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特許7561817ニューラルネットワークを使用する分光モニタリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ニューラルネットワークを使用する分光モニタリング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240927BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240927BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20240927BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/304 622R
B24B49/12
B24B37/013
B24B37/10
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022196159
(22)【出願日】2022-12-08
(62)【分割の表示】P 2019528668の分割
【原出願日】2017-11-22
(65)【公開番号】P2023051931
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-01-04
(31)【優先権主張番号】62/428,410
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シェリアン, ベンジャミン
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/086138(WO,A1)
【文献】米国特許第6594024(US,B1)
【文献】米国特許第7037172(US,B1)
【文献】米国特許第7001243(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0094790(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0236759(US,A1)
【文献】特表2014-514533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0120243(US,A1)
【文献】特表2014-512690(JP,A)
【文献】特表2012-502484(JP,A)
【文献】特表2013-526080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 49/12
B24B 37/013
B24B 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ可読媒体であって、
一又は複数のコンピュータに、
インシトゥの光学モニタシステムから、研磨が行われている基板の層からの反射光の測定スペクトルを受信させ、
複数の成分値を生成するために、前記測定スペクトルの次元数を削減させ、
一又は複数の処理変数又は環境変数の一又は複数の値を受信させ、
前記測定スペクトルが測定された時間における研磨処理中の前記基板の進捗度を表す特性値を生成させ、ここで当該特性値が、人工ニューラルネットワークを使用して、前記複数の成分値及び前記一又は複数の処理変数又は環境変数に基づいて生成され、前記人工ニューラルネットワークが、前記複数の成分値を受信するための多数の入力ノードと前記一又は複数の処理変数及び環境変数の一又は複数の値を受信するための一又は複数の入力ノードとを含む複数の入力ノード、前記特性値を出力するための出力ノード、並びに、前記複数の入力ノードと前記出力ノードを接続する複数の隠れノードを有し、且つ
前記特性値に基づいて、前記基板の研磨を停止するか否かと研磨パラメータの調整との少なくとも一方を決定させる
命令を含むコンピュータプログラムを有するコンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記特性値が、前記層の厚さ、又は前記層から除去された厚さを含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項3】
前記一又は複数の処理変数又は環境変数が、前記基板が前記研磨を受けている研磨システムの別のセンサからの測定値、前記研磨システムのコントローラが記憶している処理レシピからの値、又は前記コントローラが追跡する変数の値のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項4】
前記一又は複数の処理変数又は環境変数が、別のセンサによる、前記研磨システム内の環境の測定値を含む、請求項3に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項5】
前記別のセンサが温度センサを含み、前記環境の測定値が研磨パッドの温度の測定値を含む、請求項4に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記一又は複数の処理変数又は環境変数が、前記基板の研磨中に研磨システムの制御のために使用される研磨パラメータの値を含み、当該値が前記コントローラから取得される、請求項3に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記処理レシピからの値が、キャリアヘッド圧力又はプラテン回転速度を含む、請求項6に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記一又は複数の処理変数又は環境変数が、基板の数を数える前記コントローラが追跡する変数を含む、請求項3に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記一又は複数の処理変数又は環境変数が、研磨パッドの交換以降の基板の数を含む、請求項8に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
複数の成分を生成するために複数の参照スペクトルについて特徴抽出を実施させ、当該複数の参照スペクトルから抽出された複数の成分に基づいて変換を生成させ、且つ前記測定スペクトルに当該変換を実施することによって前記次元数を削減させる命令を含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
基板を研磨する方法であって、
基板を研磨パッドと接触させ、且つ前記基板の層を研磨するために前記基板と前記研磨パッドとの間の相対運動を発生させることと、
前記研磨中に、処理が行われている前記基板からの反射光の測定スペクトルを、インシトゥの光学モニタシステムを用いて測定することと、
複数の成分値を生成するために、前記測定スペクトルの次元数を削減することと、
一又は複数の処理変数又は環境変数の一又は複数の値を受信することと、
前記測定スペクトルが測定された時間における研磨処理中の前記基板の進捗度を表す特性値を生成することと、ここで当該特性値が、人工ニューラルネットワークを使用して、前記複数の成分値及び前記一又は複数の処理変数又は環境変数に基づいて生成され、前記人工ニューラルネットワークが、前記複数の成分値を受信するための多数の入力ノードと前記一又は複数の処理変数及び環境変数の一又は複数の値を受信するための一又は複数の入力ノードとを含む複数の入力ノード、前記特性値を出力するための出力ノード、並びに、前記複数の入力ノードと前記出力ノードを接続する複数の隠れノードを有し、
前記特性値に基づいて、前記基板の研磨を停止するか否かと研磨パラメータの調整との少なくとも一方を決定させることと
を含む、方法。
【請求項12】
前記特性値が、前記層の厚さ、又は前記層から除去された厚さを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記一又は複数の処理変数又は環境変数が、前記基板が前記研磨を受けている研磨システムの別のセンサからの測定値、前記研磨システムのコントローラが記憶している処理レシピからの値、又は前記コントローラが追跡する変数の値のうちの少なくとも一つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
研磨システムであって、
研磨パッドを保持するための支持体と、
前記研磨パッドと接触するように基板を保持するためのキャリアヘッドと、
前記支持体と前記キャリアヘッドとの間に相対運動を発生させるためのモータと、
研磨中に前記基板の層からの反射光のスペクトルを測定するためのインシトゥの光学モニタシステムと、
コントローラと
を備える、研磨システムであって、当該コントローラが、
インシトゥの光学モニタシステムから、研磨が行われている前記基板からの反射光の測定スペクトルを受信し、
複数の成分値を生成するために、前記測定スペクトルの次元数を削減し、
一又は複数の処理変数又は環境変数の一又は複数の値を受信し、
前記測定スペクトルが測定された時間における研磨処理中の前記基板の進捗度を表す特性値を生成し、ここで当該特性値が、人工ニューラルネットワークを使用して、前記複数の成分値及び前記一又は複数の処理変数又は環境変数に基づいて生成され、前記人工ニューラルネットワークが、前記複数の成分値を受信するための多数の入力ノードと前記一又は複数の処理変数及び環境変数の一又は複数の値を受信するための一又は複数の入力ノードとを含む複数の入力ノード、前記特性値を出力するための出力ノード、並びに、前記複数の入力ノードと前記出力ノードを接続する複数の隠れノードを有し、且つ
前記特性値に基づいて、前記基板の研磨を停止するか否かと研磨パラメータの調整との少なくとも一方を決定する
ように構成されている、研磨システム。
【請求項15】
前記特性値が、前記層の厚さ、又は前記層から除去された厚さを含む、請求項14に記載の研磨システム。
【請求項16】
前記一又は複数の処理変数又は環境変数が、前記基板が前記研磨を受けている研磨システムの別のセンサからの測定値、前記研磨システムのコントローラが記憶している処理レシピからの値、又は前記コントローラが追跡する変数の値のうちの少なくとも一つを含む、請求項14に記載の研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば化学機械研磨などの処理における、基板の光学モニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、シリコンウェハに導電層、半導電層、又は絶縁層を連続的に堆積させることによって、基板上に形成される。ある製造ステップは、非平坦面の上に充填層を堆積させること、及び、この充填層を平坦化することを伴う。一部の応用では、充填層は、パターンニングされた層の上面が露出するまで平坦化される。例えば、絶縁層のトレンチ又は孔を充填するために、パターニングされた絶縁層上に導電性充填層が堆積されうる。平坦化の後に、導電層の、絶縁層の盛り上がったパターンの間に残っている部分がビア、プラグ、及びラインを形成し、これらが、基板上の薄膜回路間の導電経路を提供する。その他の応用では、充填層は、下層の上に所定の厚さが残るまで平坦化される。例えば、堆積された誘電体層が、フォトリソグラフィのために平坦化されうる。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、認知されている平坦化方法の1つである。この平坦化方法では、典型的には、基板がキャリアヘッドに装着されることが必要になる。基板の露出面は、典型的には、耐久性のある粗面を有する回転研磨パッドに当接して置かれる。キャリアヘッドは、基板に制御可能な負荷を付与して、基板を研磨パッドに押し付ける。典型的には、研磨液(例えば研磨粒子を有するスラリ)が、研磨パッドの表面に供給される。
【0004】
CMPの問題の1つは、望ましいプロファイル(例えば、望ましい平坦度若しくは厚さまで平坦化された、又は望ましい材料量が除去された基板層)を実現するのに適切な研磨速度を使用することである。基板層の初期厚、スラリ分布、研磨パッドの状態、研磨パッドと基板との間の相対スピード、及び基板への負荷が変動することにより、基板全体で、又は基板ごとに、材料の除去速度が変動しうる。このような変動は、研磨終点に到達するのに必要な時間、及び除去量の変動の原因となる。したがって、研磨時間の単なる関数として研磨終点を決定すること、又は、単に一定した圧力を印加することによって望ましいプロファイルを実現することが、可能ではないことがある。
【0005】
一部のシステムでは、基板は、例えば光学モニタシステムによって、研磨中にインシトゥ(その場)でモニタされる。インシトゥのモニタシステムからの厚さ測定値は、基板に印加される圧力を調整して、研磨速度を調整し、かつウエハ内不均一性(WIWNU)を低減するために、使用されうる。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、基板の処理を制御するためのコンピュータプログラム製品が、プロセッサに、インシトゥの光学モニタシステムから、基板の外層の厚さを改変する処理が行われている基板からの反射光の測定スペクトルを受信することと、複数の成分値を生成するために、測定スペクトルの次元数を削減することと、人工ニューラルネットワークを使用して特性値を生成することと、特性値に基づいて、基板の処理を停止するか否かと処理パラメータの調整との少なくとも一方を決定することとを実行させるための、命令を有する。
【0007】
別の態様では、基板を処理する方法が、基板に、基板の外層の厚さを改変する処理を行うことと、この処理において、処理が行われている基板からの反射光の測定スペクトルを、インシトゥの光学モニタシステムを用いて測定することと、複数の成分値を生成するために、測定スペクトルの次元数を削減することと、人工ニューラルネットワークを使用して特性値を生成することと、特性値に基づいて、基板の処理を停止するか否かと処理パラメータの調整との少なくとも一方を決定することとを、含む。
【0008】
別の態様では、研磨システムが、研磨パッドを保持するための支持体と、研磨パッドと接触するように基板を保持するためのキャリアヘッドと、支持体とキャリアヘッドとの間に相対運動を発生させるためのモータと、研磨中に基板からの反射光のスペクトルを測定するためのインシトゥの光学モニタシステムと、処理が行われている基板からの反射光の測定スペクトルを受信することと、複数の成分値を生成するために、測定スペクトルの次元数を削減することと、人工ニューラルネットワークを使用して特性値を生成することと、特性値に基づいて、基板の処理を停止するか否かと処理パラメータの調整との少なくとも一方を決定することとを行うよう設定された、コントローラとを、含む。
【0009】
人工ニューラルネットワークは、複数の成分値を受信するための複数の入力ノードと、特性値を出力するための1つの出力ノードと、入力ノードと出力ノードとを接続する複数の隠れノードとを有する。
【0010】
実行形態は、以下の特徴のうちの一又は複数を含みうる。
【0011】
複数の成分を生成するために、複数の参照スペクトルについて特徴抽出が実施されうる。特徴抽出は、主成分解析、特異値分解、独立成分解析、又は自己符号化を実施することを含みうる。トレーニングデータを生成するために、既知の特性値を有する複数の参照スペクトルのうちの2つ以上のものについて、次元削減が実施されうる。人工ニューラルネットワークは、トレーニングデータ及び既知の特性値を使用して、逆伝搬法によってトレーニングされうる。2つ以上のスペクトルとは、複数のスペクトルの全数よりも少ない数でありうる。トレーニングデータを生成するために、既知の特性値を有する複数の参照スペクトルについて、次元削減が実施されうる。人工ニューラルネットワークは、トレーニングデータ及び既知の特性値を使用して、逆伝搬法によってトレーニングされうる。
【0012】
ニューラルネットワークは、基板の事前測定値、直前の基板の測定値、処理システム内の別のセンサからの測定値、処理システムの外部のセンサからの測定値、コントローラが記憶している処理レシピからの値、コントローラが追跡する変数の値のうちの、少なくとも1つを受信するよう設定された、少なくとも1つの入力ノードを含みうる。
【0013】
次元数の削減及び特性値の生成は、次の特性値(CV)の計算によって実施されうる。
CV=C*tanh(0.5(N・S)+0.5b)+C*tanh(0.5(N・S)+0.5b)+…+C*tanh(0.5(N・S)+0.5b
ここで、Sは測定スペクトルであり、N=(ak1・+ak2・+…+akL)であり、aki、b、及びCはニューラルネットワークによって設定される重みであり、かつ、Vは次元削減のための固有ベクトルである。
【0014】
処理は、化学機械研磨、エッチング、又は堆積でありうる。
【0015】
ある種の実行形態は、以下の利点のうちの一又は複数を有しうる。基板上の層の厚さが、より正確かつ/又は迅速に測定されうる。ウエハ内厚さ不均一性及びウエハ毎厚さ不均一性(WIWNU及びWTWNU)の低減、及び、望ましい処理終点を検出するための終点システムの信頼性の向上が、可能になる。
【0016】
一又は複数の実施形態の詳細が、添付図面及び以下の説明に明記される。その他の特徴、態様、及び利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から自明となろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】研磨装置の一例の概略断面図を示す。
図2】複数のゾーンを有する基板の概略上面図を示す。
図3】第1基板上のインシトゥの測定が行われる場所を図示している、概略上面図を示す。
図4】研磨装置のコントローラの一部として使用されるニューラルネットワークを示す。
図5】複数のニューラルネットワークを含むコントローラを示す。
図6】制御システムによって時間の関数として出力された特性値のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
様々な図面における類似の参照番号及び記号表示は、類似の要素を示している。
【0019】
モニタリング技法の1つは、研磨されている基板からの反射光のスペクトルを測定することである。測定スペクトルから特性値(例えば研磨されている層の厚さ)を決定するための、多種多様な技法が提案されてきた。例えば、参照スペクトルのライブラリから、測定スペクトルと最もよく一致する参照スペクトルが選択されてよく、その参照スペクトルの特性値が使用されうる。別の例としては、スペクトルのピーク位置が追跡されてよく、このピーク位置が特性値と相関させられうる。しかし、測定スペクトルと厚さとの関係性が、小規模なライブラリ又は単一の特徴において有効に捕捉されるにはあまりに複雑である場合には、これらの技法は問題をはらみうる。
【0020】
経験的モデルを通じてスペクトルと厚さとを統計的に相関させることは可能であるが、スペクトルは多数のデータ点を有するので、過剰適合の危険性が生じる(すなわち、統計的モデルが、根本的な関係性ではなく確率誤差又はランダムノイズを表わしてしまうことになる)。しかし、過剰適合の危険性は、スペクトルの次元数を削減すること、及びその後に、厚さ測定値を生成するために削減後の次元数のデータをニューラルネットワークに入力することによって、減少しうる。
【0021】
図1は、研磨装置20の一例を示している。研磨装置20は、回転可能な円盤状のプラテン22であって、その上に研磨パッド30が配置される、プラテン22を含みうる。プラテンは、軸23を中心に回転するよう動作可能である。例えば、モータ24が、ドライブシャフト26を回してプラテン22を回転させうる。研磨パッド30は、例えば接着剤の層によって、プラテン22に取り外し可能に固定されうる。研磨パッド30は、外側の研磨層32と、より軟性のバッキング層34とを有する、二層研磨パッドでありうる。
【0022】
研磨装置20は、研磨パッド30の上に研磨液42(研磨スラリなど)を分注するための、研磨液供給ポート40を含みうる。研磨装置20は、研磨パッド30を一定した研磨状態に維持するために研磨パッド30を磨く、研磨パッドコンディショナーも含みうる。
【0023】
キャリアヘッド50は、基板10を研磨パッド30に当接するように保持するよう、動作可能である。各キャリアヘッド50は、個別に制御可能かつ与圧可能な複数の室(例えば3つの室52a~52c)も含み、これらの室は、基板10上の関連するゾーン12a~12c(図2参照)に、個別に制御可能な圧力を印加しうる。図2を参照するに、中心ゾーン12aは実質的に円形であってよく、残りのゾーン12b~12cは、中心ゾーン12aの周囲の同心環状ゾーンでありうる。
【0024】
図1を再度参照するに、室52a~52cは、基板10が装着される底面を有する、可撓膜54によって画定されうる。キャリアヘッド50は、可撓膜54の下に基板10を保持するための保持リング56も含みうる。簡潔に示すために、図1及び図2には3つの室のみを図示しているが、2つの室、又は4つ以上の室(例えば5つの室)が存在することもある。加えて、キャリアヘッド50では、基板に印加される圧力を調整するための他の機構(圧電アクチュエータなど)も使用されることがある。
【0025】
各キャリアヘッド50が、支持構造物60(カルーセルや軌道など)から懸架され、かつ、ドライブシャフト62によってキャリアヘッド回転モータ64に接続されることにより、キャリアヘッドは軸51を中心に回転しうる。オプションでは、各キャリアヘッド50は、例えば、カルーセルのスライダ上で、軌道に沿った運動によって、又はカルーセル自体の回転揺動によって、横方向に揺動しうる。稼働中、プラテン22はその中心軸23を中心に回転し、キャリアヘッド50は、その中心軸51の周りで回転し、かつ研磨パッド30の上面全体を横方向に平行移動する。
【0026】
研磨装置は、研磨パラメータ(例えば、ゾーン12a~12cのうちの一又は複数の研磨速度を制御するために室52a~52cのうちの一又は複数において印加される圧力)を制御するために使用されうる、インシトゥのモニタシステム70も含む。インシトゥのモニタシステム70は、ゾーン12a~12cの各々における研磨されている層の厚さを表示する信号を生成する。インシトゥのモニタシステムは、光学モニタシステム(例えば分光モニタシステム)でありうる。
【0027】
光学モニタシステム70は、光源72、光検出器74、及び、コントローラ90(コンピュータなど)と光源72及び光検出器74との間で信号を送受信するための回路76を、含みうる。光源72から研磨パッド30のウインドウ36に光を伝送するため、及び、基板10からの反射光を検出器74に伝送するために、一又は複数の光ファイバが使用されうる。例えば、光を光源72から基板10に、かつ検出器74に戻るように伝送するために、分岐型光ファイバ78が使用されうる。分光システムである場合には、光源72は白色光を放出するよう動作可能であってよく、検出器74は分光計でありうる。
【0028】
回路76の出力はデジタル電子信号であってよく、このデジタル電子信号は、ドライブシャフト26の回転結合器28(スリップリングなど)を通過して、コントローラ90へと至る。あるいは、回路76は、無線信号によってコントローラ90と通信することもある。コントローラ90は、マイクロプロセッサ、メモリ、及び入出力回路を含むコンピューティングデバイス(プログラマブルコンピュータなど)でありうる。コントローラ90は、単一のブロックで図示されているが、複数のコンピュータに機能が分散されている、ネットワーク化されたシステムでありうる。
【0029】
一部の実行形態では、インシトゥのモニタシステム70は、プラテン22内に設置され、かつプラテン22と共に回転する、センサ80を含む。例えば、センサ80は、光ファイバ78の端部であることもある。プラテン22の運動により、センサ80は、基板全体をスキャンすることになる。図3に示しているように、プラテンの回転(矢印38で示している)により、センサ80がキャリアヘッドの下を通る際に、インシトゥのモニタシステムは、あるサンプリング頻度で測定を行う。その結果として、基板10を横切って弧を描く複数の場所14において、測定値が得られる(点の数は例示であり、サンプリング頻度に応じて、図示しているよりも多い又は少ない数の測定値を得ることが可能である)。
【0030】
プラテンの一回転で、基板10の種々の位置からスペクトルが取得される。詳細には、一部のスペクトルは基板10の中心に近い場所から、別のスペクトルはエッジに近い場所から、取得されうる。コントローラ90は、時間に基づくスキャン、モータエンコーダ情報、プラテンの回転若しくは位置のセンサデータ、及び/又は、基板若しくは保持リングのエッジの光学検出から、各測定の(基板10の中心に対する)径方向位置を計算するよう、設定されうる。ゆえに、コントローラは、様々な測定値と様々なゾーン12a~12c(図2参照)とを関連付けうる。一部の実行形態では、径方向位置の正確な計算のための代替物として、測定時間が使用されうる。
【0031】
図1を再度参照するに、コントローラ90は、インシトゥのモニタシステムからの信号に基づいて、基板の各ゾーンの特性値を導出しうる。詳細には、コントローラ90は、研磨が進行するにつれて、特性値の経時的数列を生成する。コントローラ90は、基板10の下のセンサがスキャンするごとに、各ゾーンにつき少なくとも1つの特性値を生成しうるか、又は、例えば、センサが基板全体をスキャンするわけではない研磨システムでは、ある測定頻度(サンプリング頻度と同じである必要はない)で、各ゾーンについて特性値を生成しうる。一部の実行形態では、1回のスキャンにつき単一の特性値が生成される(例えば、特性値を生成するために複数の測定値が合成されうる)。一部の実行形態では、特性値を生成するために各測定値が使用されうる。
【0032】
特性値は、典型的には外層の厚さであるが、関連特性(除去された厚さなど)でもありうる。加えて、特性値は、研磨プロセスを経る基板の進捗をより一般的に表現するもの(例えば、既定の進捗に従った研磨プロセスにおいて測定が観測されることが予期される時間又はプラテンの回転数を表す指標値)でありうる。
【0033】
コントローラ90では、二段階プロセスを使用して、インシトゥの分光モニタシステム70からの測定スペクトルにより特性値が生成されうる。最初に、測定スペクトルの次元数が削減される。次いで、削減後の次元数のデータが人工ニューラルネットワークに入力され、人工ニューラルネットワークは特性値を出力する。各測定スペクトルについてこのプロセスを実施することによって、人工ニューラルネットワークは特性値の数列を生成しうる。
【0034】
インシトゥの分光モニタシステム70とコントローラ90とを組み合わせることで、終点及び/又は研磨均一性を制御するシステム100が提供されうる。つまり、コントローラ90は、一連の特性値に基づき、研磨不均一性を低減するために、研磨プロセスにおいて、研磨終点を検出すること、及び、研磨を停止し、かつ/又は研磨圧力を調整することが、可能である。
【0035】
図4は、コントローラ90によって実装される機能ブロックを示しており、これらのブロックは、次元削減を実行する次元削減モジュール110と、ニューラルネットワーク120と、研磨プロセスを調整するため(例えば、一連の特性値に基づき、研磨不均一性を低減するために、研磨プロセスにおいて、研磨終点を検出するため、及び、研磨を停止し、かつ/又は研磨圧力を調整するため)のプロセス制御システム130とを含む。上述したように、これらの機能ブロックは、複数のコンピュータに分散されうる。
【0036】
ニューラルネットワーク120は、主成分の各々のための複数の入力ノード122と、複数の隠れノード124(下記では「中間ノード」とも称される)と、特性値を生成する1つの出力ノード126とを含む。単一層の隠れノードを有するニューラルネットワークでは、各隠れノード124が各入力ノード122に連結されてよく、出力ノード126は各隠れノード124に連結されうる。
【0037】
通常、隠れノード124は、隠れノードが接続されている入力ノード122からの値の加重和の非線形関数である値を出力する。
【0038】
例えば、ある隠れノード124(ノードk)の出力は、次のように表わされうる。
tanh(0.5*ak1(I)+ak2(I)+…+akM(I)+b) 方程式1
ここで、tanhは双曲線正接であり、akxはk番目の中間ノードと(M個の入力ノードのうちの)x番目の入力ノードとの間の接続の重みであり、かつ、IはM番目の入力ノードの値である。しかし、tanhの代わりに他の非線形関数(例えば、正規化線形ユニット(ReLU)関数及びその変種)も使用されうる。
【0039】
次元削減モジュール110は、成分値がより少ない数(例えばL個の成分値)になるよう、測定スペクトルを削減する。ニューラルネットワーク120は、スペクトルがそこまで削減される数の成分の各々のための、入力ノード122を含む。例えば、モジュール110がL個の成分値を生成するには、ニューラルネットワーク120は少なくとも入力ノードN、N…Nを含むことになる。
【0040】
ゆえに、入力ノードの数が、測定スペクトルがそこまで削減される成分の数に対応している場合(すなわちL=M)、ある隠れノード124(ノードk)の出力Hは次のように表わされうる。
=tanh(0.5*ak1(I)+ak2(I)+…+akL(I)+b
【0041】
測定スペクトルSが列行列(i、i、…,i)によって表わされるという前提に立てば、ある中間ノード124(ノードk)の出力は、次のように表わされうる。
=tanh(0.5*ak1(V1・S)+ak2(V2・S)+…+akL(VL・S)+b) 方程式2
ここで、Vは、測定スペクトルを、削減後の次元数のデータの(L個の成分のうちの)x番目の成分の値へと変換させる、行行列(v、v、…,v)である。例えば、Vは、後述する行列W又はW’の(L個の列のうちの)x番目の列によって提供されうる。すなわち、VはWのx番目の行である。ゆえに、Wは、次元削減行列のx番目の固有ベクトルを表わしうる。
【0042】
出力ノード126は、隠れノードの出力の加重和である、特性値CVを生成しうる。例えば、これは次のように表わされうる。
CV=C*H+C*H+…+C*H
ここで、Cはk番目の隠れノードの出力の重みである。
【0043】
しかし、ニューラルネットワーク120は、オプションで、その他のデータを受信するための一又は複数の他の入力ノード(例えばノード122a)を含みうる。この「その他のデータ」とは、インシトゥのモニタシステムによる基板の事前測定値からのもの(例えば、基板処理の早い段階で収集されたスペクトル)、直前の基板の測定値からのもの(例えば、別の基板の処理中に収集されたスペクトル)、研磨システム内の別のセンサからのもの(例えば、温度センサによるパッド又は基板の温度測定値)、研磨システムを制御するために使用されるコントローラが記憶している研磨レシピからのもの(例えば、基板を研磨するために使用されるキャリアヘッド圧力やプラテン回転速度といった研磨パラメータ)、コントローラが追跡する変数からのもの(例えば、パッド交換以降の基板の数)、又は、研磨システムの一部ではないセンサからのもの(例えば、計測ステーションによる下層膜の厚さの測定値)でありうる。これにより、ニューラルネットワーク120が、特性値の計算において、かかるその他の処理変数又は環境変数を勘案することが可能になる。
【0044】
次元削減モジュール110及びニューラルネットワーク120は、例えばデバイスウエハに使用される前に、設定される必要がある。
【0045】
次元削減モジュール110の設定手順の一部として、コントローラ90は、複数の参照スペクトル及び1つの特性値(例えば、複数の参照スペクトルの各々に関連付けられた厚さ)を受信しうる。例えば、参照スペクトルが、一又は複数の試験基板上の複数の特定の場所で測定されうる。加えて、計測器材(接触プロフィロメータやエリプソメータなど)を用いて、これらの特定の場所で厚さの測定が実施されうる。ゆえに、厚さ測定値は、基板上の同じ場所の参照スペクトルに関連付けられうる。複数の参照スペクトルは、例えば、5~10の参照スペクトルを含みうる。
【0046】
次元削減モジュール110の設定手順の更なる一部として、コントローラ90は、参照スペクトルのデータセットの共分散行列について、一群の固有ベクトルを生成しうる。この一群の固有ベクトルは、生成されてからランク付けされてよく、大きい方の固有値を有する事前設定された数の(例えば、8つのうち上位4つの)固有ベクトルが保持されうる。
【0047】
固有ベクトルを、これに関連する固有値によってランク付けすることで、データセットが最も大きく変動する方向が示される。高位の方にランク付けされた固有ベクトルに測定スペクトルを射影することにより、大幅削減ベースで初期(original)ベクトルの有効な表現がもたらされる。
【0048】
解説すると、各参照スペクトルは、次の行列によって表わされうる。
R=(i,i,…,i
ここで、iは、全部でn個の波長のうちのj番目の波長における光強度を表わす。スペクトルは、例えば、200~500の強度測定値を含みうる(nは200~500でありうる)。
【0049】
m個の参照スペクトルが生成されると仮定すると、m個の行列Rが合成されて、次の行列を形成しうる。
ここで、ijkは、j番目の参照スペクトルのk番目の波長における光強度を表わす。行列Aの各行は、参照スペクトル(例えば基板上のある1つの場所における測定値)を表わす。
【0050】
主成分解析(PCA)などの次元削減プロセスが、行列Aに適用される。PCAにより、A行列(mxn次元)内のデータを新たな座標系に変換する、直交線形変換が実施される。これにより、データのいかなる射影によっても、最大平方偏差(variance)が第1座標(第1主成分と称される)上に来ることになり、2番目に大きな平方偏差は第2座標上に来ることになり、以下同様である。数学的には、この変換は、行列Aのm-次元行ベクトルAの各々を、主成分得点t=(tk1,tk2,…,tip)の新たなベクトルにマッピングする、重みw=(wk1,wk2,…,wkp)のp-次元ベクトルのセットによって、規定される。ここで、tkiは、
ki=A・wである。
【0051】
各ベクトルwは、ユニットベクトルに制限される。その結果として、tの個々の変数は、行列Aから、可能な限り最大の平方偏差を継承する。行列Aの分解は、次のように表記されうる。
T=AW
ここで、Wはn×p行列であり、その列はAAの固有ベクトルである。
【0052】
PCAの詳細については、James Ramsay及びB.W.Silvermanによる「関数型データ解析(Functional Data Analysis)」(Springer:第2版2005年7月1日)、並びに、I.T.Jolliffeによる「主成分解析(Principal Component Analysis)」(Springer:第2版2002年10月2日)にも記載されている。
【0053】
コントローラは、PCAの代わりに、参照スペクトルのデータセットの一般化された固有分解であるSVD(特異値分解)、又は、事前に特定された数の統計的に独立な信号であって、それらの加法合成により参照スペクトルのデータセットが生じる信号が見いだされるICA(独立成分解析)を、使用することも可能である。
【0054】
次に、高位の方にランク付けされた固有ベクトルだけを保持することによって、次元数が削減されうる。詳細には、p個の主成分の代わりに、L個の主成分(Lは0~p、例としては3~10の整数である)全部が保持されうる。例えば、T行列は、例としてはT行列の左端からL個の列を使用し続けることによって、mxLの行列T’に削減されうる。同様に、W行列は、例えばW行列の左端からL個の列を保持することによって、nxLの行列W’に削減されうる。
【0055】
別の例としては、非線形次元数削減法(例えば自己符号化)が使用されることもある。使用される自己符号化器は、初期入力(Nという次元数を有しうる)が多重層を通過するようにすることによって初期入力の再構築を試行するニューラルネットワークとして、実装されうる。中間層のうちの1つでは、隠れニューロンの数が削減される。このネットワークは、出力層と入力層との間の差を最小化することによって、トレーニングされる。このような場合、隠れニューロンの値が削減後の次元数のスペクトルになると見なされうる。この技法によって、次元数削減がもはや線形プロセスではなくなるという事実により、PCA及び他の類似の技法を凌駕する利点がもたらされうる。
【0056】
ニューラルネットワーク120の設定手順の際に、ニューラルネットワーク120は、各参照スペクトルの成分値及び特性値を使用してトレーニングされる。
【0057】
行列T’の各行は、参照スペクトルのうちの1つに対応し、ひいては、特性値に関連付けられる。ニューラルネットワーク120がトレーニングモード(逆伝搬モードなど)で動作している間、ある特定の行に沿った値(t、t、…,t)が主成分に対応する各入力ノードN、N…Nに供給されると共に、この行の特性値Vは出力ノード126に供給される。各行についてこれが繰り返されうる。これにより、上記の方程式1又は方程式2におけるak1の値などが設定される。
【0058】
例えばPCA、SVD、ICAなどによる主成分の決定は、ニューラルネットワークのトレーニングに使用されるデータセットよりも大きなデータを使用して実施されうる。つまり、主成分の決定に使用されるスペクトルの数は、トレーニングに使用される既知の特性値を有するスペクトルの数よりも大きくなりうる。
【0059】
システムは、この時点で動作する準備が整っている。インシトゥの分光モニタシステム70を使用して、研磨中に、基板からのスペクトルが測定される。測定スペクトルは、列行列S=(i,i,…,i)によって表わされうる。ここで、iは全部でn個の波長のうちのj番目の波長における光強度を表わす。列行列Sは、列行列を生成するためにW’行列で乗算される。すなわち、S・W’=Pであり、ここで、P=(P,P,…,P)であり、Pは、i番目の主成分の成分値を表わしている。
【0060】
ニューラルネットワーク120が推定モードで使用されている間、これらの値(P,P,….P)が、対応する各入力ノードN,N,…Nに、入力として供給される。その結果として、ニューラルネットワーク120は、出力ノード126において特性値(厚さなど)を生成する。
【0061】
特性値CVを生成するために次元削減モジュール110及びニューラルネットワーク120によって実施される合成計算は、次のように表わされうる。
CV=C*tanh(0.5(N・S)+0.5b)+C*tanh(0.5(N・S)+0.5b)+…+C*tanh(0.5(N・S)+0.5b
ここで、N=(ak1・+ak2・+…+akL)であり、重みakiは、ニューラルネットワーク120によって設定された重みであり、ベクトルVは次元削減モジュール110によって決定された固有ベクトルである。
【0062】
ニューラルネットワーク120のアーキテクチャは、深度と幅が変動しうる。例えば、ニューラルネットワーク120は、単一列の中間ノード124伴って図示されているが、複数の列を含むこともある。中間ノード124の数は、入力ノード122の数と等しく、又はそれよりも多くなりうる。
【0063】
上述したように、コントローラ90は、様々な測定スペクトルと、基板10上の種々のゾーン12a~12c(図2参照)とを関連付けうる。各ニューラルネットワーク120の出力は、スペクトルが測定された時点における基板10上のセンサの位置に基づいて、ゾーンのうちの1つに属するものとして分類されうる。これにより、コントローラ90が、各ゾーンについて別個の特性値の数列を生成することが可能になる。
【0064】
特性値はプロセス制御モジュール130に供給される。次いで、例えば、各ゾーンの特性値は、基板全体の不均一性を低減するようプロセスパラメータを調整するため、かつ/又は研磨終点を検出するために、プロセス制御モジュール130によって使用されうる。
【0065】
図5を参照するに、一部の実行形態では、コントローラ90は、複数のニューラルネットワーク120を有するよう設定されうる。複数のニューラルネットワーク120は、並行して、ゾーンの測定スペクトルに基づいてそのゾーンの特性値を生成するよう動作しうる。ニューラルネットワークの数はゾーンの数と一致しうる。例えば、第1ゾーン12aのための第1ニューラルネットワーク120aと、第2ゾーン12bのための第2ニューラルネットワーク120bと、第3ゾーン12cのための第3ニューラルネットワークとが存在しうる。各ニューラルネットワーク120の出力は、プロセス制御モジュール130に供給されうる。
【0066】
算出された特性値の信頼性は、スペクトルを再構築することと、次いで、再構築されたスペクトルと初期測定スペクトルとの間の差を決定することによって、評価されうる。例えば、主成分値(P,P,…,P)が計算されると、再構築されたスペクトルQが、P・W’=Qによって生成されうる。次いで、例えば平方差の和を使用して、PとSとの間の差が計算されうる。この差が大きい場合、プロセスモジュール130は関連する特性値を無視しうる。
【0067】
例えば、図6を参照するに、第1関数204は、第1ゾーンの特性値202の数列200に適合してよく、第2関数214は、第2ゾーンの特性値212の数列210に適合しうる。プロセスコントローラは、第1と第2の関数が射影されてターゲット値Vに到達する時間T1及びT2を計算し、かつ、調整後の処理パラメータ(例えば調整後のキャリアヘッド圧力)を計算しうる。この調整後の処理パラメータにより、複数のゾーンがほぼ同時にターゲットに到達するように、ゾーンのうちの1つが修正後の速度(線220で示している)で研磨されることになる。
【0068】
研磨終点は、関数が、特性値がターゲット値Vに到達することを示している時点に、プロセスコントローラ130によってトリガされうる。
【0069】
本発明の実施形態、及びこの明細書で説明している機能的動作の全ては、デジタル電子回路において、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアにおいて実装されてよく、この明細書で開示されている構造的手段及びその構造的均等物、又はそれらの組み合わせを含む。本発明の実施形態は、一又は複数のコンピュータプログラム製品(すなわち、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータといったデータ処理装置によって実行される、又はかかるデータ処理装置の動作を制御するための機械可読記憶媒体において有形に具現化された一又は複数のコンピュータプログラム製品)として、実装されうる。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても既知である)は、コンパイル型言語又はインタプリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書かれてよく、かつ、スタンドアローンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適するその他のユニットとしてのものを含む、任意の形態でデプロイされうる。1つのコンピュータプログラムは、必ずしも1つのファイルに対応するわけではない。プログラムは、それ以外のプログラム若しくはデータを保持するファイルの一部分に、当該プログラム専用の単一のファイル内に、又は、複数の連携ファイル(例えば一又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの部分を記憶するファイル)内に、記憶されうる。コンピュータプログラムは、一ケ所にある1つの若しくは複数のコンピュータで、又は、複数ケ所に分散され、かつ通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータで、実行されるようデプロイされうる。
【0070】
この明細書で説明しているプロセス及び論理フローは、一又は複数のプログラマブルプロセッサによって実施されてよく、このプログラマブルプロセッサは、入力データに対して動作すること、及び出力を生成することによって機能を実施するよう、一又は複数のコンピュータプログラムを実行する。これらのプロセス及び論理フローは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)やASIC(特定用途向け集積回路)といった特殊用途論理回路によって実施されてもよく、装置が、かかる特殊用途論理回路として実装されることも可能である。
【0071】
上述の研磨装置及び研磨方法は、多種多様な研磨システムに適用されうる。研磨パッドとキャリアヘッドのいずれか又は両方が、研磨面と基板との間の相対運動を起こすよう動きうる。例えば、プラテンは、回転するのではなく軌道周回しうる。研磨パッドは、プラテンに固定された円形の(又は他の何らかの形状の)パッドでありうる。研磨システムは、例えば、研磨パッドが、線形に動く連続的な又はリールツーリールのベルトである、線形研磨システムでありうる。研磨層は、標準的な(例えば、フィラーを伴う又は伴わないポリウレタンの)研磨材料、軟性材料、又は固定研磨材料(fixed-abrasive material)でありうる。相対的な位置付けという語は、構成要素同士の相対的な配向又は位置付けに使用されている。研磨面及び基板は、重力に関して垂直配向で又は他の何らかの配向で保持されうることを、理解すべきである。
【0072】
上記では化学機械研磨を中心に説明してきたが、制御システムは、その他の半導体処理技法(例えば、エッチングや化学気相堆積などの堆積)にも適合しうる。加えて、この技法は、インシトゥのモニタリングではなく、インラインの又はスタンドアローンの計測システムにも適用されうる。
【0073】
本発明の特定の実施形態について説明してきた。その他の実施形態も、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6