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特許7563379ヒドロキシアリール基末端の重合体を含む薬液耐性保護膜形成組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ヒドロキシアリール基末端の重合体を含む薬液耐性保護膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20241001BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G03F7/11 502
G03F7/11 503
H01L21/30 573
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021513697
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2020015948
(87)【国際公開番号】W WO2020209327
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2019075867
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】小田切 薫敬
(72)【発明者】
【氏名】西田 登喜雄
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴文
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】岸岡 高広
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/004721(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/104685(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/203464(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/052130(WO,A1)
【文献】特開2016-216367(JP,A)
【文献】特開昭64-043521(JP,A)
【文献】特開平06-128360(JP,A)
【文献】国際公開第2020/071361(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
H01L 21/027
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエポキシ化合物(B)と2官能以上のプロトン発生化合物(C)と下記(c-1)~(c-17)からなる群より選択される少なくとも一種の化合物との反応生成物(P)が、下記式(1):
【化1】

(式(1)中、Arは炭素原子数6乃至40のアリール基を表し、nは2乃至10の整数を表し、―Y―は、―OCO―、-O-又は-S-を表し、*は上記反応生成物(P)分子末端との結合部分を示す)で表される構造を含み、
さらに有機溶剤(S)を含む、半導体用ウエットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【化17】
【請求項2】
前記2官能以上のプロトン発生化合物(C)が、水酸基、カルボキシ基、チオール基、アミノ基及びイミド基から選ばれる官能基を有する、請求項1に記載の保護膜形成組成物。
【請求項3】
前記2官能以上のプロトン発生化合物(C)が、酸二無水物である、請求項1に記載の保護膜形成組成物。
【請求項4】
前記反応生成物(P)が、下記式(2):
【化2】

(式(2)中、Q及びQは2価の有機基を表し、A乃至Aは水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
で表される単位構造を含む、請求項1乃至請求項3何れか1項に記載の保護膜形成組成物。
【請求項5】
前記式(2)のQが、下記式(3):
【化3】

(式(3)中、Rは直接結合、-O-、-S-若しくは-S-S-で中断されていてもよい炭素原子数1乃至10のアルキレン基、炭素原子数2乃至6のアルケニレン基、又は炭素原子数3乃至10の脂環式炭化水素環若しくは炭素原子数6乃至14の芳香族炭化水素環を少なくとも1つ有する二価の有機基を表し、前記二価の有機基は、炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、炭素原子数2乃至6のアルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、メチリデン基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、炭素原子数2乃至6のアルコキシカルボニル基及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基で置換されていてもよい。Z及びZはそれぞれ-COO-、-OCO-、-O-、-S-のいずれかを表す。)
で表される、請求項4に記載の保護膜形成組成物。
【請求項6】
前記式(2)のQが、下記式(4):
【化4】

(上記式(4)中、Rは直接結合又は炭素原子数1乃至5のアルキレン基、n1及びmは0又は1の整数を表し、Zは下記式(5)、式(6)又は式(7):
【化5】

(上記式(6)中、Xは下記式(8)、式(9)又は式(10):
【化6】

(式(8)、式(9)及び式(10)中、R11、R12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数3乃至6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、前記フェニル基は、炭素原子数1乃至6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つで置換されていてもよく、R13とR14は互いに結合して炭素原子数3乃至6の環を形成していてもよい。)で表される、請求項4又は請求項5に記載の保護膜形成組成物。
【請求項7】
前記Arが、ベンゼン、ナフタレン及びアントラセン構造を含む、請求項1乃至請求項6何れか1項に記載の保護膜形成組成物。
【請求項8】
前記nが、2乃至4の整数である、請求項1乃至請求項7何れか1項に記載の保護膜形成組成物。
【請求項9】
さらに架橋剤(K)を含む、請求項1乃至請求項8何れか1項に記載の保護膜形成組成物。
【請求項10】
前記架橋剤(K)が、下記式(11)又は式(12):
【化7】

(式(11)及び式(12)中、Qは単結合又はm2価の有機基を示す。R、R、R11及びR12はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、R及びR10はそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n9は1≦n9≦3の整数、n10は2≦n10≦5の整数、n11は0≦n11≦3の整数、n12は0≦n12≦3の整数、3≦(n9+n10+n11+n12)≦6の整数を示す。
n13は1≦n13≦3の整数、n14は1≦n14≦4の整数、n15は0≦n15≦3の整数、n16は0≦n16≦3の整数、2≦(n13+n14+n15+n16)≦5の整数を示す。m2は2乃至10の整数を示す。)
で表される化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物の中から選ばれる化合物である、請求項9に記載の保護膜形成組成物。
【請求項11】
架橋触媒をさらに含む、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物。
【請求項12】
界面活性剤をさらに含む、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物からなる塗布膜の焼成物であることを特徴とする保護膜。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の保護膜組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜としての保護膜を形成する工程、該保護膜上にレジスト膜を形成し、次いで露光、現像してレジストパターンを形成する工程を含み、半導体の製造に用いることを特徴とするレジストパターン付き基板の製造方法。
【請求項15】
表面に無機膜が形成されていてもよい半導体基板上に、ジエポキシ化合物(B)と2官能以上のプロトン発生化合物(C)との反応生成物(P)が、下記式(1):
【化1】

(式(1)中、Arは炭素原子数6乃至40のアリール基を表し、nは2乃至10の整数を表し、―Y―は、―OCO―、-O-又は-S-を表し、*は上記反応生成物(P)分子末端との結合部分を示す)で表される構造を含み、
さらに有機溶剤(S)を含む、半導体用ウエットエッチング液に対する保護膜形成組成物を用いて保護膜を形成し、前記保護膜上にレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をドライエッチングし前記無機膜又は前記半導体基板の表面を露出させ、ドライエッチング後の前記保護膜をマスクとして、半導体用ウエットエッチング液を用いて前記無機膜又は前記半導体基板をウエットエッチング及び洗浄する工程を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造におけるリソグラフィープロセスにおいて、特に半導体用ウエットエッチング液に対する耐性に優れた保護膜を形成するための組成物に関する。また、前記保護膜を適用したレジストパターン付き基板の製造方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造において、基板とその上に形成されるレジスト膜との間にレジスト下層膜を設け、所望の形状のレジストパターンを形成するリソグラフィープロセスは広く知られている。レジストパターンを形成した後に基板の加工を行うが、その工程としてはドライエッチングが主に用いられるが、基板種によってはウエットエッチングが用いられる場合がある。特許文献1には、特定の架橋剤を含む塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/191767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レジスト下層膜をエッチングマスクとして用い、下地基板の加工をウエットエッチングで行う場合、レジスト下層膜には下地基板加工時にウエットエッチング液に対する良好なマスク機能(すなわち、マスクされている部分は基板を保護できる)が求められている。
このような場合、該レジスト下層膜は基板に対する保護膜として用いられることになる。さらに、ウエットエッチング後に不要な該保護膜をドライエッチングで除去する場合、該保護膜は下地基板にダメージが生じないように、ドライエッチングで速やかに除去できるようなエッチング速度の速い(高エッチングレート)保護膜が求められている。
さらには、いわゆる段差基板に対しても被覆性が良好で、埋め込み後の膜厚差が小さく、平坦な膜を形成し得る保護膜形成組成物も求められている。
従来、ウエットエッチング薬液の一種であるSC-1(アンモニア-過酸化水素溶液)に対する耐性を発現させるためには、低分子化合物(例えばガリック酸)を添加剤として適用する手法が用いられていたが、上記の課題を解決するには限界があった。
【0005】
本発明の目的は、上記の課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下を包含する。
[1]
ジエポキシ化合物(B)と2官能以上のプロトン発生化合物(C)との反応生成物(P)が、下記式(1):
【0007】
【化1】
【0008】
(式(1)中、Arは炭素原子数6乃至40のアリール基を表し、nは2乃至10の整数を表し、―Y―は、―OCO―、-O-又は-S-を表し、*は上記反応生成物(P)分子末端との結合部分を示す)で表される構造を含み、
さらに有機溶剤(S)を含む、半導体用ウエットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
[2]
前記2官能以上のプロトン発生化合物(C)が、水酸基、カルボキシ基、チオール基、アミノ基及びイミド基から選ばれる官能基を有する、[1]に記載の保護膜形成組成物。
[3]
前記2官能以上のプロトン発生化合物(C)が、酸二無水物である、[1]に記載の保護膜形成組成物。
[4]
前記反応生成物(P)が、下記式(2):
【0009】
【化2】
【0010】
(式(2)中、Q及びQは2価の有機基を表し、A乃至Aは水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
で表される単位構造を含む、[1]乃至[3]何れか1に記載の保護膜形成組成物。
[5]
【0011】
前記式(2)のQが、下記式(3):
【化3】
【0012】
(式(3)中、Rは直接結合、-O-、-S-若しくは-S-S-で中断されていてもよい炭素原子数1乃至10のアルキレン基、炭素原子数2乃至6のアルケニレン基、又は炭素原子数3乃至10の脂環式炭化水素環若しくは炭素原子数6乃至14の芳香族炭化水素環を少なくとも1つ有する二価の有機基を表し、前記二価の有機基は、炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、炭素原子数2乃至6のアルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、メチリデン基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、炭素原子数2乃至6のアルコキシカルボニル基及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基で置換されていてもよい。Z及びZはそれぞれ-COO-、-OCO-、-O-、-S-のいずれかを表す。)
で表される、請求項4に記載の保護膜形成組成物。
[6]
前記式(2)のQが、下記式(4):
【0013】
【化4】
【0014】
(上記式(4)中、Rは直接結合又は炭素原子数1乃至5のアルキレン基、n1及びmは0又は1の整数を表し、Zは下記式(5)、式(6)又は式(7):
【0015】
【化5】
【0016】
(上記式(6)中、Xは下記式(8)、式(9)又は式(10):
【0017】
【化6】
【0018】
(式(8)、式(9)及び式(10)中、R11、R12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数3乃至6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、前記フェニル基は、炭素原子数1乃至6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つで置換されていてもよく、R13とR14は互いに結合して炭素原子数3乃至6の環を形成していてもよい。)で表される、請求項4又は請求項5に記載の保護膜形成組成物。
[7]
前記Arが、ベンゼン、ナフタレン及びアントラセン構造を含む、[1]乃至[6]何れか1に記載の保護膜形成組成物。
[8]
前記nが、2乃至4の整数である、[1]乃至[7]何れか1項に記載の保護膜形成組成物。
[9]
さらに架橋剤(K)を含む、[1]乃至[8]何れか1に記載の保護膜形成組成物。
[10]
前記架橋剤(K)が、下記式(11)又は式(12):
【0019】
【化7】
【0020】
(式(11)及び式(12)中、Qは単結合又はm2価の有機基を示す。R、R、R11及びR12はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、R及びR10はそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n9は1≦n9≦3の整数、n10は2≦n10≦5の整数、n11は0≦n11≦3の整数、n12は0≦n12≦3の整数、3≦(n9+n10+n11+n12)≦6の整数を示す。
n13は1≦n13≦3の整数、n14は1≦n14≦4の整数、n15は0≦n15≦3の整数、n16は0≦n16≦3の整数、2≦(n13+n14+n15+n16)≦5の整数を示す。m2は2乃至10の整数を示す。)
で表される化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物の中から選ばれる化合物である、[9]に記載の保護膜形成組成物。
[11]
架橋触媒をさらに含む、[1]乃至[10]のいずれか1に記載の保護膜形成組成物。
[12]
界面活性剤をさらに含む、[1]乃至[11]のいずれか1に記載の保護膜形成組成物。
[13]
[1]から[13]のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物からなる塗布膜の焼成物であることを特徴とする保護膜。
[14]
[1]から[13]のいずれか1項に記載の保護膜組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜としての保護膜を形成する工程、該保護膜上にレジスト膜を形成し、次いで露光、現像してレジストパターンを形成する工程を含み、半導体の製造に用いることを特徴とするレジストパターン付き基板の製造方法。
[15]
表面に無機膜が形成されていてもよい半導体基板上に、[1]乃至[13]のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物を用いて保護膜を形成し、前記保護膜上にレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をドライエッチングし前記無機膜又は前記半導体基板の表面を露出させ、ドライエッチング後の前記保護膜をマスクとして、半導体用ウエットエッチング液を用いて前記無機膜又は前記半導体基板をウエットエッチング及び洗浄する工程を含む半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の保護膜形成組成物は、半導体製造におけるリソグラフィープロセスにおいて、例えば下記の特性をバランス良く有していることが要求される。(1)下地基板加工時にウエットエッチング液に対する良好なマスク機能を有すること、(2)さらに高ドライエッチング速度、及び(3)段差基板の平坦化性に優れること。これら(1)~(3)の性能をバランスよく有することで、半導体基板の微細加工を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
≪用語の説明≫
本発明において用いられる用語は、他に特に断りのない限り、以下の定義を有する。
【0023】
「炭素原子数1乃至10のアルキレン基」としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、シクロプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、s-ブチレン基、t-ブチレン基、シクロブチレン基、1-メチル-シクロプロピレン基、2-メチル-シクロプロピレン基、n-ペンチレン基、1-メチル-n-ブチレン基、2-メチル-n-ブチレン基、3-メチル-n-ブチレン基、1,1-ジメチル-n-プロピレン基、1,2-ジメチル-n-プロピレン基、2,2-ジメチル-n-プロピレン、1-エチル-n-プロピレン基、シクロペンチレン基、1-メチル-シクロブチレン基、2-メチル-シクロブチレン基、3-メチル-シクロブチレン基、1,2-ジメチル-シクロプロピレン基、2,3-ジメチル-シクロプロピレン基、1-エチル-シクロプロピレン基、2-エチル-シクロプロピレン基、n-ヘキシレン基、1-メチル-n-ペンチレン基、2-メチル-n-ペンチレン基、3-メチル-n-ペンチレン基、4-メチル-n-ペンチレン基、1,1-ジメチル-n-ブチレン基、1,2-ジメチル-n-ブチレン基、1,3-ジメチル-n-ブチレン基、2,2-ジメチル-n-ブチレン基、2,3-ジメチル-n-ブチレン基、3,3-ジメチル-n-ブチレン基、1-エチル-n-ブチレン基、2-エチル-n-ブチレン基、1,1,2-トリメチル-n-プロピレン基、1,2,2-トリメチル-n-プロピレン基、1-エチル-1-メチル-n-プロピレン基、1-エチル-2-メチル-n-プロピレン基、シクロヘキシレン基、1-メチル-シクロペンチレン基、2-メチル-シクロペンチレン基、3-メチル-シクロペンチレン基、1-エチル-シクロブチレン基、2-エチル-シクロブチレン基、3-エチル-シクロブチレン基、1,2-ジメチル-シクロブチレン基、1,3-ジメチル-シクロブチレン基、2,2-ジメチル-シクロブチレン基、2,3-ジメチル-シクロブチレン基、2,4-ジメチル-シクロブチレン基、3,3-ジメチル-シクロブチレン基、1-n-プロピル-シクロプロピレン基、2-n-プロピル-シクロプロピレン基、1-イソプロピル-シクロプロピレン基、2-イソプロピル-シクロプロピレン基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピレン基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピレン基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピレン基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピレン基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピレン基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピレン基、2-エチル-3-メチル-シクロプロピレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基又はn-デカニレン基が挙げられる。
【0024】
「炭素原子数1乃至10のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコデシル基等が挙げられる。
【0025】
「炭素原子数6乃至40のアリール基」としては、フェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、o-クロルフェニル基、m-クロルフェニル基、p-クロルフェニル基、o-フルオロフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-シアノフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、o-ビフェニリル基、m-ビフェニリル基、p-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基及び9-フェナントリル基が挙げられる。
【0026】
「炭素原子数2乃至10のアルケニル基」としては、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-1-エテニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-エチルエテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-n-プロピルエテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、1-メチル-3-ブテニル基、2-エチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-3-ブテニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、1-i-プロピルエテニル基、1,2-ジメチル-1-プロペニル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基、1-シクロペンテニル基、2-シクロペンテニル基、3-シクロペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、1-メチル-2-ペンテニル基、1-メチル-3-ペンテニル基、1-メチル-4-ペンテニル基、1-n-ブチルエテニル基、2-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、2-メチル-3-ペンテニル基、2-メチル-4-ペンテニル基、2-n-プロピル-2-プロペニル基、3-メチル-1-ペンテニル基、3-メチル-2-ペンテニル基、3-メチル-3-ペンテニル基、3-メチル-4-ペンテニル基、3-エチル-3-ブテニル基、4-メチル-1-ペンテニル基、4-メチル-2-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、4-メチル-4-ペンテニル基、1,1-ジメチル-2-ブテニル基、1,1-ジメチル-3-ブテニル基、1,2-ジメチル-1-ブテニル基、1,2-ジメチル-2-ブテニル基、1,2-ジメチル-3-ブテニル基、1-メチル-2-エチル-2-プロペニル基、1-s-ブチルエテニル基、1,3-ジメチル-1-ブテニル基、1,3-ジメチル-2-ブテニル基、1,3-ジメチル-3-ブテニル基、1-i-ブチルエテニル基、2,2-ジメチル-3-ブテニル基、2,3-ジメチル-1-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-3-ブテニル基、2-i-プロピル-2-プロペニル基、3,3-ジメチル-1-ブテニル基、1-エチル-1-ブテニル基、1-エチル-2-ブテニル基、1-エチル-3-ブテニル基、1-n-プロピル-1-プロペニル基、1-n-プロピル-2-プロペニル基、2-エチル-1-ブテニル基、2-エチル-2-ブテニル基、2-エチル-3-ブテニル基、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル基、1-t-ブチルエテニル基、1-メチル-1-エチル-2-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-1-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-2-プロペニル基、1-i-プロピル-1-プロペニル基、1-i-プロピル-2-プロペニル基、1-メチル-2-シクロペンテニル基、1-メチル-3-シクロペンテニル基、2-メチル-1-シクロペンテニル基、2-メチル-2-シクロペンテニル基、2-メチル-3-シクロペンテニル基、2-メチル-4-シクロペンテニル基、2-メチル-5-シクロペンテニル基、2-メチレン-シクロペンチル基、3-メチル-1-シクロペンテニル基、3-メチル-2-シクロペンテニル基、3-メチル-3-シクロペンテニル基、3-メチル-4-シクロペンテニル基、3-メチル-5-シクロペンテニル基、3-メチレン-シクロペンチル基、1-シクロヘキセニル基、2-シクロヘキセニル基及び3-シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0027】
「炭素原子数2乃至6のアルケニレン基」としては、上記「炭素原子数2乃至10のアルケニル基」の炭素原子数2乃至6のアルケニル基の内、水素原子を1つ除き、2価の基になったものを言う。
【0028】
「炭素原子数3乃至10の脂環式炭化水素環」としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、スピロビシクロペンタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、トリシクロ[3.2.1.02,7]オクタン、スピロ[3,4]オクタン等が挙げられる。
【0029】
「炭素原子数6乃至14の芳香族炭化水素環」としては、上記 「炭素原子数6乃至40のアリール基」の内、炭素原子数6乃至14の芳香族炭化水素環を有するものを言う。
【0030】
「炭素原子数2乃至6のアルキニル基」としては、上記「炭素原子数2乃至10のアルケニル基」中の炭素原子数2乃至6のアルケニル基の2重結合が、3重結合になっている基を言う。
【0031】
「炭素原子数1乃至20のアルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルオキシ基、3-メチル-n-ペンチルオキシ基、4-メチル-n-ペンチルオキシ基、1,1-ジメチル-n-ブトキシ基、1,2-ジメチル-n-ブトキシ基、1,3-ジメチル-n-ブトキシ基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ基、2,3-ジメチル-n-ブトキシ基、3,3-ジメチル-n-ブトキシ基、1-エチル-n-ブトキシ基、2-エチル-n-ブトキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1,2,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシ基、及び1-エチル-2-メチル-n-プロポキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ノルボルニオキシ基、アダマンチルオキシ基、アダマンタンメチルオキシ基、アダマンタンエチルオキシ基、テトラシクロデカニルオキシ基、トリシクロデカニルオキシ基等が挙げられる。
【0032】
「炭素原子数1乃至6のアルコキシカルボニル基」としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
【0033】
「炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基」としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基及びヘキシルチオ基等が挙げられる。
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0034】
<保護膜形成組成物>
本願の保護膜形成組成物は、ジエポキシ化合物(B)と2官能以上のプロトン発生化合物(C)との反応生成物(P)を含み、該反応生成物(P)の末端に、下記式(1):
【0035】
【化8】
【0036】
(式(1)中、Arは炭素原子数6乃至40のアリール基を表し、nは2乃至10の整数を表し、―Y―は、―OCO―、-O-又は-S-を表し、*は上記反応生成物(P)分子末端との結合部分を示す)で表される構造を含み、
さらに有機溶剤(S)を含む、半導体用ウエットエッチング液に対する保護膜形成組成物、である。
前記2官能以上のプロトン発生化合物(C)が有する官能基は、プロトンを発生する官能基であり、具体的には水酸基、カルボキシ基、チオール基、アミノ基及びイミド基から選ばれることが好ましい。
前記2官能以上のプロトン発生化合物(C)が、酸二無水物であってもよい。
本願の保護膜形成組成物は、ジエポキシ化合物(B)と2官能以上のプロトン発生化合物(C)との反応生成物(P)であるが、ジエポキシ化合物(B)と2官能、3官能又は4官能のプロトン発生化合物(C)との反応生成物(P)であることが好ましく、ジエポキシ化合物(B)と2官能又は3官能のプロトン発生化合物(C)との反応生成物(P)であることが好ましく、ジエポキシ化合物(B)と2官能のプロトン発生化合物(C)との反応生成物(P)であることが好ましい。
前記反応生成物(P)が、下記式(2):
【0037】
【化9】
【0038】
(式(4)中、Q及びQは2価の有機基を表し、A乃至Aは水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
で表される単位構造を含むことが好ましい。
前記式(2)のQが、下記式(3):
【0039】
【化10】
【0040】
(式(3)中、Rは直接結合、-O-、-S-若しくは-S-S-で中断されていてもよい炭素原子数1乃至10のアルキレン基、炭素原子数2乃至6のアルケニレン基、又は炭素原子数3乃至10の脂環式炭化水素環若しくは炭素原子数6乃至14の芳香族炭化水素環を少なくとも1つ有する二価の有機基を表し、前記二価の有機基は、炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、炭素原子数2乃至6のアルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、メチリデン基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、炭素原子数2乃至6のアルコキシカルボニル基及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基で置換されていてもよい。Z及びZはそれぞれ-COO-、-OCO-、-O-、-S-のいずれかを表す。)
で表されることが好ましい。
前記式(2)のQが、下記式(4):
【0041】
【化11】
【0042】
(上記式(4)中、Rは直接結合又は炭素原子数1乃至5のアルキレン基、n1及びmは0又は1の整数を表し、Zは下記式(5)、式(6)又は式(7):
【0043】
【化12】
【0044】
(上記式(6)中、Xは下記式(8)、式(9)又は式(10):
【0045】
【化13】
【0046】
(式(8)、式(9)及び式(10)中、R11、R12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数3乃至6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、前記フェニル基は、炭素原子数1乃至6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つで置換されていてもよく、R13とR14は互いに結合して炭素原子数3乃至6の環を形成していてもよい。)で表されることが好ましい。
上記「炭素原子数3乃至6の環」としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン及びシクロヘキサンが挙げられる。
前記Arが、ベンゼン、ナフタレン及びアントラセン構造を含むことが好ましい。
前記nが、2乃至4の整数であることが好ましい。
【0047】
本願のジエポキシ化合物(B)の具体例としては、下記に挙げる化合物(a-1)~(a-24)が挙げられる。
【0048】
【化14】
【0049】
【化15】
【0050】
本願の2官能以上のプロトン発生化合物(C)の具体例としては、下記に挙げる化合物(b-1)~(b-27)が挙げられる。
【0051】
【化16】
【0052】
本願の保護膜形成組成物は、上記ジエポキシ化合物(B)、上記2官能以上のプロトン発生化合物(C)、さらに下記に例示される化合物(c-1)~(c-17)を反応させて製造された反応生成物(P)であってよい。
【0053】
【化17】
【0054】
本願の保護膜形成組成物は、さらに架橋剤(K)を含んでもよい。
前記架橋剤(K)が、下記式(11)又は式(12):
【0055】
【化18】
【0056】
(式(11)及び式(12)中、Qは単結合又はm2価の有機基を示す。R、R、R11及びR12はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、R及びR10はそれぞれ炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至40のアリール基を示す。
n9は1≦n9≦3の整数、n10は2≦n10≦5の整数、n11は0≦n11≦3の整数、n12は0≦n12≦3の整数、3≦(n9+n10+n11+n12)≦6の整数を示す。
n13は1≦n13≦3の整数、n14は1≦n14≦4の整数、n15は0≦n15≦3の整数、n16は0≦n16≦3の整数、2≦(n13+n14+n15+n16)≦5の整数を示す。m2は2乃至10の整数を示す。)
で表されるWO2014/208542に記載の化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物の中から選ばれる化合物であってよい。
【0057】
上記メラミン化合物の具体例としては、以下に限定されないが、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1乃至6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1乃至6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。エポキシ化合物の具体例としては、例えば、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0058】
上記グアナミン化合物の具体例としては、以下に限定されないが、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1乃至4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1乃至4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。
グリコールウリル化合物の具体例としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1乃至4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1乃至4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。ウレア化合物の具体例としては、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1乃至4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレアなどが挙げられる。
【0059】
上記アルケニルエーテル基を含む化合物の具体例としては、以下に限定されないが、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2-プロパンジオールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどが挙げられる。
【0060】
これらの中でも、グリコールウリル化合物が好ましく、具体的にはテトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1乃至4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1乃至4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が好ましく、テトラメトキシメチルグリコールウリルが好ましい。
【0061】
さらに架橋剤(K)として、下記式(5-1)の部分構造を有する化合物や、下記式(5-2)の繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーが挙げられる。
【0062】
【化19】
【0063】
上記R11、R12、R13、及びR14は水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基であり、これらのアルキル基は上述の例示を用いることができる。
【0064】
m1は1≦m1≦6-m2、m2は1≦m2≦5、m3は1≦m3≦4-m2、m4は1≦m4≦3である。
【0065】
式(5-1)及び式(5-2)の化合物、ポリマー、オリゴマーは以下に例示される。
【0066】
【化20】
【0067】
【化21】
【0068】
上記化合物は旭有機材工業(株)、本州化学工業(株)の製品として入手することができる。例えば上記架橋剤の中で式(6-22)の化合物は旭有機材工業(株)、商品名TMOM-BPとして入手することができる。
【0069】
架橋剤の添加量は、使用する塗布溶剤、使用する下地基板、要求される溶液粘度、要求される膜形状などにより変動するが、保護膜形成組成物の全固形分に対して0.001乃至80質量%、好ましくは 0.01乃至50質量%、さらに好ましくは0.1乃至40質量%である。これら架橋剤は自己縮合による架橋反応を起こすこともあるが、本発明の上記のポリマー中に架橋性置換基が存在する場合は、それらの架橋性置換基と架橋反応を起こすことができる。
【0070】
[架橋触媒]
本発明の保護膜形成組成物は、任意成分として、架橋反応を促進させるために、架橋触媒を含有することができる。当該架橋触媒としては、酸性化合物、塩基性化合物に加え、熱により酸又は塩基が発生する化合物を用いることができるが、架橋酸触媒であることが好ましい。酸性化合物としては、スルホン酸化合物又はカルボン酸化合物を用いることができ、熱により酸が発生する化合物としては、熱酸発生剤を用いることができる。
【0071】
スルホン酸化合物又はカルボン酸化合物として、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート(ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸)、ピリジニウム-p-トルエンスルホネート、サリチル酸、カンファースルホン酸、5-スルホサリチル酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、4-フェノールスルホン酸、ピリジニウム-4-フェノールスルホネート、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、4-ニトロベンゼンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
【0072】
熱酸発生剤として、例えば、K-PURE〔登録商標〕CXC-1612、同CXC-1614、同TAG-2172、同TAG-2179、同TAG-2678、同TAG2689(以上、King Industries社製)、及びSI-45、SI-60、SI-80、SI-100、SI-110、SI-150(以上、三新化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0073】
これら架橋触媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、塩基性化合物としては、アミン化合物又は水酸化アンモニウム化合物を用いることができ、熱により塩基が発生する化合物としては、尿素を用いることができる。
【0074】
アミン化合物として、例えば、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリノルマルプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリノルマルブチルアミン、トリ-tert-ブチルアミン、トリノルマルオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、フェニルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、及びジアザビシクロオクタン等の第3級アミン、ピリジン及び4-ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミンが挙げられる。また、ベンジルアミン及びノルマルブチルアミン等の第1級アミン、ジエチルアミン及びジノルマルブチルアミン等の第2級アミンもアミン化合物として挙げられる。これらのアミン化合物は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0075】
水酸化アンモニウム化合物としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化セチルトリメチルアンモニウム、水酸化フェニルトリメチルアンモニウム、水酸化フェニルトリエチルアンモニウムが挙げられる。
【0076】
また、熱により塩基が発生する化合物としては、例えば、アミド基、ウレタン基又はアジリジン基のような熱不安定性基を有し、加熱することでアミンを生成する化合物を使用することができる。その他、尿素、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、コリンクロリドも熱により塩基が発生する化合物として挙げられる。
【0077】
前記保護膜形成組成物が架橋触媒を含む場合、その含有量は、保護膜形成組成物の全固形分に対して、0.0001乃至20質量%、好ましくは0.01乃至15質量%、さらに好ましくは0.1乃至10質量%である。
【0078】
[界面活性剤]
本発明の保護膜形成組成物は、任意成分として、半導体基板に対する塗布性を向上させるために界面活性剤を含有することができる。前記界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R-30、同R-40、同R-40-LM(DIC株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子株式会社製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。前記保護膜形成組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、保護膜形成組成物の全固形分に対して、0.0001乃至10質量%、好ましくは0.01乃至5質量%である。
【0079】
[有機溶剤(S)]
本発明の保護膜形成組成物は、上記各成分を、有機溶剤(S)に溶解させることによって調製でき、均一な溶液状態で用いられる。
【0080】
本発明に係る保護膜形成組成物の有機溶剤(S)としては、上記分子内に互いに隣接する2つの水酸基を少なくとも1組以上含む化合物、又はその重合体を溶解できる溶媒であれば、特に制限なく使用することができる。特に、本発明に係る保護膜形成組成物は均一な溶液状態で用いられるものであるため、その塗布性能を考慮すると、リソグラフィー工程に一般的に使用される有機溶剤を併用することが推奨される。
【0081】
前記有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2―ヒドロキシイソ酪酸メチル、2―ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
これらの溶媒の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノン等が好ましい。特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
【0083】
[その他の成分]
本発明の保護膜形成組成物には、吸光剤、レオロジー調整剤、接着補助剤などを添加することができる。レオロジー調整剤は、保護膜形成組成物の流動性を向上させるのに有効である。接着補助剤は、半導体基板またはレジストと下層膜の密着性を向上させるのに有効である。
【0084】
吸光剤としては例えば、「工業用色素の技術と市場」(CMC出版)や「染料便覧」(有機合成化学協会編)に記載の市販の吸光剤、例えば、C.I.Disperse Yellow 1,3,4,5,7,8,13,23,31,49,50,51,54,60,64,66,68,79,82,88,90,93,102,114及び124;C.I.D isperse Orange1,5,13,25,29,30,31,44,57,72及び73;C.I.Disperse Red 1,5,7,13,17,19,43,50,54,58,65,72,73,88,117,137,143,199及び210;C.I.Disperse Violet 43;C.I.Disperse Blue 96;C.I.Fluorescent Brightening Agent 112,135及び163;C.I.Solvent Orange2及び45;C.I.Solvent Red 1,3,8,23,24,25,27及び49;C.I.Pigment Green 10;C.I.Pigment Brown 2等を好適に用いることができる。 上記吸光剤は通常、保護膜形成組成物の全固形分に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下の割合で配合される。
【0085】
レオロジー調整剤は、主に保護膜形成組成物の流動性を向上させ、特にベーキング工程において、保護膜の膜厚均一性の向上やホール内部への保護膜形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、保護膜形成組成物の全固形分に対して通常30質量%未満の割合で配合される。
【0086】
接着補助剤は、主に基板あるいはレジストと保護膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像においてレジストが剥離しないようにする目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルメチロールクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメチロールエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’-ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、メチロールトリクロロシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物や、1,1-ジメチルウレア、1,3-ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、保護膜形成組成物の全固形分に対して通常5質量%未満、好ましくは2質量%未満の割合で配合される。
【0087】
[保護膜形成組成物]
本発明に係る保護膜形成組成物の固形分は通常0.1乃至70質量%、好ましくは0.1乃至60質量%とする。固形分は保護膜形成組成物から溶媒を除いた全成分の含有割合である。固形分中におけるポリマーの割合は、1乃至100質量%、1乃至99.9質量%、50乃至99.9質量%、50乃至95質量%、50乃至90質量%の順で好ましい。
【0088】
[レジストパターン付き基板及び半導体装置の製造方法]
以下、本発明に係る保護膜形成組成物を用いたレジストパターン付き基板の製造方法及び半導体装置の製造方法について説明する。
【0089】
本発明に係るレジストパターン付き基板は、上記した保護膜形成組成物を半導体基板上に塗布し、焼成することにより製造することができる。
【0090】
本発明の保護膜形成組成物が塗布される半導体基板としては、例えば、シリコンウエハ、ゲルマニウムウエハ、及びヒ化ガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム等の化合物半導体ウエハが挙げられる。
【0091】
表面に無機膜が形成された半導体基板を用いる場合、当該無機膜は、例えば、ALD(原子層堆積)法、CVD(化学気相堆積)法、反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スピンコーティング法(スピンオングラス:SOG)により形成される。前記無機膜として、例えば、ポリシリコン膜、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸窒化ケイ素膜、BPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜、窒化チタン膜、酸窒化チタン膜、窒化タングステン膜、窒化ガリウム膜、及びヒ化ガリウム膜が挙げられる。
【0092】
このような半導体基板上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明の保護膜形成組成物を塗布する。その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークすることにより保護膜を形成する。ベーク条件としては、ベーク温度100℃乃至400℃、ベーク時間0.3分乃至60分間の中から適宜、選択される。好ましくは、ベーク温度120℃乃至350℃、ベーク時間0.5分乃至30分間、より好ましくは、ベーク温度150℃乃至300℃、ベーク時間0.8分乃至10分間である。形成される保護膜の膜厚としては、例えば0.001μm乃至10μm、好ましくは0.002μm乃至1μm、より好ましくは0.005μm乃至0.5μmである。ベーク時の温度が、上記範囲より低い場合には架橋が不十分となり、形成される保護膜の、レジスト溶剤又は塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性が得られにくくなることがある。一方、ベーク時の温度が上記範囲より高い場合は、保護膜が熱によって分解してしまうことがある。
【0093】
露光は、所定のパターンを形成するためのマスク(レチクル)を通して行われ、例えば、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)またはEB(電子線)が使用される。現像にはアルカリ現像液が用いられ、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。アルカリ現像液に代えて、酢酸ブチル等の有機溶媒で現像を行い、フォトレジストのアルカリ溶解速度が向上していない部分を現像する方法を用いることもできる。
【0094】
次いで、形成したレジストパターンをマスクとして、前記保護膜をドライエッチングする。その際、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されている場合、その無機膜の表面を露出させ、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されていない場合、その半導体基板の表面を露出させる。
【0095】
さらに、ドライエッチング後の保護膜(その保護膜上にレジストパターンが残存している場合、そのレジストパターンも)をマスクとして、半導体用ウエットエッチング液を用いてウエットエッチングすることにより、所望のパターンが形成される。
【0096】
半導体用ウエットエッチング液としては、半導体用ウエハをエッチング加工するための一般的な薬液を使用することが出来、例えば酸性を示す物質、塩基性を示す物質何れも使用することができる。
【0097】
酸性を示す物質としては、例えば過酸化水素、フッ酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、バッファードフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸又はこれらの混合液が挙げられる。
【0098】
塩基性を示す物質としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、トリエタノールアミン等の有機アミンと過酸化水素水とを混合し、pHを塩基性にした、塩基性過酸化水素水を挙げることができる。具体例としては、SC-1(アンモニア-過酸化水素溶液)が挙げられる。その他、pHを塩基性にすることができるもの、例えば、尿素と過酸化水素水を混合し、加熱により尿素の熱分解を引き起こすことでアンモニアを発生させ、最終的にpHを塩基性にするものも、ウエットエッチングの薬液として使用できる。
【0099】
これらの中でも、酸性過酸化水素水又は塩基性過酸化水素水であることが好ましい。
【0100】
これらの薬液は、界面活性剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0101】
半導体用ウエットエッチング液の使用温度は25℃乃至90℃であることが望ましく、40℃乃至80℃であることがさらに望ましい。ウエットエッチング時間としては、0.5分乃至30分であることが望ましく、1分乃至20分であることがさらに望ましい。
【実施例
【0102】
次に実施例を挙げ本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本明細書の下記合成例1乃至合成例4に示すポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する)による測定結果である。測定には東ソー(株)製GPC装置を用い、測定条件等は次のとおりである。
GPCカラム:Shodex KF803L、Shodex KF802、Shodex KF801〔登録商標〕(昭和電工(株))
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1.0ml/分
標準試料:ポリスチレン(東ソー(株)製)
【0103】
<合成例1>
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(四国化成工業(株)製、製品名MA-DGIC)20.00g、3,3’-ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製、商品名:DTDPA)12.69g、没食子酸水和物4.22g及び触媒としてテトラブチルホスホニウムブロミド1.81gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル58.09gに溶解させた後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含有する溶液(固形分40質量%)を得た。得られた反応生成物の繰り返し単位と末端構造は式(D-1)で表される。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量3100であった。
【0104】
【化22】
【0105】
<合成例2>
ジグリシジルテレフタレート(ナガセケムテックス(株)、製品名EX-711)20.00g、3,3’-ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製、商品名:DTDPA)12.33g、没食子酸水和物4.11g及び触媒としてテトラブチルホスホニウム ブロミド1.76gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル57.29gに溶解させた後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含有する溶液(固形分40質量%)を得た。得られた反応生成物の繰り返し単位と末端構造は式(D-2)で表される。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量3900であった。
【0106】
【化23】
【0107】
<合成例3>
1,3’-ジグリシジルヒダントイン(四国化成工業(株)製)20.00g、3,3’-ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製、商品名:DTDPA)12.69g、没食子酸水和物4.23g及び触媒としてテトラブチルホスホニウムブロミド1.81gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル58.09gに溶解させた後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含有する溶液(固形分40質量%)を得た。得られた反応生成物の繰り返し単位と末端構造は式(D-3)で表される。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量3900であった。
【0108】
【化24】
【0109】
<合成例4>
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(四国化成工業(株)製、製品名MA-DGIC)20.00g、3,3’-ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製、商品名:DTDPA)16.42g、触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.659gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル92.71gに溶解させた後、105℃で24時間反応させ、反応生成物を含有する溶液(固形分20質量%)を得た。得られた反応生成物は式(D-4)の繰り返し単位を有する。得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量4600であった。
【0110】
【化25】
【0111】
以下、本発明について実施例によってさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例の記載に限定されるものではない。また、塩基性過酸化水素水溶液として、以下の表1に示す組成の薬液を用いたが、本発明に適用される塩基性過酸化水素水溶液は当該組成に限定されない。
【0112】
<実施例1>
合成例1で得られたポリマーを含有する溶液27.62gに、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸0.552g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.84g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル152.99gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0113】
<実施例2>
合成例2で得られたポリマーを含有する溶液27.62gに、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸0.552g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.84g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル152.99gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0114】
<実施例3>
合成例3で得られたポリマーを含有する溶液27.62gに、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸0.552g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.84g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル152.99gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0115】
<実施例4>
合成例1で得られたポリマーを含有する溶液27.62gに、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸0.552g、TMOM-BP(本州化学工業(株)製)1.105g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.84g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル152.99gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0116】
<比較例1>
合成例4で得られたポリマーを含有する溶液55.24gに、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸0.552g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.84g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル125.37gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0117】
(塗膜の形成)
窒化チタン膜が表面に形成されたシリコン基板上に、実施例1乃至実施例3で調製した保護膜形成組成物及び比較例1で調製した膜形成組成物をスピンコートにて塗布し、220℃で60秒ベークすることで、100nmの膜厚の塗膜を作製した。
【0118】
(塩基性過酸化水素水溶液への耐性試験)
実施例1乃至実施例3で調製した保護膜形成組成物及び比較例1で調製した膜形成組成物を用いて窒化チタン膜が表面に形成されたシリコン基板上に作製した塗膜を、下記表1で示した組成の塩基性過酸化水素水溶液に、同表に示す温度で1分間浸し、その後水洗、乾燥後の塗膜の状態を目視で観察した。その結果を下記表2に示す。表2中の“○”は1分処理後も塗膜に剥がれが見られない状態 “×”は1分処理後に塗膜の一部又は全てにおいて剥がれが観察された状態を示している。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
上記表2の結果より、実施例1乃至実施例3で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対して十分な耐性を有することが示された。すなわち、これらの塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜となり得ることがわかった。一方、比較例1で調製した膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性を有さないことが示され、これらの塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜となり得ないことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明に係る保護膜形成組成物は、基板加工にウエットエッチング液を適用する際に耐性に優れ、高ドライエッチング速度を有するため、基板加工が容易であり、段差基板に塗布した場合平坦化性に優れる保護膜を提供するものである。