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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
H01L23/02 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023098406
(22)【出願日】2023-06-15
(65)【公開番号】P2024024588
(43)【公開日】2024-02-22
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2022/030422
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】緒方 孝友
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-200633(JP,A)
【文献】特開2009-234074(JP,A)
【文献】特開2017-098400(JP,A)
【文献】特開2011-253993(JP,A)
【文献】特開2017-011025(JP,A)
【文献】特開平03-283641(JP,A)
【文献】特開2022-000876(JP,A)
【文献】特開2001-156192(JP,A)
【文献】特開2022-103057(JP,A)
【文献】国際公開第2019/131866(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティが設けられたパッケージであって、
セラミックからなる枠部を備え、前記枠部は、第1面と、厚み方向において前記第1面と反対の第2面とを有しており、前記第2面は、前記キャビティを囲む内縁と、前記内縁を囲む外縁とを有しており、前記パッケージはさらに、
セラミックからなる基板部を備え、前記基板部は、前記枠部の前記第2面を支持する部分と、前記キャビティに面する部分とを有する第3面を有しており、前記パッケージはさらに、
前記基板部の前記第3面上に設けられている電極層と、
前記第1面と前記第2面との間で前記枠部を貫通するビア電極とを備え、前記ビア電極は、前記第1面で直径DAを有する端面と、前記第2面で前記電極層に接し直径DBを有する底面と、を有しており、DA<DBが満たされており、
平面視において前記ビア電極の前記底面は、前記枠部の前記第2面の前記内縁からの最小寸法LIと、前記枠部の前記第2面の前記外縁からの最小寸法LOとを有しており、LO>LIが満たされており、
前記ビア電極は前記第2面で外周を有しており、前記外周は、直径DBの円形状に沿った円弧部分と、前記枠部の前記第2面の前記内縁の一部に沿った欠損部分と、からなり、
前記ビア電極の前記端面は前記キャビティから離れている、パッケージ。
【請求項2】
前記ビア電極の前記外周の前記欠損部分は、前記ビア電極の前記底面の内方へ凸形状を有している、請求項に記載のパッケージ。
【請求項3】
キャビティが設けられたパッケージであって、
セラミックからなる枠部を備え、前記枠部は、第1面と、厚み方向において前記第1面と反対の第2面とを有しており、前記第2面は、前記キャビティを囲む内縁と、前記内縁を囲む外縁とを有しており、前記パッケージはさらに、
セラミックからなる基板部を備え、前記基板部は、前記枠部の前記第2面を支持する部分と、前記キャビティに面する部分とを有する第3面を有しており、前記パッケージはさらに、
前記基板部の前記第3面上に設けられている電極層と、
前記第1面と前記第2面との間で前記枠部を貫通するビア電極とを備え、前記ビア電極は、前記第1面で直径DAを有する端面と、前記第2面で前記電極層に接し直径DBを有する底面と、を有しており、DA<DBが満たされており、
平面視において前記ビア電極の前記底面は、前記枠部の前記第2面の前記内縁からの最小寸法LIと、前記枠部の前記第2面の前記外縁からの最小寸法LOとを有しており、LO>LIが満たされており、
前記電極層は、前記ビア電極の前記底面に接する部分で局所的に厚くなっている隆起部を有しており
前記ビア電極は、前記端面と前記底面とをつなぐ側面を有しており、
前記厚み方向に平行な断面視において、前記枠部と前記電極層の前記隆起部との間で境界が形成されており、前記境界は、前記ビア電極の前記側面と鈍角をなすように前記側面とつながっており、前記境界の全体は、前記厚み方向に垂直な水平方向に対して、前記鈍角が大きくなるように傾斜している、パッケージ。
【請求項4】
キャビティが設けられたパッケージであって、
セラミックからなる枠部を備え、前記枠部は、第1面と、厚み方向において前記第1面と反対の第2面とを有しており、前記第2面は、前記キャビティを囲む内縁と、前記内縁を囲む外縁とを有しており、前記パッケージはさらに、
セラミックからなる基板部を備え、前記基板部は、前記枠部の前記第2面を支持する部分と、前記キャビティに面する部分とを有する第3面を有しており、前記パッケージはさらに、
前記基板部の前記第3面上に設けられている電極層と、
前記第1面と前記第2面との間で前記枠部を貫通するビア電極とを備え、前記ビア電極は、前記第1面で直径DAを有する端面と、前記第2面で前記電極層に接し直径DBを有する底面と、を有しており、DA<DBが満たされており、
平面視において前記ビア電極の前記底面は、前記枠部の前記第2面の前記内縁からの最小寸法LIと、前記枠部の前記第2面の前記外縁からの最小寸法LOとを有しており、LO>LIが満たされており、
前記枠部の前記第2面は、前記ビア電極の前記底面に直接つながれた第1領域と、前記ビア電極の前記底面に前記第1領域を介してつながれた第2領域と、を有しており、前記第2領域は前記厚み方向に垂直であり、前記第1領域は、前記第2領域に対して、前記ビア電極の前記底面に近いほど前記枠部の厚みが小さくなるように傾斜しており、
前記ビア電極は、前記端面と前記底面とをつなぐ側面を有しており、
前記厚み方向に平行な断面視において、前記ビア電極の前記側面は、前記枠部の前記第2面の前記第1領域と鈍角をなすように前記第1領域につながっている、パッケージ。
【請求項5】
LI>0が満たされている、請求項またはに記載のパッケージ。
【請求項6】
前記直径DAは50μm以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記枠部の前記第2面の前記内縁と前記外縁との間の最小寸法は200μm以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項8】
LO≧LI×1.5が満たされている、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記ビア電極は、前記厚み方向における前記端面と前記底面との中間位置において、(DA+DB)/2以下の直径を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記ビア電極は、前記厚み方向において前記端面から逆テーパ形状で延びる部分を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記逆テーパ形状は5度以上のテーパ角を有している、請求項10に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記ビア電極は、前記端面から前記底面へ向かって逆テーパ形状で延びる部分を前記枠部の厚みの1/2よりも大きい厚みにわたって有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記ビア電極は、前記端面と前記底面とをつなぐ側面を有しており、前記側面は、前記厚み方向に平行な断面視において、少なくとも1つの屈曲点を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの屈曲点は、逆方向に曲がる2つの屈曲点を含む、請求項13に記載のパッケージ。
【請求項15】
前記枠部は、前記第1面と、前記第2面の前記外縁とをつなぐ外壁面を有しており、
前記外壁面は、前記第1面につながる焼成面と、前記第2面につながる破断面とを有している、
請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージに関し、特に、ビア電極によって貫通された枠部を有するパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミックグリーンシートを用いて製造されるセラミック部品として、水晶振動子用のパッケージが知られている。一般的な水晶振動子は、水晶ブランクと、水晶ブランクが収められるキャビティを有するパッケージと、キャビティを封止するための蓋とを有している。パッケージは、キャビティの底面をなす基板部と、キャビティを囲む枠部と、この枠部上に設けられたメタライズ層とを有している。メタライズ層に蓋がろう材を用いて接合される。これにより、キャビティの気密性が確保される。
【0003】
パッケージの枠部上のメタライズ層は、通常、接地電位用の電極パッドに電気的に短絡されている。この電気的経路は、典型的には、枠部を貫通するビア電極を介して確保することができる。しかしながら、パッケージの小型化の進展にともなって枠部の材料幅(枠部の内縁と外縁との間の寸法)が小さくなってきており、これに対応しての微細なビア電極を形成することが困難となってきている。具体的には、微細なビア電極用の微細なビア孔を、焼成されることによって枠部となるグリーンシートに形成することが、困難となってきている。ビア孔の典型的な形成方法として、ピン形状を有する金型が用いられる場合、ビア孔を微細化するためにピン形状を微細化すると、ピンの機械的強度が不足しやすい。そこで、たとえば特開2007-27592号公報に開示された技術によれば、ビア電極に代わって、枠部の内壁面上に、略三日月状の形状を有するキャスタレーション電極が設けられている。
【0004】
上記公報の技術のようにビア電極に代わってキャスタレーション電極がキャビティの側壁に設けられている場合、セラミックからなる枠部に比してろう材への高い濡れ性を有する電極がキャビティの内壁を厚み方向に沿って縦断する。よって、ろう材を用いた蓋の接合工程において、ろう材がキャビティ中へキャスタレーション電極に沿って流れ込みやすい。流れ込んだろう材と水晶ブランクとが接触すると、水晶振動子の機械的性能に悪影響が生じることがある。このような、機械的特性への悪影響は、パッケージに実装される素子が水晶ブランクの場合に特に懸念されるが、他の圧電素子の場合にも生じることがある。さらに、パッケージに実装される素子が電気的素子である限り、たとえば意図しない短絡のような、電気的特性への悪影響が懸念される。よって、ろう材の流れ込みを避けることが重要なことがあり、その観点ではキャスタレーション電極よりもビア電極が好適である。小型パッケージにとってもそのような要請があることから、枠部の小さな材料幅に対応して、ビア電極用の微小なビア孔を形成することができる技術が望まれる。
【0005】
特開2009-234074号公報は、ビア孔としての微小な貫通孔を、セラミックグリーンシートに、レーザー加工技術によって形成する方法が開示されている。具体的には、厚みが250μm以下のセラミックグリーンシートに、直径30μm乃至50μmの貫通孔が、紫外線レーザーを用いて形成される。このように厚みに対して直径の小さい貫通孔がレーザー加工によって形成される場合、貫通孔がテーパ形状を有する傾向があることが指摘されている。そして上記公報においては、貫通孔のテーパ形状は、貫通孔への導体ペーストの充填を困難にするものとして問題視されている。そこで上記公報の技術においては、テーパ率を60%以上とすることができるレーザー光照射条件が検討されている。ここでテーパ率は、テーパの直径比によって定義されており、テーパ率100%は貫通孔がテーパ形状を有しないことを意味し、また、より小さなテーパ率は、より急激なテーパ形状を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-27592号公報
【文献】特開2009-234074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らの検討によれば、上記のレーザー加工技術が、パッケージの枠部にビア電極を設ける目的で単純に適用されると、キャビティの気密性を十分に確保することが困難なことがある。この問題は、パッケージの小型化の進展にともなって枠部の材料幅が小さくなるほど深刻となる。よって、気密性を確保する観点では、前述したキャスタレーション電極の方が好適なことがある。一方で、前述したように、キャスタレーション電極が提供されると、キャビティへのろう材の流れ込みが問題となることがある。以上から、キャビティの十分な気密性を確保しつつ、キャビティ中へのろう材の流れ込みを防止することは、従来の技術では困難である。
【0008】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、キャビティの十分な気密性を確保しつつ、キャビティ中へのろう材の流れ込みを防止することができるパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
態様1は、キャビティが設けられたパッケージであって、セラミックからなる枠部を備え、前記枠部は、第1面と、厚み方向において前記第1面と反対の第2面とを有しており、前記第2面は、前記キャビティを囲む内縁と、前記内縁を囲む外縁とを有しており、前記パッケージはさらに、セラミックからなる基板部を備え、前記基板部は、前記枠部の前記第2面を支持する部分と、前記キャビティに面する部分とを有する第3面を有しており、前記パッケージはさらに、前記基板部の前記第3面上に設けられている電極層と、前記第1面と前記第2面との間で前記枠部を貫通するビア電極とを備え、前記ビア電極は、前記第1面で直径DAを有する端面と、前記第2面で前記電極層に接し直径DBを有する底面と、を有しており、DA<DBが満たされており、平面視において前記ビア電極の前記底面は、前記枠部の前記第2面の前記内縁からの最小寸法LIと、前記枠部の前記第2面の前記外縁からの最小寸法LOとを有しており、LO>LIが満たされている。
【0010】
態様2は、態様1のパッケージであって、前記直径DAは50μm以下である。
【0011】
態様3は、態様1または2のパッケージであって、前記枠部の前記第2面の前記内縁と前記外縁との間の最小寸法は200μm以下である。
【0012】
態様4は、態様1から3のいずれかひとつのパッケージであって、LO≧LI×1.5が満たされている。
【0013】
態様5は、態様1から4のいずれかひとつのパッケージであって、前記ビア電極は、前記厚み方向における前記端面と前記底面との中間位置において、(DA+DB)/2以下の直径を有している。
【0014】
態様6は、態様1から5のいずれかひとつのパッケージであって、前記ビア電極は、前記厚み方向において前記端面から逆テーパ形状で延びる部分を有している。
【0015】
態様7は、態様6のパッケージであって、前記逆テーパ形状は5度以上のテーパ角を有している。
【0016】
態様8は、態様1から7のいずれかひとつのパッケージであって、前記ビア電極は、前記端面から前記底面へ向かって逆テーパ形状で延びる部分を前記枠部の厚みの1/2よりも大きい厚みにわたって有している。
【0017】
態様9は、態様1から8のいずれかひとつのパッケージであって、前記ビア電極は、前記端面と前記底面とをつなぐ側面を有しており、前記側面は、前記厚み方向に平行な断面視において、少なくとも1つの屈曲点を有している。
【0018】
態様10は、態様9のパッケージであって、前記少なくとも1つの屈曲点は、逆方向に曲がる2つの屈曲点を含む。
【0019】
態様11は、態様1から10のいずれかひとつのパッケージであって、前記枠部は、前記第1面と、前記第2面の前記外縁とをつなぐ外壁面を有しており、前記外壁面は、前記第1面につながる焼成面(as-fired surface)と、前記第2面につながる破断面(fracture surface)とを有している。
【0020】
態様12は、態様1から11のいずれかひとつのパッケージであって、LI>0が満たされている。
【0021】
態様13は、態様1から11のいずれかひとつのパッケージであって、前記ビア電極は前記第2面で外周を有しており、前記外周は、直径DBの円形状に沿った円弧部分と、前記枠部の前記第2面の前記内縁の一部に沿った欠損部分と、からなる。
【0022】
態様14は、態様13のパッケージであって、前記ビア電極の前記外周の前記欠損部分は、前記ビア電極の前記底面の内方へ凸形状を有している。
【0023】
態様15は、態様1から14に記載のいずれかひとつのパッケージであって、前記電極層は、前記ビア電極の前記底面に接する部分で局所的に厚くなっている。
【0024】
態様16は、態様1から15に記載のパッケージであって、前記枠部の前記第2面は、前記ビア電極の前記底面に直接つながれた第1領域と、前記ビア電極の前記底面に前記第1領域を介してつながれた第2領域と、を有しており、前記第2領域は前記厚み方向に垂直であり、前記第1領域は、前記第2領域に対して、前記ビア電極の前記底面に近いほど前記枠部の厚みが小さくなるように傾斜している。
【発明の効果】
【0025】
態様1によれば、第1に、LO>LIが満たされるようにビア電極の底面が配置されていることから、ビア電極の底面の外縁と枠部の第2面の外縁との間で、セラミック間の積層界面が配置された箇所を、大きく確保することができる。ここで、セラミック間の積層界面は、金属とセラミックとの積層界面に比して、高い気密性を有する。よって、積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を抑制することができる。第2に、ビア電極の端面の直径DAがビア電極の底面の直径DBよりも小さいことから、ビア電極の底面がキャビティに達するほどビア電極がキャビティ近傍に位置しても、ビア電極の端面はキャビティから離れて位置することができる。これにより、ビア電極の端面近傍でビア電極の側面がキャビティへ露出されることが避けられる。よって、ビア電極に起因してのキャビティ中へのろう材の流れ込みを防止することができる。以上から、キャビティの十分な気密性を確保しつつ、キャビティ中へのろう材の流れ込みを防止することができる。
【0026】
態様2によれば、ビア電極の直径DAが50μm以下の微細な寸法である。これにより、枠部の幅寸法も微細化することができる。この微細化が進むほど基板部と枠部との間の積層界面に沿ったリークが問題となりやすいところ、当該問題が、上述した理由によって効果的に抑制される。
【0027】
態様3によれば、枠部の第2面の内縁と外縁との間の最小寸法は200μm以下である。このように微細化が進むほど基板部と枠部との間の積層界面に沿ったリークが問題となりやすいところ、当該問題が、上述した理由によって効果的に抑制される。
【0028】
態様4によれば、LO≧LI×1.5が満たされている。これにより、基板部と枠部との間の積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を、より十分に抑制することができる。
【0029】
態様5によれば、前記ビア電極は、厚み方向における前記端面と前記底面との中間位置において、(DA+DB)/2以下の直径を有している。これにより、ビア電極の当該中間位置と、枠部の外壁面との間の距離を十分に確保することができる。よって、ビア電極と枠部との間の気密信頼性を高めることができる。
【0030】
態様6によれば、ビア電極は、厚み方向において端面から逆テーパ形状で延びる部分を有している。これにより、ビア電極の端面と、キャビティとの間の距離を確保しやすくなる。よって、ビア電極に起因してのキャビティ中へのろう材の流れ込みをより十分に防止することができる。
【0031】
態様7によれば、ビア電極の、端面から延びる逆テーパ形状は、5度以上のテーパ角を有している。これにより、ビア電極の端面と、キャビティとの間の距離を確保しやすくなる。よって、ビア電極に起因してのキャビティ中へのろう材の流れ込みをより十分に防止することができる。
【0032】
態様8によれば、ビア電極の、端面から延びる逆テーパ形状は、枠部の厚みの1/2以上の厚みを有している。これにより、ビア電極の端面と、キャビティとの間の距離を確保しやすくなる。よって、ビア電極に起因してのキャビティ中へのろう材の流れ込みをより十分に防止することができる。
【0033】
態様9によれば、ビア電極の側面は、少なくとも1つの屈曲点を有している。これにより、パッケージの製造における焼結収縮に起因してのビア電極の側面と枠部との間のはがれを抑制することができる。
【0034】
態様10によれば、ビア電極の側面は、逆方向に曲がる2つの屈曲点を有している。これにより、パッケージの製造における焼結収縮に起因してのビア電極の側面と枠部との間のはがれを、より十分に抑制することができる。
【0035】
態様11によれば、枠部の外壁面は、第1面につながる焼成面と、第2面につながる破断面とを有している。破断面はブレイク工程によって形成されるところ、その工程ばらつきの影響によって、枠部の第2面の外縁とビア電極の底面との間の距離が小さくなることがある。しかしながら、前述したようにLO>LIが満たされていることによって、当該距離が過小にはなりにくくなる。よって、当該距離が過小なことに起因しての気密性の不足を防止することができる。
【0036】
態様12によれば、LI>0が満たされている。これにより、ビア電極の底面近傍においても、ビア電極の側面がキャビティへ露出されることが避けられる。よって、キャビティ中へのろう材の流れ込みを、より確実に防止することができる。
【0037】
態様13によれば、ビア電極の外周は、枠部の第2面の内縁の一部に沿った欠損部分を有している。これにより、ビア電極をキャビティへ近づけて配置しやすくなる。よって、基板部と枠部との間の積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を、より十分に抑制することができる。
【0038】
態様14によれば、ビア電極の外周の欠損部分は、ビア電極の底面の内方へ凸形状を有している。これにより、ビア電極をキャビティの角に配置することができる。よって、最小寸法LOを大きく確保しやすくなる。よって、基板部と枠部との間の積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を、より十分に抑制することができる。
【0039】
態様15によれば、電極層は、ビア電極の底面に接する部分で局所的に厚くなっている。これにより、ビア電極の構成をおおよそ維持したままで、ビア電極の側面と枠部の第2面とがなす鈍角を、より大きくすることができる。よって、主に金属からなるビア電極と、セラミックからなる枠部と、の間での熱膨張の差異に起因した熱応力を緩和することができる。よって、熱応力に起因しての、クラック、または、ビア電極と枠部との間での剥がれを防止することができる。
【0040】
態様16によれば、枠部の前記第2面は、ビア電極の底面に直接つながれた第1領域と、ビア電極の底面に第1領域を介してつながれた第2領域と、を有しており、第2領域は厚み方向に垂直であり、第1領域は、第2領域に対して、ビア電極の底面に近いほど枠部の厚みが小さくなるように傾斜している。これにより、ビア電極の構成をおおよそ維持したままで、ビア電極の側面と枠部の第2面とがなす鈍角を、より大きくすることができる。よって、主に金属からなるビア電極と、セラミックからなる枠部と、の間での熱膨張の差異に起因した熱応力を緩和することができる。よって、熱応力に起因しての、クラック、または、ビア電極と枠部との間での剥がれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】実施の形態1における水晶振動子の構成を概略的に示す平面図である。
図2図1の線II-IIに沿う概略的な断面図である。
図3図1の水晶振動子の製造方法の一工程を概略的に示す平面図である。
図4図3の線IV-IVに沿う概略的な断面図である。
図5】実施の形態1におけるパッケージの構成を概略的に示す平面図である。
図6図5の線VI-VIに沿う概略的な断面図である。
図7図5におけるメタライズ層および枠部の図示を省略した平面図である。
図8図7における基板部およびビア電極を、パッケージ電極パッドを破線で示しつつ、概略的に示す平面図である。
図9図5における枠部上のメタライズ層の図示を省略した平面図である。
図10図9の一部拡大図である。
図11図5の線XI-XIに沿う概略的な部分断面図である。
図12】実施の形態1におけるパッケージの製造方法における基板グリーン体の構成を概略的に示す部分平面図である。
図13図12に示された基板グリーン体における基板部および基板ビア電極を、パッケージ電極パッドを破線で示しつつ、概略的に示す部分平面図である。
図14図12および図13の線XIV-XIVに沿う概略的な部分断面図である。
図15】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図16】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図17】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図18】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図19】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図20】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図21】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図22】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図23】第1比較例のパッケージの構成を図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。
図24】第2比較例のパッケージの構成を図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。
図25】実施の形態1の変形例におけるパッケージの構成を図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。
図26】実施の形態1の変形例におけるパッケージの構成を図10と同様の視野で概略的に示す部分平面図である。
図27図26のパッケージが有するビア電極の底面の構成を説明する平面図である。
図28図11に示されたビア電極の構成の詳細を説明するための図である。
図29】本発明の実施の形態2におけるパッケージが有するビア電極の構成の詳細を説明するための図である。
図30】本発明の実施の形態3におけるパッケージが有するビア電極の構成の詳細を説明するための図である。
図31】実施の形態4におけるパッケージの構成を、実施の形態1の図10と同様の視野で概略的に示す部分平面図である。
図32図31の線XXXII-XXXIIに沿う概略的な部分断面図である。
図33】実施の形態4におけるパッケージの構成を、実施の形態1の図7と同様の視野で概略的に示す部分平面図である。
図34】実施の形態4におけるパッケージの製造方法の、実施の形態1の図17に対応する工程を、概略的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、一部の図中には、方向の理解を容易とするために、xyz直交座標系が示されており、そのz方向は厚み方向に対応している。また本明細書において、「テーパ形状」および「逆テーパ形状」は、異なる意味を有している。ある方向が定義された場合に、当該方向に延びる「テーパ形状」は、当該方向に向かって次第に狭くなる形状であり、例えば、当該方向に向かって直径が次第に小さくなる形状である。一方、当該方向に延びる「逆テーパ形状」は、当該方向と逆方向に向かって次第に狭くなる形状であり、例えば、当該方向と逆方向に向かって直径が次第に小さくなる形状である。言い換えれば、当該方向に延びる「逆テーパ形状」は、当該方向に向かって次第に広くなる形状であり、例えば、当該方向に向かって直径が次第に大きくなる形状である。
【0043】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1における水晶振動子900(電気的部品)の構成を概略的に示す平面図である。図2は、図1の線II-IIに沿う概略的な断面図である。図3は、水晶振動子900(図1)の製造方法における、水晶ブランク890(電気的素子)が実装された直後の構成を概略的に示す平面図である。図4は、図3の線IV-IVに沿う概略的な断面図である。
【0044】
水晶振動子900は、パッケージ701と、水晶ブランク890と、ろう材960と、蓋980とを有している。パッケージ701にはキャビティCVが設けられている。水晶ブランク890は、キャビティCV内に収められており、パッケージ701の素子電極パッド211および素子電極パッド212の上に実装されている。蓋980は、ろう材960によってパッケージ701のメタライズ層600に接合されており、これによりキャビティCVが封止されている。ろう材960は、典型的には、金を含む合金からなることが好ましく、たとえば、金およびスズを含む合金、言い換えればAu-Sn系合金、からなる。蓋980は、金属からなり、例えば、鉄およびニッケルを含む合金からなる。なお本明細書において、合金は金属の一種とみなす。
【0045】
メタライズ層600は、例えば、モリブデンおよびタングステンの少なくともいずれかを含む金属からなる。メタライズ層600の表面(ろう材960に面する面)には、めっき層が設けられていてよく、典型的には金めっき層が設けられている。また金めっき層の下地としてニッケルめっき層が設けられていてよい。本実施の形態においては、パッケージ701の枠部120の枠上面SF1上に直接設けられたメタライズ層600と、蓋980との間が、ろう材960のみによって接合されている。
【0046】
図5は、パッケージ701の構成を概略的に示す平面図である。図6は、図5の線VI-VIに沿う概略的な断面図である。パッケージ701は、セラミック部100と、素子電極パッド211と、素子電極パッド212と、パッケージ電極パッド301~304とを有している。また詳しくは後述するが、パッケージ701は、セラミック部100に設けられた、電気的配線のための構成を有している。
【0047】
セラミック部100は、セラミックからなり、好ましくは酸化物を主成分として有しており、より好ましくはアルミナを主成分として有しており、例えば実質的にアルミナからなる。セラミック部100は、基板部110と、枠部120とを含む。基板部110の材料と、枠部120の材料とは、同じであってよい。枠部120は厚み方向(図6におけるz方向)において基板部110に積層されている。枠部120は、枠上面SF1(第1面)と、枠下面SF2(厚み方向において第1面と反対の第2面)とを有している。また枠部120は、枠上面SF1と枠下面SF2とを互いにつなぐ内壁面を有しており、当該内壁面はキャビティCVの側壁である。基板部110は基板上面SF3(第3面)を有している。基板上面SF3は、枠部120の枠下面SF2を支持する支持面部分SF3Sと、キャビティCVに面するキャビティ面部分SF3Cとを有している。キャビティ面部分SF3CはキャビティCVの底面をなしている。
【0048】
素子電極パッド211および素子電極パッド212(図5)はキャビティCVに面してセラミック部100(図6)に配置されている。具体的には、素子電極パッド211および素子電極パッド212は、基板部110(図6)の上面(キャビティCVに面する面)上に配置されている。パッケージ電極パッド301~304(図5)はキャビティCV外においてセラミック部100(図6)に配置されている。具体的には、パッケージ電極パッド301~304は、基板部110(図6)の下面(キャビティCVに面する面とは反対の面)上に配置されている。
【0049】
中継電極220(図5)は、基板部110(図6)の基板上面SF3上に設けられている。中継電極220は、少なくとも部分的に支持面部分SF3S(図6)上に配置されている。よって、中継電極220(図5)は、少なくとも部分的に枠部120に覆われている。中継電極220はさらに、枠部120には覆われずにキャビティCVの底面に配置された部分を有していてよい。言い換えれば、中継電極220は枠部120に部分的にのみ覆われていてよい。
【0050】
図7は、メタライズ層600(図5)および枠部120(図6)の図示を省略した平面図である。図8は、図7における基板部110および基板ビア電極411~414を、パッケージ電極パッド301~304を破線で示しつつ、概略的に示す平面図である。
【0051】
セラミック部100の基板部110にはその上面近傍において配線層401~403が埋め込まれている。配線層401は素子電極パッド211に接触しており、配線層402は素子電極パッド212に接触しており、配線層403は中継電極220に接触している。これらの接触を阻害しない範囲で配線層401~403は、基板部110の一部としての絶縁膜110i(図11参照)に被覆されていてよく、特に素子電極パッド211と配線層403との間は、絶縁膜110iによって絶縁されている。配線層403および中継電極220によって電極層200が構成されている。
【0052】
パッケージ701は、セラミック部100の基板部110中に埋め込まれた基板ビア電極411~414を有している。基板ビア電極411は配線層402とパッケージ電極パッド301とを互いに接続している。基板ビア電極412は配線層403とパッケージ電極パッド302とを互いに接続している。基板ビア電極413は配線層401とパッケージ電極パッド303とを互いに接続している。基板ビア電極414は配線層403とパッケージ電極パッド304とを互いに接続している。
【0053】
以上の構成から、素子電極パッド211はパッケージ電極パッド303に電気的に接続されており、素子電極パッド212はパッケージ電極パッド301に電気的に接続されており、中継電極220はパッケージ電極パッド302およびパッケージ電極パッド304に電気的に接続されている。
【0054】
図9は、図5におけるメタライズ層600の図示を省略した平面図である。図10は、図9の一部拡大図である。図11は、図5の線XI-XIに沿う概略的な断面図である。
【0055】
枠部120の枠下面SF2は、キャビティCVを囲む内縁EIと、内縁EIを囲む外縁EOとを有している。内縁EIと外縁EOとの間の最小寸法WD(図10)は、200μm以下であってよく、典型的には20μm以上110μm以下である。枠部120は、枠上面SF1と、枠下面SF2の外縁EOとをつなぐ外壁面SF4を有している。また枠部120は、枠上面SF1と枠下面SF2の内縁EIとをつなぐ内壁面(図11における左面)を有しており、内壁面はキャビティCVに面している。本実施の形態においては、外壁面SF4は、枠上面SF1につながる焼成面SF4Aと、枠下面SF2につながる破断面SF4Bとを有している。破断面SF4Bは、枠上面SF1に対しておおよそ垂直な面(図11においてz方向に平行な面)であってよい。焼成面SF4Aは、図11に示されているように、枠上面SF1と破断面SF4Bとの間を面取りするベベル面であってよい。言い換えれば、焼成面SF4Aの法線方向は、枠上面SF1および破断面SF4Bの法線方向とは異なってよく、かつ、それらの間であってよい。
【0056】
前述したように、配線層403および中継電極220によって、基板部110の基板上面SF3上に電極層200が構成されている。また、前述したように基板部110がその一部として絶縁膜110i(図11)を有している。変形例として、絶縁膜110iはパッケージの設計によっては省略されてよい。また電極層200は、配線層403および中継電極220のいずれか一方のみによって構成されてよい。例えば、電極層200は、中継電極220が省略されつつ配線層403を有していてよく、その場合において、配線層403と絶縁膜110iとの境界位置(図11における配線層403の右端位置)が支持面部分SF3S上の中継電極220の端位置(図11における中継電極220の右端位置)へずらされてよく、中継電極220は省略されてよい。またキャビティCVに面している絶縁膜110iの端は、枠部120に達するように変形されてよく、その場合、電極層200は絶縁膜110iによってキャビティCVから隔てられてよい。また、電極層200は、典型的には図11に示されているように支持面部分SF3Sとキャビティ面部分SF3Cとにまたがっているが、変形例として、支持面部分SF3S上にのみ配置されていてよい。また電極層200は、図11に示されているように、枠部120の枠下面SF2の外縁EOから離れた端(図11における右端)を有していることが好ましい。言い換えれば、この端は外縁EOに達していないことが好ましい。これにより、電極層200をなす金属と、セラミックとの積層界面が外縁EOに達しない。その結果、セラミック同士の界面の気密性に比して低い気密性を有する金属とセラミックとの界面が外縁EOに達しない。よって、電極層200に起因しての気密性の低下を抑制することができる。
【0057】
パッケージ701は、ビア電極510を有している。ビア電極510は枠上面SF1と枠下面SF2との間で枠部120を貫通している。ビア電極510は、枠上面SF1で端面SFAを有しており、また枠下面SF2で底面SFBを有している。平面視において、端面SFAの中心位置と、底面SFBの中心位置とは、おおよそ同じであってよい。底面SFBは、電極層200に接しており、本実施の形態においては中継電極220に接している。前述したように、中継電極220は配線層403に接触しており、配線層403(図7)には基板ビア電極412および基板ビア電極414が接続されている。よって基板ビア電極412および基板ビア電極414は、ビア電極510に電気的に接続されている。さらに、ビア電極510の端面SFAは、メタライズ層600(図6)に接している。よってメタライズ層600は、基板ビア電極412および基板ビア電極414のそれぞれを介して、パッケージ電極パッド302およびパッケージ電極パッド304に電気的に接続されている(図8参照)。
【0058】
ビア電極510の端面SFAは直径DA(図10)を有している。直径DAは、最小寸法WDより小さく、50μm以下であってよい。ビア電極510の底面SFBは、直径DAよりも大きい直径DB(図10)を有している。言い換えれば、DA<DBが満たされている。直径DBに対する直径DAの割合は、30%以上70%以下であってよい。枠部120の厚みが20μm以上250μm以下の場合、上記割合が特に好適である。ビア電極510は、厚み方向(図11におけるz方向)における端面SFAと底面SFBとの中間位置(端面SFAの位置と底面SFBの位置との平均位置)において、(DA+DB)/2以下の直径を有していることが好ましい。テーパ率(直径DBに対する直径DAの百分率)は60%未満であってよい。
【0059】
平面視(図10)において底面SFBは、枠部120の枠下面SF2の内縁EIからの最小寸法LIと、枠部120の枠下面SF2の外縁EOからの最小寸法LOとを有している。LO>LIが満たされており、好ましくは、LO≧LI×1.5が満たされている。なお本実施の形態においては、LI>0である。
【0060】
図10に示された平面レイアウトにおいて、端面SFAおよび底面SFBの形状は、おおよそ円形形状であるが、これら形状は幾何学的に厳密な円形状から、製造誤差に起因して若干異なっていてもよい。その場合、直径DAおよび直径DBは、端面SFAおよび底面SFBを円形形状で近似することによって算出されてよい。また、後述される変形例のように円形形状に欠損部分が設けられている場合、欠損部分は無視して直径が決定されてよい。
【0061】
また図10に示された平面レイアウトにおいて、枠下面SF2(図11参照)の内縁EIは、第1直線部(図10におけるx方向に沿った直線部)と、第1直線部に対して直角方向に延びる第2直線部(図10におけるy方向に沿った直線部)と、これらを互いにつなぐ角部とを有している。最小寸法LIは、この角部への寸法であってよい。
【0062】
図12から図22は、複数のパッケージ701を一括して製造する製造方法を説明するための図である。なお、図12図21は、図21の状態を図22の状態へと変化させる焼成工程よりも前の状態を示している。よって、図12図21中の各構成は、完成されたパッケージ701中の構成とは異なり、未焼成の材料からなる。しかしながら説明の便宜上、焼成工程よりも前の工程を示す図12図21においても、焼成工程を経て得られたパッケージ701の構成を表す符号と同様の符号が付されている。また説明の便宜上、未焼成の材料からなる上記構成の称呼にも、焼成工程を経て得られたパッケージ701中の構成の称呼を用いることがある。
【0063】
図12は、上記製造方法における基板グリーン体GSの構成を概略的に示す部分平面図である。図13は、基板グリーン体GSにおける基板部110および基板ビア電極411~414を、パッケージ電極パッド301~304を破線で示しつつ、概略的に示す部分平面図である。図14は、図12および図13の線XIV-XIVに沿う概略的な部分断面図である。基板グリーン体GSは、複数の領域UN0~UN4を含み、その各々が最終的にパッケージ701(図6)の基板部110およびその近傍の構造となる。領域UN1~UN4は、いずれも領域UN0に隣り合うように配置されている。なお図12および図13においては、領域UN0についてのみ具体的な構成が示されているが、領域UN1~UN4も同様の構成を有していてよい。
【0064】
なお本明細書において、文言「グリーン体」は、後の工程において焼成されることになる未焼成の構成のことを意味する。グリーン体は、典型的には粉末成形体である。ハンドリングを容易とするために、グリーン体は、主成分に加えて、ガラス成分と有機成分とを、添加物として含んでよい。有機成分は、例えば、ポリビニルブチラールまたはアクリルを含んでいてよい。グリーン体の成形方法は任意であるが、例えばドクターブレード法により、グリーン体の少なくとも一部としてのグリーンシートが形成される。このグリーンシート上にさらなるグリーン体が付加されてもよく、この付加は、典型的には、当該グリーンシート上での印刷、または、他のグリーンシートの積層によって行われる。当該印刷は、典型的にはスクリーン印刷法によって行われる。焼成されることによってセラミック部100(図6)となるグリーン体の主成分は、例えばアルミナ粉末であってよい。焼成されることによってビア電極510および電極層200(図11参照)などの配線構造となるグリーン体の主成分は、例えば、タングステン(W)粉末、モリブデン(Mo)粉末、W粉末とMo粉末との混合粉末、または、W-Mo合金粉末であってよい。
【0065】
基板グリーン体GSを得るには、まず、基板部110となるグリーンシートが形成される。このグリーンシートに対して、パンチ加工によるビア孔の形成と、当該ビア孔中への電極ペーストの印刷とが行われることによって、基板ビア電極411~414となるグリーン体が形成される。電極ペースト中には、例えば、タングステンおよびモリブデンの少なくともいずれかの粉末が分散されている。続いて、このグリーンシートに対して電極ペーストの印刷が行われることによって、配線層401~403となるグリーン体が形成される。続いて、このグリーンシートに対してセラミックペーストの印刷が行われることによって、絶縁膜110iとなるグリーン体が形成される。続いて、このグリーンシートに対して電極ペーストの印刷が行われることによって、素子電極パッド211,212、および中継電極220となるグリーン体が形成される。また、上記のように基板ビア電極411~414となるグリーン体が形成された後の任意のタイミングで、このグリーンシートに対して電極ペーストの印刷が行われることによって、パッケージ電極パッド301~304となるグリーン体が形成される。
【0066】
図15図19は、枠部120(図11)およびその近傍の構造を構成するための枠部グリーン体GFに関連した工程を順に示す部分断面図である。図中、一点鎖線でブレイク面BRが示されており、これに沿って、後述するブレイク工程が行われることになる。
【0067】
図15を参照して、枠部グリーン体GFとして、まず、枠部120となる部分を含む単純なグリーンシートが形成される。この形成は、例えば、ドクターブレード法によって行われてよい。
【0068】
図16を参照して、枠部120にビア孔VHが、レーザー加工によって形成される。レーザー加工用のレーザー光は、枠下面SF2から枠上面SF1へと進行するように照射される。その結果、ビア孔VHは、枠下面SF2から枠上面SF1へ向かう方向にテーパ形状を有しやすい。枠下面SF2における孔径は枠上面SF1における孔径よりも大きい。
【0069】
さらに図17を参照して、枠部グリーン体GFのビア孔VH(図16)内に、ビア電極510(図17)が形成される。具体的には、ビア孔VH中へ電極ペーストがスクリーン印刷法によって充填される。この充填は、枠下面SF2から枠上面SF1へ行われることが好ましい。
【0070】
図18を参照して、メタライズ層600が形成される。具体的には、電極ペーストが塗布される。なお、図18においては枠上面SF1の全体に電極ペーストが塗布されているが、後述のキャビティCVの形成工程によって除去される領域にメタライズ層600を塗布する必要はない。よって当該領域の少なくとも一部には塗布がなされないようなスクリーン印刷法が適用されてよい。
【0071】
図19を参照して、キャビティCVがパンチ加工によって形成される。なお、キャビティCVが枠部グリーン体GFへ、より早いタイミング形成されてもよい。以上により、キャビティCVを囲む枠形状を有する枠部グリーン体GFが完成される。
【0072】
図20を参照して、基板グリーン体GS(図14)上に枠部グリーン体GF(図19)を積層することによってグリーンシート700Gが形成される。グリーンシート700Gは複数の領域701Gを含み、その各々が最終的にパッケージ701(図11参照)となる。
【0073】
図21を参照して、グリーンシート700Gの枠上面SF1にトレンチTR1(図13)が形成される。また、グリーンシート700Gの、枠上面SF1と反対の面に、トレンチTR2が形成される。トレンチTR1とトレンチTR2とは、厚み方向において対向するように配置される。トレンチTR1およびトレンチTR2は、例えば、刃先をグリーンシート700Gへ押し付けることによって形成される。その後、グリーンシート700Gを焼成する焼成工程が行われる。なお、焼成工程後に、必要に応じて、めっき工程も行われてよい。
【0074】
図22を参照して、上記焼成工程によって焼成シート700Fが形成される。焼成工程において、トレンチTR1の内面は、焼成雰囲気にさらされる。よって、焼成シート700FのトレンチTR1の内面は焼成面となる。当該焼成面が、パッケージ701の焼成面SF4A(図11)となる。焼成シート700Fへ応力を印加することによって、トレンチTR1からクラックを発生させるブレイク工程が行われる。ブレイク工程によって枠部120が破断されることによって破断面が形成される。当該破断面が、パッケージ701の破断面SF4B(図11)となる。ブレイク工程は、トレンチTR1とトレンチTR2との間でクラックを発生させる工程であってよい。ブレイク工程により、焼成シート700Fから複数のパッケージ701が切り出される。以上により、パッケージ701(図11)が得られる。
【0075】
上記ブレイク工程において、トレンチTR1からのクラックは、理想的には、図22における実線矢印に示されたように、厚み方向に沿って伸展する。しかし実際には、図22における破線矢印に示されたように、クラックがビア電極510へ、意図せず接近することがある。その結果、当該一方のビア電極510を有するパッケージ701において、枠部120の枠下面SF2の最小寸法LO(図10)が小さくなってしまうことがある。過小な最小寸法LOはパッケージ701のリークにつながりやすいので、最小寸法LOは、ある程度の余裕を有していることが望まれる。本実施の形態によれば、この余裕を確保しやすくなる。
【0076】
図23は、第1比較例のパッケージ791の構成を、図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。第1比較例のパッケージ791のビア電極510の形状は、前述した実施の形態1におけるパッケージ701(図11)のビア電極510の形状が上下反転された形状を有している。その結果、パッケージ791においては、実施の形態1とは異なり、端面SFAの直径が、底面SFBの直径よりも大きい。よって、パッケージ791(図23)を製造することを意図した工程において、キャビティCVとビア電極510とが互いに接近するような製造誤差が生じることに起因して、図24に示された第2比較例のパッケージ792が製造される確率が、無視できないものとなる。
【0077】
パッケージ792においては、ビア電極510の端面SFAがキャビティCVに達している。その結果、ビア電極510の端面SFA近傍でビア電極510の側面がキャビティCVへ露出されている。パッケージ792へ蓋980(図2参照)を接合する工程においては、ろう材960(図2参照)がキャビティCV中へ、矢印FL(図24)に示されているように流れ込みやすい。流れ込んだろう材と水晶ブランク890(図2参照)とが接触することによって、水晶振動子900(図2参照)の性能に悪影響が生じることがある。なお、ろう材960の流れ込みによる機械的特性への悪影響は、パッケージに実装される素子が水晶ブランク890の場合に特に懸念されるが、他の圧電素子の場合にも生じることがある。さらに、パッケージに実装される素子が電気的素子である限り、たとえば意図しない短絡のような、電気的特性への悪影響が懸念される。
【0078】
本実施の形態のパッケージ701(図10および図11)によれば、第1に、LO>LI(図10参照)が満たされるようにビア電極510の底面SFBが配置されていることから、ビア電極510の底面SFBと枠部120の枠下面SF2の外縁EOとの間で、セラミック間の積層界面が配置された箇所を、大きく確保することができる。ここで、セラミック間の積層界面は、金属とセラミックとの積層界面に比して、高い気密性を有する。よって、積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティCVの気密性の低下を抑制することができる。第2に、ビア電極510の端面SFAの直径DAがビア電極510の底面SFBの直径DBよりも小さいことから、ビア電極510の底面SFBがキャビティCVに達するほどビア電極510がキャビティCV近傍に位置しても、ビア電極510の端面SFAはキャビティCVから離れて位置することができる。これにより、ビア電極510の端面SFA近傍でビア電極510の側面がキャビティCVへ露出されることが避けられる。よって、ビア電極510に起因してのキャビティCV中へのろう材960の流れ込みを防止することができる。以上から、キャビティCVの十分な気密性を確保しつつ、キャビティCV中へのろう材960の流れ込みを防止することができる。
【0079】
ビア電極510の直径DA(図10)は50μm以下であってよい。これにより、枠部120の最小寸法WD(図10)も微細化することができ、例えば200μm以下とされる。この微細化が進むほど基板部110と枠部120との間の積層界面に沿ったリークが問題となりやすいところ、当該問題が、上述した理由によって効果的に抑制される。
【0080】
図10を参照して、LO≧LI×1.5が満たされている場合、基板部110と枠部120との間の積層界面(図11参照)に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を、より十分に抑制することができる。
【0081】
ビア電極510は、厚み方向(図11におけるz方向)における端面SFAと底面SFBとの中間位置において、図10を参照して、(DA+DB)/2以下の直径を有していてよい。これにより、ビア電極510の当該中間位置と、枠部120の外壁面SF4との間の距離を十分に確保することができる。よって、ビア電極510と枠部120との間の気密信頼性を高めることができる。例えば図22における破線矢印に示されたように、クラックがビア電極510へ、意図せず接近することがあっても、クラックがビア電極510へ達することを防止できる。
【0082】
ビア電極510は、厚み方向(図11におけるz方向)において、端面SFAから逆テーパ形状で延びる部分を有している。これにより、ビア電極510の端面SFAと、キャビティCVとの間の距離を確保しやすくなる。よって、ビア電極510に起因してのキャビティCV中へのろう材960の流れ込みをより十分に防止することができる。特に本実施の形態においては、ビア電極510の全体が逆テーパ形状で延びているので、この効果がより十分に得られる。
【0083】
枠部120の外壁面SF4(図11)は、枠上面SF1につながる焼成面SF4Aと、枠下面SF2につながる破断面SF4Bとを有している。破断面SF4Bはブレイク工程によって形成されるところ、その工程ばらつきの影響によって、最小寸法LO(図10)が小さくなることがある。しかしながら、前述したようにLO>LIが満たされていることによって、最小寸法LOが過小にはなりにくくなる。よって、最小寸法LOが過小なことに起因しての気密性の不足を防止することができる。
【0084】
LI>0が満たされている場合(図10)、ビア電極510の底面SFB近傍においても、ビア電極510の側面がキャビティCVへ露出されることが避けられる。よって、キャビティCV中へのろう材960の流れ込みを、より確実に防止することができる。ただしLI>0は、必ずしも満たされる必要はない。LI=0に対応する変形例について、以下に説明する。
【0085】
図25は、本実施の形態1の変形例におけるパッケージ710の構成を、図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。図26は、パッケージ710の構成を、図10と同様の視野で概略的に示す部分平面図である。図27は、図26に示されたビア電極510の底面SFBの構成を説明する平面図である。図11(実施の形態1)を参照して、本変形例においては、LI>0は満たされていない。
【0086】
ビア電極510は枠下面SF2(図25)で、外周PR(図27)を有している。外周PRは、直径DBの円形状に沿った円弧部分PRaと、枠下面SF2の内縁EIの一部EIcに沿った欠損部分PRbと、からなる。欠損部分PRbは、上記円形状を欠損させるように位置している。なお本変形例においては、枠部120の内縁EIは、欠損部分PRbに沿った一部EIcを含むものとみなす。本変形例においては、ビア電極510の底面SFBが枠部120の内縁EIの一部EIcに接しているので、図11において定義されている最小寸法LIはゼロである。
【0087】
本変形例によれば、ビア電極510の外周PRが、枠部120の枠下面SF2の内縁EIの一部EIcに沿った欠損部分を有している。これにより、ビア電極510をキャビティCVへ近づけて配置しやすくなる。よって、基板部110と枠部120との間の積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を、より十分に抑制することができる。
【0088】
ビア電極510の外周PRの欠損部分PRb(図27)は、ビア電極510の底面SFBの内方へ凸形状を有していてよい。その場合、ビア電極510をキャビティCVの角に配置することができる。よって、最小寸法LO(図10参照)を大きく確保しやすくなる。よって、基板部110と枠部120との間の積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を、より十分に抑制することができる。なおこの場合の典型例としては、枠部120の内縁EIが略矩形状を有しており、矩形形状の各角部に沿って内縁EIの一部EIcが延びている。各角部は、図10に示された例においては、円弧状に面取りされており、よって内縁EIの一部EIcも円弧状に延びている。
【0089】
図28は、ビア電極510(図11)の構成の詳細を説明するための図である。ビア電極510は、厚み方向(図28におけるz方向)の全体において端面SFAから底面SFBまで逆テーパ形状を有している。この逆テーパは、厚み方向(図中、z方向)を基準として、5度以上のテーパ角TPを有していることが好ましい。これにより、ビア電極510の端面SFAと、キャビティCVとの間の距離を確保しやすくなる。よって、ビア電極510に起因してのキャビティCV中へのろう材960の流れ込みをより十分に防止することができる。なお本実施の形態においては、ビア電極510が、上述したように厚み方向の全体において逆テーパ形状を有しているところ、これとは異なる形態について、以下の実施の形態2および3において説明する。
【0090】
<実施の形態2>
図29は、本実施の形態2におけるパッケージ702が有するビア電極520の構成の詳細を説明するための図である。厚み方向に平行な断面視(図29)において、ビア電極520は、端面SFAと底面SFBとをつなぐ側面を有している。点KAおよび点KBのそれぞれは、厚み方向における端面SFAおよび底面SFBの位置での当該側面の位置を示す。点KVは、厚み方向における点KAと点KBとの間での当該側面の位置を示す。点KWは、厚み方向における点KVと点KBとの間での当該側面の位置を示す。上記側面は、少なくとも1つの屈曲点を有していてよく、本実施の形態においては、逆方向に曲がる2つの屈曲点として点KVおよび点KWを有している。ビア電極520は、点KAから点KVまでの側面を有する部分521と、点KVから点KWまでの側面を有する部分522と、点KWから点KBまでの側面を有する部分523とを有している。部分521は、厚み方向において端面SFAから逆テーパ形状で延びており、この逆テーパ形状のテーパ角TPは5度以上であることが好ましい。部分522は、部分521に比して緩やかな逆テーパ形状、または円筒状形状を有している。部分523は、部分522に比して急激な逆テーパ形状を有している。
【0091】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1またはその変形例の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0092】
本実施の形態2によれば、ビア電極520の側面は、屈曲点(具体的には、点KVおよび点KW)を有している。これにより、パッケージ702の製造における焼結収縮に起因してのビア電極520の側面と枠部120との間のはがれを抑制することができる。屈曲点としての点KVおよび点KWが逆方向に曲がっていることにより、この効果が、より十分なものとされる。
【0093】
なおビア電極520は、端面SFAから底面SFBへ向かって逆テーパ形状で延びる部分を、枠部120の厚みの1/2よりも大きい厚みにわたって有していることが好ましい。これにより、ビア電極520の端面SFAとキャビティCV(図11参照)との間の距離を確保しやすくなる。よって、ビア電極520に起因してのキャビティCV中へのろう材の流れ込みをより十分に防止することができる。
【0094】
<実施の形態3>
図30は、本実施の形態3におけるパッケージ703が有するビア電極530の構成の詳細を説明するための図である。ビア電極530は、点KAから点KVまでの側面を有する部分531と、点KVから点KWまでの側面を有する部分532と、点KWから点KBまでの側面を有する部分533とを有している。部分531は、厚み方向において端面SFAから逆テーパで延びており、この逆テーパ形状のテーパ角TPは5度以上であることが好ましい。部分532は、端面SFAから底面SFBへ向かう方向において、逆テーパ形状ではなくテーパ形状を有している。言い換えれば、部分532は、端面SFAから底面SFBへ向かう方向において、テーパ形状を有している。部分533は、端面SFAから底面SFBへ向かう方向において逆テーパ形状を有している。
【0095】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施の形態によれば、焼結収縮に起因してのビア電極520の側面と枠部120との間のはがれを抑制する効果が、実施の形態2に比して、より高められる。
【0096】
なおビア電極530は、端面SFAから底面SFBへ向かって逆テーパ形状で延びる部分、具体的には部分531および部分533、を、枠部120の厚みの1/2よりも大きい厚みにわたって有していることが好ましい。これにより、ビア電極530の端面SFAとキャビティCV(図11参照)との間の距離を確保しやすくなる。よって、ビア電極530に起因してのキャビティCV中へのろう材の流れ込みをより十分に防止することができる。
【0097】
<実施の形態4>
図31は、本実施の形態4におけるパッケージ720の構成を、実施の形態1の図10と同様の視野で概略的に示す部分平面図である。図32は、図31の線XXXII-XXXIIに沿う概略的な部分断面図である。図33は、パッケージ720の構成を、実施の形態1の図7と同様の視野で概略的に示す部分平面図である。
【0098】
パッケージ720においては、電極層200は、ビア電極510の底面SFBに接する部分で局所的に厚くなっている。これは、図34を参照しつつ後述する理由により、電極層200が、ビア電極510の底面SFBに接する隆起部222を有していることに起因している。またこれに起因して、枠部120の枠下面SF2は、ビア電極510の底面SFBに直接つながれた傾斜領域SF2d(第1領域)と、ビア電極510の底面SFBに傾斜領域SF2dを介してつながれた平行領域SF2f(第2領域)と、を有している。第2領域SF2fは厚み方向に垂直である。傾斜領域SF2dは、平行領域SF2fに対して、ビア電極510の底面SFBに近いほど枠部120の厚みが小さくなるように傾斜している。この傾斜の角度は、例えば、4°以上、20°以下である。
【0099】
平面視(図31)において、枠部120の枠下面SF2の外縁EOから隆起部222は離れている。また、平面視において外縁EOからの隆起部222の最小寸法(言い換えれば最小距離)は、好ましくは最小寸法LI(図10)より大きく、より好ましくはLI×1.5以上である。
【0100】
なお、図31および図32に例示された構成においては、平面視において、傾斜領域SF2dはビア電極510の底面SFBを完全に囲んでおり、また平行領域SF2fはこの傾斜領域SF2dを完全に囲んでいる。しかしながら変形例として、平行領域SF2fは傾斜領域SF2dを完全に囲んでいる必要はない。さらなる変形例として、さらに傾斜領域SF2dもビア電極510の底面SFBを完全に囲んでいる必要はない。これら変形例は、例えば、図25および図26(実施の形態1の変形例)に示されているようにビア電極510がキャビティCVの近く配置されている構成に隆起部222が適用された場合に相当する。
【0101】
また、図32においては、隆起部222が、基板部110(具体的には基板部110の一部としての絶縁膜110i)から中継電極220によって完全に分離されている。変形例として、隆起部222は基板部110(具体的には基板部110の一部としての絶縁膜110i)に接していてよい。
【0102】
傾斜領域SF2d(図32)が前述したように傾斜していることにより、ビア電極510の構成をおおよそ維持したままで、ビア電極510の側面と枠下面SF2とがなす鈍角SH(図32)を、より大きくすることができる。よって、主に金属からなるビア電極510と、セラミックからなる枠部120と、の間での熱膨張の差異に起因した熱応力を緩和することができる。よって、熱応力に起因しての、クラック、または、ビア電極510と枠部120との間での剥がれを防止することができる。
【0103】
図34は、パッケージ720の製造方法の、実施の形態1の図17に対応する工程を、概略的に示す部分断面図である。この工程において、枠部グリーン体GFのビア孔VH(図16)内に、ビア電極510(図34)が形成される。具体的には、ビア孔VH中へ電極ペーストが、スクリーン印刷法によって充填され、そして乾燥される。この充填は、枠下面SF2から枠上面SF1へ電極ペーストを流し込むことによって行われることが好ましい。ビア孔VH(図16)内のほぼ全体に電極ビア510が確実に形成されるように若干の余裕量をもって電極ペーストが供給され、そしてそれが乾燥されると、図34に示されているように、枠下面SF2上においてビア孔VHから隆起するように、電極ペーストの隆起部222pが形成される。この隆起部222pが、積層工程(図19から図20への工程を参照)において基板グリーン体GSによってビア孔VHの方へ押し付けられることに起因して、パッケージ720に隆起部222(図32)が付与される。
【0104】
なお上記以外の構成については、上述した実施の形態1~3のいずれかまたはその変形例の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【符号の説明】
【0105】
120 :枠部
200 :電極層
222 :隆起部
510,520,530:ビア電極
600 :メタライズ層
701,710,720:パッケージ
900 :水晶振動子(電気的部品)
960 :ろう材
980 :蓋
CV :キャビティ
EI :内縁
EO :外縁
SF1 :枠上面(第1面)
SF2 :枠下面(第2面)
SF2d :第1領域
SF2f :第2領域
SF4A :焼成面
SF4B :破断面
SFA :端面
SFB :底面
図1
図2
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