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特許7562699リアルタイムのウエハチャック検出のための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】リアルタイムのウエハチャック検出のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240930BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
H01L21/68 R
C23C16/458
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022567236
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 US2021031319
(87)【国際公開番号】W WO2021231215
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】63/022,442
(32)【優先日】2020-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウラヴィ, テジャス
(72)【発明者】
【氏名】ダン, アルカプラバ
(72)【発明者】
【氏名】マータフ, マイク
(72)【発明者】
【氏名】バルジャ, サンジーヴ
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-505036(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0090978(US,A1)
【文献】特開2001-332609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持体であって、
支持面と底面とを有する本体であって、前記支持面と前記底面との間の距離は前記本体の厚さを画定し、前記支持面は前記本体内にある距離だけ延在する複数のパージチャネルを有し、前記複数のパージチャネルはシールバンドによって境界が定められ、前記本体は、基板を前記支持面に静電チャックするように構成された少なくとも2つの電極を含む、本体と、
前記本体の底面に接続された支持柱と、
前記パージチャネルと流体連結しているパージラインと、
前記電極に接続された電源と、
前記電極に接続され、前記支持面上の基板のキャパシタンスを測定するように構成されたコントローラであって、測定された前記キャパシタンスが所定の閾値を超えて減少した基板を識別し、次いで、裏側圧力の減少及び/又は流量の増加が観測されたときに当該基板がデチャックされていると決定するように構成された、コントローラ
を備える基板支持体。
【請求項2】
前記電源は、高電圧直流(DC)及び低電圧交流(AC)成分を前記電極に供給するように構成される、請求項1に記載の基板支持体。
【請求項3】
前記コントローラは、処理中、前記支持面上の基板のキャパシタンスを連続的に測定し、キャパシタンスが閾値を超えて変化したときに処理を停止するように構成され、
前記処理は、研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化若しくは焼成、又は膜、層、部分膜若しくは部分層の形成を含む、請求項1に記載の基板支持体。
【請求項4】
前記コントローラは、前記パージラインに接続され、前記パージラインを通り前記支持面上の前記基板の裏側へのパージガスの流量を測定するように構成される、請求項1に記載の基板支持体。
【請求項5】
前記本体は更に、前記本体の厚さ内に少なくとも1つの加熱要素を含む、請求項1に記載の基板支持体。
【請求項6】
前記コントローラは、前記少なくとも1つの加熱要素に接続され、前記少なくとも1つの加熱要素への電力を制御するように構成される、請求項に記載の基板支持体。
【請求項7】
基板支持アセンブリであって、
回転軸の周りを回転可能な中央ハブと、
前記回転軸から距離を置いて位置決めされた複数の基板支持体であって、各々が、
支持面と底面とを有する本体であって、前記支持面と前記底面との間の距離は前記本体の厚さを画定し、前記支持面は本体内にある距離だけ延在する複数のパージチャネルを有し、前記複数のパージチャネルはシールバンドによって境界が定められ、前記本体は、基板を前記支持面に静電チャックするように構成された少なくとも2つの電極を含む、本体と、
前記本体の底面に接続された支持柱と、
前記パージチャネルと流体連結しているパージラインと、
前記電極に接続された電源と、を含む複数の基板支持体と、
前記電極に接続され、前記支持面上の基板のキャパシタンスを測定するように構成されたコントローラであって、測定された前記キャパシタンスが所定の閾値を超えて減少した基板を識別し、次いで、裏側圧力の減少及び/又は流量の増加が観測されたときに当該基板がデチャックされていると決定するように構成された、コントローラ
を備える基板支持アセンブリ。
【請求項8】
各電源は、高電圧直流(DC)及び低電圧交流(AC)成分を前記電極に供給するように構成される、請求項7に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項9】
前記コントローラは、処理中、前記支持面上の基板のキャパシタンスを連続的に測定し、前記基板のいずれかのキャパシタンスが閾値を超えて変化したときに処理を停止するように構成され
前記処理は、研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化若しくは焼成、又は膜、層、部分膜若しくは部分層の形成を含む、
請求項に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項10】
前記コントローラは、前記パージラインに接続され、前記パージラインを通り前記支持面上の基板の裏側へのパージガスの流量を測定するように構成される、請求項に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項11】
各基板支持体の本体は更に、前記本体の厚さ内に少なくとも1つの加熱要素を含む、請求項7に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項12】
前記コントローラは、前記少なくとも1つの加熱要素に接続され、前記少なくとも1つの加熱要素への電力を制御するように構成される、請求項11に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項13】
前記中央ハブに接続された基板支持体は3つ又は4つである、請求項に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項14】
処理方法であって、
基板支持体の本体の支持面に形成された複数のパージチャネル内にパージガスの流れを供給することであって、前記複数のパージチャネルはシールバンドによって境界が定められ、前記基板支持体はその上に位置決めされた基板を有し、前記パージガスの流れは前記シールバンドを通して漏洩する、基板支持体の本体の支持面に形成された複数のパージチャネル内にパージガスの流れを供給することと、
前記基板支持体の本体に形成された少なくとも2つの電極を分極させることであって、前記基板を前記支持面に静電チャックするために、前記少なくとも2つの電極間に電圧差が生じるようにする、前記基板支持体の本体に形成された少なくとも2つの電極を分極させることと、
前記基板がチャックされているかどうかを決定するために、前記基板支持体上の前記基板のキャパシタンスを測定することと
測定された前記キャパシタンスが所定の閾値を超えて減少した基板を識別し、次いで、裏側圧力の減少及び/又は流量の増加が観測されたときに当該基板がデチャックされていると決定することと
を含む方法。
【請求項15】
前記少なくとも2つの電極を分極させることは、高電圧直流(DC)及び低電圧交流(AC)成分を供給するように構成された電源から前記電極に電力を供給することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板が処理され、前記支持面上の基板の前記キャパシタンスが連続的に測定され、閾値を超えるキャパシタンスの変化に達したときに処理が停止され、
前記処理は、研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化若しくは焼成、又は膜、層、部分膜若しくは部分層の形成を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板が平坦で前記支持面にチャックされているかどうかを決定するために、前記基板の裏側へのパージガスの前記流れを増加させ、前記基板のキャパシタンスを測定する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
基板支持アセンブリの回転軸の周りに位置決めされた複数の基板支持体があり、各基板支持体は複数のパージガスチャネル及び電極を有し、基板がデチャックされたかどうかを決定するために、堆積プロセス中、前記支持面上の各基板のキャパシタンスが監視される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、基板を処理するための装置及び方法に関する。具体的には、本開示の実施形態は、1又は複数の基板支持面上のウエハチャックをリアルタイムで決定及び監視するための装置及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
[0002]幾つかのバッチ処理システムでは、複数の基板が処理チャンバ内で高速で移動する。基板の加速及び減速は、しばしば基板のミスアライメントにつながる。幾つかのマルチウエハ空間原子層堆積(ALD)処理ツールでは、ウエハは、60サイクル以上、潜在的には数百サイクルにわたって2.5gのピーク加速度で半サイクルごとにプロセスステーション間を移動する。
【0003】
[0003]基板を固定位置に保持するために、基板を基板支持体に静電チャックすることができる。しかし、現代のバッチ処理チャンバにおける極端な速度変化は、基板支持体上の基板の移動を引き起こし、最終的にはチャックの喪失につながる可能性がある。
【0004】
[0004]幾つかの半導体プロセスフローでは、空間ALDチャンバを使用して、基板に導電性膜を堆積させる。これらの膜のための前駆体化学物質が十分にパージされない場合、残留前駆体種が基板支持体上で反応して導電性膜を形成する場合があり、支持体の静電チャック性能を低下させる可能性がある。
【0005】
[0005]更に、多くの処理システム及び処理ツールは、非常に狭い空間要件で動作する。例えば、マルチウエハALDチャンバは、基板表面とガス分配システムとの間が0.8~3mmで処理をすることができる。これらの空間が小さいことにより、プロセス領域が縮小して化学物質の消費が最小限に抑えられ、ALDサイクル時間及びパージ時間が最小化し、スループットが最大化する。
【0006】
[0006]幾つかの半導体プロセスフローでは、平坦な基板とは対照的に、0.2~0.8mm以上の撓みを有する基板が使用される。基板が狭い間隙で処理される前に平坦にならないと、基板支持体と接触する基板の表面積が小さく、これはチャック力の減少につながり、また基板の加熱が不均一になることがある。
【0007】
[0007]ウエハチャックの喪失は、チャンバ構成要素の重大な故障につながり、生産性の重大な損失につながる可能性がある。チャックの喪失は、ウエハが基板支持体から相当な力で投げ出される原因となる可能性がある。このウエハは、処理チャンバ内のいくつもの構成要素に衝突し、損傷を与える可能性がある。プロセスチャンバは修理が必要となり、基板は損失となる。
【0008】
[0008]したがって、処理中のウエハのチャック状態を監視する装置及び方法に対するニーズが当技術分野に存在する。
【発明の概要】
【0009】
[0009]本開示の1又は複数の実施形態は、支持柱に接続された本体を備える基板支持体を対象とする。本体は、支持面と底面とを有する。支持面と底面との間の距離は、本体の厚さを画定する。支持面は、本体内にある距離だけ延在する複数のパージチャネルを有する。複数のパージチャネルは、シールバンドによって境界が定められる。本体は、基板を支持面に静電チャックするように構成された少なくとも2つの電極を含む。支持柱は、本体の底面に接続される。パージラインは、パージチャネルと流体連結している。電源は電極に接続される。コントローラは電極に接続され、支持面上の基板のキャパシタンスを測定するように構成される。
【0010】
[0010]本開示の追加の実施形態は、回転軸の周りを回転可能な中央ハブを備える基板支持アセンブリを対象とする。複数の基板支持体は、回転軸から距離を置いて位置決めされる。各基板支持体は、支持面と底面とを有する。支持面と底面との間の距離は、本体の厚さを画定する。支持面は、本体内にある距離だけ延在する複数のパージチャネルを有する。複数のパージチャネルは、シールバンドによって境界が定められる。本体は、基板を支持面に静電チャックするように構成された少なくとも2つの電極を含む。支持柱は、本体の底面に接続される。パージラインは、パージチャネルと流体連結している。電源は電極に接続される。コントローラは電極に接続され、支持面上の基板のキャパシタンスを測定するように構成される。
【0011】
[0011]本開示の更なる実施形態は、基板支持体の本体の支持面に形成された複数のパージチャネル内にパージガスの流れを提供することを含む処理方法を対象とする。複数のパージチャネルは、シールバンドによって境界が定められる。基板支持体は、その上に位置決めされた基板を有し、ガスの流れは、シールバンドを通して漏洩する。少なくとも2つの電極間に電圧差が生じるようにして、基板を支持面に静電チャックするために、基板支持体の本体に形成された少なくとも2つの電極を分極させる。基板がチャックされているかどうかを決定するために、基板支持体上の基板のキャパシタンスを測定する。
【0012】
[0012]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を単に示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の1又は複数の実施形態に係る処理チャンバを示す断面等角図である。
図2】本開示の1又は複数の実施形態に係る処理チャンバを示す断面図である。
図3】本開示の1又は複数の実施形態に係る処理ステーションの分解断面図である。
図4】本開示の1又は複数の実施形態に係る処理プラットフォームの概略図である。
図5】本開示の1又は複数の実施形態に係る基板支持体の概略図である。
図6】本開示の1又は複数の実施形態に係る基板支持体の部分断面概略図である。
図6A】本開示の1又は複数の実施形態に係る基板支持体の部分断面概略図である。
図7】本開示の1又は複数の実施形態に係る静電チャック及び電力システムの概略図である。
図8】本開示の1又は複数の実施形態に係る基板支持体を通る裏側のパージガスフローの部分断面概略図である。
図9】本開示の1又は複数の実施形態に係る処理チャンバ及び裏側の圧力フロー制御システムの概略断面図である。
図10】本開示の1又は複数の実施形態に係る基板がチャックされ平坦であるかどうかを決定する方法のフロー図である。
図11】本開示の1又は複数の実施形態に係る基板がデチャックしたかどうかを決定する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0025]本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構築又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行又は実施することができる。
【0015】
[0026]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「基板」は、プロセスが作用する表面、又は表面の一部を指す。また、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、当業者には、基板への言及は基板の一部分のみを指しうることが理解されよう。更に、基板への堆積への言及は、ベア基板と、その上に1又は複数の膜又は特徴が堆積又は形成された基板の両方を意味し得る。
【0016】
[0027]本明細書で使用する「基板」は、製造プロセス中に膜処理が実行される基板に形成された任意の基板又は材料表面を指す。例えば、処理が実行され得る基板表面には、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア等の材料、及び金属、金属窒化物、金属合金、及び他の導電性材料等の他の任意の材料が含まれる。基板には、限定しないが、半導体ウエハが含まれる。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化、及び/又は焼成するための前処理プロセスに暴露され得る。基板自体の表面で直接膜処理を行うことに加えて、本開示では、開示される膜処理ステップのいずれもが、以下により詳細に開示するように、基板に形成された下層で行われてもよく、「基板表面」という用語は、文脈が示すように、そのような下層を含むことが意図される。したがって、例えば、膜/層又は部分膜/層が基板表面上に堆積された場合、新たに堆積された膜/層の露出した表面が基板表面となる。
【0017】
[0028]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」等は、基板表面、又は基板表面に形成された膜と反応し得る任意の気体種を指すために交換可能に使用される。
【0018】
[0029]本開示の1又は複数の実施形態は、ウエハの平坦度、チャック力、チャック表面状態、クリーンエンドポイント監視等のリアルタイム検出を有利に提供する。幾つかの実施形態は、バッチ処理チャンバにおけるウエハハンドリングの堅牢性を向上させるためのセンサを有利に提供する。本開示の幾つかの実施形態は、ウエハチャック検出の感度を向上させるために、キャパシタンスセンサと裏側圧力測定の組み合わせを提供する。幾つかの実施形態は、ウエハの平坦度の検出及び/又はリアルタイムのチャック/デチャックの検出を可能にする。
【0019】
[0030]本開示の幾つかの実施形態は、ウエハ裏側圧力(BSP)制御を使用して、ウエハが平坦にチャックされているかどうかを検出する。幾つかの実施形態は、BSPを使用して、ウエハのチャック力を測定する。
【0020】
[0031]本開示の1又は複数の実施形態は、静電チャックキャパシタンスと裏側圧力測定の両方を組み合わせて、単一のセンサ配置では監視できない状態を検出する。本開示の幾つかの実施形態は、チャック性能又はペデスタル表面の汚染における劣化を検出する装置及び方法を提供する。
【0021】
[0032]本開示は、ウエハ又はマルチウエハ(バッチとも呼ばれる)プロセスチャンバと共に使用するための基板支持体を提供する。図1及び図2に、本開示の1又は複数の実施形態に係る処理チャンバ100を示す。図1に、本開示の1又は複数の実施形態に係る断面等角図として図示された処理チャンバ100を示す。図2に、本開示の1又は複数の実施形態に係る処理チャンバ100を断面で示す。したがって、本開示の幾つかの実施形態は、基板支持体200を組み込んだ処理チャンバ100を対象とする。
【0022】
[0033]処理チャンバ100は、壁104及び底部106を有するハウジング102を有する。ハウジング102は、上部プレート300と共に、内部領域とも呼ばれる処理領域109を画定する。
【0023】
[0034]図示した処理チャンバ100は、複数の処理ステーション110を含む。処理ステーション110は、ハウジング102の内部領域109に位置し、基板支持体200の回転軸211の周りに円形配置で位置決めされる。各処理ステーション110は、前面114を有するガス分配プレート112(ガス注入器とも呼ばれる)を備える。幾つかの実施形態では、各ガス注入器112の前面114は、実質的に同一平面である。処理ステーション110は、処理が行われ得る領域として画定される。例えば、幾つかの実施形態では、処理ステーション110は、後述する基板支持体200の支持面231と、ガス注入器112の前面114とによって境界が定められた領域として画定される。図示した実施形態では、ヒータ230が基板支持面として機能し、基板支持体200の一部を形成する。
【0024】
[0035]処理ステーション110は、任意の適切なプロセスを実行し、任意の適切なプロセス条件を提供するように構成され得る。使用されるガス分配プレート112の種類は、例えば、実行されるプロセスの種類、及びシャワーヘッド又はガス注入器の種類によって変わる。例えば、原子層堆積装置として動作するように構成された処理ステーション110は、シャワーヘッド又はボルテックスタイプのガス注入器を有し得る。一方、プラズマステーションとして動作するように構成された処理ステーション110は、プラズマガスがウエハに向かって流れることを可能にしながらプラズマを生成するための1又は複数の電極及び/又は接地板構成を有し得る。図2に示す実施形態は、図面の左側(処理ステーション110a)に、図面の右側(処理ステーション110b)とは異なる種類の処理ステーション110を有する。適切な処理ステーション110には、熱処理ステーション、マイクロ波プラズマ、3電極CCP、ICP、平行平板CCP、UV露光、レーザ処理、ポンピングチャンバ、アニールステーション、及び計測ステーションが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
[0036]図3は、本開示の1又は複数の実施形態に係る処理ステーション110又はプロセスチャンバで使用するためのガス分配アセンブリ105を示す分解図である。当業者は、図3に図示した実施形態がおおよその概略図であり、詳細(例えば、ガスチャネル)を省略していることを認識するであろう。図示したガス分配アセンブリ105は、3つの主要構成要素:ガス分配プレート112、リッド180、及びオプションのスペーサ330を備える。スペーサ330は、ポンプ/パージスペーサ、インサート、又はポンプ/パージインサートとも呼ばれる。幾つかの実施形態では、スペーサ330は、真空(排気)に接続される、又は真空(排気)と流体連結している。幾つかの実施形態では、スペーサ330は、パージガス源に接続される、又はパージガス源と流体連結している。
【0026】
[0037]上部プレート300の開口部310は、均一なサイズであってよい、又は異なるサイズを有していてよい。異なるサイズ/形状のガス注入器112を」、開口部310からガス分配プレート112に移行するのに適した形状のポンプ/パージスペーサ330と共に使用することができる。例えば、図示したように、ポンプ/パージスペーサ330は、側壁335を有する上部331及び底部333を含む。上部プレート300の開口部310内に挿入されると、レッジ334が開口部310に位置決めされるように構成される。
【0027】
[0038]ポンプ/パージスペーサ330は、ガス分配プレート112を挿入することができる開口部339を含む。図示したガス分配プレート112は、ポンプ/パージスペーサ330の上部331に隣接する裏面332によって形成されたレッジに接触し得るフランジ342を有する。ガス分配プレート112の直径又は幅は、ポンプ/パージスペーサ330の開口部339内に収まることができる任意の適切なサイズであってよい。これにより、様々な種類のガス注入器112を上部プレート300の同じ開口部310内で使用することが可能になる。
【0028】
[0039]図4に、本開示の1又は複数の実施形態に係る処理プラットフォーム400を示す。図4に示す実施形態は、単に1つの可能な構成を示すものであり、本開示の範囲を限定するものとしてみなすべきではない。例えば、幾つかの実施形態では、処理プラットフォーム400は、図示した実施形態とは異なる数の処理チャンバ100、バッファステーション420及び/又はロボット430構成のうちの1又は複数を有する。
【0029】
[0040]例示的な処理プラットフォーム400は、複数の側面411、412、413、414を有する中央移送ステーション410を含む。図示した移送ステーション410は、第1の側面411、第2の側面412、第3の側面413、及び第4の側面414を有する。4つの側面を示したが、当業者は、例えば、処理プラットフォーム400の全体構成に応じて、移送ステーション410に任意の適切な数の側面が存在し得ることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、移送ステーション410は、3つの側面、4つの側面、5つの側面、6つの側面、7つの側面、又は8つの側面を有する。
【0030】
[0041]移送ステーション410は、その中に位置決めされたロボット430を有する。ロボット430は、処理中にウエハを移動させることができる任意の適切なロボットであり得る。幾つかの実施形態では、ロボット430は、第1のアーム431及び第2のアーム432を有する。第1のアーム431及び第2のアーム432は、他のアームから独立して動くことができる。第1のアーム431及び第2のアーム432は、x-y平面において及び/又はz軸に沿って動くことができる。幾つかの実施形態では、ロボット430は、第3のアーム(図示せず)又は第4のアーム(図示せず)を含む。各アームは、他のアームから独立して動くことができる。
【0031】
[0042]図示した実施形態は、2つが中央移送ステーション410の第2の側面412、第3のn側面413及び第4の側面414の各々に接続されている6つの処理チャンバ100を含む。各処理チャンバ100は、異なるプロセスを実行するように構成され得る。
【0032】
[0043]処理プラットフォーム400は、中央移送ステーション410の第1の側面411に接続された1又は複数のバッファステーション420も含み得る。バッファステーション420は、同じ機能又は異なる機能を実行することができる。例えば、バッファステーションは、処理されて元のカセットに戻されるウエハのカセットを保持し得る、あるいはバッファステーションの1つは、処理後に他のバッファステーションに移動される未処理ウエハを保持し得る。幾つかの実施形態では、バッファステーションの1又は複数は、処理の前及び/又は後にウエハを前処理、予熱又は洗浄するように構成される。
【0033】
[0044]処理プラットフォーム400は、中央移送ステーション410と処理チャンバ100のいずれかとの間に1又は複数のスリットバルブ418を含むこともできる。スリットバルブ418は、処理チャンバ100内の内部領域を中央移送ステーション410内の環境から隔離するために開閉することができる。例えば、処理チャンバが処理中にプラズマを生成する場合、浮遊プラズマが移送ステーションのロボットを損傷するのを防ぐために、その処理チャンバ用のスリットバルブを閉じることが有用である場合がある。
【0034】
[0045]処理プラットフォーム400は、ウエハ又はウエハのカセットを処理プラットフォーム400内にロードすることを可能にするためにファクトリインターフェース450に接続され得る。ファクトリインターフェース450内のロボット455は、ウエハ又はカセットをバッファステーション内外に移動させるために使用され得る。ウエハ又はカセットは、中央移送ステーション410のロボット430によって処理プラットフォーム400内で移動させることができる。幾つかの実施形態では、ファクトリインターフェース450は、別のクラスタツール(すなわち、別の複数のチャンバ処理プラットフォーム)の移送ステーションである。
【0035】
[0046]コントローラ495が、処理プラットフォーム400の様々な構成要素に、その動作を制御するために配設され、結合され得る。コントローラ495は、処理プラットフォーム400全体を制御する単一のコントローラ、又は処理プラットフォーム400の個々の部分を制御する複数のコントローラであり得る。例えば、幾つかの実施形態の処理プラットフォーム400は、個々の処理チャンバ100、中央移送ステーション410、ファクトリインターフェース450及び/又はロボット430のうちの1又は複数のための別々のコントローラを備える。
【0036】
[0047]幾つかの実施形態では、処理チャンバ100は更に、第1の温度又は第2の温度のうちの1又は複数を制御するように構成された、複数の実質的に同一平面の支持面231に接続されたコントローラ495を備える。1又は複数の実施形態では、コントローラ495は、基板支持体200(図2)の移動速度を制御する。
【0037】
[0048]幾つかの実施形態では、コントローラ495は、中央処理装置(CPU)496と、メモリ497と、支援回路498とを含む。コントローラ495は、処理プラットフォーム400を直接制御し得る、又は特定のプロセスチャンバ及び/又は支持システム構成要素に関連するコンピュータ(又はコントローラ)を介して制御し得る。
【0038】
[0049]コントローラ495は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために産業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つであってよい。コントローラ495のメモリ497又はコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、光学記憶媒体(例えば、コンパクトディスク又はデジタルビデオディスク)、フラッシュドライブ、又はローカル若しくはリモートの任意の他の形態のデジタルストレージ等の容易に入手できるメモリのうちの1又は複数であってよい。メモリ497は、処理プラットフォーム400のパラメータ及び構成要素を制御するためにプロセッサ(CPU496)によって操作可能な命令セットを保持することができる。
【0039】
[0050]支援回路498は、従来の方法でプロセッサを支援するためにCPU496に結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路及びサブシステム等を含む。1又は複数のプロセスが、プロセッサによって実行又は起動されるとプロセッサに本明細書に記載の方法で処理プラットフォーム400又は個々の処理チャンバの動作を制御させるソフトウェアルーチンとして、メモリ498に記憶され得る。ソフトウェアルーチンはまた、CPU496によって制御されているハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶及び/又は実行され得る。
【0040】
[0051]本開示のプロセス及び方法の一部又は全部は、ハードウェアでも実行され得る。このように、プロセスは、ソフトウェアで実装され、コンピュータシステムを使用して実行され得る、例えば、特定用途向け集積回路又は他の種類のハードウェア実装態様としてハードウェアで実装され得る、又はソフトウェア及びハードウェアの組み合わせとして実装され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、プロセスが実行されるようにチャンバ動作を制御する特定目的コンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0041】
[0052]幾つかの実施形態では、コントローラ495は、方法を実行するための個々のプロセス又はサブプロセスを実行するための1又は複数の構成を有する。コントローラ495は、方法の機能を実行するために中間構成要素に接続され、それを操作するように構成され得る。例えば、コントローラ495は、ガスバルブ、アクチュエータ、モータ、スリットバルブ、真空制御、又は他の構成要素のうちの1又は複数に接続され、それらを制御するように構成され得る。
【0042】
[0053]図5及び図6は、本開示の1又は複数の実施形態に係る基板支持体500を示す図である。図5は、幾つかの内部構成要素を示す基板支持体500を例示する概略上面図である。図6は、基板支持体500を示す断面概略図である。図5及び図6に例示された実施形態は、単に可能な構成を表すものであり、本開示の範囲を限定するものとしてみなすべきではない。
【0043】
[0054]基板支持体500は、支持面504及び底面506を有する本体502を有する。支持面504と底面506との間の距離は、本体502の厚さTを画定する。幾つかの実施形態の基板支持体500は、外周面508を有する丸いプロファイルを有する。
【0044】
[0055]支持面504は、本体502内にある距離又は深さDだけ延在する複数のパージチャネル510を有する。パージチャネル510は、図6で見ることができ、説明のために図5からは省略されている。幾つかの実施形態のパージチャネル510が本体502内に延在する深さDは、0.005mmから1mmの範囲、又は0.01mmから0.5mmの範囲、又は0.015mmから0.5mmの範囲にある。
【0045】
[0056]複数のパージチャネル510は、シールバンド512によって(回転軸501に対して)外側エッジの周囲に境界が定められる。幾つかの実施形態では、シールバンド512は、処理される基板の直径よりもわずかに小さい内径を有する概ね円形の形状(これは、固体又は断続的であってよい)である。例えば、幾つかの実施形態における300mmの基板用のシールバンド512は、298mmより小さい内径を有する。幾つかの実施形態では、シールバンド512は、0.005mmから1mmの範囲、又は0.01mmから0.5mmの範囲、又は0.015mmから0.5mmの範囲の支持面504から測定した高さを有する。幾つかの実施形態では、シールバンドは、パージチャネルの深さと同じ高さ(支持面504と同一平面)を有する。
【0046】
[0057]幾つかの実施形態では、図6Aに示すように、シールバンド512の外径の外側の支持面504の部分504aは、支持面504よりも高い位置にある。図示した実施形態は、平坦な表面上のメサ511又はディンプルを含む基板支持体500(静電チャック又はESCとも呼ばれる)を有する。ウエハは、メサ511及びシールバンド512に載り、少なくとも部分的に、本体502の外側部分504aによって囲まれる。幾つかの実施形態におけるメサ511及びシールバンド512は、同じ高さを有する。幾つかの実施形態では、メサ及びシールバンドは、異なる高さを有する。幾つかの実施形態のメサは、約1mmの直径を有する。パージガス(例えば、ヘリウム)は、メサ及びシールバンド上に静止したときに、ウエハと平坦な表面との間の間隙を充填する。図示の実施形態では、ウエハの下方の開放エリアは、パージガスチャネルである。
【0047】
[0058]幾つかの実施形態では、基板支持体500は、図5及び図6に概略的に示すように、静電チャックである。幾つかの実施形態では、本体502は、支持面504に基板を静電チャックするように構成された少なくとも2つの電極521、522を含む。電極521、522は、当業者に周知の任意の適切な導電性材料でできていてよい。
【0048】
[0059]図示した実施形態は、誘電体514によって分離された2つの電極521、522を有する。幾つかの実施形態の誘電体514は、本体502と同じ材料である。幾つかの実施形態では、誘電体は、酸化アルミニウム(Al、AlOとも呼ばれる)又は窒化アルミニウム(AlN)を含む。
【0049】
[0060]図5に、第1の電極521が第2の電極522と指関節のようなパターンで繋ぎ合わさっている様子を示す。電極の形状は、任意の適切な形状であってよく、図5に示す指関節のようなパターンに限定されない。電極の形状及びパターンは、基板に加わり得るチャック力に影響を与え得る。一般に、またいかなる特定の動作理論にも拘束されることなく、電極521、522を分離する表面積が大きいほど、より強いチャック力をもたらすと考えられ、これにより、より少ない電力消費も可能になり得る。
【0050】
[0061]電極521、522には、電極521、522間の電圧差を生成するための電源530が接続される。電源530は、伝送ライン531、532を通して電極521、522に接続する。伝送ライン531,532は、短絡又はアーク放電を防止するために、任意の適切な絶縁体によって電気的に分離される。
【0051】
[0062]幾つかの実施形態の電源530は、電極521に第1の電圧(電位とも呼ばれる)を、電極522に第1の電圧とは異なる第2の電圧を供給する。幾つかの実施形態では、電源530は、高電圧直流(DC)及び低電圧交流(AC)成分を電極521、522に供給するように構成される。
【0052】
[0063]本開示の1又は複数の実施形態では、電源530は、キャパシタンスセンサ535を含む、又はそれに接続される。幾つかの実施形態では、キャパシタンスセンサ535は、図6に示すように、基板支持体500の本体502内にある別個のセンサである。幾つかの実施形態では、キャパシタンスセンサは、電源530の電子機器の一部である。
【0053】
[0064]幾つかの実施形態では、本体502は更に、本体502の厚さT内に少なくとも1つの加熱要素540を備える。図6に示す実施形態は、異なる半径で、かつ回転軸501に沿った異なる位置に間隔をあけて配置された3つの加熱要素540a、540b、540cを示す。実施形態は、本体502の第1のレベル上の外側ゾーン540a及び内側ゾーン540cと、支持面504に近い本体502の第2のレベル上の中心ゾーン540bとを示す。当業者は、図示した実施形態における加熱要素の数及び位置決めは、単に1つの可能な構成であり、本開示の範囲を限定するものとしてみなすべきではないことを認識するであろう。
【0054】
[0065]基板支持体500は、本体502の底面506に接続された支持柱550を含む。幾つかの実施形態の支持柱550は、伝送ライン531、532及び任意の他の接続部又は導管(例えば、パージガス導管又はプレナム)を包含するために中空である。幾つかの実施形態では、支持柱550は、伝送ライン531、532及び任意の他の接続部又は導管を収容するための開口部を有する概ね中実の本体である。
【0055】
[0066]パージライン562は、支持面504に形成されたパージチャネル510と流体連結している。幾つかの実施形態のパージライン562は、パージガス源560に接続され、パージガスがパージガス源560からパージライン562を通ってパージチャネル510に流れることを可能にする。幾つかの実施形態では、支持柱550は、パージライン562の長さに沿ってプレナム又は空洞を含む。幾つかの実施形態では、図示したように、パージライン562は、パージライン562の第2の脚部564に接続して、パージガスの流れをパージチャネル510の異なる開口部566に分岐させる。幾つかの実施形態では、パージライン562は、支持面504上に位置決めされた基板の裏側にパージガスの流れを提供する。これは、裏側パージとも呼ばれる。
【0056】
[0067]本開示の幾つかの実施形態は、電極521、522に接続されたコントローラ590を含む。幾つかの実施形態のコントローラ590は、支持面504上の基板のキャパシタンスを測定するように構成される。幾つかの実施形態では、コントローラ590は、処理を通じて支持面504上の基板のキャパシタンスを連続的に測定するように構成される。幾つかの実施形態では、コントローラは、許容範囲外のキャパシタンスの変化時にプロセスを停止するように構成される。
【0057】
[0068]図7は、その上に基板505を有する基板支持体500本体502を示す概略図である。図示した実施形態は、バイポーラ静電チャックであるが、当業者は、本開示がバイポーラ静電チャックに限定されないことを認識するであろう。電極521、522は、本体502内にあり、伝送ライン531、532によって電源530に接続される。電源530は、高電圧DC電力534,535を電極521,522に供給する。幾つかの実施形態では、高電圧直流(DC)電力は、±1500ボルトの範囲、又は±1000ボルトの範囲、又は±750ボルトの範囲、又は±500ボルトの範囲、又は±250ボルトの範囲にある。
【0058】
[0069]DC高電圧信号には、比較的小さい交流(AC)が重畳される。AC成分は、静電チャック回路のキャパシタンスを測定することを可能にする。幾つかの実施形態では、AC成分は、1ボルトから100ボルトの範囲、又は2ボルトから90ボルトの範囲、又は3ボルトから80ボルトの範囲、又は4ボルトから70ボルトの範囲、又は5ボルトから60ボルトの範囲、又は6ボルトから50ボルトの範囲、又は7ボルトから40ボルトの範囲、又は8ボルトから30ボルトの範囲、又は9ボルトから20ボルトの範囲、又は10ボルトから15ボルトの範囲の電圧を有する。幾つかの実施形態では、AC成分は、約1.89キロヘルツ(kHz)の周波数を有する。幾つかの実施形態では、AC成分は、1kHzから2.5kHzの範囲の周波数を有する。幾つかの実施形態では、基板のキャパシタンスは、1000ボルトのDCまで実質的に均一なままである。このように使用する用語「実質的に均一」は、キャパシタンスが0ボルトから1000ボルトまで5%、2%又は1%を超えて変化しないことを意味する。
【0059】
[0070]回路のキャパシタンスは、電極521、522と基板505との間の距離によって影響を受け得る。基板505と電極521、522との間の距離が大きいと、キャパシタンス値が小さくなる。基板505がデチャックされると、キャパシタンスが減少する。幾つかの実施形態では、基板のキャパシタンスのベースラインは、チャック電圧なしで測定され、また、ウエハを平坦にするために十分に高いチャック電圧で測定される。このベースラインは、実験データ収集と判断に基づく安全マージンに基づいて、ツール動作のための許容キャパシタンス範囲を生成するために使用される。幾つかの実施形態では、基板支持体500のキャパシタンス値が監視され、キャパシタンス値が許容範囲外に変化した場合に応答信号が生成される。この信号は、ユーザへの警告(例えば、ライト、ポップアップメッセージ、電子メールメッセージ、SMSメッセージ)、イベントを起動するための自動フィードバック信号、又は他の制御システムからの応答を含むがこれらに限定されない、当業者に周知の任意の適切な警告又はフィードバック信号であってよい。
【0060】
[0071]マルチ基板処理チャンバでは、各基板支持体のキャパシタンス値は、他の基板支持体から独立している。例えば、図2を参照すると、左支持面231上の基板のキャパシタンス値は、右支持面231上の基板のキャパシタンス値から独立しており、これらの基板の各々は独立して監視することができる。
【0061】
[0072]個々の基板支持体500上の基板のキャパシタンスを測定することにより、基板のチャック状態に関する情報が得られる。例えば、支持アセンブリの急速な動きの間に、基板が移動し、デチャックされることがある。この事象に起因するキャパシタンスの変化は、チャックの喪失を示す。
【0062】
[0073]幾つかの実施形態では、キャパシタンスセンサは、基板が十分な反り(約0.2mmより大きい)を有する場合に、ユーザ又はシステムに情報を提供する。基板に約0.2mm未満の反りがある場合、幾つかの実施形態のキャパシタンスセンサは、適切なチャックを示す。この場合、システムは、予想よりも低いキャパシタンス値を測定することになる。このシステムは、DCチャック電圧をインクリメンタルステップで、又は連続的に上昇させることによって、キャパシタンス値が予想される範囲に入るまで上昇させるように設計することができ、その結果、反ったウエハがより高い電圧で平坦にチャックされる。
【0063】
[0074]図6図8及び図9を参照すると、本開示の幾つかの実施形態は、既知の又は制御されたパージ圧力を有する裏側パージを含む。幾つかの実施形態では、ヘリウム(He)又は幾つかの他の不活性/パージガスが、パージライン562を通して基板505の裏側に流される。図8は、太い矢印で示す裏側ガス流を有する基板支持体500を示す概略図である。矢印は、基板支持体を通るガスライン及び流路の1つの可能な配置を示し、本開示の範囲を限定するものとしてみなすべきではない。当業者は、パージガスの裏側流を提供する方法を理解するであろう。
【0064】
[0075]パージガスは、パージライン562に沿って流れる支持柱550を通って基板支持体500の本体502に入り、第2の脚部564で1又は複数の流れに分かれ、開口部566を通ってパージチャネル510に入る。基板505の裏側に到達すると、ガスは、基板の外周エッジに向かって外側に流れ、シールバンド512を越えて外に漏洩する568。幾つかの実施形態では、圧力計551がパージガスの流路に沿って位置決めされ、圧力設定点を満たすようにパージ流量を増減させることによって、パージライン562の圧力が制御される。裏側パージ流量の校正曲線は、圧力設定点、及び必要に応じて他の関連するプロセスパラメータの関数として構築される。漏洩率は、パージ圧力を維持するために必要な実際の流量と、校正曲線から予想される流量の差として算出され得るパラメータである。ウエハが平坦にチャックされている場合、シールバンドにわたる漏洩は予想されず、算出した漏洩率はゼロsccm(標準立方センチメートル/分)になるはずである。
【0065】
[0076]幾つかの実施形態では、コントローラ590は、パージライン562のガス圧力を測定するように構成される。幾つかの実施形態では、パージライン562とプロセスチャンバとの間の圧力差を監視して、裏側ガスの十分な供給がシールバンド512を通過することが可能になるような予想される差があるかどうかを決定することができる。処理中に基板がデチャックされると、パージライン562の圧力が低下する。
【0066】
[0077]幾つかの実施形態では、マスフローコントローラ(MFC)を使用して、裏側圧力を制御する。MFCが連続的に流れているとき、ウエハが良好にチャックされていれば、シールバンドにわたる漏洩率はほぼゼロであるため、基板への流れはほぼゼロである。MFCからの流れは全て、理論上、ブリードバルブ579(図9参照)を通してフォアラインに向かう。流量を変化させることにより圧力を制御し、その流量を校正された流量と照合して漏洩が決定される。
【0067】
[0078]別の言い方をすると、幾つかの実施形態では、監視は圧力よりも漏洩に基づいている。ウエハがうまくチャックされていない場合、シールバンドが漏洩し、特定の圧力を維持するために必要な流量が高くなり、漏洩率はゼロではなくなり、ある種のイベント又は警告を起こす閾値を設定することができる。
【0068】
[0079]図8の実施形態は、漏洩ではなく、圧力に基づいている。ブリード経路がないため、チャネルは、特定の圧力を維持するためにある程度の流量で満たされる。ウエハが良好にチャックされている場合、流量はゼロに近いはずである(そして、計算するための漏洩はなくなる)。ウエハがデチャックされると、圧力は低下する。当業者は、図示した制御システムが概略であることを認識し、流量がノイズレベルに近くなるため、完全なシステムはより複雑になることを理解するであろう。
【0069】
[0080]幾つかの実施形態では、コントローラは、パージライン562及び又はパージガス源560に接続され、パージライン562を通る支持面504上の基板の裏側までのパージガスの流量を測定するように構成される。パージライン562のパージガスの流量は、マスフローコントローラを含むがこれに限定されない、当業者に周知の任意の適切な技法を通して測定することができる。幾つかの実施形態では、シールバンドを通る/通過する裏側パージガスの漏洩率は、0.2sccm(標準立方センチメートル/分)以下、又は0.15以下、又は0.1sccm以下である。
【0070】
[0081]図9は、本開示の1又は複数の実施形態に係る裏側パージシステム561を含むパージガス源560を示す概略図である。図示した実施形態では、パージガス源560は、バルブ571を通してマスフローコントローラ(MFC)570の入口に接続される。MFC570を出たパージガスは、出口バルブ572を通って、処理チャンバ100に向かうパージ流脚部573と排気システムに向かう排気脚部574との接合部に流れる。パージ流脚部573を流れるガスは、パージライン562内に流れる前に、圧力変換器575及び制御バルブ576を通過する、又はダンプバルブ577を通過して排気される。排気脚部574では、ガスは、オプションの可変オリフィス578及びブリードバルブ579を通過して排気される。
【0071】
[0082]図9に示す実施形態は、2つの可視プロセスステーション100a、100bを有するバッチ処理チャンバ100である。パージライン562は、支持柱550を通過し、第1の基板支持体の第2脚部564aを有する第1の基板支持体502aに向かう第1のパージライン562aと、第2の基板支持体の第2の脚部564bを有する第2の基板支持体502bに向かう第2のパージライン562bとに分岐する。幾つかの実施形態では、圧力変換器575を使用して、ソフトウェア又はハードウェア制御ループ、又はそれらの組み合わせによってパージライン562の圧力を制御し、そのチャネルのパージ流量を調整する。幾つかの実施形態では、パージライン562の圧力は、プロセスチャンバ100の圧力と相対的に制御される。
【0072】
[0083]幾つかの実施形態では、コントローラ590は、キャパシタンスの変化を、基板の裏側へのパージガスの流量の増加と相関させることによって、基板が平坦にチャックされているかどうかを決定するように構成される。図10は、基板がチャックされ平坦であるかどうかを決定する方法700を示すフロー図である。工程702において、裏側圧力漏洩率が測定される。工程704において、チャック力を高めるために、静電チャック電位及び/又は電流が修正される。工程706において、裏側圧力漏洩率が再測定される。クエリ708において、工程702及び工程706からの漏洩率が比較される。漏洩率が実質的に同じである場合、基板は平坦にチャックされている。漏洩率が減少した場合、基板は平坦にチャックされておらず、漏洩率が同じになるまで工程704からクエリ708までが繰り返される。
【0073】
[0084]図11は、チャック強度を決定する方法750を示すフロー図である。工程752において、支持面上の基板のキャパシタンスが測定される。工程754において、流量/裏側圧力が増加される。工程756において、支持面上の基板のキャパシタンスが再測定される。クエリ758において、キャパシタンスが比較される。キャパシタンスが所定の閾値を超えて減少した場合、基板はデチャックされており、そうでなければ、基板がデチャックされるまで工程754からクエリ58までが繰り返される。更に、基板がデチャックしている場合、裏側パージ漏洩率も予想以上に高くなる。
【0074】
[0085]幾つかの実施形態では、コントローラ590は、バッチ処理チャンバにおける基板を監視して、デチャックを警告するように構成される。工程中、基板支持アセンブリは、処理ステーション間で素早く回転する。基板がデチャックされた場合、圧力変換器は、基板の1つが予想よりも多くの裏側パージガスを漏洩していることを示す裏側圧力の減少及び/又は流量の増加を観測することになる。流量の変化は、いつ基板がデチャックされたかを識別することはできるが、どの基板がデチャックされたかを識別することはできない。幾つかの実施形態では、デチャック現象が観察されると、基板のキャパシタンスが測定され、ベースライン値と比較される。キャパシタンスが所定の閾値を超えて減少した基板(複数可)が、デチャックされている。
【0075】
[0086]幾つかの実施形態では、基板支持体上に基板をロードする前に基板支持体のキャパシタンスをチェックすることによって、静電チャックの健全性がチェックされる。導電性膜を形成する可能性のある前駆体を流すプロセスチャンバの場合、前駆体の不十分なプロセス後パージアウトにより、チャンバに残留化学物質がもたらされ、これが静電チャックに堆積して、チャックを劣化させ得る導電性膜となる可能性がある。この導電性膜により、予想以上に高いキャパシタンスの読み出しとなり、これを用いて警告又はイベントを起こし、更なる基板をロードすることを防止して、潜在的なウエハデチャックのシナリオを回避することができる。
【0076】
[0087]幾つかの実施形態では、基板支持体上に基板をロードし、基板をチャックした後に、静電チャックの健全性がチェックされる。プロセスが特定の裏側圧力で実行されることを意図している場合、基板裏側をプロセス条件よりも高い圧力に短時間加圧し、プロセス条件まで下げる前に決められた時間保持するソフトウェアシーケンスが実行される。高い圧力と時間は、実験と統計データ分析、及び適切な工学的判断から決定される。この間、キャパシタンス及び漏洩率がそれぞれの予想される範囲内にあることを確認するために監視される。このチェックに合格すれば、プロセスを継続することができる。これにより、高速移動中のウエハデチャックのリスクを低減することができる。
【0077】
[0088]幾つかの実施形態では、コントローラ590は、少なくとも1つの加熱要素540に接続され、少なくとも1つの加熱要素540への電力を制御するように構成される。幾つかの実施形態では、コントローラ590は、温度センサ(例えば、高温計、熱電対等)に接続され、基板又は基板支持体500の温度を測定し、所定の温度を維持するために加熱要素540への電力を変更する。
【0078】
[0089]図1図2及び図9を再び参照すると、本開示の1又は複数の実施形態は、基板支持アセンブリ200を対象としている。基板支持アセンブリは、回転軸211の周りを回転可能な中央ハブ202を備える。複数の基板支持体500は、回転軸211から距離を置いて位置決めされる。基板支持体500は、基板支持体の各々について独立した本明細書に記載の実施形態又は実施形態の組合せのいずれかである。
【0079】
[0090]本明細書全体における「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1又は複数の実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、材料、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「1又は複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」又は「実施形態では」等の句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。更に、1又は複数の実施形態において特定の特徴、構造、材料、又は特性を任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0080】
[0091]本明細書の開示を、特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、当業者は、記載の実施形態が、本開示の原理及び適用の単なる例示であることを理解するだろう。本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に様々な修正及び変更を加えることができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内にある修正及び変更を含むことができる。
図1
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図6A
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図11