(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、異常検出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G06F11/07 178
G06F11/07 140P
(21)【出願番号】P 2020176878
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森 哲史
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-081422(JP,A)
【文献】特開平04-247538(JP,A)
【文献】特開昭64-028750(JP,A)
【文献】特開2009-087136(JP,A)
【文献】特開2009-176180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J29/00-29/70
G06F 3/09-3/12
11/07
11/28-11/36
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成する機能制御部と、
生成された前記異常終了ファイルから一部の情報を抽出し、抽出された情報を異常情報として異常情報記憶部に書き込む異常終了監視部と、
前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して表示部に表示するシステム制御部と、を備
え、
前記システム制御部は、実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成し、
前記異常終了監視部は、前記異常終了ファイルの有無を監視し、前記異常終了ファイルが存在する場合、前記異常情報を前記異常情報記憶部に書き込むとともに、前記異常終了ファイルが前記機能制御部によって生成された場合は、前記システム制御部に通知し、前記異常終了ファイルが前記システム制御部によって生成された場合は、前記情報処理装置を再起動し、
前記システム制御部は、前記情報処理装置が起動すると、前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して、読み出された前記異常情報を前記表示部に表示する、
情報処理装置。
【請求項2】
実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成する機能制御部と、
生成された前記異常終了ファイルから一部の情報を抽出し、抽出された情報を異常情報として異常情報記憶部に書き込む異常終了監視部と、
前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して表示部に表示するシステム制御部と、を備
え、
前記異常終了監視部は、前記システム制御部を識別するための識別子が前記異常終了ファイルに含まれるか否かに基づいて、前記異常終了ファイルが前記機能制御部によって生成されたか、前記システム制御部によって生成されたかを判定する、
情報処理装置。
【請求項3】
前記異常情報は、前記機能制御部または前記システム制御部を実現するプロセッサのレジスタの値を含む、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置が実行する異常検出方法であって、
機能制御部が、実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成するステップと、
異常終了監視部が、生成された前記異常終了ファイルから一部の情報を抽出し、抽出された情報を異常情報として異常情報記憶部に書き込むステップと、
システム制御部が、前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して表示部に表示するステップと、
前記システム制御部が、実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成するステップと、
前記異常終了監視部が、前記異常終了ファイルの有無を監視し、前記異常終了ファイルが存在する場合、前記異常情報を前記異常情報記憶部に書き込むとともに、前記異常終了ファイルが前記機能制御部によって生成された場合は、前記システム制御部に通知し、前記異常終了ファイルが前記システム制御部によって生成された場合は、前記情報処理装置を再起動するステップと、
前記システム制御部が、前記情報処理装置が起動すると、前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して、読み出された前記異常情報を前記表示部に表示するステップと、
を備える、
異常検出方法。
【請求項5】
情報処理装置が実行する異常検出方法であって、
機能制御部が、実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成するステップと、
異常終了監視部が、生成された前記異常終了ファイルから一部の情報を抽出し、抽出された情報を異常情報として異常情報記憶部に書き込むステップと、
システム制御部が、前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して表示部に表示するステップと、
前記異常終了監視部が、前記システム制御部を識別するための識別子が前記異常終了ファイルに含まれるか否かに基づいて、前記異常終了ファイルが前記機能制御部によって生成されたか、前記システム制御部によって生成されたかを判定するステップと、
を備える、
異常検出方法。
【請求項6】
コンピュータ
を、
実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成する
機能制御部と、
生成された前記異常終了ファイルから一部の情報を抽出し、抽出された情報を異常情報として異常情報記憶部に書き込む
異常終了監視部と、
前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して表示部に表示する
システム制御部と、
として機能させ、
前記システム制御部は、実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成し、
前記異常終了監視部は、前記異常終了ファイルの有無を監視し、前記異常終了ファイルが存在する場合、前記異常情報を前記異常情報記憶部に書き込むとともに、前記異常終了ファイルが前記機能制御部によって生成された場合は、前記システム制御部に通知し、前記異常終了ファイルが前記システム制御部によって生成された場合は、前記コンピュータを再起動し、
前記システム制御部は、前記コンピュータが起動すると、前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して、読み出された前記異常情報を前記表示部に表示する、
プログラム。
【請求項7】
コンピュータ
を、
実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成する
機能制御部と、
生成された前記異常終了ファイルから一部の情報を抽出し、抽出された情報を異常情報として異常情報記憶部に書き込む
異常終了監視部と、
前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して表示部に表示する
システム制御部と、
として機能させ、
前記異常終了監視部は、前記システム制御部を識別するための識別子が前記異常終了ファイルに含まれるか否かに基づいて、前記異常終了ファイルが前記機能制御部によって生成されたか、前記システム制御部によって生成されたかを判定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、異常検出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置に発生した異常を検出する技術が開発されている。例えば、異常発生時のメモリの内容をファイルに書き出すクラッシュダンプという技術によって、異常の発生原因を解析する技術が知られている。
【0003】
また、特許文献1には、本体制御部と操作制御部とを備える装置が開示されている。本体制御部は、操作制御部との通信経路が正常な状態か否かを監視する第1の監視手段を備える。操作制御部は、本体制御部のアプリ部と操作制御部のアプリ部との間の通信経路が正常な状態か否かを監視する第2の監視手段を備える。さらに、操作制御部は、第2の監視手段が監視する通信経路と異なる通信経路を用いて、本体制御部内で発生した異常の内容を示す異常情報を本体制御部から取得することを試みる取得手段を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クラッシュダンプによって書き出されるファイルは、メモリの内容がそのまま含まれるため、データ量の非常に大きいファイルである。組み込み機器のような記憶容量が限られた機器は、クラッシュダンプによって書き出されるファイルを保存するのに十分な容量を確保できない。このため、組み込み機器のような記憶容量が限られた機器はクラッシュダンプによって書き出されるファイルを保存できず、異常の発生原因の解析が困難であるという問題がある。
【0005】
開示の技術は、異常の発生原因の解析を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の情報処理装置は、実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成する機能制御部と、生成された前記異常終了ファイルから一部の情報を抽出し、抽出された情報を異常情報として異常情報記憶部に書き込む異常終了監視部と、前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して表示部に表示するシステム制御部と、を備ええ、前記システム制御部は、実行中の処理に異常終了が発生すると、前記異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成し、前記異常終了監視部は、前記異常終了ファイルの有無を監視し、前記異常終了ファイルが存在する場合、前記異常情報を前記異常情報記憶部に書き込むとともに、前記異常終了ファイルが前記機能制御部によって生成された場合は、前記システム制御部に通知し、前記異常終了ファイルが前記システム制御部によって生成された場合は、前記情報処理装置を再起動し、前記システム制御部は、前記情報処理装置が起動すると、前記異常情報を前記異常情報記憶部から読み出して、読み出された前記異常情報を前記表示部に表示する情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
異常の発生原因の解析を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】プロセス生成処理のフローの一例を示す図である。
【
図4】異常検出処理のフローの一例を示す図である。
【
図5】異常情報表示処理のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明に係る情報処理装置を画像形成装置に適用した実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0011】
画像形成装置10は、情報処理装置の一例であって、画像を形成する機能を有する組み込み機器である。
【0012】
画像形成装置10は、操作パネル101と、スキャナ102と、プロッター103と、CPU(Central Processing Unit)104と、eMMC(embedded Multimedia Card)105と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)106と、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)107と、を備える。
【0013】
操作パネル101は、機能の選択画面等の各種の情報を表示して、操作者からの入力を受け付ける装置である。具体的には、操作パネル101は、表示機能と操作機能を併せ持つタッチパネル、濃度の設定条件などの画像の形成機能に関する設定値の入力を受け付けるテンキーまたはコピーの開始等の指示を受け付けるスタートキー等を備える。操作パネル101は、表示部の一例である。
【0014】
スキャナ102は、センサによる走査処理によって、用紙の画像を読み取って画像データを生成する装置である。
【0015】
プロッター103は、用紙等の記録媒体に画像を形成する装置である。
【0016】
CPU104は、画像形成装置10の有する種々の機能を制御する制御装置である。具体的には、CPU104は、eMMC105に格納されたプログラムを読み出して、読み出されたプログラムに規定された各種の処理を実行する。
【0017】
CPU104は、演算を実行する論理回路と、レジスタと呼ばれる記憶回路と、を内蔵する。レジスタは、論理回路による処理に要する記憶領域であって、高速に書き込みまたは読み出しが可能であり、少量の記憶容量を有する。
【0018】
eMMC105は、不揮発性メモリであって、各種機能を実現するためのプログラムを記憶する記憶装置である。
【0019】
DRAM106は、揮発性メモリであって、各種機能の実現のための記憶領域として使用する記憶装置である。DRAM106は、CPU104による制御を受けて、ファイル形式のデータを格納可能なRAMDISKの記憶領域として使用される。
【0020】
NVRAM107は、不揮発性メモリであって、各種機能の設定値等を記憶する記憶装置である。
【0021】
【0022】
画像形成装置10は、プロセス起動部11と、システム制御部12と、異常終了監視部13と、機能制御部14と、異常終了ファイル記憶部15と、異常情報記憶部16と、を有する。
【0023】
プロセス起動部11は、システム制御部12、異常終了監視部13または機能制御部14として機能する各種のプロセスを起動する。プロセスは、OS(Operating System)によって管理される処理の単位である。各プロセスは、プロセスID(Identifier)によって一意に識別される。プロセス起動部11は、CPU104がOSの機能を利用することによって実現される。例えば、プロセス起動部11は、Linux(登録商標)のSystemdに相当する。
【0024】
システム制御部12は、画像形成装置10が備える組み込みシステム全体を制御する。システム制御部12は、プロセス起動部11によって起動されるシステム制御プロセスによって実現される。
【0025】
システム制御部12は、異常情報を異常情報記憶部16から読み出して、読み出された異常情報を操作パネル101に表示する。
【0026】
異常終了監視部13は、異常終了ファイル記憶部15における異常終了ファイルの有無を監視し、異常終了ファイルが存在する場合、異常終了ファイルから一部の情報を抽出し、抽出された情報を異常情報として異常情報記憶部16に書き込む。異常終了監視部13は、プロセス起動部11によって起動される異常終了監視プロセスによって実現される。
【0027】
機能制御部14は、画像形成装置10が有する各種の機能を制御する。例えば、機能制御部14は、ネットワーク機能を制御するネットワーク制御部141と、コピー機能を制御するコピー制御部142と、プリンタ機能を制御するプリンタ制御部143と、スキャナ機能を制御するスキャナ制御部144と、を有する。機能制御部14は、プロセス起動部11によって起動される各種の機能制御プロセスによって実現される。
【0028】
システム制御部12および機能制御部14は、実行中の処理に異常終了が発生すると、異常終了の発生状況を示す異常終了ファイルを生成する。そして、機能制御部14は、生成した異常終了ファイルを異常終了ファイル記憶部15に記憶させる。
【0029】
異常終了ファイル記憶部15は、異常終了ファイルを記憶する。異常終了ファイル記憶部15は、CPU104およびDRAM106の協働によって実現される。具体的には、CPU104は、DRAM106を使用してRAMDISKを構築し、RAMDISK上に異常終了ファイルを格納する。DRAM106が揮発性メモリであることから、異常終了ファイルは、画像形成装置10の電源OFFによって消失する。
【0030】
異常情報記憶部16は、異常情報を記憶する。異常情報記憶部16は、CPU104およびNVRAM107の協働によって実現される。NVRAM107が不揮発性メモリであることから、異常情報は、画像形成装置10の電源OFFによっても消失しない。
【0031】
次に、画像形成装置10の動作について、図面を参照して説明する。
【0032】
画像形成装置10は、電源ONの操作を受けてOSを起動すると、プロセス生成処理を開始する。
【0033】
図3は、プロセス生成処理のフローの一例を示す図である。
【0034】
プロセス起動部11は、DRAM106を異常終了ファイル記憶部15として機能させるために、DRAM106を使用してRAMDISKを構築し、DRAM106の記憶域をマウントする(ステップS1)。マウントとは、例えばLinux(登録商標)のmountコマンドのように、OSからRAMDISKのファイルシステムを使えるようにするための手続きである。これによって、CPU104の各機能部は、異常終了ファイルをDRAM106に書き込みおよび読み出すことができる。
【0035】
次に、プロセス起動部11は、システム制御部12として機能するシステム制御プロセスを生成および起動する(ステップS2)。
【0036】
プロセス起動部11は、システム制御プロセスを識別するためのプロセスIDをRAMDISK上に記録する(ステップS3)。
【0037】
次に、プロセス起動部11は、異常終了監視部13として機能する異常終了監視プロセスを生成および起動する(ステップS4)。
【0038】
続いて、プロセス起動部11は、機能制御部14として機能する各種機能制御プロセスを生成する。例えば、プロセス起動部11は、ネットワーク制御部141として機能するネットワーク制御プロセスを生成および起動し(ステップS5)、コピー制御部142として機能するコピー制御プロセスを生成および起動する(ステップS6)。次に、プロセス起動部11は、プリンタ制御部143として機能するプリンタ制御プロセスを生成および起動し(ステップS7)、スキャナ制御部144として機能するスキャナ制御プロセスを生成および起動する(ステップS8)。
【0039】
システム制御部12および機能制御部14は、異常終了が発生すると、プロセスを終了する直前に異常終了処理を実行する。
【0040】
図4は、異常終了処理のフローの一例を示す図である。
【0041】
一例として、ネットワーク制御部141が異常終了する例を示す。ネットワーク制御部141は、異常終了の原因となる処理として、例えば不正なメモリアクセスを実行する(ステップS11)。
【0042】
次に、ネットワーク制御部141は、セグメンテーション違反を示す信号を受信する(ステップS12)。具体的には、OSが不正なメモリアクセスを検知すると、いわゆるSEGFAULTと呼ばれるシグナルを発生元のプロセス(ここではネットワーク制御プロセス)に通知する。
【0043】
ネットワーク制御部141は、シグナルハンドラを実行する(ステップS13)。シグナルハンドラは、シグナルを受信した場合に特定の処理を実行するための技術である。具体的には、ネットワーク制御部141は、SEGFAULTを受信した場合の処理をあらかじめ規定しておくことによって、次のステップS14の処理を実行する。
【0044】
ネットワーク制御部141は、異常終了ファイルを生成する(ステップS14)。このステップS14の処理は、シグナルハンドラとして規定されている。これによって、ネットワーク制御部141は、異常終了時に異常終了ファイルを生成することができる。異常終了ファイル記憶部15は、生成された異常終了ファイルを記憶する。
【0045】
ネットワーク制御部141を一例として説明したが、システム制御部12および機能制御部14の他の機能制御部も、同様の処理によって、異常終了時に異常終了ファイルを生成する。
【0046】
次に、異常情報を表示するための異常情報表示処理について説明する。
【0047】
図5は、異常情報表示処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0048】
異常終了監視部13は、異常終了監視プロセスがプロセス起動部11によって生成および起動されると、異常終了ファイル記憶部15における異常終了ファイルの有無を監視する(ステップS201)。異常終了ファイル記憶部15に異常終了ファイルが存在しない場合には、特に処理を実行しないで、そのまま監視を続ける。
【0049】
図4に示したように、例えばネットワーク制御部141に異常終了が発生すると、ネットワーク制御部141は、異常終了ファイルを生成する(ステップS202)。
【0050】
異常終了監視部13は、引き続き、異常終了ファイルの有無を監視する(ステップS203)。そして、異常終了ファイル記憶部15に異常終了ファイルが存在する場合、異常終了監視部13は、異常終了ファイルを解析する(ステップS204)。具体的な解析の内容については、異常終了ファイルの例示とともに後述する。
【0051】
次に、異常終了監視部13は、異常終了ファイル記憶部15に記録された、システム制御プロセスのプロセスIDを取得する(ステップS205)。異常終了監視部13は、異常終了ファイルの解析の結果に基づいて、異常終了ファイルの一部の情報を抽出して、抽出された情報を異常情報として異常情報記憶部16に書き込む(ステップS206)。異常情報記憶部16は、生成された異常情報を記憶する。
【0052】
異常終了監視部13は、異常終了ファイルのファイル名等に基づいて、異常終了ファイルを生成したプロセスのプロセスIDを得る。そして、異常終了監視部13は、異常終了ファイルを生成したプロセスのプロセスIDと、システム制御プロセスのプロセスIDとが同一であるか否かを判定する。
【0053】
システム制御プロセス以外のプロセスが異常終了した場合、異常終了監視部13は、異常終了ファイルを生成したプロセスのプロセスIDと、システム制御プロセスのプロセスIDとが同じでないと判定する。この場合、異常終了監視部13は、異常終了の発生をシステム制御部12に通知する(ステップS207)。
【0054】
システム制御部12は、通知を受けると、異常情報を異常情報記憶部16から取得する(ステップS208)。そして、システム制御部12は、取得した異常情報を操作パネル101に表示する(ステップS209)。
【0055】
そして、システム制御部12は、表示した異常情報の処理済みフラグを立てる(ステップS210)。処理済みフラグについては後述する。
【0056】
また、システム制御プロセスが異常終了した場合、異常終了監視部13は、異常終了ファイルを生成したプロセスのプロセスIDと、システム制御プロセスのプロセスIDとが同じであると判定する。この場合、異常終了監視部13は、OSを再起動する(ステップS211)。
【0057】
OSの再起動が実行されると、画像形成装置10は、
図3に示したプロセス生成処理を実行する。そして、システム制御部12は、異常情報記憶部16から異常情報を取得する(ステップS212)。すなわち、システム制御部12は、システム制御プロセスがプロセス起動部11によって生成および起動されると、異常情報記憶部16に異常情報が格納されているか否かを確認する。
【0058】
ここで、ステップS211におけるOSの再起動後の場合には、異常情報記憶部16には、システム制御部12の異常終了に関する異常情報が格納されている。したがって、システム制御部12は、自身の異常終了に関する異常情報を取得することができる。
【0059】
システム制御部12は、処理済みフラグが立っていない異常情報が存在する場合、取得した異常情報を操作パネル101に表示する(ステップS213)。そして、システム制御部12は、表示した異常情報の処理済みフラグを立てる(ステップS214)。
【0060】
【0061】
異常終了ファイル151は、項目として、「Cause」と、「Address」と、「PC」と、「REGA」と、「REGB」と、「Backtrace」と、を含む。
【0062】
項目「Cause」の値は、異常終了の発生要因を示す文字列である。
【0063】
項目「Address」の値は、不正アクセス等が発生したメモリのアドレスを示す値である。項目「Address」の値は、例えば、CR2レジスタの値である。
【0064】
項目「PC」、「REGA」および「REGB」の値は、それぞれ異常終了発生時のCPUレジスタの値である。
【0065】
項目「PC」の値は、異常が発生した処理に該当するプログラムの位置(プログラムカウンタ)である。項目「PC」の値は、例えば、EIP(Extended Instruction Pointer)レジスタの値である。
【0066】
項目「Backtrace」の値は、異常終了が発生した処理の内容をプログラムに沿ってバックトレースしたものを、プログラム言語によって表現された文字列である。
【0067】
また、異常終了ファイルのファイル名は、プロセスIDおよびプロセス名を含み、例えば、「(プロセスID).(プロセス名).assert」とする。
【0068】
上述した異常終了ファイル151は、一例であって、他の種々の情報が含まれていても良い。システム制御部12および機能制御部14は、あらかじめ決められた形式にしたがって、異常終了ファイル151を生成する。異常終了監視部13は、決められた形式にしたがって異常終了ファイル151の文字列を分解して、解析に必要な項目の値を抽出し、異常情報を生成する。
【0069】
【0070】
異常情報161は、データ量が少ない形式とすることが望ましく、例えば、6つの項目を含むCSV(Comma Separated Value)形式とする。
【0071】
第一項目「処理済みフラグ」の値は、システム制御部12による表示処理を正常に実行したか否かを示し、実行した場合は「T」、実行していない場合は「F」とする。なお、処理済みフラグを「立てる」とは、処理済みフラグを「F」から「T」に変更することを表す。
【0072】
システム制御部12は、処理済みフラグの値が「F」となっている行のデータを処理の対象とする。また、システム制御部12は、処理済みフラグの値が「F」となっている行が複数ある場合は、各行のデータを順に処理する。
【0073】
第二項目「プロセスID」の値は、異常終了ファイル151のファイル名に含まれる「プロセスID」の値であり、異常終了したプロセスを特定するための識別子である。
【0074】
第三項目「プロセス名」の値は、異常終了ファイル151のファイル名に含まれる「プロセス名」の値であり、異常終了したプロセスの名称を示す文字列である。
【0075】
第四項目の値は、異常終了ファイル151に含まれる項目「Cause」の値であり、異常終了の発生要因を示す文字列である。
【0076】
第五項目の値は、異常終了ファイル151に含まれる項目「Address」の値であり、不正アクセス等が発生したメモリのアドレスを示す値である。
【0077】
第六項目の値は、異常終了ファイル151に含まれる項目「PC」の値であり、異常が発生した処理に該当するプログラムの位置(プログラムカウンタ)である。
【0078】
異常終了監視部13は、異常情報161における各項目の値を、異常終了ファイル151のどの項目の値から抽出するかは、異常の内容に応じて決定しても良い。例えば、あらかじめ決められた異常の種別ごとに、抽出する値が決められていても良い。
【0079】
本実施形態に係る画像形成装置10によれば、システム制御部12および各種の機能制御部14に異常終了が発生した際に、異常終了ファイル151を生成する。そして、画像形成装置10は、異常終了ファイル151の有無を監視して、異常終了ファイル151が生成されると速やかに異常情報161を不揮発性メモリに書き込み、操作パネル101に表示する。
【0080】
異常終了ファイル151は、いわゆるクラッシュダンプによって生成されるファイルと同様に、異常終了の発生状況を示す詳細な情報が含まれる。これに対して、異常情報161は、異常の原因を解析に必要な情報であって、データ量が小さい形式のデータである。これによって、限られた記憶容量の機器であっても、異常情報161を保持しておき、表示部に表示させることができるため、異常の発生原因の解析を容易にすることができる。
【0081】
また、システム制御プロセスに異常終了が発生した場合は、画像形成装置10は、異常終了ファイル151が生成されると速やかに異常情報161を不揮発性メモリに書き込み、OSを再起動する。そして、OSの起動後には、異常情報161を操作パネル101に表示する。したがって、システム制御プロセスに異常が発生した場合にも、異常の発生原因の解析を容易にすることができる。
【0082】
なお、情報処理装置は、コンピュータを備えた装置であれば、画像形成装置10に限られない。情報処理装置は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0083】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0084】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0085】
10 画像形成装置
11 プロセス起動部
12 システム制御部
13 異常終了監視部
14 機能制御部
15 異常終了ファイル記憶部
16 異常情報記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】