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特許7561850薬物送達デバイスのための包装システムおよび包装キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスのための包装システムおよび包装キット
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/36 20060101AFI20240927BHJP
   A61J 1/00 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
B65D75/36
A61J1/00 Z
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2022537304
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2020086766
(87)【国際公開番号】W WO2021122991
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】62/949,744
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】カナメラ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバート,エマ ルイーズ
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-159266(JP,A)
【文献】特開2008-104645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0085515(US,A1)
【文献】国際公開第2014/045336(WO,A1)
【文献】特表2013-524975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
B65D 81/05
A61J 1/00
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスのための包装システムであって、前記システムは、
基部を備え、前記基部は、第1の端部から第2の端部へと延在し、上部セグメントおよび下部セグメントを有するデバイス本体と、前記下部セグメントに動作可能に結合されたアクチュエータと、を有する薬物送達デバイスを受容するように構成されており、かつ、前記基部は、前記第1の端部と第2の端部との間に延在する前記基部の長手方向軸に対して非ゼロの角度で、前記基部中に受容された前記薬物送達デバイスを収容し、それによって前記基部内にある間の受容された前記薬物送達デバイスの動きを実質的に防止するように構成されており、前記基部は、
前記基部内に受容された薬物送達デバイスの上部セグメントの少なくとも一部分との締まりばめを生じさせ、それによって前記受容された薬物送達デバイスを前記基部内に解放可能に保持するように構成された保持キャビティと、
前記保持キャビティに隣接する把持キャビティであって、デバイス本体の下部セグメントと、前記基部内に受容された薬物送達デバイスのアクチュエータの一部分と、を受容するように構成されている、把持キャビティと、を含む、包装システム。
【請求項2】
前記基部は、前記基部の前記第1の端部と前記保持キャビティとの間に位置付けられた端部キャビティをさらに備え、前記端部キャビティは、前記基部内に受容された薬物送達デバイスの上部セグメントおよび外側スリーブの少なくとも一部分を受容するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記基部は、前記基部の前記把持キャビティと前記第2の端部との間に位置付けられた端部キャビティをさらに備え、前記端部キャビティは、前記基部内に受容された薬物送達デバイスのアクチュエータの一部分を受容するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記基部に解放可能に封止された蓋をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記非ゼロの角度は約1度~5度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記非ゼロの角度は約4度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記保持キャビティは実質的にc字形の構成を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記薬物送達デバイスは、前記デバイス本体の前記上部セグメントの一部分の周りに位置付けられた外側スリーブを含み、前記外側スリーブは、その第1の端部から延在する第1の組の対向するフランジを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記把持キャビティは、前記基部内に受容された前記薬物送達デバイスの下部セグメントを支持するように構成された支持要素を含み、それによって、受容された薬物送達デバイスの前記第1の組の対向するフランジが、前記保持キャビティと前記支持要素との間に位置付けられ、その結果、前記基部内にある間の受容された前記薬物送達デバイスのアクチュエータの作動が実質的に防止される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持要素は、実質的にc字形の構成を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記基部は実質的に透明であり、そのため、前記基部内に受容された薬物送達デバイスは前記基部を通して視認可能となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記把持キャビティは、前記基部内に受容された薬物送達デバイスのデバイス本体を把持して、受容された前記薬物送達デバイスを前記基部から取り外すことを可能にするように構成され得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
包装キットであって、
上部セグメントおよび下部セグメントを有するデバイス本体と、前記下部セグメントに動作可能に結合されたアクチュエータと、を有する薬物送達デバイスと、
前記薬物送達デバイスが内部に配置された包装システムと、を備え、前記包装システムは、
基部を含み、前記基部は、第1の端部から第2の端部へと延在し、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する前記基部の長手方向軸に対して、非ゼロの角度で前記薬物送達デバイスを収容し、それによって前記基部内の前記薬物送達デバイスの動きを実質的に防止し、前記基部は、
前記薬物送達デバイスの前記上部セグメントの少なくとも一部分との締まりばめを生じさせ、それによって前記基部内に前記薬物送達デバイスを解放可能に保持する保持キャビティと、
前記保持キャビティに隣接する把持キャビティであって、前記デバイス本体の前記下部セグメントおよび前記薬物送達デバイスの前記アクチュエータの一部分を収容する、把持キャビティと、を含む、包装キット。
【請求項14】
前記薬送達デバイスは、前記デバイス本体の前記上部セグメントの一部分の周りに位置付けられた外側スリーブを含み、前記基部は、前記基部の前記第1の端部と前記保持キャビティとの間に位置付けられた端部キャビティをさらに備え、前記薬物送達デバイスの前記上部セグメントおよび前記外側スリーブの少なくとも一部分を受容する、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記基部は、前記基部の前記把持キャビティと前記第2の端部との間に位置付けられた端部キャビティをさらに備え、前記薬物送達デバイスの前記アクチュエータの一部分を受容する、請求項13に記載のキット。
【請求項16】
前記包装システムは、前記基部に解放可能に封止された蓋を含む、請求項13に記載のキット。
【請求項17】
前記非ゼロの角度は約1度~5度である、請求項13に記載のキット。
【請求項18】
前記非ゼロの角度は約4度である、請求項13に記載のキット。
【請求項19】
前記保持キャビティは実質的にc字形の構成を有する、請求項13に記載のキット。
【請求項20】
前記薬物送達デバイスは、前記デバイス本体の前記上部セグメントの一部分の周りに位置付けられた外側スリーブを含み、前記外側スリーブは、その第1の端部から延在する第1の組の対向するフランジを有する、請求項13に記載のキット。
【請求項21】
前記把持キャビティは、前記薬物送達デバイスの前記下部セグメントを支持する支持要素を含み、それによって、前記薬物送達デバイスの前記第1の組の対向するフランジが、前記保持キャビティと前記支持要素との間に位置付けられ、その結果、前記薬物送達デバイスが前記基部内にある間の前記アクチュエータの作動が実質的に防止される、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記支持要素は、実質的にc字形の構成を有する、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
前記基部は実質的に透明であり、そのため、前記薬物送達デバイスは前記基部を通して視認可能となる、請求項13に記載のキット。
【請求項24】
前記把持キャビティは、前記薬物送達デバイスの前記デバイス本体を把持して、前記薬物送達デバイスを前記基部から取り外すことを可能にする、請求項13に記載のキット。
【請求項25】
前記保持キャビティの底部表面が、前記基部の前記長手方向軸に対して非ゼロの角度で延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記基部は、プラスチックフィルムまたはシートで形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記基部の頂部表面が完全に平坦である、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記保持キャビティの底部表面が、前記基部の前記長手方向軸に対して非ゼロの角度で延在する、請求項13に記載のキット。
【請求項29】
前記基部は、プラスチックフィルムまたはシートで形成されている、請求項13に記載のキット。
【請求項30】
前記基部の頂部表面が完全に平坦である、請求項13に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬物送達デバイス、特に鼻腔内薬物送達デバイスのための包装システムおよびキットが開示される。
【背景技術】
【0002】
医薬品包装は、包装された製品を輸送中の損傷および汚染から保護する。ブリスター包装は、丸薬を包装するために一般的に使用される一種の医薬品包装である。近年、ブリスター包装は、薬物送達デバイスの包装において実現されている。しかしながら、輸送されている間、包装された薬物送達デバイスは、ブリスター包装内でがたつくことがある。これは、典型的なブリスター包装が、ガタツキを防止する様式で薬物送達デバイスを十分に固定することができないためである。このガタツキは、薬物送達デバイスに悪影響を与える可能性があり、最終的に、薬物送達デバイスをそれらの意図された使用に関して欠陥のあるものにし得る。
【0003】
さらに、ブリスター包装に包装されたいくつかの薬物送達デバイスは、それらデバイスの中に配置された薬剤を分注するために使用されるプランジャを含むことがある。残念ながら、典型的なブリスター包装内におけるこれらの薬物送達デバイスの動きは、それらデバイスがエンドユーザに到達する前に、例えば、輸送、取り扱い、保管、滅菌などの間に、プランジャの作動を生じさせ得る。その結果、薬剤は、薬物送達デバイスから時期尚早に放出され得る。薬物のこの早期放出は、薬物送達デバイスを非効果的にする可能性があり、したがって、その廃棄を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、薬物送達デバイスのための改善された包装システムが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
薬物送達デバイスおよび包装キットのための様々な包装システムが開示される。
【0006】
例示的な一実施形態では、包装システムが提供され、当該包装システムは、基部を備え、基部は、第1の端部から第2の端部へと延在し、上部セグメントおよび下部セグメントを有するデバイス本体と、下部セグメントに動作可能に結合されたアクチュエータと、を有する薬物送達デバイスを受容するように構成されており、かつ、基部は、第1の端部と第2の端部との間に延在する基部の長手方向軸に対して非ゼロの角度で、基部中に受容された薬物送達デバイスを収容し、それによって基部内にある間の受容された薬物送達デバイスの動きを実質的に防止するように構成されている。基部は、保持キャビティと、保持キャビティに隣接する把持キャビティと、を含む。保持キャビティは、基部内に受容された薬物送達デバイスの上部セグメントの少なくとも一部分との締まりばめを生じさせ、それによって受容された薬物送達デバイスを基部内で解放可能に保持するように構成されている。把持キャビティは、デバイス本体の下部セグメントと、基部内に受容された薬物送達デバイスのアクチュエータの一部分と、を受容するように構成されている。
【0007】
基部は、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、基部は、基部の第1の端部と保持キャビティとの間に位置付けられた端部キャビティをさらに備えてもよく、端部キャビティは、基部内に受容された薬物送達デバイスの上部セグメントおよび外側スリーブの少なくとも一部分を受容するように構成され得る。他の実施形態では、基部は、基部の把持キャビティと第2の端部との間に位置付けられた端部キャビティをさらに備え、端部キャビティは、基部内に受容された薬物送達デバイスのアクチュエータの一部分を受容するように構成され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、基部は、基部内に受容された薬物送達デバイスが基部を通して視認可能となるように、実質的に透明であり得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、非ゼロの角度は約1度~5度であり得る。一実施形態では、非ゼロの角度は約4度であり得る。
【0010】
保持キャビティは、様々な異なる構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、保持キャビティは、実質的にc字形の構成を有し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、包装システムは、基部に解放可能に封止され得る蓋を含む。
【0012】
薬物送達デバイスは、多様な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、デバイス本体の上部セグメントの一部分の周りに外側スリーブを含み得る。外側スリーブは、その第1の端部から延在する第1の組の対向するフランジを有し得る。そのような実施形態では、把持キャビティは、基部内に受容された薬物送達デバイスの下部セグメントを支持するように構成され得る支持要素を含むことができ、それによって、受容された薬物送達デバイスの第1の組の対向するフランジが、保持キャビティと支持要素との間に位置付けられ、その結果、基部内にある間の受容された薬物送達のアクチュエータの作動が実質的に防止される。一実施形態では、支持要素は、実質的にc字形の構成を有し得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、把持キャビティは、基部内に受容された薬物送達デバイスのデバイス本体を把持して、受容された薬物送達デバイスを基部から取り外すことを可能にするように構成され得る。
【0014】
別の例示的な実施形態では、包装キットが提供され、包装キットは、薬物送達デバイスと、薬物送達デバイスが内部に配置された包装システムと、を備える。薬物送達デバイスは、上部セグメントおよび下部セグメントを有するデバイス本体と、下部セグメントに動作可能に結合されたアクチュエータと、を有する。包装システムは、基部を含み、基部は、第1の端部から第2の端部へと延在し、第1の端部と第2の端部との間に延在する基部の長手方向軸に対して、非ゼロの角度で薬物送達デバイスを収容し、それによって基部内の薬物送達デバイスの動きを実質的に防止する。基部は、薬物送達デバイスの上部セグメントの少なくとも一部分との締まりばめを生じさせ、それによって基部内に薬物送達デバイスを解放可能に保持する保持キャビティと、保持キャビティに隣接する把持キャビティであって、デバイス本体の下部セグメントおよび薬物送達デバイスのアクチュエータの一部分を収容する、把持キャビティと、を含む。
【0015】
基部は、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、基部は、基部の第1の端部と保持キャビティとの間に位置付けられた端部キャビティを備えてもよく、また、薬物送達デバイスの上部セグメントおよび外側スリーブの少なくとも一部分を受容する。他の実施形態では、基部は、基部の把持キャビティと第2の端部との間に位置付けられた端部キャビティをさらに備えてもよく、薬物送達デバイスのアクチュエータの一部分を受容する。
【0016】
いくつかの実施形態では、包装システムは、基部に解放可能に封止され得る蓋を含み得る。
【0017】
特定の実施形態では、非ゼロの角度は約1度~5度であり得る。他の実施形態では、非ゼロの角度は約4度であり得る。
【0018】
保持キャビティは、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、保持キャビティは、実質的にc字形の構成を有し得る。
【0019】
薬物送達デバイスは、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、デバイス本体の上部セグメントの一部分の周りに位置付けられた外側スリーブを含み得る。外側スリーブは、その第1の端部から延在する第1の組の対向するフランジを有し得る。そのような実施形態では、把持キャビティは、薬物送達デバイスの下部セグメントを支持する支持要素を含むことができ、それによって、薬物送達デバイスの第1の組の対向するフランジが、保持キャビティと支持要素との間に位置付けられ、その結果、薬物送達デバイスが基部内にある間のアクチュエータの作動が実質的に防止される。一実施形態では、支持要素は、実質的にc字形の構成を有し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、基部は実質的に透明であり得、そのため、薬物送達デバイスは基部を通して視認可能となる。
【0021】
保持キャビティは、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施では、把持キャビティは、薬物送達デバイスのデバイス本体を把持して、薬物送達デバイスを基部から取り外すことを可能にし得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明は、以下の発明を実施するための形態を添付図面と併せて読むことで、より完全に理解されるであろう。
図1A】鼻腔内薬物送達デバイスの一実施形態の正面図である。
図1B図1Aの鼻腔内薬物送達デバイスの側面図である。
図1C図1Aの鼻腔内薬物送達デバイスの分解図である。
図2】基部と蓋とを有する包装システムと、包装システム内に収容された図1Aの鼻腔内薬物送達デバイスと、を含む包装キットの一実施形態の部分分解図である。
図3図2の包装キットの斜視図である。
図4図3の蓋の正面拡大図である。
図5】鼻腔内薬物送達デバイスが内部に配置されているところを示す、図2の包装システムの基部の上面図である。
図6】鼻腔内薬物送達デバイスが内部に配置されているところを示す、線6-6に沿った図2の包装システムの基部の断面図である。
図7】鼻腔内薬物送達デバイスが取り外された、図2の包装システムの基部の斜視図である。
図8図7の基部の上面図である。
図9】線9-9に沿った図8の基部の断面図である。
図10】線10-10に沿った図7の基部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に開示される包装システムおよびキットの構造、機能、製造、および使用の原理が総括的に理解されるように、ある特定の例示的な実施形態について、これから説明する。これらの実施形態の1つまたは2つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示されるデバイス、システム、および方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。例示的な一実施形態に関連して例示または記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変および変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0024】
本明細書に記載の包装システム、キット、および方法は、いくつかの薬物送達デバイスに適用可能であり得るが、それらについては、鼻腔内薬物送達デバイスとの関係で本明細書に記載される。
【0025】
一般に、鼻腔内薬物送達デバイスは、デバイス本体と、デバイス本体に動作可能に結合されたアクチュエータと、を含んでよく、また、作動時に、デバイスから1回以上の用量の薬剤を放出するように構成されている。アクチュエータは、例えば、プランジャ、ボタン、レバーなどの様々な構成を有し得るが、本明細書に記載のアクチュエータは、プランジャの状況下におけるものである。さらに、鼻腔内薬物送達デバイスは、内部に配置された1回以上の用量の薬剤を放出するように構成され得るが、本明細書では、二用量鼻腔内薬物送達デバイスとの関係で説明される。
【0026】
例えば、図1A図1Cに示されるように、例示的な鼻腔内薬物送達デバイス100は、上部セグメント104aおよび下部セグメント104bを有するデバイス本体102と、下部セグメント104bに動作可能に結合されたプランジャ106と、を含む。使用中、ユーザは、プランジャ106をデバイス本体102の上部セグメント104aに向かって押し、それによってデバイス100内に配置された単一用量の薬剤(図示せず)をそこから放出させる。さらに、プランジャ106がリセットされた後、ユーザは次いで、プランジャ106をデバイス本体102の上部セグメント104aに向かって再び押し、それによってデバイス100内に配置された追加の用量の薬剤(図示せず)をそこから放出させることができる。
【0027】
本明細書で使用する場合、「薬剤」は、対象に投与されるとき、意図した予防効果を有する、例えば、傷害、疾患、病状もしくは病状の発症(もしくは再発)を予防するもしくは遅延させるか、もしくは傷害、疾患、病理、もしくは病状、またはそれらの症状の発症(もしくは再発)の可能性を低減するか、または意図した治療効果、例えば、傷害、疾患、病理もしくは病状、またはそれらの症状の処置もしくは改善であって、緩和などの治療の任意の客観的もしくは主観的パラメータ、寛解、症状を低減するか、または患者にとって傷害、病理、もしくは病状をより許容されるものにする、変性もしくは低下速度を減速させる、変性の最終ポイントを衰弱の少ないものにする、あるいは患者の身体もしくは精神的幸福を改善する、治療剤(薬物、生物製剤、生物学的材料など)を指す。好適な薬剤の非限定的な例としては、エスケタミン、ケタミン、ナロキソン、およびスマトリプタンが挙げられる。
【0028】
デバイス本体102の上部セグメント104aは、第1のインジケータ窓108aおよび第2のインジケータ窓108bを含む。第1のインジケータ窓108aは、第1の用量の薬剤がデバイス100から放出されたことをユーザまたは医療提供者(healthcare provider、HCP)に示すように構成され、第2のインジケータ窓108bは、第2の用量の薬剤がデバイス100から放出されたことをユーザまたはHCPに示すように構成されている。例えば、プランジャ106の作動前、インジケータ窓108a、108bは、緑色などの色を示すことができる。プランジャ106の第1の作動の後、したがって、デバイス100からの第1の用量の薬剤の放出の後、インジケータ窓108aは白色などの異なる色を示し得る。さらに、プランジャ106の第2の作動の後、したがってデバイス100からの第2の用量の薬剤の放出の後、インジケータ窓108bは同様に白色を示し得る。他の実施形態では、インジケータ窓108a、108bは各々、プランジャ106の対応する作動の前および/またはその後に異なる色を示し得る。
【0029】
鼻腔内薬物送達デバイス100は、他の要素を含んでもよい。例えば、この図示の実施形態では、鼻腔内薬物送達デバイス100は、ユーザの鼻孔内に配置されるように構成された、上部セグメント104aの端部から延在する先端部105と、深さガイド110と、フィンガーレスト112と、を含む。深さガイド110は、本明細書では「外側スリーブ」とも呼ばれる、細長い管状本体114を介してフィンガーレスト112に連接される。深さガイド110は、細長い管状本体114の第1の端部114aから延在する、第1の組の対向するフランジ116a、116bを含む。第1の組の対向するフランジ116a、116bは、デバイス本体102の上部セグメント104aのユーザの鼻孔への挿入深さを制限するように構成されている。フィンガーレスト112は、細長い管状本体114の第2の対向する端部114bから延在する、第2の組の2つの対向するフランジ118a、118bを含む。フィンガーレスト112は、ユーザが、自身の親指を使用して、プランジャ106をデバイス本体102の上部セグメント104aに向かって押下しながら、デバイス100を把持し、かつ保持することができるように、ユーザの指、例えば、ユーザの人さし指および中指のための位置付けガイドとして機能する。細長い管状本体114は、楕円形の穴120を含み、第1のインジケータ窓108aおよび第2のインジケータ窓108bはこの穴を通して視認可能である。
【0030】
一般に、本明細書に記載の包装キットは、包装システムと、包装システム内に収容される、鼻腔内薬物送達デバイスなどの薬物送達デバイスと、を含む。本明細書に記載の包装システムは、輸送中の包装システム内におけるデバイスの動きを実質的に防止する様式で、鼻腔内薬物送達デバイスを収容するように設計された基部を含む。特に、包装システムは、基部の長手方向軸に対して非ゼロの角度で、デバイスをその中に収容することができる。したがって、従来の包装システムを使用するときに一般的に生じる、輸送中のデバイスのガタツキは、それ故に実質的に防止され得る。さらに、本包装システムは、例えば包装システムの開封中に装置が包装システムから時期尚早に解放されるのを防止するために、鼻腔内薬物送達デバイスをその中に解放可能に保持するように構成され得る。したがって、鼻腔内薬物送達デバイスは、ユーザまたはHCPが、例えば使用地点でデバイスをそこから取り出すことを決定するまで、包装システム内に確実に保持され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、包装システムは、第1の端部101aなどのデバイスの第1の端部が下方に角度が付けられ、第2の端部101bなどのデバイスの対向する第2の端部が上方に角度が付けられるように鼻腔内薬物送達デバイスを方向付けるように設計され得る。他の実施形態では、デバイスの第1の端部が上方に角度が付けられ、デバイスの第2の端部が下方に角度が付けられる包装システムが設計され得る。
【0032】
例示的な包装システムは、本明細書において説明され、図面に示されるように、内部に鼻腔内薬物送達デバイスを確実に配置および方向付けることを容易にするための様々な特徴を有し得る。しかしながら、当業者には、本包装システムがこれらの特徴の一部のみを有し得ること、および/または当該技術分野において既知の様々な他の特徴を有し得ることが認識されよう。したがって、本明細書に述べられる包装システムは、特定の例示的な実施形態を表すことを意図したものに過ぎない。
【0033】
図2および図3は、本明細書で包装システムと総称される基部202および蓋204と、図1A図1Cに示されるような鼻腔内薬物送達デバイス100と、を含む包装キット200の例示的な実施形態を示す。図2は、部分分解図として包装キット200を示し、図3は、鼻腔内薬物送達デバイス100(隠れている)が包装システム内に収容されている組み立て図として、包装キット200を示している。
【0034】
包装システムは、その中に配置された鼻腔内薬物送達デバイス100を収容および封止するように構成されている。この図示された実施形態では、包装システムは、蓋204が基部202に解放可能に封止されるブリスターパックの形態である。蓋204は、任意の好適な封止方法、例えば、積層、熱封止、接着剤、熱圧封止などを使用して、基部202の少なくとも一部分に封止され得る。さらに、この図示の実施形態では、包装システムは、デバイス100の第1の端部101aが下方に角度が付けられ、デバイス100の第2の端部101bが上方に角度が付けられるように設計されている(図6を参照)。
【0035】
基部202は、熱成形、真空成形、または任意の他の好適なプロセスを介して形成され得る。熱成形の場合、プラスチックフィルムまたはシートが、リールから巻き出され、予備加熱ステーションを通して案内される。予備加熱プレートの温度は、プラスチックが軟化し、柔軟になるような温度である。次いで、温かいプラスチックが成形ステーションに到着し、ここで大きな圧力によって基部がネガティブモールドに成形される。モールドは冷却され、その結果、プラスチックは再び堅固になり、モールドから取り外されるとその形状を維持する。真空成形の場合、プラスチックフィルムまたはシートが成形温度に加熱され、単一表面のモールド上へと延伸され、真空によってモールドに押し付けられる。
【0036】
基部202は、様々な1種類以上の基部材料から形成され得る。1つ以上の基部材料は、成形可能な材料、例えば、熱形成材料であってもよく、所望の形状を保持するように、また基部202内に配設されたデバイスが、例えば輸送中に損傷するのを防止するために、耐破砕性となるように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の基部材料は、基部202に特定の特徴、例えば、所望の水蒸気透過率、所望の酸素透過率、所望の融点などを付与し得る。1つ以上の基部材料は、不透明、透明、または半透明であり得る。さらに、1つ以上の基部材料と、その中に収容されるデバイスとの適合性はまた、1つ以上の基部材料の選択における要因であり得る。好適な基部材料の非限定的な例としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PETの修飾バージョン、例えば、PET(PETG)のグリコール修飾バージョンなどの様々な高分子材料が挙げられる。
【0037】
基部202が透明である実施形態では、インジケータ窓108aおよび108bは、ユーザまたはHCPにとって視認可能となり得る。上述したように、第1のインジケータ窓108aは、第1の用量の薬剤がデバイス100から放出されたことをユーザまたはHCPに示すように構成され、第2のインジケータ窓108bは、第2の用量の薬剤がデバイス100から放出されたことをユーザまたはHCPに示すように構成されている。したがって、ユーザまたはHCPは、包装キット200を開く必要なく、単純に基部202を通して、組み立てられた包装キット200の第1のインジケータ窓108aおよび第2のインジケータ窓108bを見ることによって、装置100が時期尚早に作動されていないことを確認することができる。
【0038】
蓋204は、様々な構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、蓋204は、単一の層で形成され得るが、他の実施形態では、蓋204は、複数の層で形成され得る。この図示された実施形態では、図4により詳細に示されるように、蓋204は、接着層207と、印刷層208と、それらの間に封止および挿入された封止層205と、を含む。蓋204が基部202の上部表面206の少なくとも一部分に封止されると、接着層207は、封止層205と基部202との間に位置付けられる。さらに、図2図3に示されるように、蓋204は、丸みを帯びた矩形の形態であり、包装システムの、したがって包装キット200の平面状の頂部表面を画定する。他の実施形態では、蓋204は、他の好適な形状および寸法を有し得る。蓋の寸法および形状は少なくとも基部202の上部表面206の形状に依存することが、当業者には理解されよう。
【0039】
図示されていないが、包装キット200が組み立てられるとき、蓋204の一部分は基部202の上面206の一部分に封止されていないため、蓋204の非封止部分は、把持されることができ、包装キット200を開いて基部202内に配置されたデバイス100にアクセスするために使用されることができる。例えば、使用中、封止層205は、ユーザまたはHCPが蓋204の非封止位置を把持し、かつ蓋204を基部202から離れる方向に剥離することによって、基部202から取り外されるように構成され得る。
【0040】
封止層205は、結果として得られた封止が気密となり、基部202内に収容されたデバイス100が外部環境から保護され得るように、基部202の上部表面206の少なくとも一部分に封止され得る。さらに、結果として得られた封止は、例えば、デバイス100が所望の使用地点に到達する前に、結果として得られた封止が基部202から少なくとも部分的に除去されることによって損なわれた際の、不正開封の証拠の形態として機能し得る。
【0041】
封止層205は、外部環境から基部202への酸素および/または水の浸透を抑制するように構成された任意の1種類以上の材料で形成され得る。例えば、封止層205は、アルミニウム箔、銀フィルム、もしくは金箔などの金属箔、アルミニウム、銀、もしくは金などの金属が堆積されたフィルム、またはSiOxなどの無機物質が上部に堆積したフィルムであり得る。いくつかの実施形態では、封止層205は、アルミニウム箔である。
【0042】
封止層205は、任意の好適なプロセスを使用して、基部202の上部表面206の少なくとも一部分に封止され得る。この図示された実施形態では、封止層205は、接着層207によって基部202の上部表面206の少なくとも一部分に封止されている。接着層207は、図4に示されるように、封止層205の外部表面205aの全体に、あるいはそれに代わって、封止層205の外部表面205aの1つ以上の部分に適用され得る。接着層207は、ホットメルトラミネート接着剤、または封止層205を基部202の上部表面206の少なくとも一部分に対して十分に封止し得る任意の他の好適な接着剤など、1種類以上の接着剤から形成され得る。いくつかの実施形態では、接着層207は、上部表面206の一部分に熱封止されてもよく、他の実施形態では、接着層207は、基部202の上部表面206全体に封止されてもよい。他の実施形態では、封止層206は、基部202の上部表面206の少なくとも一部分に直接封止されてもよい。
【0043】
印刷層208は、基部の内部に収容されるデバイスに充填された薬剤の名称、薬剤の充填含有量、スキュー番号、デバイス自体および/もしくは薬剤に対応するロット数、薬剤の有効期限、デバイスおよび/もしくは薬剤に関連する会社名、中に配置されたデバイスにアクセスするために包装システムをどこで開封すべきかを示す指示などの表示を上に印刷することを可能にする1種類の材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、印刷層208は、迅速なインク乾燥時間を可能にし、着色されたインクに視認可能なコントラストを提供し得る白色の紙から形成され得る。他の実施形態では、印刷層208は省略されてもよく、また任意の所望の印が封止層205上に直接印刷されてもよい。
【0044】
基部202は、様々な構成を有し得る。基部202は、第1の端部210aから対向する第2の端部210bへと延在する。以下でより詳細に論じられるように、基部202は、鼻腔内薬物送達デバイス100をその中に収容および位置付けるように構成されており(図5を参照)、それにより、デバイス100の長手方向軸(L)は基部202の長手方向軸(L)に対して非ゼロの角度
【0045】
【数1】
で延在するようになっている(図6を参照されたい)。これにより、非ゼロの角度
【0046】
【数2】
は、少なくともフィンガーレスト112の高さ(H)と、デバイス100の長手方向軸(L)が基部202の長手方向軸(L)に対してゼロの角度で延在する場合には蓋204に接触することになるプランジャ106の端部と、に依存する。いくつかの実施形態では、非ゼロの角度
【0047】
【数3】
は約1度~5度であり得る。一実施形態では、非ゼロの角度
【0048】
【数4】
は約4度であり得る。さらに、基部202は、例えば、包装キット200の輸送中に基部202内のデバイス100が動くのを実質的に防止するようにデバイス100を基部202に実質的に固定するように構成されている。その結果、この動きに対する抵抗は、普通であれば従来の包装システム内で生じるはずの、基部202内でのデバイス100のガタツキを実質的に妨げることができる。
【0049】
図5図10に示されるように、基部202は、2つの連接するショルダー表面214a、214bによって画定される保持キャビティ212を含む。保持キャビティ212は、デバイス本体102の上部セグメント104aの少なくとも一部分との締りばめを形成する(図5参照)。より具体的には、図5に示され、図6に部分的に示されるように、外側スリーブ114の部分115、したがって、デバイス本体102の上部セグメント104aのうちの、外側スリーブ114のこの部分115を通って延在する部分は、保持キャビティ212内に位置付けられている。その結果、締まりばめは、外側スリーブ114のこの部分115の外側表面と、2つの連接するショルダー表面214a、214bと、の間に形成される。したがって、保持キャビティ212の幅(W)は、製造における寸法公差を除いて、外側スリーブ114の外径(D)に等しいか、あるいはそれ未満であり得る。本明細書で使用される場合、保持キャビティ212の幅(W)は、2つのショルダー表面214a、214bの間の最大距離を指す(例えば、図9を参照)。保持キャビティ212の幅(W)および深さ(D)は変動し得るものであり、また少なくとも外側スリーブ114の構造的構成に依存することが、当業者には理解されよう。
【0050】
外側スリーブ114とショルダー表面214a、214bとの間に作り出される締まりばめは、例えば、包装キット200の輸送中に、基部202内のデバイス100の動き、例えば直交する動きを防止することができる。この締まりばめは、包装キット200の輸送および開封中にデバイス100が基部202に固定される一方で、必要に応じてユーザまたはHCPが基部202からデバイス100を取り外すことも可能にするように、デバイス100を基部202内に解放可能に保持し得る。例えば、包装キット200を開封する間、例えば、ユーザまたはHCPが蓋204を基部202から分離するとき(例えば、蓋204を基部202から離れるように引っ張ることによって)、デバイス100は、基部202内に固定されたままであり得る。さらに、外側スリーブ114とショルダー表面214a、214bとの間に締りばめを有することにより、デバイス100は、プランジャ106への把持を必要とせずに、基部202に固定され得る。これにより、ユーザまたはHCPが、デバイス100を基部202から取り外すときに誤って作動させる可能性が低減され得る。
【0051】
保持キャビティ212は、様々な構成を有し得る。例えば、図7および図9により詳細に示されるように、この図示の実施形態では、2つの連接するショルダー表面214a、214bの各々は、湾曲した構成を有し、その結果、保持キャビティ212は、実質的にc字形の構成を有する。2つのショルダー表面214a、214bの各々の構成が、したがってそれによって画定される保持キャビティ212の構成が、少なくとも外側スリーブ114の構造的構成に依存することが、当業者には理解されよう。したがって、他の実施形態では、2つのショルダー表面214a、214bの各々、したがって保持キャビティ212は、デバイスのうちの保持キャビティ212を通って延在する部分との締まりばめを生じさせ得る任意の他の形状の構成を有し得る。例えば、他の実施形態では、保持キャビティ212は、U字形構成、V字形構成、多角形構成(例えば、正方形構成、八角形構成など)などを有し得る。
【0052】
上述のように、基部202は、その中にデバイス100を非ゼロの角度で収容するように構成されている。すなわち、基部202は、鼻腔内薬物送達デバイス100をその中に収容および位置付けるように構成されており(図5を参照)、ここでデバイス100の長手方向軸(L)は基部202の長手方向軸(L)に対して非ゼロの角度
【0053】
【数5】
で延在する(図6を参照されたい)。これは、例えば、図10により詳細に示されるように、保持キャビティ212の少なくとも底部表面212a(すなわち、2つの肩面214a、214bが連接する点)を基部202の長手方向軸(L)に対して非ゼロの角度
【0054】
【数6】
で延在させることによって実現され得る。その結果、デバイス100が、外側スリーブ114と保持キャビティ212を画定する2つのショルダー表面214a、214bとの間に形成された締まりばめによって、基部202に挿入され、固定されると、デバイス100の長手方向軸(L)は、基部202の長手方向軸(L)に対して非ゼロの角度
【0055】
【数7】
で延在する(図6を参照されたい)。いくつかの実施形態において、非ゼロ角度
【0056】
【数8】
は、非ゼロの角度
【0057】
【数9】
に等しくてもよく、他の実施形態では、非ゼロ角度
【0058】
【数10】
は、非ゼロ角度
【0059】
【数11】
よりも小さくても、それより大きくてもよい。
【0060】
図5図8および図10に示されるように、基部202は、保持キャビティ212に隣接する把持キャビティ218を含む。把持キャビティ218は、デバイス本体102のフィンガーレスト112、下部セグメント104b、およびプランジャ106の一部分を受容および収容する。把持キャビティ218は、第1の部分220と、第2の部分222と、第1の部分220を第2の部分222から分離する支持要素224と、を含む。第1の部分220は、その中に収容されたデバイス100の特定の部分のユーザまたはHCPの手の指(例えば、ユーザまたはHCPの指および親指)による把持を可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、デバイス100のうちの把持が可能である部分は、デバイス100を他の場所で把持することができないように、ないしは他の方法で他の場所を把持することが困難となるように、把持キャビティ218の第1の部分220内で隔離され得る。図示の実施形態では、第1の部分220は、把持キャビティ218内に収容されたデバイス本体102の下部セグメント104bの対向する側面と係合させるために前述の手の指を挿入するように構成されている。
【0061】
したがって、第1の部分220は、図8図10に示されるように、少なくとも一本の指をデバイス本体102の下部セグメント104bのいずれかの側に挿入するための十分な空間を対向する様式で提供するように、構造的に寸法決めされ、すなわち、図8図10に示されるような長さ(LGP)、幅(WGP)、および深さ(DGP)を有することができ、それによって、下部セグメント104bは、ペンチ式の作用で当該指(例えば、ユーザまたはHCPの指および親指)によって把持され得る。このようにして、ユーザまたはHCPは、外側スリーブ114とショルダー表面214a、214bとの間の締りばめの摩擦力を克服することができ、したがって、デバイス100を基部202から取り外すことができる十分な量の力で、下部セグメント104bを把持して基部202から引っ張ることができる。したがって、第1の部分220の構造的構成は、ユーザまたはHCPがデバイス本体102の下部セグメント104bを介して基部202からデバイス100を取り外すことを促進することができ、これによって、例えば、衛生目的で、デバイス先端部105および/またはプランジャ106から自身の指を離して維持し、例えば、デバイス100の偶発的作動を防止することができる。さらに、HCPが基部202からデバイス100を取り外す場合、デバイス本体102の下部セグメント104bを介したその取り外しは、HCPからユーザへのデバイス100の滑らかな移行または手渡しを可能にし得る。いくつかの実施形態では、第1の部分220は、約1mm~5mmのクリアランスを提供するように構造的に寸法決めされ得る。
【0062】
支持要素224は、デバイス本体102の下部セグメント104b、したがってデバイス100を支持するように構成されており、その結果、フィンガーレスト112は、保持キャビティ212と支持要素224との間に位置付けられ、したがって、フィンガーレスト112は、把持キャビティ218の第2の部分222内に位置付けられる。すなわち、デバイス100が基部202に挿入され、それに固定されるとき、フィンガーレスト112は、保持キャビティ212と支持要素224との間に閉じ込められる。フィンガーレスト112は、デバイス本体102に固定的に結合され、プランジャ106は、デバイス本体102に動作可能に結合されているので、把持キャビティ218の第2の部分222内のフィンガーレスト112の位置、および保持キャビティ212と支持要素224との間のフィンガーレスト112の閉じ込めによって、長手方向(すなわち、基部202の長手方向軸(L)に沿って延びる方向)におけるデバイス100の動きが実質的に防止される。結果として、デバイス100が基部202内に収容され、それに固定されている間、プランジャ106は、その非作動位置に維持され得、それによって、プランジャ106の早期作動が回避され得る。
【0063】
さらに、把持キャビティ218の第2の部分222内のフィンガーレスト112の位置決めおよび閉じ込めは、デバイス100の回転の向きを制御し、したがって基部202に対するインジケータ窓108a、108bの向きを制御することができる。その結果、基部が透明である実施形態では、フィンガーレスト112と把持キャビティ218の第2の部分222との相互作用が、基部202を通してユーザまたはHCPに視認可能となる向きに、インジケータ窓108a、108bを位置決めすることになり得る。
【0064】
支持要素224は、様々な構成を有し得る。例えば、支持要素224は、図5および図7図9に示されるように、実質的にc字形の構成を有する。さらに、支持要素224の幅(W)は、支持要素224がデバイス本体102の下部セグメント104bの一部分を受容し、それと接触することを可能にするように構成され得る(図5図6および図9を参照)。他の実施形態では、支持要素224は、デバイス本体102の下部セグメント104bを支持し得、かつ間にフィンガーレスト112を閉じ込めるように保持キャビティ212の構造構成内で協働し得る任意の他の好適な形状を有し得る。支持要素224の構造的構成が、少なくともデバイス本体102の下部セグメント104bの構造的構成、ならびに保持キャビティ212および把持キャビティ218の構造的構成に依存し得ることが、当業者には理解されよう。
【0065】
いくつかの実施形態では、基部202は、デバイス100の他の部分を収容するための1つ以上の追加のキャビティを含んでもよい。例えば、図5図8および図10に示されるように、基部202は、第1の端部キャビティ226と、第2の対向する端部キャビティ228と、を含む。第1の端部キャビティ226は、上部セグメント104aおよび外側スリーブ114(すなわち、それらのうちの基部202の任意の他のキャビティに収容されていない部分)の少なくとも一部分を受容および収容するように構成されている。さらに、第1の端部キャビティ226は、デバイス100の遠位先端部105および深さガイド110を収容するように構成され得る(図5図6を参照)。図示のように、第1の端部キャビティ226は、基部202の保持キャビティ212と第1の端部210aとの間に位置付けられ、その結果、保持キャビティ212は、第1の端部キャビティ226と把持キャビティ218との間に位置付けられる。この図示された実施形態では、保持キャビティ212は、第1の端部キャビティ226から把持キャビティ218へと延在する。
【0066】
第1の端部キャビティ226は、様々な構成を有し得る。例えば、図5図7では、第1の端部キャビティ226は、実質的に矩形の構成を有する。第1の端部キャビティ226の構造的構成は少なくとも、例えば、図5図6に示されるような、デバイスのうちのその中に収容される部分の構造的構成、上部セグメント104aの一部分および外側スリーブ114の一部分、遠位先端105、ならびに/またはデバイス100の深さガイド110に依存することが、当業者には理解されよう。さらに、図5および図6に示されるように、第1の端部キャビティ226の構造的構成はまた、遠位先端部105と基部202との間にクリアランスを提供し、これは、デバイス100の偶発的な起動および/または破損を防止するのに役立ち得る。他の実施形態では、第1の端部キャビティ226は、デバイス100の1つ以上の部分を収容し得る任意の他の好適な構成を有し得る。
【0067】
第2の端部キャビティ228は、プランジャ106の一部分(すなわち、プランジャ106のうちの把持キャビティ218内に収容されていない部分)を受容および収容するように構成されている。図示のように、第2の端部キャビティ228は、基部202の把持キャビティ218と第2の端部210bとの間に位置付けられ、その結果、把持キャビティ218は、保持キャビティ212と第2の端部キャビティ228との間に位置付けられる。
【0068】
第2の端部キャビティ228は、様々な構成を有し得る。例えば、図5図7では、第2の端部キャビティ228は、実質的に矩形の構成を有する。第2の端部キャビティ228の構造的構成は少なくとも、例えば、図5図6に示されるような、デバイスのうちのその中に収容される部分の構造的構成、デバイス100のプランジャ106の一部分に依存することが、当業者には理解されよう。さらに、図5および図6に示されるように、第2の端部キャビティ228の構造的構成はまた、プランジャ106と基部202との間にクリアランスを提供し、これは、デバイス100の偶発的な起動および/または破損を防止するのに役立ち得る。他の実施形態では、第2の端部キャビティ228は、デバイス100の1つ以上の部分を収容し得る任意の他の好適な構成を有し得る。
【0069】
さらに、保持キャビティ212の底部表面212aと同様に、第2の端部キャビティ228の底部表面228aはまた、基部202の長手方向軸(L)に対して非ゼロの角度
【0070】
【数12】
をなして延在する(図10を参照されたい)。その結果、非ゼロの角度
【0071】
【数13】
でのデバイス100の長手方向軸(L)の延長が維持され得る(図6を参照)。いくつかの実施形態において、非ゼロの角度
【0072】
【数14】
は、非ゼロの角度
【0073】
【数15】
および/または非ゼロの角度
【0074】
【数16】
と等しくてもよいが、他の実施形態では、非ゼロの角度
【0075】
【数17】
は、非ゼロの角度
【0076】
【数18】
および/または非ゼロの角度
【0077】
【数19】
より小さくても、あるいは大きくてもよい。
【0078】
他の実施形態では、保持キャビティ212の底部表面212aおよび第2の端部キャビティ228の底部表面228aはそれぞれ、基部202の長手方向軸(L)に対してゼロの角度で延在し得る。そのような例において、例えば、非ゼロの角度
【0079】
【数20】
は、基部202の上部表面206に対して、保持キャビティ212の底部表面212aと、第2の端部キャビティ228の底部表面228aとの間の相対的な高さによって達成および維持され得る。例えば、保持キャビティ212の底部表面212aは、第1の高さに位置付けられ得、第2の端部キャビティ228の底部表面238は、第1の高さよりも高い第2の高さに位置付けられ得る。
【0080】
値または範囲は、本明細書では、「約」および/または「約」1つの特定の値から別の特定の値までとして表すことができる。そのように値または範囲が表される場合、開示される他の実施形態は、列挙された特定の値、および/または1つの特定の値から別の特定の値までを含む。同様に、先行する「約」の使用によって値が近似の形式で表現された場合、開示される多くの値が列挙され、その特定値により別の実施形態が形成されることが理解されるであろう。開示される多くの値が存在し、各値は、本明細書においては、その特定の値自体に加えて「約」が付く値として開示されることもさらに理解されるであろう。一部の実施形態では、「約」は、例えば、列挙された値の10%以内、列挙された値の5%以内、または列挙された値の2%以内を意味するために使用され得る。
【0081】
本教示を説明および定義する目的で、別途記載のない限り、用語「実質的に」は、本明細書では、任意の定量的な比較、値、測定、または他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために利用されることに留意されたい。用語「実質的に」はまた、本明細書では、定量的表現が、問題の対象物の基本的機能の変化をもたらすことなく、記述された基準から変化し得る程度を表すためにも利用される。
【0082】
当業者には、上で説明される実施形態に基づいて本発明の更なる特徴および利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明された内容により限定されるものではない。本明細書で引用されるすべての刊行物および参考文献は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。参照によって全体または一部が本明細書に組み込まれるとされる任意の特許、公開、または情報は、この文書に記載されている既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾しない程度にのみ、本明細書に組み込まれる。したがって、本明細書に明確に示した開示内容は、本明細書に援用されるいかなる矛盾する文献にも優先するものとする。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
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図6
図7
図8
図9
図10