
冷却空間30には、冷却ガス供給部31から冷却ガスが供給される。冷却ガスとしては、Heガス、N2ガス、Arガス等の不活性ガスが用いられる。冷却空間30に供給された冷却ガスによる熱交換により基板加熱部10が冷却される。冷却空間30にはガス排出部(図示せず)が設けられており、冷却空間30に対するガス供給量および排出量を調整することにより、冷却空間30の圧力が制御可能である。
【0022】
ジャケット20内には、液体状の冷媒(例えば冷却水、CF系流体(例えばガルデン(登録商標)))が通流可能な冷媒流路21が形成されており、冷媒流路21には冷媒供給部23から冷媒が循環供給可能となっている。冷媒流路21に冷媒を通流させることにより、より効率的に基板加熱部10を冷却することができる。ただし、冷却空間30への冷却ガスの供給のみで基板加熱部10の温度制御が可能な場合は、冷媒流路21は不要である。
【0023】
次に、以上のように構成される基板加熱装置100による加熱処理動作について説明する。
【0024】
まず、基板Wを処理容器(図示せず)内に搬入し、基板加熱部10の載置面11に載置する。載置された基板Wには、成膜処理(CVD、CVD)やエッチング処理等の基板処理、典型的にはプラズマ処理が施される。
【0025】
基板の処理に際して、基板加熱部10内のヒータ12により基板Wを加熱する。そして、この際に基板加熱部10とジャケット20との間の冷却空間30に冷却ガスを供給して基板加熱部10を冷却する。
【0026】
このように基板加熱部10を冷却するのは、例えばプラズマからの入熱(プラズマ中のイオンおよび電子が基板Wに衝突することによる入熱)により基板Wの温度が、設定温度よりも上昇してしまうことがあるからである。基板Wの温度が設定温度よりも上昇すると、例えば結晶性のような膜質の変化や、反応速度の増加による処理量(膜厚またはエッチング量)の増加が発生し、所期のプロセス結果が得られない場合が生じる。
【0027】
従来は、基板Wの加熱温度が200℃程度の場合、基板加熱部に冷却水等の冷媒を通流させる冷却ジャケットを接続して基板加熱部を冷却する手法がとられている。一方、基板を300℃以上の高温に加熱する場合、特許文献1に示すように、基板を載置する基板加熱部としてAlNのようなセラミックスを用い、基板加熱部の中央部に下方に延びるシャフトを有する基板加熱装置が用いられる。AlNのようなセラミックスは耐熱衝撃性が低いため、300℃以上に加熱した状態で冷却ジャケットにより冷却すると、プラズマに曝された部位と冷却された部位との温度差により基板加熱部が破壊してしまうおそれがある。このため、基板加熱部を、熱衝撃による破壊を抑制しつつ冷却する手法として、
図4に示すように、ヒータ112が埋設された基板加熱部110をシャフト120を介して冷却する冷却ジャケット130を設ける手法をとらざるを得なかった。しかし、この場合はシャフト120を介した熱交換となり、温度制御性が十分でないことが判明した。
【0028】
これに対して、本実施形態では、冷却空間30を介して基板加熱部10の底部のほぼ全体を覆うようにジャケット20を設け、冷却ガス供給部31から冷却空間30に冷却ガスを通流させて基板加熱部10を冷却する。これにより、基板加熱部10の底部の全体に冷却ガスを接触させて熱交換することができるので、高い温度制御性を得ることができる。また、ガスを介しての冷却なので、冷媒を通流させる冷却ジャケットを基板加熱部10へ直接接続して冷却するよりも熱衝撃性が低い。
【0029】
この場合に、ジャケット20を冷媒流路21が設けられたものとし、冷媒流路21に冷媒を通流させることができる。これにより、ジャケット20自体を冷却することができ、冷却効率をより高めることができる。
【0030】
さらに、基板加熱部10の基材13を快削性セラミックスで構成することにより、高い耐熱性が得られ、基板Wを300℃以上に加熱する用途に適したものとなる。しかも、快削性セラミックスは、従来用いられているAlNやAl2O3よりも耐熱衝撃性が高いため熱衝撃により損傷する可能性をより低くすることができ、しかも加工が容易であるため製造コストを低減できる。
【0031】
基材13の材料としてグラファイト、Al、Cuのような熱伝導性の高い材料を用いることにより、温度制御性を高くすることができる。これらの中で、グラファイトは非酸化性雰囲気であれば高温での適用も可能である。Al、Cuは耐熱性に劣るが200℃程度以下の比較的低温での処理に対しては好適である。
【0032】
次に、基板加熱部10の製造方法の一例について
図5を参照して説明する。
図5は基板加熱部10の製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。
【0033】
最初に、素材を加工して得られた基材13を準備する(
図5(a))。基材13としては、快削性セラミックス、グラファイト、Al、Cuを用いることができる。
【0034】
次いで、基材13の表面に絶縁層61を形成する(
図5(b))。絶縁層61としてはAl
2O
3、AlN、窒化ボロン(BN)、窒化珪素(SiN)等のセラミックスを用いることができる。これらは耐食性材料でもある。絶縁層61は、CVD、ALD、溶射等の膜形成技術で形成される。絶縁層61は基材13の全面に形成される。
【0035】
次いで、絶縁層61の上面に絶縁層61と同様の膜形成技術によりヒータ12となる抵抗発熱体層62を形成する(
図5(c))。抵抗発熱体層62は、例えばWまたはMoで形成される。
【0036】
次いで、抵抗発熱体層62の上面および露出している絶縁層61の全面に、絶縁層61と同じ材料で同様の膜形成技術により絶縁層63を形成する(
図5(d))。絶縁層63のうち絶縁層61の上に形成された部分は、絶縁層61と一体となった絶縁層として構成される。
【0037】
次いで、絶縁層63の上面に、絶縁層61と同様の膜形成技術により吸着電極16となる電極層64を形成する(
図5(e))。電極層64は、例えばWまたはMoで形成される。
【0038】
次いで、電極層64の上面および露出している絶縁層63の全面に、絶縁層61と同じ材料で同様の膜形成技術により絶縁層65を形成する(
図5(f))。絶縁層65のうち絶縁層63上に形成された部分は絶縁層61、63と一体となった絶縁層として構成される。
【0039】
以上の工程により、基材13上面に形成された絶縁層61、63、65の間に抵抗発熱体層62および電極層64が形成され、基材13の側面および底面にも絶縁層61、63、65が形成された構成が得られる。すなわち、
図6に示すように、基材13上面に形成された絶縁層61、63、65が静電チャック14の絶縁体15となり、抵抗発熱層62がヒータ12となり、電極層64が吸着電極16となって、ヒータ12および静電チャック14が形成される。また、基材13の側面および底面に形成された絶縁層は、耐食性を高めるための被覆層66となる。
【0040】
このように、膜形成技術により、ヒータ12、静電チャック14、および耐食性を高めるための被覆層66を一括して形成することができ、工程の簡略化を図ることができる。
【0041】
以上、実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0042】
例えば、上記実施形態では、プラズマ処理を行う処理容器内に用いられる基板加熱装置を中心に説明したが、例えば熱CVDのようなプラズマを用いない処理に適用することもできる。また、上記実施形態では静電チャックにより基板を吸着する例を示したが、静電チャックは用いなくてもよい。
さらに、以下の付記を含む。
(付記1)
基板の処理を行う処理容器内で基板を加熱する基板加熱装置における、基板を載置する載置面を有し、前記載置面に載置された基板を加熱するヒータおよび基板を吸着する静電チャックを有する基板加熱部の製造方法であって、
基材を準備することと、
前記基材の全面に第1の絶縁層を形成することと、
前記第1の絶縁層の上面にヒータとなる抵抗発熱体層を形成することと、
前記抵抗発熱体層の上面および露出している前記第1の絶縁層の全面に第2の絶縁層を形成することと、
前記第2の絶縁層の上面に前記静電チャックの吸着電極となる電極層を形成することと、
前記電極層の上面および露出している前記第2の絶縁層の全面に第3の絶縁層を形成することと、
を有し、
前記基材の上面に前記静電チャックおよび前記ヒータが形成され、前記基材の側面および底面に被覆層が形成される、基板加熱部の製造方法。
(付記2)
前記第1の絶縁層、前記第2の絶縁層、前記第3の絶縁層、前記抵抗発熱体層、および前記電極層は、CVD、ALD、および溶射のいずれかで形成される、付記1に記載の基板加熱部の製造方法。
(付記3)
前記第1の絶縁層、前記第2の絶縁層、前記第3の絶縁層は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ボロン、および窒化珪素のいずれかで構成される、付記1または付記2に記載の基板加熱部の製造方法。
(付記4)
前記基材は、快削性セラミックス、グラファイト、アルミニウム、および銅のいずれかで構成される、付記1から付記3のいずれかに記載の基板加熱部の製造方法。
【符号の説明】
【0043】
10;基板加熱部
11;載置面
12;ヒータ
13;基材
14;静電チャック
15;絶縁体
16;吸着電極
20;ジャケット
21;冷媒流路
22;シャフト
30;冷却ガス空間
31;冷却ガス供給部
53,54;シールリング
52;ねじ
61,63,65;絶縁層
62;抵抗発熱層
64;電極層
66;被覆層
100;基板加熱装置
W;基板