(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】基板処理において均一性を実現する変圧器の使用のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240930BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20240930BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240930BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240930BHJP
H01F 29/02 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H05H1/46 R
H01F30/10 L
H01F30/10 K
H01F30/10 C
H01L21/302 101C
H01L21/31 C
H01F29/02 Z
(21)【出願番号】P 2022532018
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(86)【国際出願番号】 US2020061874
(87)【国際公開番号】W WO2021113111
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-11-02
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カプール・サニル
(72)【発明者】
【氏名】マロール・ダン
(72)【発明者】
【氏名】ペン・シェン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-241894(JP,A)
【文献】特開2002-151492(JP,A)
【文献】特開2010-272489(JP,A)
【文献】特開2012-074200(JP,A)
【文献】特開2012-074464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01F 30/10
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01F 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器装置であって、
インピーダンス整合回路の出力に結合された第1の端部と、コンデンサに結合された第2の端部を有する1次巻線と、
前記1次巻線に対応付けられ、プラズマチャンバのトランス結合型プラズマ(TCP)コイルの第1の端部及び第2の端部に結合された2次巻線とを含み、
前記1次巻線は、前記インピーダンス整合回路から修正高周波(RF)信号を受信して磁束を生成することにより、前記2次巻線に電圧を誘起するように構成されており、前記電圧によって生成されたRF信号が前記2次巻線から前記TCPコイルに伝達されることを特徴とする、変圧器装置。
【請求項2】
請求項1に記載の変圧器装置であって、前記TCPコイルが前記2次巻線と直列である変圧器装置。
【請求項3】
請求項1に記載の変圧器装置であって、
前記インピーダンス整合回路の前記出力に結合された第1の端部と、付加的コンデンサに結合された第2の端部を有する付加的1次巻線と、
前記付加的1次巻線に対応付けられ、前記プラズマチャンバの付加的TCPコイルの第1の端部及び第2の端部に結合された付加的2次巻線と、をさらに含み、
前記付加的1次巻線が、前記インピーダンス整合回路から修正RF信号を受信して磁束を生成することにより、前記2次巻線に電圧を誘発するように構成されており、前記付加的2次巻線で誘起された前記電圧によって生成されたRF信号が、前記付加的2次巻線から前記付加的TCPコイルに伝達されることを特徴とする、変圧器装置。
【請求項4】
請求項1に記載の変圧器装置であって、前記コンデンサは、アース接続に結合されている変圧器装置。
【請求項5】
請求項1に記載の変圧器装置であって、前記2次巻線は、前記1次巻線と撚り合わされることで、前記1次巻線と対応付けられることを特徴とする、変圧器装置。
【請求項6】
請求項1に記載の変圧器装置であって、前記2次巻線は、前記1次巻線と交互に巻回されることで、前記1次巻線と対応付けられることを特徴とする、変圧器装置。
【請求項7】
請求項1に記載の変圧器装置であって、前記コンデンサは、可変コンデンサ又は固定コンデンサである、変圧器装置。
【請求項8】
請求項1に記載の変圧器装置であって、前記コンデンサは可変コンデンサであり、前記可変コンデンサの容量を変更するためにモータに結合されている、変圧器装置。
【請求項9】
請求項1に記載の変圧器装置であって、前記2次巻線によって前記TCPコイルに印加される前記電圧を変化させる複数のタップが、前記2次巻線に設けられている、変圧器装置。
【請求項10】
請求項1に記載の変圧器装置であって、前記1次巻線の前記第1の端部は、他のコンデンサを介して前記インピーダンス整合回路に結合され、前記他のコンデンサは固定コンデンサ又は可変コンデンサである、変圧器装置。
【請求項11】
変圧器装置であって、
インピーダンス整合回路の出力に結合された第1の端部と、コンデンサに結合された第2の端部を有する1次巻線と、
前記1次巻線に対応付けられ、プラズマチャンバの第1のトランス結合型プラズマ(TCP)コイルの第1の端部及び第2の端部に結合された第1の2次巻線と、
前記1次巻線に対応付けられ、
前記プラズマチャンバの第2のTCPコイルの第1の端部及び第2の端部に結合される第2の2次巻線と、を含み、
前記1次巻線は、前記インピーダンス整合回路から修正高周波(RF)信号を受信して磁束を生成することにより、前記第1の2次巻線に電圧を誘発するように構成されており、前記第1の2次巻線で誘起された前記電圧によって生成されたRF信号が前記第1の2次巻線を介して前記第1のTCPコイルに伝達され、
前記
磁束は、前記第2の2次巻線に電圧を誘起するように構成されており、前記第2の2次巻線に誘起された前記電圧によって生成されたRF信号は、前記第2の2次巻線から前記第2のTCPコイルに伝達される、変圧器装置。
【請求項12】
請求項11に記載の変圧器装置であって、前記第1のTCPコイルが前記第1の2次巻線と直列であり、前記第2のTCPコイルが前記第2の2次巻線と直列である、変圧器装置。
【請求項13】
請求項11に記載の変圧器装置であって、
前記インピーダンス整合回路の前記出力に結合された第1の端部と、付加的コンデンサに結合された第2の端部を有する付加的1次巻線と、
前記付加的1次巻線に対応付けられ、前記プラズマチャンバの第3のTCPコイルの第1の端部及び第2の端部に結合された付加的第1の2次巻線と、
前記付加的1次巻線に対応付けられ、前記プラズマチャンバの第4のTCPコイルの第1の端部及び第2の端部に結合された付加的第2の2次巻線とをさらに含み、
前記付加的1次巻線は、前記インピーダンス整合回路から修正RF信号を受信して磁束を生成することにより、前記付加的第1の2次巻線に電圧を誘起するように構成されており、前記付加的第1の2次巻線で誘起された前記電圧によって生成されたRF信号が、前記付加的第1の2次巻線から前記第3のTCPコイルに伝達され、
前記付加的1次巻線に生成された前記磁束は、前記付加的第2の2次巻線に電圧を誘起し、前記付加的第2の2次巻線に誘起された前記電圧によって生成されたRF信号は、前記付加的第2の2次巻線から前記第4のTCPコイルに伝達される、変圧器装置。
【請求項14】
請求項11に記載の変圧器装置であって、前記コンデンサは、アース接続に結合されている、変圧器装置。
【請求項15】
請求項11に記載の変圧器装置であって、前記コンデンサは、可変コンデンサ又は固定コンデンサであり、前記可変コンデンサは、前記可変コンデンサの容量を変更するためにモータに結合されている、変圧器装置。
【請求項16】
請求項11に記載の変圧器装置であって、前記第1の2次巻線は前記1次巻線に撚り合わされることで前記1次巻線と対応付けられ、前記第2の2次巻線は前記1次巻線に撚り合わされることで前記1次巻線と対応付けられている、変圧器装置。
【請求項17】
請求項11に記載の変圧器装置であって、前記第1の2次巻線は前記1次巻線と交互に巻回されることで前記1次巻線と対応付けられ、前記第2の2次巻線は前記1次巻線と交互に巻回されることで、前記1次巻線と対応付けられている、変圧器装置。
【請求項18】
請求項11に記載の変圧器装置であって、前記1次巻線の前記第1の端部は、他のコンデンサを介して前記インピーダンス整合回路に結合され、前記他のコンデンサは固定コンデンサ又は可変コンデンサである、変圧器装置。
【請求項19】
変圧器の、コンデンサに結合された1次巻線によって、インピーダンス整合回路の出力から修正高周波(RF)信号を受信すること、
前記修正RF信号の受信時に、前記1次巻線によって、前記変圧器の2次巻線にわたって電圧を誘起するための磁束を生成させること、及び
前記2次巻線の前記電圧で生成されたRF信号を、プラズマチャンバのトランス結合型プラズマ(TCP)コイルに転送すること、を含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記TCPコイルが前記2次巻線と直列である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に記載された実施形態は、基板処理において均一性を実現する変圧器の使用のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで提供される背景技術の説明は、本開示の文脈を大まかに提示することを目的とする。この背景技術の項で説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示又は暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0003】
プラズマツールでは、1つ又は複数の高周波(RF)発生器が、インピーダンス整合ネットワークに結合されている。インピーダンス整合ネットワークは、プラズマチャンバに結合されている。RF生成器からインピーダンス整合ネットワークに、RF信号が供給される。RF信号を受信すると、インピーダンス整合ネットワークは、RF信号を出力する。RF信号は、インピーダンス整合回路からプラズマチャンバに供給され、プラズマチャンバ内でウェハ処理が行われる。
【0004】
プラズマツールに導入される様々な構造により、ウェハと追加ウェハの処理における効率性は悪化する。例えば、複数のウェハは均一的に処理されない。また、各ウェハの処理速度の均一性も低下する。
【0005】
本開示の実施形態は、このような文脈において説明される。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、基板処理において均一性を実現する変圧器の使用のための装置、システム、方法、及びコンピュータプログラムを提供する。本実施形態は、あらゆる形態、例えば、プロセス、装置、システム、ハードウェア、又はコンピュータ読み取り可能な媒体を介した方法にて実施できることを理解されたい。以下、いくつかの実施形態について説明する。
【0007】
基板を処理するための処理速度、例えばエッチングレートや堆積レートは、様々な方法で向上できる。例えば、RF生成器から供給されるRF(Radio Frequency:高周波)電力が増加すると、処理速度が向上する。別の例として、同じ電力レベルである場合は、電圧と電流の比率が処理速度を決定する役割を担う。電圧電流比は、直列コンデンサの挿入や、インターレースデュアルコイルアンテナシステムの使用により変更可能である。本明細書では、直列コンデンサをコイル終端コンデンサと称する場合がある。直列コンデンサの一端部は単一のアンテナコイルと直列に結合され、直列コンデンサの他端は接地される。
【0008】
しかし、直列コンデンサは共振又は共振に近い状態を作り出し、単一アンテナコイルにわたる高電圧を発生させる。この高電圧によって、基板を処理する際の均一性が低下する。また、直列コンデンサの端部が接地されると、コイルアンテナにわたる電圧が大きく低下する。この大幅な低下によって、コイルアンテナにわたる電圧に傾きが生じ、均一性が低下する。
【0009】
インターレースデュアルコイルアンテナシステムの場合、複数の直列コンデンサが挿入される。各直列コンデンサは、インターレースデュアルコイルアンテナシステムのそれぞれのアンテナコイルと直列に接続されている。ここでも、インターレースデュアルコイルアンテナシステムの場合、直列コンデンサによって上記と同様の問題が起こる。
【0010】
一実施形態では、処理速度を上げるために、また均一性を大幅に向上させるために、トランス結合型誘導結合プラズマ(ICP)システムを使用する。変圧器は所与の電力量に対して電圧電流比を変化させるために使用される。電圧電流比は、1次2次巻線比が変わると変化する。1次2次巻線比とは、変圧器の1次巻線の巻数と変圧器の2次巻線の巻数の比をいう。1次2次巻線比が変わると、電圧電流比が変化し、均一性が向上する。変圧器は、シングル又はインターレースのデュアルアンテナコイルと共に使用できる。
【0011】
一実施形態では、高周波でも効率的に動作する変圧器について説明する。
【0012】
一実施形態では、基板処理において均一性を実現する変圧器の使用のためのシステムについて説明する。このシステムは、第1の端部と第2の端部を有する1次巻線を含む。第1の端部は、インピーダンス整合回路の出力に結合され、第2の端部は、コンデンサに結合される。システムは、さらに1次巻線に対応付けられ、プラズマチャンバのトランス結合型プラズマ(TCP)コイルの第1の端部及び第2の端部に結合される2次巻線を含む。1次巻線は、インピーダンス整合回路から修正RF信号を受信して磁束を生成し、2次巻線に電圧を誘起する。該電圧で生成されたRF信号を、2次巻線からTCPコイルに転送する。
【0013】
一実施形態では、変圧器装置について説明する。変圧器装置は、第1の端部と第2の端部を有する1次巻線を含む。第1の端部は、インピーダンス整合回路の出力に結合され、第2の端部は、コンデンサに結合される。変圧器装置は、1次巻線に対応付けられ、プラズマチャンバの第1のTCPコイルの第1の端部及び第2の端部に結合された第1の2次巻線を含む。1次巻線は、インピーダンス整合回路から修正RF信号を受信して磁束を生成し、第1の2次巻線に電圧を誘起する。第1の2次巻線で誘起された電圧によって生成されたRF信号が、第1の2次巻線を介して、第1のTCPコイルに伝達される。変圧器装置は、1次巻線に対応付けられ、プラズマチャンバの第2のTCPコイルの第1の端部及び第2の端部に結合される第2の2次巻線を含む。磁場は、第2の2次巻線に電圧を誘起するように構成されている。第2の2次巻線に誘起された電圧によって生成されたRF信号は、第2の2次巻線から第2のTCPコイルに伝達される。
【0014】
一実施形態では、方法について説明する。該方法は、変圧器の1次巻線によって、インピーダンス整合回路の出力から修正RF信号を受信することを含む。1次巻線はコンデンサに結合されている。該方法は、修正RF信号の受信時に、1次巻線によって、変圧器の2次巻線にわたって電圧を誘起するための磁束を発生させることを含む。該方法は、2次巻線の電圧で生成されたRF信号を、プラズマチャンバのTCPコイルに転送することを含む。
【0015】
本明細書に記載されたシステム及び方法の利点の一部には、コイル終端コンデンサを除去することが含まれる。以上のように、コイル終端コンデンサは、基板表面における処理速度の均一性を低下させる。コイル終端コンデンサを除去することで、処理速度の均一性が向上する。
【0016】
本明細書に記載されるシステム及び方法の利点には、さらに、アンテナコイルの端点間の電圧変動を低減することも含まれる。この電圧変動は、基板表面での処理速度の傾きを誘発し得る。変圧器を可変コンデンサの両端に接続し、変圧器にわたる電圧を制御することで、電圧変動を低減できる。また電圧変動は、1次2次巻線比を変えることによっても低減できる。2次巻線は、アンテナコイルに直列に結合されている。1次巻線と2次巻線の比率を変えることで、アンテナコイルにわたる電圧を変化させ、アンテナコイルの端点間の電圧変動を低減できる。電圧の変動が少なくなることで、基板の半径方向の処理の均一性が向上する。
【0017】
アンテナコイルにわたる電圧は、2次巻線がアンテナコイルと直列に接続され、2次巻線又はアンテナコイルに他の構成要素が接続されていない場合の2次巻線にわたる電圧と同じである。アンテナコイルの両端の電圧は、1次2次巻線比を変えるか、1次巻線に可変コンデンサを結合することで制御できる。アンテナコイルの両端における電圧は、同じか、ほぼ同じになるように制御できる。例えば、アンテナコイルの両端における電圧を、同じ電圧から所定範囲におさまるように制御できる。同じ、又はほぼ同じ電圧にすることで、基板を処理する際の均一性を高めることができる。
【0018】
本明細書に記載されたシステム及び方法の利点には、さらに、アンテナコイル及び台座が共に同じRF周波数を印加される場合において、プラズマビート周波数の問題を解消又は軽減することを含む。このビート周波数は、プラズマチャンバ内のプラズマを変調させるという不具合を引き起こす。変圧器は、絶縁変圧器として機能し、プラズマビート周波数の問題を解消又は軽減する。
【0019】
他の態様は、添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
実施形態は、添付図面を参照した以下の説明によって理解できる。
【0021】
【
図1A】
図1Aは、トランス結合型プラズマ(TCP)チャンバのインナーコイルに対する変圧器型システムの使用を説明するための、システムの一実施形態の図である。
【0022】
【
図1B】
図1Bは、TCPチャンバの外側コイルに対する変圧器型システムの使用を説明するための、システムの一実施形態を示す図である。
【0023】
【
図2】
図2は、TCPチャンバの内側コイルと外側コイルの両方に対する変圧器型システムの使用を説明するための、システムの一実施形態を示す図である。
【0024】
【
図3】
図3は、インターレース内側TCPコイル用及びインターレース外側TCPコイル用変圧器を説明するための、システムの一実施形態を示す図である。
【0025】
【
図4A】
図4Aは、1次巻線と複数の2次巻線とを有する変圧器の一実施形態を示す図である。
【0026】
【0027】
【
図4C】
図4Cは、2次巻線上の複数のタップを説明するための、変圧器の一実施形態を示す図である。
【0028】
【
図4D】
図4Dは、変圧器の1次巻線と2次巻線が互いに撚り合わされる様子を説明するための、変圧器の一実施形態を示す図である。
【0029】
【0030】
【
図5】
図5は、変圧器の製造における同軸ケーブルの使用を説明するための、変圧器の一実施形態を示す図である。
【0031】
【
図6A】
図6Aは、
図1Aのシステムの固定コンデンサの代わりに可変コンデンサaを用いることを説明するための、システムの一実施形態を示す図である。
【0032】
【
図6B】
図6Bは、
図1Bのシステムの固定コンデンサの代わりに可変コンデンサaを用いることを説明するための、システムの一実施形態を示す図である。
【0033】
【
図7】
図7は、
図6A及び
図6Bに図示された可変コンデンサの、
図2のシステムとの使用を説明するための、システムの一実施形態を示す図である。
【0034】
【
図8】
図8は、
図6A及び
図6Bに図示された可変コンデンサの、
図3のシステムとの使用を説明するための、システムの一実施形態を示す図である。
【0035】
【
図9】
図9は、変圧器型システムを用いたプラズマツールを説明するための、システムの一実施形態を示す図である。
【0036】
【
図10】
図10は、変圧器の原理を説明するための、変圧器の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の実施形態において、基板処理において均一性を実現する変圧器の使用のためのシステム及び使用方法を説明する。本実施形態は、以下の具体的な構成の一部又は全部がない場合でも実施できることは明らかである。他の例では、本実施形態を不必要に曖昧にすることを避けるため、周知の処理操作については、詳細な説明を省略する。
【0038】
図1Aは、トランス結合型プラズマ(TCP)チャンバ118の内側コイルに対する変圧器型システム(TBS)102の使用を説明するための、システム100の一実施形態の図である。本明細書では、TBSを変圧器装置と称する場合がある。システム100は、ホストコンピュータ、高周波数発生器(RPG)、インピーダンス整合回路(IMC)110、ドライバ1、モータ1、ドライバ2、モータ2、接続機構160、及び、接続機構162を含む。システム100は、TBS102とプラズマチャンバ118をさらに含む。また、システム100は、可変コンデンサ108と、別の可変コンデンサ128を含む。
【0039】
ホストコンピュータの例としては、デスクトップコンピュータ、ノート型コンピュータ、コントローラ、タブレット、スマートフォンなどが挙げられる。詳細には、ホストコンピュータは、プロセッサとメモリデバイスを含み、プロセッサはメモリデバイスに結合されている。プロセッサの例としては、マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)などが挙げられる。メモリデバイスの例としては、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ストレージディスクアレイ、ハードディスク等が挙げられる。
【0040】
RF生成器は、動作周波数を持つ。例えば、ここでのRF生成器は、400キロヘルツ(kHz)、2メガヘルツ(MHz)、27MHz、60MHzのRF生成器である。詳細には、RF生成器には、2MHzや27MHzなどの周波数を持つRF信号を生成するために発振するRF発振器などのRF電源が含まれる。RF発振器は、2MHzや27MHzなどの動作周波数で動作し、RF信号を生成する。
【0041】
インピーダンス整合回路110の例としては、RF生成器から受信したRF信号の転送を促進し修正RF信号を出力するために互いに結合された、1つ又は複数の直列回路及び1つ又は複数のシャント回路のネットワークが挙げられる。直列回路の例としては、コンデンサ、インダクタ、抵抗などが挙げられる。同様に、シャント回路の例としても、コンデンサ、インダクタ、抵抗などが挙げられる。
【0042】
本明細書で使用されるモータの例としては、電動モータが挙げられる。電動モータの例としては、交流(AC)モータや直流(DC)モータが挙げられる。詳細には、電動モータは、ステータとロータとを含み、ロータはステータに対して回転する。電動モータは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機器であり、電動モータの磁場とステータの巻線に流れる電流の相互作用によって動作し、ロータに取り付けられたシャフトの回転という形で動力を発生する。
【0043】
本明細書で使用されるドライバの例としては、1つ又は複数のトランジスタの入力時の電圧の印加を受けて電流信号を出力する、互いに結合された1つ又は複数のトランジスタが挙げられる。
【0044】
本明細書で使用される接続機構の例としては、1つ又は複数のシャフトが挙げられる。接続機構の他の例としては、1つ又は複数のギアを介して互いに結合された複数のシャフトが挙げられる。
【0045】
TBS102は、1次巻線104A及び2次巻線104Bを有する変圧器104を含む。本明細書で使用される変圧器の例としては、低周波用途に使用されるフェライトコア変圧器が挙げられる。例えば、RF生成器の動作周波数が1MHz未満の場合、フェライトコア変圧器が変圧器として使用される。別の例としては、後述するツイストワイヤ変圧器がある。ツイストワイヤ変圧器は高周波用途に使用される。詳細には、ツイストワイヤ変圧器は、RF生成器の動作周波数が1MHzより高い場合に使用する。TBS102は、さらに、固定コンデンサであるコンデンサ112を含む。
【0046】
さらに、プラズマチャンバ118は、TCPコイルシステム(TCS)150、コイル終端コンデンサ156、及びさらに別のコイル終端コンデンサ159とを含む。TCPコイルシステム150は、TCPコイル116と、複数のTCPコイル152、154を含む。
【0047】
TCPコイル116は、内側TCPコイルであり、TCPコイル152、154は外側TCPコイルである。例えば、内側TCPコイルの直径は、いずれの外側TCPコイルの直径よりも小さくなっている。他の例として、外側TCPコイルが内側TCPコイルを囲んでいる場合もある。外側TCPコイルは、内側TCPコイルと同じ水平レベルで、又は内側TCPコイルとは異なる水平レベルで、内側TCPコイルを囲み得る。
【0048】
RF伝送路158は、1つ又は複数のRFロッドを含み、各RFロッドは、RFトンネルに囲まれている。一例として、RF伝送路158は複数のRFロッドを含み、RFロッドのうちの任意の2つは、RFストラップを介して互いに結合されている。各RFロッドと、それぞれのRFロッドを囲んでいる各RFトンネルの間には、RFロッドとRFトンネルを絶縁するための絶縁材が設けられている。
【0049】
ホストコンピュータは、RF生成器の入力I1、ドライバ1、ドライバ2に結合されている。例えば、ホストコンピュータは、入力I1及びデータ転送ケーブル を介して、RF生成器のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)に結合されている。RF生成器は、DSPとRF発振器を含み、DSPはRF発振器に結合されている。転送ケーブルの例としては、DSPとRF生成器の間でデータを順次転送するシリアル転送ケーブル、並列に転送するパラレル転送ケーブル、USB(Universal Serial Bus)ケーブルなどが挙げられる。
【0050】
RF生成器の出力O1は、IMC110の入力I2に結合されている。例えば、RF発振器の出力O1は、RFケーブル156を介して、IMC110の入力I2に結合されている。IMC110の出力O2は、RF伝送路158の部分PRTN1を介して可変コンデンサ108に結合され、RF伝送路158の別の部分PRTN2を介して可変コンデンサ128に結合されている。例えば、可変コンデンサ108は、RF伝送路158のRFロッド上の点P1に結合され、可変コンデンサ128は、RF伝送路158のRFロッド上の点P2に結合されている。
【0051】
可変コンデンサ108は、接続機構160を介してモータ1に結合され、モータ1はドライバ1に結合されている。可変コンデンサ108の一端部は、点P1においてRF伝送路158の部分PRTN1に結合され、可変コンデンサ108の反対側の端部は、1次巻線104Aの一端部106Aに結合されている。1次巻線104Aの反対側の端部106bは、コンデンサ112の一端部に結合されている。コンデンサ112の反対側の端部は、ゼロ電位などの接地電位でアース接続に結合されている。
【0052】
2次巻線104Bの一端部は、TCPコイル116の一端部114Aに結合され、2次巻線104Bの反対側の端部は、TCPコイル116の反対側の端部114Bに結合されている。TCPコイル116と2次巻線104Bは、互いに直列に結合されている。例えば、端部114Aに結合されている2次巻線104Bの端部は、端部114Aと同電位を有する。また、端部114Bに結合されている2次巻線104Bの反対側の端部は、端部114Bと同電位を有する。別の例として、2次巻線104Bの両端にかかる電圧は、TCPコイル116の両端部114A及び114Bにかかる電圧と同じである。なお、TCPコイル116に直列に結合されたコイル終端コンデンサは存在しない。例えば、コイル終端コンデンサは、TCPコイル116の端部114Bには結合されない。
【0053】
可変コンデンサ128は、接続機構162を介してモータ2に結合され、モータ2はドライバ2に結合されている。可変コンデンサ128の一端部は点P2でRF伝送路158の部分PRTN2に結合され、可変コンデンサ128の反対側の端部は点P3を介してTCPコイル152及び154の端部に結合されている。TCPコイル152の反対側の端部は、コイル終端コンデンサ157の一端部に結合され、TCPコイル154の反対側の端部は、コイル終端コンデンサ159の一端部に結合されている。コイル終端コンデンサ157、159の反対側の端部は、アース接続に結合されている。
【0054】
ホストコンピュータは、制御信号を生成し、入力I1を介してRF生成器に送信することで、プラズマシステム100を動作させる。制御信号を受信すると、RF生成器のDSPは、RF発振器を制御してRF信号164を生成する。RF信号164は、RF生成器の出力O1及びRFケーブル156と、IMC110の入力I2を介して、IMC110に供給される。IMC110は、RF信号164を受信し、RF信号164のインピーダンスを変化させ、IMC110の出力O2において、修正されたRF信号166を出力する。例えば、IMC110の直列回路とシャント回路は、RF信号164のインピーダンスを変化させ、プラズマチャンバ118からRF伝送路158を介してRF生成器に向かって反射されるRF電力を低減させる。
【0055】
修正RF信号166は、IMC110の出力O2から、RF伝送路158の部分PRTN1を介して点P1に送られ、点P1において部分168と別の部分170とに分割される。修正RF信号166の部分168は、点P1から可変コンデンサ108に供給され、修正RF信号168の部分170は、点P1からRF伝送路158の部分PRTN2と点P2を介して、可変コンデンサ128に供給される。本明細書では、部分168を修正RF信号168と称し、部分170を修正RF信号170と称する。
【0056】
可変コンデンサ128の静電容量により、修正RF信号170のインピーダンスが変化し、修正RF信号172が出力される。修正RF信号172は、点P3において、修正RF信号172A及び172Bに分割される。修正RF信号172Aは、点P3からTCPコイル152に供給され、修正RF信号172Bは、点P3からTCPコイル154に供給される。
【0057】
可変コンデンサ108の静電容量により、修正RF信号168のインピーダンスが変化し、修正RF信号120が出力される。修正RF信号120は、可変コンデンサ108及び1次巻線104Aの端部106Aから、1次巻線104Aに送られる。修正RF信号120は、1次巻線104Aの端部106A及び106Bに電圧を生じさせ、1次巻線104Aを介して端部106Aから端部106Bまでを通過し、磁束を有する磁場を発生させる。磁束は、磁界に垂直な平面の単位表面積を通過する磁界の量である。
【0058】
磁界は、2次巻線104Bの両端部に電圧を誘起する。2次巻線104Bの両端部に誘起された電圧は、TCPコイル116の端部114AからTCPコイルの端部114Bへと流れるRF電流信号などのRF信号122を発生させる。TCPコイル116へのRF信号122の印加と、TCPコイル152及び154のそれぞれへの修正RF信号172A及び172Bの印加に加えて、後述する1つ又は複数のプロセスガスをプラズマチャンバ118に印加すると、プラズマチャンバ118内での後述する基板処理のために、プラズマチャンバ118内でプラズマが生成されるか、あるいは維持される。
【0059】
1次巻線104Aのインダクタンスは、端部106Aにおいて受信した修正RF信号120のインピーダンスを修正し、1次巻線104Aの端部106Bにおいて修正RF信号174を出力する。コンデンサ112は、修正RF信号174を受信する。修正RF信号174を受信すると、コンデンサ112の容量は、コンデンサ112の両端部に電圧を生じさせる容量となり、その電圧によって変圧器104の1次巻線104Aの端部106A及び106Bにかかる電圧が決定される。
【0060】
また、プラズマシステム100の動作中、ホストコンピュータは、ドライバ1に対して容量制御信号を送信する。容量制御信号は、可変コンデンサ108の容量を実現するためにホストコンピュータによって生成され、該容量は、1次巻線104Aにわたって実現すべき電圧量に対応し、該電圧量は、2次巻線104Bにわたって実現すべき別の電圧量に対応している。可変コンデンサ108の容量と、1次巻線104A及び2次巻線104Bにわたって実現すべき電圧の量は、ホストコンピュータのメモリデバイスに格納される。ホストコンピュータのプロセッサは、可変コンデンサ108の容量値と、1次巻線104A及び2次巻線104Bにおいて実現すべき電圧の量との対応関係から、可変コンデンサ108の容量を特定する。
【0061】
容量制御信号を受信すると、ドライバ1は電流信号を生成し、モータ1へ送信する。モータ1が回転することで、可変コンデンサ108のプレートを、接続機構160を介して、同じく可変コンデンサ108の対向するプレートに対して回転させて容量制御信号内の容量に到達させ、さらに1次巻線104Aにわたる電圧、2次巻線104Bにわたる電圧に到達させる。
【0062】
さらに、プラズマシステム100の動作中、ホストコンピュータは、ドライバ2に容量制御信号を送信する。容量制御信号は、可変コンデンサ128の容量を実現するために、ホストコンピュータによって生成される。容量制御信号を受信すると、ドライバ2は電流信号を生成し、モータ2へ送信する。モータ2が回転することで、接続機構162を介して、可変コンデンサ128のプレートを、可変コンデンサ128の対向するプレートに対して回転させ、容量制御信号内の容量に到達させる。
【0063】
一実施形態においては、可変コンデンサ108の容量は、プラズマシステム100の動作中に制御されることはない。例えば、基板の処理中は、可変コンデンサ108の容量は固定される。別の例においては、可変コンデンサ108の代わりに、固定コンデンサを用いる。同様に、一実施形態においては、可変コンデンサ128の容量は、プラズマシステム100の動作中に制御されることはない。例えば、基板の加工中は、可変コンデンサ128の容量が固定される。別の例においては、可変コンデンサ128の代わりに、固定コンデンサを用いる。
【0064】
一実施形態においては、可変コンデンサ108及び128の1つ又は複数は、プラズマシステム100において使用されない。例えば、1次巻線104Aは、可変コンデンサ108には結合されずに、RF伝送路158上の点P1に結合されている。別の例においては、TCPコイル152及び154は、可変コンデンサ128には結合されずに、点P2及びP3を介してRF伝送路158に結合されている。
【0065】
図1Bは、トランス結合型プラズマ(TCP)チャンバ182の外側コイルに対するTBS184の使用を説明するための、システム180の一実施形態の図である。システム180は、いくつかの違いを除いて、システム100(
図1A)と同じ構造及び機能を有する。システム180とシステム100の相違点を以下に説明する。
【0066】
システム180は、ホストコンピュータ、RF生成器、IMC110、ドライバ1、モータ1、ドライバ2、モータ2、接続機構160、及び接続機構162を含む。システム180は、TBS184とプラズマチャンバ182をさらに含む。また、システム180は、可変コンデンサ108、128を含む。
【0067】
TBS184は、1次巻線124A及び2次巻線124Bを有する変圧器124を含む。TBS184は、さらに、固定コンデンサであるコンデンサ130を含む。さらに、プラズマチャンバ182は、TCPコイルシステム(TCS)186、コイル終端コンデンサ188、及び別のコイル終端コンデンサ190を含む。TCPコイルシステム186は、TCPコイル116及び152と、TCPコイル192とを含む。
【0068】
TCPコイル116、192は内側TCPコイルであり、TCPコイル152は外側TCPコイルである。例えば、内側TCPコイルの直径は、いずれの外側TCPコイルの直径よりも小さくなっている。他の例として、外側TCPコイルが内側TCPコイルを囲んでいる場合もある。外側TCPコイルは、内側TCPコイルと同じ水平レベルで、又は内側TCPコイルとは異なる水平レベルで、内側TCPコイルを囲み得る。
【0069】
可変コンデンサ108の一端部は点P1でRF伝送路158の部分PRTN1に結合され、可変コンデンサ108の反対側の端部は点P4を介してTCPコイル192及び116の端部に結合されている。TCPコイルの反対側の端部は、コイル終端コンデンサ188の一端部に結合され、TCPコイル116の反対側の端部は、コイル終端コンデンサ190の一端部に結合されている。コイル終端コンデンサ188、190の反対側のそれぞれの端部は、アース接続に結合されている。
【0070】
可変コンデンサ128の一端部は、点P2においてRF伝送路158の部分PRTN2に結合され、可変コンデンサ128の反対側の端部は、1次巻線124Aの一端部126Aに結合されている。1次巻線124Aの反対側の端部126Bは、コンデンサ130の一端部に結合されている。コンデンサ130の反対側の端部は、アース接続に結合されている。
【0071】
2次巻線124Bの一端部は、TCPコイル152の一端部132Aに結合され、2次巻線124Bの反対側の端部は、TCPコイル152の反対側の端部132Bに結合されている。TCPコイル152と2次巻線124Bは、互いに直列に結合されている。例えば、端部132Aに結合されている2次巻線124Bの端部は、端部132Aと同電位を有する。また、端部132Bと結合されている2次巻線124Bの反対側の端部は、端部132Bと同電位を有する。別の例として、2次巻線124Bの両端にかかる電圧は、TCPコイル152の両端部132A及び132Bにかかる電圧と同じである。なお、TCPコイル152に直列に結合されたコイル終端コンデンサは存在しない。例えば、コイル終端コンデンサは、TCPコイル152の端部132Bには結合されない。
【0072】
プラズマシステム180の動作中、修正RF信号120及び172は、
図1Aを参照して上述した方法と同様に生成される。さらに、修正RF信号120は、点P4において修正RF信号194A及び194Bに分割される。修正RF信号194Aは、点P4からTCPコイル192に供給され、修正RF信号194Bは、点P4からTCPコイル116に供給される。
【0073】
また、修正RF信号172が、可変コンデンサ128と1次巻線124Aの端部126Aから1次巻線124Aへ送信される。修正RF信号172は、1次巻線124Aの端部126A及び126Bに電圧を生じさせ、1次巻線124Aを介して1次巻線124Aの端部126Aから端部126Bまでを通過し、磁束を有する磁場を発生させる。
【0074】
1次巻線124Aによって発生した磁界は、2次巻線124Bの両端部に電圧を誘起する。2次巻線124Bの両端部に誘起された電圧は、TCPコイル152の端部132AからTCPコイルの端部132Bへ流れるRF電流信号などのRF信号138を発生させる。TCPコイル152へのRF信号138の印加、及びTCPコイル192及び116のそれぞれへの修正RF信号194A及び194Bの印加に加えて、1つ又は複数のプロセスガスをプラズマチャンバ182に印加すると、プラズマチャンバ182内での後述する基板処理のために、プラズマチャンバ182内でプラズマが生成されるか、あるいは維持される。
【0075】
1次巻線124Aのインダクタンスは、端部126Aにおいて受信した修正RF信号172のインピーダンスを修正し、1次巻線124Aの端部126Bにおいて修正RF信号196を出力する。コンデンサ130は、修正RF信号196を受信する。修正RF信号196を受信すると、コンデンサ130の容量は、コンデンサ130の両端部に電圧を生じさせる容量となり、その電圧によって変圧器124の1次巻線124Aの端部126A及び126Bにかかる電圧が決定される。
【0076】
また、プラズマシステム180の動作中、ホストコンピュータは、ドライバ2に対して容量制御信号を送信する。容量制御信号は、可変コンデンサ128の容量を実現するためにホストコンピュータによって生成され、該容量は、1次巻線124Aにわたって実現すべき電圧量に対応し、該電圧量は、2次巻線124Bにわたって実現すべき別の電圧量に対応している。可変コンデンサ128の容量と、1次巻線124A及び2次巻線124Bにわたって実現すべき電圧の量は、ホストコンピュータのメモリデバイスに格納されている。ホストコンピュータのプロセッサは、可変コンデンサ128の容量値と、1次巻線124A及び2次巻線124Bにおいて実現すべき電圧の量との対応関係から、可変コンデンサ128の容量を特定する。
【0077】
容量制御信号を受信すると、ドライバ2は電流信号を生成し、モータ2へ送信する。モータ2が回転することで、可変コンデンサ128のプレートを、可変コンデンサ128の対向するプレートに対して回転させて容量制御信号内の容量に到達させ、さらに1次巻線124Aにわたる電圧、2次巻線124Bにわたる電圧に到達させる。
【0078】
さらに、プラズマシステム180の動作中、ホストコンピュータは、ドライバ1に容量制御信号を送信する。容量制御信号は、可変コンデンサ108の容量を実現するために、ホストコンピュータによって生成される。容量制御信号を受信すると、ドライバ1は電流信号を生成し、モータ1へ送信する。モータ1が回転することで、可変コンデンサ108のプレートを、可変コンデンサ108の対向するプレートに対して回転させ、容量制御信号内の容量に到達させる。
【0079】
一実施形態においては、可変コンデンサ108の容量は、プラズマシステム180の動作中に制御されることはない。例えば、基板の処理中は、可変コンデンサ108の容量は固定される。別の例においては、可変コンデンサ108の代わりに、固定コンデンサを用いる。同様に、一実施形態においては、可変コンデンサ128の容量は、プラズマシステム180の動作中に制御されることはない。例えば、基板の加工中は、可変コンデンサ128の容量が固定される。別の例においては、可変コンデンサ128の代わりに、固定コンデンサを用いる。
【0080】
一実施形態においては、可変コンデンサ108及び128の1つ又は複数は、プラズマシステム180において使用されない。例えば、TCPコイル192及び116は、可変コンデンサ108には結合されずに、点P4を介してRF伝送路158上の点P1に結合されている。別の例として、1次巻線124Aは、可変コンデンサ128には結合されずに、RF伝送路158上の点P2に結合されている。
【0081】
図2は、トランス結合型プラズマ(TCP)チャンバ204の内側コイルと外側コイルの両方に対するTBS202の使用を説明するための、システム200の一実施形態の図である。システム200は、システム100の一部分とシステム180の一部分を組み合わせたものである(
図1A、
図1B)。例えば、システム200は、以下に説明する違いを除いて、システム100(
図1A)と同じ構造及び機能を有する。また、システム200は、以下に説明する違いを除いて、システム180(
図1B)と同じ構造及び機能を有する。
【0082】
システム200は、ホストコンピュータ、RF生成器、IMC110、ドライバ1、モータ1、ドライバ2、モータ2、接続機構160、及び接続機構162を含む。システム200は、TBS202とプラズマチャンバ204をさらに含む。また、システム200は、可変コンデンサ108、128を含む。
【0083】
TBS202は、変圧器104とコンデンサ112を含む。また、TBS202は、変圧器124とコンデンサ130を含む。さらに、プラズマチャンバ204は、TCPコイルシステム(TCS)206を含み、TCS206は、TCPコイル116及び152を含む。プラズマチャンバ204からは、コイル終端コンデンサ
157、159(
図1A)、188、及び190(
図1B)などの、一切のコイル終端コンデンサが除かれている。
【0084】
TCPコイル116は内側TCPコイルであり、TCPコイル152は外側TCPコイルである。例えば、内側のTCPコイルの直径は、外側のTCPコイルの直径よりも小さくなっている。他の例として、外側TCPコイルが内側TCPコイルを囲んでいる場合もある。外側TCPコイルは、内側TCPコイルと同じ水平レベルで、又は内側TCPコイルとは異なる水平レベルで、内側TCPコイルを囲み得る。
【0085】
可変コンデンサ108の一端部は、
図1Aを参照して上述した方法と同様に変圧器104に結合され、変圧器104は、
図1Aを参照して上述した方法と同様にTCPコイル116及びコンデンサ112に結合されている。さらに、可変コンデンサ128の一端部は、
図1Bを参照して上述した方法と同様に変圧器124に結合され、変圧器124は、
図1Bを参照して上述した方法と同様にTCPコイル152及びコンデンサ130に結合されている。
【0086】
プラズマシステム200の動作は、
図1Aを部分的に参照し、
図1Bを部分的に参照しながら上述した通りである。例えば、変圧器104、可変コンデンサ108、コンデンサ112の動作については、
図1Aを参照して説明している。また、変圧器124、可変コンデンサ128、コンデンサ130の動作は、
図1Bを参照して上述した通りである。
【0087】
一実施形態においては、可変コンデンサ108及び128の1つ又は複数は、プラズマシステム200において使用されない。例えば、1次巻線104Aは、可変コンデンサ108には結合されずに、RF伝送路158上の点P1に結合されている。別の例として、1次巻線124Aは、可変コンデンサ128には結合されずに、RF伝送路158上の点P2に結合されている。
【0088】
図3は、インターレース内側TCPコイル用及びインターレース外側TCPコイル用の変圧器を説明するための、システム300の一実施形態を示す図である。システム300は、以下に説明する違いを除いて、システム200(
図2)と同じ構造及び機能を有する。システム300は、ホストコンピュータ、RF生成器、IMC110、モータ1、ドライバ1、モータ2、及びドライバ2を含む。システム300は、さらに、可変コンデンサ108、128、変圧器型システム302、接続機構160、接続機構162と、プラズマチャンバ310とを含む。
【0089】
TBS302は、1次巻線104Aと複数の2次巻線104B、304とを有する変圧器332を含む。TBS302はさらに、1次巻線124Aと複数の2次巻線124B、314とを有する別の変圧器334を含む。
【0090】
プラズマチャンバ310は、TCPコイル116、TCPコイル192、別のTCPコイル152と、TCPコイル154とを含む。TCPコイル192及び116は内側TCPコイルであり、TCPコイル152及び154は外側TCPコイルである。例えば、いずれの内側TCPコイルの直径も、いずれの外側TCPコイルの直径よりも小さくなっている。他の例として、外側TCPコイルが内側TCPコイルを囲んでいる場合もある。外側TCPコイルは、内側TCPコイルと同じ水平レベルで、又は内側TCPコイルとは異なる水平レベルで、内側TCPコイルを囲み得る。
【0091】
変圧器332の2次巻線304の一端部はTCPコイル192の一端部306Aに結合され、2次巻線304の反対側の端部はTCPコイル192の反対側の端部306Bに結合されている。TCPコイル192と2次巻線304は、互いに直列に結合されている。例えば、端部306Aに結合されている2次巻線304の端部は、端部306Aと同電位を有する。また、端部306Bと結合されている2次巻線304の反対側の端部は、端部306Bと同電位を有する。別の例として、2次巻線304の両端にかかる電圧は、TCPコイル192の両端部306A及び306Bにかかる電圧と同じである。なお、TCPコイル192に直列に結合されたコイル終端コンデンサは存在しない。例えば、コイル終端コンデンサは、TCPコイル192の端部306Bには結合されない。
【0092】
同様に、変圧器334の2次巻線314の一端部はTCPコイル154の端部316Aに結合され、2次巻線314の反対側の端部はTCPコイル154の反対側の端部316Bに結合されている。例えば、端部316Aに結合されている2次巻線314の端部は、端部316Aと同電位を有する。また、端部316Bと結合されている2次巻線314の反対側の端部は、端部316Bと同電位を有する。別の例として、2次巻線314の両端にかかる電圧は、TCPコイル154の両端部316A及び316Bにかかる電圧と同じである。なお、TCPコイル154に直列に結合されたコイル終端コンデンサは存在しない。例えば、コイル終端コンデンサは、TCPコイル154の端部316Bに結合されない。
【0093】
システム300の動作中、修正RF信号120は、
図1Aを参照して上述した方法と同様に、可変コンデンサ108から出力される。また、RF信号122は、
図1Aを参照して上述した方法と同様に、変圧器332の2次巻線104Bによって生成される。修正RF信号120は、1次巻線104Aの端部106A及び106Bに電圧を生じさせ、1次巻線104Aを介して1次巻線104Aの端部106Aから端部106Bまでを通過し、磁束を有する磁場を発生させる。磁界は、2次巻線304の両端部に電圧を誘起する。2次巻線304の両端部に誘起された電圧は、TCPコイル192の端部306AからTCPコイル192の端部306Bへ流れるRF電流信号などのRF信号312を発生させる。
【0094】
さらに、システム300の動作中、修正RF信号172は、
図1Bを参照して上述した方法と同様に、可変コンデンサ128から出力される。また、RF信号138は、
図1Bを参照して上述した方法と同様に、変圧器334の2次巻線124Bによって生成される。
【0095】
修正RF信号172は、1次巻線124Aの両端部126A及び126Bに電圧を生じさせ、1次巻線124Aを介して1次巻線124Aの端部126Aから端部126Bまでを通過し、磁束を有する磁場を発生させる。磁界は、2次巻線314の両端部に電圧を誘起する。2次巻線314の両端部に誘起された電圧は、TCPコイル154の端部316AからTCPコイル154の端部316Bへ流れるRF電流信号などのRF信号320を発生させる。
【0096】
TCPコイル116を通過するRF信号122、TCPコイル192を通過するRF信号312、TCPコイル154を通過するRF信号320、及びTCPコイル152を通過するRF信号138に加えて、後述する1つ又は複数のプロセスガスをプラズマチャンバ310に印加すると、プラズマチャンバ310内での基板処理のために、プラズマチャンバ310内でプラズマが生成されるか、あるいは維持される。
【0097】
また、プラズマシステム300の動作中、ホストコンピュータは、ドライバ1に対して容量制御信号を送信する。容量制御信号は、可変コンデンサ108の容量を実現するためにホストコンピュータによって生成され、該容量は、1次巻線104Aにおいて実現すべき電圧量に対応し、該電圧量は、2次巻線104Bにおいて実現すべき別の電圧量と、2次巻線304において実現すべきさらに別の電圧量に対応する。可変コンデンサ108の容量と、1次巻線104A、2次巻線104B、及び2次巻線304において実現すべき電圧の量は、ホストコンピュータのメモリデバイスに記憶される。ホストコンピュータのプロセッサは、可変コンデンサ108の容量値と、1次巻線104A、2次巻線104B、及び2次巻線304において実現すべき電圧の量との対応関係から、可変コンデンサ108の容量を特定する。
【0098】
容量制御信号を受信すると、ドライバ1は電流信号を生成し、モータ1へ送信する。モータ1が回転することで、可変コンデンサ108のプレートを、可変コンデンサ108の対向するプレートに対して回転させて容量制御信号内の容量に到達させ、さらに1次巻線104Aにわたる電圧、2次巻線104Bにわたる電圧、及び2次巻線304にわたる電圧に到達させる。
【0099】
さらに、プラズマシステム300の動作中、ホストコンピュータは、ドライバ2に容量制御信号を送信する。容量制御信号は、可変コンデンサ128の容量を実現するためにホストコンピュータによって生成され、該容量は、1次巻線124Aにおいて実現すべき電圧量に対応し、該電圧量は、2次巻線124Bにおいて実現すべき別の電圧量と、2次巻線314において実現すべきさらに別の電圧量に対応する。可変コンデンサ128の容量と、1次巻線124A、2次巻線124B、及び2次巻線314において実現すべき電圧の量は、ホストコンピュータのメモリデバイスに記憶される。ホストコンピュータのプロセッサは、可変コンデンサ128の容量値と、1次巻線124A、2次巻線124B、及び2次巻線314において実現すべき電圧の量との対応関係から、可変コンデンサ128の容量を特定する。
【0100】
容量制御信号を受信すると、ドライバ2は電流信号を生成し、モータ2へ送信する。モータ2が回転することで、可変コンデンサ128のプレートを、可変コンデンサ128の対向するプレートに対して回転させて容量制御信号内の容量に到達させ、さらに1次巻線124Aにわたる電圧、2次巻線124Bにわたる電圧、及び2次巻線314にわたる電圧に到達させる。
【0101】
一実施形態においては、
図2のプラズマシステム200を参照して上述したのと同じ方法で、可変コンデンサ108及び128の1つ又は複数は、プラズマシステム300において使用されない。
【0102】
また、一実施形態では、
図2のプラズマシステム200を参照して上述したように、可変コンデンサ108及び128の1つ又は複数は固定されている。
【0103】
図4Aは、1次巻線と複数の2次巻線とを有する変圧器400の一実施形態を示す図である。変圧器400は、1次巻線402と、複数の2次巻線404A、404B、404C、404Dとを含む。変圧器400は、ツイストワイヤ変圧器の一例である。
【0104】
1次巻線402は、1次巻線104A(
図1A、
図2)及び124A(
図1B、
図2)のいずれかの一例である。2次巻線404A~404Dは、それぞれ、2次巻線104B(
図1A)、124B(
図1B)、304(
図3)、及び314(
図3)のいずれかの一例である。
【0105】
1次巻線402と2次巻線404A~404Dを互いに対して撚り合わせて、変圧器400を作製する。1次巻線402の一例としては、金属線に絶縁体被覆を施したものがある。詳細には、1次巻線402は、ポリウレタンで被覆された銅線又は磁性線である。同様に、2次巻線404A~404Dの各々の一例は、金属線である。また、2次巻線404A~404Dの各々の一例は、ポリウレタンで被覆された銅線である。
【0106】
一実施形態では、変圧器400は、4つ以上又は以下の2次巻線を含む。例えば、変圧器400は、2つ、あるいは5つの2次巻線を有する。変圧器400が1次巻線402と2次巻線404A~404Dのうちの2つを含む場合、変圧器400は、変圧器332又は変圧器334(
図3)の一例である。変圧器400が1次巻線402と2次巻線404A~404Dのうちの1つを含む場合、変圧器400は、変圧器104(
図1A)又は変圧器124(
図1B)の一例である。
【0107】
一実施形態では、1次巻線402及び2次巻線404A~404Dは、互いに撚り合わされて編組構造を形成している。
【0108】
図4Bは、変圧器410の一実施形態を示す図である。変圧器410は、ツイストワイヤ変圧器の別の例である。変圧器410は、1次巻線402と、2次巻線404A、404B、404Cとを有する。1次巻線402と2次巻線404A~404Cは互いに撚り合わされ、変圧器410を形成する。
【0109】
なお、変圧器410の作製には、芯材は使用されない。変圧器410は空芯変圧器である。これにより、後述する高周波用途での変圧器410の利用が容易になる。高周波にはマイクロ波周波数も含まれる。
【0110】
一実施形態では、1次巻線402及び2次巻線404A,404B,及び404Cは、互いに撚り合わされて編組構造を形成している。
【0111】
図4Cは、2次巻線上の複数のタップを説明するための、変圧器420の一実施形態を示す図である。変圧器420は、ツイストワイヤ変圧器のさらにまた別の例である。変圧器420は、1次巻線402と2次巻線404Aを有する。一例として、1次巻線402と2次巻線404Aを互いに撚り合わせて、変圧器420を作製する。2次巻線404Aは、タップ0、タップ1、タップ2、タップ3、タップ4、及びタップ5を含む複数のタップを有する。一例として、2次巻線のタップは、2次巻線に沿った位置に設けられたワイヤ接続などの接点である。
【0112】
一例として、TCPコイル116の端部114A(
図1A、
図2、
図3)はタップ5に結合され、TCPコイル116の端部114Bはタップ0に結合されている。別の例として、TCPコイル116の端部114Aは、タップ4に結合され、TCPコイル116の端部114Bは、タップ0に結合されている。さらに別の例として、TCPコイル116の端部114Aは、タップ4に結合され、TCPコイル116の端部114Bは、タップ1に結合されている。さらにまた別の例として、TCPコイル116の端部114Aは、タップ3に結合され、TCPコイル116の端部114Bは、タップ1に結合されている。
【0113】
別の例として、TCPコイル192(
図3)の端部306Aはタップ5に結合され、TCPコイル192の端部306Bはタップ0に結合されている。別の例として、TCPコイル192の端部306Aは、タップ4に結合され、TCPコイル192の端部306Bは、タップ0に結合されている。さらに別の例として、TCPコイル192の端部306Aは、タップ4に結合され、TCPコイル192の端部306Bは、タップ1に結合されている。さらにまた別の例として、TCPコイル192の端部306Aは、タップ3に結合され、TCPコイル192の端部306Bは、タップ1に結合されている。
【0114】
さらに別の例として、TCPコイル154(
図3)の端部316Aはタップ5に結合され、TCPコイル154の端部316Bはタップ0に結合されている。別の例として、TCPコイル154の端部316Aは、タップ4に結合され、TCPコイル154の端部316Bは、タップ0に結合されている。さらに別の例として、TCPコイル154の端部316Aは、タップ4に結合され、TCPコイル154の端部316Bは、タップ1に結合されている。さらに別の例として、TCPコイル154の端部316Aは、タップ3に結合され、TCPコイル154の端部316Bは、タップ1に結合されている。
【0115】
さらに別の例として、TCPコイル152(
図1B、
図2、
図3)の端部132Aはタップ5に結合され、TCPコイル152の端部132Bはタップ0に結合されている。別の例として、TCPコイル152の端部132Aはタップ4に結合され、TCPコイル152の端部132Bはタップ0に結合されている。さらに別の例として、TCPコイル152の端部132Aは、タップ4に結合され、TCPコイル152の端部132Bは、タップ1に結合されている。さらに別の例として、TCPコイル152の端部132Aはタップ3に結合され、TCPコイル152の端部132Bはタップ1に結合されている。
【0116】
タップ1からタップ2へ、あるいはタップ2からタップ3へとタップが変化することにより、2次巻線404Aに直列に結合されているTCPコイルに2次巻線404Aによって印加される電圧が変化する。例えば、TCPコイルがタップ0及び5を介して2次巻線404Aに結合されている場合、TCPコイルがタップ1及び3を介して2次巻線404Aに結合されている場合とは異なる量の電圧がTCPコイルに印加される。別の例として、TCPコイルがタップ1及び2を介して2次巻線404Aに結合されている場合、TCPコイルがタップ2及び4を介して2次巻線404Aに結合されている場合とは異なる量の電圧がTCPコイルに印加される。
【0117】
一実施形態においては、2次巻線404Aは、6つのタップの代わりに、3つ又は7つなど、6以上又は以下のタップを有する。
【0118】
一実施形態では、2次巻線404A~404D(
図4A)の1つ又は複数は、タップを有する。例えば、2次巻線404Aは3つのタップを有し、2次巻線404Bも3つのタップを有し、2次巻線404Cもまた3つのタップを有する。別の例として、2次巻線404Aにタップ0~6を接続する代わりに、又はそれに加えて、タップ0~6が2次巻線404Bに接続される。さらに別の例として、タップ0~6を2次巻線404Aに接続する代わりに、又はそれに加えて、タップ0~6が2次巻線404C、404D、及び404Eのいずれかに接続される。
【0119】
一実施形態では、2次巻線404A~404Dの1つ又は複数は、2次巻線404A~404Dの残りの1つ又は複数とは異なるタップ数を有する。例えば、2次巻線404A及び404Bの各々は3つのタップを有し、2次巻線404C及び404Dの各々は4つのタップを有する。
【0120】
図4Dは、変圧器450の1次巻線と2次巻線が互いに撚り合わされる様子を説明するための、一実施形態を示す図である。変圧器450は、1次巻線402と2次巻線404Aを含む。1次巻線402が2次巻線404Aと撚り合わされ、2次巻線404Aが1次巻線402と撚り合わされることで、変圧器450が作製される。
【0121】
図4Eは、変圧器460の一実施形態を示す図である。変圧器460は、1次巻線452と2次巻線454とを含む。1次巻線452と2次巻線454のそれぞれは、絶縁体で包まれた金属管である。金属管は、例えば、銅でできている。他の例として、金属管は中空であり、管のハウジングには空間が通っている。1次巻線452と2次巻線454とは、交互に巻回されている。例えば、1次巻線452は2次巻線454の上に巻回され、2次巻線454は1次巻線452の上に巻回されており、1次巻線452を2次巻線454と交互にして変圧器を作製する。1次巻線452と2次巻線454が交互に巻回されると、1次巻線452と2次巻線454とを含むシリンダ462が形成される。
【0122】
図5は、変圧器500の製造における同軸ケーブルの使用を説明するための、変圧器500の一実施形態を示す図である。変圧器500は高周波用途に使用される。例えば、変圧器500は、RF生成器の動作周波数が1MHzより高い場合に使用される。
【0123】
変圧器500は、1次巻線502と2次巻線504とを含む。1次巻線502は、1次巻線104A(
図1A)及び124A(
図2)のいずれかの一例である。2次巻線504は、2次巻線104B(
図1A)、124B(
図1B)、304(
図3)、及び314(
図3)のいずれかの一例である。
【0124】
1次巻線502は、外部シールド502Aと内部導体502Bを有する。外部シールド502Bは絶縁体からなり、内部導体502Aは銅などの金属からなる。外部シールド502Aは、内部導体502Bの長さに沿って、内部導体502Bを包み込むように、包囲している。
【0125】
同様に、2次巻線504は、外部シールド504Aと内部導体504Bを有する。外部シールド504Aは絶縁体からなり、内部導体504Aは銅などの金属からなる。本明細書で説明する絶縁体の例としては、プラスチック、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。外部シールド504Aは、内部導体504Bの長さに沿って、内部導体504Bを包み込むように、包囲している。
【0126】
1次巻線502と2次巻線504は、接続506を介して互いに接続されている。例えば、1次巻線502を2次巻線504に隣接して配置し、1次巻線502と2次巻線504とを絶縁体で接続する。
【0127】
内部導体504Bは、1次巻線502と2次巻線504との比が1:2となるように、内部導体502Bの2倍の長さを有している。この内部導体504Bが有する2倍の長さは、内部導体502B上の点506Aと内部導体504B上の点506Bとの間の破線によって示されている。破線は、内部導体504Bの長さが内部導体502Bの長さに比べて2倍になることを説明するものである。別の例として、内部導体504Bの長さは、内部導体502Bの3倍又は4倍となっていてもよい。
【0128】
一例として、2次巻線504の長さは、/4と図示される1/4波長である。2次巻線504の長さの他の例としては、1/2波長又は1/5波長であってもよい。
【0129】
一実施形態では、同軸ケーブルは、中心金属導体を有する。中心導体はその長さに沿って誘電体で包まれており、誘電体はその長さに沿って金属の外部導体で包まれている。外部金属導体は、その長さに沿って絶縁体で覆われている。中心導体は、例えば銅線である。誘電体の一例としては、プラスチック又はポリ塩化ビニルである。外部金属導体は、例えば、銅からなる金属メッシュであり、絶縁体は、例えば、プラスチック、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、又はポリプロピレンである。
【0130】
図6Aは、コンデンサ112(
図1A)の代わりに可変コンデンサ602を用いることを説明するための、システム600の一実施形態を示す図である。システム600は、コンデンサ112の代わりに可変コンデンサ602を有することを除いては、システム100(
図1A)と同じ構造及び機能を有する。例えば、システム600は、変圧器型システム603を含み、変圧器型システム603は、固定されたコンデンサ112の代わりに可変コンデンサ602を含むことを除いて、変圧器型システム102(
図1A)と同じ構造及び機能を有する。
【0131】
システム600は、さらに、ドライバ3、モータ3、及び接続機構604を含む。ホストコンピュータは、ドライバ3に結合され、ドライバ3はモータ3に結合されている。モータ3は、接続機構604を介して、可変コンデンサ602に結合されている。
【0132】
システム600の動作中、ホストコンピュータは、容量制御信号をドライバ3に送信する。容量制御信号は、可変コンデンサ602の容量を実現するためにホストコンピュータによって生成され、該容量は、1次巻線104Aにわたって実現すべき電圧量に対応し、該電圧量は、2次巻線104Bにわたって実現すべき別の電圧量に対応している。可変コンデンサ602の容量と、1次巻線104A及び2次巻線104Bにわたって実現すべき電圧の量は、ホストコンピュータのメモリデバイスに格納される。ホストコンピュータのプロセッサは、可変コンデンサ602の容量値と、1次巻線104A及び2次巻線104Bにおいて実現すべき電圧の量との対応関係から、可変コンデンサ602の容量を特定する。
【0133】
容量制御信号を受信すると、ドライバ3は電流信号を生成し、モータ3へ送信する。モータ3が回転することで、可変コンデンサ602のプレートを、接続機構604を介して、可変コンデンサ602の対向するプレートに対して回転させて容量制御信号内の容量に到達させ、さらに1次巻線104Aにわたる電圧、2次巻線104Bにわたる電圧に到達させる。2次巻線104Bの電圧に到達すると、RF信号122が生成される。
【0134】
図6Bは、コンデンサ130(
図1B)の代わりに可変コンデンサ622を用いることを説明するための、システム620の一実施形態を示す図である。システム620は、コンデンサ130の代わりに可変コンデンサ622を有することを除いては、システム
180(
図1B)と同じ構造及び機能を有する。例えば、システム620は、変圧器型システム621を含み、変圧器型システム621は、固定されたコンデンサ130の代わりに可変コンデンサ622を含むことを除いて、変圧器型システム184(
図1B)と同じ構造及び機能を有する。
【0135】
システム620は、さらに、ドライバ4、モータ4、及び接続機構624を含む。ホストコンピュータはドライバ4に結合され、ドライバ4はモータ4に結合されている。モータ4は、接続機構624を介して、可変コンデンサ622に結合されている。
【0136】
システム620の動作中、ホストコンピュータは、ドライバ4に容量制御信号を送信する。容量制御信号は、可変コンデンサ622の容量を実現するためにホストコンピュータによって生成され、該容量は、1次巻線124Aにわたって実現すべき電圧量に対応し、該電圧量は、2次巻線124Bにわたって実現すべき別の電圧量に対応している。可変コンデンサ622の容量と、1次巻線124A及び2次巻線124Bにわたって実現すべき電圧の量は、ホストコンピュータのメモリデバイスに格納されている。ホストコンピュータのプロセッサは、可変コンデンサ622の容量値と、1次巻線124A及び2次巻線124Bにおいて実現すべき電圧の量との対応関係から、可変コンデンサ622の容量を特定する。
【0137】
容量制御信号を受信すると、ドライバ4は電流信号を生成し、モータ4へ送信する。モータ4が回転することで、可変コンデンサ622のプレートを、接続機構624を介して、可変コンデンサ622の対向するプレートに対して回転させて容量制御信号内の容量に到達させ、さらに1次巻線124Aにわたる電圧、2次巻線124Bにわたる電圧に到達させる。2次巻線124Bの電圧に到達すると、RF信号196が生成される。
【0138】
図7は、コンデンサ112(
図2)の代わりに可変コンデンサ602を使用し、コンデンサ130(
図2)の代わりに可変コンデンサ622を使用することを説明するための、システム700の一実施形態を示す図である。システム700は、コンデンサ112の代わりに可変コンデンサ602を有すること、コンデンサ130の代わりに可変コンデンサ622を有することを除いては、システム200(
図2)と同じ構造及び機能を有する。例えば、システム700は、変圧器型システム701を含み、変圧器型システム701は、固定されたコンデンサ112の代わりに可変コンデンサ602を含むこと、可変コンデンサ130の代わりに可変コンデンサ622を有することを除いて、変圧器型システム202(
図2)と同じ構造及び機能を有する。
【0139】
また、システム700は、ドライバ3、4と、モータ3、4とを含む。ドライバ3及びモータ3の動作については、
図6Aを参照して前述した通りであり、ドライバ4及びモータ4の動作については、
図6Bを参照して前述した通りである。2次巻線104Bの電圧に到達すると、RF信号174が生成され、2次巻線124Bの電圧に到達すると、RF信号196が生成される。
【0140】
図8は、コンデンサ112(
図3)の代わりに可変コンデンサ602を使用し、コンデンサ130(
図3)の代わりに可変コンデンサ622を使用することを説明するための、システム800の一実施形態を示す図である。システム800は、コンデンサ112の代わりに可変コンデンサ602を有すること、コンデンサ130の代わりに可変コンデンサ622を有することを除いては、システム300(
図3)と同じ構造及び機能を有する。例えば、システム800は、変圧器型システム801を含み、変圧器型システム801は、コンデンサ112の代わりに可変コンデンサ602を含むこと、コンデンサ130の代わりに可変コンデンサ622を有することを除いて、変圧器型システム302(
図3)と同じ構造及び機能を有する。また、システム800は、ドライバ3、4と、モータ3、4とを含む。
【0141】
システム800の動作中、ホストコンピュータは、ドライバ3に容量制御信号を送信する。容量制御信号は、可変コンデンサ602の容量を実現するためにホストコンピュータによって生成され、該容量は、1次巻線104Aにわたって実現すべき電圧量に対応し、該電圧量は、2次巻線104Bにわたって実現すべき別の電圧量に対応している。また、1次巻線104Aにわたって実現すべき電圧の量は、2次巻線304にわたって実現すべき別の電圧の量に対応する。可変コンデンサ602の容量と、1次巻線104A、2次巻線104B、及び2次巻線304において実現すべき電圧の量は、ホストコンピュータのメモリデバイスに記憶される。ホストコンピュータのプロセッサは、可変コンデンサ602の容量値と、1次巻線104A、2次巻線104B、及び2次巻線304において実現すべき電圧の量との対応関係から、可変コンデンサ602の容量を特定する。
【0142】
容量制御信号を受信すると、ドライバ3は電流信号を生成し、モータ3へ送信する。モータ3が回転することで、可変コンデンサ602のプレートを、可変コンデンサ602の対向するプレートに対して回転させて容量制御信号内の容量に到達させ、さらに1次巻線104Aにわたる電圧、2次巻線104Bにわたる電圧、及び2次巻線304にわたる電圧に到達させる。2次巻線104Bの電圧に到達すると、RF信号122が生成され、2次巻線304の電圧に到達すると、RF信号312が生成される。
【0143】
さらに、システム800の動作中、ホストコンピュータは、ドライバ4に容量制御信号を送信する。容量制御信号は、可変コンデンサ622の容量を実現するためにホストコンピュータによって生成され、該容量は、1次巻線124Aにわたって実現すべき電圧量に対応し、該電圧量は、2次巻線124Bにわたって実現すべき別の電圧量に対応している。また、1次巻線124Aにわたって実現すべき電圧の量は、2次巻線314にわたって実現すべき別の電圧の量に対応する。可変コンデンサ622の容量と、1次巻線124A、2次巻線124B、及び2次巻線314において実現すべき電圧の量は、ホストコンピュータのメモリデバイスに記憶される。ホストコンピュータのプロセッサは、可変コンデンサ622の容量値と、1次巻線124A、2次巻線124B、及び2次巻線314において実現すべき電圧の量との対応関係から、可変コンデンサ622の容量を特定する。
【0144】
容量制御信号を受信すると、ドライバ4は電流信号を生成し、モータ4へ送信する。モータ4が回転することで、可変コンデンサ622のプレートを、可変コンデンサ622の対向するプレートに対して回転させて容量制御信号内の容量に到達させ、さらに1次巻線124Aにわたる電圧、2次巻線124Bにわたる電圧、及び2次巻線314にわたる電圧に到達させる。2次巻線124Bの電圧に到達すると、RF信号138が生成され、2次巻線314の電圧に到達すると、RF信号320が生成される。
【0145】
図9は、変圧器型システム902を用いたプラズマツールを説明するための、システム900の一実施形態を示す図である。システム900は、ホストコンピュータ、RF生成器、IMC110、変圧器型システム902、プラズマチャンバ904、プロセスガス供給源906、及びガス供給マニホールド908を含む。
【0146】
プラズマチャンバ904は、TCPコイルシステム912と、基板ホルダ910とを含む。基板ホルダ910は、アース接続に結合されている。TCPコイルシステム912は、基板ホルダ910の上方にある。TCPコイルシステム912の例としては、TCPコイルシステム150(
図1A)、TCPコイルシステム186(
図1B)、TCPコイルシステム206(
図2)、及びTCPコイルシステム330(
図3)が挙げられる。
【0147】
プロセスガス供給源906の例としては、基板ホルダ910に載置された半導体ウェハなどの基板Sを処理するための1つ又は複数のプロセスガスを格納する1つ又は複数のガス容器が挙げられる。基板ホルダ910の一例は、チャックを含む。チャックは、アース接続と結合している下部電極を含む。1つ又は複数のプロセスガスの例としては、酸素含有ガス、フッ素含有ガスが挙げられる。ガス供給マニホールド908は、1つ又は複数の弁を含み、該弁は、プロセスガス供給源906からガス供給マニホールド908を介して受けた1つ又は複数のプロセスガスのプラズマチャンバ904への流れを許可又は禁止するなどの制御を行って、予め設定されたプロセスガスの混合物を得る。
【0148】
変圧器型システム902の例としては、変圧器型システム102(
図1A)、変圧器型システム184(
図1B)、変圧器型システム202(
図2)、変圧器型システム302(
図3)、変圧器型システム603(
図6A)、変圧器型システム621(
図6B)、変圧器型システム701(
図7)、変圧器型システム801(
図8)が挙げられる。TCPコイルシステム912の例としては、TCPコイルシステム150(
図1A)、TCPコイルシステム186(
図1B)、TCPコイルシステム206(
図2)、及びTCPコイルシステム330(
図3)が挙げられる。
【0149】
ホストコンピュータはRF生成器に結合され、RF生成器はIMC110に結合されている。IMC110は、RF伝送路158に結合されている。ホストコンピュータはプロセスガス供給源906に結合され、プロセスガス供給源906はガス供給マニホールド908に結合され、ガス供給マニホールド908はプラズマチャンバ904に結合されている。IMC110は、RF伝送路158を介して変圧器型システム902に結合されている。可変コンデンサ108は、RF伝送路158に結合され、可変コンデンサ128は、RF伝送路158に結合されている。変圧器型システム902は、可変コンデンサ108及び128に結合され、またTCPコイルシステム912に結合されている。
【0150】
動作中、修正RF信号120及び172は、
図1Aを参照して上述した方法と同様に生成される。変圧器型システム902は、修正RF信号120及び172を受信して、RF信号セット914、916を出力する。RF信号セット914の例としては、RF信号122(
図1A及び
図2)、RF信号194A及び194Bのセット(
図1B)、又はRF信号122及び304のセット(
図3)が挙げられる。RF信号セット916の例としては、RF信号172A及び172Bのセット(
図1A)、RF信号138(
図1B及び
図2)、又はRF信号320及び138のセット(
図3)が挙げられる。
【0151】
さらに、動作中、ホストコンピュータは、プロセスガス供給源906に制御信号を送って、1つ又は複数のプロセスガスを供給し、ガス供給マニホールド908に制御信号を送って、1つ又は複数のプロセスガスのプラズマチャンバ904への供給量を制御している。1つ又は複数のプロセスガスがプラズマチャンバ904に供給され、RF信号914、916がTCPコイルシステム912に供給されると、プラズマチャンバ904内にプラズマが発火又は包含されて、基板Sが処理される。基板Sの処理の例としては、基板Sのエッチング、基板Sへの材料堆積、基板Sのスパッタリング、基板Sのクリーニングなどが挙げられる。
【0152】
一実施形態においては、基板ホルダ910は、アース接続に結合される代わりに、インピーダンス整合回路を介して1つ又は複数のRF生成器に結合される。1つ又は複数のRF生成器は、それぞれ1つ又は複数のRFケーブルを介してインピーダンス整合回路に結合され、インピーダンス整合回路は、RF伝送路を介して基板ホルダ910に結合されている。1つ又は複数のRF生成器はそれぞれ1つ又は複数のRF信号を生成し、1つ又は複数のRF信号はそれぞれ1つ又は複数のRFケーブルを介して、インピーダンス整合回路に供給される。インピーダンス整合回路は、1つ又は複数のRF信号に基づいて生成された修正RF信号を出力し、さらに修正RF信号を基板ホルダ910に送って基板Sを処理する。
【0153】
一実施形態においては、TCPコイルシステム912と基板ホルダ910との間に誘電体ウインドウが配置される。
【0154】
図10は、変圧器1000の原理を説明するための、変圧器1000の一実施形態を示す図である。変圧器1000は、変圧器104(
図1A)、又は変圧器124(
図1B)の一例である。変圧器1000は、1次巻線1002と2次巻線1004を有する。
【0155】
変圧器1000は、2次巻線1004の所与の電力量に対して、2次巻線1004の電圧電流比を変化させるために用いることができる。1次巻線1002と2次巻線1004との巻線比Np/Nsを変化させることで、電圧電流比を変化させることができる。Npは1次巻線1002の巻数であり、Nsは2次巻線1004の巻数である。1次巻線1002にわたる電圧をVpとし、2次巻線1004にわたる電圧をVsとする。1次巻線に流れる電流をIp、2次巻線に流れる電流をIsとする。変圧器の方程式を以下に示す。
Vp/Vs = Is/Ip = Np/Ns ……(1)
【0156】
1次巻線1002と2次巻線1004との間の相互インダクタンスMは、次式で表される。
M=k√(LpLs) ……(2)
ここで、kは1次巻線1002と2次巻線1004との結合係数であり、は平方根を表し、Lpは1次巻線1002のインダクタンスであり、またLsは2次巻線1004のインダクタンスである。
【0157】
ツイストワイヤ変圧器は、1次巻線1002と2次巻線1004との間の結合係数を向上させる。ツイストワイヤ変圧器では、1次巻線1002が2次巻線1004と撚り合わされている。結合係数kは、ツイストワイヤ変圧器の、1次巻線1002のピッチと2次巻線1002のピッチに依存する。例えば、係数kが1、あるいは1から予め定められた範囲内などほぼ1に等しくなるように、1次巻線1002及び2次巻線1004のそれぞれのピッチを定義できる。また、結合係数は、1次巻線1002や2次巻線1004の作製に使用するワイヤの抵抗損失などのパラメータにも依存する。1次巻線1002と2次巻線1004とが互いに撚り合わされることで、異なる線である1次巻線1002と2次巻線1004によって生じる結合係数kの差異を低減できる。
【0158】
本明細書に記載される実施形態は、ハンドヘルドハードウェアユニット、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサ型又はプログラム制御型家電、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む様々なコンピュータシステム構成で実施することができる。本明細書に記載された実施形態は、コンピュータネットワークを介して接続されるリモート処理ハードウェアユニットによってタスクを実行する分散コンピューティング環境でも実施できる。
【0159】
いくつかの実装形態では、コントローラは、上記で説明した例の一部となり得るシステムの一部である。該システムは、1つ又は複数の処理ツール、1つ又は複数のチャンバ、1つ又は複数の処理用プラットフォーム、及び/又は特定の処理構成要素(ウェハ台座、ガスフローシステムなど)を含む、半導体処理機器を備えることができる。このシステムは、半導体ウェハ又は基板の処理前、処理中、及び処理後に、その動作を制御するための電子機器と統合されていてもよい。電子機器は、システムの種々の構成要素、又はサブパーツの制御を可能にする「コントローラ」と称される。コントローラは、処理要件及び/又はシステムのタイプに応じて、プロセスガスの送出、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF生成器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送出設定、位置及び動作設定、システムに接続又はインターフェースされたツール及び他の搬送ツール及び/又はロードロックの内外へのウェハ搬送を含む、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされる。
【0160】
概して、コントローラは、種々の実施形態で、様々な集積回路、論理、メモリ、及び/又はソフトウェアを有する電子機器として定義され、命令を受信・発令し、動作を制御し、クリーニング動作を可能にし、終了点測定を可能にする、等を行う。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASICとして定義されるチップ、PLD、又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含む。プログラム命令は、様々な個々の設定(又はプログラム・ファイル)の形態でコントローラに通信される命令であり、半導体ウェハに対して、又は半導体ウェハに関連して、処理を実行する操作パラメータを定義する。いくつかの実施形態では、操作パラメータは、ウェハの1つ又は複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、シリコン二酸化物、表面、回路、及び/又はダイの製造中において、1つ又は複数の処理ステップを達成するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部である。
【0161】
いくつかの実施形態においては、コントローラは、コンピュータの一部であるか結合されており、コンピュータはシステムに統合又は結合されているか、ネットワーク接続されている。また、これらを組み合わせた形態であってもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内に存在するか、あるいはfabホストコンピュータシステムの全体もしくは一部として遠隔アクセスによってウェハ処理を行う。コントローラは、システムへの遠隔アクセスを可能にし、製造動作に関する現在の経過を監視し、過去の製造動作の履歴を調査し、複数の製造動作から傾向若しくは性能メトリックを調査して、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に追従する処理ステップを設定するか、又は新たな処理を開始する。
【0162】
いくつかの実施形態では、遠隔コンピュータ(例えば、サーバ)は、コンピュータネットワーク上で処理レシピをシステムに提供することができ、コンピュータネットワークには、ローカル・ネットワーク又はインターネットを含む。遠隔コンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力又はプログラミングを可能にするユーザ・インターフェースを含み、これらのパラメータ及び/又は設定は、次いで、遠隔コンピュータからシステムに伝達される。いくつかの例では、コントローラは、ウェハを処理するための設定の形で命令を受け取る。設定は、ウェハ上で実行される処理のタイプ、及びコントローラがインターフェースするか又は制御するツールのタイプに固有であることが理解できる。従って、上記のように、コントローラは、例えば、1つ又は複数の離散型コントローラなどを用いて分散しており、1つ又は複数の離散型コントローラは、まとめてネットワーク接続され、本明細書で説明する処理の履行等、共通の目的を持って動作する。このような目的のための分散型コントローラの例としては、(プラットフォーム・レベルで、又は遠隔コンピュータの一部として等)遠隔に位置する1つ又は複数の集積回路と通信できるチャンバ上の1つ又は複数の集積回路であり、これらはチャンバ上での処理を制御するために組み合わせられる。
【0163】
限定はしないが、種々の実施形態においてのシステムの例としては、プラズマ・エッチングチャンバ、堆積チャンバ、スピンリンスチャンバ、金属めっきチャンバ、クリーンチャンバ、斜縁エッチングチャンバ、物理蒸着(PVD)チャンバ、化学蒸着(CVD)チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、原子層エッチング(ALE)チャンバ、イオンインプランテーションチャンバ、トラックチャンバ、並び半導体ウェハの作製及び/又は製造に関連するか若しくは使用できるあらゆる他の半導体処理チャンバを含む。
【0164】
上述の操作は、誘導結合プラズマ(ICP)反応器を参照して説明されているが、いくつかの実施形態において、上述の操作は、他のタイプのプラズマチャンバ、例えば、平行平板プラズマチャンバ、容量結合プラズマチャンバ、導体ツール、誘電体ツール、電子サイクロトロン共鳴(ECR)反応器を含むプラズマチャンバなどにも適用される。
【0165】
上記のように、ツールによって実施する処理操作に応じて、コントローラは、1つ又は複数の他のツール回路若しくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタ・ツール、他のツール・インターフェース、近接ツール、近隣ツール、工場全体に配置されるツール、主コンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場におけるツール位置及び/又は積載口へ、又はそこからウェハの容器を運ぶ材料輸送において使用されるツールと通信する。
【0166】
上記の実施形態を念頭に置いた上で、さらに実施形態のいくつかは、コンピュータシステムに格納されたデータを用いた様々なコンピュータ実装操作を使用することを理解されたい。これらのコンピュータ実装操作は、物理量を操作するものである。
【0167】
また、いくつかの実施形態は、これらの操作を実行するためのハードウェアユニット又は装置に関するものである。装置は、特殊な用途のコンピュータのために特別に構成される。特殊用途のコンピュータとして定義される場合、その特殊な用途に対する動作を可能としながらも、特殊用途の一部ではない他の処理、プログラムの実行又はルーチンも実行する。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された操作は、選択的に起動されたコンピュータによって実行されるか、コンピュータメモリに格納された1つ又は複数のコンピュータプログラムによって構成されるか、又はコンピュータネットワークを介して取得される。コンピュータネットワーク上でデータを取得した場合、そのデータは、コンピュータネットワーク上の他のコンピュータ、例えば、コンピューティングリソースのクラウドによって処理され得る。
【0169】
本明細書に記載された1つ又は複数の実施形態は、非一時的なコンピュータによって読み取り可能な媒体上のコンピュータによって読み取り可能なコードとしても作製され得る。非一時的なコンピュータによって読み取り可能な媒体は、データを記憶する任意のデータ格納ハードウェアユニット、例えばメモリデバイスなどであり、記憶されたデータがコンピュータシステムによって読み取られる。非一時的なコンピュータによって読み取り可能な媒体の例としては、ハードディスク、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、記録用CD(CD-R)、書き換え可能CD(CD-RW)、磁気テープ、その他の光学及び非光学のデータ格納ハードウェアユニットが挙げられる。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体は、ネットワーク結合コンピュータシステム上に分散されたコンピュータ読み取り可能な有形の媒体を含み、コンピュータ読み取り可能なコードの格納と実行を分散方式で行う。
【0170】
上述したいくつかの方法操作は特定の順序で示されるが、様々な実施形態においては、他のハウスキーピング操作が方法操作の間に行われたり、方法操作がわずかに異なる時間に発生するように調整されたり、方法操作の発生を様々な間隔で実行するようにシステム内で分散されたり、また、上述とは異なる順序で行われたりもすることが理解できる。
【0171】
一実施形態においては、上述の任意の実施形態における1つ又は複数の特徴は、本開示に記載する様々な実施形態において説明した範囲から逸脱しない範囲で、任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせられることにさらに留意されたい。
【0172】
前述の実施形態は、より明確な理解のために詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲内で、ある程度の変更及び修正が許容されることは明らかである。従って、本実施形態は、あくまで例示であり、制限的なものではないと認識すべきであり、また、本明細書に記載された詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲及び均等箇所の範囲内において変更可能である。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
変圧器装置であって、
インピーダンス整合回路の出力に結合された第1の端部と、コンデンサに結合された第2の端部を有する1次巻線と、
前記1次巻線に対応付けられ、プラズマチャンバのトランス結合型プラズマ(TCP)コイルの第1の端部及び第2の端部に結合された2次巻線とを含み、
前記1次巻線は、前記インピーダンス整合回路から修正高周波(RF)信号を受信して磁束を生成することにより、前記2次巻線に電圧を誘起するように構成されており、前記電圧によって生成されたRF信号が前記2次巻線から前記TCPコイルに伝達されることを特徴とする、変圧器装置。
適用例2:
適用例1の変圧器装置であって、前記TCPコイルが前記2次巻線と直列である変圧器装置。
適用例3:
適用例1の変圧器装置であって、
前記インピーダンス整合回路の前記出力に結合された第1の端部と、付加的コンデンサに結合された第2の端部を有する付加的1次巻線と、
前記付加的1次巻線に対応付けられ、前記プラズマチャンバの付加的TCPコイルの第1の端部及び第2の端部に結合された付加的2次巻線と、をさらに含み、
前記付加的1次巻線が、前記インピーダンス整合回路から修正RF信号を受信して磁束を生成することにより、前記2次巻線に電圧を誘発するように構成されており、前記付加的2次巻線で誘起された前記電圧によって生成されたRF信号が、前記付加的2次巻線から前記付加的TCPコイルに伝達されることを特徴とする、変圧器装置。
適用例4:
適用例1の変圧器装置であって、前記コンデンサは、アース接続に結合されている変圧器装置。
適用例5:
適用例1の変圧器装置であって、前記2次巻線は、前記1次巻線と撚り合わされることで、前記1次巻線と対応付けられることを特徴とする、変圧器装置。
適用例6:
適用例1の変圧器装置であって、前記2次巻線は、前記1次巻線と交互に巻回されることで、前記1次巻線と対応付けられることを特徴とする、変圧器装置。
適用例7:
適用例1の変圧器装置であって、前記コンデンサは、可変コンデンサ又は固定コンデンサである、変圧器装置。
適用例8:
適用例1の変圧器装置であって、前記コンデンサは可変コンデンサであり、前記可変コンデンサの容量を変更するためにモータに結合されている、変圧器装置。
適用例9:
適用例1の変圧器装置であって、前記2次巻線によって前記TCPコイルに印加される前記電圧を変化させる複数のタップが、前記2次巻線に設けられている、変圧器装置。
適用例10:
適用例1の変圧器装置であって、前記1次巻線の前記第1の端部は、他のコンデンサを介して前記インピーダンス整合回路に結合され、前記他のコンデンサは固定コンデンサ又は可変コンデンサである、変圧器装置。
適用例11:
変圧器装置であって、
インピーダンス整合回路の出力に結合された第1の端部と、コンデンサに結合された第2の端部を有する1次巻線と、
前記1次巻線に対応付けられ、プラズマチャンバの第1のトランス結合型プラズマ(TCP)コイルの第1の端部及び第2の端部に結合された第1の2次巻線と、
前記1次巻線に対応付けられ、プラズマチャンバの第2のTCPコイルの第1の端部及び第2の端部に結合される第2の2次巻線と、を含み、
前記1次巻線は、前記インピーダンス整合回路から修正高周波(RF)信号を受信して磁束を生成することにより、前記第1の2次巻線に電圧を誘発するように構成されており、前記第1の2次巻線で誘起された前記電圧によって生成されたRF信号が前記第1の2次巻線を介して前記第1のTCPコイルに伝達され、
前記磁場は、前記第2の2次巻線に電圧を誘起するように構成されており、前記第2の2次巻線に誘起された前記電圧によって生成されたRF信号は、前記第2の2次巻線から前記第2のTCPコイルに伝達される、変圧器装置。
適用例12:
適用例11の変圧器装置であって、前記第1のTCPコイルが前記第1の2次巻線と直列であり、前記第2のTCPコイルが前記第2の2次巻線と直列である、変圧器装置。
適用例13:
適用例11の変圧器装置であって、
前記インピーダンス整合回路の前記出力に結合された第1の端部と、付加的コンデンサに結合された第2の端部を有する付加的1次巻線と、
前記付加的1次巻線に対応付けられ、前記プラズマチャンバの第3のTCPコイルの第1の端部及び第2の端部に結合された付加的第1の2次巻線と、
前記付加的1次巻線に対応付けられ、前記プラズマチャンバの第4のTCPコイルの第1の端部及び第2の端部に結合された付加的第2の2次巻線とをさらに含み、
前記付加的1次巻線は、前記インピーダンス整合回路から修正RF信号を受信して磁束を生成することにより、前記付加的第1の2次巻線に電圧を誘起するように構成されており、前記付加的第1の2次巻線で誘起された前記電圧によって生成されたRF信号が、前記付加的第1の2次巻線から前記第3のTCPコイルに伝達され、
前記付加的1次巻線に生成された前記磁束は、前記付加的第2の2次巻線に電圧を誘起し、前記付加的第2の2次巻線に誘起された前記電圧によって生成されたRF信号は、前記付加的第2の2次巻線から前記第4のTCPコイルに伝達される、変圧器装置。
適用例14:
適用例11の変圧器装置であって、前記コンデンサは、アース接続に結合されている、変圧器装置。
適用例15:
適用例11の変圧器装置であって、前記コンデンサは、可変コンデンサ又は固定コンデンサであり、前記可変コンデンサは、前記可変コンデンサの容量を変更するためにモータに結合されている、変圧器装置。
適用例16:
適用例11の変圧器装置であって、前記第1の2次巻線は前記1次巻線に撚り合わされることで前記1次巻線と対応付けられ、前記第2の2次巻線は前記1次巻線に撚り合わされることで前記1次巻線と対応付けられている、変圧器装置。
適用例17:
適用例11の変圧器装置であって、前記第1の2次巻線は前記1次巻線と交互に巻回されることで前記1次巻線と対応付けられ、前記第2の2次巻線は前記1次巻線と交互に巻回されることで、前記1次巻線と対応付けられている、変圧器装置。
適用例18:
適用例11の変圧器装置であって、前記1次巻線の前記第1の端部は、他のコンデンサを介して前記インピーダンス整合回路に結合され、前記他のコンデンサは固定コンデンサ又は可変コンデンサである、変圧器装置。
適用例19:
変圧器の、コンデンサに結合された1次巻線によって、インピーダンス整合回路の出力から修正高周波(RF)信号を受信すること、
前記修正RF信号の受信時に、前記1次巻線によって、前記変圧器の2次巻線にわたって電圧を誘起するための磁束を生成させること、及び
前記2次巻線の前記電圧で生成されたRF信号を、プラズマチャンバのトランス結合型プラズマ(TCP)コイルに転送すること、を含む方法。
適用例20:
適用例19の方法であって、前記TCPコイルが前記2次巻線と直列である、方法。