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特許7561680水中軸受構造、立軸ポンプ、ポンプシステム及び潤滑液の供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】水中軸受構造、立軸ポンプ、ポンプシステム及び潤滑液の供給方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/046 20060101AFI20240927BHJP
   F04D 13/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F04D29/046 A
F04D13/00 D
F04D13/00 L
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021075060
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022169190
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】清水 修
(72)【発明者】
【氏名】中塩 雄二
(72)【発明者】
【氏名】杉山 憲一
(72)【発明者】
【氏名】金 成夏
(72)【発明者】
【氏名】小宮 真
(72)【発明者】
【氏名】金子 浩之
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-7983(JP,A)
【文献】特開2018-084193(JP,A)
【文献】米国特許第04417850(US,A)
【文献】実開昭52-102003(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/046
F04D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立軸ポンプの羽根車が取り付けられる回転軸を支持する水中軸受構造であって、
前記回転軸を回転自在に支持する水中軸受部材と、
前記水中軸受部材が固定される外壁を有する保護管と、を備え、
前記保護管は、前記外壁の内側に設けられる内壁を有し、前記外壁及び前記内壁によって、前記水中軸受部材のための潤滑液を上方から受け入れ可能な第1の開口部を有する給液受け部が画定されており、
前記給液受け部は、前記水中軸受部材の上方に配置されており、
前記内壁は、前記給液受け部から出る潤滑液の流れを許容する第2の開口部を有する、水中軸受構造。
【請求項2】
前記内壁は、前記保護管に関して周方向に、間隔をおいて設けられた複数の前記第2の開口部を有する、請求項1に記載の水中軸受構造。
【請求項3】
前記第2の開口部に、前記給液受け部から出る潤滑液の流量を制限する流量制限部材が配置される、請求項1または2に記載の水中軸受構造。
【請求項4】
前記流量制限部材は、前記第2の開口部を覆う透液性のシートまたはメッシュ状部材を含む、請求項3に記載の水中軸受構造。
【請求項5】
前記流量制限部材は、前記第2の開口部に配置される管状部材を含む、請求項3又は4に記載の水中軸受構造。
【請求項6】
前記水中軸受部材の軸受面の上端にテーパが付けられている、請求項1~5のいずれかに記載の水中軸受構造。
【請求項7】
前記流量制限部材は、前記第2の開口部から、前記水中軸受部材の内部を通って軸受面で開口する管状部材を含む、請求項3~5のいずれかに記載の水中軸受構造。
【請求項8】
前記水中軸受部材よりも低い位置で、前記回転軸に固定された羽根を有する、請求項1~7のいずれかに記載の水中軸受構造。
【請求項9】
前記内壁は、内周壁と底壁とを備え、実質的にL字形断面を有し、前記第2の開口部は、前記底壁または底壁の近傍に設けられている、請求項1~8のいずれかに記載の水中軸受構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の水中軸受構造を備える立軸ポンプ。
【請求項11】
請求項10に記載の立軸ポンプと、
潤滑液の供給源と、
前記供給源に接続される入口端と前記保護管に接続される出口端とを有する給液管路と、
潤滑液を貯留する、前記供給源とは別個の貯液槽と、
前記給液管路に接続される入口端と前記貯液槽に接続される出口端とを有する入口管路と、
前記貯液槽に接続される入口端と前記保護管に接続される出口端とを有する出口管路と、を備え、
前記給液管路に第1の切替弁が設けられており、前記出口管路に第2の切替弁が設けられており、
さらに、立軸ポンプのポンプケーシングに接続され、立軸ポンプによって移送される液体を受け入れ可能な入口端と、前記第1の切替弁の下流側で前記給液管路に接続される出口端と、を有する補管路を備え、前記補管路に第3の切替弁が設けられている、
ポンプシステム。
【請求項12】
前記貯液槽は、前記出口管路の出口端より高い位置に設置される、請求項11に記載のポンプシステム。
【請求項13】
前記出口管路に、流量制限部材が設けられており、これにより、前記出口管路を通る潤滑液の流量が制限される、請求項12に記載のポンプシステム。
【請求項14】
前記出口管路に、透明な窓部が設けられており、前記窓部から、前記流量制限部材を通過した潤滑液が視認可能である、請求項13に記載のポンプシステム。
【請求項15】
請求項11~14のいずれかに記載のポンプシステムにおける潤滑液の供給方法であって、
前記第1の切替弁を開くと共に前記第2の切替弁を閉じて、前記供給源の潤滑液を、前記保護管及び前記貯液槽に移送する第1の工程と、
前記第1の切替弁を閉じると共に前記第2の切替弁を開いて、前記貯液槽の潤滑液を前記保護管に供給する第2の工程と、
前記第2の工程の後、前記第3の切替弁を開いて、前記液体を前記給液管路に供給する第3の工程と、を含む、供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川水や排水などの液体を汲み上げる立軸ポンプのための水中軸受構造に係る。本発明は、特に、先行待機運転型立軸ポンプにおいて、起動時などの初期運転時に回転軸を支持する軸受および軸スリーブがドライ状態で運転されることを防止できる水中軸受構造に関する。本発明は、さらに、水中軸受構造を含む立軸ポンプ、ポンプシステム及び潤滑液の供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の先行待機運転型立軸ポンプについて、背景技術の一例を説明する。近年、都市化の進展により、緑地の減少及び路面のコンクリート化又はアスファルト化の拡大が進んでいる。これにより、ヒートアイランド現象が発生し、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる局所的な集中豪雨が都市部で頻発している。コンクリート化又はアスファルト化した路面では、局所的な大量の降雨は、地中に吸収されることなくそのまま水路に導かれる。その結果、大量の雨水が、短時間のうちに排水機場に流入する。
【0003】
頻発するこのような集中豪雨によってもたらされる大量の雨水は、速やかに排水される必要がある。従って、排水機場に設置する立軸ポンプでは、雨水が排水機場に到達する前に予め始動させておく先行待機運転が行われている。これにより、ポンプの始動遅れによる浸水被害が生じることを防止することができる。具体的には、先行待機運転では、吸込水槽の水位が、揚水運転ができるレベルの水位に到る前の、低水位の状況からポンプの運転が行われる。従って、吸込水槽の水位が揚水レベルに達するまでは、ポンプは、揚水が行われないまま運転がなされる(以下、気中運転と称する)。保護管がある場合は、ポンプの回転軸(換言すれば、主軸)を支持する軸受、および回転軸の軸スリーブには水が供給されるので、軸受および軸スリーブはウェットな状態におかれる。
【0004】
先行待機運転される立軸ポンプでは、ゴム材質の軸受を含むように回転軸の全体を保護管で覆う、保護管方式が採用される場合がある。保護管方式では、高架水槽等から保護管内に水が供給される。水は、高架水槽等と保護管との間で循環することができる。こうして、気中運転の間であっても、軸受および軸受スリーブに水を供給することができる。
【0005】
上記のような保護管付の立軸ポンプでは、停電等による上水の供給断や高架水槽に接続するポンプの故障などによって、保護管に通水がされない場合が生じ得る。保護管内に水が供給されない状態でポンプが運転されると、ゴム材質の軸受が、摩擦によって破損する。従って、従来、保護管に通水がされない場合には、ポンプの運転が停止され、点検が行われる。すなわち、従来の保護管付立軸ポンプでは、補機の故障によって主機のポンプが稼働できなくなるという問題点がある。
【0006】
このように、保護管方式では、給水ポンプ等の補機が多くあるので、設備の信頼性が低下する。従って、保護管への注水機構を簡略化することが望ましい。
【0007】
立軸ポンプの気中運転の間、軸受と軸スリーブは、大気中で、高摩擦の状態で摺動することになる。特に、立軸ポンプのうち、先行待機運転ポンプは、揚水が開始され軸受が水で潤滑される前に大気中運転が必要である。軸受部がドライ状態のままでポンプの気中運転を可能にするには、例えば、水中軸受にセラミックまたは樹脂等を使用し、軸スリーブに超硬合金や溶射被膜を使用することが考えられる。しかしながら、ポンプの運転中、軸受および軸スリーブがドライ状態にあると、高い摩擦によって軸受の温度が上昇し、軸受自体、もしくは軸受周りの材料の限界温度を超える虞がある。また、摩擦の影響を抑える
ように摩擦係数が低い特殊な樹脂またはセラミックを用いる必要がある。
【0008】
このような材料または設計上の制限を無くすように、例えば、以下に記すような技術が提案されている。
【0009】
具体的には、特開2000-2190号公報(特許文献1)には、軸受ケーシングに収容された軸受部材と、主軸に取り付けられるとともに軸受部材に摺接する軸スリーブとを備え、軸スリーブに、上部に揚水が出入り可能な開口部を設けた有底環状の貯水部を設け、有底環状の貯水部内に軸受部材を水没させるように構成した立軸ポンプのすべり軸受装置が記載されている。
【0010】
特開2000-266042号公報(特許文献2)には、環状の硬質軸受部材と、主軸に取り付けられるとともに軸受部材に摺接する軸スリーブと、環状の硬質軸受部材を嵌合して外周に配置される金属製環状のバックメタルと、バックメタルを嵌合して外周に配置される環状の緩衝部材と、緩衝部材を嵌合して外周に配置される金属製環状のシェルとを備え、バックメタルには、揚水の貯水可能な上端開口部を有する凹状断面の環状の貯水部が設けてある立軸ポンプのすべり軸受装置が記載されている。
【0011】
特開平5-44689号公報(特許文献3)には、潤滑油を含浸した多孔質SiCからなるセラミック軸受と、主軸に取り付けられるとともにセラミック軸受に摺接するスリーブと、セラミック軸受を、セラミック軸用バックメタルを介して支持するセラミック軸用緩衝材とを備え、セラミック軸受とセラミック軸用バックメタルが互いに当接する面に空隙を形成し、該空隙にパイプを介して油または水を供給するように構成した排水ポンプ軸受構造が記載されている。
【0012】
特開2017-166423号公報(特許文献4)には、ポンプの揚水の一部を濾過するサイクロンセパレータと、その浄水を水中軸受に確実に送るための流量計、差圧計を備える立軸ポンプが記載されている。
【0013】
特許文献1に記載された技術では、主軸と一体に回転する軸スリーブに、上部に揚水が出入り可能な開口部を設けた有底環状の貯水部を設け、有底環状の貯水部内に軸受部材を水没させるように構成しているため、貯水部に軸受部材を水没させるために必要な水量を確保することが難しく、特にポンプ起動時には軸受部の摩擦熱によって水が蒸発するため、必要な水量を確保することが難しいという問題がある。また、揚水に含まれる砂や泥が貯水部に溜まり、軸受部材と軸スリーブの摺動部(換言すれば、摺接面)が損傷を受けるという問題がある。
【0014】
特許文献2に記載された技術では、バックメタルに、揚水の貯水可能な上端開口部を有する凹状断面の環状の貯水部を設けて貯水部に揚水を貯水し、この貯水の水冷作用および貯水が蒸発したときの気化熱による冷却作用によってバックメタルを冷却し、バックメタルを介して軸受部材を冷却しているため、軸受部材と軸スリーブとの摺動部を水で直接に冷却していないので、充分に冷却できないという問題がある。また、特許文献1と同様に、ポンプ起動時には軸受部の摩擦熱によって水が蒸発するため、必要な水量を確保することが難しいという問題がある。
【0015】
特許文献3に記載された技術では、セラミック軸受とセラミック軸用バックメタルが互いに当接する面に空隙を形成し、該空隙に油または水を供給することにより、空隙内の油または水を多孔質SiCの細孔を通して軸受の摺動面に滲出させ、摺動面の潤滑をしているため、軸受とスリーブとの摺動部を水で直接に冷却していないので、充分に冷却できないという問題がある。
【0016】
特許文献4に記載された技術においては、サイクロンセパレータでは微小な異物が取り切れず、給水先の水中軸受が早期摩耗するので、ポンプの運転ができなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2000-2190号公報
【文献】特開2000-266042号公報
【文献】特開平5-44689号公報
【文献】特開2017-166423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の一実施形態は、上記の事情に鑑みなされたもので、初期運転時に軸受と軸スリーブとの間に潤滑液を供給することにより、軸受および軸スリーブがドライ状態で動作することを防止できる、立軸ポンプのための水中軸受構造及びこれを含む立軸ポンプを提供することを目的とする。また、本発明の一実施形態は、上記立軸ポンプを含むポンプシステムを提供することを目的とする。また、本発明の一実施形態は、上記ポンプシステムにおける潤滑液の供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一実施形態によれば、立軸ポンプの羽根車が取り付けられる回転軸を支持する水中軸受構造であって、回転軸を回転自在に支持する水中軸受部材と、水中軸受部材が固定される外壁を有する保護管と、を備え、保護管は、外壁の内側に設けられる内壁を有し、外壁及び内壁によって、水中軸受部材のための潤滑液を上方から受け入れ可能な第1の開口部を有する給液受け部が画定されており、給液受け部は、水中軸受部材の上方に配置されており、内壁は、給液受け部から出る潤滑液の流れを許容する第2の開口部を有する、水中軸受構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による立軸ポンプの全体概要を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態による水中軸受構造の一例を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態による水中軸受構造の他の例を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態による水中軸受構造の他の例を示す断面図である。
図5図4に示す軸受の横方向断面図である。
図6】本発明の一実施形態によるポンプシステムの全体概要を示す模式図である。
図7図6に示す出口管路を概略的に示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本願発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。また、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。尚、以下の説明において、「上」、「下」等の方向を示す用語は、図1等に示す立軸ポンプの設置状態における方向を意味する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による立軸ポンプ100の全体概要を示す図である。立軸ポンプ100は、鉛直方向に延びる回転軸101と、回転軸101の下端部に取り付けられた羽根車102と、回転軸101の上端に設けられ回転軸101を回転駆動する図示していない駆動機と、を備える。立軸ポンプ100は、羽根車102を回転させることによ
ってポンプケーシング108を通じて下方から上方に揚水するポンプである。
【0023】
また、立軸ポンプ100は、先行待機運転型のポンプである。先行待機運転では、まず、吸込水位に関係なく降雨情報等に基づいて、羽根車102が水没する前の気中状態で羽根車102を回転させ始める(気中運転)。羽根車102の位置まで水位が上昇すると、立軸ポンプ100の運転状態は、羽根車102で取り扱い液(換言すれば、立軸ポンプ100によって移送される液体)を撹拌する運転(気水撹拌運転)から、吸気口から供給される空気を取り扱い液と共に吸い込ませつつ液量を徐々に増やす運転(気水混合運転)を経て、定格流量での取り扱い液の排出を行う通常運転(定常運転)へと移行する。
【0024】
また、立軸ポンプ100は、回転軸101、羽根車102、及び案内羽根103を囲む実質的に円筒状のポンプケーシング108を備える。案内羽根103は、ポンプケーシング108の内周面に固定され、後述する保護管122を支持している。また、案内羽根103は、羽根車102により揚水された水流の旋回成分を鉛直上方成分に変換する。
【0025】
ポンプケーシング108は、ポンプ吸込口を形成する吸込ベル104と、案内羽根103及び軸受部材120Aを収容する吐出しボウル105と、を含むことができる。吸込ベル104は、ベルマウス形状に形成される。吐出しボウル105は、案内羽根103を取り囲むように実質的に円筒形に形成され、筒径が回転軸101の伸長方向に沿って、上方に拡径した後、縮径するように形成されている。
【0026】
また、ポンプケーシング108は、吐出しボウル105の上方に配置され所望の高さまで延びる吊り下げ管106を含むことができる。吊り下げ管106は、回転軸101を囲む円筒状に形成される。吊り下げ管106を通して、立軸ポンプ100の取り扱い液が揚水される。また、ポンプケーシング108は、吊り下げ管106に接続される吐出しエルボ107を含むことができる。吐出しエルボ107は、回転軸101に沿って鉛直方向に伸長した後、実質的に水平方向へと向きを変えるように形成される。従って、揚水した取り扱い液は、吐出しエルボ107によって、実質的に水平方向に流れの向きを変えられる。吸込ベル104、吐出しボウル105、吊り下げ管106、及び、吐出しエルボ107は、適宜フランジで接続されてポンプケーシング108を構成している。
【0027】
立軸ポンプ100は、回転軸101を回転自在に支持する水中軸受構造を備える。水中軸受構造は、回転軸101を支持する水中軸受部材120を備える。本実施形態では、2つの水中軸受部材(以下、軸受部材)120A、120Bが設けられている。しかし、立軸ポンプ100において、軸受部材120の数は特に限定されない。
【0028】
水中軸受構造は、保護管122を備える。保護管122は、軸受部材120A、120Bのそれぞれにポンプケーシング108の外部から潤滑液(例えば、水道水)を供給するために使用される。保護管122は、軸受部材120A、120Bが固定された実質的に円筒形状の部材である。保護管122は、吐出しエルボ107の軸封部109で固定され、吐出しボウル105内の軸受部材120Aの下方まで延びている。
【0029】
軸受部材120A、120Bは、回転軸101に沿って互いに離間して設けられたすべり軸受である。図1では図示されない軸スリーブが、軸受部材120A、120Bの軸受面と摺接するように回転軸101に取り付けられてよい。軸受部材120Aは、吐出しボウル105の高さに配置され、保護管122に固定されることができる。軸受部材120Bは、軸受部材120Aより高い位置に配置されることができる。軸受部材120Bは、ポンプケーシング108に固定される支持部材110によって支持されることができる。
【0030】
据付床1100の開口穴1101に吊り下げ管106が挿入される。こうして、立軸ポ
ンプ100は、吐出しエルボ107の下部で据付床1100に固定され設置されることができる。
【0031】
図1に示すように、保護管122は、一端が潤滑液の供給源1104に接続され、他端が保護管122に接続される給液管路1102Aを有している。供給源1104は、ポンプケーシング108の外部に設置され、水道水等の潤滑液を受け入れる槽であってよい。給液管路1102Aを通して、供給源1104から保護管122に潤滑液が供給される。また、保護管122は、一端が潤滑液の供給源1104に接続され、他端が保護管122に接続される排出管路1102Bを有している。排出管路1102Bを通して、保護管122から潤滑液が排出され、供給源1104に回収される。本実施形態では、保護管122は、最上部の軸受部材120Bより上方の部分(図示の例では吐出しエルボ107の軸封部)で、吐出しエルボ107の壁面を通して給液管路1102Aに接続されている。本実施形態において、供給源1104の潤滑液は、供給源1104の設置高さに応じて、ポンプにより保護管122に送液することができる。
【0032】
給液管路1102Aから保護管122に供給された潤滑液は、軸受部材120Bから軸受部材120Aへと順次経由して流れる。ポンプケーシング108の吐出しボウル105内で、保護管122はボウル部129を形成している。給液管路1102Aからの潤滑液の流入により、保護管122の内部は満水状態にされる。満水状態の保護管122から、潤滑液が、排出管路1102Bを通して保護管122の外部に流出する。
【0033】
排出管路1102Bは、保護管122のボウル部129の上部で空間128に連通する。空間128で上方に向けて流れを変えた潤滑液は、排出管路1102Bを経由して供給源1104に回収される。
【0034】
次に、図2を参照して、本実施形態による水中軸受構造の一例を示す部分断面図である。なお、ここでは、軸受部材120として、軸受部材120Bを例として説明するが、軸受部材120Aについても実質的に同様の構成を適用することができる。図2に示すように、軸受部材120Bは、回転軸101の軸スリーブ101Bと摺接する軸受面を含む軸受2120と、軸受2120が取り付けられる軸受ケース2122とを備えることができる。また、軸受部材120Bは、軸受2120と軸受ケース2122との間に配置される緩衝材2124を備えることができる。軸受部材120Bの具体的形状は、図示のものに限られない。
【0035】
保護管122は、軸受部材120Bが固定される外壁1122を有する。なお、本実施形態では、軸受部材120Bの軸受ケース2122が保護管122の管壁の一部を形成するように配置されている。具体的には、図2に示すように、保護管122が、軸受部材120Bを挟んで上下に分割されている。理解の容易のため、図2では、保護管122における、軸受部材120Bの上部に固定される部分に符号122Aを付しており、軸受部材120Bの下部に接続される部分に符号122Bを付している。しかし、保護管122は図示のように分割されていなくてもよい。例えば、軸受部材120Bの全体が保護管122の内部に位置するように、保護管122の外壁1122の内周面に軸受ケース2122の外周面が固定されてもよい。
【0036】
保護管122は、また、外壁1122の内側に設けられる内周壁1124及び底壁1126を備える内壁を有する。図示の例では、内壁は、実質的にL字形断面を有する部材である。具体的には、内壁は、実質的に鉛直方向に延びる内周壁1124と、内周壁1124と外壁1122とを接続するように横方向に延びる底壁1126とを備えている。しかし、内壁の具体的形状はこれに限られない。内壁は、内周壁1124と底壁1126の区別なく、例えば、湾曲状に外壁1122から内側に突出して延びていてもよい。
【0037】
本実施形態では、外壁1122、内周壁1124及び底壁1126によって、保護管122に、第1の開口部1130を有する給液受け部1128が形成されている。第1の開口部1130は、保護管122に供給された潤滑液を受け入れ可能であるように、上方に向けて開口している。こうして、保護管122に供給される潤滑液の一部を、給液受け部1128に溜めることができる。給液受け部1128の底壁1126は、軸受部材120Bより高い位置に配置されている。
【0038】
図2に示す内周壁1124は、底壁1126の近傍に、第2の開口部1132を有している。第2の開口部1132は、給液受け部1128から出る潤滑液の流れを許容する。第2の開口部1132として、保護管122の周方向に間隔をおいて形成される複数の開口部1132が設けられてよい。第2の開口部1132の大きさ及び数は、第2の開口部1132から出る潤滑液の流量(複数の第2の開口部1132がある場合には、複数の第2の開口部1132から出る潤滑液の総流量)が、第1の開口部1130から入る潤滑液の流量を超えないように決められる。第2の開口部1132は、保護管122のほぼ全周にわたって連続的に延びている単一の開口部であってもよい。
【0039】
第2の開口部1132には、給液受け部1128から出る潤滑液の流量を制限する流量制限部材1131を設けることができる。流量制限部材1131として、例えば、細孔を有する金属または樹脂製の透液性のシートまたはメッシュ部材等を使用することができる。
【0040】
流量制限部材1131により、潤滑液を、例えば図示されるような水滴状に滴下することができる。しかし、複数の第2の開口部1132が形成される場合には、第2の開口部1132の各々の寸法を小さくし細孔(例えば、スリット)として形成することも考えられる。
【0041】
立軸ポンプ100の運転中、供給源1104内の潤滑液が、給液管路1102Aから保護管122に連続的に供給される。この間、潤滑液の一部が、第1の開口部1130から給液受け部1128に入る。潤滑液は、第2の開口部1132から流量制限部材1131を通って微小な流量で流出しながら、給液受け部1128に溜まる。立軸ポンプ100の運転中、供給源1104または給液管路1102A等で液漏れが生じること等によって、保護管122に潤滑液が供給されない事態が生じ得る。本実施形態では、保護管122に潤滑液が供給されなくなった場合でも、それまでに給液受け部1128に溜められた潤滑液が、第2の開口部1132を通って軸受部材120Bの軸受面に流下または滴下する。給液受け部1128の容積は限られているが、第2の開口部1132に流量制限部材1131を設けることにより、微小量の潤滑液を比較的長い時間にわたって軸受面に供給することができる。軸受面に対する供給流量は、毎分数ml程度にすることができる。
【0042】
図2に示すように、軸受面の上端2120aにテーパが付けられていてもよい。上記したように、微小量の潤滑液は、水滴状に滴下される場合もある。軸受面の上端2120aの傾斜に沿って、第2の開口部1132を出た潤滑液の滴を、スムーズに軸受面に案内することができる。しかし、上記のようなテーパ面は、必ずしも設けられなくてもよく、軸受面は、全体に平坦であってもよい。
【0043】
第2の開口部1132は、給液受け部1128の高さ方向中央より下、好ましくは、底壁1126の近傍に形成されることが好ましい。また、軸受部材120B及び給液受け部1128の具体的形状及び寸法に応じて、第2の開口部1132は、底壁1126に設けられてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、軸受部材120Bの軸受面より低い位置で、回転軸101に羽根130を取り付けることができる。回転軸101と共に回転する羽根130によって風圧を発生させることができる。この風圧によって、軸受面を通った潤滑液を上方に押し戻し、押し戻された潤滑液によって潤滑を行うことができる。また、風圧によって軸受面を冷却することができる。
【0045】
図3は、流量制限部材の他の例を示す。この例では、流量制限部材は、第2の開口部1132に配置される管状部材140であることができる。管状部材140は、一方の端部が、給液受け部1128内で開口する。また、管状部材140は、他方の端部が軸受面(図示の例では、テーパ面2120a)の近くで開口するように、下方に曲げられている。これにより、微小な流量の潤滑液を、軸受面に近い位置から供給することができる。
【0046】
図4は、流量制限部材の他の例を示す。この例では、第2の開口部1132は、底壁1126に形成されている。第2の開口部1132に配置された管状部材150が、流量制限部材を構成する。管状部材150は、軸受部材120Bの内部を通り、軸受面2120bで開口する。図4の例では、管状部材150は、第2の開口部1132から軸受ケース2122の内部まで延びる第1の管路152と第1の管路152に接続する複数の第2の管路154を含む。第2の管路154は、上下方向に異なる位置において、軸受面2120bで開口する。これにより、微小流量の潤滑液を、軸受面2120bに直接供給することができる。
【0047】
図5は、図4に示す軸受部材120Bの軸受2120の横方向断面を示し、第2の管路154の配置を示す。図5では、第2の管路154が、軸受2120の周方向に配列されていることが分かる。周方向の複数位置から潤滑液を供給することにより、軸受面2120bを効率よく冷却し、軸受2120の寿命を長くすることができる。また、図5に示すように、第2の管路154は、軸受面2120bの軸方向溝(いわゆる油溝)2120Cで開口するように配置されることが望ましい。
【0048】
図6は、本発明の一実施形態による立軸ポンプ100を含むポンプシステムの一例を示す。ポンプシステムは、ポンプケーシング108の外部に設置される、供給源1104及び貯液槽1108を備える。ポンプシステムは、また、給液管路1102Aから分岐して貯液槽1108に接続される入口管路1110を備える。すなわち、入口管路1110は、給液管路1102Aの途中で給液管路1102Aに接続される入口端を有し、出口端は、貯液槽1108に接続されている。また、ポンプシステムは、貯液槽1108に接続される入口端を有し、出口端が保護管122に接続される出口管路1112を備える。貯液槽1108内の潤滑液が自然流下するように、貯液槽1108と出口管路1112との接続位置は、出口管路1112と保護管122との接続位置よりも高い位置であることが好ましい。
【0049】
なお、図6中、1114は、貯液槽1108の上壁に設けられた空気抜弁である。空気抜弁は、弁箱の内部にフロートが配置される既知の構成を有する空気抜弁であってよい。弁箱内に空気が溜まると水面と共にフロートが下降することにより、弁座が開放されて空気が排出される。これにより、貯液槽1108に溜まった空気を逃がすことができる。
【0050】
出口管路1112は、流量制限部材1116が配置される中間配管1120を含む。図7は、中間配管1120の構成を示す部分図である。中間配管1120は、上下の配管にフランジ接続され、拡大した口径を有する拡大部1121を含む。流量制限部材1116は、低圧用ノズル、スプレー式ノズル、ボール弁又はフラップ弁等の弁部材、メッシュ状部材等、貯液槽1108からの潤滑液の流量を低減することができる部材であれば、特に限定されない。
【0051】
流量制限部材1116は、拡大部1121の内部に配置されることができる。拡大部1121の内部は、透明な窓部1118によって可視化されてよい。流量制限部材1116を通過した潤滑液は、例えば、水滴状に滴下し得る。このような微小な流量の流れを、窓部1118から視認することができるので、潤滑液が適切に供給されているかを目視で確認することができる。本実施形態では、窓部1118が透明な材料で形成されている。しかし、他の実施形態では、拡大部1121の全体または中間配管1120の全体が、透明な材料で形成されていてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、出口管路1112に切替弁1140(第2の切替弁)が設けられている。一方、給液管路1102Aにも、切替弁1142(第1の切替弁)が設けられている。切替弁1140は、電動弁であってもよいが、非常用として、手動で操作される弁であることが好ましい。切替弁1142は、入口管路1110の入口端の上流側に配置される。
【0053】
立軸ポンプ100の運転中、給液管路1102Aの切替弁1142は開いており、従って、供給源1104の潤滑液は、給液管路1102Aから保護管122に供給される。これと同時に、潤滑液は、給液管路1102Aから分岐する入口管路1110を通って、貯液槽1108にも移送される。この間、切替弁1140を閉じておくことによって、貯液槽1108に潤滑液を溜めておくことができる。
【0054】
本実施形態のポンプシステムでは、液漏れ等により保護管122に供給源1104の潤滑液が供給されなくなった場合、例えば作業員が手動で、切替弁1142を閉じると共に切替弁1140を開くことによって、貯液槽1108内の潤滑液を保護管122に供給することができる。切替弁1140が開かれるまでの間、保護管122の給液受け部1128に溜まった潤滑液が軸受面に供給されるので、軸受面がドライ状態におかれることを防止することができる。
【0055】
また、本実施形態のポンプシステムは、吐出しエルボ107に接続され、立軸ポンプ100によって移送される液体(換言すれば、取り扱い液)の一部を受け入れる入口端と、切替弁1142の下流側で給液管路1102Aに接続された出口端と、を有する補管路1200を備えている。補管路1200には切替弁1202(第3の切替弁)が設けられている。切替弁1202は、電動弁であってもよいが、非常用として、手動で操作される弁であることが好ましい。
【0056】
貯液槽1108内の潤滑液がすべて保護管122に供給されてしまったときには、例えば作業員が手動で、切替弁1142を閉じ、切替弁1202を開くことができる。これにより、吐出しエルボ107から取り出された取り扱い液を、補管路1200及び給液管路1102Aを通して保護管122に供給することができる。また、貯液槽1108に、給液管路1102Aを通じて、吐出しエルボ107から取り出された取り扱い液を溜めることができる。なお、切替弁1202が開かれるまでの間、保護管122の給液受け部1128に溜まった潤滑液が軸受面に供給されるので、軸受面がドライ状態におかれることを防止することができる。
【0057】
しかし、図6のポンプシステムでは、給液受け部1128は、省略されてもよい。
【0058】
補管路1200には、ストレーナ等の異物除去装置1204を配置することができる。これにより、取り扱い液を、異物が除去された状態で保護管122に供給することができる。
【0059】
このように、本発明の実施形態は、保護管付立軸ポンプの運転中に潤滑液の供給系に液漏れ等の故障が生じた場合に有用である。供給源1104から潤滑液の供給が行われなくなった場合でも、保護管122に設けられた給液受け部1128または供給源1104とは別個の貯液槽1108から潤滑液を供給することができる。また、流量制限部材140、150、1116、1131によって潤滑液の流量を低減することができるので、潤滑液を、比較的長い時間にわたって軸受部に供給し続けることができる。潤滑液の流量は、毎分数ml程度の微小な流量であってよい。微小な流量の潤滑液によっても軸受部の発熱を十分低減しながら立軸ポンプを運転することが可能である。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0061】
本発明は、以下の態様を含む。
1.立軸ポンプの羽根車が取り付けられる回転軸を支持する水中軸受構造であって、
回転軸を回転自在に支持する水中軸受部材と、
水中軸受部材が固定される外壁を有する保護管と、を備え、
保護管は、外壁の内側に設けられる内壁を有し、外壁及び内壁によって、水中軸受部材のための潤滑液を上方から受け入れ可能な第1の開口部を有する給液受け部が画定されており、
給液受け部は、水中軸受部材の上方に配置されており、
内壁は、給液受け部から出る潤滑液の流れを許容する第2の開口部を有する、水中軸受構造。
2.内壁は、保護管に関して周方向に、間隔をおいて設けられた複数の第2の開口部を有する、上記1.に記載の水中軸受構造。
3.第2の開口部に、給液受け部から出る潤滑液の流量を制限する流量制限部材が配置される、上記1.または2.に記載の水中軸受構造。
4.流量制限部材は、第2の開口部を覆う透液性のシートまたはメッシュ状部材を含む、上記3.に記載の水中軸受構造。
5.流量制限部材は、第2の開口部に配置される管状部材を含む、上記3.又は4.に記載の水中軸受構造。
6.水中軸受部材の軸受面の上端にテーパが付けられている、上記1.~5.のいずれかに記載の水中軸受構造。
7.流量制限部材は、第2の開口部から、水中軸受部材の内部を通って軸受面で開口する管状部材を含む、上記3.~5.のいずれかに記載の水中軸受構造。
8.水中軸受部材よりも低い位置で、回転軸に固定された羽根を有する、上記1.~7.のいずれかに記載の水中軸受構造。
9.内壁は、内周壁と底壁とを備え、実質的にL字形断面を有し、第2の開口部は、底壁または底壁の近傍に設けられている、上記1.~8.のいずれかに記載の水中軸受構造。10.上記1.~9.のいずれかに記載の水中軸受構造を備える立軸ポンプ。
11.上記10.に記載の立軸ポンプと、
潤滑液の供給源と、
供給源に接続される入口端と保護管に接続される出口端とを有する給液管路と、
潤滑液を貯留する、供給源とは別個の貯液槽と、
給液管路に接続される入口端と貯液槽に接続される出口端とを有する入口管路と、
貯液槽に接続される入口端と保護管に接続される出口端とを有する出口管路と、を備え、給液管路に第1の切替弁が設けられており、出口管路に第2の切替弁が設けられており、
さらに、立軸ポンプのポンプケーシングに接続され、立軸ポンプによって移送される液体を受け入れ可能な入口端と、第1の切替弁の下流側で給液管路に接続される出口端と、を有する補管路を備え、補管路に第3の切替弁が設けられている、
ポンプシステム。
12.貯液槽は、出口管路の出口端より高い位置に設置される、上記11.に記載のポンプシステム。
13.出口管路に、流量制限部材が設けられており、これにより、出口管路を通る潤滑液の流量が制限される、上記12.に記載のポンプシステム。
14.出口管路に、透明な窓部が設けられており、窓部から、流量制限部材を通過した潤滑液が視認可能である、上記13.に記載のポンプシステム。
15.上記11.~14.のいずれかに記載のポンプシステムにおける潤滑液の供給方法であって、
第1の切替弁を開くと共に第2の切替弁を閉じて、供給源の潤滑液を、保護管及び貯液槽に移送する第1の工程と、
第1の切替弁を閉じると共に第2の切替弁を開いて、貯液槽の潤滑液を保護管に供給する第2の工程と、
第2の工程の後、第3の切替弁を開いて、液体を給液管路に供給する第3の工程と、を含む、方法。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、保護管付立軸ポンプに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
100 立軸ポンプ
101 回転軸
101A、101B 軸スリーブ
102 羽根車
103 案内羽根
104 吸込ベル
105 吐出しボウル
106 吊り下げ管
107 吐出しエルボ
108 ポンプケーシング
109 軸封部
110 支持部材
120A、120B 水中軸受部材
122、122A、122B 保護管
128 空間
129 ボウル部
130 羽根
140 管状部材
150 管状部材
152 第1の管路
154 第2の管路
1100 据付床
1101 開口穴
1102A 給液管路
1102B 排出管路
1104 供給源
1108 貯液槽
1110 入口管路
1112 出口管路
1114 空気抜弁
1116 流量制限部材
1118 窓部
1120 中間配管
1121 拡大部
1140、1142 切替弁
1122 外壁
1124 内周壁(内壁)
1126 底壁(内壁)
1128 給液受け部
1130 第1の開口部
1131 流量制限部材
1132 第2の開口部
1200 補管路
1202 切替弁
1204 異物除去装置
2120 軸受
2120a 上端
2120b 軸受面(摺接面)
2120c 軸方向溝
2122 軸受ケース
2124 緩衝材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7