(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】樹脂組成物、改質剤およびその改質剤を含む組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 31/04 20060101AFI20241001BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20241001BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C08L31/04 S
C08L23/08
C08L101/00
(21)【出願番号】P 2020137634
(22)【出願日】2020-08-17
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】釘本 大資
(72)【発明者】
【氏名】神谷 晃基
(72)【発明者】
【氏名】幸田 真吾
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-224693(JP,A)
【文献】特開2005-200536(JP,A)
【文献】特開平01-241422(JP,A)
【文献】特開平02-255846(JP,A)
【文献】国際公開第2020/153303(WO,A1)
【文献】特開2019-161031(JP,A)
【文献】特開2005-200509(JP,A)
【文献】特開2006-274065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J
C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(1)(2)を含み、エチレン-酢酸ビニル共重合体(a1)を構成するいずれかのエチレン-酢酸ビニル共重合体のFedors法によって計算される溶解度パラメータ(SP値)と、エチレン-アクリル酸共重合体又はエチレン-メタクリル酸共重合体のいずれかの共重合体(a2)のFedors法によって計算されるSP値の差の絶対値が0.3(MPa)
1/2
以下である樹脂組成物(A)を含む、少なくとも2種の樹脂を相溶化させ
る改質剤。
(1)酢酸ビニル含量が異なる少なくとも2種のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含
む組成物(a1)
(2)エチレン-アクリル酸共重合体又はエチレン-メタクリル酸共重合体のいずれか
の樹脂(a2)
【請求項2】
樹脂組成物(A)が、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含む組成物(a1)を50重量%以上99重量%以下、エチレン-アクリル酸共重合体又はエチレン-メタクリル酸共重合体のいずれかの共重合体(a2)1重量%以上50重量%以下(ここで(a1)及び(a2)の合計は100重量%とする)を含む請求項1に記載の改質剤。
【請求項3】
樹脂組成物(A)が、エチレン-アクリル酸共重合体又はエチレン-メタクリル酸共重合体のいずれかの共重合体(a2)におけるアクリル酸又はメタクリル酸含有量が3mol%以上15mol%以下である請求項1または2に記載の改質剤。
【請求項4】
樹脂組成物(A)が、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含む組成物(a1)が、酢酸ビニル含有量の異なる3種以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む請求項1乃至3いずれか一項に記載の改質剤。
【請求項5】
樹脂組成物(A)が、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(a1)において、各共重合体の酢酸ビニル含量の差を取った際に、少なくとも1組の共重合体の酢酸ビニル含量の差が40重量%以下である請求項1乃至4いずれか一項に記載の改質剤。
【請求項6】
請求項1
乃至5いずれか一項に記載の改質剤を1重量%以上50重量%以下、
2種類以上の熱可塑性樹脂(B)を50重量%以上99重量%以下(ここで(A)及び(B)の合計は100重量%とする)含む樹脂組成物。
【請求項7】
熱可塑性樹脂(B)がポリオレフィン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポ
リカーボネート、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、からなる群の少
なくとも1種を含有する請求項
6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
熱可塑性樹脂(B)が高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ビニルアルコール
共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ポリエチレンテ
レフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリブチレンテレフタ
レート、ポリ乳酸(ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、L-乳酸とD-乳酸の共重合体、
ポリL-乳酸とポリD-乳酸のステレオコンプレックスを含む)、ポリブチレンサクシネ
ートからなる群の少なくとも1種である請求項
6または
7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
熱可塑性樹脂(B)が高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ビニルアルコール
共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ポリエチレンテ
レフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリブチレンテレフタ
レートからなる群の少なくとも1種である請求項
8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
熱可塑性樹脂(B)が使用済みの成形体からなる請求項
6乃至
9いずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
熱可塑性樹脂(B)と請求項
1乃至5いずれか一項に記載の改質剤を二軸押出機で混練する混練工程を有する請求項
6乃至
10いずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
二軸押出機のスクリュ回転数50rpm以上3000rpm以下の条件で混練工程を行
う請求項
11に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項
6乃至10いずれか一項に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、該樹脂組成物およびその組成物からなる成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックによる環境汚染問題への関心が高まっており、プラスチック製品のマテリアルリサイクルが促進されている。プラスチックのマテリアルリサイクルでは、回収したプラスチック廃棄物を溶融して原料ペレットに戻すか、パレットなどの消耗材料へ再生されることが多い。この時、回収したプラスチック廃棄物中に異種のプラスチックが混在した状態でリサイクルすると、互いの相溶性が悪いことからリサイクルされたプラスチックの物性が低下する問題が生じる。そのため、現在は回収したプラスチック廃棄物を素材毎に選別したのち、製品へと再生するという工程がとられている。
【0003】
しかしながら、異種のプラスチックが積層された多層フィルムや多層容器などでは、素材毎に分別することが困難であることからリサイクルすることができず、埋立や焼却処理されているのが現状である。
【0004】
このような背景の中、積層状態の複合樹脂をリサイクルする手段として、相溶化剤の添加が検討されている。例えば、アイオノマー樹脂を相溶化剤として用い、PE-PET、PP-ABSの複合リサイクルの検討がなされている(特許文献1)。また、オキサゾリン系相溶化剤を用い、PE-PET等の複合リサイクルの検討がなされている(特許文献2)。さらに、PE-EVOHの複合リサイクルの検討もなされている(特許文献3)。これら文献によれば、相溶化剤を添加することによりPEとPETやEVOHなどの複合物の物性を向上できることが示されている。しかし、これら方法により得られるリサイクル樹脂は機械特性が十分ではないため、さらなる機械特性の改善が可能な技術の開発が必要である。また、粘度増加や黄変、臭気の問題などにより繰り返しリサイクル性に劣ることや再生樹脂の使用用途に制限があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-220473号公報
【文献】特開2004-182957号公報
【文献】特表2009-535452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リサイクル回収された異種材料の積層体のような複数の樹脂を含むプラスチック材料の脆性を克服し、耐衝撃性や破断伸度を改良することが可能な改質剤として使用することが可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、酢酸ビニル含量の異なる2種のエチレン-酢酸ビニル共重合体と、エチレン-アクリル酸共重合体又はエチレン-メタクリル酸共重合体のいずれかを含む樹脂組成物が、複数の樹脂成分からなる脆性材料の耐衝撃性や破断伸度を向上させることができる樹脂改質剤として好適に使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記成分(1)(2)を含む樹脂組成物(A)である。
(1) 酢酸ビニル含量が異なる少なくとも2種のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む組成物(a1)
(2) エチレン-アクリル酸共重合体又はエチレン-メタクリル酸共重合体のいずれかの樹脂(a2)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐衝撃性や破断伸度の改質効果に優れ、これらの物性を要求される樹脂成形品の改質剤として有用な樹脂組成物を提供することができる。特に、該樹脂組成物を用いることにより、複数の樹脂を含むプラスチック廃棄物のマテリアルリサイクルを有効に行うことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一態様である樹脂組成物(A)について詳細に説明する。
【0011】
本発明の樹脂組成物(A)は酢酸ビニル含量が異なる少なくとも2種のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む組成物(a1)(以下、「EVA組成物(a1)」という)を含む。
【0012】
EVA組成物(a1)における各エチレン-酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は、5重量%以上85重量%以下であることが好ましい。ここで、酢酸ビニル含量はJIS K6924‐1の方法により測定することができる。
【0013】
エチレン-酢酸ビニル共重合体の製造方法としては、高圧法ラジカル重合、溶液重合や乳化重合等の公知の製造方法が挙げられ、このような樹脂は市販品の中から便宜選択することができ、エチレン-酢酸ビニル共重合体として、東ソー株式会社からウルトラセンの商品名で、ランクセス株式会社からレバプレン、レバメルトの商品名で各々市販されている。
【0014】
EVA組成物(a1)において、各酢酸ビニル含量の差は全て1重量%以上、より好ましくは5重量%以上であることが好ましい。これにより、樹脂組成物(A)を改質剤として熱可塑性樹脂(B)に配合した際に相容性がより向上し、得られる組成物の耐衝撃性及び破断伸びが向上する。
【0015】
また、EVA組成物(a1)において、各共重合体の酢酸ビニル含量の差を取った際に、少なくとも1組の共重合体の酢酸ビニル含量の差が40重量%以下であることが好ましい。これにより、樹脂組成物(A)を構成するエチレン-酢酸ビニル共重合体間の相容性がより向上し、改質剤として熱可塑性樹脂に配合した際に該樹脂の耐衝撃性及び破断伸びがより向上する。少なくとも1組の共重合体の酢酸ビニル含量の差は、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下であり、最も好ましくは15重量%以下である。
【0016】
ここで、EVA組成物(a1)において、各共重合体の酢酸ビニル含量の差とは、例えば、酢酸ビニル含量25重量%、50重量%、80重量%の3種のエチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、酢酸ビニル含量をそれぞれ。VAc25、VAc50、VAc80と表記する)を含む組成物においては、次のように算出できる。
VAc50 - VAc25 = 25重量%
VAc80 - VAc50 = 30重量%
VAc80 - VAc25 = 55重量%
【0017】
EVA組成物(a1)は酢酸ビニル含量が異なる少なくとも3種のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含むものであることが好ましい。
【0018】
これらを満足させるためには、EVA組成物(a1)を構成するエチレン-酢酸ビニル共重合体を2種以上、好ましくは3種以上配合することで調整することができ、酢酸ビニル含量25重量%のエチレン酢酸ビニル共重合体をVAc25と表記し、成分の組成を(+)で表すと、例えば、(VAc15+VAc25)、(VAc25+VAc40)、(VAc25+VAc50)、(VAc50+VAc80)、(VAc15+VAc25+VAc50)、(VAc25+VAc50+VAc80)、(VAc15+VAc25+VAc50+VAc70)、(VAc15+VAc25+VAc50+VAc80)、(VAc15+VAc25+VAc50+VAc70+VAc80)などが例示される。
【0019】
本発明の樹脂組成物(A)はエチレン-アクリル酸共重合体またはエチレン-メタクリル酸共重合体のいずれかの共重合体(a2)(以下、「共重合体(a2)」という)を含む。
【0020】
共重合体(a2)のアクリル酸含量又はメタクリル酸含量は、3mol%以上15mol%以下であることが好ましい。
【0021】
共重合体(a2)は、1種でもよく2種以上含んでもよい。
【0022】
本発明の樹脂組成物(A)において、EVA組成物(a1)を構成する少なくとも1つの酢酸ビニル含量のエチレン-酢酸ビニル共重合体と、共重合体(a2)のFedors法(Polym. Eng. Sci., 14, 147 (1974))によって計算される溶解度パラメータ(以下、SP値)の差の絶対値が0.3MPa以下であることが好ましい。これにより、樹脂組成物(A)中のエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物(a1)と共重合体(a2)の相溶性が向上し、得られる組成物の耐衝撃性及び破断伸びが向上する。
【0023】
ここで、Fedors法によって各成分のSP値を算出すると、例えば、酢酸ビニル含量15重量%、25重量%、50重量%、80重量%の4種のエチレン-酢酸ビニル共重合体、アクリル酸含量が20重量%のエチレン-アクリル酸共重合体、およびメタクリル酸含量が11重量%のエチレン-メタクリル酸共重合体のSP値は次のように算出できる。
・酢酸ビニル含量が15重量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体=18.0MPa
・酢酸ビニル含量が25重量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体=18.3MPa
・酢酸ビニル含量が50重量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体=19.3MPa
・酢酸ビニル含量が80重量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体=20.6MPa
・メタクリル酸含量が4mol%のエチレン-メタクリル酸共重合体=18.2MPa
・アクリル酸含量が9mol%のエチレン-アクリル酸共重合体=19.2MPa
【0024】
例えば、樹脂組成物(A)が、メタクリル酸含量が4mol%のエチレン-メタクリル酸共重合体(SP値=18.2MPa)を含む場合、酢酸ビニル含量が25重量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体(18.3MPa)を、アクリル酸含量が9mol%のエチレン-アクリル酸共重合体(19.2MPa)を含む場合、酢酸ビニル含量が50重量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体(19.3MPa)を用いることで、共重合体(a2)とのSP値の差の絶対値が0.3MPa以下を満足することができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物(A)において、EVA組成物(a1)と共重合体(a2)の混合比率は、EVA組成物(a1)を50重量%以上99重量%以下、共重合体(a2)を1重量%以上50重量%以下(ここで(a1)及び(a2)の合計は100重量%とする)含むことが好ましく、EVA組成物(a1)を70重量%以上90重量%以下、共重合体(a2)を10重量%以上30重量%以下(ここで(a1)及び(a2)の合計は100重量%とする)含むことが好ましい。EVA組成物(a1)を50重量%以上99重量%以下含むことで、配合した樹脂の相溶性および耐衝撃性をより向上させる。一方、共重合体(a2)を1重量%以上50重量%以下含むことで、配合した樹脂の相溶性をより向上させる。
【0026】
以下に本発明の一態様である改質剤について詳細に説明する。
【0027】
本発明は、樹脂組成物(A)を含む改質剤(以下、「本発明の改質剤」という。)である。
【0028】
本発明の樹脂組成物(A)を、改質剤として母材となる樹脂に配合することで該樹脂の耐衝撃性を高めることができる。また、配合する母材が複数成分の樹脂から構成される場合、成分間の相溶性を高めることができる。
【0029】
本発明の改質剤は、ペレットやパウダーなどの任意の形態で使用することができる。
【0030】
本発明の改質剤を配合する母材(以下、「熱可塑性樹脂(B)」という)としては、改質剤との相容性に優れることから、ポリオレフィン系樹脂、アクリル酸系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体からなる群の少なくとも1種が好ましく、少なくとも2種を含む組成物がより好ましい。ここで、熱可塑性樹脂(B)の構成成分から、EVA組成物(a1)と共重合体(a2)の成分は除くものとする。
【0031】
ポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレンーアクリル酸エステル共重合体、エチレンーメタクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどが挙げられる。
【0032】
アクリル酸系樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸オクチル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸オクチルなどが挙げられる。
【0033】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12などが挙げられる。
【0034】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタラート樹脂(PETG樹脂)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸(ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、L-乳酸とD-乳酸の共重合体、ポリL-乳酸とポリD-乳酸のステレオコンプレックスを含む)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリエチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリグリコール酸、ポリ3-ヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
【0035】
この中で、樹脂組成物(A)とブレンドした場合に耐衝撃性や破断伸びの改良性が大きいことから、熱可塑性樹脂(B)を構成する熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタラート樹脂(PETG樹脂)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸(ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、L-乳酸とD-乳酸の共重合体、ポリL-乳酸とポリD-乳酸のステレオコンプレックスを含む)、ポリブチレンサクシネートからなる群の少なくとも1種が好ましい。
【0036】
より好ましくは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタラート樹脂(PETG樹脂)、ポリブチレンテレフタレートからなる群の少なくとも1種である。
【0037】
熱可塑性樹脂(B)は、未使用のバージン樹脂、使用済みの成形体を回収して得られた樹脂でもよい。すなわち、1種又は複数種の樹脂のすべてが未使用の樹脂である形態、1種又は複数種の樹脂のうちの少なくとも1種が使用済みの樹脂である形態が含まれ、1種又は複数種の樹脂のすべてが使用済みの樹脂である形態も含まれる。
【0038】
熱可塑性樹脂(B)は、使用済みの成形体を回収して得られた樹脂を使用する場合、複数種類の樹脂を含むことがある。この場合、不純物として塩ビ樹脂、ワックス、接着剤、可塑剤、酸化防止剤等の有機物の不純物として含む。一方、フィラーなどの無機不純物を含むこともある。
【0039】
樹脂組成物(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合比率は、熱可塑性樹脂(B)を50重量%以上99重量%以下、樹脂組成物(A)を1重量%以上50重量%以下含むことが好ましい。熱可塑性樹脂(B)を99重量%以下含むことで得られる樹脂組成物は耐衝撃性に優れたものとなる。一方、熱可塑性樹脂(B)を50重量%以上含むことで得られる樹脂組成物が剛性に優れたものとなる。さらに好ましくは熱可塑性樹脂(B)を60重量%以上95重量%以下、樹脂組成物(A)を5重量%以上40重量%含み、またさらに好ましくは熱可塑性樹脂(B)を70重量%以上95重量%以下、樹脂組成物(A)を5重量%以上30重量%含む。
【0040】
本発明の改質剤を熱可塑性樹脂(B)に配合する場合改質剤と熱可塑性樹脂(B)を混練する混練工程を有する製造方法により製造することができる。
【0041】
混練方法としては、改質剤と熱可塑性樹脂(B)を構成する各種材料を同時に混練装置で混練する方法と、改質剤のみを事前に混練し、その後熱可塑性樹脂(B)と混練した改質剤をブレンドし更に混練する方法が挙げられる。後者の方が、改質剤がより均一に混ざり、所望の物性が安定して得られることから好ましい。
【0042】
混練装置としては、各成分を均一に分散できれば特に制限はなく、通常用いられる樹脂の混練装置により製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダ-、回転ロール、インターナルミキサーなどの混練装置が挙げられる。この中で、分散性および連続生産性に優れることから、二軸押出機がより好ましい。
【0043】
二軸押出機で混練を行う場合のスクリュ回転数は特に制限されないが、50rpm以上3000rpm以下で混練することが好ましく、より好ましくは300rpm以上3000rpm以下である。スクリュ回転数50rpm以上であれば混合した各成分の分散性が向上し、得られた樹脂の物性に優れるため好ましく、スクリュ回転数3000rpm以下であれば過剰なせん断発熱による樹脂の劣化が生じないことから、得られた樹脂の物性に優れるため好ましい。
【0044】
混練工程において押出機を使用する場合、押出機で混練した樹脂組成物、好ましくは前記50rpm以上3000rpm以下の高速せん断条件で混練した樹脂組成物を原料として用いることができる。また、そのまま押出機で押出成形することで得られる成形体を成形品として用いることができる。
【0045】
混練温度は熱可塑性樹脂(B)の中で最も融点が低い成分の融点または非晶性樹脂であればガラス転移温度~300℃程度が好ましい。
【0046】
以下に本発明の一態様である樹脂組成物(A)と、熱可塑性樹脂(B)を含む組成物について詳細に説明する。
【0047】
本発明の組成物は、樹脂組成物(A)と、熱可塑性樹脂(B)を含む。すなわち、本発明の改質剤を熱可塑性樹脂に(B)に配合して得られたものと同義である。
【0048】
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、着色剤、無機系中和剤、塩酸吸収剤、充填剤導電剤、鎖長延長剤、加水分解防止剤等が用いられても良い。
【0049】
本発明の組成物が樹脂組成物(A)と熱可塑性樹脂(B)以外の成分を含む場合、その含有量は、(A)と(B)の合計を100重量部とし、その100重量部に対する添加量として表すことができる。換言すると、前記(A)、(B)の「~重量%」という表記は(A)、(B)の比率であり、それ以外の成分の比率は別に定義することができる。
【0050】
また本発明の組成物は、ペレットやパウダーなどの任意の形態にしておいて使用することができる。
【0051】
本発明の組成物の成形方法は任意であり、例えば異形押出、フィルム、シート、ブロー、射出、発泡、押出コーティング、回転成形などが挙げられる。
【0052】
本発明の組成物からなる成形品は、自動車部品、電気・電子部品の筐体、建材、土木部材、農業資材、容器、包装資材、接着剤、日用品など各種用途に利用することができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
(1)メルトマスフローレート(MFR)
エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、および熱可塑性樹脂(B)のMFRは、メルトインデクサー(宝工業製)にて190℃、2.16kg荷重の条件にて測定した。
(2)酢酸ビニル含量
酢酸ビニル含量は、JIS K6924-1に準拠して測定した。
(3)SP値
エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、およびエチレン-メタクリル酸共重合体のSP値はFedors法により算出した。
(4)衝撃強度
衝撃強度はJIS P 8134に準拠して測定した。プレス成型した厚み0.1mmのシートをフィルムインパクトテスタ(東洋精機製、FT-M型)にて、試験容量3J、突き刺し先端半球状ハンマーの条件にて測定した。
(5)引張試験
プレス成型した厚み0.1mmのシートをASTM D-1822-L ダンベル状試験片に打ち抜いた。試験片のサイズは、全長63.5mm、平行部長さ9.53mm、平行部幅3.18mm、厚さ0.1mm、つかみ部幅9.53mmであった。試験片をテンシロン引張試験機(オリエンテック製、RTE-1210)にて、チャック間距離30mm、引張速度200mm/分の条件で測定した。試料が破断した点を破断伸度(破断伸度[%]=破断に要した引張長さ[mm]/チャック間距離30mm)、破断したときの応力を破断応力とした。
【0055】
実施例1
樹脂組成物(A)として下記組成の樹脂組成物を用いた。
[樹脂組成物(A)]
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)65重量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)10重量%
・アクリル酸含量9mol%、メルトマスフローレイト300g/10分であるエチレン-アクリル酸共重合体(a2-9)(SK綜合化学製 商品名SK Primacor5980I)25重量%
上記樹脂組成物をドライブレンドし、スクリュ径が25mmである二軸押出機(テクノベル製 商品名ULTnano25TW)を用いて、樹脂温度160℃、スクリュ回転数150rpmの条件で溶融混練し、樹脂組成物(A)のペレットを得た。
【0056】
熱可塑性樹脂(B)としては下記組成の熱可塑性樹脂組成物を用いた。
[熱可塑性樹脂(B)の組成物]
・メルトマスフローレイト3g/10分、融点111℃である低密度ポリエチレン(B-1)(東ソー(株)製 商品名ペトロセン205)70重量%
・エチレン含量35mol%、融点177℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(B-4)((株)クラレ社製 商品名エバール C109B)30重量%
熱可塑性樹脂(B)の組成物80重量%と樹脂組成物(A)20重量%をドライブレンドし、スクリュ径が25mmである二軸押出機(テクノベル製 商品名ULTnano25TW)を用いて、樹脂温度200℃、スクリュ回転数300rpmの条件で溶融混練し、組成物を得た。
得られた組成物を、プレス成型機(神藤金属工業所製 AWFA-50型)を用いて、圧力10MPa、加熱温度200℃(一次加圧×3分、二次加圧×3分)、冷却温度25℃(4分)の条件にてプレス成型し、厚み0.1mmのプレスシートを得た。
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0057】
実施例2
熱可塑性樹脂(B)として下記組成の熱可塑性樹脂組成物を用いた。
[熱可塑性樹脂(B)の組成物]
・メルトマスフローレイト3g/10分、融点111℃である低密度ポリエチレン(B-1)(東ソー(株)製 商品名ペトロセン205)70重量%
・融点220℃であるナイロン6(B-5)(宇部興産(株)製 商品名UBEナイロン1022D)30重量%
熱可塑性樹脂(B)の組成物80重量%と実施例1に記載の樹脂組成物(A)20重量%をドライブレンドし、スクリュ径が25mmである二軸押出機(テクノベル製 商品名ULTnano25TW)を用いて、樹脂温度230℃、スクリュ回転数300rpmの条件で溶融混練し、組成物を得た。
得られた組成物を、プレス成型機(神藤金属工業所製 AWFA-50型)を用いて、圧力10MPa、加熱温度230℃(一次加圧×3分、二次加圧×3分)、冷却温度25℃(4分)の条件にてプレス成型し、厚み0.1mmのプレスシートを得た。
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0058】
実施例3
熱可塑性樹脂(B)として下記組成の熱可塑性樹脂組成物を用いた。
[熱可塑性樹脂(B)の組成物]
・メルトマスフローレイト3g/10分、融点111℃である低密度ポリエチレン(B-1)(東ソー(株)製 商品名ペトロセン205)70重量%
・融点255℃であるポリエチレンテレフタレート(B-6)(ユニチカ(株)製 MA-2103)30重量%
熱可塑性樹脂(B)の組成物をドライブレンドし、スクリュ径が25mmである二軸押出機(テクノベル製 商品名ULTnano25TW)を用いて、樹脂温度270℃、スクリュ回転数150rpmの条件で溶融混練し、熱可塑性樹脂(B)のペレットを得た。
得られた熱可塑性樹脂(B)80重量%と実施例1に記載の樹脂組成物(A)20重量%をドライブレンドし、スクリュ径が25mmである二軸押出機(テクノベル製 商品名ULTnano25TW)を用いて、樹脂温度230℃、スクリュ回転数300rpmの条件で溶融混練し、組成物を得た。
得られた組成物を、プレス成型機(神藤金属工業所製 AWFA-50型)を用いて、圧力10MPa、加熱温度230℃(一次加圧×3分、二次加圧×3分)、冷却温度25℃(4分)の条件にてプレス成型し、厚み0.1mmのプレスシートを得た。
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0059】
実施例4
熱可塑性樹脂(B)として下記組成の熱可塑性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例3と同様の手法によりプレスシートを得た。
[熱可塑性樹脂(B)の組成物]
・メルトマスフローレイト3g/10分、融点111℃である低密度ポリエチレン(B-1)(東ソー(株)製 商品名ペトロセン205)70重量%
・エチレン含量35mol%、融点177℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(B-4)((株)クラレ社製 商品名エバール C109B)10重量%
・融点220℃であるナイロン6(B-5)(宇部興産(株)製 商品名UBEナイロン1022D)10重量%
・融点255℃であるポリエチレンテレフタレート(B-6)(ユニチカ(株)製 MA-2103)10重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0060】
実施例5
樹脂組成物(A)として下記組成の樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。
[樹脂組成物(A)の組成物]
・酢酸ビニル含量15重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-15)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)33重量%
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)32重量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)10重量%
・アクリル酸含量9mol%、メルトマスフローレイト300g/10分であるエチレン-アクリル酸共重合体(a2-9)(SK綜合化学製 商品名SK Primacor5980I)25重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0061】
実施例6
樹脂組成物(A)として実施例5に記載の樹脂組成物を用いた以外は実施例2と同様の手法によりプレスシートを得た。
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0062】
実施例7
樹脂組成物(A)として実施例5に記載の樹脂組成物を用いた以外は実施例3と同様の手法によりプレスシートを得た。
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0063】
実施例8
樹脂組成物(A)として実施例5に記載の樹脂組成物を用いた以外は実施例4と同様の手法によりプレスシートを得た。
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0064】
【0065】
実施例9
熱可塑性樹脂(B)を90重量%、樹脂組成物(A)を10重量%とした以外は実施例8と同様の手法によりプレスシートを得た。
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表2に示す。
【0066】
実施例10
熱可塑性樹脂(B)を95重量%、樹脂組成物(A)を5重量%とした以外は実施例8と同様の手法によりプレスシートを得た。
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表2に示す。
【0067】
実施例11
樹脂組成物(A)として下記組成の樹脂組成物を用いた以外は実施例4と同様の手法によりプレスシートを得た。
[樹脂組成物(A)の組成物]
・酢酸ビニル含量15重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-15)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)25重量%
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)25重量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)10重量%
・アクリル酸含量9mol%、メルトマスフローレイト300g/10分であるエチレン-アクリル酸共重合体(a2-9)(SK綜合化学製 商品名SK Primacor5980I)40重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表2に示す。
【0068】
実施例12
樹脂組成物(A)として下記組成の樹脂組成物を用いた以外は実施例4と同様の手法によりプレスシートを得た。
[樹脂組成物(A)の組成物]
・酢酸ビニル含量15重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-15)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)33重量%
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)32重量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)10重量%
・メタクリル酸含量4mol%、メルトマスフローレイト10g/10分であるエチレン-メタクリル酸共重合体(a2-4)(三井ダウケミカル製 商品名ニュクレル1108C)25重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表2に示す。
【0069】
実施例13
樹脂組成物(A)として下記組成の樹脂組成物を用いた以外は実施例4と同様の手法によりプレスシートを得た。
[樹脂組成物(A)の組成物]
・酢酸ビニル含量15重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-15)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)23重量%
・酢酸ビニル含量25重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-25)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン640)22重量%
・酢酸ビニル含量50重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-50)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン500)10重量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)20重量%
・アクリル酸含量9mol%、メルトマスフローレイト300g/10分であるエチレン-アクリル酸共重合体(a2-9)(SK綜合化学製 商品名SK Primacor5980I)25重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表2に示す。
【0070】
実施例14
熱可塑性樹脂(B)として下記組成の熱可塑性樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様の手法によりプレスシートを得た。
[熱可塑性樹脂(B)の組成物]
・メルトマスフローレイト0.8g/10分、融点122℃である直鎖状低密度ポリエチレン(B-2)(東ソー(株)製 商品名ニポロン-L F15R)70重量%
・エチレン含量35mol%、融点177℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(B-4)((株)クラレ社製 商品名エバール C109B)10重量%
・融点220℃であるナイロン6(B-5)(宇部興産(株)製 商品名UBEナイロン1022D)10重量%
・融点255℃であるポリエチレンテレフタレート(B-6)(ユニチカ(株)製 MA-2103)10重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表2に示す。
【0071】
実施例15
熱可塑性樹脂(B)として下記組成の熱可塑性樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様の手法によりプレスシートを得た。
[熱可塑性樹脂(B)の組成物]
・メルトマスフローレイト5.5g/10分、融点133℃である高密度ポリエチレン(B-3)(東ソー(株)製 商品名ニポロンハード 4020)70重量%
・エチレン含量35mol%、融点177℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(B-4)((株)クラレ社製 商品名エバール C109B)10重量%
・融点220℃であるナイロン6(B-5)(宇部興産(株)製 商品名UBEナイロン1022D)10重量%
・融点255℃であるポリエチレンテレフタレート(B-6)(ユニチカ(株)製 MA-2103)10重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表2に示す。
【0072】
【0073】
比較例1
樹脂組成物(A)を配合せず、下記の熱可塑性樹脂(B)の組成物のみを用いた以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。
[熱可塑性樹脂(B)の組成物]
・メルトマスフローレイト3g/10分、融点111℃である低密度ポリエチレン(B-1)(東ソー(株)製 商品名ペトロセン205)70重量%
・エチレン含量35mol%、融点177℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(B-4)((株)クラレ社製 商品名エバール C109B)30重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表3に示す。
【0074】
比較例2
樹脂組成物(A)を配合せず、下記の熱可塑性樹脂(B)の組成物のみを用いた以外は実施例2と同様の手法によりプレスシートを得た。
[熱可塑性樹脂(B)の組成物]
・メルトマスフローレイト3g/10分、融点111℃である低密度ポリエチレン(B-1)(東ソー(株)製 商品名ペトロセン205)70重量%
・融点220℃であるナイロン6(B-5)(宇部興産(株)製 商品名UBEナイロン1022D)30重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表3に示す。
【0075】
比較例3
樹脂組成物(A)を配合せず、下記の熱可塑性樹脂(B)の組成物のみを用いた以外は実施例3と同様の手法によりプレスシートを得た。
[熱可塑性樹脂(B)の組成物]
・メルトマスフローレイト3g/10分、融点111℃である低密度ポリエチレン(B-1)(東ソー(株)製 商品名ペトロセン205)70重量%
・融点255℃であるポリエチレンテレフタレート(B-6)(ユニチカ(株)製 MA-2103)30重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表3に示す。
【0076】
比較例4
樹脂組成物(A)を配合せず、下記の熱可塑性樹脂(B)の組成物のみを用いた以外は実施例4と同様の手法によりプレスシートを得た。
[熱可塑性樹脂(B)の組成物]
・メルトマスフローレイト3g/10分、融点111℃である低密度ポリエチレン(B-1)(東ソー(株)製 商品名ペトロセン205)70重量%
・エチレン含量35mol%、融点177℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(B-4)((株)クラレ社製 商品名エバール C109B)10重量%
・融点220℃であるナイロン6(B-5)(宇部興産(株)製 商品名UBEナイロン1022D)10重量%
・融点255℃であるポリエチレンテレフタレート(B-6)(ユニチカ(株)製 MA-2103)10重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表3に示す。
【0077】
比較例5
樹脂組成物(A)として下記組成の樹脂組成物を用いた以外は実施例4と同様の手法によりプレスシートを得た。
[樹脂組成物(A)の組成物]
・酢酸ビニル含量15重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-15)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)65重量%
・酢酸ビニル含量80重量%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-80)(ランクセス(株)製 商品名レバプレン800)35重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表3に示す。
【0078】
比較例6
樹脂組成物(A)として下記組成の樹脂組成物を用いた以外は実施例4と同様の手法によりプレスシートを得た。
[樹脂組成物(A)の組成物]
・酢酸ビニル含量15重量%、メルトマスフローレイト3g/10分であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(a1-15)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン626)75重量%
・アクリル酸含量9mol%、メルトマスフローレイト300g/10分であるエチレン-アクリル酸共重合体(a2-9)(SK綜合化学製 商品名SK Primacor5980I)25重量%
得られたプレスシートを用いて、衝撃試験と引張試験を実施した。評価の結果を表3に示す。
【0079】