(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】輸液デバイス用のトリガ装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240930BHJP
A61M 5/145 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
A61M5/142 520
A61M5/145 500
A61M5/145 502
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061831
(22)【出願日】2023-04-06
(62)【分割の表示】P 2020519720の分割
【原出願日】2018-10-09
【審査請求日】2023-04-06
(32)【優先日】2017-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・リーバイン
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0270219(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0269716(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0246735(US,A1)
【文献】特表2017-500907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液デバイス(10)のボーラス注射をトリガするように構成された、輸液デバイス(10)用のトリガ装置(40;140)であって:
外面(13;113)を有する本体(39;139)と、
外面(13;113)に配置された、または該外面(13;113)に組み込まれたハプティック構造(41;141)であって、第1の端部セクション(42)および第2の端部セクション(44)を含み、第1の端部セクション(42)から第2の端部セクション(44)まで延びる
触知可能なハプティックトラック(43)を含む、ハプティック構造(41;141)と、
ハプティックトラック(43)に沿って延び、該ハプティックトラック(43)に沿った物体(70)の摺動運動を検出するように構成されたタッチセンシティブセンサ配置(50;150)と、
タッチセンシティブセンサ配置(50;150)に連結された、かつ輸液デバイス(10)の駆動機構(12)に連結可能である電子コントローラ(30)であって、電子コントローラ(30)は、ハプティックトラック(43)に沿った物体の物体(70)の特定の摺動パターンがタッチセンシティブセンサ配置(50;150)によって検出される場合に、ボーラス注射をトリガするよう動作する、電子コントローラ(30)と
を含み、
ハプティック構造(41;141)は、第1の端部セクション(42)で終結し、かつ第2の端部セクション(44)で終結し、
ハプティックトラック(43)は、第1のトラックセグメント(43a)および第2のトラックセグメント(43b)を含み、第1のトラックセグメント(43a)は、第1の端部セクション(42)からハプティックトラック(43)の表面セグメント(47)まで延び、第2のトラックセグメント(43b)は、表面セグメント(47)から第2の端部セクション(44)まで延び、
第1のトラックセグメント(43a)は、少なくとも一部で、第1の向き(O1)に沿って延び、第2のトラックセグメント(43b)は、少なくとも一部で、第2の向き(O2)に沿って延び、第1の向き(O1)は、第2の向き(O2)に関して所定の角度(A)で延びる、
前記トリガ装置。
【請求項2】
ハプティック構造(41)は、外面(13;113)の窪み(48)を含む、請求項
1に記載のトリガ装置(40;140)。
【請求項3】
ハプティック構造(141)は、外面(13;113)から突出する少なくとも第1の隆起部(142)を含む、請求項1
または2に記載のトリガ装置(40;140)。
【請求項4】
ハプティック構造(141)は、外面(13;113)から突出する少なくとも第2の隆起部(144)を含み、該第2の隆起部(144)は、第1の隆起部(142)と平行に延び、ハプティックトラック(43)は、第1の隆起部(142)と第2の隆起部(144)との間に位置される、または延びる、請求項
3に記載のトリガ装置(40;140)。
【請求項5】
ハプティックトラック(43)は、該ハプティックトラック(43)に沿って互いに離間されている少なくとも第1の表面セグメント(45)、第2の表面セグメント(46)、および第3の表面セグメント(47)を含み、該第1の表面セグメント(45)、該第2の表面セグメント(46)、および該第3の表面セグメント(47)のそれぞれは、個別にタッチセンシティブセンサ配置(50;150)のセンサセグメント(55、56、57)に結合されている、請求項1~
4のいずれか1項に記載のトリガ装置(40;140)。
【請求項6】
タッチセンシティブセンサ配置(50;150)は、ハプティックトラック(43)の延在部に沿って配置され、かつ離間されている多数のセンサセグメント(55、56、57)を含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載のトリガ装置(40;140)。
【請求項7】
第1のトラックセグメント(43a)は、第1の表面セグメント(45)から第3の表面セグメント(47)まで延び、第2のトラックセグメント(43b)は、第3の表面セグメント(47)から第2の表面セグメント(46)まで延びる、請求項
5に記載のトリガ装置(40;140)。
【請求項8】
第1の向き(O1)と第2の向き(O2)とが成す所定の角度(A)は、45°、60°、90°、120°、135°、150°、165°、または180°に等しい、またはそれを超える、請求項
1~7のいずれか1項に記載のトリガ装置(40;140)。
【請求項9】
ハプティックトラック(43)は、V字形、U字形、S字形、Z字形、および螺旋形の構造の1つを含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載のトリガ装置(40;140)。
【請求項10】
タッチセンシティブセンサ配置(50;150)のセンサセグメント(55、56、57)のそれぞれは、容量センサ、磁気センサ、誘導型センサ、光学センサ、または機械的なスイッチの1つを含む、請求項
5に記載のトリガ装置(40;140)。
【請求項11】
電子コントローラ(30;130)は、所定の時間間隔(t)内にハプティックトラック(43)に沿った物体(70)の摺動運動を検出するように構成される、請求項
1~10のいずれか1項に記載のトリガ装置(40;140)。
【請求項12】
輸液デバイス(10)用のリモートコントロール(100)であって:
ハウジング(101)と、
輸液デバイス(10)の対応するインターフェース(24)と通信するためのインターフェース(104)と、
請求項1~
11のいずれか1項のトリガ装置(40;140)とを含み、該トリガ装置
(40;140)の本体(39)は、ハウジング(101)の一部である、またはハウジング(101)に連結されている、
前記リモートコントロール。
【請求項13】
患者に薬剤(17)を投与するための輸液デバイス(10)であって:
ハウジング(11)と、
薬剤(17)を収容する容器(16)に動作可能に連結可能な駆動機構(12)と、
容器(16)から所定量の薬剤(17)を投薬するための駆動機構(12)の動作を制御するように構成されたコントローラ(30)と、
請求項1~
11のいずれか1項に記載のトリガ装置(40;140)とを含み、該トリガ装置(40;140)の本体(39)は、ハウジング(11)の一部であり、またはハウジング(11)に連結され、トリガ装置(40;140)は、コントローラ(30)に連結される、
前記輸液デバイス。
【請求項14】
薬剤(17)を収容する容器(16)をさらに含み、ハウジング(11)内に配置される、請求項
13に記載の輸液デバイス(10)。
【請求項15】
トリガ装置(40;140)のハプティックトラック(43)に沿って物体(70)の摺動運動を認識する方法であって:
請求項1~
11のいずれか1項に記載のトリガ装置(40;140)を用意する工程と、
第1の時点(t1)で、物体(70)とハプティックトラック(43)の第1の端部セクション(42)との機械的接触または近接を検出する工程と、
第2の時点(t2)で、物体(70)とハプティックトラック(43)の第2の端部(44)との機械的接触または近接を検出する工程と、
第2の時点(t2)と第1の時点(t1)とが所定の時間間隔(t)内にあるときに、ハプティックトラック(43)に沿った物体(70)の摺動運動を認識する工程と、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸液デバイス用のトリガ装置、輸液デバイス用のリモートコントロール、それぞれの輸液デバイス、およびハプティックトラックに沿った物体の摺動運動を検出する方法に関する。本開示は、特に、薬剤のボーラス注射を提供するように構成されたトリガ装置、リモートコントロール、および輸液デバイスに関する。トリガ装置、リモートコントロール、および輸液デバイスは、特に、ブラインドボーラス注射を提供するように構成される。
【背景技術】
【0002】
液体薬剤の単一または複数の用量を設定および投薬するための薬物送達デバイスは、それ自体、当技術分野でよく知られている。それらの薬物送達デバイスは、注射デバイスまたは輸液デバイスとして構成されるとき、通常の注射器と実質的に同様の目的を有する。
【0003】
ペン型注射器などの注射デバイス、またはパッチポンプなどの注射デバイスは、多くのユーザ特有の要件を満たさなければならない。例えば、患者が糖尿病などの慢性疾患を患っている場合、患者は身体的に弱く、視力が低下していることもある。したがって、特に在宅投薬用に意図された適切な注射デバイスは、構造が堅牢である必要があり、使いやすいものでなければならない。さらに、デバイスおよびその構成要素の操作および全般的な取扱いは、分かりやすく、容易に理解できるものでなければならない。さらに、用量の設定および用量の投薬手順は、操作が容易でなければならず、曖昧さがあってはならない。
【0004】
コンパクトな薬物送達デバイス、例えばパッチポンプなど携帯型の輸液デバイスが一般的に知られている。そのような薬物送達デバイスは、患者の身体の近くで継続的に携帯される。そのような携帯型の輸液デバイスの大半は、駆動機構によって容器から放出されるまたは引き出される液体薬剤を充填されたカートリッジまたは容器を含む。患者への薬剤の送達は、典型的には電子コントローラによって制御される。輸液デバイスは、典型的には、薬剤が送達されなければならない速度、量、および時間を個別に構成するために、少なくとも1つまたはそれ以上の作動部材を含む。
【0005】
携帯型の輸液デバイスまたは注射デバイスでは、ボーラス注射、すなわち、ユーザの要求に応じた、よく定義された量の薬剤の迅速な送達が知られている。例えば、糖尿病を患っている患者では、患者が食事を食べようとするときもしくは食べ始めるとき、または高カロリー飲料を飲み始めるときに、ボーラス注射をトリガしなければならない。携帯型の輸液デバイスまたは注射デバイスは患者の皮膚に直接接触するので、またはそのようなデバイスは衣服の下に装着されるので、携帯型の送達デバイスが衣服で覆われているため、ボーラス注射のトリガは患者にとって非常に煩わしいことがある。患者の日常生活において、携帯型の送達デバイスにアクセスするために一部脱衣することが患者にとってかなり不便であり、受け入れられないような状況が多く生じることがある。したがって、そのような送達デバイスにブラインドボーラス注射機能、すなわち送達デバイスへの完全なアクセスまたは送達デバイスの視覚的な制御を必要とせずにボーラス注射をトリガすることを可能にする機能を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ブラインドボーラス注射機能を提供するとき、ブラインドボーラス注射が誤ってトリガされることがあり得ないようにしなければならない。さらに、ブラインドボーラス注射の始動または開始をできるだけ容易にすべきである。したがって、本開示の目的は、輸液デ
バイスなどの送達デバイス用の改良されたトリガ装置であって、輸液デバイスのボーラス注射をトリガするように構成されたトリガ装置を提供することである。一方では、トリガ装置は、不慮のボーラス注射を阻止または回避すべきである。他方では、トリガ装置は、ボーラス注射の開始を可能にするための取扱いおよび操作がかなり簡単であり直感的であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、薬物送達デバイス、特に輸液デバイス用のトリガ装置が提供される。トリガ装置は、輸液デバイスのボーラス注射をトリガするように構成される。トリガ装置は、外面を有する本体を含む。トリガ装置は、外面に配置されたハプティック構造を含み、またはそのハプティック構造は、外面に組み込まれる。ハプティック構造は、第1の端部セクションと第2の端部セクションとを含む。ハプティック構造は、ハプティックトラックをさらに含む。ハプティックトラックは、第1の端部セクションから第2の端部セクションまで延びている。トリガ装置は、例えばハプティックトラックの第1の端部セクションからハプティックトラックの第2の端部セクションまでハプティックトラックに沿って延びるタッチセンシティブセンサ配置をさらに含む。タッチセンシティブセンサ配置は、ハプティックトラックに沿った物体、例えば人の指の摺動運動を検出するように構成される。
【0008】
ハプティック構造は、触覚的に検出可能であることを特徴とする。ハプティック構造の位置および幾何形状は、タッチすることで感知および検出することができる。ハプティック構造は、触覚的に知覚可能である。特に、ハプティック構造は、ユーザの1本または数本の指によって触知可能である。このようにすると、トリガ装置、したがって輸液デバイスのユーザまたは患者は、衣服の下に携帯したリモートコントロールまたは輸液デバイスのトリガ装置を目視で確認する必要なく、ハプティック構造の位置を触覚的に検出するだけでボーラス注射をトリガすることができる。さらに、ハプティック構造は、所定の幾何形状または細長い形状を有する。ハプティック構造は、第1の端部セクションから第2の端部セクションまで延びるハプティックトラックを含む。ボーラス注射の不慮の解放を避けるためには、物体、例えば患者の指がハプティックトラックの全体または少なくとも一部に沿って摺動することが必要である。そのような摺動運動は、故意にかつ意図的にのみ行うことができる。
【0009】
ハプティックトラックの幾何形状は、物体がハプティックトラックに沿って、したがってハプティック構造の第1の端部セクションから第2の端部セクションまで意図的にのみ摺動することができるように選択される。このようにして、ボーラス注射の不慮の起動を効果的に避けることができる。ハプティックトラックの所与の幾何形状では、ハプティックトラックの一部分に誤って触れても、ボーラス注射が起動されない。なぜなら、不慮の触れが、ハプティック構造の第1の端部セクションからハプティック構造の第2の端部セクションへのハプティックトラックの幾何形状、傾斜、および/または延在に正確に従う可能性がかなり低いからである。このようにして、ボーラス注射の不慮のトリガを効果的に避けることができる。
【0010】
患者またはユーザは、ボーラス注射を解放または起動させようとする場合、単にハプティック構造を触知して、第1の端部セクションから第2の端部セクションに向けてハプティックトラック全体に沿って指を摺動させればよい。このために、トリガ装置の目視確認または制御は必要ない。ユーザは、トリガ装置がユーザの衣服によって覆われた状態で簡単にトリガ装置を操作する。トリガ装置を備えた送達デバイス、またはそのような送達デバイス用のリモートコントロールは、ユーザの衣服の下に装着される。ボーラス注射は、よく定義された様式で、トリガ装置のハプティック構造に沿った触知、タッチ、および摺動のうちの少なくとも1つによって簡単にトリガされる。
【0011】
ハプティックトラックに沿った物体の摺動運動は、タッチセンシティブセンサ配置によって検出可能である。物体の特定の摺動パターンがタッチセンシティブセンサ配置によって検出される場合、典型的には、タッチセンシティブセンサ配置に連結され、さらに輸液デバイスの駆動機構に連結されたまたは連結可能である電子コントローラによって、ボーラス注射がトリガされる。
【0012】
一例によれば、ハプティックトラックは、トリガ装置の本体の外面の窪み(deepening
)を含む。トリガ装置の本体は、トリガ装置のハウジングを含む、または形成する。外面の窪みは、例えばユーザの1本または数本の指で容易に触知可能またはタッチ可能である。窪みは、トリガ装置の本体に溝を形成する、または含む。溝または窪みは、指先の幾何形状に対応する凹形の断面を含む。このようにして、指先と窪みとの相互接触面、および指先とタッチセンシティブセンサ配置との相互接触面を広げることができる。また、凹形の溝は、トリガ装置の直感的な取扱いに関してかなり経済的である。タッチセンシティブセンサ配置は、窪みの底部に沿って、または窪みの側壁に沿って延びる。タッチセンシティブセンサ配置は、窪みに、したがって窪みの表面に組み込まれる。いくつかの例では、タッチセンシティブセンサ配置は、窪みの下、トリガ装置の本体内に位置される。
【0013】
窪みは、ハプティックトラックに沿って、したがってハプティック構造の第1の端部セクションからハプティック構造の第2の端部セクションまで延びている。ハプティックトラックに沿って、窪みは一定の断面を有する。代替として、窪みは、ハプティック構造の第1の端部セクションから第2の端部セクションまで延びるとき、変化する深さまたは変化する断面を含む。このようにして、ハプティック構造の第1の端部セクションおよび第2の端部セクション、ならびに第1の端部セクションと第2の端部セクションとの間に位置するハプティック構造の部分を触知的に区別することができる。ハプティックトラックに沿った窪みの不均一な断面によって、第1の端部セクションを第2の端部セクションと触知的に区別することができる。このようにして、ユーザは、ハプティック構造の第1および第2の端部セクションの少なくとも一方を認識し、ハプティック構造の第1および第2の端部セクションを単にタッチおよび触覚によって区別することが可能になる。このようにして、ユーザは、ハプティック構造の第1の端部セクションを識別して、ハプティックトラックに沿った摺動運動を始動することができる。
【0014】
ハプティック構造の第1の端部セクションまたはその付近での窪みの深さまたは断面は、ハプティック構造の第2の端部セクションまたはその付近での窪みの深さまたは断面よりも大きい;逆でもよい。このようにすると、ハプティック構造の第1および第2の端部セクションは、触覚的に判別可能になる。
【0015】
さらなる例によれば、ハプティック構造は、外面から突出する少なくとも第1の隆起部を含む。第1の隆起部は、ハプティックトラックの少なくとも一部分に沿って延びている。第1の隆起部は、ハプティックトラック全体に沿って、したがってハプティック構造の第1の端部セクションから第2の端部セクションまで延びている。また、第1の隆起部は、ハプティック構造を形成し、ハプティックトラックと一致する。ここで、タッチセンシティブセンサ配置は、第1の隆起部の内側に位置される。ユーザが第1の隆起部に沿って摺動するとき、そのような摺動運動は、タッチセンシティブセンサ配置によって検出されて、ボーラス注射を解放および起動させる。
【0016】
別の例では、本体の外面から突出する少なくとも第1の隆起部は、ハプティックトラックに沿って延び、ハプティックトラックの横に、または隣接して位置される。したがって、第1の隆起部は、物体がハプティックトラックに沿って摺動し、タッチセンシティブセンサ配置に沿って摺動するための機械的な案内構造を提供する。ハプティックトラックお
よび/またはタッチセンシティブセンサ配置は、トリガ装置の本体の外面内または外面上に面一で取り付けられる。ハプティックトラックに沿って延び、外面から突出する少なくとも第1の隆起部によって、第1の隆起部に隣接して位置されたハプティックトラックは、触覚的に知覚可能、すなわち触知可能になる。
【0017】
少なくとも第1の隆起部は、ハプティック構造の第1の端部セクションから第2の端部セクションまで延びるときに、ハプティックトラックに沿って均一であり一定の断面を有する。また、少なくとも第1の隆起部が、ハプティックトラックに沿って不均一であり変化する断面を有することも考えられる。このようにして、ハプティック構造、したがってハプティックトラックの第1の端部セクションと第2の端部セクションとは、ハプティック構造に触れて触覚を使用するときにユーザにとって区別可能になる。ハプティック構造の第1の端部セクションまたはその付近での第1の隆起部の突出量は、ハプティック構造の第2の端部セクションまたはその付近での第1の隆起部の突出量よりも大きい;逆でもよい。このようにして、ハプティック構造の第1および第2の端部セクションは、触覚的に判別可能になる。
【0018】
別の例によれば、ハプティック構造は、本体の外面から突出する少なくとも第2の隆起部を含む。第2の隆起部は、第1の隆起部と平行に延びている。ハプティックトラックは、第1の隆起部と第2の隆起部との間に位置される、または延びる。触覚的に判別可能なハプティックトラックは、第1の隆起部によって、および第2の隆起部によって触覚的に判別可能になる。第1の隆起部と第2の隆起部とはどちらも、物体、例えばユーザの指先を第1の隆起部と第2の隆起部との間の中間空間に挿入可能であるような距離で互いに位置される。第1の隆起部と第2の隆起部との間に位置される本体の外面、したがって第1の隆起部と第2の隆起部とによって横方向で閉じ込められている外面の一部分には、典型的にはタッチセンシティブセンサ配置が設けられている。このようにして、タッチセンシティブセンサ配置は、物体、例えばユーザの指が第1および第2の隆起部によって案内されながらハプティックトラックに沿って摺動するときに、その摺動運動を検出するように構成される。
【0019】
典型的には、第1の隆起部と第2の隆起部とは、外面からの突出量が等しい。いくつかの例では、第1の隆起部と第2の隆起部とは、外面からの突出量が異なる。このようにして、第1の隆起部と第2の隆起部とは、触覚的に判別可能になる。異なる高さの第1の隆起部と第2の隆起部とを提供することによって、ハプティック構造、特にその第1の端部セクションと第2の端部セクションとは、触覚的に判別可能になる。例えば、第2の隆起部よりも大きいまたは小さい高さを有する第1の隆起部が、第1の端部セクションから第2の端部セクションへ見たときに、ハプティックトラックの左側に位置され、第1の隆起部よりも小さいまたは大きい高さを有する第2の隆起部が、ハプティックトラックの右側に位置される。
【0020】
さらなる例では、ハプティックトラックは、少なくとも、第1の表面セグメント、第2の表面セグメント、および第3の表面セグメントを含む。第1の表面セグメント、第2の表面セグメント、および第3の表面セグメントは、ハプティックトラックに沿って互いに離間されている。第1の表面セグメント、第2の表面セグメント、または第3の表面セグメントのそれぞれが、タッチセンシティブセンサ配置のセンサセグメントに個別に結合される。典型的には、タッチセンシティブセンサ配置は、ハプティックトラックの延在部に沿って配置され、かつ離間されている多数のセンサセグメントを含む。このようにして、ハプティックトラックに沿った物体、例えば指の摺動運動は、様々なセンサセグメントによって離散的なステップで検出することができる。
【0021】
ハプティックトラックは、少なくとも3つの表面セグメントを含む。第1の表面セグメ
ントは、ハプティック構造の第1の端部セクションに位置される。第2の表面セグメントは、ハプティック構造の第2の端部セクションに位置され、第3の表面セグメントは、ハプティックトラックでの第1の端部セクションと第2の端部セクションとの間のどこかに位置される。典型的には、第1のセンサセグメントは、第1の表面セグメントに位置される。第2のセンサセグメントは、第2の表面セグメントに位置され、センサセグメントは、第3の表面セグメントに位置される。
【0022】
このようにして、ハプティックトラックに沿った摺動運動の開始を第1のセンサセグメントによって検出することができる。摺動運動中、物体、例えば指は、第3の表面セグメントの上を通過し、したがって第3のセンサセグメントによって検出される。摺動運動の終了時、物体は、第2の表面セグメントに達し、したがって第2のセンサセグメントによって検出される。このようにして、それぞれ別々のセンサセグメントを備える少なくとも3つの表面セグメントによって、ハプティックトラックに沿った物体の摺動運動を正確に検出することができる。
【0023】
典型的な例では、ハプティックトラックは、複数の表面セグメントを含み、タッチセンシティブセンサ配置は、ハプティックトラックに沿って第1の端部セクションから第2の端部セクションまで配置された複数のセンサセグメントを含む。ハプティックトラックは、少なくとも5個、10個、数十個、または数百個の表面セグメントを含む。タッチセンシティブセンサ配置は、少なくとも5個、10個、数十個、または数百個の対応するセンサセグメントを含む。
【0024】
さらなる例によれば、ハプティックトラックは、少なくとも第1のトラックセグメントおよび第2のトラックセグメントを含む。第1のトラックセグメントは、第1の表面セグメントから第3の表面セグメントまで延びている。第2のトラックセグメントは、第3の表面セグメントから第2の表面セグメントまで延びている。このようにして、ハプティックトラックは、ハプティックトラックの上述した表面セグメントによって分離された少なくとも2つのトラックセグメントに分割される。ハプティックトラックの第1、第2、および第3の表面セグメントの間にある第1および/または第2のトラックセグメントの部分は、タッチセンシティブセンサ配置のセンサセグメントを有さないことが考えられる。代替として、第1、第2、および第3の表面セグメントの間に位置される第1のトラックセグメントおよび第2のトラックセグメントの部分のみに、それぞれ、タッチセンシティブセンサ配置の複数のセンサセグメントが設けられる。いずれにせよ、延在部全体ではなく、ハプティックトラックの一部分のみが、タッチセンシティブセンサ配置のセンサセグメントを備えていればよい。これは、トリガ装置を実装するための経費およびコストを削減するのに役立つ。
【0025】
さらなる例では、第1のトラックセグメントは、少なくとも一部で第1の向きに沿って延びる。第2のトラックセグメントは、少なくとも一部で第2の向きに沿って延びる。第1の向きは、第2の向きに対して所定の角度で延びる。言い換えると、ハプティックトラックは、非直線延在部、非直線形状、または非直線輪郭を有する。そのような非直線延在部、形状、または輪郭は、ハプティックトラックに沿った物体の不慮の摺動を避けるのに有益である。ハプティックトラック全体に沿った摺動は、ハプティックトラックの非直線延在部、形状、または輪郭に応じた摺動方向の少なくとも1回の変化を必要とする。ボーラス注射を開始すべきであることに気付いて実施しようとしているユーザのみが、ハプティックトラックの方向の変化に意図的に従う。
【0026】
このようにして、一方では、ハプティックトラックの非直線延在部、形状、または輪郭により、ユーザがボーラス注射を意図的にトリガしたい場合に、トリガ装置のかなり単純な操作が提供される。他方では、ユーザが誤ってハプティックトラックの非直線延在部、
形状、または輪郭に従う可能性は非常に低いので、トリガ装置の不慮の起動はほぼあり得なくなる。
【0027】
さらなる例によれば、第1の向きと第2の向きとが成す所定の角度が、30°、45°、60°、90°、120°、135°、150°、165°、または180°に等しい、またはそれを超える。典型的な構成では、所定の角度は、90°よりも大きく、さらには135°よりも大きい。このようにすると、物体は、本体の外面にあるハプティックトラックに正しく追従するために、摺動運動の方向転換を行わなければならない。ハプティックトラックは、第1のトラックセグメントと第2のトラックセグメントとの間に位置された少なくとも1つまたはそれ以上のコーナセクションまたは少なくとも1つまたはそれ以上の湾曲セクションを含む。コーナセクションでは、ハプティックトラックの方向が突然変化する。湾曲セクションでは、湾曲セクションに沿って、ハプティックトラックの方向は、トラックに沿って物体がハプティック構造の第1の端部セクションからハプティック構造の第2の端部セクションまで摺動するときに滑らかに変化する。
【0028】
典型的には、第1のトラックセグメントと第2のトラックセグメントとは、重複していない。ハプティックトラック全体は、トラックセグメントの交わりを有さない。重複していないハプティックトラックを有することによって、ハプティックトラックに沿ったかなり直感的なよく定義された摺動運動が提供される。
【0029】
さらなる例では、ハプティックトラックは、V字形、U字形、S字形、Z字形、および螺旋形の構造の1つを含む。すべてのこれらの例示的な構造によって、コーナセクションに沿って、または湾曲セクションに沿って互いに合流する少なくとも第1のトラックセグメントおよび第2のトラックセグメントを特定することができ、第1のトラックセグメントおよび第2のトラックセグメントは、30°以上の所定の角度で互いに向けられた異なる向き、すなわち第1および第2の向きを有する。ハプティックトラックの形状の前述した例は、非限定的である。所定の角度で延びるそれぞれの第1および第2の向きに沿って向けられた第1および第2のトラックセグメントを特徴とするハプティックトラックの多くのさらなる幾何形状がある。
【0030】
別の例によれば、タッチセンシティブセンサ配置のセンサセグメントのそれぞれが、容量センサ、磁気センサ、誘導型センサ、光学センサ、または機械的なスイッチの1つを含む。すべてのこれらの異なるタイプのセンサによって、ハプティック構造に沿って摺動する物体とタッチセンシティブセンサ配置との近接または直接的な機械的接触を、離散的なステップで検出することができる。典型的には、タッチセンシティブセンサ配置のすべてのセンサセグメントは、同じタイプのものである。例えば、タッチセンシティブセンサ配置は、容量センサ配置として実装されて、その各センサセグメントは、タッチセンシティブ容量センサを含む。そのような容量センサに近接する物体は、センサの周囲の静電場を変化させる。そのような静電場の変化は、それぞれの容量センサによって電子的に検出することができる。そのようなタッチセンシティブセンサ配置は、手頃なコストで実装することができる。それぞれのタッチセンシティブパッドは、広範な用途のために市販されている。
【0031】
別の例によれば、トリガ装置は、タッチセンシティブセンサ配置に連結されたコントローラをさらに含む。コントローラは、所定の時間間隔内でハプティックトラックに沿った物体の摺動運動を検出するように構成される。典型的には、コントローラは、タッチセンシティブセンサ配置のセンサセグメントのそれぞれに個々に連結されている。いくつかの実施形態では、タッチセンシティブセンサ配置は、それ自体がコントローラを含む。このとき、個々のセンサセグメントは、タッチセンシティブセンサ配置の内蔵コントローラに連結され、タッチセンシティブセンサ配置は、トリガ装置のコントローラに連結される。
【0032】
コントローラは、タッチセンシティブセンサ配置のセンサセグメントのそれぞれのタッチを個別に検出するように構成される。所定数のセンサセグメントが、所定の時間間隔内に物体によって触れられた場合、コントローラは、ハプティックトラックに沿った摺動運動としてこれを解釈するように構成される。そのような検出に応答して、コントローラは、輸液デバイスのボーラス注射を開始またはトリガするように構成される。このようにすると、ハプティックトラックに沿った物体の摺動運動は、所定の速度で行われなければならない。そうでない場合、摺動運動は、ボーラス注射の解放または開始を意図した意図的な摺動運動であると解釈されない。
【0033】
このようにして、コントローラは、少なくとも、第1の時点で物体とハプティックトラックの第1の端部セクションとの機械的接触または幾何的近接を検出し、第2の時点で物体とハプティックトラックの第2の端部セクションとの機械的接触または幾何学的近接を検出するように構成される。第1の端部セクションおよび第2の端部セクションが触れられる第2の時点および第1の時点が所定の時間間隔内にあるとき、ハプティックトラックに沿った物体の摺動運動が認識される。第1の時点と第2の時点との時間差が所定の時間間隔よりも大きい場合には、物体の動きが遅すぎるので、摺動運動としての解釈は却下される。
【0034】
別の態様によれば、本開示はまた、輸液デバイスなどの薬物送達デバイス用のリモートコントロールに関する。リモートコントロールは、ハウジングを含む。さらに、リモートコントロールは、送達デバイスの対応するインターフェースと通信するためのインターフェースを有する。さらに、リモートコントロールは、上述したようなトリガ装置を含む。トリガ装置の本体は、リモートコントロールのハウジングの一部であるか、またはトリガ装置の本体は、リモートコントロールのハウジングに連結される。トリガ装置がリモートコントロールに完全に実装されて組み込まれることも考えられる。トリガ装置の本体は、リモートコントロールのハウジングと一致していても、その逆でもよい。
【0035】
さらに、トリガ装置のコントローラがリモートコントロールのコントローラによって実装される、またはトリガ装置のコントローラがリモートコントロールのコントローラに組み込まれることも考えられる。さらに、トリガ装置のコントローラとリモートコントロールのコントローラとが一致する。共通のコントローラ、例えばリモートコントロールのコントローラが、トリガ装置のコントローラの全機能を提供する。言い換えると、リモートコントロールのコントローラは、トリガ装置のタッチセンシティブセンサ配置に連結される。リモートコントロールのコントローラは、ハプティック構造またはそのハプティックトラックに沿って物体が摺動するときにタッチセンシティブセンサ配置によって提供される信号を分析するようにさらに構成される。
【0036】
リモートコントロールは、典型的には、輸液デバイスと通信するために無線インターフェースを含む。リモートコントロールは、患者の皮膚に取り付けられた輸液デバイスと通信するように構成された携帯型のリモートコントロールである。リモートコントロールは、とりわけ、ディスプレイ、タッチスクリーン、および/またはボタンなどの様々な作動部材のうちの少なくとも1つを含む。インターフェースは、典型的には、輸液デバイスの対応する構成のインターフェースと通信するように構成される。インターフェースによって、ユーザによってトリガされるボーラス注射が解放または起動される。ボーラス注射を解放および/または開始するために、物体の動き、例えばユーザの指の動きがトリガ装置によって感知され、したがって、よく定義された様式でリモートコントロールのハウジングの外面でハプティック構造に沿ってユーザが摺動するときに感知される。
【0037】
さらに別の態様では、薬剤を患者に投与するための輸液デバイスが提供される。輸液デ
バイスは、ハウジングと、薬剤を収容する容器に動作可能に連結可能な駆動機構とを含む。輸液デバイスは、容器から所定量の薬剤を投薬するために駆動機構の動作を制御するように構成されたコントローラをさらに含む。典型的には、コントローラは、患者への薬剤の投与を制御するように構成される。輸液デバイスは、上述したようなトリガ装置をさらに含み、トリガ装置の本体は、ハウジングの一部であるか、または輸液デバイスのハウジングに連結されている。さらに、トリガ装置は、輸液デバイスのコントローラに連結されている。このようにして、トリガ装置のハプティック構造に沿った意図的な摺動運動を、トリガ装置のタッチセンシティブセンサ配置によって検出することができる。トリガ装置のハプティック構造に沿った物体の所要および所定の摺動運動が、タッチセンシティブセンサ配置およびコントローラの少なくとも一方によって検出または識別されると、輸液デバイスの所定のボーラス注射が解放および開始される。タッチセンシティブセンサ配置は電子センサ配置であり、コントローラは電子コントローラである。
【0038】
トリガ装置は、輸液デバイスに完全に組み込まれる。トリガ装置の本体、したがってトリガ装置自体を、輸液デバイスに組み込むことができる。トリガ装置の本体は、輸液デバイスのハウジングと一致する。輸液デバイスのハウジングは、トリガ装置の本体を形成する。トリガ装置の本体の外面は、輸液デバイスのハウジングの外面と一致する。トリガ装置の本体の外面に配置されたハプティック構造を有することによって、ハプティック構造は、輸液デバイスのハウジングの外面に位置される。したがって、ハプティック構造は、ユーザによって触覚的に判別可能である。ハプティック構造は、ユーザまたは患者の手または1本もしくは数本の指によって触知可能である。ボーラス注射を解放または開始するために、ユーザがトリガ装置または注射デバイスの目視確認を行う必要はない。ボーラス注射は、1本または数本の指を使用して、輸液デバイスの外面にあるハプティック構造に沿って指を摺動させることによって、単純にトリガおよび解放することができる。
【0039】
トリガ装置のコントローラと輸液デバイスのコントローラとは一致する。共通の電子コントローラ、例えば輸液デバイスのコントローラが、トリガ装置のコントローラの全機能を提供する。言い換えると、輸液デバイスのコントローラは、トリガ装置のタッチセンシティブセンサ配置に連結される。輸液デバイスのコントローラは、物体がハプティック構造またはそのハプティックトラックに沿って摺動するときにタッチセンシティブセンサ配置によって提供される信号を分析するようにさらに構成される。
【0040】
さらなる例によれば、輸液デバイスは、患者に投薬および投与すべき薬剤を含む容器を含む。薬剤を含む容器は、輸液デバイスのハウジング内に位置および配置される。容器は、交換可能な容器である。したがって、輸液デバイスは、再利用可能なデバイスとして構成される。容器は、薬剤を充填された弾性バッグを含む。その後、容器からの薬剤の引出しは、送達デバイスの吸引ポンプによって行われる。別の例では、容器は、薬剤を充填された管状のバレルを有するカートリッジまたはカープル(carpule)を含む。バレルの一端、典型的にはその遠位端はシールで封止され、このシールは、穿孔可能なセプタムを含む。バレルの他端、例えば近位端は、典型的には、バレル内で変位可能なピストンまたは栓で封止される。
【0041】
駆動機構は、遠位方向に向けられた圧力をカートリッジのピストンまたは栓に及ぼすように構成された長手方向で変位可能なピストンロッドを含む。このようにして、カートリッジ内の圧力を増加させて、カートリッジの遠位端部を介して、したがってバレルの内部に連結された注射針を介して、所定量の液体薬剤を流体移送式に放出することができる。
【0042】
カートリッジの出口は、輸液ラインを介して注射針と永久的な流体連通を成している。注射針は、パッチによって患者の皮膚に粘着式に取り付けられる。他の例では、注射針は、注射デバイスに取り付けられる、または注射デバイスに属する。このとき、輸液デバイ
スは、患者の皮膚に直接、粘着式に取り付けられる。カートリッジの出口から注射針に延びる輸液ラインは、輸液デバイスのハウジング内に位置される。
【0043】
別の態様によれば、本開示はさらに、トリガ装置のハプティックトラックに沿った物体の摺動運動を認識する方法に関する。この方法は、上述したようなトリガ装置を用意する工程を含む。第1の工程において、第1の時点で、物体とハプティックトラックの第1の端部セクションとの機械的接触または近接が検出される。その後、第2の工程において、第2の時点で、物体とハプティックトラックの第2の端部セクションとの機械的接触または近接が検出される。その後、第1および第2の時点が決定されているので、第2の時点および第1の時点が所定の時間間隔内にあるとき、ハプティックトラックに沿った物体の摺動運動が認識される。したがって、第1の時点と第2の時点との時間間隔は、所定の最大時間間隔を超えない。第1の時点と第2の時点との時間間隔が所定の最大時間間隔よりも小さい場合、摺動運動、したがってハプティックトラックの第1の端部セクションからハプティックトラックの第2の端部セクションへの所定の速度での摺動運動が検出される。
【0044】
ハプティックトラックに沿った物体の摺動運動の認識に応答して、方法は、薬物送達デバイスまたは注射デバイスの様々な所定の機能をトリガする。トリガ装置がリモートコントロールによって実装されている場合、摺動運動の認識により、リモートコントロールから送達デバイスへのそれぞれのコマンドの伝送が開始されて、例えばボーラス注射を開始する。
【0045】
輸液デバイスまたはそのような輸液デバイス用のリモートコントロールに関連してトリガ装置を特に述べているが、決してそのような輸液デバイスに限定されるものではない。トリガ装置は、注射デバイスや吸入器などすべての種類の薬物送達デバイスによって実装される。また、トリガ装置は、ペン型注射デバイスなどの電子制御式の注射デバイスによって実装されることもある。
【0046】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4もしくはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0047】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28
),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0048】
インスリン誘導体は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0049】
エキセンジン-4は、例えば、H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2配列のペプチドであるエキセンジン-4(1-39)を意味する。
【0050】
エキセンジン-4誘導体は、例えば、以下のリストの化合物:
H-(Lys)4-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)5-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)
、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
(ここで、基-Lys6-NH2が、エキセンジン-4誘導体のC-末端に結合していてもよい);
【0051】
または、以下の配列のエキセンジン-4誘導体:
desPro36エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2(AVE0010)、
H-(Lys)6-desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセ
ンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Lys6-desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(S1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン-4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
から選択される。
【0052】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0053】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、例えば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0054】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0055】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインか
ら構成される。これらのドメインは約70~110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(例えば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0056】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0057】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0058】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211~217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0059】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0060】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH-H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0061】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、例えば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、例えば、アルカリまたはアルカリ土類、例えば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、
アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1~R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1~C6アルキル基、場合により置換されたC2~C6アルケニル基、場合により置換されたC6~C10アリール基、または場合により置換されたC6~C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0062】
薬学的に許容される溶媒和物は、例えば、水和物である。
【0063】
特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示に様々な修正および変形を施すことができることが、当業者にはさらに明らかになろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用される参照符号は、本開示の範囲を制限するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0064】
以下では、図面を参照して、トリガ装置の様々な実施形態、および輸液デバイスへのトリガ装置の実装を述べる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図2】対応するリモートコントロールと共に輸液デバイスを示すブロック図である。
【
図5】トリガ装置の別の例を通る概略断面図である。
【
図6】トリガ装置のハプティック構造の一例の上面図である。
【
図7】トリガ装置のハプティック構造の別の例の上面図である。
【
図8】トリガ装置のハプティック構造のさらなる例の上面図である。
【
図9】トリガ装置のハプティック構造の別の例の上面図である。
【
図10】トリガ装置のタッチセンシティブセンサ配置のブロック図である。
【
図11】トリガ装置のハプティックトラックに沿った物体の摺動運動を認識する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、糖尿病の治療のためのインスリンポンプとして構成される輸液デバイス10の斜視図である。輸液デバイス10は、ハウジング11を含む。ハウジング11の外面13には、複数の作動部材33、34、35が設けられている。作動部材33、34、35は、ボタンとして実装されている。作動部材は、スイッチまたはノブとして実装されることもある。輸液デバイス10は、さらにディスプレイ32を含む。ディスプレイ32には、薬剤の流量などの輸液関連データが表示される。ディスプレイ32は、バッテリ25の充電状態、現在の時間、投薬履歴(dosing history)に関する情報、または次の注射もしくはボーラス注射の予定に関する情報など、他の情報も患者にさらに提供する。ディスプレイ32は、タッチスクリーンとして実装される。このとき、輸液デバイス10は、さらなる作動部材33、34、35を有さない。
【0067】
作動部材35の少なくとも1つは、スリープボタンまたはスタンバイボタンとして実装される。その作動部材35によって、輸液デバイス全体をスリープモードに切り替えて、エネルギーを節約し、バッテリ25の寿命を延ばす。
【0068】
図2には、輸液デバイス10の内部構造が概略的に示されている。輸液デバイス10は、コントローラ30および駆動機構12を含む。図示される実施形態では、駆動機構12は、その遠位端に押圧部片15を有する細長いピストンロッド14を含む。ピストンロッド14、したがって駆動機構12は、ピストン18、または容器16の栓と動作可能に係合可能であり、容器16は、ここでは、薬剤17を充填されたバレルを有するカートリッジとして実装されている。遠位端または出口19の近くで、容器16は、例えばセプタムなどの穿孔可能なシールによって封止されている。反対側の端部に向かって、すなわち近位端の近くで、容器16は、軸方向で変位可能なピストン18によって封止されている。出口19は、輸液ライン20に連結されている。容器16の出口19とは逆側の輸液ライン20の端部は、注射針21を設けられ、注射針21に連結されている。注射針21は、生体組織に穿刺するためのものである。注射針21は、患者の皮膚に粘着式に取り付けられるように構成および意図されているパッチ22から突出している。
【0069】
輸液デバイス10の他の構成では、注射針21は、輸液デバイス10のハウジング11内に直接位置される。このとき、輸液デバイス10自体が、患者の皮膚に粘着式に取り付けられるように構成される。このとき、注射針21は、患者の皮膚に穿刺するために、ハウジング11の外面13から突出するように展開される。
【0070】
電子コントローラ30は、マイクロコントローラとして、または同等のコンピューティングユニットとして実装される。コントローラ30は、ディスプレイ32、およびすべての作動部材33、34、35に連結される。コントローラ30は、駆動機構12にも連結される。駆動機構12は、典型的には電気駆動装置を含む。コントローラ30に電力供給するため、および駆動機構12の駆動を起動させるための電気エネルギーは、バッテリ25によって供給される。バッテリ25は、充電可能なバッテリを含む。やはりコントローラ30に連結されたフィードバックユニット26がさらに提供される。フィードバックユニット26は、例えば、ボーラス注射が完了したこと、またはユーザによって入力されたコマンドが受け入れられた、もしくは却下されたことをユーザに示すために、可聴または触覚信号を発生するように構成される。フィードバックユニット26は、振動信号を発生するように構成される。
【0071】
輸液デバイス10は、インターフェース24をさらに備え付けられている。インターフェース24もコントローラ30に連結され、コントローラ30によって制御される。インターフェース24は、無線伝送インターフェースとして実装される。インターフェース24は、リモートコントロール100の対応するインターフェース104と通信するように構成される。インターフェース24、104は、Wi-Fi規格IEEE802.11、NFC規格、赤外線ベースの通信規格、またはBluetooth通信規格など、所定の無線伝送規格に従って無線データ伝送を行うように構成される。
【0072】
リモートコントロール100は、場合により用いられるものにすぎない。リモートコントロールは、外面13を有するハウジング101を含む。リモートコントロール100は、コントローラ130と、コントローラ130に連結された少なくとも1つまたはそれ以上の作動部材133とを含む。場合により、リモートコントロール100は、ディスプレイ102も含む。リモートコントロール100は、輸液デバイス10のインターフェース24と通信するように構成されたインターフェース104を含む。
【0073】
輸液デバイス10およびリモートコントロール100の少なくとも一方は、輸液デバイス10のボーラス注射をトリガするように構成されたトリガ装置40を備え付けられている。
図1に示されるように、トリガ装置40は、輸液デバイス10のハウジング11の外面13の専用の面に位置される。同様に、トリガ装置40は、リモートコントロール10
0のハウジング101の外面13に設けられる。ここで、
図3~
図10を参照して、トリガ装置40をより詳細に述べる。
【0074】
図3に示されるトリガ装置40は、外面13を有する本体39を含む。特定の実装形態によれば、トリガ装置40の本体39は、輸液デバイス10のハウジング11およびリモートコントロール100のハウジング101の一方と一致する、またはそこに組み込まれる。輸液デバイス10のハウジング11に実装または組み込まれる場合、トリガ装置40の本体39は、ハウジング11と実質的に一致する。トリガ装置40がリモートコントロール100に実装されているときも同じことが言える。
【0075】
図3および
図4に示されるトリガ装置は、本体39の外面13に配置されたハプティック構造41を含む。ハプティック構造41は、第1の端部セクション42および第2の端部セクション44を含む。ハプティック構造41は、第1の端部セクション42から第2の端部セクション44まで延びるハプティックトラック43をさらに含む。ハプティックトラック42は、第1の端部セクション42から第2の端部セクション44まで途切れることなく連続的に延びている。
図4に示されているように、ハプティックトラック43に沿って延びるタッチセンシティブセンサ配置50がさらに設けられている。タッチセンシティブセンサ配置50は、第1の端部セクション42から第2の端部セクション44まで、ハプティックトラックに沿って全体に延びている。このようにして、ハプティックトラック43の全体に、タッチセンシティブセンサ配置50が設けられる。タッチセンシティブセンサ配置50は、例えば物体70がハプティックトラック43に沿って第1の端部セクション42から第2の端部セクション44まで摺動するとき、ハプティックトラックに沿った物体70の摺動運動を検出するように特に構成される。
【0076】
図3に示されているように、ハプティック構造41およびそのハプティックトラック43は、様々な表面セグメント45、46、47に分割される。ここでは、3つの表面セグメント45、46、47のみが例示的に示されている。第1の表面セグメント45は、ハプティックトラック43の第1の端部セクション42と一致する。第2の表面セグメント46は、ハプティックトラック43の第2の端部セクション44と一致する。第3の表面セグメント47は、第1の端部セクション42と第2の端部セクション44との間でハプティックトラック43に位置される。第3の表面セグメント47は、第1の端部セクション42と第2の端部セクション44との両方から離間される。
【0077】
ハプティック構造41は、ユーザまたは患者によって触覚的に判別可能である。
図4に示されるハプティック構造41は、外面13の窪み48を含む。窪み48は、本体39の外面13の凹形の溝を含む。溝は、ハプティックトラック43に沿って摺動することを意図された物体70の形状と相補的な形状である。溝、したがって窪み48は、ハプティックトラック43に沿って全体に、すなわち第1の端部セクション42から第2の端部セクション44まで延びている。窪み48は、ハプティックトラック43の長さに沿って一定の断面または深さを含む。
【0078】
いくつかの例では、窪み48は、ハプティックトラック43に沿って変化する深さを含む。窪み48の幅は、窪み48に置くべき物体70のそれぞれの断面または幅よりも幾分大きい。したがって、対向して位置された縁部49間の離間距離(それに沿って、かなり平面状の本体39の外面13が窪み48内に延びる)は、物体70、例えば人の指先よりもわずかに大きい。
【0079】
窪み48の幅および/または全断面は、ハプティックトラック43の長さに沿って一定である。いくつかの例では、窪み48の幅および/または全断面は、ハプティックトラックの長さに沿って変化する。このようにすると、第1の端部セクション42と第2の端部
セクション44とが触覚的に区別可能になる。
【0080】
窪み48の下および本体39の内部には、タッチセンシティブセンサ配置50が設けられている。
図10に示されているように、タッチセンシティブセンサ配置50は、多数のセンサセグメント55、56、57を含む。ここで、第1のセンサセグメント55は、ハプティックトラック43の第1の端部セクション42の下に位置される。第2のセンサセグメント56は、ハプティックトラック43の第2の端部セクション44の下に位置され、第3のセンサセグメント57は、ハプティックトラック43の第3の表面セグメント47の下に位置される。
【0081】
図10に示されているように、センサセグメント55、56、57のそれぞれが個別にコントローラ30に連結される。センサセグメント55、56、57のそれぞれが、容量センサ、磁気センサ、誘導型センサ、もしくは光学センサなどのタッチセンシティブセンサ、または機械的スイッチを含む。このようにして、タッチセンシティブセンサ配置50に沿った物体70のタッチベースの摺動がコントローラ30によって検出される。コントローラ30は、ハプティックトラック43に沿った物体70の摺動の検出に応答して、輸液デバイス10のボーラス注射をトリガするように構成される。
【0082】
図5による断面図では、ハプティック構造141の別の例が示されている。また、このハプティック構造141は、
図3に図示されている形状、または
図6~9のいずれか1つに示されている形状を有する。ここでは、
図4の例とは異なり、ハプティック構造141およびそれぞれのトリガ装置140は、2つの隆起部、すなわち第1の隆起部142および第2の隆起部144を含む。2つの隆起部142、144は、トリガ装置140の本体139の外面113に沿って延びるハプティックトラック43を囲む。ここでも、ハプティックトラック43の下には、ハプティックトラック43に沿って全体に延びるタッチセンシティブセンサ配置150が提供される。
図5によるハプティックトラック43も、第1の端部セクション42および第2の端部セクション44を含む。2つの隆起部142、144は、長手方向に延びるハプティックトラック43の横方向境界を提供する。2つの隆起部142、144間の中間空間143は、物体70、したがってユーザの指でアクセス可能である。
【0083】
2つの隆起部142、144、したがってそれらの間に位置するハプティックトラック43は触知可能であり、したがって患者の指によって触覚的に判別可能である。トリガ装置140に視覚的に接することなく、ユーザは、トリガ装置140およびそのハプティック構造141の位置および向きを簡単に触知することができる。次いで、ユーザは、輸液デバイス10のボーラス注射をトリガするために、ハプティック構造に沿って指を摺動させる。2つの隆起部142,144は、ハプティックトラック43の側縁部に沿って互いに平行に延びている。2つの隆起部142、144は、等しい高さを有し、平面状の外面113から等しく突出している。
【0084】
隆起部142、144は、ハプティックトラック43に沿って連続的に、途切れずに延びている。他の例では、隆起部142、144は、少なくとも1つのギャップによって交差される。さらに、隆起部142、144は、ハプティック構造141の第1の端部セクション42から第2の端部セクション44まで延びるときに高さが変化する。このようにすると、2つの隆起部142、144は、知覚的に区別可能である。
【0085】
図3および
図6~9に示されるように、ハプティック構造41およびそのハプティックトラック43は、外面13に非直線延在部を含む。
図3に示されるハプティック構造41は、U字形構造を含む。ハプティックトラック43は、少なくとも第1のトラックセグメント43aと第2のトラックセグメント43bとに分割することができる。第1のトラッ
クセグメント43aは、第1の端部セクション42から、したがって第1の表面セグメント45から第3の表面セグメント47まで延びている。第2のトラックセグメント43bは、第3の表面セグメント47から第2の端部セクション44まで延びている。第1のトラックセグメント43aは、第1の向きO1に沿って延び、第2のトラックセグメント43bは、第2の向きO2に沿って延びる。
図6に示されるように、第1の向きO1および第2の向きO2は、所定の角度Aで延びており、この角度Aは、45°、60°、93°、120°、135°、150°、165°、または180°を超える。
【0086】
図3の例では、第1の向きO1は、第2の向きO2と実質的に直径方向で対向している。第1の向きO1は、第1の表面セグメント45から第3の表面セグメント47までの距離または方向によって定義される。第2の向きO2は、第3の表面セグメント47から第2の表面セグメント46までの距離または方向によって定義される。第1および第2のトラックセグメントが実質的に異なる向きに延びることによって、ハプティックトラック43全体に沿った物体70の偶発的な摺動を効果的に回避することができる。
【0087】
ハプティックトラック43に沿った物体70の摺動運動は、ある時点で、よく定義された摺動運動の方向転換を必要とするので、ユーザは、ハプティックトラック43全体に沿って意図的にのみ摺動することができる。これは、ユーザがハプティック構造41、141、したがって窪み48または隆起部142、144間の中間空間143に物体70を入れ、ハプティックトラック43に沿って摺動させるときにのみ、意図的に実現することができる。このようにして、かなり単純で直感的なボーラス注射起動に、不慮のボーラス注射起動に対する最大限の安全性を与えることができる。
【0088】
図6~9に、トリガ装置240、340、440、544および輸液デバイス10のさらなる例が示されている。
図6によるトリガ装置240は、第1の端部セクション242から第2の端部セクション244まで延びるハプティックトラック243を有するハプティック構造241を含む。ハプティック構造241およびそれぞれのハプティックトラック243は、弓状または円弧状である。ハプティックトラック243の頂部には、第3の表面セグメント247が位置されている。第1の端部セクション242の近くには、第1の表面セグメント245が設けられている。第2の端部セクション244の近くに、または第2の端部セクション244と一致して、第2の表面セグメント246が設けられている。第1のトラックセグメント243aは、第1の表面セグメント245から第3の表面セグメント247まで延びている。第2のトラックセグメント243bは、第3の表面セグメント247から第2の表面セグメント246まで延びている。図示されているように、第1のトラックセグメント243aの第1の向きO1と第2のトラックセグメント243bの第2の向きO2とが成す角度Aは、90°よりも大きく、さらには120°よりも大きい。
【0089】
ボーラス注射をトリガしようとするユーザまたは患者は、ハプティックトラック243の第1の端部セクション242に指を置き、指が第2の端部セクション244に達するまでハプティックトラック243全体に沿って摺動させなければならない。それぞれの摺動運動は、下に配置されたタッチセンシティブセンサ配置50によって検出され、輸液デバイス10のボーラス注射をトリガするためにコントローラ30によってさらに分析される。
【0090】
図7の例では、トリガ装置340は、第1の端部セクション342および第2の端部セクション344を有するハプティック構造341を含む。ハプティックトラック343は、第1の端部セクション342から第2の端部セクション344まで連続的に延びている。ハプティックトラック343は、V字形構造を含む。ここで、第1のトラックセグメント343aおよび第2のトラックセグメント343bはそれぞれ、比較的直線的で細長い
形状を有する。第1のトラックセグメント343aと第2のトラックセグメント343bとは、コーナセクション345で合流する。ここでも、第1の向きO1と第2の向きO2とが成す角度Aは、90°よりも大きく、120°よりも大きく、さらには135°よりも大きい。
【0091】
別のトリガ装置440のハプティック構造441のさらなる例が
図8に示されている。ここで、ハプティック構造441は、Z字形のハプティックトラック443を形成するように配置された3つの直線形のトラックセグメント443a、443b、および443cを有するハプティックトラック443を含む。第1のトラックセグメント443aと第3のトラックセグメント443cとは互いに実質的に平行に延び、第2のトラックセグメント443bが、第1のトラックセグメント443aと第3のトラックセグメント443cとを相互連結する。第2のトラックセグメント443bは、第1のトラックセグメント443aおよび第3のトラックセグメント443cに対して所定の角度で延びている。ここでも、角度は、90°よりも大きく、120°よりも大きく、さらには135°よりも大きい。ハプティックトラック443は、2つのコーナセクション345、347を含む。各コーナセクション345、347において、ハプティックトラック443に沿って摺動する物体70は、ハプティックトラック443に正しく追従するために摺動方向を変えなければならない。
【0092】
図9には、螺旋形のハプティック構造541を有する別のトリガ装置540が示されている。螺旋形のハプティック構造541は、第1の端部セクション542および第2の端部セクション544を含む。ここで、第1の端部セクション542は、螺旋形のハプティックトラック543の内側端部セクションであり、第2の端部セクション544は、外側端部セクションである。第1の端部セクション542で、ハプティックトラック543は、第1の表面セグメント545を含む。第2の端部セクション544で、ハプティックトラック543は、第2の表面セグメント546を含む。第1および第2の端部セクション542、544の間に、ハプティックトラック543は、少なくとも第3の表面セグメント547を含む。ここで、第1の表面セグメント545に近接した、第1の向きO1を有するかなり短いトラックセグメント543aを画成することができる。第1の向きO1は、第1の端部セクション542でのハプティックトラック543に対する接線とみなす、または定義することができる。
【0093】
螺旋形のハプティックトラック543は、さらに、第2の表面セグメント546に近接して第2の向きO2を含む。ここでも、第2の表面セグメント546に近接した、第2の向きO2を有するかなり短いトラックセグメント543bを画成することができる。第1の向きO1と第2の向きO2とが互いにほぼ直径方向で対向していることは、
図9からすぐに明らかである。第1の向きO1と第2の向きO2とが成す角度は、少なくとも165°よりも大きく、または実質的に180°に等しい。
【0094】
図11による流れ図には、上述したトリガ装置40のハプティックトラック43に沿った物体70の摺動運動を認識する方法が模式的に示されている。ここで、第1の工程600において、トリガ装置40が、例えば
図3に関連して上述したように提供される。その後、工程602において、第1の時点t1で、物体70とハプティックトラック43の第1の端部セクション42との機械的接触または近接が検出される。物体70がハプティックトラック43に沿って摺動し、ハプティックトラック43の第2の端部セクション44に達すると、工程604において、第2の時点t2で、第2の端部セクション44への物体の機械的接触または物体の近接も検出される。
【0095】
次の工程において、または次の工程606における第2の端部セクションでの機械的接触の検出と同時に、第1の時点t1と第2の時点とが相互に比較される。第1の時点t1
と第2の時点t2との時間間隔が所定の閾値未満である場合、方法は工程608に進む。工程608において、第1の時点および第2の時点での物体とハプティックトラックとの機械的接触の検出が所定の時間間隔t内に行われると、これは、輸液デバイス10のボーラス注射をトリガしようとする摺動運動として解釈される。
【0096】
第1の時点t1と第2の時点t2との時間間隔が所定の時間間隔tを超える別の状況では、第1の端部セクション42および第2の端部セクション44での物体70の検出は却下および無視される。次いで、方法は工程602に戻る。
【0097】
この方法、およびハプティックトラック43のタッチ検出は、輸液デバイス10がスタンバイモードまたはアクティブモードである間、常にアクティブである。しかし、トリガ装置40は、例えば輸液デバイス10をスリープモードに切り替えることによってスイッチオフまたは停止状態にされる。これにより、エネルギーが節約され、バッテリ寿命が延びる。
【符号の説明】
【0098】
10 輸液デバイス
11 ハウジング
12 駆動機構
13 外面
14 ピストンロッド
15 押圧部片
16 容器
17 薬剤
18 ピストン
19 出口
20 輸液ライン
21 針
22 パッチ
24 インターフェース
25 バッテリ
26 フィードバックユニット
30 コントローラ
32 ディスプレイ
33 作動部材
34 作動部材
39 本体
40 トリガ装置
41 ハプティック構造
42 端部セクション
43 ハプティックトラック
43a トラックセグメント
43b トラックセグメント
44 端部セクション
45 表面セグメント
46 表面セグメント
47 表面セグメント
48 窪み
49 縁部
50 センサ配置
55 センサセグメント
56 センサセグメント
57 センサセグメント
70 物体
100 リモートコントロール
101 ハウジング
102 ディスプレイ
104 インターフェース
113 外面
125 バッテリ
130 コントロール
133 作動部材
139 本体
140 トリガ装置
141 ハプティック構造
142 隆起部
143 中間空間
144 隆起部
150 センサ配置
240 トリガ装置
241 ハプティック構造
242 端部セクション
243 ハプティックトラック
243a トラックセグメント
243b トラックセグメント
244 端部セクション
245 表面セグメント
246 表面セグメント
247 表面セグメント
340 トリガ装置
341 ハプティック構造
342 端部セクション
343 ハプティックトラック
343a トラックセグメント
343b トラックセグメント
344 端部セクション
345 コーナセクション
440 トリガ装置
441 ハプティック構造
442 端部セクション
443 ハプティックトラック
443a トラックセグメント
443b トラックセグメント
443c トラックセグメント
445 コーナセクション
447 コーナセクション
540 トリガ装置
541 ハプティック構造
542 端部セクション
543 ハプティックトラック
543 トラックセグメント
543 トラックセグメント
544 端部セクション
545 表面セグメント
546 表面セグメント
547 表面セグメント