(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20241001BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
B60J1/00 B
(21)【出願番号】P 2021018597
(22)【出願日】2021-02-08
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岸本 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】田邊 秀崇
(72)【発明者】
【氏名】伊東 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】尾郷 優
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106642(JP,A)
【文献】特開2014-216805(JP,A)
【文献】特開2009-164678(JP,A)
【文献】特開2013-131889(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003928(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/32
B60J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板と、
前記ガラス板に設けられ、DAB Band IIIの周波数帯の電波を受信する、第1DABアンテナと、第2DABアンテナと、
前記ガラス板に設けられ、少なくともFMの周波数帯の電波を受信する、FMアンテナと、を備え、
前記ガラス板を二分する中心線を境に、第1領域、第2領域を与えたとき、
前記第1DABアンテナは、前記第1領域内に配置され、
前記第2DABアンテナは、前記第2領域内に配置され、
前記FMアンテナは、前記第1領域および前記第2領域にわたって配置され、
前記第1DABアンテナは、第1DAB給電部と、前記第1DAB給電部と電気的に接続し、前記中心線に向かう方向で折り返して、前記中心線側とは反対側にある前記ガラス板の第1側縁に向かって開口するU字状の第1DABエレメントと、を有し、
前記第2DABアンテナは、第2DAB給電部と、前記第2DAB給電部と電気的に接続し、前記中心線に向かう方向で折り返して、前記中心線側とは反対側にある前記ガラス板の第2側縁に向かって開口するU字状の第2DABエレメントと、を有し、
前記FMアンテナは、前記第1領域内に配置されるFM給電部と、前記FM給電部と電気的に接続するFMエレメントと、を有し、
前記FMエレメントは、
前記FM給電部と電気的に接続して、前記第1領域内に延伸する第1水平エレメントと、
前記FM給電部と電気的に接続して、前記第1領域から前記第2領域に延伸し、前記第1水平エレメントより長い第2水平エレメントと、
前記第2水平エレメントよりも前記第1DABアンテナ及び前記第2DABアンテナ側で、
少なくとも前記第1領域に延伸する第3水平エレメントと、
前記第2領域内にある前記第2水平エレメント上の第1接続点と接続し、前記第2DABアンテナから遠ざかるように屈曲して、前記第3水平エレメント上の第2接続点と接続する接続エレメントと、を有し、
前記第3水平エレメントは、前記第2水平エレメントよりも短い、
車両用窓ガラス。
【請求項2】
前記ガラス板は、平面視において線対称であり、前記中心線は、前記ガラス板の対称軸である、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記第3水平エレメントは、前記第1DABアンテナと前記第2DABアンテナとの間に配置される、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項4】
前記第2水平エレメントは、前記第1接続点から前記第2側縁の方向に延伸して開放端を有する第1部分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記第3水平エレメントは、前記第2接続点から前記第2側縁の方向に延伸して開放端を有する第2部分を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記FM給電部から前記第2水平エレメント、前記接続エレメント及び前記第3水平エレメントの前記第1領域における開放端までの距離L
FMは、FM周波数帯の電波の空気中の中心波長をλ
FMC、前記ガラス板の波長短縮率をkとしたとき、
0.7×(3/4)×k×λ
FMC≦L
FM≦1.3×(3/4)×k×λ
FMC
を満足する、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記第1DABアンテナと前記接続エレメントとの距離D
1は、100mm以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項8】
前記第2DABアンテナと前記接続エレメントとの距離D
2は、40mm以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記接続エレメントは、前記第2DABアンテナの方向へ延伸する第1垂直エレメントと、
前記第1垂直エレメントよりも前記中心線側で、前記第1DABアンテナ及び前記第2DABアンテナの方向へ延伸する第2垂直エレメントと、
前記第1垂直エレメントと前記第2垂直エレメントと、を接続する第4水平エレメントと、を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項10】
前記第4水平エレメントは、前記第2側縁に向かう仮想延長直線が、前記第2DABアンテナと交差しない、請求項9に記載の車両用窓ガラス。
【請求項11】
前記仮想延長直線と前記第2DABアンテナとの距離D
3は、20mm以上である、請求項10に記載の車両用窓ガラス。
【請求項12】
前記第2垂直エレメントと前記第2DABアンテナとの距離D
4は、100mm以上である、請求項9~11のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項13】
前記第2垂直エレメントは、前記中心線上に配置される、請求項9~12のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項14】
前記第1水平エレメントは、前記第2水平エレメントと前記第3水平エレメントとの間に配置される、請求項1~13のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項15】
前記第1水平エレメントは、前記FM給電部とは反対側の端部が開放端である、請求項1~14のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項16】
前記第1水平エレメントの長さL
1は、FM周波数帯の電波の空気中の中心波長をλ
FMC、前記ガラス板の波長短縮率をkとしたとき、
0.7×(1/4)×k×λ
FMC≦L
1≦1.3×(1/4)×k×λ
FMC
を満足する、請求項1~15のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項17】
前記ガラス板には、前記ガラス板を電気的に加熱するデフォッガが設けられ、
前記第1DABアンテナ、前記第2DABアンテナ及び前記FMアンテナは、前記デフォッガよりも上側の空白領域、又は、前記デフォッガよりも下側の空白領域に設けられる、請求項1~16のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項18】
前記デフォッガは、前記第1側縁に沿った第1バスバーと、前記第2側縁に沿った第2バスバーと、前記第1バスバーと前記第2バスバーとの間に延伸する複数の電熱線と、を有する、請求項17に記載の車両用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、MF(Medium Frequency)帯~UHF(Ultra High Frequency)帯の周波数帯にわたる範囲の所定周波数の放送波を受信する複数のアンテナを備えた車両用の窓ガラスが知られている。このように車両用窓ガラスに複数のアンテナを集約させると、アンテナを配置する領域が拡がる。とくに、車両用窓ガラスがリアガラスの場合、通常、リアガラスの開口部には、電熱線を含んで、防曇、防氷効果を奏するデフォッガが配置される。そのため、リアガラスにアンテナを備える場合、アンテナが配置される領域を拡げるとデフォッガが配置される領域が狭くなる傾向がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、リアガラスの開口部において、デフォッガよりも上部の空白領域に、FMアンテナとDABアンテナと、を備える車両用窓ガラスが開示されている。DAB(Digital Audio Broadcast)は、主に欧州で使用されるデジタルラジオの規格であり、174MHz~240MHzの周波数帯域の電波を受信するモードである、DAB Band IIIが主に挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DAB Band IIIを受信するアンテナを搭載する車両用窓ガラスは、その受信性能を高めるために、複数チャンネルを備える、いわゆるダイバーシティ化の要求が高まりつつある。しかしながら、従来の車両用窓ガラスでは、FMアンテナと複数のDABアンテナを備えようとすると、アンテナが配置される領域が拡がってしまい、また、FMアンテナとのアイソレーションが低下し、受信性能が劣るという問題があった。
【0006】
そこで、本開示は、少なくともFM放送波を受信できるアンテナと、DAB Band III放送波を受信できる複数のアンテナを備え、ガラス板上に配置するアンテナの領域を省スペース化できるとともに、アンテナ受信性能に優れた車両用窓ガラスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、
ガラス板と、
前記ガラス板に設けられ、DAB Band IIIの周波数帯の電波を受信する、第1DABアンテナと、第2DABアンテナと、
前記ガラス板に設けられ、少なくともFMの周波数帯の電波を受信する、FMアンテナと、を備え、
前記ガラス板を二分する中心線を境に、第1領域、第2領域を与えたとき、
前記第1DABアンテナは、前記第1領域内に配置され、
前記第2DABアンテナは、前記第2領域内に配置され、
前記FMアンテナは、前記第1領域および前記第2領域にわたって配置され、
前記第1DABアンテナは、第1DAB給電部と、前記第1DAB給電部と電気的に接続し、前記中心線に向かう方向で折り返して、前記中心線側とは反対側にある前記ガラス板の第1側縁に向かって開口するU字状の第1DABエレメントと、を有し、
前記第2DABアンテナは、第2DAB給電部と、前記第2DAB給電部と電気的に接続し、前記中心線に向かう方向で折り返して、前記中心線側とは反対側にある前記ガラス板の第2側縁に向かって開口するU字状の第2DABエレメントと、を有し、
前記FMアンテナは、前記第1領域内に配置されるFM給電部と、前記FM給電部と電気的に接続するFMエレメントと、を有し、
前記FMエレメントは、
前記FM給電部と電気的に接続して、前記第1領域内に延伸する第1水平エレメントと、
前記FM給電部と電気的に接続して、前記第1領域から前記第2領域に延伸し、前記第1水平エレメントより長い第2水平エレメントと、
前記第2水平エレメントよりも前記第1DABアンテナ及び前記第2DABアンテナ側で、少なくとも前記第1領域に延伸する第3水平エレメントと、
前記第2領域内にある前記第2水平エレメント上の第1接続点と接続し、前記第2DABアンテナから遠ざかるように屈曲して、前記第3水平エレメント上の第2接続点と接続する接続エレメントと、を有し、
前記第3水平エレメントは、前記第2水平エレメントよりも短い、
車両用窓ガラスを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、FM放送波を受信できるアンテナと、DAB Band III放送波を受信できる複数のアンテナを備え、ガラス板上に配置するアンテナの領域を省スペース化できるとともに、アンテナ受信性能に優れた車両用窓ガラスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の車両用窓ガラスの構成例を示す図である。
【
図2】第1実施形態の車両用窓ガラスのアンテナの長さを説明する図である。
【
図3】第2実施形態の車両用窓ガラスの構成例を示す図である。
【
図4】第3実施形態の車両用窓ガラスの構成例を示す図である。
【
図5】第4実施形態の車両用窓ガラスの構成例を示す図である。
【
図6】第5実施形態の車両用窓ガラスの構成例を示す図である。
【
図7】実施例1の車両用窓ガラスの構成(寸法)を示す図である。
【
図8】比較例1の車両用窓ガラスの構成(寸法)を示す図である。
【
図9】実施例1の車両用窓ガラスのFMのアンテナ利得の測定結果を示す図である。
【
図10】実施例1及び比較例1の車両用窓ガラスのDAB Band IIIのアンテナ利得の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示にかかる実施形態について説明する。なお、各形態において、平行、直角、水平、垂直、上下、左右などの方向には、本発明の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、X軸方向、Y軸方向、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向を表す。X軸方向とY軸方向は、互いに直交する。XY平面は、それぞれ、X軸方向及びY軸方向に平行な仮想平面を表す。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる車両用窓ガラスを示す図である。
図1において、X軸方向は、車両の車幅方向に対応し、Y軸方向は、車両の上下方向に対応する。また、XY平面は、水平面に垂直な方向(鉛直方向)に対応する。また、
図2は、第1実施形態にかかる車両用窓ガラスのうち、アンテナの領域を抜粋して示す図である。
【0011】
図1に示す車両用窓ガラス100は、ガラス板1上にFMアンテナ10、第1DABアンテナ30、第2DABアンテナ40、FMサブアンテナ50及びデフォッガ2を備える。このうち、第1実施形態にかかる車両用窓ガラス100は、FMアンテナ10、第1DABアンテナ30及び第2DABアンテナ40は必須のアンテナとして備えられ、FMサブアンテナ50及びデフォッガ2は任意に備えてもよい。また、車両用窓ガラス100がリアガラスであれば、デフォッガ2が必須に設けられ、以降、とくにことわりがない場合、車両用窓ガラス100は、デフォッガ2を含むリアガラスとして説明する。
【0012】
また、FMアンテナ10、第1DABアンテナ30及び第2DABアンテナ40を含むアンテナは、ガラス板1において(車両に組み付けたとき)、デフォッガ2よりも上側の空白領域に配置されてもよく、下側の空白領域に配置されてもよい。第1実施形態にかかる車両用窓ガラス100は、これらのアンテナが、デフォッガ2よりも上側の空白領域に配置される例について説明する。
【0013】
図1において、車両用窓ガラス100は、ガラス板1を二分する中心線60を与えるとき、ガラス板1は、該中心線60を境に、第1領域101及び第2領域102に分けられる。ここで、中心線60は、ガラス板1の面積を左右方向に略二分する上下方向(Y軸方向)の直線であればよく、ガラス板1が平面視で線対称の形状であれば、中心線60はガラス板1の線対称の軸に相当する。なお、
図1において、車両用窓ガラス100の中心線60を境に左側の領域を第1領域101、右側の領域を第2領域102としているが、左右の領域を入れ替えて定義してもよい。
【0014】
FMアンテナ10は、少なくともFMの周波数帯(例えば、76MHz~108MHz)の電波を受信できるアンテナであり、FMの周波数帯だけでなくAMの周波数帯(例えば、526.5kHz~1606.5KHz)の電波も併せて受信できるアンテナでもよい。
【0015】
FMアンテナ10は、FM給電部18と、FM給電部18と電気的に接続する、第1水平エレメント11、第2水平エレメント12、第3水平エレメント13及び接続エレメント25を有する。FM給電部18は、第1領域101に配置され、とくにガラス板1の第1側縁1b近傍で、ガラス板1を車両に組み付けたときの(不図示の)金属フランジ近傍に配置される。また、FMアンテナ10は、1つの給電部(FM給電部18)を有する、単極型アンテナである。
【0016】
第1DABアンテナ30は、第1領域101に配置され、とくに、ガラス板1の上縁1a近傍で、第3水平エレメント13よりも第1側縁(左縁)1bの近傍に配置される。第2DABアンテナ40は、第2領域102に配置され、とくに、ガラス板1の上縁1a近傍で、第3水平エレメント13よりも第2側縁(右縁)1cの近傍に配置される。第1DABアンテナ30及び第2DABアンテナ40は、DAB Band IIIの周波数帯(174MHz~240MHz)の電波を受信できるアンテナである。
【0017】
第1DABアンテナ30は、第1DAB給電部38と第1DABエレメント31を有する。第1DABエレメント31は、第1DAB給電部38と接続し、中心線60に向かう方向で折り返して、第1側縁1b(負のX軸方向)に向かって開口するU字状のエレメントを形成する。第2DABエレメント41は、第2DAB給電部48と接続し、中心線60に向かう方向で折り返して、第2側縁1c(正のX軸方向)に向かって開口するU字状のエレメントを形成する。このように、第1DABエレメント31と第2DABエレメント41が各側縁に開口するU字状に形成される理由は、以下のとおりである。
【0018】
第1DABアンテナ30は、第1側縁1b近傍に配置される。そのため、例えば、第1DABエレメント31が第1側縁1bとは反対側(第2側縁1c)に開口するU字状であると、第1DABエレメント31のうち垂直方向(Y軸方向)に延伸する部分と第1側縁1bに沿った(不図示の)金属フランジとが近接して容量結合しやすくなるため、DAB Band IIIの受信感度が低下する。第2DABアンテナ40は、第2側縁1c近傍に配置される。そのため、例えば、第2DABエレメント41が第2側縁1cとは反対側(第1側縁1b)に開口するU字状であると、第2DABエレメント41のうち垂直方向(Y軸方向)に延伸する部分と第2側縁1cに沿った(不図示の)金属フランジとが近接して容量結合しやすくなるため、DAB Band IIIの受信感度が低下する。
【0019】
また、第1DABエレメント31、第2DABエレメント41は、U字状に各側縁に開口している部分を有し、(不図示の)金属フランジと容量結合が無視できる形状であれば、
図1に示す形状に限らない。さらに、
図1において、第1DABアンテナ30、第2DABアンテナ40は、給電部が1つのみ有する単極アンテナであるが、給電部を2つ有する双極アンテナでもよい。第1DABアンテナ30、第2DABアンテナ40が、給電部を2つ有する場合、一方が(不図示の)同軸ケーブルの芯線と接続され、他方が同軸ケーブルの外部導体と接続される。
【0020】
さらに、第1DABアンテナ30、第2DABアンテナ40は、各給電部と接続するエレメントを複数本有したり、分岐したエレメントを有したりしてもよい。いずれにしても、第1DABアンテナ30は、垂直方向に延伸するエレメントが、第1側縁1bから遠ざけるように配置するとよく、例えば、50mm以上離れていればよく、80mm以上離れていれば好ましく、100mm以上離れていればより好ましい。同様に、第2DABアンテナ40は、垂直方向に延伸するエレメントが、第2側縁1cから、例えば、50mm以上離れていればよく、80mm以上離れていれば好ましく、100mm以上離れていればより好ましい。
【0021】
次に、
図1、
図2に基づき、FMアンテナ10を構成する各エレメントの詳細、さらに、FMアンテナ10、第1DABアンテナ30及び第2DABアンテナ40の配置について説明する。
【0022】
まず、第1水平エレメント11は、FM給電部18と電気的に接続され、正のX軸方向に延伸して開放端11aを有する。とくに、第1水平エレメント11は、第1領域101内に配置され、第2領域102まで延伸しない。開放端11aは、第1水平エレメント11のX軸方向に沿った位置で与えられるが、第1水平エレメント11の先端部分が折れ曲がって開放端11aが与えられてもよい。
【0023】
第2水平エレメント12は、FM給電部18と電気的に接続され、正のX軸方向に延伸し、第1領域101から第2領域102に至る。したがって、第2水平エレメント12の長さは、第1水平エレメント11の長さよりも長い。また、FMアンテナ10は、第2水平エレメント12とFM給電部18とを電気的に接続する、引き出しエレメント19を有してもよい。引き出しエレメント19は、FM給電部18と第2水平エレメント12と、を接続する上下方向(Y軸方向)に延伸するエレメントでもよく、第1水平エレメント11のうち端部とは異なる点と第2水平エレメント12と、を上下方向に接続するエレメントでもよい。なお、引き出しエレメント19は、第2水平エレメント12とFM給電部18とを接続できれば、上下方向に延伸する直線に限らず、曲線や屈曲する部分を含む線でもよい。
【0024】
第2水平エレメント12は、第1領域101から第2領域102まで延伸し、接続点12aにおいて接続エレメント25(の端部)と接続する。第2領域における、第2水平エレメント12の端部は、第1接続点12aと一致してもよく、第1接続点12aよりも正のX軸方向で開放する開放端12bでもよい。開放端12bを有する場合、第2水平エレメント12のうち、第1接続点12aから第2側縁1cの方向に延伸して開放する開放端12bまでの部分を、第1部分23ともいう。開放端12bは、第2水平エレメント12のX軸方向に沿った位置で与えられるが、第2水平エレメント12の先端部分が折れ曲がって開放端12bが与えられてもよい。なお、第1接続点12aは、接続エレメント25の第1端部に相当する。また、第3水平エレメント13は、水平方向(X軸方向)において、第1DABアンテナ30と第2DABアンテナ40との間に配置されてもよい。
【0025】
第3水平エレメント13は、第2水平エレメント12に対して、デフォッガ2側とは反対側(ガラス板1の上縁1a側)に配置され、ガラス板1の上縁1aに沿うようにX軸方向に延伸する。第3水平エレメント13は、第2接続点13aにおいて接続エレメント25と接続する。そして、第3水平エレメント13は、少なくとも第1領域101に配置され(第1領域101に)開放端13bを有する。なお、第2接続点13aは、接続エレメント25の第2端部に相当する。開放端13bは、第3水平エレメント13のX軸方向に沿った位置で与えられるが、第3水平エレメント13の先端部分が折れ曲がって開放端13bが与えられてもよい。
【0026】
また、第3水平エレメント13のうち開放端13bとは異なる側の端部は、第2接続点13aと一致してもよく、第2接続点13aよりも正のX軸方向で開放する開放端13cでもよい。なお、第2接続点13aは、接続エレメント25の第2端部に相当する。また、第3水平エレメント13が開放端13cを有するとき、開放端13cは、第2領域102に配置される。第3水平エレメント13が開放端13cを有する場合、第2接続点13aから第2側縁1cの方向に延伸して開放する開放端13cまでの部分を、第2部分24ともいう。開放端13cは、第3水平エレメント13のX軸方向に沿った位置で与えられるが、第3水平エレメント13の先端部分が折れ曲がって開放端13cが与えられてもよい。
図1に示す例において、FMアンテナ10は、第1部分23と第2部分24のうち、いずれか一方を有すればよく、両方有すると好ましい。
【0027】
接続エレメント25は、第2水平エレメント12の第1接続点12aと、第3水平エレメント13の第2接続点13aと、を接続するエレメントである。接続エレメント25は、第1接続点12aから、第1領域101に向かう負のX軸方向に延伸するエレメントと、上縁1aに向かう正のY軸方向に延伸して第2接続点13aまで延伸するエレメントを含む。つまり、接続エレメント25は、第2DABアンテナ40から離れるように延伸して配置されるエレメントである。
【0028】
また、接続エレメント25と、第1DABアンテナ30との間の距離D1は、100mm以上であればよく、150mm以上が好ましく、200mm以上がより好ましく、250mm以上がさらに好ましく、300mm以上が特に好ましい。距離D1が100mm以上であれば、接続エレメント25と、第1DABエレメント31のうち略垂直方向に延伸する部分とが離れ、第1DABアンテナ30が受信する高周波電流成分がFMアンテナ10へ流れにくくなるので、第1DABアンテナ30の受信利得が向上する。
【0029】
次に、接続エレメント25と、第2DABアンテナ40との間の距離D2について説明する。FMアンテナ10は、上記の説明のとおり、接続エレメント25によって、第2水平エレメント12と第3水平エレメント13を接続するとともに、第2DABアンテナ40から離れるように配置される。このように、接続エレメント25と第2DABアンテナ40との距離D2を長くすることで、FMアンテナ10と第2DABアンテナ40とのアイソレーションを高められ、これらのアンテナの受信感度が高められる。距離D2は、40mm以上であればよく、50mm以上が好ましく、60mm以上がより好ましい。
【0030】
図1に示すFMアンテナ10において、接続エレメント25は、第1接続点12aから第2DABアンテナ40の方向(正のY軸方向)に延伸する第1垂直エレメント21、第1垂直エレメント21から負のX軸方向に延伸する第4水平エレメント14、第4水平エレメント14から正のY軸方向に延伸する第2垂直エレメント22を有して第2接続点13aに至る。なお、第1実施形態にかかる車両用窓ガラス100において、FMアンテナ10は、接続エレメント25のうち、第1垂直エレメント21及び第4水平エレメント14が第2領域102に配置されているので、上記距離は、D
1>D
2の関係となる場合が多い。
【0031】
また、
図2において、第4水平エレメント14から延長する、ガラス板1の第2側縁1cに向かう仮想延長直線14aを与えたとき、仮想延長直線14aは、第2DABアンテナ40と交差しないと好ましい。仮想延長直線14aと第2DABアンテナ40が交差しない配置であると、第1垂直エレメント21と、第2DABエレメント41のうち略垂直方向に延伸する部分とが離れ、第2DABアンテナ40が受信する高周波電流成分がFMアンテナ10へ流れにくくなるので、第2DABアンテナ40の受信利得が向上する。仮想延長直線14aから第2DABアンテナ40までの距離D
3は、20mm以上であればよく、30mm以上が好ましく、40mm以上がより好ましい。
【0032】
さらに、第2垂直エレメント22と第2DABアンテナ40との距離D
4(
図2参照)は、100mm以上であればよく、150mm以上が好ましく、200mm以上がより好ましく、250mm以上がさらに好ましく、300mm以上が特に好ましい。距離D
4が100mm以上であれば、第2垂直エレメント22と、第2DABエレメント41のうち略垂直方向に延伸する部分とが離れ、第2DABアンテナ40が受信する高周波電流成分がFMアンテナ10へ流れにくくなるので、第2DABアンテナ40の受信利得が向上する。
【0033】
とくに、FMアンテナ10は、接続エレメント25が、第2水平エレメント12と第3水平エレメント13と、の間を屈曲して接続することで、FMアンテナ10のFM給電部18から第3水平エレメント13の開放端13bまでの距離を長くでき、かつ接続エレメント25と第2DABアンテナ40との間隔(距離D2、距離D3、距離D4)を確保できる。その結果、FMアンテナ10と第1DABアンテナ30とのアイソレーション、及び、FMアンテナ10と第2DABアンテナ40とのアイソレーションを向上でき、FMアンテナ10、第1DABアンテナ30及び第2DABアンテナ40の受信感度も高められる。
【0034】
なお、接続エレメント25は、このように直角に折れ曲がってできる2つの屈曲点を有するクランク状に延伸するが、このような形状に限らない。接続エレメント25は、第2DABアンテナ40から離れるように配置されれば、直角以外の角度の折れ線部分や曲線部分を有してもよい。さらに、
図1に示すFMアンテナ10の例において、第2垂直エレメント22は、中心線60上に位置しているが、第1領域101に配置されてもよく、第2領域102に配置されてもよい。
【0035】
次に、FMアンテナ10を構成するエレメントの長さについて説明する。
図2は、第1実施形態にかかる車両用窓ガラス100のアンテナの長さを説明する図である。まず、FM給電部18から、第3水平エレメント13の開放端13bまでの長さをL
FMとする。つまり、
図2に示すように、長さL
FMは、引き出しエレメント19、第2水平エレメント12のうち引き出しエレメント19から第1接続点12aまでのエレメント、接続エレメント25、第3水平エレメント13のうち第2接続点13aから第1領域101における先端に相当する開放端13bまでのエレメント、を合計した長さに相当する。
【0036】
そして、FMの周波数帯における空気中の中心波長をλFMCとするとき、長さLFMは、
0.7×(3/4)×k×λFMC≦LFM≦1.3×(3/4)×k×λFMC
・・・式(1a)
であればよく、
0.8×(3/4)×k×λFMC≦LFM≦1.2×(3/4)×k×λFMC
・・・式(1b)
が好ましく、
0.9×(3/4)×k×λFMC≦LFM≦1.1×(3/4)×k×λFMC
・・・式(1c)
がより好ましい。
【0037】
また、第1水平エレメント11の長さL1は、
0.7×(1/4)×k×λFMC≦L1≦1.3×(1/4)×k×λFMC
・・・式(2a)
であればよく、
0.7×(1/4)×k×λFMC≦L1≦1.2×(1/4)×k×λFMC
・・・式(2b)
が好ましく、
0.7×(1/4)×k×λFMC≦L1≦1.1×(1/4)×k×λFMC
・・・式(2c)
がより好ましい。
【0038】
FMサブアンテナ50は、上述のとおり任意に設けられる。FMサブアンテナ50は、FMアンテナ10とともに、補助的にFM放送波の電波を受信するアンテナであって、FMサブ給電部58と、FMサブエレメント51とを有する。
図1の例では、FMサブアンテナ50は、ガラス板1の第2側縁1c近傍に配置され、FMサブエレメント51が、FMサブ給電部58と接続する、L字状のエレメントを有する。具体的に、FMサブエレメント51が、FMサブ給電部58から負のY軸方向に延伸する部分と負のX軸方向に延伸する部分を有し、負のX軸方向に延伸する部分の少なくとも一部は、デフォッガ2の電熱線4の最上線と容量結合して並走する。なお、FMサブアンテナ50において、FMサブエレメント51は、
図1に示すL字状に限らない。FMサブエレメント51は、FMサブ給電部58から接続するエレメントを複数本有したり、分岐したエレメントを有したり、デフォッガ2と接続したりしてもよい。
【0039】
デフォッガ2は、ガラス板1の第1側縁1bに沿った第1バスバー3aと、ガラス板1の第2側縁1cに沿った第2バスバー3bと、第1バスバー3aと第2バスバー3bを水平方向(X軸方向)に延伸して接続する複数の電熱線4を有して、ガラス板1を加熱する。デフォッガ2は、また、複数の電熱線4の少なくとも一部を短絡するようにY軸方向に延伸する第1短絡線5a、第2短絡線5bを有してもよい。
図1において、第1短絡線5aは領域101に位置し、第2短絡線5bは領域102に位置し、各々、複数の電熱線4全てを短絡するように配置される。また、第1短絡線5a、第2短絡線5bは、各々、中心線60から負のX軸方向、中心線60から正のX軸方向に、等距離に配置される。デフォッガ2は、2つの短絡線に限らず、3以上の(Y軸方向に延伸する)短絡線を有してもよい。
【0040】
また、ガラス板1は、その周辺部に遮蔽膜を備えてもよい。
図1において、遮蔽膜の内縁70は、波線の枠で示している。つまり、遮蔽膜の内縁70より内側の領域がガラス板1における開口部に相当する。遮光膜は、具体的に、黒色セラミックス等のセラミックスが挙げられる。また、FMアンテナ10、第1DABアンテナ30、第2DABアンテナ40及びFMサブアンテナ50の一部は、遮光膜と重なるように配置でき、このような配置にすると、アンテナの一部が遮光膜によって隠蔽されて視認されなくなり意匠性が向上する。
【0041】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態にかかる車両用窓ガラスを示す図である。
図3は、車両用窓ガラス110を示し、とくにFMアンテナ10aは、第2水平エレメント12が、第1水平エレメント11と第3水平エレメントとの間に配置されることを特徴とする。なお、第2実施形態のうち第1実施形態と同様の構成及び効果の説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0042】
図3に示す車両用窓ガラス110は、FMアンテナ10aに含まれる、第1水平エレメント11が、第2水平エレメント12よりも負のY軸方向に配置される。この場合でも、第1水平エレメントは、第1領域101内に配置される。なお、FMアンテナ10aにおいて、第1水平エレメント11は、引き出しエレメント19と接続して水平方向に延伸しているが、FM給電部18が、第1水平エレメント11の開放端11aとは反対側の端部に位置してもよい。また、FMアンテナ10aにおける水平エレメント11は、不図示のデフォッガ2と容量結合しない(例えば、30mm超)距離で配置されてもよく、デフォッガ2と容量結合させてもよい。
【0043】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態にかかる車両用窓ガラスを示す図である。
図4は、車両用窓ガラス120を示し、とくにFMアンテナ10bが、第5水平エレメント15を含む特徴を有する。なお、第3実施形態のうち第1実施形態と同様の構成及び効果の説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0044】
図4に示す車両用窓ガラス120は、FMアンテナ10bが、X軸方向に延伸する第5水平エレメント15を有し、引き出しエレメント19と第1垂直エレメント21とを接続する。FMアンテナ10bは、第5水平エレメント15を有することで、1つの閉ループを形成し、FMの周波数帯でのチューニングを容易にできる。第5水平エレメント15は、第1垂直エレメント21よりも第2側縁1cに近い位置まで延伸してもよい。
【0045】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態にかかる車両用窓ガラスを示す図である。
図5は、車両用窓ガラス130を示し、とくにFMアンテナ10cが、第6水平エレメント16を含む特徴を有する。なお、第4実施形態のうち第1実施形態と同様の構成及び効果の説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0046】
図5に示す車両用窓ガラス130は、FMアンテナ10cが、X軸方向に延伸する第6水平エレメント16を有し、第2垂直エレメント22と略直交する。第6水平エレメント16は、第3水平エレメント13と平行し、第1DABアンテナ30と、第2DABアンテナ40との間に配置されてもよい。言い換えると、第6水平エレメント16は、第2水平エレメント12よりも、第3水平エレメント13に近い側に配置されてもよい。また、第6水平エレメント16は、第1領域101及び第2領域102に第3水平エレメント13と略同一の長さで配置されてもよい。FMアンテナ10cは、第6水平エレメント16を有することで、FMの周波数帯でのチューニングを容易にできる。なお、第6水平エレメント16は、第2垂直エレメント22と接続して第1領域101のみに配置されてもよく、第2垂直エレメント22と接続して第2領域102のみに配置されてもよい。
【0047】
(第5実施形態)
図6は、第5実施形態にかかる車両用窓ガラスを示す図である。
図6は、車両用窓ガラス140を示し、とくにFMアンテナ10dが、第7水平エレメント17を含む特徴を有する。なお、第5実施形態のうち第1実施形態と同様の構成及び効果の説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0048】
図6に示す車両用窓ガラス140は、FMアンテナ10dが、X軸方向に延伸する第7水平エレメント17を有する。第7水平エレメント17は、第2水平エレメント12と平行し、第2水平エレメント12に対し、第3水平エレメントとは反対側に配置される。また、第7水平エレメント17は、第1垂直エレメント21の延長線21aと接続する。第7水平エレメント17は、第1垂直エレメント21の延長線21aとの交点よりも第2側縁1c側に延伸して開放端を有してもよい。FMアンテナ10dは、第7水平エレメント17を有することで、FMの周波数帯でのチューニングを容易にできる。なお、第7水平エレメント17は第1垂直エレメント21の延長線21aと接続して第2領域102のみに配置されてもよい。
【実施例】
【0049】
上記実施形態の車両用窓ガラスの各アンテナを構成するエレメント長の条件及びアンテナ特性の評価結果について説明する。
【0050】
(実施例1)
実施例1は、第1実施形態にかかる車両用窓ガラス100について、ガラス板1にFMアンテナ10、第1DABアンテナ30、第2DABアンテナ40及びFMサブアンテナを形成した。
図7は、第1実施形態にかかる車両用窓ガラス100に基づき、実施例1の各エレメント長を表示した図であり、各エレメントの延伸方向は水平方向(X軸方向)または垂直方向(Y軸方向)とした。なお、実施例1(及び後述する比較例1)における、エレメントの長さの単位は「mm」である。
【0051】
図7に基づく、実施例1の各エレメント長は以下のとおりである。とくに、接続エレメント25は、第2DABアンテナ40から離れるように、2つの屈曲点を有してクランク状に折れ曲がる。
L
1(第1水平エレメント11の長さ):390
L
19(引き出しエレメント19の長さ):30
L
2(第2水平エレメント12の長さ):1050
L
23(第1部分23の長さ):210
L
21(第1垂直エレメント21の長さ):30
L
14(第4水平エレメント14の長さ):300
L
22(第2垂直エレメント22の長さ):110
L
3(第3水平エレメント13の長さ):650
L
24(第2部分24の長さ):325
L
FM=L
19+(L
2-L
23)+L
21+L
14+L
22+(L
3-L
24):1635
L
31(第1DABエレメント31のうち第1水平部分の長さ):90
L
32(第1DABエレメント31のうち垂直部分の長さ):25
L
33(第1DABエレメント31のうち第2水平部分の長さ):165
L
31+L
32+L
33(第1DABエレメント31の長さ):280
L
41(第2DABエレメント41のうち第1水平部分の長さ):90
L
42(第2DABエレメント41のうち垂直部分の長さ):55
L
43(第2DABエレメント41のうち第2水平部分の長さ):145
L
41+L
42+L
43(第2DABエレメント41の長さ):290
L
51(FMサブエレメント51のうち垂直部分の長さ):55
L
52(FMサブエレメント51のうち水平部分の長さ):290
L
51+L
52(FMサブエレメント51の長さ):345
L
HL(第1バスバー3aから短絡線5aまでの長さ):230
L
HC(短絡線5aから短絡線5bまでの長さ):600
L
HR(短絡線5bから第2バスバー3bまでの長さ):230
D
1:335
D
2:70
D
3:50
D
4:335
【0052】
このとき、FM放送波の周波数帯の電波の空気中の中心波長λFMCが3259mm、ガラス板1の波長短縮率kが0.64であって、式(1a)を満たす長さLFMは、約1095mm~約2034mmの範囲である。また、実施例1における、長さLFM(=1505mm)は、式(1b)~式(1c)を満たす。
【0053】
このとき、式(2a)を満たす第1水平エレメント11の長さL1は、約365mm~約678mmの範囲である。実施例1における、第1水平エレメント11の長さL1(=390mm)は、式(2b)~式(2c)を満たす。
【0054】
次に、車両用窓ガラス100を車両のリアガラスとして取り付け水平面内の車両全周範囲(0°~360°)において、所定の角度毎に76MHz~108MHzのFM放送波の周波数帯の受信電波におけるアンテナ利得の平均値を測定した。同様に、174MHzHz~240MHzのDAB Band IIIの周波数帯の受信電波におけるアンテナ利得の平均値を測定した。
【0055】
(比較例1)
比較例1は、FMアンテナ10の代わりに、FMアンテナ10eとした以外は、実施例1と同じ条件とした。具体的に、比較例1のFMアンテナ10eのうち、第1水平エレメント11、引き出しエレメント19及び第2水平エレメント12は、実施例1のFMアンテナ10と同じ寸法とした。一方、比較例1のFMアンテナ10eは、第2水平エレメント12と第3水平エレメントとを接続する接続エレメントが、屈曲点の無い垂直方向(Y軸方向)に延伸するエレメントであり、第3水平エレメントの第2領域102側の端部と接続して、接続エレメントと第3水平エレメントとでL字状となる。さらに、FMアンテナ10eは、第3水平エレメントのうち、第1領域101側の端部から折り返して正のX軸方向に延伸して開放端となる(L字状の)延長エレメントを有する。
【0056】
図8に基づく、比較例1の各エレメント長は以下のとおりである。なお、寸法の記載が無いエレメントは、実施例1と同じ寸法とした。
L
61:130
L
3:535
L
62:10
L
63:300
L
31(第1DABエレメント31のうち第1水平部分の長さ):90
L
32(第1DABエレメント31のうち垂直部分の長さ):85
L
33(第1DABエレメント31のうち第2水平部分の長さ):75
L
31+L
32+L
33(第1DABエレメント31の長さ):250
L
41(第2DABエレメント41のうち第1水平部分の長さ):30
L
42(第2DABエレメント41のうち垂直部分の長さ):55
L
43(第2DABエレメント41のうち第2水平部分の長さ):165
L
41+L
42+L
43(第2DABエレメント41の長さ):250
D
2:90
【0057】
図9は、実施例1におけるFM放送波の周波数帯の電波における垂直偏波の受信感度(単位:dBμV)を示したグラフであり、所定のアンテナ利得が得られた。なお、比較例1におけるFM放送波の周波数帯の電波における垂直偏波の受信感度も、同レベルのアンテナ利得が得られた。
【0058】
図10は、実施例1及び比較例1における、第2DABアンテナ40のDAB Band IIIの周波数帯の電波における垂直偏波の受信利得(単位:dBd)を示したグラフである。実施例1では、接続エレメント25が、第2DABアンテナ40から遠ざかるように屈曲して配置されることで、FM用アンテナ10とのアイソレーションが確保できた。一方、比較例1では、接続エレメントが第2DABアンテナ40に近づくように、また、屈曲せずに配置されることで、実施例1に比べてFM用アンテナ10とのアイソレーションが確保できなかった。
【0059】
より具体的に、実施例1のDAB Band IIIの周波数帯における垂直偏波の受信利得の平均値が、5.6[dBd]であったのに対し、比較例1における平均値は4.7[dBd]であった。これは、比較例1の第2DABエレメント41のうち、垂直部分の導体が、垂直方向に延びる接続エレメントの導体と近づくことで、第2DABエレメント41からFMアンテナに流れる電流成分が増大し、第2DABアンテナ40の受信利得が低下したと考えられる。
【0060】
なお、実施例1及び比較例1とも、第1DABアンテナ30は、実施例1の第2DABアンテナ40相当の受信利得が得られた。
【0061】
以上、実施形態を説明したが、本開示の技術は上記の実施形態に限定されない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。例えば、本開示の車両用窓ガラスは、FMの周波数帯のアンテナ、DAB Band IIIの周波数帯以外のアンテナとして、さらに、地上デジタル放送波の周波数帯(470MHz~710MHz)のアンテナ等を搭載してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 ガラス板
1a 上縁
1b 第1側縁
1c 第2側縁
2 デフォッガ
3a 第1バスバー
3b 第2バスバー
4 電熱線
5a、5b 短絡線
10、10a、10b、10c、10d、10e FMアンテナ
11 第1水平エレメント
11a 開放端
12 第2水平エレメント
12a 第1接続点(第1端部)
12b 開放端
13 第3水平エレメント
13a 第2接続点(第2端部)
13b 開放端
13c 開放端
14 第4水平エレメント
15 第5水平エレメント
16 第6水平エレメント
17 第7水平エレメント
18 FM給電部
19 引き出しエレメント
21 第1垂直エレメント
21a 第1垂直エレメントの延長線
22 第2垂直エレメント
23 第1部分
24 第2部分
25 接続エレメント
30 第1DABアンテナ
31 第1DABエレメント
38 第1DAB給電部
40 第2DABアンテナ
41 第2DABエレメント
48 第2DAB給電部
50 FMサブアンテナ
51 FMサブエレメント
58 FMサブ給電部
60 中心線
70 遮光膜内縁
100、110、120、130、140、150 車両用窓ガラス
101 第1領域
102 第2領域