(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】ユニバーサルプロセスキット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240930BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240930BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
H01L21/302 101B
H01L21/68 R
(21)【出願番号】P 2022104311
(22)【出願日】2022-06-29
(62)【分割の表示】P 2017023919の分割
【原出願日】2017-02-13
【審査請求日】2022-07-26
(32)【優先日】2016-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ ジュベール
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エー ケニー
(72)【発明者】
【氏名】スニル スリニバサン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ロジャーズ
(72)【発明者】
【氏名】ラジンダー ディンドサ
(72)【発明者】
【氏名】ベダプラム エス アチュサラマン
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ ルエレ
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-278166(JP,A)
【文献】特開2010-016319(JP,A)
【文献】特開2016-025277(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0001180(US,A1)
【文献】特開2006-127900(JP,A)
【文献】特開2008-244096(JP,A)
【文献】特開2017-157828(JP,A)
【文献】特開2010-251723(JP,A)
【文献】特開2010-016363(JP,A)
【文献】特表2012-500470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する半導体処理チャンバ内での使用に適し、基板に隣接して配置される内側リングであって、
基板と内側リングとの間のギャップは1000μm未満であり、
第2面に対向する第1面を有する非金属導電体であって、第2面は少なくとも部分的に内部に穿孔された少なくとも1つのスロットを含み、50オーム・cm未満の抵抗率を有する非金属導電体を含み、
内側リングの内径に沿って配置されたノッチを含み、
ノッチは、1200μm未満立ち上がる鉛直成分と、1300μm~2500μmの間で延びる水平成分とを有し、
少なくとも1つのスロットは、ノッチと内側リングの外径との間に配置され、
基板の上面によって形成される平面と第1面によって形成される平面との間の鉛直距離は±400nm以内である内側リング。
【請求項2】
少なくとも1つのスロット内に収容された少なくとも1つの熱接触パッドを含む、請求項1記載の内側リング。
【請求項3】
少なくとも1つの熱接触パッドは、非連続的なリング形状を有する、請求項2記載の内側リング。
【請求項4】
少なくとも1つの熱接触パッドはシリコーン材料を含む、請求項2記載の内側リング。
【請求項5】
内側リングはシリコン材料を含む、請求項1記載の内側リング。
【請求項6】
内側リングは炭化ケイ素材料を含む、請求項1記載の内側リング。
【請求項7】
基板を処理するための処理チャンバ内での使用に適したプロセスキットであって、
内側リングと外側リングを含むエッジリングを含み、
内側リングは基板に隣接して配置され、
基板と内側リングとの間のギャップは1000μm未満であり、
第2面に対向する第1面を有する非金属導電体であって、第2面は少なくとも部分的に内部に穿孔された少なくとも1つのスロットを含み、50オーム・cm未満の抵抗率を有する非金属導電体を含み、
内側リングの内径に沿って配置されたノッチを含み、
ノッチは、1200μm未満立ち上がる鉛直成分と、1300μm~2500μmの間で延びる水平成分とを有し、
基板の上面によって形成される平面と第1面によって形成される平面との間の鉛直距離は±400nm以内であり、
外側リングは、内側リングと結合し、内側リングの外径を取り囲み、
外側リングの内径に沿って形成された支持棚を含み、
少なくとも1つのスロットは、ノッチと支持棚との間に配置されている、プロセスキット。
【請求項8】
少なくとも1つのスロット内に収容された少なくとも1つの熱接触パッドを含む、請求項7記載のプロセスキット。
【請求項9】
少なくとも1つの熱接触パッドは、非連続的なリング形状を有する、請求項8記載のプロセスキット。
【請求項10】
少なくとも1つの熱接触パッドはシリコーン材料を含む、請求項8記載のプロセスキット。
【請求項11】
第2の熱接触パッド、第3の熱接触パッド、及び第4の熱接触パッドを含み、各熱接触パッドは、内側リング内に形成されたスロット内に配置される、請求項8記載のプロセスキット。
【請求項12】
内側リングはシリコン材料を含む、請求項7記載のプロセスキット。
【請求項13】
内側リングは炭化ケイ素材料を含む、請求項7記載のプロセスキット。
【請求項14】
基板上に半導体プロセスを実行するためのプラズマチャンバであって、
基板支持アセンブリと、
基板支持アセンブリに隣接して配置された内側リングであって、
第2面に対向する第1面を有する非金属導電体であって、第2面は少なくとも部分的に内部に穿孔された少なくとも1つのスロットを含み、50オーム・cm未満の抵抗率を有する非金属導電体を含み、
内側リングの内径に沿って配置されたノッチを含み、
ノッチは、1200μm未満立ち上がる鉛直成分と、1300μm~2500μmの間で延びる水平成分とを有し、
少なくとも1つのスロットは、ノッチと内側リングの外径との間に配置されている内側リングを備え、
基板の上面によって形成される平面と第1面によって形成される平面との間の鉛直距離は±400nm以内であり、
基板と内側リングとの間のギャップは1000μm未満であるプラズマチャンバ。
【請求項15】
少なくとも1つのスロット内に収容された少なくとも1つの熱接触パッドを含む、請求項14記載のプラズマチャンバ。
【請求項16】
少なくとも1つの熱接触パッドは、非連続的なリング形状を有する、請求項15記載のプラズマチャンバ。
【請求項17】
少なくとも1つの熱接触パッドはシリコーン材料を含む、請求項15記載のプラズマチャンバ。
【請求項18】
第2の熱接触パッド、第3の熱接触パッド、及び第4の熱接触パッドを含み、各熱接触パッドは、内側リング内に形成されたスロット内に配置される、請求項15記載のプラズマチャンバ。
【請求項19】
内側リングはシリコン材料を含む、請求項14記載のプラズマチャンバ。
【請求項20】
内側リングは炭化ケイ素材料を含む、請求項14記載のプラズマチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本開示の実施形態は、概して、半導体処理に関し、より具体的には、半導体処理チャンバ内で使用されるプロセスキットに関する。
【0002】
(関連技術の説明)
様々な半導体製造プロセス(例えば、プラズマ援用エッチング又は化学気相堆積)は、プラズマ処理チャンバ内で実行される。基板支持体は、半導体処理チャンバ内の処理位置で基板を支持する。1以上の処理ガスを含むプラズマ領域が半導体処理チャンバ内で維持され、基板支持体上に配置された基板上で半導体製造プロセスを実行する。
【0003】
プラズマシースは、プラズマを材料境界に分離する空間電荷によって形成される強い電場の薄い領域である。プラズマエッチングの間、プラズマシースは、プラズマと、エッチングされる基板、半導体処理チャンバの壁、及びプロセスキットを含むプラズマ領域と接触する半導体処理チャンバの他のすべての部分との間に形成される。
【0004】
プラズマシースの厚さ(d)は、以下に示す数式1で表される。
d=(2/3)(ε/i)1/2(2e/m)1/4(VP-VDC)3/4
(数式1)
【0005】
数式中、「i」はイオン電流密度、「ε」は真空の誘電率、「e」は素電荷、「m」はイオン質量、「VP」はプラズマポテンシャルである。図示されるように、プラズマシースの厚さは、プラズマパラメータ、すなわち、イオン電流「i」及び「VDC」にそれぞれ影響を与えるソース電力及びバイアス電力を調整することによって増加又は減少させることができる。プラズマ領域内で生成されたイオンは、プラズマシースに垂直な軌道でプラズマシース内を加速される。プラズマシースは、一般的に、基板の平坦面に平行であるので、プラズマシースを通過するイオンは、一般的に、垂直方向に基板に衝突する。逆に、(例えば、基板の端部にプロセスキットが存在することによって引き起こされる)プラズマシースの形状の摂動は、局所的にイオン束を変化させ、プラズマシースを通過するイオンを非垂直方向に基板に衝突させ、これによってエッチングの不均一性を生じさせる。
【0006】
したがって、当技術分野では、改良されたプロセスキットが必要とされている。
【概要】
【0007】
半導体処理チャンバ内での使用に適したプロセスキットが開示されている。一実施形態では、プロセスキットは、エッジリングを含む。エッジリングは、内側リングと外側リングとを含む。内側リングは、第2面に対向する第1面を有する非金属の導電体を含む。非金属の導電体は、約50オーム・cm未満の抵抗率を有する。内側リングは、内側リングの内径に沿って配置されたノッチを更に含む。ノッチは、約1200μm未満立ち上がる鉛直成分と、約1300μm~約2500μmの間で延びる水平成分とを有する。外側リングは内側リングに結合され、内側リングの周囲を取り囲む。外側リングは、第4面に対向する第3面を有する石英本体を含む。
【0008】
別の一実施形態では、基板上に半導体プロセスを実行するためのプラズマチャンバが開示される。プラズマチャンバは、基板支持アセンブリとプロセスキットとを含む。プロセスキットは、基板支持アセンブリに隣接して使用するのに適しており、基板支持アセンブリのフランジに結合されている。プロセスキットは、エッジリングと導電性部材とを含む。エッジリングは、エッジリングの内径に沿って配置されたノッチを含む。ノッチは、約1200μm未満立ち上がる鉛直成分と、約1300μm~約2500μmの間で延びる水平成分とを有する。更に、導電性部材はエッジリングに結合される。
【0009】
更に別の一実施形態では、処理チャンバ内で使用するのに適したプロセスキットは、エッジリングと、少なくとも1つの熱接触パッドと、導電性部材とを含む。エッジリングは、処理チャンバ内に配置された基板支持アセンブリの周囲を包囲する。エッジリングは、内側リングと外側リングとを含む。内側リングは、基板支持アセンブリに隣接して配置され、非金属の導電性材料を含む。内側リングは、内側リングの内径に沿って配置されたノッチを更に含み、ノッチは、約1200μm未満立ち上がる鉛直成分と、約1300μm~約2500μmの間で延びる水平成分とを有する。外側リングは、内側リングに結合され、内側リングの周囲を取り囲む。外側リングは、石英材料を含む。少なくとも1つの熱接触パッドは、内側リングに結合され、内側リング内に形成されたスロット内に配置される。更に、導電性部材は、外側リングに結合される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の上述した構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照して行う。実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【
図1】本明細書に記載の実施形態に係るプラズマ処理チャンバの概略断面図を示す。
【
図2B】
図1のプロセスキットの概略断面図及び拡大概略断面図をそれぞれ示す。
【
図4B】バイアス電力に対して高いソース電力で実行された窒化物のエッチング速度と、バイアス電力に対して低いソース電力で実行された窒化物のエッチング速度との概略グラフを示す。
【0011】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び構成を更なる説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。
【詳細な説明】
【0012】
本明細書に記載されている実施形態は、概して、従来のプロセスキットと比較して、単一のエッジリングでエッジ効果を低減する、半導体処理チャンバでの使用に適したプロセスキットに関する。プロセスキットは、一般的に、プラズマチャンバ内で半導体基板の周囲に隣接して配置され、半導体基板の周囲を取り囲むエッジリングを含む。基板とエッジリングとの間のギャップの寸法は約1000μm未満であり、基板とエッジリングとの間の高さの差は約±300μm未満である。リングの抵抗率は約50オーム・cm未満である。
【0013】
本明細書に記載の「基板」又は「基板表面」は、一般的に、上で処理が行われる任意の基板表面を指す。例えば、基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化シリコン、ドープされたシリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ガリウムヒ化、ガラス、サファイア、及び任意の他の材料(例えば、金属、金属窒化物、金属合金、及び他の導電性又は半導電性材料)を含むことができる。基板又は基板表面はまた、誘電体材料(例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、有機ケイ酸塩、及び炭素ドープの酸化ケイ素又は窒化物材料)を含むことができる。「基板」という用語は、「ウェハ」という用語を更に含むことができる。基板自体は、特定のサイズ又は形状に限定されない。本明細書に記載された実施形態は、概して丸い基板を参照して行われているが、他の形状(例えば、多角形、正方形、矩形、湾曲した、又は他の非円形のワークピース)が、本明細書に記載の実施形態に応じて利用されてもよい。
(処理チャンバの概略説明)
【0014】
図1は、本実施形態を使用することができる半導体処理チャンバ100の一実施形態の概略断面図を示す。図示の半導体処理チャンバ100は、エッチング又は化学蒸着(CVD)のいずれかに適した磁気強化プラズマチャンバである。
【0015】
処理チャンバ100は、円筒形の側壁102と、円形の底壁104と、円形の上壁106とを含む。アノード電極108は、上壁106の底部に取り付けられ、電気的に接地されてもよい。アノード電極108は、処理ガスが半導体処理チャンバ100に入るガス入口として機能するように穿孔されていてもよい。半導体処理チャンバ100の壁102、104、106の各々は金属であるが、壁102、104、106の一部又は全部は、半導体材料又は誘電体材料を含んでいてもよい。誘電体ではない任意の壁102、104、106は、電気的に接地され、アノード電極108の一部として機能させることができる。
【0016】
基板支持アセンブリ120は、処理チャンバ100内に配置される。基板支持アセンブリ120は、アノード電極108に面する実質的に平坦な前面140を有する。基板支持アセンブリ120の前面140は、処理中に基板110を支持する。基板支持アセンブリ120は、半導体処理チャンバ100の底壁104によって支持することができる。基板支持アセンブリ120は、以下に説明するようにカソード電極として機能する金属製の基板支持体122を有するが、基板支持体122は、基板支持アセンブリ120内に配置された別の電極がカソード電極として動作するように構成されていれば、金属である必要はない。
【0017】
基板110は、機械式クランプ、真空、重力、又は静電力によって、基板支持アセンブリ120上の定位置に保持することができる。一実施形態では、基板支持アセンブリ120は、処理中に基板支持アセンブリ120の前面140に対して基板110をしっかりと保持するために通電可能な静電チャック126を含む。
【0018】
静電チャック126は、誘電体材料142によって囲まれた少なくとも1つのチャック電極124を含む。静電チャック126の誘電体材料142は、チャック電極124を基板110及び金属基板支持体122から電気的に絶縁し、こうしてチャック電極124への通電時に基板110への静電引力を発生させることができる。静電チャック126を動作させるための電力は、電源128によって供給される。
【0019】
基板110を支持する静電チャック126の部分144の直径は、基板110の直径より小さくすることができる(すなわち、基板110は、基板110を支持する静電チャック126の部分144の周囲よりわずかに張り出している)。
【0020】
基板支持アセンブリ120は、静電チャック126の下に配置された基板支持体122を更に含む。基板支持体122は、円筒形状とすることができ、金属材料(例えば、陽極酸化アルミニウム)で構成することができる。基板支持体122は、静電チャック126よりも大きな半径を有し、静電チャック126を基板支持体122に固定するのを促進するフランジ146を提供する。
【0021】
真空ポンプ(図示せず)は、処理チャンバから排気マニホールド130を通ってガスを排気し、チャンバ内の全ガス圧力を、プラズマの生成を促進するのに十分低いレベル(例えば、約10ミリトール~20トールの範囲内)に維持し、この範囲の下端及び上端の圧力は、それぞれ、エッチングプロセス及びCVDプロセスにより適している。
【0022】
基板110の処理中、プラズマは、基板110とアノード電極108との間に画定される処理チャンバ100の領域148内に維持される。プラズマは、処理ガス混合物をプラズマ状態に励起することによって生成される。プラズマは、処理チャンバ内で生成する(インサイチュープラズマ)、又は別のチャンバ内で生成して(リモートプラズマソース)、処理チャンバ内にポンピングすることができる。
【0023】
高周波(RF)電源132は、1以上の直列結合コンデンサ134を介して、以下のチャンバ部品:基板支持体122、チャック電極124、又は静電チャック126内に埋設された追加の電極(例えば、ワイヤメッシュ)のうちの1以上に接続される。これらの部品のいずれかがRF電源に接続されていれば、これらはまとめて処理チャンバのカソード電極を構成する。一実施形態では、基板支持体122は、カソード電極として機能するようにRF電源132に接続される。
【0024】
RF電源132は、カソード電極と接地されたアノード電極108との間にRF電圧を供給し、これはプラズマを維持するのに必要な励起電力を供給するのを助ける。カソードに印加されたRF電圧はまた、アノード電極とプラズマの両方に対してカソード電極に負の時間平均DCバイアス電圧を生成し、これはイオン化された処理ガス成分をカソード電極に向かって加速し、基板110の処理を促進する。
【0025】
例示的な一実施形態では、基板支持アセンブリ120によって支持される基板110は、200mm、300mm、又は450mmのシリコンウェハとすることができる。標準の200mm基板は、一般的に、約725μmの厚さを有する。標準的な300mm基板は、一般的に、約775μmの厚さを有する。標準的な450mm基板は、一般的に、約925μmの厚さを有する。
(ユニバーサルプロセスキット)
【0026】
図2Aは、
図1の半導体処理チャンバ100内での使用に適したプロセスキット200の概略断面図を示す。
図3は、
図1のプロセスキット200の概略上面図を示す。
図2A及び
図3の両方を参照すると、プロセスキット200は、半導体処理チャンバ100内に配置され、プラズマ処理を改善し、処理中にチャンバ部品を保護する。いくつかの実施形態では、プロセスキット200は、基板支持アセンブリ120に結合される、及び/又は支持されることができ、基板支持アセンブリ120に隣接して使用することができる。プロセスキット200は、基板110の周囲の周りに更に延在する、及び/又は基板110に隣接して配置される。
【0027】
プロセスキット200は、エッジリング202を含む。エッジリング202は、内側リング204及び外側リング206を含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、内側リング204及び外側リング206は、単一のリングを形成可能であることが理解される。エッジリング202は、基板支持アセンブリ120の周囲150を取り囲む。エッジリング202は、エッジリング202及び/又は内側リング204の内径212に沿って配置されたノッチ210を含む。
【0028】
内側リング204は、基板支持アセンブリ120に隣接して配置される。内側リング204は、第1面214及び第2面216を含み、第2面216は、第1面214に対向している。内側リング204は、約100オーム・cm未満(例えば、約50オーム・cm未満)の抵抗率を有する非金属及び/又は導電性材料から製造される。内側リング204は、炭化ケイ素材料、シリコン材料、非金属材料、及び/又はそれらの混合物及び組み合わせから製造されてもよい。
【0029】
内側リング204は、ノッチ210を更に含む。いくつかの実施形態では、ノッチ210は、内側リング204の内径212内に形成される。ノッチ210は、
図2Aで参照矢印「V」によって表されるような鉛直成分を含む。鉛直成分Vは、約1500μm未満(例えば、約1200μm未満)の立ち上がりを有することができる。ノッチ210は、
図2Aの参照矢印「H」によって表されるような水平成分を更に含む。水平成分Hは、約1000μm~約3000μm(例えば、約1300μm~約2500μm(例えば、約1800μm))の間を延びるラン(走行距離)を有することができる。ノッチ210は、処理中に、基板110を支持する、及び/又は基板110の動きを防止することができる。
【0030】
図2Bは、
図2Aに示されるエッジリング202のノッチ210の拡大断面図である。基板110のエッジでプラズマシースを摂動させないために、プロセスキット200の寸法は、厳密な公差内で正確に形成される。このように、基板110とエッジリング202の内側リング204との間のギャップEの寸法は、約1000μm未満(例えば、約800μm未満(例えば、約800μm未満))である。更に、エッジリング202の内側リング204の高さFは、基板110の上面240と内側リング204の第1面214とがほぼ同じ平面内になるように選択される。いくつかの実施形態では、ほぼ同じ平面内とは、基板110の上面240によって形成される平面と内側リング204の第1面214によって形成される平面との間の鉛直距離が、互いに約±400μm以内(例えば、互いに約±300μm以内(例えば、互いに±200μm以内))にある。
【0031】
図2A及び
図3に戻ると、外側リング206は、内側リング204に結合され、内側リング204の周囲218を取り囲むことができる。いくつかの実施形態では、外側リング206は、外側リングの内周222に沿って形成された支持棚220を介して内側リング204を支持することができる。更に、外側リング206は、第3面224及び第4面226を含む。第3面224は、第4面226に対向することができる。外側リング206は、石英材料を含むことができる。
【0032】
プロセスキット200は、少なくとも1つの熱接触パッド208を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、熱接触パッド208はオプションであってもよい。
図2Aには、1つの熱接触パッド208の一部のみが示されているが、
図2Bに示されるように、複数の熱接触パッド208を利用可能であることが理解される。熱接触パッド208は、シリコーン(ポリマー)材料から製造することができる。更に、熱接触パッド208及びエッジリング202は、それぞれ同様の熱伝導率を共有することができる。熱接触パッド208の利点は、エッジリング202と静電チャック126との間の良好な熱接触の促進を含む。
【0033】
熱接触パッド208は、内側リング204に結合させることができる。各熱接触パッド208は、内側リング204の第2面216と接触し、いくつかの実施形態では、各熱接触パッド208は、
図3に示されるように、非連続の(すなわち、セグメント化された)リング形状を有することができる。このように、熱接触パッド208は、エッジリング202と同様のリング形状を含むことができるが、熱接触は、エッジリング202の周りに完全には延びていなくてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、連続リングであり、連続したリング形状を有する1つの熱接触パッド208が、エッジリング202の周りに完全に延在していてもよいことが理解される。しかしながら、他の実施形態では、熱接触パッド208は、任意の適切な形状とすることができる。
【0034】
更に、
図3に示されるように、複数の熱接触パッド208が内側リング204に接触してもよい。
図3には4つの熱接触パッド208が示されているが、任意の数の熱接触パッド208を利用可能であることが理解される。各熱接触パッド208は、エッジリング202と静電チャック126との間の良好な熱接触を促進することができる。
【0035】
内側リング204の第2面216は、少なくとも部分的に内部に形成された少なくとも1つのスロット228を含むことができる。各スロット228は、熱接触パッド208のうちのそれぞれ1つを収容することができる。このように、熱接触パッド208の数と、内側リング204の第2面216内に形成されたスロット228の数は、同じとすることができる。各熱接触パッド208は、各スロット228内に完全に収容することができるが、いくつかの実施形態では、各熱接触パッド208は、内側リング204の第2面216を越えて突出するように、それぞれのスロット228から外へ部分的に延在させることができる。各スロット228は、それぞれの熱接触パッド208を保護し、熱接触パッド208の他の部品との干渉を最小にする。
【0036】
いくつかの実施形態では、プロセスキット200は、導電性部材230を更に含むことができる。導電性部材230は、外側リング206の第4面226に結合することができる。いくつかの実施形態では、外側リング206は、第4面226内に形成されたチャネル232を含むことができる。導電性部材230は、外側リング206が導電性部材230に結合されるように、チャネル232内に少なくとも部分的に配置することができる。
【0037】
試験が行われ、結果は、
図4A及び
図4Bの概略グラフに示されるように、本明細書に開示されるプロセスキットの使用によって、イオン集束及び非集束効果が最小限に抑えられることを示した。更に図示されるように、リングの上面に対する基板の表面の位置は、基板のエッジでのプラズマシースの摂動を最小にするために重要である。基板がエッジリングの平面より上になるようにエッジリングが機械加工される場合、プラズマシースは外側に曲げられる可能性がある。イオンはプラズマシースに対して垂直に移動し、従って基板のエッジから偏向され、エッチング速度を低下させる。他方、基板がリングの平面よりも下になるようにエッジリングが機械加工される場合、シースは内側に曲げられ、こうしてウェハのエッジにイオンを集束させ、エッチング速度を高める可能性がある。本明細書に開示されたプロセスキットの利用は、エッジリングと同じ平面内に基板を位置決めし、したがって、プラズマシースの屈曲が最小限に抑えられる。更に、プラズマシースが曲がる能力は、プラズマシースの厚さに依存し、したがって、プラズマ条件(主に、ソース及びバイアス電力(式1参照))に依存する。
図4A及び
図4Bは、本開示のプロセスキットが、バイアス電力(例えば、約50ワット~約500ワット)に対して高い電力ソース(例えば、約1000ワット超)、又はバイアス電力(例えば、約50ワット~約500ワット)に対して低いソース電力(例えば、約500ワット未満)の場合、プロセスキットの幾何学的形状は、プラズマ条件にかかわらずエッジ効果を最小にした。
【0038】
本開示の利点は、基板のエッジでプラズマシースの摂動を低減するプロセスキットを含む。エッジリングは、導電性リング及び非導電性リングを含むことができ、両方とも基板と平らになるように機械加工することができる。したがって、プロセスキットは、不均一なプラズマシースに起因するプラズマエッチングの変動を低減し、こうしてプロセスの均一性を改善するように機能する。
【0039】
要約すると、本明細書に記載されている実施形態は、概して、従来のプロセスキットと比較して、単一のエッジリングで、エッジ効果を低減し、処理ウィンドウを広げる、半導体処理チャンバでの使用に適したプロセスキットに関する。プロセスキットは、一般的に、プラズマチャンバ内で半導体基板の周囲に隣接して配置され、半導体基板の周囲を取り囲むエッジリングを含む。基板とエッジリングとの間のギャップの寸法は約1000μm未満であり、基板とエッジリングとの間の高さの差は約±300μm未満である。リングの抵抗率は約50オーム・cm未満である。
【0040】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の及び更なる実施形態は本開示の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。