(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】通信システム、通信経路監視方法、通信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 45/247 20220101AFI20241001BHJP
H04L 43/10 20220101ALI20241001BHJP
【FI】
H04L45/247
H04L43/10
(21)【出願番号】P 2022527302
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(86)【国際出願番号】 JP2020020694
(87)【国際公開番号】W WO2021240629
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】飯田 謙
(72)【発明者】
【氏名】小杉 友哉
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09100274(US,B1)
【文献】特開2003-023444(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0153765(US,A1)
【文献】特開2012-138778(JP,A)
【文献】特開2017-130852(JP,A)
【文献】特開2017-092870(JP,A)
【文献】VRRPの基本動作 [オンライン],2012年01月25日,[検索日 2020年10月15日], インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20120125081547/https://www.itbook.info/network/vrrp2.html>
【文献】R. Hinden,Virtual Router Redundancy Protocol (VRRP),RFC 3768,2004年04月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信装置が第0の通信装置と接続され、前記複数の通信装置のうちの第1の通信装置及び前記第0の通信装置を接続する経路と、前記複数の通信装置のうちの第2の通信装置及び前記第0の通信装置を接続する経路と、を切り替え可能な通信システムであって、
前記第0の通信装置、前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は、監視信号を送受信する監視端点の機能を備え、
前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は、同一の監視端点の識別子に設定され、
前記第1の通信装置は、
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号を定期的に前記第0の通信装置へ送信
し、
前記第0の通信装置は、
監視端点の機能を用いて前記第1の通信装置からのマルチキャスト監視信号を受信し、かつ前記第1の通信装置からのマルチキャスト監視信号を前記第2の通信装置に転送
し、
かつ監視端点の機能を用いて自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号を前記第2の通信装置に送信し、
前記第2の通信装置は、
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号の未受信が予め定められた回数継続した場合、マルチキャスト監視信号の送信機能を有効化し、前記第0の通信装置への
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号の送信を開始し
、
前記第0の通信装置は、
監視端点の機能を用いて前記第2の通信装置からのマルチキャスト監視信号を受信し、かつ前記第2の通信装置からのマルチキャスト監視信号を前記第1の通信装置に転送し、
かつ監視端点の機能を用いて自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号を前記第1の通信装置に送信し、
前記第1の通信装置は、
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号を受信すると、マルチキャスト監視信号の送信機能を無効化
する、
通信システム。
【請求項2】
前記第0の通信装置は、前記第1の通信装置からのマルチキャスト監視信号を、前記複数の通信装置のうちの前記第1の通信装置を除く各通信装置に転送し、
前記複数の通信装置のうちの前記第1の通信装置を除く各通信装置は、前記第1の通信装置からのマルチキャスト監視信号の未受信が予め定められた時間継続した場合に、前記第0の通信装置へのマルチキャスト監視信号の送信を開始する時間が互いに異なり、
前記複数の通信装置のうちの前記第1の通信装置を除く各通信装置は、自装置が前記第0の通信装置へのマルチキャスト監視信号の送信を開始する前に、前記複数の通信装置のうちの自装置とは異なる装置からのマルチキャスト監視信号を受信した場合、マルチキャスト監視信号の送信機能を無効化する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記複数の通信装置は、さらに、マルチキャスト監視信号とは異なる顧客信号を抽出し、
顧客信号の受信が予め定められた回数継続した場合、マルチキャスト監視信号の送信機能を有効化する、
請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記複数の通信装置は、自装置とは異なる装置から送信されたマルチキャスト監視信号、及び前記第0の通信装置から送信されたマルチキャスト監視信号を用いて、障害被疑箇所を絞り込み、絞り込まれた障害の箇所を通知する、
請求項1から3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
複数の通信装置が第0の通信装置と接続され、前記複数の通信装置のうちの第1の通信装置及び前記第0の通信装置を接続する経路と、前記複数の通信装置のうちの第2の通信装置及び前記第0の通信装置を接続する経路と、を切り替え可能な通信システムが実行する通信経路監視方法であって、
前記第0の通信装置、前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は、監視信号を送受信する監視端点の機能を備え、
前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は、同一の監視端点の識別子に設定され、
前記第1の通信装置は、
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号を定期的に前記第0の通信装置へ送信
し、
前記第0の通信装置は、
監視端点の機能を用いて前記第1の通信装置からのマルチキャスト監視信号を受信し、かつ前記第1の通信装置からのマルチキャスト監視信号を前記第2の通信装置に転送
し、
かつ監視端点の機能を用いて自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号を前記第2の通信装置に送信し、
前記第2の通信装置は、
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号の未受信が予め定められた回数継続した場合、マルチキャスト監視信号の送信機能を有効化し、前記第0の通信装置への
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号の送信を開始し
、
前記第0の通信装置は、
監視端点の機能を用いて前記第2の通信装置からのマルチキャスト監視信号を受信し、かつ前記第2の通信装置からのマルチキャスト監視信号を前記第1の通信装置に転送し、
かつ監視端点の機能を用いて自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号を前記第1の通信装置に送信し、
前記第1の通信装置は、
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号を受信すると、マルチキャスト監視信号の送信機能を無効化
する、
通信経路監視方法。
【請求項6】
複数の通信装置が第0の通信装置と接続され、前記複数の通信装置のうちの第1の通信装置及び前記第0の通信装置を接続する経路と、前記複数の通信装置のうちの第2の通信装置及び前記第0の通信装置を接続する経路と、を切り替え可能な通信システムに備わる前記第1の通信装置であって、
前記第0の通信装置、前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は、監視信号を送受信する監視端点の機能を備え、
前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は、同一の監視端点の識別子に設定され、
監視端点の機能を用いて前記第0の通信装置から送信されたマルチキャスト監視信号を受信し、
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号を定期的に前記第0の通信装置へ送信
し、
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号を受信すると、マルチキャスト監視信号の送信機能を無効化する、
通信装置。
【請求項7】
複数の通信装置が第0の通信装置と接続され、前記複数の通信装置のうちの第1の通信装置及び前記第0の通信装置を接続する経路と、前記複数の通信装置のうちの第2の通信装置及び前記第0の通信装置を接続する経路と、を切り替え可能な通信システムに備わる前記第2の通信装置であって、
前記第0の通信装置、前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は、監視信号を送受信する監視端点の機能を備え、
前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は、同一の監視端点の識別子に設定され、
監視端点の機能を用いて前記第0の通信装置から送信されたマルチキャスト監視信号を受信し、
自身の監視端点の識別子を持つマルチキャスト監視信号の未受信が予め定められた回数継続した場合、マルチキャスト監視信号の送信機能を有効化し、前記第0の通信装置へのマルチキャスト監視信号の送信を開始
する、
通信装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の通信装置に備わる各機能部としてコンピュータを実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
単一の通信装置に対して、複数の通信装置でアクティブスタンバイ構成の冗長を行う通信網において、故障発生に伴う通信経路の切り替えに連動して、監視端点を切り替えることで、顧客信号が流れる通信経路を常に監視することが可能な通信方式・通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置間での監視信号を利用した技術として、ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)がY.1731として標準化し、またIEEE802(Institute of Electrical and Electronics Engineers)にてIEEE802.1ag等として規定されたイーサネットOAM(Operation Administration and Maintenance)がある。イーサネットOAMではMEP(MEG(Maintenance Entity Group) End Point)というエンティティが導入されている。
【0003】
MEPはイーサネットOAMフレームを生成、終端する監視端点(エンドポイント)である。MEP間であらかじめ設定されたMEGレベルのOAMフレームを投げあうことで接続性の継続的な確認や、故障情報の通知などを行うことができる。
【0004】
ネットワークにおける通信装置間の監視においては、イーサネットOAMの技術を用い、OAMフレームを装置の監視端点間で送受信することで、接続性の確認、故障情報の通知を行っていた。一方、通信事業者のネットワークにおいては、網の可用性を高めるため通信装置の冗長構成がとられている。
【0005】
単一通信装置に対して複数の通信装置が冗長構成として接続されている場合、イーサネットOAMでは通信装置間の疎通確認は可能なものの、顧客信号が運用系、予備系のどちらを流れているかは分からなかった。そのため、保守者は設計情報を元に運用系を把握し、イーサネットOAMの疎通情報と合わせなければ通信経路を管理できないといった課題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】TTC, JT-Y1731 “イーサネットのOAM機能とメカニズム”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、上記網において故障による切り替えに関わらず、常に顧客信号と連動して監視を実施することが可能な通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示では、各装置に設定された監視端点において、マルチキャスト監視信号を送信する。予備系の通信装置は、運用系(顧客信号が流れている系)の通信装置から送信されたマルチキャスト監視信号を、単一通信装置を経由して受信している。予備系の通信装置は、運用系側の障害発生時、運用系からの監視信号断を検知すると、予備系の通信装置からマルチキャスト監視信号を送信する。これにより、装置間の疎通確認を可能とすると共に、顧客信号の通信経路と監視信号の流れる経路(監視信号を送信する通信装置)が同一となることから、保守者は監視信号のみから通信経路の管理が可能となる。
【0009】
具体的には、本開示に係る通信システム及び通信経路監視方法は、
複数の通信装置が第0の通信装置と接続され、前記複数の通信装置のうちの第1の通信装置及び第0の通信装置を接続する経路と、前記複数の通信装置のうちの第2の通信装置及び第0の通信装置を接続する経路と、を切り替え可能な通信システムであって、
第1の通信装置は、監視信号を定期的に第0の通信装置へ送信し、
第0の通信装置は、第1の通信装置からの監視信号を第2の通信装置に転送し、
第2の通信装置は、第1の通信装置からの監視信号の未受信が予め定められた回数継続した場合、監視信号の送信機能を有効化し、第0の通信装置への監視信号の送信を開始し、
第0の通信装置は、第2の通信装置からの監視信号を第1の通信装置に転送し、
第1の通信装置は、第2の通信装置から監視信号を受信すると、監視信号の送信機能を無効化する。
【0010】
具体的には、本開示に係る通信装置は、
複数の通信装置が第0の通信装置と接続され、前記複数の通信装置のうちの第1の通信装置及び第0の通信装置を接続する経路と、前記複数の通信装置のうちの第2の通信装置及び第0の通信装置を接続する経路と、を切り替え可能な通信システムに備わる通信装置であって、
監視信号を定期的に第0の通信装置へ送信し、
第2の通信装置から監視信号を受信すると、監視信号の送信機能を無効化する。
【0011】
具体的には、本開示に係る通信装置は、
複数の通信装置が第0の通信装置と接続され、前記複数の通信装置のうちの第1の通信装置及び第0の通信装置を接続する経路と、前記複数の通信装置のうちの第2の通信装置及び第0の通信装置を接続する経路と、を切り替え可能な通信システムに備わる通信装置であって、
第1の通信装置からの監視信号の未受信が予め定められた回数継続した場合、監視信号の送信機能を有効化し、第0の通信装置への監視信号の送信を開始する。
【0012】
具体的には、本開示に係るプログラムは、本開示に係る通信装置に備わる各機能部としてコンピュータを実現させるためのプログラムであり、本開示に係る通信装置が実行する通信経路監視方法に備わる各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、運用系の監視が行われるように設定し、故障時には予備系に監視が切り替わるため、通信経路と監視信号が必ず同一経路となることから、通信経路を把握する必要がない通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】障害が生じた場合の関連技術の動作の一例を示す。
【
図10】実施形態4における参照テーブルの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0016】
(関連技術)
通信事業者の通信網においては網の可用性を高めるために、装置を複数設置することで冗長を構成することが一般的に行われている。
たとえば、
図1に記載しているように単一の通信装置(91#0)に対して、通信装置(91#1)と通信装置(91#2)が接続されている。故障が発生していない時は、単一の通信装置(91#0)と通信装置(91#1)との間で通信を行い(運用系)、通信装置(#0)と通信装置(#1)の間の装置または伝送媒体が故障した場合に、通信装置(91#0)と通信装置(91#1)の間で通信中の信号を通信装置(91#0)と通信装置(91#2)(予備系)に切り替えるアクティブスタンバイ構成が採用される。
【0017】
本構成の通信網において、イーサネットOAMを適用する際には、通信装置(91#1)、通信装置(91#0)夫々に監視端点を配置し、監視端点間で監視信号を送受信することで、各経路の監視を実施する。また、故障時に正常に切り替わることを担保するため、通信装置(91#2)、通信装置(91#0)夫々に監視端点を配置することが行われている。
【0018】
通信事業者は上記網において、イーサネットOAMにより運用系、予備系の接続性を確認することが可能である。しかし、顧客の信号が正しく流れているかを確認することは、
図2に示すように、イーサネットOAMだけでは困難である。イーサネットOAMのみでも装置間の疎通確認は可能であるが、キャリアとして顧客信号が運用系/予備系どちらを流れているか管理する必要があった。関連技術は、設計情報をもとに運用系を把握し、イーサネットOAMの疎通確認情報と合わせなければ管理できなかったため、稼働を要していた。たとえば故障が発生していない場合は、イーサネットOAMおよび、通信経路を把握する必要がある。また、故障等の要因で運用系から予備系に切り替わった際には、イーサネットOAMに加え、顧客信号が予備系に流れているかの確認を行う必要がある。
【0019】
(発明の概要)
本開示の概要について、
図3を参照しながら説明する。
図3は本開示のシステム構成の概略を示す。装置冗長を取る複数の通信装置91において、通信装置(91#1)と通信装置(91#2)において同一の監視端点(仮想端点)を事前に設定する。この時、運用側の経路に接続されている通信装置(91#1)の監視端点は、監視信号を送受信可能とし、予備系の経路に接続されている通信装置(91#2)の監視端点は受信のみ可能とする。
【0020】
通信装置(91#0)は、通信装置(91#1)の監視信号を受信するとともに、マルチキャスト監視信号を送信する。通信装置(91#1)の監視端点からマルチキャスト監視信号を送信し、通信装置(91#2)の監視端点で受信判定を行う。この時、通信装置(91#2)の監視端点で監視信号を未受信判定となった場合、通信装置(91#2)から監視信号を送受信可能にする。また運用系に遷移した通信装置(91#2)の監視端点からの監視信号を受信した通信装置(91#1)は、受信のみ可能とする。
【0021】
(実施形態例1)
図4に、本実施形態のシステム構成の一例を示す。本実施形態のシステムは、本開示の基本構成を備える。具体的には、本実施形態のシステムは、3台の通信装置91を備える。91#1と91#0、91#2と91#0が夫々接続されている。ただし、これらは直結されている必要がない。
【0022】
通信装置91#1は、監視信号を送受信する機能部14と、通信装置91#2から受信した信号の内、監視信号を抽出する機能部(監視信号受信機能部13)と、受信した監視信号をカウントする機能部(監視信号カウント機能部12)と、カウントに基づいて監視信号を送受信する機能部の送信機能を有効/無効化する機能部(監視送信機能有効無効判定機能部11)を持つ。機能部14は、監視端点及び仮想監視端点として機能し、例えばY.1731のMEP(Maintenance End Point)である。
通信装置91#2は、監視信号を送受信する機能部14と、通信装置91#1から受信した信号の内、監視信号を抽出する機能部(監視信号受信機能部13)と、受信した監視信号をカウントする機能部(監視信号カウント機能部12)と、カウントに基づいて監視信号を送受信する機能部の送信機能を有効/無効化する機能部(監視送信機能有効無効判定機能部11)を持つ。
通信装置91#0は、監視信号を転送する機能部15と、監視信号を送受信する機能部14を持つ。
【0023】
図4を参照しながら本実施形態の信号の流れについて説明する。
ステップS101:通信装置91#2は、監視信号を送受信する機能部14の識別子を、通信装置91#1で設定した監視端点の監視識別子と同一の値に設定し、送信機能のみ無効化しておく。
ステップS102:通信装置91#1は、監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)に予め設定された識別子(監視端点の識別子)を持つマルチキャスト監視信号をN秒間隔で送信する。
通信装置91#0は、マルチキャストの監視信号を受信し、通信装置91#2にマルチキャストの監視信号の転送を行う。
通信装置91#2は、通信装置91#0から送信されたマルチキャストの監視信号を受信し、監視信号受信機能部13でマルチキャスト監視信号を抽出し、監視信号カウント機能部12でマルチキャスト監視信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効判定機能部11でマルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続未受信となった場合に、未受信判定とする。通信装置91#2は、未受信判定となった場合に、マルチキャスト監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の送信機能を有効化する。ただし、M及びNは予め定められた数であり、Mは2以上の任意の自然数を採用しうる。
【0024】
ステップS103:通信装置91#2は、マルチキャストの監視信号をN秒間隔で送信する。
通信装置91#0は、マルチキャストの監視信号を受信し、通信装置91#1にマルチキャストの監視信号の転送を行う。
通信装置91#1は、通信装置91#0から送信されたマルチキャストの監視信号を受信し、監視信号受信機能部13でマルチキャスト監視信号を抽出し、監視信号カウント機能部12でマルチキャスト監視信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効効判定機能部11でマルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続受信となった場合に、受信判定とする。受信判定となった場合に、マルチキャスト監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の送信機能を無効化する。
【0025】
(実施形態例2)
図5に、本実施形態のシステム構成の一例を示す。本実施形態のシステムは、通信装置の複数冗長構成を備える。具体的には、本実施形態のシステムは、N台の通信装置を備える。91#1と91#0、91#2と91#0、…91#Nと91#0が夫々接続されている。ただし、これらは直結されている必要がない。
【0026】
通信装置91#1(91#2~91#Nも夫々同様)は、実施形態例1で有する機能部と、通信装置91#1~91#Nが夫々保持する相対的な優先度に基づいた待機時間を保持する機能部(待機時間保持機能部21)と、監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の送信機能の有効/無効化を待機時間分遅らせる機能部(有効/無効待機機能部22)を持つ。
通信装置91#0は、実施形態例1で有する機能部を持つ。
【0027】
図5を参照しながら本実施形態の信号の流れについて説明する。
ステップS201:通信装置91#2(91#3~91#Nも夫々同様)は、監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の識別子を、通信装置91#1で設定した監視端点の監視識別子と同一の値に設定し、無効化しておく。
ステップS202:通信装置91#1は、監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)に予め設定された識別子(監視端点の識別子)を持つマルチキャスト監視信号をN秒間隔で送信する。
通信装置91#0は、マルチキャストの監視信号を受信し、通信装置91#2~91#Nすべてにマルチキャストの監視信号の転送を行う。
【0028】
通信装置91#2(91#3~91#Nも夫々同様)は、通信装置91#0から送信されたマルチキャストの監視信号を受信し、監視信号受信機能部13でマルチキャスト監視信号を抽出し、監視信号カウント機能部12でマルチキャスト監視信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効判定機能部11でマルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続未受信となった場合に、未受信判定とする。未受信判定となった場合に、マルチキャスト監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の送信機能を有効化する。このとき、事前に保持している待機時間に応じて、有効化するまで一定の時間を置く。
【0029】
ステップS203:通信装置91#2は、マルチキャストの監視信号をN秒間隔で送信する。
通信装置91#0は、マルチキャストの監視信号を受信し、通信装置91#2を除く91#1~91#Nにマルチキャストの監視信号の転送を行う。
【0030】
ステップS204:通信装置91#1は、通信装置#0から送信されたマルチキャストの監視信号を受信し、監視信号受信機能部13でマルチキャスト監視信号を抽出し、監視信号カウント機能部12でマルチキャスト監視信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効判定機能部11でマルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続受信となった場合に、受信判定とする。受信判定となった場合に、マルチキャスト監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の送信機能を無効化する。
【0031】
通信装置91#3(91#4~91#Nも夫々同様)は、一定の待機時間の間に、通信装置91#2から送信されたマルチキャストの監視信号を受信し、監視信号受信機能部13でマルチキャスト監視信号を抽出し、監視信号カウント機能部12でマルチキャスト監視信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効判定機能部11でマルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続受信となった場合に、受信判定とする。受信判定となった場合に、マルチキャスト監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)を無効化する。
【0032】
(実施形態例3)
図6に、本実施形態のシステム構成の一例を示す。本実施形態のシステムは、顧客信号と連動して監視を切り替える構成を備える。具体的には、本実施形態のシステムは、3台の通信装置を備える。91#1と91#0、91#2と91#0が夫々接続されている。ただし、これらは直結されている必要がない。
【0033】
通信装置91#1と91#2は顧客信号が流れる上位網と接続されている。
通信装置91#1は、実施形態例1で有する機能部と、上位網から受信して通信装置91#0に送信する信号の内、監視信号以外の顧客信号を抽出する機能部(顧客信号抽出機能部24)と、顧客信号をカウントする機能部(顧客信号カウント機能部23)を持つ。
通信装置91#2は、実施形態例1で有する機能部と、上位網から受信して通信装置91#0に送信する信号の内、監視信号以外の顧客信号を抽出する機能部(顧客信号抽出機能部24)と、顧客信号をカウントする機能部(顧客信号カウント機能部23)を持つ。
通信装置91#0は、実施形態例1で有する機能部を持つ。
【0034】
図7を参照しながら本実施形態の下り信号の流れについて説明する。
ステップS311:通信装置91#2は、監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の識別子を、通信装置91#1で設定した監視端点の監視識別子と同一の値に設定し、無効化しておく。
ステップS312:通信装置91#2は、上位網から流れてきた下り顧客信号を受信し、顧客信号抽出機能部24で下り顧客信号を抽出し、顧客信号カウント機能部23で下り顧客信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効判定機能部11で下り顧客信号を連続L回受信した場合に、受信判定とする。受信判定となった場合に、マルチキャスト監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の送信機能を有効化する。ただし、Lは予め定められた数であり、1以上の任意の自然数を採用しうる。以下においても同様である。
【0035】
ステップS313:通信装置91#2は、マルチキャストの監視信号をN秒間隔で送信する。
通信装置91#0は、マルチキャストの監視信号を受信し、通信装置91#1にマルチキャストの監視信号の転送を行う。
通信装置91#1は、通信装置91#2から送信されたマルチキャストの監視信号を受信し、監視信号受信機能部13でマルチキャスト監視信号を抽出し、監視信号カウント機能部12でマルチキャスト監視信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効判定機能部11でマルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続受信となった場合に、受信判定とする。受信判定となった場合に、マルチキャスト監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の送信機能を無効化する。
【0036】
図8を参照しながら本実施形態の上り信号の流れについて説明する。
ステップS321:通信装置91#2は、監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の識別子を、通信装置91#1で設定した監視端点の監視識別子と同一の値に設定し、無効化しておく。
ステップS322:通信装置91#2は、通信装置91#0から流れてきた上り顧客信号を受信し、顧客信号抽出機能部24で上り顧客信号を抽出し、顧客信号カウント機能部23で上り顧客信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効判定機能部11で上り顧客信号を連続L回受信した場合に、受信判定とする。受信判定となった場合に、マルチキャスト監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の送信機能を有効化する。
【0037】
ステップS323:通信装置91#2は、マルチキャストの監視信号をN秒間隔で送信する。
通信装置91#0は、マルチキャストの監視信号を受信し、通信装置91#1にマルチキャストの監視信号の転送を行う。
通信装置91#1は、通信装置91#0から送信されたマルチキャストの監視信号を受信し、監視信号受信機能部13でマルチキャスト監視信号を抽出し、監視信号カウント機能部12でマルチキャスト監視信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効判定機能部11でマルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続受信となった場合に、受信判定とする。受信判定となった場合に、マルチキャスト監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の送信機能を無効化する。
【0038】
(実施形態例4)
図9に、本実施形態のシステム構成の一例を示す。本実施形態のシステムは、障害切分通知機能を備える。具体的には、本実施形態のシステムは、3台の通信装置を備える。91#1と91#0、91#2と91#0が夫々接続されている。ただし、これらは直結である必要がない。
【0039】
通信装置91#1は、実施形態例1で有する機能部と、91#2と91#0から受信した監視信号の受信/未受信判定とリンク状態の組み合わせから障害被疑箇所を絞り込む機能部(障害被疑箇所絞り込み機能部25)と、警報として通知する機能部(警報通知機能部26)を持つ。
通信装置91#2は、実施形態例1で有する機能部と、91#1と91#0から受信した監視信号の受信/未受信判定とリンク状態の組み合わせから障害被疑箇所を絞り込む機能部(障害被疑箇所絞り込み機能部25)と、警報として通知する機能部(警報通知機能部26)を持つ。
通信装置91#0は、実施形態例1で有する機能部を持つ。
【0040】
図9を参照しながら本実施形態の信号の流れについて説明する。
ステップS401:通信装置91#2は、監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)の識別子を、通信装置91#1で設定した監視端点の監視識別子と同一の値に設定し、無効化しておく。
ステップS402:通信装置91#1は、監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)に予め設定された識別子(監視端点の識別子)を持つマルチキャスト監視信号をN秒間隔で送信する。
通信装置91#0は、マルチキャストの監視信号を受信し、通信装置91#2にマルチキャストの監視信号の転送を行う。
通信装置91#2は、通信装置91#1から送信されたマルチキャストの監視信号を受信し、監視信号受信機能部13でマルチキャスト監視信号を抽出し、監視信号カウント機能部12でマルチキャスト監視信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効判定機能部11でマルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続未受信となった場合に、未受信判定とする。また、マルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続受信となった場合に、受信判定とする。
【0041】
ステップS403:通信装置91#0は、監視信号を送受信する機能部(
図4に示す符号14)に予め設定された識別子(監視端点の識別子)を持つ監視信号をN秒間隔で送信する。
通信装置91#2は、通信装置91#0から送信された監視信号を受信し、監視信号受信機能部13で監視信号を抽出し、監視信号カウント機能部12で監視信号の到着時間間隔を計算し、監視送信機能有効無効判定機能部11でマルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続未受信となった場合に、未受信判定とする。また、マルチキャスト監視信号がN秒間隔でM回連続受信となった場合に、受信判定とする。
【0042】
テップS404:通信装置91#2は、
図10に示すようなテーブルを参照し、各艦視点からの受信判定の有無やリンク状態に基づき、障害の有無及び障碍箇所の判定を行う。
通信装置91#2は、通信装置91#1からの監視信号に対して受信判定、かつ通信装置91#0からの監視信号に対して受信判定となった場合、障害被疑箇所絞り込み機能部25で障害無しと判定し、警報通知機能部26により警報通知を行う。
通信装置91#2は、通信装置91#1からの監視信号に対して受信判定、かつ通信装置91#0からの監視信号に対して未受信判定となった場合、障害被疑箇所絞り込み機能部25で区間B’が障害と判定し、警報通知機能部26により警報通知を行う。
通信装置91#2は、通信装置91#1からの監視信号に対して未受信判定、かつ通信装置91#0からの監視信号に対して受信判定となった場合、障害被疑箇所絞り込み機能部で、区間Aもしくは区間A’もしくは区間A+A’が障害と判定し、警報通知機能部により警報通知を行う。
通信装置91#2は、通信装置91#1からの監視信号に対して未受信判定、かつ通信装置91#0からの監視信号に対して未受信判定でリンク状態がダウンの場合、障害被疑箇所絞り込み機能部25で区間Cもしくは区間C+その他が障害と判定し、警報通知機能部26により警報通知を行う。
通信装置91#2は、通信装置91#1からの監視信号に対して未受信判定、かつ通信装置91#0からの監視信号に対して未受信判定でリンク状態がアップの場合、障害被疑箇所絞り込み機能部25で区間C’もしくは区間A/A’+B’が障害と判定し、警報通知機能部26により警報通知を行う。
【0043】
ここで、リンク状態は、例えば、リンク状態がダウンであるか、リンク状態がアップであるかである。対向装置の物理インターフェース間で光の送受信ができない、又は光の送受信パワーが損なわれてしまい対向インターフェースから見て物理的に光が来ていないように見える場合、通信装置91#2はリンク状態がダウンであると判定する。一方、対向装置の物理インターフェース間で問題なく光の送受信が可能な場合、通信装置91#2はリンク状態がアップであると判定する。
【0044】
本開示の通信装置91はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。例えば、監視送信機能有効無効判定機能部11、監視信号カウント機能部12、監視信号受信機能部13、機能部14、転送機能部15、待機時間保持機能部21、有効/無効待機機能部22、顧客信号カウント機能部23、顧客信号抽出機能部24、障害被疑箇所絞り込み機能部25、警報通知機能部26、の少なくともいずれかは、コンピュータがプログラムを実行することで実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
11:監視送信機能有効無効判定機能部
12:監視信号カウント機能部
13:監視信号受信機能部
14:監視信号を送受信する機能部
15:転送機能部
21:待機時間保持機能部
22:有効/無効待機機能部
23:顧客信号カウント機能部
24:顧客信号抽出機能部
25:障害被疑箇所絞り込み機能部
26:警報通知機能部