(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】マスク形状を制御し、選択性対プロセスマージンのトレードオフを破壊するためのマルチステートRFパルス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
(21)【出願番号】P 2022509590
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(86)【国際出願番号】 US2020047370
(87)【国際公開番号】W WO2021035132
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-07-27
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドール・ニキル
(72)【発明者】
【氏名】スワミナザン・ヴィクラン・ヴィラサー
(72)【発明者】
【氏名】チアン・ベイベイ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・メレット
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-069542(JP,A)
【文献】特開2009-239054(JP,A)
【文献】特表2013-535074(JP,A)
【文献】特開2010-238960(JP,A)
【文献】特開平11-224796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理システムにおいて基板にエッチングプロセスを実施するための方法であって、
前記プラズマ処理システムの電極にソースRF電力を印加する工程と、
前記電極にバイアスRF電力を印加する工程と、を含み、
前記ソースRF電力および前記バイアスRF電力は共に、複数のマルチステートパルスRFのサイクルを規定するパルス信号であり、各サイクルは、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を有し、
前記第1の状態は、第1のソースRF電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、第1のバイアスRF電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定され、
前記第2の状態は、
ゼロの電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、
ゼロの電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定され、
前記第3の状態は、前記第1のソースRF電力レベルよりも低い第2のソースRF電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、
ゼロの電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定され
、
前記第1の状態は、前記基板の表面のフィーチャのエッチングをもたらすように構成されており、
前記第2の状態は、前記基板の前記表面の前記フィーチャのパッシベーションをもたらすように構成されており、
前記第3の状態は、前記フィーチャのネックを形成する材料の除去をもたらすように構成されている、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記バイアスRF電力は、
10MHzよりも小さい周波数を有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記ソースRF電力は、
20MHzよりも大きい周波数を有する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3の状態は、前記第1の状態の持続期間の
1~5倍の持続期間を有する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2の状態は、前記第1の状態の持続期間と
等しい持続期間を有する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1のソースRF電力レベルは、
1~6kWの範囲であり、
前記第1のバイアスRF電力レベルは、
5~20kWの範囲である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2のソースRF電力レベルは、
100Wから6kWの範囲である、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
各サイクル内で、前記第3の状態は、前記第2の状態のすぐ後に続く、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
各サイクル内で、前記第2の状態は、前記第3の状態のすぐ後に続く、方法。
【請求項10】
プラズマ処理システムにおける基板へのエッチングプロセスを前記プラズマ処理システムに行わせるように構成された制御装置であって、前記エッチングプロセスは、
前記プラズマ処理システムの電極にソースRF電力を印加する動作と、
前記電極にバイアスRF電力を印加する動作と、を含み、
前記ソースRF電力および前記バイアスRF電力は共に、複数のマルチステートパルスRFのサイクルを規定するパルス信号であり、各サイクルは、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を有し、
前記第1の状態は、第1のソースRF電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、第1のバイアスRF電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定され、
前記第2の状態は、
ゼロの電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、
ゼロの電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定され、
前記第3の状態は、前記第1のソースRF電力レベルよりも低い第2のソースRF電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、
ゼロの電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定され
、
前記第1の状態は、前記基板の表面のフィーチャのエッチングをもたらすように構成されており、
前記第2の状態は、前記基板の前記表面の前記フィーチャのパッシベーションをもたらすように構成されており、
前記第3の状態は、前記フィーチャのネックを形成する材料の除去をもたらすように構成されている、制御装置。
【請求項11】
請求項
10に記載の制御装置であって、
前記バイアスRF電力は、
10MHzよりも小さい周波数を有する、制御装置。
【請求項12】
請求項
10に記載の制御装置であって、
前記ソースRF電力は、
20MHzよりも大きい周波数を有する、制御装置。
【請求項13】
請求項
10に記載の制御装置であって、
前記第3の状態は、前記第1の状態の持続期間の
1~5倍の持続期間を有する、制御装置。
【請求項14】
請求項
10に記載の制御装置であって、
前記第2の状態は、前記第1の状態の持続期間と
等しい持続期間を有する、制御装置。
【請求項15】
請求項
10に記載の制御装置であって、
前記第1のソースRF電力レベルは、
1~6kWの範囲であり、
前記第1のバイアスRF電力レベルは、
5~20kWの範囲である、制御装置。
【請求項16】
請求項
10に記載の制御装置であって、
前記第2のソースRF電力レベルは、
100Wから6kWの範囲である、制御装置。
【請求項17】
請求項
10に記載の制御装置であって、
各サイクル内で、前記第3の状態は、前記第2の状態のすぐ後に続く、制御装置。
【請求項18】
請求項
10に記載の制御装置であって、
各サイクル内で、前記第2の状態は、前記第3の状態のすぐ後に続く、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、マスク形状を制御し、選択性対プロセスマージンのトレードオフを破壊するためのマルチステートRFパルス法に関する。
【背景技術】
【0002】
RFパルス技術は、この10年で連続波(CW)モードからパルスモード(オン・オフ、レベル間)法に進歩した。2状態RFパルスにおける進歩は、プロセスマージンとエッチング選択性とのトレードオフ、プロファイルの反り、限界寸法(CD)、およびエッチング速度の均一性を向上させることにより、高アスペクト比エッチングを可能にした。現在の2状態RFパルス法において、「状態1」(または、「S1」)は、狭いIADFを得るために30mTorr未満の圧力で操作され、3keVよりも大きいイオンエネルギを有する、高バイアスおよび高ソース電力(例えば、1kWよりも大きい)の状態を表す。「状態0」(または、「S0」)と呼ばれる、パルスにおける他の状態は、イオンエネルギが100eV未満の、低バイアスおよび低ソース電力(例えば、1kW)の堆積工程を表す。状態0は主に、直接イオン成膜およびイオン活性化中性物質堆積などの異なる機構によるパッシベーションを提供する。この2状態RFパルス法を操作するための一般的なパルス繰り返し率は、約100Hzから2kHzである。
【0003】
デバイスサイズがさらに縮小し続け、ピッチサイズがさらに減少(例えば、100nmから現在の約60nm未満)するにつれて、現在のパルス技術では、選択性とプロセスマージンとのトレードオフを破壊することは難しい。現在の技術法は、十分なプロセスマージン(例えば、アンダーエッチング、非開口、キャッピング)を維持しながら、健全な高アスペクト比エッチングと釣り合いを取ろうと努力している。
【0004】
本開示に記載の実施形態は、このような背景の下生まれたものである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、マスク形状を制御し、選択性とプロセスマージンとのトレードオフを破壊するためのマルチステートRFパルス法のための方法およびシステムを含む。
【0006】
高アスペクト比(HAR)コンタクトエッチングの課題の1つは、マスク(例えば、ポリ)に対して積層を選択的にエッチングしながら適切なプロセスマージンを維持することである。一般にプロセスマージンは、HARプロセス中の限定的なアスペクト比を設定するため、ネッキングの形状および大きさに関係する。しかし、本開示の実施形態は、マスク(ネック)形状を制御し、選択性対プロセスマージンのトレードオフを向上させる方法を提供する。
【0007】
本開示の実施形態により、ソース電力のみによる方法に基づく中間状態を有するマルチステートRFパルスは、望ましくないマスクの肩落ちを引き起こすことなくマスク形状を制御(ネックをトリミング)するのに役立つ。このソース電力のみのパルス法と従来の2状態オン・オフパルスとを組み合わせることで、マージン対選択性のトレードオフが大幅に向上して、HARプロセスの改善ノブによる利益が活用される。
【0008】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理システムにおいて基板にエッチングプロセスを実施するための方法が提供される。この方法は、プラズマ処理システムの電極にソースRF電力を印加する工程と、電極にバイアスRF電力を印加する工程とを含み、ソースRF電力およびバイアスRF電力は共に、複数のマルチステートパルスRFのサイクルを規定するパルス信号であり、各サイクルは、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を有し、第1の状態は、第1のソースRF電力レベルを有するソースRF電力、および、第1のバイアスRF電力レベルを有するバイアスRF電力によって規定され、第2の状態は、実質的にゼロの電力レベルを有するソースRF電力、および、実質的にゼロの電力レベルを有するバイアスRF電力によって規定され、第3の状態は、第1のソースRF電力レベルよりも低い第2のソースRF電力レベルを有するソースRF電力、および、実質的にゼロの電力レベルを有するバイアスRF電力によって規定される。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の状態は、基板表面上のフィーチャのエッチングをもたらすように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、第2の状態は、基板表面上のフィーチャのパッシベーションをもたらすように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、第3の状態は、フィーチャのネックを形成する材料の除去をもたらすように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、バイアスRF電力は、約10MHz未満の周波数を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、ソースRF電力は、約20MHzよりも大きい周波数を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、第3の状態は、第1の状態の持続期間のおよそ1~5倍の持続期間を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2の状態は、第1の状態の持続期間とおよそ等しい持続期間を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のソースRF電力レベルは、およそ1~6kWの範囲であり、第1のバイアスRF電力レベルは、およそ5~20kWの範囲である。
【0017】
いくつかの実施形態では、第2のソースRF電力レベルは、およそ100Wから6kWの範囲である。
【0018】
いくつかの実施形態では、各サイクル内で、第3の状態は第2の状態のすぐ後に続く。
【0019】
いくつかの実施形態では、各サイクル内で、第2の状態は第3の状態のすぐ後に続く。
【0020】
いくつかの実施形態では、制御装置が提供される。制御装置は、プラズマ処理システムにおける基板へのエッチングプロセスをプラズマ処理システムに行わせるように構成される。このエッチングプロセスは、プラズマ処理システムの電極にソースRF電力を印加する動作と、電極にバイアスRF電力を印加する動作とを含み、ソースRF電力およびバイアスRF電力は共に、複数のマルチステートパルスRFのサイクルを規定するパルス信号であり、各サイクルは、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を有し、第1の状態は、第1のソースRF電力レベルを有するソースRF電力、および、第1のバイアスRF電力レベルを有するバイアスRF電力によって規定され、第2の状態は、実質的にゼロの電力レベルを有するソースRF電力、および、実質的にゼロの電力レベルを有するバイアスRF電力によって規定され、第3の状態は、第1のソースRF電力レベルよりも低い第2のソースRF電力レベルを有するソースRF電力、および、実質的にゼロの電力レベルを有するバイアスRF電力によって規定される。
【0021】
前記は、本開示の特定の非限定的な実施形態の要約を表すことが分かるだろう。さらなる実施形態は、当業者には本開示の範囲により明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】本開示の実施形態による、一般的なDRAMデバイス100の概念的断面斜視図。
【0023】
【
図1B】本開示の実施形態による、高アスペクト比エッチングフィーチャの概念的断面斜視図。
【0024】
【
図2A】本開示の実施形態による、エッチングプロセスの単一パルスRFサイクルのRF電力対時間のグラフ。
【0025】
【
図2B】上記のレベル間パルスプロセスのS1状態によるエッチングフィーチャの概念的断面図。
【
図2C】上記のレベル間パルスプロセスのS0状態によるエッチングフィーチャの概念的断面図。
【0026】
【
図3】現在のRFパルス技術におけるトレードオフの概念図。
【0027】
【
図4A】本開示の実施形態による、マルチステートパルスRFサイクルのRF電力対時間の概念図。
【
図4B】本開示の実施形態による、マルチステートパルスRFサイクルのRF電力対時間の概念図。
【
図4C】本開示の実施形態による、マルチステートパルスRFサイクルのRF電力対時間の概念図。
【0028】
【
図4D】本明細書に記載のマルチステートパルスRFサイクルの各状態の影響を示すエッチングフィーチャの概念的断面図。
【
図4E】本明細書に記載のマルチステートパルスRFサイクルの各状態の影響を示すエッチングフィーチャの概念的断面図。
【
図4F】本明細書に記載のマルチステートパルスRFサイクルの各状態の影響を示すエッチングフィーチャの概念的断面図。
【0029】
【
図5】本開示の実施形態による、フィーチャのエッチング中の経時的に異なる長さの状態S2を示す概念図。
【0030】
【
図6A】本開示の実施形態による、マルチステートパルスRFサイクルのRF電力対時間を示すグラフ。
【
図6B】本開示の実施形態による、マルチステートパルスRFサイクルのRF電力対時間を示すグラフ。
【
図6C】本開示の実施形態による、マルチステートパルスRFサイクルのRF電力対時間を示すグラフ。
【0031】
【
図6D】
図6A、
図6B、および
図6Cの実施形態による、状態S1、状態S2、および状態S0の影響を示す、エッチングフィーチャの概念断面図。
【
図6E】
図6A、
図6B、および
図6Cの実施形態による、状態S1、状態S2、および状態S0の影響を示す、エッチングフィーチャの概念断面図。
【
図6F】
図6A、
図6B、および
図6Cの実施形態による、状態S1、状態S2、および状態S0の影響を示す、エッチングフィーチャの概念断面図。
【0032】
【
図7】本明細書に記載のマルチステートRFパルス法を用いることによるプロセスウィンドウの拡大を表す概念図。
【0033】
【
図8】本開示の実施形態による例示的なICP堆積システム。
【0034】
【
図9】本開示の実施形態による、上記のシステムを制御するための制御モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明では、本実施形態の十分な理解を提供するために、いくつかの特定の詳細が記載される。本開示の実施形態は、これら特定の詳細のいくつかまたは全てなしに実施されてよい。他の例では、本開示の実施形態を必要以上に曖昧にしないように、周知のプロセス動作は詳細には記載されていない。本開示の実施形態は、特定の実施形態と併せて説明されるが、本開示の実施形態を限定する意図はないことが理解されるだろう。
【0036】
現在、最先端の誘電体エッチングプロセスは、高い垂直エッチング速度および適切な側壁パッシベーションの利益を組み合わせるために、オン/オフまたはレベル間のRFパルスによって支持された1つまたは2つのRF法の実施に依存している。しかし、本開示の実施形態により、プロセスにおいて独立してマージンを取り戻す、またはより多くのマージンを加える追加の方法が確認されている。かかる方法に基づいて実施形態が提供され、既存のエッチング技術における基本プロセス開発の限界および障壁を克服するマルチステートRFパルス法の実施によって、適切な中間状態が具現化される。中間状態は、低イオンエネルギ状態におけるマスクネックポリマの優先的トリミングに基づいて、より活動的な高エネルギ状態(オン状態/高状態)、および、より重合したパッシベーション状態(オフ状態/低状態)を促進させる。ソース電力のみによるかかる低イオンエネルギ状態の導入は、ネック/マスク形状を制御するのに役立つ。この手法を、レベル間パルスではなくオン・オフパルスと組み合わせることで、マスク上により多くのポリマを堆積させ、マスク上をパッシベーションしてマスクのエッチング速度を制御する。この手法は基本的に、マスクネック/プロセスマージンと選択性とのトレードオフを破壊することができる。
【0037】
図1Aは、本開示の実施形態による一般的なDRAMデバイス100の断面斜視図を概念的に表す。一般的なDRAMデバイスは、1~1.5ミクロンの高さの積層で構成されてよく、かかるDRAMデバイスの製造は、コンデンサ102の製作を含み、必然的にコンデンサのエッチングプロセスを伴う。コンデンサエッチングは、超高アスペクト比(例えば、ノードに応じて約60~100)のフィーチャ(参照記号104で概念的に図示)の適切なエッチングを必要とする誘電体エッチングプロセスの一例である。さらに、ピッチサイズもますます小さく縮小しており、アスペクト比が高くなればなるほど、エッチングプロセスにおける欠陥に対する許容が少なくなる。コンデンサエッチングについて、限定のない例として、ピッチサイズは50nm未満でありうる。本開示の実施形態は、コンデンサエッチングに関して説明されているが、本開示の原理は、任意の適したデバイスコンテキスト(例えば、3D NANDのメモリホールエッチング)における任意の高アスペクト比誘電体のエッチングにも適用されうることが分かるだろう。
【0038】
図1Bは、本開示の実施形態による、高アスペクト比エッチングフィーチャの断面斜視図を概念的に表す。さらに概念的に表されるのは、上記のようなDRAMコンデンサの製作環境においてなど、高アスペクト比エッチングにおいて生じるいくつかの課題である。問題は、エッチングプロファイルの一部がくぼみ形になるフィーチャの反り、エッチング方向が直線垂直方向から横に逸れるフィーチャのねじれ、フィーチャの上部が底部よりも広いなどの上部から底部への限界寸法変化、フィーチャがその所望の終点に達するように完全にはエッチングされない不完全なエッチング、ハードマスクがエッチングされて肩落ちを引き起こし、反りの問題を悪化させる、ハードマスクに対する不適切な選択性を含みうる。
【0039】
よって、高アスペクト比エッチングでは、プロファイル制御を実現して、最小限のねじれを有する、反りのない直線形状のエッチング、および、アスペクト比依存エッチング(ARDE)の最小化を可能にすることが望ましい。不完全なエッチング(アンダーエッチング)の回避と同様に、ハードマスクへの選択性が望ましい。また、ウエハの均一性だけでなく、底層の完全性の維持も求められる。
【0040】
図2Aは、本開示の実施形態による、エッチングプロセスの単一パルスRFサイクルについてのRF電力対時間のグラフである。単一パルスRFサイクルにおける経時的なバイアスRF電力およびソースRF電力が示されている。現在のRFパルス技術では、レベル間パルスまたはオン・オフパルスを用いる2状態パルス法が用いられる。かかる2状態パルス法では、状態1(S1)は、ソースRFおよびバイアスRFが高電力状態の高イオンエネルギ生成状態であるが、状態0(S0)は、ソースRFおよびバイアスRFが低電力状態または完全にオフ状態の低イオンエネルギ生成状態である。S1は、表面の活性化および膜のエッチングのための高エネルギイオンを生成するため、S1の働きは、誘電材料のエッチングである。一方で、S0の主な役割はパッシベーションであり、S0は主に中性で進められ、それによりエッチングフィーチャにおけるパッシベーションが促進されるが、それでもエッチングし続けるためのいくらかの低エネルギは存在しうる。
【0041】
図2Bおよび
図2Cはそれぞれ、上記のレベル間パルスプロセスのS1状態およびS0状態によるエッチングフィーチャの断面図を概念的に表す。図のように、S1は、主に高アスペクト比フィーチャのエッチングが可能だが、マスクのスパッタリングおよび「ネック」プロファイルの形成も引き起こしうる。S0は、主にパッシベーションが可能で、直接イオン成膜およびイオンアシスト中性物質堆積によってマスクを保護する。
【0042】
よって、レベル間(L2L)パルスRFにおいて、S1は、高アスペクト比エッチングを提供するが、スパッタリングしてネックも形成し、S0は、イオンアシスト中性物質堆積を提供する。それでもその両方は、いくらかのネッキングを引き起こし、いずれかがより高いARおよびより密ピッチに移行するにつれて、ネックの開口は難しくなる。L2Lにおいて、最も厳しい限界寸法はネックで生じ、これにより、極微細のフィーチャまたはピッチサイズに移行するときは、エッチングが抑制される傾向がある。例えば、ネックのARは、フィーチャのARのほぼ倍でありうる。これにより、加えられうる化学物質の種類、および、エッチングされる構造に加えられる通電量も限られるため、高アスペクト比エッチングにおけるリミッタとして機能する。
【0043】
図3は、現在のRFパルス技術におけるトレードオフを概念的に表す。例えば、誘電体高アスペクト比コンタクトエッチング(例えば、DRAMおよび3D NAND)において、現在のレベル間RFパルス法を用いるときは、いくらかの制限および制約がある。現在のレベル間パルスにおいて、状態1については高電力バイアス(例えば、400kHz周波数)が望ましいが、400kHz:60MHzの高比率における穴詰まりのため、実際には使用に適さない。また、補償のための化学物質調整は、過剰な反りにつながる。状態0については、マスク選択性および反りを維持するために低電力が用いられる。高電力は詰まりを改善できるが、マスクの選択性を損なう。これらの制約を考慮すると、2状態パルスにおいてトレードオフを破壊するのは難しい。
【0044】
よって、現在の技術は、スケーリングの点で限界に遭遇する。積層が高くなればなるほどアスペクト比は上がり、エッチング速度は、アスペクト比依存エッチング(ARDE)の関数としてフィーチャ深くでは減少する。そのため、深いアスペクト比のプロファイルを維持するために、通常のトレードオフは積層エッチング速度であり、ARDEによる。より密なピッチについては、反りから保護するために高イオンエネルギが用いられ、マスクから肩落ちする。すなわち、S1は高イオンエネルギ状態を作り出すように操作され、マスクの肩落ちを引き起こす。一方で、低ピッチサイズでコストを削減するために、製造者はマスク材の量を低減することを望む。マスクおよびその下の積層を考慮すると、業界が低ピッチに移行するにつれて、より少量のマスク材を有することによるコスト削減が求められる。よって、マスクに対する選択性は重要である。しかし、高アスペクト比で選択性を向上させるためのトレードオフは、詰まりである。穴は互いに詰まり、デバイスの欠陥を引き起こす。
【0045】
そのため、現在のRFパルス法においては、これらのトレードオフが見られ、任意の一方向でプロファイルを改善するためにトレードオフを破壊することは難しい。
【0046】
しかし、本開示の実施形態により、ソース電力のみの方法に基づく中間状態を有するマルチステートRFパルス法が導入されている。かかるマルチステートRFパルス法は、マージン対選択性のトレードオフを大幅に向上させて、適したプロファイルおよびマスク選択性を有する高アスペクト比フィーチャの向上したエッチングを可能にする。
【0047】
図4A、
図4B、および
図4Cは、本開示の実施形態による、マルチステートパルスRFサイクルのRF電力対時間を概念的に表す。
図4Aは、バイアスRF電力およびソースRF電力の両方を示す。さらに明確にするために、
図4Bは、経時的なバイアスRF電力のみを表し、
図4Cは、経時的なソースRF電力のみを表す。
図4D、
図4E、および
図4Fは、エッチングフィーチャの断面を概念的に表し、本明細書に記載のマルチステートパルスRFサイクルの各状態の影響を示す。パルスRFサイクルは、RFの3つの異なる状態を用いる3レベルパルスRFとして特徴付けられうる。図の実施形態で示されたように、S1は、高ソース電力および高バイアス電力を提供するように構成されている。これにより、
図4Dに示されたように、高アスペクト比(HAR)エッチングが生じるが、マスクがスパッタリングされてネックも形成される。S0は、ソース電力またはバイアス電力が印加されないオフ状態として構成されている。
図4Eに示されるように、S0は上面により多くの中性物質堆積を促進し、マスクを保護する。いくつかの実施形態では、S0は直接イオン成膜およびイオンアシスト中性物質堆積を提供するように構成される。
【0048】
中間状態S2(状態2)は、低ソース電力およびゼロバイアス電力を用いる、ソース電力のみの状態(例えば、60MHz高周波)として構成される。
図4Fに示されるように、S2は分離を誘発し、形成されたあらゆるネックをエッチングすることによりネックを開口するのに役立つ。よって、状態S2は、ネックを開口するように構成されている。
【0049】
そのため本開示の実施形態により、S1はネックを形成する高エネルギイオンを用い、S2はネックを開口するが、S0は多くのパッシベーションを提供する。結果として生じたフィーチャは、開口したネックを有すると同時に、より多くのパッシベーションにより厚いマスクも有する。これにより、ネック対選択性のトレードオフ問題が対処される。
【0050】
これに対し、S1およびS0のみのレベル間RFパルス法では、多くのパッシベーションがあるが、同時に詰まりを引き起こすネックもあるだろう。しかし、S1、S0、およびS2を用いる3レベルRFパルス法は、開口ネックおよびパッシベーションを提供し、選択性対キャップマージンのトレードオフを破壊する。概して、状態S0は選択性を提供するが、状態S2はキャップマージンを向上させる。
【0051】
一般に、いくつかの実施形態では、バイアス電力は、約10MHz未満の周波数である。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、約400kHzの周波数である。
【0052】
いくつかの実施形態では、ソース電力は、約10MHzよりも高い周波数である。いくつかの実施形態では、ソース電力は、約20MHz以上の周波数である。いくつかの実施形態では、ソース電力は、約60MHzの周波数である。
【0053】
いくつかの実施形態では、バイアス周波数およびソース周波数は、異なる発生器を用いてチャックに印加される。
【0054】
様々な実施形態では、バイアス電力およびソース電力の特定のパラメータは、各状態で異なってよいことが分かるだろう。
【0055】
いくつかの実施形態では、S1バイアス電力は、約5~20kWの範囲である。いくつかの実施形態では、S1ソース電力は、1~6kWの範囲である。いくつかの実施形態では、S1バイアス電力およびS1ソース電力のいずれかまたは両方は、例えばフィーチャ内のエッチング経過時間、フィーチャの現深さ、または、フィーチャの現アスペクト比に応じて、時間と共に変化してよい。いくつかの実施形態では、S1バイアス電力および/またはS1ソース電力は、エッチング経過時間、深さ、またはアスペクト比が増加するにつれて増加するように構成される。
【0056】
一般に、S0状態は、バイアス電力およびソース電力の両方が実質的にゼロまたはほぼゼロレベルのオフ状態である。
【0057】
いくつかの実施形態では、S2バイアス電力は、実質的にゼロまたはほぼゼロである。いくつかの実施形態では、S2ソース電力は、約100Wから6kWの範囲である。いくつかの実施形態では、S2ソース電力は、例えば、フィーチャ内のエッチング経過時間、フィーチャの現深さ、または、フィーチャの現アスペクト比に応じて、時間と共に変化してよい。いくつかの実施形態では、S2ソース電力は、エッチング経過時間、深さ、またはアスペクト比が増加するにつれて増加するように構成される。
【0058】
S1、S0、およびS2の相対持続期間は、本開示の実施形態による適したエッチングプロファイルおよびエッチング速度を提供するように構成されてもよいことが分かるだろう。いくつかの実施形態では、S2:S1の持続期間比は、約1対1(1:1)から5対1(5:1)の範囲である。
【0059】
いくつかの実施形態では、S0:S1の持続期間比は、およそ1対1(1:1)である。いくつかの実施形態では、この比率は変化しうる。
【0060】
様々な状態の相対持続期間は、ピッチ、エッチング深さ、および制御されるべきパラメータに依存しうる。例えば、比較的浅いARエッチングについて、エッチング開始時にARは重要な役割を果たさないため、S2はネックを開口するのにそれほど長時間を必要としないことが分かるだろう。しかし、エッチングが深くなり、より高いARエッチングが求められるにつれて、S2は、ネックを開口してより高いアスペクト比エッチングを可能にするのに重要な役割を果たす。
【0061】
図5は、本開示の実施形態による、フィーチャエッチング中の状態S2の長さの経時的変化を概念的に表す。図のグラフ500には、エッチング深さ/時間/アスペクト比に対するS2の持続期間が示されている。示されたように、フィーチャ内の現エッチング深さ、またはフィーチャのエッチング時間、またはフィーチャの現アスペクト比が増加するにつれて、S2の持続期間は増加する。限定なしの例として、フィーチャエッチングにおける前半の場合のように、フィーチャが比較的浅い深さ、およびその結果として低アスペクト比を有するときは(参照記号502で概念的に図示)、ソースRF電力プロファイルは、S2の持続期間が比較的短い、グラフ504で示されたようになるだろう。これに対し、フィーチャエッチングにおける後半の場合のように、フィーチャが比較的深い深さ、およびその結果として高アスペクト比を有するときは(参照記号506で概念的に図示)、ソースRF電力プロファイルは、S2の持続期間が比較的長い、グラフ
508で示されたようになるだろう。
【0062】
よって、アスペクト比が高くなるほどS2持続期間は長くなり、ネック開口工程は、エッチングプロファイルを維持するためにより重要になる。S1、S0、およびS2の持続期間は全て延長可能であり、S2はS1およびS0に依存しうる。ソースRF電流は、ネックを除去するように構成され、その次にパッシベーションが続く。
【0063】
上記の実施形態では、様々な状態がS1-S0-S2の順番で進行した(および、繰り返された)。概して、これによりエッチングが(S1により)提供され、次にパッシベーション(S0により提供)が続き、その次にネック開口(S2により提供)が続く。
【0064】
しかし他の実施形態では、状態の順番がS1-S2-S0になる(および、繰り返される)ように、S2はS1とS0との間に生じうる。これにより、エッチングが(S1によって)提供され、次にネック開口(S2により提供)が続き、その次にパッシベーション(S0により提供)が続く。
【0065】
図6A、
図6B、および
図6Cは、本開示の実施形態による、マルチステートRFパルスサイクルのRF電力対時間を示すグラフを表す。
図6Aは、経時的なバイアスRF電力およびソースRF電力の両方を表す。さらに明確にするために、
図6Bは、経時的なバイアスRF電力のみを表し、
図6Cは、経時的なソースRF電力のみを表す。図の実施形態では、状態はS1-S2-S0の順番で進む。前記の実施形態のように、S1は、高バイアス電力および高ソース電力を用いる、高イオンエネルギ状態である。S2は、実質的にゼロのバイアス電力および低ソース電力を用いる、ソース電力のみの状態である。S0は、実質的にゼロのバイアス電力および実質的にゼロのソース電力を用いる、オフ状態である。
【0066】
図6D、
図6E、および
図6Fは、
図6A、
図6B、および
図6Cの実施形態による、状態S1、状態S2、および状態S0の影響を示す、エッチングフィーチャの断面を概念的に表す。
図6Dに示されたように、状態S1は、高イオンエネルギを生成して高アスペクト比フィーチャのエッチングが可能になるが、マスクのスパッタリングも引き起こし、フィーチャにネックを形成する。
図6Eに示されたように、状態S2は、ネックを開口する、中~低のイオンエネルギを生成する。
図6Fに示されたように、状態S0は、直接イオン成膜およびイオンアシスト中性物質堆積を可能にすることにより、マスクを保護する。
【0067】
本開示の実施形態は、誘電体エッチングに適用できる。いくつかの実施形態では、例えば、フルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンなどのフッ素系化学物質が用いられる。
【0068】
RFパルス法が始まったときは、オン・オフパルス(S1S0)として操作された。しかし、これは多くのパッシベーション膜を加えるため、業界は、S0においていくらかの電力が加えられるレベル間パルスに移行した。しかし、より多くの電力を加えることで、パッシベーション膜をスパッタリングで除去するイオンが導入されるため、これにより多くの選択性を有する利点が失われる。しかし、本明細書に記載の3レベルマルチステートRFパルスでは、パッシベーションが用いられながらネックを開口する、新しいソースのみの状態が用いられる。これにより、従来の選択性対ネックのプロセストレードオフが破壊される。
【0069】
図7は、本明細書に記載のマルチステートRFパルス法を用いるプロセスウィンドウの拡大を概念的に表す。具体的には、非開口マージンとブリッジングとのトレードオフがある。非開口状態は、参照記号700で示されており、フィーチャ開口におけるネックの堆積によりHARエッチングができない状態である。しかし、非開口状態に対するトレードオフはフィーチャの反りであり、デバイス不良を生じさせるオープンコンタクトを作り出す、フィーチャ同士のブリッジングを引き起こす可能性がある。よって、非開口状態とブリッジング状態との間のプロセスウィンドウは存在するが、各々の新しい/先端の技術ノードと共にCD/ピッチサイズが低減するにつれて狭くなる。そのため、主なプロセス目標は、高アスペクト比コンタクトエッチング能力を拡大するために、非開口マージンを犠牲にすることなく反りの低減を実現することである。より小さいネック/大きいキャップマージンによる非開口マージンの向上が求められ、反り軽減のためのブリッジマージンの向上も求められる。
【0070】
グラフ704は、連続波(参照記号706)、レベル間(参照記号708)、および本明細書に記載の3レベル(参照記号710)のRFパルス法におけるプロセスウィンドウを示す、不良対エッチング後検査のプロットを示す。
【0071】
ピッチサイズが減少するにつれて、技術は、以前の連続波(CW)法から、パルスがエッチング状態とパッシベーション状態との間で行き来するレベル間パルスに移行し、高アスペクト比エッチングのプロセスウィンドウを向上させた。しかし、今や技術は、どれぐらい上手く高アスペクト比フィーチャをエッチングできるかは、ピッチサイズによって支配されるところまで進んだ。図のように、本明細書で導入された3レベルRFパルス法は、プロセス動作のためのウィンドウをさらに広げ、それによりデバイス不良なしのエッチングが可能になる。図から分かるように、ここではプロセスウィンドウは広く、このウィンドウ内で欠陥を制御することが可能になる。
【0072】
上記のように、詰まりは、ネックに過剰なポリマがあるときに発生する可能性があり、フィーチャ開口の詰まりまたはブリッジングは、反りが大きすぎて穴が1つに埋まることにより生じる(その結果、オープンコンタクトが生じる)可能性がある。連続波モードでは、参照記号712で示された、主にネックを詰まらせる形状が見られるかもしれない。レベル間モードでは、参照記号714で示された、よりネックが大きく反りがより小さいプロファイルが提供されるため、詰まりは制御されるが、プロセスウィンドウはかなり狭い。しかし、本開示の実施形態による3レベルパルスでは、参照記号716で示されたプロファイルは、より広い開口ネックを提供し、さらに優れたプロセスウィンドウも提供する。ネックARDEが軽減されるため、より高速なエッチング速度、および、より優れた選択性が可能である。
【0073】
別の利点は、3レベルRFパルス法が幅広い化学物質の選択を可能にすることである。通常、ピッチサイズが密になるにつれて新しい化学物質を導入することは難しくなるが、広いプロセスウィンドウを提供することで、RF法を広げるだけでなく化学物質の手法も広げて、側壁をパッシベーションするためにより多様なパッシベーション用化学物質の適用が可能になる。
【0074】
本明細書に記載の様々な実施形態は、プラズマ処理システムにおいて実施されてよい。
図8を参照すると、例示的なプラズマ処理システムまたは装置は、ガス(805、807、809)(例えば、反応物およびパージガス)または他の化学物質を分配するためのガス注入器/シャワーヘッド/ノズル803を有するチャンバ801、チャンバ壁811、処理される基板またはウエハ815を保持するためのチャック813(ウエハをチャックおよびデチャックするための静電電極を含んでよい)を備える。チャック813は、熱制御のために加熱され、基板815の所望温度までの加熱を可能にする。いくつかの実施形態では、チャック813は、RF電源817を用いて充電されて、本開示の実施形態によりバイアス電圧を提供してよい。
【0075】
ソースRF電源819は、基板815上の処理空間でプラズマ825を生成するために、チャック813の電極にソースRF電力を供給するように構成されている。いくつかの実施形態では、チャンバ壁は、温度管理および熱効果を支持するために加熱される。真空源827は、チャンバ801からガスを排気するために真空を提供する。このシステムまたは装置は、チャンバ圧、不活性ガス流、プラズマ源電力、プラズマ源周波数、反応ガス流、バイアス電力、バイアス周波数、温度、真空設定、および他のプロセス条件の調整など、チャンバまたは装置のいくつかまたは全ての動作を制御するためのシステムコントローラ829を備えてよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、システム/装置は、基板を処理するための1つ以上のチャンバを備えてよい。
【0077】
図9は、本開示の実施形態による、上記のシステムを制御するための制御モジュール900を示す。例えば、制御モジュール900は、プロセッサ、メモリ、および1つ以上のインタフェースを備えてよい。制御モジュール900は、検知値に部分的に基づいてシステム内のデバイスを制御するために用いられてよい。例えば、制御モジュール900は、検知値および他の制御パラメータに基づいて、値902、フィルタヒータ904、ポンプ906、および他のデバイス908の1つ以上を制御してよい。制御モジュール900は、例えのみで、圧力計910、流量計912、温度センサ914、および/または、他のセンサ916から検知値を受信する。制御モジュール900は、反応物の供給およびプラズマ処理の間のプロセス条件を制御するために用いられてもよい。制御モジュール900は通常、1つ以上の記憶装置および1つ以上のプロセッサを備えるだろう。
【0078】
制御モジュール900は、反応物供給システムおよびプラズマ処理装置の動作を制御してよい。制御モジュール900は、プロセスタイミング、供給システムの温度、フィルタ全体の圧力差、値位置、ガスの混合、チャンバ圧、チャンバ温度、ウエハ温度、RF電力レベル、ウエハESCまたは台座の位置、ならびに、特定プロセスの他のパラメータを制御するための命令のセットを含むコンピュータプログラムを実行する。制御モジュール900は、圧力差を監視し、蒸気反応物の供給を1つ以上の経路から1つ以上の他の経路に自動的に切り替えてもよい。いくつかの実施形態では、制御モジュール900に関連付けられた記憶装置に格納された他のコンピュータプログラムが用いられてよい。
【0079】
通常、制御モジュール900に関連付けられたユーザインタフェースがあるだろう。ユーザインタフェースは、表示装置918(例えば、装置および/またはプロセス条件の表示画面および/または画像ソフトウェアディスプレイ)、ならびに、ユーザ入力装置920(ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなど)を含んでよい。
【0080】
反応物の供給、プラズマ処理、およびプロセスシーケンス内の他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムは、任意の適したコンピュータ可読プログラミング言語(例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートラン、またはその他)で作成されうる。コンパイル済みオブジェクトコードまたはスクリプトは、プログラムにおいて識別されたタスクを実行するために、プロセッサによって実行される。
【0081】
制御モジュールパラメータは、例えば、フィルタ圧力差、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RF電力レベルおよびRF周波数など)、冷却ガス圧、ならびにチャンバ壁温度などのプロセス条件に関する。
【0082】
システムソフトウェアは、多くの異なる手法で設計または構成されてよい。例えば、様々なチャンバ部品のサブルーチンまたは制御オブジェクトは、本発明の堆積プロセスを実行するのに必要なチャンバ部品の動作を制御するように作成されてよい。このためのプログラムまたはプログラムセクションの例は、基板位置決めコード、処理ガス制御コード、圧力制御コード、ヒータ制御コード、およびプラズマ制御コードを含む。
【0083】
前記の実施形態は、理解を明確にするためにある程度詳細に説明されたが、本開示の実施形態の範囲内で特定の変更および修正が行われてよいことが明らかだろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置を実行する多くの別の方法があることに注意されたい。従って、本実施形態は制限的でなく例示的とみなされるべきであり、本明細書に記載の詳細に限定されるべきでない。本開示は以下の形態により実現されてもよい。
[形態1]
プラズマ処理システムにおいて基板にエッチングプロセスを実施するための方法であって、
前記プラズマ処理システムの電極にソースRF電力を印加する工程と、
前記電極にバイアスRF電力を印加する工程と、を含み、
前記ソースRF電力および前記バイアスRF電力は共に、複数のマルチステートパルスRFのサイクルを規定するパルス信号であり、各サイクルは、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を有し、
前記第1の状態は、第1のソースRF電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、第1のバイアスRF電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定され、
前記第2の状態は、実質的にゼロの電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、実質的にゼロの電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定され、
前記第3の状態は、前記第1のソースRF電力レベルよりも低い第2のソースRF電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、実質的にゼロの電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定される、方法。
[形態2]
形態1に記載の方法であって、
前記第1の状態は、前記基板の表面のフィーチャのエッチングをもたらすように構成されている、方法。
[形態3]
形態2に記載の方法であって、
前記第2の状態は、前記基板の前記表面の前記フィーチャのパッシベーションをもたらすように構成されている、方法。
[形態4]
形態2に記載の方法であって、
前記第3の状態は、前記フィーチャのネックを形成する材料の除去をもたらすように構成されている、方法。
[形態5]
形態1に記載の方法であって、
前記バイアスRF電力は、約10MHzよりも小さい周波数を有する、方法。
[形態6]
形態1に記載の方法であって、
前記ソースRF電力は、約20MHzよりも大きい周波数を有する、方法。
[形態7]
形態1に記載の方法であって、
前記第3の状態は、前記第1の状態の持続期間のおよそ1~5倍の持続期間を有する、方法。
[形態8]
形態1に記載の方法であって、
前記第2の状態は、前記第1の状態の持続期間とおよそ等しい持続期間を有する、方法。
[形態9]
形態1に記載の方法であって、
前記第1のソースRF電力レベルは、およそ1~6kWの範囲であり、
前記第1のバイアスRF電力レベルは、およそ5~20kWの範囲である、方法。
[形態10]
形態1に記載の方法であって、
前記第2のソースRF電力レベルは、およそ100Wから6kWの範囲である、方法。
[形態11]
形態1に記載の方法であって、
各サイクル内で、前記第3の状態は、前記第2の状態のすぐ後に続く、方法。
[形態12]
形態1に記載の方法であって、
各サイクル内で、前記第2の状態は、前記第3の状態のすぐ後に続く、方法。
[形態13]
プラズマ処理システムにおける基板へのエッチングプロセスを前記プラズマ処理システムに行わせるように構成された制御装置であって、前記方法は、
前記プラズマ処理システムの電極にソースRF電力を印加する動作と、
前記電極にバイアスRF電力を印加する動作と、を含み、
前記ソースRF電力および前記バイアスRF電力は共に、複数のマルチステートパルスRFのサイクルを規定するパルス信号であり、各サイクルは、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を有し、
前記第1の状態は、第1のソースRF電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、第1のバイアスRF電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定され、
前記第2の状態は、実質的にゼロの電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、実質的にゼロの電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定され、
前記第3の状態は、前記第1のソースRF電力レベルよりも低い第2のソースRF電力レベルを有する前記ソースRF電力、および、実質的にゼロの電力レベルを有する前記バイアスRF電力によって規定される、方法。
[形態14]
形態13に記載の方法であって、
前記第1の状態は、前記基板の表面のフィーチャのエッチングをもたらすように構成されている、方法。
[形態15]
形態14に記載の方法であって、
前記第2の状態は、前記基板の前記表面の前記フィーチャのパッシベーションをもたらすように構成されている、方法。
[形態16]
形態14に記載の方法であって、
前記第3の状態は、前記フィーチャのネックを形成する材料の除去をもたらすように構成されている、方法。
[形態17]
形態13に記載の方法であって、
前記バイアスRF電力は、約10MHzよりも小さい周波数を有する、方法。
[形態18]
形態13に記載の方法であって、
前記ソースRF電力は、約20MHzよりも大きい周波数を有する、方法。
[形態19]
形態13に記載の方法であって、
前記第3の状態は、前記第1の状態の持続期間のおよそ1~5倍の持続期間を有する、方法。
[形態20]
形態13に記載の方法であって、
前記第2の状態は、前記第1の状態の持続期間とおよそ等しい持続期間を有する、方法。
[形態21]
形態13に記載の方法であって、
前記第1のソースRF電力レベルは、およそ1~6kWの範囲であり、
前記第1のバイアスRF電力レベルは、およそ5~20kWの範囲である、方法。
[形態22]
形態13に記載の方法であって、
前記第2のソースRF電力レベルは、およそ100Wから6kWの範囲である、方法。
[形態23]
形態13に記載の方法であって、
各サイクル内で、前記第3の状態は、前記第2の状態のすぐ後に続く、方法。
[形態24]
形態13に記載の方法であって、
各サイクル内で、前記第2の状態は、前記第3の状態のすぐ後に続く、方法。