(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】冷却器、冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20241001BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
(21)【出願番号】P 2020133629
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173598
【氏名又は名称】高梨 桜子
(72)【発明者】
【氏名】田村 忍
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-030579(JP,A)
【文献】特開2001-274297(JP,A)
【文献】特開2007-294891(JP,A)
【文献】国際公開第2019/106820(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状であるとともに底面から突出した複数の凸部を有する第1部材と、凹状であるとともに底面から突出した複数の凸部を有する第2部材とが、前記凸部の先端同士が向かい合わせとなるように接合されたケースを有
し、
前記ケースは、当該ケース内に冷媒を流入させる流入口から、当該ケース内から冷媒を流出させる流出口に至る冷媒の流通方向の大きさが、当該流通方向に直交する方向の大きさよりも大きく、当該流通方向に並べて配置される複数の発熱体と接触し、
前記複数の凸部は前記発熱体が配置される部位に設けられており、
前記ケースの外周全部と当該外周の内側の部位であって前記発熱体が配置されていない部位とにレーザ溶接が施されることで前記第1部材と前記第2部材とが接合されている
冷却器。
【請求項2】
前記凸部は、板状、波状及び柱状の少なくともいずれかである
請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記第1部材と、前記第2部材とは、形状が同じである
請求項1
又は2に記載の冷却器。
【請求項4】
長尺状の複数の冷却器と、
前記冷却器における両端部それぞれに設けられた連結部材と、
ボルトを介して、前記複数の冷却器が締め付けられることで、当該複数の冷却器を支持する支持部材と、
前記両端部それぞれに設けられた連結部材間において、冷却器間に配置される発熱体と、当該冷却器の表面とが接触するように当該冷却器を押さえ付ける押付部材と、
を備え
、
前記複数の冷却器内の一の冷却器は、凹状であるとともに底面から突出した複数の凸部を有する第1部材と、凹状であるとともに底面から突出した複数の凸部を有する第2部材とが、前記凸部の先端同士が向かい合わせとなるように接合されたケースを有し、
前記ケースは、当該ケース内に冷媒を流入させる流入口から、当該ケース内から冷媒を流出させる流出口に至る冷媒の流通方向の大きさが、当該流通方向に直交する方向の大きさよりも大きく、当該流通方向に並べて配置される複数の前記発熱体と接触し、
前記複数の凸部は前記発熱体が配置される部位に設けられており、
前記ケースの外周全部と当該外周の内側の部位であって前記発熱体が配置されていない部位とにレーザ溶接が施されることで前記第1部材と前記第2部材とが接合されている
冷却装置。
【請求項5】
前記複数の冷却器の内の一の冷却器と前記連結部材とは、前記支持部材に締め付けられる前に接合されている
請求項
4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記複数の冷却器内の他の冷却器であって前記発熱体が片側に配置される冷却器である第2冷却器は、凹状であるとともに当該発熱体が接触する部位の底面から突出した複数の凸部を有する第3部材と、当該第3部材の開口部を覆うカバーとが接合されて内部に冷媒を流通させる
他のケースを
有する
請求項
4又は5に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却器、冷却装置、冷却装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された冷却器は、第1基体形成部材と第2基体形成部材から構成される基体の内部にフィンユニットを収容することにより形成されている。基体の内部には、熱媒体が流通する内部領域が形成されている。第1基体形成部材において内部領域と反対側の面は、発熱体としてのパワーモジュールが接合される第1面とされている。また、第2基体形成部材において内部領域と反対側の面はパワーモジュールが接合される第2面とされている。フィンユニットは、平板状の基板の両面に円柱状のフィンを形成することにより構成されている。フィンユニットは、基板とフィンを一体成形することで構成されている。具体的にいえば、フィンユニットはフィンユニットの形状に合わせて形成された鍛造用金型により、アルミニウム板や銅板を熱間鍛造することによって形成されている。そして、第1基体形成部材及び第2基体形成部材において、内部領域側の面にろう材を塗布し、フィンユニットにおけるフィンの先端面が第1基体形成部材及び第2基体形成部材にろう材と接した状態で一括ろう付けされて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷却器においては、低廉に製造するという点で、さらなる改善の余地があった。
本発明は、低廉に製造することができる冷却器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、凹状であるとともに底面から突出した複数の凸部を有する第1部材と、凹状であるとともに底面から突出した複数の凸部を有する第2部材とが、前記凸部の先端同士が向かい合わせとなるように接合されたケースを有する冷却器である。
ここで、前記凸部は、板状、波状及び柱状の少なくともいずれかであっても良い。
また、前記第1部材と、前記第2部材とは、レーザ溶接にて接合されていても良い。
また、前記ケースは、当該ケース内に冷媒を流入させる流入口から、当該ケース内から冷媒を流出させる流出口に至る冷媒の流通方向の大きさが、当該流通方向に直交する方向の大きさよりも大きく、前記レーザ溶接は、前記ケースの外周全部と、当該外周の内側の部位と、に施されていても良い。
また、前記第1部材と、前記第2部材とは、形状が同じであっても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、凹状であるとともに底面から突出した複数の凸部を有する第1部材と、当該第1部材の開口部を覆う第2部材と、を有し、内部に冷媒を流通させることが可能な複数の冷却器と、前記複数の冷却器の内の一の冷却器と他の冷却器との間に予め定められたスペースを確保するように、当該一の冷却器と当該他の冷却器とを連結する連結部材と、を備え、前記第1部材と、前記連結部材とが、レーザ溶接にて接合されている冷却装置である。
ここで、前記凸部が形成されている側から前記底面に対してレーザ光を照射しても良い。
また、前記冷却器の前記第1部材の前記複数の凸部は、当該第1部材に接触するように配置される発熱体が配置される第1部位と、前記レーザ光を照射する部位の周りの第2部位とに設けられ、当該第1部位と当該第2部位との間には設けられていなくても良い。
また、前記第1部材と、前記第2部材と、がレーザ溶接にて接合されていても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、凹状であるとともに底面から突出した複数の凸部を有する第1部材と、当該第1部材の開口部を覆う第2部材と、を有し、内部に冷媒を流通させることが可能な複数の冷却器と、当該複数の冷却器の内の一の冷却器と他の冷却器との間に予め定められたスペースを確保するように、当該一の冷却器と当該他の冷却器とを連結する複数の連結部材と、を備える冷却装置の製造方法であって、前記一の冷却器の前記第1部材と前記複数の連結部材の内の一の連結部材とをレーザ溶接にて接合した後に、当該第1部材と当該一の冷却器の前記第2部材とをレーザ溶接にて接合する冷却装置の製造方法である。
ここで、前記一の冷却器の前記第2部材と、当該一の冷却器と前記他の冷却器との間に配置される前記複数の連結部材の内の他の連結部材と、をレーザ溶接にて接合しても良い。
また、前記一の冷却器の上に前記他の連結部材を重ね、当該他の連結部材の上に前記他の冷却器の前記第1部材を重ねた状態で、当該一の冷却器の前記第2部材と当該他の連結部材とをレーザ溶接にて接合した後に、当該他の連結部材と当該他の冷却器の当該第1部材とをレーザ溶接にて接合しても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、長尺状の複数の冷却器と、前記冷却器における両端部それぞれに設けられた連結部材と、ボルトを介して、前記複数の冷却器が締め付けられることで、当該複数の冷却器を支持する支持部材と、前記両端部それぞれに設けられた連結部材間において、冷却器間に配置される発熱体と、当該冷却器の表面とが接触するように当該冷却器を押さえ付ける押付部材と、を備える冷却装置である。
ここで、前記複数の冷却器の内の一の冷却器と前記連結部材とは、前記支持部材に締め付けられる前に接合されていても良い。
また、前記複数の冷却器内の一の冷却器であって前記発熱体が両側に配置される冷却器である第1冷却器は、凹状であるとともに底面から突出した複数の凸部を有する第1部材と、凹状であるとともに底面から突出した複数の凸部を有する第2部材とが、前記凸部が向かい合わせとなるように接合されて内部に冷媒を流通させるケースを構成し、前記複数の冷却器内の他の冷却器であって前記発熱体が片側に配置される冷却器である第2冷却器は、凹状であるとともに当該発熱体が接触する部位の底面から突出した複数の凸部を有する第3部材と、当該第3部材の開口部を覆うカバーとが接合されて内部に冷媒を流通させるケースを構成しても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、凹状である第1部材と、当該第1部材の開口部を覆う第2部材と、を有し、内部に冷媒を流通させることにより被冷却物を冷却する冷却器であって、前記第1部材又は前記第2部材と、前記被冷却物とが、レーザ光が照射されることによって接合されている冷却器である。
ここで、前記第1部材は、底面から突出した複数の凸部を有し、当該複数の凸部の間に前記レーザ光が照射されていても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、凹状である第1部材と、当該第1部材の開口部を覆う第2部材と、を有し、内部に冷媒を流通させることが可能な2つの冷却器が、被冷却物に対して対称的に配置された冷却装置であって、前記2つの冷却器の内の一の冷却器の前記第1部材と前記被冷却物とが、レーザ光が照射されることによって接合され、当該2つの冷却器の内の他の冷却器の当該第1部材と当該被冷却物とが、レーザ光が照射されることによって接合されている冷却装置である。
ここで、前記第1部材は、底面から突出した複数の凸部を有し、当該複数の凸部の間に前記レーザ光が照射されても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、凹状である第1部材と、当該第1部材の開口部を覆う第2部材と、を有し、内部に冷媒を流通させることが可能な2つの冷却器が、被冷却物に対して対称的に配置された冷却装置の製造方法であって、前記2つの冷却器の内の一の冷却器の前記第1部材と前記被冷却物とをレーザ光を照射することによって接合した後に、当該2つの冷却器の内の他の冷却器の当該第1部材と当該被冷却物とをレーザ光を照射することによって接合する冷却装置の製造方法である。
ここで、さらに、前記一の冷却器の前記第1部材と当該一の冷却器の前記第2部材とをレーザ光を照射することによって接合し、前記他の冷却器の前記第1部材と当該他の冷却器の前記第2部材とをレーザ光を照射することによって接合しても良い。
また、前記接合は、前記レーザ光が照射されることによって、溶接されること又ははんだ付けされることであっても良い。
また、前記接合がはんだ付けである場合に、前記被冷却物と接合される、前記第1部材における当該被冷却物と対向する面には、はんだ付けされる部位にめっきが施されていても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、低廉に製造することができる冷却器等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る冷却装置の外観の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る冷却装置を構成する部品を分解した図の一例である。
【
図3】第1の実施形態に係る冷却装置の断面の一例を示す図である。
【
図4】(a)は、第1冷却器の第1部材の平面の一例を示す図である。(b)は、(a)のIVb-IVb部の断面の一例を示す図である。
【
図5】第1冷却器の第1部材と連結部材との接合部位の拡大図である。
【
図6】第1冷却器の第1部材と第2部材との接合を説明するための図である。
【
図7】(a)は、連結部材の斜視図の一例である。(b)は、第1冷却器の第2部材と連結部材との接合を説明するための図である。(c)は、連結部材と第2冷却器の第1部材との接合を説明するための図である。
【
図8】第3の実施形態に係る冷却装置の外観の一例を示す図である。
【
図9】第3の実施形態に係る冷却装置を製造する方法の一例を示す図である。
【
図10】第1部材と発熱体とを、レーザ光を照射することで接合する方法の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る冷却装置1の外観の一例を示す図である。
図2は、第1の実施形態に係る冷却装置1を構成する部品を分解した図の一例である。
図3は、第1の実施形態に係る冷却装置1の断面の一例を示す図である。
図3は、
図1のIII-III部の断面図である。
図4(a)は、第1冷却器10の第1部材11の平面の一例を示す図である。
図4(b)は、
図4(a)のIVb-IVb部の断面の一例を示す図である。
第1の実施形態に係る冷却装置1は、内部に冷媒を流通させることが可能な冷却器である、第1冷却器10と、第2冷却器20と、第3冷却器30と、を備えている。また、冷却装置1は、第1冷却器10と第3冷却器30との間に配置された連結部材40と、第1冷却器10と第2冷却器20との間に配置された連結部材50と、を備えている。また、冷却装置1は、第1冷却器10、第2冷却器20、第3冷却器30を支持する支持部材60を備えている。また、冷却装置1は、第1冷却器10と第2冷却器20との間に配置された発熱体100と、第1冷却器10及び第2冷却器20の表面とが接触するように、及び、第1冷却器10と第3冷却器30との間に配置された発熱体100と、第1冷却器10及び第3冷却器30の表面とが接触するように、これらの部材を押さえ付ける押付部材70を備えている。また、冷却装置1は、第3冷却器30と押付部材70との間に配置された連結部材80を備えている。
【0009】
図1、
図2に示すように、冷却装置1は、第1冷却器10、第2冷却器20及び第3冷却器30が積層された積層型の冷却装置である。以下では、第1冷却器10、第2冷却器20及び第3冷却器30が積層される方向を、「上下方向」と称する場合がある。
第1冷却器10、第2冷却器20、第3冷却器30、連結部材40、連結部材50、支持部材60、及び、連結部材80の材質は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム材、又は、銅であることを例示することができる。
発熱体100は、カード型パワーモジュールであることを例示することができる。
【0010】
(第1冷却器10)
第1冷却器10は、凹状であるとともに底面11aから突出した複数の凸部11bを有する第1部材11と、凹状であるとともに底面12aから突出した複数の凸部12bを有する第2部材12とが、凸部11bの先端と凸部12bの先端同士が向かい合わせとなるように接合されたケース13を有する。ケース13は、概形が直方体の部材であり、内部に、冷媒が流通する空間S1が形成されている。以下の説明において、ケース13の長手方向を単に「長手方向」、ケース13の短手方向を単に「短手方向」と称する場合がある。凸部11b、凸部12bは、円柱状や四角柱状の柱状であることを例示することができる。あるいは、凸部11b、凸部12bは、長手方向へ伸びた平板状であることを例示することができる。また、凸部11b、凸部12bが平板状である場合には、長手方向に平行であっても良いし、長手方向に傾斜した部位を有する波状であっても良い。
【0011】
第1部材11には、底面11aにおける長手方向の一方の端部に、空間S1とケース13の外部とを連通させる第1連通孔11cが形成され、底面11aにおける長手方向の他方の端部に、空間S1とケース13の外部とを連通させる第2連通孔11dが形成されている。第1連通孔11cは、第1部材11の長手方向が短手方向、第1部材11の短手方向が長手方向となる長孔である。第2連通孔11dは、第1連通孔11cと同一形状であることを例示することができる。また、第1部材11は、底面11aの外周部から底面11aと直交する方向に伸びた側壁11eと、側壁11eの先端部から底面11aと平行な方向に外側に突出したフランジ11fとを有している。底面11aと側壁11eとで凹部が形成され、この凹部の周囲に、フランジ11fが形成されている。
【0012】
また、第1部材11に設けられた複数の凸部11bは、長手方向に、3つの領域である第1領域11g、第2領域11h、第3領域11jに分かれて設けられている。そして、第1領域11gと第2領域11hとの間には、底面11aから突出した突起11kが短手方向に複数(本実施の形態においては2つ)設けられ、第2領域11hと第3領域11jとの間には、底面11aから突出した突起11mが短手方向に複数(本実施の形態においては2つ)設けられている。これら複数の凸部11b、複数の突起11k及び複数の突起11mは、凹部側、言い換えればケース13の空間S1側に設けられている。一方、第1部材11における凹部とは反対側、言い換えればケース13の外面側においては、複数の凸部11bが設けられている部位は平坦な外面11pを形成する。他方、複数の突起11k及び複数の突起11mが設けられている部位には、外面11pから凹んだ凹部11rが設けられている。つまり、突起11k及び突起11mが設けられている部位は、底面11aと外面11pとの間の肉厚と同じ肉厚となるように、外面11pから凹み、凹部11rが形成されている。ただし、凹部11rの周囲の肉厚は、底面11aと外面11pとの間の肉厚と同じでなくても良い。
【0013】
フランジ11f、突起11k及び突起11mの先端は、同一平面上となるように成形されている。また、第1領域11gに対応する外面11pである第1外面11s、第2領域11hに対応する外面11pである第2外面11t、第3領域11jに対応する外面11pである第3外面11uは、発熱体100が接触する面であり、全て同じ面積となるように形成されている。そして、第1外面11sと第2外面11tとの間に、凹部11rが短手方向に複数(本実施の形態においては2つ)設けられている。また、第2外面11tと第3外面11uとの間に、凹部11rが短手方向に複数(本実施の形態においては2つ)設けられている。
【0014】
複数の凸部11bは、第1部材11に接触するように配置される発熱体100が配置される第1部位の一例としての、第1領域11g、第2領域11h、第3領域11jと、第1連通孔11cの周りの第2部位の一例としての周囲領域11vと、第2連通孔11dの周りの第2部位の一例としての周囲領域11wとに設けられている。そして、周囲領域11vと第1領域11gとの間、周囲領域11wと第3領域11jとの間には、複数の凸部11bは設けられていない。
なお、側壁11eは、底面11aの外周部から底面11aと直交する方向に伸びていなくても良く、直交する方向に対して傾斜した方向であっても良い。
【0015】
第2部材12は、第1部材11と同一形状であることを例示することができる。つまり、第2部材12には、底面12aにおける長手方向の一方の端部に、空間S1とケース13の外部とを連通させる第1連通孔(不図示)が形成され、底面12aにおける長手方向の他方の端部に、空間S1とケース13の外部とを連通させる第2連通孔(不図示)が形成されている。また、第2部材12は、底面12aの外周部から底面12aと直交する方向に伸びた側壁12eと、側壁12eの先端部から底面12aと平行な方向に外側に突出したフランジ12fとを有している。底面12aと側壁12eとで凹部が形成され、この凹部の周囲に、フランジ12fが形成されている。
【0016】
また、第2部材12に設けられた複数の凸部12bは、長手方向に、3つの領域である第1領域(不図示)、第2領域(不図示)、第3領域(不図示)に分かれて設けられている。そして、第1領域(不図示)と第2領域(不図示)との間には、底面12aから突出した突起(不図示)が短手方向に複数(本実施の形態においては2つ)設けられ、第2領域(不図示)と第3領域(不図示)との間には、底面12aから突出した突起(不図示)が短手方向に複数(本実施の形態においては2つ)設けられている。これら複数の凸部12b、複数の突起は、凹部側、言い換えればケース13の空間S1側に設けられている。一方、第2部材12における凹部とは反対側、言い換えればケース13の外面側においては、複数の凸部12bが設けられている部位は外面12pを形成する。他方、複数の突起が設けられている部位には、外面12pから凹んだ凹部(不図示)が設けられている。つまり、突起が設けられている部位は、底面12aと外面12pとの間の肉厚と同じ肉厚となるように、外面12pから凹み、凹部が形成されている。ただし、凹部の周囲の肉厚は、底面12aと外面12pとの間の肉厚と同じでなくても良い。
【0017】
フランジ12f、突起の先端は、同一平面上となるように成形されている。また、第1領域に対応する外面12pである第1外面(不図示)、第2領域に対応する外面12pである第2外面(不図示)、第3領域に対応する外面12pである第3外面(不図示)は、発熱体100が接触する面であり、全て同じ面積となるように形成されている。そして、第1外面と第2外面との間に、凹部が短手方向に複数(本実施の形態においては2つ)設けられている。また、第2外面と第3外面との間に、凹部が短手方向に複数(本実施の形態においては2つ)設けられている。
【0018】
第1部材11と第2部材12とが同じ形状であることにより、冷却装置1を構成する部品の種類を削減することが可能となる。
【0019】
第1部材11と第2部材12とは、フランジ11fとフランジ12f、複数の凸部11bの先端と複数の凸部12bの先端、突起11mの先端と突起(不図示)の先端、突起11mの先端と突起(不図示)の先端が、接触するように配置された状態で、レーザ溶接にて接合されている。レーザ溶接は、第1部材11又は第2部材12の一方の部材の外側からレーザ光が照射されることにより施される。レーザ光が照射される部位は、フランジ11fとフランジ12fとの重ね合わせ部位、突起11kと突起(不図示)との重ね合わせ部位、突起11mと突起(不図示)との重ね合わせ部位である。フランジ11fとフランジ12fとの重ね合わせ部位には、例えば、第1部材11のフランジ11fの全周に対して外側からレーザ光が照射される。また、突起11kと突起(不図示)との重ね合わせ部位、突起11mと突起(不図示)との重ね合わせ部位には、例えば、第1部材11の外側から凹部11rの底部に対してスポット的にレーザ光が照射される。そして、いずれの部位においても、第1部材11と第2部材12との両方の部材が溶けて固まることにより溶融部が形成されるようにレーザ光が照射される。これにより、レーザ溶接が、ケース13における空間Sの周囲全部と、空間Sの周囲の内側の部位、言い換えれば空間S1内に施される。
【0020】
そして、第1冷却器10は、第1部材11が押付部材70側に、第2部材12が支持部材60側となるように配置されている。
そして、第2部材12に形成された第1連通孔が、空間S1内に冷媒を流入させる流入口として機能し、第2部材12に形成された第2連通孔が、空間S1内から冷媒を流出させる流出口として機能する。
【0021】
(第2冷却器20)
第2冷却器20は、凹状であるとともに底面21aから突出した複数の凸部21bを有する第1部材21と、第1部材21の開口部を覆う平板状の第2部材22とが、凸部21bの先端が第2部材22と向かい合わせとなるように接合されたケース23を有する。ケース23は、概形が直方体の部材であり、内部に冷媒が流通する空間S2が形成されている。凸部21bは、円柱状や四角柱状の柱状であることを例示することができる。あるいは、凸部21bは、長手方向に伸びた平板状であることを例示することができる。また、凸部21bが平板状である場合には、長手方向に平行であっても良いし、長手方向に傾斜した部位を有する波状であっても良い。
【0022】
第1部材21は、第1冷却器10の第1部材11と同一形状であり、第1連通孔11c、第2連通孔11d、側壁11e、フランジ11fにそれぞれ相当する、第1連通孔(不図示)、第2連通孔(不図示)、側壁21e、フランジ21fを有している。また、第1部材21は、第1部材11の突起11k、突起11m、凹部11r、第1外面11s、第2外面11t、第3外面11uにそれぞれ相当する、突起(不図示)、突起(不図示)、凹部(不図示)、第1外面(不図示)、第2外面(不図示)、第3外面(不図示)を有している。
第2部材22は、外周部の形状が第1部材21のフランジ21fと同一形状の平板状の部材である。そして、第2部材22には、第1部材21の第1連通孔と対向する位置に第1連通孔(不図示)が形成され、第1部材21の第2連通孔(不図示)と対向する位置に第2連通孔が形成されている。
【0023】
第1部材21と第2部材22とは、フランジ21f、複数の凸部21bの先端、複数の突起の先端が、第2部材22と接触するように配置された状態で、レーザ溶接にて接合されている。レーザ溶接は、第2部材22の外側からレーザ光が照射されることにより施される。レーザ光が照射される部位は、フランジ21fと第2部材22との重ね合わせ部位、突起と第2部材22との重ね合わせ部位である。フランジ21fと第2部材22との重ね合わせ部位には、例えば、第1部材21のフランジ21fの全周の形状に沿うように、第2部材22側からレーザ光が照射される。また、突起と第2部材22との重ね合わせ部位には、第2部材22の外側から突起に対応する部位に対してスポット的にレーザ光が照射される。そして、いずれの部位においても、第1部材21と第2部材22との両方の部材が溶けて固まることにより溶融部が形成されるようにレーザ光が照射される。これにより、レーザ溶接が、ケース23における空間S2の周囲全部と、空間S2の周囲の内側の部位、言い換えれば空間S2内に施される。
以上のように構成された第2冷却器20は、第1部材21が押付部材70側、第2部材22が支持部材60側にとなるように配置されている。
そして、第2部材22に形成された第1連通孔が、空間S2内に冷媒を流入させる流入口として機能し、第2部材22に形成された第2連通孔が、空間S2内から冷媒を流出させる流出口として機能する。
【0024】
(第3冷却器30)
第3冷却器30は、第2冷却器20の第1部材21と同一の第1部材31と、第2冷却器20の第2部材22に相当する第2部材32とが、接合されたケース33を有する。ケース33は、概形が直方体の部材であり、内部に冷媒が流通する空間S3が形成されている。そして、第3冷却器30は、第1部材31が支持部材60側に、第2部材32が押付部材70側となるように配置されている。
第1部材31には、空間S3内に冷媒を流入させる流入口として機能する第1連通孔、及び、空間S3内から冷媒を流出させる流出口として機能する第2連通孔が形成されている。
一方、第2部材32には、第2部材22の第1連通孔及び第2連通孔に相当する連通孔は形成されていない。
【0025】
(連結部材40)
連結部材40は、ケース13の長手方向が短軸方向、ケース13の短手方向が長軸方向となる楕円柱状の部材である。連結部材40の中央部には、長軸方向が長手方向、短軸方向が短手方向となる長孔の貫通孔41が形成されている。貫通孔41は、第1冷却器10の第1部材11の第1連通孔11cと同じ形状である。また、連結部材40の両面における貫通孔41の周囲には、Oリング45が嵌め込まれる溝42が形成されている。また、連結部材40は、溝42における長軸方向の両側それぞれに一方の面から円柱状に突出した突出部43を有している。突出部43には、中央部に、円柱状の貫通孔44が形成されている。
連結部材40の中央部の上下方向の大きさは、発熱体100の厚さである発熱体100の上下方向の大きさと同じ大きさである。また、連結部材40の突出部43の上下方向の大きさは、ケース13の厚さであるケース13の上下方向の大きさと同じ大きさである。
【0026】
(連結部材50)
連結部材50は、連結部材40に対して、突出部43に相当する突出部53の上下方向の大きさが突出部43の上下方向の大きさよりも小さい点が異なる。つまり、連結部材50は、ケース13の長手方向が短軸方向、ケース13の短手方向が長軸方向となる楕円柱状の部材である。そして、連結部材50の中央部には、長軸方向が長手方向、短軸方向が短手方向となる長孔の貫通孔51が形成されている。貫通孔51は、第1冷却器10の第1部材11の第1連通孔11cと同じ形状である。また、連結部材50の両面における貫通孔51の周囲には、Oリング55が嵌め込まれる溝52が形成されている。また、連結部材50は、溝52における長軸方向の両側それぞれに一方の面から円柱状に突出した突出部53を有している。突出部53には、中央部に、円柱状の貫通孔54が形成されている。
連結部材50の中央部の上下方向の大きさは、発熱体100の上下方向の大きさと同じ大きさである。また、連結部材50の突出部53の上下方向の大きさは、ケース23の厚さであるケース23の上下方向の大きさと同じ大きさである。
ただし、連結部材50は、連結部材40と同一形状であっても良い。
【0027】
(支持部材60)
支持部材60には、長手方向の一方の端部に上面から凹んだ第1空間61と、長手方向の他方の端部に上面から凹んだ第2空間62とが形成されている。第1空間61における上面側の開口部61aは、第1部材11の第1連通孔11cと同じ形状である。第2空間62における上面側の開口部62aは、第1部材11の第2連通孔11dと同じ形状である。支持部材60における開口部61aの周囲には、Oリング65が嵌め込まれる溝61bが形成されている。支持部材60における開口部62aの周囲には、Oリング66が嵌め込まれる溝62bが形成されている。また、支持部材60には、溝61bにおける長軸方向の両外側に雌ネジ61cが形成されている。また、支持部材60には、溝62bにおける長軸方向の両外側に雌ネジ62cが形成されている。
【0028】
支持部材60には、第1空間61と外部とを、上下方向に直交する方向(
図1及び
図2においては短手方向)に連通する連通孔が形成されており、当該連通孔に第1ジョイント63が嵌め込まれている。また、支持部材60には、第2空間62と外部とを、上下方向に直交する方向に連通する連通孔が形成されており、当該連通孔に第2ジョイント64が嵌め込まれている。
【0029】
(押付部材70)
押付部材70は、複数(本実施の形態においては3つ)の皿ばね71と、これら複数の皿ばね71を保持するプレート72と、を備えている。
皿ばね71は、中心に穴の開いた円盤状の板が円錐状にされた部材であり、径が小さい方がプレート72側、径が大きい方が第3冷却器30側となるように配置されている。皿ばね71は、冷却器間に配置された3つの発熱体100それぞれに対応する位置に、プレート72に取り付けられている。
プレート72は、平板状の部材であり、中央部に皿ばね71を保持する保持部72aを有している。また、プレート72は、保持部72aにおける長手方向の両端部それぞれに、連結部材80の上面を覆う覆い部72bを有している。各覆い部72bには、ボルト90を通すための貫通孔72cが2つ形成されている。
皿ばね71の材質は鋼、プレート72の材質は、鋼、鉄、アルミニウム材、銅であることを例示することができる。
【0030】
(連結部材80)
連結部材80は、連結部材50に対して、貫通孔51や溝52が形成されていない点が異なる。つまり、連結部材80は、ケース13の長手方向が短軸方向、ケース13の短手方向が長軸方向となる楕円柱状の部材である。また、連結部材80は、長軸方向の両端部それぞれに一方の面から円柱状に突出した突出部83を有している。突出部83には、中央部に、円柱状の貫通孔84が形成されている。突出部83の上下方向の大きさは、ケース33における上下方向の大きさと同じ大きさである。
【0031】
以上のように構成された冷却装置1は、支持部材60の上に第2冷却器20、第2冷却器20の上に第1冷却器10、第1冷却器10の上に第3冷却器30、第3冷却器30の上に押付部材70がそれぞれ配置されている。また、第2冷却器20と第1冷却器10との間に、3つの被冷却物の一例としての発熱体100が配置されている。また、第1冷却器10と第3冷却器30との間に3つの発熱体100が配置されている。また、第2冷却器20と第1冷却器10との間に2つの連結部材50が配置され、第1冷却器10と第3冷却器30との間に2つの連結部材40が配置され、第3冷却器30と押付部材70との間に2つの連結部材80が配置されている。第2冷却器20と第1冷却器10との間に配置された連結部材50は、突出部53の下面が支持部材60に接触し、第1冷却器10と第3冷却器30との間に配置された連結部材40は、突出部43の下面が、連結部材50に接触するように配置されている。また、第3冷却器30と押付部材70との間に配置された連結部材80は、突出部83の下面が、連結部材40に接触するように配置されている。そして、長手方向の両端部それぞれにおいて、押付部材70の上側から、プレート72の貫通孔72c、連結部材80の貫通孔84、連結部材40の貫通孔44、連結部材50の貫通孔54を通されたボルト90の雄ねじが、支持部材60に形成された雌ネジ61c、雌ネジ62cに締め付けられることで、第1冷却器10、第2冷却器20、第3冷却器30、及び、発熱体100が、支持部材60に支持される。
【0032】
(冷却装置1の製造方法)
以上のように構成された冷却装置1は、以下のようにして製造される。
図5は、第1冷却器10の第1部材11と連結部材40との接合部位の拡大図である。
第1冷却器10の第1部材11と連結部材40とを、レーザ溶接にて接合する。レーザ溶接する際には、連結部材40の上に第1部材11を載せて、貫通孔41と第1連通孔11cとが一致するように第1部材11と連結部材40とを重ね合わせる。そして、重ね合わせ部位における第1部材11に向けて、レーザ装置150のレーザヘッド151からレーザ光Lを照射し、レーザヘッド151を第1連通孔11cの形状に沿って移動させることで、第1連通孔11cの周囲にレーザ光Lを連続的に照射する。なお、レーザ装置150のレーザ源は特に限定されない。YAGレーザ、CO
2レーザ、ファイバレーザ、ディスクレーザ、半導体レーザであることを例示することができる。また、レーザ光Lの照射方向は、重ね合わせ部位の第1部材11の底面11aに対して直交する方向でも良いし、直交方向に対して傾斜した方向であっても良い。
なお、
図5には、長手方向の一方の端部を示しているが、長手方向の他方の端部においても、同様に、第1部材11と連結部材40とをレーザ溶接にて接合する。
【0033】
図6は、第1冷却器10の第1部材11と第2部材12との接合を説明するための図である。
次に、第1部材11と第2部材12とを、第1部材11のフランジ11fの上に第2部材12のフランジ12fが載るように、フランジ11fとフランジ12fとを重ね合わせる。そして、第2部材12の外側から、フランジ12fに向けて、レーザ装置150のレーザヘッド151からレーザ光Lを照射しながらレーザヘッド151をフランジ12fの形状に沿って移動させることで、レーザ光Lを連続的に照射する。また、第1部材11の突起11kと第2部材12の突起(不図示)との重ね合わせ部位、第1部材11の突起11mと第2部材12の突起(不図示)との重ね合わせ部位に、例えば、第2部材12の外側から凹部12rの底部に対してスポット的にレーザ光Lを照射する。
このようにして、第1部材11と第2部材12とをレーザ溶接にて接合する。
【0034】
図5を用いて説明したのと同様な方法で、第2冷却器20の第1部材21と連結部材50とをレーザ溶接にて接合する。その後、
図6を用いて説明したのと同様な方法で、第2冷却器20の第1部材21と第2部材22とをレーザ溶接にて接合する。
また、
図5を用いて説明したのと同様な方法で、第3冷却器30の第2部材32と連結部材80とをレーザ溶接にて接合する。その後、
図6を用いて説明したのと同様な方法で、第3冷却器30の第1部材31と第2部材32とをレーザ溶接にて接合する。
【0035】
その後、支持部材60の上に、連結部材50が接合された第2冷却器20を載せる。言い換えれば、支持部材60の上に、第2冷却器20が接合された連結部材50を載せる。その後、第2冷却器20の上に、連結部材40が接合された第1冷却器10を載せる。言い換えれば、連結部材50の上に、第1冷却器10が接合された連結部材40を載せる。その際、第1冷却器10と第2冷却器20との間に3つの発熱体100を配置する。より具体的には、第2冷却器20の第1部材21の第1外面と第1冷却器10の第2部材12の第1外面との間に発熱体100を配置し、第1部材21の第2外面と第2部材12の第2外面との間に発熱体100を配置し、第1部材21の第3外面と第2部材12の第3外面との間に発熱体100を配置する。
【0036】
その後、第1冷却器10の上に、連結部材80が接合された第3冷却器30を載せる。言い換えれば、連結部材40の上に、第3冷却器30が接合された連結部材80を載せる。その際、第1冷却器10と第3冷却器30との間に3つの発熱体100を配置する。より具体的には、第1冷却器10の第1部材11の第1外面11sと第3冷却器30の第1部材31の第1外面との間に発熱体100を配置し、第1部材11の第2外面11tと第1部材31の第2外面との間に発熱体100を配置し、第1部材11の第3外面11uと第1部材31の第3外面との間に発熱体100を配置する。
【0037】
その後、第3冷却器30の上に、押付部材70を載せる。言い換えれば、連結部材80の上に、押付部材70のプレート72を載せる。そして、長手方向の一方の端部において、押付部材70の上側から、プレート72の貫通孔72c、連結部材80の貫通孔84、連結部材40の貫通孔44、連結部材50の貫通孔54にボルト90を通し、雄ねじを、支持部材60に形成された雌ネジ61cに締め付ける。また、長手方向の他方の端部において、押付部材70の上側から、プレート72の貫通孔72c、連結部材80の貫通孔84、連結部材40の貫通孔44、連結部材50の貫通孔54にボルト90を通し、雄ねじを、支持部材60に形成された雌ネジ62cに締め付ける。
【0038】
以上のように構成された冷却装置1においては、支持部材60の第1ジョイント63から第1空間61内に流入した冷媒が、開口部61a、及び、第2冷却器20の第2部材22における長手方向の一方の端部に形成された第1連通孔を通って、第2冷却器20の第1部材21と第2部材22との間の空間S2内に流入する。そして、空間S2内に流入した冷媒の一部は、空間S2内を長手方向に進み、第2部材22における長手方向の他方の端部に形成された第2連通孔を通って、第2冷却器20外に流出する。
【0039】
また、空間S2内に流入した冷媒の一部は、第2冷却器20の第1部材21における長手方向の一方の端部に形成された第1連通孔を通って、第2冷却器20外に流出し、連結部材50の貫通孔51、及び、第1冷却器10の第2部材12における長手方向の一方の端部に形成された第1連通孔を通って、第1冷却器10の第1部材11と第2部材12との間の空間S1内に流入する。そして、空間S1内に流入した冷媒の一部は、空間S1内を長手方向に進み、第2部材12における長手方向の他方の端部に形成された第2連通孔を通って、第1冷却器10外に流出する。
【0040】
また、空間S1内に流入した冷媒の一部は、第1冷却器10の第1部材11における長手方向の一方の端部に形成された第1連通孔11cを通って、第1冷却器10外に流出し、連結部材40の貫通孔41、及び、第3冷却器30の第1部材31における長手方向の一方の端部に形成された第1連通孔を通って、第3冷却器30の第1部材31と第2部材32との間の空間S3内に流入する。そして、空間S3内に流入した冷媒は、空間S3内を長手方向に進み、第1部材31における長手方向の他方の端部に形成された第2連通孔を通って、第3冷却器30外に流出する。
【0041】
第3冷却器30外に流出した冷媒は、連結部材40の貫通孔41、及び、第1冷却器10の第1部材11の第2連通孔11d及び第2部材12の第2連通孔を通って、第1冷却器10外に流出する。また、第1冷却器10外に流出した冷媒は、連結部材50の貫通孔51、及び、第2冷却器20の第1部材21の第2連通孔及び第2部材22の第2連通孔を通って、第2冷却器20外に流出する。そして、第2冷却器20外に流出した冷媒は、支持部材60に形成された開口部62aを介して、第2空間62内に入り、第2ジョイント64から流出する。
【0042】
このようにして、冷媒が、第1冷却器10の空間S1、第2冷却器20の空間S2を流通する間に、第1冷却器10と第2冷却器20との間に配置された発熱体100を冷却する。また、第1冷却器10の空間S1、第3冷却器30の空間S3を流通する間に、第1冷却器10と第3冷却器30との間に配置された発熱体100を冷却する。
【0043】
なお、長手方向の一方の端部側において、支持部材60の溝61bに嵌め込まれたOリング65が支持部材60と第2冷却器20との間の隙間を密封するので、支持部材60の開口部61aを通って第2冷却器20の空間S2内に流入しようとする冷媒が、この隙間から冷却装置1の外部に向かうことが抑制される。
また、連結部材50の溝52に嵌め込まれたOリング55が連結部材50と第1冷却器10との間の隙間を密封するので、連結部材50の貫通孔51を通って第1冷却器10の空間S1内に流入しようとする冷媒が、この隙間から冷却装置1の外部に向かうことが抑制される。
また、連結部材40の溝42に嵌め込まれたOリング45が連結部材40と第3冷却器30との間の隙間を密封するので、連結部材40の貫通孔41を通って第3冷却器30の空間S3内に流入しようとする冷媒が、この隙間から冷却装置1の外部に向かうことが抑制される。
【0044】
また、長手方向の他方の端部側において、連結部材40の溝42に嵌め込まれたOリング45が連結部材40と第3冷却器30との間の隙間を密封するので、連結部材40の貫通孔41を通って第1冷却器10の空間S1内に流入しようとする冷媒が、この隙間から冷却装置1の外部に向かうことが抑制される。
また、連結部材50の溝52に嵌め込まれたOリング55が連結部材50と第1冷却器10との間の隙間を密封するので、連結部材50の貫通孔51を通って第2冷却器20の空間S2内に流入しようとする冷媒が、この隙間から冷却装置1の外部に向かうことが抑制される。
また、支持部材60の溝62bに嵌め込まれたOリング66が支持部材60と第2冷却器20との間の隙間を密封するので、支持部材60の開口部62aを通って支持部材60の第2空間62内に流入しようとする冷媒が、この隙間から冷却装置1の外部に向かうことが抑制される。
【0045】
以上説明したように、第1冷却器10は、凹状であるとともに底面11aから突出した複数の凸部11bを有する第1部材11と、凹状であるとともに底面12aから突出した複数の凸部12bを有する第2部材12とが、凸部11bの先端と凸部12bの先端とが向かい合わせとなるように接合されたケース13を有する。
以上のように構成された第1冷却器10においては、第1部材11の底面11aから凸部11bが突出し、第2部材12の底面12aから凸部12bが突出しているので、例えば、一方側の部材(第1部材11又は第2部材12)から、凸部11bの上下方向の大きさと凸部12bの上下方向の大きさとを加算した大きさの凸部が突出している構成と比べると、凸部11b、凸部12bの上下方向の大きさが小さくなる。それゆえ、第1部材11、第2部材12を、一つのプレス金型の中に複数の工程を配列し、コイル状の被加工材がつながったままの状態で各工程の加工を連続で行えるように構成されたプレス金型を用いて、順送プレス加工を施すことにより成形することができる。その結果、第1部材11、第2部材12を、例えば、熱間鍛造にて成形する場合よりも、低廉に製造することができる。また、第1部材11と第2部材12とが凹状であり、これらが接合されてケース13内に空間S1を形成することにより、例えば、凹状の第1部材21と平板状の第2部材22とにより形成されるケース23内の複数の凸部21bの表面積よりも、ケース13内の複数の凸部11b及び12bの表面積の方が大きくなる。その結果、第1冷却器10の冷却性能を、第2冷却器20の冷却性能よりも高めることができる。また、ケース13は、凸部11bの先端と凸部12bの先端とが向かい合わせとなるように接合されているので、押付部材70にて押さえ付けられたとしても、ケース13が上下方向に変形することを抑制することができる。
【0046】
また、第1部材11と、第2部材12とは、レーザ溶接にて接合されている。第1部材11と第2部材12との接合は、ロウ付けやはんだ付けにて行っても良いが、レーザ溶接にて接合することで、簡易かつ確度高く接合することができる。
また、ケース13は、ケース13内に冷媒を流入させる流入口からケース13内から冷媒を流出させる流出口に至る冷媒の流通方向の一例としての長手方向の大きさが、流通方向に直交する方向の一例としての短手方向の大きさよりも大きく、レーザ溶接は、ケース13の外周全部の一例としてのフランジ11fとフランジ12fとの重ね合わせ部位の全周と、当該外周の内側の部位の一例としての、第1部材11の突起11kと第2部材12の突起との重ね合わせ部位、第1部材11の突起11mと第2部材12の突起との重ね合わせ部位と、に施されている。それゆえ、ケース13の長手方向の大きさが大きくても、ケース13が上下方向に変形することを抑制することができる。また、ケース13内の圧力が大きくなってもケース13が膨らむことを抑制できる。また、レーザヘッド151を上下方向に移動させることなく、フランジ12fの面に沿う方向にレーザヘッド151を移動させることで行うことができるので、レーザヘッド151を上下方向に移動させる場合と比べて簡易に行うことができる。
【0047】
そして、レーザ溶接が施されている、第1部材11の突起11kと第2部材12の突起との重ね合わせ部位、第1部材11の突起11mと第2部材12の突起との重ね合わせ部位は、長手方向の大きさを、等間隔に区画する部位であると良い。これにより、ケース13を、長手方向の全域に亘って変形し難くすることができる。
また、第1冷却器10においては、第1部材11と第2部材12とは、形状が同じであるため、部品の種類を少なくすることができ、部品管理を容易にすることができる。
【0048】
以上説明したように、冷却装置1は、凹状であるとともに底面(例えば底面11a、底面31a)から突出した複数の凸部(例えば凸部11b、凸部31b)を有する第1部材(例えば第1部材11、第1部材31)と、当該第1部材の開口部を覆う第2部材(例えば第2部材12、第2部材32)と、を有し、内部に冷媒を流通させることが可能な複数の冷却器(例えば第1冷却器10、第3冷却器30)を備える。また、冷却装置1は、複数の冷却器の内の一の冷却器(例えば第1冷却器10)と他の冷却器(例えば第3冷却器30)との間に予め定められたスペースを確保するように、当該一の冷却器と当該他の冷却器とを連結する連結部材(例えば連結部材40)と、を備え、第1部材(例えば第1部材11)と、連結部材(例えば連結部材40)とが、レーザ溶接にて接合されている。これにより、第1冷却器10と連結部材40とを、例えば第1冷却器10の外部にて接合する場合に比べて、接合するのに必要なスペースが不要となるので、省スペース化を実現できる。それゆえ、冷却装置1の体格を小さくすることができ、冷却装置1を低廉に製造することが可能になる。なお、予め定められたスペースは、第1冷却器10と第3冷却器30との間に、発熱体100の一例としてのカード型パワーモジュールを配置できるスペースであることを例示することができる。
【0049】
ここで、凸部(例えば凸部11b)が形成されている側から底面(例えば底面11a)に対してレーザ光Lを照射すると良い。これにより、レーザヘッド151を上下方向に移動させることなく、底面(例えば底面11a)に沿う方向にレーザヘッド151を移動させることで行うことができるので、レーザヘッド151を上下方向に移動させる場合と比べて簡易に行うことができる。
【0050】
冷却器(例えば第1冷却器10)の第1部材(例えば第1部材11)の複数の凸部(例えば凸部11b)は、当該第1部材に接触するように配置される発熱体100が配置される第1部位(例えば第1領域11g)と、レーザ光Lを照射する部位の周りの第2部位(例えば周囲領域11v)とに設けられ、当該第1部位と当該第2部位との間には設けられていない。凸部(例えば凸部11b)が、発熱体100が配置される第1部位に設けられることにより、発熱体100を冷却する性能を向上させることができる。また、凸部(例えば凸部11b)が、第2部位(例えば周囲領域11v)に設けられることにより、第1連通孔(例えば第1連通孔11c)の周囲の剛性を高めることができ、連結部材(例えば連結部材40)と冷却器(例えば第3冷却器30)との間をシールするOリング(例えばOリング45)のシール性を高めることができる。そして、第1部位と第2部位との間には設けられていないことにより、ケース(例えばケース13)内を流れる冷媒の流通抵抗を抑制することができる。
【0051】
また、冷却装置1は、長尺状の複数の冷却器(例えば第1冷却器10、第2冷却器20、第3冷却器30)と、当該冷却器における両端部それぞれに設けられてボルトを通す孔が形成された連結部材(例えば連結部材40、連結部材50、連結部材80)と、ボルト90を介して、当該複数の冷却器が締め付けられることで、当該複数の冷却器を支持する支持部材60と、両端部それぞれに設けられた連結部材間において、冷却器間に配置される発熱体100と、当該冷却器の表面とが接触するように当該冷却器を押さえ付ける部材の一例としての押付部材70と、を備える。これにより、複数の部品からなる冷却装置1を簡易に組付け可能としつつ、発熱体100をより確実に冷却可能にすることができる。
【0052】
ここで、冷却器(例えば第1冷却器10)と連結部材(例えば連結部材40)とは、支持部材60に締め付けられる前に接合されている。これにより、複数の冷却器(例えば第1冷却器10、第2冷却器20、第3冷却器30)を積層していく際に、冷却器(例えば第1冷却器10)と連結部材(例えば連結部材40)とが接合された状態で重ねていくことができるので、組み立てを容易にすることができる。
【0053】
また、複数の冷却器内の一の冷却器であって発熱体100が両側に配置される冷却器である第1冷却器10は、凸部11bと凸部12bとが向かい合わせとなるように接合されて内部に冷媒を流通させるケース13を構成し、複数の冷却器内の他の冷却器であって発熱体100が片側に配置される冷却器である第2冷却器20は、凹状であるとともに発熱体100が接触する部位の底面21aから突出した複数の凸部21bを有する第3部材の一例としての第1部材21と、第1部材21の開口部を覆うカバーの一例としての第2部材22とが接合されて内部に冷媒を流通させるケース23を構成する。また、発熱体100が片側に配置される冷却器である第3冷却器30は、凹状であるとともに発熱体100が接触する部位の底面31aから突出した複数の凸部31bを有する第1部材31と、第1部材31の開口部を覆う第2部材32とが接合されて内部に冷媒を流通させるケース33を構成する。これにより、発熱体100が両側に配置されるケース13の空間S1の容積を、発熱体100が片側に配置されるケース23の空間S2及びケース33の空間S3の容積より大きくすることができ、両側に発熱体100が配置される構成であっても冷却性能が低下しないようにすることができる。つまり、複数の発熱体100をバランスよく、均一に冷却できるように、複数の冷却器に対して、それぞれ必要な量の冷媒を供給することができる。
【0054】
なお、上述した冷却装置1においては、第1冷却器10と第2冷却器20との間、及び、第1冷却器10と第3冷却器30との間に、それぞれ、3つの発熱体100が配置されているが、特に3つに限定されない。例えば、1つでも良いし、2や4以上の複数であっても良い。冷却器間に配置される発熱体100の数に応じて、冷却器(例えば第1冷却器10)を構成する第1部材(例えば第1部材11)及び第2部材(例えば第2部材12)の長手方向の長さを変更すると良い。
また、発熱体100を上下方向に2段配置しているが、特に2段に限定されない。例えば、1段でも良いし、3段以上の複数段であっても良い。3段以上とする場合には、冷却装置1に対して、第1冷却器10の数を増やすと良い。例えば、3段である場合には、第2冷却器20と第3冷却器30との間に、連結部材40が接合された第1冷却器10を2つ重ねると良い。
【0055】
また、上述した冷却装置1においては、冷却器(例えば第1冷却器10)と連結部材(例えば連結部材40)とは、レーザ溶接にて接合されているが、特に接合されていなくても良い。例えば第1冷却器10と連結部材40とをレーザ溶接にて接合しない場合には、第1冷却器10と連結部材40との間をOリングにてシールすると良い。
【0056】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る冷却装置2は、第1の実施形態に係る冷却装置1に対して、第1冷却器10の第2部材12と、連結部材50に相当する連結部材250とがレーザ溶接にて接合されている点が異なる。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。第1の実施形態と第2の実施形態とで、同じ形状及び機能を有するものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図7(a)は、連結部材250の斜視図の一例である。
図7(b)は、第1冷却器10の第2部材12と連結部材250との接合を説明するための図である。
図7(c)は、連結部材250と第2冷却器20の第1部材21との接合を説明するための図である。
第2の実施形態に係る連結部材250は、第1の実施形態に係る連結部材50に対して、貫通孔51に相当する貫通孔251の形状が異なる。
図7(a)に示すように、貫通孔251は、孔の大きさが異なる2つの孔である、孔が小さい方の第1貫通孔251aと、径が大きい方の第2貫通孔251bにて構成されている。第1貫通孔251aにおける上下方向に見た場合の形状が、連結部材50の貫通孔51の形状と等しい。また、第2貫通孔251bが、第1貫通孔251aよりも突出部53が設けられている側に形成されている。連結部材250は、第1貫通孔251aの周囲に設けられた段差部254を有する。それゆえ、突出部53側から上下方向に見た場合に、第2貫通孔251bの奥に段差部254が見える。
【0058】
(冷却装置2の製造方法)
冷却装置2の製造方法は、冷却装置1の製造方法に対して、第2冷却器20の第1部材21と連結部材250とをレーザ溶接にて接合する際に、連結部材250と第1冷却器10の第2部材12とをレーザ溶接にて接合する点が異なる。
つまり、先ず、
図5、
図6を用いて説明した方法で、第1冷却器10の第1部材11と連結部材40とをレーザ溶接にて接合するとともに、第1部材11と第2部材12とをレーザ溶接にて接合する。
【0059】
その後、
図7(b)に示すように、連結部材40が接合された第1冷却器10の第2部材12の上に連結部材250を載せて、第2部材12の第1連通孔と連結部材250の第1貫通孔251aとが一致するように第2部材12と連結部材250とを重ね合わせる。さらに、連結部材250上に第2冷却器20の第1部材21を載せて、連結部材250の第2貫通孔251bの孔中心と第1部材21の第1連通孔21cの孔中心とが一致するように連結部材250と第1部材21とを重ね合わせる。その際、第1冷却器10の第2部材12と第2冷却器20の第1部材21との間に3つの発熱体100を配置する。そして、連結部材250の段差部254に向けてレーザ光Lを照射し、レーザヘッド151を第1貫通孔251aの形状に沿って移動させることで、第1貫通孔251aの周囲にレーザ光Lを連続的に照射し、第1冷却器10と連結部材250とを接合する。さらに、第1部材21における第1連通孔21cの周囲に向けてレーザ光Lを照射し、レーザヘッド151を第1連通孔21cの形状に沿って移動させることで、第1連通孔21cの周囲にレーザ光Lを連続的に照射し、連結部材250と第1部材21とを接合する。
【0060】
その後、
図6を用いて説明したのと同様な方法で、第2冷却器20の第1部材21と第2部材22とをレーザ溶接にて接合する。
その他は、冷却装置1の製造方法と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0061】
以上説明したように、上記製造方法は、凹状であるとともに底面(例えば底面11a、底面21a)から突出した複数の凸部(例えば凸部11b、凸部21b)を有する第1部材(例えば第1部材11、第1部材21)と、当該第1部材の開口部を覆う第2部材(例えば第2部材12、第2部材22)と、を有し、内部に冷媒を流通させることが可能な複数の冷却器(例えば第1冷却器10、第2冷却器20)と、当該複数の冷却器の内の一の冷却器(例えば第1冷却器10)と他の冷却器(例えば第2冷却器20)との間に予め定められたスペースを確保するように、当該一の冷却器と当該他の冷却器とを連結する複数の連結部材(例えば連結部材40、連結部材250)と、を備える冷却装置2の製造方法である。そして、上記製造方法は、一の冷却器(例えば第1冷却器10)の前記第1部材(例えば第1部材11)と前記複数の連結部材の内の一の連結部材(例えば連結部材40)とをレーザ溶接にて接合した後に、当該第1部材と当該一の冷却器の前記第2部材(例えば第1部材12)とをレーザ溶接にて接合する。
【0062】
そして、一の冷却器(例えば第1冷却器10)の第2部材(例えば第1部材12)と、当該一の冷却器と他の冷却器(例えば第2冷却器20)との間に配置される複数の連結部材の内の他の連結部材(例えば連結部材250)と、をレーザ溶接にて接合する。
そして、一の冷却器(例えば第1冷却器10)の上に他の連結部材(例えば連結部材250)を重ね、当該他の連結部材の上に他の冷却器(例えば第2冷却器20)の第1部材(例えば第1部材21)を重ねた状態で、一の冷却器の第2部材(例えば第1部材12)と他の連結部材(例えば連結部材250)とをレーザ溶接にて接合した後に、当該他の連結部材と当該他の冷却器の当該第1部材とをレーザ溶接にて接合する。このように、一の冷却器(例えば第1冷却器10)と他の連結部材(例えば連結部材250)との接合と、他の連結部材(例えば連結部材250)と他の冷却器(例えば第2冷却器20)の第1部材(例えば第1部材21)との接合とを連続的に行うことで、製造効率が向上する。
【0063】
また、第1冷却器10と連結部材250とを接合することで、Oリング55を設けなくても、冷媒が、連結部材250と第1冷却器10との間から外部に漏れることを抑制することができる。
なお、連結部材40が接合された第1冷却器10の第2部材12の上に連結部材250を載せて、第2部材12と連結部材250とを重ね合わせた後、連結部材250と第1部材21とを重ね合わせる前に、第2部材12と連結部材250とをレーザ溶接にて接合しても良い。そして、その後、連結部材250と第1部材21とを重ね合わせて、連結部材250と第1部材21とをレーザ溶接にて接合しても良い。
【0064】
また、同様に、連結部材40に、連結部材250の段差部254に相当する段差部(不図示)を設け、第1冷却器10の第1部材11と連結部材40とを接合する前に、この段差部にレーザ光Lを照射することで、連結部材40と、連結部材80が接合された第3冷却器30の第1部材31とをレーザ溶接にて接合しても良い。
これにより、Oリング45を設けなくても、冷媒が、連結部材40と第3冷却器30との間から外部に漏れることを抑制することができる。
【0065】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る冷却装置3は、第1の実施形態に係る冷却装置1に対して、第1冷却器10及び連結部材40を備えておらず、第2冷却器20と、第3冷却器30とで3つの発熱体100を冷却する点が異なる。また、冷却装置3は、冷却装置1に対して、押付部材70を備えていない点が異なる。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。第1の実施形態と第3の実施形態とで、同じ形状及び機能を有するものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0066】
図8は、第3の実施形態に係る冷却装置3の外観の一例を示す図である。
冷却装置3は、第2冷却器20と、第3冷却器30と、第2冷却器20と第3冷却器30との間に配置された連結部材50と、支持部材60とを備えている。
【0067】
(冷却装置3の製造方法)
図9は、第3の実施形態に係る冷却装置3を製造する方法の一例を示す図である。
先ず、
図9(a)に示すように、
図5を用いて説明したのと同様な方法で、第2冷却器20の第1部材21と連結部材50とをレーザ溶接にて接合する。
その後、レーザ光Lを照射することで、第2冷却器20の第1部材21と発熱体100とを接合して、
図9(b)に示す接合体を成形する。
【0068】
図10は、第1部材21と発熱体100とを、レーザ光Lを照射することで接合する方法の一例を模式的に示す図である。
発熱体100がカード型パワーモジュール110(以下、「モジュール110」と称する場合がある。)であるとして、以下に、モジュール110と第1部材21とを、レーザ光Lを照射することで接合する方法について詳述する。
モジュール110における銅が露出している銅露出部111にはんだ120を塗布した状態で、モジュール110の上に、第1部材21を載せる。モジュール110の上に第1部材21を載せる際には、はんだ120を介して、銅露出部111と第1部材21の第1外面とが接触するようにする。そして、第1部材21における凸部21bと凸部21bとの間の底面21aに対してレーザ光Lを照射する。レーザ光Lを照射する際には、第1部材21とモジュール110の銅の両方の金属を溶融させずに、両方の金属間のはんだ120のみが溶融するように照射する。つまり、第1部材21の底面21aの温度が、はんだ120が溶融する温度以上、第1部材21が溶融する温度未満の温度となるように、第1部材21を加熱するためにレーザ光Lを照射する。
【0069】
なお、第1部材21の底面21aへのレーザ光Lの照射は、レーザヘッド151を移動させて連続的に行っても良いし、スポット的に行っても良い。
また、第1部材21がアルミニウムである場合には、第1部材21におけるモジュール110側の面、少なくともモジュール110が配置される第1外面、第2外面及び第3外面にめっき25を施すと良い。アルミニウム素地にははんだ120が付かないためである。めっきは、ニッケルめっき、金めっき、銀めっきであることを例示することができる。
【0070】
第1部材21と発熱体100とを接合した後、
図9(c)に示すように、発熱体100の上に第3冷却器30の第1部材31を載せ、
図9(d)に示すように、発熱体100と、第3冷却器30の第1部材31とをレーザ光Lを照射することで接合する。発熱体100と第1部材31とをレーザ光Lを照射することで接合する方法は、
図10を用いて説明した、第1部材21と発熱体100とを接合する方法と同一であるので、詳細な説明は省略する。また、
図5を用いて説明したのと同様な方法で、第1部材31と連結部材50とをレーザ溶接にて接合する。
【0071】
その後、
図9(e)に示すように、第2冷却器20の第1部材21に第2部材22を被せ、
図9(f)に示すように、
図6を用いて説明したのと同様な方法で両部材を接合する。また、
図9(e)に示すように、第3冷却器30の第1部材31に第2部材32を被せ、
図9(e)に示すように、
図6を用いて説明したのと同様な方法で両部材を接合する。
そして、以上のようにして接合された、第2冷却器20、第3冷却器30及び連結部材50を、連結部材50の貫通孔54に通したボルト90の雄ねじを、支持部材60に形成された雌ネジ61c、雌ネジ62cに締め付けることで、冷却装置3が完成する。
【0072】
以上説明したように、上記製造方法は、凹状である第1部材(例えば第1部材21、第1部材31)と、当該第1部材の開口部を覆う第2部材(例えば第2部材22、第2部材32)と、を有し、内部に冷媒を流通させることが可能な2つの冷却器の一例としての第2冷却器20及び第3冷却器30が、被冷却物の一例としての発熱体100に対して対称的に配置された冷却装置3の製造方法である。そして、上記製造方法においては、第2冷却器20及び第3冷却器30の内の一の冷却器の一例としての第2冷却器20の第1部材21と発熱体100とをレーザ光Lを照射することによって接合した後に、他の冷却器の一例としての第3冷却器30の第1部材31と発熱体100とをレーザ光Lを照射することによって接合する。
【0073】
さらに、上記製造方法においては、第2冷却器20の第1部材21と第2部材22とをレーザ光を照射することによって接合し、第3冷却器30の第1部材31と第2部材32とをレーザ光を照射することによって接合する。
上記製造方法においては、第1部材21と発熱体100との接合、及び、第1部材31と発熱体100との接合は、レーザ光Lが照射されることによって、はんだ付けされることである。ただし、第1部材21と発熱体100との接合方法、及び、第1部材31と発熱体100との接合方法は、
図10を用いて説明した、はんだ120を溶融させることで接合する方法に限定されない。例えば、はんだ120を用いることなしに、レーザ光Lを照射して、第1部材21、第1部材31と、モジュール110の銅露出部111の銅とを溶融させることで接合しても良い。
【0074】
以上説明した第2冷却器20は、凹状である第1部材21と、第1部材21の開口部を覆う第2部材22と、を有し、内部に冷媒を流通させることにより発熱体100を冷却する冷却器であって、第1部材21と発熱体100とが、レーザ光Lが照射されることによって接合されている。そして、第1部材21は、底面21aから突出した複数の凸部21bを有し、複数の凸部21bの間にレーザ光Lが照射されている。このように、複数の凸部21bの間の底面21aに対してレーザ光Lが照射されることで、凸部21bに対してレーザ光Lが照射されるのと比べて、はんだ120に熱が伝導し易くなり、第1部材21と発熱体100との接合が安定する。
なお、第2部材22と発熱体100とが、レーザ光Lが照射されることによって溶接されることで接合されていても良い。
【0075】
以上説明した冷却装置3は、凹状である第1部材(例えば第1部材21、第1部材31)と、当該第1部材の開口部を覆う第2部材(例えば第2部材22、第2部材32)と、を有し、内部に冷媒を流通させることが可能な2つの冷却器の一例としての第2冷却器20及び第3冷却器30が、発熱体100に対して対称的に配置された冷却装置である。そして、第2冷却器20の第1部材21と発熱体100とが、レーザ光Lが照射されることによって接合され、第3冷却器30の第1部材31と発熱体100とが、レーザ光Lが照射されることによって接合されている。
【0076】
このように構成された冷却装置3においては、第2冷却器20、第3冷却器30と、発熱体100との間のグリスを廃止することができる。グリスが劣化すると、冷却器と発熱体との間に隙間が生じる等して性能が低下することから、冷却装置3によれば、冷却器と発熱体との間にグリスがある構成と比べると、性能と信頼性が向上する。また、冷却装置3においては、第2冷却器20、第3冷却器30と、発熱体100とが接合しているので、第2冷却器20、第3冷却器30と、発熱体100との接触性を高めるために必要となる、例えば第1の実施形態に係る押付部材70のような部材は不要である。その結果、簡易な構成にすることができ、体格を小さくすることができる。
【0077】
また、レーザ光Lを照射してはんだ120を溶融することで、例えば、リフロー炉での全体加熱によるはんだ付けに比べて、発熱体100の封止樹脂の昇温を抑制することができ、割れを防ぐことができる。つまり、リフロー炉で全体加熱する際に、封止樹脂等の樹脂部品が付いた状態で発熱体100を加熱すると、樹脂の温度も高くなり、加熱時に破損するおそれがあるが、レーザ光Lの照射により瞬間的かつ局所的に加熱することができるので、発熱体100の破損を抑制することができる。
【0078】
また、発熱体100と接合される、第1部材21、第1部材31における発熱体100と対向する面にめっき25が施されている。これにより、はんだ120が過剰に流れ出すのを防止でき、はんだ付けを安定させることができる。
【符号の説明】
【0079】
1,2,3…冷却装置、10…第1冷却器、11…第1部材、12…第2部材、13…ケース、20…第2冷却器、21…第1部材、22…第2部材、23…ケース、30…第3冷却器、31…第1部材、32…第2部材、33…ケース、40,50,80,250…連結部材、60…支持部材、70…押付部材、90…ボルト、100…発熱体、150…レーザ装置、151…レーザヘッド