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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】鼻洗浄器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240930BHJP
   A61H 35/04 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
B65D83/00 G
A61H35/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021090852
(22)【出願日】2021-05-31
(65)【公開番号】P2022183501
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 啓人
(72)【発明者】
【氏名】堤 愛姫
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-137233(JP,A)
【文献】米国特許第04513891(US,A)
【文献】登録実用新案第3199593(JP,U)
【文献】特開2016-008077(JP,A)
【文献】特開2001-151283(JP,A)
【文献】特開2005-279114(JP,A)
【文献】特開2016-033026(JP,A)
【文献】特開2003-276719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 1/00- 1/48
A61H 35/04
A61M 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を収容する有底の胴部及び前記胴部上に連設される口部を含む容器と、
前記口部に装着される蓋部及び前記蓋部上に連設されるノズル部を含むキャップと、
一端部が前記ノズル部に接続され他端部が前記胴部の底部に到達するチューブと、を備え、
前記胴部の底部の外周縁から立ち上がる周壁部をスクイズすることにより洗浄液を前記チューブを通して前記ノズル部から噴射する鼻洗浄器であって、
前記胴部は、前記周壁部の上端に周方向の全周にわたって角部を有し、前記角部の内側において前記口部が連設されており、
前記角部は、周方向の少なくとも一部分において前記口部に装着された前記蓋部よりも外側に突き出ており、
前記周壁部は、上端から下端にかけて外側に凸に湾曲しており、かつ、下端から上端までの高さが90mm以上150mm以下である、鼻洗浄器。
【請求項2】
前記角部は、周方向の全周にわたって前記口部に装着された前記蓋部よりも外側に突き出ている、請求項1に記載の鼻洗浄器。
【請求項3】
前記胴部は、横幅が奥行きよりも大きい偏平形状を呈しており、
前記周壁部は、その正面部と背面部とで肉厚が異なり、前記正面部及び前記背面部の一方が他方よりも肉厚が0.05mm以上0.20mm以下の範囲で大きい、請求項1又は2に記載の鼻洗浄器。
【請求項4】
前記底部は、その中央部分が外周縁部分よりも隆起していて、前記周壁部と前記底部の中央部分との間に環状溝が形成されており、
前記環状溝は、前記チューブの他端部が入り込むことが可能な溝幅を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の鼻洗浄器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔内に洗浄液を流し込んで鼻腔を洗浄する鼻洗浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鼻洗浄器として、例えば特許文献1に記載の鼻洗浄器が知られている。特許文献1に記載の鼻洗浄器は、洗浄液を収容した容器と、容器の上部開口を塞ぐキャップと、洗浄液を噴射可能な噴射口を有するノズルを上端に備えるパイプと、パイプの下端に接続されたホースと、を備えている。パイプは、キャップに上下にスライド移動可能に取り付けられている。特許文献1に記載の鼻洗浄器は、非使用時にはパイプを容器内に押し込むことで、全体がコンパクトになって取り扱いやすくなるため、携帯に便利となる。一方で使用時は、パイプを容器から引き出した後、容器を片手で持ちながらノズルを外鼻孔から鼻腔内に挿入し、容器を片手でスクイズすることにより、容器内の洗浄液をノズルから鼻腔内に噴射できるため、片手で容易に操作可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3202973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の鼻洗浄器は、携帯性及び操作性に優れることがユーザから望まれているが、それとともに、洗浄液を効率よく鼻腔内に噴射できるようにスクイズした後の容器の復元が早くて素早く連続して容器をスクイズできることが望まれている。特に近年は大量の洗浄液で鼻腔を効果的に洗浄したいというニーズがあり、その分、洗浄液を多く収容できるように容器が大型化すると、スクイズ後の容器の復元に時間がかかる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、スクイズ後の容器の復元にかかる時間を早めた鼻洗浄器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鼻洗浄器は、洗浄液を収容する有底の胴部及び前記胴部上に連設される口部を含む容器と、前記口部に装着される蓋部及び前記蓋部上に連設されるノズル部を含むキャップと、一端部が前記ノズル部に接続され他端部が前記胴部の底部に到達するチューブと、を備え、前記胴部の底部の外周縁から立ち上がる周壁部をスクイズすることにより洗浄液を前記チューブを通して前記ノズル部から噴射するものである。本発明の鼻洗浄器は、前記胴部は、前記周壁部の上端に周方向の全周にわたって角部を有し、前記角部の内側において前記口部が連設されており、前記角部は、周方向の少なくとも一部分において前記口部に装着された前記蓋部よりも外側に突き出ていることを特徴とする。
【0007】
本発明の鼻洗浄器において好ましくは、前記角部は、周方向の全周にわたって前記口部に装着された前記蓋部よりも外側に突き出ていることを特徴とするように構成することができる。
【0008】
また、本発明の鼻洗浄器において好ましくは、前記胴部は、横幅が奥行きよりも大きい偏平形状を呈しており、前記周壁部は、その正面部と背面部とで肉厚が異なり、前記正面部及び前記背面部の一方が他方よりも肉厚が0.05mm以上0.20mm以下の範囲で大きいことを特徴とするように構成することができる。
【0009】
また、本発明の鼻洗浄器において好ましくは、前記容器は低密度ポリエチレン製であり、前記周壁部の目付が23g/m以上28g/m以下であることを特徴とするように構成することができる。
【0010】
また、本発明の鼻洗浄器において好ましくは、前記底部は、その中央部分が外周縁部分よりも隆起していて、前記周壁部と前記底部の中央部分との間に環状溝が形成されており、前記環状溝は、前記チューブの他端部が入り込むことが可能な溝幅を有することを特徴とするように構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鼻洗浄器によれば、スクイズ後の容器の復元にかかる時間を早めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】鼻洗浄器の背面図である。
図2】鼻洗浄器の正面図である。
図3】鼻洗浄器の左側面図である。なお、鼻洗浄器の右側面図は左側面図と左右対称のため省略する。
図4】鼻洗浄器の平面図である。
図5】鼻洗浄器の底面図である。
図6】鼻洗浄器の斜視図であり、キャップを真正面から見た方向の斜視図である。
図7図1のA-A断面図であり、鼻洗浄器の側面側から見た縦断面図である。
図8図3のB-B断面図であり、鼻洗浄器の背面側から見た縦断面図である。
図9図1のC-C断面図であり、鼻洗浄器の横断面図である。
図10】鼻洗浄器の構成要素である容器の側面側から見た縦断面図である。
図11】鼻洗浄器の胴部をスクイズする前後の状態を示す左側面図である。
図12】鼻洗浄器の構成要素である容器の胴部をスクイズする前後の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
鼻洗浄器の概要
本発明の鼻洗浄器は、洗浄液を収容する胴部及び胴部上に連設された口部を含む容器と、容器の口部に装着される蓋部及び蓋部に上方に突き出るように連設されるノズル部を含むキャップと、一端部がキャップのノズル部に接続され他端部が容器の胴部の底部に到達して胴部内の洗浄液に浸漬するチューブと、を備え、キャップのノズル部をユーザの外鼻孔から鼻腔内に挿入し、容器の胴部の周壁部をスクイズして胴部内の洗浄液をチューブを通してノズル部から噴射することにより、ユーザの鼻腔内に洗浄液を流し込んで鼻腔を洗浄するものである。以下、本発明の鼻洗浄器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
鼻洗浄器の全体構成の説明
図1から図6は、本実施形態の鼻洗浄器1の外観構造を示し、図7から図9は、本実施形態の鼻洗浄器1の内部構造を示す。図10は、鼻洗浄器1の構成要素である容器2の内部構造を示す。鼻洗浄器1は、胴部3及び口部4を含む容器2と、蓋部6及びノズル部7を含むキャップ5と、チューブ8と、を備える。
【0015】
なお、本開示では、鼻洗浄器1を自立させた状態を基準とし、上下方向(鼻洗浄器1を正面又は背面から見た縦方向)の長さを高さとし、左右方向(鼻洗浄器1を正面又は背面から見た横方向)の長さを横幅とし、前後方向(鼻洗浄器1を左右の側面から見た横方向)の長さを奥行きとしている。なお、鼻洗浄器1の前方向側が正面側であり、後ろ方向側が背面側である。
【0016】
容器の説明
容器2は、図1から図10に示すように、中空かつ有底であり、上端に開口を有する。容器2は、好ましくは一部又は全体が透明又は半透明であり、これにより外部から内容物である洗浄液の残量を確認することができる。容器2は、弾性変形可能であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート等の合成樹脂により形成することができ、その中でも低密度ポリエチレンを好ましく例示することができる。低密度ポリエチレンとは、密度0.910以上0.930未満のポリエチレンである。容器2を形成する樹脂の密度は高い方が、容器2をスクイズした後の容器2が元の形状に戻ろうとする復元が早くなるが、スクイズ時の容器2の感触が硬くなる。そのため、容器2を連続してスクイズした際にユーザの手が疲労しやすくなる傾向がある。これに対して、容器2を低密度ポリエチレンで形成すると、スクイズ時の容器2の感触が柔らかくなるとともに、容器2のスクイズ後の復元の早さもユーザにストレスを感じさせない程度となるため、容器2を素早く連続してスクイズすることが可能であるうえ、容器2を連続してスクイズしてもユーザの手の疲労を効果的に抑えることが可能である。容器2は、例えば射出成形等の公知の成形方法で形成することができる。
【0017】
容器2は、洗浄液を収容する有底の胴部3と、胴部3上に連設される筒状の口部4と、を含み、胴部3及び口部4が一体物をなしている。胴部3の内部空間が洗浄液の収容空間であり、口部4を通して洗浄液を胴部3内に注入可能である。
【0018】
胴部の説明
まず、胴部3の構成について図1から図10を参照して説明する。胴部3は、使用時にユーザにより把持される部分であり、底部30と、底部30の外周縁から立ち上がる中空の周壁部31と、底部30と対向するよう周壁部31の上端に連設される肩部32と、を含む。周壁部31は、口部4よりも外形が一回り大きく、肩部32は、周壁部31の上端と口部4の下端とを繋いでいる。
【0019】
底部30は、特に図5から図10に示すように、周壁部31の下端に連設され、筒状の周壁部31の下端開口を塞ぐ。底部30は、特に限定されないが、中央部分300が外周縁部分301よりも上方の収容空間に向けて隆起している。これにより、周壁部31と底部30の隆起した中央部分300との間に環状溝302が形成されている。環状溝302は、底部30の外周縁から所定の長さの溝幅を有し、この環状溝302には、容器2の口部4から胴部3内に挿入されるチューブ8の下端部が入り込む。
【0020】
つまり、チューブ8は、その上端部が後述するキャップ5のノズル部7に接続されて容器2内に挿入され、その下端部が胴部3の底部30に到達しているが、チューブ8はノズル部7から底部30の中央部分300に向かって真っ直ぐ下方に延びるのではなく、底部30の外周縁部分301に向かって斜め下方に延びており、その下端部が環状溝302に入り込んでいる。環状溝302の溝幅は、チューブ8の外径よりも大きく、環状溝302の溝幅は、チューブ8の外径にもよるが、例えばチューブ8の外径が8.0mmであれば10.0mm以上13.0mm以下(チューブ8の外径の1.25倍以上1.625倍以下)である。
【0021】
チューブ8の下端部が底部30の環状溝302に入り込んでいることにより、使用の際にユーザにより胴部3がスクイズされても、チューブ8の下端部は環状溝302に入り込んだまま動かないため、チューブ8の下端部を定位置に保持可能である(図11を参照)。よって、チューブ8は、下端部から安定して容器2内の洗浄液をノズル部7に供給可能であるとともに、容器2内の洗浄液の残量が少量になっても下端部から洗浄液をノズル部7に余すことなく供給することが可能である。
【0022】
周壁部31は、使用時にユーザによりスクイズされる部分であり、スクイズにより周壁部31が凹むように変形することにより、胴部3内の洗浄液がチューブ8を通じてノズル部7に向けて押し出される。周壁部31は、対向する正面部310及び背面部311と、対向する左右の側面部312,313と、を含む。なお、正面部310及び背面部311とは、容器2の奥行きを画定する前後方向から容器2を見たときに表にくる主な部分である。周壁部31は、底部30及び肩部32の間で、正面部310、左側面部312、背面部311及び右側面部313が周方向に筒状に繋がる。周壁部31の四隅(正面部310ないしは背面部311と左右の側面部312,313との交差部)は面取りされて丸みを帯びている。
【0023】
周壁部31は、横幅(左右方向(正背面視における横方向)の長さ)が奥行き(前後方向(側面視における横方向の長さ)よりも大きい偏平形状を呈する。本実施形態では、周壁部31は、横断面視で略長方形状を呈する。これにより、容器2は胴部3がユーザにより手で把持しやすい形状とされているとともに、使用時においてユーザの指で胴部3の正面部310及び/又は背面部311をスクイズしやすい形状とされており、スクイズにより多くの洗浄液を胴部3から押し出すことが可能である。
【0024】
周壁部31の形状は、必ずしも横断面視で略長方形状である必要はなく、偏平形状であれば例えば楕円形状等であってもよい。なお、周壁部31の横断面視とは、周壁部31の軸方向に直交する平面に沿った断面である。また、周壁部31の縦断面視とは、周壁部31の軸方向に平行な平面に沿った断面である。
【0025】
正面部310及び背面部311は、特に図7に示すように、それぞれの上端の高さ位置が異なり、正面部310の上端が背面部311の上端よりも上方に位置する。つまり、正面部310の下端から上端までの高さH1の方が背面部311の下端から上端までの高さH2よりも高い。そのため、肩部32は表面部310から背面部311に向けて低く傾斜している。なお、正面部310及び背面部311のそれぞれの上端は、同じ高さに位置していてもよい。
【0026】
正面部310及び背面部311は、特に図7に示すように、その上端から下端にかけて(肩部32から底部30にわたって)外側に凸に湾曲しており、正面部310及び背面部311は上下方向に沿って凸曲面に形成されている。
【0027】
正面部310及び背面部311が上下方向に沿って外側に凸をなす湾曲状を呈することにより、使用時にユーザが正面部310及び/又は背面部311を大きくスクイズさせて多くの洗浄液を胴部3から押し出すことが可能である。
【0028】
加えて、使用時にユーザにより正面部310及び/又は背面部311がスクイズされると、スクイズによる押圧力は正面部310及び/又は背面部311を介して胴部3上の口部4にも作用するが、正面部310及び背面部311が上下方向に沿って外側に凸をなす湾曲状を呈することにより、口部4に作用するスクイズ時の押圧力を軽減可能である。そのため、スクイズ時の口部4の変形を抑制可能である(図12を参照)。容器2の口部4がスクイズ時の押圧力で変形すると、口部4と口部4に装着された蓋部6との気密性が悪くなるため、スクイズ時に胴部3内の洗浄液がノズル部7から噴射され難くなり、洗浄液によりスムーズに鼻腔を洗浄できないとの課題がある。しかし、本実施形態では、スクイズ時に口部4が変形し難いため、上述した課題を解決することもできる。つまり、スクイズ時の口部4と蓋部6との気密性を維持可能であるため、スクイズにより胴部3内の洗浄液を良好に押し出してノズル部7から噴射させることが可能であり、洗浄液によってスムーズにユーザの鼻腔を洗浄することが可能である。
【0029】
正面部310及び背面部311は、特に図7に示すように、湾曲により最も外側に突き出る先端T1,T2が、上端及び下端の中央と同じ高さに位置する又は前記中央よりも下方に位置する。つまり、正面部310及び背面部311の下端から先端T1,T2までの高さh1,h2が、正面部310及び背面部311の下端から上端までの高さH1,H2との関係で、h1≦H2/2,h2≦H2/2の関係式を満たしている。先端T1,T2は、好ましくは、正面部310及び背面部311の上端及び下端の中央よりも下方に位置する、すなわち、h1<H1/2,h2<H2/2の関係式を満たし、より好ましくはh1<H1/2.1,h2<H2/2.3の関係式を満たす。
【0030】
使用時にユーザが正面部310及び/又は背面部311をスクイズする際、通常、凸曲面とされた正面部310及び背面部311の最も外側に突き出る先端T1,T2が強く押圧される。そのため、正面部310及び背面部311の先端T1,T2が前記中央と同じ高さに位置する又は前記中央よりも下方に位置する、つまりは、先端T1,T2が胴部3上の口部4からより下方に離れた位置にあることにより(先端T1,T2と口部4との距離をより長くすることにより)、使用時にユーザにより正面部310及び/又は背面部311がスクイズされた際に口部4に作用する押圧力を効果的に軽減可能である。そのため、スクイズ時の口部4の変形を効果的に抑制可能であり(図12を参照)、スクイズ時の口部4と蓋部6との気密性を維持可能であるから、スクイズにより胴部3内の洗浄液を良好に押し出してノズル部7から噴射させることが可能であり、洗浄液によってスムーズにユーザの鼻腔を洗浄することが可能である。
【0031】
本実施形態では、(1)正面部310及び背面部311の両方が上下方向に沿って外側に凸をなして湾曲しており、かつ、(2)先端T1,T2が前記中央と同じ高さに位置する又は前記中央よりも下方に位置しているが、正面部310及び背面部311の一方のみが上記(1)及び(2)を充足しており、他方は上記(1)を充足するものの上記(2)は充足しない、あるいは、上記(1)及び(2)のいずれも充足せずに例えば上下方向に沿って平坦状をなしていてもよい。
【0032】
詳細は後述するが、本実施形態では、特に図6に示すように、ノズル部7の挿入部70が蓋部6に対してその中心からずれた位置(偏心した位置)に設けられており、使用時にユーザは挿入部70が手前となるように胴部3を把持して挿入部70を外鼻孔に挿入する。そのため、ユーザが胴部3を把持する際、周壁部31の正面部310にユーザの親指が当てられ、背面部311にユーザの他の四本の指が当てられる。ユーザによるスクイズは主には親指で行われるため、背面部311よりも正面部310にスクイズによる押圧力が大きく作用する。よって、少なくとも正面部310が上記(1)及び(2)を充足していることにより、スクイズ時の口部4の変形を抑制可能であるが、スクイズ時には親指以外の他の四本の指によっても多少は背面部311が押圧されることから、スクイズ時の口部4の変形を抑制するとの観点からは、背面部311についても上記(1)及び(2)を充足していることが好ましい。
【0033】
正面部310及び背面部311は、特に図9に示すように、左右の側面部312,313の間で外側に凸に湾曲しており、正面部310及び背面部311は左右方向に沿っても凸曲面に形成されている。なお、正面部310及び背面部311は、左右方向に沿って必ずしも外側に凸に湾曲している必要はなく、平坦状をなしていてもよい。
【0034】
左右の側面部312,313は、特に図8に示すように、その上端から下端にかけて(肩部32から底部30にわたって)外側に凸に湾曲しており、左右の側面部312,313は上下方向に沿って凸曲面に形成されている。一方で、左右の側面部312,313は、特に図9に示すように、前後方向に沿っては正面部310及び背面部311の間で平坦状をなしている。なお、左右の側面部312,313は、必ずしも上述した形状を呈する必要はない。
【0035】
周壁部31の下端から上端までの高さは、特に限定されないが、90mm以上150mm以下であることが好ましく、100mm以上120mm以下であることがより好ましい。周壁部31の高さが均一でない本実施形態では、正面部310及び背面部311について、特に図7に示すように、それぞれの高さH1,H2が90mm以上150mm以下であることが好ましく、100mm以上120mm以下であることがより好ましい。従来品の鼻洗浄器の胴部の周壁部の高さは、胴部にユーザの指が縦に三本収まる程度の高さ(約55mmから65mm)であり、本実施形態では正面部310及び背面部311の高さH1,H2が従来品よりも十分に高い。
【0036】
正面部310及び背面部311の高さH1,H2が90mm以上であることにより、正面部310及び背面部311の先端T1,T2を、口部4からより下方に離れて位置させることが可能であるため(先端T1,T2と口部4との距離をより長くできるため)、使用時にユーザにより正面部310及び/又は背面部311がスクイズされた際に口部4に作用する押圧力を効果的に軽減可能である。そのため、スクイズ時の口部4の変形を効果的に抑制可能であり(図12を参照)、スクイズ時の口部4と蓋部6との気密性を効果的に維持可能であるから、スクイズにより胴部3内の洗浄液を良好に押し出してノズル部7から噴射させることが可能であり、洗浄液によってスムーズにユーザの鼻腔を洗浄することが可能である。
【0037】
また、正面部310及び背面部311の高さH1,H2が90mm以上であることにより、使用時に背面部311を四本の指で押えることができ、五本の指で胴部3を掴めるため、胴部3を安定して把持可能であり、胴部3が大型化しかつ胴部3に多くの洗浄液を収容可能なことから胴部3が高重量化しても、扱いにいくことはない。また、正面部310及び背面部311の高さH1,H2が150mmより大きいと、洗浄液を胴部3から押し出すために正面部310及び/又は背面部311をスクイズする押圧力を強くする必要があるので、高さH1,H2が150mm以下であることにより、無理なくスムーズに正面部310及び/又は背面部311をスクイズすることが可能であり、連続して素早くスクイズを行っても指が疲れることを抑制可能である。
【0038】
肩部32は、周壁部31の上端と口部4の下端とを繋いでいる。肩部32と周壁部31とは、境界が角張るように繋げられており、肩部32及び周壁部31の間(周壁部31の上端)には周方向の全周にわたって直角又は鈍角の角部33が設けられている。角部33は必ずしも尖っている必要はなく、丸みを帯びていてもよい。
【0039】
肩部32は、特に図6に示すように、外形が略円形状であり、口部4よりも外形が一回り大きいとともに後述する蓋部6よりも外形が一回り大きい。そのため、蓋部6を口部4に装着した際に肩部32は蓋部6の外側に全周にわたって張り出しており、肩部32の先端の角部33は周方向の全周にわたって口部4に装着された蓋部6よりも外側に突き出ている。角部33が口部4に装着された蓋部6よりも外側に突き出ているため、角部33は肩部32を介して連設された口部4から大きく外側に離れて位置している。角部33は、特に限定されないが、蓋部6の外側に5.0mm以上離れていることが好ましく、6.5mm以上離れていることが好ましい。なお、上限は9.0mm以下であることが好ましい。
【0040】
使用時にユーザが周壁部31をスクイズすると周壁部31が凹むように変形するが、周壁部31が元の形状に戻ろうとする復元が遅いと、周壁部31を素早く連続してスクイズすることができず、洗浄液を効率よく胴部3から押し出すことができない。これに対して本実施形態では、角部33が口部4に装着された蓋部6よりも外側に突き出ており、角部33の口部4からの距離が長いため、高強度の角部33の強度がさらに増し、角部33を起点として周壁部31が元の形状に戻ろうとする復元力が強くなる。よって、使用時にユーザにより周壁部31の正面部310及び/又は背面部311がスクイズされた際に、正面部310及び背面部311を早く復元させることが可能である。これにより、周壁部31の正面部310及び/又は背面部311を素早く連続してスクイズすることが可能であり、洗浄液を効率よく胴部3から押し出し可能である。
【0041】
角部33は、本実施形態では周方向の全周にわたって口部4に装着された蓋部6よりも外側に突き出ているが、周方向の少なくとも一部分において口部4に装着された蓋部6よりも外側に突き出ていてもよい。具体的には、周壁部31のうちの使用時にユーザがスクイズする部分、本実施形態で言えば正面部310及び/又は背面部311に当たる部分の角部33だけを蓋部6よりも外側に突き出させて、左右の側面部312,313に当たる部分の角部33は必ずしも蓋部6よりも外側に突き出させる必要はない。
【0042】
上述した胴部3の目付は、特に限定されないが、容器2が低密度ポリエチレン製の場合の周壁部31、特に正面部310及び/又は背面部311において好ましくは23g/m以上28g/m以下である。正面部310及び/又は背面部311の目付が上記範囲内であることにより、正面部310及び/又は背面部311は、使用時にユーザによるスクイズによって凹むように変形した後の元の形状に戻ろうとする復元力が効果的に強くなる。よって、使用時にユーザに正面部310及び/又は背面部311がスクイズされても、正面部310及び背面部311をより早く復元させることが可能である。これにより、正面部310及び/又は背面部311を素早く連続してスクイズすることが可能であり、洗浄液を効率よく胴部3から押し出し可能である。
【0043】
上述した胴部3の肉厚は、特に限定されず、周壁部31は、正面部310、背面部311及び左右の側面部312,313が全て同じ肉厚であってもよいが、特に図9及び図10に示すように、少なくとも正面部310と背面部311とで肉厚が異なり、正面部310及び背面部311の一方が他方よりも肉厚が0.05mm以上0.20mm以下の範囲、好ましくは0.05mm以上0.10mm以下の範囲で大きいことが好ましい。本実施形態では、正面部310の肉厚D1が背面部311の肉厚D2よりも0.05mm以上0.20mm以下の範囲、好ましくは0.05mm以上0.10mm以下の範囲で大きい。
【0044】
正面部310の肉厚D1が背面部311の肉厚D2よりも大きいことにより、使用時にユーザによってより強くスクイズされる正面部310の弾性力が増し、正面部310はスクイズにより凹むように変形した後の元の形状に戻ろうとする復元力が強くなる。よって、使用時にユーザにより正面部310が強くスクイズされても、正面部310を早く復元させることが可能である。これにより、正面部310を素早く連続してスクイズすることが可能であり、洗浄液を効率よく胴部3から押し出し可能である。
【0045】
なお、背面部311の肉厚D2が正面部310の肉厚D1よりも大きくてもよい。この場合、スクイズ時の感触はユーザの人差指から小指が当たる背面部311側が硬くなり、ユーザの親指が当たる正面部310側が柔らかくなる。そのため、スクイズ時において、ユーザの人差し指から小指は容器2を固定するために機能し、スクイズ時に胴部3から押し出される洗浄液の勢いはユーザの親指の押し操作に大きく依存するため、洗浄液を押し出す量の微調整を容易に行うことが可能である。
【0046】
胴部3の周壁部31は特に限定されないが、好ましくは正面部310が0.9mm以上1.0mm以下であり、背面部311が0.8mm以上0.9mm以下であり、左右の側面部312,313が0.75mm以上0.85mm以下である。
【0047】
口部の説明
次に、口部4の構成について図7図8及び図10を参照して説明する。口部4は、特に限定されないが円筒状を呈し、内壁面及び外壁面は横断面視で円形状である。なお、口部4の横断面視とは、口部4の軸方向に直交する平面に沿った断面である。口部4は胴部3の肩部32の中央に斜め上方に延びるように連設される。
【0048】
口部4は、上下両端が開口しており、上端の開口が洗浄液の注出入口であり、下端の開口が胴部3との連通口である。口部4には、上端の開口を覆うことができるキャップ5が取り外し可能に装着される。口部4の外壁面の上部には、雄ねじ40が設けられる。この雄ねじ40は、キャップ5の雌ねじ62と螺合し、これにより、口部4に装着したキャップ5を口部4から容易に外れないよう両者を連結可能である。なお、口部4にキャップ5を装着して両者を連結する手段は特に限定されず、その他の種々の公知の手段を用いることができる。また、口部4に雄ねじ40等の連結手段を設けず、単にキャップ5内に口部4を嵌め込むだけでもよい。
【0049】
キャップの説明
キャップ5は、図1から図4及び図6から図8に示すように、容器2の口部4に装着される蓋部6と、蓋部6上に連設されるノズル部7と、を含み、蓋部6及びノズル部7は一体物をなしていて、キャップ5は蓋部6及びノズル部7が多部品で構成されていない。キャップ2は、好ましくは弾性変形可能であり、例えばポリエチレン、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー等の合成樹脂により形成することができる。キャップ5は、例えば射出成形等の公知の成形方法で形成することができる。
【0050】
蓋部の説明
まず、蓋部6の構成について図1から図4及び図6から図8を参照して説明する。蓋部6は、天面部60と、天面部60の外周縁から垂下する円筒状の周壁部61と、を含む。周壁部61は、容器2の口部4を内側に入れ込むことが可能であり、周壁部61の内壁面には、口部4の外壁面に設けられた雄ねじ40と螺合する雌ねじ62が設けられる。周壁部61の外壁面には、蓋部6の回転操作を行いやすくするために、ローレットが一周にわたって設けられている。
【0051】
天面部60の下面には、円筒状のインナーリング63が周壁部61と同心円状となるように突設されている。インナーリング63は、容器2の口部4の内径とほぼ同じ大きさの外径を有しており、蓋部6が口部4に装着された際にその外壁面が口部4の内壁面と接触する。これにより、蓋部6と口部4とが液密にシールされ、容器2内の洗浄液が口部4と蓋部6との間から漏れ出すのを抑制可能である。
【0052】
ノズル部の説明
次に、ノズル部7の構成について図1から図4及び図6から図8を参照して説明する。ノズル部7は、ユーザの外鼻孔に挿入される挿入部70と、挿入部70の下方に連なる基部71と、を含み、基部71が蓋部6の天面部60に一体に設けられる。挿入部70は、ユーザの外鼻孔に挿入しやすいように、その外形が上端に向かうに連れて先細りとなる形状を呈する。
【0053】
挿入部70は、その上部70Aが下部70Bよりも肉厚の筒状を呈しており、上部70Aの下面には筒状の接続部72が設けられている。接続部72の内側にチューブ8の上端部を嵌め込むことでノズル部7にチューブ8が接続される。接続部72は、容器2の正面部310側に傾斜するように上部70Aの下面から下方に突き出ている。
【0054】
挿入部70の上部70Aの上端は閉塞しており、上端となる天面部73にチューブ8の上端部が突き当たる。天面部73には洗浄液を噴射する噴射口74が形成されており、チューブ8を流れる洗浄液は噴射口74から噴射される。噴射口74の数は、本実施形態では3つであるが、少なくとも1つあればよい。ただし、噴射口74が複数あると、洗浄液をユーザの鼻腔内に広範囲に噴射でき、鼻腔内に万遍なく洗浄液を行き渡らせることができる。
【0055】
挿入部70は、蓋部6に対してその中心位置からずれた位置(偏心した位置)、つまりは、蓋部6の中心位置より外周縁(周壁部61)側に近付いた位置に設けられている。挿入部70が偏心した位置に設けられていると、挿入部70が手前となるようにユーザが容器2を把持して挿入部70を外鼻孔に挿入することで、蓋部6の周壁部61がユーザの顔(鼻と口の間)に当たらず、使用感を向上可能である。なお、挿入部70は、蓋部6を容器2の口部4に装着させた際に、胴部3の正面部310側又は背面部311側に位置することが好ましく、本実施形態では正面部310側に位置している。
【0056】
チューブの説明
チューブ8は、図7から図9に示すように、例えば熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー等の可撓性を有する合成樹脂により形成された中空棒状体である。チューブ8の長さは、チューブ8の上端部(一端部)がノズル部7の接続部72に接続された状態で下端部(他端部)が容器2の底部30に到達する長さに設定されている。これにより、容器2内の洗浄液が少量になっても、チューブ8により洗浄液をノズル部7まで供給することができる。チューブ8の外径はノズル部7の接続部72の内径と略同じであり、チューブ8の上端部を接続部72内に差し込んで固定することで、ノズル部7にチューブ8を接続可能である。
【0057】
チューブ8は、上端部がノズル部7の接続部72に接続されると、容器2内を斜めに下方に延び、下端部は容器2の底部30の環状溝302の正面部310側に嵌まり込む。鼻洗浄器1は、挿入部70が手前となるようにユーザが容器2を把持して挿入部70を外鼻孔に挿入するが、このとき、容器2は正面部310が斜め下を向く傾いた状態でユーザに把持される(図11を参照)。そのため、使用に伴い容器2内の洗浄液の量が残り僅かになった場合に、残りの洗浄液は容器2の底部30の正面部310側に貯まることから、チューブ8により残りの洗浄液を効率よくノズル部7まで供給可能である。
【0058】
洗浄液の説明
容器2内に収容される洗浄液は、生理食塩水等のこの種の鼻洗浄器1において公知のものを用いることができる。なお、洗浄液は、清涼感を付与するために香料を含ませることが好ましい。
【0059】
香料の成分としては、ハッカ油、柑橘系精油、ペパーミント油ならびにl-メントールを例示することができ、ハッカ油及び柑橘系精油からなる群より選択される少なくとも1種、ペパーミント油ならびにl-メントールを組み合わせて調製されるものを好ましく例示することができる。柑橘系精油は、従来公知のものから選択することができ、特に限定されるものではないが、例えばレモン油、ライム油、グレープフルーツ油、オレンジ油、マンダリン油、ベルガモット油等を挙げることができる。これらの柑橘系精油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。上記柑橘系精油は、各種柑橘類を原料として例えば水蒸気蒸留法、溶媒抽出法等の従来公知の方法によって調製することができるうえ、商業的に入手可能なものを用いることができる。
【0060】
ハッカ油は、上記の精油調製方法によって得られたものを用いることができるうえ、商業的に入手可能なものを用いることができる。ペパーミント油についても、上記の精油調製方法によって得られたものを用いることができるし、商業的に入手可能なものを用いることもできる。l-メントールについては、商業的に入手可能なものを用いることができる。
【0061】
鼻洗浄器の使用方法
本実施形態の鼻洗浄器1は、容器2の口部4から胴部3内に洗浄液を注入し、キャップ5の蓋部6を口部4に装着した後に胴部3を把持しながらキャップ5のノズル部7をユーザの鼻の一方の外鼻孔から鼻腔内に挿入する。そして、胴部3の周壁部31をスクイズすることにより、胴部3から洗浄液をチューブ8を介して押し出してノズル部7の各噴射口74から鼻の一方の鼻腔内に噴射する。噴射された洗浄液が一方の鼻腔から鼻の他方の鼻腔に流れ込んだ後、他方の鼻腔内から外鼻孔を介して吐き出されることで、鼻腔が洗浄される。
【0062】
鼻洗浄器の作用効果
本実施形態の鼻洗浄器1によれば、胴部3は、その上端に周方向の全周にわたって角部33を有し、角部33は、周方向の少なくとも一部分において口部4に装着された蓋部6よりも外側に突き出ている。これにより、角部33は肩部32を介して連設された口部4から大きく外側に離れて位置するため、高強度の角部33の強度がさらに増す。よって、使用時にユーザにより周壁部31の正面部310及び/又は背面部311がスクイズされた際に、角部33を起点として周壁部31の正面部310及び背面部311が元の形状に戻ろうとする復元力が強くなるため、周壁部31の正面部310及び背面部311を早く復元させることができ、周壁部31の正面部310及び/又は背面部311を素早く連続してスクイズすることができる。
【0063】
以上の通り、本実施形態の鼻洗浄器1によれば、スクイズ後の容器2の周壁部31の復元が早く、大型の容器2であっても復元に時間がかからないため、ユーザが素早く連続して容器2の周壁部31をスクイズすることができる。よって、洗浄液を効率よく胴部3から押し出すことができる。
【0064】
また本実施形態の鼻洗浄器1によれば、容器2の周壁部31は、図7及び図9に示すように、正面部310の肉厚D1が背面部311の肉厚D2よりも大きい。これにより、使用時にユーザによってより強くスクイズされる周壁部31の正面部310の弾性力が増し、正面部310はスクイズにより凹むように変形した後に元の形状に戻ろうとする復元力が強くなる。よって、使用時にユーザにより周壁部31の正面部310が強くスクイズされても、正面部310を早く復元させることができ、周壁部31の正面部310を素早く連続してスクイズすることができる。その結果、洗浄液を効率よく胴部3から押し出すことができる。
【0065】
また本実施形態の鼻洗浄器1によれば、容器2が低密度ポリエチレン製であり、胴部3の周壁部31(正面部310及び/又は背面部311)の目付が23g/m以上28g/m以下である。これにより、使用時にユーザによりスクイズされる周壁部31(正面部310及び/又は背面部311)は、凹むように変形した後の元の形状に戻ろうとする復元力が強くなる。よって、使用時にユーザにより周壁部31(正面部310及び/又は背面部311)がスクイズされた際に、周壁部31(正面部310及び背面部311)を早く復元させることができ、周壁部31(正面部310及び/又は背面部311)を素早く連続してスクイズすることができる。その結果、洗浄液を効率よく胴部3から押し出すことができる。
【0066】
また本実施形態の鼻洗浄器1によれば、容器2内に挿入されるチューブ8はその下端部が胴部3の底部30の環状溝302に入り込んでいる。これにより、図11に示すように、使用の際にユーザにより胴部3の周壁部31がスクイズされても、チューブ8の下端部は環状溝302に入り込んだまま動かずに環状溝302に保持される。よって、チューブ8により安定して容器2内の洗浄液をノズル部7に供給することができる。そのうえ、容器2内の洗浄液の残量が少量になってもチューブ8により余すことなく洗浄液をノズル部7に供給して洗浄液を使い切ることができる。
【0067】
変形例の説明
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形が可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態では、周壁部31の高さが高く、容器2が従来品よりも大型であるが、他の実施形態として、周壁部31の高さを低くして、容器2を従来品と同じ程度のサイズにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、胴部3は偏平状を呈しているが、他の実施形態として、胴部3は偏平状を呈していなくてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、胴部3の底部30は環状溝302が形成されているが、他の実施形態として、胴部3の底部30は環状溝302が形成されていなくてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、胴部3の周壁部31の正面部310及び背面部311は、(1)上下方向に沿って外側に凸をなして湾曲しており、かつ、(2)その先端T1,T2が正面部310及び背面部311の上端及び下端の中央と同じ高さに位置する又は前記中央よりも下方に位置しているが、他の実施形態として、正面部310及び背面部311の両方とも、上記(1)を充足するものの上記(2)を充足していなくてもよいし、上記(1)及び(2)のいずれも充足せずに例えば上下方向に沿って平坦状をなしていてもよい。この実施形態では、左右の側面部312,313について、(1)上下方向に沿って外側に凸をなして湾曲させ、かつ、(2)その最も外側に突き出る先端を左右の側面部312,313の上端及び下端の中央と同じ高さに位置させる又は前記中央よりも下方に位置させる等して、周壁部31の正面部310及び/又は背面部311ではなく、左右の側面部312,313がスクイズされるように構成してもよい。
【実施例
【0072】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0073】
実施例1から実施例3及び比較例の鼻洗浄器を用いてモニター試験を行った。試験を行った各例の鼻洗浄器は、上述した実施形態(図1から図9に示す構成)の鼻洗浄器1を用いた。各例の鼻洗浄器の相違は、容器の胴部の周壁部における正面部と背面部との肉厚の差であり、実施例1では正面部の肉厚が背面部の肉厚よりも0.05mm大きく、実施例2では正面部の肉厚が背面部の肉厚よりも0.10mm大きく、実施例3では正面部の肉厚が背面部の肉厚よりも0.15mm大きく、比較例では正面部の肉厚が背面部の肉厚よりも0.10mm小さい。各例の鼻洗浄器の周壁部の肉厚は0.75mm以上1.0mm以下の範囲である。また、各例の鼻洗浄器の周壁部の高さは105mm以上116mm以下の範囲である。また、各例の鼻洗浄器の容器は低密度ポリエチレン製であり、正面部の目付は23.0g/mである。
【0074】
パネラー(6人)に、図11に示すようにして各例の鼻洗浄器の胴部を片手で把持して周壁部の正面部及び背面部をスクイズしてもらい、周壁部の復元性についてアンケートを行った。アンケートは、「復元が早く連続してスクイズしやすい」、「どちらかといえば復元が早く連続してスクイズしやすい」、「どちらともいえない」、「どちらかといえば復元が遅く連続してスクイズし難い」、「復元が遅く連続してスクイズし難い」の5段階評価とし、「復元が早く連続してスクイズしやすい」と回答したパネラーの人数をカウントして、6名を「◎」、4名から5名を「○」、2名から3名を「△」、0名から1名を「×」と評価した。この結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1の結果、周壁部の正面部の肉厚が背面部の肉厚よりも大きいことにより、周壁部をスクイズした後に周壁部を早く復元させることが可能であり、周壁部を素早く連続してスクイズすることが可能であることが確認できる。よって、洗浄液を効率よく胴部から押し出せることが分かる。
【0077】
次に、実施例4,5の鼻洗浄器について、生理食塩水を250mL充填した状態で、パネラー(6人)に、周壁部の正面部の底部から約5cm上方の部分を胴部内のチューブに当たるまで手で押してもらい、手を離してから復元するまでに要する時間を測定した。そして、6人のパネラーの平均値を算出し、小数点第二位を四捨五入した値を復元時間とした。また、6人のパネラーに正面部を手で押してもらった際の感触についてアンケートを行った。アンケートは、「硬い」、「やや硬い」、「ちょうど良い」、「やや柔らかい」、「柔らかい」の5段階評価とし、「ちょうど良い」と回答したパネラーの人数をカウントして、6名を「◎」、4名から5名を「○」、2名から3名を「△」、0名から1名を「×」と評価した。これらの結果を表2に示す。なお、実施例4では正面部の目付が25.5g/mであり、実施例5では正面部の目付が27.5g/mである。また、実施例4,5の鼻洗浄器は、容器の胴部の周壁部における正面部と背面部との肉厚に差があり、正面部の肉厚が背面部の肉厚よりも0.10mm大きい。また、実施例4,5の鼻洗浄器の周壁部の肉厚は0.75mm以上1.0mm以下の範囲である。また、実施例4,5の鼻洗浄器の周壁部の高さは105mm以上116mm以下の範囲である。また、実施例4,5の鼻洗浄器の容器は低密度ポリエチレン製である。
【0078】
【表2】
【0079】
表2の結果、容器が低密度ポリエチレン製であり、周壁部の目付が23g/m以上28g/m以下であることにより、周壁部をスクイズした後に周壁部を早く復元させることが可能であることが確認できる。よって、周壁部を素早く連続してスクイズすることができ、洗浄液を効率よく胴部から押し出せることが分かる。また、周壁部をスクイズした際の感触を良好にできることが確認できる。
【符号の説明】
【0080】
1 鼻洗浄器
2 容器
3 胴部
4 口部
5 キャップ
6 蓋部
7 ノズル部
8 チューブ
30 胴部の底部
31 胴部の周壁部
32 胴部の肩部
33 胴部の角部
300 底部の中央部分
301 底部の外周縁部分
302 底部の環状溝
310 周壁部の正面部
311 周壁部の背面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12