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特許7563073シャッタ機構、トナー収容容器、トナーカートリッジおよび画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】シャッタ機構、トナー収容容器、トナーカートリッジおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20241001BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G03G21/18 132
G03G15/08 348B
G03G15/08 341
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020156110
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022049852
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】有松 英輝
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】松山 翔
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-014848(JP,A)
【文献】特開2014-164107(JP,A)
【文献】特開2007-238205(JP,A)
【文献】特開2010-170100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に移動して閉塞するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を支持するシャッタ支持部材と、
前記シャッタ部材と前記シャッタ支持部材とを互いに反対方向に付勢する弾性部材と、を有するシャッタ機構であって、
前記シャッタ部材は、
前記弾性部材により付勢された状態で前記シャッタ支持部材に引っ掛かる突当部と、
弾性変形することにより、前記突当部を前記一方向と交わる方向に移動可能にする梁部と、を有し、
前記突当部は前記一方向に対して鋭角に形成され、
前記梁部の弾性変形により前記突当部が前記シャッタ支持部材と面接触すること、を特徴とするシャッタ機構。
【請求項2】
一方向に移動して閉塞するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を支持するシャッタ支持部材と、
前記シャッタ部材と前記シャッタ支持部材とを互いに反対方向に付勢する弾性部材と、
を有するシャッタ機構であって、
前記シャッタ部材は、
前記弾性部材により付勢された状態で前記シャッタ支持部材に引っ掛かる複数の突当部と、
弾性変形することにより、前記突当部を前記一方向と交わる方向に移動可能にする梁部と、を有し、
前記一方向は前記突当部が前記シャッタ支持部材に突き当たる方向であり、
前記複数の突当部は、前記一方向において、異なる位置に設けられていること、を特徴とするシャッタ機構。
【請求項3】
一方向に移動して閉塞するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を支持するシャッタ支持部材と、
前記シャッタ部材と前記シャッタ支持部材とを互いに反対方向に付勢する弾性部材と、を有するシャッタ機構であって、
前記シャッタ部材は、
前記シャッタ部材は、前記弾性部材により付勢された状態で前記シャッタ支持部材に引っ掛かる突当部を有し、
前記シャッタ支持部材は、前記シャッタ部材が貫通する開口部を前記突当部との当接面に有し、
前記開口部は、前記突当部を、前記一方向を回転軸に回転させた際所定の回転位置で前記突当部と当接しないように形成されたこと、を特徴とするシャッタ機構。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のシャッタ機構を有するトナー収容容器。
【請求項5】
請求項4に記載のトナー収容容器の内部にトナーが充填されたトナーカートリッジ。
【請求項6】
請求項4に記載のトナー収容容器を着脱可能な画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ機構、トナー収容容器、トナーカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーサプライには、本体に挿入すると、本体のトナー供給部品でシャッタを押し込むことによりシャッタが開き、抜き取ると、バネの弾性力により自動的にシャッタが閉まる技術がある(例えば、特許文献1)。
今までのシャッタ機構ではシャッタが閉まる際、バネの弾性力でシャッタが飛び出さない様、シャッタ保持機構の一つとして、バネの弾性力の作用線に対して線対称な二つの爪を使用している。爪はバネの弾性力と垂直な方向に開閉し、開く事で保持機構として機能する。開いた爪がバネの弾性力により、シャッタを固定するホルダ部品へ、弾性力と同じ方向に押さえつけられる事で、シャッタの飛び出しを防止する。
しかしながら長期間の使用によりシャッタが劣化すると、落下等の衝撃がシャッタに加わった際、バネの弾性力との複合により爪が閉じてしまい、シャッタが飛び出る問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、衝撃などによりシャッタ部品が外れることを防止するシャッタ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、
一方向に移動して閉塞するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を支持するシャッタ支持部材と、
前記シャッタ部材と前記シャッタ支持部材とを互いに反対方向に付勢する弾性部材と、を有するシャッタ機構であって、
前記シャッタ部材は、
前記弾性部材により付勢された状態で前記シャッタ支持部材に引っ掛かる突当部と、
弾性変形することにより、前記突当部を前記一方向と交わる方向に移動可能にする梁部と、を有し、
前記一方向は前記突当部が前記シャッタ支持部材に突き当たる方向であり、
前記複数の突当部は、前記一方向において、異なる位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、衝撃などによりシャッタ部品が外れることを防止するシャッタ機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図2図1に示す画像形成装置におけるトナー補給装置にトナー収容容器が設置された状態を示す模式図である。
図3】トナー補給装置にトナー収容容器が設置された状態を示す一例の概略斜視図である。
図4】トナー収容容器の構成の一例を示す斜視説明図である。
図5】トナー収容容器を装着した状態のトナー搬送装置とトナー収容容器の一例の断面説明図である。
図6】先端側のカバーを取り外した状態のトナー収容容器の一例の斜視説明図である。
図7】容器本体からノズル受入部材を取り外した状態のトナー収容容器の一例の斜視説明図である。
図8】容器本体からノズル受入部材を取り外した状態のトナー収容容器の一例の断面説明図である。
図9図8の状態からノズル受入部材を容器本体に取り付けた状態のトナー収容容器の一例の断面説明図である。
図10図5のE-E断面図である。
図11】トナー収容容器の構成を示す側面図である。
図12】容器先端側から見たノズル受入部材の一例の斜視説明図である。
図13】容器後端側から見たノズル受入部材の一例の斜視説明図である。
図14図9に示す状態のノズル受入部材の一例の断面図である。
図15図9に示す状態のノズル受入部材の一例の断面図である。
図16】ノズル受入部材の一例の分解斜視図である。
図17】劣化した容器シャッタの飛び出しの一例を説明する図である。
図18】実施形態1のシャッタ機構の要部を説明する図である。
図19】実施形態2のシャッタ機構の要部を説明する図である。
図20】実施形態3のシャッタ機構の要部を説明する図である。
図21】実施形態4のシャッタ機構の要部を説明する図である。
図22】実施形態5のシャッタ機構の要部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0008】
まず、一実施形態のシャッタ機構を適用するトナー収容容器(以下適宜「一実施形態のトナー収容容器」とも称する)を着脱可能な画像形成装置について説明する。
【0009】
(画像形成装置)
図1は、画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1では、画像形成装置の一例としての複写機500の構成例を説明する。
複写機500は、複写機装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部400という)から構成されている。
【0010】
プリンタ部100の上部に設けられたトナー収容容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つのトナー収容容器32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー収容容器収容部70の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
【0011】
中間転写ユニット85は、中間転写体としての中間転写ベルト48、四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のテンションローラ、及び、不図示の中間転写クリーニング装置等で構成されている。中間転写ベルト48は、複数のローラ部材によって張架、支持されるとともに、この複数のローラ部材の一つである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動する。
【0012】
プリンタ部100には、中間転写ベルト48に対向するように、各色に対応した四つの作像部46(Y,M,C,K)が並設されている。四つのトナー収容容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれの色のトナー容器に対応した四つのトナー搬送装置としてのトナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナー収容容器32(Y,M,C,K)に収容された粉体の現像剤であるトナーは、それぞれに対応するトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)の現像装置内に供給(補給)される。
【0013】
図1に示すように、プリンタ部100は、四つの作像部46の下方に潜像形成手段である露光装置47を備えている。露光装置47は、スキャナ部400で読み込んだ原稿画像の画像情報に基づいて、感光体41(Y,M,C,K)の表面を露光走査し、各感光体の表面に静電潜像を形成する。画像情報はスキャナ部400からの読み込みではなく、複写機500に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報であってもよい。
【0014】
なお、ここでは、作像部46(Y,M,C,K)、感光体41(Y,M,C,K)、露光装置47、現像装置等による作像プロセスについて、詳細な説明を省略する。例えば、特許文献1に記載の図2図3を参照した説明と同様とすることができる。
【0015】
給紙部200は、記録媒体Pを、プリンタ部100の下方に設けられた給紙トレイ26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して作像プロセスへ搬送する。作像プロセスでカラートナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置86でカラートナー像が定着される。定着装置86を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出され、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
以上が複写機500のプリンタ部100の概略である。
【0016】
次に、トナー収容容器32(Y,M,C,K)およびトナー補給装置60(Y,M,C,K)について説明する。
図2は、トナー補給装置60Yにトナー収容容器32Yが装着された状態を示す模式図であり、図3は、トナー収容容器収容部70に四つのトナー収容容器32(Y,M,C,K)が装着された状態を示す概略斜視図である。
【0017】
プリンタ部100のトナー収容容器収容部70に装着されたトナー収容容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、図2に示すように各色の現像装置50(Y,M,C,K)内のトナー消費に応じて、適宜に各現像装置50(Y,M,C,K)内に補給される。トナー濃度検知センサ56(Y,M,C,K)は、各現像装置50(Y,M,C,K)のトナー濃度を検知する。
このとき、トナー収容容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって補給される。なお、四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)やトナー収容容器32(Y,M,C,K)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。このため、図2では、イエローに対応したトナー補給装置60Y及びトナー収容容器32Yのみの説明を行い、他の三つの色に対応したトナー補給装置60(M,C,K)及びトナー収容容器32(M,C,K)の説明を適宜に省略する。
【0018】
トナー補給装置60(Y,M,C,K)は、トナー収容容器収容部70、搬送管としての搬送ノズル611(Y,M,C,K)、搬送部材としての搬送スクリュ614(Y,M,C,K)、トナー落下搬送経路64(Y,M,C,K)、容器回転駆動部91(Y,M,C,K)等で構成されている。
説明の便宜のため、トナー収容容器32Yのトナー補給装置60Yへの装着方向を基準にして、後述する容器本体33の容器開口部33a側を「容器先端側」とし、容器開口部33aの反対側(後述する把手部303側)を「容器後端側」とする。トナー収容容器32Yが図4中矢印Qの方向へ移動してプリンタ部100のトナー収容容器収容部70に装着されると、その装着動作に連動して、トナー収容容器32Yの容器先端側からトナー補給装置60Yの搬送ノズル611Yが挿入される。これにより、トナー収容容器32Y内と搬送ノズル611Y内とが連通する。
【0019】
トナー収容容器の形態として、トナー収容容器32Yは、略円筒状のトナーボトルである。そして、トナー収容容器32Yは、主として、トナー収容容器収容部70に非回転で保持される容器先端側カバー34Yと、容器ギア301Yが一体的に形成されたトナー収納部材としての容器本体33Yとから主に構成される。容器本体33Yは、容器先端側カバー34Yに対して回転可能に保持されている。
【0020】
トナー収容容器収容部70は、図3に示すように、主として、容器カバー受入部73と、容器受部72と、挿入口形成部71とで構成されている。容器カバー受入部73は、トナー収容容器32Yの容器先端側カバー34Yを保持するための部分である。容器受部72は、トナー収容容器32Yの容器本体33Yを支持するための部分である。挿入口形成部71は、容器受部72と、トナー収容容器32Yの装着動作時における挿入口を形成する部分である。図2中のセットカバー608Yは、トナー収容容器収容部70の容器カバー受入部73の一部である。
【0021】
容器受部72は、その長手方向の長さが、容器本体33Yの長手方向の長さとほぼ同等になるように形成されている。容器カバー受入部73は、容器受部72における長手方向(着脱方向)の容器先端側に設けられ、挿入口形成部71は容器受部72における長手方向の一端側に設けられている。図3では四つのトナー収容容器32の直下に容器本体33の軸方向を長手として、挿入口形成部71から容器カバー受入部73まで続く溝がそれぞれ形成されている。
【0022】
次に、一実施形態のトナー収容容器32(Y,M,C,K)についてより詳細に説明する。なお、上述したように、トナー収容容器32(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっている。よって、以下、トナーの色を示す添字Y,M,C,Kは省略して説明する。
【0023】
(トナー収容容器)
図4は、トナー収容容器32の斜視説明図である。容器先端側カバー34には、トナー収容容器32の使用状況等のデータを記録したIDタグ(IDチップ)700が設けられている。スライドガイド361が装着時に容器受部72のスライドレールと係合することで容器先端側カバー34のトナー補給装置60上での姿勢が決まる。
【0024】
容器先端側カバー34Yが容器カバー受入部73に装着された状態で、容器回転駆動部91Yから容器駆動ギア(不図示)を介して、容器本体33Yに具備された容器ギア301Y(図2)に回転駆動が入力される。これにより、容器本体33Yが図2中の矢印A方向に回転駆動される。容器本体33Y自体が回転することで、容器本体33Yの内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302Y(回転搬送部)も回転し、容器本体33Yの内部に収容されたトナーが容器本体長手方向に沿って図2中の左側に位置する一端(把手部303Y側)から右側に位置する他端(容器開口部33a側)へ搬送される。これにより、他端に設けられた容器先端側カバー34Y側から搬送ノズル611Y内にトナーが供給される。
【0025】
トナー収容容器32(Y,M,C,K)は、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)に新品のものに交換される。トナー収容容器32の長手方向における容器先端側カバー34とは反対側の一端には把手部303が設けられており、交換の際には、作業者が把手部303を握って引き出すことで、装着されたトナー収容容器32を取り外すことが出来る。
【0026】
図5は、トナー収容容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー収容容器32の端部との断面説明図である。
図6は、図4の状態から容器先端側カバー34を取り外した状態のトナー収容容器32の斜視説明図である。
【0027】
上述したようにトナー収容容器32は、容器本体33と、容器先端側カバー34とから主に構成されている。トナー収容容器32の先端面の中央には、装着時に搬送ノズル611が挿入される管挿入口としてのノズル受入口331が形成されており、非装着時にノズル受入口331を閉鎖する開閉部材としての容器シャッタ332を備える。
なお、本発明におけるトナー収容容器32は、容器本体33と、容器先端側カバー34とから主に構成されているものに限られない。
たとえば、容器先端側カバー34が有するスライドガイド361やIDタグ700などの機能を設けない場合には、図6の容器先端側カバー34がない状態でトナー収容容器として用いてもよい。
また、スライドガイド361やIDタグ700などの機能をトナー収容容器に設けることで、容器先端側カバーがないトナー収容容器とすることができる。
【0028】
図7は、図6の状態から容器本体33から管挿入部材としてのノズル受入部材330を取り外した状態のトナー収容容器32の斜視説明図であり、図8は、容器本体33からノズル受入部材330を取り外した状態のトナー収容容器32の断面説明図である。図9は、図8の状態からノズル受入部材330を容器本体33に取り付けた状態のトナー収容容器32(図6と同様に容器先端側カバー34を取り外した状態のトナー収容容器32)の断面説明図である。
【0029】
図6図7に示すように、容器本体33は、略円筒状であり、円筒の中心軸を回転軸として回転する構成となっている。
以下、この回転軸に平行な方向を「回転軸方向」と呼ぶ。
なお、上述したトナー収容容器32の長手方向は回転軸方向であり、トナー補給装置60にトナー収容容器32を装着した状態では、回転軸方向は水平方向となる。
容器本体33の容器ギア301よりも容器後端側は、容器先端側よりもその外径が大きくなっており、その内周面には螺旋状突起302が形成されている。
そして、容器本体33が図中の矢印A方向に回転すると、容器本体33内のトナーは螺旋状突起302の作用によって回転軸方向における一端側(容器後端側)から他端側(容器先端側)に向かう搬送力が付与される。
即ち、容器本体の内部に搬送部としての螺旋状突起が配置されている。
【0030】
容器本体33の容器先端側の内壁には、容器本体33が図6、及び図7中矢印A方向に回転することで螺旋状突起302によって容器先端側に搬送されてきたトナーを、容器本体33の回転によって上方に汲み上げる汲み上げ部304が形成されている。
汲み上げ部304は、図9に示すように凸部304hと、汲み上げ壁面304fとからなる。
凸部304hは、螺旋を形成しながら容器本体33の回転中心に向かって山の稜線を成すように容器本体33の内側に隆起した部分(隆起部)である。
汲み上げ壁面304fは、凸部304hから容器本体33の周面の内壁にまで繋がる壁面のうち凸部304hを挟んで容器回転方向から見て下流側となる壁面である。
【0031】
そして、汲み上げ壁面304fが下方にあるときに、螺旋状突起302の搬送力によって汲み上げ部304に対向する内部空間に進入したトナーを、容器本体33の回転に応じて汲み上げ壁面304fが上方に汲み上げる。
これにより、挿入された搬送ノズル611よりも上方にトナーを汲み上げることができる。
すなわち下方から上方にトナーを持ち上げる。
更に回転が進むと汲み上げ壁面304fによって汲み上げられているトナーが重力に従い、汲み上げ壁面上から滑り落ちる、また、そのまま崩れて落下してゆく。
滑り落ちる先には後述する本体側の搬送管である搬送ノズル611が存在するため、搬送管のノズル開口に向けてトナーを移動させることになる。
【0032】
図10は、図5のE-E断面図である。
図10にあるように凸部304hは、容器本体33がブロー成型で形成されることに影響され、なだらかな山状になっている。
図5等では汲み上げ部304を区別する必要上、便宜的に曲線で凸部304hを表している。
汲み上げ壁面304fは、図5にあるように格子で表された領域であり、図10にあるように、容器本体33の回転軸を点対象の基準として凸部304hと容器本体33の内周面とをつなぐ一対の斜面から成る。
凸部304hは、隆起し始める容器内壁面から当該内壁面に対向する反対側の内壁面に向かって、且つ、開口部方向に伸びるように連続して設けられている。
なお、図5などのE-E断面の箇所では、凸部304hで分けられた内壁面のうち容器回転方向上流側の壁面は、図5などのE-E断面の切断方向と壁面の延在方向が概ね一致しているため、図10のような肉厚の状態で表れている。
凸部304hもその一見肉厚に見える箇所にある。
【0033】
汲み上げ壁面304fは、容器開口部33a方向にトナーを搬送させる必要もあるため、図11に示すように、凸部304hから容器開口部33aに向かうにしたがって、容器本体33の長手方向軸線(図11に示す一点鎖線)から離れるように傾斜している。
このようにすることによって、汲み上げ壁面がトナーを汲み上げて回転したときに、汲み上げ壁面が、開口部に向かって傾斜する(凸部から開口部への方向が、水平方向よりも下側に傾斜した方向になる。さらに言えば、長手方向軸線に対して容器の径方向外側に向かって傾斜する。)構成となりトナーを容器開口部方向に搬送しやすくなっている。
【0034】
容器本体33の汲み上げ部304よりも更に容器先端側には、容器ギア301が形成されている。
容器先端側カバー34には、容器本体33に取り付けた状態で、この容器ギア301の一部(図4中の奥側)が露出するように、ギア露出開口34aが設けられている。
そして、トナー収容容器32をトナー補給装置60に装着することで、ギア露出開口34aから露出した容器ギア301が、トナー補給装置60側の容器駆動ギア(不図示)に噛み合う構成となっている。
【0035】
容器本体33の容器ギア301よりもさらに容器先端側には、円筒状の容器開口部33aが形成されている。
そして、この容器開口部33aにノズル受入部材330の受入部材固定部337を圧入することにより、容器本体33に対してノズル受入部材330を固定することが出来る。
ノズル受入部材330を固定する方法としては圧入に限らず、接着剤による固定やネジ止めによる固定であっても良い。
トナー収容容器32は、容器本体33に対して容器開口部33aの開口からトナーを充填後、ノズル受入部材330を容器本体33の容器開口部33aに固定する構成となっている。
【0036】
また、容器本体33の容器開口部33aの容器ギア301側の端部には、カバー爪引掛け部306が形成されている。
図6に示す状態のトナー収容容器32(容器本体33)に対して、容器先端側(図6中の左下側)から容器先端側カバー34を取り付ける。
これにより、容器本体33が回転軸方向で容器先端側カバー34を貫き、容器先端側カバー34の上部に設けられたカバー爪部341がカバー爪引掛け部306に引っ掛かる。
カバー爪引掛け部306は容器開口部33aの外周面を一周するように形成されており、カバー爪部341が引っ掛かることで、容器本体33と容器先端側カバー34とは、相対的に回転可能な取り付けとなる。
【0037】
また、容器本体33は、二軸延伸ブロー成形法によって成形される。
この二軸延伸ブロー成形法は、一般的にはプリフォーム成形工程と延伸ブロー成形工程との二段工程からなる。
プリフォーム成形工程では、樹脂を用いて射出成形により試験管状のプリフォームを成形する。
このときの射出成形により、試験管状の口部に、容器開口部33a、カバー爪引掛け部306及び容器ギア301を形成する。
延伸ブロー成形工程は、プリフォーム成形工程後に冷却され、型から外されたプリフォームを加熱して軟化した後、ブロー成形すると共に延伸する。
【0038】
容器本体33では、容器ギア301よりも容器後端側が延伸ブロー成形工程によって成形される。
すなわち、汲み上げ部304、螺旋状突起302が形成されている部分、及び、把手部303は、延伸ブロー成形工程によって成形される。
容器本体33において、容器ギア301、容器開口部33a及びカバー爪引掛け部306等の容器ギア301から容器先端側の各部は、射出成形されたプリフォームのままの形状であるため、精度良く成形できる。
一方、汲み上げ部304、螺旋状突起302が形成されている部分、及び、把手部303は、射出成形された後、延伸ブロー成形工程で延伸して成形されているため、成型の精度はプリフォーム成型部よりは劣る。
【0039】
次に、容器本体33に固定されるノズル受入部材330について説明する。
図12は、容器先端側から見たノズル受入部材330の斜視説明図であり、図13は、容器後端側から見たノズル受入部材330の斜視説明図である。
また、図14は、図9に示す状態のノズル受入部材330を上から見た上断面図であり、図15は、図9に示す状態のノズル受入部材330を横(図9中の奥側)から見た横断面図である。
さらに、図16は、ノズル受入部材330の分解斜視図である。
【0040】
ノズル受入部材330は、支持部材としての容器シャッタ支持部材340と、容器シャッタ332と、封止部材としての容器シール333と、付勢部材としての容器シャッタバネ336と、受入部材固定部337とから構成されている。
容器シャッタ支持部材340は、後端部としてのシャッタ後端支持部335、側面部として平板状のシャッタ側面支持部335a、側面開口部としてのシャッタ支持開口部335b及び受入部材固定部337からなり、容器シャッタバネ336はコイルスプリングからなる。
【0041】
容器シャッタ支持部材340に設けられたシャッタ側面支持部335aとシャッタ支持開口部335bとは、トナー収容容器回転方向において互いに隣り合って配置され、二つの互いに対向するシャッタ側面支持部335aが円筒形状の一部を形成し、シャッタ支持開口部335bの部分(二箇所)で円筒形状を大きく切り取った形状となっている。
このような形状により、円筒形状の内側に形成される円柱状の空間S1内(図14)を容器シャッタ332が搬送ノズル611の挿入方向に沿っての移動、言い換えればノズル受入口331を開放する開位置への移動とノズル受入口331を閉じる閉止位置への移動を案内することができる。
すなわち容器本体が、容器開口部の容器本体内部側から、容器後端側に向かって突出している突出形状を有している。
【0042】
容器本体33に固定されるノズル受入部材330は、容器本体33の回転時に容器本体33とともに回転するが、このとき、ノズル受入部材330のシャッタ側面支持部335aは、トナー補給装置60側の搬送ノズル611の周りを回転する。
このため、回転しているシャッタ側面支持部335aとシャッタ支持開口部335bとが搬送ノズル611の上部に形成されたノズル開口610のすぐ上方の空間を交互に通過する。
これにより、仮にノズル開口610の上方でトナーが瞬間的に堆積してもその堆積トナーをシャッタ側面支持部335aが横切って崩すので、放置時に堆積トナーが凝集してしまい、再起動時にトナーの搬送不良を起こすことを抑制することができる。
一方、シャッタ側面支持部335aが搬送ノズル611の側方に位置し、ノズル開口610とシャッタ支持開口部335bとが対向するタイミングでは、図5中の矢印βで示すように、トナーはシャッタ支持開口部335bを通過して容器本体33内のトナーが搬送ノズル611内へと供給される。
【0043】
容器シャッタ332は、閉止部としての先端円筒部332c、滑動部332d、ガイドロッド332e及びシャッタ抜け防止爪332aからなる。
先端円筒部332cは、容器シール333の円筒開口(ノズル受入口331)と密着する容器先端側の部分である。
滑動部332dは、先端円筒部332cよりも容器後端側に形成され、先端円筒部332cよりは外径が少し大きく、一対のシャッタ側面支持部335aの内周面を滑動する円筒状の部分である。
ガイドロッド332eは、先端円筒部332cの円筒内部から容器後端側に向けて起立した棒材であり、容器シャッタバネ336のコイル内部に挿入されることで容器シャッタバネ336が座屈しないように規制するロッド部分である。
ガイドロッド332eは、容器後端側に、ガイドロッド摺動部332gを有する。
ガイドロッド摺動部332gは、円柱状のガイドロッド332eの途中からガイドロッド332eの中心軸を挟んで両側に形成された一対の平面である。また、ガイドロッド摺動部332gは、容器後端側が二股に割れて一対の片持ち梁332fを形成している。
シャッタ抜け防止爪332aは、ガイドロッド332eの起立した根元とは反対側の端部であって片持ち梁332fの端部に備えられ、容器シャッタ支持部材340から容器シャッタ332の脱落を防止する一対の爪部分である。
【0044】
図14及び図15に示すように、容器シャッタバネ336の先端側端部は先端円筒部332cの内壁面に突き当たり、容器シャッタバネ336の後端側端部はシャッタ後端支持部335の壁面に突き当たる。
このとき、容器シャッタバネ336は圧縮した状態であるため、容器シャッタ332はシャッタ後端支持部335から離れる方向(図14及び図15中の右方向、容器先端方向)の付勢力を受ける。
しかし、容器シャッタ332の容器後端側の端部に形成されたシャッタ抜け防止爪332aがシャッタ後端支持部335の外壁面に引っ掛かる。
これにより、図14及び図15で示す状態よりも容器シャッタ332はシャッタ後端支持部335から離れる方向に移動することを防止している。
このようなシャッタ抜け防止爪332aのシャッタ後端支持部335に対する引っ掛かりと、容器シャッタバネ336の付勢力と、によって位置決めがなされる。
詳しくは、容器シャッタ332のトナー漏れ防止機能を発揮する先端円筒部332cと容器シール333との軸方向の容器シャッタ支持部材340に対する位置決めがなされる。
両者が密着する関係で位置決めがされ、トナーの漏出を防止することが出来る。
【0045】
受入部材固定部337は容器後端側ほど外周面及び内周面の直径が段階的に小さくなる筒状である。
容器先端側から容器後端側に見て順に直径が小さくなる。
その外周面には図15に示すように、二箇所の外径部(容器先端から順に外周面AA,BB)、内周面には五箇所の内径部(容器先端から順に内周面CC,DD,EE,FF,GG)がある。
外周面の外周面AAと外周面BBの境界はテーパ面でつながっている。
内周面の四番目の内周面FFと五番目の内周面GGの境界も同様にテーパ面で繋がっている。
この内周面の内周面FF及びそれに繋がるテーパ面は、後述するシール部材巻き込み防止空間337bに対応し、それらの面の稜線は後述する五角形断面の辺に相当する。
【0046】
図14から図16に示すように、受入部材固定部337から容器後端側には互いに対向し、円筒を軸方向に切断した片状の形態である一対のシャッタ側面支持部335aが突出している。
二つのシャッタ側面支持部335aの容器後端側の端部は、底の中央に丸穴が開いたカップ形状のシャッタ後端支持部335に繋がっている。
二つのシャッタ側面支持部335aには、互いに対向することで、それらの内壁円筒面とその延長の仮想円筒面によって認識できる円柱状の空間S1が形成されている。
受入部材固定部337は、円柱状空間S1の直径と同じ大きさの内径になる円筒状の内周面として先端から五番目の内周面GGを有する。
この円柱状空間S1および円筒状の内周面GGを容器シャッタ332の滑動部332dは滑動する。
受入部材固定部337の3番目の内周面EEは、45[°]分配の等間隔で配置されたノズルシャッタ突き当てリブ337aの長手頂部を通る仮想円周面である。
この内周面EEに対応して断面(図14及び図15の断面図における断面)が四角形の円筒状(円管状)の容器シール333が配置される。
容器シール333は、三番目の内周面EEから五番目の内周面FFに繋がる垂直面に接着剤または両面テープ等により固定されている。
この容器シール333の貼り付けとは反対側(図14及び図15中の右側)の露出した面が円筒状の受入部材固定部337(容器開口部)の円筒状開口の内底をなす。
【0047】
また、図14及び図15に示すように、受入部材固定部337の内周面FFとそれに繋がるテーパ面に対応して、シール部材巻き込み防止空間337b(挟み込み防止空間)が形成されている。
シール部材巻き込み防止空間337bは三つの異なる部材で囲まれたリング状の密閉空間である。
すなわち、受入部材固定部337の内周面(四番目の内周面FFとそれに繋がるテーパ面)と、容器シール333の貼付側の垂直面と、容器シャッタ332の先端円筒部332cから滑動部332dまでの外周面とで囲まれたリング状の空間である。
そして、このリング状の空間の断面(図14及び図15の断面図における断面)は五角形をしている。
受入部材固定部337の内周面と容器シール333の端面とが成す角度、及び容器シャッタ332の外周面と容器シール333の端面とが成す角度は共に90[°]である。
【0048】
上述した構成においても、外部から想定以上の強い衝撃が加わった場合などに容器シャッタ332の容器後端側の端部に形成されたシャッタ抜け防止爪332aがシャッタ後端支持部335の外壁面に引っ掛からずに、外れてしまうということがあった。例えば、容器シャッタ332が劣化したときに生じる。このような場合、容器シャッタ332がノズル受入部材330から飛び出してしまう。
【0049】
ここで、容器シャッタ332の飛び出しについて説明する。
図17は、劣化した容器シャッタの飛び出しの一例を説明する図である。図17では、爪1、二つの軸2、ホルダ3およびバネ4を示し、上述したトナー収容容器32と以下のように関連づけて示している。
爪1は、上述した容器シャッタ332のシャッタ抜け防止爪332aとする。
二つの軸2は、片持ち梁332fとする。
ホルダ3は、シャッタ後端支持部335とする。
バネ4は、容器シャッタバネ336とする。
【0050】
劣化した容器シャッタ332の飛び出しは、衝撃により二つの爪1が僅かに、かつ同時に閉じると、バネ4の弾性力によって、更に爪1が閉じる方向に力が加わる事に起因する。
図17では、円形で囲む、爪1がホルダ3に引っ掛かる部分を拡大した図を矢印で紐づけて示している。爪1がホルダ3に引っ掛かった状態が左側であり、バネ4により二つの軸2が近づく方向に変形し、爪1がホルダ3に引っ掛かる量が少なくなる状態が右側である。図17の右側の状態では、軸2にはバネ4により矢印F0に示す方向に力が加わるため、爪1がホルダ3から外れることになる。
【0051】
そこで、一実施形態のシャッタ機構は、外部から想定以上の強い衝撃が加わった場合でも、爪1(シャッタ抜け防止爪332a)がホルダ3(シャッタ後端支持部335)の外壁面に引っかからずに外れてしまう不具合を防止することを目的として、以下の各実施形態のシャッタ機構を提供する。各実施形態の手段により、衝撃で二つの爪1が同時に閉じる事、若しくは僅かに閉じた際の保持力低下を防止する。
【0052】
以下で説明する各実施形態において、一実施形態のシャッタ機構は、シャッタ部材と、シャッタ支持部材と、弾性部材とを少なくとも有する。
シャッタ部材は、一方向に移動して閉塞する。詳細には、シャッタ部材は、一方向に沿って移動して入口を(開口部)を開閉する部材であり、一方向の一方に移動することで閉塞し、他方に移動することで開く。ここで、一方向は、弾性部材(例えばバネ4)の弾性力の作用線に沿った方向(前述の回転軸方向に沿った方向)とする。シャッタ部材は、各部材の劣化、衝撃力の作用による保持機能の低下がない材料を用いるとよい。
【0053】
また、シャッタ部材は、突当部と、梁部とを有する。
突当部は、弾性部材により付勢された状態でシャッタ支持部材に引っ掛かる。突当部は、シャッタ部材を弾性部材により自動で閉塞し、閉塞位置に固定する保持機構として働く。
梁部は、突当部を一方向と交わる方向に移動可能にする。
シャッタ支持部材は、シャッタ部材を支持する部材である。
弾性部材は、シャッタ部材とシャッタ支持部材とを互いに反対方向に付勢する部材である。
【0054】
各実施形態のシャッタ機構で、突当部とシャッタ支持部材との掛かり量又は当接面積が、弾性部材の付勢力による梁部の弾性変形前より弾性変形後の方が大きいことを特徴とする態様において、掛かり量は支持部材のエッジから突当部と支持部材との接点の内、最も遠い位置までの距離をいう。図17の左側の円形内に掛かり量の一例として符号Lの距離を示している。
以下の各実施形態では、図17に示した爪、軸、ホルダおよびバネの構成例を用いて説明する。一実施形態のシャッタ機構は、これらの構成を、突当部としての爪、梁部としての二つの軸、シャッタ支持部材の一部分としてのホルダ、弾性部材としてのバネとして用いる。
【0055】
また、一実施形態のシャッタ機構を前述のトナー収容容器32に適用すると、シャッタ機構は、例えば、シャッタ部材を容器シャッタ332、突当部をシャッタ抜け防止爪332a、梁部を片持ち梁332f、シャッタ支持部材をシャッタ後端支持部335(またはシャッタ後端支持部335を有する容器シャッタ支持部材340)、弾性部材を容器シャッタバネ336として構成する。
なお、一実施形態のシャッタ機構は、上述の容器シャッタ332で説明した、容器シール333等を有するが、以下の各実施形態では説明を省略する。
以下に各実施形態の特徴について説明する。
【0056】
実施形態1.
実施形態1では、突当部は、弾性機能を有し、弾性部材が付勢する方向の力により梁部から離れる方向に弾性変形することを特徴とする。
このようにすると、突当部がシャッタ支持部材に引っ掛かる量は、弾性変形する前より弾性変形したときの量が大きくなる。ここで、引っ掛かる量は、突当部がシャッタ支持部材と接触する接触面積、または、突当部とシャッタ支持部材とが重なる量(例えば、シャッタ支持部材の梁部が通る開口部の縁から突当部の端部までの長さ)としてもよい。
【0057】
実施形態1では、梁部は、弾性変形することにより、突当部を一方向と交わる方向に移動させる。梁部は、例えば、突当部が一方向と直交する方向に移動するように、弾性変形可能となるように構成される。
シャッタ部材において、突当部と梁部とは、一体化した単一部材で構成されるとよい。
【0058】
図18は、実施形態1のシャッタ機構の要部を説明する図である。シャッタ機構は、爪11、軸12、ホルダ3およびバネ4を少なくとも有する。
図18では、図17と同様に、円形で囲む、爪11がホルダ3に引っ掛かる部分を拡大した図を矢印で紐づけて示している。
【0059】
実施形態1では、突当部としての爪11は、弾性機能を有する構造とした。この構造により、爪11及び爪11を設けた軸12を併せた弾性力が高くなり、衝撃によって爪11が閉じにくくなる。加えて、僅かに軸12が閉じても、バネ4の弾性力によって爪11が開く方向に作用する。詳細には、バネ4の弾性力により軸12が閉じる方向に力が加わったときに、爪11は、弾性機能により伸びることから、図18の矢印F1の方向に加わる力が作用する。
その結果、衝撃によるシャッタ部材の飛び出しを防止する。
【0060】
上述したように、シャッタ部材は保持機構としての爪11(突当部)は、爪11と二つの軸12(梁部)とが、一体化した単一部材で構成され、爪11が一方向と交わる方向(例えば、直交する方向)に弾性変形可能となること、爪11が弾性機能(伸びる機能)を有する構造であること、という複数の弾性機能を有する。このようにすると、シャッタ部材が衝撃力を受けるとその弾性力により、閉塞位置へ戻る力が作用する為、衝撃力の作用による保持機能の低下がない。
【0061】
実施形態2.
実施形態2では、突当部は、一方向に対して鋭角に形成されていることを特徴とする。
このようにすると、突当部がシャッタ支持部材に引っ掛かる量は、弾性変形する前より弾性変形したときの量が大きくなる。
実施形態2では、梁部は、実施形態1と同様に構成される。
また、突当部と梁部とは、一体化した単一部材で構成されるとよい。
【0062】
図19は、実施形態2のシャッタ機構の要部を説明する図である。シャッタ機構は、爪21、軸22、ホルダ3およびバネ4を少なくとも有する。
図19では、図17と同様に、円形で囲む、爪21がホルダ3に引っ掛かる部分を拡大した図を矢印で紐づけて示している。
【0063】
実施形態2では、二つの爪21の先端の角度を鋭角にした。この構造により、衝撃で爪21を設けた軸22が僅かに閉じると、爪21とホルダ3とは面で接触する。これにより、爪21が僅かに閉じても、バネ4の弾性力が爪21をホルダ3に押し付ける方向のみに作用する。具体的には、図19の矢印F2の方向に加わる力が作用する。
その結果、シャッタ部材の飛び出しが防止される。
【0064】
上述したように、シャッタ部材の保持機構としての爪21(突当部)は、閉塞位置ではホルダ3と、バネ4(弾性部材)による弾性力の作用線に垂直な面(ホルダ3の面)に対して点若しくは線で接し、衝撃力を受けると面で接する形状である。このため、爪21は、衝撃力を受けた時に、力を受ける面積が広くなる為、衝撃力の作用による保持機能の低下がない。
【0065】
実施形態3.
実施形態3では、シャッタ部材は、弾性部材により付勢された状態でシャッタ支持部材に引っ掛かる突当部を有し、シャッタ支持部材は、シャッタ部材が貫通する開口部を突当部との当接面に有し、開口部は所定の位置で突当部と当接しない形状を有することを特徴とする。
図20は、実施形態3のシャッタ機構の要部を説明する図である。シャッタ機構は、爪31、梁部35、ホルダ36およびバネ4を少なくとも有し、さらに回転規制部37を有するとよい。
図20(A)では、矩形で囲む、爪31、ホルダ36等を拡大した斜視図を矢印で紐づけて示している。図20(B)から(D)は、(A)に示す矢印Aから見た端面を説明する図であり、(B)は梁部35を組み付ける前のホルダ36単体を示す図、(C)はホルダ36に梁部35を組み付けた状態でリブ35cを表してない図、(D)はホルダ36に梁部35を組み付けた状態でリブ35cを表した図である。
【0066】
実施形態3では、シャッタ部材は、爪31を回転により機能する保持機構とし、バネ4の弾性力によりホルダ36に押し付ける事で位置を固定する構造とした。さらに回転規制部37を付加する事で、回転規制の作用しない位置にシャッタ部材を移動させた後、さらに回転しなければ、シャッタが飛び出なくなる。その為、短時間で強い荷重が作用する衝撃力に強くなる。
【0067】
梁部35は、軸35aの先端部に、突当部としての爪31が設けられている。
ホルダ36は、爪31が当接する当接面36aに、シャッタ部材の爪31が軸35aの一部分とともに、容器先端側から容器後端側へ貫通する大きさの開口部36bを有する。
開口部36bは、爪31が容器先端側から容器後端側へ当接面36aを通り抜けた後、回転したときに、容器先端側に戻らない形状を有する。図20は、爪31が当接面36aに引っ掛かった状態を示す。これにより、シャッタ部材が、バネ4により付勢された状態で爪31が当接面36aに引っ掛かる。
尚、軸35aの開口部よりも奥側(突当部のある先端から離れた位置)には、前述の引っかかった状態にて開口部を通るリブ35cがあり、これは、シャッタの開閉の際に引っかかった状態から外れる状態に軸35aが回転することを抑制する抑制構造である。通常回転方向に力が加わる懸念が低い場合や他の抑制構造がある場合には、リブ35cは無くても良い。
【0068】
上述したように、シャッタ部材の保持機構としての爪31(突当部)は、弾性部材による弾性力の作用線方向と、その作用線周りの回転方向について機能する構造であり、段階的に複数の力が作用しなければ保持力が低下しない為、衝撃力の作用による保持機能の低下がない。
【0069】
実施形態4.
実施形態4では、複数の突当部は、前述の一方向において、異なる位置に設けられていることを特徴とする。
実施形態4では、梁部は、実施形態1と同様に構成される。
また、突当部と梁部とは、一体化した単一部材で構成されるとよい。
【0070】
図21は、実施形態4のシャッタ機構の要部を説明する図である。シャッタ機構は、爪41、軸42、ホルダ3およびバネ4を少なくとも有する。
図21では、図17と同様に、円形で囲む、爪41がホルダ3に引っ掛かる部分を拡大した図を矢印で紐づけて示している。
【0071】
実施形態4では、二つの爪41の軸42を、異なる長さとした。詳細には、二つの爪41が、弾性力の作用線に沿って、異なる位置になるように(一方向で異なる位置に配置して)、二つの爪41の軸42の長さが異なるように構成した。その結果、衝撃力が加わった際、二つの爪41が同時に閉じることがなくなり、シャッタ部材の飛び出しが防止される。
例えば、図21の左側において、上側の爪41は、ホルダ3に接しているが、下側の爪41は、ホルダ3に接していない。この状態から軸42が弾性変形すると、図21の左側の状態になり、このときホルダ3に爪41が接していない下側の軸42へ矢印F4で示す方向の力が作用する。これにより、爪41がホルダ3から外れることを防止することができる。
【0072】
上述したように、シャッタ部材の保持機構としての爪41(突当部)は、バネ4(弾性部材)による弾性力の作用線に対する対称性を持たず、衝撃力をホルダ3に対して1点で支持する形状である。これにより、シャッタ部材が受けた衝撃力が、弾性部材による弾性力とは異なる方向に分散する為、衝撃力の作用による保持機能の低下がない。
【0073】
実施形態5.
実施形態5では、シャッタ部材の突当部は、シャッタ支持部材に向けて突出する突出部を有し、シャッタ支持部材は突出部(突起部)が収まる凹部を有することを特徴とする。
実施形態2では、梁部は、実施形態1と同様に構成される。
また、突当部、梁部および突出部は、一体化した単一部材で構成されるとよい。
【0074】
図22は、実施形態5のシャッタ機構の要部を説明する図である。シャッタ機構は、爪51、軸52、ホルダ53、バネ4および突出部57を少なくとも有する。
図22では、円形で囲む、爪21がホルダ3に引っ掛かる部分を拡大した図を矢印で紐づけて示している。
【0075】
実施形態5では、爪51の先端に突出部57を設ける。ホルダ53には突出部57が収まる凹部を設ける。これにより、衝撃力が加わって爪51が閉じようとした際に突出部57が凹部の内側の壁に接触し、爪51が閉じることを防ぎ、シャッタ部材の飛び出しが防止される。
【0076】
その他の実施形態.
上記各実施形態のシャッタ機構を有するトナー収容容器32は、トナーが充填されたトナーカートリッジとして用いる。
また、上記各実施形態のシャッタ機構を有するトナー収容容器32は、前述の画像形成装置に着脱可能である。
【0077】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0078】
11、21、31、41、51 爪(突当部)
12、22、42、52 軸(梁部)
3、36 ホルダ(シャッタ支持部材)
4 バネ(弾性部材)
32 トナー収容容器
35 梁部
35a、35b 軸
36a 当接面
36b 開口部
37 回転規制部
57 突出部
332 容器シャッタ(シャッタ部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【文献】特開2014-112120号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22