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特許7562824フッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有するコーティング、ならびにコーティングを調製および使用する方法
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  • 特許-フッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有するコーティング、ならびにコーティングを調製および使用する方法 図1
  • 特許-フッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有するコーティング、ならびにコーティングを調製および使用する方法 図2A
  • 特許-フッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有するコーティング、ならびにコーティングを調製および使用する方法 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】フッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有するコーティング、ならびにコーティングを調製および使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/40 20060101AFI20240930BHJP
   C23C 14/00 20060101ALI20240930BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
C23C16/40
C23C14/00 B
C23C16/44 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023501104
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021040927
(87)【国際公開番号】W WO2022011165
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】63/050,063
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォルドフリード, カルロ
(72)【発明者】
【氏名】ロンゴ, スティーブン
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190985(JP,A)
【文献】特開2018-082201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0382880(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
C23C 14/00-14/58
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
基板の表面上のコーティングと
む、被覆基板であって
ーティングが、
酸化イットリウム、
フッ化酸化イットリウム、および
酸化ジルコニウム
み、
フッ化酸化イットリウムが、オキシフッ化イットリウム(YOF)、フッ化イットリウム(YF )、およびそれらの組み合わせから選択され、
コーティングが、フッ化イットリウム、酸化イットリウム、およびオキシフッ化イットリウムの総量に基づいて少なくとも80パーセント(原子)かつ100パーセント(原子)未満のフッ化イットリウムを含有する、被覆基板。
【請求項2】
コーティングが、少なくとも1つのフッ化イットリウム層および少なくとも1つの酸化ジルコニウム層を含む複数の層を含む、請求項に記載の被覆基板。
【請求項3】
コーティングが、合計3~10個のフッ化イットリウム層および酸化ジルコニウム層を含む、請求項に記載の被覆基板。
【請求項4】
各層が2~50ナノメートルの範囲の厚さを有する、請求項に記載の被覆基板。
【請求項5】
コーティングが、合計5~1000個のフッ化イットリウム層および酸化ジルコニウム層を含む、請求項に記載の被覆基板。
【請求項6】
各層が0.1~10ナノメートルの範囲の厚さを有する、請求項に記載の被覆基板。
【請求項7】
フッ化酸化イットリウムおよび酸化ジルコニウムを含有するコーティングを調製する方法であって、
原子層堆積によって、酸化イットリウムおよび酸化ジルコニウムを含むコーティングを表面上に堆積させることと、
コーティングを分子フッ素源蒸気および高温に曝露して、コーティングの酸化イットリウムをフッ化酸化イットリウムに変換することと
を含み、
ッ化酸化イットリウムが、オキシフッ化イットリウム(YOF)、フッ化イットリウム(YF )、およびそれらの組み合わせから選択され、
得られたコーティングが、フッ化イットリウム、酸化イットリウム、およびオキシフッ化イットリウムの総量に基づいて少なくとも80パーセント(原子)かつ100パーセント(原子)未満のフッ化イットリウムを含有する、方法。
【請求項8】
高温が少なくとも300℃の温度である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、保護コーティングを含む、フッ化酸化イットリウム(例えば、フッ化イットリウム、オキシフッ化イットリウム、またはそれらの組み合わせ)と(限定されないが)酸化ジルコニウムなどの金属酸化物との組み合わせを含有するコーティング;これらのコーティングを調製する方法;フッ化酸化イットリウムと金属酸化物との組み合わせを含有するコーティングを含む基板、表面、機器、および機器の構成要素;ならびに基板を調製および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体およびマイクロ電子デバイスの製造方法は、プラズマ、酸、加速イオン、エッチング剤(例えば、ハロゲンおよびハロゲン化材料)、腐食性材料、洗浄剤などの高反応性プロセス材料を含む様々な処理工程を必要とする。
【0003】
例示的なプロセスとしては、イオン注入プロセス(例えば、「ドーピング」プロセス)、プラズマまたはハロゲン材料が使用され得るエッチングプロセス、洗浄プロセス、堆積工程などが挙げられ、その各々は、「プロセスチャンバ」内の反応性、腐食性、または高エネルギープロセス材料の使用を含み得る。これらのタイプのプロセスの各々は、ワークピース(例えば、「基板」)およびプロセス材料を収容するプロセスチャンバの内部で実行される。プロセスチャンバはまた、プロセスチャンバおよびプロセスチャンバの内部のアイテムまたはチャンバに関連するアイテムを画定し、動作に必要とされる様々な構造および構成要素(本明細書では「プロセスチャンバ構成要素」または「プロセスツール構成要素」と短く呼ばれることもある)を含む。これらのプロセスチャンバ構成要素は、チャンバ壁、流導管(例えば、フローライン、フローヘッド、パイプ配管、チューブ配管など)、ファスナ、トレイ、支持体、ならびにワークピースを支持するため、または反応性プロセス材料をプロセスチャンバ内で使用するために送達、収容、もしくは接触させるために使用される他の構造およびデバイスを含み得る。
【0004】
プロセスチャンバの一部として使用するために、プロセスツール構成要素は、プロセスチャンバ内で使用される反応性プロセス材料に対して耐性があるべきである。プロセスチャンバ構成要素は、特に実行されているプロセスに組み込まれ、処理されているワークピースを汚染する可能性があるデブリまたは微粒子を生成するような様式で、プロセス材料との接触によって劣化または損傷するべきではない。
【0005】
半導体およびマイクロ電子デバイスを製造するための半導体処理機器に使用されるプロセスチャンバ構成要素は、金属(例えば、ステンレス鋼、場合により陽極酸化されていてもよいアルミニウム合金、タングステン)、鉱物、またはセラミック材料などの固体材料(「基板」または「ベース」)で作製されることが多い。基板は、通常、基板材料よりも反応性プロセス材料に対して耐性がある保護層でコーティングされる。従来、このような保護コーティングは、典型的には、様々な有用な方法によって、典型的には陽極酸化(例えば、陽極酸化アルミニウムを製造するために)、スプレーコーティング、または堆積法、例えば、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、またはそれらのうちの1つの変形形態もしくは誘導形態のプロセスによって、基板表面に配置されてきた。
【発明の概要】
【0006】
本明細書は、フッ化酸化イットリウム(例えば、フッ化イットリウム、オキシフッ化イットリウム、またはその両方)と金属酸化物との両方を組み合わせて含有するように調製することができる堆積コーティングに関する。コーティングは、保護コーティングとして、特に半導体またはマイクロ電子デバイスを処理する方法で使用される反応性化学物質(プロセス材料)に対して化学的に耐性がある保護コーティングとして使用することができる。本明細書で使用される場合、「フッ化酸化イットリウム」という用語は、フッ素化の工程に供された酸化イットリウムを指す。この用語は、フッ化イットリウム(YF)およびオキシフッ化イットリウム(YOF)として知られている化合物を含む。「フッ化酸化イットリウム」という用語は、化学分野において、式YOFを有する化合物オキシフッ化イットリウムを指すために使用されることがある。しかし、本明細書の目的のために、「オキシフッ化イットリウム」という用語は化合物YOFを指し、「フッ化酸化イットリウム」は酸化イットリウムをフッ素化することによって誘導される化合物を指し、フッ化イットリウム(YF)およびオキシフッ化イットリウム(YOF)の両方を含む。
【0007】
また、本明細書によれば、コーティングは、原子層堆積技術を使用して非フッ化酸化イットリウム前駆体コーティングを表面上に配置し、続いてフルオロアニーリング(fluoro-annealing)工程によって前駆体をフッ素化してフッ化酸化イットリウムを製造する工程を行う方法によって調製することができる。前駆体コーティングは、酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有する。フルオロアニーリング工程は、酸化イットリウムのかなりの部分をフッ化酸化イットリウム、すなわちフッ化イットリウム、オキシフッ化イットリウム、またはこれらの組み合わせに変換して、金属酸化物(フッ素化されていない)とフッ化酸化イットリウムとの組み合わせを含有する得られたコーティング、すなわち「フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティング」を形成する。
【0008】
記載のフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを原子層堆積によって形成する方法は、大量のフッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有するコーティングを製造するのに特に有効であると特定されている。記載の方法は、酸化イットリウムを堆積する他の技術(例えば、化学蒸着、物理蒸着、またはこれらの変形)を含む代替堆積方法に続いてフルオロアニーリング工程を行う方法と比較して、高濃度のフッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有し、好ましい金属酸化物として酸化ジルコニウムを含むコーティングを形成するのに特に有効であることが示されている。本明細書の方法はまた、非イットリウム金属酸化物が酸化ジルコニウムである場合にも特に有効であり、これは、酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの表面下の酸化イットリウムのフッ素化を可能にするのに特に有効であると特定されている。
【0009】
記載のコーティングは、単一原子層堆積コーティング中のフッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物材料の特性および効果の有用な組み合わせを示すことができる。フッ化酸化イットリウムは、フッ化イットリウムおよびオキシフッ化イットリウムの両方が高レベルのフッ素を含有し、フッ素を含有する反応性プロセス材料に対して高レベルの化学的不活性を提供するので、保護コーティング材料として有効である。フッ化イットリウムおよびオキシフッ化イットリウムは、必ずしも他の反応性プロセス材料に対して同じ高レベルの耐化学性を示すとは限らない。多くの場合、反応性プロセス材料は、フッ素と別の反応性化学物質との組み合わせなど、2つ以上の異なる反応性化学物質の組み合わせを含み得る。例えばフッ素と組み合わせて使用され得る他のプロセス材料に対する耐性を改善するために、非イットリウム金属酸化物がコーティングに含まれてもよい。そのような金属酸化物の一例は酸化ジルコニウムであるが、他の金属酸化物もまた、フッ化酸化イットリウムと相補的な耐化学性を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】記載のコーティングされた基板の例を示す。
図2A】様々なタイプの多層コーティングを有する、記載のコーティングされた基板の例を示す。
図2B】様々なタイプの多層コーティングを有する、記載のコーティングされた基板の別の例を示す。
図2C】様々なタイプの多層コーティングを有する、記載のコーティングされた基板のさらに別の例を示す。
図3】本明細書の方法の工程の例を示す。
図4】記載のコーティングの組成のデータの表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
すべての図面は概略図であり、縮尺通りではない。
【0012】
以下の説明は、フッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物(酸化イットリウムとは異なる)の両方を組み合わせて含有する堆積コーティング、例えば「膜」(便宜上、本明細書では「フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティング」または「フッ化酸化イットリウム-金属酸化物膜」と呼ばれることもある)に関する。「フッ化酸化イットリウム」は、酸化イットリウム、オキシフッ化イットリウム、およびこれらの組み合わせを指す。
【0013】
本明細書はまた、基板上の保護コーティングとして使用されるフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティング、ならびにフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを含む基板、プロセス機器、およびプロセス機器の構成要素に関する。例示的な使用では、フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングは、半導体またはマイクロ電子デバイスを処理する方法で使用される反応性化学物質(プロセス材料)に対して化学的に耐性がある保護コーティングとして働くことができる。
【0014】
本明細書はまた、フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを調製するための方法に関する。コーティングは、原子層堆積技術を使用して非フッ化酸化イットリウム前駆体コーティングを表面上に配置し、続いてフルオロアニーリング工程によって前駆体をフッ素化する工程を行う方法によって調製することができる。前駆体コーティングは、酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有し、フルオロアニーリング工程は、酸化イットリウムのかなりの部分をフッ化酸化イットリウムに変換し、得られたフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを形成する。
【0015】
フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを含む基板の表面は、場合により、高度に三次元の表面、例えば、高アスペクト比を示す少なくとも1つの構造を有する表面であってもよい。表面は、半導体またはマイクロ電子デバイス処理などの化学処理または製造装置の構成要素として使用されるものであってもよい。
【0016】
記載されたコーティングは、反応性プロセス材料、特に(それだけに限らないが)半導体およびマイクロ電子処理方法で使用されるエッチング技術に使用されるプロセス材料、ならびに半導体およびマイクロ電子処理方法で使用される装置(「ツール」)のプロセスチャンバを洗浄するための方法および工程で使用されるプロセス材料に耐性がある。これらの方法で使用される具体的な反応性プロセス材料としては、ハロゲンおよびハロゲン含有材料、例えばフッ素、塩素、フッ素または塩素含有材料、ならびに混合ハロゲン(すなわち、2つ以上の異なるハロゲンの組み合わせ)、例えばフッ素と塩素との組み合わせが挙げられる。反応性プロセス材料は、液体または蒸気(プラズマを含む)の形態であってもよい。
【0017】
本明細書によれば、フッ化酸化イットリウムと酸化イットリウム以外の金属酸化物との組み合わせを含有するコーティングは、フッ化酸化イットリウムと別の金属酸化物との両方の組み合わせを含有するコーティングのために、保護的な耐化学性(不活性)コーティングとして有用または特に有効であると特定されている(例えば、有利に予想されている)。(本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングまたはその前駆体もしくは誘導体の一部としての「金属酸化物」という用語は、非イットリウム金属酸化物を指す。)
【0018】
これらのコーティングは、単一原子層堆積コーティング中のフッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物材料の特性および効果の有用な組み合わせを提供することができる。フッ化酸化イットリウムは、高レベルのフッ素を含有し、フッ素を含有する反応性プロセス材料に対して高レベルの化学的不活性を提供するので、フッ化酸化イットリウムは、保護コーティング材料として有効である。しかし、フッ化酸化イットリウムは、塩素を含有する反応性プロセス材料などの他の反応性プロセス材料に対して必ずしも同じ高レベルの耐化学性を示すとは限らない。塩素を含有する反応性プロセス材料に対する耐性を改善するために、酸化ジルコニウムなどの非イットリウム金属酸化物がコーティングに含まれる。酸化ジルコニウムは、塩素を含有する反応性プロセス材料に対する耐化学性を改善し、フッ化酸化イットリウムおよび酸化ジルコニウムの両方を含有するコーティングは、フッ素含有および塩素含有プロセス材料の両方に対して有用または有利な耐化学性を示すコーティングとして有効である。
【0019】
記載のコーティングは、望ましくは保護的な(例えば、化学的に不活性、非反応性の)コーティングを含み得る任意の表面または基板に含まれ得る。コーティングは、「コーティングされた物品」(コーティングされたプロセスツール構成要素など)を形成するために基板上に形成されてもよく、コーティングは、固体連続形態で、またはパターン化形態で交互に、基板の表面に塗布される。コーティングされた物品の例としては、半導体材料、マイクロ電子デバイスなどを調製するために使用されるプロセスチャンバの様々な構成要素(「プロセスツール構成要素」)のいずれかなどのアイテムが挙げられる。ハロゲン化物などのプロセス材料に耐性があるため、コーティングは、これらおよび他のプロセス材料を含有するプロセスチャンバのプロセスツール構成要素の表面に使用することができ、表面に生じる劣化および粒子またはデブリの形成が低減される。
【0020】
記載の原子層堆積コーティングとしては、酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有する「前駆体」コーティング、ならびにフッ化酸化イットリウムおよび金属酸化物を含有するフッ素化コーティングが挙げられる。便宜上、これらの2つのタイプのコーティングは、「イットリウム-金属酸化物」コーティングと総称されることがある。コーティングは、酸化イットリウムと金属酸化物との組み合わせ(前駆体コーティングとして)、またはフッ化酸化イットリウムと金属酸化物との組み合わせ(フルオロアニーリング工程後)を含み、2つの材料は、前駆体を製造するための原子層堆積技術、後続のフッ化酸化イットリウムを製造するためのフルオロアニーリング工程による一連の工程で塗布される。
【0021】
コーティングは、複数の堆積工程によって材料を塗布する原子層堆積技術によって調製されるため、コーティングは「多層」コーティングと呼ばれることがある。各個々の堆積工程中に塗布される堆積材料の量に応じて、得られたコーティングは、拡大技術を使用して検出可能な層状構造を示し得る。各堆積工程中に十分な量の材料が塗布されると、各塗布量の材料は、別々の材料層として(拡大を使用して)識別され得る。
【0022】
他の例(一連の原子層堆積工程によって調製されるために依然として「多層」コーティングと考えられる)では、各個々の堆積工程で堆積する材料の量は、得られたコーティング構造に別個の(検出可能な)層を形成するのに十分な量より少ない。例えば、コーティングは、材料が堆積される表面の粗さよりも小さい厚さで(記載のような)別々の量の材料を堆積する原子層堆積工程によって堆積してもよい。連続して堆積した場合、異なる堆積材料の堆積された量は、別個の「層」を形成することができないが、代わりに、個別の層を形成することなく異なる堆積材料から作製された「複合体」材料を形成し、例えば、1~5原子厚の厚さを有する単層さえ形成しない。これらの方法により、得られたコーティングは別個の層を示さないが、金属酸化物および酸化イットリウム(前駆体コーティングとして)または金属酸化物とフッ化酸化イットリウムとの組み合わせ(フルオロアニーリング工程後)を含む少なくとも2つの化学的に別個の材料を含有する。
【0023】
したがって、本明細書で使用される場合、「多層」という用語は、複数の識別可能な層(例えば、光学的または電子的拡大技術を使用して)を有する原子層堆積コーティングを指し、また、複数の識別可能な「層」をもたらさないが、記載のような「複合体」構造を製造する厚さで一連の堆積工程によって堆積する材料を含む原子層堆積コーティングを指す。
【0024】
一般に、非限定的な例として、イットリウム-金属酸化物コーティングの堆積された単一の「層」の厚さは、層として識別可能であろうとなかろうと、1ナノメートル未満~数ナノメートルから、例えば、約0.1、0.5、1、2、5または10ナノメートルから、数十または数百ナノメートルまで、例えば、50、100、500、600、800または900ナノメートル(0.9ミクロン)まで、またはそれ以上までの範囲であり得る。多層(複合体を含む)イットリウム-金属酸化物コーティングの総厚は、1、5または10ナノメートルから、100、500または1000ナノメートル(1ミクロン)までの範囲であり得る。
【0025】
特定の例示的な多層コーティングは、2つ以上、例えば2、3、5または最大10、20、30、50、100、500または1000の別々の(拡大により)識別可能な層で作製されたコーティングを含み、異なる層は、金属酸化物(酸化イットリウム以外)と、酸化イットリウム(前駆体として)であるイットリウム含有層またはフッ化酸化イットリウム含有材料(異なるフッ化酸化イットリウム材料の組み合わせを含む)(フルオロアニーリング工程後)とを含む材料で作製される。異なる層はそれぞれ、金属酸化物(酸化イットリウム以外)、または酸化イットリウム(前駆体として)もしくはフッ化酸化イットリウム(フルオロアニーリング工程後)であるイットリウム含有層である1つの材料で作製されてもよい。
【0026】
場合により、フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングまたはその前駆体はまた、第2のタイプの金属酸化物などの1つ以上の追加の材料の層を含んでもよい。各層は、コーティングの領域にわたって連続することができ、判別可能な(測定可能、識別可能な)厚さを示すことができ、全体的または実質的に、比較的高レベルの純度を有する単一の材料(金属酸化物、酸化イットリウム、オキシフッ化イットリウム、フッ化イットリウムなど)、例えば、本明細書に記載の少なくとも90、95、98または99重量%の単一の金属酸化物またはイットリウム含有材料で作製することができる。(ただし、フッ化イットリウムを含有する層は、未変換の酸化イットリウムまたはフッ化酸化イットリウムの量と組み合わせてフッ化イットリウムを含有し得ることに留意されたい)。
【0027】
コーティングの個々の層の厚さは、同じであってもよく、ほぼ同じであってもよく、または異なっていてもよい。例示的なコーティングは、同じ厚さを示す個々の堆積層、例えば2つの繰り返し層A(例えば、フッ化酸化イットリウムまたは酸化イットリウム)およびB(酸化ジルコニウムなどの非酸化イットリウム金属酸化物)を含むことができ、他の層を含まず、2つの異なる材料の各々は、同じ厚さの層に形成され、例えば、各層は、1ナノメートル(A=1ナノメートル、B=1ナノメートル)×N回の繰り返しの厚さを有し(Nは1~50または5~100または10~500であってもよい)、合計2~100層または10~200層または20~1000層であってもよい。
【0028】
異なる例示的なコーティングは、2つの異なる材料の堆積層を含むことができ、異なる材料の層は異なる厚さを有するが、同じ材料の層は同じ厚さを有する。例示的なコーティングは、2つの繰り返し層A(例えば、フッ化酸化イットリウムまたは酸化イットリウム)およびB(酸化ジルコニウムなどの非酸化イットリウム金属酸化物)を含むことができる。A層の各々は、すべて同じ厚さを有してもよく、1ナノメートル~50ナノメートルの範囲であってもよい。B層の各々は、すべて同じ厚さを有してもよいが、その厚さは、A層の厚さと異なっていてもよい。B層の厚さは、0.1、0.5または1~50ナノメートルの範囲であってもよい。コーティングは、各材料の合計N個の層、例えば(A=5ナノメートル、B=10~50ナノメートル、例えば40ナノメートル)×N回の繰り返しを有してもよく、Nは、1または2または5から10、20、30、100、200などまでであってもよく、例えば、最大1000ナノメートルの総厚を生成してもよい。
【0029】
さらに別の例として、多層コーティングは、第1の厚さの層A(例えば、フッ化酸化イットリウムまたは酸化イットリウム)の第1の(単一の)層と、AおよびB(酸化ジルコニウムなどの非酸化イットリウム金属酸化物)の複数の(N個の)繰り返し層とを含み、他の層を含まなくてもよい。第1の層(A1)は、記載のように任意の厚さとすることができる。複数の繰り返し層(A2)およびBはまた、A2とは異なる厚さを有するA1、例えばA1がA2よりも厚いなど、任意の有用な厚さを有することができる。
【0030】
もう1つの例として、多層コーティングは、複数の、場合により繰り返しの、A層およびB層の対(Aはフッ化酸化イットリウムまたは酸化イットリウムであり、Bは酸化ジルコニウムなどの非酸化イットリウム金属酸化物である)を含んでもよい。コーティングは、第1の対のA層およびB層、A1/B1を含むことができ、これらは繰り返されてもよく、A1およびB1はそれぞれ第1の厚さを有する。コーティングは、第2の対のA層およびB層、A2/B2を含むことができ、これらは繰り返されてもよく、A2およびB2はそれぞれ第2の厚さを有する。コーティングは、第3の対のA層およびB層、A3/B3を含むことができ、これらは繰り返されてもよく、A3およびB3はそれぞれ第3の厚さを有する。
【0031】
図1を参照すると、本発明のプロセスチャンバ構成要素100(または別のタイプのコーティングされたデバイス、コーティングされた物品、コーティングされた基板など)の例が示され、該プロセスチャンバ構成要素100は、固体本体(例えば、基板)102およびコーティング104から構成され、該コーティング104は、層A(例えば、フッ化酸化イットリウムまたは酸化イットリウム)および層B(酸化ジルコニウムなどの非酸化イットリウム金属酸化物)のそれぞれ少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、コーティング104は、本明細書に記載のように、複数の交互のAおよびB層を含むことができる。コーティング104は、層Aおよび層Bの交互の層からなるか、または本質的になることができる。あるいは、コーティング104は、コーティング104の一部として任意選択の追加の層または材料を含む、1つ以上の層Aおよび1つ以上の層Bを含む複数の層を含むことができる。プロセスチャンバ構成要素100は、コーティング104および固体本体102からなるか、または本質的になることができ、あるいはプロセスチャンバ構成要素100の一部として1つ以上の任意選択の材料、層、またはコーティングを含むことができる。
【0032】
図2Aは、本発明のプロセスチャンバ構成要素101の特定の例を示し、該プロセスチャンバ構成要素101は、固体本体102と多層コーティング104とを含み、該多層コーティング104は、2つの材料層、材料A(例えば、フッ化酸化イットリウムまたは酸化イットリウム)の層(124)および材料B(酸化ジルコニウムなどの非酸化イットリウム金属酸化物)の層128から構成される(すなわち、「二層」コーティング)。図示の多層コーティング104は、図示の2つのタイプの層のみからなるものとして示されている。各層124,128は、好ましくは、高純度の、例えば少なくとも90、95、98または99重量%の純度の材料Aまたは材料Bを有することができる。各層は、固体本体102の表面にわたって連続していてもよく、1ナノメートル未満、例えば、約1、2、5または10ナノメートルから50、100、200、500、800または900ナノメートル(0.9ミクロン)まで、またはそれ以上までの範囲の厚さを有してもよい。関連する例では、異なる金属酸化物などの別の異なる材料が多層コーティング104の一部として含まれてもよい。すなわち、図示されていないが、異なるタイプの材料(例えば、金属酸化物、またはその他)の追加の層は除外されず、存在してもよいが、多層コーティング104またはプロセスチャンバ構成要素101の一部として必要または好ましいとは限らない。
【0033】
図2Bは、固体本体102および多層コーティング104から構成された異なる本発明のプロセスチャンバ構成要素101の例を示し、多層コーティング104は、記載の材料から作製され、多くの(例えば、数十、数百、または数千)個々の層に形成されている。各層134は、酸化イットリウム(堆積されたとき)またはフッ化酸化イットリウム(フルオロアニーリング工程後)から作製することができる。各層138は、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物から作製することができる。各層は、好ましくは、高純度の、例えば少なくとも90、95、98または99重量%の純度の材料Aまたは材料Bを有することができる。各層は、固体本体102の表面にわたって連続していてもよく、1ナノメートル未満、例えば、約0.1、0.5、1、2、5または10ナノメートルから10、15または20ナノメートルまでの範囲の厚さを有してもよい。異なる材料の他の層は、必ずしもコーティング104またはプロセスチャンバ101から除外されず、存在してもよいが、図示されていない。
【0034】
数十、数百、または数千の層を含む図2Bの多層コーティング104は、「ラミネート」コーティングと呼ばれることがある。ラミネートコーティングは、単一の堆積材料で作製された個々の層の各々を順次形成する一連のガス状前駆体材料に表面を曝露することによって、一連の原子層堆積工程によって固体本体102の表面に塗布することができる。堆積された材料の各連続量は、「層」であると考えられる。例として、各工程が単一の前駆体材料を使用して単一の堆積層を形成する一連の原子層堆積工程を実行することができる。得られたラミネートコーティングは、識別可能な堆積材料層が堆積される多工程プロセスに起因して、個別の「層」を含む。
【0035】
ラミネートは、異なる堆積材料の個別の「層」を既知の技術の使用によって識別することが困難であり得るとしても、各原子層堆積工程によって製造された異なる層から作製されていると考えられる。いくつかのラミネートコーティングでは、個別の層は、トンネル電子顕微鏡を使用して検出可能であり得る。各層は、「単層」を構成すると考えることができ、この用語は化学堆積技術で使用されるとおりであり、堆積材料が基板または前のALD層上の反応部位を飽和させるように、基板の表面または前のALD層に堆積された堆積材料の量を指す。単層は、少数の原子のみの厚さ、すなわち、表面の限られた数の反応部位と会合して約2、3または5個以下の原子の厚さを有する単層を製造することによって表面を覆う原子または分子の単一層の厚さを有する。
【0036】
図2Cは、固体本体102と、金属酸化物および酸化イットリウム(堆積されたとき)またはフッ化酸化イットリウム(フルオロアニーリング工程後)から作製された複合体(144)の形態のコーティング104とから作製された、さらに異なる本発明のプロセスチャンバ構成要素101の例を示す。複合体もまた、一連の原子層堆積工程による「ラミネート」コーティングと同様に原子層堆積によって形成することができるが、一連の各工程中に堆積する各材料の量は、堆積されたバリア材料の均一に堆積された検出可能な層を製造しない量である。複合体144は、好ましくは、少なくとも90、95、98または99重量%の金属酸化物および酸化イットリウム(前駆体として)またはフッ化酸化イットリウム(フルオロアニーリング工程後)を含有することなどによって、高純度を有することができる。複合体144の厚さは、10~1000ナノメートルの範囲の厚さなど、任意の有用な厚さとすることができる。
【0037】
現在好ましいコーティングの例は、2つ(場合により2つのみ)の異なる材料、すなわち金属酸化物(好ましくは酸化ジルコニウム)および酸化イットリウム(堆積されたとき)またはフッ化酸化イットリウム(フルオロアニーリング工程後)から作製される。コーティングは、2つの層(すなわち、二層コーティング)のみを有してもよく、複数の、ただし少数からいくつかのみの層(例えば、3~10)を有してもよく、記載のように2つの堆積材料のラミネートまたは複合体であってもよい。金属酸化物で作製された1つの層と、酸化イットリウム(堆積されたとき、前駆体として)またはフッ化酸化イットリウム(フルオロアニーリング工程後)の1つの層との合計2つの層のみを含むイットリウム-金属酸化物コーティングの場合、(例えば)各層は、約50ナノメートル、例えば40~60ナノメートルであってもよい。3~10層を含むイットリウム-金属酸化物コーティングの場合、(例えば)各層は、1、5または10から20~40ナノメートル、例えば10~30ナノメートルであり得る。これらの、すなわちラミネートまたは複合体コーティングは、50~150ナノメートル、例えば80~120ナノメートルの総厚を有することができる。
【0038】
記載のコーティングは、酸化イットリウムおよび金属酸化物を前駆体コーティングとして含むコーティングを最初に堆積し、続いて、堆積したコーティングの酸化イットリウムの少なくとも一部をフッ化酸化イットリウム、例えばフッ化イットリウム、オキシフッ化イットリウム、またはそれらの組み合わせに変換する工程によって形成することができる。堆積された酸化イットリウム、ならびに酸化イットリウムおよび金属酸化物を含むコーティングは、本明細書では「前駆体」材料またはコーティングと呼ばれることがある。酸化イットリウム(Y、別名「イットリア」)は、約2:3(イットリウム:酸素)の相対量(原子)のイットリウムおよび酸素から調製され、それらを含有する。前駆体コーティングは、2つの層(金属酸化物および酸化イットリウムのそれぞれ1つ)、酸化イットリウムおよび金属酸化物の両方の少数~数層を含んでもよく、または交互に堆積した酸化イットリウムおよび金属酸化物から作製されたラミネートまたは複合体であってもよい。原子層堆積により酸化イットリウムを形成する方法は公知である。例えば、米国特許公開第2018/0202047号を参照されたい。
【0039】
酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを堆積した後、堆積されたコーティングは、堆積したコーティングの酸化イットリウムの総量の少なくとも一部をフッ化酸化イットリウム(フッ化イットリウム、オキシフッ化イットリウム、またはその両方であってもよい)に変換するフッ素アニーリング工程(「フルオロアニーリング」工程)によって処理される。
【0040】
フッ化イットリウムは、イットリウムおよびフッ素からなり、YFの化学的構成を有するか、またはほぼそのような無機材料である。オキシフッ化イットリウムは、イットリウム、フッ素、および酸素からなり、化学的構成YOFを有する無機材料である。
【0041】
フルオロアニーリング工程は、フッ化イットリウム、オキシフッ化イットリウム、またはその両方を製造するのに有効な温度および時間で実行される。特定の例示的な実施形態では、この方法は、酸化イットリウムを完全にフッ化イットリウムに変換することなく、有意な量または多量のオキシフッ化イットリウムを製造する。例えば、少なくとも50、70、80または90%(原子)の酸化イットリウムを、オキシフッ化イットリウム(YOF)に変換することができるが、フッ化イットリウム(YF)に完全にフッ素化することはできない。
【0042】
他の例では、本方法は、酸化イットリウムをフッ素化してオキシフッ化イットリウム(YOF)を形成するだけでなく、大量の完全にフッ素化されたフッ化イットリウムを製造する。フルオロアニーリング工程の温度および時間量は、これらの例示的な方法によれば、堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの酸化イットリウムの少なくともかなりの部分を、特に堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの表面部分において、フッ化イットリウム(YF)に変換するのに十分である。有用なまたは好ましい方法によれば、酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの少なくとも外側部分、例えば、表面と少なくとも1、5または10ナノメートルの深さとの間のコーティング厚さの一部を含むコーティングの「表面部分」に存在する酸化イットリウムは、少量の酸素を含むかまたは実質的に酸素を含まない、例えば、20または10原子パーセント未満の酸素、5未満または3原子パーセント未満の酸素を含むYFに変換される。
【0043】
好ましいコーティングは、主にイットリウムおよびフッ素原子を含有する、すなわちフッ化イットリウムまたはYFの形態のイットリウム部分(例えば、層)を含むことができる。コーティングのフッ化イットリウムはまた、ある量の酸素、ならびにイットリウム、フッ素、および酸素の様々な元素の組み合わせ、例えばオキシフッ化イットリウム(YOF)を含有してもよい。しかしながら、記載のような特定の好ましい例示的なコーティングは、主にフッ化イットリウム(YF)の形態のイットリウムと、オキシフッ化イットリウム(YOF)と呼ばれる組成物中に存在するであろう酸素量を下回る量(濃度)の酸素とを含有することができ、例えば、コーティングは、フッ化イットリウム、酸化イットリウム、およびオキシフッ化イットリウムの総量に基づいて少なくとも80パーセント(例えば、少なくとも85、90または95パーセント)(原子)のフッ化イットリウムを含有することができる。
【0044】
記載のようなコーティングは、前駆体コーティングの酸化イットリウムをフッ化酸化イットリウムに変換することによって調製され、酸化イットリウムをフッ化イットリウムに変換する方法は、コーティングの表面から表面の下の位置へのフッ素の通過(例えば、拡散)を必要とするので、コーティングは、厚さ(深さ)方向に不均一になるフッ素および酸素の濃度を含む可能性があり、すなわち、コーティングまたはそのフッ化酸化イットリウム部分(例えば、層)は、堆積されたコーティングの厚さ(深さ)に沿って測定可能な量で変動するフッ素および酸素の濃度を含む可能性がある。
【0045】
コーティングの特定の例では、フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングは、酸化イットリウムからフッ化イットリウムに実質的に変換(フッ素化)された部分(フッ化イットリウム部分と呼ばれる)を含む。フッ化イットリウム部分は、フッ化イットリウムの1つまたは複数の層であってもよく、ラミネートまたは複合体構造の一部であるフッ化イットリウム材料であってもよい。フッ化イットリウム部分は、好ましくは、実質的にイットリウム、フッ素、酸素、場合によるが比較的少量の炭素(「C」)(例えば、最大4または5原子パーセントの炭素)、および少量以下または実質的にない量の他の材料のみを含有することができる。記載のコーティングのフッ化イットリウム部分は、Y、F、O、およびC(例えば、最大4または5原子パーセントの炭素)からなってもよく、または本質的にY、F、O、およびCからなってもよく、例えば、Y、F、O、およびC(例えば、5または4パーセント(原子)以下の炭素)と、1、0.5、0.1、0.05、または0.01原子パーセント以下のY、F、O、およびCとは異なる任意の材料とを含有してもよい。好ましいフッ化イットリウム部分はまた、20パーセント以下(例えば、10または5パーセント以下)(原子パーセント)の酸素を含有することができる。
【0046】
他の基準では、例示的なコーティングは、コーティングの表面より下の少なくとも5、10、30、50または60ナノメートルの深さまで、フッ化イットリウム、酸化イットリウム、およびオキシフッ化イットリウムの総(原子)量に基づいて、少なくとも70、80または90パーセントのフッ化イットリウムを含有することができる。他の好ましいコーティングは、コーティングの表面下の少なくとも100、200または300ナノメートルの深さまで、酸化イットリウム、フッ化イットリウム、およびフッ化酸化イットリウムの総(原子)量に基づいて、少なくとも80パーセントのフッ化イットリウムを含有することができる。
【0047】
コーティングの異なる部分は、コーティングの異なる厚さ位置での組成の変動に基づいて、X線光電子分光法すなわち「XPS」技術によって特定および記載することができる。これらの定量的分光技術は、コーティングの厚さ(深さ)にわたって、材料の表面の、および表面より下の堆積されたコーティング、またはコーティングの層の組成分析を可能にする。XPSプロファイリング分析は、材料の厚さに沿った異なる位置で堆積材料の元素組成を特定することができる。
【0048】
本発明のコーティングは、Y、F、およびOの他の可能な化学量論的組み合わせとは対照的に、コーティングの層または部分がかなりのまたは高濃度のフッ化酸化イットリウム、例えばYFを含有することを示すためにX線回折によって分析することもできる。X線回折法(XRD)は、堆積膜の材料を含む材料の原子および分子構造を評価するための公知の分析技術である。例えば、X線回折は、例えば原子層堆積によって調製された、本明細書に記載のタイプの堆積膜の構造および化学量論的特徴を評価するのに有用である。
【0049】
図4を参照すると、これは、例示的な前駆体コーティング(「堆積されたとき」)およびフルオロアニーリング工程(フッ素化の場合は「F」)後の同じコーティングの化学的構成に関する例示的なデータを示す表である。データは、EDAXとも呼ばれるエネルギー分散型X線分光法によって作成される。
【0050】
データは、5 keV EDAXによって決定した3つの例示的なコーティングの化学的構成を指す。イットリア-ジルコニア多層コーティングは、以下のとおりである:(a)Zr-Y-Comp=イットリアとジルコニアとの複合体、(b)Zr-Y-ML=ジルコニアとイットリアとの交互の20層からなる多層、(c)Y-Zr-DL=底部にジルコニア、上部にイットリアを有する二重層、すべてSi基板上に堆積されている。
【0051】
表は、堆積されたときのコーティングのスタック(フッ素化前)およびフルオロアニールプロセス後のコーティングのスタックについて、Si、Zr、Y、OおよびFのプローブした元素について測定された原子%値を比較している。EDAX原子%値は較正されておらず、絶対値ではなく、堆積されたときの状態とフルオロアニール後の状態との間の相対比較として機能することに留意されたい。表は、堆積したときのイットリア(Y2O3)がフルオロアニールプロセスの結果として高度にYF3に変換されることを示している。Y2O3、YF3およびZrO2を形成するための原子%の配分を考慮すると、表の結果は、Y2O3の大部分がYF3に変換されるが、ZrO2はフッ化物に変化しないことを示している。ジルコニアに関する独立した研究は、ジルコニアがフッ化ジルコニウムまたはオキシフッ化ジルコニウムに変換されないことを示している。
【0052】
5keV EDAX測定は、150nm~200nmのプローブ深さを有するが、表面により近い体積からの非線形(より高い)信号寄与を有することに留意されたい。各条件について、コーティング膜厚は、EDAX測定が基板(Si)から小さな割合の信号を拾い上げるのに十分に小さい。酸素原子%は、典型的な表面酸化物の形成に起因して不釣り合いに高い。
【0053】
300℃未満の温度で実行されるフルオロアニーリング工程によって酸化イットリウムをオキシフッ化イットリウム(YOF)に変換するための方法が以前に記載されている。米国特許公開第2018/0202047号を参照されたい。本明細書に記載の方法は、ここでは、記載の堆積コーティングの少なくとも表面部分で酸化イットリウムを首尾よく変換して、少量の酸素を含む、実質的に酸素を含まない、または少量のオキシフッ化イットリウム(YOF)を含むかもしくは実質的にオキシフッ化イットリウム(YOF)を含まない高濃度量のフッ化イットリウム(YF)を含有するように、300℃を超える温度で実行されるフルオロアニーリング工程の特定の特徴を含む。
【0054】
記載のフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを原子層堆積によって形成する方法は、大量のフッ化イットリウムおよび金属酸化物を含有するコーティングを製造するのに特に有効であると特定されている。記載の方法は、酸化イットリウムを堆積する他の技術(例えば、化学蒸着、物理蒸着、またはこれらの変形)を含む代替堆積方法に続いてフルオロアニーリング工程を行う方法と比較して、高濃度のフッ化イットリウムおよび金属酸化物を含有し、好ましい金属酸化物として酸化ジルコニウムを含むコーティングを形成するのに特に有効であることが示されている。本明細書の方法はまた、非イットリウム金属酸化物が酸化ジルコニウムである場合にも特に有効であり、これは、酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの表面下の酸化イットリウムのフッ素化を可能にするのに特に有効であると特定されている。
【0055】
堆積技術に関して、原子層堆積は、他の堆積技術と比較して、フルオロアニーリング工程によってフッ化イットリウムを形成するための有効性が改善されている。記載のフッ化イットリウムコーティング(すなわち、フッ化イットリウムに変換された高度の酸化イットリウムを含有するコーティング)は、比較的高温のフルオロアニーリング工程、例えば、少なくとも300℃の温度で実行されるフルオロアニーリング工程を使用して、堆積酸化イットリウム薄膜をフッ化イットリウムに変換することによって調製することができる。酸化イットリウムのフッ化イットリウムへの変換を試みる比較的高温での同等のフルオロアニーリング技術は、物理蒸着(「PVD」)または化学蒸着(「CVD」)などの異なる堆積技術によって堆積した酸化イットリウムで実行した場合ほど有効ではなかった。
【0056】
これらの特定の工程はまた、同等の堆積およびフルオロアニーリング工程によって他の金属から他のタイプの金属フッ化物を形成する方法と比較して、金属フッ化物材料としてフッ化イットリウムを形成するのにより有効であると判定されている。記載の高温フルオロアニーリング工程は、原子層堆積技術によって堆積された金属酸化物であっても、他の金属酸化物を金属フッ化物に変換するのにあまり有効ではなかった。具体的には、比較的高温でのフルオロアニーリング工程は、金属酸化物が原子層堆積技術によって堆積されていたとしても、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または酸化アルミニウムなどの金属酸化物材料をフッ化酸化物材料(フッ化ジルコニウム、フッ化チタン、またはフッ化アルミニウム)に変換するのにあまり有効ではないことが分かった。
【0057】
有用な好ましいフルオロアニーリング技術は、原子層堆積によって表面に堆積された酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの表面を、分子フッ素源蒸気に、分子フッ素源蒸気のフッ素を堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの酸化イットリウムと反応させる温度で曝露して、コーティングの酸化イットリウムをフッ化酸化イットリウムに、好ましくはフッ化イットリウムへの高い変換率で、堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの表面および表面より下で、変換する工程を含む。
【0058】
好ましくは、分子フッ素源が酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの表面下に浸透することを可能にするために、コーティングの金属酸化物は分子フッ素源蒸気と反応性であるべきではない。例えば、好ましい金属酸化物は、フルオロアニーリング工程中に分子フッ素源蒸気によって分解されない(例えば、「エッチング」されない)。また好ましくは、分子フッ素源蒸気は、フルオロアニーリング工程中に金属酸化物のフッ素化を引き起こさない。本明細書および本発明は、フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの非酸化イットリウム金属酸化物としての任意の特定の金属酸化物の使用に限定されないが、酸化ジルコニウムは、フルオロアニーリング工程中に、分子フッ素源蒸気による分解に耐性があり、分子フッ素源蒸気によるフッ素化にも耐性があるという有効なまたは好ましい特性を示すと特定された金属酸化物である。
【0059】
本明細書で使用される場合、「分子フッ素源蒸気」とは、プラズマとは見なされない蒸気(気体)形態の非プラズマ(すなわち、分子)フッ素含有化学分子である。「プラズマ」とは、プラズマ前駆体化合物をイオンに分解してワークピースを処理するためにイオンを使用する目的で、エネルギー(例えば、無線周波数電源からの)に意図的に曝露された1つ以上のプラズマ前駆体化合物に由来する高密度のイオン性断片を含有する非固体蒸気相組成物である。プラズマとは対照的に、有用なまたは好ましい分子フッ素源蒸気は、1×10E-5原子パーセント未満のイオン化材料、例えば1×10E-6原子パーセント未満のイオン種を含有し得る。
【0060】
分子フッ素源蒸気は、任意の方法によって、または任意の有用かつ有効な源または場所から、記載のフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを形成するために、フルオロアニーリング工程で使用するためのプロセスチャンバに提供され得る。有用なまたは好ましい方法では、分子フッ素源蒸気は、in situで、すなわちフルオロアニーリング工程中に、およびフルオロアニーリング工程に使用されるプロセスチャンバ内で生成され得る。分子フッ素源蒸気は、非気体フッ素源を加熱して非気体フッ素源の分子を気体に、すなわち分子蒸気にすることによって、非気体フッ素源からin situで生成され得る。非気体フッ素源は、液体または固体フッ素含有物質であってもよく、加熱工程は、液体または固体フッ素源の分子の著しい分解またはイオン化を引き起こすことなく、分子の気体形態を生成する。分子の有用なまたは好ましい気体形態は、少なくとも99.9999原子パーセントの分子、すなわち、液体または固体フッ素含有物質の化学的に変化していない分子であり得る。分子の気体形態は、1×10E-5原子パーセント未満のイオン化または分解された材料、例えば1×10E-6原子パーセント未満のイオン種を含有し得る。
【0061】
分子フッ素源蒸気を生成する加熱工程は、様々な半導体処理工程で使用されるプラズマを生成する工程とは異なる。一般に、プラズマ生成工程は、プラズマ源をイオン化し、プラズマ源の分子を化学的に分解して分子のイオン性断片を生成するために、一般に気体化学物質であるプラズマ源に1つ以上の形態のエネルギーを印加することを含む。エネルギーは、熱エネルギー(高温)、RF(無線周波数エネルギー)(無線周波数電源によって生成される)などの電磁放射線、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0062】
具体的な比較として、分子フッ素源蒸気を生成するために使用される本明細書の加熱工程は、プラズマエッチング、プラズマ洗浄、または半導体処理ツールのプロセスチャンバの「シーズニング」の工程のための半導体処理ツールで使用するためのフッ素含有プラズマを生成する工程とは異なる。本明細書に記載の加熱工程とは異なるプラズマ生成工程の例は、プラズマエッチングまたはプラズマ洗浄プロセス用に設計された反応チャンバ内で生成されたフッ素含有プラズマを記載する米国特許第5,756,222号に記載されている。プラズマは、フッ素前駆体をRF電力に曝露することによって調製される。
【0063】
フルオロアニーリング工程は、原子層堆積によってその上に堆積された酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを含む表面を有する基板を取り外し可能な一時的な非動作的な様式でプロセスチャンバの内部に配置することによって;非気体フッ素源の分子をプロセスチャンバ内で気体、すなわち蒸気にするために、非気体フッ素源を加熱することによって、分子フッ素源蒸気をプロセスチャンバ内に分配するか、またはプロセスチャンバ内で分子フッ素源蒸気を生成することによって;および、プロセスチャンバ、基板、堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティング、分子フッ素源蒸気、またはそれらの組み合わせの温度を上昇させて、分子フッ素源蒸気のフッ素と堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの酸化イットリウムとの間の反応を引き起こして、酸化イットリウムの少なくとも一部をフッ化酸化イットリウムに、好ましくはフッ化イットリウムに変換することによって、高温でプロセスチャンバ内で実行することができる。
【0064】
フルオロアニーリング工程の間、プロセスチャンバは、分子フッ素源蒸気、場合により非蒸気フッ素源、および原子層堆積技術によって表面に堆積された堆積酸化イットリウム-金属酸化物薄膜を有する1つ以上の基板を含むプロセス材料を含むことができる。チャンバの内部空間および雰囲気は、排気または減圧される必要はなく、一定量の大気を含むことができる。フルオロアニーリング工程のために、空気または酸素を排除する必要も、不活性ガス(パージガス、例えばN)をプロセスチャンバに導入する必要もない。プロセスチャンバは、空気および分子フッ素源蒸気以外の任意の他の追加の気体または液体プロセス材料を含む必要はなく、それらを排除することができ、例えば、他の半導体処理工程の気体雰囲気で使用されることがある不活性ガスまたは気体共反応物などの他の気体材料を排除することができる。
【0065】
プロセスチャンバは、半導体処理ツールの一部ではなく、他の方法で処理されている半導体デバイス、マイクロ電子デバイス、またはその前駆体などの他のワークピースを収容する必要はなく、好ましくは収容しない。プロセスチャンバはまた、無線周波数電源などのプラズマを生成するための手段、または構成要素もしくはワークピースに電位(電圧)を印加するための手段の使用を必要とせず、またその使用を含まない。
【0066】
有用なプロセスチャンバは、好ましくは、チャンバ内の温度を制御するための温度制御;チャンバ内部の環境の組成および純度を制御する手段、例えば圧力制御、フィルタなど;各々が表面に堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを有する1つまたは複数の基板を、堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの酸化イットリウムをフッ化酸化イットリウムに、好ましくはフッ化イットリウムに変換するのに有用な期間、チャンバ内に一時的に収容および支持するための構成要素;および、プロセスチャンバ内の分子フッ素源の量および濃度を供給および制御することを含む、プロセスチャンバ内の雰囲気の組成を制御するための構成要素を含むことができる。
【0067】
特定の有用なまたは好ましい例示的なフルオロアニーリング方法によれば、分子フッ素源蒸気は、気体フッ化または過フッ化有機化合物、例えばフッ化または過フッ化アルカンまたはアルケンであってもよく、そのいずれも直鎖または分岐であり得る。例としては、とりわけ、CF、C、C、C、CHF、C、C、HF、CHFが挙げられ、それぞれ分子形態であり、すなわち、実質的に非イオン性であり、プラズマを分解または形成するために(熱以外のエネルギーを印加することによって)処理されない。
【0068】
他の有用なまたは好ましい例示的な方法によれば、分子フッ素源蒸気は、プラズマを形成するためにエネルギーにより処理されていない気体フッ化ポリマーであり得る。気体フッ化ポリマーは、例えばプロセスチャンバ内で、堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの存在下で非気体フッ化ポリマーを加熱することによって、非気体(例えば、液体または固体)フッ化ポリマーから誘導することができ、これはフルオロアニーリング工程によってフッ化酸化イットリウムに変換されることが望ましい。
【0069】
フッ化ポリマーは、基板の表面上に存在する堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングからフッ化イットリウムを形成するための記載の方法に従って有効である任意のフッ化ポリマーであり得る。有用なフッ化ポリマーの例としては、重合フルオロオレフィンモノマーおよび場合により非フッ化コモノマーを含むホモポリマーおよび共重合体が挙げられる。ポリマーは、フッ素化(すなわち、部分的にフッ素化)されていてもよく、過フッ素化されていてもよく、または塩素などの非フッ素ハロゲン原子を含んでいてもよい。分子フッ素源は、室温では液体であっても固体であってもよいが、記載の方法に従って使用されるプロセスチャンバの温度では蒸気になる。
【0070】
特定のフルオロポリマーの非限定的な例としては、C~C10ペルフルオロアルキル基を有する重合ペルフルオロアルキルエチレン;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA);テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP);テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EPA);ポリヘキサフルオロプロピレン;エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE);ポリトリフルオロエチレン;ポリビニリデンフルオリド(PVDF);ポリビニルフルオリド(PVF);ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE);エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE);またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
記載のフルオロアニーリング工程は、フッ素源蒸気からのフッ素を堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの酸化イットリウムと反応させて、堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングのフッ素の少なくとも一部をフッ化酸化イットリウムに、好ましくはフッ化イットリウムに(例えば、本明細書に記載の濃度および深さで)変換するのに有効な任意の温度で実行することができる。フッ素源蒸気を酸化イットリウムと反応させて、酸化イットリウムをオキシフッ化イットリウム(YOF)の代わりに高濃度のフッ化イットリウム(YF)に変換するためには、比較的高い高温が一般に有用または好ましい。しかしながら、他の条件は、所望に応じて、比較的低濃度のフッ化イットリウムおよび比較的高濃度のオキシフッ化イットリウム(YOF)を有するコーティングを製造するのに有用であり得る。
【0072】
フルオロアニーリング工程の例示的な温度は、堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの少なくとも表面部分に高濃度のYFを生成するために、少なくとも300℃または350℃、またはそれ以上、例えば300℃~500℃の範囲、例えば350℃または400℃~425℃または450℃であってもよい。
【0073】
プロセスチャンバは、任意の有用な圧力で動作することができ、例示的な圧力は、ほぼ大気圧(760トール)、例えば100~1500トール、例えば250または500~1000または1250トールである。酸化イットリウムをフッ化酸化イットリウム、例えばフッ化イットリウムに変換するためのプロセスチャンバ内の雰囲気は、分子フッ素源蒸気と組み合わせて、空気である部分を含んでもよい。
【0074】
フルオロアニーリング工程によってフッ化酸化イットリウムを形成するために使用される時間量は、フルオロアニーリング工程の温度、プロセスチャンバ内の分子フッ素源蒸気のタイプおよび量(濃度)、堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの厚さおよび組成、ならびにフルオロアニーリング工程によって実現される酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの所望のフッ素化量(例えば、深さ)などの要因に基づくことができる。フルオロアニーリング工程に有用なまたは好ましい時間量の例は、1~48時間、例えば2~24時間、または3~12時間の範囲であり得る。フルオロアニーリング工程を実行するための有用な期間は、酸化イットリウム-金属酸化物コーティングの酸化イットリウムの所望の量(例えば、深さおよび量(濃度)に関して)をオキシフッ化イットリウムまたはフッ化イットリウムに変換する期間であり得る。フッ素化の深さは、堆積酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを分子フッ素源蒸気に継続的に曝露することにより、フルオロアニーリング工程中に経時的に増加する。
【0075】
図3を参照すると、記載の方法の例示的な工程および記載の例示的なフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングが示されている。方法10によれば、基板20が提供され、工程(i)において、酸化イットリウム-金属酸化物層22(a)が原子層堆積によって基板20の表面に塗布される。工程(ii)では、酸化イットリウム-金属酸化物コーティング薄膜22(a)が堆積された基板20は、酸化イットリウム-金属酸化物コーティング22(a)の酸化イットリウムの少なくとも一部をフッ化酸化イットリウムに変換するフルオロアニーリング工程に供され、フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティング24(b)が製造される。
【0076】
高濃度のフッ化酸化イットリウム、例えばフッ化イットリウム(YF)を含有する部分を少なくとも含む、記載のフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングは、保護コーティングとして有効であり得る。保護コーティングは、様々なプロセス材料、特に(それだけに限らないが)公知のまたは将来的に開発される、特定の例示的なプロセスが本明細書に記載されている製造プロセスを実行するための動作中に様々なタイプのプロセスチャンバに存在し得るハロゲン化物に対して化学的に耐性がある。
【0077】
フッ化酸化イットリウム化合物、特にフッ化イットリウムは、フッ素原子に対する化学的不活性を提供するために、比較的高濃度のフッ素を含有することができる。さらに、非酸化イットリウム金属酸化物の存在は、塩素などの非フッ素ハロゲン化物に対する耐化学性を高める。したがって、本明細書に記載のフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングによって達成される耐化学性のレベルは、以前の保護材料によって達成される耐化学性のレベルと比較して、非常に有用であるか、または比較的改善され得る。
【0078】
有用な好ましいフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングはまた、半導体処理ツールにおける高温(例えば、350~500℃の範囲)での使用中を含む長期間にわたって耐熱性であり得る。より一般的には、有用なまたは好ましいフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングは、200、300、400、450または500℃までまたはそれを超える温度で長期間にわたって分解に耐えることができる。
【0079】
保護コーティングとしてフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを含む機器、デバイス、または物品は、基板の表面に形成されたフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを含む基板を含むことができる。有利には、フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングは、各々が気相堆積、すなわち酸化イットリウム含有前駆体コーティングの原子層堆積および堆積された酸化イットリウム含有前駆体のフルオロアニーリングを含む2つの特定の処理工程を使用して調製することができるため、製造されたフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングは、高度に三次元であるかまたは高アスペクト比を有する基板表面に有効かつ均一に塗布することができる。有用なフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングは、比較的高いアスペクト比、例えば、10:1、20:1、50:1、100:1までまたはそれを超えるアスペクト比を有する構造などのチャネル、溝、または開口部を含む三次元表面に塗布することができる。
【0080】
記載の保護フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを塗布することができる基板の例としては、半導体材料、マイクロ電子デバイスなどを調製するために使用されるプロセスチャンバの様々な構成要素(「プロセスチャンバ構成要素」)などのアイテムが挙げられる。フッ素および塩素などの異なるハロゲン化物の組み合わせを含むハロゲン化物などのプロセス材料に耐性があるため、フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを使用して、動作中にこれらおよび他のプロセス材料の存在下でプロセスチャンバの構成要素を保護することができる。
【0081】
好ましい保護コーティングは、亀裂、割れ目、ピンホール、および他の物理的欠陥などの欠陥を少量含むように調製することができる。ピンホール、亀裂、および割れ目などの欠陥は、目視検査、場合により光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡を使用して拡大して、または他の適切な検査方法によって特定することができる。好ましいコーティングはまた、特に物理蒸着などの他の方法によって塗布されたコーティングと比較した場合に、コーティングの表面にわたって高レベルのコーティング厚さの均一性を示すように塗布することができる。例えば、高レベルの均一性とは、1、5、または10平方センチメートルの領域にわたって厚さが2ミクロン未満であり、その領域にわたって厚さが20、10、または5パーセントを超えて変動しないコーティングを指すことができる。
【0082】
記載の保護コーティングは、フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングが有効に塗布され得る任意の表面または基板上に形成することができ、有用であり得る。特定の実施形態では、基板は、真空適合性基板材料で作製されてもよく、反応性が高いか、腐食性であるか、またはプロセスチャンバの内部構成要素を含む他の材料を激しく分解またはそれらと反応し得る1つ以上の異なるプロセス材料の使用によって基板、材料、またはデバイスを処理するために使用されるプロセスチャンバの構成要素の形態であってもよい。これに関連して、記載のフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングは、本明細書で「真空適合性基板」と呼ばれ、ハロゲン化物またはハロゲン化物の組み合わせを含むプロセス材料で処理することによって、マイクロ電子デバイス、半導体機器およびデバイス、それらの前駆体などを処理するために使用されるプロセスチャンバの構成要素(本明細書では、「プロセスチャンバ構成要素」または「プロセスツール構成要素」)として機能するように形成された基板に有利に塗布することができる。
【0083】
プロセスチャンバは、例えば、マイクロ電子デバイスまたは半導体デバイスを製造する工程中にマイクロ電子デバイス基板または半導体デバイス基板を処理するために使用される、液体、気体、またはプラズマの形態であり得る高度に腐食性または反応性のプロセス材料を収容するのに有用である。反応性プロセス材料の特定の例としては、臭素プラズマ、塩素プラズマ、およびフッ素プラズマ、例えばNF、CF、C、C、C、F、Cl、HCl、HF、CHF、CH、SF、BCl、CClまたはHBrに由来するプラズマが挙げられる。
【0084】
プロセスチャンバは、プロセスチャンバ内に存在するプロセス材料によって過度に分解されることなく、ワークピースをプロセスチャンバ内に、プロセスチャンバ外に、およびプロセスチャンバ内で搬送、保持、固定、支持、または移動するのに有用なプロセスチャンバ構成要素および表面を含まなければならない。プロセスチャンバはまた、反応性プロセス材料(例えば、プラズマ)をプロセスチャンバの内部に、またはそこから流し、送達し、除去するのに有効な構造のシステムを含まなければならない。
【0085】
プロセスチャンバ構成要素の例としては、平坦な平面の本質的に二次元の表面を含む任意の形状の物品が挙げられるが、より複雑な形状を有する物品も挙げられる。有利には、本方法および薄膜は、開口部、アパーチャ、チャネル、トンネル、ねじ山付きねじ、ねじ山付きナット、多孔質膜、フィルタ、三次元ネットワーク、穴、チャネル、延長面などを含む形態などの、高アスペクト比を有すると考えられるそのような特徴を含む、三次元形態である物理的形状または形態を有する基板と共に使用することができる。より具体的な例示的な構造としては、フローヘッド(シャワーヘッド)、シールド、トレイ、支持体、ノズル、バルブ、導管、基板を取り扱いまたは保持するためのステージ、ウエハ取り扱い固定具、チャンバライナー、セラミックウエハキャリア、ウエハホルダ、サセプタ、スピンドル、チャック、リング、バッフル、および様々なタイプのファスナ(ねじ、ナット、ボルト、クランプ、リベットなど)が挙げられる。
【0086】
記載の原子層堆積技術およびフルオロアニーリング技術は、少なくとも10:1、20:1、50:1、100:1、またはそれを超えるアスペクト比を有する表面を含む三次元表面上に均一で高品質の堆積薄膜を提供するのに有効な気相堆積技術である。
【0087】
フッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを形成することができるプロセスチャンバ構成要素の基板は、「真空適合性」基板材料と呼ばれることもある材料を含む、様々な異なる固体材料から作製することができる。一般に、例としては、セラミック材料、金属、および金属合金を挙げることができ、これらは、保護コーティングでコーティングされ、プロセスチャンバ内で使用され得る。真空適合性基板として有用であり得るセラミック材料の例としては、アルミナ、炭化ケイ素、ケイ素、酸化ケイ素、および窒化アルミニウムが挙げられる。金属および金属合金の例としては、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス鋼、およびアルミニウムが挙げられる。真空適合性基板はまた、石英、サファイア、シリカ、溶融シリカ、溶融石英、ケイ素、陽極酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ガラス、ならびに半導体産業で使用される特定のプラスチック、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリイミドなどのプラスチックであってもよい。
【0088】
本明細書では、多くの場合、記載の保護コーティングのための有用な基板としてプロセスチャンバおよびプロセスチャンバ構成要素(例えば、エッチングチャンバ構成要素)に言及しているが、記載のフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングはこれらのアイテムでの使用に限定されない。本明細書に記載されるように、高反応性化学材料に対する高レベルの耐性を有する保護コーティングから利益を得る様々な他のセラミック、鉱物、金属、および金属合金物品および基板を処理して、その表面にフッ化酸化イットリウム-金属酸化物コーティングを配置することもできる。
【0089】
態様1.基板と、基板の表面上のコーティングとを含み、該コーティングが、フッ化酸化イットリウムおよび酸化ジルコニウムを含む、被覆基板。
【0090】
態様2.フッ化酸化イットリウムが、オキシフッ化イットリウム(YOF)、フッ化イットリウム(YF)、およびそれらの組み合わせから選択される、態様1に記載の被覆基板。
【0091】
態様3.コーティングが、少なくとも1つのフッ化イットリウム層および少なくとも1つの酸化ジルコニウム層を含む複数の層を含む、態様2に記載の被覆基板。
【0092】
態様4.コーティングが、合計3~10個のフッ化イットリウム層および酸化ジルコニウム層を含む、態様3に記載の被覆基板。
【0093】
態様5.各層が2~50ナノメートルの範囲の厚さを有する、態様4に記載の被覆基板。
【0094】
態様6.コーティングが、合計5~1000個のフッ化イットリウム層および酸化ジルコニウム層を含む、態様3に記載の被覆基板。
【0095】
態様7.各層が0.1~10ナノメートルの範囲の厚さを有する、態様6に記載の被覆基板。
【0096】
態様8.コーティングが、フッ化イットリウムおよび酸化ジルコニウムを含む複合体である、態様1に記載の被覆基板。
【0097】
態様9.コーティングが、フッ化イットリウム、酸化イットリウム、およびオキシフッ化イットリウムの総量に基づいて、20原子パーセント未満の酸化イットリウムを含有する、態様1~7のいずれかに記載の被覆基板。
【0098】
態様10.コーティングが原子層堆積コーティングである、態様1~9のいずれかに記載の被覆基板。
【0099】
態様11.コーティングがフルオロアニーリングコーティングである、態様10に記載の被覆基板。
【0100】
態様12.基板が、少なくとも10:1のアスペクト比を有する三次元構造を含む、態様1~11のいずれかに記載の被覆基板。
【0101】
態様13.基板が、マイクロ電子デバイスまたは半導体製造システムのプロセスツール構成要素である、態様1~12のいずれかに記載の被覆基板。
【0102】
態様14.基板が、プラズマエッチングチャンバの壁面、ウエハサセプタ、チャック、シャワーヘッド、ライナー、リング、ノズル、バッフル、ファスナ、ウエハ支持体、ウエハ搬送構造、またはこれらのいずれか1つの一部もしくは構成要素を含む、態様1~13のいずれかに記載の被覆基板。
【0103】
態様15.基板が、ねじ山付きねじ、ねじ山付きナット、多孔質膜、フィルタ、三次元ネットワーク、穴、およびチャネルから選択される三次元特徴を含む、態様1~13のいずれかに記載の被覆基板。
【0104】
態様16.基板が、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、石英、ガラス、またはセラミックを含む、態様1~15のいずれかに記載の被覆基板。
【0105】
態様17.フッ化酸化イットリウムおよび酸化ジルコニウムを含有するコーティングを調製する方法であって、原子層堆積によって、酸化イットリウムおよび酸化ジルコニウムを含むコーティングを表面上に堆積させることと、コーティングを分子フッ素源蒸気および高温に曝露して、コーティングの酸化イットリウムをフッ化酸化イットリウムに変換することとを含む、方法。
【0106】
態様18.フッ化酸化イットリウムが、オキシフッ化イットリウム(YOF)、フッ化イットリウム(YF)、およびそれらの組み合わせから選択される、態様17に記載の方法。
【0107】
態様19.コーティングが、少なくとも1つのフッ化イットリウム層および少なくとも1つの酸化ジルコニウム層を含む複数の層を含む、態様18に記載の方法。
【0108】
態様20.コーティングが、合計3~10個のフッ化イットリウム層および酸化ジルコニウム層を含む、態様19に記載の方法。
【0109】
態様21.各層が2~50ナノメートルの範囲の厚さを有する、態様20に記載の方法。
【0110】
態様22.コーティングが、合計5~1000個のフッ化イットリウム層および酸化ジルコニウム層を含む、態様19に記載の方法。
【0111】
態様23.各層が0.1~10ナノメートルの範囲の厚さを有する、態様22に記載の方法。
【0112】
態様24.コーティングが、フッ化イットリウムおよび酸化ジルコニウムを含む複合体である、態様18に記載の方法。
【0113】
態様25:酸化イットリウムをフッ素および高温に曝露することにより、コーティングの酸化イットリウムの少なくとも80%をフッ化イットリウムに変換する、態様17~24のいずれかに記載の方法。
【0114】
態様26.酸化イットリウムを少なくとも300℃の温度で分子フッ素源蒸気に曝露して、酸化イットリウムをフッ化イットリウムに変換することをさらに含む、態様17~25のいずれかに記載の方法。
【0115】
態様27.分子フッ素源蒸気が、フッ化ポリマーを加熱することによって誘導される、態様26に記載の方法。
【0116】
態様28.フッ化ポリマーが、重合フルオロオレフィンモノマーを含むホモポリマーまたは共重合体である、態様27に記載の方法。
【0117】
態様29.フッ化ポリマーが、C~C10ペルフルオロアルキル基を有する重合ペルフルオロアルキルエチレン;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA);テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP);テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EPA);ポリヘキサフルオロプロピレン;エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE);ポリトリフルオロエチレン;ポリビニリデンフルオリド(PVDF);ポリビニルフルオリド(PVF);ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE);エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE);またはそれらの組み合わせを含む、態様27に記載の方法。
【0118】
態様30.分子フッ素源蒸気が、CF、C、C、C、CHF、C、C、HF、CHF、またはそれらの組み合わせを含む、態様27に記載の方法。
【0119】
態様31.基板と、基板の表面上のコーティングとを含み、該コーティングが、フッ化酸化イットリウム、および酸化イットリウムとは異なる金属酸化物を含む、被覆基板。
【0120】
態様32.フッ化酸化イットリウムが、オキシフッ化イットリウム(YOF)、フッ化イットリウム(YF)、およびそれらの組み合わせから選択される、態様31に記載の被覆基板。
【0121】
態様33.コーティングが、少なくとも1つのフッ化イットリウム層および少なくとも1つの金属酸化物層を含む複数の層を含む、態様32に記載の被覆基板。
【0122】
態様34.コーティングが、フッ化イットリウム、および酸化イットリウムとは異なる金属酸化物を含む複合体である、態様32に記載の被覆基板。
【0123】
態様35.コーティングが原子層堆積コーティングである、態様30~34のいずれかに記載の被覆基板。
【0124】
態様36.コーティングがフルオロアニーリングコーティングである、態様35に記載の被覆基板。
【0125】
態様37.基板が、マイクロ電子デバイスまたは半導体製造システムのプロセスツール構成要素である、態様30~36のいずれかに記載の被覆基板。
【0126】
態様38.フッ化イットリウムおよび酸化イットリウムとは異なる金属酸化物を含有するコーティングを調製する方法であって、原子層堆積によって、酸化イットリウムおよび酸化イットリウムとは異なる金属酸化物を含むコーティングを表面上に堆積させることと、コーティングを分子フッ素源蒸気および高温に曝露して、コーティングの酸化イットリウムをフッ化酸化イットリウムに変換することとを含む、方法。
【0127】
態様39.コーティングが、少なくとも1つのフッ化イットリウム層および少なくとも1つの金属酸化物層を含む複数の層を含む、態様38に記載の方法。
【0128】
態様40.コーティングが、合計3~10個のフッ化イットリウム層および金属酸化物層を含む、態様39に記載の方法。
【0129】
態様41.各層が2~50ナノメートルの範囲の厚さを有する、態様40に記載の方法。
【0130】
態様42.コーティングが、合計5~1000個のフッ化イットリウム層および金属酸化物層を含む、態様41に記載の方法。
【0131】
態様43.各層が0.1~10ナノメートルの範囲の厚さを有する、態様42に記載の方法。
【0132】
態様44.コーティングが、フッ化イットリウムおよび金属酸化物を含む複合体である、態様38に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4